説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、クリーニングブレードの接離動作によって像担持体を傷付けないようにする。
【解決手段】トナー像を担持する像担持体10と、残留トナーを含む異物を除去するために像担持体10の表面に圧接するクリーニングブレード13と、クリーニングブレード13を像担持体10の表面に対して接離させる接離手段(カム25a〜25d)とを備えた画像形成装置。像担持体10は画像形成時における正転(矢印a)とは逆方向に回転駆動可能であり、クリーニングブレード13は、像担持体10が逆転するときに像担持体10から離間し、かつ、像担持体10が正転を開始する前に像担持体10に圧接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、電子写真方式により紙などの記録媒体上にトナー画像を転写するプリンタや複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成装置においては、感光体や中間転写ベルトなどトナー像を担持する像担持体上に残留したトナーを拭き取るためにクリーニングブレードを像担持体の表面に圧接している。そして、プリント処理が継続されていくと、クリーニングブレードが像担持体に圧接する部分に残留トナーを含む異物が徐々に蓄積していく。この異物が感光体や中間転写ベルトの表面を傷付け、画像が劣化する不具合が発生する。
【0003】
このような不具合を未然に防止するため、従来、特許文献1では、中間転写ベルトを逆転させ、クリーニングブレードの先端部に噛み込まれた異物を除去する対策を提案している。しかし、ベルトを単に逆転させるだけでは十分な異物排除効果を生じるか疑問である。
【0004】
一方、特許文献2では、クリーニングブレードを像担持体から離間させて異物を除去する対策が提案されている。しかし、離間させたクリーニングブレードを像担持体が正転しているときに再圧接させると、再圧接時にブレードのエッジによって像担持体が傷ついたり、ベルトの端部が捲れあがるという問題点を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−18043号公報
【特許文献2】特開2005−62333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、像担持体の表面から異物を除去するためにクリーニングブレードを像担持体に対して接離させるも像担持体を傷付けたりすることのない画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である画像形成装置は、
トナー像を担持する像担持体と、
残留トナーを含む異物を除去するために前記像担持体の表面に圧接するクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードを前記像担持体の表面に対して接離させる接離手段と、
を備え、
前記像担持体は画像形成時における正転とは逆方向に回転駆動可能であり、
前記クリーニングブレードは、前記像担持体が逆転するときに該像担持体から離間し、かつ、前記像担持体が正転を開始する前に該像担持体に圧接すること、
を特徴とする。
【0008】
前記画像形成装置においては、像担持体を逆転させるとともにクリーニングブレードを像担持体から離間させることにより、クリーニングブレードの先端部に噛み込まれた異物が除去される。その後、クリーニングブレードは像担持体が正転を開始する前に該像担持体に圧接する。即ち、像担持体が正転する前にブレードが圧接しているため、ブレードのエッジによる像担持体への衝撃が回避され、像担持体の損傷が防止される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、像担持体の表面から異物を除去するためにクリーニングブレードを像担持体に対して接離させるも像担持体を傷付けたりすることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】第1実施例を示す断面図である。
【図3】第1実施例の動作説明図である。
【図4】第2実施例を示す断面図である。
【図5】第3実施例を示す断面図である。
【図6】第3実施例の動作説明図である。
【図7】第4実施例を示す断面図である。
【図8】第4実施例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において同じ部材、部分に関しては共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
(画像形成装置の概略構成、図1参照)
図1に示すように、本画像形成装置は、タンデム方式のカラープリンタとして構成され、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各画像を形成するための作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが中間転写ベルト10の直下に並置されている。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは感光体ドラム2を中心に現像ローラ3aを有する現像器3、帯電ローラ4、1次転写ローラ7などを配置した周知の構成を有している。また、露光用のレーザ走査光学ユニット6が配置されている。さらに、画像形成動作を制御する制御装置40が設けられている。中間転写ベルト10は、支持ローラ11,12に無端状に張り渡され、矢印a方向に回転駆動される。各感光体ドラム2上に形成されたトナー画像は順次中間転写ベルト10上に1次転写されてカラー画像に合成される。
【0013】
各感光体ドラム2には残留トナーを除去するためのクリーニングブレード5が配置されている。さらに、中間転写ベルト10には残留トナーを除去するためのクリーニングブレード13が支持ローラ12に対向する部分に配置されている。これらのブレード5,13は所定の圧力でドラム2及びベルト10に圧接しており、除去された残留トナーや異物は周知の搬送・回収機構によって所定のボトルなどに回収される。また、ブレード5,13の接離機構に関しては以下の実施例によって詳述する。
【0014】
記録媒体は給紙トレイ15に積載されており、給紙ローラ16によって1枚ずつ給紙され、タイミングローラ対17を経て中間転写ベルト10と2次転写ローラ18とのニップ部を通過することにより、2次転写ローラ18から付与される電界にて前記カラー画像が中間転写ベルト10から2次転写される。その後、記録媒体は定着ユニット19に搬送されてトナーの加熱定着を施され、排出ローラ対8から本体上面に排出される。
【0015】
(第1実施例、図2及び図3参照)
第1実施例は、図2に示すように、中間転写ベルト10上の在留トナーを含む異物を除去するためのクリーニングブレード13を所定のタイミングで中間転写ベルト10の表面に対して接離するように構成されている。
【0016】
詳しくは、クリーニングブレード13は、ブラケット20に貼着されており、該ブラケット20とともに支軸21を支点としてケーシング30に回動自在に設置されている。支軸21はブラケット20の脚部20aを回動自在に保持している。クリーニングブレード13は、ブラケット20の一端に係止したコイルばね31にてブラケット20が図2中時計回り方向に付勢されることにより、中間転写ベルト10の表面に支持ローラ12を支持体として所定の圧力で圧接している。
【0017】
クリーニングブレード13の背後にはブレード13にて掻き取った残留トナーの回収機構が配置され、残留トナーは搬送スクリュー32によって作像ユニットから運び出される。また、クリーニングブレード13の直下には以下に説明するように除去された異物を収容するボックス36が配置されている。
【0018】
一方、中間転写ベルト10は、画像形成時には矢印a方向に正転駆動され、かつ、異物を除去する所定のタイミング(所定枚数のプリント処理ごと)では矢印aとは逆方向に逆転駆動される。支持ローラ12の両端部(図2における紙面の手前側と奥方側)にはカム25a,25b,25c,25dが周方向に90°の等間隔で配置されている。カム25a〜25dは図示しないカム板に一体的に形成され、支持ローラ12に対しては図示しない一方向クラッチを介して連結されている。この一方向クラッチは、中間転写ベルト10(支持ローラ12)の逆転時にはカム25a〜25dを一体的に逆転させ、正転時には回転させない機能を有している。
【0019】
ここで、本第1実施例における異物排除動作に関して図3を参照して説明する。図3(A)に示すように、中間転写ベルト10(支持ローラ12)は、プリント処理時において矢印a方向に正転駆動され、残留トナーを含む異物Dはクリーニングブレード13の先端部に蓄積される。このとき、カム25aはクリーニングブレード13の近傍にセットされており、回転することはなく、クリーニングブレード13は中間転写ベルト10に対して圧接状態を保持している。
【0020】
所定枚数ごとのプリント処理が終了すると、中間転写ベルト10(支持ローラ12)は矢印a’方向に90°逆転駆動される。これにて、図3(B)に示すように、カム25aがブラケット20をコイルばね31の弾性に抗して左方に付勢し、クリーニングブレード13が中間転写ベルト10の表面から離間する。このとき、ブレード13の先端部に噛み込まれていた異物Dがベルト10から剥がれ落ち、ボックス36に収容される。カム25aがブラケット20から離れると、図3(C)に示すように、ブラケット20及びブレード13はコイルばね31の付勢力によって元の圧接位置に復帰する。支持ローラ12が90°逆転した状態では、図3(D)に示すように、カム25bがブラケット20に近接した位置で停止する。プリント処理(中間転写ベルト10の正転駆動)はこの状態から開始され、ベルト10の正転によってカム25a,25b,25c,25dが同期して回転することはない。
【0021】
即ち、本第1実施例では、中間転写ベルト10を逆転させるとともにクリーニングブレード13をベルト10から離間させることにより、クリーニングブレード13の先端部に噛み込まれた異物Dが除去される。その後、クリーニングブレード13はベルト10が正転を開始する前にベルト10に圧接する。このように、中間転写ベルト10が正転する前にブレード13が圧接しているため、ブレード13のエッジによるベルト10への衝撃が回避され、ベルト10の損傷が防止される。
【0022】
なお、中間転写ベルト10を180°逆転させるとカム25a,25bによってクリーニングブレード13がベルト10に対して2回接離し、360°(1回転)させるとカム25a〜25dによって4回接離することになり、異物をより確実に除去できる。また、カム25a〜25dの形状や設置個数、逆転スピードは、異物Dを除去するのに最も適したものを採用すればよく、任意に変更可能である。
【0023】
(第2実施例、図4参照)
第2実施例は、図4に示すように、クリーニングブレード13を中間転写ベルト10に対して支持ローラ12の下方に配置したものである。この構成によれば、ブレード13によって中間転写ベルト10から除去された残留トナーの回収機構がブレード13の直下に配置されることになり、ベルト10に対するブレード13の接離によって除去された異物も同様に回収機構に収容される。よって、図2に示したボックス36は不要になる。
【0024】
本第2実施例において、クリーニングブレード13の接離機構やその動作は前記第1実施例と同様であり、作用効果も第1実施例で説明したとおりである。
【0025】
(第3実施例、図5及び図6参照)
第3実施例は、図5に示すように、クリーニングブレード13を保持するブラケット20にソレノイド37を連結し、該ソレノイド37の動作を制御装置40で制御することにより接離手段として機能させるようにしたものである。即ち、クリーニングブレード13は、ソレノイド37がオフされているとき、ソレノイド37に内蔵されているばね部材によって中間転写ベルト10に圧接した状態を保持され、ソレノイド37がオンされると支軸21を支点としてブラケット20とともに反時計回り方向に回動し、中間転写ベルト10から離間する。他の構成は前記第1実施例と同様である。
【0026】
動作は以下のとおりである。図6(A)に示すように、中間転写ベルト10(支持ローラ12)は、プリント処理時において矢印a方向に正転駆動され、残留トナーを含む異物Dはクリーニングブレード13の先端部に蓄積される。このとき、ソレノイド37はオフされており、クリーニングブレード13は中間転写ベルト10に対して圧接状態を保持している。
【0027】
所定枚数ごとのプリント処理が終了すると、中間転写ベルト10(支持ローラ12)は矢印a’方向に所定量逆転駆動されるとともに、ソレノイド37がオンされる。これにて、図6(B)に示すように、ブラケット20が反時計回り方向に回動し、クリーニングブレード13が中間転写ベルト10の表面から離間する。このとき、ブレード13の先端部に噛み込まれていた異物Dがベルト10から剥がれ落ちボックス36に収容される。その後、図6(C)に示すように、中間転写ベルト10がいったん逆転を停止されると、図6(D)に示すように、ソレノイド37がオフされ、ブレード13は元の圧接位置に復帰する。その後、中間転写ベルト10が矢印a方向に正転駆動されることになる。このように、中間転写ベルト10が正転する前にブレード13が圧接しているため、ブレード13のエッジによるベルト10への衝撃が回避され、ベルト10の損傷が防止される。
【0028】
(第4実施例、図7及び図8参照)
第4実施例は、図7に示すように、感光体ドラム2上の残留トナーを含む異物を除去するためのクリーニングブレード5を所定のタイミングで感光体ドラム2の表面に対して接離するように構成されている。
【0029】
ブレード5を保持するブラケット20及び接離機構の構成は前記第1実施例と同様であり、第1実施例と共通する符号を付し、重複する説明は省略する。本第4実施例において接離手段としてのカム25a,25b,25c,25dは感光体ドラム2と同軸に設けた図示しないカム板に周方向に90°の等間隔で配置されている。カム板は感光体ドラム2に対して図示しない一方向クラッチを介して連結されている。この一方向クラッチは、感光体ドラム2の逆転時(矢印a’参照)にはカム25a〜25dが一体的に逆転し、正転時(矢印a参照)には回転させない。
【0030】
本第4実施例における異物排除動作に関して図8を参照して説明する。図8(A)に示すように、感光体ドラム2は、プリント処理時において矢印a方向に正転駆動され、残留トナーを含む異物Dはクリーニングブレード5の先端部に蓄積される。このとき、カム25aはクリーニングブレード5の近傍にセットされており、回転することはなく、クリーニングブレード13は感光体ドラム2に対して圧接状態を保持している。
【0031】
所定枚数ごとのプリント処理が終了すると、感光体ドラム2は矢印a’方向に90°逆転駆動される。これにて、図8(B)に示すように、カム25aがブラケット20を右方に付勢し、クリーニングブレード5が感光体ドラム2の表面から離間する。このとき、ブレード5の先端部に噛み込まれていた異物Dがドラム2から剥がれ落ちボックス36に収容される。カム25aがブラケット20から離れると、図8(C)に示すように、ブラケット20及びブレード5は元の圧接位置に復帰する。感光体ドラム2が90°逆転した状態では、図8(D)に示すように、カム25bがブラケット20に近接した位置で停止する。プリント処理(感光体ドラム2の正転駆動)はこの状態から開始され、ドラム2の正転によってカム25a〜25dが同期して回転することはない。
【0032】
即ち、本第4実施例においても、感光体ドラム2を逆転させるとともにクリーニングブレード5をドラム2から離間させることにより、クリーニングブレード5の先端部に噛み込まれた異物Dが除去される。その後、クリーニングブレード5はドラム2が正転を開始する前にドラム2に圧接する。このように、感光体ドラム2が正転する前にブレード5が圧接しているため、ブレード5のエッジによるドラム2への衝撃が回避され、ドラム2の損傷が防止される。
【0033】
なお、複数のカム25a〜25dを設けたことによって種々の動作態様が可能である点は第1実施例で説明したとおりである。
【0034】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0035】
特に、画像形成装置の全体的な構成は任意であり、タンデム方式以外に4サイクル方式であってもよく、モノクロ画像の形成装置であってもよい。また、ブラケットや接離手段(カム、ソレノイド)の細部の構成は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、クリーニングブレードの接離動作によって像担持体を傷付けない点で優れている。
【符号の説明】
【0037】
2…感光体ドラム
5…クリーニングブレード
10…中間転写ベルト
13…クリーニングブレード
20…ブラケット
25a〜25d…カム
31…コイルばね
37…ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
残留トナーを含む異物を除去するために前記像担持体の表面に圧接するクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードを前記像担持体の表面に対して接離させる接離手段と、
を備え、
前記像担持体は画像形成時における正転とは逆方向に回転駆動可能であり、
前記クリーニングブレードは、前記像担持体が逆転するときに該像担持体から離間し、かつ、前記像担持体が正転を開始する前に該像担持体に圧接すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体は感光体又は中間転写ベルトであること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接離手段は前記像担持体と一体的に回転するカムを含むこと、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カムは、前記像担持体の逆転時には該像担持体と一体的に回転し、前記像担持体の正転時には回転しないこと、を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記接離手段はソレノイドを含むこと、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−252151(P2012−252151A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124522(P2011−124522)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】