説明

画像形成装置

【課題】トナーに外添剤が付加されていても、トナー濃度を正確に測定してトナー濃度の補正を行う。
【解決手段】画像形成装置において、濃度補正部は、像担持体(例えば中間転写ベルト4)の表面のうち、試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像61を担持させる。そして、像担持体に担持された清掃用トナー画像を除去させ、清掃用トナー画像を除去した後に試験パターンを担持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用したプリンター、複写機、ファクシミリ、それらの複合機などといった画像形成装置では、感光体ドラムなどの感光体上に形成されるトナー画像のトナー量(トナー濃度)が印刷画像の品質に直接影響を与える。このトナー濃度は、画像形成装置を使用する環境、試用期間等の諸条件によって変化していく。例えば、環境雰囲気の変化で現像剤の帯電特性が変化すると、感光体に印加される現像バイアスを一定に保った状態では、トナーは、現像ユニットから感光体へ飛翔しにくくなる。
【0003】
また、画像形成の回数が増加すると、感光体をクリーニングするクリーニングブレードや、中間転写体の接触による研磨によって感光層の厚さが減少し、感光体の表面帯電電位を一定に維持することが難しくなる。この表面帯電電位が徐々に低下すると、トナー画像濃度の上昇が発生して画質が低下する。
【0004】
そこで、感光体上に形成されたトナー画像を1次転写する中間転写体の所定の領域に、濃度補正用トナー画像(以下、試験パターンという)を担持させ、その試験パターンの濃度をセンサーで測定し、測定結果に応じて現像バイアス電圧等のプロセス条件を制御してトナー濃度を調整する(例えば特許文献1参照)。試験パターンは、例えば、段階的に異なるトナー濃度の領域を含むように形成される。
【0005】
この試験パターンの測定結果は、その試験パターンが形成された下地の反射率の影響を受ける。中間転写体の表面には、そのクリーニング部材や、印刷用紙などの記録媒体にトナー画像を2次転写させる転写ローラー等による摺擦に起因して、汚れや傷、トナー外添剤等の付着が発生する。このため、試験パターンを形成する前の中間転写体の表面状態をセンサーで測定し、そのセンサー値を考慮してトナー濃度を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−48202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような画像形成装置において、トナー画像の現像に使用される2成分の現像剤は、トナーとキャリアで構成されており、トナーには酸化チタン等の外添剤が付加されている。
【0008】
トナー画像を現像する際に、現像バイアスと1次転写バイアスを印加することで、トナーから外添剤が別離して飛翔し、中間転写体の表面に付着することがある。その場合、試験パターンが形成される下地にも外添剤が付着するため、試験パターンを形成する前の中間転写体の表面状態をセンサーで正確に測定できないことがある。試験パターンを形成する前の中間転写体の表面状態が正確に測定されない場合、そのときのトナー濃度が正確に測定されず、正確にトナー濃度の補正を行うことが困難である。
【0009】
濃度補正までの印刷動作で種々の形状のトナー画像が中間転写体上に転写され、印刷用紙への転写後の残留トナーがクリーニングされるため、中間転写体上に付着している外添剤の量は均一になっていない。このため、試験パターンを形成する前の中間転写体の表面状態を予測するのは困難である。
【0010】
図6は、中間転写ベルトの表面状態の推移の一例を示す図である。
【0011】
図6(A)に示すように中間転写ベルト101の表面の全域に外添剤が付着しているときに濃度補正を行うと、図6(B)に示すように各濃度のパッチ画像111〜113からなる試験パターンが転写される。
【0012】
そして、センサーによる濃度測定後に、その試験パターンがクリーニングされると、試験パターンの部分における外添剤が試験パターンのトナーとともに除去される。これにより、図6(C)に示すように、外添剤の付着量が少ない領域121が形成される。
【0013】
その後、次の濃度補正時において図6(D)に示す中間転写ベルト101の配置で、試験パターンが転写されると、前回の濃度補正時に試験パターンが転写された領域(領域121)とは異なる位置に試験パターンが転写され、図6(E)に示すようになる。
【0014】
そして、センサーによる濃度測定後に、その試験パターンがクリーニングされると、図6(F)に示すように、前回の濃度補正時の試験パターンが除去された領域122と今回の濃度補正時の試験パターンが除去された領域131とで外添剤の付着量が異なる。
【0015】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、トナーに外添剤が付加されていても、トナー濃度を正確に測定してトナー濃度の補正を行う画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、トナー画像を担持する像担持体と、濃度補正時に像担持体の表面における試験パターンからの測定光を検出するセンサーと、濃度補正を行うときに、像担持体の表面のうち、試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像を担持させ、像担持体に担持された清掃用トナー画像を除去させ、清掃用トナー画像を除去した後に試験パターンを担持させる濃度補正部とを備える。
【0018】
これにより、清掃用トナー画像がクリーニングで除去されるときに、清掃用トナー画像が現像された領域に付着しているトナー外添剤がトナーとともに除去されるため、濃度補正時に試験パターンが担持される領域の外添剤の付着量が一定となる。したがって、トナーに外添剤が付加されていても、濃度補正時にトナー濃度が正確に測定され、トナー濃度が正確に補正される。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、像担持体上のトナー除去を行うクリーニング手段をさらに備える。そして、トナー画像に使用されるトナーは、外添剤を付加されており、クリーニング手段は、トナー除去時に、外添剤が付着した領域上に担持されたトナーとともに外添剤を併せて除去する。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、感光体と、感光体上にトナー画像を現像する現像ユニットとをさらに備える。そして、像担持体は、感光体上のトナー画像を転写される中間転写体であって、濃度補正部は、濃度補正を行うときに、中間転写体の表面のうち、試験パターンが転写され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像を担持させ、中間転写体に転写された清掃用トナー画像を除去させ、清掃用トナー画像を除去した後に試験パターンを転写させる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、中間転写体は、中間転写ベルトであって、清掃用トナー画像は、中間転写ベルト上を所定の幅で全周するものである。
【0022】
これにより、濃度補正ごとに転写される清掃用トナー画像が同一でよく、濃度補正ごとに清掃用トナー画像のサイズ、位置、形状などを変化させる必要がない。
【0023】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、濃度補正部は、清掃用トナー画像を除去した後で試験パターンを担持させる前の所定の測定領域からの測定光によるセンサーの出力値と、試験パターンを担持させた所定の測定領域からの測定光によるセンサーの出力値とに基づいて、試験パターンのトナー濃度を特定し、特定したトナー濃度に基づいて濃度補正を行う。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置は、感光体へ記録媒体を搬送するとともに、濃度補正時に試験パターンを担持する搬送ベルトと、搬送ベルトの表面における試験パターンからの測定光を検出するセンサーと、濃度補正を行うときに、搬送ベルトの表面のうち、試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像を担持させ、搬送ベルトに担持された清掃用トナー画像を除去させ、清掃用トナー画像を除去した後に試験パターンを担持させる濃度補正部とを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、画像形成装置において、トナーに外添剤が付加されていても、トナー濃度が正確に測定されトナー濃度が正確に補正される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1におけるセンサーでの濃度測定を説明する図である。
【図4】図4は、図1および図2に示す画像形成装置におけるトナー濃度補正について説明するフローチャートである。
【図5】図5は、図1および図2に示す画像形成装置における中間転写ベルトの表面状態の推移の一例を示す図である。
【図6】図6は、中間転写ベルトの表面状態の推移の一例を示す図である。
【図7】図7は、直接転写方式の画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式の印刷機能を有する装置である。
【0029】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a〜1d、露光装置2a〜2dおよび現像ユニット3a〜3dを有する。感光体ドラム1a〜1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。露光装置2a〜2dは、感光体ドラム1a〜1dへレーザー光を照射して静電潜像を形成する装置である。露光装置2a〜2dは、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a〜1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0030】
さらに、感光体ドラム1a〜1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1dを除電する。
【0031】
現像ユニット3a〜3dでは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーが充填されているトナーコンテナーがそれぞれ装着されており、トナーコンテナーからトナーが供給され、キャリアとともに現像剤を構成する。このトナーには、酸化チタンなどの外添剤が付加されている。現像ユニット3a〜3dは、そのトナーを感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。
【0032】
感光体ドラム1a、露光装置2a、および現像ユニット3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1b、露光装置2b、および現像ユニット3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1c、露光装置2c、および現像ユニット3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1d、露光装置2d、および現像ユニット3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0033】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a〜1dに接触し、感光体ドラム1a〜1d上のトナー画像を1次転写される環状の像担持体である。この中間転写ベルト4は、中間転写体の一種である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ周回していく。
【0034】
転写ローラー6は、搬送されてくる用紙を中間転写ベルト4に接触させ、中間転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0035】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。また、ローラー7は、濃度補正時に、中間転写ベルト4上で外添剤が付着した領域上に担持されたトナーとともに外添剤を併せて除去する。
【0036】
センサー8は、中間転写ベルト4に光線を照射し、その反射光を検出する。トナー濃度調整の際、センサー8は、中間転写ベルト4の所定の領域に光線を照射し光線の反射光(測定光)を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。図2において、プリントエンジン11は、上述のローラーなどを駆動する図示せぬ駆動源、現像バイアスおよび1次転写バイアスを印加するバイアス印加回路、並びに露光装置2a〜2dを制御して、給紙、印刷および排紙を実行させる処理回路である。現像バイアスは、感光体ドラム1a〜1dと現像ユニット3a〜3dとの間にそれぞれ印加され、1次転写バイアスは、感光体ドラム1a〜1dと中間転写ベルト4との間にそれぞれ印加される。
【0038】
この実施の形態では、プリントエンジン11は、濃度補正部21を有する。濃度補正部21は、濃度補正を行うときに、中間転写ベルト4の表面のうち、試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像を感光体ドラム1a〜1d上に現像させて中間転写ベルト4へ転写させ、中間転写ベルト4へ転写された清掃用トナー画像を除去させ、清掃用トナー画像を除去した後に試験パターンを感光体ドラム1a〜1d上に現像させて中間転写ベルト4へ転写させる。この実施の形態では、清掃用トナー画像は、中間転写ベルト4上を所定の幅で全周するものである。濃度補正部21は、清掃用トナー画像を除去した後で試験パターンを担持させる前の所定の測定領域からの測定光によるセンサー8の出力値と、試験パターンを担持させた所定の測定領域からの測定光によるセンサー8の出力値とに基づいて、試験パターンのトナー濃度を特定し、特定したトナー濃度に基づいて濃度補正を行う。
【0039】
図3は、図1におけるセンサー8での濃度測定を説明する図である。
【0040】
図3に示すように、センサー8は、光線を出射する光源51と、光源側のビームスプリッター52と、光源側の受光素子53と、受光側のビームスプリッター54と、第1受光素子55と、第2受光素子56とを備える。
【0041】
光源51は、例えば発光ダイオードである。ビームスプリッター52は、光源51からの光線のうち、P偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する。光源側の受光素子53は、例えばフォトダイオードであり、ビームスプリッター52からのS偏光成分を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、光源51の安定制御に使用される。
【0042】
光源側のビームスプリッター52を透過したP偏光成分の光は、中間転写ベルト4の表面(トナー画像41または下地)に入射し、反射する。このときの反射光は、正反射成分と拡散反射成分とを有し、正反射成分は、P偏光となる。
【0043】
ビームスプリッター54は、反射光のうちのP偏光成分(すなわち、正反射成分)を透過し、S偏光成分を反射する。第1受光素子55は、例えばフォトダイオードであり、ビームスプリッター54を透過したP偏光成分の光を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。第2受光素子56は、例えばフォトダイオードであり、ビームスプリッター54で反射したS偏光成分の光を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0044】
濃度補正部21は、第1受光素子55の出力と第2受光素子56の出力とに基づいて、トナー濃度の補正量を特定しつつ、トナー濃度を計算する。
【0045】
次に、上記装置におけるトナー濃度補正について説明する。図4は、図1および図2に示す画像形成装置におけるトナー濃度補正について説明するフローチャートである。図5は、図1および図2に示す画像形成装置における中間転写ベルトの表面状態の推移の一例を示す図である。
【0046】
駆動ローラー5で中間転写ベルト4の周回が開始された後、濃度補正部21は、清掃用トナー画像61を感光体ドラム1a〜1d上に現像させ、中間転写ベルト4に転写させる(ステップS1,図5(A))。
【0047】
中間転写ベルト4に転写させた清掃用トナー画像61は、ローラー7により除去される(ステップS2)。清掃用トナー画像61が除去されると、清掃用トナー画像61が担持されていた領域71の外添剤の付着量が均一になる(図5(B))。
【0048】
そして、濃度補正部21は、中間転写ベルト4の表面で清掃用トナー画像が除去された領域71内の所定領域でのセンサー8の出力値をサンプリングする(ステップS3)。この時点では、試験パターンのトナー現像処理が実行されていないため、中間転写ベルト4の下地の反射率に対応するセンサー8の出力が得られる。
【0049】
次に、濃度補正部21は、清掃用トナー画像61が担持されていた領域71内の上述の所定領域に、各濃度のパッチ画像81〜83を含む試験パターンのトナー現像を行う(ステップS4,図(C))。これにより、感光体ドラム1a〜1dにおいて各色のトナー画像がそれぞれ形成され、それらのトナー画像が中間転写ベルト4に転写されて、試験パターンが形成される。ここでは、試験パターンは、例えば、各色についてのトナー濃度が互いに異なる領域を含むように形成される。
【0050】
そして、濃度補正部21は、試験パターンからの測定光についてのセンサー8の出力をサンプリングする(ステップS5)。
【0051】
上述のように、試験パターン領域(試験パターンが転写される領域)のトナー現像前後のセンサー8の出力をサンプリングした後、濃度補正部21は、試験パターンの転写前におけるセンサー8の出力値と試験パターンの転写後におけるセンサー8の出力値との差分に基づいて、試験パターンのトナー濃度を計算する(ステップS6)。
【0052】
例えば、濃度補正部21は、次式でトナー濃度CTDを計算する。
【0053】
【数1】

【0054】
ここで、Pは、試験パターン形成後の試験パターン領域での第1受光素子55の出力値(つまり、正反射成分)であり、Sは、試験パターン形成後の試験パターン領域での第2受光素子56の出力値(つまり、拡散反射成分)であり、P0は、第1受光素子55の暗電位出力値であり、S0は、第2受光素子56の暗電位出力値であり、Pgは、試験パターン形成前の試験パターン領域での第1受光素子55の出力値(つまり、正反射成分)であり、Sgは、試験パターン形成前の試験パターン領域での第2受光素子56の出力値(つまり、拡散反射成分)である。
【0055】
このようにして、濃度補正部21は、トナー濃度を測定した後に、そのトナー濃度に対応して、現像バイアス電圧等のプロセス条件を変更して、トナー画像濃度を調整する(ステップS7)。
【0056】
中間転写ベルト4上の試験パターンはローラー7によりクリーニングされる(図5(D))。また、その後、清掃用トナー画像61が担持されていた領域71に外添剤が付着しても(図5(E))、次の濃度補正時において、同様に、清掃用トナー画像61が転写され、除去されることで、濃度補正時の領域71における外添剤の付着量が一定に保たれる。
【0057】
以上のように、上記実施の形態によれば、濃度補正部21は、濃度補正を行うときに、中間転写ベルト4の表面のうち、試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像61を中間転写ベルト4へ転写させ、その清掃用トナー画像61を中間転写ベルト4から除去させ、清掃用トナー画像61を除去した後に試験パターンを中間転写ベルト4へ転写させる。
【0058】
これにより、清掃用トナー画像61がクリーニングで除去されるときに、清掃用トナー画像が現像された領域に付着しているトナー外添剤がトナーとともに除去されるため、濃度補正時に試験パターンが担持される領域の外添剤の付着量が一定となる。したがって、トナーに外添剤が付加されていても、濃度補正時にトナー濃度が正確に測定され、トナー濃度が正確に補正される。
【0059】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0060】
例えば、上記の実施の形態に係る画像形成装置は、間接転写方式のものであるが、直接転写方式のものにも本発明を適用できる。その場合には、感光体ドラム1a〜1d上に清掃用トナー画像61が担持され除去されて外添剤が除去される。
【0061】
直接転写方式の画像形成装置の場合について図7を参照して具体的に説明する。図7は、直接転写方式の画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。この画像形成装置における現像装置は、感光体ドラム201、露光装置202および現像ユニット203を有する。露光装置202は、感光体ドラム201へレーザー光を照射して静電潜像を形成する。現像ユニット203では、ブラックトナーが充填されているトナーコンテナーがそれぞれ装着されており、トナーコンテナーからトナーが供給され、キャリアとともに現像剤を構成する。このトナーには、酸化チタンなどの外添剤が付加されている。現像ユニット203は、そのトナーを感光体ドラム201上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。直接転写方式の画像形成装置では、搬送ベルト204が駆動ローラー205からの駆動力によって周回して感光体ドラム201へ用紙(記録媒体)を搬送する。転写ローラー206は、搬送されてくる用紙を感光体ドラム201に接触させ、感光体ドラム201上のトナー画像を用紙に転写する。トナー画像を転写された用紙は、定着器209へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。このようにして直接転写方式による印刷が行われる。
【0062】
そして、直接転写方式の画像形成装置では、トナー濃度調整時には、感光体ドラム201から搬送ベルト204へ試験パターンが転写される。センサー208は、センサー8と同様のセンサーであって、搬送ベルト204の所定の領域に光線を照射し光線の反射光(測定光)を検出し、その光量に応じた電気信号を濃度補正部21へ出力する。そして、濃度測定後に、搬送ベルト204に転写された試験パターンは、感光体ドラム201で回収され、クリーニング装置207で感光体ドラム201から除去される。
【0063】
このような直接転写方式の画像形成装置においても、濃度補正部21は、上述の実施の形態と同様に、搬送ベルト204の表面のうち、試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像を担持させる。そして、濃度補正部21は、像担持体搬送ベルト204に担持された清掃用トナー画像を感光体ドラム201とクリーニング装置207で除去させ、清掃用トナー画像を除去した後に試験パターンを担持させる。そして、濃度補正部21は、清掃用トナー画像を除去した後で試験パターンを担持させる前の所定の測定領域からの測定光によるセンサー208の出力値と、試験パターンを担持させた所定の測定領域からの測定光によるセンサー208の出力値とに基づいて、試験パターンのトナー濃度を特定し、特定したトナー濃度に基づいて濃度補正を行う。したがって、直接転写方式の画像形成装置の場合でも、搬送ベルト204から感光体ドラム201上へ清掃用トナー画像が担持され除去されて外添剤が除去される。
【0064】
また、上記の実施の形態において、清掃用トナー画像を1色で現像してもよい。また、濃度補正ごとに異なる色で清掃用トナー画像を現像してもよい。
【0065】
また、上記の実施の形態に係る画像形成装置は、カラー画像形成装置であるが、モノクロ画像形成装置でも本発明を適用できる。
【0066】
また、上記の実施の形態では、ローラー7により中間転写ベルト4上のトナーをクリーニングしているが、その代わりに、感光体ドラム1a〜1dでクリーニングを行うようにしてもよい。
【0067】
また、上記の実施の形態において、試験パターン形成前のセンサー8の出力の代わりに、試験パターン形成後の試験パターンについてのセンサー8の出力の前および/または後のセンサー8の出力(つまり、試験パターンのない部分についてのセンサー8の出力を使用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、画像形成装置のトナー濃度調整に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1a〜1d 感光体ドラム(感光体の一例)
3a〜3d 現像ユニット
4 中間転写ベルト(中間転写体の一例,像担持体の一例)
7 ローラー(クリーニング手段の一例)
8 センサー
21 濃度補正部
61 清掃用トナー画像
204 搬送ベルト
208 センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を担持する像担持体と、
濃度補正時に前記像担持体の表面における試験パターンからの測定光を検出するセンサーと、
濃度補正を行うときに、前記像担持体の表面のうち、前記試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像を担持させ、前記像担持体に担持された前記清掃用トナー画像を除去させ、前記清掃用トナー画像を除去した後に前記試験パターンを担持させる濃度補正部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体上のトナー除去を行うクリーニング手段をさらに備え、
前記トナー画像に使用されるトナーは、外添剤を付加されており、
前記クリーニング手段は、前記トナー除去時に、前記外添剤が付着した領域上に担持されたトナーとともに前記外添剤を併せて除去すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
感光体と、
前記感光体上にトナー画像を現像する現像ユニットとをさらに備え、
前記像担持体は、前記感光体上のトナー画像を転写される中間転写体であって、
前記濃度補正部は、濃度補正を行うときに、前記中間転写体の表面のうち、前記試験パターンが転写され得る領域の全体を覆うように、前記清掃用トナー画像を担持させ、前記中間転写体に転写された前記清掃用トナー画像を除去させ、前記清掃用トナー画像を除去した後に前記試験パターンを転写させること、
を特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写体は、中間転写ベルトであって、
前記清掃用トナー画像は、前記中間転写ベルト上を所定の幅で全周すること、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記濃度補正部は、前記清掃用トナー画像を除去した後で前記試験パターンを担持させる前の所定の測定領域からの測定光による前記センサーの出力値と、前記試験パターンを担持させた前記所定の測定領域からの測定光による前記センサーの出力値とに基づいて、前記試験パターンのトナー濃度を特定し、特定した前記トナー濃度に基づいて濃度補正を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
感光体へ記録媒体を搬送するとともに、濃度補正時に試験パターンを担持する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの表面における前記試験パターンからの測定光を検出するセンサーと、
濃度補正を行うときに、前記搬送ベルトの表面のうち、前記試験パターンが担持され得る領域の全体を覆うように、清掃用トナー画像を担持させ、前記搬送ベルトに担持された前記清掃用トナー画像を除去させ、前記清掃用トナー画像を除去した後に前記試験パターンを担持させる濃度補正部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−212090(P2012−212090A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98982(P2011−98982)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】