説明

画像形成装置

【課題】垂直搬送部周辺のジャム処理操作性に優れ、且つ装置のコンパクト化及び低コスト化にも考慮した画像形成装置を提供する。
【解決手段】ロック部材40は、側面カバー33の両側端から内側に突出する一対のフック部41と、各フック部41を連結するシャフト42と、シャフト42の中央部においてフック部41と反対側に形成された解除レバー43とを有する。解除レバー43を持ち上げると、シャフト42を支軸としてフック部41も下方向に回動し、フック部41と係合部51との係合が解除される。また、フック部41の回動に伴いリンク孔45も回動し、第1リンク孔45aの上端が搬送ユニット35のボス部50に係合する。この状態で側面カバー33を開方向に回動させると、ボス部50と第1リンク孔45aとの係合によって側面カバー33と共に搬送ユニット35も同時に開方向に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に関し、特に、装置下部の給紙部から装置上方に位置する排出部までの垂直搬送部のジャム処理機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙の両面に画像形成を行う画像形成装置では、片面に画像が形成された用紙の表裏面を反転させ、レジストローラー対の上流側に戻して画像形成部に再搬送するための搬送ユニットを備えている。特に、装置下部から上方に向けて用紙を搬送する垂直搬送式の画像形成装置においては、装置本体の側面カバーの内側に搬送ユニットが配置されている。
【0003】
このような垂直搬送式の画像形成装置では、搬送ユニットの内面側にレジストローラー対から画像形成部へと用紙を搬送する用紙搬送路が形成され、搬送ユニットの外面側と側面カバーとの間に表裏を反転させた用紙が通過する反転搬送路が形成される。そのため、用紙搬送路または反転搬送路にジャムした用紙を除去する際に、側面カバーと搬送ユニットを別々に開放する必要があり、ジャム処理時の操作が煩雑であるという問題があった。
【0004】
そこで、用紙搬送路または反転搬送路でジャムした用紙を容易に除去する方法が提案されており、例えば特許文献1には、開閉カバーを開く動作に連動して用紙ガイド部材(搬送ユニット)が回動することにより、用紙搬送路と反転搬送路が同時に開放されるようにした画像形成装置が開示されている。
【0005】
特許文献1の構成によれば、開閉カバーと搬送ユニットの回動支点が同軸でなく、開閉カバーを閉状態にロックするための第1ロック部材と搬送ユニットを閉状態にロックするための第2ロック部材とが別部材で構成されている。そして、第1ロック部材と第2ロック部材の間に移動可能に設けられた移動部材により、第1ロック部材の解除動作に連動して第2ロック部材が解除される。
【0006】
これにより、開閉カバーと搬送ユニットを別々に操作する必要がなくなるため、ジャムした用紙を除去する際の作業性が向上する。また、開閉カバーと搬送ユニットの回動支点が異なるため、用紙搬送路と反転搬送路の開放角度を大きくすることができる。
【0007】
また、特許文献2には、垂直搬送路を構成する外カバーと内カバー(搬送ユニット)とを独立して開閉可能な構成において、内カバーを装置本体側に仮保持する係合部を設けた画像形成装置が開示されている。
【0008】
特許文献2の構成によれば、内カバーを装置本体に固定するフックが不要となるため、部品点数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−330067号公報
【特許文献2】特開2009−139448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1、2の構成では、開閉カバー(外カバー)と搬送ユニット(内カバー)の回動支点が異なるため、開閉カバーの開放動作により反転搬送路が常に大きく開放される。そのため、反転搬送路に用紙がジャムしていない場合にも搬送面が不必要に露出してしまい汚れや傷付きが生じ易くなる。また、搬送ユニット(内カバー)の回動支点が開閉カバーよりも上方にあるため、用紙搬送路の下部まで十分に開放できず、用紙搬送路の下部にジャムした用紙の除去や装置内部のユニット交換作業も困難となる。さらに、特許文献1の構成の場合、開閉カバーと搬送ユニットのロック部材が別個に必要となるため、部品点数が多くなる。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、垂直搬送部周辺のジャム処理操作性に優れ、且つ装置のコンパクト化及び低コスト化にも考慮した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の上流側に配置され、前記画像形成部に向けて記録媒体を送出する給紙部と、前記画像形成部の下流側に設けられ、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を排出する排出部と、該排出部と前記給紙部との間に略垂直方向に延在する用紙搬送路と、装置本体の側面に沿って延設され、一方の面に画像形成がなされた記録媒体を反転させて前記画像形成部へと搬送するための反転搬送路と、装置本体の側面に対して回動可能に支持される側面カバーと、該側面カバーの内側に隣接して配置され、前記側面カバーと対峙する側面で前記反転搬送路を構成するとともに、反対側の側面で前記用紙搬送路を構成する搬送ユニットと、前記側面カバーの内側に回動可能に突設され、装置本体側の係合部に係合するフック部と、該フック部を前記係合部との係合を解除する方向に回動させる解除レバーとを有するロック部材と、を備えた画像形成装置において、前記側面カバー及び前記搬送ユニットは装置本体の下部に同軸の回動支点を有し、前記フック部には前記搬送ユニットのボス部が遊嵌された状態で前記フック部の回動を許容する長孔状の第1リンク孔が形成されており、前記係合部との係合を解除する方向に前記フック部を回動させたとき前記ボス部が前記第1リンク孔の端部に当接することにより、前記側面カバーの開方向への回動に連動して前記搬送ユニットが開方向へ回動することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記フック部には、前記搬送ユニットが回動する方向への前記ボス部の移動を許容する長孔状の第2リンク孔が前記第1リンク孔に連続して形成されており、前記第2リンク孔の長さは、前記搬送ユニットの回動によって前記側面カバーと前記搬送ユニットとに分離して配置される反転搬送ローラー対が離間するために必要な前記ボス部の移動距離以上であることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記ロック部材を前記フック部と前記係合部とが係合する方向に付勢する付勢部材を設け、前記側面カバーの閉方向への回動により前記係合部に当接する前記フック部の先端部に傾斜面を形成したことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記側面カバーの閉方向への回動に伴い前記傾斜面が前記係合部に当接することで前記フック部が回動することにより、前記第2リンク孔が傾斜して前記ボス部の位置を前記第1リンク孔に移動させることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記解除レバーは前記側面カバーの取手部を兼ねていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の構成によれば、側面カバーと搬送ユニットの回動支点を同軸上に構成することで搬送ユニットを側面カバーと同じ角度だけ開くことができる。従って、用紙搬送路の下部におけるジャム処理作業性や、搬送ユニットよりも内側に位置するユニットの交換またはメンテナンス作業性が向上する。また、側面カバーと搬送ユニットを画像形成装置本体に対し一つのロック部材で固定するとともに、側面カバーと搬送ユニットの開方向への回動を連動させたので、側面カバーと搬送ユニットの開閉操作を簡素化しつつ部品点数も削減することができる。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、フック部に、搬送ユニットが回動する方向へのボス部の移動を許容する長孔状の第2リンク孔を第1リンク孔に連続して形成し、第2リンク孔の長さを反転搬送ローラー対が離間するために必要なボス部の移動距離以上とすることにより、側面カバーと搬送ユニットとを開放した後、搬送ユニットだけを閉方向に回転させることで、反転搬送ローラー対を構成する側面カバー側のローラーと搬送ユニット側のローラーとが離間し、反転搬送路内でジャムした用紙を容易に除去することができる。また、ジャム処理時以外は反転搬送路が開放されないため、反転搬送路のガイド面を汚れや傷付きから保護することができる。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の画像形成装置において、側面カバーを閉方向へ回動させたときフック部の傾斜面が係合部に当接してフック部を自動的に回動させ、傾斜面が係合部から外れる位置まで側面カバーを回動させたとき、付勢部材の付勢力によってフック部が係合部に確実に係合する。従って、作業者が解除レバーから手を離した状態で側面カバーを閉方向へ回動させた場合でも、フック部と係合部との干渉を回避してフック部或いは係合部の破損を確実に防止可能となる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の画像形成装置において、側面カバーの閉方向への回動に伴いフック部が回動することで、第2リンク孔が傾斜してボス部の位置を第1リンク孔に移動させることにより、ボス部が第2リンク孔内のどの位置にあっても、側面カバーの閉動作により搬送ユニットの反転搬送ローラー対がニップを形成する所定位置に確実に配置することができる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の画像形成装置において、解除レバーが側面カバーの取手部を兼ねることにより、解除レバーを引く一つの動作で側面カバーのロック解除と開放操作とを同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の画像形成装置の内部構成を示す概略断面図
【図2】本発明の画像形成装置における用紙搬送経路の側面断面図
【図3】用紙搬送経路を構成する搬送ユニットを装置内側(図2の右側)から見た外観斜視図
【図4】側面カバー33のフック部41周辺の拡大斜視図
【図5】本発明の画像形成装置に用いられるロック部材40の斜視図
【図6】本発明の画像形成装置に用いられるロック部材40の側面図
【図7】フック部41と係合部51とが係合した状態を示すロック部材40と搬送ユニット35の部分斜視図
【図8】フック部41と係合部51との係合が解除された状態を示すロック部材40と搬送ユニット35の部分斜視図
【図9】側面カバー33及び搬送ユニット35が最大開放位置に配置された状態を示す側面図
【図10】図9の状態から搬送ユニット35だけを閉方向に回動させた状態を示す側面図
【図11】図10において側面カバー33内の反転搬送ローラー対37が離間した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。図1において、画像形成装置100(ここでは一例としてモノクロ複写機を示す)本体には、帯電、露光、現像及び転写の各工程によりモノクロ画像を形成する画像形成部8が配設されている。
【0024】
次に、画像形成部8について説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1を帯電させる帯電装置2と、感光体ドラム1に画像情報を露光する露光装置(レーザー走査ユニット等)4と、感光体ドラム1上にトナー像を形成する現像装置3と、感光体ドラム1上に残留したトナーを除去するクリーニング装置5とが配置されている。また、感光体ドラム1の表面の残留電荷を除去する除電装置(図示せず)が感光体ドラム1の回転方向(図1の矢印A方向)に対しクリーニング装置5の下流側に設けられている。感光体ドラム1を矢印A方向に回転させながら、感光体ドラム1に対する画像形成プロセスが実行される。
【0025】
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の給紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12及びレジストローラー対13を介して感光体ドラム1と転写ローラー9との間のニップへと搬送される。
【0026】
画像読取部20は、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサ等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0027】
コピー動作を行う場合、画像読取部20において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、画像形成装置100本体内の画像形成部8において、帯電装置2により図中のA方向に回転する感光体ドラム1が一様に帯電され、画像読取部20で読み取られた原稿画像データに基づく露光装置4からのレーザービームにより感光体ドラム1上に静電潜像が形成され、現像装置3により静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成される。この現像装置3へのトナーの供給はトナーコンテナ6から行われる。
【0028】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム1に向けて、用紙が給紙カセット16から用紙搬送路19及びレジストローラー対13を経由して画像形成部8に搬送され、この画像形成部8において転写ローラー9により感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1の表面に残留したトナーがクリーニング装置5により除去される。
【0029】
そして、用紙Pがレジストローラー対13から所定のタイミングで感光体ドラム1と転写ローラー9とのニップ部(転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着部7へと搬送される。
【0030】
定着部7に搬送された用紙Pは、定着ローラー対14のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定の画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、搬送ローラー対15を経て用紙搬送路19の分岐部に配置された搬送ガイド部材21によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、反転搬送路23に送られて両面コピーされた後に)、排出ローラー対25を介して排出トレイ18に排出される。
【0031】
用紙搬送路19は、具体的には、搬送ローラー対15の下流側において左右二股に分岐し、一方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は排出トレイ18に連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は反転搬送路23に連通するように構成されている。
【0032】
図2は、図1における用紙搬送経路の側面断面図であり、図3は、用紙搬送経路を構成する搬送ユニットを装置内側(図2の右側)から見た外観斜視図である。本発明の画像形成装置は、装置の背面に沿って略C字状の反転搬送路23を設けた構造(背面Cパス)となっており、図2及び図3に示すように、装置後側には反転搬送路23の一部(外側面)を構成する側面カバー33が支点33aで回動可能に支持されている。
【0033】
側面カバー33の内側には、定着部7の上流側(下側)における反転搬送路23の一部(反転搬送路23の装置内側の内壁面)と用紙搬送路19の一部(用紙搬送路19の装置外側の内壁面)を構成する搬送ユニット35が側面カバー33の支点33aと同軸の支点35aで回動可能に支持されている。また、側面カバー33の内側上方には、画像形成装置100本体側の係合部51(図7参照)に係合して側面カバー33を閉状態に保持するフック部41が突出している。フック部41を含むロック部材40(図5参照)の構成については後述する。
【0034】
搬送ユニット35の内側面には、用紙の搬送方向上流側(下側)から順に、レジストローラー対13を構成する片側のローラー13b、転写ローラー9が付設されている。また、搬送ユニット35の外側面には、反転搬送ローラー対37を構成する片側のローラー37bが付設されている。
【0035】
次に、図2及び図3を用いて片面及び両面印刷時の用紙搬送順路について詳細に説明する。転写ローラー9と感光体ドラム1(図1参照)との転写ニップ部で片面に画像が形成された用紙は、定着ローラー対14及び搬送ローラー対15を順に下から上方向へ通過し、搬送ガイド部材21に到達する。
【0036】
通常は、搬送ガイド部材21は図2のように、定着部7を通過した用紙を排出ローラー対25に案内する位置に配置されている。そして、用紙の片面のみに画像を形成する場合は、搬送ローラー対15を通過した用紙は搬送ガイド部材21の下面に沿って排出ローラー対25へと案内され、排出トレイ18(図1参照)上に排出される。
【0037】
一方、用紙の両面に画像を形成する場合、排出ローラー対25によって用紙は排出トレイ18上に排出されていくが、用紙検知センサ(図示せず)によって用紙の後端が搬送ガイド部材21を通過したことが検知されると、所定時間後に排出ローラー対25が一旦停止する。同時に、搬送ガイド部材21は排出ローラー対25でスイッチバックされた用紙を反転搬送路23へ案内する位置に配置される。
【0038】
次に、排出ローラー対25を逆回転させることにより、用紙は再び装置内部に引き込まれ、搬送ガイド部材21の上面に沿って反転搬送路23へ案内される。なお、用紙の後端が通過した後は、搬送ガイド部材21を再び用紙を排出ローラー対25に案内する位置に配置しておく。
【0039】
その後、反転搬送路23を通過した用紙は、画像形成面が逆向き(図1の左向き)の状態でレジストローラー対13の上流側まで搬送される。そして、所定のタイミングで用紙を転写ローラー9と感光体ドラム1とのニップに搬送することにより、用紙の画像が形成されていない面に感光体ドラム1上に形成された新たなトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙は、定着部7、搬送ローラー対15を経由して搬送ガイド部材21の下面に沿って排出ローラー対25に案内され、排出トレイ18上に排出される。
【0040】
図4は、側面カバー33のフック部41周辺の拡大斜視図であり、図5及び図6は、フック部41を含むロック部材40の斜視図及び側面図である。ロック部材40は、側面カバー33の両側端から内側に突出する一対のフック部41と、各フック部41を連結するシャフト42と、シャフト42の中央部においてフック部41と反対側に形成された解除レバー43とを有する。
【0041】
ロック部材40は、シャフト42を支軸として側面カバー33に回動自在に支持されており、シャフト42の両端部にはロック部材40をフック部41と係合部51(図7参照)とが係合する方向に付勢するねじりバネ47(図7参照)が付設されている。そして、ねじりバネ47の付勢力に抗して解除レバー43を操作することでフック部41と係合部51との係合を解除可能となっている。解除レバー43は、側面カバー33を開閉する際の取手部を兼ねている。
【0042】
フック部41の先端からシャフト42までの間には、搬送ユニット35の両側端に突設されたボス部50が遊嵌されるリンク孔45が形成されている。リンク孔45は、シャフト42に近接する縦長状の第1リンク孔45aと、第1リンク孔45aの下部に連続して形成されフック部41の先端に向かって延在する横長状の第2リンク孔45bとで構成される略L字形状の長孔である。また、フック部41の先端には、側面カバー33を閉方向に回動させたとき係合部51に当接する部分に傾斜面41aが形成されている。
【0043】
次に、本発明の画像形成装置において、用紙搬送路または反転搬送路周辺で用紙がジャムした場合のジャム処理方法について説明する。図7に示すように、通常は、ねじりバネ47の付勢力によりフック部41が係合部51と係合する方向(図7の反時計回り方向)に付勢されており、側面カバー33及び搬送ユニット35は画像形成装置100本体に対し所定位置に保持されている。このとき、搬送ユニット35のボス部50は第1リンク孔45aの下端、且つ第2リンク孔45bの左端、即ち略L字形状のリンク孔45の屈曲部に位置している。
【0044】
定着部7の上流側の用紙搬送路19において用紙がジャムした場合は、図8に示すように解除レバー43を矢印B方向に持ち上げると、ロック部材40がシャフト42を支軸として回動し、フック部41も矢印B′方向に回動する。これにより、フック部41と係合部51との係合が解除される。また、フック部41の回動に伴いリンク孔45も回動し、第1リンク孔45aの上端が搬送ユニット35のボス部50に係合する。この状態で側面カバー33を開方向に回動させると、ボス部50と第1リンク孔45aの上端との係合によって側面カバー33と共に搬送ユニット35も同時に開方向に回動する。
【0045】
図9は、側面カバー33及び搬送ユニット35が最大開放位置に配置された状態を示す側面図である。搬送ユニット35には転写ローラー9及びレジストローラー対13の一方のローラー13bが配置されており、搬送ユニット35の開放により転写ローラー9が感光体ドラム1から離間するとともにレジストローラー対13のニップが解除されるため、用紙搬送路19の一部(定着部7の上流側)が露出してジャム処理が可能となる。
【0046】
また、側面カバー33及び搬送ユニット35が開放された図9の状態で解除レバー43から手を離すことにより、搬送ユニット35のボス部50は再びリンク孔45の屈曲部に位置する。その結果、ボス部50は第2リンク孔45bに沿って移動可能となるため、反転搬送ローラー対37を圧接するバネ(図示せず)の反力によって反転搬送ローラー対37のニップ圧が解除される。
【0047】
一方、定着部7よりも下方の反転搬送路23において用紙がジャムした場合は、図10に示すように、搬送ユニット35だけを閉方向(図10の白矢印方向)に持ち上げる。ここで、ボス部50が遊嵌する第2リンク孔45bの長さは、搬送ユニット35の閉方向への回動によって反転搬送ローラー対37が離間するのに必要なボス部50の移動距離以上であるため、図11に示すように、反転搬送ローラー対37を構成する側面カバー33側のローラー37aと搬送ユニット35側のローラー37bとが離間し、反転搬送路23内でジャムした用紙の処理が可能となる。
【0048】
ジャムした用紙を除去した後、側面カバー33及び搬送ユニット35を閉方向に回動させていくと、フック部41の傾斜面41aが係合部51に当接する。さらに側面カバー33及び搬送ユニット35を回動させると、傾斜面41aが係合部51に当接することでフック部41が下方向(図8の矢印B′方向)に回動する。フック部41の回動に伴い、フック部41に形成された第2リンク孔45bも徐々に下向きに傾斜するため、ボス部50は第2リンク孔45bの上側の開口縁に押され、第2リンク孔45bに沿って第1リンク孔45aの方向に移動する。
【0049】
そして、側面カバー33が完全に閉じられたとき、図7に示すように、ボス部50は再びリンク孔45の屈曲部に配置される。従って、側面カバー33及び搬送ユニット35の開放時にボス部50が第2リンク孔45b内のどの位置にあっても、側面カバー33の閉動作により、搬送ユニット35を反転搬送ローラー対37がニップを形成する所定位置に確実に配置することができる。
【0050】
以上のような構成とすることにより、側面カバー33の回動支点33aと搬送ユニット35の回動支点35aとを同軸上に構成し、側面カバー33と搬送ユニット35とを同時に且つ円滑に開閉することができる。従って、ジャム処理時の操作性を高めつつ、部品点数も削減することができる。
【0051】
また、搬送ユニット35が側面カバー33と同じ角度だけ開くので、用紙搬送路19の下部まで十分に開放され、用紙搬送路19の下部にジャムした用紙を容易に除去することができる。また、搬送ユニット35よりも画像形成装置100本体の内側に位置する感光体ドラム1や現像装置3等の交換やメンテナンス作業も容易となる。
【0052】
さらに、ジャム処理時以外は反転搬送路23が開放されないため、反転搬送路23のガイド面となる側面カバー33の内側面及び搬送ユニット35の外側面を汚れや傷付きから保護することができる。
【0053】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、フック部41は下方向(図8の矢印B′方向)へ回動する構成としたが、解除レバー43の操作方向を逆向きにしてフック部41が上方向に回動する構成とすることもできる。この場合、第1リンク孔45aと第2リンク孔45bの関係を上下逆(逆L字形状)にすれば良い。
【0054】
また、本発明は図1に示したようなモノクロ複写機に限らず、カラー複写機や、デジタル複合機、モノクロ及びカラープリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置や、インクジェットプリンター等の電子写真方式以外の画像形成装置等、他の垂直搬送式の画像形成装置にも適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、装置本体の下部に給紙部が位置し、上方に排出部が位置する垂直搬送式の画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、ジャム処理時の操作性を高めつつ、装置のコンパクト化及び低コスト化にも考慮した画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 現像装置
4 露光装置
5 クリーニング装置
7 定着部
8 画像形成部
9 転写ローラー(転写部)
13 レジストローラー対
14 定着ローラー対
15 搬送ローラー対
16 給紙カセット(給紙部)
19 用紙搬送路
23 反転搬送路
25 排出ローラー対(排出部)
33 側面カバー
33a (側面カバーの)回動支点
35 搬送ユニット
35b (搬送ユニットの)回動支点
37 反転搬送ローラー対
40 ロック部材
41 フック部
41a 傾斜面
42 シャフト
43 解除レバー
45 リンク孔
45a 第1リンク孔
45b 第2リンク孔
47 ねじりバネ(付勢部材)
50 ボス部
51 係合部
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
該画像形成部の上流側に配置され、前記画像形成部に向けて記録媒体を送出する給紙部と、
前記画像形成部の下流側に設けられ、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を排出する排出部と、
該排出部と前記給紙部との間に略垂直方向に延在する用紙搬送路と、
装置本体の側面に沿って延設され、一方の面に画像形成がなされた記録媒体を反転させて前記画像形成部へと搬送するための反転搬送路と、
装置本体の側面に対して回動可能に支持される側面カバーと、
該側面カバーの内側に隣接して配置され、前記側面カバーと対峙する側面で前記反転搬送路を構成するとともに、反対側の側面で前記用紙搬送路を構成する搬送ユニットと、
前記側面カバーの内側に回動可能に突設され、装置本体側の係合部に係合するフック部と、該フック部を前記係合部との係合を解除する方向に回動させる解除レバーと、を有するロック部材と、
を備えた画像形成装置において、
前記側面カバー及び前記搬送ユニットは装置本体の下部に同軸の回動支点を有し、前記フック部には前記搬送ユニットのボス部が遊嵌された状態で前記フック部の回動を許容する長孔状の第1リンク孔が形成されており、前記係合部との係合を解除する方向に前記フック部を回動させたとき前記ボス部が前記第1リンク孔の端部に当接することにより、前記側面カバーの開方向への回動に連動して前記搬送ユニットが開方向へ回動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記フック部には、前記搬送ユニットが回動する方向への前記ボス部の移動を許容する長孔状の第2リンク孔が前記第1リンク孔に連続して形成されており、前記第2リンク孔の長さは、前記搬送ユニットの回動によって前記側面カバーと前記搬送ユニットとに分離して配置される反転搬送ローラー対が離間するために必要な前記ボス部の移動距離以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ロック部材を前記フック部と前記係合部とが係合する方向に付勢する付勢部材を設け、前記側面カバーの閉方向への回動により前記係合部に当接する前記フック部の先端部に傾斜面を形成したことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記側面カバーの閉方向への回動に伴い前記傾斜面が前記係合部に当接することで前記フック部が回動することにより、前記第2リンク孔が傾斜して前記ボス部の位置を前記第1リンク孔に移動させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記解除レバーは前記側面カバーの取手部を兼ねていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−220546(P2012−220546A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83252(P2011−83252)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】