説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の消費電力又は2酸化炭素排出量換算値をより有効的に抑制する。
【解決手段】消費電力量PHが使用停止上限値UL2を超えたと比較部44が判定すると、ログイン処理部45は、ユーザのログインを禁止する。但し、管理者パスワード入力されれば、ログインが許可される。ログイン中に該判定が行われると、ログイン処理部45は、現在実行中のジョブを終了した後に強制的にログアウトさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を使用することによる2酸化炭素排出量又は消費電力量を抑制する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止のために、2酸化炭素排出量を抑制することが要求されている。
【0003】
下記特許文献1では、画像形成装置の消費電力を2酸化炭素排出量に換算して積算し、その量が上限設定値を超えた場合に、画面に警告を表示する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−6696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置は一般に業務遂行優先で使用されるため、警告が無視され易く、有効性に乏しい。
【0006】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、画像形成装置の消費電力量又は換算2酸化炭素排出量をより有効的に抑制することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様では、自システムの消費電力に比例した量を積算して積算量を求め保存する積算量算出手段と、該積算量の上限値を設定する設定手段と、入力データと登録データとに基づいて該自システムへのログインを許可/禁止するログイン手段と、を備えた画像形成装置において、
該ログイン手段は、該保存された積算量をログイン画面に表示させ、該積算量が該上限値を超えている場合に該自システムへのログインを禁止する。
【0008】
例えば、該量は消費電力量又は換算2酸化炭素排出速度であり、該積算量は消費電力量又は換算2酸化炭素排量である。
【0009】
本発明による画像形成装置の第2態様では、第1態様において、該ログイン手段は、該上限値と該保存された積算量との差に基づいて該自システムの残り使用時間を求め、該ログイン画面にさらに該残り使用時間を表示させる。
【0010】
本発明による画像形成装置の第3態様では、第1又は2態様において、該ログイン手段は、該積算量が該上限値を超えていても、該入力データと該登録データとに基づいて該入力データが管理者パスワードであると判定した場合には、該自システムへのログインを許可する。
【0011】
本発明による画像形成装置の第4態様では、第1乃至3態様のいずれか1つにおいて、該上限値と該算出した積算量との差が設定値未満となったか否かを判定し、肯定判定した場合にはその旨を示す警告を画面に表示させる。
【0012】
本発明による画像形成装置の第5態様では、第1乃至4態様のいずれか1つにおいて、該ログイン手段はさらに、ログイン中に、該求めた積算量が該上限値を超えているか否かを判定し、肯定判定した場合には、ジョブ実行中でなければ強制的にログアウトさせ、ジョブ実行中であればジョブ終了後に強制的にログアウトさせる。
【発明の効果】
【0013】
上記第1態様の構成によれば、ログイン手段が、自システムの消費電力に比例した量を積算しその値をログイン画面に表示させ、積算量が上限値を超えている場合に自システムへのログインを禁止するので、画像形成装置の消費電力量又は換算2酸化炭素排出量をより有効的に抑制することが可能となるという効果を奏する。
【0014】
上記第2態様の構成によれば、該上限値と該積算量との差に基づいて自システムの残り使用時間を求め、ログイン画面に残り使用時間も表示させるので、画像形成装置の消費電力量又は換算2酸化炭素排出量をさらに抑制することが可能となるという効果を奏する。
【0015】
上記第3態様の構成によれば、該積算量が該上限値を超えていても、管理者パスワードが入力されればログインが許可されるので、業務遂行に差し支えが生ずることなく上記効果を達成できるという効果を奏する。
【0016】
上記第4態様の構成によれば、該積算量が該上限値に近づくとログイン手段が警告を画面に表示させるので、画像形成装置の消費電力量又は換算2酸化炭素排出量をさらに抑制することが可能となるという効果を奏する。
【0017】
上記第5態様の構成によれば、ログイン中であっても、ログイン手段が、該積算量が該上限値を超えていると判定すると、実行中のジョブ終了後に強制的にログアウトさせるので、業務遂行に差し支えが生ずることなく上記効果をより効果的に達成できるという効果を奏する。
【0018】
本発明の他の目的、特徴的な構成及び効果は、以下の説明を特許請求の範囲及び図面の記載と関係づけて読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の消費電力量の抑制処理部を示す機能ブロック図である。
【図2】図1中のログイン処理部によるログイン処理の手順を示す概略フローチャートである。
【図3】図1中の比較部が上限値越えを検出したというイベントの発生にログイン処理部が応答して開始する処理の手順を示す概略フローチャートである。
【図4】消費電力量の変化と上限値との関係を示す説明図である。
【図5】画像形成システムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明の実施例2に係る画像形成装置の消費電力量抑制処理部を示す機能ブロック図である。
【実施例1】
【0020】
図5は、本発明の実施例1に係る画像形成システムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【0021】
このシステムでは、画像形成装置10とホストコンピュータ20とがネットワーク30で結合されている。
【0022】
画像形成装置10では、CPU11がインターフェイス12を介してPROM13、DRAM14、ハードディスクドライブ15、ネットワークインターフェイス16、操作パネル17、スキャナ18、プリンタ19、ICカードリーダ1A及びファックスモデム1Bに結合されている。図5では、簡単化の為に、複数種のインターフェイスを1つのブロック12で表している。
【0023】
CPU11は、ハードウェアインターバルタイマを備え、これとOS(Operating System)のプログラムとの組み合わせで時計機能が構成されている。PROM13は、例えばフラッシュメモリであり、BIOS(Basic Input/Output System)、OS、各種ドライバ、及び、画像形成装置として機能させるための各種アプリケーションが格納されている。DRAM14は、主記憶装置として用いられる。ハードディスクドライブ15には、印刷用データ、スキャナファックスモデム1Bで読み取った画像データ、ファクシミリ受信データ及び後述のデータが保存される。ネットワークインターフェイス16は、ネットワーク30に結合されている。操作パネル17は、入力部及び表示部を供えている。スキャナ18は、印刷及びファクシミリ送信の入力装置として用いられるとともに、画像ファイル生成のために用いられる。プリンタ19は、プリントエンジン並びに用紙の給紙部、搬送部及び排紙部を備え、DRAM14に生成されたビットマップデータが供給され、このデータに基づいて感光ドラムに静電潜像を形成し、この像をトナーで現像し、トナー像を用紙に転写し定着させ、排紙する。ICカードリーダ1Aは、電波を介してICカードと通信することにより、管理者を含むユーザを認証するためのものである。
【0024】
図1は、画像形成装置10(自システム)の消費電力量の抑制処理部を示す機能ブロック図である。
【0025】
構成要素40〜51のうち、ブロック42〜46及び制御部50はプログラムとCPU11とで構成され、警告上限値保持部40、使用停止上限値保持部41及び登録認証情報49はPROM13又はハードディスクドライブ15内の記憶領域であり、表示部47及び入力部48は操作パネル17の構成要素である。
【0026】
警告上限値保持部40及び使用停止上限値保持部41にはそれぞれ、図4に示す如く、所定期間、例えば一ヶ月(t1から時刻t2までの期間)における消費電力量PHの警告上限値UL1及び使用停止上限値UL2が、ユーザによりユーザインタフェース部46及び入力部48を介して設定されている。
【0027】
一方、消費電力積算部42は、画像形成装置10の消費電力を積算して消費電力量PHを求める。例えば、画像形成装置10の出荷前に予め実験的に、動作状態がスタンバイモードでの平均消費電力と、動作状態が、スタンバイ状態から復帰した後のレディ状態での平均消費電力と、定着用ヒータ及び用紙搬送等駆動部が動作している時の平均消費電力とを、測定しておき、そのデータを動作状態毎にPROM13に格納しておく。消費電力積算部42は、この測定データを読出し、現在の動作状態に対応した消費電力と、上記時計機能を用いた時間との積を累積加算することにより、消費電力量PHを求める。
【0028】
比較部43は、消費電力量PHと警告上限値UL1とを比較し、比較部44は消費電力量PHと使用停止上限値UL2とを比較する。これらの比較結果は、ログイン処理部45に供給される。比較部44は、使用停止上限値UL2及び消費電力量PHもログイン処理部45に供給する。
【0029】
ログイン処理部45は、ユーザインタフェース部46を介して表示部47にログイン画面を表示させるとともに、これらの比較結果に応じた内容をこの画面に表示させる。ログイン処理部45は、入力部48からユーザインタフェース部46を介し又はICカードからICカードリーダ1Aを介して入力された認証情報を、登録認証情報49に登録された認証情報と比較し、上記消費電力量PHの比較結果も考慮して、以下に説明するログイン処理を行う。
【0030】
図2は、ログイン処理部45によるログイン処理の手順を示す概略フローチャートである。以下、括弧内は図中の識別符号である。
【0031】
(S0)ログイン処理部45は、ユーザインタフェース部46を介して表示部47に、ログイン画面を表示させる。
【0032】
(S1)比較部43の比較結果がPH>UL1であることを示していればステップS2へ進み、そうでなければステップS3へ進む。
【0033】
(S2)ログイン処理部45は、(UL2−PH)/(平均消費電力)を残り使用可能時間の予測値として算出し、消費電力量PHが警告上限値UL1を超えていることと、この残り使用可能時間予測値とを、ユーザインタフェース部46を介し表示部47に表示させる。
【0034】
(S3)比較部43の比較結果がPH>UL2であることを示していればステップS4へ進み、そうでなければステップS5へ進む。
【0035】
(S4)消費電力量PHが使用停止上限値UL2を超えているため、ユーザのみならず管理者のID及びパスワードも入力されなければログインできないことを、ユーザインタフェース部46を介し表示部47に表示させる。
【0036】
(S5)管理者は、ユーザからの依頼に応じて、ICカードリーダをICカードリーダ1Aに翳すことにより又は操作パネル17を操作して、ID及びパスワードを入力する。
【0037】
(S6)PH>UL2であればステップS7へ進み、そうでなければステップS9へ進む。
【0038】
(S7)入力されたID及びパスワードが、登録認証情報49に登録された管理者のものと一致しなければステップS5へ戻り、一致すればステップS8へ進む。
【0039】
(S8)ユーザは、ICカードリーダをICカードリーダ1Aに翳すことにより又は操作パネル17を操作して、ID及びパスワードを入力する。
【0040】
(S9)入力されたID及びパスワードが、登録認証情報49に登録されたユーザのものと一致しなければステップS10へ進み、一致すればステップS11へ進む。
【0041】
(S10)ログイン処理部45は、ユーザインタフェース部46を介して表示部47に、ユーザの入力したID又はパスワードにエラーがあることを表示させ、ステップS8へ戻る。
【0042】
(S11)ログインフラグをセットし、ログインしたユーザのID及びログインの時刻などをログイン情報としてハードディスクドライブ15内のログファイルに書き込む。
【0043】
ログイン中にPH>UL1又はPH>UL2が成立すると、その変化点でイベントが発生し、ログイン処理部45により図3に示す処理が実行される。
【0044】
(S20)PH>UL1であればステップS21へ進み、そうでなければステップS22へ進む。
【0045】
(S21)ログイン処理部45は、(UL2−PH)/(平均消費電力)を残り使用可能時間の予測値として算出し、消費電力量PHが上限値UL1を超えていることと、この残り使用可能時間予測値とを、ユーザインタフェース部46を介し表示部47に表示させる。
【0046】
(S22)PH>UL2であればステップS23へ進み、そうでなければこのイベントハンドラの処理を終了する。
【0047】
(S23)制御部50のジョブ実行中フラグがセットされていれば、ステップS24へ進み、そうでなければステップS25へ進む。
【0048】
(S24)消費電力量PHが上限値UL2を超えているため、現在実行中のジョブを終了した直後に強制的にログアウトすることを、ユーザインタフェース部46を介し表示部47に表示させる。
【0049】
(S25)ログインフラグをリセットして、ユーザID、ログアウト時刻及び強制ログアウト理由を含むログイン情報を上記ログファイルに書き込み、このイベントハンドラを終了する。
【0050】
制御部50は、ログイン処理部45の上記ログインフラグがセットされていれば、入力部48からユーザインタフェース部46を介して供給される指示に基づいて、アプリケーション51を起動させることによりジョブを実行し、上記ジョブ実行中フラグをセットし、このジョブが終了すれば該ジョブ実行中フラグをリセットする。
【0051】
このような処理により、ユーザは管理者パスワード入力が必要となる事態を回避しようと行動するため、画像形成装置10の消費電力節減を図るようになり、また、PH>UL2となっても、管理者パスワード入力が必要となってPH>UL2となったことが管理者に知られるので、消費電力量PHの上昇速度が図4に示す如く抑制されることになる。
【実施例2】
【0052】
図6は、本発明の実施例2に係る画像形成装置の消費電力量抑制処理部を示す機能ブロック図である。
【0053】
図1と異なる点は、消費電力積算部42で求めた消費電力量PHをCO2換算部52で、電力会社での平均的なCO2生成量に換算して比較部43及び44に供給する点と、上限値保持部40及び41に設定される上限値がCO2生成量の上限値である点である。このCO2生成量は、消費電力量PHに比例している。
【0054】
他の点は、上記実施例1と同一である。
【0055】
以上において、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明には他にも種々の変形例が含まれ、上記実施例で述べた各構成要素の機能を実現する他の構成を用いたもの、当業者であればこれらの構成又は機能から想到するであろう他の構成も、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 画像形成装置
11 CPU
12 インターフェイス
13 PROM
14 DRAM
15 ハードディスクドライブ
16 ネットワークインターフェイス
17 操作パネル
18 スキャナ
19 プリンタ
1A ICカードリーダ
1B ファックスモデム
20 ホストコンピュータ
30 ネットワーク
40 警告上限値保持部
41 使用停止上限値保持部
43、44 比較部
42 消費電力積算部
45 ログイン処理部
46 ユーザインタフェース部
47 表示部
48 入力部
49 登録認証情報
50 制御部
51 アプリケーション
UL1、UL2 上限値
t1、t2 時刻
PH 消費電力量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自システムの消費電力に比例した量を積算して積算量を求め保存する積算量算出手段と、該積算量の上限値を設定する設定手段と、入力データと登録データとに基づいて該自システムへのログインを許可/禁止するログイン手段と、を備えた画像形成装置において、
該ログイン手段は、該保存された積算量をログイン画面に表示させ、該積算量が該上限値を超えている場合に該自システムへのログインを禁止する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
該ログイン手段は、該上限値と該保存された積算量との差に基づいて該自システムの残り使用時間を求め、該ログイン画面にさらに該残り使用時間を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
該ログイン手段は、該積算量が該上限値を超えていても、該入力データと該登録データとに基づいて該入力データが管理者パスワードであると判定した場合には、該自システムへのログインを許可する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
該上限値と該算出した積算量との差が設定値未満となったか否かを判定し、肯定判定した場合にはその旨を示す警告を画面に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
該ログイン手段はさらに、ログイン中に、該求めた積算量が該上限値を超えているか否かを判定し、肯定判定した場合には、ジョブ実行中でなければ強制的にログアウトさせ、ジョブ実行中であればジョブ終了後に強制的にログアウトさせる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
該量は消費電力又は換算2酸化炭素排出速度であり、該積算量は消費電力量又は換算2酸化炭素排量である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−20545(P2012−20545A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161893(P2010−161893)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】