説明

画像形成装置

【課題】本発明は、加熱手段に使用できる電力を増やして短時間での昇温可能としながら小型で安全性の高い画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成部で形成されて用紙Pに転写された画像を加熱部材1で加熱処理して用紙に定着してプリント物を生産する画像形成装置であって、主電源装置2のみから加熱部材1へ電力を供給すると共に、主電源装置2と補助電源装置3の両方から画像形成部に電力を供給する第1の電力供給モードと、主電源装置2のみから画像形成部に電力を供給すると共に、主電源装置2のみから加熱部材1に電力を供給し、加熱部材1への供給電力が加熱部材1の定格電力よりも少ない第2の電力供給モードとを備え、第1の電力供給モード時の加熱部材1への供給電力が、第2の電力供給モード時の供給電力よりも大きく設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱部材やこれと異なる電力要求部に電流を供給する電流供給手段を備えた給電制御装置と、この給電制御装置で給電制御される加熱装置、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、FAX、あるいはこれらの複合機等に代表される画像形成装置は、用紙やOHP等のシート状の記録材上に画像形成部で画像を形成して記録材へ転写している。画像形成装置で用いる画像記録方式には、様々な形式が実現されているが、その中でも高速性、画像品質、コスト等の面から上記の装置に広く採用されているのが電子写真方式である。
【0003】
電子写真方式では、記録材上に転写した未定着のトナー像を、熱と圧力で記録材上に定着するのに、定着装置を用いるのが一般的である。定着装置による定着方式としては、高速性、安全性等の面からヒートローラ方式が現在最も多く採用されている。ヒートローラ方式とは、ハロゲンヒータなどの発熱部材により加熱される加熱ローラ等の加熱部材と、これに対向配置されて加熱部材と圧接して圧接ニップ部と呼ばれる相互圧接部を形成する対向回転体と間に、加熱部材から見て被加熱体となる記録材を通過させて加熱する方式である。加熱部材には、鉄やアルミ等が芯金として用いられる金属ローラが主に使用されていて、その熱容量が大きくされている。このため、トナーを溶融して使用可能とする温度(定着温度)である約180℃前後へ昇温するには数分から十数分という長い立ち上がり時間が必要であった。
【0004】
そこで、画像形成装置では、装置使用者がプリントを行わない待機時にも、加熱部材が備えた発熱部材に電力を供給し、温度を使用可能温度(定着温度)よりやや低い予熱温度に保っている。これにより、加熱ローラが直ぐに使用可能温度(定着温度)まで立ち上がるようにして、所謂ファーストプリント時間の短縮を図っている。
【0005】
このように温度の立ち上がりを重視すると、装置を使用していない時にも画像形成には直接必要のない、いわば余分な電力が待機電力として発熱部材で消費されることになる。この待機時の消費エネルギーは、画像形成装置の消費エネルギーの約7〜8割を占めるという調査結果もある。
【0006】
近年、環境保護意識の高まりから各国で省エネ規制が制定されている。国内では省エネ法が改正されて強化され、米国でもエナジースターやZESM(Zero Energy Star Mode)などの省エネプログラムが制定されている。これらの規制やプログラムに対応するべく省電力化を図るに際し、画像形成装置では待機時の消費エネルギーを削減すると省エネ効果が大きく、装置待機状態時に電力供給を限りなくゼロにすることが要望されている。
【0007】
従来の定着装置の構成のままで、装置待機時の電力をゼロにすると、再立上時には加熱ローラの昇温に時間を要していまい、待機時間が長く装置使用者の使い勝手が悪化してしまう。このため、速やかに加熱ローラの温度を上昇させる構成が、画像形成装置において省エネを実現する上では必要とされている。例えば、前記ZESMでは装置が一旦立ち上がり、スリープ状態などの所謂、待機状態からの再立上時間を10秒以下にすると言う大変厳しい内容が要求されている。
【0008】
昇温時間を短くするためには、加熱部材の熱容量を小さくするか、あるいは加熱部材(発熱部材)への投入電力を大きくすることが考えられる。低熱容量化に関しては、加熱手段としての加熱ローラあるいは定着ローラの肉厚を従来の数mmから1mm以下へと薄肉化したり、加熱手段としてフィルムやベルト部材を用いることで、50cpm(50枚/1分)程度の中低速なプリント速度域では10〜30秒程度の短時間での立ち上がりが実現されており、昇温時間を短くすることが可能とされている。
【0009】
一方、加熱手段に対する投入電力の増大を図るには、供給電圧あるいは供給電圧を高めればよいが、日本国内の一般的なオフィスのコンセントなどの商用電源は、100V/15A(アンペア)が一般的で、事実上1500Wが供給電力の上限となるため、加熱手段への供給電力を一般的な商業電源単独で増やすことは困難であった。
【0010】
このような中低速のプリント速度域では、加熱手段の低熱容量化が短時間での昇温に有効であるが、60cpm(60枚/1分)以上の高速なプリント速度域では、単位時間あたりの記録材の通紙枚数が多いため、加熱手段が加熱される熱量よりも記録材が加熱手段から奪う熱量が多く、加熱部材の熱容量が小さいと加熱手段の温度を所定の温度に保持するのが難しかった。画像形成装置において、このような温度保持、すなわち加熱手段の温度低下は、定着不良の要因となってしまう。
【0011】
これを解決するために、プリント速度が高速域まで対応可能な画像形成装置には、電源電圧を200Vにして大電力を供給する機器もあるが、設置場所の電源に特別な工事を施す必要があり、一般的な解決法とは言えない。また、100V15Aを2系統用いて総投入電力量を上げる製品も実用化されているが、2系統のコンセントが近くにないと設置することが困難である。このため、これまでは短時間で加熱ローラ(加熱手段)を昇温しようとしても、投入エネルギーの上限が上げられないのが実状であった。
【0012】
このような背景の中、最大供給電力量を増やして定着装置の温度低下防止を実現する手法として、商用電源(100V−15A)と異なる充電可能な補助電源装置を備えた画像形成装置が提案されている。例えば、特許文献1では、図15に示すように、加熱手段に複数のヒータを発熱部材として備え、一方の発熱部材に対しては主電源装置となる商用電源から電力を供給し、他方の発熱部材には補助電源装置から電力を供給して加熱手段に対する最大電力供給量を増やし、立ち上がり時間の短縮と温度低下を防止している。補助電源装置としては、鉛蓄電池及びカドニカ電池などの二次電池が代表的なものとしてあるが、二次電池は充放電を繰り返すと電池が劣化して容量が低下していき、大電流で放電するほど寿命が短くなるという性質を持っている。
【0013】
一般的に大電流で長寿命とされているカドニカ電池でも、充放電の繰り返し回数は約500〜1000回程度であり、例えば一日に20回の充放電を繰り返すと一ヶ月程度で電池の寿命が来てしまうことになる。これでは電池交換の手間がかかると共に、電池代などのランニングコストも非常に高くつく事になってしまう。さらに、充電時間の観点からも、大容量を充電するには時間を要するため一日に何度も充放電を繰り返す用途には使用できず、実用上は実現が困難であった。二次電池の容量を大きくして充放電サイクルを浅くして使用することで繰り返し数を増やすことは可能であるが、充放電に必要な時間が長いため実用化が困難である。このように、二次電池では実用上の問題点があるため、電気二重層キャパシタなどの大容量コンデンサを補助電源装置として用いる事も特許文献1には記載されている。
【0014】
大容量コンデンサは電池と比較して次に示す有利な特徴を有している。第1に、充放電の繰り返し回数が数万回以上でほぼ無制限であり、充電特性の劣化がほとんどなく定期的なメンテナンスが不要である。第2に、充電時間が二次電池であるバッテリーで数時間を要するのに対し、数秒から数十秒程度にすることが可能である。また、電気二重層キャパシタでは数十から百アンペアの大電流も流せ、短時間での電力供給が可能である。
【0015】
補助電源装置方式を採用する別な形態としては、特許文献2が挙げられる。特許文献2では、図17に示すように、商用電源(100V−15A)から画像形成装置へDC5V、24Vなどを供給する電源装置と、補助電源装置として充電池から電力を供給する充電装置を有し、両方から供給された電力をメイン制御部へ給電し、これにより、充電池で給電する分電源装置への負荷が低減して、電源装置の最大電力低減を実現している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1のような、補助電力を補助ヒータに給電する方式では、加熱手段の発熱部材として主ヒータの他に補助ヒータが必要であり、加熱手段のサイズを小型化するには限界がある。また、図16に示すように主発熱部となる主ヒータの最大電力(例えば1200W)と補助ヒータの最大電力(例えば700W)をあわせた大電力(例えば1900W)が発熱部材に供給可能であるため、立ち上がり性を考慮して低熱容量化した構成の加熱手段の場合、装置が何らなの原因で暴走した時に過度な温度上昇を招いてしまうことが考えられる。
【0017】
特許文献2においては、蓄電流に十分な余裕のある電池を用いて画像形成動作中は常に給電を行うため、充分な蓄電流が必要である。このため、電気二重層キャパシタなど比較的容量の小さい蓄電デバイスを用いることが困難であり、キャパシタのような容量が十分確保できない蓄電装置を補助電源装置として使用できないと共に、電池の蓄電流を低減させて蓄電装置の小型化も困難であり、短時間での昇温や高速なプリント速度の画像形成装置への適用には不向きである。また、画像形成装置がハードディスク装置(HDD)やステープルなどの機器を備えている場合には、ハードディスク装置やステープルなどの瞬間的に電力を必要とする特定の装置へ補助電源装置から電力を供給する用途では、加熱手段への給電流を増やすことは難しく、短時間での昇温や高速なプリント速度の画像形成装置への適用には不向きである。
【0018】
また、図18に示すように、ハードディスク装置(HDD)の起動やステープルなど瞬間的に電力を必要とする場合にも、要求された電力供給を補助電源からの給電で行うことで、商用電源の制限電力内でシステムを実現することが可能であるが、この様に特定の装置へ補助電源を供給する用途では、定着装置への給電量を増やすことは難しく、短時間昇温や高速化などを実現することはできない。
【0019】
本発明は、加熱手段に使用できる電力を増やして短時間での昇温可能としながら小型で安全性の高い加熱装置や定着装置を提供することを、その目的とする。本発明は、さらに蓄電流の小さいデバイスを利用しても安定した電力を加熱手段に供給可能な加熱装置や定着装置を提供することを、その目的とする。
【0020】
本発明は、加熱手段に使用できる電力を増やして短時間での昇温可能としながら小型で安全性が高く、高速なプリント速度へも対応可能な定着装置及び画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、請求項1の、電力供給によって発熱する発熱部材及び電力要求部に電流を供給する電流供給手段と、前記電力給電手段から前記発熱部材及び電力要求部への電量供給を制御する制御手段とを備えた給電制御装置では、電力供給手段が主電源装置と補助電源装置を備え、制御手段が、主電源装置のみから発熱部材へ電力を供給すると共に、主電源装置と補助電源装置の両方から前記電力要求部に電力を供給する第1の電力供給モードと、主電源装置のみから電力要求部と発熱部材に電力を供給し、発熱部材への供給電力を前記発熱部材の定格電力よりも少なくする第2の電力供給モードとを備えると共に、第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力を、第2の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力よりも大きくしたことを特徴としている。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1記載の給電制御装置において、制御手段が、第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力を、該発熱部材の最大定格電力よりも小さくしたことを特徴としている。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の給電制御装置において、補助電源装置の状態を検出する補助電源状態検出手段を有し、制御手段が、少なくとも発熱部材での消費電力増大時に、補助電源状態検出手段からの検出情報に応じて第1の電力供給モードまたは第2の電力供給モードを選択切替えすることを特徴としている。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1、2または3記載の給電制御装置において、電力要求部が複数の電力負荷装置を有する場合、制御手段が、第1の電力供給モードの時に複数の電力負荷装置に同時に給電することを特徴としている。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1、2または3記載の給電制御装置において、電力要求部が複数の電力負荷装置を有する場合、制御手段が、第1の電力供給モードの時に前記複数の電力負荷装置に定電圧回路を介して給電することを特徴としている。
【0026】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の給電制御装置において、発熱部材の状態を検出する発熱状態検出手段を有し、記制御手段が、発熱状態検出手段からの検出情報に応じて補助電源装置から電力要求部への供給電力量を変化させることを特徴としている。
【0027】
請求項7の発明は、請求項6記載の給電制御装置において、発熱部材の状態は、発熱部材によって加熱される加熱部材の温度状態であり、制御手段が、発熱状態検出手段で検出される加熱部材の温度が所定温度以上の場合に、補助電源装置から電力要求部への供給電力量を低減するように制御することを特徴としている。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに給電制御装置において、出力要求部の動作状態を検出する動作状態検出手段を有し、制御手段が、この動作状態検出手段からの検出情報に応じて補助電源装置から電力要求部への供給電力量を変化させることを特徴としている。
【0029】
請求項9の発明は、請求項8記載の給電制御装置において、電力要求部の動作状態は補助電源装置の電力残量であり、制御手段が、動作状態検出手段で検出する電力残量に応じて補助電源装置から電力要求部への供給電力量を制御することを特徴としている。
【0030】
請求項10の発明は、請求項9記載の給電制御装置において、制御手段が、動作状態検出手段で検出される電力残量が予め記憶された設定値よりも低い場合に、補助電源装置から電力要求部への供給電力量を抑制するように制御することを特徴としている。
【0031】
請求項11の発明は、補助電源装置が複数のキャパシタで構成されていることを特徴としている。
請求項12は、請求項1ないし11の何れかに記載の給電制御装置を備え、この給電制御装置によって制御される発熱部材を設けた加熱部材を有する加熱装置である。
【0032】
請求項13の発明は、発熱部材の発熱により加熱される加熱部材と、この加熱部材に対して対向配置され、加熱部材との間に圧接ニップ部を形成する対向回転体とを備え、画像形成部でトナー画像が転写された記録材を圧接ニップ部に導入して挟持搬送させることでトナー画像を記録材に定着させる定着装置において、請求項1乃至11の何れかに記載の給電制御装置を備え、発熱部材への供給電力を給電制御装置で制御することで加熱部材の温度を調整することを特徴としている。
【0033】
請求項14の発明は、ベルト状の定着部材と、定着部材が巻き掛けられた複数のローラ部材と、発熱部材が発熱することで定着部材を加熱する加熱部材と、定着部材を間に挟んで一方のローラ部材との間に圧接ニップ部を形成する対向回転体とを備え、画像形成部でトナー画像が転写された記録材を圧接ニップ部に導入して挟持搬送させることでトナー画像を前記記録材に定着させる定着装置において、請求項1乃至11の何れかに記載の給電制御装置を備え、発熱部材への供給電力を給電制御装置で制御することで定着部材の温度を制御することを特徴としている。
【0034】
請求項15の発明は、請求項14または15記載の定着装置において、発熱部材に電力が供給することで発生する交番磁界によって加熱部材または定着部材を加熱する磁束発生手段を有し、給電制御装置で発熱部材への供給電力を制御することで、加熱部材または定着部材の温度を制御することを特徴としている。
【0035】
請求項16の発明は、記録材上にトナー画像を転写する画像形成部と、この転写されたトナー画像を定着装置で前記記録材上に定着することでプリント物を生産する画像形成装置において、定着装置として請求項13乃至15の何れかに記載の定着装置を備えたことを特徴としている。請求項17の発明は、請求項16記載の画像形成装置において、電力要求部が、画像形成部であることを特徴としている。
【0036】
請求項18の発明は、記録材上にトナー画像を転写する画像形成部と、この転写されたトナー画像を発熱部材で加熱される加熱部材を備えた定着装置と、画像形成部と発熱部材に電量を供給する主電源装置と補助電源装置電力を備えた電力供給手段とを有し、トナー画像が転写された記録材を定着装置内の通過させることでトナー画像を記録材に定着させてプリント物を生産する画像形成装置において、主電源装置のみから発熱部材へ電力を供給すると共に、主電源装置と補助電源装置の両方から画像形成部に電力を供給する第1の電力供給モードと、主電源装置のみから画像形成部と発熱部材に電力を供給し、発熱部材への供給電力が該発熱部材の定格電力よりも少ない第2の電力供給モードとを備えると共に、第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力を第2の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力よりも大きくなるように制御する制御手段を有することを特徴としている。
【0037】
請求項19の発明は、請求項18記載の画像形成装置において、第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力が当該発熱部材の最大定格電力よりも小さいことを特徴としている。
【0038】
請求項20の発明は、請求項18または19記載の画像形成装置において、補助電源装置の状態を検出する補助電源状態検出手段を有し、制御手段が、少なくとも記録材の通紙時に、補助電源状態検出手段からの検出情報に応じて第1の電力供給モードまたは第2の電力供給モードを選択切替えすることを特徴としている。
【0039】
請求項21の発明は、請求項18または19記載の画像形成装置において、補助電源装置の状態を検出する補助電源状態検出手段を有し、制御手段が、少なくとも装置立ち上がり時に、補助電源状態検出手段からの検出情報に応じて第1の電力供給モードまたは第2の電力供給モードを選択切替えすることを特徴としている。
【0040】
請求項22の発明は、請求項18乃至21の何れかに記載の画像形成装置において、画像形成部が複数の電力負荷装置を有し、制御手段が、第1の電力供給モードの時に、複数の電力負荷装置に同時に給電可能に制御することを特徴としている。
【0041】
請求項23の発明は、請求項18乃至21の何れかに記載の画像形成装置において、画像形成部が複数の電力負荷装置を有し、制御手段が、第1の電力供給モードの時に複数の電力負荷装置に定電圧回路を介して給電することを特徴としている。
【0042】
請求項24の発明は、請求項18乃至23の何れかに記載の画像形成装置において、発熱部材の状態を検出する発熱状態検出手段を有し、制御手段が、発熱状態検出手段からの検出情報に応じて補助電源装置から画像形成部への供給電力量を変化させることを特徴としている。
【0043】
請求項25の発明は、請求項24記載の画像形成装置において、発熱部材の状態は、加熱部材の温度状態であり、制御手段が、発熱状態検出手段で検出される加熱部材の温度が所定温度以上である場合に、補助電源装置から画像形成部への供給電力量を低減するように制御することを特徴としている。
【0044】
請求項26の発明は、請求項18乃至23の何れかに記載の画像形成装置において、画像形成部の動作状態を検出する動作状態検出手段を有し、制御手段が、動作状態検出手段からの検出情報に応じて補助電源装置から画像形成部への供給電力量を変化させることを特徴としている。
【0045】
請求項27の発明は、請求項26記載の画像形成装置において、画像形成部の動作状態は補助電源装置の電力残量であり、制御手段が、動作状態検出手段で検出される電力残量に応じて、補助電源装置から画像形成部への供給電力量を変化させると共に、プリント物の生産性が変化するように画像形成部の動作を制御することを特徴としている。
【0046】
請求項28の発明は、請求項27記載の画像形成装置において、制御手段が、動作状態検出手段で検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合には、補助電源装置から画像形成部への供給電力量を抑制すると共に、プリント物の生産性を低減させるように画像形成部の動作を制御することを特徴としている。
【0047】
請求項29の発明は、請求項18乃至28の何れかに記載の画像形成装置において、発熱部材に電力が供給することで発生する交番磁界によって加熱部材を加熱する磁束発生手段を有し、制御手段が、発熱部材への供給電力を制御することで、加熱部材の温度を制御することを特徴としている。
【0048】
請求項30の発明は、請求項18乃至29の何れかに記載の画像形成装置において、補助電源装置が複数のキャパシタで構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、主電源装置のみから発熱部材へ電力を供給すると共に、主電源装置と補助電源装置の両方から電力要求部や画像形成部に電力を供給する第1の電力供給モードと、主電源装置のみから電力要求部に電力を供給すると共に、主電源装置のみから発熱部材に電力を供給し、発熱部材への供給電力がその定格電力よりも少ない第2の電力供給モードとを備えると共に、第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力が、第2の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力よりも大きく設定したので、発熱部材には主電源装置からのみ電力が供給されることになる。このため、補助電源装置から電力供給される補助加熱手段が不要となると共に、発熱部材の最大電力を低減でき、装置の小型化を図りながら、安全性を高めることができる。また、発熱部材が補助電源装置から電力供給を受けないので、補助電源装置に要求される電力量を低減することができ、補助電源装置が複数のキャパシタで構成されている場合には、1つのキャパシタの容量を大きくしてセル数を低減でき、より小型化を図ることができる。
【0050】
本発明によれば、第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力を、発熱部材の最大定格電力よりも小さく制御するので、発熱部材に対する無駄な電力供給がなくなり、主電源装置の使用電力量を低減することができる。
【0051】
本発明によれば、補助電源装置の状態を検出する補助電源状態検出手段を有し、少なくとも発熱部材での消費電力増大時または記録材の通紙部に、補助電源状態検出手段からの検出情報に応じて第1の電力供給モードあるいは第2の電力供給モードを選択するモード切替えを行うので、補助電源装置に対する負荷を低減することができる。発熱部材が定着装置に用いられる場合には、通紙中に発熱部材への給電電力を増減すことができるため、定着装置の加熱部材や定着部材の温度低下を防止し、高速化や画像品質を確保することができる。
【0052】
本発明によれば、電力要求部や画像形成部が複数の電力負荷装置を有する場合、第1の電力供給モードの時に複数の電力負荷装置に同時に給電するように制御するので、主電源装置と補助電源装置に対する負荷が増え、発熱部材以外への補助給電電力が増加する。このため、発熱部材や発熱部材を備えた定着装置へまわせる給電電力が、電力負荷装置が単体の場合に比べて多くすることができ、発熱部材やこれを備えた定着装置に対して安定した電力供給を行え、発熱部材による加熱性能が安定する。これは定着装置の場合には定着温度の安定化を図れ、良好な定着性能を得られる。
【0053】
本発明によれば、電力要求部や画像形成部が複数の電力負荷装置を有する場合、第1の電力供給モードの時に複数の電力負荷装置に定電圧回路を介して給電するように制御するので、複数の電力負荷装置に対して安定した電圧供給を図れ、各電力負荷装置の動作が安定する。
【0054】
本発明によれば、発熱部材の状態を検出する発熱状態検出手段を有し、発熱状態検出手段からの検出情報に応じて補助電源装置から電力要求部や画像形成部への供給電力量を変化するように制御するので、発熱部材への供給電力を確保した上で電力要求部や画像形成部での電力使用を低減でき、適切な電力使用を行える。
【0055】
本発明によれば、発熱部材の状態が発熱部材によって加熱された加熱部材の温度状態であり、制御手段が、発熱状態検出手段で検出される加熱部材の温度が所定温度以上である場合には補助電源装置から電力要求部や画像形成部への供給電力量を低減するように制御するので、補助電源装置の無用な電力使用を低減できると共に、補助電源装置の充電時間を低減することができる。
【0056】
本発明によれば、電力要求部の動作状態を検出する動作状態検出手段を有し、制御手段が、動作状態検出手段からの検出情報に応じて補助電源装置から電力要求部への供給電力量を変化するように制御するので、補助電源装置の状態と電力要求部への供給電力をリンクさせることができ、補助電源装置の状態に応じて電力要求部の動作を制御することができる。特に、動作状態検出手段で検出する装置の動作状態が補助電源装置の電力残量である場合には、動作状態検出手段で検出される電力残量に応じて補助電源装置から電力要求部への供給電力量を制御するので、補助電源装置の電力残量に応じて電力要求部の動作を制御することができる。動作状態検出手段で検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合には、補助電源装置から電力要求部への供給電力量を抑制するので、補助電源装置の使用時間や、電力要求部や画像形成部の動作時間を延長することができる。
【0057】
本発明によれば、画像形成部の動作状態を検出する動作状態検出手段を有し、制御手段が、動作状態検出手段からの検出情報に応じて補助電源装置から画像形成部への供給電力量を変化させるので、補助電源装置の状態に応じて画像形成部の動作を制御することができる。特に装置の動作状態が補助電源装置の電力残量であり、動作状態検出手段で検出される電力残量に応じて、補助電源装置から画像形成部への供給電力量を変化させると共に、プリント物の生産性を変化させることで、補助電源装置の状態に応じて画像形成部でのプリント物の生産性を調整することができる。動作状態検出手段で検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合には、補助電源装置から画像形成部への供給電力量を抑制すると共に、プリント物の生産性を低減させるので、補助電源装置の使用時間や画像形成部求部の動作時間を延長することができる。
【0058】
本発明によれば、発熱部材に電力が供給することで発生する交番磁界によって加熱部材または定着部材を加熱する磁束発生手段を有し、給電制御装置で発熱部材への供給電力を制御することで、加熱部材の温度を制御するので、加熱部材にヒータの場合に比べて電力の制御が容易となり、複数電力の切替が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の一形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明が適用されるローラ定着方式の定着装置の一形態を示す断面図である。
【図3】本発明が適用されるベルト定着方式の定着装置の一形態を示す断面図である。
【図4】磁束発生手段で構成された加熱手段の一形態を示す断面図である。
【図5】(a)は発熱部材がローラ軸線方向の略全域に配置された図であり、(b)は発熱部材をローラ軸線方向にずらして配置された図である。
【図6】加熱装置と、加熱装置から給電される定着装置と画像形成装置の電力要求部としての駆動系との関係を示すブロック図である。
【図7】通紙時に補助電源装置を用いる給電パターンを示す図である。
【図8】電力供給手段側の電力変動と画像形成装置側での消費電力と加熱ローラの温度変動の関係を示す図である。
【図9】通紙時における電力供給手段の違いによる加熱部材の温度特性を示す図である。
【図10】立上時から補助電源装置を用いる給電パターンを示す図である。
【図11】電力供給手段側の電力変動と画像形成装置側での消費電力と加熱部材の温度変動の関係を示す図である。
【図12】電力供給手段の違いによる加熱部材の温度特性を示す図である。
【図13】補助電源装置を用いる給電パターンを別な形態を示す図である。
【図14】加熱装置と、加熱装置から給電される定着装置と画像形成装置の電力要求部としての駆動系との別な形態を示すブロック図である。
【図15】主発熱部材と副発熱部材を備えた従来の加熱電源の構成と給電先の関係を示すブロック図である。
【図16】図15の構成による従来の給電パターンを示す図である。
【図17】主電源装置から発熱部材と画像形成装置の駆動系に電力を供給する従来の加熱電源の構成と給電先の関係を示すブロック図である。
【図18】図17の構成による従来の給電パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明が適用された装置の一例となる画像形成装置の概要図である。図1において、画像形成装置は、その本体内部に、静電潜像担持体(像担持体)としてのドラム状の感光体41を備えている。この感光体41は、図示しない駆動モータによって図中矢印で示す時計周り方向に回転駆動されるように構成されている。感光体41の周囲には、感光体表面を均一に帯電させる帯電装置42、感光体上の潜像を現像する現像ローラ44aを備えた現像装置44、感光体上の画像(トナー画像)を記録材であり、被加熱体としての用紙Pに転写する転写装置48、感光体表面を清掃するクリーニング装置46が、感光体41の回転方向に配設されている。
【0061】
帯電装置42によって均一に帯電された感光体41の表面には、帯電装置42と現像装置44との間の露光部150に、書込み系レーザ光Lbが反射鏡43で反射されて露光光として照射される。これにより感光体表面には潜像が形成される。書込み系レーザ光Lbは、反射鏡43と図示しないポリゴンミーなどで構成された周知の書込ユニットから照射される。感光体表面に形成された潜像は、現像装置44の現像ローラ44aによって顕剤(現像剤とも言う)としてのトナーの供給を受けて顕画像化される。
【0062】
転写装置48は感光体表面と対向配置されていて、両者の間に転写部47を形成している。転写部47には、給紙装置50が有する給紙トレイ51から搬送系を構成する給紙コロ110及びレジストローラ対49を介して用紙Pが搬送される。搬送された用紙Pには、転写部47において転写装置48から印加される転写バイアスによって感光体41上の顕画像(トナー像)が静電的に転写される。
【0063】
顕画像(トナー画像)が転写された用紙Pは、転写部47よりも下流に配置された定着装置10へと図示しない搬送系を構成する図示しない搬送ローラ等で適宜搬送される。定着装置10は、図中破線で示す用紙搬送路上に設けられていて、後述する給電制御装置200から電力供給を受けて加熱される加熱部材であり定着部材でもある加熱ローラ1と、これと対向配置された対向回転体としての加圧ローラ7を備えている。加熱ローラ1と加圧ローラ7は接触して定着用の圧接ニップ部52を形成している。定着装置10へと搬送された用紙Pは、ニップ部52を通過する際に、加熱ローラ1からの熱と圧接ニップ部52に加わる圧力により用紙Pに熱定着されて図示しない排紙トレイ上に排出される。
【0064】
転写部47で用紙Pに転写されずに感光体41上に残った残留トナーは、感光体41の回転と共にクリーニング装置46に至る。そして、クリーニング装置46のクリーニング部材46aと感光体42との間を通過する際にクリーニング部材46aによって掻き落とされて清掃される。
【0065】
定着装置とこれに関連する構成部について説明する。定着装置としては、図2に示すローラ定着方式と図3に示すベルト定着方式がある。図1に示す画像形成装置の定着装置10には、図2に示すローラ定着方式を用いているが、図3に示すベルト定着方式のものを用いても良い。
【0066】
定着装置10は、図示しない駆動源によって回転される加熱ローラ1と、加熱ローラ1の外周面に圧接して圧接ニップ部52を形成する加圧ローラ7とを備え、圧接ニップ部52にトナー画像を転写された用紙Pを導入して挟持搬送させることで、トナー画像を用紙Pに熱と圧力で固着するものである。加熱ローラ1は、その内部に発熱部材としてのハロゲンヒータ60を備えていて、このハロゲンヒータ60に電力が供給されて発熱することで、その表面が所定の温度としての定着温度まで昇温される。図2において符号Tは、定着前のトナー画像を示す。
【0067】
図3に示すベルト定着方式の定着装置100は、無端ベルトで構成された定着部材としての定着ベルト101と、定着ベルト101が巻き掛けられる複数のバックアップ部材としての定着ローラ102と加熱ローラ103と、定着ベルト101を間に挟んで一方のローラとしての定着ローラ102との間に圧接ニップ部52を形成する対向回転体としての加圧ローラ104を備え、圧接ニップ部52にトナー画像Tを転写された記録材としての用紙Pを導入して挟持搬送させることで、トナー画像Tを用紙Pに熱と圧力で固着するものである。加熱ローラ103は、その内部に発熱部材としてのハロゲンヒータ60を備えていて加熱部材を構成している。加熱ローラ103は、ハロゲンヒータ60に電力が供給されて発熱することで、ローラを介して定着ベルト100の表面を所定の温度としての定着温度まで昇温する。この定着装置100では、用紙Pを搬送するために定着ローラ102と加圧ローラ104が図示しない駆動源となる駆動モータから駆動力を伝達されるように構成されている。このため、図3において、定着ローラ102は時計回り方向に回転駆動されて定着ベルト101も同方向に回転移動し、加圧ローラ104は反時計回り方向に回転駆動される。駆動形態としては、定着ローラ101あるいは加圧ローラ104の何れか一方が駆動力を受けて回転駆動する形態であってもよい。
【0068】
図2に示すように、加熱ローラ1は、金属製で筒状のローラ基体63の内部にハロゲンヒータ60を備えている。ハロゲンヒータ60は、その輻射熱でローラ基体63を加熱してローラ表面温度を昇温するように構成されている。ローラ基体63は、加熱ローラ1の基体として機能することから、アルミや鉄などの金属製であることが耐久性や加圧による変形などの点を考慮すると望ましい。本形態では、ローラ表面となるローラ基体63の外周面にトナー等の固着を防ぐための離型層1aが形成されている。ローラ内面、すなわち、ローラ基体63の内周面には、ハロゲンヒータの熱を効率よく吸収するための黒化処理をすることが望ましい。加圧ローラ7は、その芯金7aの外周にゴムなどの弾性層7bを形成されていて、加熱ローラ1との圧接時に弾性変形して圧接ニップ部52が十分に形成されるように構成されている。
【0069】
図3に示すように、加熱ローラ103は、定着ローラ102よりも、その直径が小径に形成されている。加熱ローラ103は、金属製で筒状のローラ基体103aの内部にハロゲンヒータ60を備えている。ハロゲンヒータ60は、その輻射熱でローラ基体103aを加熱してローラ表面温度を昇温して定着ベルト101を加熱昇温するように構成されている。この加熱ローラ103は、加圧ローラ104と対向しないで、定着ベルト101に張力を与えるように機能するので、図2の加熱ローラ1よりもローラ基体103aの肉厚が薄く構成されている。このため、金属部分が小径で薄肉化されているので、その熱容量が加熱ローラ1よりも小さくされている。このため、従来のような補助ヒータが不要となる。ローラ内面、すなわち、ローラ基体103aの内周面には、ハロゲンヒータ60の熱を効率よく吸収するための黒化処理をすることが望ましい。加圧ローラ104は、その芯金104aの外周にゴムなどの弾性層104bが形成されていて、加熱ローラ102との圧接時に弾性変形して圧接ニップ部52が十分に形成されるように構成されている。
【0070】
本形態において、ハロゲンヒータ60は、100Vで1200Wの出力のものを1本用いている。ハロゲンヒータ60は、図5(a)に示すように各ローラの軸線方向の全域に設ける形態としても良いし、図5(b)に示すように各ローラ中央部のみを加熱する第1ヒータ61と、ローラ両端部のみを加熱する第2ヒータ62とを設け、用紙サイズに応じてヒータへの給電を制御して非通紙部の昇温を防止する構成としてもよい。この場合、発熱部材は複数となるが、何れか一方が補助ヒータとして機能するのではなく、双方共に主ヒータとして機能する。
【0071】
本形態において、各加熱部材はそれぞれ発熱部材としてはハロゲンヒータ60で加熱されているが、加熱形態としては、このような形態に限定されるものではない。例えば、板状のセラミックヒータを各ローラの内部に配置して用いても良い。あるいは、図4に示すように、円弧状のコア701にコイル702を巻いて磁束発生手段700を構成し、コイル702に高周波を流して交番磁界によってコア701を誘導加熱して温度を昇温させる構成としても良い。この場合、加熱部材がコイル602となり、発熱部材がコア701となる。このような加熱形態としては、加熱ローラ103自体が加熱されなくても良い。
【0072】
磁束発生手段700を加熱手段として利用するメリットは、ハロゲンヒータ60の電力調整には、一般にオン/オフ制御や位相制御、もしくはゼロクロス制御などを用いるが、その出力制御はオン時間とオフ時間を混在させて平均電力を調整する方式である。このため、昇温性(立ち上がり特性)という点では好ましいが、厳密に電力の調整をすることが難しい。これに対し、誘導過熱構成では、コイル702への周波数を変化させることで加熱のための出力電力を変更することができるため、電力調整が容易である利点がある。
【0073】
次に、発熱制御手段200と加熱装置300の構成について説明する。本形態では、図2に示すローラ定着方式の定着装置10の加熱ローラ1を加熱する例で説明するが、定着装置100の加熱ローラ103を加熱する形態であっても良い。
【0074】
図1に示すように、画像形成装置は、発熱制御手段200と加熱装置400を備えている。加熱装置400は、図6に示すように、電力供給によって発熱するハロゲンヒータ60を備えた加熱ローラ1と、電力を消費する電力要求部であり画像形成部となる複数の駆動系300とに電流を供給する電流供給手段500と、電源供給手段500を制御する制御手段600とを備えている。
【0075】
電力供給手段500は、複数の電力供給手段として主電源装置2と蓄電装置である補助電源装置3、補助電源装置3への充電器4、定電圧回路としての電圧調整回路5、充放電切替手段sw1、及び主電源装置2からの電力供給を制御する主電力制御手段としてのトライアックなどの周知のスイッチ素子6及び電力配分手段9を備えている。
【0076】
主電源装置2は、図1に示すプラグ201を介して商用電源202のコンセントから電力を得て、ハロゲンヒータ60と画像形成装置の電力要求部としての複数の駆動系300にそれぞれ給電を行う。日本では100Vの電圧で15A程度の電流容量に制限されているので、主電源装置2からの電力は1500W程度が最大電力とされている。
【0077】
補助電源装置3は、電気二重層キャパシタからなるキャパシタセルを複数個接続して構成されている。補助電源装置3は、主電源装置2から充電した蓄電電力を、装置立上げ時や連続通紙時などより多くの電力供給が望まれる任意のタイミングの時に充放電切替手段sw1が切替えられることで放電供給され、主電源装置2の供給電力を越えた電力を複数の駆動系300へ給電することに構成されている。
【0078】
本形態では、補助電源装置3に用いる蓄電装置として、キャパシタ5の中でも大容量コンデンサとなる電気二重層キャパシタを用いている。大容量コンデンサは電気化学キャパシタとも呼ばれてきており、電気二重層キャパシタ、シュードキャパシタなど、動作原理によりいくつかの種類に分類できるが、充放電回数の寿命などから、特に電気二重層キャパシタを使用することが望ましい。コンデンサは、蓄電式の補助電源装置3の別な形態となる二次電池とは異なり、化学反応を伴わないため下記のような優れた特徴を有している。
【0079】
二次電池として一般的なニッケル−カドミウム電池を補助電源装置3として用いると、急速充電を行っても数時間の時間を要するため、一日の大電力供給可能回数が数時間おきに数回しか実現できず、実用的ではない。これに対し、コンデンサを補助電源装置3として用いると、数十秒〜数分程度の急速な充電が可能であるため、補助電源装置3を用いた加熱の回数を実用的な回数にまで増やすことができる。
【0080】
ニッケル−カドミウム電池は、充放電の繰り返し回数が500から1000回であるため加熱時用補助電源装置としては寿命が短く、交換の手間やコストが問題となる。これに対し、コンデンサを用いた蓄電式の補助電源装置3は、一般に1万回以上の放充電が可能で長寿命である特性を有し、繰り返しの充放電による劣化も少ない。また、鉛蓄電池のように液交換や補充なども必要ないため、メンテナンスがほとんど必要とならない。電気二重層キャパシタは、内部抵抗が5mΩ以下と蓄電池に比べて小さいため、20Aを越える大電流での使用も可能で、リチウム電池やニッケル水素電池などの二次電池よりもロスが小さく大電力を得やすい。近年は電気二重層コンデンサにも多量の電気エネルギーを蓄えられる物が開発されてきており、電気自動車などへの採用も検討されている。例えば、日本ケミコン(株)の開発した電気二重層コンデンサ等は2.5Vで2000F程度の静電容量を有しており。日本電子からは、耐電圧を3.2〜3.5Vへ上げて電力量密度を50〜75wh/kgと従来の5〜10倍にしたナノゲートキャパシタという技術も発表されている。
【0081】
充電器4では、補助電源装置3に応じた主電源装置電力の電圧調整とAC/DC変換を行って、補助電源装置3へ給電して蓄電を行う。加熱装置400は、制御手段600と接続されて電力要求部の動作状態を検出する動作状態検出手段3aを備えている。装置の動作状態とは、補助電源装置3の電力残量であり、動作状態検出手段3aは補助電源装置3の電力残量を検出している。すなわち、補助電源装置3の充電状態は、動作状態検出手段3aによって検出されていて、制御手段600が、充分充電されたことと検出すると、充電を停止し、蓄電流が少ないと判断すると充電を開始するように制御される。つまり、動作状態検出手段3aは、補助電源装置3の状態を検出する補助電源状態検出手段としても機能する。
【0082】
本形態において、補助電源装置3は定格2.5V−1200Fで、内部抵抗が5mΩ以下のΦ40で長さが120mm程度のキャパシタセルを、8本直列に接続する20Vモジュールとして構成している。直列に接続する際の各セルの電圧バランスを確保するためには、図示しない電圧バランス回路を備えることで動作の長期的な安定性を確保することが可能である。補助電源装置3は20Vの満充電状態から200wで給電を開始し、その電圧を動作状態検出手段3aで検出して半分の約10V程度まで放電をすると制御手段600によって放電が停止される。
【0083】
補助電源装置3からの供給電力量は、ハロゲンヒータ60の定格電力よりも小さい電力であり、さらには、ハロゲンヒータ60の最大定格電力(1200W)と図7に示す補助電源装置3を使わない状態での電力Wfus_run(900W)との差(300W=1200W−900W)以内の電力を供給する構成とされている。
【0084】
電圧調整回路5は、DC/DCコンバータなどの変圧手段を有し、補助電源装置3からの出力電力を画像形成装置側の負荷に応じた所定の電圧に調整する用に構成されている。電圧調整回路5は、主電源装置2から定着装置10以外の複数の駆動系300へ給電する。電圧調整回路5は、複数の駆動系300がモータなどの比較的使用電力の大きい装置へ給電するDC24Vの定電圧出力としているが、定電圧に限るものではなく、駆動系300の負荷の入力許容電圧範囲が広い場合には、それに応じて電圧が変動する構成であってもかまわない。
【0085】
電圧調整回路5は、前述の構成では、2.5V定格のセルを8本として20Vから10Vまでの範囲を24Vに出力している。このため、DC/DCコンバータ5は昇圧回路としている。電力量を増やす場合でも、12本として30Vから15Vの範囲を24Vに出力すると昇圧と降圧の機能を持たせても、20本構成として50Vから25Vの範囲を24Vに出力する降圧の機能を有する構成にしてもかまわない。特に400W以上の出力電力が大きい構成にする場合、10V程度の低い電圧領域ではキャパシタから出力する電流が大きくなるためロスが大きくなり、昇降圧もしくは降圧構成にすることが望ましい。DC/DCコンバータ5の回路を簡素化できるため、降圧構成がさらに望ましいと言える。
【0086】
スイッチ素子6は、制御手段600と接続されていて、制御手段600によってオン状態とされることでハロゲンヒータ60に対して通電をすると共に、連続してオン/オフ制御されることで、ハロゲンヒータ60への総通電流量を制御して発熱量を調整している。
【0087】
電力配分手段7は、制御手段600と接続されていて、制御手段600によって複数の駆動系300に対する主電源装置2から給電と補助電源装置3からの給電を切替えるように構成されている。すなわち、補助電源装置3の残電力がある場合には、補助電源装置3から複数の駆動系300のうち、ハードディスク装置(HDD)301と搬送用駆動系302に対して給電を行い、残電力がなくなると主電源装置2から給電するように切換制御される。このため、ハードディスク装置(HDD)301と搬送用駆動系302に対して常に必要な電力を供給することができ駆動状態とすることができる。一方、複数の駆動系300のうち、ハードディスク装置(HDD)301と搬送用駆動系302以外の各駆動系は、補助電源装置3からの給電を受けることはできず、常に主電源装置2からの給電によって駆動するように構成されている。
【0088】
制御手段600は、周知のコンピュータ演算回路で構成されていて、図示しないROM及びRAMなどの記憶手段と、各機器やセンサと接続されるコネクタを備えている。制御手段600は、主電源装置2のみからハロゲンヒータ60へ電力を供給すると共に、主電源装置2と補助電源装置3の両方から複数の駆動系300に電力を供給する第1の電力供給モードと、主電源装置2のみから複数の駆動系300に電力を供給し、主電源装置2のみからハロゲンヒータ60に電力を供給すると共に、ハロゲンヒータ60への供給電力がハロゲンヒータ60の定格電力(本形態では1200w)よりも少ない第2の電力供給モードとを備えている。制御手段600は、第1の電力供給モードにおけるハロゲンヒータ60への供給電力が、第2の電力供給モードにおけるハロゲンヒータ60への供給電力よりも大きくなるように設定されている。制御手段600は、第1の電力供給モードにおけるハロゲンヒータ60への供給電力を、ハロゲンヒータ60の最大定格電力(1200W)よりも小さく制御するように構成されている。
【0089】
制御手段600には、加熱ローラ1の発熱状態を検出する発熱状態検出手段8を備えている。発熱状態検出手段8は、加熱ローラ1の表面温度を検出する温度センサであり、検出結果を制御手段600に送信している。制御手段600は、発熱状態検出手段8の検出情報に応じて補助電源装置3から複数の駆動系300への供給電力量を変化させるように構成されている。つまり、発熱状態検出手段8で検出される温度が制御手段600に予め設定された所定温度以上である場合には、補助電源装置3から複数の駆動系300への供給電力量を低減するように制御している。
【0090】
制御手段600は、動作状態検出手段3aで検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合には、補助電源装置3から電力要求部への供給電力量を抑制するように制御する。すなわち、制御手段600は、動作状態検出手段3aで検出される電力残量に応じて、補助電源装置3から駆動系300への供給電力量を変化させると共に、プリント物の生産性を変化させるように、各部を制御する。具体的には、動作状態検出手段3aで検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合(ゼロも含む)には、補助電源装置3から駆動系300への供給電力量を抑制し、プリント物の生産性を低減させるように駆動系300を制御する。
【0091】
このような構成の加熱装置400による給電パターンを従来の給電パターンと比較しながら説明する。
図7は、画像形成装置の稼動状態と供給電力の関係を示す図であり、縦軸が供給電力、横軸が時間をそれぞれ示す。図8は、連続通紙時における加熱ローラ1(加熱部材)の温度と、ハロゲンヒータ60と非加熱部となる駆動系300での消費電力と、電源供給手段となる各電源装置からの供給電力の関係を示すものである。図7に示すように、加熱ローラ1の温度の立ち上がり区間Twuでは、主電源装置2からの給電はハロゲンヒータ60へ1200w(Wfus_wu)、その他の負荷となる駆動系300へ300W給電し、画像形成装置全体への総給電力が1500Wとなっている。この状態において、駆動する駆動系300としては、図6に示すハードディスク装置301やエンジン制御部等の比較的消費電力が少ない駆動系である。このため、図8に示す立ち上がり時においては、主電源装置1からの単独の給電で各部での消費電力を賄える。
【0092】
この状態から印刷が開始されて連続通紙が始まると、図6に示すランプなどの読取駆動系、搬送用駆動系302(モータ)、現像用駆動系(モータ)、ポリゴンミラーなどの書込駆動系と各センサ類などにも給電が必要となり、ハロゲンヒータ60以外の装置に供給する電力が、立上げ区間Twuでの300Wを超えてしまい、ハロゲンヒータ60以外の駆動系300で例えば約500Wが必要となる。また、ハロゲンヒータ60で必要な電力は、加熱ローラ1を含む定着系が十分温まると900W(Wfus_run)程度の電力で十分となり、駆動系300の要求電力500Wと合わせても1400W(Wall_run)の電力で印刷が可能となる。
【0093】
しかし、短時間で立ち上がり性能を向上するために、加熱ローラ1の熱容量を小さくした本願の定着装置10では、加熱される熱量よりも用紙Pに奪われる熱量が多く、十分に加熱ローラ1が加熱しきれず、立上げ直後に必要な電力が大きくなる。例えば、装置起動時から30秒で立ち上がって65cpm程度のプリント速度で印刷をする場合では、立上げ直後だけはハロゲンヒータ60で約1100W(Wfus_edlc_run)程度の電力が必要であった。つまり、ハロゲンヒータ60で十分に加熱ローラ1の温度を定着温度域に保持するには、ハロゲンヒータ60での要求電力が1100W(Wfus_edlc_run)必要であり、定着以外の駆動系300での要求電力500Wをそのまま給電しようとすると、合計1600W(Wall_edlc_run)が必要で主電源装置1の定格電力1500Wを超えてしまう。
【0094】
ところが、ハロゲンヒータ60での大電力(1100W:Wfus_edlc_run)は連続通紙中に常時必要ではなく、立上げ直後の数分程度の短時間だけである。そこで、本発明のように駆動系300への給電電力を補助電源装置3から例えば200W程度を数分間補助する間(Tedlc)は、主電源装置2からハロゲンヒータ60へは1100W(Wfus_edlc_run)を供給することが可能となる。
【0095】
すなわち、画像形成装置の定着装置10以外の構成要素となる駆動系300で消費される電力500Wのうち、200Wを補助電源装置1から供給することで、主電源装置1から駆動系300へ供給する電力を300Wに抑えられる。主電源装置1の定格電力は1500W(Wall_wu)であるため、主電源装置1からハロゲンヒータ60に対しては1500W−300W=1200Wまで使うことができ、定着に必要な温度を得るのに必要な1100W(Wfus_edlc_run)を十分に供給する余裕ができることになる。
【0096】
これに対し、ローラ基体が厚く低熱容量化されていない従来の加熱ローラでは、補助電源装置からのみ電力が供給される補助ヒータをローラ内に設け、補助ヒータを発熱させて加熱ローラで必要な加熱を補っていた。このため、連続通紙で用紙Pに奪われる熱量が多い場合、図9に縦軸を加熱ローラの温度、横軸を時間とした温度特性図に破線で示すように、主電源装置1からの給電だけでは定着電力が足りず、所定の最低温度(定着可能な最低温度)を下回ってしまう場合がある。しかし、本形態では、補助電源装置3からシステム部となる画像形成装置の駆動系300へ給電するので、図9に実線で示すように、補助ヒータを設けなくても加熱ローラ1の温度の落込を小さくすることが可能である。このため、加熱ローラ1の径を小型化できると共に、単位時間あたりの通紙の多い、すなわちプリント速度が早い画像形成装置に適用した場合や、普通紙に比べて厚みのある用紙P(厚紙)を通紙しても、定着不良が少なく安定した定着性能となり、良好な画像品質を得られる。
【0097】
本形態では、補助電源装置3の残電力を動作状態検出手段3aで検出し、残電力が所定値よりも少ない(残量ゼロも含む)場合、画像形成動作中であれば、補助給電を停止して、プリント物の生産性となるプリント速度(cpm)の低減させて生産性を落とするので、画像品質を確保することができる。また印刷前に残電力がないことを確認できれば、プリントスタート時からプリント速度(cpm)を落として画像品質を確保するようにしてもよい。
【0098】
制御手段600による給電制御の形態としては、連続通紙時に補助電源装置3から駆動系300へ給電する構成ではなく、図10〜図12に示すように、装置立上げ時間に補助電源装置3から駆動系300へ給電するようにしてもよい。このようにすることで立上げ時間を短縮することが可能である。
【0099】
図10は、画像形成装置の駆動系300への給電と立ち上がり時の補給給電の関係を示す特性図であり、図11は給電と立ち上がり時の加熱ローラ1(加熱部材)温度と、ハロゲンヒータ60と非加熱部となる駆動系300での消費電力と、各電源装置からの供給電力の関係を示し、図12は加熱ローラ1の温度上昇特性を示す図である。図10において縦軸は必要な電力量、横軸は時間をそれぞれ示す。図12において縦軸は加熱ローラ1の温度、横軸は時間をそれぞれ示す。
【0100】
すなわち、図10,図11において、補助電源装置3から給電のない立上げ時Twuに駆動系300での要求電力を300W、定着系(ハロゲンヒータ60)で使用される電力を1200Wとした場合、ハロゲンヒータ60の定格電力(Wfus_edlc_wu)を予め大きく、例えば1350Wに設定しておき、所定温度(定着温度)になるまでは、この多くした分の電力(150W)を補助電源装置3から駆動系300に給電することで、ハロゲンヒータ60に対する主電源装置2から利用可能な電力を増加することができる。このため、図12に示すように、主電源装置2だけを用いるより、主電源装置2と補助電源装置3を同時に用い、補助電源装置3を駆動系300に給電した方が昇温時間を短くすることができる。
【0101】
図13は、画像形成装置の稼動状態と供給電力の関係を示す図であり、縦軸を電力量、横軸を時間としている。制御手段600による給電制御の形態としては、図13に領域Aで示すように、ハロゲンヒータ60が必要とする電力の低下に応じて、領域Bで示す補助電源装置3から非加熱部材となる駆動系300への給電電力を低減することにより、補助電源装置3からの給電時間を延ばすことが可能となる。
【0102】
この場合、加熱ローラ1の温度をサーミスタなどの周知の温度検出手段で検出し、温度が十分高く加熱ローラ1への給電電力が減らせる場合には、駆動系300への補助電源装置3からの給電電力を減らし、主電源装置1から供給することで、補助電源装置3からの放電電力の削減が可能であり、充電時間の低減を図ることができる。
【0103】
図13に示す例では、補助電源装置3からの給電電力を単純に減少させているが、一旦補助給電電力を減らしても、再度必要になった場合には補助電源装置3からの電力を増やすような制御形態としてもよい。また、補助電源装置3からの電力の低減タイミングは、加熱ローラ1の温度情報だけで求めるのではなく、連続印刷時間やプリント枚数など、画像形成部側の動作情報を基に判断してもよい。
【0104】
図6に示す形態では、補助電源装置3の給電先を電力配分手段7で切替える構成としたが、図14に示すように、主電源装置2および補助電源装置3と電力配分手段7とを接続して双方からの電力を適切に配分して、複数の駆動系300へ供給するようにしても良い。この形態において、補助電源装置3に残電力がある場合には、補助電源装置3と主電源装置2の両方からの給電電力を画像形成装置の駆動系300それぞれに供給し、残電力がなくなると主電源装置2からの電力のみでハードディクス装置301と搬送用駆動系302に給電すればよい。
【0105】
実施形態では、画像形成装置、詳しくは当該装置が備えている定着装置1または定着装置100に対して本願発明を適用して説明したが、電力を主エネルギー源とする別な装置に関しても本願発明適宜応用する形態であっても無論構わない。
【符号の説明】
【0106】
1,103 加熱部材
2 主電源装置
3 補助電源装置(キャパシタ)
3a 補助電源状態検出手段
5 定電圧回路
8 状態検出手段(動作状態検出手段)
10,100 定着装置
60,61,62 発熱部材
200 発熱制御手段
300 電力要求部(画像形成部)
301〜307 電力負荷装置
400 加熱装置
500 電流供給手段
600 制御手段
700 磁束発生手段
P 記録材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2003−140484号公報
【特許文献2】特開2002−044305号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給によって発熱する発熱部材及び電力要求部に電流を供給する電流供給手段と、前記電力給電手段から前記発熱部材及び電力要求部への電量供給を制御する制御手段とを備えた給電制御装置において、
前記電力供給手段が、主電源装置と補助電源装置を備え、
前記制御手段は、前記主電源装置のみから前記発熱部材へ電力を供給すると共に、前記主電源装置と前記補助電源装置の両方から前記電力要求部に電力を供給する第1の電力供給モードと、
前記主電源装置のみから前記電力要求部と前記発熱部材に電力を供給し、前記発熱部材への供給電力を前記発熱部材の定格電力よりも少なくする第2の電力供給モードとを備えると共に、
第1の電力供給モードにおける前記発熱部材への供給電力を、第2の電力供給モードにおける前記発熱部材への供給電力よりも大きくしたことを特徴とする給電制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の給電制御装置において、
前記制御手段は、第1の電力供給モードにおける前記発熱部材への供給電力を、該発熱部材の最大定格電力よりも小さくしたことを特徴とする給電制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の給電制御装置において、
前記補助電源装置の状態を検出する補助電源状態検出手段を有し、
前記制御手段は、少なくとも前記発熱部材での消費電力増大時に、前記補助電源状態検出手段からの検出情報に応じて第1の電力供給モードまたは第2の電力供給モードを選択切替えすることを特徴とする給電制御装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の給電制御装置において、
前記電力要求部が複数の電力負荷装置を有する場合、
前記制御手段は、第1の電力供給モードの時に前記複数の電力負荷装置に同時に給電することを特徴とする給電制御装置。
【請求項5】
請求項1、2または3記載の給電制御装置において、
前記電力要求部が複数の電力負荷装置を有する場合、
前記制御手段は、第1の電力供給モードの時に前記複数の電力負荷装置に定電圧回路発熱制御手段200を介して給電することを特徴とする給電制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の給電制御装置において、
前記発熱部材の状態を検出する発熱状態検出手段を有し、
前記制御手段は、前記発熱状態検出手段からの検出情報に応じて前記補助電源装置から前記電力要求部への供給電力量を変化させることを特徴とする給電制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の給電制御装置において、
前記発熱部材の状態は、前記発熱部材によって加熱される加熱部材の温度状態であり、
前記制御手段は、前記発熱状態検出手段で検出される前記加熱部材の温度が所定温度以上の場合に、前記補助電源装置から前記電力要求部への供給電力量を低減するように制御することを特徴とする給電制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに給電制御装置において、
前記電力要求部の動作状態を検出する動作状態検出手段を有し、
前記制御手段は、前記動作状態検出手段からの検出情報に応じて前記補助電源装置から前記電力要求部への供給電力量を変化させることを特徴とする給電制御装置。
【請求項9】
請求項8記載の給電制御装置において、
前記電力要求部の状態は前記補助電源装置の電力残量であり、
前記制御手段は、前記動作状態検出手段で検出する電力残量に応じて、前記補助電源装置から前記電力要求部への供給電力量を制御することを特徴とする給電制御装置。
【請求項10】
請求項9記載の給電制御装置において、
前記制御手段は、前記動作状態検出手段で検出される電力残量が予め記憶された設定値よりも低い場合に、前記補助電源装置から前記電力要求部への供給電力量を抑制するように制御することを特徴とする給電制御装置。
【請求項11】
前記補助電源装置が複数のキャパシタで構成されていることを特徴とする給電制御装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の給電制御装置を備え、この給電制御装置によって制御される発熱部材を設けた加熱部材を有することを特徴とする加熱装置。
【請求項13】
発熱部材の発熱により加熱される加熱部材と、この加熱部材に対して対向配置され、該加熱部材との間に圧接ニップ部を形成する対向回転体とを備え、画像形成部でトナー画像が転写された記録材を前記圧接ニップ部に導入して挟持搬送させることで前記トナー画像を前記記録材に定着させる定着装置において、
請求項1乃至11の何れかに記載の給電制御装置を備え、前記発熱部材への供給電力を前記給電制御装置で制御することで前記加熱部材の温度を調整することを特徴とする定着装置。
【請求項14】
ベルト状の定着部材と、前記定着部材が巻き掛けられた複数のローラ部材と、発熱部材が発熱することで前記定着部材を加熱する加熱部材と、前記定着部材を間に挟んで一方のローラ部材との間に圧接ニップ部を形成する対向回転体とを備え、画像形成部でトナー画像が転写された記録材を前記圧接ニップ部に導入して挟持搬送させることで前記トナー画像を前記記録材に定着させる定着装置において、
請求項1乃至11の何れかに記載の給電制御装置を備え、前記発熱部材への供給電力を前記給電制御装置で制御することで前記定着部材の温度を制御することを特徴とする定着装置。
【請求項15】
請求項14または15記載の定着装置において、
前記発熱部材に電力が供給することで発生する交番磁界によって前記加熱部材または定着部材を加熱する磁束発生手段を有し、
前記給電制御装置で前記発熱部材への供給電力を制御することで、前記加熱部材または前記定着部材の温度を制御することを特徴とする定着装置。
【請求項16】
記録材上にトナー画像を転写する画像形成部と、この転写されたトナー画像を定着装置で前記記録材上に定着することでプリント物を生産する画像形成装置において、
前記定着装置として請求項13乃至15の何れかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項16記載の画像形成装置において、
前記電力要求部が、前記画像形成部であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
記録材上にトナー画像を転写する画像形成部と、この転写されたトナー画像を発熱部材で加熱される加熱部材を備えた定着装置と、前記画像形成部と前記発熱部材に電量を供給する主電源装置と補助電源装置電力を備えた電力供給手段とを有し、前記トナー画像が転写された記録材を前記定着装置内の通過させることでトナー画像を前記記録材に定着させてプリント物を生産する画像形成装置において、
前記主電源装置のみから前記発熱部材へ電力を供給すると共に、前記主電源装置と前記補助電源装置の両方から前記画像形成部に電力を供給する第1の電力供給モードと、前記主電源装置のみから前記画像形成部と前記発熱部材に電力を供給し、前記発熱部材への供給電力が該発熱部材の定格電力よりも少ない第2の電力供給モードとを備えると共に、第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力を第2の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力よりも大きくなるように制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項18記載の画像形成装置において、
第1の電力供給モードにおける発熱部材への供給電力が当該発熱部材の最大定格電力よりも小さいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
請求項18または19記載の画像形成装置において、
前記補助電源装置の状態を検出する補助電源状態検出手段を有し、
前記制御手段は、少なくとも前記記録材の通紙時に、前記補助電源状態検出手段からの検出情報に応じて第1の電力供給モードまたは第2の電力供給モードを選択切替えすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
請求項18または19記載の画像形成装置において、
前記補助電源装置の状態を検出する補助電源状態検出手段を有し、
前記制御手段は、少なくとも装置立上時に、前記補助電源状態検出手段からの検出情報に応じて第1の電力供給モードまたは第2の電力供給モードを選択切替えすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項18乃至21の何れかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成部が複数の電力負荷装置を有し、
前記制御手段は、第1の電力供給モードの時に、前記複数の電力負荷装置に同時に給電可能に制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
請求項18乃至21の何れかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成部が複数の電力負荷装置を有し、
前記制御手段は、第1の電力供給モードの時に前記複数の電力負荷装置に定電圧回路を介して給電することを特徴とする画像形成装置。
【請求項24】
請求項18乃至23の何れかに記載の画像形成装置において、
前記発熱部材の状態を検出する発熱状態検出手段を有し、
前記制御手段は、前記発熱状態検出手段からの検出情報に応じて前記補助電源装置から前記画像形成部への供給電力量を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項25】
請求項24記載の画像形成装置において、
前記発熱部材の状態は、前記加熱部材の温度状態であり、
前記制御手段は、前記発熱状態検出手段で検出される前記加熱部材の温度が所定温度以上である場合に、前記補助電源装置から前記画像形成部への供給電力量を低減するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
請求項18乃至23の何れかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成部の動作状態を検出する動作状態検出手段を有し、
前記制御手段は、前記動作状態検出手段からの検出情報に応じて前記補助電源装置から前記画像形成部への供給電力量を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項27】
請求項26記載の画像形成装置において、
前記画像形成部の動作状態は前記補助電源装置の電力残量であり、
前記制御手段は、前記動作状態検出手段で検出される電力残量に応じて、前記補助電源装置から前記画像形成部への供給電力量を変化させると共に、前記プリント物の生産性が変化するように前記画像形成部の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項28】
請求項27記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記動作状態検出手段で検出される電力残量が予め設定された設定値よりも低い場合には、前記補助電源装置から前記画像形成部への供給電力量を抑制すると共に、前記プリント物の生産性を低減させるように前記画像形成部の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項29】
請求項18乃至28の何れかに記載の画像形成装置において、
前記発熱部材に電力が供給することで発生する交番磁界によって前記加熱部材を加熱する磁束発生手段を有し、
前記制御手段は、前記発熱部材への供給電力を制御することで、前記加熱部材の温度を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項30】
請求項18乃至29の何れかに記載の画像形成装置において、
前記補助電源装置が複数のキャパシタで構成されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−48254(P2012−48254A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224106(P2011−224106)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【分割の表示】特願2005−210451(P2005−210451)の分割
【原出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】