説明

画像形成装置

【課題】装置本体の上部に液体がかかった場合でも、画像形成部や定着器などが濡れることを抑制できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
本体ケーシング2の上端部に設けられる排紙トレイ27に、上下方向に投影したときに画像形成部4と定着器20との間に配置されるように、本体ケーシング2の内外を連通する隙間42を形成し、画像形成部4と定着器20との間に設けられ、画像形成部4から定着器20への用紙Pの第1搬送経路を形成する第1下壁形成部材に、隙間42と上下方向に対向するように後側貫通穴68Rを形成し、排紙トレイ27の上にかかった液体を、隙間42および後側貫通穴68Rを介して、画像形成部4と定着器20との間を通過するように、画像形成部4および定着器20よりも下側へ流下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式が採用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタとして、トナー像を担持する感光ドラムを有し、給紙トレイから搬送された用紙にトナー像を転写するプロセスカートリッジと、用紙上に転写されたトナー像を加熱定着する定着装置とを、本体筐体内に備えるレーザープリンタが知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−263103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記した特許文献1に記載のレーザープリンタでは、ユーザが誤って画像形成装置の上側から液体をこぼしてしまった場合には、本体筐体の継ぎ目などから、本体筐体内に液体が浸入する場合がある。
【0005】
本体筐体内に液体が浸入すると、プロセスカートリッジや定着装置などが濡れ、電気的に短絡するなどして壊れてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、装置本体の上部に液体がかかった場合でも、画像形成部や定着器などが濡れることを抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明は、画像形成装置であって、装置本体と前記装置本体内に設けられ、水平方向一端側から水平方向他端側へ向かって被転写部材を搬送しながら、被転写部材に画像を形成する画像形成部と、装置本体内において、画像形成部の水平方向他端側において間隔を隔てて配置され、被転写部材に形成された画像を被転写部材に定着させる定着器と、装置本体内において画像形成部と定着器との間に設けられ、画像形成部から定着器への被転写部材の第1搬送経路を形成する第1搬送経路形成部材と、装置本体の上端部に設けられ、定着器において画像が定着された被転写部材を、上側へターンさせた後、水平方向他端側から水平方向一端側へ搬送しながら装置本体外へ排出する排出部とを備え、排出部は、排出された被転写部材を載置するトレイ部材を備え、トレイ部材には、上下方向に投影したときに、画像形成部と定着器との間に配置されるように、装置本体の内外を連通する連通口が形成されており、第1搬送経路形成部材には、連通口と上下方向に対向するように上下方向に貫通される第1貫通口が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置本体の上端部に設けられるトレイ部材に、上下方向に投影したときに画像形成部と定着器との間に配置されるように、装置本体の内外を連通する連通口が形成されており、画像形成部から定着器への被転写部材の第1搬送経路を形成する第1搬送経路形成部材には、連通口と上下方向に対向するように上下方向に貫通される第1貫通口が形成されている。
【0009】
そのため、装置本体の上部に液体がかかった場合には、その液体を、トレイ部材の連通口を介して、画像形成部と定着器との間を通過するように流下させ、その後、第1搬送経路形成部材の第1貫通口を介して、さらに下側へ流下させることができる。
【0010】
つまり、装置本体の上部にかかった液体を、画像形成部や定着器などをなるべく濡らさないように、画像形成部や定着器よりも下側へ導くことができる。
【0011】
その結果、装置本体の上部に液体がかかった場合でも、画像形成部や定着器などが濡れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタを示す断面図である。
【図2】図1に示すプリンタにおいて、本体ケーシング内の各電源基板などの配置を説明するための説明図であって、本体ケーシングを左上から見た斜視図である。
【図3】図1に示すプリンタにおいて、本体ケーシング内の各電源基板などの配置を説明するための説明図であって、本体ケーシングを右上から見た斜視図である。
【図4】図1に示すプリンタのW1部分の拡大図である。
【図5】図1に示す第1下壁形成部材の左後側から見た斜視図であって、カバー部材を除いた状態を示す。
【図6】図1に示す第1下壁形成部材の左後側から見た斜視図であって、カバー部材を取り付けた状態を示す。
【図7】図1に示す定着器および第1下壁形成部材を示す左前側から見た斜視図である。
【図8】図1に示すプリンタのW2部分の拡大図である。
【図9】図1に示すプリンタのW3部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.プリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、装置本体の一例としての本体ケーシング2内に、給紙部3、画像形成部4、定着部5、排出部の一例としての排紙部6を備えている。
【0014】
本体ケーシング2の水平方向一端側の側壁9aには、プロセスカートリッジ12(後述)を着脱させるためのフロントカバー7が開閉自在に設けられている。また、本体ケーシング2の水平方向他端側には、側壁9aに対して間隔を隔てて対向するように、側壁9bが設けられている。
【0015】
なお、以下の説明では、フロントカバー7が設けられる水平方向一端側(図1における紙面右側)を前側とし、その反対側の水平方向他端側(図1における紙面左側)を後側とする。また、プリンタ1を前側から見たときを基準として、左右を規定する。すなわち、図1の紙面手前側が左側であり、紙面奥側が右側である。
(1)給紙部
給紙部3は、被転写部材の一例としての用紙Pを、積載状態で収容する積載部材の一例としての給紙トレイ8を備えている。給紙トレイ8は、本体ケーシング2内の下端部に配置され、前側から着脱自在に装着されている。
【0016】
給紙トレイ8に収容されている用紙Pは、給紙トレイ8の前端部の上側に配置される給紙ローラ(図示せず)の回転により、給紙側のU字パスを介して感光ドラム16(後述)の前側に配置されるレジストローラ10に向けて、上側へターンされるように1枚ずつ送り出され、レジストローラ10の回転により、所定のタイミングで、画像形成部4(感光ドラム16(後述)と転写ローラ18(後述)との接触部分N1)に向けて搬送される。
【0017】
詳しくは、ターンした用紙Pの先端部(搬送方向下流側端部)は、略水平方向において、前側(水平方向一端側)から後側(水平方向他端側)へ向かって搬送される。
(2)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット11とプロセスカートリッジ12とを備えている。
(2−1)スキャナユニット
スキャナユニット11は、本体ケーシング2内の上端部に配置されている。スキャナユニット11は、プロセスカートリッジ12の感光ドラム16(後述)に向けて画像データに基づくレーザビームLを出射し、そのレーザビームLを、左右方向一方に高速で移動させて、感光ドラム16(後述)の表面を走査する。
(2−2)プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ12は、スキャナユニット11の下側に配置されている。プロセスカートリッジ12は、ドラムカートリッジ14と、ドラムカートリッジ14に着脱自在に装着される現像カートリッジ15とを備えている。
【0018】
ドラムカートリッジ14には、左右方向に延びる略円筒形状の感光ドラム16が回転自在に設けられている。感光ドラム16は、本体ケーシング2内のモータ13(図8参照)からの駆動力により回転駆動される。
【0019】
また、ドラムカートリッジ14には、感光ドラム16の周囲において、スコロトロン型帯電器17および転写ローラ18が配置されている。
【0020】
現像カートリッジ15は、感光ドラム16の前側に配置されており、現像ローラ19を備えている。
【0021】
現像ローラ19は、現像カートリッジ15の後端部において、後側から露出されるように回転可能に支持されており、感光ドラム16を前側から押圧するように、感光ドラム16に対して前側から対向し、接触されている。
【0022】
また、現像カートリッジ15には、現像ローラ19の前側の空間において、各色に対応する正帯電性の非磁性一成分系トナーが収容されている。
(2−3)現像・転写動作
現像カートリッジ15内のトナーは、現像ローラ19の回転に伴って正帯電され、現像ローラ19の表面に担持される。
【0023】
一方、感光ドラム16の表面は、感光ドラム16の回転に伴って、スコロトロン型帯電器17により一様に正帯電された後、スキャナユニット11からのレーザビームLの高速走査により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム16の表面に形成される。
【0024】
感光ドラム16がさらに回転すると、現像ローラ19の表面に担持されているトナーが、感光ドラム16の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム16の静電潜像は可視像化され、感光ドラム16の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0025】
そして、トナー像は、感光ドラム16と転写ローラ18との接触部分N1に搬送されてくる用紙P上に転写される。
(3)定着部
定着部5は、プロセスカートリッジ12の後方(水平方向他端側)に間隔を隔てて設けられ、定着器20を備えている。
【0026】
定着器20は、加熱ユニット21と、定着ローラ22とを備えている。
【0027】
加熱ユニット21は、加熱フィルム23と、発熱部材24と、ニップ板25と、反射板26とを備えている。
【0028】
加熱フィルム23は、耐熱性と可撓性とを有するフィルムであり、左右方向に延びる略筒形状に形成されている。加熱フィルム23は、定着器20において周回移動可能に支持されており、定着ローラ22の回転駆動に従動して周回移動される。
【0029】
発熱部材24は、ハロゲンランプからなり、加熱フィルム23の内側において、左右方向に沿って延びる軸形状に形成されている。
【0030】
ニップ板25は、左右方向に延びる略平板形状に形成され、加熱フィルム23の内面に接触されるように、発熱部材24と加熱フィルム23との間に配置されている。
【0031】
反射板26は、左右方向に延び、下端部が開放された断面視略U字形状に形成されている。反射板26は、ニップ板25とともに発熱部材24を囲むように、下端部において、上側からニップ板25に係合されている。
【0032】
なお、ニップ板25、反射板26および発熱部材24は、付勢部材(図示せず)により、定着ローラ22に向かって一体的に押圧されている。
【0033】
定着ローラ22は、中空の回転軸82と、回転軸82の周りを被覆するスポンジローラ83とを備えている。定着ローラ22は、感光ドラム16と共通のモータ13(図8参照)からの駆動力により回転駆動される。
【0034】
用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pが、加熱フィルム23と定着ローラ22との間を通過するときに、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙部
排紙部6は、トレイ部材の一例としての排紙トレイ27を備えている。
【0035】
排紙トレイ27は、本体ケーシング2の上面から下側へ凹むように、上側が開放された断面視略V字形状に形成されている。また、排紙部6には、用紙Pを排紙する排出口の一例としての排紙口28が形成されている。
【0036】
排紙口28は、排紙トレイ27の後壁を前後方向に貫通するように、左右方向に延びる正面視略矩形状(図2参照)に形成されている。排紙口28内には、用紙Pを排紙トレイ27へ搬送する1対の排紙ローラ29が設けられている。なお、排紙ローラ29は、正回転または逆回転可能に形成されており、正回転することにより、用紙Pを排紙トレイ27へ搬送し、逆回転することにより、用紙Pを本体ケーシング2内の第2搬送経路(後述)へ搬送する。
【0037】
トナー像が定着された用紙Pは、両排紙ローラ29間に向けて搬送され、両排紙ローラ29の正回転によって、排紙口28を介して排紙トレイ27上に排紙される。
2.本体ケーシングの詳細
(1)排紙トレイ
排紙トレイ27は、図1および図2に示すように、本体ケーシング2の上壁の左右方向略中央において、前後方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。なお、排紙トレイ27の左右方向両端部は、本体ケーシング2の左右方向両端部に対して、所定の間隔を隔てて配置されている。
【0038】
また、排紙トレイ27の底壁は、その後端部が排紙口28よりも下側(低い位置)に配置され、後側(水平方向他端側)から前側(水平方向一方側)へ向かって上側に傾斜するように延設されている。また、排紙トレイ27の底壁の前端部は、水平方向に投影したときに、排紙口28よりも上側(高い位置)まで延設されている。
【0039】
本体ケーシング2の上壁は、リアトップカバー31、トップカバー32およびトレイ形成部材33を備えている。
【0040】
リアトップカバー31は、本体ケーシング2の上側後端部間に架設される断面略L字形状に形成されており、その前端部において、上側の排紙ローラ29を回転可能に支持している。
【0041】
トップカバー32は、リアトップカバー31の前側において本体ケーシング2の上端部を被覆する略平板形状に形成され、その左右方向略中央かつ前後方向略中央において、排紙トレイ27を形成するトレイ部34を備えている。
【0042】
トレイ部34は、排紙トレイ27の前側半分を形成し、トップカバー32の上面から連続して下側へ向かって延びる平面視略矩形凹形状であり、上側の開口面積が下側の開口面積よりも大きく形成されている。
【0043】
詳しくは、トレイ部34は、後側へ向かうに従って下側へ傾斜するように延びる前壁35と、前壁35の後側に間隔を隔てて配置され、上下方向に延びる後壁36と、前壁35の左右方向両端部から起立するように上下方向に延びる左右1対の側壁37とを備えている。なお、両側壁37は、上下方向途中からさらに後壁36に連結するように延びている。
【0044】
トレイ部34の前壁35の後端部は、上下方向に投影したときに、プロセスカートリッジ12と定着器20との間に配置されている。また、トレイ部34の後壁36は、上下方向に投影したときに、定着器20の上側に配置されている。
【0045】
そして、トップカバー32は、その後端部(トレイ部34よりも後側の部分)がリアトップカバー31の前端部を上側から被覆するように、リアトップカバー31の前側に配置されている。
【0046】
トレイ形成部材33は、前壁35の後端部と後壁36の下端部との間に配置され、トレイ部34とほぼ同じ左右方向長さを有し、上側に向かって開放された断面視略V字形状に形成されている。詳しくは、トレイ形成部材33は、後側へ向かうに従って下側へ傾斜するように延びる前壁38と、前壁38の後端部から上側へ延びる後壁39と、トレイ形成部材33の左右方向両端部を閉鎖する左右1対の側壁40とを備えている。
【0047】
トレイ形成部材33の前壁38の前端部は、トレイ部34の前壁35の後端部を上側から受け入れ可能に、その上端縁から下側に向かって側面視略L字形状に切り欠き形成されている(図4参照)。また、トレイ形成部材33の後壁39の上端部は、トレイ形成部材33の前壁38の前端部よりも上側に配置されている。
【0048】
また、トレイ形成部材33は、後壁39の上端部において、下側の排紙ローラ29を回転可能に支持している。また、トレイ形成部材33の後壁39には、上下方向に延びるように後側に向かって突出するリブ41が、左右方向に沿って並列するように複数設けられている。
【0049】
各リブ41は、上端縁が上側へ向かうに従って前側へ湾曲される側面視略矩形状に形成されている。
【0050】
そして、トレイ形成部材33は、下側の排紙ローラ29が上側の排紙ローラ29に下側から対向されるように、その前端部において、トレイ部34の前壁35の後端部に連結されている。
【0051】
これにより、トップカバー32のトレイ部34と、トレイ形成部材33とから、排紙トレイ27が形成されている。また、トレイ形成部材33の後壁39と、トレイ部34の後壁36とは、前上側と後下側とに間隔を隔てて対向されており、トレイ形成部材33の後壁39と、トレイ部34の後壁36との間において、排紙口28が形成されている。
【0052】
また、トレイ形成部材33の各リブ41は、リアトップカバー31の前端部に対して、上下方向に間隔を隔てて下側から対向し、リアトップカバー31とともに、上側へ向かうに従って前側へ湾曲される排紙パス43を形成している。
【0053】
また、トレイ形成部材33の前壁38の上面と、トレイ部34の前壁35の上面とは、トレイ形成部材33とトレイ部34との間に連通口の一例としての隙間42が形成されるように、互いに略面一に連結されている。
【0054】
隙間42は、トレイ形成部材33の前壁38と、トレイ部34の前壁35との間に形成されている。すなわち、隙間42は、排紙トレイ27の左右方向全幅にわたって形成されている。
【0055】
また、隙間42は、図4に示すように、トレイ形成部材33の前壁38と、トレイ部34の前壁35との連結部分において、上下方向に沿って延び、その下端部において前側へ屈曲される断面視略L字形状に形成されている。隙間42は、トレイ形成部材33の前壁38と、トレイ部34の前壁35との連結部分において、上端部が上側へ向かって開放され、前端部において、本体ケーシング2内に臨んでいる。また、隙間42は、前後方向に投影したときに、排紙口28よりも下側に配置されている(図1参照)。
(2)排気ユニットおよびダクト部材
本体ケーシング2には、図1および図3に示すように、本体ケーシング2内の空気を排気する排気ユニット51(図3参照)と、本体ケーシング2内の空気を排気ユニット51へ案内する連通部材の一例としてのダクト部材52(図1参照)とを備えている。
【0056】
排気ユニット51は、ファン53を回転可能に有し、左右方向に投影したときに感光ドラム16と定着器20との間に配置されるように、本体ケーシング2の右壁に固定されている。排気ユニット51は、本体ケーシング2の右壁に貫通形成される排気口(図示せず)を介して、本体ケーシング2内の空気を排気する。
【0057】
ダクト部材52は、排気ユニット51の左側において、左右方向に延びる略筒形状に形成されている。詳しくは、ダクト部材52は、排気ユニット51の左側に対向配置されるダクト本体54と、ダクト本体54から下側へ延び、プロセスカートリッジ12と定着器20との間に配置されるダクト仕切板55とを備えている。
【0058】
ダクト本体54は、左右方向に延び、上端部が開放された略角筒形状(詳しくは、上底が下底よりも長い側面視略台形状)に形成されている。また、ダクト本体54の前壁の上端部は、トレイ形成部材33の前側に間隔を隔てて配置されており、ダクト本体54の後壁の上端部は、トレイ形成部材33の後壁39の下側に配置されている。すなわち、ダクト本体54の上端部には、隙間42の下側に対向配置される第1開口56が形成されている。
【0059】
ダクト仕切板55は、ダクト本体54の下端部から下側に向かって延び、上下方向両端部が開放された略角筒形状に形成されている。また、ダクト仕切板55の前後方向長さは、ダクト本体54の前後方向長さよりも短く形成されている。つまり、第2開口57の開口断面積は、第1開口56の開口断面積よりも小さい。
【0060】
また、ダクト仕切板55の上端部は、ダクト本体54内に臨んでおり、ダクト仕切板55の下端部は、プロセスカートリッジ12と定着器20との間に配置されている。すなわち、ダクト仕切板55の下端部には、第1開口56に連通される第2開口57が形成されている。
【0061】
なお、ダクト仕切板55の下端部は、プロセスカートリッジ12から定着器20へ搬送される用紙Pに干渉しないように、第2直線L2(後述、図8参照)よりも上側に配置されている。
(3)各電源基板
本体ケーシング2内には、図2および図3に示すように、プリンタ1の動作を制御する複数の電源基板58が設けられている。
【0062】
各電源基板58は、本体ケーシング2の左右両側壁の内側(詳しくは、上下方向に投影したときに、本体ケーシング2の左右両側壁と排紙トレイ27との間)と、プロセスカートリッジ12の下側とに1つずつ設けられている。
3.第1搬送経路の詳細
(1)第1下壁形成部材
本体ケーシング2内には、図1に示すように、感光ドラム16と定着器20との間において、給紙トレイ8の上側に間隔を隔てて、第1搬送経路(後述)の下壁を形成する第1下壁形成部材61(図6参照)が設けられている。
【0063】
第1下壁形成部材61は、図5に示すフレーム62の前端部に、図6に示すカバー部材63を上側から取り付けたものであり、前後左右に延びる略平板形状に形成されている。また、第1下壁形成部材61は、その前端部が感光ドラム16の後端部の下側に間隔を隔てて対向配置されており(図1参照)、その左右方向両端部において、本体ケーシング2の左右両側壁(図示省略)の間に固定されている。
【0064】
また、フレーム62は、樹脂(例えば、ポリスチレンなど)製であり、カバー部材63は、金属製である。
【0065】
フレーム62は、前後左右に延びる略平板形状に形成されており、定着器20を支持する定着支持部65と、第1搬送経路形成部材の一例としての経路形成部64とを一体的に備えている。
【0066】
定着支持部65は、フレーム62の後側半分部分であり、所定の厚み(上下方向長さ)を有する略平板形状に形成されている。また、定着支持部65は、定着器20の前後方向長さとほぼ同じ前後方向長さに形成されている(図1参照)。
【0067】
経路形成部64は、フレーム62の前側半分部分であり、前側へ向かうに従って上側へ湾曲する湾曲板66と、湾曲板66の上面に立設され、前後方向に延びる複数のリブ67とを備えている。また、経路形成部64には、上下方向に貫通形成される複数の貫通穴68が形成されている。
【0068】
湾曲板66は、定着支持部65の前端部から上方に向かって延び、その上端部において前側へ屈曲され、所定の曲率で前側へ向かうに従って上側へ湾曲するように延びている。つまり、湾曲板66は、下側へ凹むように湾曲形成されており、その後端部が最も下側に配置され、その前端部が最も上側に配置されている。
【0069】
各リブ67は、湾曲板66の上面、および、定着支持部65の前端部上面から上側へ突出する突条であり、左右方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。また、各リブ67の上端縁は、湾曲板66の曲率と同じ曲率で湾曲形成されている。また、各リブ67の後端部は、湾曲板66の後端部よりも後方に配置され、その上端縁は、後側へ向かうに従って上側へ湾曲するように形成されている。
【0070】
各貫通穴68は、湾曲板66の前端部と後端部とに1列ずつ、左右方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。なお、以下の説明において、前側の各貫通穴68を、前側貫通穴68Fとし、後側の各貫通穴68を、第1貫通口の一例としての後側貫通穴68Rとする。
【0071】
各前側貫通穴68Fは、湾曲板66の前端部において、各リブ67の間に配置され、前後方向に延びる長穴として形成されている。
【0072】
各後側貫通穴68Rは、ダクト部材52の第2開口57の下側に対向配置されるように、湾曲板66の後端部において、各リブ67の間に配置され、平面視略矩形状に形成されている。詳しくは、湾曲板66は、各リブ67の後端部間において、互いに左右方向に間隔を隔てて設けられる2つの仕切板76により、3つに仕切られている。そして、湾曲板66には、2つの仕切板76の間(すなわち、3つに仕切られた各部分のうちの中央部分)において、上下方向に貫通される後側貫通穴68Rが形成されている。なお、湾曲板66は、各リブ67と各仕切板76との間(すなわち、3つに仕切られた各部分のうちの左右両側部分)において、閉鎖されている。
【0073】
また、フレーム62には、定着支持部65の前端部において、左右両端部と左右方向中央とに1つずつ、ねじ穴69が形成されている。また、左側のねじ穴69の近傍には、上側へ突出する略円柱形状の位置決めボス70が形成されている。
【0074】
カバー部材63は、フレーム62の経路形成部64に対応する形状に屈曲形成されている。詳しくは、カバー部材63は、定着支持部65の前端部に固定される固定部63Aと、フレーム62の経路形成部64を被覆する被覆部63Bとを一体的に備えている。
【0075】
固定部63Aは、カバー部材63の後端部において、左右方向に長手の略平板形状に形成されている。固定部63Aには、フレーム62のねじ穴69に対応するように、左右両端部と左右方向中央とに1つずつ、ねじ挿通穴72が形成されている。また、固定部63Aには、左側のねじ挿通穴72の近傍において、フレーム62の位置決めボス70に対応するように、平面視略円形状の位置決めボス挿通穴73が貫通形成されている。位置決めボス挿通穴73には、フレーム62の位置決めボス70が挿通される。これにより、カバー部材63がフレーム62に対して、前後方向および左右方向に位置決めされる。
【0076】
被覆部63Bは、固定部63Aの前端部から上側へ、湾曲板66の後端部よりも上側へ延び、その上端部において前側へ屈曲され、湾曲板66の上側に間隔を隔てて対向されるように、湾曲板66と同じ曲率で前側へ向かうに従って上側へ湾曲するように延びている。つまり、被覆部63Bも、湾曲板66と同様に下側へ凹むように湾曲形成されている。
【0077】
なお、被覆部63Bは、その前端部において、経路形成部64の前端部に対応するように下側へ屈曲され、上下方向に延びている。
【0078】
また、カバー部材63には、各リブ67に対応するように、前後方向に延びる複数のスリット71が上下方向に貫通形成されている。
【0079】
各スリット71は、各リブ67の厚み(左右方向長さ)よりも長い溝幅(左右方向長さ)、かつ、各リブ67の前後方向長さよりも長い前後方向長さに形成され、左右方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0080】
そして、カバー部材63は、フレーム62の各リブ67が、各スリット71内に配置されてカバー部材63よりも上側に突出するように、フレーム62の湾曲板66を被覆している。このとき、カバー部材63は、上下方向に投影したときに各スリット71が各貫通穴68に重ならないように、フレーム62の湾曲板66を被覆している。
【0081】
また、このとき、カバー部材63の位置決めボス挿通穴73には、フレーム62の位置決めボス70が挿通されており、カバー部材63の各ねじ挿通穴72と、フレーム62の各ねじ穴69とは上下方向に対向配置されている。
【0082】
そして、カバー部材63は、ねじ(図示せず)が各ねじ挿通穴72を介して各ねじ穴69に螺合されることにより、フレーム62に固定されている。
【0083】
また、カバー部材63は、所定の配線を介して本体ケーシング2に電気的に接続されており、本体ケーシング2を介して電気的に接地されている。
【0084】
なお、第1下壁形成部材61の下側には、金属からなり、第1下壁形成部材61を下側から支持する補強板74が、本体ケーシング2の左右両側壁間に架設されるように設けられている(図1参照)。
【0085】
補強板74には、後側貫通穴68Rと上下方向に対向する位置に、複数の貫通穴75が上下方向に貫通形成されている(図9参照)。
(2)定着器
定着器20は、図7および図8に示すように、第1下壁形成部材61の定着支持部65の上側に載置されるように、第1下壁形成部材61の経路形成部64の後側に設けられている。定着器20は、その前後方向両端部が、第1下壁形成部材61の定着支持部65に固定され、その左右方向両端部が、本体ケーシング2の左右方向両側壁に位置決めされている。
【0086】
定着器20は、加熱ユニット21と定着ローラ22とを収容する定着フレーム81を備えている。
【0087】
定着フレーム81は、左右方向に延びる略ボックス形状に形成されている。また、定着フレーム81は、定着ローラ22における加熱フィルム23に接触される接触部分N2の前側および後側が開放されている。
【0088】
また、定着フレーム81は、用紙Pを接触部分N2の前側へ案内する定着ガイド84を備えている。
【0089】
定着ガイド84は、耐熱性を有し、用紙Pおよびトナーよりも帯電列が相対的に負帯電傾向にある樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)からなり、前側へ向かって延びている。定着ガイド84は、定着ローラ22の前側において、定着フレーム81の下側前端部を被覆する被覆板85と、被覆板85から前下側へ延びるガイドリブ86とを備えている。
【0090】
被覆板85は、側面視略L字形状に形成され、上下方向に延びるガイド固定部87と、ガイド固定部87の上端部から後上側へ延びるガイド部88とを備えている。
【0091】
ガイド固定部87は、定着フレーム81の下側前端部に前側からねじ止めされている。
【0092】
ガイド部88は、リブ67の上端縁よりも小さな曲率で、後側へ向かうに従って上側へ湾曲形成されている。すなわち、リブ67の上端縁は、ガイド部88の上端面よりも大きな曲率で湾曲形成されている。
【0093】
また、ガイド部88は、左右方向に投影したときに、感光ドラム16の軸線A1と転写ローラ18の軸線A2とを結ぶ第1直線L1に対して感光ドラム16と転写ローラ18との接触部分N1を通過するように直交する第2直線L2と、交差している。
【0094】
また、定着器20において、加熱ユニット21は、接触部分N2が後側へ向かうに従って上側へ傾斜するように、定着ローラ22に対して前上側から接触されている。
【0095】
つまり、用紙Pの搬送方向(後上側)における接触部分N2の中央に接する接線L3と、第2直線L2とは、第1下壁形成部材61の経路形成部64の上側において、下側へ向かう凸形状を形成するように交差している。詳しくは、第2直線L2は、後下側へ延び、接線L3は、前下側へ延びている。そして、第2直線L2と接線L3との交点は、第1下壁形成部材61の湾曲した部分の範囲内(すなわち、経路形成部64と定着ガイド84とから形成される凹みの内側)に配置されている。
【0096】
ガイドリブ86は、ガイド固定部87の前面、および、ガイド部88の前側上面から前側へ向かうように突出され、前下側へ向かう頂部を有する側面視略三角形状に形成されている。また、ガイドリブ86は、第1下壁形成部材61の各リブ67の間に配置されるように、左右方向に互いに間隔を隔てて複数設けられている。また、ガイドリブ86の上端縁は、リブ67の上端縁よりも小さな曲率で、後側へ向かうに従って上側へ湾曲形成されている。すなわち、リブ67の上端縁は、ガイドリブ86の上端縁よりも大きな曲率で湾曲形成されている。
【0097】
また、ガイドリブ86の前端部は、左右方向に投影したときに、第1下壁形成部材61の各リブ67の後端部に重なっており、第1下壁形成部材61の各リブ67の上端縁よりも下側に位置するように配置されている。
(3)排紙ガイド
また、本体ケーシング2内には、図1に示すように、定着器20の後側において、定着器20の接触部分N2を通過した用紙Pを上側へ向かってターンさせる排紙ガイド91が設けられている。
【0098】
排紙ガイド91は、前後方向に厚みを有し、上下方向に延びる略平板形状に形成されている。排紙ガイド91の上端部には、後側へ向かうに従って上側へ湾曲される湾曲面92が形成されている。
(4)第1搬送経路における用紙の搬送
用紙Pは、上記したように、給紙トレイ8からレジストローラ10に向けて1枚ずつ送り出され、所定のタイミングで、感光ドラム16と転写ローラ18との接触部分N1に向けて搬送される。そして、接触部分N1を通過した後、定着器20へ搬送され、加熱フィルム23と定着ローラ22との間を通過して、排紙ガイド91により上側へターンされた後、排紙口28を介して排紙トレイ27上に排紙される(第1搬送経路)。
【0099】
詳しくは、感光ドラム16と転写ローラ18との接触部分N1を通過した後、定着器20へ搬送される用紙Pは、まず、感光ドラム16の回転駆動により、第2直線L2にほぼ沿うように後側へ搬送される。
【0100】
すると、用紙Pの後端部(搬送方向下流側端部)は、ガイド部88またはガイドリブ86に当接し、ガイド部88により後上側へ案内されて、加熱フィルム23と定着ローラ22との間に進入する。
【0101】
その後、用紙Pは、定着ローラ22の回転駆動により、接線L3にほぼ沿うように後上側へ搬送される。
【0102】
なお、感光ドラム16が用紙Pを搬送する速度は、定着ローラ22が用紙Pを搬送する速度よりも若干速く設定されているが、用紙Pは、経路形成部64の上側に間隔を隔てるように、感光ドラム16と転写ローラ18との間から、定着器20へ搬送される。
【0103】
ここで、定着ローラ22のスポンジローラ83は、加熱ユニット21からの加熱により膨張する場合がある。スポンジローラ83が膨張すると、スポンジローラ83の周速度が低下することが考えられ、用紙Pが想定以上に撓む可能性がある。
【0104】
しかしながら、このような場合であっても、用紙Pは、経路形成部64が下側へ凹むように湾曲されている分、下側へ凹むように撓みながら搬送される。
4.第2搬送経路の詳細
(1)リアカバー
本体ケーシング2の後端部には、図1に示すように、排紙ガイド91の後側に間隔を隔てて、リアカバー101が設けられている。
【0105】
リアカバー101は、リアトップカバー31の後端部の下側に連続するように、上下方向に延びる略平板形状に形成されている。また、リアカバー101の前面は、リアトップカバー31の下面の後側に連続して、後側へ向かうに従って下側へ湾曲するように形成されている。
(2)第2下壁形成部材
本体ケーシング2内には、図1および図9に示すように、第2搬送経路(後述)の下壁を形成する第2搬送経路形成部材の一例としての第2下壁形成部材102が、給紙トレイ8の上側において、補強板74の下側に間隔を隔てて対向配置されている。
【0106】
第2下壁形成部材102は、前後方向に延びる略平板形状に形成されている。また、第2下壁形成部材102は、その前端部が、レジストローラ10の下側付近に配置され、その後端部が、リアカバー101の下側に配置されている。
【0107】
また、第2下壁形成部材102には、第1下壁形成部材61の後側貫通穴68Rと上下方向に対向するように、第2貫通口の一例としての貫通穴103が上下方向に貫通形成されている。
【0108】
なお、第2下壁形成部材102の前側には、用紙Pを第2下壁形成部材102の前側からレジストローラ10に向けて上側へターンさせる再送側のU字パスが、給紙側のU字パスよりも後側に形成されている。
(3)第2搬送経路における用紙の搬送
第1搬送経路において一方面に画像が印刷された用紙Pは、両排紙ローラ29の正回転により、排紙口28を介して排紙トレイ27に向かって搬送される。
【0109】
ここで、用紙Pの他方面にも印刷する場合(いわゆる両面印刷)には、用紙Pの搬送方向上流側端部(後端部)が排紙ガイド91の湾曲面92との干渉が解除されるまで排紙トレイ27に向かって搬送された後、排紙トレイ27上に排紙される前に、両排紙ローラ29が逆回転される。
【0110】
すると、用紙Pは、リアトップカバー31の下面、および、リアカバー101の前面に案内されるように、後端部から、リアカバー101と排紙ガイド91との間へ搬送される。
【0111】
つまり、第2搬送経路における用紙Pの搬送では、第1搬送経路における用紙Pの搬送方向上流側端部が、搬送方向下流側端部となる。
【0112】
そして、用紙Pは、リアカバー101と排紙ガイド91との間を通過するように下側へ向かって搬送され(すなわち、下側へターンされ)、その後、第2下壁形成部材102と補強板74との間を通過するように、後側(水平方向他端側)から前側(水平方向一方側)へ搬送される。
【0113】
そして、第2下壁形成部材102の前端部まで搬送された用紙Pは、上側へターンされるように搬送され、レジストローラ10より前側において、再度、第1搬送経路に供給される。
5. 液体の誘導
本体ケーシング2の排紙トレイ27に液体がかかった場合には、その液体は、排紙トレイ27の隙間42を通過して本体ケーシング2内に浸入し、その後、ダクト本体54の第1開口56から、ダクト部材52内を通過して、ダクト仕切板55の第2開口57から第1下壁形成部材61の経路形成部64に流下される。
【0114】
第1下壁形成部材61の経路形成部64に流下された液体は、カバー部材63の各スリット71を介してフレーム62の後側貫通穴68Rに浸入する。
【0115】
その後、後側貫通穴68Rを通過した液体は、補強板74の貫通穴75、第2下壁形成部材102の貫通穴103を順次通過して、給紙トレイ8内に溜まる。
6.作用効果
(1)このプリンタ1によれば、図1に示すように、本体ケーシング2の上端部に設けられる排紙トレイ27に、上下方向に投影したときに画像形成部4と定着器20との間に配置されるように、本体ケーシング2の内外を連通する隙間42が形成されており、用紙Pの第1搬送経路を形成する第1下壁形成部材61の経路形成部64には、隙間42と上下方向に対向するように上下方向に貫通される後側貫通穴68Rが形成されている。
【0116】
そのため、本体ケーシング2の上部に液体がかかった場合には、その液体を、排紙トレイ27の隙間42を介して、画像形成部4と定着器20との間を通過するように流下させ、その後、経路形成部64の後側貫通穴68Rを介して、さらに下側へ流下させることができる。
【0117】
つまり、本体ケーシング2の上部にかかった液体を、画像形成部4や定着器20をなるべく濡らさないように、画像形成部4や定着器20よりも下側へ導くことができる。
【0118】
その結果、本体ケーシング2の上部に液体がかかった場合でも、画像形成部4や定着器20が濡れることを抑制できる。
(2)また、このプリンタ1によれば、図8に示すように、経路形成部64は、下側へ凹むように湾曲形成されており、後側貫通穴68Rは、経路形成部64の最も下端部に形成されている。
【0119】
そのため、排紙トレイ27の隙間42を介して、画像形成部4と定着器20との間を通過するように流下された液体を、経路形成部64の湾曲によって後側貫通穴68Rに集めることができる。
【0120】
その結果、本体ケーシング2内に浸入した液体を、効率よく、画像形成部4や定着器20よりも下側へ導くことができる。
(3)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、隙間42と後側貫通穴68Rとの間において、隙間42の下側に対向配置される第1開口56と、第1開口56に連通され、後側貫通穴68Rの上側に対向配置される第2開口57とが形成されるダクト部材52を備えている。
【0121】
そのため、排紙トレイ27の隙間42を介して本体ケーシング2内に浸入した液体を、ダクト部材52によって、後側貫通穴68Rへ案内することができ、確実に画像形成部4と定着器20との間を通過させることができる。
【0122】
その結果、画像形成部4や定着器20が濡れることを、より防止できる。
(4)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、ダクト部材52は、第2開口57の開口断面積が、第1開口56の開口断面積よりも小さくなるように形成されている。
【0123】
そのため、排紙トレイ27の隙間42を介して本体ケーシング2内に浸入した液体を、比較的大きな開口断面積を有する第1開口56で確実に受けることができながら、比較的小さな開口断面積を有する第2開口57により、確実に後側貫通穴68Rへ案内することができる。
【0124】
その結果、排紙トレイ27の隙間42を介して本体ケーシング2内に浸入した液体を、より確実に画像形成部4と定着器20との間を通過させることができ、画像形成部4や定着器20が濡れることを、より一層防止できる。
(5)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、ダクト部材52は、本体ケーシング2内の空気を本体ケーシング2外へ排出する。
【0125】
つまり、本体ケーシング2内の空気を本体ケーシング2外へ排出するダクト部材52を利用して、排紙トレイ27の隙間42を介して本体ケーシング2内に浸入した液体を案内することができる。
【0126】
そのため、部品点数を増加させることなく、本体ケーシング2内に浸入した液体を案内することができる。
(6)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、隙間42が、前後方向に投影したときに、排紙口28よりも下側に配置されている。
【0127】
そのため、例えば、大量の液体が排紙トレイ27に流れてしまい、排紙トレイ27上に液体が溜まってしまったとしても、排紙口28よりも優先的に隙間42の方へ液体が流れる。
【0128】
これにより、排紙口28へ液体が侵入することを抑制することができる。
(7)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、第2搬送経路を形成する第2下壁形成部材102に、後側貫通穴68Rと上下方向に対向するように上下方向に貫通される貫通穴103が形成されている。
【0129】
そのため、画像形成部4、第1下壁形成部材61および定着器20の下側に第2搬送経路が形成されている場合に、本体ケーシング2内に浸入した液体を、貫通穴103を介して、第2搬送経路よりも下側へ導くことができる。
(8)また、このプリンタ1によれば、図1に示すように、本体ケーシング2の下端部において、用紙Pを積載する給紙トレイ8が設けられている。
【0130】
そのため、本体ケーシング2内に浸入した液体を、画像形成部4や定着器20よりも下側へ導いた後、給紙トレイ8において受けることができる。
7.各変形例
(1)上記した実施形態において、経路形成部64およびカバー部材63は、下側へ凹むように湾曲形成されているが、これに限らず、例えば平坦な面で形成されていてもよい。
(2)上記した実施形態において、後側貫通穴68Rと第2開口57とは、対向配置されているが、これに限らず、互いに、多少ずれた位置に配置されていてもよい。
(3)上記した実施形態において、第2開口57の開口断面積は、第1開口56の開口断面積よりも小さく設けられているが、これに限らず、例えば、第1開口56の開口断面積は、第2開口57の開口断面積よりも小さく設けられていてもよい。
(4)上記した実施形態において、画像が定着された用紙Pを、再度、画像形成部4へ供給する第2搬送経路が設けられているが、これに限らず、第2搬送経路は設けられていなくてもよい。
(5)上記した実施形態において、貫通穴103は、後側貫通穴68Rと上下方向に対向するように配置されているが、これに限らず、互いに、多少ずれた位置に配置されていてもよい。
(6)上記した実施形態において、給紙トレイ8は、本体ケーシング2の下端側に設けられているが、これに限らず、例えば、本体ケーシング2外に延設されたトレイ等に用紙Pを積載してもよい。
(7)上記した実施形態において、被転写部材の一例としての用紙Pを例示したが、これに限らず、例えば、OHPシートであってもよい。
【0131】
これら(1)〜(7)の各変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0132】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
4 画像形成部
6 排紙部
8 給紙トレイ
20 定着器
27 排紙トレイ
28 排紙口
42 隙間
52 ダクト部材
56 第1開口
57 第2開口
64 経路形成部
68R 後側貫通穴
102 第2下壁形成部材
103 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と
前記装置本体内に設けられ、水平方向一端側から水平方向他端側へ向かって被転写部材を搬送しながら、前記被転写部材に画像を形成する画像形成部と、
前記装置本体内において、前記画像形成部の前記水平方向他端側において間隔を隔てて配置され、前記被転写部材に形成された画像を前記被転写部材に定着させる定着器と、
前記装置本体内において前記画像形成部と前記定着器との間に設けられ、前記画像形成部から前記定着器への前記被転写部材の第1搬送経路を形成する第1搬送経路形成部材と、
前記装置本体の上端部に設けられ、前記定着器において画像が定着された前記被転写部材を、上側へターンさせた後、前記水平方向他端側から前記水平方向一端側へ搬送しながら前記装置本体外へ排出する排出部と
を備え、
前記排出部は、排出された前記被転写部材を載置するトレイ部材を備え、
前記トレイ部材には、上下方向に投影したときに、前記画像形成部と前記定着器との間に配置されるように、前記装置本体の内外を連通する連通口が形成されており、
前記第1搬送経路形成部材には、前記連通口と上下方向に対向するように上下方向に貫通される第1貫通口が形成されていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1搬送経路形成部材は、下側へ凹むように湾曲形成されており、
前記第1貫通口は、前記第1搬送経路形成部材の最も下端部に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体内において前記連通口と前記第1貫通口との間に設けられ、前記連通口の下側に対向配置される第1開口と、前記第1開口に連通され、前記第1貫通口の上側に対向配置される第2開口とが形成される連通部材を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2開口の開口断面積は、前記第1開口の開口断面積よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記連通部材は、前記装置本体内の空気を前記装置本体外へ排出するダクト部材を兼ねることを特徴とする、請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記排出部には、前記被転写部材を前記装置本体外へ排出する排出口が形成され、
前記トレイ部材は、前記水平方向他端側から前記水平方向一端側へ向かって、上側に傾斜するように設けられ、
前記連通口は、前記水平方向に投影したときに、前記排出口よりも下側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部、前記第1搬送経路形成部材および前記定着器の下側に設けられ、前記定着器において画像が定着された前記被転写部材を、下側へターンさせた後、前記水平方向他端側から前記水平方向一端側へ搬送して、再度、前記画像形成部へ供給する第2搬送経路を形成する第2搬送経路形成部材を備え、
前記第2搬送経路形成部材には、前記第1貫通口と上下方向に対向するように上下方向に貫通される第2貫通口が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体の下端部において、前記被転写部材を積載する積載部材を備えることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−208192(P2012−208192A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71979(P2011−71979)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】