説明

画像形成装置

【課題】給紙カセットの装着状態を検出可能であり、かつ製造コストの低廉化を実現できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成部10は、シート上又は無端ベルト11C上に複数色の画像を重ねて形成するとともに、複数色のそれぞれに対応する検出用パターン55C〜55Kを無端ベルト11C上に形成する。検出手段50は、無端ベルト11Cに対向して検出用パターン55C…を検出可能な検出面51を有する。シャッター部材60は、無端ベルト11Cと検出面51との間で変位して、検出面51の少なくとも一部を覆う閉鎖状態と、検出面51を開放する開放状態とに切り替わる。連動機構70は、給紙カセット21の装着及び引き出しに連動してシャッター部材60を変位させる。判断手段90は、検出手段50の検出結果に基づき画像形成部10が形成する画像の状態を判断するとともに、給紙カセット21が装着されているか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、搬送されるシートに接触可能に循環する無端ベルトと、無端ベルトに対向配置される複数の像担持体を有し、静電潜像が形成される各像担持体に対して対応する複数色のトナーを供給してシート上に複数色の画像を重ねて形成する画像形成部とを備える。また、画像形成部は、複数色のそれぞれに対応する検出用パターンを無端ベルト上に形成するようになっており、画像形成装置は、無端ベルトに対向して検出用パターンを検出可能な検出手段を備える。検出手段が検出用パターンを検出することにより、その検出結果に基づいて、画像形成装置は、複数色の画像の位置ずれや、濃度レベル等を判断することができるように構成されている。
【0003】
また、特許文献2に別の従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、装置本体と、装置本体に装着及び引き出し可能に設けられ、シートを収容する給紙カセットと、装置本体に揺動可能に支持され、装置本体に装着された給紙カセットに当接する揺動リンクと、揺動リンクの姿勢を検出する検出手段とを備える。給紙カセットが装置本体から引き出されると、揺動リンクが給紙カセットに当接しなくなることにより揺動するので、検出手段がその姿勢の変化を検出する。その検出結果に基づいて、画像形成装置は、給紙カセットが装置本体に装着されているか否かを判断することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−115962号公報
【特許文献2】特開2006−182549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の画像形成装置に対して、上記特許文献2の揺動リンクや検出手段を組み込んで、給紙カセットが装置本体に装着されているか否かの判断を行おうとする場合、検出用パターンを検出する検出手段と、給紙カセットの装着状態を検出する検出手段とを別々に設ける必要がある。その場合、部品点数の削減が難しく、ひいては製造コストの低廉化が難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、給紙カセットの装着状態を検出可能であり、かつ製造コストの低廉化を実現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、装置本体と、
前記装置本体に装着及び引き出し可能に設けられ、シートを収容する給紙カセットと、
前記給紙カセットから搬送される前記シートに接触可能に循環する無端ベルトと、
前記無端ベルトに対向配置される複数の像担持体を有し、静電潜像が形成される前記各像担持体に対して対応する複数色のトナーを供給して前記シート上又は前記無端ベルト上に複数色の画像を重ねて形成するとともに、前記複数色のそれぞれに対応する検出用パターンを前記無端ベルト上に形成する画像形成部と、
前記無端ベルトに対向して前記検出用パターンを検出可能な検出面を有する検出手段と、
前記無端ベルトと前記検出面との間に設けられ、変位することにより、前記検出面の少なくとも一部を覆う閉鎖状態と、前記検出面を開放する開放状態とに切り替わるシャッター部材と、
前記給紙カセットの前記装置本体に対する装着及び引き出しに連動して前記シャッター部材を変位させる連動機構と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記画像形成部が形成する前記画像の状態を判断するとともに、前記給紙カセットが前記装置本体に装着されているか否かを判断する判断手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置では、画像形成部が検出用パターンを無端ベルト上に形成した場合、検出手段がその検出用パターンを検出する。そして、判断手段は、検出手段の検出結果に基づいて、画像形成部が形成する画像の状態を判断する。
【0009】
また、連動機構は、給紙カセットの装置本体に対する装着及び引き出しに連動して、シャッター部材を変位させる。ここで、シャッター部材は、無端ベルトと検出面との間に設けられているので、検出手段の検出結果は、シャッター部材の変位に伴って変化する。そして、そのように変化する検出手段の検出結果に基づき、判断手段は、給紙カセットが装置本体に装着されているか否かを判断する。
【0010】
すなわち、判断手段は、1つの検出手段を用いて、2種類の判断を行うことができる。このため、この画像形成装置は、検出用パターンを検出する検出手段と、給紙カセットの装着状態を検出する検出手段とを別々に設ける必要が無くなるので、部品点数を削減できる。
【0011】
したがって、本発明の画像形成装置は、給紙カセットの装着状態を検出可能であり、かつ製造コストの低廉化を実現できる。また、給紙カセットの装着状態を検出する検出手段の設置スペースが不要となるので、画像形成装置を小型化し易い。
【0012】
また、本発明の画像形成装置において、検出手段は、検出面を介して無端ベルト側に向けて発光する発光部と、無端ベルト側からの反射光を検出面を介して受光する受光部とを有することが望ましい。そして、連動機構は、給紙カセットが装置本体から引き出された場合、シャッター部材を第1位置に変位させる一方、給紙カセットが装置本体に装着された場合、シャッター部材を第2位置に変位させることが望ましい。さらに、シャッター部材は、第1位置にある場合と第2位置にある場合とで、受光部の受光量を異ならせるように構成されていることが望ましい。この構成によれば、光学式の簡易な検出手段を採用し、受光部の受光量の変化に基づいて判断手段が判断を行うことにより、給紙カセットの装着状態を確実に検出可能であり、かつ製造コストの低廉化を確実に実現できる。
【0013】
さらに、本発明の画像形成装置において、シャッター部材は、第1位置では閉鎖状態となり、第2位置では開放状態となるように構成されていることが望ましい。この構成によれば、給紙カセットが装着されていない場合、すなわち、画像形成不能な場合、連動機構は、シャッター部材を閉鎖状態に切り替える。そうすると、何らかの振動(例えば、給紙カセットの装着時における装置本体との接触等)により、装置本体に残留していたトナーが落下しても、そのトナーがシャッター部材に遮られて検出面に付着し難くなるので、検出面の汚れを抑制できる。その一方、給紙カセットが装着された場合、すなわち、画像形成可能な場合、連動機構は、シャッター部材を開放状態に切り替えるので、検出手段が検出用パターンを検出可能となる。こうして、上記構成によれば、検出面の汚れの抑制と、検出用パターンの検出とに適したタイミングで、シャッター部材を閉鎖状態と開放状態とに切り替えることができる。また、切り替え時のシャッター部材の変位を利用して、給紙カセットの装着状態を検出することができるので、部品点数を確実に削減でき、製造コストの低廉化をより確実に実現できる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置において、シャッター部材の検出面と対向する面は、無端ベルトからの反射光とは異なる反射光を受光部に受光させるように構成されていることが望ましい。このような簡易な構成により、製造コストの低廉化を一層確実に実現できる。
【0015】
さらに、本発明の画像形成装置において、シャッター部材は、第1位置及び第2位置では閉鎖状態となるように構成され、この場合、シャッター部材を開放状態に切り替える切替手段を備えていることが望ましい。
【0016】
給紙カセットが装着されて画像形成可能となっても、検出用パターンを検出する期間は限られている。そして、検出用パターンを検出する期間だけ、シャッター部材を開放状態に切り替え、それ以外の期間は、シャッター部材を閉鎖状態にするほうが検出面の汚れの抑制のために効果的である。
【0017】
この点、上記構成によれば、連動機構は、給紙カセットの装着及び引き出しに連動して、シャッター部材を閉鎖状態のまま第1位置と第2位置とに変位させる。これにより、この画像形成装置は、検出面の汚れを抑制しつつ、給紙カセットの装着状態を検出できる。また、この画像形成装置は、検出用パターンを検出する期間だけ、切替手段によりシャッター部材を開放状態に切り替えることにより、検出面に汚れが付着し得る期間をできるだけ短くすることができるので、検出面の汚れを確実に抑制できる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置において、第1位置にあるシャッター部材の検出面と対向する面と、第2位置にあるシャッター部材の検出面と対向する面とは、互いに異なる反射光を受光部に受光させるように構成されていることが望ましい。このような簡易な構成により、製造コストの低廉化を一層確実に実現できる。
【0019】
さらに、本発明の画像形成装置において、シャッター部材は、変位する際に検出面に接触して清掃する清掃部材を有することが望ましい。この構成によれば、シャッター部材が変位する際に、清掃部材によって検出面に付着した埃やトナーを除去することができ、検出面をよりきれいな状態に保つことができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置は、駆動力を発生する駆動手段と、駆動手段の駆動力を少なくとも画像形成部に伝達する伝達部とを備え、この場合、駆動手段が駆動を開始する前に、判断手段が検出手段の検出結果に基づいて、給紙カセットが装置本体に装着されているか否かを判断することが望ましい。
【0021】
仮に、給紙カセットが装着されていないにも関わらず、駆動手段を駆動させてしまうと、伝達部や画像形成部等に過負荷がかかる等の不具合が生じ、伝達部や画像形成部等が破損するおそれがある。この点、上記構成によれば、駆動手段が駆動を開始する前に給紙カセットの装着状態を検出できるので、そのような不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略断面図である。
【図2】実施例1の画像形成装置に係り、給紙カセットと、無端ベルトと、検出手段と、シャッター部材と、連動機構とを抜き出して示す上面図である(装着された給紙カセット、及び第2位置にあって開放状態となっているシャッター部材を示す。)。
【図3】実施例1の画像形成装置に係り、給紙カセットと、無端ベルトと、検出手段と、シャッター部材と、連動機構とを抜き出して示す上面図である(シャッター部材の変位により、検出面を清掃する清掃部材を示す。)。
【図4】実施例1の画像形成装置に係り、給紙カセットと、無端ベルトと、検出手段と、シャッター部材と、連動機構とを抜き出して示す上面図である(引き出された給紙カセット、及び第1位置にあって閉鎖状態となっているシャッター部材を示す。)。
【図5】実施例1の画像形成装置に係り、(a)は図2のA−A断面を示す断面図であり、(b)は、図3のB−B断面を示す断面図であり、(c)は、図4のC−C断面を示す断面図である。
【図6】実施例1の画像形成装置に係り、給紙カセットが装置本体に装着されているか否かを判断するフローチャートである。
【図7】実施例2の画像形成装置に係り、給紙カセットと、無端ベルトと、検出手段と、シャッター部材と、連動機構とを抜き出して示す上面図である(装着された給紙カセット、及び第2位置にあって閉鎖状態となっているシャッター部材を示す。)。
【図8】実施例2の画像形成装置に係り、給紙カセットと、無端ベルトと、検出手段と、シャッター部材と、連動機構とを抜き出して示す上面図である(切替手段により、開放状態に切り替えられたシャッター部材を示す。)。
【図9】実施例2の画像形成装置に係り、給紙カセットと、無端ベルトと、検出手段と、シャッター部材と、連動機構とを抜き出して示す上面図である(引き出された給紙カセット、及び第1位置にあって閉鎖状態となっているシャッター部材を示す。)。
【図10】実施例2の画像形成装置に係り、(a)は図7のD−D断面を示す断面図であり、(b)は、図8のE−E断面を示す断面図であり、(c)は、図9のF−F断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(実施例1)
図1に示すように、本発明の画像形成装置の一例である実施例1のプリンタ1は、電子写真方式によりシート(用紙やOHPシート等)にカラー画像を形成するカラーレーザプリンタである。図1では、紙面右側を装置の前側と規定し、装置を前側から見た場合に左手に来る側(紙面手前側)を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1に基づいて、プリンタ1が備える各構成要素について説明する。
【0025】
1.概略構成
図1に示すように、プリンタ1は、略箱状体であるハウジング2と、ハウジング2の内側に設けられた図示しないフレーム部材とを備えている。ハウジング2及びフレーム部材により、本発明の装置本体が構成されている。フレーム部材には、給紙部20、画像形成部10、搬送ユニット11及び定着器13等が組み付けられている。
【0026】
ハウジング2内において、画像形成部10及び搬送ユニット11等に対して左側(図1の紙面手前側)には、電動モータ19及び伝達ギヤ群18が設けられている。電動モータ19及び伝達ギヤ群18は、周知の構成を備えるものであるので、簡略して図示する。伝達ギヤ群18は、電動モータ19が発生する駆動力を画像形成部10及び搬送ユニット11等に伝達するものである。電動モータ19は本発明の駆動手段の一例であり、伝達ギヤ群18は本発明の伝達部の一例である。
【0027】
さらに、ハウジング2内には、図示しない制御部が設けられている。制御部は、上記の構成要素同士を連携動作させ、シートに対して画像形成が行われるように、それぞれに対する制御を行うものである。また、制御部には、画像形成等を行うために必要とされる各種制御プログラムが記憶されている。
【0028】
ハウジング2の下方には、給紙カセット21が設けられている。給紙カセット21は、上方が開放されて、その内部にシートを収容する略箱状体である。給紙カセット21は、プリンタ1の手前から後方に向かって押されてハウジング2内に挿入されることにより装置本体に装着され、その逆の動作により装置本体から引き出されるようになっている。なお、給紙カセット21は、引き出された状態で装置本体から完全に取り外すこともできる。
【0029】
また、ハウジング2内には、詳細を後述する検出手段50、シャッター部材60、連動機構70及び判断手段90が設けられている。判断手段90は制御部の一部を構成している。
【0030】
ハウジング2の上面には、画像形成を終えたシートが排出される排出トレイ14が設けられている。ハウジング2内において、下方の給紙部20から搬送ユニット11、画像形成部10及び定着器13等を介して上方の排出トレイ14に到る略「S」字状の経路がシートの搬送経路Pである。ハウジング2の前面には、下端側を揺動中心軸として開閉可能なフロントカバー3が設けられている。
【0031】
2.給紙部
給紙部20は、給紙カセット21に収容されたシートを給紙ローラ22及び分離パッド23により1枚ずつ搬送経路Pに送り出す。そして、搬送経路Pの略U字状に後方に転向する部位に配設された搬送ローラ24、25及びレジストローラ26、27により、シートを画像形成部10に向けて搬送する。
【0032】
3.搬送ユニット
搬送ユニット11は、給紙カセット21と画像形成部10との間に配設されており、搬送ベルト11C及び4つの転写ローラ12等を有する。搬送ベルト11Cは、本発明の無端ベルトの一例である。搬送ベルト11Cは、画像形成部10の後端側下方及び前端側下方に位置する駆動ローラ11A及び従動ローラ11Bに巻き付けられている。そして、駆動ローラ11Aが給紙部20と同期して回転することにより、搬送ベルト11Cが駆動ローラ11Aと従動ローラ11Bとの間を循環する。搬送ベルト11Cの上側の面は、画像形成部10の直下において略水平に延在しており、シートの裏面と当接して、シートを搬送経路Pの略U字状部分から続く直線部分に沿って搬送するシート搬送面11Dとされている。
【0033】
各転写ローラ12は、シート搬送面11Dの裏面側から搬送ベルト11Cに当接する状態で、搬送ユニット11に設けられている。導電性ゴム製の搬送ベルト11Cは、各転写ローラ12に転写電圧が印加されることにより負帯電し、その静電気力でシートをシート搬送面11Dに吸着させつつ、搬送経路Pに沿って搬送する。
【0034】
4.画像形成部
画像形成部10は、スキャナ部9及び4つのプロセスカートリッジ7等により構成されている。各プロセスカートリッジ7は、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色に対応している。各プロセスカートリッジ7は、シート搬送面11Dを挟んで転写ローラ12と対向する感光体ドラム5と、感光体ドラム5の斜め上方に位置する現像ユニット8とを有している。感光体ドラム5は、本発明の像担持体の一例である。
【0035】
スキャナ部9は、ハウジング2内の最上方に位置しており、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有する。そして、レーザ光源から発光されるレーザビームは、ポリゴンミラーで偏向されて、fθレンズを通過した後、反射鏡によって光路が折り返され、さらに、反射鏡によって光路が下方に屈曲されることにより、各感光体ドラム5の表面上に照射され、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色に対応する静電潜像を形成する。
【0036】
各プロセスカートリッジ7は、スキャナ部9の下方、かつシート搬送面11Dの上方において、シート搬送面11Dの搬送方向上流から下流に向けて直列に配設されている。言い換えれば、各プロセスカートリッジ7は、搬送ベルト11Cの循環方向に沿って並んでいる。このように、各プロセスカートリッジ7がシートの搬送経路P中の所定範囲内において搬送方向に沿って直列に配設された構成を「タンデム式」という。
【0037】
各感光体ドラム5は、樹脂製円筒体の最表層に正帯電性の感光層が形成されたものである。各感光体ドラム5の近傍には、感光体ドラム5の感光層に対向するように、周知の帯電器6が配設されている。
【0038】
各現像ユニット8は、後側下方が開口されたボックス形状の現像フレーム8A、現像フレーム8Aの内部上方に設けられ、トナーが収容されるトナー収容室7A、現像フレーム8Aの下方に設けられた供給ローラ7B、及び現像フレーム8Aの開口から露出して、感光体ドラム5と対面する現像ローラ7C等を有する。そして、トナー収容室7A内のトナーは、供給ローラ7Bの回転によって現像ローラ7C側に供給されて、現像ローラ7Cの表面に担持され、層厚規制ブレード7Dにより所定の厚みに調整された後、感光体ドラム5の表面に供給される。
【0039】
なお、各プロセスカートリッジ7は、保守や消耗品の交換を容易にするため、各感光体ドラム5が枠状のドロワ−4に保持されているとともに、各現像ユニット8がドロワ−4に対して着脱可能に保持されている。そして、ドロワー4は、フロントカバー3を手前に開放した状態で、ハウジング2内の図1に示す位置から、手前に向かって引き出されたり、手前からハウジング2内の奥側に向かって挿入されることにより、プリンタ1の装置本体に対して装着及び引き出し可能とされている。ドロワー4を引き出すことで、現像ユニット8が交換可能となる。また、ドロワー4は、ハウジング2の外側まで引き出された状態で装置本体から取り外すこともできる。
【0040】
5.定着器
定着器13は、シートの搬送経路Pにおいて画像形成部10より搬送方向下流側に位置しており、加熱ローラ13A及び加圧ローラ13Bを有する。加熱ローラ13Aは、搬送ベルト11C等と同期して回転し、シートに転写されたトナーを加熱しつつ、シートに搬送力を付与する。一方、加圧ローラ13Bは、シートを加熱ローラ13A側に押圧しながら従動回転する。これにより、定着器13は、シートに転写されたトナーを加熱溶融させてシートに定着させるとともに、シートを搬送経路Pの下流側に搬送する。なお、搬送経路Pは、定着器13より下流側で、上方に略U字形状に湾曲している。そして、搬送経路Pの搬送方向の最も下流側には、排出ローラ28、29と排出トレイ14とが位置している。
【0041】
6.画像形成動作の概略
制御部は、以下に説明するように、上記構成である電動モータ19、伝達ギヤ群18、給紙部20、画像形成部10、搬送ユニット11及び定着器13等を制御して、画像形成動作を行う。なお、制御部は、後で詳述するように、検出手段50及び判断手段90によって、電動モータ19を駆動する前に給紙カセット21が装置本体に装着されているか否かを判断するようになっている。
【0042】
制御部が制御を開始すると、電動モータ19が駆動力を発生し、伝達ギヤ群18がその駆動力を伝達して、給紙部20、搬送ユニット11及び画像形成部10等が稼動する。そうすると、給紙カセット21内のシートが画像形成部10に搬送され、スキャナ部9、各プロセスカートリッジ7等が上述した動作を実行する。これにより、回転する各感光体ドラム5の表面が帯電器6により一様に正帯電された後、スキャナ部9から照射されるレーザビームにより露光されて、各感光体ドラム5の表面に画像形成用データに対応する静電潜像が形成される。
【0043】
一方、現像ローラ7C上に担持され、かつ、正帯電されたトナーは、現像ローラ7Cが各感光体ドラム5に対向して接触しつつ回転することにより、各感光体ドラム5の表面上に形成された静電潜像に供給される。これにより、各感光体ドラム5の静電潜像は可視像化され、各感光体ドラム5の表面には反転現像によるトナー像が担持される。
【0044】
その後、各感光体ドラム5の表面上に担持されたトナー像は、各転写ローラ12に印加される転写電圧によってシートに転写される。そして、複数色のトナー像が順次重なるように転写されたシートが定着器13に搬送されると、加熱ローラ13A及び押圧ローラ13Bにより加熱加圧されて、トナー像がシートに定着する。最後に、画像が形成されたシートが排出トレイ14に排出されて、画像形成動作が終了する。
【0045】
7.検出手段
図1〜図5に示すように、搬送ベルト11Cの後方かつ下方には、図示しないフレーム部材に組み付けられて左右方向に細長く延在する検出手段収容部59が設けられている。検出手段収容部59の前側は、搬送ベルト11C及び駆動ローラ11Aに対して後方から対向するように傾斜しており、その傾斜面59Aの左右端部に検出手段50がそれぞれ設けられている。
【0046】
検出手段50は、搬送ベルト11Cに対向する検出面51を有する。検出面51は、左右方向に細長い透明樹脂製の板部材からなり、傾斜面59Aに嵌め込まれている。したがって、傾斜面59Aは、検出面51の箇所が透明に構成されている。また、検出手段50は、検出面51を介して搬送ベルト11Cの駆動ローラ11Aに巻き付けられた部分に向けて発光する発光部52と、発光部52に隣接し、搬送ベルト11C側からの反射光を検出面51を介して受光する受光部53とを有する。検出手段50は、検出面51により、発光部52及び受光部53にトナーや埃が到達することを防止している。
【0047】
8.シャッター部材
図1に示すように、検出手段収容部59の上面には、周知の直動ガイド69を介してシャッター部材60が装着されている。シャッター部材60は、直動ガイド69によって左右方向に案内されることにより、図2〜図4に示す位置に変位可能となっている。
【0048】
図1に示すように、シャッター部材60には、直動ガイド69より前側で検出手段収容部59の傾斜面59Aと略平行に延在する遮蔽板部61と、直動ガイド69より後ろ側で下方に延在する後壁部65とが一体に形成されている。
【0049】
図2〜図4に示すように、遮蔽板部61は、左右の端部にそれぞれ開口62を有する。開口62は、検出手段50の検出面51より僅かに大きい略矩形状とされている。また、左右の検出手段50同士の間隔と、左右の開口62同士の間隔とは略等しくされている。
【0050】
図2〜図5に示すように、遮蔽板部61における各開口62の左側には、それぞれ清掃部材66が傾斜面59Aに向けて突出するように取り付けられている。清掃部材66はブラシ状のものであるが、例えば、軟質材からなる掻き取りブレードや不織布等であってもよい。
【0051】
図2〜図4に示すように、後壁部65の後面の略中央には、係止部65Aが後方に突出するように設けられている。係止部65Aには、引っ張りコイルバネ68の右端が係止されている。引っ張りコイルバネ68は左方に延びており、その左端が図示しないフレーム部材に係止されている。引っ張りコイルバネ68は、シャッター部材60を左方に変位させようとする付勢力を発揮する。
【0052】
9.連動機構
図1〜図4に示すように、連動機構70は、後壁部65の後面の左端側に形成された複数個のラック歯71と、図示しないフレーム部材から突出する支持部79(図1参照)に回転可能に支持されて、上下方向に延びる伝達軸72とを有する。また、連動機構70は、伝達軸72の上端に固定され、ラック歯71と噛み合い可能とされた歯車73と、伝達軸72の下端に固定され、伝達軸72の径外方向に突出して給紙カセット21と当接可能とされた入力レバー74とを有する。
【0053】
図1及び図2に示すように、給紙カセット21が装置本体に装着されている場合、入力レバー74は給紙カセット21に当接して、後方を向く姿勢となっている。この場合、引っ張りコイルバネ68の付勢力により、シャッター部材60と一体に左方に変位するラック歯71の左端が歯車73に当て止まり、シャッター部材60の位置が定まる。図2及び図5(a)に示すシャッター部材60の位置が本発明の第2位置である。シャッター部材60は、第2位置にある場合、開口62が検出面51に対向して、検出面51を開放する開放状態となる。この状態では、図5(a)に示すように、発光部52が発光すると、その光は搬送ベルト11Cによって反射し、受光部53に受光される。
【0054】
図2に示すように、シャッター部材60が第2位置にある場合、シャッター部材60の右端に形成された清掃用ノブ66Aがハウジング2の右側面に設けられた凹部2Aから突出する。そして、ユーザが清掃用ノブ66Aをつまんで右方に引っ張ることにより、図3及び図5(b)に示すように、シャッター部材60が引っ張りコイルバネ68の付勢力に抗しつつ第2位置から右方に変位する。そうすると、清掃部材66が検出面51に接触しながら変位して、検出面51に付着した埃やトナーを除去するように清掃するので、検出面51をきれいな状態に保つことができる。ユーザが清掃用ノブ66Aを離すと、引っ張りコイルバネ68の付勢力により、シャッター部材60は第2位置に復帰する。
【0055】
図4に示すように、給紙カセット21が装置本体から引き出された場合、入力レバー74は給紙カセット21から離間する。この場合、引っ張りコイルバネ68の付勢力により、シャッター部材60と一体に左方に変位するラック歯71が歯車73に噛み合って、伝達軸72、歯車73及び入力レバー74を図4の紙面に向かって時計方向に回転させる。そして、シャッター部材60が図示しないフレーム部材から突出するストッパ75に当て止まり、シャッター部材60の位置が定まる。図4及び図5(c)に示すシャッター部材60の位置が本発明の第1位置である。シャッター部材60は、第1位置にある場合、開口62が検出面51に対して左方にずれて、遮蔽板部61が検出面51を覆う閉鎖状態となる。この状態では、図5(c)に示すように、発光部52が発光すると、その光は遮蔽板部61における検出面51と対向する面61Aによって反射する。この際の反射点は、シャッター部材60が第2位置にある場合(図5(a)参照)と比較して、発光部52に近いため、反射光の光軸が受光部53に対して左方にずれてしまう。その結果、受光部53は、反射光を直接受光することができず、受光量が減少する。
【0056】
ここで、遮蔽板部61は、導電性ゴム製の搬送ベルト11Cと比較して硬い材料(例えば、硬質の熱可塑性樹脂材料等)により構成され、かつ検出面51に対する距離が搬送ベルト11Cよりも近い。このため、遮蔽板部61における検出面51と対向する面61Aは、搬送ベルト11Cからの反射光とは異なる反射光を受光部53に受光させることができる。本実施例では、遮蔽板部61における検出面51と対向する面61Aに関して、色、表面粗さ又は面の傾斜等を適宜選択することにより、搬送ベルト11Cからの反射光に対して、遮蔽板部61における検出面51と対向する面61Aからの反射光が大幅に小さくなるように設定されている。
【0057】
給紙カセット21が図4に示すように装置本体から引き出された状態から、図2に示すように装置本体に装着されると、入力レバー74は給紙カセット21に当接して後方に押される。この場合、入力レバー74、伝達軸72及び歯車73が図4の紙面に向かって反時計方向に回転する。そして、歯車73が噛み合うラック歯71を右方に押すので、シャッター部材60が引っ張りコイルバネ68の付勢力に抗しつつ、図2に示す第2位置に復帰する。
【0058】
10.判断手段
制御部は、プリンタ1の電源が投入された場合や、待機状態のプリンタ1が画像形成動作を行うためにウォームアップ動作を開始する場合等に、以下に説明するように、電動モータ19の駆動に先立ち、判断手段90(制御部内)により、図6に示すフローチャートを実行して、給紙カセット21が装置本体に装着されているか否かを判断する。なお、図6に示すフローチャートの処理は、制御部内に記憶されているプログラムに基づいて実行される。
【0059】
ステップS101において、検出手段50による検出動作を実行する。具体的には、判断手段90は、検出手段50を制御して、発光部52に発光させ、受光部53に搬送ベルト11C側からの反射光を受光させる。その結果、検出手段50は、受光部53の受光量に応じた電気信号を出力する。
【0060】
次に、ステップS102において、判断手段90は、検出手段50の検出結果である出力信号を信号配線90Aを介して取得する。
【0061】
次に、ステップS103において、判断手段90は、受光部53の受光量が所定の閾値以下であるか否かを判断する。ここで、閾値は、遮蔽板部61における検出面51と対向する面61Aからの反射光を受光部53が受光した場合の検出手段50の出力信号と、搬送ベルト11Cからの反射光を受光部53が受光した場合の検出手段50の出力信号との略中間の値となるように適宜設定される。
【0062】
ステップS103において「Yes」の場合、シャッター部材60が第1位置にあって、遮蔽板部61における検出面51と対向する面61Aからの反射光を受光部53が受光したことを意味する。このため、ステップS104において、判断手段90は、給紙カセット21が装置本体に装着されていないと判断する。そして、次のステップS105において、給紙カセット21が引き出されている旨の報知(例えば、警告表示や、警告音等)を行う。その後、この判定処理を終了する。これにより、電動モータ19の駆動を開始する前に、ユーザに対して、給紙カセット21が装着されていないことを報知するとともに、給紙カセット21が装着されていない状態で、装置(伝達ギヤ群18や画像形成部10等)が駆動されることを防止する。
【0063】
その一方、ステップS103において「No」の場合、シャッター部材60が第2位置にあって、搬送ベルト11Cからの反射光を受光部53が受光したことを意味する。このため、ステップS106において、判断手段90は、給紙カセット21が装置本体に装着されていると判断する。そして、次のステップS107において、電源投入時の初期点検動作や画像形成を行うためのウォームアップ動作を実行するため、電動モータ19の駆動を開始する。その後、この判定処理を終了する。その結果、電動モータ19の駆動力が伝達ギヤ群18を介して、画像形成部10等に伝達され、以後の処理が実行される。
【0064】
ここで、仮に、給紙カセット21が装着されていないにも関わらず、電動モータ19が駆動を開始させてしまうと、伝達ギヤ群18や画像形成部10等に過負荷がかかる等の不具合が生じ、伝達部や画像形成部10等が破損するおそれがある。この点、このプリンタ11は、判断手段90が図6のフローチャートを実行することにより、電動モータ19が駆動を開始する前に給紙カセット21の装着状態を検出し、給紙カセット21が装着されていない場合には電動モータ19が駆動を開始しないようにするので、そのような不具合を防止できる。
【0065】
また、制御部は、画像形成動作を実行する場合、シートが画像形成部10に搬送される前に、以下に説明するように、判断手段90及び検出手段50により、画像形成部10が形成する複数色の画像の位置ずれを判断する。この際、図6に示すフローチャートの実行により、給紙カセット21が装置本体に装着されていることが確認されている場合、シャッター部材60は、検出面51を開放する開放状態に切り替わっている。すなわち、検出面51が開口62を介して、搬送ベルト11Cと対向している状態となっている。
【0066】
この場合、制御部は、まず、搬送ベルト11Cを循環させ、各プロセスカートリッジ7を制御して、図2に示すように、シート搬送面11D上に左右一対の検出用パターン55C、55M、55Y、55Kを形成させる。図2に示す検出用パターン55C〜55Kは、様々な検出パターンの一例である。検出用パターン55C〜55Kは、搬送ベルト11Cの循環により、検出手段50の上方を通過する。そうすると、判断手段90は、検出手段50に検出用パターン55C〜55Kを検出させて、電気信号として出力させる。その後、検出用パターン55C〜55Kは、搬送ベルト11Cの下方に配設された図示しないベルトクリーナにより、搬送ベルト11Cから除去される。
【0067】
検出手段50が検出用パターン55C〜55Kを検出することにより出力した電気信号は、信号配線90Aを介して判断手段90に伝達される。そうすると、判断手段90は、その電気信号を演算処理して、例えば、電気信号のパルス間隔等を閾値と比較することにより、位置ずれ検出処理を行う。こうして、判断手段90は、画像形成動作に関わる補正を何ら行わない場合に各プロセスカートリッジ7が形成する各画像同士が位置ずれするか否か、及び位置ずれする場合には、どの程度の位置ずれが生じるかを算出する。そして、その検出結果が制御部に伝達されると、制御部は、各画像同士の位置ずれを解消するように、各プロセスカートリッジ7の画像形成動作に対して補正処理を行う。その上で、画像形成部10に搬送されるシートに画像を形成することにより、位置ずれのないカラー画像をシートに形成することができる。
【0068】
<作用効果>
上述したように、実施例1のプリンタ1では、判断手段90は、検出手段50が検出用パターン55C〜55Kを検出した結果に基づいて、画像形成部10が形成する複数色の画像の位置ずれを判断する。また、判断手段90は、シャッター部材60の変位に伴って変化する検出手段50の検出結果に基づいて、給紙カセット21が装置本体に装着されているか否かを判断する。
【0069】
すなわち、判断手段90は、1つの検出手段50を用いて、2種類の判断を行うことができる。このため、このプリンタ1は、検出用パターン55C〜55Kを検出する検出手段50と、給紙カセット21の装着状態を検出する検出手段50とを別々に設ける必要が無くなるので、部品点数を削減できる。
【0070】
したがって、実施例1のプリンタ1は、給紙カセット21の装着状態を検出可能であり、かつ製造コストの低廉化を実現できる。また、給紙カセット21の装着状態を検出する検出手段を別途設置するためのスペースが不要となるので、プリンタ1を小型化し易い。
【0071】
また、このプリンタ1は、光学式の簡易な検出手段50を採用し、シャッター部材60が第1位置と第2位置とに変位する際の受光部53の受光量の変化、すなわち、遮蔽板部61における検出面51と対向する面61Aからの反射光と、搬送ベルト11Cからの反射光との差異に基づいて、判断手段90が給紙カセット21の装着状態を判断する。これにより、このプリンタ1は、給紙カセット21の装着状態を確実に検出可能であり、かつ製造コストの低廉化を確実に実現できる。
【0072】
さらに、シャッター部材60は、第1位置では閉鎖状態となり、第2位置では開放状態となるように構成されている。この構成により、給紙カセット21が装着されていない場合、すなわち、画像形成不能な場合、連動機構70は、シャッター部材60を閉鎖状態に切り替える。そうすると、何らかの振動(例えば、給紙カセット21の装着時における装置本体との接触等)により、装置本体に残留していたトナーが落下しても、そのトナーがシャッター部材60に遮られて検出面51に付着し難くなるので、検出面51の汚れを抑制できる。その一方、給紙カセット21が装着された場合、すなわち、画像形成可能な場合、連動機構70は、シャッター部材60を開放状態に切り替えるので、検出手段50が検出用パターン55C〜55Kを検出可能となる。こうして、上記構成によれば、検出面51の汚れの抑制と、検出用パターン55C〜55Kの検出とに適したタイミングで、シャッター部材60を閉鎖状態と開放状態とに切り替えることができる。また、切り替え時のシャッター部材60の変位を利用して、給紙カセット21の装着状態を検出することができるので、部品点数を確実に削減でき、製造コストの低廉化をより確実に実現できる。
【0073】
(実施例2)
図7〜図10に示すように、実施例2のプリンタは、実施例1のプリンタ1におけるシャッター部材60及びラック歯71の代わりに、シャッター部材260及びラック歯271を採用している。実施例2のその他の構成は、実施例1のプリンタ1と同様である。このため、実施例1のプリンタ1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0074】
図7〜図9に示すように、実施例2のプリンタにおいて、検出手段収容部59の上面には、周知の直動ガイド69を介してシャッター部材260が装着されている。シャッター部材260は、直動ガイド69によって左右方向に案内されることにより、図7〜図9に示す位置に変位可能となっている。
【0075】
シャッター部材260には、直動ガイド69より前側で検出手段収容部59の傾斜面59Aと略平行に延在する遮蔽板部261と、直動ガイド69より後ろ側で下方に延在する後壁部265とが一体に形成されている。
【0076】
遮蔽板部261は、左右の端部にそれぞれ第1開口262と第2開口263とを有する。各第1開口262は、検出面51より僅かに大きい略矩形状とされている。左右の第2開口263はそれぞれ、左右の第1開口262に対して右方にずれて形成されている。第2開口263は、第1開口262より大幅に小さい穴である。なお、左右の検出手段50同士の間隔と、左右の第1開口262同士の間隔と、左右の第2開口263同士の間隔とは略等しくされている。
【0077】
後壁部265の後面の略中央には、係止部265Aが後方に突出するように設けられている。係止部265Aには、引っ張りコイルバネ68の右端が係止されている。引っ張りコイルバネ68は、シャッター部材260を左方に変位させようとする付勢力を発揮する。
【0078】
また、係止部265Aには、ソレノイド280の可動ロッド281が連結されている。ソレノイド本体282に通電されると、可動ロッド281がソレノイド本体282内に引き込まれて、図8に示すように、引っ張りコイルバネ68の付勢力に抗しつつ、シャッター部材260を右方に変位させる。ソレノイド280は、本発明の切替手段の一例である。
【0079】
後壁部65の後面の左端側には、複数個のラック歯271が形成されている。ラック歯271の歯数は、実施例1のラック歯71の歯数より少なくされている。連動機構70は、ラック歯271以外は、実施例1と同様である。
【0080】
図7に示すように、給紙カセット21が装置本体に装着されている場合、入力レバー74は給紙カセット21に当接して、後方を向く姿勢となっている。この場合、引っ張りコイルバネ68の付勢力により、シャッター部材260と一体に左方に変位するラック歯271の左端が歯車73に当て止まり、シャッター部材260の位置が定まる。図7及び図10(a)に示すシャッター部材260の位置が本発明の第2位置である。シャッター部材260は、第2位置にある場合、第1開口262が検出面51に対して左方にずれるとともに、第2開口263が検出面51に対して右方にずれて、検出面51の殆どを覆う閉鎖状態となる。この状態では、図10(a)に示すように、発光部52が発光すると、その光は遮蔽板部261における検出面51と対向する面261Aによって反射する。この際の反射点は、図10(b)を示して後述するように、シャッター部材260が開放状態に切り替わった場合と比較して、発光部52に近いため、反射光の光軸が受光部53に対して左方にずれてしまう。その結果、受光部53は、反射光を直接受光することができず、受光量が減少する。
【0081】
制御部は、画像形成されるシートが画像形成部10に搬送される前に、判断手段90及び検出手段50により、画像形成部10が形成する複数色の画像の位置ずれを判断する場合、ソレノイド本体282に通電して、図8及び図10(b)に示すように、シャッター部材260を右方に変位させる。そうすると、第1開口262が検出面51に対向して、検出面51を開放する開放状態に切り替わる。この状態では、図5(b)に示すように、発光部52が発光すると、その光は搬送ベルト11Cによって反射し、受光部53に受光される。この状態で、上述したように、検出手段50が検出用パターン55C〜55Kを検出し、その検出結果に基づいて、判断手段90が複数色の画像の位置ずれを判断する。その後、制御部がソレノイド本体282に通電しなくなると、引っ張りコイルバネ68の付勢力により、シャッター部材260は図7に示す第2位置に復帰する。
【0082】
図9に示すように、給紙カセット21が装置本体から引き出された場合、入力レバー74は給紙カセット21から離間する。この場合、引っ張りコイルバネ68の付勢力により、シャッター部材260と一体に左方に変位するラック歯271が歯車73に噛み合って、歯車73を図9の紙面に向かって時計方向に回転させる。そして、シャッター部材260が図示しないフレーム部材から突出するストッパ75に当て止まり、シャッター部材260の位置が定まる。図9及び図10(c)に示すシャッター部材260の位置が本発明の第1位置である。シャッター部材260は、第1位置にある場合、第1開口262が検出面51に対して左方に大きくずれるとともに、第2開口263が検出面51の右側の一部と対向して、遮蔽板部261が検出面51の大部分を覆う閉鎖状態となる。この状態では、図10(c)に示すように、発光部52が発光すると、その光は第2開口263を通過し、搬送ベルト11Cによって反射する。しかしながら、その反射光は、遮蔽板部261における検出面51と対向する面261Bによって遮断されるため、受光部53には受光されない。すなわち、受光部53の受光量がほぼゼロになる。
【0083】
給紙カセット21が図9に示すように装置本体から引き出された状態から、図7に示すように装置本体に装着されると、入力レバー74は給紙カセット21に当接して後方に押される。この場合、入力レバー74、伝達軸72及び歯車73が図9の紙面に向かって反時計方向に回転する。そして、歯車73が噛み合うラック歯271を右方に押すので、シャッター部材260が引っ張りコイルバネ68の付勢力に抗しつつ、図7に示す第2位置に復帰する。
【0084】
このような構成である実施例2のプリンタも、実施例1のプリンタ1と同様に、判断手段90が図6に示すフローチャートを実行することにより、給紙カセット21が装置本体に装着されているか否かを判断することができる。ここで、閾値は、遮蔽板部261における検出面51と対向する面261Aからの反射光を受光部53が受光した場合の検出手段50の出力信号と、遮蔽板部261における検出面51と対向する面261Bによって反射光が遮断されて受光部53の受光量がほぼゼロとなる場合の検出手段50の出力信号との略中間の値となるように適宜設定される。
【0085】
説明は簡略するが、ステップS103において「Yes」の場合、シャッター部材260が第1位置にあって、発光部52からの光が遮蔽板部261における検出面51と対向する面261Bによって遮断されて、受光部53の受光量がほぼゼロであることを意味する。このため、ステップS104において、判断手段90は、給紙カセット21が装置本体に装着されていないと判断する。
【0086】
その一方、ステップS103において「No」の場合、シャッター部材260が第2位置にあって、遮蔽板部261における検出面51と対向する面261Aからの反射光を受光部53が受光したことを意味する。このため、ステップS106において、判断手段90は、給紙カセット21が装置本体に装着されていると判断する。
【0087】
こうして、実施例2のプリンタも、実施例1のプリンタ1と同様の作用効果を奏することができる。
【0088】
また、このプリンタでは、給紙カセット21が装着されて画像形成可能となっても、検出用パターン55C〜55Kを検出する期間は限られている。そして、検出用パターン55C〜55Kを検出する期間だけ、シャッター部材260を開放状態に切り替え、それ以外の期間は、シャッター部材260を閉鎖状態にするほうが検出面51の汚れの抑制のために効果的である。
【0089】
この点、このプリンタによれば、連動機構270は、給紙カセット21の装着及び引き出しに連動して、シャッター部材260を閉鎖状態のまま第1位置と第2位置とに変位させる。これにより、このプリンタは、検出面51の汚れを抑制しつつ、給紙カセット21の装着状態を検出できる。また、このプリンタは、検出用パターン55C〜55Kを検出する期間だけ、ソレノイド280によりシャッター部材260を開放状態に切り替えることにより、検出面51に汚れが付着し得る期間をできるだけ短くすることができるので、検出面51の汚れを確実に抑制できる。
【0090】
さらに、第1位置にあるシャッター部材260の検出面51と対向する面261Aと、第2位置にあるシャッター部材260の検出面51と対向する面262Bとは、第2開口263の有無によって、互いに異なる反射光を受光部53に受光させることができる。このような簡易な構成により、製造コストの低廉化を一層確実に実現できる。
【0091】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0092】
例えば、実施例1では、手動でシャッター部材60を図3に示す位置まで変位させているが、その代わりに、ソレノイドで自動的にシャッター部材60を図3に示す位置まで変位させて、清掃部材66による検出面51の清掃を行うようにしてもよい。
【0093】
また、実施例2のソレノイド280の代わりに、手動操作機構や電動モータ等を採用することもできる。
【0094】
さらに、実施例1、2では、判断手段90が判断する画像の状態として、複数色の画像の位置ずれを例に挙げたが、それ以外の画像の状態(例えば、画像の濃度のばらつき等。)を判断手段90が判断してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は画像形成装置や複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…画像形成装置(プリンタ)、21…給紙カセット、10…画像形成部
99…シート、19…駆動手段(電動モータ)、18…伝達部(伝達ギヤ群)
11C…無端ベルト(搬送ベルト)、5…像担持体(感光ドラム)
50…検出手段、51…検出面、52…発光部、53…受光部
60、260…シャッター部材、70…連動機構、66…清掃部材
90…判断手段、55C〜55K…検出用パターン、280…切替手段(ソレノイド)
61A…シャッター部材の検出面と対向する面
261A…第1位置にあるシャッター部材の検出面と対向する面
261B…第2位置にあるシャッター部材の検出面と対向する面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に装着及び引き出し可能に設けられ、シートを収容する給紙カセットと、
前記給紙カセットから搬送される前記シートに接触可能に循環する無端ベルトと、
前記無端ベルトに対向配置される複数の像担持体を有し、静電潜像が形成される前記各像担持体に対して対応する複数色のトナーを供給して前記シート上又は前記無端ベルト上に複数色の画像を重ねて形成するとともに、前記複数色のそれぞれに対応する検出用パターンを前記無端ベルト上に形成する画像形成部と、
前記無端ベルトに対向して前記検出用パターンを検出可能な検出面を有する検出手段と、
前記無端ベルトと前記検出面との間に設けられ、変位することにより、前記検出面の少なくとも一部を覆う閉鎖状態と、前記検出面を開放する開放状態とに切り替わるシャッター部材と、
前記給紙カセットの前記装置本体に対する装着及び引き出しに連動して前記シャッター部材を変位させる連動機構と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記画像形成部が形成する前記画像の状態を判断するとともに、前記給紙カセットが前記装置本体に装着されているか否かを判断する判断手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記検出面を介して前記無端ベルト側に向けて発光する発光部と、前記無端ベルト側からの反射光を前記検出面を介して受光する受光部とを有し、
前記連動機構は、前記給紙カセットが前記装置本体から引き出された場合、前記シャッター部材を第1位置に変位させる一方、前記給紙カセットが前記装置本体に装着された場合、前記シャッター部材を第2位置に変位させ、
前記シャッター部材は、前記第1位置にある場合と前記第2位置にある場合とで、前記受光部の受光量を異ならせるように構成されている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シャッター部材は、前記第1位置では前記閉鎖状態となり、前記第2位置では前記開放状態となるように構成されている請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シャッター部材の前記検出面と対向する面は、前記無端ベルトからの反射光とは異なる反射光を前記受光部に受光させるように構成されている請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シャッター部材は、前記第1位置及び前記第2位置では前記閉鎖状態となるように構成され、
前記シャッター部材を前記開放状態に切り替える切替手段を備えている請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1位置にある前記シャッター部材の前記検出面と対向する面と、前記第2位置にある前記シャッター部材の前記検出面と対向する面とは、互いに異なる反射光を前記受光部に受光させるように構成されている請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シャッター部材は、変位する際に前記検出面に接触して清掃する清掃部材を有する請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
駆動力を発生する駆動手段と、
前記駆動手段の駆動力を少なくとも前記画像形成部に伝達する伝達部とを備え、
前記駆動手段が駆動を開始する前に、前記判断手段が前記検出手段の検出結果に基づいて、前記給紙カセットが前記装置本体に装着されているか否かを判断する請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250842(P2012−250842A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127043(P2011−127043)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】