説明

画像形成装置

【課題】側板に対する装置の締結時に発生する位置ずれを防止したフレーム構造を提供する。
【解決手段】ステー材13は、左側板12に対向する左側連結部と右側板に対向する右側連結部を備え、右側連結部及び左側連結部の一方に第一連結部11d0,13a1と第二連結部11d0’,13b1、他方に第三連結部11d,13a1と第四連結部11d’,13b’が設けられ、左右側板からステー材に向かって突出した凸部に殆ど寸法差のない状態で嵌合する凹部から構成され、第二連結部11d0’,13b1と第四連結部11d’,13b’は、ステー材の対向する位置に配置されており、左右側板のいずれか一方からステー材に向かって突出した凸部と前後方向に寸法差を有する第1の長孔と、左右側板の他方から連結部材に向かって突出した凸部と前後方向及び上下方向に寸法差を有する第2の長孔で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、側板間に種々の機能部品や装置の組み付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、対向する側板を含むフレーム構造体内に種々の機能部品や装置を組み込んだ構成を備えた装置の一つに画像形成装置がある。
【0003】
画像形成装置には、単一色のみでなく複数色の画像を形成可能なフルカラープリンタ等が近年多用されるようになってきている。
フルカラープリンタにおいては、複数の作像部において形成された色の画像を記録紙などの記録媒体に順次転写する方式あるいは各色の画像を中間転写体に順次重畳転写する1次転写工程と、1次転写工程により得られた重畳画像を中間転写体に向けて搬送される記録媒体に対して一括転写する2次転写工程とを備えた方式が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
複数色の画像を重畳転写する場合には、色画像同士の転写位置精度を高めて色ずれなどの異常画像が発生するのを防止する必要がある。
【0005】
転写位置精度に影響する要因の一つに、各画像を形成するために用いられる作像部の部品取り付け精度がある。つまり、各作像部間での像担持体の平行度が得られていない場合や走査光の主走査方向での光路長の違いがあると作像部間での転写位置がずれることになり、これによって重畳した際の画像の転写開始位置が異なることで色ずれを発生する場合がある。
【0006】
従来、各作像部間での装置の取り付け精度を悪化させないようにするための構成として、これら各装置を支持するために用いられるフレーム構造体の側板間にステーを横架する構成(例えば、特許文献2,3)、あるいは、治具を用いて側板とステーとの位置関係を規定した上で各装置の取り付けを行うようにした構成がある(例えば、特許文献1)。
【0007】
側板間に横架されたステーを取り付ける構成としては、ステー側に複数の凸部を、そしてこの凸部に対応する側板側の位置に凸部が嵌合可能な凹部を設け、凸部および凹部の一つを基準に他の凸部および凹部の位置および大きさに関しての誤差を公差範囲内に抑えるようにした構成が知られている(例えば、特許文献4)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2,3にあるような、側板間にステーを配置して外力が作用した場合などに生じやすい側板の傾きを防止する構成においては、ステーを用いて補強することによって側板の剛性を高めることができる。このような側板の剛性、特に外力に対する剛性を高めるためには側板自体の剛性が必要となる。そこで、側板は比較的自身の剛性を確保しやすいSECC等の板金部材が用いられることが多い。
【0009】
しかし、側板を板金部材とした場合には、そのフレーム構造自体の重量が増加し、画像形成装置全体での重量増加を招く虞がある。
【0010】
このため、フレーム構造体の軽量化および低コスト化を意図して側板などの支持構造部品に樹脂成形品を用いることが考えられる。
【0011】
樹脂成形品を用いた場合には、それ自体で板金部材よりも小型で剛性を確保することは難しい。そこで、軽量化を図りながら各装置の取り付け位置での剛性を確保する目的で一部に板金部品を一体的に取り付けて構成することが考えられる。
【0012】
このような構成を用いた場合には、板金部品の組み込みを考慮して成形金型を作る必要があるという理由により成形型が複雑化してしまい、複雑な形状を得ることが難しい。加えて、一部に板金部材を取り付けるようにする場合には、板金部材の使用により樹脂成形のみの場合に比べて材料コストや組み立てコストの上昇も招くことになる。
【0013】
一方、側板間に取り付けられる装置は締結によることが多い。このため、側板同士の剛性を確保したにも拘わらず、装置の取り付け時での締結による位置のずれが原因して各装置間での位置精度を確保することができない場合がある。 この問題は、樹脂成形によって支持部構造を製作した場合にもいえることであり、軽量化や部品の大型化さらには一体成形による追加部品の削減を樹脂成形によって得たとしても、この樹脂成形品を対象とする装置の取り付け位置のずれにより重畳画像同士の位置がずれてしまう虞がある。
【0014】
特に、特許文献4に開示されている構成を用いた場合には、取り付け時のずれを解消することができても取り付け後に作用する外力によって発生するステーの変形ずれを防止することまではできないのが現状である。
【0015】
このように、装置取り付けに際して締結部での位置ずれや取り付け後に作用する外力によって側板間に位置するステーの捩れが発生すると、装置と側板との締結部に外力の集中が起こりやすいことが原因して取り付けられた装置の位置ずれを発生させる虞がある。
【0016】
特に、引用文献2,3にあるように、ステーを締結により側板と一体化した場合には、側板同士の位置関係がステーとの間の位置関係に拘束されることから、側板とこれに取り付けられる装置との間での取り付け位置関係が制約されてしまい、装置の取り付け位置がずれたままとなる虞がある。また、特許文献1にあるように、治具を用いて側板同士の位置決めを行う場合には治具を排除した後の外力によって治具により側板との位置関係を規定されたステーにねじれが発生して側板同士の位置ずれを生じる虞がある。
【0017】
本発明の目的は、上記従来のフレーム構造における問題に鑑み、お互いに設置位置関係を規定された側板に対する装置の締結による装置同士の位置ずれを防止して装置間での位置ずれが原因する異常画像の発生を防止することが可能な構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的を達成するため本発明は、対向する左側板と右側板と、該側板間に横架され、両端面が前記側板に支持される連結部材とからなるフレームと、前記左右側板間に像担持体及び転写手段が設けられた画像形成装置において、
上記連結部材は、上記左側板に対向する左端面に左側連結部と、上記右側板に対向する右端面に右側連結部を備えており、
前記右側連結部及び左側連結部のいずれか一方には、第一連結部と第二連結部が設けられ、他方には、第三連結部と第四連結部が設けられており、
前記第一連結部と前記第三連結部は、前記連結部材の対向する位置に配置されており、前記左右側板から前記連結部材に向かってそれぞれ突出した凸部に殆ど寸法差のない状態で嵌合する凹部から構成され、
前記第二連結部と前記第四連結部は、前記連結部材の対向する位置に配置されており、その何れか一方は、前記左右側板のいずれか一方から前記連結部材に向かって突出した凸部と前後方向にのみ寸法差を有する第1の長孔で構成されており、他方は、前記左右側板の他方から前記連結部材に向かって突出した凸部と前後方向及び上下方向に寸法差を有する第2の長孔で構成されていることを特徴とする画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第一の長穴が殆ど寸法差のない関係であるので、連結部材を側板に取り付ける際の決め部とすることができ、一方、第2の長穴では寸法差により、側板に対する連結部材が回転方向の位置ズレを規制された状態で側板と連結部材とを固定することができる。これにより、各長穴の形状を異ならせるだけの簡単な構成により、各装置を取り付けるために用いられる連結部材と側板との位置関係が整合されることになるので、位置ずれによる異常画像の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を実施するための最良の形態によるフレームを用いる画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態によるフレームの原理構成を説明するための模式図である。
【図3】図2に示した原理構成における一方の側板の側面から見た図である。
【図4】図2に示した原理構成における他方の側板の側面から見た図である。
【図5】図2に示した原理構成における側板とステー材との締結状態を説明するための模式図である。
【図6】本発明を実施するための最良の形態による原理構成の変形例を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施例によるフレームの構成を説明するための模式図である。
【図8】図2に示した原理構成におけるフレームに用いられる側板の他方側から見た実施例を示す斜視図である。
【図9】図8に示した実施例の分解斜視図である。
【図10】図2に示した原理構成におけるフレームに用いられる側板の一方側から見た実施例を示す分解斜視図である。
【図11】図2に示した原理構成におけるフレームに用いられる側板の一方側から見た実施例を示す斜視図である。
【図12】図6に示した原理構成の変形例におけるフレームを示す斜視図である。
【図13】図12に示したフレームにおける側板の他方側から見た分解斜視図である。
【図14】図12に示したフレームにおける側板の一方側から見た分解斜視図である。
【図15】図8に示したフレームに用いられるステー材の補助機構に用いられる部材を示す斜視図である。
【図16】図1に示した構成の一部変形例を示す模式図である。
【図17】図16に示した一部変形例の構成を示す斜視図である。
【図18】図1および図16に示した画像形成装置の一部を開放した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図において本発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず、本発明の特徴部を説明するに前に、本発明者により考えられた側板同士の位置ずれ防止対策としての原理構成について説明する。
【0022】
図1は、本発明によるフレームが用いられる電子機器の一つである画像形成装置の構成を示す模式図であり、同図に示す画像形成装置は、レーザ光を用いた書込による複数色の画像形成が可能な画像形成部を並置したカラーレーザープリンタ(以下、便宜上、レーザープリンタという)1であるが、本発明では、複写機やファクシミリ装置あるいは印刷機なども画像形成装置に含まれるものとする。
【0023】
図1に示すカラーレーザープリンタの構成を説明すると次の通りである。
図1においてカラーレーザープリンタは、黒、シアン、マセンタ、イエロー(K、C、M、Yの符号で各色を示す)の色毎に一定速度で回転する像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yと、カラー現像器22K、22C、22M、22Yを持つ現像ユニットと、現像ユニットにより現像された各色の画像を1次転写工程により重畳転写されたカラー画像を保持して給紙部5から給紙された転写材Pにさらに2次転写工程において転写する中間転写体(中間転写ベルト、転写材Pの搬送ベルト、感光体ベルトでもよい)41とを備えている。
カラー画像を転写された転写材Pを定着部6へ搬送してカラー画像を転写材Pに定着し、排出ローラ71によって装置上面の排紙部へ排出するものである。なお上記4色のカラー現像器と像担持体は各色にて一体構成されプリンタ本体に対して個別に着脱可能に構成されている。
【0024】
次に上記画像形成装置の対象となるカラーレーザープリンタ1の各部の構成について詳細に説明する。
像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yは、現像ユニットに装備されている現像器22K、22C、22M、22Yおよび、トナー収容容器23K、23C、23M、23Yと一体的に構成され、この現像ユニットはプリンタ本体に対して着脱自在に保持され、トナーの消耗に応じて容易にユニット交換可能であるように構成されている。
【0025】
図1に示す像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yは、アルミシリンダの外側に有機光導体層を塗布して構成し、像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yの両端で同軸上に配置された図示しないフランジ、軸受けおよび軸を介して、現像ユニットに装備されている現像器22K、22C、22M、22Yを含む、後述のプロセスカートリッジのハウジングに対して回動自在に支持されており、像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yと軸は導通が取られている。
また、像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yと同軸上には図示しない駆動伝達機構(例えば、はす歯ギヤ)があり、図示しない駆動装置より動力を得て回動する。
【0026】
帯電手段24K、24C、24M、24Yは前記像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Y表面を一様に帯電させるものである。
【0027】
上記像担持体への書込は、書込露光装置3からの各色LD光(31K、31C、31M、31Y)にて行われ、一定速度で回転する像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yの表面を選択的にレーザ光を照射して露光書き込みすることにより像担持体上に静電潜像を形成する。
【0028】
現像手段は、上記静電潜像を可視化するために、黒、シアン、マセンタ、イエローの各色の現像を可能とする4個の現像器22K、22C、22M、22Yから構成させる。4色の各現像器22K、22C、22M、22Yは像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yに対向する現像ローラ25K、25C、25M、25Yが像担持体(感光体ドラム) 21K、21C、21M、21Yに対して回転しながら接触する位置に配置され、像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yに各色トナーによる可視像を形成する。
【0029】
図1に示すカラーレーザープリンタ1では、色毎での画像形成に用いられる装置のうちで、像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yおよびこれに対する画像形成処理を行う現像器22K、22C、22M、22Yや帯電手段24K、24C、24M、24Yそして転写後の像担持体(感光体)を対象とするクリーニング装置が色毎の画像形成部において纏められたプロセスカートリッジが用いられる。
【0030】
中間転写体(以下中間転写ベルト)41はカラー画像形成動作時には各現像器22K、22C、22M、22Yにより可視化された像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yのトナー画像を多重転写するため回動する。中間転写体は主に中間転写ベルト41、駆動伝達を行う駆動ローラ42、前記中間転写ベルトを架張するテンションローラ43により構成される。像担持体(感光体ドラム)21K、21C、21M、21Yで形成されたトナー画像は中間転写ベルト41に多重転写される。多重転写を受けた中間転写体(中間転写ベルト)41は二次転写部44において転写材Pに各色トナー像を一括転写する。
【0031】
その他給紙カセット51から転写材Pを給紙する給紙装置5、給紙された転写材Pを搬送する搬送装置8、転写材Pに一括転写されたカラー画像を定着させる定着部6、画像形成を完了させた転写材Pを装置上部の排紙口まで搬送する排紙部7、および転写材Pの両面に画像形成するための両面印刷部9を備えている。
【0032】
上記の構成を備えたカラーレーザープリンタ1では、装置本体がフレームを組み合わせた筐体で構成されており、フレーム構造には、上記の画像形成部に用いられる各種装置および部材そして、画像形成部での像担持体と対応する関係にある中間転写体が組み込まれるようになっている。
【0033】
以下、フレームの構成について説明する。
図2乃至図6は、フレームの原理構成を説明するための模式図である。なお、以下の説明において用いるフレームは、フレーム構造体、あるいは骨格や枠組みと同義であり、以下の説明においては画像形成装置での筐体の骨格部分を指すが、本発明ではこれに限らず、画像形成装置と同様に電装部品を組み込んで用いられる電子機器一般あるいはその他の構造物が該当し、構造体には金属あるいは樹脂などが材料として用いられる。
【0034】
図2において、フレームの主要部は、対向する側板11,12間において互いに設定されている位置関係により画像形成部に用いられる装置や部材が取り付けられる構成を備えている。
【0035】
フレームの主要部に用いられる側板11,12同士は、対向面間に横架された板状部材の連結部材であるステー材13によって連結されるようになっている。
ステー材13は、側板11,12の直立方向(縦方向)と同一面内で直角な方向を前後方向とされ、前後方向における左右方向端面が折り曲げられて片部を形成され、その端面が側板11,12に締結によって支持されるようになっている。
【0036】
ステー材13に一体化される側板11,12の対向面には、図8〜図14に示すように、装置もしくは部材の位置決め保持部として、画像形成部に用いられる像担持体支持部11a,12a、転写装置支持部11b、12b、書込露光装置支持部11c、12c、その他の装置の支持部が設けられている。なお図17は、ステー材13とこの上部に位置する廃トナータンクTGとの位置関係を示している。
【0037】
上記各支持部は、側板11,12における各支持対象物の位置決めを行うことができる位置に設けられた嵌合用溝部などが用いられ、その形成位置は、側板11,12間で、例えば、側板11,12の底面からの高さが各支持対象物同士で同一となる位置とされて前後方向の左右方向で対称位置に形成されている。
【0038】
図2においてステー材13は、紙面に向かって右方向端面の側板11に設けられ、左方向の側板12に対しては矢印V(以下、側板12が示されている図4,図7,図11,図12においてもこれと同様な意味で表示されている)で示すように回転の自由度を有して回転により上下方向に変位できるようになっている。換言すれば、側板12がステー材13に対して回転できるようになっている。
【0039】
図2において、フレームの一部に用いられる連結部材に相当するステー材13は、紙面に向かって左右に位置する側板に対して連結される構成を備えている、つまり、ステー材13の左右方向一方側端面と対向する側板11には、前後方向に沿って、ステー材13と側板11との連結部を構成する第1,第2の凸部を用いる前側および後側凸部11d、11d’がそれぞれ設けられている。これら前側、後側凸部11d、11d’に対向するステー材13の端面には、前側および後側凹部13a、13bが設けられており、これら凸部および凹部は対向するもの同士が嵌合することにより互いに連結される。
【0040】
一方、側板11に対向する側板12において、ステー材13の端面と対向する面には、前後方向で上記前側および後側凸部11d、11dの配置位置間のほぼ中央でステー材13の底面から上記凸部の高さ位置と同じレベルの高さ位置に単一凸部(便宜上、符号11d1で示す)が連結部として設けられている。
【0041】
単一凸部11d1は、後述するが、ステー材13に設けられている単一の凹部13a’に対して上下方向に変位しないものの、側板12を回転させる際の回転支点として用いられる。
【0042】
前側凸部11dと単一凸部11d1とは同じ大きさとされ、これが嵌合するステー材13側の凹部13a,13a’は前側凸部11dおよび単一凸部11d1の嵌合代以外に余裕を持たないで殆ど同一の大きさとされ、嵌合した場合にずれないようにされている。
【0043】
一方、側板11側の後側凸部11d’とこれに嵌合するステー材13側の凹部13bとは同じ大きさではなく、後側凸部11d’に対して凹部13bが大きくなる関係で形成されており、図2に示す例では、凹部13bが凸部11d’の外径に対して前後方向での大きさ、いわゆる、嵌合代を大きくした長孔で構成されている。嵌合代が側板11の前後方向にあることにより、側板12とステー材13との組み付けに先立ち、側板11とステー材13との組み付け時には、ステー材13側の凹部13a’に対して側板11側の後側凸部11d’を整合させて嵌合させることができる。
【0044】
このため、ステー材13を側板11側において取り付ける際には、定盤や治具などにより側板11,12同士を対向させると、側板11とステー13は固定され、側板12が単独でV方向に回動する。言い換えると、側板12が、ステー13と側板11を合わせたものに対して回動する。もしくは、ステー13と側板11を合わせたものが、側板12に対して回動する。これは13bに対する11d´および、13aに対する11dがともに上下方向にガタを持たないことによる。この結果、側板11とステー13が固定されていても、側板12が回動することにより、側板11と側板12との平行度を調整することが可能となる。これによって両側板の平行度がステー13にならってしまうことを防止できる。
【0045】
側板12側に位置する第3の凸部である単一凸部11d1がステー材13側の凹部13a’内で回転可能に嵌合されているので、側板11と側板12との平行度にズレが生じている場合でも、ステー材13の姿勢を無理にねじるなどの操作によって水平状態に調整しなくても、嵌合部および回動部での組み付け状態を利用してステー材13の自然な姿勢を保ったままネジを用いて締結することができる。なお、本実施例では、側板側のネジ穴の大きさとして、ステー13の位置変化に対応できる大きさの径を設定されている。
【0046】
この結果、平行度などの対向関係を予め規定された側板11,12に有する締結位置に対してステー13が自らの締結位置を整合させるように変位することができるので、予め規定された対向関係を維持している側板11,12同士の関係を崩すことなくステー13を側板11,12に対して連結することが可能となる。もしくは、側板12を、固定しているステー13・側板11に対して回動させて平行度を調整することも可能である。
つまり、側板同士11,12をこれに設けられている、装置あるいは部材の支持部11a,12aや11b、12bあるいは11c、12cのいずれかを利用して装置を装着した状態で、ステー材13の精度によらず、側板同士の対向関係を基準として側板11,12とのねじれ角を規制することができる。
【0047】
これにより、側板11,12に対するステー材13側の締結位置に誤差が生じていても側板11,12のねじれ角を調整できるので、ステー材13側を基準とするのでなく、予め対向関係を規定されている側板11,12側を基準としてステー材13を取り付けることができ、ステー材13側の締結位置を基準とした場合に側板同士の対向関係が崩れてしまうような事態が発生するのを防止して、いわゆる、側板11,12とステー材13との連結に際して、ステー材13による側板11,12の位置拘束が行われない状態を得ることができる。
【0048】
なお、図3において(A)は、前側凸部11dと後側凸部11d’とステー材13側の凹部13a,13bとが嵌合した状態を側板11の外側から示した図であり、図4において(A)は、側板12に有する単一凸部11d1とステー材13側の凹部13aとが嵌合した状態での側板12の外側から示した図である。また、図3(B)は、側板11とステー材13との接触面を、そして図4(B)は側板12とステー材13との接触面をそれぞれ示している。
【0049】
側板11,12はステー材13が横架されることにより連結されるが、連結に際しては、図5に示すように、側板11,12およびステー材13側に設けられている締結部を利用して締結が行われる。
【0050】
図5において、締結部は、側板11,12に形成されているネジ挿通穴N1を介してステー材13A側の端面に形成されているネジ穴に向けてネジNを差し込む構成とされている。なお、締結部の構成としては、ネジを用いる構成に代えてリベット締結やスポット溶接などの溶接構造とすることも可能である。
【0051】
以上のような、側板同士の位置ずれを矯正するための原理構成において、ステー材13が側板11,12間に横架されて連結のために組み込まれる際には、例えば定盤や治具などを用いて側板11,12同士を支持対象物の支持が可能な理想の対向位置関係とした上で、側板11の前側凸部11dと側板12の単一凸部11d1とがステー材13の凹部13aに嵌合され、側板11の後側凸部11d’とステー材13の凹部13bとが嵌合される。
【0052】
この状態において図5に示したように、ネジNを用いてステー材13が側板11,12に締結されるが、それまでの間、ステー材13は側板11,12に対して固定されていないので、例えば、側板11,12に有する各種装置の支持部に装置を支持させた状態で仮止め状態とし、この仮止め状態から最終的な締結を行うと、ステー材13が側板11,12の締結位置に整合するように微小移動して締結されることとなり、その間、側板11,12同士の対向関係が崩れることがなく、側板11,12同士における支持対象物との位置関係が所定の位置関係に維持されることになる。
【0053】
また、側板11,12側に凸部を設け、これに嵌合する凹部をステー材13側に設けることにより、側板11,12側に凹部を設け、これに嵌合する凸部をステー材13側に設けた場合に比べ、ステー材13に外力が作用した場合でもステー13の変形を比較的良好に抑制することができる。つまり、側板11,12を介してステー13に外力が作用した場合、たとえばステー13の天面と同一平面に形成された凸部の面で外力を受けるより、凹部の剪断面で外力を受けるほうがステー13に曲げモーメントが発生しないため変形しにくい。よって、ステー材13ではそのような曲げモーメントが発生することのない支持
部(凹部)を利用することによりステー材13の変形を防止することができ、側板間の対向間隔が変化するのを防止して支持対象物の取り付け位置が変化してしまうのを防ぐことができる。これにより、支持対象物同士の位置関係が変化することが原因する転写画像ずれなどを防止して異常画像の発生を解消することができる。
【0054】
上記した側板11側の後側凸部11d’とこれが嵌合するステー13側の凹部13bとの大きさの関係は、水平方向での嵌合位置ずれを吸収できる大きさが得られる長さを持たせた関係とされる。
【0055】
ステー13は、図1に示すように、画像形成装置内での配置位置として、廃トナータンクTGの下方で給紙装置5の上方が選択される。
【0056】
廃トナータンクTGは、中間転写体41上に残留している未転写トナーを回収して貯留する部材であり、中間転写体41のクリーニング装置に設けられているパイプが接続されて回収された未転写トナーを導入できるようになっている。廃トナータンクTGは、満杯状態となると、外部に取り出されて収容しているトナーが回収処理に回され、回収処理が、再度装置内に挿入されて新たな廃トナーの回収に備えられる。
【0057】
廃トナータンクTGの下方にステー材13が設けられることにより、廃トナータンクTGの引き出し動作の際にタンク内から零れたトナーが給紙装置5に降り注ぐことがなく、給紙装置5内に収容されている用紙などが用いられる転写材Pが零れたトナーによって汚されるのを防止している。
【0058】
なお、図16に示すステー材13は、側板11,12の前側に向けて張り出す片部13Bを有し、その片部13Bは、給紙ローラ52の位置に対応する位置に給紙ローラ52の周面を迂回する凸部13B1(図17参照)が設けられている。この凸部13B1に対向する廃トナータンクTG側の位置には凸部13B1に倣った凹部が設けられて互いに干渉しないようになっている。
【0059】
図17は、ステー材13と廃トナータンクTGとの配置関係を示す斜視図であり、同図において、廃トナータンクTGを着脱する際には、廃トナータンクTGがステー材13側に位置する凸部13B1上を移動する。
【0060】
廃トナータンクTGを着脱する際には、ステー材13上で廃トナータンクTGを摺動させる。このとき、廃トナータンクTGは、ステー材13側の凸部13B1の上をすり抜けて取り外されることになる。また、装置内への取り付け時には側板の位置決め部に位置決めされて固定される。固定時には側板のみによって廃トナータンクTGが保持され、ステー材13に対しては浮いた状態で保持されるようになっている。これにより、給紙ローラ52が近傍に配置されていても廃トナータンクTGの移動に支障がなく、上下方向で給紙ローラ52の位置と廃トナータンクTGの位置とをオーバーラップさせることができるので、上下方向での設置スペースを小型化することができる。このような構成を用いると、ステー材13が廃トナータンクTGの移動ストロークに相当する長さを持つことになるので、装置本体に対して可能な限り長い奥行きを持たせることができ、側板同士との対向面の長さを長くして構造体強度を高めて側板のねじり変形を防止する効果を高めることができる。
【0061】
ステー材13の下方に位置する給紙装置5には、転写材Pがなくなったのを検知する用紙検知センサ(図示されず)がステー材13の下面に備えられている。用紙検知センサは、転写材Pがなくなると装置の表示部(図示されず)に警報表示する信号を出力する。
【0062】
以上のような原理構成を対象として側板における前後方向一方側に板状部材であるステー材とは非平行な状態で側板同士を連結する当て部材を設けて側板同士の位置ずれ防止に寄与させることもできる。
【0063】
図6はこの構成を示す図であり、同図において側板11,12の前後方向の一方側である後側には、図2に示したステー材13と非平行な状態、つまり面同士が平行しない状態で側板11,12同士を連結する当て部材14が設けられている。
【0064】
当て部材14は、側板11,12同士を連結するために側板11,12間に横架されたステー部材であり、各側板11,12との連結位置がネジを用いて締結固定されるようになっている。なお、図6では便宜上、当て部材14に形成されているネジ挿通穴を符号14aにより示してある。ネジによる締結位置は、側板11,12を対象とするだけでなく、ステー材13との対向部を対象部として含めることも可能である。
【0065】
この構成においては、例えば、ステー材13よりも当て部材14の方が断面2次モーメントが小さい構成とすることにより、当て部材14がステー材13よりも撓み変形しやすいことになり、ステー材13に対して外力による変形を伝えにくくすることができ、いわゆる、ステー材13のねじれなどを防止してステー材13に連結されている側板11,12にゆがみなどが生じるのを防止できる。これにより、側板11,12に取り付けられている支持対象物の位置が変化するのを防止して支持対象物を用いて得られる画像に異常な状態が発生してしまうのを防ぐことができる。
【0066】
当て部材14をステー材13よりも断面2次モーメントが小さくするための構成としては、ステー材13よりも厚さを薄くしたり、ステー材13よりも低い剛性の材質を用いることがある。
【0067】
次に、以上の原理構成を前提とした本発明の特徴部について以下の実施例に基づき説明する。
まず、本実施例の特徴は、各側板にそれぞれ第一、第二、第三および第四の連結部を設け、換言すれば、側板11,12の両方に前側および後側の凸部を設け、ステー材側にはこれら第一〜第四連結部に用いられる凸部に嵌合する前側および後側の凹部を設け、さらに、これら凸部と凹部との関係として、後側に位置する凸部と凹部とを遊嵌状態で設けたことにある。
この場合の遊嵌状態とは、凹部と凸部との寸法差を利用して自由に動くことができる状態を意味する。
【0068】
図7は、この構成を示す模式図であり、同図において、側板11,12には、その前後方向に沿って第一、第二、第三、第四連結部の一方部分を構成する前側凸部11d0,後側凸部11d0’および前側凸部11d、後側凸部11d’がそれぞれ設けられている。
これらにそれぞれ対向するステー材13側の端面には、第一〜第四の連結部の他方部分として用いられる前側凹部13a1、後側凹部13b1、前側凹部13a1,後側凹部13b’がそれぞれ設けられている。
【0069】
すなわち、図7に示すように、第一の連結部は、前側凸部11d0、前側凹部13a1で構成され、第二の連結部は、後側凸部11d0’、後側凹部13b1で構成され、第三の連結部は、前側凸部11d、前側凹部13a1で構成され、そして、第四の連結部は、後側凸部11d’、後側凹部13b’で構成される(図7においては、各位置での凸部と凹部とを纏めて各連結部の呼称が示されている)。
【0070】
側板11,12における第一、第三の連結部として用いられる前側凸部11d、11d0とステー材13側における前側凹部13a1とは図2に示した場合と同様に殆ど寸法差のない嵌合が可能な構成とされる一方、側板11,12における第二、第四の連結部として用いられる後側凸部11d’、11d0’とステー材13側における後側凹部13b1,13b’とは遊嵌状態が得られる構成とされている。
具体的には、第二、第四の連結部での一方側に相当して、ステー材13における側板11に対向する後側凹部13b’が、図2に示したステー材13側の凹部13bと同じように水平方向(前後方向)の長孔(第1の長穴)に相当する寸法差が設けられ、第二、第四の連結部での他方側に相当して、側板12に対向する後側凹部13b1は、図7(B)に示すように、後側凹部13b’と同等の水平方向での寸法差をもつ長穴(第1の長穴)で、かつ後側凹部13b’とは違う構成として、縦方向(上下方向)においても後側凸部11d0’に対する寸法差(D−d)として1mm程度の寸法差を持たせた長穴(第2の長穴)が用いられている。
【0071】
図7に示した構成においては、図6に示した当て部材14が装備されており、この構成を対象とした場合、寸法差による遊嵌状態が得られる凸部と凹部、図7では、側板11,12における後側凸部11d’,11d0’とステー材13側の後側凹部13b’、13b1とが当て部材14寄り、つまり、装置の後側に設けられ、これら後側凸部11d’、11d0’および後側凹部13b’、13b1に対して前後方向で離れた位置、つまり装置の前側に寸法差の殆どない前側凸部11d、11d0と前側凹部13a1とが設けられている。第一、第三の連結部は完全に嵌合し、第二の連結部はV方向に遊嵌状態を有する。第四の連結部は前後方向のみに大きさの差を有する。そのため、側板同士の平行度が規定されると、後側凸部11d0’が、余裕を持たせた大孔である後側凹部13b1に対して後側凹部13b1の大きさの範囲内でV方向に遊嵌した状態となっている。
【0072】
以上の構成からは次の効果が得られる。
まず、側板12が、側板11に対して平行度を調整しながらステー材13に取り付けることができるので、ステー材13のばらつきによって平行度が悪化したり得られなくなることがない。また、側板12の調整時にV方向の回動を後側凹部13b1の大きさの範囲内に抑えることができるので、調整がしやすい。調整は、側板12をステー材13および側板11に対して回動させる方法で行なっても、あるいは固定されたステー材13および側板11を側板12に対して回動させる方法で行なってもよい。
【0073】
この構成によれば、前側凸部11d、11d0と前側凹部13a1とが殆ど寸法差のない関係であるので、ステー材13を側板11,12に取り付ける際の決め部とすることができ、一方、後側凸部のうちで、側板11に対向する後側凸部11d’と後側凹部13b’との寸法差により、図2に示した場合と同様に、回転方向の位置ズレが規制され、結果として側板11とステー材13は固定される。
【0074】
図7において符号Vで示す矢印は、図2の場合と同様に、側板11とステー材13とを固定後に側板12と側板11との平行度などに応じて側板12の側ねじれ角を許容する方向を示している。従って、この場合においても、側板11に対して平行度などが規定されている側板12に対してステー材13を取り付ける際には、ステー材13の精度によらず、側板同士の対向関係を基準として側板11,12とのねじれ角を規制することができる。
【0075】
なお、この場合における側板12に対向する後側凹部13b1は、その短手方向(上下方向)の寸法差として、前述したように、後側凸部11d0を嵌合させるための余裕分若しくは余裕分よりも少し大きくして後側凸部11d0のガタを生じさせる程度の大きさに設定されており、そのガタが生じる範囲内でステー材13の回動を行わせるようになっている。これは、側板12とステー材13の締結の際のトルクによってステー材13が引き摺られ、あるいは組み立て時に治具を外した後などに外力が作用した場合に側板12トステー材13との締結位置が大きくずれるのを防止するためである。
【0076】
ただし、短手方向(上下方向)の寸法差を不用意に大きくすると、側板12とステー材13との締結位置が大きくずれてしまうために適当でない。つまり、後側凹部13b1の大きさは、後側凸部11d0’とのガタを生じさせる程度の余裕があり、かつ大きすぎないことが必要となる。ガタとなる隙間の大きさ(後側凹部13b1と後側凸部11d0’との大きさの差)は、部品寸法精度以上で、かつ、側板12とステー材13とのねじれ角の許容量以下に設定するのが最適といえ、この理由により前述した1mmあるいはこれ以下の寸法差が選択される。
【0077】
このような構成とすることにより、遊嵌状態にある凸部と凹部とが外力により位置ずれが発生するのを当て部材14によって阻止されるので、位置決め部とされる前側凸部および前側凹部を支点として寸法差のある遊嵌状態となっている後側凸部と後側凹部との相対位置がずれやすくなるのを防いでステー材13に捩れなどの変形が生じるのを防止して支持対象物同士の位置ずれが起こるのを防止することができる。
【0078】
図7において説明したフレームは、画像形成装置の一部の壁部を開閉できるようにしてその壁部を装置本体に対する着脱部材として用いるような場合において着脱部材近傍の側板同士の位置ずれを防止するのに役立てることができる。
【0079】
図16は、装置本体の壁部の一部を開閉させることにより装置本体に対して壁部が着脱部材として用いられる構成を示している。
【0080】
図16において二点鎖線で示すように、画像形成装置は、装置本体における上面および側壁の一部が揺動支点A、Bによって装置本体に対して開閉するなどの動作が行える着脱部材(便宜上、図16において符号DUで示す)として用いられる構成を備えている。
【0081】
このような着脱部材を備えた構成とした理由は次の通りであり、この構成を対象とした場合に次の理由により側板同士の平行を維持する作用が得られる。
【0082】
図16において、画像形成装置の内部には、下方から給紙部、画像形成部および排紙部が積層配置されており、装置前側に用紙搬送路が設けられている。
このような構成の画像形成装置において装置本体の上面および側壁の一部を開閉する構成とするのは、転写材Pの搬送路を露呈させることおよび図1において符号Rで示すように廃トナータンクTGや転写装置4を外部に取り出すためである。
【0083】
搬送路は、給紙装置5に装備されている給紙ローラ52を出発点としてその上方に配置されているレジストローラ8、二次転写部44,定着装置通過して装置上面の排紙トレイ1Aが終点となる経路である。
【0084】
この搬送路を外部に露呈するために側壁の下部に位置する揺動支点Bを中心にして揺動する構成が用いられている。搬送路が外部に露呈されると、搬送路中でジャムを発生している転写材Pを取り除くことができる。
【0085】
揺動支点Aを中心とした装置上面の開閉は、図18に示すように、各画像形成部に設置されているプロセスカートリッジ(便宜上、図(開閉状態)では符号PCで示す)の挿脱を行う際に実施される。プロセスカートリッジPCは、側板11,12に形成されている像担持体支持部11a,12a(図8〜14参照)を用いてガイドされることにより着脱および位置決めされる。
【0086】
このような開閉可能な側壁を備えた構造に用いられる側板は、側壁の前後方向において前側が開閉されることが原因して前側での対向間隔が変化し、平行しなくなる場合がある。特に、開放された際には廃トナータンクTGや転写装置4の出し入れの際に外力が作用することが多く、開放された側壁による側壁同士の連結状態が解除されることによって側板同士の平行が崩れやすくなる。
【0087】
側板同士が平行しなくなると、これに支持されている部材や装置の位置関係が変化してしまい、位置ずれによる画像のずれなどが発生する。
【0088】
そこで、図7に示す構成は、開閉される側壁に対応する側板11,12の前後方向のうちで前側に、殆ど寸法差がない基準位置を構成する第一の連結部である前側凸部11d0と前側凹部13a1、および第三の連結部である前側凸部11dと前側凹部13a1を設けることにより、側壁が開放された際に側板同士の平行が崩れるのを防止する強度を維持させるようになっている。
【0089】
さらに、側板11,12の前後方向で後側には当て部材14を設けるとともに、部品寸法精度以上の大きさの差を持たせた後側凹部13b’、13b1を設けることにより、側板同士のステー材13に対する取り付けを確実に行えるようにして側板同士の平行を維持できる。なお、後側凹部13b’、13b1は、側板11,12に対する形成関係を、図7に示した場合と逆の関係、つまり、側板11側に設けた後側凹部13b’を側板12側に、そして側板12側に設けた後側凹部13b1を側板11側に設けるようにしても良い。さらに、ステー材13は薄板、厚板および箱状などの形態を適宜選択することも可能である。
【0090】
図8は側板11,12に対してステー材13が取り付けられている状態を示すフレーム構造の斜視図である。
【0091】
同図において側板11,12は、ポリカーボネートなどの樹脂材料を用いた成形品で構成され、対向面には、前述した支持対象物の支持部11a,11b、11c(側板12側に関しては、図10に示してある)が設けられている。
【0092】
図9に示すように、側板11には、前側凸部11dおよび後側凸部11d’が設けられており、側板12には、図10に示しように、図2で説明した原理に基づく位置に単一凸部12dが設けられている。
本実施例では、凸部としてボスが用いられている。
【0093】
一方、図9および図10に示すステー材13は、SECC等の鋼材を用いた板金部材で構成され、側板11に対向する端面には前側凹部13a、後側凹部13bが設けられ(図10参照)、側板12と対向する端面には、凹部13aが設けられている。
本実施例では、凹部として凸部であるボスが嵌合可能な穴が用いられている。
【0094】
本実施例においては、ステー材13が樹脂製ではなくSECC等の材料で構成されているので、樹脂製の場合と違って剛性確保のための断面積を小さくすることができる。この結果、装置の高さが拡大するのを防止することができる。しかも、ステンレス材などと比べて加工性が良く、安価な材料を用いることができることになる。
【0095】
本実施例は以上のような構成であるから、側板11,12間にステー材13が組み込まれる際には、側板11側の凸部11dとステー材13側の凹部13aとが側板11とステー材13とが位置決め基準として用いられて嵌合される。このとき、前側凸部11dおよび単一凸部11d1とは寸法差がないことにより位置ずれを起こすことなく嵌合する一方、後側凸部11d’と凹部13bとは寸法差の存在により、図2において説明したように、回転方向の位置ズレが規制される。結果側板11とステー材13は固定される。
【0096】
また、側板12側に位置する後側凸部11dと後側凹部13aとの関係により、側板12側では、図11において矢印Vで示す方向へのステー材13の回動が許容されており、図2において説明した場合と同様に、ステー材13の精度によらず側板11と側板12のねじれ角を規制することが可能になる。
【0097】
この状態においてステー材13が側板11,12に対して締結されることになるが、このとき最終的な締結完了前の状態、つまり、側板11,12をステー材13に対して仮止めした状態で支持対象物を側板11,12の支持部11a、12A、11b、12b、11c、12cの一つを利用して装置を取り付けた状態でステー材13を最終的に側板11,12に対して締結することでフレームが完成する。
【0098】
ステー材13を側板11,12に対して最終的に締結完了させる際には、支持対象物の取り付けによって平行度などの対向関係が予め規定されている側板11,12の締結位置に対して右方向端面の側板11に対して嵌合し、左方向の側板12に対しては矢印Vに示すように回転の自由度を有するので、側板11,12の締結位置を基準としてステー材13が締結されることになり、ステー材13の締結位置を基準として締結する場合と違って、ステー材13側の締結位置に誤差が生じていても側板11,12側の締結位置に整合するようにステー材13側が変位することにより側板11,12同士の対向関係が崩れるようなことがない。
【0099】
図12乃至図14は、図6に示した当て部材14を設けた場合の実施例を示す図であり、図12乃至図14においてステー材13と側板11,12との嵌合状態は図8乃至図11に示した場合と同様とされているので、側板11側では、図7に示した後側凸部11d’と後側凹部13b’との関係により図12において側板11側での後側凸部11d’と後側凹部13bとの嵌合性が良好な状態とされ、一方、締結位置の整合性は、側板12側でのステー材13の回動により得ることができる。
【0100】
一方、本実施例では、ステー材13の剛性、特にねじれに対する剛性を高める構成が採用されている。
図15はその構成を示す図であり、同図において、フレームの一部に用いられる連結部材に相当するステー材13の下面には、絞り加工により縦方向の寸法を大きくして断面2次モーメントを高めることができる補助部材としてのステー補助部材13’が一体化されている。
【0101】
本実施例によれば、ステー材13の剛性を、当て部材14に加えてステー補助部材を用いることで高めることができるので、ステー材13の外力による変形を防止してステー材13を介して連結されている側板11,12同士の倒れ込み等を防止して支持対象物の位置ずれの発生を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
11,12 側板
11d0,13a1 第一の連結部を構成する凸部および凹部
11d0’、13b1 第二の連結部を構成する凸部および凹部
11d,13a1 第三の連結部を構成する凸部および凹部
11d’、13b’ 第四の連結部を構成する凸部および凹部
11a、11b,11c,12a、12b、12c 位置決め保持部
13a’ 第3の凹部に相当する単一凹部
14 当て部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開2004−302194号公報(段落「0005」欄、「0038」欄)
【特許文献2】特開2003−270898号公報(段落「0049」欄)
【特許文献3】特開2002−169353号公報(段落「0055」欄)
【特許文献4】実開平04−85445号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する左側板と右側板と、該側板間に横架され、両端面が前記側板に支持される連結部材とからなるフレームと、前記左右側板間に像担持体及び転写手段が設けられた画像形成装置において、
上記連結部材は、上記左側板に対向する左端面に左側連結部と、上記右側板に対向する右端面に右側連結部を備えており、
前記右側連結部及び左側連結部のいずれか一方には、第一連結部と第二連結部が設けられ、他方には、第三連結部と第四連結部が設けられており、
前記第一連結部と前記第三連結部は、前記連結部材の対向する位置に配置されており、前記左右側板から前記連結部材に向かってそれぞれ突出した凸部に殆ど寸法差のない状態で嵌合する凹部から構成され、
前記第二連結部と前記第四連結部は、前記連結部材の対向する位置に配置されており、その何れか一方は、前記左右側板のいずれか一方から前記連結部材に向かって突出した凸部と前後方向にのみ寸法差を有する第1の長孔で構成されており、他方は、前記左右側板の他方から前記連結部材に向かって突出した凸部と前後方向及び上下方向に寸法差を有する第2の長孔で構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記第2の長孔は、前記凸部との前後方向の寸法差が上下方向の寸法差よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記第一連結部及び第三連結部は、上記連結部材における上記画像形成装置の前側に設けられており、上記第二連結部及び第四連結部は、前記第一連結部及び第三連結部よりも上記連結部材における上記画像形成装置の後側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記左右側板の後端部には上記左右側板同士を連結する当て部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記連結部材の下面に絞り加工がなされた補助部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
上記左右側板の対向面にはそれぞれ上記像担持体を位置決めする位置決め保持部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
上記左右側板の対向面にはそれぞれ上記転写手段を位置決めする支持部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
上記連結部材と上記転写手段との間に廃トナー回収手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
上記左右側板の対向面にはそれぞれ廃トナー回収手段を位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
上記像担持体は、上記左右側板間を上記画像形成装置の上下方向に着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
上記転写手段は、上記左右側板間を上記画像形成装置の前後方向に着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項12】
上記廃トナー回収手段は、上記左右側板間を上記画像形成装置の前後方向に着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−234194(P2012−234194A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158059(P2012−158059)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2007−130493(P2007−130493)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】