画像形成装置
【課題】 環境変動等の影響によりレジパターンを基準濃度で形成できない場合がある。その場合、レジパターンが基準濃度で形成できるような装置状態に制御されるまで、レジパターンを形成することができなかった。
【解決手段】 CPU401が各色のレジパターン501を基準濃度未満の濃度で一致するようにパターン形成条件を制御する。CPU401は、制御されたパターン形成条件に基づいてレジパターン501が形成されるように各画像形成ユニットを制御する。
【解決手段】 CPU401が各色のレジパターン501を基準濃度未満の濃度で一致するようにパターン形成条件を制御する。CPU401は、制御されたパターン形成条件に基づいてレジパターン501が形成されるように各画像形成ユニットを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセス方式の画像形成装置に関し、特に色ずれ補正機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光体に異なる色のトナー像を形成し、それらのトナー像を記録媒体に転写することによってカラー画像を形成するカラー画像形成装置が知られている。複数の感光体を備えるカラー画像形成装置には、複数の感光体に形成されるトナー像が転写される中間転写体を備え、中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する方式の画像形成装置がある。また、複数の感光体に形成されるトナー像を搬送ベルトなどによって搬送される記録媒体に直接転写する方式の画像形成装置がある。
【0003】
このようなカラー画像形成装置では、複数の感光体それぞれに形成されるトナー像が記録媒体上においてずれることがないように設計がなされる。しかしながら、部品公差や画像形成時の装置の昇温による部品の位置変動の影響によって記録媒体上で重なるべきトナー像が重ならない、所謂色ずれ(レジストレーションずれ)が生じる。そのため、上記カラー画像形成装置では色ずれを補正する制御が組み込まれている。
【0004】
色ずれの補正方法の一つとして、各感光体に位置検出用パターンを色毎に中間転写体、搬送ベルト、または記録媒体上に形成し、各色の位置検出用パターンの形成位置を検出する。そして、検出結果から各色の位置検出用パターンの相対位置を検出し、相対位置関係に基づいて色ずれ量を算出する。そして、色ずれ量が低減されるように各感光体に形成されるトナー像の形成位置を補正する。
【0005】
上記補正制御においては、位置検出用パターンの検出には光学式センサが用いられる。光学式センサには発光部と受光部が備えられている。中間転写体に位置検出用パターンを形成する装置の場合、中間転写体及び位置検出用パターンに対して発光部から光を照射し、位置検出用パターンから反射する光を受光部する。受光部からは中間転写体からの反射光量及び位置検出用パターンからの反射光量それぞれに応じたレベルのアナログ信号が出力される。このアナログ信号を所定の閾値に基づいてデジタル信号に変換し、デジタル信号のパルスの重心位置、パルスの立ち上がりエッジ、パルスの立ち下りエッジのタイミングなどに基づいて中間転写体上での各色の位置検出用パターンの相対位置を検出する。
【0006】
ところで、同一画像形成条件で画像を形成した場合であっても、画像形成装置が置かれた環境の変動等による画像形成装置の特性の変動により、出力画像の濃度が所望の濃度にならないという現象が生じる。例えば、トナーの帯電量が増大すると画像の濃度は低下する。トナーとキャリアを含む現像剤を用いた画像形成装置では、現像装置において現像剤を撹拌することによってトナーとキャリアを摺擦させる。トナーとキャリアが摺擦することによってトナーが帯電する。
【0007】
トナーの帯電量は湿度の影響を受ける。トナー周囲に水蒸気があるとトナーから水蒸気へ電荷が移動する。水蒸気量が多ければトナーから放出される電荷量も多くなる。そのため、湿度70%でのトナーの帯電量は湿度30%でのトナーの帯電量よりも低くなる。従って、同一画像データで画像を形成した場合、湿度70%で形成される画像の濃度は湿度30%で形成される画像の濃度よりも高くなる。
【0008】
このような出力画像の濃度変動を補正するために、電子写真方式の画像形成装置では濃度検出用パターン(以下の濃度検出用パターンと区別するために濃度パッチとする。)を所定の条件が満たされる毎に形成し、濃度パッチと基準濃度とが略同一濃度になるように画像形成条件を制御する。このような濃度補正制御を定期的に行うことで、画像形成装置の特性の変動によって原稿画像の濃度と出力画像の濃度とが乖離しないようにしている。
【0009】
位置検出用パターンの濃度も出力画像の濃度と同様に環境の変動、画像形成装置の特性の変動に伴って変動する。各色の位置検出用パターンの濃度変動量にはばらつきがある。そのため、各色の位置検出用パターンに対応する光学式センサから出力されるパルスの出力レベルが不均一になる。即ち、位置検出用パターンの濃度が不均一であると、各色の位置検出用パターンに対応するアナログ信号のパルスの立ち上がり速度や立ち下がり速度が変化する。アナログ信号のパルスの立ち上がり速度や立ち下り速度が変化すると、アナログ信号から生成されるデジタル信号のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジのタイミングが変化する。厳密にみると、アナログ信号のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジの変化量は色毎に異なる。そのため、デジタル信号のパルスから検出される色ずれ量にエッジの変化量の差が含まれてしまうため、位置検出用パターンの相対位置関係の検出精度が低下してしまう。
【0010】
この課題に対して、位置検出用パターンの形成に先だって位置検出用パターンの形成条件を調整するための濃度検出用パターンを形成し、濃度検出用パターンの検出結果に基づいて位置検出用パターンの形成条件を制御する画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。濃度検出用パターンの濃度は位置検出用パターンと同一条件で形成される。検出される濃度検出用パターンの濃度と基準濃度とが異なる場合、位置検出用パターンが基準濃度で形成されるように位置検出用パターンの形成条件を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−48904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、画像形成装置の特性の変動によって位置検出用パターンの濃度が低下する場合、次のような課題が生じる。各色のトナーのうち少なくとも一つの色のトナーの帯電量が大きく増大している場合、その色のトナーを基準濃度で形成できない。その場合、各色の位置検出用パターンに対応するアナログ信号のパルスのレベルを揃えることができないため、位置検出用パターンの検出精度が低下する。
【0013】
それに対して、新たなトナーを補給することによってトナーの帯電量を低下させることができるが、新たなトナーを供給してもトナーの帯電量が直ぐに低下することがないため、位置検出用パターンの濃度は直ぐには上昇しない。即ち、トナーの帯電量が位置検出用パターンを基準濃度で形成可能な帯電量まで低下するまで待機しなければならなくなり、ダウンタイムが生じる。
【0014】
また、位置検出用パターンを形成するために光源に供給するPWM信号のパルス幅を広げることによって位置検出用パターンの濃度を上げることも考えられる。光学式センサでの検出が確実に行えるようにするために位置検出用パターンは高い濃度で形成する必要があるため、位置検出用パターンを形成するためのPWM信号のパルス幅は元々広く(最大のパルス幅に)設定されている。そのため、PWM信号のパルス幅を限界まで広げることによって位置検出用パターンの濃度を基準濃度まで高めることができない場合がある。
【0015】
また、位置検出用パターンを形成するために感光体を露光する露光強度を高めることによって位置検出用パターンの濃度を上げることも可能であるが、位置検出用パターンの濃度が基準濃度から大きく低下した場合には、露光強度を大きく高める必要が生じる。その場合、露光強度を必要以上に高めることによって、位置検出用パターンが形成される位置の感光層の劣化を促進させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものである。本発明の画像形成装置は、像担持体に複数色のトナーを用いて画像を形成する画像形成手段であって、前記複数色のトナーを用いて、位置検出用パターン及び前記位置検出用パターンのパターン形成条件を制御するための濃度検出用パターンを前記像担持体に形成する画像形成手段と、濃度検出用パターンを検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記濃度検出用パターンの濃度に基づいて前記位置検出用パターンが基準濃度で形成されるように前記パターン形成条件を制御し、前記位置検出用パターンに基づいて前記像担持体上に形成される前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンの相対的なずれ量を算出し、前記ずれ量が低減するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記検出手段により前記濃度検出用パターンに含まれる複数色のトナー像のうち少なくとも一つのトナー像の濃度が前記基準濃度に達しない場合、前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンが前記基準濃度よりも低い所定の濃度を基準に形成されるように前記パターン形成条件を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、位置検出用パターンを基準濃度で形成できない場合であっても、基準濃度よりも低い濃度で位置検出用トナーパターンを形成し、色ずれ補正制御を実行することによって、色ずれ補正精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例に係る画像形成装置の概略断面図。
【図2】実施例に係る画像形成装置に備えられるフォトセンサの概略断面図。
【図3】実施例に係る画像形成装置に備えられるスキャナユニットの概略構成図。
【図4】実施例に係る画像形成装置の制御ブロック図。
【図5】実施例に係る画像形成装置に備えられる中間転写ベルト、フォトセンサ、駆動ローラ、従動ローラを示す図。
【図6】中間転写ベルト上に形成されるレジパターン及び濃度パターンを示す図。
【図7】重畳パターン、重畳パターンを検出することによって得られるアナログ信号、及びアナログ信号を変換することによって得られるデジタル信号を示す図。
【図8】アナログ信号の波形を示す図。
【図9】実施例1においてCPUが実行する制御フロー。
【図10】副走査方向における画像形成位置補正方法を説明するための概念図。
【図11】実施例2においてCPUが実行する制御フロー。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0020】
本実施例における画像形成装置は、画像読取部101と画像出力部102で構成される。画像読取部101は、原稿画像に光を照射し、原稿画像からの反射光をセンサで読み取り、読取結果を電気信号に変換して画像出力部102に送信する。
【0021】
画像出力部102は、画像読取部101から送信される画像データに基づいて画像形成を行う。また、画像出力部102は、PCなどの外部情報装置からの画像データを受信する構成を備えており、外部情報装置から受信する画像データに基づく画像形成も行うことができる。
【0022】
画像出力部102は、複数色(イエロー、マゼンタトナー、シアン、及びブラック)のトナーを用いて記録媒体上に画像を形成する。本実施例では、便宜的に複数色のトナーのうちイエロー、マゼンタ、シアンのトナーそれぞれによって形成されるトナー像をカラートナー像、ブラックのトナーによって形成されるトナー像をブラックトナー像として説明する。
【0023】
画像出力部102は、ブラックイエローのトナー像を形成するための画像形成ユニット103Y、マゼンタのトナー像を形成するための画像形成ユニット103M、シアンのトナー像を形成するための画像形成ユニット103C、ブラック(Bk)のトナー像を形成するための画像形成ユニット103Bkを備える。図1に示すように、画像形成手段であるところのこれら4つの画像形成ユニットは像担持体であるところの中間転写ベルト104(中間転写体)に対して並設されている。
【0024】
画像形成ユニット103Yには、感光体であるところの感光ドラム105a、感光ドラム105aを帯電するための帯電装置106a、帯電装置106aによって帯電された感光ドラム105aを露光するための露光装置107aが備えられている。また、画像形成ユニット103Yには、感光ドラム105a上に形成される静電潜像をイエローのトナーによって現像する現像装置108aが備えられている。現像装置内にはトナーとキャリアを含む現像剤が保持されている。現像装置108a内において現像剤は図示しない撹拌部材によって撹拌され、撹拌されることによってトナーとキャリアが摺擦し、それによってトナーが帯電する。帯電したトナーは上記の静電潜像に付着する。中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーはクリーニング装置109aによって回収される。
【0025】
画像形成ユニット103Mには、感光体であるところの感光ドラム105b、感光ドラム105bを帯電するための帯電装置106b、帯電装置106bによって帯電された感光ドラム105bを露光するための露光装置107bが備えられている。また、画像形成ユニット103Mには、感光ドラム105b上に形成される静電潜像をマゼンタのトナーによって現像する現像装置108b、中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーを回収するクリーニング装置109bが備えられている。
【0026】
画像形成ユニット103Cには、感光体であるところの感光ドラム105c、感光ドラム105cを帯電するための帯電装置106c、帯電装置106cによって帯電された感光ドラム105cを露光するための露光装置107cが備えられている。また、画像形成ユニット103Cには、感光ドラム105c上に形成される静電潜像をイエローのトナーによって現像する現像装置108c、中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーを回収するクリーニング装置109cが備えられている。
【0027】
画像形成ユニット103Bkには、感光体であるところの感光ドラム105d、感光ドラム105dを帯電するための帯電装置106d、帯電装置106dによって帯電された感光ドラム105dを露光するための露光装置107dが備えられている。また、画像形成ユニット103Cには、感光ドラム105d上に形成される静電潜像をイエローのトナーによって現像する現像装置108d、中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーを回収するクリーニング装置109dが備えられている。
【0028】
次に、各画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkにおける画像形成プロセスについて説明する。本実施例の画像形成装置の各色の画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkは同一構成であるので、画像形成ユニット103Yでの画像形成プロセスを例にして、各画像形成ユニットにおける画像形成プロセスを説明する。感光ドラム105aはその中心で回転自在に軸支され、図1中の矢印方向に回転駆動される。感光ドラム105aの外周面に対向してその回転方向に沿って帯電装置106a、現像装置108a、クリーニング装置109aが配されている。感光ドラム105aは、帯電装置106aによって表面に均一の電荷が付与される。表面が帯電した感光ドラム105aは、露光装置107aから出射されるレーザ光(光ビーム)によって露光される。露光装置107aに備えられるレーザ光を出射する光源(後述)は、画像読取部101またはPCなどの外部情報装置から入力される画像データに基づいて点灯、非点灯制御される。露光装置107aから出射されるレーザ光は、帯電装置106aと現像装置108aとの間の感光ドラム105aの表面に導かれ、感光ドラム105aを露光する。レーザ光によって露光されることによって感光ドラム105a上には画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0029】
続いて、感光ドラム105a上に形成された静電潜像は現像装置108aによって現像される。現像装置108aに保持されるトナーはイエローのトナーであるので感光ドラム105a上にはイエローのトナー像が形成される。
【0030】
以上の画像形成プロセスによって、感光ドラム105bにはマゼンタのトナー像が、感光ドラム105cにはシアンのトナー像が、感光ドラム105dにはブラックのトナー像がそれぞれ形成される。
【0031】
次に、各色の画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkの感光ドラム105a、105b、105c、105d上に形成される各色のトナー像が記録媒体上に転写定着されるプロセスを説明する。感光ドラム105a、105b、105c、105dそれぞれに形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像は中間転写ベルト104に転写される。中間転写ベルト104は、駆動ローラ110、従動ローラ111、112によって張架されており、矢印B方向に回転駆動される。感光ドラム105a上のトナー像は1次転写部Tyにおいて1次転写装置113aによって中間転写ベルト104に転写される。同様に、感光ドラム105b上のトナー像は1次転写部Tmにおいて1次転写装置113bによって中間転写ベルト104に転写され、感光ドラム105c上のトナー像は1次転写部Tcにおいて1次転写装置113cによって中間転写ベルト104に転写され、感光ドラム105d上のトナー像は1次転写部Tbkにおいて1次転写装置113dによって中間転写ベルト104に転写される。
【0032】
中間転写ベルト104上のトナー像は、2次転写部T2において2次転写装置114によって紙などの記録媒体に転写される。記録媒体は給紙カセット115、116に収納されている。給紙カセット115に収納された記録媒体は給紙ローラ117によって給紙カセット115から搬送され、搬送ローラ118、119、120、121によって2次転写部T2まで搬送される。また、給紙カセット116に収納された記録媒体は給紙ローラ122によって給紙カセット116から搬送され、搬送ローラ123、124、119、120、121によって2次転写部T2まで搬送される。中間転写ベルト104上のトナー像が2次転写部T2において記録媒体上の所望の位置に転写されるように、記録媒体の搬送速度は搬送ローラの回転速度を制御することによって調整される。
【0033】
2次転写部においてトナー像が転写された記録媒体は定着装置125に搬送される。定着装置125は記録媒体上のトナー像を加熱定着する。定着装置125を通過した記録媒体は排紙ローラ126、127によって排紙トレイ128(排紙部)に排出される。
【0034】
図1に示すように、本実施例の画像形成装置には、色ずれ補正制御を行う際に用いる光学式センサ(フォトセンサ)129が設けられている。図1に示すように、フォトセンサ129は駆動ローラ110に対向するように設けられている。後述するように、フォトセンサ129は、色ずれ補正制御を行う際に中間転写ベルト104上に形成する位置検出用パターン(レジストレーションパターン、以下レジパターンとする)を検出するために設けられている、また、このフォトセンサ129は、レジパターンのパターン形成条件を調整するために中間転写ベルト104上に形成される濃度検出用パターン(以下、濃度パターンとする)を検出するためのセンサでもある。
【0035】
なお、本実施例ではレジパターン及び濃度パターンを同一のフォトセンサで検出する構成で説明する。しかしながら、レジパターンを検出するための第1の検出手段である第1のフォトセンサ、及び濃度パターンを検出するための第2の検出手段であるところの第2のフォトセンサを個別に設ける構成であってもよい。その場合、第2のフォトセンサは中間転写ベルト104上の濃度パターンを検出できるように中間転写ベルト104近傍に設けられる。あるいは、第2のフォトセンサは、各感光ドラム上の各色の濃度パターンを検出できるように各感光ドラム近傍に設けられる。
【0036】
フォトセンサ129は中間転写ベルト104上での各色のレジパターンの相対的な形成位置及び濃度パターンの濃度を検出するために設けられている。図2はフォトセンサ129の概略断面図である。図2に示すように、フォトセンサ129は発光部であるところのLED201と受光部であるところのCCD202を有する。フォトセンサ129は、駆動ローラ110の長手方向の異なる位置に形成されるレジパターン及び濃度パターンを検出できるように、少なくとも2ヶ所配置されている。CCD202は、LED201から照射された光のレジパターン、濃度パターンからの拡散反射光が入射する位置に配置されている。
【0037】
LED201は中間転写ベルト104上に向かって光を照射する。CCD202は、中間転写ベルト104からの拡散反射光、後述するレジパターン、濃度パターンからの拡散反射光を受光する。
【0038】
次に、露光装置であるところのレーザスキャナユニットについて説明する。図3はレーザスキャナユニット及びそのレーザスキャナユニットによって露光される感光ドラムを示す概略図である。本実施例の画像形成装置に備えられるレーザスキャナユニット107a〜dの構成は同一であるので、レーザスキャナユニット107aの構成を例にして各レーザスキャナユニットの構成を説明する。レーザスキャナユニット107aには光源であるところの半導体レーザ301が備えられている。上述したように、半導体レーザ301は画像読取部101または外部情報装置から入力される画像データに基づいて点灯、非点灯制御される。半導体レーザ301から出射されるレーザ光はコリメータレンズ302に入射する。コリメータレンズ302は放射光であるレーザ光を平行光に変換する。コリメータレンズ302を通過したレーザ光はシリンドリカルレンズ303に入射する。シリンドリカルレンズ303は、平行光となったレーザ光を偏向走査手段であるところのポリゴンミラー304(回転多面鏡)上に結像させるためのレンズである。画像形成する際に、ポリゴンミラー304は後述する駆動モータによって図3中の矢印C方向に回転駆動されており、ポリゴンミラー304の反射面に入射したレーザ光はその反射面に偏向されることによって感光ドラムを感光ドラムの回転軸と略平行方向(主走査方向)に走査する走査光となる。
【0039】
本実施例のレーザスキャナユニット107aにはBeam Detector305(以下BD305)が設けられている。BD305は、主走査方向における画像の形成位置を揃えるために設けられている。BD305は走査光が入射する位置に配置され、走査光が入射することによってBD信号を生成するセンサである。BD信号が生成されてから所定時間後に画像データに基づくレーザ光を出射することによって、複数走査間に形成される主走査方向における画像の形成位置を揃えることができる。ポリゴンミラー304とBD305との間にはポリゴンミラー304からの反射光をBD305に結像させるためのアナモフィクレンズ306が設けられている。
【0040】
図4は、本実施例の画像形成装置の制御ブロック図である。本実施例の画像形成装置にはCPU401が備えられており、各要素は以下に説明するようにCPU401によって制御される。
【0041】
CPU401は、レーザスキャナユニット107a〜d、中間転写ベルト104を回転駆動するための駆動ローラ110を回転駆動させる中間転写ベルト駆動モータ402、4本の感光ドラム105a〜dを回転駆動する感光ドラム駆動モータ403、記録媒体が搬送される搬送経路に設けられた搬送ローラ(排紙ローラを含む)を駆動する搬送ローラ駆動モータ404、及び定着装置125、フォトセンサ129を制御する。レーザスキャナユニット107aには、半導体レーザ301aを駆動するレーザドライバ405a、ポリゴンミラー304aを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406a、BD305aが備えられている。
【0042】
同様に、レーザスキャナユニット107bには、レーザスキャナユニット107bに設けられた半導体レーザ301bを駆動するレーザドライバ405b、レーザスキャナユニット107bに設けられたポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406b、BD305bが備えられている。レーザスキャナユニット107cには、レーザスキャナユニット107cに設けられた半導体レーザ301cを駆動するレーザドライバ405c、レーザスキャナユニット107cに設けられたポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406c、BD305cが備えられている。レーザスキャナユニット107dには、レーザスキャナユニット107dに設けられた半導体レーザ301dを駆動するレーザドライバ405d、レーザスキャナユニット107dに設けられたポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406d、BD305dが備えられている。
【0043】
CPU401は、反射光を受光したフォトセンサ129のCCD202から出力される検出信号に基づいて、後述する各色の濃度パターンの濃度及び各色のレジパターンの相対位置関係を検出する。
【0044】
RAM407は揮発性のメモリであり、更新されるデータが記憶されている。ROM408は不揮発性のメモリであり、画像形成時にCPU401が実行する制御フローが記憶されている。
【0045】
画像データ処理部409は画像データに色分解処理を施す。処理済の画像データはCPU401に入力され、CPU401は入力された画像データに基づいて各レーザスキャナユニットに備えられるレーザドライバに駆動信号(PWM信号)を送信する。各レーザスキャナユニットに備えられるレーザドライバは駆動信号に基づいて各半導体レーザを駆動する。
【0046】
ここで、色ずれについて説明する。電子写真方式の画像形成装置は各種駆動モータの発熱や定着装置の熱などによって各部材が微小に熱変形する。その熱変形などによってレーザ光の光路が変動するため、各感光ドラム上での露光位置が所望の位置から変動する。その結果、記録媒体上に転写される各色のトナー像の相対位置関係がずれる。即ち、重なるべきトナー像同士が重ならない色ずれという現象に繋がる。
【0047】
このような課題に対応するために、電子写真方式の画像形成装置は色ずれ補正制御を実行する。色ずれ補正制御は、電源がオンされた直後、待機状態から復帰する場合、前回色ずれ補正制御が実行されてからの累積画像形成枚数が所定枚数に到達した場合、前回色ずれ補正制御が実行されてから所定時間経過した場合、などの所定のタイミングで実行される。また、色ずれ補正制御は、画像形成装置が置かれている環境条件(温度、湿度)の変化、所定強度以上の振動、または画像形成装置の特性の変化が検知されたことに応じて実行しても良い。
【0048】
図5は、図1の画像形成装置を上下反転させて、図1から中間転写ベルト104、感光ドラム105a〜d、駆動ローラ110、従動ローラ111、112、及びフォトセンサ129(129a、129b)を抜き出した図である。色ずれ補正制御を実行する際に、本実施例の画像形成装置では図5に示すように中間転写ベルト104上に各色のレジパターン501(位置検出用パターン)及び濃度パターン502(濃度検出用パターン)が形成される。
【0049】
濃度パターン502はレジパターン501のパターン形成条件を制御するために形成されるパターンである。各色のレジパターン501は基準濃度で形成されることが望ましい。しかしながら、画像形成装置の特性変動、周囲の環境変動(温度変化、湿度変化)によってレジパターン501の濃度が変動し、各色のレジパターンの濃度は基準濃度で形成されず、かつ各色のレジパターン間に濃度差が生じる。各色のレジパターンの濃度が不均一になることによって各色のレジパターンに対応するパルスの立ち上がり速度、立ち下がり速度が一律にならないため、レジパターン501の相対位置の検出精度が低下する。検出精度の低下は色ずれ補正精度の低下につながる。そこで、本実施例の画像形成装置では、濃度パターン502を中間転写ベルト104上に形成し、濃度パターン502の検出結果に基づいて各色のレジパターンの濃度が均一になるようにレジパターン501のパターン形成条件を制御する。
【0050】
まず、濃度パターン502について説明する。濃度パターン502は、中間転写ベルト104上においてレジパターン501よりも先に(レジパターン501よりもベルト搬送方向下流側に先行して)形成される。濃度パターン502として、図6に示すように中間転写ベルト104上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーによって、それぞれ濃度を異ならせた5つのパッチ(502Y、502M、502C、502Bk)が形成される。これらの5つのパッチは基準濃度近傍の濃度で形成されるように予めROM408に記憶された濃度パターン502のパターン形成条件に基づいて形成される。
【0051】
例えば、ある色に関して、濃度パターン502を形成する際のレーザ光の光量を一定とし、半導体レーザに供給されるPWM信号のパルス幅を80%、85%、90%、95%、100%として5つのパッチ(諧調パターン)を形成する。この時のレーザ光の光量は通常画像の形成時と同一の光量である。通常画像とは、外部情報装置や読取装置から入力される画像データに基づいて形成される画像である。ここでは、感光ドラム上の所定の面積(例えば、1画素に対応する面積)をすべて覆うトナー像を形成するのに必要なパルス幅を100%とする。PWM信号のパルス幅が広ければ広いほど、中間転写ベルト104が露出する面積が減少するため、検出されるパッチの濃度が高くなる。CPU401は、各パッチからの反射光量を検出し、PWM信号を上記のどのパルス幅に制御するとレジパターン501を基準濃度に近い濃度で形成することができるかを判定する。パルス幅90%で形成したパッチが最も基準濃度に近い場合、CPU401は、濃度パターン502を形成する際の光量と同一光量で、かつPWM信号のパルス幅を90%に制御してレジパターン501を画像形成ユニットに形成させる(パターン形成条件の制御)。
【0052】
なお、PWM信号のパルス幅を一定として、光量を制御することによって5つの濃度のパッチを形成してもよい。その場合、通常画像を形成するときの光量を最大光量(100%)として、その光量から光量を低下させる(95%、90%、85%、80%)ことによって5つのパッチを形成する。光量90%で形成したパッチが最も基準濃度に近い場合、CPU401は、濃度パターン502を形成する際のパルス幅と同一のパルス幅で、かつ光量を90%に制御してレジパターン501を画像形成ユニットに形成させる。
【0053】
次にレジパターン501について説明する。本実施例の画像形成装置では、レジパターン501としてカラートナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンが形成される。ブラックのトナーは光を吸収するため、他のカラートナーに比べて反射光の光量が少ない。また、中間転写ベルト104も表面の光沢度が高いため、ベルト表面からの反射光量としては正反射光量が多く、拡散反射光の光量は少ない。拡散反射光検出型センサを用いてブラックトナー像の形成位置を特定しようとすると、ブラックトナー像からの拡散反射光量と中間転写ベルトからの拡散反射光量との光量差が小さいため、ブラックトナー像の形成位置の検出が難しい。そのため、レジパターンとしてブラックトナー像を各色のトナー像と独立して形成すると、CPU401はイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像とブラックのトナーパターンとの相対位置関係を特定することができない。
【0054】
そこで、本実施例の画像形成装置では、レジパターン501としてイエロー、マゼンタ、シアンなどの有彩色のカラートナー像(下地パターン)の上に無彩色であるブラックトナー像を重ねた重畳パターンを形成する。図6に示すように、本実施例の画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアントナー像である平行四辺形の下地パターンそれぞれにブラックトナー像を重ねた重畳パターンが形成される。下地パターン上に形成されるブラックトナー像は中間転写ベルト104搬送方向上流側(後端側)及び下流側(前端側)において下地パターンの一部が露出するように下地パターン上に形成される。CPU401は、カラートナー像とブラックトナー像との反射光量差によって生じるフォトセンサ129からの検出信号の出力レベルの差を利用して、下地パターンであるカラートナー像と下地パターン上に形成されるブラックトナー像との相対的なずれ量を検出する。
【0055】
本実施例の画像形成装置では、ブラックトナー像が基準色となっている。CPU401は、イエロートナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンからブラックトナー像とイエロートナー像とのずれ量を算出する。同様に、CPU401は、マゼンタトナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンからブラックトナー像とマゼンタトナー像とのずれ量を算出し、シアントナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンからブラックトナー像とシアントナー像とのずれ量を算出する。CPU401は、各色のトナー像とブラックトナー像とのずれ量が低減するように、画像形成ユニット103Y、103M、103Cを制御する。
【0056】
図7は、重畳パターンの概略図、その重畳パターンからの反射光及び重畳パターンの周辺の中間転写ベルト104からの反射光を受光したことに応じてCCD202から出力される検出信号の波形を示す図である。図7(a)は重畳パターンを示している。図7(b)はフォトセンサ129の検出位置を重畳パターンが通過することによってフォトセンサ129から出力されるアナログ信号、図7(c)は当該アナログ信号をコンパレータによって2値化したデジタル信号を示している。コンパレータは、閾値電圧(スレッシュ電圧)以上のアナログ信号が入力されるとHレベル(HIGHレベル)のデジタル信号を出力し、閾値電圧未満のアナログ信号が入力されるとLレベル(LOWレベル)のデジタル信号を出力する。
【0057】
図7(b)に示すように、カラートナーからの拡散反射光量は中間転写ベルト104及びブラックトナーからの拡散反射光量よりも多い。そのため、重畳パターンからの拡散反射光を受光するCCD202からは図7(b)に示す波形の検出信号が出力される。即ち、カラートナーからの拡散反射光量が多い場合、アナログ信号の出力レベルが高くなり、ブラックトナー及び中間転写ベルト104からの拡散反射光量が多い場合、アナログ信号の出力レベルが低くなる。上記閾値電圧は、図7(b)に示すように、アナログ信号のピーク値と、中間転写ベルト104からの拡散反射光を検出することによって得られる出力レベル及びブラックトナーからの拡散反射光を検出することによって得られる出力レベルと、の間に設定される。
【0058】
図7(c)において、CPU401は、コンパレータから出力されるデジタル信号のパルスの立ち上がりタイミングT1、T3、及び立ち下がりタイミングT2、T4の4つのエッジを検出する。T1は下地パターンの先端位置に、T2は下地パターン上に形成されるブラックトナー像の先端位置(下地パターンとブラックトナー像との境界)、T3はブラックトナー像の後端位置(下地パターンとブラックトナー像との境界)、T4は下地パターンの後端位置に対応する。
【0059】
CPU401は、T1とT2との差分である時間TA、T3とT4との差分である時間TBを算出する。下地パターンのカラートナー像と下地パターン上に形成されるブラックトナー像との間に相対的な形成位置のずれが生じていない場合、TA=TBとなる。CPU401は、TA<TBまたはTA>TBの場合、下地パターンのカラートナー像と下地パターン上のブラックトナー像との間に相対的な形成位置のずれが生じていると判定し、ずれ量(TAとTBとの差分)に応じて下地パターンのカラーに対応するトナー像を形成するときの形成タイミングを制御する。
【0060】
次に、重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度が不均一になることによって生じる色ずれ検出精度の低下について説明する。カラートナー像の濃度が基準濃度とは異なる濃度で形成されると、パルスの立ち上がり速度及び立ち下がり速度も変化する。そのため、カラートナー像が基準濃度で形成された場合と基準濃度とは異なる濃度で形成された場合とで、出力波形の立ち上がり、立ち下りが閾値電圧を横切るタイミングが異なる。図8は、カラートナー像及びブラックトナー像が基準濃度で形成された場合にフォトセンサ129から出力される検出信号の出力波形(実線)と、カラートナー像が基準濃度よりも低い濃度で形成され、ブラックトナー像が基準濃度で形成された場合にフォトセンサ129から出力される検出信号の出力波形(点線)を示す図である。図8に示すように、カラートナー像の濃度が低下すると、パルスの立ち上がり速度及び立ち下がり速度が低下する。それによって、レジパターンが基準濃度で形成された場合とされなかった場合とで検出タイミング差Ta1、Ta2、Tb1、Tb2が生じるTa1、Ta2、Tb1、Tb2のそれぞれの変化量が同一であれば、カラートナー像が基準濃度で形成されなくても、TAとTBの相対関係が崩れることがないため、検出精度が低下することはない。しかしながら、図8からもわかるとおり、実際にはTa1、Ta2、Tb1、Tb2の変化量が同一でないため、点線の出力波形を用いて色ずれ補正制御を実行すると精度の高い補正を行うことができない。
【0061】
そこでCPU401は、濃度パターン502の検出結果に基づいて、上述したようにレジパターン501のパターン形成条件を制御する。レジパターン501は、調整されたパターン形成条件に基づいて画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkによって基準濃度で形成される。
【0062】
ここで、従来の画像形成装置におけるレジパターンの濃度調整に関する課題について説明する。トナーは現像装置内の撹拌装置によって撹拌されることによって帯電する。トナー帯電量が増大するとトナー像の濃度は低下する。そのため、トナー帯電量が増大するとレジパターンを基準濃度で形成できなくなることがある。
【0063】
トナーの帯電量は、トナーが置かれた環境の湿度の影響を受ける。トナー周囲に水蒸気があるとトナーから水蒸気へ電荷が移動する。水蒸気量が多ければトナーから放出される電荷量も多くなる。そのため、湿度70%でのトナーの帯電量は湿度30%でのトナーの帯電量よりも低くなり、現像装置における現像電位(現像バイアス)と露光装置によって露光される部分の電位との電位差が同一の場合、湿度70%での画像の濃度は湿度30%でのレジパターンの濃度よりも高くなる。
【0064】
トナーの帯電量が増大している場合、新たなトナーを補給することによってトナーの帯電量を低下させることができるが、新たなトナーを供給してもトナーの帯電量が直ぐに低下することがなく、画像の濃度は直ぐには上昇しない。そのため、位置検出精度の低下を抑制するためには、現像剤が撹拌されてトナーの帯電量が基準濃度でレジパターンが形成されるような帯電量に低下するまで待機しなければならない。その場合、色ずれ補正制御の実行タイミングが遅れるため、画像形成を行えない期間が長期化してしまう。
【0065】
トナー帯電量の増大によるレジパターン501の濃度低下を補うべく、レジパターン501を形成するときのレーザ光の光量(露光強度)を上げることによってレジパターン501の濃度を基準濃度まで上げることは可能である。しかしながら、レジパターン501は、中間転写ベルト104上のフォトセンサ129によって検出可能な位置に形成されるため、レジパターン501を形成する際の露光強度を高めると、感光ドラム上においてレジパターン501が形成される部分の劣化が進んでしまうという課題が生じる。
【0066】
本実施例の画像形成装置は、以下に説明する方法によって、レジパターン501の濃度が基準濃度で形成できないような場合であっても色ずれ補正を行うことができる。以下に説明する方法では、各色のレジパターンを初期の基準濃度で形成する場合よりも色ずれ検出精度は低下するが、各色のレジパターンの濃度が不均一な状態で色ずれ補正を行うよりは精度良く色ずれを検出することができる。また、トナーの帯電量の低下を待つことなく色ずれ補正を行い、画像形成に移行できるため、ダウンタイムを低減させることができる。
【0067】
CPU401は、複数色の濃度パターンのうち少なくとも一つの濃度パターンに関して、濃度パターン502の5つのパッチのうち最も高い濃度のパッチが基準濃度よりも低い濃度で形成されたと判定した場合、重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成できないと判定する。
【0068】
CPU401は、カラートナー像を基準濃度で形成できないと判定した場合、CPU401は重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度を濃度パターンが最も低い濃度で形成された色の濃度に合わせるように、PWM信号のパルス幅又は露光強度の少なくとも一方を制御する。
【0069】
例えば、イエローの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.25、マゼンタの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.40、シアンの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.40と検出され、基準濃度が1.40であるとする。この場合、CPU401は、イエローの濃度パターンが基準濃度未満で形成されているため、イエローのカラートナー像を基準濃度で形成できないものと判定する。
【0070】
イエローの濃度パターンの最大濃度のパッチの濃度が1.25であるため、CPU401は重畳パターンに含まれる各色のカラートナー像の基準濃度を1.25に変更する。そして、CPU401は、重畳パターンに含まれるマゼンタトナー像及びシアントナー像が濃度1.25で形成されるように、PWM信号のパルス幅を狭めるまたはレーザ光量を低下させる制御の少なくとも一方を実行する。重畳パターンに含まれるイエロートナー像はイエローの濃度パターンに含まれる濃度1.25で形成されたパッチと同一のパターン形成条件で形成される。
【0071】
このように、本実施例の画像形成装置では、複数のカラートナー像のうち少なくとも一つのカラートナー像が基準濃度で形成できない状態であっても、重畳パターンに含まれる各色のカラートナー像が当初の基準濃度よりも低い濃度で一致するように形成される。これによりレジパターンが基準濃度で形成できない場合であっても、レジパターン501の検出精度の低下を抑制することができる。また、レジパターン501を基準濃度で形成することができる装置状態になる前に色ずれ補正を実行することができる。
【0072】
ある光量に対してレーザ光の光量をどの程度上げると感光ドラムの劣化が許容範囲を超えるかは設計時に求めることができる。レーザ光量の上昇量を許容範囲内に収えられる場合は、変更前の基準濃度よりも低い濃度で濃度パターンが形成されたカラートナーに関してレーザ光量を上げることによって重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度を高めても良い。例えば、イエローの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.25と検出された場合に、基準濃度を1.25よりも高い1.30に変更するようにしてもよい。この場合、イエローのカラートナー像が濃度1.30で形成されるようにレーザ光の光量を上げても、感光ドラムの劣化が許容範囲内で収まることが予めわかっている。そのため、CPU401は、重畳パターンのイエロートナー像が濃度1.30で形成されるように半導体レーザ301aから出射されるレーザ光の光量を上げる指示をレーザドライバ405aに送信する。
【0073】
CPU401は、重畳パターンに含まれるカラートナー像上に形成するブラックトナー像の濃度調整も行う。ブラックトナー像はカラートナー像とは別に設定されたブラック用の基準濃度で形成される。しかしながら、カラートナー像と同様にブラックトナー像も基準濃度で形成できない場合が生じる。そこで、ブラックトナー像を基準濃度で形成できない場合、ブラックの濃度パターンの5つのパッチのうち最も高い濃度のパッチと同一のパターン形成条件で重畳パターンに含まれるブラックトナー像を形成する。
【0074】
次に、図9を用いてCPU401が実行する制御フローを説明する。まず、CPU401は、画像形成装置の電源がオンされたとき、または待機状態から復帰するときなどに本制御をスタートさせる。まず、CPU401は、中間転写ベルト104上に濃度パターン502が形成されるように各画像形成ユニットを制御する(ステップS901)。その後、CPU401は、フォトセンサ129からの検出信号に基づいて濃度パターンの各パッチの濃度(反射光量)を検出し、当該濃度と基準濃度(基準濃度に対応する反射光量データ)と比較する(ステップS902)。
【0075】
CPU401は、ステップS902における比較結果に基づいてカラートナー像を基準濃度で形成することができるかを判定する(ステップS903)。ステップS903において重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成可能であると判定された場合、CPU401は、重畳パターンに含まれるカラートナー像が基準濃度で形成されるように、画像形成ユニット103Y、103M、103Cを制御する(ステップS904)。ステップS903において、重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成できないと判定された場合、CPU401は重畳パターンに含まれる各色のカラートナー像が基準濃度未満の濃度で一致して形成されるように画像形成ユニット103Y、103M、103Cを制御する(ステップS905)。
【0076】
なお、ステップS904における重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成可能である場合とは、基準濃度が濃度パターン502Y,M,Cのパッチの最大濃度と最小濃度との間に含まれている場合である。この場合、5つのパッチのいずれかと同一のパターン形成条件で重畳パターンのカラートナー像を形成することによって基準濃度近傍の濃度で形成することができる。
【0077】
ステップS904又はステップS905の後、CPU401は、重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成することができるかを判定する(ステップS906)。ステップS906において、重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成可能であると判定された場合、CPU401は、重畳パターンに含まれるブラックトナー像が基準濃度で形成されるように、画像形成ユニット103Bkを制御する(ステップS907)。ステップS906において、重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成できないと判定された場合、CPU401は重畳パターンに含まれるブラックトナー像が可能な限り基準濃度に近い濃度で形成されるように、画像形成ユニット103Bkを制御する(ステップS908)。
【0078】
なお、ステップS906における重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成可能である場合とは、重畳パターンのブラックトナー像を基準濃度で形成可能である場合とは、基準濃度が濃度パターン502Bkのパッチの最大濃度と最小濃度との間に含まれている場合である。この場合、5つのパッチのいずれかと同一のパターン形成条件で重畳パターンのブラックトナー像を形成することによって基準濃度近傍の濃度で形成することができる。
【0079】
ステップS903からステップS907に基づいて、CPU401は重畳パターンが中間転写ベルト104上(像担持体上)に形成されるように各画像形成ユニットを制御する(ステップS909)。そして、重畳パターンの検出結果に基づいて、色ずれが低減するように画像形成条件を設定する(ステップS910)。
【0080】
ステップS910の後、CPU401は画像データが入力されているか否かを判定する(ステップS911)。ステップS911において画像データが入力されていれば、CPU401はステップS910で設定された画像形成条件に基づいて各画像形成ユニットに画像を形成させる(ステップS912)。ステップS912の後、CPU401は、所定枚数の記録媒体に画像形成が行われたか否かを判定し(ステップS913)、所定枚数の記録媒体に画像が形成されていればステップS901に制御を戻す。所定枚数の記録媒体に画像形成がされていない場合、CPU401はすべての画像データに基づく画像形成が終了したか否かを判定する(ステップS914)。ステップS914において、画像形成が終了したと判定された場合、CPU401は本制御を終了させる。一方、ステップS914において画像形成が終了していない場合、CPU401はステップS912に制御を戻す。
【0081】
以上で説明したように、レジパターンが基準濃度以下の濃度で形成できないような装置状態であっても、レジパターンの濃度を基準濃度以下の濃度で一致して形成することによって、ダウンタイムを低減させることができる。
【0082】
(実施例2)
重畳パターンを用いて色ずれを検出する装置においては、重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度を基準濃度よりも低い濃度で形成する、実際のずれ量と検出されるずれ量との間にオフセット量が生じる。具体的には、カラートナー像の濃度を低下させて形成することによって、基準濃度でカラートナー像を形成した場合と比べて、重畳パターンを検出することによってフォトセンサ129から出力される検出信号のパルスの立ち上がりエッジ、立ち下りエッジのタイミングが変化する(図8、Ta1、Ta2、Tb1、TBb参照)。Ta1=Ta2=Tb1=Tb2であれば重畳パターンのブラックトナー像とカラートナー像とのずれ量を検出する上での検出精度に影響は出ない。しかしながら、フォトセンサ129の設置精度等の影響によりTa1=Ta2=Tb1=Tb2とならず、それによって上記オフセット量が生じる。
【0083】
このオフセット量は、副走査方向(感光ドラムの回転方向、中間転写ベルトの搬送方向)に生じる。このオフセット量は、濃度制御量に応じて以下の表に示すように設計時に求めることができる。CPU401は、重畳パターンのカラートナー像及びブラックトナー像のいずれか一方の濃度を変更して形成する場合、上記オフセット量を補正するための制御を実行する。
【0084】
【表1】
【0085】
上述したように、両トナー像に対する基準濃度はそれぞれ1.40である。両トナー像が基準濃度で形成される場合は、補正する必要がないためオフセット量は0μmである。ブラックトナー像を基準濃度で形成することができ、カラートナー像を基準濃度未満の濃度1.20で形成される場合におけるオフセット量は40μmである。
【0086】
副走査方向の画像形成位置の補正はレーザ光の出射タイミングを早めるまたは遅延させることによって行うことができる。本実施例の画像形成装置では、オフセット量が20μmの場合、レーザ光の出射タイミングをポリゴンミラー1面分だけ早める、あるいは遅延させることによって補正することができる。また、オフセット量が40μmの場合、レーザ光の出射タイミングをポリゴンミラー2面分だけ早める、あるいは遅延させることによって補正することができる。また、オフセット量が60μmの場合、レーザ光の出射タイミングをポリゴンミラー3面分だけ早める、あるいは遅延させることによって補正することができる。
【0087】
図10は、副走査方向の画像形成位置の補正方法について説明するための図である。図10(a)はBD305から出力されるBD信号の出力タイミングを示す図である。図10(b)〜(d)は、各画像形成ユニットのレーザドライバから半導体レーザに供給される駆動信号の供給タイミングを示している。図10(b)は、静電潜像を形成するときのレーザ出射タイミングを調整しない場合の一例を示す図である。即ち、オフセット量が0μmの場合、BD信号Cが検出されたことに応じて静電潜像の形成が開始される。
【0088】
図10(c)及び図10(d)は、静電潜像形成時のレーザ出射タイミングを調整することによって副走査方向の画像形成位置を調整する場合の一例を示す図である。図10(c)は、図10(b)よりも早く静電潜像の形成を開始する一例を示す図である。図10(c)に示すように、BD信号Bが検出されたことに応じて静電潜像の形成が開始される。このように、BD信号Cよりも早いタイミングで生成されるBD信号が検出されたことに応じて静電潜像の形成を開始することによって、感光ドラムの回転方向下流側(中間転写ベルト104搬送方向下流側、記録紙の搬送方向先端側)に画像形成位置をシフトさせることができる。
【0089】
図10(d)は、静電潜像の形成タイミングを図10(b)よりも遅らせる場合の一例を示す図である。図10(d)に示すように、BD信号Dが検出されたことに応じて静電潜像の形成が開始される。このように、BD信号Cよりも遅いタイミングで生成されるBD信号が検出されたことに応じて静電潜像の形成を開始することによって、感光ドラムの回転方向上流側(中間転写ベルト104搬送方向上流側、記録紙の搬送方向後端側)に画像形成位置をシフトさせることができる。
【0090】
このように、画像書き出すタイミングを示すBD信号を変更することによって、副走査方向における画像形成位置を変更することができる。
【0091】
なお、図10(a)におけるBD信号A〜Eを生成するために、図10(b)〜(d)に示すようにレーザドライバには駆動信号が供給される。レーザドライバは、BD信号が入力されてから所定のタイミングが経過(図10(b)中のt)したことに応じて、CPU401から入力される駆動信号(PWM信号)に基づく駆動電流を半導体レーザに供給する。
【0092】
図10(b)〜(d)における「画像領域」は駆動信号として入力画像データに基づいて生成されるPWM信号の供給が許可される期間を示しており、図10(b)〜(d)に示されるように「画像領域」において駆動信号が常に半導体レーザに供給されるわけではない。
【0093】
このように、レーザ光の出射タイミングを変更することによって、副走査方向の画像形成位置を変更することができる。本実施例の画像形成装置では画像形成位置を補正する場合の基準色をブラックのトナーとしているため、画像形成位置の変更はカラーのトナー像に対して行われる。
【0094】
以下、図11を用いてCPUが実行する制御フローを説明する。ステップS1101〜ステップS1109までは図9に示す制御フローと同一であるので、説明を省略する。
【0095】
次に、CPU401は、前段のステップにおいて重畳パターンに含まれるカラートナー像及びブラックトナー像の少なくとも一方を基準濃度未満で形成したかを判定する(ステップS1110)。ステップS1110においてカラートナー像及びブラックトナー像を基準濃度で形成していると判定された場合、CPU401は重畳パターンの検出結果に基づいて画像形成条件を設定する(ステップS1111)。ステップS1110においてカラートナー像及びブラックトナー像の少なくとも一方を基準濃度未満で形成している場合、CPUは重畳パターンの検出結果とRAM407に記憶された補正値とに基づいて画像形成条件を設定する(ステップS1112)。
【0096】
ステップS1111またはステップS1112の後、CPU401は画像データが入力されているか否かを判定する(ステップS1113)。ステップS1113において画像データが入力されていれば、CPU401はステップS1111またはステップS1112で設定された画像形成条件に基づいて各画像形成ユニットに画像を形成させる(ステップS1114)。ステップS1114の後、CPU401は、所定枚数の記録媒体に画像形成が行われたか否かを判定し(ステップS1115)、所定枚数の記録媒体に画像が形成されていればステップS1101に制御を戻す。所定枚数の記録媒体に画像形成がされていない場合、CPU401はすべての画像データに基づく画像形成が終了したかを判定する(ステップS1116)。ステップS1115において、画像形成が終了したと判定された場合、CPU401は本制御を終了させる。一方、ステップS1116において画像形成が終了していない場合、CPU401はステップS1114に制御を戻す。
【0097】
以上で説明したように、重畳パターンの検出結果にレジパターンを基準濃度以下で形成したことによって生じるオフセット量を補正するための補正量を加えて色ずれ補正を行うことによって、レジパターンを基準濃度で形成できない場合であっても色ずれ補正精度の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0098】
129 フォトセンサ
401 CPU
501 レジパターン
502 濃度パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセス方式の画像形成装置に関し、特に色ずれ補正機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感光体に異なる色のトナー像を形成し、それらのトナー像を記録媒体に転写することによってカラー画像を形成するカラー画像形成装置が知られている。複数の感光体を備えるカラー画像形成装置には、複数の感光体に形成されるトナー像が転写される中間転写体を備え、中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する方式の画像形成装置がある。また、複数の感光体に形成されるトナー像を搬送ベルトなどによって搬送される記録媒体に直接転写する方式の画像形成装置がある。
【0003】
このようなカラー画像形成装置では、複数の感光体それぞれに形成されるトナー像が記録媒体上においてずれることがないように設計がなされる。しかしながら、部品公差や画像形成時の装置の昇温による部品の位置変動の影響によって記録媒体上で重なるべきトナー像が重ならない、所謂色ずれ(レジストレーションずれ)が生じる。そのため、上記カラー画像形成装置では色ずれを補正する制御が組み込まれている。
【0004】
色ずれの補正方法の一つとして、各感光体に位置検出用パターンを色毎に中間転写体、搬送ベルト、または記録媒体上に形成し、各色の位置検出用パターンの形成位置を検出する。そして、検出結果から各色の位置検出用パターンの相対位置を検出し、相対位置関係に基づいて色ずれ量を算出する。そして、色ずれ量が低減されるように各感光体に形成されるトナー像の形成位置を補正する。
【0005】
上記補正制御においては、位置検出用パターンの検出には光学式センサが用いられる。光学式センサには発光部と受光部が備えられている。中間転写体に位置検出用パターンを形成する装置の場合、中間転写体及び位置検出用パターンに対して発光部から光を照射し、位置検出用パターンから反射する光を受光部する。受光部からは中間転写体からの反射光量及び位置検出用パターンからの反射光量それぞれに応じたレベルのアナログ信号が出力される。このアナログ信号を所定の閾値に基づいてデジタル信号に変換し、デジタル信号のパルスの重心位置、パルスの立ち上がりエッジ、パルスの立ち下りエッジのタイミングなどに基づいて中間転写体上での各色の位置検出用パターンの相対位置を検出する。
【0006】
ところで、同一画像形成条件で画像を形成した場合であっても、画像形成装置が置かれた環境の変動等による画像形成装置の特性の変動により、出力画像の濃度が所望の濃度にならないという現象が生じる。例えば、トナーの帯電量が増大すると画像の濃度は低下する。トナーとキャリアを含む現像剤を用いた画像形成装置では、現像装置において現像剤を撹拌することによってトナーとキャリアを摺擦させる。トナーとキャリアが摺擦することによってトナーが帯電する。
【0007】
トナーの帯電量は湿度の影響を受ける。トナー周囲に水蒸気があるとトナーから水蒸気へ電荷が移動する。水蒸気量が多ければトナーから放出される電荷量も多くなる。そのため、湿度70%でのトナーの帯電量は湿度30%でのトナーの帯電量よりも低くなる。従って、同一画像データで画像を形成した場合、湿度70%で形成される画像の濃度は湿度30%で形成される画像の濃度よりも高くなる。
【0008】
このような出力画像の濃度変動を補正するために、電子写真方式の画像形成装置では濃度検出用パターン(以下の濃度検出用パターンと区別するために濃度パッチとする。)を所定の条件が満たされる毎に形成し、濃度パッチと基準濃度とが略同一濃度になるように画像形成条件を制御する。このような濃度補正制御を定期的に行うことで、画像形成装置の特性の変動によって原稿画像の濃度と出力画像の濃度とが乖離しないようにしている。
【0009】
位置検出用パターンの濃度も出力画像の濃度と同様に環境の変動、画像形成装置の特性の変動に伴って変動する。各色の位置検出用パターンの濃度変動量にはばらつきがある。そのため、各色の位置検出用パターンに対応する光学式センサから出力されるパルスの出力レベルが不均一になる。即ち、位置検出用パターンの濃度が不均一であると、各色の位置検出用パターンに対応するアナログ信号のパルスの立ち上がり速度や立ち下がり速度が変化する。アナログ信号のパルスの立ち上がり速度や立ち下り速度が変化すると、アナログ信号から生成されるデジタル信号のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジのタイミングが変化する。厳密にみると、アナログ信号のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジの変化量は色毎に異なる。そのため、デジタル信号のパルスから検出される色ずれ量にエッジの変化量の差が含まれてしまうため、位置検出用パターンの相対位置関係の検出精度が低下してしまう。
【0010】
この課題に対して、位置検出用パターンの形成に先だって位置検出用パターンの形成条件を調整するための濃度検出用パターンを形成し、濃度検出用パターンの検出結果に基づいて位置検出用パターンの形成条件を制御する画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。濃度検出用パターンの濃度は位置検出用パターンと同一条件で形成される。検出される濃度検出用パターンの濃度と基準濃度とが異なる場合、位置検出用パターンが基準濃度で形成されるように位置検出用パターンの形成条件を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−48904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、画像形成装置の特性の変動によって位置検出用パターンの濃度が低下する場合、次のような課題が生じる。各色のトナーのうち少なくとも一つの色のトナーの帯電量が大きく増大している場合、その色のトナーを基準濃度で形成できない。その場合、各色の位置検出用パターンに対応するアナログ信号のパルスのレベルを揃えることができないため、位置検出用パターンの検出精度が低下する。
【0013】
それに対して、新たなトナーを補給することによってトナーの帯電量を低下させることができるが、新たなトナーを供給してもトナーの帯電量が直ぐに低下することがないため、位置検出用パターンの濃度は直ぐには上昇しない。即ち、トナーの帯電量が位置検出用パターンを基準濃度で形成可能な帯電量まで低下するまで待機しなければならなくなり、ダウンタイムが生じる。
【0014】
また、位置検出用パターンを形成するために光源に供給するPWM信号のパルス幅を広げることによって位置検出用パターンの濃度を上げることも考えられる。光学式センサでの検出が確実に行えるようにするために位置検出用パターンは高い濃度で形成する必要があるため、位置検出用パターンを形成するためのPWM信号のパルス幅は元々広く(最大のパルス幅に)設定されている。そのため、PWM信号のパルス幅を限界まで広げることによって位置検出用パターンの濃度を基準濃度まで高めることができない場合がある。
【0015】
また、位置検出用パターンを形成するために感光体を露光する露光強度を高めることによって位置検出用パターンの濃度を上げることも可能であるが、位置検出用パターンの濃度が基準濃度から大きく低下した場合には、露光強度を大きく高める必要が生じる。その場合、露光強度を必要以上に高めることによって、位置検出用パターンが形成される位置の感光層の劣化を促進させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものである。本発明の画像形成装置は、像担持体に複数色のトナーを用いて画像を形成する画像形成手段であって、前記複数色のトナーを用いて、位置検出用パターン及び前記位置検出用パターンのパターン形成条件を制御するための濃度検出用パターンを前記像担持体に形成する画像形成手段と、濃度検出用パターンを検出する検出手段と、前記検出手段により検出される前記濃度検出用パターンの濃度に基づいて前記位置検出用パターンが基準濃度で形成されるように前記パターン形成条件を制御し、前記位置検出用パターンに基づいて前記像担持体上に形成される前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンの相対的なずれ量を算出し、前記ずれ量が低減するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記検出手段により前記濃度検出用パターンに含まれる複数色のトナー像のうち少なくとも一つのトナー像の濃度が前記基準濃度に達しない場合、前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンが前記基準濃度よりも低い所定の濃度を基準に形成されるように前記パターン形成条件を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、位置検出用パターンを基準濃度で形成できない場合であっても、基準濃度よりも低い濃度で位置検出用トナーパターンを形成し、色ずれ補正制御を実行することによって、色ずれ補正精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例に係る画像形成装置の概略断面図。
【図2】実施例に係る画像形成装置に備えられるフォトセンサの概略断面図。
【図3】実施例に係る画像形成装置に備えられるスキャナユニットの概略構成図。
【図4】実施例に係る画像形成装置の制御ブロック図。
【図5】実施例に係る画像形成装置に備えられる中間転写ベルト、フォトセンサ、駆動ローラ、従動ローラを示す図。
【図6】中間転写ベルト上に形成されるレジパターン及び濃度パターンを示す図。
【図7】重畳パターン、重畳パターンを検出することによって得られるアナログ信号、及びアナログ信号を変換することによって得られるデジタル信号を示す図。
【図8】アナログ信号の波形を示す図。
【図9】実施例1においてCPUが実行する制御フロー。
【図10】副走査方向における画像形成位置補正方法を説明するための概念図。
【図11】実施例2においてCPUが実行する制御フロー。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0020】
本実施例における画像形成装置は、画像読取部101と画像出力部102で構成される。画像読取部101は、原稿画像に光を照射し、原稿画像からの反射光をセンサで読み取り、読取結果を電気信号に変換して画像出力部102に送信する。
【0021】
画像出力部102は、画像読取部101から送信される画像データに基づいて画像形成を行う。また、画像出力部102は、PCなどの外部情報装置からの画像データを受信する構成を備えており、外部情報装置から受信する画像データに基づく画像形成も行うことができる。
【0022】
画像出力部102は、複数色(イエロー、マゼンタトナー、シアン、及びブラック)のトナーを用いて記録媒体上に画像を形成する。本実施例では、便宜的に複数色のトナーのうちイエロー、マゼンタ、シアンのトナーそれぞれによって形成されるトナー像をカラートナー像、ブラックのトナーによって形成されるトナー像をブラックトナー像として説明する。
【0023】
画像出力部102は、ブラックイエローのトナー像を形成するための画像形成ユニット103Y、マゼンタのトナー像を形成するための画像形成ユニット103M、シアンのトナー像を形成するための画像形成ユニット103C、ブラック(Bk)のトナー像を形成するための画像形成ユニット103Bkを備える。図1に示すように、画像形成手段であるところのこれら4つの画像形成ユニットは像担持体であるところの中間転写ベルト104(中間転写体)に対して並設されている。
【0024】
画像形成ユニット103Yには、感光体であるところの感光ドラム105a、感光ドラム105aを帯電するための帯電装置106a、帯電装置106aによって帯電された感光ドラム105aを露光するための露光装置107aが備えられている。また、画像形成ユニット103Yには、感光ドラム105a上に形成される静電潜像をイエローのトナーによって現像する現像装置108aが備えられている。現像装置内にはトナーとキャリアを含む現像剤が保持されている。現像装置108a内において現像剤は図示しない撹拌部材によって撹拌され、撹拌されることによってトナーとキャリアが摺擦し、それによってトナーが帯電する。帯電したトナーは上記の静電潜像に付着する。中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーはクリーニング装置109aによって回収される。
【0025】
画像形成ユニット103Mには、感光体であるところの感光ドラム105b、感光ドラム105bを帯電するための帯電装置106b、帯電装置106bによって帯電された感光ドラム105bを露光するための露光装置107bが備えられている。また、画像形成ユニット103Mには、感光ドラム105b上に形成される静電潜像をマゼンタのトナーによって現像する現像装置108b、中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーを回収するクリーニング装置109bが備えられている。
【0026】
画像形成ユニット103Cには、感光体であるところの感光ドラム105c、感光ドラム105cを帯電するための帯電装置106c、帯電装置106cによって帯電された感光ドラム105cを露光するための露光装置107cが備えられている。また、画像形成ユニット103Cには、感光ドラム105c上に形成される静電潜像をイエローのトナーによって現像する現像装置108c、中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーを回収するクリーニング装置109cが備えられている。
【0027】
画像形成ユニット103Bkには、感光体であるところの感光ドラム105d、感光ドラム105dを帯電するための帯電装置106d、帯電装置106dによって帯電された感光ドラム105dを露光するための露光装置107dが備えられている。また、画像形成ユニット103Cには、感光ドラム105d上に形成される静電潜像をイエローのトナーによって現像する現像装置108d、中間転写ベルト104に転写されずに残ったトナーを回収するクリーニング装置109dが備えられている。
【0028】
次に、各画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkにおける画像形成プロセスについて説明する。本実施例の画像形成装置の各色の画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkは同一構成であるので、画像形成ユニット103Yでの画像形成プロセスを例にして、各画像形成ユニットにおける画像形成プロセスを説明する。感光ドラム105aはその中心で回転自在に軸支され、図1中の矢印方向に回転駆動される。感光ドラム105aの外周面に対向してその回転方向に沿って帯電装置106a、現像装置108a、クリーニング装置109aが配されている。感光ドラム105aは、帯電装置106aによって表面に均一の電荷が付与される。表面が帯電した感光ドラム105aは、露光装置107aから出射されるレーザ光(光ビーム)によって露光される。露光装置107aに備えられるレーザ光を出射する光源(後述)は、画像読取部101またはPCなどの外部情報装置から入力される画像データに基づいて点灯、非点灯制御される。露光装置107aから出射されるレーザ光は、帯電装置106aと現像装置108aとの間の感光ドラム105aの表面に導かれ、感光ドラム105aを露光する。レーザ光によって露光されることによって感光ドラム105a上には画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0029】
続いて、感光ドラム105a上に形成された静電潜像は現像装置108aによって現像される。現像装置108aに保持されるトナーはイエローのトナーであるので感光ドラム105a上にはイエローのトナー像が形成される。
【0030】
以上の画像形成プロセスによって、感光ドラム105bにはマゼンタのトナー像が、感光ドラム105cにはシアンのトナー像が、感光ドラム105dにはブラックのトナー像がそれぞれ形成される。
【0031】
次に、各色の画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkの感光ドラム105a、105b、105c、105d上に形成される各色のトナー像が記録媒体上に転写定着されるプロセスを説明する。感光ドラム105a、105b、105c、105dそれぞれに形成されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像は中間転写ベルト104に転写される。中間転写ベルト104は、駆動ローラ110、従動ローラ111、112によって張架されており、矢印B方向に回転駆動される。感光ドラム105a上のトナー像は1次転写部Tyにおいて1次転写装置113aによって中間転写ベルト104に転写される。同様に、感光ドラム105b上のトナー像は1次転写部Tmにおいて1次転写装置113bによって中間転写ベルト104に転写され、感光ドラム105c上のトナー像は1次転写部Tcにおいて1次転写装置113cによって中間転写ベルト104に転写され、感光ドラム105d上のトナー像は1次転写部Tbkにおいて1次転写装置113dによって中間転写ベルト104に転写される。
【0032】
中間転写ベルト104上のトナー像は、2次転写部T2において2次転写装置114によって紙などの記録媒体に転写される。記録媒体は給紙カセット115、116に収納されている。給紙カセット115に収納された記録媒体は給紙ローラ117によって給紙カセット115から搬送され、搬送ローラ118、119、120、121によって2次転写部T2まで搬送される。また、給紙カセット116に収納された記録媒体は給紙ローラ122によって給紙カセット116から搬送され、搬送ローラ123、124、119、120、121によって2次転写部T2まで搬送される。中間転写ベルト104上のトナー像が2次転写部T2において記録媒体上の所望の位置に転写されるように、記録媒体の搬送速度は搬送ローラの回転速度を制御することによって調整される。
【0033】
2次転写部においてトナー像が転写された記録媒体は定着装置125に搬送される。定着装置125は記録媒体上のトナー像を加熱定着する。定着装置125を通過した記録媒体は排紙ローラ126、127によって排紙トレイ128(排紙部)に排出される。
【0034】
図1に示すように、本実施例の画像形成装置には、色ずれ補正制御を行う際に用いる光学式センサ(フォトセンサ)129が設けられている。図1に示すように、フォトセンサ129は駆動ローラ110に対向するように設けられている。後述するように、フォトセンサ129は、色ずれ補正制御を行う際に中間転写ベルト104上に形成する位置検出用パターン(レジストレーションパターン、以下レジパターンとする)を検出するために設けられている、また、このフォトセンサ129は、レジパターンのパターン形成条件を調整するために中間転写ベルト104上に形成される濃度検出用パターン(以下、濃度パターンとする)を検出するためのセンサでもある。
【0035】
なお、本実施例ではレジパターン及び濃度パターンを同一のフォトセンサで検出する構成で説明する。しかしながら、レジパターンを検出するための第1の検出手段である第1のフォトセンサ、及び濃度パターンを検出するための第2の検出手段であるところの第2のフォトセンサを個別に設ける構成であってもよい。その場合、第2のフォトセンサは中間転写ベルト104上の濃度パターンを検出できるように中間転写ベルト104近傍に設けられる。あるいは、第2のフォトセンサは、各感光ドラム上の各色の濃度パターンを検出できるように各感光ドラム近傍に設けられる。
【0036】
フォトセンサ129は中間転写ベルト104上での各色のレジパターンの相対的な形成位置及び濃度パターンの濃度を検出するために設けられている。図2はフォトセンサ129の概略断面図である。図2に示すように、フォトセンサ129は発光部であるところのLED201と受光部であるところのCCD202を有する。フォトセンサ129は、駆動ローラ110の長手方向の異なる位置に形成されるレジパターン及び濃度パターンを検出できるように、少なくとも2ヶ所配置されている。CCD202は、LED201から照射された光のレジパターン、濃度パターンからの拡散反射光が入射する位置に配置されている。
【0037】
LED201は中間転写ベルト104上に向かって光を照射する。CCD202は、中間転写ベルト104からの拡散反射光、後述するレジパターン、濃度パターンからの拡散反射光を受光する。
【0038】
次に、露光装置であるところのレーザスキャナユニットについて説明する。図3はレーザスキャナユニット及びそのレーザスキャナユニットによって露光される感光ドラムを示す概略図である。本実施例の画像形成装置に備えられるレーザスキャナユニット107a〜dの構成は同一であるので、レーザスキャナユニット107aの構成を例にして各レーザスキャナユニットの構成を説明する。レーザスキャナユニット107aには光源であるところの半導体レーザ301が備えられている。上述したように、半導体レーザ301は画像読取部101または外部情報装置から入力される画像データに基づいて点灯、非点灯制御される。半導体レーザ301から出射されるレーザ光はコリメータレンズ302に入射する。コリメータレンズ302は放射光であるレーザ光を平行光に変換する。コリメータレンズ302を通過したレーザ光はシリンドリカルレンズ303に入射する。シリンドリカルレンズ303は、平行光となったレーザ光を偏向走査手段であるところのポリゴンミラー304(回転多面鏡)上に結像させるためのレンズである。画像形成する際に、ポリゴンミラー304は後述する駆動モータによって図3中の矢印C方向に回転駆動されており、ポリゴンミラー304の反射面に入射したレーザ光はその反射面に偏向されることによって感光ドラムを感光ドラムの回転軸と略平行方向(主走査方向)に走査する走査光となる。
【0039】
本実施例のレーザスキャナユニット107aにはBeam Detector305(以下BD305)が設けられている。BD305は、主走査方向における画像の形成位置を揃えるために設けられている。BD305は走査光が入射する位置に配置され、走査光が入射することによってBD信号を生成するセンサである。BD信号が生成されてから所定時間後に画像データに基づくレーザ光を出射することによって、複数走査間に形成される主走査方向における画像の形成位置を揃えることができる。ポリゴンミラー304とBD305との間にはポリゴンミラー304からの反射光をBD305に結像させるためのアナモフィクレンズ306が設けられている。
【0040】
図4は、本実施例の画像形成装置の制御ブロック図である。本実施例の画像形成装置にはCPU401が備えられており、各要素は以下に説明するようにCPU401によって制御される。
【0041】
CPU401は、レーザスキャナユニット107a〜d、中間転写ベルト104を回転駆動するための駆動ローラ110を回転駆動させる中間転写ベルト駆動モータ402、4本の感光ドラム105a〜dを回転駆動する感光ドラム駆動モータ403、記録媒体が搬送される搬送経路に設けられた搬送ローラ(排紙ローラを含む)を駆動する搬送ローラ駆動モータ404、及び定着装置125、フォトセンサ129を制御する。レーザスキャナユニット107aには、半導体レーザ301aを駆動するレーザドライバ405a、ポリゴンミラー304aを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406a、BD305aが備えられている。
【0042】
同様に、レーザスキャナユニット107bには、レーザスキャナユニット107bに設けられた半導体レーザ301bを駆動するレーザドライバ405b、レーザスキャナユニット107bに設けられたポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406b、BD305bが備えられている。レーザスキャナユニット107cには、レーザスキャナユニット107cに設けられた半導体レーザ301cを駆動するレーザドライバ405c、レーザスキャナユニット107cに設けられたポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406c、BD305cが備えられている。レーザスキャナユニット107dには、レーザスキャナユニット107dに設けられた半導体レーザ301dを駆動するレーザドライバ405d、レーザスキャナユニット107dに設けられたポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンミラー駆動モータ406d、BD305dが備えられている。
【0043】
CPU401は、反射光を受光したフォトセンサ129のCCD202から出力される検出信号に基づいて、後述する各色の濃度パターンの濃度及び各色のレジパターンの相対位置関係を検出する。
【0044】
RAM407は揮発性のメモリであり、更新されるデータが記憶されている。ROM408は不揮発性のメモリであり、画像形成時にCPU401が実行する制御フローが記憶されている。
【0045】
画像データ処理部409は画像データに色分解処理を施す。処理済の画像データはCPU401に入力され、CPU401は入力された画像データに基づいて各レーザスキャナユニットに備えられるレーザドライバに駆動信号(PWM信号)を送信する。各レーザスキャナユニットに備えられるレーザドライバは駆動信号に基づいて各半導体レーザを駆動する。
【0046】
ここで、色ずれについて説明する。電子写真方式の画像形成装置は各種駆動モータの発熱や定着装置の熱などによって各部材が微小に熱変形する。その熱変形などによってレーザ光の光路が変動するため、各感光ドラム上での露光位置が所望の位置から変動する。その結果、記録媒体上に転写される各色のトナー像の相対位置関係がずれる。即ち、重なるべきトナー像同士が重ならない色ずれという現象に繋がる。
【0047】
このような課題に対応するために、電子写真方式の画像形成装置は色ずれ補正制御を実行する。色ずれ補正制御は、電源がオンされた直後、待機状態から復帰する場合、前回色ずれ補正制御が実行されてからの累積画像形成枚数が所定枚数に到達した場合、前回色ずれ補正制御が実行されてから所定時間経過した場合、などの所定のタイミングで実行される。また、色ずれ補正制御は、画像形成装置が置かれている環境条件(温度、湿度)の変化、所定強度以上の振動、または画像形成装置の特性の変化が検知されたことに応じて実行しても良い。
【0048】
図5は、図1の画像形成装置を上下反転させて、図1から中間転写ベルト104、感光ドラム105a〜d、駆動ローラ110、従動ローラ111、112、及びフォトセンサ129(129a、129b)を抜き出した図である。色ずれ補正制御を実行する際に、本実施例の画像形成装置では図5に示すように中間転写ベルト104上に各色のレジパターン501(位置検出用パターン)及び濃度パターン502(濃度検出用パターン)が形成される。
【0049】
濃度パターン502はレジパターン501のパターン形成条件を制御するために形成されるパターンである。各色のレジパターン501は基準濃度で形成されることが望ましい。しかしながら、画像形成装置の特性変動、周囲の環境変動(温度変化、湿度変化)によってレジパターン501の濃度が変動し、各色のレジパターンの濃度は基準濃度で形成されず、かつ各色のレジパターン間に濃度差が生じる。各色のレジパターンの濃度が不均一になることによって各色のレジパターンに対応するパルスの立ち上がり速度、立ち下がり速度が一律にならないため、レジパターン501の相対位置の検出精度が低下する。検出精度の低下は色ずれ補正精度の低下につながる。そこで、本実施例の画像形成装置では、濃度パターン502を中間転写ベルト104上に形成し、濃度パターン502の検出結果に基づいて各色のレジパターンの濃度が均一になるようにレジパターン501のパターン形成条件を制御する。
【0050】
まず、濃度パターン502について説明する。濃度パターン502は、中間転写ベルト104上においてレジパターン501よりも先に(レジパターン501よりもベルト搬送方向下流側に先行して)形成される。濃度パターン502として、図6に示すように中間転写ベルト104上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーによって、それぞれ濃度を異ならせた5つのパッチ(502Y、502M、502C、502Bk)が形成される。これらの5つのパッチは基準濃度近傍の濃度で形成されるように予めROM408に記憶された濃度パターン502のパターン形成条件に基づいて形成される。
【0051】
例えば、ある色に関して、濃度パターン502を形成する際のレーザ光の光量を一定とし、半導体レーザに供給されるPWM信号のパルス幅を80%、85%、90%、95%、100%として5つのパッチ(諧調パターン)を形成する。この時のレーザ光の光量は通常画像の形成時と同一の光量である。通常画像とは、外部情報装置や読取装置から入力される画像データに基づいて形成される画像である。ここでは、感光ドラム上の所定の面積(例えば、1画素に対応する面積)をすべて覆うトナー像を形成するのに必要なパルス幅を100%とする。PWM信号のパルス幅が広ければ広いほど、中間転写ベルト104が露出する面積が減少するため、検出されるパッチの濃度が高くなる。CPU401は、各パッチからの反射光量を検出し、PWM信号を上記のどのパルス幅に制御するとレジパターン501を基準濃度に近い濃度で形成することができるかを判定する。パルス幅90%で形成したパッチが最も基準濃度に近い場合、CPU401は、濃度パターン502を形成する際の光量と同一光量で、かつPWM信号のパルス幅を90%に制御してレジパターン501を画像形成ユニットに形成させる(パターン形成条件の制御)。
【0052】
なお、PWM信号のパルス幅を一定として、光量を制御することによって5つの濃度のパッチを形成してもよい。その場合、通常画像を形成するときの光量を最大光量(100%)として、その光量から光量を低下させる(95%、90%、85%、80%)ことによって5つのパッチを形成する。光量90%で形成したパッチが最も基準濃度に近い場合、CPU401は、濃度パターン502を形成する際のパルス幅と同一のパルス幅で、かつ光量を90%に制御してレジパターン501を画像形成ユニットに形成させる。
【0053】
次にレジパターン501について説明する。本実施例の画像形成装置では、レジパターン501としてカラートナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンが形成される。ブラックのトナーは光を吸収するため、他のカラートナーに比べて反射光の光量が少ない。また、中間転写ベルト104も表面の光沢度が高いため、ベルト表面からの反射光量としては正反射光量が多く、拡散反射光の光量は少ない。拡散反射光検出型センサを用いてブラックトナー像の形成位置を特定しようとすると、ブラックトナー像からの拡散反射光量と中間転写ベルトからの拡散反射光量との光量差が小さいため、ブラックトナー像の形成位置の検出が難しい。そのため、レジパターンとしてブラックトナー像を各色のトナー像と独立して形成すると、CPU401はイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像とブラックのトナーパターンとの相対位置関係を特定することができない。
【0054】
そこで、本実施例の画像形成装置では、レジパターン501としてイエロー、マゼンタ、シアンなどの有彩色のカラートナー像(下地パターン)の上に無彩色であるブラックトナー像を重ねた重畳パターンを形成する。図6に示すように、本実施例の画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアントナー像である平行四辺形の下地パターンそれぞれにブラックトナー像を重ねた重畳パターンが形成される。下地パターン上に形成されるブラックトナー像は中間転写ベルト104搬送方向上流側(後端側)及び下流側(前端側)において下地パターンの一部が露出するように下地パターン上に形成される。CPU401は、カラートナー像とブラックトナー像との反射光量差によって生じるフォトセンサ129からの検出信号の出力レベルの差を利用して、下地パターンであるカラートナー像と下地パターン上に形成されるブラックトナー像との相対的なずれ量を検出する。
【0055】
本実施例の画像形成装置では、ブラックトナー像が基準色となっている。CPU401は、イエロートナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンからブラックトナー像とイエロートナー像とのずれ量を算出する。同様に、CPU401は、マゼンタトナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンからブラックトナー像とマゼンタトナー像とのずれ量を算出し、シアントナー像にブラックトナー像を重畳させた重畳パターンからブラックトナー像とシアントナー像とのずれ量を算出する。CPU401は、各色のトナー像とブラックトナー像とのずれ量が低減するように、画像形成ユニット103Y、103M、103Cを制御する。
【0056】
図7は、重畳パターンの概略図、その重畳パターンからの反射光及び重畳パターンの周辺の中間転写ベルト104からの反射光を受光したことに応じてCCD202から出力される検出信号の波形を示す図である。図7(a)は重畳パターンを示している。図7(b)はフォトセンサ129の検出位置を重畳パターンが通過することによってフォトセンサ129から出力されるアナログ信号、図7(c)は当該アナログ信号をコンパレータによって2値化したデジタル信号を示している。コンパレータは、閾値電圧(スレッシュ電圧)以上のアナログ信号が入力されるとHレベル(HIGHレベル)のデジタル信号を出力し、閾値電圧未満のアナログ信号が入力されるとLレベル(LOWレベル)のデジタル信号を出力する。
【0057】
図7(b)に示すように、カラートナーからの拡散反射光量は中間転写ベルト104及びブラックトナーからの拡散反射光量よりも多い。そのため、重畳パターンからの拡散反射光を受光するCCD202からは図7(b)に示す波形の検出信号が出力される。即ち、カラートナーからの拡散反射光量が多い場合、アナログ信号の出力レベルが高くなり、ブラックトナー及び中間転写ベルト104からの拡散反射光量が多い場合、アナログ信号の出力レベルが低くなる。上記閾値電圧は、図7(b)に示すように、アナログ信号のピーク値と、中間転写ベルト104からの拡散反射光を検出することによって得られる出力レベル及びブラックトナーからの拡散反射光を検出することによって得られる出力レベルと、の間に設定される。
【0058】
図7(c)において、CPU401は、コンパレータから出力されるデジタル信号のパルスの立ち上がりタイミングT1、T3、及び立ち下がりタイミングT2、T4の4つのエッジを検出する。T1は下地パターンの先端位置に、T2は下地パターン上に形成されるブラックトナー像の先端位置(下地パターンとブラックトナー像との境界)、T3はブラックトナー像の後端位置(下地パターンとブラックトナー像との境界)、T4は下地パターンの後端位置に対応する。
【0059】
CPU401は、T1とT2との差分である時間TA、T3とT4との差分である時間TBを算出する。下地パターンのカラートナー像と下地パターン上に形成されるブラックトナー像との間に相対的な形成位置のずれが生じていない場合、TA=TBとなる。CPU401は、TA<TBまたはTA>TBの場合、下地パターンのカラートナー像と下地パターン上のブラックトナー像との間に相対的な形成位置のずれが生じていると判定し、ずれ量(TAとTBとの差分)に応じて下地パターンのカラーに対応するトナー像を形成するときの形成タイミングを制御する。
【0060】
次に、重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度が不均一になることによって生じる色ずれ検出精度の低下について説明する。カラートナー像の濃度が基準濃度とは異なる濃度で形成されると、パルスの立ち上がり速度及び立ち下がり速度も変化する。そのため、カラートナー像が基準濃度で形成された場合と基準濃度とは異なる濃度で形成された場合とで、出力波形の立ち上がり、立ち下りが閾値電圧を横切るタイミングが異なる。図8は、カラートナー像及びブラックトナー像が基準濃度で形成された場合にフォトセンサ129から出力される検出信号の出力波形(実線)と、カラートナー像が基準濃度よりも低い濃度で形成され、ブラックトナー像が基準濃度で形成された場合にフォトセンサ129から出力される検出信号の出力波形(点線)を示す図である。図8に示すように、カラートナー像の濃度が低下すると、パルスの立ち上がり速度及び立ち下がり速度が低下する。それによって、レジパターンが基準濃度で形成された場合とされなかった場合とで検出タイミング差Ta1、Ta2、Tb1、Tb2が生じるTa1、Ta2、Tb1、Tb2のそれぞれの変化量が同一であれば、カラートナー像が基準濃度で形成されなくても、TAとTBの相対関係が崩れることがないため、検出精度が低下することはない。しかしながら、図8からもわかるとおり、実際にはTa1、Ta2、Tb1、Tb2の変化量が同一でないため、点線の出力波形を用いて色ずれ補正制御を実行すると精度の高い補正を行うことができない。
【0061】
そこでCPU401は、濃度パターン502の検出結果に基づいて、上述したようにレジパターン501のパターン形成条件を制御する。レジパターン501は、調整されたパターン形成条件に基づいて画像形成ユニット103Y、103M、103C、103Bkによって基準濃度で形成される。
【0062】
ここで、従来の画像形成装置におけるレジパターンの濃度調整に関する課題について説明する。トナーは現像装置内の撹拌装置によって撹拌されることによって帯電する。トナー帯電量が増大するとトナー像の濃度は低下する。そのため、トナー帯電量が増大するとレジパターンを基準濃度で形成できなくなることがある。
【0063】
トナーの帯電量は、トナーが置かれた環境の湿度の影響を受ける。トナー周囲に水蒸気があるとトナーから水蒸気へ電荷が移動する。水蒸気量が多ければトナーから放出される電荷量も多くなる。そのため、湿度70%でのトナーの帯電量は湿度30%でのトナーの帯電量よりも低くなり、現像装置における現像電位(現像バイアス)と露光装置によって露光される部分の電位との電位差が同一の場合、湿度70%での画像の濃度は湿度30%でのレジパターンの濃度よりも高くなる。
【0064】
トナーの帯電量が増大している場合、新たなトナーを補給することによってトナーの帯電量を低下させることができるが、新たなトナーを供給してもトナーの帯電量が直ぐに低下することがなく、画像の濃度は直ぐには上昇しない。そのため、位置検出精度の低下を抑制するためには、現像剤が撹拌されてトナーの帯電量が基準濃度でレジパターンが形成されるような帯電量に低下するまで待機しなければならない。その場合、色ずれ補正制御の実行タイミングが遅れるため、画像形成を行えない期間が長期化してしまう。
【0065】
トナー帯電量の増大によるレジパターン501の濃度低下を補うべく、レジパターン501を形成するときのレーザ光の光量(露光強度)を上げることによってレジパターン501の濃度を基準濃度まで上げることは可能である。しかしながら、レジパターン501は、中間転写ベルト104上のフォトセンサ129によって検出可能な位置に形成されるため、レジパターン501を形成する際の露光強度を高めると、感光ドラム上においてレジパターン501が形成される部分の劣化が進んでしまうという課題が生じる。
【0066】
本実施例の画像形成装置は、以下に説明する方法によって、レジパターン501の濃度が基準濃度で形成できないような場合であっても色ずれ補正を行うことができる。以下に説明する方法では、各色のレジパターンを初期の基準濃度で形成する場合よりも色ずれ検出精度は低下するが、各色のレジパターンの濃度が不均一な状態で色ずれ補正を行うよりは精度良く色ずれを検出することができる。また、トナーの帯電量の低下を待つことなく色ずれ補正を行い、画像形成に移行できるため、ダウンタイムを低減させることができる。
【0067】
CPU401は、複数色の濃度パターンのうち少なくとも一つの濃度パターンに関して、濃度パターン502の5つのパッチのうち最も高い濃度のパッチが基準濃度よりも低い濃度で形成されたと判定した場合、重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成できないと判定する。
【0068】
CPU401は、カラートナー像を基準濃度で形成できないと判定した場合、CPU401は重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度を濃度パターンが最も低い濃度で形成された色の濃度に合わせるように、PWM信号のパルス幅又は露光強度の少なくとも一方を制御する。
【0069】
例えば、イエローの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.25、マゼンタの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.40、シアンの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.40と検出され、基準濃度が1.40であるとする。この場合、CPU401は、イエローの濃度パターンが基準濃度未満で形成されているため、イエローのカラートナー像を基準濃度で形成できないものと判定する。
【0070】
イエローの濃度パターンの最大濃度のパッチの濃度が1.25であるため、CPU401は重畳パターンに含まれる各色のカラートナー像の基準濃度を1.25に変更する。そして、CPU401は、重畳パターンに含まれるマゼンタトナー像及びシアントナー像が濃度1.25で形成されるように、PWM信号のパルス幅を狭めるまたはレーザ光量を低下させる制御の少なくとも一方を実行する。重畳パターンに含まれるイエロートナー像はイエローの濃度パターンに含まれる濃度1.25で形成されたパッチと同一のパターン形成条件で形成される。
【0071】
このように、本実施例の画像形成装置では、複数のカラートナー像のうち少なくとも一つのカラートナー像が基準濃度で形成できない状態であっても、重畳パターンに含まれる各色のカラートナー像が当初の基準濃度よりも低い濃度で一致するように形成される。これによりレジパターンが基準濃度で形成できない場合であっても、レジパターン501の検出精度の低下を抑制することができる。また、レジパターン501を基準濃度で形成することができる装置状態になる前に色ずれ補正を実行することができる。
【0072】
ある光量に対してレーザ光の光量をどの程度上げると感光ドラムの劣化が許容範囲を超えるかは設計時に求めることができる。レーザ光量の上昇量を許容範囲内に収えられる場合は、変更前の基準濃度よりも低い濃度で濃度パターンが形成されたカラートナーに関してレーザ光量を上げることによって重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度を高めても良い。例えば、イエローの濃度パターンのパッチの最大濃度が1.25と検出された場合に、基準濃度を1.25よりも高い1.30に変更するようにしてもよい。この場合、イエローのカラートナー像が濃度1.30で形成されるようにレーザ光の光量を上げても、感光ドラムの劣化が許容範囲内で収まることが予めわかっている。そのため、CPU401は、重畳パターンのイエロートナー像が濃度1.30で形成されるように半導体レーザ301aから出射されるレーザ光の光量を上げる指示をレーザドライバ405aに送信する。
【0073】
CPU401は、重畳パターンに含まれるカラートナー像上に形成するブラックトナー像の濃度調整も行う。ブラックトナー像はカラートナー像とは別に設定されたブラック用の基準濃度で形成される。しかしながら、カラートナー像と同様にブラックトナー像も基準濃度で形成できない場合が生じる。そこで、ブラックトナー像を基準濃度で形成できない場合、ブラックの濃度パターンの5つのパッチのうち最も高い濃度のパッチと同一のパターン形成条件で重畳パターンに含まれるブラックトナー像を形成する。
【0074】
次に、図9を用いてCPU401が実行する制御フローを説明する。まず、CPU401は、画像形成装置の電源がオンされたとき、または待機状態から復帰するときなどに本制御をスタートさせる。まず、CPU401は、中間転写ベルト104上に濃度パターン502が形成されるように各画像形成ユニットを制御する(ステップS901)。その後、CPU401は、フォトセンサ129からの検出信号に基づいて濃度パターンの各パッチの濃度(反射光量)を検出し、当該濃度と基準濃度(基準濃度に対応する反射光量データ)と比較する(ステップS902)。
【0075】
CPU401は、ステップS902における比較結果に基づいてカラートナー像を基準濃度で形成することができるかを判定する(ステップS903)。ステップS903において重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成可能であると判定された場合、CPU401は、重畳パターンに含まれるカラートナー像が基準濃度で形成されるように、画像形成ユニット103Y、103M、103Cを制御する(ステップS904)。ステップS903において、重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成できないと判定された場合、CPU401は重畳パターンに含まれる各色のカラートナー像が基準濃度未満の濃度で一致して形成されるように画像形成ユニット103Y、103M、103Cを制御する(ステップS905)。
【0076】
なお、ステップS904における重畳パターンに含まれるカラートナー像を基準濃度で形成可能である場合とは、基準濃度が濃度パターン502Y,M,Cのパッチの最大濃度と最小濃度との間に含まれている場合である。この場合、5つのパッチのいずれかと同一のパターン形成条件で重畳パターンのカラートナー像を形成することによって基準濃度近傍の濃度で形成することができる。
【0077】
ステップS904又はステップS905の後、CPU401は、重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成することができるかを判定する(ステップS906)。ステップS906において、重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成可能であると判定された場合、CPU401は、重畳パターンに含まれるブラックトナー像が基準濃度で形成されるように、画像形成ユニット103Bkを制御する(ステップS907)。ステップS906において、重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成できないと判定された場合、CPU401は重畳パターンに含まれるブラックトナー像が可能な限り基準濃度に近い濃度で形成されるように、画像形成ユニット103Bkを制御する(ステップS908)。
【0078】
なお、ステップS906における重畳パターンに含まれるブラックトナー像を基準濃度で形成可能である場合とは、重畳パターンのブラックトナー像を基準濃度で形成可能である場合とは、基準濃度が濃度パターン502Bkのパッチの最大濃度と最小濃度との間に含まれている場合である。この場合、5つのパッチのいずれかと同一のパターン形成条件で重畳パターンのブラックトナー像を形成することによって基準濃度近傍の濃度で形成することができる。
【0079】
ステップS903からステップS907に基づいて、CPU401は重畳パターンが中間転写ベルト104上(像担持体上)に形成されるように各画像形成ユニットを制御する(ステップS909)。そして、重畳パターンの検出結果に基づいて、色ずれが低減するように画像形成条件を設定する(ステップS910)。
【0080】
ステップS910の後、CPU401は画像データが入力されているか否かを判定する(ステップS911)。ステップS911において画像データが入力されていれば、CPU401はステップS910で設定された画像形成条件に基づいて各画像形成ユニットに画像を形成させる(ステップS912)。ステップS912の後、CPU401は、所定枚数の記録媒体に画像形成が行われたか否かを判定し(ステップS913)、所定枚数の記録媒体に画像が形成されていればステップS901に制御を戻す。所定枚数の記録媒体に画像形成がされていない場合、CPU401はすべての画像データに基づく画像形成が終了したか否かを判定する(ステップS914)。ステップS914において、画像形成が終了したと判定された場合、CPU401は本制御を終了させる。一方、ステップS914において画像形成が終了していない場合、CPU401はステップS912に制御を戻す。
【0081】
以上で説明したように、レジパターンが基準濃度以下の濃度で形成できないような装置状態であっても、レジパターンの濃度を基準濃度以下の濃度で一致して形成することによって、ダウンタイムを低減させることができる。
【0082】
(実施例2)
重畳パターンを用いて色ずれを検出する装置においては、重畳パターンに含まれるカラートナー像の濃度を基準濃度よりも低い濃度で形成する、実際のずれ量と検出されるずれ量との間にオフセット量が生じる。具体的には、カラートナー像の濃度を低下させて形成することによって、基準濃度でカラートナー像を形成した場合と比べて、重畳パターンを検出することによってフォトセンサ129から出力される検出信号のパルスの立ち上がりエッジ、立ち下りエッジのタイミングが変化する(図8、Ta1、Ta2、Tb1、TBb参照)。Ta1=Ta2=Tb1=Tb2であれば重畳パターンのブラックトナー像とカラートナー像とのずれ量を検出する上での検出精度に影響は出ない。しかしながら、フォトセンサ129の設置精度等の影響によりTa1=Ta2=Tb1=Tb2とならず、それによって上記オフセット量が生じる。
【0083】
このオフセット量は、副走査方向(感光ドラムの回転方向、中間転写ベルトの搬送方向)に生じる。このオフセット量は、濃度制御量に応じて以下の表に示すように設計時に求めることができる。CPU401は、重畳パターンのカラートナー像及びブラックトナー像のいずれか一方の濃度を変更して形成する場合、上記オフセット量を補正するための制御を実行する。
【0084】
【表1】
【0085】
上述したように、両トナー像に対する基準濃度はそれぞれ1.40である。両トナー像が基準濃度で形成される場合は、補正する必要がないためオフセット量は0μmである。ブラックトナー像を基準濃度で形成することができ、カラートナー像を基準濃度未満の濃度1.20で形成される場合におけるオフセット量は40μmである。
【0086】
副走査方向の画像形成位置の補正はレーザ光の出射タイミングを早めるまたは遅延させることによって行うことができる。本実施例の画像形成装置では、オフセット量が20μmの場合、レーザ光の出射タイミングをポリゴンミラー1面分だけ早める、あるいは遅延させることによって補正することができる。また、オフセット量が40μmの場合、レーザ光の出射タイミングをポリゴンミラー2面分だけ早める、あるいは遅延させることによって補正することができる。また、オフセット量が60μmの場合、レーザ光の出射タイミングをポリゴンミラー3面分だけ早める、あるいは遅延させることによって補正することができる。
【0087】
図10は、副走査方向の画像形成位置の補正方法について説明するための図である。図10(a)はBD305から出力されるBD信号の出力タイミングを示す図である。図10(b)〜(d)は、各画像形成ユニットのレーザドライバから半導体レーザに供給される駆動信号の供給タイミングを示している。図10(b)は、静電潜像を形成するときのレーザ出射タイミングを調整しない場合の一例を示す図である。即ち、オフセット量が0μmの場合、BD信号Cが検出されたことに応じて静電潜像の形成が開始される。
【0088】
図10(c)及び図10(d)は、静電潜像形成時のレーザ出射タイミングを調整することによって副走査方向の画像形成位置を調整する場合の一例を示す図である。図10(c)は、図10(b)よりも早く静電潜像の形成を開始する一例を示す図である。図10(c)に示すように、BD信号Bが検出されたことに応じて静電潜像の形成が開始される。このように、BD信号Cよりも早いタイミングで生成されるBD信号が検出されたことに応じて静電潜像の形成を開始することによって、感光ドラムの回転方向下流側(中間転写ベルト104搬送方向下流側、記録紙の搬送方向先端側)に画像形成位置をシフトさせることができる。
【0089】
図10(d)は、静電潜像の形成タイミングを図10(b)よりも遅らせる場合の一例を示す図である。図10(d)に示すように、BD信号Dが検出されたことに応じて静電潜像の形成が開始される。このように、BD信号Cよりも遅いタイミングで生成されるBD信号が検出されたことに応じて静電潜像の形成を開始することによって、感光ドラムの回転方向上流側(中間転写ベルト104搬送方向上流側、記録紙の搬送方向後端側)に画像形成位置をシフトさせることができる。
【0090】
このように、画像書き出すタイミングを示すBD信号を変更することによって、副走査方向における画像形成位置を変更することができる。
【0091】
なお、図10(a)におけるBD信号A〜Eを生成するために、図10(b)〜(d)に示すようにレーザドライバには駆動信号が供給される。レーザドライバは、BD信号が入力されてから所定のタイミングが経過(図10(b)中のt)したことに応じて、CPU401から入力される駆動信号(PWM信号)に基づく駆動電流を半導体レーザに供給する。
【0092】
図10(b)〜(d)における「画像領域」は駆動信号として入力画像データに基づいて生成されるPWM信号の供給が許可される期間を示しており、図10(b)〜(d)に示されるように「画像領域」において駆動信号が常に半導体レーザに供給されるわけではない。
【0093】
このように、レーザ光の出射タイミングを変更することによって、副走査方向の画像形成位置を変更することができる。本実施例の画像形成装置では画像形成位置を補正する場合の基準色をブラックのトナーとしているため、画像形成位置の変更はカラーのトナー像に対して行われる。
【0094】
以下、図11を用いてCPUが実行する制御フローを説明する。ステップS1101〜ステップS1109までは図9に示す制御フローと同一であるので、説明を省略する。
【0095】
次に、CPU401は、前段のステップにおいて重畳パターンに含まれるカラートナー像及びブラックトナー像の少なくとも一方を基準濃度未満で形成したかを判定する(ステップS1110)。ステップS1110においてカラートナー像及びブラックトナー像を基準濃度で形成していると判定された場合、CPU401は重畳パターンの検出結果に基づいて画像形成条件を設定する(ステップS1111)。ステップS1110においてカラートナー像及びブラックトナー像の少なくとも一方を基準濃度未満で形成している場合、CPUは重畳パターンの検出結果とRAM407に記憶された補正値とに基づいて画像形成条件を設定する(ステップS1112)。
【0096】
ステップS1111またはステップS1112の後、CPU401は画像データが入力されているか否かを判定する(ステップS1113)。ステップS1113において画像データが入力されていれば、CPU401はステップS1111またはステップS1112で設定された画像形成条件に基づいて各画像形成ユニットに画像を形成させる(ステップS1114)。ステップS1114の後、CPU401は、所定枚数の記録媒体に画像形成が行われたか否かを判定し(ステップS1115)、所定枚数の記録媒体に画像が形成されていればステップS1101に制御を戻す。所定枚数の記録媒体に画像形成がされていない場合、CPU401はすべての画像データに基づく画像形成が終了したかを判定する(ステップS1116)。ステップS1115において、画像形成が終了したと判定された場合、CPU401は本制御を終了させる。一方、ステップS1116において画像形成が終了していない場合、CPU401はステップS1114に制御を戻す。
【0097】
以上で説明したように、重畳パターンの検出結果にレジパターンを基準濃度以下で形成したことによって生じるオフセット量を補正するための補正量を加えて色ずれ補正を行うことによって、レジパターンを基準濃度で形成できない場合であっても色ずれ補正精度の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0098】
129 フォトセンサ
401 CPU
501 レジパターン
502 濃度パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に複数色のトナーを用いて画像を形成する画像形成手段であって、前記複数色のトナーを用いて、位置検出用パターン及び前記位置検出用パターンのパターン形成条件を制御するための濃度検出用パターンを前記像担持体に形成する画像形成手段と、
濃度検出用パターンを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記濃度検出用パターンの濃度に基づいて前記位置検出用パターンが基準濃度で形成されるように前記パターン形成条件を制御し、前記位置検出用パターンに基づいて前記像担持体上に形成される前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンの相対的なずれ量を算出し、前記ずれ量が低減するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記検出手段により前記濃度検出用パターンに含まれる複数色のトナー像のうち少なくとも一つのトナー像の濃度が前記基準濃度に達しない場合、前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンが前記基準濃度よりも低い所定の濃度を基準に形成されるように前記パターン形成条件を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンが前記基準濃度よりも低い所定の濃度を基準に形成されるように前記パターン形成条件が制御される場合、前記制御手段は、前記基準濃度と前記位置検出用パターンとの濃度差と前記位置検出用パターンの検出タイミングとに基づいて、前記像担持体上に形成される複数色のトナーの前記位置検出用パターンの相対的なずれ量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、前記複数色のトナーそれぞれにおいて前記濃度検出用パターンとして複数の異なる濃度のパッチを形成し、前記制御手段は、複数の前記パッチのうち基準濃度に最も近い濃度が前記基準濃度に達しているかを前記複数色のトナーそれぞれにおいて判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、前記位置検出用パターンとして前記像担持体上においてブラックトナー像の一部が露出するように前記ブラックトナー像に前記複数のカラートナー像のうちの一つを重畳させた重畳パターンを前記複数のカラートナーそれぞれに対して形成し、
前記検出手段は、前記重畳パターンに光を照射し、当該光の前記重畳パターンからの拡散反射光を検出し、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記重畳パターンに含まれる前記ブラックトナー像と前記カラートナー像との相対的なずれ量を算出し、前記ずれ量が低減するように前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、前記濃度検出用パターンとして複数の異なる濃度のパッチを形成し、前記制御手段は、複数の前記パッチのうち基準濃度に最も近い濃度で形成されるパッチと同一のパターン形成条件で前記位置検出用パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体に複数色のトナーを用いて画像を形成する画像形成手段であって、前記複数色のトナーを用いて、位置検出用パターン及び前記位置検出用パターンのパターン形成条件を制御するための濃度検出用パターンを前記像担持体に形成する画像形成手段と、
濃度検出用パターンを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される前記濃度検出用パターンの濃度に基づいて前記位置検出用パターンが基準濃度で形成されるように前記パターン形成条件を制御し、前記位置検出用パターンに基づいて前記像担持体上に形成される前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンの相対的なずれ量を算出し、前記ずれ量が低減するように前記画像形成手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記検出手段により前記濃度検出用パターンに含まれる複数色のトナー像のうち少なくとも一つのトナー像の濃度が前記基準濃度に達しない場合、前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンが前記基準濃度よりも低い所定の濃度を基準に形成されるように前記パターン形成条件を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数色のトナーの前記位置検出用パターンが前記基準濃度よりも低い所定の濃度を基準に形成されるように前記パターン形成条件が制御される場合、前記制御手段は、前記基準濃度と前記位置検出用パターンとの濃度差と前記位置検出用パターンの検出タイミングとに基づいて、前記像担持体上に形成される複数色のトナーの前記位置検出用パターンの相対的なずれ量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、前記複数色のトナーそれぞれにおいて前記濃度検出用パターンとして複数の異なる濃度のパッチを形成し、前記制御手段は、複数の前記パッチのうち基準濃度に最も近い濃度が前記基準濃度に達しているかを前記複数色のトナーそれぞれにおいて判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、前記位置検出用パターンとして前記像担持体上においてブラックトナー像の一部が露出するように前記ブラックトナー像に前記複数のカラートナー像のうちの一つを重畳させた重畳パターンを前記複数のカラートナーそれぞれに対して形成し、
前記検出手段は、前記重畳パターンに光を照射し、当該光の前記重畳パターンからの拡散反射光を検出し、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記重畳パターンに含まれる前記ブラックトナー像と前記カラートナー像との相対的なずれ量を算出し、前記ずれ量が低減するように前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、前記濃度検出用パターンとして複数の異なる濃度のパッチを形成し、前記制御手段は、複数の前記パッチのうち基準濃度に最も近い濃度で形成されるパッチと同一のパターン形成条件で前記位置検出用パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−42674(P2012−42674A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183269(P2010−183269)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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