説明

画像形成装置

【課題】記録ヘッドの下面にインクが付着することで生じ得る不具合の発生を抑制することを課題とする。
【解決手段】記録ヘッドのノズル面が鉛直面に対して略平行となる状態で用紙に対してインク液滴を吐出する記録ヘッド7A,7Bを備えた水平吐出型の画像形成装置において、キャップ111Bの下端に記録ヘッドの下面を清掃するための清掃部材145を設け、キャップのデキャップ動作時に記録ヘッドの下面を清掃部材で摺擦して清掃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドの吐出口から吐出されるインク液滴を記録材に付着させることにより記録材上に画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、主に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などの製品として知られている。インクジェット方式の画像形成装置は、記録ヘッドから記録材に対してインク液滴を吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用される場合がある。)を行う。なお、記録材とは、紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、画像を構成するインク液滴が付着可能なものを意味し、画像記録媒体、被記録媒体あるいは記録媒体などとも称されることがある。インクジェット方式の画像形成装置には、記録ヘッドが主走査方向に移動しながらインク液滴を吐出して画像を形成するシリアル型の画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態でインク液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型の画像形成装置とがある。
【0003】
本願明細書における「画像形成装置」とは、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の記録材にインク液滴を吐出して画像形成を行う装置を意味する。ここでいう「画像形成」には、文字や図形等の意味を持つ画像を記録材に付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を記録材に付与すること(単にインク液滴を記録材に着弾させること)も含まれる。また、吐出する「インク」は、一般にインクと称されるものに限らず、吐出される時に液体であるものであれば特に限定されるものではない。したがって、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは、平面に付与されるものに限らず、立体物に付与されるもの、あるいは、立体物自体を造形して形成される像も含まれる。
【0004】
インクジェット方式の画像形成装置は、記録ヘッドの吐出性能を維持するために、非稼動時の所定のタイミングで、記録ヘッドの吐出面に形成された吐出口からインクを吸い出すインク吸引処理を行い、その後、ワイパー部材で記録ヘッドの吐出面上の不要なインクを除去するワイピング処理を行うものがある(例えば特許文献1や特許文献2)。インク吸引処理の際に吐出口付近にインクが付着してしまうことがあるが、ワイピング処理を行うことによりこれを除去することができる。
【0005】
一方、近年、記録ヘッドの吐出面が鉛直面に対して略平行となる状態で記録材に対してインク液滴を吐出する水平吐出型の画像形成装置が知られている(特許文献3)。水平吐出型の画像形成装置は、一般的な鉛直吐出型の画像形成装置では実現できない装置レイアウトの実現が可能となり、装置の小型化、低コスト化が期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、インク吸引処理後に記録ヘッドの吐出面を被覆していたキャップ部材をデキャップさせたとき、記録ヘッドの吐出面には少なからず不要なインクが液体状態で付着している。このとき、水平吐出型の画像形成装置の場合、吐出面が鉛直面に対して略平行な状態であるため、吐出面上のインクは重力の作用を受けて吐出面を伝って下方へ移動する。そのため、インク吸引処理後におけるデキャップ後には、記録ヘッドの吐出面上のインクが下方へ移動し、記録ヘッドの下面にインクが付着した状態になる。記録ヘッドの下面にインクが付着したままだと、そのまま固まることで、そのインク塊が記録材に接触して記録材を汚したり、そのインク塊が落下して機内の各種部品の正常動作を妨げたりするおそれがある。一方、記録ヘッドの下面に付着したインクが固まる前に記録ヘッドを主走査方向へ移動させた場合、その移動時の振動等によってインクが落下し、インクによって機内を汚染するなどの不具合をもたらす。他方、インク吸引処理後におけるデキャップ後に記録ヘッドの吐出面に付着するインクはワイピング処理によっていずれ除去されるが、吐出面に付着するインクがワイピング処理の前に吐出面を伝って下端まで移動し、記録ヘッドの下面にまで回り込んでしまうと、そのようなインクは、もはやワイピング処理によっては除去することができない。
【0007】
なお、記録ヘッドの下面にインクが付着することによる上述した各種不具合は、記録ヘッドの吐出面が水平面に対して平行でない場合に、何らかの原因で記録ヘッドの下面にインクが付着した場合に生じ得るものである。したがって、上述したようにインク吸引処理後にデキャップさせることで記録ヘッドの吐出面を伝って流れたインクが記録ヘッドの下面に付着するような画像形成装置に限らず、その他の原因によってインクが記録ヘッドの下面に付着し得る画像形成装置であれば、同様に生じ得るものである。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、記録ヘッドの下面にインクが付着することで生じ得る不具合の発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、水平面に対して平行でない吐出面上の吐出口から記録材に対してインク液滴を吐出する記録ヘッドを備えた画像形成装置において、上記記録ヘッドの下面を清掃部材で清掃する清掃手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記記録ヘッドの吐出面を被覆するためのキャップ部材と、該キャップ部材により該記録ヘッドの吐出面を被覆する被覆状態と被覆しない非被覆状態とが切り換わるように該キャップ部材と該記録ヘッドとを相対移動させるキャッピング移動手段と、該キャップ部材に設けられた吸引口から該キャップ部材の内部を吸引する吸引手段と、所定のタイミングで、上記キャッピング移動手段により上記被覆状態にし、上記キャップ部材の内部が密閉された状態で上記吸引手段による吸引動作を実行することにより上記記録ヘッドの吐出口からインクを吸い出すインク吸引処理を行った後、該キャッピング移動手段により上記非被覆状態にする制御手段とを有し、上記清掃手段は、上記インク吸引処理後に上記キャッピング移動手段により上記非被覆状態にした上記記録ヘッドの下面に付着するインクを上記清掃部材で清掃するものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記清掃手段は、上記インク吸引処理後に上記記録ヘッドを上記被覆状態から上記非被覆状態へ切り換えるときの上記キャッピング移動手段による移動動作に連動して、上記記録ヘッドの下面と上記清掃部材とを相対移動させ、該清掃部材により該記録ヘッドの下面を摺擦して清掃することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記キャッピング移動手段は、上記キャップ部材を移動させることで該キャップ部材と上記記録ヘッドとを相対移動させるものであり、上記清掃部材を上記キャップ部材に保持させたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記清掃部材は、上記キャップ部材に対して着脱可能に保持されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記記録ヘッドの吐出面を摺擦して該吐出面上の不要なインクを除去するワイパー部材と、上記インク吸引処理後に該記録ヘッドの吐出面に沿って該吐出面の始端側から終端側に向けて該ワイパー部材を移動させるワイパー移動手段とを備え、上記キャッピング移動手段は、上記キャップ部材を移動させることで該キャップ部材と上記記録ヘッドとを相対移動させるものであり、上記ワイパー部材を上記キャップ部材に固定して、上記ワイパー移動手段として上記キャッピング移動手段を用い、上記清掃手段は、上記ワイパー部材で上記記録ヘッドの吐出面上の不要なインクを除去するワイピング処理の後に、該記録ヘッドの下面に付着するインクを上記清掃部材で清掃することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記清掃部材は、インクを吸収して保持可能な吸収体を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記清掃部材の吸収体に保持されたインクを吸い出して該吸収体から除去する吸収体クリーニング手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記吸収体クリーニング手段は、上記吸引手段を用いて上記吸収体に保持されたインクを吸い出すことにより該吸収体からインクを除去するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、記録ヘッドの下面にインクが付着しても、これを清掃部材によって清掃することができる。よって、何らかの原因によって記録ヘッドの下面にインクが付着しても、そのインクによる不具合の発生を抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係るインクジェットプリンタの要部を示す概略構成図である。
【図2】同インクジェットプリンタの記録ヘッド周囲の構成を、記録ヘッドの吐出方向(水平方向)から見たときの概略構成図である。
【図3】同インクジェットプリンタのメンテナンスユニットを示す斜視図である。
【図4】同メンテナンスユニットを、キャッピング部、空吐出部及び駆動部と、ワイピング部140とに分離させた状態を示す斜視図である。
【図5】同キャッピング部の斜視図である。
【図6】(a)及び(b)は、ノズル吸引処理を行う構成及び動作を模式的に表した説明図である。
【図7】同キャッピング部と一緒に駆動部130を示した斜視図である。
【図8】同キャッピング部の背面側の構成を示す斜視図である。
【図9】同キャッピング部の背面側の構成を、図8とは別の角度から見たときの示す斜視図である。
【図10】同ワイピング部の斜視図である。
【図11】同メンテナンスユニットを用いて行うメンテナンス処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】(a)〜(c)は、同メンテナンスユニットにおける吸引用のキャップを水平方向から見たときの構成及び動作を説明するための模式図である。
【図13】(a)〜(c)は、キャップ移動用カムの回転角(回転位置)と、キャッピング部の状態との関係を示す説明図である。
【図14】(a)〜(d)は、実施形態2に係るプリンタにおいて、ノズル吸引処理終了後からヘッド下面清掃処理の終了時までのキャッピング部の構成及び動作を模式的に表した説明図である。
【図15】同プリンタにおける印字前に行うメンテナンス処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【図16】同プリンタにおいて、ラックが、前進位置(被覆位置)、後退位置(非被覆位置=ワイピング動作開始位置)、ワイピング動作終了位置、ヘッド下面清掃終了位置のそれぞれに位置するときのガイドレール上における被ガイド部の位置I,II,III,IVを示す説明図である。
【図17】同プリンタにおける連続印字中に行うメンテナンス処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【図18】同プリンタにおける印字後に行うメンテナンス処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について、画像形成装置としてのインクジェット記録装置であるシリアル型プリンタを例にとって、添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態1に係るインクジェットプリンタの要部を示す概略構成図である。
図2は、本インクジェットプリンタの記録ヘッド周囲の構成を、記録ヘッドの吐出方向(水平方向)から見たときの概略構成図である。
このインクジェットプリンタにおいて、プリンタ側部に位置する2つの本体側板60間に横架したガイドロッド61に対してガイドブッシュ(軸受け)3aを介してキャリッジ3が摺動自在に保持されている。キャリッジ3は、主走査モータ4に接続された駆動プーリ6Aと従動プーリ6Bとの間に架け渡されたタイミングベルト5の移動に伴ってガイドロッド61に沿った方向(主走査方向)に移動する。
【0013】
本実施形態1では、キャリッジ3に2つの記録ヘッド7A,7B(図2中2点鎖線で示す。)が搭載されている。各記録ヘッド7A,7Bのノズル面(吐出面)には、それぞれ、多数のノズル(吐出口)が副走査方向(記録材搬送方向)に延びた2列のノズル列が形成されている。よって、キャリッジ3には、合計4つのノズル列が設けられ、各ノズル列からは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)のインク滴がそれぞれ吐出される。記録ヘッド7A,7Bとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどのインク(記録液)を吐出するためのエネルギー発生手段として備えたもの等を使用できる。キャリッジ3は、記録ヘッド7A,7Bに各色のインクを供給するための各色のヘッドタンクを搭載している。このヘッドタンクには、インク供給チューブを介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。なお、インク滴を吐出する記録ヘッド7A,7B以外に、画像記録液としてのインクと反応することで当該インクの定着性を高める定着用処理液(定着用インク)を吐出する記録ヘッドを設けてもよい。
【0014】
記録ヘッド7A,7Bのノズルは、乾燥によるノズル詰まりを発生させやすい。そのため、印字エラー等による動作停止中や電源OFF時などのキャリッジ3の非稼動時には、ノズル面をキャップ部材で覆って保湿し、乾燥によるノズル詰まりを防ぐ必要がある。本実施形態1においては、記録ヘッドの主走査方向における画像形成領域外に配置されているメンテナンスユニット100にキャップ部材としての2つのキャップ111A,111Bが設けられている。なお、メンテナンスユニット100は、主走査方向における画像形成領域外における少なくとも一端側に設ければよい。
【0015】
また、本プリンタの下部には、図1に示すように、給紙カセット10内の用紙を給紙するための給紙部が設けられている。この給紙部において、給紙カセット10には用紙積載部(圧板)11が設けられ、その用紙積載部11上には複数枚の用紙(記録材)12が積載される。用紙積載部11から用紙12を給紙する際、その最上位の用紙12に給紙ローラ13を当接させて回転駆動する。給紙ローラ13との対向位置には摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14が設けられており、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。このような給紙部の構成によって、給紙ローラ13により送り出された最上位の用紙12は、他の用紙から分離して給紙される。
【0016】
また、本プリンタは、図1に示すように、給紙部によって給紙された用紙12を記録ヘッド7A,7Bのノズル面と対向する画像記録領域へ搬送するための搬送部を備えている。この搬送部は、用紙12を静電力で表面に吸着させて搬送する搬送ベルト21と、給紙部から給紙された用紙12の搬送方向を略鉛直方向上向きに案内するためのガイド15と、用紙12の先端を検知する第1反射型センサ(用紙有無検知センサ)200と、押え部材24によって搬送ベルト21側に付勢された先端加圧コロ25と、押え部材24に取り付けられ用紙12の先端を検知する第2反射型センサ(用紙有無検知センサ)201とを備えている。また、搬送ベルト21の表面を帯電させるための帯電手段を構成する帯電ローラ26も備えている。帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表面に接触して搬送ベルト21の移動に従動回転するように配置されている。
【0017】
搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されている。副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転駆動することにより、搬送ベルト21の表面に担持された用紙12を副走査方向に沿って鉛直方向上側に向けて搬送する。また、搬送ベルト21の内周面側には、記録ヘッド7A,7Bと対向する画像形成領域に対応する箇所に、ガイド部材29が設けられている。
【0018】
図2に示すように、搬送ローラ27の軸には、光を透過する透過部と透過しない非透過部とが交互に周方向に配列された円板型エンコーダシート34が取り付けられ、この円板型エンコーダシート34の透過部と非透過部を検知するエンコーダセンサ35が設けられている。これらの円板型エンコーダシート34及びエンコーダセンサ35によってエンコーダ36が構成されている。このエンコーダ36の検知結果と第2用紙有無検知センサ201の検知結果等に基づいて、用紙12の副走査方向位置を把握することが可能である。
また、キャリッジ3には、光を透過する透過部と透過しない非透過部とが交互に直線状に配列されたリニアエンコーダシート42が設けられており、このリニアエンコーダシート42の透過部と非透過部を検出する透過型フォトセンサからなる図示しないエンコーダセンサが設けられている。このエンコーダセンサの検知結果に基づいて、キャリッジ3の主走査方向位置を把握することができる。
【0019】
また、本プリンタは、図1に示すように、記録ヘッド7A,7Bで画像が記録された用紙12を排紙するための排紙部を備えている。この排紙部は、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
【0020】
以上のように構成された本実施形態1のプリンタにおいては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、給紙された用紙12の搬送方向をガイド15によって鉛直方向上向きに案内される。そして、その用紙先端が第1用紙有無検知センサ200によって検知された後、搬送ベルト21上に送られた用紙12は、先端加圧コロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、その用紙先端が第2用紙有無検知センサ201によって検知され、搬送ベルト21の移動に伴って鉛直方向上向きに搬送される。このとき、帯電ローラ26に対してプラス(正極)出力とマイナス(負極)出力とが交互に繰り返される電圧すなわち交番電圧が印加され、搬送ベルト21には、ベルト移動方向(副走査方向)に、プラスとマイナスの電荷が所定の幅で帯状に交互に印加される。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動に伴って用紙12が副走査方向に搬送される。
【0021】
記録ヘッド7A,7Bによって画像を記録する際、搬送ベルト21による用紙12の搬送は一時停止され、キャリッジ3を主走査方向へ移動させながら、画像信号に応じて記録ヘッド7A,7Bを駆動して、停止している用紙12に対してインク滴を吐出し、1行分の画像を記録する。その後、用紙12を所定量だけ副走査方向へ搬送して再び一時停止した後、次の行の記録を行う。記録終了信号あるいは用紙12の後端が所定の副走査方向位置に到達した旨の信号を受けることにより、画像形成動作は終了し、用紙12は排紙トレイ54に排紙される。
【0022】
なお、キャリッジ3の走査方向と画像形成との関係では、一方向の走査時にだけ画像を形成する片方向記録モードと、両方向の走査時のいずれでも画像を形成する両方向記録モードがある。いずれかのモードをユーザーからの指定や印刷画像に応じて設定したり、あるいは、いずれかのモードだけを行う構成としたりすることは任意である。
【0023】
次に、メンテナンスユニット100の構成及び動作について説明する。
図3は、メンテナンスユニット100を示す斜視図である。
図4は、メンテナンスユニット100を、キャッピング部110、空吐出部120及び駆動部130と、ワイピング部140とに分離させた状態を示す斜視図である。
メンテナンスユニット100は、記録ヘッド7A,7Bの吐出性能の回復、維持や、非稼働中に記録ヘッドのノズルの保湿を行うためのものである。メンテナンスユニット100は、記録ヘッド7A,7Bをキャッピングするキャッピング部110と、メンテナンスのために記録ヘッド7A,7Bから吐出させるイングを受ける空吐出部120と、キャッピング部110及び空吐出部120並びに後述の吸引ポンプに対して駆動力を伝達する駆動部130と、記録ヘッド7A,7Bのノズル面をワイピングするワイピング部140とを有する。メンテナンスユニット100は、図2中右側の本体側板60に位置決めされた状態でネジ固定されている。図3及び図4においては、キャリッジ3上の記録ヘッド7A,7Bが紙面前方からメンテナンスユニット100に対向するように位置することになる。
【0024】
図5は、キャッピング部110の斜視図である。
キャッピング部110は、2つのキャップ111A,111Bを有し、非稼働中に、2つの記録ヘッド7A,7Bのノズル面をそれぞれキャップ111A,111Bで被覆してノズルの保湿を行う。また、キャッピング部110は、キャップ111Bで被覆した状態の記録ヘッドのノズルから記録ヘッド内のインクを吸い出すノズル吸引処理を行ってインク詰まり等を解消し、記録ヘッド7A,7Bの吐出性能の回復、維持する処理も行う。更に、本実施形態1において、キャッピング部110は、ノズル吸引処理後に記録ヘッド7A,7Bの下面を清掃部材145で払拭するヘッド下面清掃処理も行う。キャップ111A,111Bは、ラック113に対して水平方向(図中前後方向)へスライド移動可能に取り付けられており、そのスライド移動範囲はラック113に設けられたガイド溝113aによって制限されている。キャップ111A,111Bは、上下2つの圧縮バネ118によってラック113から図中前方へ付勢されている。
【0025】
キャップ111A,111Bを搭載したラック113は、駆動部130からの駆動力を受けて、水平方向(図3〜5中前後方向)へ移動することができる。これにより、ラック113に搭載されたキャップ111A,111Bとの対向位置に記録ヘッド7A,7Bが位置するとき、各記録ヘッド7A,7Bに向けてキャップ111A,111Bを近付けて記録ヘッド7A,7Bのノズル面を被覆状態としたり、記録ヘッド7A,7Bからキャップ111A,111Bを離間させて記録ヘッド7A,7Bのノズル面を非被覆状態としたりすることができる。2つのキャップ111A,111Bは、記録ヘッド7A,7Bのノズル面に対向する開口の縁部111aがゴム等の弾性変形部材で形成されている。これにより、キャップ111A,111Bが圧縮バネ118の付勢力を受けて記録ヘッド7A,7Bのノズル面に当接すると、キャップ111A,111Bの縁部111aが弾性変形し、キャップ111A,111Bの開口が記録ヘッド7A,7Bのノズル面によって高いシール性をもって閉塞される。
【0026】
図6(a)及び(b)は、ノズル吸引処理及びヘッド下面清掃処理を行う構成及び動作を模式的に表した説明図である。
ノズル吸引処理を行うためのキャップ111Bは、その開口とは反対側の背面部に吸引口が設けられており、その吸引口に吸引管114の一端が接続されている。この吸引管114の他端には、吸引手段としての吸引ポンプ150が接続されている。図6(a)に示すように、ラック113に搭載されたキャップ111Bとの対向位置にいずれかの記録ヘッド7A,7Bが位置するとき、駆動部130からの駆動力を受けてキャップ移動用カム135を回転させると、図6(b)に示すように、ラック113が記録ヘッド7A,7Bに向けて移動し、最終的にはキャップ111Bの縁部111aが記録ヘッド7A,7Bのノズル面に当接して被覆状態にする。その後、吸引ポンプ150を駆動して吸引動作を実行することにより、キャップ111Bと記録ヘッド7A,7Bのノズル面との吸着力が高まってキャップ内部の密閉性が高まるとともにキャップ内部が負圧となり、記録ヘッド内のインクがノズルから吸い出される。吸い出されたインクは、吸引ポンプ150の吸引力によってキャップ111Bの吸引口から吸引管114を通って廃液タンク151に送られる。
【0027】
ここで、本実施形態1においては、後述するように、キャップ111Bで記録ヘッド7A,7Bのノズル面を被覆した状態のままそのキャップ内部を外部に連通させてキャップ内を大気開放する。そのため、本実施形態1のキャップ111Bは、キャップ内外を連通させる連通孔である大気開放孔111bがキャップ111Bの背面に設けられている。ただし、上述したノズル吸引処理を行うためには、キャップ内部を密閉状態にする必要があるので、その大気開放孔111bを塞がなければならない。そのため、本実施形態1では、大気開放孔111bを塞ぐ蓋部材としての大気開放弁116が設けられている。この大気開放弁116は、ラック113に対して水平方向(図6中左右方向)へスライド移動可能な状態で、ラック113の内壁における大気開放孔111bの対向位置に取り付けられている。そのスライド移動範囲はラック113に設けられた図示しないガイド溝によって制限されている。そして、この大気開放弁116は、圧縮バネ117によってラック113から図6中右側(大気開放孔111b側)へ付勢されている。
【0028】
本実施形態1においては、ラック113が後退位置にある時、図6(a)に示すように、キャップ111Bはキャップ用圧縮バネ118の付勢力によってラック113に対して最前進位置までスライドした状態でそこに位置決めされる。また、大気開放弁116も、大気開放用圧縮バネ117の付勢力によってラック113に対して最前進位置までスライドした状態でそこに位置決めされる。このとき、大気開放弁116は、図6(a)に示すように、最前進位置に位置するキャップ111Bに設けられた大気開放孔111bから離間した状態になる。
一方、ラック113が前進位置にある時、図6(b)に示すように、記録ヘッド7A,7Bのノズル面に当接したキャップ111Bは、キャップ用圧縮バネ118の付勢力に抗してラック113内側へ押し込まれた後退位置に位置することになる。キャップ111Bがラック113に対して後退位置に位置するとき、大気開放弁116は、そのキャップ用圧縮バネ118の背面に当接し、大気開放用圧縮バネ117の付勢力に抗してラック113内側へ押し込まれる。よって、ラック113が前進位置にある時には、図6(b)に示すように、キャップ111Bの開口はノズル面に密着し、かつ、そのキャップ背面に設けられた大気開放孔111bは大気開放弁116によって閉塞された状態になるので、キャップ内は密閉状態になる。これにより、ノズル吸引処理が可能な状態になる。
【0029】
また、本実施形態1においては、図6(b)に示すようにラック113が前進位置(被覆位置)にある状態でノズル吸引処理を行った後、再び、ラック113を後退位置(非被覆位置)に移動させて図6(a)に示す状態に戻る。本実施形態1では、記録ヘッド7A,7Bの下面を清掃する清掃部材145が、キャップ111Bの下方位置で、ラック113に固定されている。このため、清掃部材145は、ラック113の移動と一体となって移動する。本実施形態1では、ラック113が前進位置(被覆位置)に移動している時、図6(b)に示すように、清掃部材145は、記録ヘッド7A,7Bの下面に当接するように設けられている。この清掃部材145は、デキャップ動作のためにラック113が前進位置(被覆位置)から後退位置(非被覆位置)へ移動する間、記録ヘッド7A,7Bの下面に当接し続ける。したがって、デキャップ動作によってラック113が前進位置(被覆位置)から後退位置(非被覆位置)へ移動する際に、清掃部材145は記録ヘッド7A,7Bの下面を摺擦して払拭し、これにより記録ヘッド7A,7Bの下面に付着するインクを除去するヘッド下面清掃処理が行われる。ラック113が後退位置(非被覆位置)に移動した時、図6(a)に示すように、清掃部材145は、記録ヘッド7A,7Bの下面から離間した位置に位置する。よって、その後にキャリッジ3を主走査方向へ移動させる際に、その清掃部材145が邪魔になることはない。
【0030】
清掃部材145は、記録ヘッド下面をワイピングしてインクを除去するゴム等のワイパー部材で構成してもよいし、記録ヘッド下面上のインクを吸収して除去するスポンジ等の吸収部材で構成してもよいし、その他の構成でもよい。本実施形態1の清掃部材145は、スポンジ等の吸収部材で構成されている。また、本実施形態1では、図6中破線で示すように、清掃部材145を支持するラック113の下面部材内部に吸引用通路146が設けられている。この吸引用通路146は、清掃部材145が取り付けられている端部が開口しており、反対側の端部は吸引管114に接続されている。また、この吸引用通路146の途中には、開閉弁147が設けられている。この開閉弁147は、少なくともインク吸引処理中は閉塞して、吸引ポンプ150の吸引力によるインク吸引処理を妨げないように動作する。開閉弁147が開いているときに吸引ポンプ150が駆動すると、本実施形態1では、キャップ111B内を吸引するとともに、吸引用通路146を介して清掃部材145に吸収されているインクも吸引される。よって、所定のタイミングで開閉弁147を開いて吸引ポンプ150を駆動させることで、清掃部材145からインクを除去してリフレッシュでき、清掃部材145による清掃能力を回復させて、清掃部材145の継続使用が実現できる。
【0031】
本実施形態の開閉弁147は、大気開放弁116が大気開放孔111bを塞いでいるときは閉状態となり、大気開放弁116が大気開放孔111bを開放しているときは開状態となるように、大気開放弁116の動作に連動する構成としている。ただし、開閉弁147の開閉タイミングは、これに限らず、少なくともインク吸引処理中に閉状態となっていれば、特に制限はない。例えば、もし、インク吸引処理後のキャップ111B内に残ったインクを吸引除去する際の吸引動作に支障が出そうな場合には、その吸引動作時にも開閉弁147を閉状態にするように動作させてもよい。本実施形態1によれば、キャップ111Bの大気開放孔111bが開放している状態であれば、任意のタイミングで吸引ポンプ150を駆動することで、その吸引ポンプ150の吸引力により清掃部材145に吸収されているインクを清掃部材145内から除去することができる。
なお、本実施形態1では、清掃部材145で吸収したインクを吸引することで清掃部材145内からインクを除去し、清掃部材145の継続使用を可能としているが、清掃部材145内からインクを除去する構成は必須ではない。この構成を設けない場合には、例えば、所定のタイミングで清掃部材145を交換すればよい。
【0032】
空吐出部120は、非稼働中に、各記録ヘッド7A,7Bに対向して、その記録ヘッドから吐出されるインクを受け取って回収するものである。本実施形態1では、記録ヘッド7A,7Bの吐出性能の回復、維持のため、所定のタイミングで、各記録ヘッド7A,7Bを空吐出部120に対向させ、ノズルからインクを空吐出する空吐出処理を行う。空吐出部120には、図3及び図4に示すように、空吐出処理の際に、記録ヘッドから垂れ落ちるインクで機内が汚染されるのを防止するため、垂れ落ちるインクを受けるインク受け部材121が設けられている。
【0033】
図7は、キャッピング部110と一緒に駆動部130を示した斜視図である。
駆動部130は、キャッピング部110及び空吐出部120での処理に必要な駆動力を、これらに伝達するためのものである。駆動部130は、キャッピング部110のフレーム部112(図7では説明のため図示を省略してある。)に取り付けられている。駆動部130は、駆動源であるステッピングモータ131と、ステッピングモータ131で発生した駆動力を伝達するためのギヤ列132と、ギヤ列132によって伝達された駆動力によって回転駆動する駆動シャフト133とを備えている。ステッピングモータ131は、正逆回転駆動可能な構成であり、図示しない制御部によりその回転方向、回転位置、回転角速度が制御される。駆動シャフト133の一端側は、キャッピング部110のフレーム部112の内部へ挿通されている。
【0034】
駆動シャフト133上には、これと同軸にギヤ列132と噛み合う被駆動ギヤ134と、キャップ移動用カム135と、空吐出部移動用カム136とが設けられている。キャップ移動用カム135は、図8に示すように、キャッピング部110のラック113の背面(キャップ111A,111Bが設けられた面とは反対側の面)に設けられたピン115の対向位置に配置される。本実施形態1のキャップ移動用カム135は、図9に示すように外枠135aと内枠135bの間に略楕円状のカム溝135cが形成された構造を有し、このカム溝135c内にラック113の背面のピン115を入り込ませた状態で組み付けられる。このような構造を採用することで、駆動シャフト133が回転し、キャップ移動用カム135の回転角が変わると、ラック113のピン115がキャップ移動用カム135のカム溝内を移動して、ラック113が水平方向へ変位する。したがって、ステッピングモータ131によりキャップ移動用カム135の回転角を制御することにより、各記録ヘッド7A,7Bに対してキャップ111A,111Bを近接させる方向へ前進させて被覆状態としたり、各記録ヘッド7A,7Bに対してキャップ111A,111Bを離間させる方向へ後退させて非被覆状態としたりすることができる。
【0035】
空吐出部移動用カム136も、キャップ移動用カム135と同様に、空吐出部120を水平方向へ変位させるためのものである。駆動シャフト133に対するキャップ移動用カム135及び空吐出部移動用カム136の取り付け角は、互いにずれている。具体的には、キャップ111A,111Bが前進位置に位置して記録ヘッド7A,7Bを被覆状態にしているときには、空吐出部120は後退位置に位置し、逆に、空吐出部120が前進位置に位置して記録ヘッド7A,7Bの空吐出処理を行うときには、キャップ111A,111Bは後退位置に位置するように、駆動シャフト133に対するキャップ移動用カム135及び空吐出部移動用カム136の取り付け角が設定されている。
【0036】
また、本実施形態1においては、ステッピングモータ131が正転しているときには駆動シャフト133に駆動力が伝達され、ステッピングモータ131が逆転しているときには駆動シャフト133に駆動力が伝達されないように構成されている。このような構成は、例えば、駆動部130のギヤ列132にワンウェイクラッチを介在させることで実現できる。一方、ステッピングモータ131が逆転しているとき、その駆動力は吸引ポンプ150に伝達されるように構成されている。吸引ポンプ150への駆動力伝達経路も、例えばワンウェイクラッチを用いるなどして、ステッピングモータ131が逆転しているときには吸引ポンプ150に駆動力が伝達され、ステッピングモータ131が正転しているときには吸引ポンプ150に駆動力が伝達されないように構成されている。このように、本実施形態1では、キャッピング部110や空吐出部120を駆動する駆動源と、吸引ポンプの駆動源とを共通化し、駆動源の数を減らすことで、低コスト化を図っているが、それぞれ別々の駆動源を使用してもよい。
【0037】
図10は、ワイピング部140の斜視図である。
ワイピング部140は、ワイパー部材141により記録ヘッド7A,7Bのノズル面を摺擦(ワイピング)して、ノズル面に付着した不要なインクを除去するワイピング処理を行い、これにより記録ヘッド7A,7Bの吐出性能の回復、維持する。従来の一般的なワイピング処理は、キャリッジ3を主走査方向へ移動させることにより静止状態のワイパー部材に記録ヘッドのノズル面を摺擦させてワイピングするものが多い。しかしながら、本実施形態1では、ワイピング部140に対向する位置に記録ヘッド7A,7Bを静止させた状態でワイパー部材141を移動させることにより、ワイパー部材で記録ヘッドのノズル面を摺擦してワイピングする。本実施形態1においては、各記録ヘッド7A,7Bのノズル面には、主走査方向に対して直交する方向(鉛直方向)に延びる2列のノズル列が形成されている。2列のノズル列は互いに異なる色のインクを吐出するものであるため、一方のノズル列のインクが他方のノズル列に付着すると、混色が生じて適切な色を再現できないなどの不具合を引き起こす。従来の一般的なワイピング処理の方法では、記録ヘッド7A,7Bを主走査方向へ移動させることで静止状態のワイパー部材でワイピングするため、一方のノズル列をワイピングして除去したインクが付着したワイパー部材で他方のノズル列をワイピングすることになる。よって、混色による不具合が生じるおそれが高い。そのため、本実施形態1では、ワイピング部140に対向する位置に記録ヘッド7A,7Bを静止させた状態で、ワイパー部材141を2つのノズル列の延び方向(鉛直方向)に沿って移動させることにより、ワイパー部材で記録ヘッドのノズル面をワイピングするようにしている。これにより、一方のノズル列をワイピングしたワイパー部材の箇所で他方のノズル列をワイピングする事態を回避でき、混色の不具合が発生しにくくなる。
【0038】
本実施形態1では、ワイピング部140は、駆動部130とは別の駆動源からの駆動力を受けて駆動するように構成されているが、駆動部130からの駆動力を受けて駆動するように構成することも可能である。ワイパー部材141は、ゴムブレード等の一般的なワイパー部材を用いることができる。ワイパー部材141は、記録ヘッド7A,7Bのノズル面に押し付けられて撓んだ状態となって、ノズル面を摺擦しながらノズル面に対して相対移動する。そして、ワイピング終了時にはワイパー部材141をノズル面から離間させるのであるが、その離間時に撓んだ状態のワイパー部材141が復元して跳ね上がり、ノズル面から除去したインクが飛散することがある。このように飛散したインクが機内を汚染することがないように、本実施形態1のワイピング部140には、ワイパー部材141の上下に飛散防止板142,143が配置されている。なお、ワイパー部材141の下方に位置する飛散防止板142は、ノズル面から除去したインクがワイパー部材141から垂れ落ちて機内を汚染するのを防止する機能も果たしている。
【0039】
図11は、メンテナンスユニット100を用いて行うメンテナンス処理の流れを示すフローチャートである。
図12(a)〜(c)は、メンテナンスユニット100における吸引用のキャップ111Bを水平方向から見たときの構成及び動作を説明するための模式図である。なお、図12では、2つのキャップ用圧縮バネ118が1つのバネとして図示されている。
図13(a)〜(c)は、キャップ移動用カム135の回転角(回転位置)と、キャッピング部110の状態との関係を示す説明図である。
【0040】
本実施形態1においては、プリンタの電源投入直後、プリント動作の終了時、ユーザーのメンテナンス指示を受けた時などの所定のタイミングで、メンテナンス処理を実行する。メンテナンス処理では、まず、プリンタの制御部は、ステッピングモータ131の回転位置(回転角)がホームポジション(HP)であるか否かを確認する(S1)。ホームポジションの確認は、例えば、ステッピングモータ131のモータ軸に突起部を設けるとともに、その突起部が通過する回転軌道を通るように透過型の光学センサを配置し、その光学センサが突起部によって光路を遮られたことを検知したタイミングをホームポジションとする。ステッピングモータ131の回転位置がホームポジション(HP)でない場合には、ステッピングモータ131をホームポジションとなるまで正転させる(S2)。このホームポジションでは、キャッピング部110のキャップ111A,111Bは、図12(c)に示すように後退位置に位置し、空吐出部120も同様に後退位置に位置する。
【0041】
ステッピングモータ131をホームポジションとした後、制御部は、主走査モータ4を制御して、第1記録ヘッド7Aが吸引用のキャップ111Bと対向する位置(第1ヘッド吸引位置)まで、キャリッジ3を主走査方向に移動させる(S3)。その後、メンテナンスユニット100のステッピングモータ131を正転させてラック113を水平移動させ、キャップ111Bを記録ヘッド7Aに向けて前進させる(S4)。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる(S5)。これにより、図13(a)に示すように、キャップ移動用カム135のカム溝135cにおける長辺方向の部分にラック113の背面のピン115が位置し、ラック113は前進位置に位置決めされる。その結果、キャップ111Bの開口はキャップ用圧縮バネ118の付勢力により記録ヘッド7Aのノズル面に密着してノズル面が被覆状態となり、かつ、そのキャップ背面に設けられた大気開放孔111bは大気開放用圧縮バネ117によって付勢された大気開放弁116によって閉塞状態になる。したがって、キャップ111Bの内部は密閉状態になり、ノズル吸引処理が可能な状態になる。
【0042】
このようにしてキャップ111Bの内部を密閉状態にしたら、制御部は、ステッピングモータ131を逆転させ、吸引ポンプ150を駆動して吸引動作を実行し(S6)、インク吸引処理を実行する。これにより、吸引ポンプ150の吸引力によって第1記録ヘッド7Aのノズルからインクが吸い出され、吸い出されたインクはキャップ111Bの吸引口から吸引管114を通って廃液タンク151に送られる。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる(S7)。
【0043】
ここで、吸引動作を停止した時点において、キャップ111Bの内部にはノズルから吸い出したインクの一部が残っている。本実施形態1では、鉛直面に平行なノズル面に対して水平方向からキャップ111Bでキャッピングしているので、キャップ111Bの内部にインクが残っている状態でデキャップすると、キャップ111Bをノズル面から離間させた時にそのキャップの開口からキャップ内のインクが流れ出てしまい、機内をインクで汚染してしまう。そこで、本実施形態1では、次のような処理動作を実行する。
【0044】
制御部は、インク吸引処理後、所定時間経過するのを待ってから(S8)、ステッピングモータ131を正転させてラック113を後退させる(S9)。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる(S10)。これにより、図13(b)に示すように、キャップ移動用カム135のカム溝135cにおける長辺と短辺の中間方向の部分にラック113の背面のピン115が位置し、ラック113は、図12(b)に示す大気開放位置(前進位置と後退位置との間)に位置決めされる。ラック113が大気開放位置に位置するとき、キャップ111Bはキャップ用圧縮バネ118の付勢力によって記録ヘッド7Aのノズル面に当接した状態であるが、大気開放弁116は、キャップ背面に設けられた大気開放孔111bから離間した状態になる。これにより、大気開放孔111bは開放状態となり、キャップ111Bの内部は、その開口をノズル面で塞いだままの状態で、大気開放孔111bを通じて大気に開放された状態になる。この状態であれば、キャップ111Bの開口からインクが流れ出ることはない。しかも、大気開放孔111bは、キャップ内に残ったインクの液面よりも高い位置であるキャップ上部に設けられている。よって、その大気開放孔111bを開放状態にしても、大気開放孔111bからインクが漏れ出すこともない。なお、本実施形態1では、このようにキャップ111Bが大気開放されたとき、清掃部材145に連通した吸引用通路146の開閉弁147が開状態になる。
【0045】
このようにしてキャップ111Bを大気開放したら、制御部は、所定時間経過するのを待ってから(S11)、ステッピングモータ131を逆転させ、吸引ポンプ150を駆動して吸引動作を所定期間実行させる(S12)。このとき、キャップ内は大気開放孔111bを通じて大気開放された状態となっているので、キャップ内部を吸引ポンプ150で吸引しても、記録ヘッド7Aのノズルからインクを吸い出すことはなく、キャップ内のインクを吸引口から吸引管114を通って廃液タンク151へ回収することができる。ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる。
【0046】
このようにしてキャップ111B内のインクを除去したら、制御部は、ステッピングモータ131を正転させてラック113を更に後退させ(S13)、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる。これにより、図13(c)に示すように、キャップ移動用カム135のカム溝135cにおける短辺方向の部分にラック113の背面のピン115が位置し、ラック113は、図12(c)に示す後退位置に位置決めされる。ラック113が後退位置まで後退することで、キャップ111Bはラック113の移動に追従して記録ヘッド7Aのノズル面から離間してデキャップされるとともに、清掃部材145はラック113の移動に追従して記録ヘッド7Aの下面を摺擦して払拭してヘッド下面清掃処理が行われる。
【0047】
その後、制御部は、ステッピングモータ131を逆転させ、吸引ポンプ150を駆動して吸引動作を所定期間実行させる(S14)。このとき、清掃部材145に連通した吸引用通路146の開閉弁147は開状態になっているので、吸引ポンプ150を吸引動作させることで、上記ヘッド下面清掃処理で清掃部材145に吸引されたインクは清掃部材145から吸引用通路146を介して除去され、最終的に廃液タンク151へ回収される。
【0048】
続いて、制御部は、主走査モータ4を制御して、第1記録ヘッド7Aがワイピング部140と対向する位置(第1ヘッドワイピング位置)まで、キャリッジ3を主走査方向に移動させる(S16)。その後、ワイピング部140を駆動制御してワイパー部材141を上下動させ、第1記録ヘッド7Aのノズル面をワイピングし(S17)、ノズル面上の不要なインクを除去する。
【0049】
このようにして第1記録ヘッド7Aのメンテナンス処理が終了したら、次に、第2記録ヘッド7Bのメンテナンス処理に移行し、まず、制御部は、ステッピングモータ131の回転位置(回転角)がホームポジション(HP)であるか否かを確認する(S18)。ステッピングモータ131の回転位置がホームポジション(HP)でない場合には、ステッピングモータ131をホームポジションとなるまで正転させる(S19)。ステッピングモータ131をホームポジションとした後、制御部は、主走査モータ4を制御して、第2記録ヘッド7Bが吸引用のキャップ111Bと対向する位置(第2ヘッド吸引位置)まで、キャリッジ3を主走査方向に移動させる(S20)。その後、メンテナンスユニット100のステッピングモータ131を正転させてラック113を水平移動させ、キャップ111Bを記録ヘッド7Bに向けて前進させる(S21)。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる(S22)。これにより、ラック113は前進位置に位置決めされ、キャップ111Bは図12(a)に示す密閉状態となり、ノズル吸引処理が可能な状態になる。
【0050】
このようにしてキャップ111Bの内部を密閉状態にしたら、制御部は、ステッピングモータ131を逆転させ、吸引ポンプ150を駆動して吸引動作を実行し(S23)、インク吸引処理を実行する。これにより、吸引ポンプ150の吸引力によって第2記録ヘッド7Bのノズルからインクが吸い出され、吸い出されたインクはキャップ111Bの吸引口から吸引管114を通って廃液タンク151に送られる。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる(S24)。その後、制御部は、所定時間経過するのを待ってから(S25)、ステッピングモータ131を正転させてラック113を後退させる(S26)。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる(S27)。これにより、ラック113は、図12(b)に示す大気開放位置(前進位置と後退位置との間)に位置決めされる。これにより、大気開放孔111bは開放状態となり、キャップ111Bの内部は、その開口をノズル面で塞いだままの状態で、大気開放孔111bを通じて大気に開放された状態になる。そして、制御部は、所定時間経過するのを待ってから(S28)、ステッピングモータ131を逆転させ、吸引ポンプ150を駆動して吸引動作を所定期間実行させる(S29)。このとき、キャップ内は大気開放孔111bを通じて大気開放された状態となっているので、キャップ内部を吸引ポンプ150で吸引しても、記録ヘッド7Bのノズルからインクを吸い出すことはなく、キャップ内のインクを吸引口から吸引管114を通って廃液タンク151へ回収することができる。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる。
【0051】
このようにしてキャップ111B内のインクを除去したら、制御部は、ステッピングモータ131を正転させてラック113を更に後退させ(S30)、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる。これにより、ラック113は、図12(c)に示す後退位置に位置決めされ、キャップ111Bがデキャップされるとともに、清掃部材145はラック113の移動に追従して記録ヘッド7Aの下面を摺擦して払拭してヘッド下面清掃処理が行われる。その後、制御部は、ステッピングモータ131を逆転させ、吸引ポンプ150を駆動して吸引動作を所定期間実行させる(S31)。このとき、清掃部材145に連通した吸引用通路146の開閉弁147は開状態になっているので、吸引ポンプ150を吸引動作させることで、上記ヘッド下面清掃処理で清掃部材145に吸引されたインクは清掃部材145から吸引用通路146を介して除去され、最終的に廃液タンク151へ回収される。そして、制御部は、主走査モータ4を制御して、第2記録ヘッド7Bがワイピング部140と対向する位置(第2ヘッドワイピング位置)まで、キャリッジ3を主走査方向に移動させる(S33)。そして、ワイピング部140を駆動制御してワイパー部材141を上下動させ、第2記録ヘッド7Bのノズル面をワイピングし(S34)、ノズル面上の不要なインクを除去する。
【0052】
このようにして2つの記録ヘッド7A,7Bのメンテナンス処理が終了したら、制御部は、ステッピングモータ131の回転位置(回転角)がホームポジション(HP)であるか否かを確認する(S35)。ステッピングモータ131の回転位置がホームポジション(HP)でない場合には、ステッピングモータ131をホームポジションとなるまで正転させる(S36)。そして、制御部は、主走査モータ4を制御して、第2記録ヘッド7Bが吸引用のキャップ111Bと対向する位置まで、キャリッジ3を主走査方向に移動させる(S37)。本実施形態1のメンテナンスユニット100は、第2記録ヘッド7Bが吸引用のキャップ111Bと対向するとき、第1記録ヘッド7Bがキャッピング用のキャップ111Aと対向するように構成されている。本実施形態1では、2つの記録ヘッド7A,7Bがそれぞれキャップ111A,111Bと対向する位置が、キャリッジ3のホームポジションとなる。
【0053】
キャリッジ3がホームポジションに位置した後、制御部は、ステッピングモータ131を正転させてラック113を水平移動させ、キャップ111A,111Bを記録ヘッド7A,7Bに向けて前進させる(S38)。そして、ステッピングモータ131のパルス数(ステップ数)が所定パルス数に達したら、ステッピングモータ131の回転を停止させる(S39)。これにより、ラック113は前進位置に位置決めされ、キャップ111A,111Bによって記録ヘッド7A,7Bのノズル面がキャッピングされ、ノズル面が保湿される。
【0054】
以上のように、本実施形態1ではインク吸引処理時に記録ヘッド7A,7Bのノズル面が鉛直面に平行であるため、そのノズル面をキャッピングするキャップ111Bの開口面も鉛直面となり、インク吸引処理後にそのままデキャップすると、キャップ111B内に残ったインクがその開口面からこぼれ落ちてしまう。しかしながら、本実施形態1によれば、インク吸引処理後、デキャップ前に、キャップ111B内を大気開放して吸引ポンプ150によりキャップ111B内に残ったインクを排出することができる。よって、デキャップ前にキャップ111B内のインクは排出されているので、デキャップ時に、ノズル面で塞がれていたキャップ111Bの開口からインクがこぼれ落ちる事態を防止できる。
しかも、本実施形態1においては、デキャップの動作に連動して記録ヘッド7A,7Bの下面が清掃部材145によって清掃される。よって、インク吸引処理後におけるデキャップ後にノズル面上のインクが重力の作用を受けてノズル面を伝って下方へ移動し、記録ヘッド7A,7Bの下面にインクが付着しても、そのインクはすぐに清掃部材145で除去される。したがって、記録ヘッドの下面にインクが付着したまま固まることがなく、ヘッド下面のインク塊が用紙12に接触して用紙を汚したり、インク塊が落下して機内の各種部品の正常動作を妨げたりする事態の発生が防止される。また、本実施形態では、インク吸引処理後におけるデキャップ後に、ワイピング処理を実行するために記録ヘッド7A,7Bを主走査方向へ移動させるが、本実施形態1によれば、その移動前に記録ヘッド7A,7Bの下面に付着しているインクを清掃部材145で除去するので、記録ヘッド7A,7Bの主走査方向への移動時の振動等によってヘッド下面のインクが落下して機内を汚染するなどの不具合をもたらす心配もない。
【0055】
〔実施形態2〕
次に、本発明の他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について、画像形成装置としてのインクジェット記録装置であるシリアル型プリンタを例にとって、添付図面を参照して説明する。
なお、本実施形態2のプリンタは、メンテナンスユニットの構成を除いて、上記実施形態1のものと同様であるため、以下の説明では、上記実施形態1との共通点の説明は省略する。
【0056】
図14(a)〜(d)は、ノズル吸引処理終了後からヘッド下面清掃処理の終了時までのキャッピング部210の構成及び動作を模式的に表した説明図である。
本実施形態2におけるキャッピング部210は、上記実施形態1と同様に、2つのキャップ211A,211Bを有し、そのうちの1つが吸引用のキャップ211Bとして使用される。ただし、本実施形態2のキャップ211Bには、上記実施形態1で設けられていた大気開放孔は設けられておらず、したがってその大気開放孔を塞ぐための大気開放弁も設けられていない。そのため、インク吸引処理後のデキャップ前にキャップ111Bの内部に残ったインクを吸い出すことができない。しかしながら、本実施形態2のキャップ211Bは、その下部が記録ヘッド7A,7Bの下方まで迫り出したインク受部211cを有し、その鉛直方向断面が図14に示すように略L字型に形成されている。このインク受部211cが設けられていることで、インク吸引処理後のデキャップ時にキャップ111Bの内部に残ったインクが流れ出ても、そのインクをインク受部211cに収容し、機内汚染を防止している。
【0057】
インク受部211cの内部に形成されるインク収容室は、L字型キャップ211Bの本体内部と連通しており、図14(a)に示すように、L字型キャップ211Bが記録ヘッド7A,7Bを被覆状態にしたときにその記録ヘッド7A,7Bの下面外壁に当接して密閉状態となる。よって、駆動部230によりラック213を記録ヘッド7A,7Bに向けて移動し、L字型キャップ211Bの縁部が記録ヘッド7A,7Bのノズル面に当接して被覆状態になると、L字型キャップ211Bの本体内部及びこれに連通するインク受部211cのインク収容室が密閉状態となり、吸引ポンプ150で吸引することでキャップ内が負圧となって、記録ヘッド内のインクがノズルから吸い出される。吸い出されたインクは、吸引ポンプ150の吸引力によってL字型キャップ211Bのインク受部211cの底部に形成された吸引口から吸引管214を通って廃液タンク151に送られる。
【0058】
このようにしてインク吸引処理を行った後はL字型キャップ211B内にインクが残っているが、そのインクは重力の作用を受けて、L字型キャップ211Bの下部に形成されたインク受部211cのインク収容室内に収まる。よって、図14(b)に示すように、L字型キャップ211B内にインクが残ったままの状態でデキャップしても、そのインクがL字型キャップ211Bの外部にこぼれ落ちる事態は生じない。そして、このようにデキャップすることで、L字型キャップ211Bの内部は大気開放された状態になるので、この状態で吸引ポンプ150を駆動して吸引を行えば、インク受部211cのインク収容室内に残っているインクをインク受部211cの底部に形成された吸引口から吸引管214を通って廃液タンク151に排出できる。
【0059】
また、本実施形態2においては、ノズル吸引処理を行った後にデキャップして図14(b)に示す非被覆状態となった後、ワイピング処理に移行する。本実施形態2においては、ワイパー部材240がキャップ211Bの上方位置に固定されている。このため、ワイパー部材240はキャップ211Bの移動と一体となって移動し、記録ヘッド7A,7Bのノズル面を摺擦してワイピング処理を行うことができる。よって、本実施形態2は、キャッピング部210で、ノズル吸引処理後のノズル面をワイパー部材240でワイピングするワイピング処理を行うものであり、上記実施形態1で設けられていたワイピング部140をキャッピング部と別個に設ける必要がなくなる。
【0060】
また、本実施形態2では、駆動部230によりラック213を図14(a)に示す前進位置(被覆位置)から後退位置(非被覆位置)まで移動させた時、L字型キャップ211Bの上部に取り付けられたワイパー部材240が、ワイピング移動開始位置に位置するように構成されている。したがって、本実施形態2においては、ラック213が後退位置(非被覆位置)に移動した後、そのままワイパー部材240を下方へ移動させることで、そのワイパー部材240により記録ヘッド7A,7Bのノズル面を摺擦(ワイピング)してノズル面に付着した不要なインクを除去するワイピング処理を行うことができる。
【0061】
本実施形態2における駆動部230は、吸引ポンプを駆動する駆動源と、ラック213を駆動する駆動源とが別々に設けられており、互いに独立して制御可能に構成されている。ラック213を駆動する駆動源は、ステッピングモータ231で構成されており、そのモータ軸には駆動ギヤ232が接続されている。この駆動ギヤ232は、ラック213の背面に多数の歯部が上下方向に配列された被駆動歯列233と噛み合っている。これにより、ステッピングモータ231の駆動による駆動ギヤ232の回転に追従してラック213が上下動する。本実施形態2では、ステッピングモータ231を正転させることでラック213を上方へ移動させることができ、ステッピングモータ231を逆転させることでラック213を下方へ移動させることができる。
【0062】
ここで、本実施形態2においては、このステッピングモータ231を逆転させるだけで、デキャップ動作及びワイピング動作の両方が実現される移動経路上をラック213が移動するように、ラック213の移動経路を規制して案内するガイドレール234が設けられている。このガイドレール234には、キャップ211Bと一体形成された被ガイド部211dが嵌り込んでいて、ステッピングモータ231を駆動してラック213を上下動させる際、そのラック213の移動に押されるようにして、キャップ211Bがガイドレール234に規制されながら移動することになる。
【0063】
また、本実施形態2では、記録ヘッド7A,7Bの下面を清掃する清掃部材245がL字型キャップ211Bのインク受部211cに固定されている。このため、清掃部材245は、L字型キャップ211Bの移動と一体となって移動する。この清掃部材245は、ゴム等で形成されたワイパー部材で構成されている。本実施形態2では、ラック213が後退位置(非被覆位置)に移動している時、図14(b)に示すように、清掃部材245は、記録ヘッド7A,7Bの下面に当接するように設けられている。したがって、図14(b)に示す位置に位置するL字型キャップ211Bを、記録ヘッド7A,7Bのノズル面から離間する方向へ移動させて、図14(b)に示す位置へ移動させることにより、清掃部材245は記録ヘッド7A,7Bの下面を摺擦して払拭し、これにより記録ヘッド7A,7Bの下面に付着するインクを除去するヘッド下面清掃処理が行われる。
【0064】
図15は、印字前に行うメンテナンス処理の流れの概要を示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、メンテナンス処理の要部の流れを抽出して説明している。
図16は、ラック213が、前進位置(被覆位置)、後退位置(非被覆位置=ワイピング動作開始位置)、ワイピング動作終了位置、ヘッド下面清掃終了位置のそれぞれに位置するときのガイドレール234上における被ガイド部211dの位置I,II,III,IVを示す説明図である。
長時間放置後に画像形成を行う場合などにおいては、ノズル抜けの可能性が高く、印字前にメンテナンス処理を実施する場合がある。この場合の手順としては、まず、プリンタの制御部は、ステッピングモータ231の回転位置(回転角)に基づき、ラック213が前進位置(被覆位置)に位置してキャップ211Bが被覆状態であることを確認する(S41)。このとき、ガイドレール234上の被ガイド部211dは、図16に示すキャッピング位置Iに位置する。ステッピングモータ231の回転位置(回転角)は、例えば、ステッピングモータ231のモータ軸に突起部を設けるとともに、その突起部が通過する回転軌道を通るように透過型の光学センサを配置し、その光学センサが突起部によって光路を遮られたことを検知したタイミングを見て把握することができる。
【0065】
その後、制御部は、吸引ポンプ150を駆動させ(S42)、L字型キャップ211B内を負圧にして記録ヘッド7A,7Bのノズルからインクを吸い出すインク吸引処理を行う。そして、制御部は、インク吸引処理の終了タイミングにあわせて吸引ポンプ150の駆動を停止させる(S43)。このようにしてインク吸引処理を終了したら、今度は、ステッピングモータ231を逆転駆動して(S44)、ラック213を下降させる。これにより、ガイドレール234上の被ガイド部211dは、図16に示すキャッピング位置Iからデキャップ位置IIへ移動する。その結果、ラック213は、図14(b)に示すように後退位置(非被覆位置=ワイピング動作開始位置)に位置して、キャップ211Bはデキャップ状態になり、ワイパー部材240はワイピング動作開始地点に位置決めされる。
【0066】
その後もステッピングモータ231が逆転駆動し続けてラック213が下降すると、ガイドレール234上の被ガイド部211dは、図16に示すデキャップ位置IIからワイピング終了位置IIIへ移動する。この移動時には、図14(c)に示すように、ラック213は記録ヘッド7A,7Bのノズル面に沿って平行移動し、これによりワイパー部材240は記録ヘッド7A,7Bのノズル面をその上端側から下端側に向けて摺擦してワイピング処理が行われる。そして、被ガイド部211dがガイドレール234の下端すなわち図16に示すワイピング終了位置IIIまで移動すると、ワイパー部材240は記録ヘッド7A,7Bのノズル面下端よりも下方まで移動する。よって、記録ヘッド7A,7Bのノズル面の上端から下端の全域にわたってワイパー部材240によりワイピング処理がなされる。
【0067】
ワイピング処理において、ワイパー部材240が記録ヘッド7A,7Bのノズル面下端を抜ける際、ノズル面との当接によって撓んでいたワイパー部材240が復元し、ワイパー部材240の先端部が跳ね上がる。このとき、そのワイパー部材240の先端部に付着しているインクが鉛直方向下方に向けて飛翔する。本実施形態2においては、インクが飛翔する先にはインク受部211cが位置しているので、ワイパー部材240が記録ヘッド7A,7Bのノズル面下端を抜ける際に飛翔するインクは、インク受部211c内のインク収容室に受け取られる。よって、このインクの飛翔によって機内が汚染されることはない。
【0068】
このようにしてワイピング処理を終えた後、制御部は、ステッピングモータ231が正転駆動してラック213を上昇させ、これによりガイドレール234上の被ガイド部211dが図16に示すデキャップ位置IIIからワイピング終了位置IIへ移動する(S45)。これにより、図14(b)に示すように、清掃部材245が記録ヘッド7A,7Bの下面に当接する。そして、図示しないキャップ211Bの駆動機構を制御して、ラック213を停止させたままキャップ211Bを記録ヘッド7A,7Bのノズル面から離間する向きに水平移動させる(S46)。これにより、清掃部材145は記録ヘッド7A,7Bの下面を摺擦して払拭し、これにより記録ヘッド7A,7Bの下面に付着するインクを除去するヘッド下面清掃処理が行われる。このとき、ガイドレール234上の被ガイド部211dは、図16に示すデキャップ位置IIからヘッド下面清掃終了位置IVへ移動する。本実施形態2の清掃部材245は、ワイパー部材であるため、ワイピングにより清掃部材245に付着したインクは、その清掃部材に吸収されず、インク受部211c内のインク収容室内に収容される。
【0069】
以上のようにしては、ヘッド下面清掃処理を終えた後、制御部は、メンテナンスユニット100の制御と記録ヘッド7A,7Bの制御とを並行して行う。メンテナンスユニット100の制御では、まず、吸引ポンプ150を所定期間駆動して(S47)、L字型キャップ211Bのインク受部211c内のインク収容室に残っているインクを、吸引管214を通って廃液タンク151へ回収する。その後、制御部は、図示しないキャップ211Bの駆動機構を制御して、キャップ211Bを記録ヘッド7A,7Bのノズル面へ近付ける向きに水平移動させ、ガイドレール234上の被ガイド部211dが図16に示すデキャップ位置IIに位置するようにする。
【0070】
一方、上述したメンテナンスユニット100の制御と並行して行われる記録ヘッド7A,7Bの制御では、主走査モータ4を制御して、記録ヘッド7A,7Bを空吐出部120と対向する位置までキャリッジ3を主走査方向に移動させる(S48)。そして、制御部は、記録ヘッド7A,7Bを駆動制御してノズルからインクを空吐出部120内へ吐出する空吐出処理を行う(S49)。
【0071】
図17は、連続印字中に行うメンテナンス処理の流れの概要を示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、メンテナンス処理の要部の流れを抽出して説明している。
連続印字中にヘッドタンクの負圧が強くなりすぎてノズルからのインク吐出負荷が大きくなった場合などにおいては、連続印字中にメンテナンス処理を実施する場合がある。この場合の手順としては、まず、プリンタの制御部は、ステッピングモータ231の回転位置(回転角)に基づき、ラック213が後退位置(非被覆位置)に位置してキャップ211Bが非被覆状態であることを確認する(S51)。すなわち、ガイドレール234上の被ガイド部211dが、図16に示すデキャップ位置IIに位置していることを確認する。その後、制御部は、主走査モータ4を制御して、記録ヘッド7A,7Bをキャッピング部110のL字型キャップ211Bと対向する位置までキャリッジ3を主走査方向に移動させる(S52)。そして、制御部は、ステッピングモータ231を正転駆動して(S53)、ラック213を上昇させると、これによりガイドレール234上の被ガイド部211dは、図16に示すデキャップ位置IIからキャッピング位置Iへ移動する。これにより、ラック213が前進位置(被覆位置)に位置してキャップ211Bにより記録ヘッド7A,7Bが被覆状態となる。
【0072】
その後、制御部は、吸引ポンプ150を駆動させ(S42)、L字型キャップ211B内を負圧にして記録ヘッド7A,7Bのノズルからインクを吸い出すインク吸引処理を行うが、以後の処理動作は図15に示したフローチャートのS42〜S49と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
図18、印字後に行うメンテナンス処理の流れの概要を示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、メンテナンス処理の要部の流れを抽出して説明している。
印字後は、ゴミ等のノズルへの不純物侵入防止とインク固着によるノズル詰まり防止の保湿のため、キャッピングを実施し、マシンを停止状態にさせる。この場合の手順としては、まず、プリンタの制御部は、ステッピングモータ231の回転位置(回転角)に基づき、ラック213が後退位置(非被覆位置)に位置してキャップ211Bが非被覆状態であることを確認する(S61)。すなわち、ガイドレール234上の被ガイド部211dが、図16に示すデキャップ位置IIに位置していることを確認する。その後、制御部は、主走査モータ4を制御して、記録ヘッド7A,7Bのそれぞれがキャッピング部110の各キャップ211A,211Bそれぞれに対向する位置まで、キャリッジ3を主走査方向に移動させる(S62)。そして、制御部は、ステッピングモータ231を正転駆動して(S63)、ラック213を上昇させると、これによりガイドレール234上の被ガイド部211dは、図16に示すデキャップ位置IIからキャッピング位置Iへ移動する。これにより、ラック213が前進位置(被覆位置)に位置して2つのキャップ211A,211Bにより各記録ヘッド7A,7Bがそれぞれ被覆状態となる。
【0074】
本実施形態2によれば、L字型キャップ211B上にワイパー部材240が取り付けられているので、主走査方向においてキャップ部材とは別にワイパー部材を配置する位置を確保する必要がなくなり、主走査方向における装置の省スペース化を図るとともに、部品点数の削減効果が得られる。しかも、本実施形態2によれば、デキャップ後に、キャリッジ3を主走査方向へ移動させる必要がなく、かつ、ワイパー部材をワイピング動作開始位置に位置させる移動も必要なく、デキャップ後すぐにワイピング動作を実施できる。そのため、メンテナンス処理全体の処理時間を短縮することができる。
更に、本実施形態2においては、ワイパー部材240によるワイピング処理の直後に、清掃部材245によってヘッド下面清掃処理が行われる。記録ヘッド7A,7Bのノズル面に付着するインクはワイピング処理により除去されるが、そのワイピング処理の際にワイパー部材240でノズル面下端までワイピングした時に、インクが落下せずに記録ヘッド下面に回り込んで付着することがある。本実施形態2によれば、このようにワイピング処理によって記録ヘッド下面に付着したインクを除去することもできるので、インク吸引処理後におけるデキャップ後に記録ヘッドのノズル面に付着するインクが記録ヘッドの下面に移動することで生じ得る不具合の発生をより効果的に抑制できる。
【0075】
以上、本実施形態1及び2に係るインクジェットプリンタは、水平面に対して平行でないノズル面(吐出面)上の吐出口であるノズルから記録材としての用紙12に対してインク液滴を吐出する記録ヘッド7A,7Bを備えた画像形成装置であって、記録ヘッド7A,7Bの下面を清掃部材145,245で清掃する清掃手段を有している。これにより、何らかの原因によって記録ヘッドの下面にインクが付着しても、そのインクによって生じ得る各種不具合の発生を抑制することができる。
特に、本実施形態1及び2においては、記録ヘッド7A,7Bのノズル面を被覆するためのキャップ部材としてのキャップ111B,211Bと、キャップ111B,211Bにより記録ヘッド7A,7Bのノズル面を被覆する被覆状態と被覆しない非被覆状態とが切り換わるようにキャップ111B,211Bと記録ヘッド7A,7Bとを相対移動させるキャッピング移動手段としての駆動部130,230と、キャップ111B,211Bに設けられた吸引口からキャップ111B,211Bの内部を吸引する吸引手段としての吸引ポンプ150と、所定のタイミングで、駆動部130,230により被覆状態にし、キャップ111B,211Bの内部が密閉された状態で吸引ポンプ150による吸引動作を実行することにより上記記録ヘッド7A,7Bのノズルからインクを吸い出すインク吸引処理を行った後、駆動部130,230により非被覆状態にする制御手段としての制御部とを有し、インク吸引処理後に駆動部130,230により非被覆状態(デキャップ状態)にした記録ヘッド7A,7Bの下面に付着するインクを清掃部材145,245で清掃する。これにより、インク吸引処理後におけるデキャップ後にノズル面上のインクが重力の作用等を受けてノズル面を伝って下方へ移動し、記録ヘッドの下面にインクが付着しても、そのインクはすぐに清掃部材145,245で除去される。したがって、インク吸引処理後におけるデキャップ後に記録ヘッドのノズル面に付着するインクが記録ヘッドの下面に移動することで生じ得る各種不具合の発生を抑制することができる。
上記実施形態1においては、インク吸引処理後に記録ヘッド7A,7Bを被覆状態から非被覆状態へ切り換えるときの駆動部130による移動動作に連動して、記録ヘッド7A,7Bの下面と清掃部材145とを相対移動させ、清掃部材145により記録ヘッド7A,7Bの下面を摺擦して清掃する。これにより、ヘッド下面清掃処理の処理時間の迅速化を図ったり、構成の簡素化を図ったりすることができる。
特に、上記実施形態1において、駆動部130は、キャップ111Bを移動させて、キャップ111Bと記録ヘッド7A,7Bとを相対移動させるものであり、清掃部材145がキャップ111Bに保持されている。これにより、簡易な構成により、デキャップ動作に連動して清掃部材145によるワイピングを実施させることができる。
なお、上記実施形態1及び2においては、清掃部材145,245がキャップ111Bに保持されているが、その清掃部材145,245をキャップ111B,211Bに対して着脱可能に保持させるのが好ましい。この場合、経時使用によって清掃能力が落ちたときに清掃部材145,245だけを交換するだけで清掃能力を回復させることができる。
上記実施形態1においては、清掃部材145がインクを吸収して保持可能な吸収体で構成されているため、記録ヘッド7A,7Bの下面から除去したインクの飛散が少ないというメリットがある。
ただし、清掃部材145を吸収体で構成すると、清掃部材145内にインクが蓄積される結果、徐々に清掃部材145の清掃能力が低下していく。そこで、上記実施形態1では、清掃部材145の吸収体に保持されたインクを吸い出して除去する吸収体クリーニング手段を備えている。これにより、清掃部材145からインクを除去してリフレッシュでき、清掃部材145による清掃能力を回復させて清掃部材145の継続使用が可能となる。
特に、上記実施形態1では、吸収体クリーニング手段として、吸引ポンプ150を用いて吸収体に保持されたインクを吸い出す構成を採用しているので、吸引ポンプ150とは別個に吸収体クリーニング手段を用意する必要がなくなり、部品点数の削減等による低コスト化、省スペース化を実現できる。
また、上記実施形態2においては、記録ヘッド7A,7Bのノズル面を摺擦してノズル面上の不要なインクを除去するワイパー部材240をキャップ211Bに固定し、インク吸引処理後に記録ヘッド7A,7Bのノズル面に沿ってノズル面の始端側から終端側に向けてワイパー部材240を移動させるワイパー移動手段としての駆動部230を設けるとともに、ワイピング処理の後に記録ヘッド7A,7Bの下面に付着するインクを清掃部材245で清掃するように構成されている。これにより、ワイピング処理によって記録ヘッド下面に回り込んで付着したインクを清掃部材245によって除去できる。
【符号の説明】
【0076】
3 キャリッジ
7A,7B 記録ヘッド7A,7B
100 メンテナンスユニット
110,210 キャッピング部
111A,111B,211A,211B キャップ
111b 大気開放孔
113,213 ラック
116 大気開放弁
120 空吐出部
130,230 駆動部
131,231 ステッピングモータ
140 ワイピング部
141,240 ワイパー部材
145,245 清掃部材
146 吸引用通路
147 開閉弁
150 吸引ポンプ
151 廃液タンク
211c インク受部
211d 被ガイド部
234 ガイドレール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2006−35537号公報
【特許文献2】特開2009−220456号公報
【特許文献3】特開平10−58694号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に対して平行でない吐出面上の吐出口から記録材に対してインク液滴を吐出する記録ヘッドを備えた画像形成装置において、
上記記録ヘッドの下面を清掃部材で清掃する清掃手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記記録ヘッドの吐出面を被覆するためのキャップ部材と、
該キャップ部材により該記録ヘッドの吐出面を被覆する被覆状態と被覆しない非被覆状態とが切り換わるように該キャップ部材と該記録ヘッドとを相対移動させるキャッピング移動手段と、
該キャップ部材に設けられた吸引口から該キャップ部材の内部を吸引する吸引手段と、
所定のタイミングで、上記キャッピング移動手段により上記被覆状態にし、上記キャップ部材の内部が密閉された状態で上記吸引手段による吸引動作を実行することにより上記記録ヘッドの吐出口からインクを吸い出すインク吸引処理を行った後、該キャッピング移動手段により上記非被覆状態にする制御手段とを有し、
上記清掃手段は、上記インク吸引処理後に上記キャッピング移動手段により上記非被覆状態にした上記記録ヘッドの下面に付着するインクを上記清掃部材で清掃するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記清掃手段は、上記インク吸引処理後に上記記録ヘッドを上記被覆状態から上記非被覆状態へ切り換えるときの上記キャッピング移動手段による移動動作に連動して、上記記録ヘッドの下面と上記清掃部材とを相対移動させ、該清掃部材により該記録ヘッドの下面を摺擦して清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記キャッピング移動手段は、上記キャップ部材を移動させることで該キャップ部材と上記記録ヘッドとを相対移動させるものであり、
上記清掃部材を上記キャップ部材に保持させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記清掃部材は、上記キャップ部材に対して着脱可能に保持されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記記録ヘッドの吐出面を摺擦して該吐出面上の不要なインクを除去するワイパー部材と、
上記インク吸引処理後に該記録ヘッドの吐出面に沿って該吐出面の始端側から終端側に向けて該ワイパー部材を移動させるワイパー移動手段とを備え、
上記キャッピング移動手段は、上記キャップ部材を移動させることで該キャップ部材と上記記録ヘッドとを相対移動させるものであり、
上記ワイパー部材を上記キャップ部材に固定して、上記ワイパー移動手段として上記キャッピング移動手段を用い、
上記清掃手段は、上記ワイパー部材で上記記録ヘッドの吐出面上の不要なインクを除去するワイピング処理の後に、該記録ヘッドの下面に付着するインクを上記清掃部材で清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記清掃部材は、インクを吸収して保持可能な吸収体を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記清掃部材の吸収体に保持されたインクを吸い出して該吸収体から除去する吸収体クリーニング手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記吸収体クリーニング手段は、上記吸引手段を用いて上記吸収体に保持されたインクを吸い出すことにより該吸収体からインクを除去するものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−35501(P2012−35501A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177650(P2010−177650)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】