説明

画像形成装置

【課題】 効率よく換気を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 電気基板29をメインフレーム23に対して係止する係止突起23Aに突出方向に貫通した連通路23Bが設けるとともに、筐体3に電気基板29が配設された第2空間22Bと外部とを連通させる連通口3Bを設ける。これにより、連通路23Bを介し第1空間22A内を換気することができるので、メインフレーム23と筐体3との間に電気基板29が配設されている構造であっても、第1空間22Aを効率よく換気を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、板状のフレームと外観意匠面を構成するカバーとの間に電気基板を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−173366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置に内蔵された画像形成ユニットの熱損傷等を防止するには、画像形成装置内を換気することが望ましいが、特許文献1に記載の発明ごとく、フレームとカバーとの間に電気基板が配設されていると、電気基板により気流が阻害されるので、効率よく換気を行うことが難しい。
【0005】
なお、この換気に関する問題は、電子写真方式の画像形成装置に限らず、換気が必要な画像形成装置に共通する問題である。
本発明は、上記点に鑑み、効率よく換気を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、記録シートに画像を形成する画像形成ユニット(7)と、画像形成ユニット(7)を挟むように配設され、画像形成ユニット(7)を支持するためのフレーム(23)と、画像形成ユニット(7)と反対側からフレーム(23)を覆うカバー(3)と、カバー(3)とフレーム(23)との間の空間に配設され、画像形成ユニット(7)と電気的に接続された電気基板(29)とを備え、フレーム(23)及び電気基板(29)のうち少なくとも一方には、他方側に突出して他方に形成された穴部(29A)に嵌り込むことにより当該他方を一方に対して係止する突起部(23A)が設けられ、突起部(23A)には、画像形成ユニット(7)が配設された第1空間(22A)と電気基板(29)が配設された第2空間(22B)とを連通させる連通路(23B)が設けられており、さらに、カバー(3)には、第2空間(22B)と外部とを連通させる連通口(3B)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、請求項1に記載の発明では、突起部(23A)に設けられた連通路(23B)を介して換気することができるので、フレーム(23)とカバー(3)との間に電気基板(29)が配設されている構造であっても、効率よく換気を行うことができる。
【0008】
なお、突起部(23A)及び穴部(29A)は、電気基板(29)をフレーム(23)に対して位置決めするための位置決め手段、又は電気基板(29)をフレーム(23)に固定する固定手段等であってもよい。
【0009】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るメインフレーム23等の斜視図である。
【図3】(a)は本発明の特徴を示す図であり、(b)は図3(a)のA矢視図であり、(c)は図3(a)のB矢視図である。
【図4】(a)は本発明の第2実施形態に係る係止突起23Aの正面図であり、(b)は図4(a)の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態は電子写真方式の画像形成装置に本発明に係る画像形成装置を適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.画像形成装置の概要
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、周知のごとく、プロセスユニット7、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0012】
また、本実施形態では、複数個(本実施形態では、4個)のプロセスユニット7K〜7Cが転写ベルト13Aの移動方向に沿って直列に配設されているとともに、これらプロセスユニット7K〜7Cがドロワーケーシング21Aに着脱自在に装着されてドロワーユニット21が構成されている。
【0013】
そして、ドロワーユニット21は、転写ベルト13Aの張架方向と平行な方向(本実施形態では、前後方向)に移動可能として装置本体に挿抜可能に装着されているため、本実施形態では、4つのプロセスユニット7K〜7C等を一体的に装置本体に対して挿抜することができる。
【0014】
転写ベルト13Aは、駆動ローラ13B及び従動ローラ13C間に架け渡されて張架され、かつ、これらローラ13B、13Cの回転と共に張架方向に移動するように回転する無端状のベルトである。なお、転写ベルト13A、駆動ローラ13B及び従動ローラ13C等によりベルトユニット13が構成されており、このベルトユニット13も装置本体に着脱自在に装着されている。
【0015】
そして、各プロセスユニット7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されており、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0016】
転写ベルト13Aを挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤像を、転写ベルト13A上を搬送される用紙に転写させる転写ローラ15が設けられており、各感光ドラム7Aに担持されている現像剤像は、転写ベルト13A上を搬送される用紙で重ね合わせられる。
【0017】
また、ベルトユニット13の下方側には、転写ベルト13A(本実施形態では、従動ローラ13C)側に向けて搬送される用紙が載置される給紙トレイ17が設けられており、この給紙トレイ17も装置本体に着脱自在に装着されている。
【0018】
そして、転写ベルト13A上で現像剤像が転写された用紙は、定着器11に搬送されて加熱され、現像剤像が用紙に溶着(定着)した後、用紙は、画像形成部5の上方側に設定された排紙トレイ3Aに排出される。
【0019】
2.画像形成装置(装置本体)の骨格構造
画像形成部5(ドロワーユニット21)及びベルトユニット13を挟んで幅方向両側には、図2に示すように略板状のメインフレーム23が配設されており、これら一対のメインフレーム23及び筐体3等にて装置本体が構成されている。ここで、幅方向とは、用紙の搬送方向及び厚み方向と直交する方向をいい、本実施形態では、画像形成装置1の左右方向と一致する。
【0020】
なお、本実施形態に係るメインフレーム23は、SPCC等の鉄系金属からなる第1フレーム25及び第1フレーム25の下方側に配設されたABS樹脂等の樹脂からなる第2フレーム27等から構成されており、第1フレーム25と第2フレーム27とは、複数箇所(本実施形態では、3箇所)において、ネジ等の機械的締結手段により分離可能に連結されている。
【0021】
そして、一対のメインフレーム23のうち右側メインフレーム23の外側(画像形成部5と反対側)には、画像形成部5に電力を供給する略板状の第1電気基板29が配設され、一方、左側メインフレーム23の外側(画像形成部5と反対側)には、各種ローラに駆動力を供給する電動モータ(図示せず。)に電力を供給する第2電気基板(図示せず。)が配設されている。
【0022】
なお、一対のメインフレーム23は、右側メインフレーム23と左側メインフレーム23とを渡すように延びる複数のビームフレーム31により連結されており、これらビームフレーム31の長手方向両端は、ネジ等の機械的締結手段又は溶接により各メインフレーム23に固定されている。
【0023】
そして、各メインフレーム23に組み付けられた第1、2電気基板29(以下、2つの電気基板を総称して電気基板29と記す。)及び一対のメインフレーム25は筐体3によって覆われている。このため、筐体3は、画像形成装置1の外観意匠面を構成するカバーを構成する。
【0024】
一方、メインフレーム25は画像形成装置1の骨格を構成する強度部材であるため、画像形成部5(ドロワーユニット21)及びベルトユニット13等はメインフレーム23に直接的又は間接的に支持される。
【0025】
3.電気基板のメインフレームへの組み付け構造
メインフレーム23(本実施形態では、第1フレーム25)には、図3(a)に示すように、電気基板29側に突出して電気基板29に形成された係止穴29Aに嵌り込むことにより電気基板29をメインフレーム23に対して係止した状態で位置決めする係止突起23Aが設けられている。
【0026】
係止突起23Aは、突出方向に貫通した貫通穴23Bを有する円筒状のボス部であり、この貫通穴23Bは、ドロワーユニット21(プロセスユニット7)が配設された第1空間22Aと電気基板29が配設された第2空間22Bとを連通させる連通路として機能する。
【0027】
そして、貫通穴23Bのうち第1空間22A側の開口部23Cは、図1に示すように、プロセスユニット7(特に、帯電器7B)と対向する位置にて開口して第1空間22Aと第2空間22Bとを連通させている。そこで、以下、貫通穴23Bを連通路23Bという。
【0028】
また、筐体3には、第2空間22Bと外部とを連通させる連通口3Bが複数設けられており、これら各連通口3Bは、図3(b)に示すように、係止突起23Aが筐体3に対して相対的に変位したときに、係止突起23Aが連通口3Bを貫通してしまうことが無いように構成されている。
【0029】
すなわち、本実施形態では、係止突起23Aの先端部は、電気基板29を貫通して電気基板29から筐体3側に突出しているが、仮に、連通口3Bを係止突起23Aの外形直径寸法よりも大きな直径を有する丸穴とし、かつ、連通口3Bの中心と連通路23Bの中心軸線と一致させると、係止突起23Aが筐体3に対して相対的に変位したときに、係止突起23Aが連通口3Bを貫通してしまう。
【0030】
これに対して、本実施形態では、図3(b)に示すように、各連通口3Bの開口面積を連通路23Bの通路断面積より小さくするとともに、それら連通口3Bの中心が連通路23Bの中心軸線からずれるように配置している。
【0031】
このため、本実施形態では、筐体3に外力が作用して筐体3が内側に撓むように変形すると、係止突起23Aが筐体3に対して相対的に近づくように変位し、係止突起23Aの先端部が筐体3の内壁面(図3(b)の斜線部)に接触し、筐体3の撓み変形が規制される。
【0032】
つまり、斜線部3Cは、筐体3が所定寸法以上、電気基板29側に撓み変形することを防止するストッパ面として機能する。そこで、以下、斜線部3Cをストッパ面3Cという。
【0033】
因みに、本実施形態では、連通路23B(係止突起23A)が形成された樹脂製の部材を第1フレーム25に組み付け固定することにより、メインフレーム23に係止突起23Aを設けているが、金属製の第1フレーム25にバーリング加工を施すことにより、第1フレーム25に係止突起23Aを一体形成してもよい。
【0034】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、電気基板29をメインフレーム23に対して位置決めする係止突起23Aに突出方向に貫通した連通路23Bが設けられているので、この連通路23Bを介し第1空間22A内を換気することができる。したがって、メインフレーム23と筐体3との間に電気基板29が配設されている構造であっても、第1空間22Aを効率よく換気を行うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、電気基板29の位置決め手段を成す係止突起23A及び係止穴29Aを利用して換気を行うので、新たに換気用の通風口を設けることなく、比較的に大きな電気基板29であっても確実に換気を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、連通路23Bのうち第1空間22A側の開口部23Cは、プロセスユニット7と対向する位置にて開口していることを特徴としているので、プロセスユニット7(帯電器7B)の周囲に発生したオゾンや定着器11にて加熱された熱気等を確実に換気することができる。
【0037】
また、本実施形態では、筐体3の内面にストッパ面3Cが設定されているので、筐体3が電気基板29側に過度に撓み変形することを未然に防止できる。したがって、筐体3が電気基板29に衝突して、電気基板29又は電気基板29に実装された電気部品等が損傷してしまうことを防止できる。
【0038】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、プロセスユニット7等が特許請求の範囲に記載された画像形成ユニットに相当し、筐体3が特許請求の範囲に記載されたカバーに相当し、メインフレーム23が特許請求の範囲に記載されたフレームに相当し、係止突起23Aが特許請求の範囲に記載された突起部に相当し、係止穴29Aが特許請求の範囲に記載された穴部に相当する。
【0039】
(第2実施形態)
第1実施形態では、係止突起23Aが円筒状であったが、本実施形態は、係止突起23Aの断面形状を、図4(a)及び図4(b)に示すように、十字状とするともに、係止突起23Aのうち、その根元側(メインフレーム23側)に貫通穴23Bを設けたものである。このため、本実施形態では、貫通穴23Bと係止突起23Aの外周面23Dとが協働して特許請求の範囲に記載された連通路を構成する。
【0040】
そして、本実施形態では、係止突起23Aの断面形状を十字状としているので、係止突起23Aを係止穴29Aに嵌め込む際に、係止突起23Aを縮径させるように変形させ易くなり、電気基板29がメインフレーム23に対してがたつくことなく、電気基板29を位置決め固定できる。
【0041】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、メインフレーム23に係止突起23Aを設け、電気基板29に係止穴29Aを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これとは逆に、電気基板29に係止突起23Aを設け、メインフレーム23に係止穴29Aを設けてもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、筐体3のうち係止突起23Aに対応する部位に連通口3Bを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、係止突起23Aからずれた位置に連通口3Bを設けてもよい。
【0043】
なお、係止突起23Aからずれた位置に連通口3Bを設けた場合には、連通口3Bの開口面積を係止突起23Aの断面積より大きくしても、係止突起23Aが連通口3Bを貫通することはないので、筐体3の内面のうち係止突起23Aに対向する部位がストッパ面3Cとして機能する。
【0044】
また、係止突起23Aの断面形状は、上述の実施形態に示された形状に限定されるものではない。
また、上述の実施形態では、ダイレクトタンデム方式の電子写真画像形成装置を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば中間転写方式の画像形成装置等にも適用できる。
【0045】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1…画像形成装置、3…筐体、3A…排紙トレイ、3B…連通口、
3C…ストッパ面、5…画像形成部、7…プロセスユニット、7A…感光ドラム、
7B…帯電器、9…露光器、11…定着器、13…ベルトユニット、
23…メインフレーム、23A…係止突起、23B…連通路、23C…開口部、
29…電気基板、29A…係止穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成ユニットと、
前記画像形成ユニットを挟むように配設され、前記画像形成ユニットを支持するためのフレームと、
前記画像形成ユニットと反対側から前記フレームを覆うカバーと、
前記カバーと前記フレームとの間の空間に配設され、前記画像形成ユニットと電気的に接続された電気基板とを備え、
前記フレーム及び前記電気基板のうち少なくとも一方には、他方側に突出して他方に形成された穴部に嵌り込むことにより当該他方を一方に対して係止する突起部が設けられ、
前記突起部には、前記画像形成ユニットが配設された第1空間と前記電気基板が配設された第2空間とを連通させる連通路が設けられており、
さらに、前記カバーには、前記第2空間と外部とを連通させる連通口が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記突起部及び前記穴部は、前記電気基板を前記フレームに対して位置決めするための位置決め手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記連通路のうち前記第1空間側の開口部は、前記画像形成ユニットと対向する位置にて開口していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記突起部は前記フレームに設けられ、かつ、前記突起部の先端部は、前記電気基板を貫通して前記電気基板から前記カバー側に突出しており、
さらに、前記カバーの内面には、前記突起部の先端部に接触することにより、前記カバーが所定寸法以上、前記電気基板側に撓み変形することを防止するストッパ面が設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成ユニットは、現像剤像を担持する感光ドラム、及び前記感光ドラムを帯電させる帯電器を有しており、
さらに、前記電気基板は、前記帯電器に電力を供給する機能を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記突起部は、円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−185207(P2012−185207A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46449(P2011−46449)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】