説明

画像形成装置

【課題】プロセスカートリッジが複数あっても、各プロセスカートリッジの帯電器の周囲における異物やオゾンの滞留を防止することができ、画像形成不良の発生を抑制することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
感光ドラム15と、感光ドラム15を帯電させるスコロトロン型帯電器16とを備え、感光ドラム15の軸線方向と直交する方向に間隔を隔てて、並列に配置される複数のプロセスカートリッジ13と、感光ドラム15の軸線方向と直交する方向の一端側に設けられ、複数のプロセスカートリッジ13の間の空気を吸引するためのファン14とを備え、複数のプロセスカートリッジ13のうち、一端側と反対側の他端側に配置される互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間の間隔を、感光ドラム15の軸線方向と直交する方向の一端側に配置される互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間の間隔より長く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式が採用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、帯電器により感光ドラムを帯電させた後、その感光ドラムに静電潜像を形成して、現像剤像を担持させる。このような帯電器としてスコロトロン型帯電器が知られている。
【0003】
しかるに、スコロトロン型帯電器からは、オゾンが発生するので、オゾンによるスコロトロン型帯電器の劣化を抑制すべく、オゾンをスコロトロン型帯電器の周囲に滞留させないようにすることが必要である。
【0004】
一方、画像形成装置には、一般に放熱のためのファンが設けられる。そして、ファンによりオゾンを排出することが提案されている。
【0005】
例えば、感光ドラムと感光ドラムを帯電させる帯電器とを備える複数個のプロセスカートリッジと、排気口に向かって流れる気流を発生させるファンとを備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−79047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、複数個のプロセスカートリッジが並列方向に配置され、その並列方向の一端側にファンが設けられている。そして、各プロセスカートリッジの帯電器からオゾンが発生する。そのため、ファンから近い位置(一端側)に配置されるプロセスカートリッジの帯電器の周囲においては、ファンにより発生する気流が相対的に多く、オゾンを良好に排出することができるが、ファンから遠い位置(他端側)に配置されるプロセスカートリッジの帯電器の周囲においては、ファンにより発生した気流が相対的に少なく、帯電器の周囲に異物(例えば、トナー等)やオゾンが滞留する場合がある。
【0008】
そのため、ファンから遠い位置(他端側)に配置されるプロセスカートリッジの帯電器は、気流によって異物やオゾンの除去がされにくく、帯電器の周囲に付着した異物によって感光ドラムの帯電不良を生じ、それに起因する画像形成不良が生じる場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、複数のプロセスカートリッジを備える場合であっても、各プロセスカートリッジの帯電器の周囲における異物やオゾンの滞留を防止することができ、画像形成不良の発生を抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、感光ドラムと、前記感光ドラムを帯電させる帯電器とを備え、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向に間隔を隔てて、並列に配置される複数のプロセスカートリッジと、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向の一端側に設けられ、複数の前記プロセスカートリッジの間の空気を吸引するための吸引口とを備え、複数の前記プロセスカートリッジのうち、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向の他端側に配置される互いに隣接する前記プロセスカートリッジの間の間隔が、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向の一端側に配置される互いに隣接する前記プロセスカートリッジの間の間隔より長いことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置では、複数のプロセスカートリッジのうち、吸引口が備えられる側(一端側)の互いに隣接するプロセスカートリッジの間の間隔よりも、その反対側(他端側)に配置される互いに隣接するプロセスカートリッジの間の間隔のほうが長く形成されている。そして、吸引口が空気を吸引することにより生じる気流は、互いに隣接するプロセスカートリッジの間を通過するが、その間隔が長くなれば、流量を確保することが可能となる。
【0012】
そのため、吸引口が備えられた側の反対側に配置される互いに隣接するプロセスカートリッジの間であっても、その間の間隔が長く形成されているので、吸引口が空気を吸引することにより生じる気流を多く通過させることができ、異物やオゾンを良好に排出することができる。
【0013】
したがって、プロセスカートリッジが複数あっても、各プロセスカートリッジの帯電器の周囲における異物やオゾンの滞留を防止することができる。よって、画像形成不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態としてのカラープリンタを示す側断面図である。
【図2】図1に示すカラープリンタにおける、本体ケーシングの後側下側の平断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の他の実施形態としてのカラープリンタ(感光ドラムの間隔が長く形成された態様)を示す側断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置の他の実施形態としてのカラープリンタ(フロントカバーを備える態様)における、プロセスカートリッジの離脱を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.カラープリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラープリンタである。カラープリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する断面略矩形状のボックス形状に形成されており、その左右両端部が板金からなる左側壁51および右側壁52により閉鎖されている(図2参照)。左側壁51および右側壁52には、それぞれ外側に樹脂製のサイドカバー53が設けられている(図2参照)。また、本体ケーシング2の上面には、後述するプロセスカートリッジ13を着脱させるためのトップカバー5が形成されている。トップカバー5は、本体ケーシング2に対して後端部を支点として揺動(移動)可能に設けられている。
【0016】
なお、以下の説明において、トップカバー5が設けられる側を上側とし、その反対側を下側とする。また、紙面上において、その上下方向と直交する方向を前後方向とする。そして、図1における紙面左側を前側とし、図1における紙面右側を後側とする。また、カラープリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
【0017】
また、本体ケーシング2は、モータ(図示せず)などに電力を供給する低電圧基板36を備えている。低電圧基板36は、本体ケーシング2内の後側下側において、後述するファン14の左側に隣接配置され、左右方向に投影したときに、低電圧基板36の後側略1/2部分がファン14の前側略1/2部分と重なるように配置されている。
(2)給紙部
給紙部3は、用紙Pを収容する給紙トレイ6と、給紙ローラ7とを備えている。給紙トレイ6は、本体ケーシング2内の底部に着脱自在に装着されている。給紙ローラ7は、給紙トレイ6の前端部上方に設けられている。また、給紙ローラ7の前側上方には、1対のレジストローラ8が設けられている。
【0018】
給紙トレイ6に収容されている用紙Pは、給紙ローラ7の回転により、両レジストローラ8間に向けて1枚ずつ給紙され、所定のタイミングで、画像形成部4(感光ドラム15(後述)と搬送ベルト22(後述)との間)に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、プロセスユニット9、各色に対応する4つのLEDユニット10、転写ユニット11、および、定着器の一例としての定着ユニット12を備えている。
(3−1)プロセスユニット
プロセスユニット9は、給紙部3の上側に配置されており、各色に対応する4つのプロセスカートリッジ13を備えている。各プロセスカートリッジ13は、トップカバー5を開放したときに、本体ケーシング2に対して、上下方向に沿って着脱自在に設けられている。
【0019】
各プロセスカートリッジ13は、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラックプロセスカートリッジ13K、イエロープロセスカートリッジ13Y、マゼンタプロセスカートリッジ13Mおよびシアンプロセスカートリッジ13Cが、順次配置されている。
【0020】
また、各プロセスカートリッジ13は、フレーム41と、フレーム41に支持される感光ドラム15、ドラムクリーニングローラ17、帯電器の一例としてのスコロトロン型帯電器16と、フレーム41に対して着脱可能に装着される現像カートリッジ40とを備えている。
【0021】
フレーム41は、左右方向に延びて形成されており、下側にドラム支持部42と、上側に現像カートリッジ収容部43とを一体的に備えている。
【0022】
ドラム支持部42は、上側が開放され、前壁、下壁、両側壁、および後壁とを備えている。
【0023】
ドラム支持部42の下壁には、感光ドラム15の外周面を露出させるためのドラム開口部47が形成されている。
【0024】
現像カートリッジ収容部43は、ドラム支持部42から連続して上方に延びるように形成されている。
【0025】
現像カートリッジ収容部43は、後側が開放され、前壁、両側壁、および上壁を備えている。
【0026】
感光ドラム15は、左右方向に長手の円筒形状に形成され、その下側の外周面が、ドラム開口部47から露出するように配置されている。
【0027】
感光ドラム15は、ドラム軸48と、感光層が形成される金属素管49とを備えており、ドラム軸48が、ドラム支持部42の両側壁に回転可能に支持されている。
【0028】
ドラムクリーニングローラ17は、感光ドラム15の後側に、感光ドラム15と対向して接触するように配置されており、左右方向に延びて、ドラム支持部42の両側壁に回転可能に支持されている。
【0029】
スコロトロン型帯電器16は、感光ドラム15の斜め後側上側に、感光ドラム15と間隔を隔てて対向配置されており、ドラム支持部42の後壁に長手方向に沿って、支持されている。スコロトロン型帯電器16は、図示しない高圧電源からの電圧により放電すると、オゾンを発生する。
【0030】
現像カートリッジ40は、現像カートリッジ収容部43に対して、その前壁に沿うように装着されている。
【0031】
現像カートリッジ40は、現像ローラ18と、現像ローラ18にトナーを供給する供給ローラ19を備えている。現像ローラ18は、感光ドラム15の斜め前側上側において、接触するように配置されている。
【0032】
また、各プロセスカートリッジ13には、供給ローラ19の上側のトナー収容室28において、各色に対応するトナーが収容されている。
(3−2)LEDユニット
各LEDユニット10は、対応するプロセスカートリッジ13の後側に、対応する感光ドラム15に上方から対向するように設けられている。また、LEDユニット10はトップカバー5に支持されており、トップカバー5の開放時において、各プロセスカートリッジ13の間から上方へ退避する。
【0033】
LEDユニット10は、所定の画像データに基づいて、対応する感光ドラム15の表面を露光する。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット11は、本体ケーシング2内において、給紙部3の上側であって、プロセスユニット9の下側において、前後方向に沿って配置されている。転写ユニット11は、駆動ローラ20、従動ローラ21、搬送ベルト22、および4つの転写ローラ23を備えている。
【0034】
駆動ローラ20および従動ローラ21は、前後方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0035】
搬送ベルト22は、各感光ドラム15に対して上下方向に対向し、その上側部分が各感光ドラム15と接触するように、駆動ローラ20および従動ローラ21の回りに巻回されている。また、搬送ベルト22は、駆動ローラ20の駆動により、各感光ドラム15と接触する搬送ベルト22の上側部分が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0036】
各転写ローラ23は、各感光ドラム15と、それぞれ搬送ベルト22の上側部分を挟んで対向するように、設けられている。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット12は、転写ユニット11の後側に配置され、加熱ローラ24、および、加熱ローラ24に対向接触する加圧ローラ25を備えている。
(3−6)画像形成動作
(3−6−1)現像動作
プロセスカートリッジ13における、トナー収容室28内のトナーは、供給ローラ19に供給され、さらに、現像ローラ18に供給され、供給ローラ19と現像ローラ18との間で正極性に摩擦帯電される。
【0037】
現像ローラ18に供給されたトナーは、現像ローラ18の表面に担持される。
【0038】
一方、感光ドラム15の表面は、感光ドラム15の回転に伴って、スコロトロン型帯電器16により一様に正帯電された後、LEDユニット10により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム15の表面に形成される。
【0039】
感光ドラム15がさらに回転すると、現像ローラ18の表面に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム15の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム15の静電潜像は可視像化され、感光ドラム15の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
(3−6−2)転写・定着動作
給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト22の上側部分によって、前側から後側に向かって、各感光ドラム15と各転写ローラ23とが対向する転写位置を順次通過するように搬送される。その搬送中に、各感光ドラム15に担持されている各色のトナー像が、用紙Pに順次転写され、カラー画像が形成される。
【0040】
そして、用紙Pに転写されたカラー画像は、定着ユニット12において、用紙Pが加熱ローラ24と加圧ローラ25との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
定着ユニット12においてトナー像を定着された用紙Pは、各排紙ローラ30によって、定着ユニット12の上方に設けられる本体ケーシング2の排出口29を通って、本体ケーシング2の上面に形成される排紙トレイ31上に排紙される。
2.本体ケーシングの詳細
本体ケーシング2の左側壁51(図2参照)には、上側空気取入口33、4つの中側空気取入口34、および下側空気取入口35が形成されている。また、左側壁51の外側に設けられるサイドカバー53(図2参照)には、上側空気取入口33、4つの中側空気取入口34、および下側空気取入口35との対向部分にスリットが形成されている。
【0041】
上側空気取入口33は、前後方向に長手の側面視略矩形状をなし、左右方向に投影したときに、ブラックプロセスカートリッジ13Kの上方に位置している。
【0042】
4つの中側空気取入口34は、それぞれ上下方向に長手の側面視略矩形状をなし、左右方向に投影したときに、各プロセスカートリッジ13のトナー収容室28の後方に、1つずつ位置している。すなわち、互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間には、それぞれ1つの中側空気取入口34が位置している。
【0043】
下側空気取入口35は、前後方向に長手の側面視略矩形状をなし、左右方向に投影したときに、低電圧基板36の上方に位置している。
【0044】
本体ケーシング2の右側壁52には、ファン14が設けられている。
【0045】
ファン14は、図2に示すように、右側壁52の後端部下側において埋設されている。具体的には、ファン14は、左右方向に投影したときに、シアンプロセスカートリッジ13Cよりも後側下方、かつ、加熱ローラ24と加圧ローラ25との接触点よりも下方に位置するように設けられている。つまり、ファン14は、4つのプロセスカートリッジ13の投影面の外側に配置されている。
【0046】
ファン14は、ファンケーシング56と、ファンケーシング56に収容される回転羽57とを備えている。
【0047】
ファンケーシング56は、側面視正方形状のボックス形状をなし、右側壁52に支持されている。また、ファンケーシング56には、その左側面において本体ケーシング2の内部に臨む吸引口60が設けられており、その右側面において本体ケーシング2の外部に臨む排気口61が設けられている。
【0048】
回転羽57は、ファンケーシング56内において、回転可能に支持されている。
3.プロセスユニットの詳細
各プロセスカートリッジ13を本体ケーシング2に装着したときには、各感光ドラム15のドラム軸48の軸心が前後方向に等間隔となるように、各プロセスカートリッジ13が、本体ケーシング2において位置決めされる。これによって、感光ドラム15が互いに等間隔に並列配置される。
【0049】
また、本体ケーシング2において位置決めされているときには、4つのプロセスカートリッジ13のうち、最も前側に位置するブラックプロセスカートリッジ13Kを除く3つのプロセスカートリッジ13Y、M、Cは、フレーム41のドラム支持部42から現像カートリッジ収容部43に向かって、上方前側に傾斜している。
【0050】
一方、ブラックプロセスカートリッジ13Kは、フレーム41のドラム支持部42から現像カートリッジ収容部43に向かって、上方前側に傾斜し、かつ、鉛直方向に対する、その他の3つプロセスカートリッジ13Y、M、Cの傾斜角度よりも傾斜角度が大きくなるように傾斜している。具体的には、ドラム軸48を通る鉛直線Vと、ドラム軸48の軸心と現像ローラ18の軸心とを結ぶ線分Lとから形成される鋭角を傾斜角θと定義したときに、ブラックプロセスカートリッジ13Kの傾斜角θが、その他の3つのプロセスカートリッジ13Y、M、Cの傾斜角θよりも大きくなるように傾斜している。
【0051】
これによって、ブラックプロセスカートリッジ13Kと、それに隣接するイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の空間が、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間の空間、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cの間の空間よりも大きく形成される。具体的には、ブラックプロセスカートリッジ13Kの最も後側に突出する現像カートリッジ40の後面と、イエロープロセスカートリッジ13Yの最も前側に突出する現像カートリッジ収容部43の前壁との間の間隔L1が、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間における、最も後側に突出する現像カートリッジ40の後面と、最も前側に突出する現像カートリッジ収容部43の前壁との間隔L2よりも長く形成されている。
4.ファンによる排気動作
ファン14は、本体ケーシング2に設けられているモータ(図示せず)からの駆動力が伝達されると、本体ケーシング2の内部の空気を、本体ケーシング2の外部へ排気するように回転される。それに伴って、排出口29、上側空気取入口33、4つの中側空気取入口34、および下側空気取入口35を介して、本体ケーシング2の外部の空気が本体ケーシング2の内部に取り込まれる。
【0052】
排出口29から取り込まれた空気は、ファン14によって吸引され、定着ユニット12の上方から下方に向けて、定着ユニット12の周囲を通過したのち、ファン14により本体ケーシング2の外部に排気される。
【0053】
一方、上側空気取入口33および4つの中側空気取入口34から取り込まれた空気は、ファン14によって吸引され、各プロセスカートリッジ13のうち、互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間を、左側から右側に向けて流通する。この際、各スコロトロン型帯電器16から生じるオゾンは、互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間を通過する気流に同伴する。そして、そのオゾンを含む空気は、各プロセスカートリッジ13の右端部側と本体ケーシング2の右側壁52(図2参照)との間の空間に至る。次いで、その空間において、それぞれの互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間を通過した空気が、合流して前側から後側に向けて流通したのち、ファン14により本体ケーシング2の外部に排気される。
【0054】
また、下側空気取入口35から取り込まれた空気は、図2に示すように、ファン14によって吸引され、低電圧基板36の上方を左側から右側に向けて流通した後、ファン14に連通されたダクト62を通過して、ファン14により本体ケーシング2の外部に排気される。
5.作用効果
(1)
このカラープリンタ1では、ファン14は本体ケーシング2の後端部に埋設され、プロセスカートリッジ13は前後方向に沿って並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラックプロセスカートリッジ13K、イエロープロセスカートリッジ13Y、マゼンタプロセスカートリッジ13Mおよびシアンプロセスカートリッジ13Cが、順次配置されている。
【0055】
そのため、ブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間は、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間よりも、ファン14に対して遠方に位置している。
【0056】
そして、ブラックプロセスカートリッジ13Kとそれに隣接するイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の間隔が、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間の間隔、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間の間隔と同じであると、ファン14に近いイエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間を通過する気流は相対的に多く、ファン14から遠いブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間を通過する気流は相対的に少なくなる。
【0057】
しかし、カラープリンタ1は、4つのプロセスカートリッジ13のうち、ファン14から遠方に位置するブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の間隔が、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間の間隔、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間の間隔より長く形成されている。
【0058】
そのため、ブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間であっても、気流を多く通過させることができ、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間を通過する気流と、均等な流量を確保することができる。
【0059】
したがって、複数のプロセスカートリッジ13があっても、各プロセスカートリッジ13の間における、異物やオゾンの滞留を防止でき、異物やオゾンを良好に排出することができるので、最も前側に位置するブラックプロセスカートリッジ13Kの帯電器の周囲に付着した異物やオゾンを除去することができる。よって、画像形成不良の発生を抑制することができる。
(2)具体的には、カラープリンタ1では、各感光ドラム15のドラム軸48の軸心が、前後方向に等間隔で並列配置され、各プロセスカートリッジ13のうち、最も前側に位置するブラックプロセスカートリッジ13Kが、ドラム軸48の軸心を中心に隣接するイエロープロセスカートリッジ13Yから離れるように前方に傾斜している。
【0060】
そのため、本体ケーシング2の大きさ、および、転写ユニット11の配置を変更することなく、互いに隣接するブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の間隔を長く形成することができる。各感光ドラム15のドラム軸48の軸心が、前後方向に等間隔で並列配置された状態であると、LEDユニット10から感光ドラム15へ露光するタイミングを制御しやすい。つまり、LEDユニット10の露光タイミングの容易さを確保しつつ、ブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の流量を確保することが可能となる。
(3)また、カラープリンタ1では、4つのプロセスカートリッジ13を左右方向に投影したときに、ファン14が、4つのプロセスカートリッジ13の投影面の外側に配置され、4つのプロセスカートリッジ13のうち、各プロセスカートリッジ13の間において、左右方向に流通する空気をファン14が吸引している。
【0061】
そのため、ファン14が、本体ケーシング2の後下側において、スコロトロン型帯電器16から発生するオゾンを含む空気を、効率よく吸引することができ、本体ケーシング2の外側に排出することができる。
(4)また、カラープリンタ1では、4のプロセスカートリッジ13のうち、最も前側に位置するプロセスカートリッジ13が、ブラックプロセスカートリッジ13Kに対応している。
【0062】
ブラックプロセスカートリッジ13Kは、最も使用頻度が高く、そのため帯電器の周囲に付着する異物が相対的に多くなる。よって、最もファン14から遠い位置にブラックプロセスカートリッジ13Kが設けられている画像形成装置において、本発明を適用すると、ブラックプロセスカートリッジ13Kにおける異物やオゾンを的確に除去することが可能となる。また、この場合、例えばブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の流量が、他のプロセスカートリッジ13の間の流量よりも多くなるような配置にしてもよい。
(5)また、カラープリンタ1では、定着ユニット12が、本体ケーシング2内において、ファン14と同じ側である後側に設けられている。
【0063】
そのため、定着ユニット12の周囲を、ファン14により生じた気流が相対的に多く通過することができるので、定着ユニット12を良好に冷却することができる。
6.変形例
(1)
図3は、他の実施形態としてのカラープリンタ(感光ドラムの間隔が長く形成された態様)を示す側断面図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
図1に示す実施形態では、各プロセスカートリッジ13を本体ケーシング2に装着したときには、各感光ドラム15のドラム軸48の軸心が前後方向に等間隔となる。一方、最も前側に位置するブラックプロセスカートリッジ13Kの傾斜角θが、その他の3つのプロセスカートリッジ13Y、M、Cの傾斜角θよりも大きくなるように傾斜している。そのため、ブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の間隔が、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間の間隔、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間の間隔より長く形成されている。
【0065】
これに対して、図3に示す実施形態では、4つのプロセスカートリッジ13は、それらが互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間の間隔が、ファン14から離れるに従って長くなるように設けられている。
【0066】
具体的には、図3において、各プロセスカートリッジ13を本体ケーシング2に装着したときには、4つのプロセスカートリッジ13は、全て同一の傾斜角θで傾斜している。
【0067】
また、本体ケーシング2に位置決めされているときには、ブラックプロセスカートリッジ13Kにおけるドラム軸48の軸心とイエロープロセスカートリッジ13Yにおけるドラム軸48の軸心との間の間隔L3が、イエロープロセスカートリッジ13Yにおけるドラム軸48の軸心とマゼンタプロセスカートリッジ13Mにおけるドラム軸48の軸心との間の間隔L4、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mにおけるドラム軸48の軸心とシアンプロセスカートリッジ13Cにおけるドラム軸48の軸心との間の間隔L5よりも長くなるように設定されている。
【0068】
これによっても、ブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の間隔を、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間の間隔、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間の間隔より長く形成することができる。つまり、ファン14から離れるに従って流量が多くなるように各プロセスカートリッジ13を配置することによって、すべてのプロセスカートリッジ13の間の流量を適切に確保することが可能となる。
(2)
図4は、他の実施形態としてのカラープリンタ(フロントカバーを備える態様)における、プロセスカートリッジの離脱を説明する説明図である。図4において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図1に示す実施形態では、本体ケーシング2にトップカバー5が設けられ、トップカバー5にLEDユニット10を支持させて、トップカバー5の開放により、LEDユニット10を上方に退避させたが、図4に示す実施形態では、トップカバー5に代えて、フロントカバー67を設ける一方、LEDユニット10に代えて、本体ケーシング2の上方にスキャナユニット68が設けられている。
【0070】
フロントカバー67は、本体ケーシング2に対して下端部を支点として揺動(移動)可能に設けられている。
【0071】
スキャナユニット68は、各プロセスカートリッジ13の上方に配置され、本体ケーシング2に固定されている。スキャナユニット68は、4つの感光ドラム15に向けて、画像データに基づいて、レーザービームをそれぞれ出射し、感光ドラム15を露光する。
【0072】
また、図4に示す実施形態では、フロントカバー67を開放したときに、本体ケーシング2に対して、前後方向にスライドすることにより、着脱自在に設けられるプロセスフレーム69を備えており、プロセスフレーム69には、各プロセスカートリッジ13が着脱自在に装着されている。
【0073】
具体的には、各プロセスカートリッジ13を着脱するには、フロントカバー67を開放して、本体ケーシング2からプロセスフレーム69を引き出した状態で、各プロセスカートリッジ13を上下方向に沿って着脱することができる。
【0074】
また、図1に示す実施形態では、各プロセスカートリッジ13は本体ケーシング2に位置決めされていたが、図4に示す実施形態では、各プロセスカートリッジ13はプロセスフレーム69に位置決めされている。
【0075】
そして、図4に示す実施形態においても、図1に示す実施形態と同様に、各プロセスカートリッジ13は、各感光ドラム15が互いに等間隔に並列配置され、最も前側に位置するブラックプロセスカートリッジ13Kの傾斜角θが、その他の3つのプロセスカートリッジ13Y、M、Cの傾斜角θよりも大きくなるように傾斜している。
【0076】
そのため、ブラックプロセスカートリッジ13Kとイエロープロセスカートリッジ13Yとの間の間隔が、イエロープロセスカートリッジ13Yとマゼンタプロセスカートリッジ13Mとの間の間隔、および、マゼンタプロセスカートリッジ13Mとシアンプロセスカートリッジ13Cとの間の間隔より長く形成されている。
【0077】
したがって、この変形例においても、上記の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0078】
また、ブラックプロセスカートリッジ13Kを大きく傾斜させることによって、ブラックプロセスカートリッジ13Kは、フロントカバー67を開放した状態において、プロセスフレーム69を引き出すことなく、プロセスフレーム69に対して着脱させることができる。
【0079】
したがって、この変形例では、上記の効果に加えて、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0080】
また、図1に示す実施形態では、各プロセスカートリッジ13のうち、ブラックプロセスカートリッジ13Kの傾斜角θのみを大きくしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ブラックプロセスカートリッジ13K,イエロープロセスカートリッジ13Y,マゼンタプロセスカートリッジ13M、シアンプロセスカートリッジ13Cの順に、それぞれの傾斜角θを小さくしてもよい。
【0081】
また、図3に示す実施形態では、4つのプロセスカートリッジ13は、それらが互いに隣接するプロセスカートリッジ13の間の間隔が、ファン14から離れるに従って長くなるように設けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、ブラックプロセスカートリッジ13Kにおけるドラム軸48の軸心とイエロープロセスカートリッジ13Yにおけるドラム軸48の軸心との間の間隔L3のみを長く形成してもよい。
【0082】
また、本発明の各プロセスカートリッジ13は、前後方向に並んで配列しているが、本発明はこれに限らず、例えば各プロセスカートリッジ13を縦方向に並べて配列してもよい。
【0083】
また、本発明は、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト22上に搬送され、用紙P上に直接画像が形成されているが、本発明はこれに限らず、例えば、搬送ベルト22上に画像形成され、その画像が用紙Pに転写される中間転写の画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 カラープリンタ
2 本体ケーシング
12 定着ユニット
13 プロセスカートリッジ
15 感光ドラム
16 スコロトロン型帯電器
60 吸引口
68 プロセスフレーム
L1 間隔
L2 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、前記感光ドラムを帯電させる帯電器とを備え、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向に間隔を隔てて、並列に配置される複数のプロセスカートリッジと、
前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向の一端側に設けられ、複数の前記プロセスカートリッジの間の空気を吸引するための吸引口とを備え、
複数の前記プロセスカートリッジのうち、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向の他端側に配置される互いに隣接する前記プロセスカートリッジの間の間隔が、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向の一端側に配置される互いに隣接する前記プロセスカートリッジの間の間隔より長いことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
複数の前記感光ドラムが、前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向に等間隔で並列に配置され、
複数の前記プロセスカートリッジのうち、最も前記他端側に位置するプロセスカートリッジが、前記プロセスカートリッジにおける感光ドラムの配置側と反対側が前記一端側において隣接するプロセスカートリッジから離れるように、傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の前記プロセスカートリッジのうち、互いに隣接する前記プロセスカートリッジの間の間隔が、前記吸引口から離れるに従って長くなるように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の前記プロセスカートリッジを前記感光ドラムの軸線方向に投影したときに、前記吸引口が、複数の前記プロセスカートリッジの投影面の外側に配置され、
複数の前記プロセスカートリッジのうち、互いに隣接する前記プロセスカートリッジの間において、前記感光ドラムの軸線方向に流通する空気を、前記吸引口が吸引することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数の前記プロセスカートリッジのうち、最も前記他端側に位置するプロセスカートリッジが、ブラックに対応していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
さらに、本体ケーシングを備え、
複数の前記プロセスカートリッジは、前記本体ケーシングに装着されるプロセスフレームに着脱自在に収容され、
複数の前記プロセスカートリッジのうち、最も前記他端側に位置するプロセスカートリッジが、前記プロセスフレームを前記本体ケーシングに装着した状態において、前記プロセスフレームに着脱可能であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光ドラムの軸線方向と直交する方向の一端側に、定着器が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−177824(P2012−177824A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41260(P2011−41260)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】