説明

画像形成装置

【課題】トナー飛散を抑制しながら作像ユニットを冷却でき、部品交換等の作業におけるトナー汚れも改善できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体の左側面側には、外気を取り込む軸流ファン15a、15bが2箇所に設けられており、流入した外気は上仕切り板33と書き込みユニット11との間を通って各作像ユニット6の下面側を冷却し、上方に流れて装置前面側に設けられた作像ユニットの位置決め部材37のカバー37aの裏面に形成された排気ダクト38に入り、シロッコファン39で吸引されて排気ダクト40、41を介して装置外へ排気される。排気ダクト38は作像ユニット6の上方に配置されたトナーボトルの取っ手部よりも下方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置における画像形成プロセスは、像担持体の表面を帯電装置により一様に帯電した後、感光体ドラムの表面に露光装置により静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置によりトナー像として可視像化し、現像された画像を転写装置により記録媒体に転写した後、定着装置によって記録媒体上のトナー画像を定着する過程からなっている。
画像形成プロセスを実行する部材の中には帯電装置や定着装置などのように発熱するものが多く、そのままの状態では装置内の温度が上昇し、たとえば現像装置内のトナーの表面が溶解してトナー同士が凝集したりして画像形成処理に不具合が生じる。
このような問題を解消すべく、従来より装置内を冷却(空冷)することが行われている。
【0003】
特許文献1、2には、画像形成装置前面から複数のファンにて外気を装置内に取り込み、その気流で作像ユニットを冷却し、装置後面から排気する冷却構成が開示されている。
特許文献3には、作像ユニットにおいて、熱源を有する露光手段と現像装置との間に気流移動空間を形成し、装置外から取り込んだ気流で冷却する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作像ユニットには、現像手段やクリーニング手段等のトナーを処理する部材が含まれており、その近傍では僅かな隙間を通り抜けたトナーが浮遊することを避けられない。特に画質向上を目指して粒径の小さいトナーが用いられる今日においては、トナー飛散は生じやすい。
上記従来の冷却構成では、作像ユニットの冷却のみに主眼がおかれており、冷却気流と浮遊トナーとの位置関係については考慮されておらず、トナー飛散領域を増大させる懸念があった。
トナー飛散が増大し、部品交換やメンテナンス作業時に取り扱う部材に飛散したトナーが付着していると、作業者の手を汚すことになる。
【0005】
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、トナー飛散を抑制しながら作像ユニットを冷却でき、部品交換等の作業におけるトナー汚れも改善できる画像形成装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、像担持体上に形成された静電潜像をトナーで可視像化する作像ユニットと、前記作像ユニットの上方に配置され、装置本体に対して装置前面側から着脱自在なトナー収容体と、装置外から吸気する吸気ファンと、装置内から装置外へ排気する排気ファンと、を備え、前記吸気ファンによって装置内へ流入した気流により前記作像ユニットを冷却し、前記排気ファンによって装置外へ排気する画像形成装置において、前記トナー収容体の下方に位置し、前記作像ユニットと前記排気ファンとの間に気流経路を形成する排気ダクトを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の画像形成装置において、前記排気ダクトは、前記トナー収容体の取っ手部の下方の位置に設けたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記作像ユニットを装置本体に対して位置決めする位置決め部材を有し、前記排気ダクトは、前記位置決め部材の装置内側に設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記位置決め部材が装置前面側で上下方向に開閉可能に設けられ、前記作像ユニットは、前記位置決め部材を倒した開状態で装置本体に対して装置前面側から着脱自在であり、前記位置決め部材の開状態で、前記排気ダクトは前記作像ユニットの引き抜き経路外に位置することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記作像ユニットを複数備え、前記排気ダクトは、前記吸気ファン側に近い作像ユニットの近傍に吸入口を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却気流がトナー収容体側に流れることがなくなるので、気流に乗ったトナーによって、トナー収容体が汚れることを防止でき、交換作業等の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】作像ユニットの概要構成図である。
【図3】画像形成装置の斜視図である。
【図4】作像ユニットを冷却する空気の流れを示す概要断面図である。
【図5】排気ダクトによる空気の排気経路を示す斜視図である。
【図6】排気ダクトがトナーボトルよりも下側に位置することを示す斜視図である。
【図7】トナーボトルと作像ユニットの位置決め構成を示す斜視図である。
【図8】作像ユニットを取り出す際に排気ダクトが邪魔にならないことを説明するための概要断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1及び図2に基づいて本実施形態に係る画像形成装置の構成の概要を説明する。
中間転写ユニット10における未定着像担持体としての中間転写ベルト8の下面に対向して、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像ユニット6Y、6M、6C、6Bkが並設されている。これらの作像ユニット6Y、6M、6C、6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造である。
作像ユニット6の上方には、トナー収容体としてのトナーボトル7が色別に設けられている。各トナーボトル7は色別に各現像装置5にトナーを補給可能に図示しないパイプによって接続されているとともに、装置前面側(操作面側)から抜き差しできる構成となっている。具体的な構成は後述する。
各作像ユニット6は、図2に示すように、潜像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電手段2と、現像装置5と、クリーニング手段3等で構成されている。図1では、帯電手段2、クリーニング手段3は省略している。
【0011】
感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
具体的に説明すると、図1に示すように、感光体ドラム1は、図示しない駆動部によって図中、時計回り方向に回転駆動され、帯電手段2の位置で表面が一様に帯電される(帯電工程)。
感光体ドラム1の表面は、作像ユニット6の下方に配置された書き込みユニット11(図4参照、図1では省略)から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程)。
感光体ドラム1の表面は、現像装置5との対向位置に達し、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト8及び1次転写バイアスローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程)。
その後、感光体1の表面は、クリーニング手段3との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。クリーニング後感光体ドラム1の表面は図示しない除電ローラにより電位を初期化される。こうして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0012】
上述した作像プロセスは、図1に示すように、4つの作像ユニット6Y、6M、6C、6Bkで、それぞれ行われる。すなわち、作像ユニットの下方に配設された書き込みユニット11から、画像情報に基づいたレーザ光が、各作像部6Y、6M、6C、6Bkの感光体ドラム1上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
【0013】
中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写手段としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に所定のタイミングで搬送された記録媒体としての転写紙P上に転写される。
こうして、中間転写ベルト8上で行われる、一連の転写プロセスが終了する。
【0014】
装置本体100の下部に配設された給紙トレイ26には転写紙Pが複数枚重ねて収納されており、給紙コロ27により1枚ずつ分離されて給紙される。給紙された転写紙Pはレジストローラ対28で一旦停止され、斜めずれを修正された後レジストローラ対28により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて搬送される。そして、上記のように、2次転写ニップにおいて転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着装置20へ搬送され、ここで、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を定着される。
定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対29により、装置本体上面に形成された排紙部30へ出力画像として排出され、スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
図1において、符号32は読み取り部を示している。
【0015】
図3は画像形成装置の外観を示す斜視図である。符号12は操作パネルを示しており、操作パネル12がある側が装置前面側である。装置本体100の装置前面に向って左側面としての左カバー13には、空気取り入れ口13a、13bが設けられており、この2箇所から装置内に外気を取り込む構成となっている。
図4に示すように、左カバー13の内側には、空気取り入れ口13a、13bに対応して軸流ファン15a、15bがファンブラケット16を介して設けられている。
前側板17、後側板18(図7参照;他の図では省略)、上仕切り板33、下仕切り板34、右仕切り板35によって囲まれたスペースに書き込みユニット11が設置されている。上仕切り板33は書き込み仕切り板36を含み、各作像ユニット6の下面に沿って延びている。
軸流ファン15a、15bで装置内に取り入れられた外気は、書き込みユニット11と上仕切り板33との間を通過し、書き込み仕切り板36の光路口36a、36b、36c、36dから各作像ユニット6に入り込み、各作像ユニット6を冷却している。
【0016】
図5に示すように、装置前面側に位置し、各作像ユニット6を位置決めする位置決め部材37のカバー37aの内面側には、排気ダクト38が設けられている。排気ダクト38は装置前面側において作像ユニット6の並設方向に沿って略水平に延び、その一端部は排気ファンとしてのシロッコファン39の下方に位置している。
シロッコファン39により吸引された空気は、排気ダクト40、41を介して装置外へ排気される。
ファンブラケット16には、複数のスリットが形成されてフィルタ機能を有するようになっている。
排気ダクト38の気流吸引口38aは、軸流ファン15a、15bに最も近い作像ユニット6Yの近傍に設けられている。
軸流ファン15a、15bに近いということは気流も強いため、トナーが飛散しやすい。軸流ファン15a、15bの近傍に気流吸引口38aを設けることで飛散させることなく効率よくトナーを吸引できる。
各作像ユニット6の下面から入り込んで作像ユニット6を冷却した空気は、シロッコファン39に吸引されるべく装置前面側へ流れる。冷却後の気流の一部は、各作像ユニット6の現像装置5やクリーニング手段3の上面を冷却しながら流れる。
軸流ファン15a、15bに近い側では作像ユニット6の上面側を矢印のように流れて気流吸引口38aへ導かれる。
【0017】
図6に示すように、排気ダクト38はトナーボトル7の取っ手部7Ma、7Ca、7Bkaよりも下方に、すなわち低い位置に配置されている。
これによりトナーボトル7の本体部だけでなく取っ手部が汚れるのを防止することができ、部品交換時のトナー汚れの心配がなく、ユーザの操作性が向上する。
なお、図6では分かりやすくするためにトナーボトル7Yは省略している。
【0018】
図7に示すように、トナーボトル7は前側板17と後側板18とに支持されており、前側板17から取っ手部7Ya、7Ma、7Ca、7Bkaが突出した状態となっている。トナーボトル7を交換する場合には図示しない装置前面カバーを開放した状態で取っ手部7aを引き抜く。
トナーボトル交換の際、前面カバーを開けても、位置決め部材のカバー37aに排気ダクト38が隠れるので、ユーザから目立たない。よって、トナーで排気ダクト38が汚れても前面カバーを開いたときに汚れが目立たない効果がある。
位置決め部材37のカバー37aは、下端を軸支されて上下方向に回動自在に設けられている。カバー37aには、感光体ドラム軸を支持するための支持穴14bが各作像ユニット6に対応して形成されており、これにより各作像ユニット6は位置決めされる。
作像ユニット6を取り出す場合には、カバー37aを倒した状態で目的の作像ユニット6を引き出す。
図8に示すように、排気ダクト38は作像ユニット6を取り出す際の引き出し経路を妨げないように、すなわち、一点鎖線で示す引き出し経路の下方に位置するように、カバー37aの裏面に形成されている。図7では排気ダクト38は省略している。
上記構成により、作像ユニット6をスムーズに取り外すことができ、サービス性やユーザの操作性が向上する。
【符号の説明】
【0019】
1 像担持体としての感光体ドラム
6 作像ユニット
7 トナー収容体としてのトナーボトル
7Ya、7Ma、7Ca、7Bka 取っ手部
15、15b 吸気ファンとしての軸流ファン
37 位置決め部材
38 排気ダクト
38a 吸入口としての気流吸引口
39 排気ファンとしてのシロッコファン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2002−36662号公報
【特許文献2】特開2006−195357号公報
【特許文献3】特開2007−140349号公報
【特許文献4】特開2002−287602号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像をトナーで可視像化する作像ユニットと、
前記作像ユニットの上方に配置され、装置本体に対して装置前面側から着脱自在なトナー収容体と、
装置外から吸気する吸気ファンと、
装置内から装置外へ排気する排気ファンと、
を備え、前記吸気ファンによって装置内へ流入した気流により前記作像ユニットを冷却し、前記排気ファンによって装置外へ排気する画像形成装置において、
前記トナー収容体の下方に位置し、前記作像ユニットと前記排気ファンとの間に気流経路を形成する排気ダクトを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の画像形成装置において、
前記排気ダクトは、前記トナー収容体の取っ手部の下方の位置に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記作像ユニットを装置本体に対して位置決めする位置決め部材を有し、前記排気ダクトは、前記位置決め部材の装置内側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記位置決め部材が装置前面側で上下方向に開閉可能に設けられ、前記作像ユニットは、前記位置決め部材を倒した開状態で装置本体に対して装置前面側から着脱自在であり、前記位置決め部材の開状態で、前記排気ダクトは前記作像ユニットの引き抜き経路外に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記作像ユニットを複数備え、前記排気ダクトは、前記吸気ファン側に近い作像ユニットの近傍に吸入口を有していることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−189814(P2012−189814A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53362(P2011−53362)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】