説明

画像形成装置

【課題】単色での画像形成を行えるモードの際、使用する色の像担持体以外が、中間転写体から離間されるインライン方式の画像形成装置において、単色での画像形成を行えるモードで使用される画像形成部の廃トナー容器が、回収されたトナーによるパンク(回収したトナーが回収トナー容器の容量を超えあふれ出てしまう現象)を防止する。
【解決手段】単色での画像形成を行えるモードにおいて、設定された所定の画像形成ジョブの画像形成動作の終了後に実行する画像形成装置の所定の整理動作時に、使用した色以外の画像形成部を中間転写体に接触させ、2次転写残トナーの回収を、使用した色以外での画像形成部でも回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に複数色画像を形成することができる、インライン(タンデム)方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インライン方式のカラー複写機やカラープリンタなどの電子写真カラー画像形成装置を例にして説明する。この装置は、並設された複数の感光体(像担持体)にそれぞれ異なる色のトナー像を形成し、それらのトナー像を順次に重畳転写して合成カラー画像を記録するもので、画像形成の高速化が容易である。
【0003】
インライン方式の画像形成装置は転写方式の違いにより中間転写方式(間接転写方式)と直接転写方式とがある。中間転写方式は、並設された複数の感光体に形成されたトナー像を1次転写装置により中間転写体に重ね合わせて順次に重畳転写して合成カラー画像する。そして、その中間転写体上の画像を2次転写装置により記録材に対して一括して2次転写する方式である。直接転写方式は、並設された複数の感光体に形成されたトナー像を記録材搬送体に担持されて搬送される記録材に対して転写装置により順次に重畳転写して合成カラー画像を形成する方式である。
【0004】
中間転写体や記録材搬送体には、循環移動されるエンドレス(無端状)のベルトや回転される円形ドラムが用いられる。中間転写体には2次転写工程後に多少なりともトナーが残留する。また記録材搬送体も紙間に対応する部分などに多少なりともトナーが付着してトナー汚れする。
【0005】
中間転写体の2次転写工程後の残トナーを回収する方法として、該残トナーを帯電手段(クリーニングローラ)により正規の帯電極性とは逆極性に帯電し、1次転写工程において感光体に逆転写して回収する方法が知られている。
【0006】
中間転写体上の残トナーの除去を行うために、本出願人は特許文献1のような方式を提案している。この画像形成装置は、複数のプロセスカートリッジを有する。各プロセスカートリッジは、トナー像を担持する感光ドラムと、残トナーを除去するクリーニング装置と、残トナーを回収する廃トナー容器とを有する。そして、中間転写体に最初に転写する第1の色用のプロセスカートリッジと最も使用頻度の高いブラック色用のプロセスカートリッジの廃トナー容器を、他の廃トナー容器の容量より大きくする。
【0007】
上述の構成により、使用頻度の低い色のカートリッジの交換頻度を低減し、無駄なカートリッジ交換を低減することで、単色使用時においても無駄なカートリッジ交換を抑制して、コストを低減することが可能となる。
【0008】
また、本出願人は特許文献2のような方式を提案している。これは、画像データに基づいて転写ベルト上の残トナーを回収すべき感光体をCPUにより選択する方式である。具体的には、画像データから得られた使用トナー量の積算値が一定量を超えた場合には、そのプロセスカートリッジでは、転写ベルト上の残トナーを回収しないようにする。この構成により、特定のプロセスカートリッジ内の廃トナータンクに残トナーが偏って回収されるのを防ぎ、複数の廃トナータンクを有効に利用できる。
【0009】
ところで、複写機やレーザービームプリンタなどの画像形成装置では、一般的にいくつかの異なった印刷モードやシーケンスを備える事が多い。これは、異なった目的の印刷を実現するためや、総合的に効率的なプリントを行うために設けられるものであり、一般的には通常モードや低速モードが設けられる。なお、通常モードは標準的なプリントを行う場合に用いられ、低速モードは転写条件や定着条件の異なるOHPシートや厚紙をプリントする時に指定される事を想定している。
【0010】
また、インライン方式の画像形成装置では通常のフルカラー画像形成を行う為のフルカラーモードと、所定の一色のプロセスカートリッジを用いて特定の色(主にはブラック)のみを印刷するモノクロモードを有している。ここで、このモノクロモードの際には、他色のプロセスカートリッジの劣化を防止するため、これらを中間転写体から離間して停止させるようにしている。
【0011】
また、本出願人は特許文献3のような方式を提案している。これは、転写材担持体上又は中間転写体上に付着したトナーを像担持体により静電的に回収する際は、一旦フルカラーモードに移行して全ての像担持体を転写材担持体上又は中間転写体に接触させるようにする。このことにより、転写材担持体上又は中間転写体のクリーニングを行うようにしている。
【0012】
ここで中間転写体の画像形成中のクリーニング方法について説明する。フルカラーモードのクリーニングは、中間転写体上の残トナーは、中間転写体に最初に転写される最上流にある第1ステーションのプロセスカートリッジで全て回収する。これは、1次転写と同時に逆転写による残トナーの回収を行う方式を採用していることから、第1ステーションで残トナーを回収することが好ましいためである。
【0013】
2次転写工程前の中間転写体上のトナーは、通常、トナーの正規の帯電極性である負極性に帯電している。しかし、2次転写工程にて正極性のバイアス電圧が印加されるため、この正極性のバイアス電圧の影響を受けて、2次転写工程後の中間転写ベルト上には正、負の両極性のトナーが存在する。
【0014】
又、クリーニングローラには正極性のバイアス電圧が印加されることから、負極性の残トナーは、クリーニングローラに付着し易い。このため、非画像形成時の所定のタイミングとして、1回のプリントジョブ(画像形成開始指示による単一又は複数の転写材への一連の画像形成動作)が終了した時点で、クリーニングローラに付着した残トナーを中間転写体に吐き出す動作を行う。
【0015】
中間転写体上に吐き出された負極性の残トナーは、1次転写ローラに画像形成時とは逆極性(即ち、トナーの正規の帯電極性と同極性)である負極性のバイアス電圧を印加することで、感光ドラムに逆転写して回収することが可能となる。
【0016】
また、本出願人は特許文献4のような方式を提案している。これは、クリーニングローラから吐き出されたトナーを、第1ステーションを通過させ、第2、第3及び第4ステーションでほぼ均等に回収させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2004−021134号公報
【特許文献2】特開2001−175047号公報
【特許文献3】特開2001−147572号公報
【特許文献4】特開2008−309904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
モノクロモード時は、他色のプロセスカートリッジの劣化を防止するため、プロセスカートリッジを中間転写体から離間して停止させるようにしている。またフルカラーモードと同様に、中間転写体上のクリーニングローラには負極性の残トナーが付着しやすい。このため、1回のプリントジョブが終了した時点で、クリーニングローラに付着した残トナーを中間転写体に吐き出す動作を同様に行う。このモノクロモード時のクリーニングは、モノクロモードで使用しているプロセスカートリッジ自身(ブラックカートリッジ)に、1次転写と同時に逆転写による残トナーの回収を行うことになる。
【0019】
近年、カラーの画像形成装置の普及率もあがり、カラーの画像形成装置でモノカラー(主にブラックのみ)のプリントを行う場合が多くなってきている。フルカラーモードでは残トナーを各色のプロセスカートリッジに振り分けて回収していたので、廃トナーが1つのプロセスカートリッジに集中してしまうケースはなかった。
【0020】
しかしながら、モノクロモードでは、他色のプロセスカートリッジは、中間転写体から離間して停止しているため、モノクロモードで使用するプロセスカートリッジにすべての残トナーを回収することになる。
【0021】
ここで、インライン方式のカラー画像形成装置においての、各色のプロセスカートリッジに回収される残トナーの割合について説明する。中間転写体の回転に対して上流から、第1ステーション、第2、第3、第4とする。各ステーションには、各色のプロセスカートリッジが装着されている。まず、通常の画像形成において、中間転写体にトナー像を転写しその際発生する転写残トナーについての各ステーション差は、通常ほとんどない。
【0022】
中間転写体上に転写された例えば第1ステーションのトナー像が、下流の第2、第3、第4ステーションを通過する際、中間転写体から各ステーションの画像担持体に、転写してしまう現象(再転写)が、若干ながら発生する。よってこの再転写による回収される残トナーは、第4ステーションが多くなる。
【0023】
モノクロモードで使用するブラックのプロセスカートリッジは、第4ステーションに配置されるケースが多い。第4ステーションであればモノクロモードで印刷する際、中間転写体にトナー像が転写されてから、転写材に転写されるまでの距離が短い。よって、画像形成の動作を画像形成装置が始めてから、最初の転写材が出力されるまでの時間が短縮されるためである。
【0024】
以上説明したように、第4ステーションに配置されるブラックのプロセスカートリッジは、再転写による回収トナーとモノクロモードの頻度増加により、回収したトナーが回収トナー容器の容量を超えあふれ出てしまう現象(パンク)が生じている。回収トナー容器がパンクすると、画像形成装置を汚したり、トナーが画像形成装置外に飛散したりと問題になる。
【0025】
本発明はこの課題を解決するもので、インライン方式の画像形成装置において、単色画像形成モードの場合に、使用された画像形成部が廃トナーでパンクすることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、次のような構成である。トナー像を担持するための第一の像担持体と、トナー像を担持するための第二の像担持体と、前記第一の像担持体と前記第二の像担持体に形成されたトナー像を1次転写されることが可能な中間転写体であって、移動方向に沿って前記第一の像担持体と前記第二の像担持体が配置される中間転写体と、前記中間転写体に形成されたトナー像を記録媒体に転写するための2次転写部材と、前記中間転写体の移動方向において前記2次転写部材より下流で、前記中間転写体の移動方向において最上流側の像担持体よりも上流に配置され、前記中間転写体の上のトナーを帯電可能なトナー帯電部材と、前記第一の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第二の像担持体と前記中間転写体を離間させ、前記第一の像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写して画像形成を行う単色画像形成モード、と前記第一の像担持体と前記中間転写体を接触させ、且つ第二の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第一及び第二の像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写して画像形成を行う複数色画像形成モード、とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、単色画像形成モードで画像形成を終了した後の後処理動作において、前記第二の像担持体と前記中間転写体を離間状態から接触状態に切り替え、前記トナー帯電部材に付着したトナーを前記中間転写体を介して前記第二の像担持体に回収し、前記第二の像担持体に設けられたクリーニング装置で回収を行う制御をする画像形成装置。
【発明の効果】
【0027】
単色画像形成モードにおいて、トナー帯電部材から中間転写体に吐き出されたトナーの回収を、当該モードで使用された画像形成部以外の画像形成部でも行うことで、単色画像形成モードで使用された画像形成部が廃トナーでパンクすることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1に係る中間転写インライン方式の画像形成装置の概略図(フルカラーモード時)
【図2】モノクロモード時において画像形成部と中間転写体が離間した様子を示す概略図
【図3】実施例2に係る中間転写インライン方式の画像形成装置の概略図(モノクロモード時)
【図4】実施例3に係る直接転写インライン方式の画像形成装置の概略図(フルカラーモード時)
【図5】モノクロモード時において画像形成部と中間転写体が離間した様子を示す概略図
【図6】実施例4に係る直接転写インライン方式の画像形成装置の概略図(モノクロモード時)
【図7】実施例1における制御回路部Bのブロック図
【図8】実施例1に係る画像形成のフロー図
【図9】実施例2に係る画像形成のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0030】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体構成
図1は本実施例における画像形成装置Aの要部の構成模式図である。この装置Aは、中間転写インライン方式の電子写真カラーレーザービームプリンタである。ホスト装置Dから制御回路部(制御部)Bに入力する電気的画像情報(画像信号)に基づいて記録材(転写材)Pに複数色の画像形成を行う複数色画像形成モードと、単色の画像形成を行う単色画像形成モードとを実行することが出来る。記録材Pはトナー像を形成することができる記録媒体であり、用紙・OHTシート・ラベル・布等のシート状の部材である。
【0031】
ホスト装置Dは画像読み取り装置(イメージリーダー)、パソコン(PC)、ネットワーク上の端末、相手方ファクシミリ、ワードプロセッサ等であり、インターフェイス部を介して制御回路部Bに接続されている。
【0032】
制御回路部Bは、表示器などを含む操作部(コントロールパネル)Cやホスト装置Dとの間で各種の電気的な情報の授受をする。そして、制御回路部Bは装置A内の各機器の動作を監視及び制御し、装置Aのプリント動作(画像形成動作)を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御してモノクロモードやフルカラーモードの画像形成を制御する。制御回路部Bは、モータ17、シフト機構16、転写電圧出力手段15、電圧出力手段18、帯電電圧出力手段19、メインモータ25を制御する(図7参照)。
【0033】
装置Aには複数の画像形成部、本実施例においては、図面上、左側から右側に水平方向に順に第1乃至第4の4つの画像形成部(以下、ステーションと記す)S(Sa、Sb、Sc、Sd)が並設されており、並列処理により各色のトナー像を形成する。各ステーションSはそれぞれの現像装置に収容させた現像剤(以下、トナーと記す)の色がイエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(Bk)色と異なるだけで互いに同様の構成の電子写真画像形成機構である。
【0034】
各ステーションSの構成及び動作は共通である部分が多い。従って、以下の説明において、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示すために符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して総括的に説明する。
【0035】
各ステーションSは、それぞれ異なる色のトナー像、本実施例では、Y色、M色、C色、Bk色のトナー像が形成される回転可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。ドラム1は装置Aの駆動手段(メインモータ25)により矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。ドラム1の周囲にドラム1に作用する画像形成プロセス手段としての、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、1次転写装置5、クリーニング装置6が配設されている。
【0036】
帯電装置2はドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段である。本例においては帯電ローラ(1次帯電器:導電性のローラ)である。本実施例においては、ドラム1は所定の帯電バイアスが印加された帯電ローラ2により負極性の所定電位に一様に帯電される。
【0037】
露光装置3は帯電処理されたドラム1の表面を画像情報に応じて変調された光で走査露光する画像露光手段である。本例においてはレーザースキャナであり、画像情報に従って変調されたレーザー光Lを出力してドラム1の帯電処理面を走査露光する。上記の帯電と露光によりドラム1の表面に画像情報に従った静電像(潜像)が形成される。
【0038】
現像装置4はドラム1の表面に形成された静電像をトナー像(現像剤像)として現像して可視化する現像手段である。第1のステーションSaの現像装置4aにはY色トナーが収容されている。第2のステーションSbの現像装置4bにはM色トナーが収容されている。第3のステーションScの現像装置4cにはC色トナーが収容されている。第4のステーションSdの現像装置4dにはBk色のトナーが収容されている。
【0039】
本実施例では、現像装置4は、反転現像方式により静電像を現像する。即ち、現像装置4は、ドラム1の帯電極性と同極性である正規の極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、帯電処理された後に露光によって電荷が減衰したドラム1上の部分(露光明部)に付着させて、ドラム1上にトナー像を形成する。現像装置4は、これに限定されるものではないが、現像剤として、例えば、非磁性1成分現像剤、即ち、トナーを好適に用いることができる。
【0040】
1次転写装置(1次転写手段)5は本実施例においては1次転写ローラ(導電性のローラ)であり、後述する中間転写ユニット8の中間転写ベルト9を介してドラム1の下面に対応して配置されている。そして、ベルト9をドラム1の下面に接触させて1次転写部(1次転写ニップ部)N1を形成することでドラム1上のトナー像をベルト9の面に1次転写するものである。
【0041】
クリーニング装置6は、ドラムクリーニング部材としてドラム1の表面のトナーを掻き取って除去するクリーニングブレード61と、ブレード61によって除去されたトナーを回収する廃トナー容器62と、を有する。
【0042】
本実施例の装置Aにおいては、各ステーションSにおいて、ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、クリーニング装置6は一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジ7として構成されている。カートリッジ7は、画像形成装置本体(装置本体)に対して着脱可能となっている。従って、カートリッジ7を交換することによって、残トナーなどが回収された廃トナー容器62も一緒に交換することができる。
【0043】
尚、プロセスカートリッジ7とは、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化して画像形成装置本体に対して着脱可能としたものである。また、現像装置4やクリーニング装置6をそれぞれ単独で、或いは他の機器と組にして装置本体に対して着脱可能なカートリッジとした構成にすることもできる。
【0044】
第1乃至第4の4つのステーションSa、Sb、Sc、Sdの下方部には中間転写ユニット8が配設されている。ユニット8は循環して移動して各ステーションSからトナー像の転写を受ける中間転写体としての可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(無端ベルト状のフィルム)9を有する。ベルト9は、例えば弗素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等で形成されている。また、その全層や一部を弾性部材で形成するようにした弾性ベルトを使用したりされる。
【0045】
ベルト9は複数の支持部材(ベルト張架部材)としての、駆動ローラ10、テンションローラ11、2次転写対向ローラ12に懸回張設されている。ローラ10は第1のステーションSaの側に配設されている。ローラ11は第4のステーションSdの側に配設されている。ローラ12はローラ10とローラ11の間の下方に配設されている。ローラ10とローラ11との間の上行側のベルト部分は第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdにわたっている。
【0046】
ベルト9はローラ10が制御回路部Bで制御されるモータ(ベルト駆動手段)17により駆動されることによって矢印の時計方向(中間転写体移動方向)にドラム1とほぼ同じ周速(表面移動速度)をもって回転(循環移動)される。従って、本実施例においては、ローラ10とローラ11との間の上行側のベルト部分の移動方向に関して、Y色用の第1のステーションSaが最上流側のステーション、Bk色用の第4のステーションSdが最下流側のステーションとなる。
【0047】
言い換えれば、複数色での画像を形成する場合において、1色目のトナー像を形成するステーションSaが最上流側のステーション、最終色のトナー像を形成するステーションが最下流側のステーションSdである。ドラムに関して言えば、ドラム1aが最上流側の像担持体となり、ドラム1dが最下流側の像担持体となる。
【0048】
各ステーションSの1次転写ローラ5はベルト9の内側に配設されている。各ローラ5には電圧を印加する転写電圧出力手段15が電気的に接続されている。転写電圧出力手段15は制御回路部Bで制御される。
【0049】
また、第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scにおけるローラ5a、5b、5cは、それぞれ、状態転換手段としてのシフト機構16a、16b、16cにより上昇位置(図1)と下降位置(図2)とに位置転換される構成である。各シフト機構16a、16b、16cは制御回路部Bで制御される。シフト機構16の具体例は図の煩雑を避けるために省略したけれども、例えば、レバーとカム或いはソレノイドなどを用いた適宜の機構構成とすることができる。ローラ5a、5b、5cを共通の支持部材に支持させてその支持部材を揺動させるシフト機構構成にすることもできる。
【0050】
ローラ5a、5b、5cはそれぞれ上昇位置に状態転換されることでベルト9を張力に抗して持ち上げてベルト9をドラム1a、1b、1cの下面に対して接触させた接触状態に保持する。これにより、第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scにおいてそれぞれドラム1とベルト9との接触部である1次転写部(1次転写ニップ部)N1a、N1b、N1cが形成されている(図1)。
【0051】
また、ローラ5a、5b、5cはそれぞれ下降位置に状態転換されることでドラム1a、1b、1cに対するベルト9の押圧が解除される。これにより、ベルト9が持ち下げられて、ドラム1a、1b、1cからベルト9が離間した離間状態(1次転写部N1a、N1b、N1cが解除された状態)に保持される(図2)。ローラ5a、5b、5cがそれぞれ下降位置に状態転換された離間状態においてもベルト9はテンションローラ11の作用により緊張状態に維持される。
【0052】
本実施例においては、Bk色用である第4のステーションSdのローラ5dについては、ベルト9を介してドラム1dの下面に常に接触させた状態に保持させて1次転写部N1dが常に形成されている状態を維持させている。このローラ5dについてもシフト機構16により上昇位置と下降位置とに位置転換する構成にすることもできる。Bk色用である第4のステーションはベルト9の移動方向の最下流に配置されている。
【0053】
これは、最下流に配置した方が、ベルト9にトナー像が転写されてから、転写材に転写されるまでの距離が短くなる。そのため、画像形成の動作を画像形成装置が始めてから、最初の転写材が出力されるまでの時間が短縮されるからである。
【0054】
2次転写対向ローラ12にはベルト9を挟ませて2次転写手段としての導電性ローラである2次転写ローラ(2次転写部材)13が圧接している。これによりベルト9とローラ13との接触部である2次転写部(2次転写ニップ部)N2が形成される。そして、ローラ13には電圧を印加する電圧出力手段18が電気的に接続されている。電圧出力手段18は制御回路部Bで制御される。
【0055】
ローラ10のベルト懸回部には、ベルト9に付着しているトナーに電荷を付与するトナー帯電部材(中間転写体クリーニン手段)としてのクリーニングローラ(導電性のローラ)14がベルト9と接触して配設されている。
【0056】
即ち、ローラ14は、ベルト9の移動方向(中間転写体移動方向)に関してローラ13よりも下流側で前記複数のステーションSa、Sb、Sc、Sdのうちの最上流側の第1のステーションSaよりも上流側に配設されている。ローラ14には電圧を印加する帯電電圧出力手段19が電気的に接続されており、ベルト9の上のトナーを帯電可能となっている。帯電電圧出力手段19は制御回路部Bで制御される。
【0057】
(2)フルカラーモード(複数色画像形成モード)
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。制御回路部Bは画像形成スタート信号の入力に基づいて次のような装置動作を実行する。主電源スイッチ(不図示)は投入されているけれども駆動手段25、17は停止されている待機(レディ)状態に保持されている装置Aの駆動手段25、17を起動して装置の所定のウォ−ミングアップ動作(前処理動作)を実行する。
【0058】
制御回路部Bは、このウォ−ミングアップ動作時において、ローラ5a、5b、5cが図2のように下降位置に位置していれば、シフト機構16a、16b、16cを制御してローラ5a、5b、5cを何れも図1のように上昇位置に転換する。これにより、第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdの全てのステーションのドラム1に対してベルト9が接触状態になって1次転写部N1a、N1b、N1c、N1dが形成された状態になる。
【0059】
制御回路部Bは装置の所定のウォ−ミングアップ動作を実行したら、装置動作を、入力したプリントジョブ(画像形成ジョブ)を実行するための画像形成動作(印字動作)に移行する。各ステーションSにおいてそれぞれ所定の制御タイミングで帯電装置2が回転駆動されているドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。各スキャナ3は各ドラム1の表面を各色の画像情報に応じて変調されたレーザー光Lで走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に対応色の画像情報に応じた静電像が所定の制御タイミングをもって形成される。そして、その静電像が現像装置4によりトナー像として現像される。
【0060】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、本実施例の装置Aにおいては、第1のステーションSaのドラム1aにはフルカラー画像のY色成分に対応するY色トナー像が形成される。そのトナー像が1次転写部N1aにおいて移動するベルト9の表面に1次転写される。第2のステーションSbのドラム1bにはフルカラー画像のM色成分に対応するM色トナー像が形成される。そのトナー像が1次転写部N1bにおいて、ベルト9上にすでに転写されているY色トナー像に重ね合わされて1次転写される。
【0061】
また、第3のステーションScのドラム1cにはフルカラー画像のC色成分に対応するC色トナー像が形成され、そのトナー像が1次転写部N1cにおいて、ベルト9上にすでに転写されているY色+M色のトナー像に重ね合わされて1次転写される。第4のステーションSdのドラム1dにはフルカラー画像のBk色成分に対応するBk色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が1次転写部N1dにおいて、ベルト9上にすでに転写されているY色+M色+C色のトナー像に重ね合わされて1次転写される。
【0062】
各ステーションSにおいて、ドラム1からベルト9へのトナー像の1次転写は、ローラ5に対して転写電圧出力手段15から所定の制御タイミングで1次転写のための所定のバイアスが印加されることによりなされる。この1次転写バイアスによって、1次転写部N1には、正規の帯電極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーをドラム1からベルト9へ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。1次転写工程において、ベルト9に転写されずにドラム1上に残留したトナー(残トナー)は、クリーニング装置6によって除去、回収される。
【0063】
かくして、移動するベルト9上にY色+M色+C色+Bk色の4色フルカラーの未定着トナー像が合成形成される。ここで、本実施例の装置Aにおいては、ベルト9に対して順次に重ね合わせて1次転写する単色トナー像の色順をY色、M色、C色、Bk色の順序構成としているが、この限りではないことは勿論である。
【0064】
一方、給紙機構部(不図示)から記録材Pが一枚分離給送されてベルト9上の4色重ね合わせのトナー像と同期取りされた所定の制御タイミングにて2次転写部N2に対して導入される。これによりベルト9側の4色重ね合わせのトナー像が2次転写部N2を挟持搬送される記録材Pの面に対して一括で2次転写される。
【0065】
この2次転写は、記録材Pが2次転写部N2を挟持搬送されている間、ローラ13に対して電圧出力手段18から2次転写のための所定のバイアスが印加されることによりなされる。この2次転写バイアスによって、2次転写部N2には、正規の帯電極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーをベルト9から記録材Pへ向かわせる方向(極性)の電界が形成される。
【0066】
2次転写部N2を通ってトナー像の転写を受けた記録材Pはベルト9から分離されて定着装置(不図示)に対して導入される。定着装置は記録材上のトナー像を加熱して固着画像として定着させる。即ち、記録材に一括して転写された複数色のトナー像は定着装置により溶融混合されると共に記録材に定着されてフルカラー画像が形成される。そして、画像定着された記録材がフルカラー画像形成物として装置外に排出される。
【0067】
2次転写工程において、記録材Pに転写されずにベルト9上に残留したトナー(残トナー)は、引き続くベルト9の移動によりステーションSの1次転写部N1においてベルト9からドラム1側に逆転写される。そして、そのステーションSのクリーニング装置6によって除去、回収される。
【0068】
典型的には、ベルト9上の残トナーは、ベルト9の移動方向に関して2次転写部N2よりも下流側で、第1のステーションSaの1次転写部N1aよりも上流側に配設されているクリーニングローラ14により電荷が付与される。そして、次回の1次転写時にステーションSの1次転写部N1においてドラム1に逆転写される。この時ドラム1に付着した残トナーはそのステーションSのクリーニング装置7によって除去、回収される。
【0069】
制御回路部Bは、設定された所定のプリントジョブについての画像形成動作(画像形成開始指示による単一又は複数の記録材への一連の画像形成動作)を終了したら、装置動作を、画像形成動作の終了後に実行する所定の整理動作(後処理動作)に移行させる。そして、所定の整理動作が終了したら駆動手段を停止させて装置を次の画像形成スタート信号の入力を待つ待機状態に移行させる。
【0070】
ここで、装置Aの画像形成動作の終了は、個々のステーションSに関して、所定のプリントジョブの最後の画像形成動作でドラム1に形成されたトナー像の後端部が1次転写部N1でベルト9に転写された時点である。その時点から、個々のステーションSが整理動作に入ることになる。
【0071】
(3)モノカラーモード(単色画像形成モード)
このモードは第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdのうちの1つのステーションSのみを使用して画像形成するモードである。ここでは、Bk色用である第4のステーションSdのみを使用してBk色画像を形成するモノクロモード(モノクロプリント)について述べる。
【0072】
制御回路部Bは画像形成スタート信号の入力に基づいて、待機状態に保持されている装置Aの駆動手段25を起動して装置動作を所定のウォ−ミングアップ動作に移行させる。ここでは、Bk色用である第4のステーションSdのドラム1だけが回転駆動される。ユニット3については第4のステーションSdのユニット3dだけが駆動される。また、モータ17が起動されてベルト9も回転駆動される。
【0073】
制御回路部Bは、このウォ−ミングアップ動作時において、第4のステーションSd以外のステーションSa、Sb、Scのローラ5a、5b、5cが上昇位置(図1)に位置していれば、シフト機構16a、16b、16cを制御して下降位置(図2)に転換する。これにより、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scのドラム1に対してはベルト9が離間して1次転写部N1a、N1b、N1cが形成されない状態になる。第4のステーションSdのドラム1dに対してはベルト9が接触していて1次転写部N1dが形成された状態になっている。
【0074】
制御回路部Bは、所定のウォ−ミングアップ動作を終了したら、装置動作を、入力したプリントジョブを実行するための画像形成動作に移行させる。このモノクロモードにおいては、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scはドラム1の回転駆動はなされず画像形成動作は停止状態に保持される。第4のステーションSdについてだけドラム1dの回転駆動がなされてBk色トナー像を形成する画像形成動作が実行される。
【0075】
即ち、第4のステーションSdにおいては、所定の制御タイミングで帯電装置2dがドラム1dの表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。スキャナ3dはドラム1dの表面を画像情報に応じて変調されたレーザー光Ldで走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に画像情報に応じた静電像が所定の制御タイミングをもって形成される。そして、その静電像が現像装置4dによりBk色トナー像として現像される。
【0076】
そのBk色トナー像が1次転写部N1dにおいてベルト9の面に1次転写され、更に2次転写部N2において記録材Pに2次転写される。2次転写部N2を通ってBk色トナー像の転写を受けた記録材Pはベルト9から分離されて定着装置に対して導入される。定着装置は記録材上のBk色トナー像を加熱して固着画像として定着させる。そして、画像定着された記録材がモノクロ画像形成物として装置外に排出される。
【0077】
1次転写工程においてベルト9に転写されずにドラム1d上に残留したトナー(残トナー)は、クリーニング装置6dによって除去、回収される。また、2次転写工程において、記録材Pに転写されずにベルト9上に残留したトナーは、引き続くベルト9の移動によりステーションSdの1次転写部N1dに搬送されてベルト9からドラム1d側に逆転写された後、クリーニング装置6dによって除去、回収される。
【0078】
典型的には、ベルト9上の残トナーは、クリーニングローラ14により電荷が付与され、次回の1次転写時にステーションSdの1次転写部N1dにおいてドラム1dに逆転写される。この時ドラム1dに付着した残トナーはクリーニング装置7dによって除去、回収される。
【0079】
制御回路部Bは、設定された所定のプリントジョブについてモノクロモードによる画像形成動作を終了したら、装置動作を、画像形成動作の終了後に実行する所定の整理動作に移行させる。そして、所定の整理動作が終了したら駆動手段25、17を停止させて装置を次の画像形成スタート信号の入力を待つ待機状態に移行させる。
【0080】
上記のように、モノクロモード時には、Bk色用の第4のステーションSd以外の第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scはドラム1a、1b、1cの駆動と画像形成動作を停止し、ドラム1とベルト9を離間させた状態にする。これにより、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scの現像装置4a、4b、4cやドラム1a、1b、1cの寿命を温存して、Bk色の第4のステーションSdのみの画像形成動作ができる。
【0081】
ここで、単色画像形成モードは、上記のBk色の第4のステーションSdを用いたモードに限られない。選択指定操作により、Y色用の第1のステーションSa、またはM色用の第2のステーションSb、またはC色用の第3のステーションScを用いたモードにすることもできる。この場合は第4のステーションSdについてもシフト機構16によりドラム1dとベルト9とを接触させた接触状態と離間させた離間状態とに転換できる装置構成とする。
【0082】
(4)ベルト9のクリーニング
次に、ベルト9のクリーニング方法について詳細に説明する。制御回路部Bは、装置Aの画像形成動作時は、ローラ14に対して帯電電圧出力手段19から、トナーの正規の帯電極性である負極性とは逆の正極性のバイアス電圧を印加する。本実施例では周波数1000Hz、ピーク間電圧2000Vの矩形波と1.3kVの直流電圧との重畳電圧を印加する。
【0083】
これにより、2次転写されずにベルト9上に残留した残トナーには、正極性の電荷が付与される。又、画像形成動作時において、1次転写ローラ5にはドラム1からベルト9にトナーを引き付けるためにトナーの正規の帯電極性である負極性とは逆の正極性のバイアス電圧が印加される。
【0084】
従って、ローラ14により正極性に帯電されたベルト9上の残トナーは、次回の1次転写時にステーションSのドラム1に対して逆転写され、そのステーションSのクリーニング装置6によって除去、回収される。
【0085】
1)フルカラーモードの画像形成動作時(図1)においては、ベルト9上の残トナーは第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdのうちの最上流側である第1のステーションSaで実質的に全て回収される。これは、1次転写と同時に逆転写による残トナーの回収を行う方式を採用していることから、最も上流側である第1のステーションSaで残トナーを回収することが好ましいためである。
【0086】
2)モノクロモードの画像形成動作時(図2)においては、Bk色用である第4のステーションSd以外の他色の第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scは画像形成動作がなされず、そしてドラム1とベルト9が離間されている。よって、ベルト9上の残トナーは第4のステーションSdで全て回収する。これも上記と同様、1次転写と同時に逆転写による残トナーの回収を行う方式を採用している。
【0087】
(5)ローラ14のクリーニング
2次転写工程前のベルト9上のトナーは、通常、トナーの正規の帯電極性である負極性に帯電している。しかし、2次転写工程にて2次転写ローラ13にはベルト9から記録材Pにトナーを引き付けるためにトナーの正規の帯電極性である負極性とは逆の正極性のバイアス電圧が印加される。そのために、この正極性のバイアス電圧の影響を受けて、2次転写工程後のベルト9上には正極性と負極性の両極性のトナーが存在する。そして、ローラ14には正極性のバイアス電圧が印加されることから正極性に帯電されきれなかった負極性の残トナーがローラ14に付着し易い(ローラ14のトナー汚れ)。
【0088】
そこで、このローラ14のクリーニングのために、制御回路部Bは、設定された所定のプリントジョブについての画像形成動作が終了したら、ローラ14に付着した残トナーをベルト9に吐き出させる。その吐き出しトナーをステーションSで除去、回収する制御を実行する。
【0089】
具体的には、本実施例においては、制御回路部Bは、装置の非画像形成時の所定タイミングとして、設定された所定のプリントジョブについての画像形成動作が終了した後の整理動作時において、ローラ14に付着した残トナーをベルト9に吐き出させる。このトナーの吐き出しはローラ14に帯電電圧出力手段19からトナー吐き出しバイアスを印加することでなされる。
【0090】
このバイアスはローラ14に付着しているトナーの極性と同極性で所定電位のバイアスである。本実施例においては−1.5kVの電圧を印加する。これにより、ローラ14に付着している負極性トナーがベルト9上に吐き出されてローラ14のクリーニングがなされる。
【0091】
ベルト9上に吐き出された残トナーは、1次転写ローラ5に対して画像形成動作時とは逆極性(即ち、トナーの正規の帯電極性と同極性)である負極性のバイアス電圧を印加することで、ドラム1に逆転写して回収することが可能となる。
【0092】
1)フルカラーモード時においては、ローラ14からベルト9に吐き出されたトナーを、第1のステーションSaの1次転写部N1aを通過させ、第2、第3のステーションSb、Scでほぼ均等に回収する。
【0093】
この場合、制御回路部Bは、第1のステーションSaの1次転写ローラ5aに対して1次転写電圧出力手段15aからトナーの正規の帯電極性とは逆極性の所定電位にバイアスを印加する。これにより、1次転写部N1aでは、ローラ14からベルト9に吐き出された正規の帯電極性トナーがドラム1aに逆転写することなくベルト9に引き付けられたまま1次転写部N1aを通過する。
【0094】
一方、制御回路部Bは、第2と第3のステーションSb、Scの1次転写ローラ5b、5cに対しては1次転写電圧出力手段15b、15cからトナーの正規の帯電極性と同極性の所定電位にバイアスを印加する。これにより、1次転写部N1b、N1cでは、1次転写部N1aを通過したベルト9上の正規の帯電極性のトナーがドラム1b、1cの側に逆転写される。ドラム1b、1cの側に逆転写されたトナーはドラム1bと1cのそれぞれの側のクリーニング装置6b、6cに回収される。
【0095】
上記設定で、ローラ14からベルト9に吐き出されたトナーを、第1のステーションSaの1次転写部N1aを通過させ、第2、第3のステーションSb、Scでほぼ均等に回収させることが可能である。
【0096】
2)モノクロモード時でも、フルカラーモード時と同様に、所定のプリントジョブについての画像形成動作が終了した後の整理動作において、ローラ14に付着した残トナーをベルト9に吐き出す制御を行う必要がある。本実施例では、このモノクロモードにおける整理動作時に、ローラ14からベルト9に吐き出されたトナーを、モノクロモード時に使用していなかったステーションSに回収する。
【0097】
具体的には、制御回路部Bは、設定された所定のプリントジョブについての画像形成動作が終了した後の整理動作時に、ローラ14にトナー帯電電圧出力手段19からトナー吐き出しバイアスを印加する。また、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cを所定の速度で回転駆動させるとともに、シフト機構16a、16b、16cを制御して下降位置にある1次転写ローラ5a、5b、5cを上昇位置に転換させる。
【0098】
これにより、第1〜第3のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cに対してベルト9が接触して1次転写部N1a、N1b、N1cが形成された状態になる。
【0099】
この後は1)項のフルカラーモード時におけるローラ14のクリーニングと同じ制御をする。これにより、ローラ14からベルト9に吐き出されたトナーを、第1のステーションSaを通過させ、第2、第3ステーションSb、Scでほぼ均等に回収させることが可能である。なお、ベルト9からトナーを回収しない第1のステーションSaについては、1次転写ローラ5aを下降位置のままにして、ベルト9とドラム1aとが接触しないようにしてもよい。このように、ベルト9とドラム1aを接触させないことにより、ドラム1aとベルト9との摺擦によるドラム1aの劣化を抑制することができる。
【0100】
本実施例において第1ステーションSaでトナーを回収しないのは、フルカラーモードにおける画像形成時の残トナーは、第一ステーションSaで回収されることになるためである。そのため、ローラ14からのトナーの回収を第1のステーションSaで行うと、廃トナー容器62aの廃トナーがパンクするおそれがある。なお、廃トナー容器62aの容量が十分あるのであれば、第1のステーションSaで回収してもよい。
【0101】
本実施例における画像形成のフローについて図8を用いて説明をする。モノクロモードが選択されると、トナー像が形成されるドラム1dはベルト9と接触状態にされ、それ以外のドラム1a、b、cはベルト9と離間した状態で、画像形成が行われる(S1)。画像形成動作が終了(S2)すると、ローラ14のクリーニング動作のためにドラム1a、b、cをベルト9と接触させる(S3)。そして、ローラ14からトナーをベルト9に移動させ、トナーをドラム1b、cで回収することでローラ14の清掃を行う(S4)。
【0102】
以上説明したように、モノクロモード時においてローラ14からベルト9に吐き出されたトナーの回収を、第2、第3のステーションSb、Scでも行う。これにより、第4のステーションSdの廃トナーがパンク(クリーニング装置6dの廃トナー容器62dの容量を超えて廃トナーがあふれ出てしまう現象)することを防ぐことができる。
【0103】
不使用のステーションSのドラム1とベルト9とが接触するタイミングについては、単色画像形成のためのステーションでベルト9に形成されたトナー像の後端部がドラム1とベルト9とを接触させようとするステーションの転写部N1を通過した後である。
【0104】
また、各ステーションSのドラム1とベルト9との接触状態と離間状態との制御に関しては次のようにすることもできる。
【0105】
a:装置Aの待機状態時においては、全てのステーションについてドラム1とベルト9とを接触状態にしておく。そして、単色画像形成モードの場合には、使用されないステーションについてドラム1とベルト9とを離間状態に状態転換する。単色画像形成モードが終了したら、使用されないステーションについてドラム1とベルト9とを接触状態に状態戻して待機させる。
【0106】
b:装置Aの待機状態時においては、全てのステーションについてドラム1とベルト9とを離間状態にしておく。そして、フルカラーモードの場合には、全てのステーションのドラム1とベルト9とを接触状態に状態転換する。フルカラーモードが終了したら、全てのステーションのドラム1とベルト9とを離間状態に戻して待機させる。また、単色画像形成モードの場合には、使用するステーションについてドラム1とベルト9とを接触状態に状態転換する。単色画像形成モードが終了したら、使用したステーションについてドラム1とベルト9とを離間状態に戻して待機させる。
【0107】
上記の単色画像形成モードにおけるローラ14のクリーニング制御をまとめると次のとおりである。制御回路部Bは、単色画像形成モードの場合は、設定された所定のプリントジョブの画像形成動作の終了後に実行する画像形成装置の所定の整理動作時に、次のような制御をしてローラ14のクリーニングを実行する。
【0108】
単色画像形成モードで使用したドラム(第一の像担持体)以外の少なくとも一つのドラム(第二の像担持体)とベルト9とが離間状態から接触状態となるようにシフト機構16を制御する。当該ドラム(当該像担持体)1を回転状態に制御する。ローラ14に付着しているトナーをベルト9に吐き出させるバイアスを帯電電圧出力手段19からローラ14に印加する。吐き出されたトナーを当該ドラム1とベルト9との接触部N1にてベルト9の側から当該ドラム1の側に逆転写させるためのバイアスを転写電圧出力手段15から当該ドラム1に対応するローラ5に印加する制御を行う。
【0109】
これにより、単色画像形成モードにおいて、ローラ14からベルト9に吐き出されたトナーの回収を、当該モードで使用されたステーション以外のステーションでも行うことで、当該モードで使用されたステーションが廃トナーでパンクすることを防ぐことができる。
【0110】
なお、本実施例において、単色画像形成モードでトナー像が形成されるドラム1dが第一の像担持体、複数色画像形成モードでトナー像が形成され、単色画像形成モードにおいてベルト9からトナーを回収するドラム1b、1cが第二の像担持体である。
【0111】
[実施例2]
図3は本実施例における画像形成装置Aの要部の構成模式図である。実施例1の装置Aと共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。本実施例の装置Aにおいては、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cとベルト9との接触と離間とを、カートリッジ7a、7b、7cをそれぞれベルト9に対して上下移動させることで行うようにしている。実施例2では、制御回路部Bで制御されるシフト機構20(状態転換手段)を設けている。
【0112】
即ち、第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scにおけるカートリッジ7a、7b、7cについては、それぞれ、制御回路部Bで制御されるシフト機構20a、20b、20cにより上昇位置と下降位置とに位置転換される構成である。シフト機構20の具体例は図の煩雑を避けるために省略したけれども、例えば、レバーとカム或いはソレノイドなどを用いた適宜の機構構成とすることができる。
【0113】
本実施例のポイント部は、ローラ14から吐き出されるトナーの回収ではなく、通常の画像形成時に転写残として残るベルト9上のトナーを、画像を書いているステーション以外のステーションで回収しようというものである。
【0114】
本実施例においては、第4のステーションSdのカートリッジ7dについては、ベルト9を介してドラム1dの下面に常に接触させた状態に保持させて1次転写部N1dが常に形成されている状態を維持させている。このカートリッジ7dについてもシフト機構20により上昇位置と下降位置とに位置転換する構成にすることもできる。
【0115】
図3において、第1と第3のステーションSa、Scにおけるカートリッジ7a、7cについては、それぞれ、シフト機構20a、20cにより上昇位置に位置転換されている状態を示している。第2のステーションSbにおけるカートリッジ7bについてはシフト機構20bにより下降位置に位置転換されている状態を示している。
【0116】
ユニット8において、各1次転写ローラ5a、5b、5c、5dは定置配設されている。カートリッジ7a、7b、7cが、それぞれ、下降位置に位置転換されることで、ドラム1a、1b、1cはベルト9を介して対応する1次転写ローラ5a、5b、5cと接触して、1次転写部N1a、N1b、N1cが形成された状態になる。また、カートリッジ7a、7b、7cが、それぞれ、上昇位置に位置転換されることで、ベルト9からドラム1a、1b、1cが離間した状態(1次転写部N1a、N1b、N1cが解除された状態)に保持される。
【0117】
第4のステーションSdのカートリッジ7dについては、本実施例では、ドラム1dがベルト9を介して1次転写ローラ5dと常に接触した状態に保持させて1次転写部N1dが常に形成されている状態を維持させている。
【0118】
1)フルカラーモード時は、第1、第2、第3のステーションSa、Sb、Scにおけるカートリッジ7a、7b、7cが全て下降位置に位置転換される。これにより、第1乃至第4の全てのステーションSa、Sb、Sc、Sdに1次転写部N1a、N1b、N1c、N1dが形成される。この状態において、実施例1の装置Aのフルカラーモード時と同様の装置動作にてフルカラーモードが実行される。
【0119】
また、フルカラーモード時における、ベルト9のクリーニング、ローラ14のクリーニングも実施例1の装置Aのフルカラーモード時と同様の装置動作にて実行される。
【0120】
2)モノクロモード、モノクロモードにおけるベルト9のクリーニング、ローラ14のクリーニングも実施例1の装置のモノクロモード時と同様の装置動作にて実行することが出来るが、本実施例においては下記のような装置動作にて実行している。
【0121】
制御回路部Bは、モノクロモード時には、Bk色以外の他の色の第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scにおけるカートリッジ7a、7b、7cのうち少なくとも1つを下降位置に位置転換させる。これにより、そのカートリッジ7のドラム1がベルト9に接触して1次転写部N1を形成した状態となる。また、制御回路部Bは、その下降位置に位置転換させたカートリッジ7のドラム1については回転状態にする。ただし、このカートリッジ7による画像形成動作は禁止する。
【0122】
図3は、第2のステーションSbにおけるカートリッジ7bが下降位置に位置転換されてドラム1bがベルト9に接触して1次転写部N1bが形成されている状態を示している。この状態において、制御回路部Bは、Bk色の第4のステーションSdによる画像形成動作を行ってモノクロモードを実行する。1次転写部N1dにおけるドラム1dからベルト9へのBk色トナー像の1次転写工程において、ベルト9に転写されずにドラム1d上に残留したトナーは、クリーニング装置6dによって除去、回収される。
【0123】
また、モノクロモードの画像形成動作時は、ローラ14に対して帯電電圧出力手段19から、トナーの正規の帯電極性である負極性とは逆の正極性のバイアス電圧が印加される。本実施例では周波数1000Hz、ピーク間電圧2000Vの矩形波と1.3kVの直流電圧との重畳電圧を印加する。これにより、2次転写されずにベルト9上に残留した残トナーには、正極性の電荷が付与される。
【0124】
また、ドラム1bをベルト9に接触させて1次転写部N1bを形成させている第2のステーションSbに対応する1次転写ローラ5bにはドラム1bからベルト9にトナーを引き付ける。そのために、トナーの正規の帯電極性である負極性とは逆の正極性のバイアス電圧が印加される。よって、ベルト9上の残トナーは、Bk色の第4のステーションSdよりも上流側である第2のステーションSbの1次転写部N1bにおいてベルト9からドラム1bに逆転写されてほとんど全てが第2のステーションSbで回収される。
【0125】
これにより、第4ステーションのプロセスカートリッジの回収された廃トナーがパンクすることを防ぐことができる。
【0126】
このように、単色画像形成モードでトナー像の形成に使用するドラム1d(第一の像担持体)以外の少なくとも一つのドラム1b(第二の像担持体)をベルト9と接触状態になるようにシフト機構20を制御する。そして、ドラム1bに、ベルト9上の残トナーを回収するようにしている。一方、単色画像形成モードにおいてトナー像の形成やベルト9からのトナーの回収を行わないドラム1a、1c(第三の像担持体)は、離間状態になるようにシフト機構20を制御する。
【0127】
なお、ベルト9の残トナーの回収について、本実施例においては、単色画像形成モードでトナー像が形成されるドラム1dが第一の像担持体、単色画像形成モードにおいてベルト9からのトナーを回収するドラム1bが第二の像担持体である。また、単色画像形成モードにおいて離間状態にあるドラム1a、1cが第三の像担持体である。単色画像形成モードにおいて、少なくともベルト9離間しているドラム(第三の像担持体)がある。そのため、離間しているドラムについてはベルト9との摺擦が回避されるので劣化を防止することができる。
【0128】
また、設定された所定のプリントジョブの画像形成動作が終了した後の整理動作時におけるローラ14のクリーニングに関しては、制御回路部Bは、実施例1の場合と同様に、ローラ14にトナー帯電電圧出力手段19からトナー吐き出しバイアスを印加する。また、ドラム1bをベルト9に接触させて1次転写部N1bを形成させている第2のステーションSbに対応する1次転写ローラ5bに対しては転写電圧出力手段15bからトナーの正規の帯電極性と同極性の所定電位にバイアスを印加する。
【0129】
これにより、ベルト9上に吐き出された残トナーは、Bk色の第4のステーションSdよりも上流側である第2のステーションSbの1次転写部N1bにおいてベルト9からドラム1bに逆転写されてほとんど全てが第2のステーションSbで回収される。これにより、第4ステーションのプロセスカートリッジの回収された廃トナーがパンクすることを防ぐことができる。
【0130】
本実施例における画像形成のフローについて図9を用いて説明をする。モノクロモードが選択されると、トナー像が形成されるドラム1dはベルト9と接触状態にされる。また、ベルト9から残トナーを回収するためのドラム1bもベルト9と接触状態にされる。それ以外のドラム1a、cはベルト9と離間した状態で、画像形成が行われる(S11)。画像形成動作が終了(S12)すると、ローラ14のクリーニング動作のためにドラム1a、cをベルト9と接触させる(S13)。そして、ローラ14からトナーをベルト9に移動させ、トナーをドラム1b、cで回収することでローラ14の清掃を行う(S14)。
【0131】
本実施例では第2のステーションSbのドラム1bをベルト9に接触させた状態にしてモノクロモード時におけるベルト9上の2次転写残トナーの回収、ローラ14からの吐き出しトナーの回収を行う例を示したが、これに限られない。
【0132】
第2のステーションSaもしくは第3のステーションScのドラム1aもしくは1cをベルト9に接触させた状態としてもよい。また、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scのうちの2つの組み合わせた状態にしてもよい。
【0133】
また、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scのドラム1a、1b、1cをモノクロモードの度に順番にもしくは交互にベルト9に接触させる制御構成にしてもよい。
【0134】
上記の単色画像形成モードにおけるローラ14のクリーニング制御をまとめると次のとおりである。制御回路部Bは、単色画像形成モードの場合は、単色画像形成モードの画像形成動作のときに、次のような制御をしてローラ14のクリーニングを実行する。
【0135】
単色画像形成モードで使用したステーション以外(接触状態の画像形成部以外)の少なくとも1つのステーションのドラム1とベルト9とが離間状態から接触状態となるようにシフト機構16を制御する。当該ドラム(当該像担持体)1を回転状態に制御する。ローラ14に付着しているトナーをベルト9に吐き出させるバイアスを帯電電圧出力手段19からローラ14に印加する。吐き出されたトナーを当該ドラム1とベルト9との接触部N1にてベルト9の側から当該ドラム1の側に逆転写させるためのバイアスを転写電圧出力手段15から当該ドラム1に対応するローラ5に印加する制御を行う。
【0136】
これにより、単色画像形成モードにおいて、ローラ14からベルト9に吐き出されたトナーの回収を、当該モードで使用されたステーション以外のステーションでも行うことで、当該モードで使用されたステーションが廃トナーでパンクすることを防ぐことができる。
【0137】
[実施例3]
図4は本実施例における画像形成装置Aの要部の構成模式図である。この装置Aは、実施例1の中間転写インライン方式の装置Aを直接転写インライン方式の装置構成にしたものである。実施例1の装置Aと共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。直接転写インライン方式であるため、実施例1にある2次転写ローラ13は存在しない。
【0138】
第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdの構成は実施例1の装置Aと同じである。本実施例の装置Aにおいては、実施例1の装置Aにおける中間転写ユニット8を記録材搬送ユニット8Aとしてある。ユニット8Aは、記録材Pを担持して循環して移動する記録材搬送体としての可撓性を有するエンドレスの記録材搬送ベルト9Aを有する。ベルト9Aは複数の支持部材(ベルト張架部材)としての、駆動ローラ10、従動ローラ21、テンションローラ22に懸回張設されている。
【0139】
ローラ10は第1のステーションSaの側に配設されている。ローラ21は第4のステーションSdの側に配設されている。ローラ22はローラ10とローラ21の間の下方に配設されているローラ10とローラ21との間の上行側のベルト部分は第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdにわたっている。ベルト9Aはローラ10が制御回路部Bで制御されるモータ17により駆動されることによって矢印の時計方向(記録材搬送体移動方向)にドラム1とほぼ同じ周速をもって回転される。
【0140】
従って、ローラ10とローラ21との間の上行側のベルト部分の移動方向において、第1のステーションSaが最上流側のステーション、第4のステーションSdが最下流側のステーションとなる。
【0141】
各ステーションSの1次転写ローラ5はベルト9Aの内側に配設されている。各ローラ5に対する転写電圧出力手段15、シフト機構16、トナー帯電手段としてのローラ14、このローラ14に対する帯電電圧印加手段19も実施例1の装置Aと同じである。
【0142】
1)フルカラーモードは、図4のように、第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdの全てのステーションのドラム1に対してベルト9Aが接触状態になって転写部N1a、N1b、N1c、N1dが形成された状態にされて実行される。記録材Pは給紙機構部(不図示)から一枚分離給送されガイド23に案内されてローラ10の側からベルト9Aの上行側のベルト部分に所定の制御タイミングで給送される。そして、ベルト9Aに担持されることで右側から左側に搬送される。
【0143】
この搬送により記録材Pは第1から第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdの転写部N1a、N1b、N1c、N1dを順次に通過することによりY色、M色、C色、K色の各色トナー像の転写を順次に受ける。かくして、記録材P上にY色+M色+C色+K色の4色フルカラーの未定着トナー像が合成形成される。そして、その記録材Pはローラ21における記録材分離位置24においてベルト9Aから分離されて定着装置(不図示)に導入される。
【0144】
記録材分離位置24はベルト9Aに担持されて搬送されてベルト9Aの移動方向において最下流側に配置されている第4のステーションSdを通過した記録材Pの先端部がベルト9Aから分離する位置である。記録材Pは分離手段(不図示)により、或いは曲率分離してなされる。ローラ14は記録材分離位置24よりも下流側で複数の画像形成部のうちの最上流側の画像形成部である第1のステーションSaよりも上流側に位置している。
【0145】
このフルカラーモードにおける、ベルト9Aのクリーニングのための制御、ローラ14のクリーニングのための制御は、実施例1の装置Aと同じである。
【0146】
2)モノクロモード時は、図5のように、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scのドラム1に対してはベルト9Aが離間して1次転写部N1a、N1b、N1cが形成されない状態になる。第4のステーションSdのドラム1dに対してはベルト9Aが接触していて1次転写部N1dが形成された状態になっている。このモノクロモードにおいては、第1乃至第3のステーションSa、Sb、Scはドラム1の回転駆動はなされず画像形成動作は停止している状態に保持される。第4のステーションSdについてだけドラム1dの回転駆動がなされて画像形成動作が実行される。
【0147】
記録材Pはベルト9Aに担持されて搬送され、この搬送により第4のステーションSdの転写部N1dを通過することによりK色の各色トナー像の転写を受ける。そして、その記録材Pは記録材分離位置24においてベルト9Aから分離されて定着装置(不図示)に導入される。
【0148】
このモノクロモードにおける、ベルト9Aのクリーニングのための制御、ローラ14のクリーニングのための制御は、実施例1の装置Aと同じである。ローラ14のクリーニングのための制御は次のとおりである。制御回路部Bは、設定された所定の画像形成ジョブの画像形成動作の終了後に実行する画像形成装置の所定の整理動作時に、実施例1の装置に準じた次のような制御を行う。
【0149】
モノクロモード(単色画像形成モード)の実行で使用したドラム(第一の像担持体)以外の少なくとも一つのドラム(第二の像担持体)とベルト9Aとが離間状態から接触状態となるようにシフト機構16を制御する。当該ドラム1を回転状態に制御する。
【0150】
そして、ローラ14に付着しているトナーをベルト9Aに吐き出させるバイアスを帯電電圧出力手段19からローラ14に印加する。吐き出されたトナーを当該ドラム1とベルト9Aとの接触部N1においてベルト9Aの側から当該ドラム1の側に逆転写させるためバイアスを転写電圧出力手段15から当該ドラムに対応するローラ5に印加する制御を行う。
【0151】
なお、ローラ14のクリーニングについて、本実施例においては、単色画像形成モードでトナー像が形成されるドラム1dが第一の像担持体である。そして、複数色画像形成モードでトナー像が形成され、単色画像形成モードにおいてベルト9Aからトナーを回収するドラム1b、1cが第二の像担持体である。
【0152】
[実施例4]
図6は本実施例における画像形成装置Aの要部の構成模式図である。この装置Aは、実施例2の中間転写インライン方式の装置Aについて実施例3と同様の構成の直接転写インライン方式の装置構成にしたものであり、実施例2、3の装置Aと共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0153】
本実施例のポイント部は、ローラ14から吐き出されるトナーの回収ではなく、通常の画像形成時に残るベルト9A上のトナーを、画像を書いているステーション以外のステーションで回収しようというものである。
【0154】
1)フルカラーモードは、第1乃至第4のステーションSa、Sb、Sc、Sdの全てのステーションのドラム1に対してベルト9Aが接触状態になって転写部N1a、N1b、N1c、N1dが形成された状態にされて実行される。このフルカラーモードにおける、ベルト9Aのクリーニングのための制御、ローラ14のクリーニングのための制御は、実施例2の装置Aと同じである。
【0155】
2)モノクロモードは、実施例2の場合と同様の制御でなされる。図6は図3に対応する図である。このモノクロモードにおける、ベルト9Aのクリーニングのための制御、ローラ14のクリーニングのための制御は、実施例2の装置Aと同じである。
【0156】
制御回路部Bは、単色画像形成モードでトナー像の形成に使用するドラム1d(第一の像担持体)以外の少なくとも一つのドラム1b(第二の像担持体)を9Aと接触状態になるようにシフト機構16を制御する。そして、ドラム1bに、ベルト9A上の残トナーを回収するようにしている。一方、単色画像形成モードにおいてトナー像の形成やベルト9Aからのトナーの回収を行わないドラム1a、1c(第三の像担持体)は、離間状態になるようにシフト機構20を制御する。
【0157】
なお、画像形成時のベルト9Aからの残トナーの回収について、本実施例においては、単色画像形成モードでトナー像が形成されるドラム1dが第一の像担持体、単色画像形成モードにおいてベルト9Aからのトナーを回収するドラム1bが第二の像担持体である。また、単色画像形成モードにおいて離間状態にあるドラム1a、1cが第三の像担持体である。
【0158】
これにより、単色画像形成モードにおいて、ローラ14からベルト9Aに吐き出されたトナーの回収を、単色画像形成モードで使用されたステーション以外のステーションでも行うことができる。そのため、単色画像形成モードで使用されたステーションが廃トナーでパンクすることを防ぐことができる。また、単色画像形成モードにおいて、少なくともベルト9Aから離間しているドラム(第三の像担持体)がある。そのため、離間しているドラムについてはベルト9Aとの摺擦が回避されるので劣化を防止することができる。
【0159】
制御回路部Bは、単色画像形成モードの場合は、画像形成動作の終了後に、次のような制御をしてローラ14のクリーニングを実行する。
【0160】
モノクロモードの実行で使用される画像形成部以外(第4のステーションSd以外)の画像形成部(第1〜第3のステーションSa〜Sc)の少なくとも1つの画像形成部のドラム1とベルト9Aとが離間状態から接触状態となるようにシフト機構20を制御する。当該ドラム1を回転状態に制御する。ローラ14に付着しているトナーをベルト9Aに吐き出させるバイアスを帯電電圧出力手段19からローラ14に印加する。
【0161】
吐き出されたトナーを当該ドラム1とベルト9Aとの接触部N1においてベルト9Aの側から当該ドラム1の側に逆転写させるためバイアスを転写電圧出力手段15から当該ドラム1に対応するローラ5に印加する制御を行う。
【0162】
[その他の事項]
(1)各画像形成部は実施例の電子写真方式の画像形成機構に限られない。像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録方式の画像形成機構、像担持体として磁気記録磁性体を用いた磁気記録方式の画像形成機構などであってもよい。
【0163】
(2)中間転写体または記録材搬送体は実施例のエンドレスのベルト体に限られない。回転するドラム体にすることもできる。
【0164】
(3)複数の画像形成部は実施例の4つに限られない。2つ、3つ、5つ以上とすることができる。異なる色のトナーには透明トナーや白色トナーも含むものとする。
【符号の説明】
【0165】
S(Sa、Sb、Sc、Sd)・・ステーション、5(5a、5b、5c、5d)・・1次転写手段、9・・中間転写体、13・・2次転写手段、14・・トナー帯電手段、15(15a、15b、15c、15d)・・転写電圧出力手段、16(16a、16b、16c)・・シフト機構、P・・記録材、19・・帯電電圧出力手段、B・・制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持するための第一の像担持体と、
トナー像を担持するための第二の像担持体と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体に形成されたトナー像を1次転写されることが可能な中間転写体であって、移動方向に沿って前記第一の像担持体と前記第二の像担持体が配置される中間転写体と、
前記中間転写体に形成されたトナー像を記録媒体に転写するための2次転写部材と、
前記中間転写体の移動方向において前記2次転写部材より下流で、前記中間転写体の移動方向において最上流側の像担持体よりも上流に配置され、前記中間転写体の上のトナーを帯電可能なトナー帯電部材と、
前記第一の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第二の像担持体と前記中間転写体を離間させ、前記第一の像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写して画像形成を行う単色画像形成モード、と前記第一の像担持体と前記中間転写体を接触させ、且つ第二の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第一及び第二の像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写して画像形成を行う複数色画像形成モード、とを制御する制御部と、
を備え、前記制御部は、単色画像形成モードで画像形成を終了した後の後処理動作において、前記第二の像担持体と前記中間転写体を離間状態から接触状態に切り替え、前記トナー帯電部材に付着したトナーを前記中間転写体を介して前記第二の像担持体に回収し、前記第二の像担持体に設けられたクリーニング装置で回収を行う制御をする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一の像担持体は、前記中間転写体の移動方向において最下流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナー像を担持するための第一の像担持体と、
トナー像を担持するための第二の像担持体と、
トナー像を担持するための第三の像担持体と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と前記第三の像担持体に形成されるトナー像を1次転写されることが可能な中間転写体であって、移動方向に沿って前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と前記第三の像担持体が配置される中間転写体と、
前記中間転写体に形成されたトナー像を記録媒体に転写するための2次転写部材と、
前記第一の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第二の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第三の像担持体と前記中間転写体を離間させ、前記第一の像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写して画像形成を行う単色画像形成モード、と前記第一の像担持体と前記中間転写体を接触させ、第二の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第三の像担持体と前記中間転写体を接触させ、前記第一、第二及び第三の像担持体に形成したトナー像を中間転写体に転写して画像形成を行う複数色画像形成モード、の実行を制御する制御部と、
を備え、前記第二の像担持体は前記第一の像担持体よりも前記中間転写体の移動方向において上流側に配置され、前記制御部は、前記単色画像形成モードにおいて、2次転写の後に前記中間転写体に残留したトナーを前記第二の像担持体に回収し、前記第二の像担持体に設けられたクリーニング装置で回収を行う制御をする画像形成装置。
【請求項4】
前記第一の像担持体は、前記中間転写体の移動方向において最下流側に配置されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を担持するための第一の像担持体と、
トナー像を担持するための第二の像担持体と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体に形成されたトナー像が1次転写される記録材を担持して搬送する記録材搬送体であって、移動方向に沿って前記第一の像担持体と前記第二の像担持体が配置される記録材搬送体と、
前記記録材搬送体の移動方向に関して最下流側に配置されている像担持体を通過した記録材の先端部が前記記録材搬送体から分離する記録材分離位置よりも下流側で、前記記録材搬送体の移動方向に関して最上流側に配置されている像担持体よりも上流側にて前記記録材搬送体に付着しているトナーに電荷を付与するトナー帯電部材と、
前記第一の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、前記第二の像担持体と前記記録材搬送体を離間させ、前記第一の像担持体に形成したトナー像を記録材搬送体に搬送される記録材に転写して画像形成を行う単色画像形成モード、と前記第一の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、且つ第二の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、前記第一及び第二の像担持体に形成したトナー像を記録材搬送体に搬送される記録材に転写して画像形成を行う複数色画像形成モード、とを制御する制御部と、
を備え、前記制御部は、単色画像形成モードで画像形成を終了した後の後処理動作において、前記第二の像担持体と前記記録材搬送体を離間状態から接触状態に切り替え、前記トナー帯電部材に付着したトナーを前記記録材搬送体を介して前記第二の像担持体に回収し、前記第二の像担持体に設けられたクリーニング装置で回収を行う制御をする画像形成装置。
【請求項6】
前記第一の像担持体は、前記記録材搬送体の移動方向において最下流側に配置されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナー像を担持するための第一の像担持体と、
トナー像を担持するための第二の像担持体と、
トナー像を担持するための第三の像担持体と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と前記第三の像担持体に形成されたトナー像が1次転写される記録材を担持して搬送する記録材搬送体であって、移動方向に沿って前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と前記第三の像担持体が配置される記録材搬送体と、
前記第一の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、前記第二の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、前記第三の像担持体と前記記録材搬送体を離間させ、前記第一の像担持体に形成したトナー像を記録材搬送体に転写して画像形成を行う単色画像形成モードと、前記第一の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、第二の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、前記第三の像担持体と前記記録材搬送体を接触させ、前記第一、第二及び第三の像担持体に形成したトナー像を記録材搬送体に転写して画像形成を行う複数色画像形成モード、の実行を制御する制御部と、
を備え、前記第二の像担持体は前記第一の像担持体よりも前記記録材搬送体の移動方向において上流側に配置されており、前記制御部は、前記単色画像形成モードにおいて、前記記録材搬送体に残留したトナーを前記第二の像担持体に回収し、前記第二の像担持体に設けられたクリーニング装置で回収を行う制御をする画像形成装置。
【請求項8】
前記第一の像担持体は、前記記録材搬送体の移動方向において最下流側に配置されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−237977(P2012−237977A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89377(P2012−89377)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】