説明

画像形成装置

【課題】記録材の裏汚れを確実に防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体上にトナー像を形成する画像形成部(16)と、ローラ間に掛け回され、その搬送面に記録材を載置して像担持体(18)と転写ローラ(31)との間を走行しており、トナー像を記録材に直接的に転写する転写ベルト(50)と、搬送面に付着した残トナーを回収して搬送面を清掃するクリーニングユニット(57)と、転写ベルトの走行方向で見て転写位置の下流側であってクリーニングユニットの上流側に配置されており、搬送面上のトナー濃度を検知する濃度検知手段(56)と、像担持体の画像濃度を補正する際には、搬送面に基準画像を形成した後の濃度検知手段の検知結果から画像濃度を補正する一方、搬送面を清掃した後にも濃度検知手段の検知結果から搬送面の清掃が必要である旨を判定したときには、搬送面をクリーニングユニットに清掃させる制御手段(92,94)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ベルトを用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では電子写真方式が用いられており、帯電器が像担持体、例えば感光体ドラムを予め帯電し、露光器が感光体ドラムの表面に光を照射すると、この感光体ドラムの表面には静電潜像が形成される。また、現像器はトナーを担持しており、現像バイアス電圧を印加すると、予め電荷を帯びたトナーは静電潜像に付着し、トナー像が形成される。
【0003】
そして、このトナー像を転写ベルト上の記録材に、或いは中間転写ベルトを介して記録材に転写して定着させる。
ここで、濃度センサを用いて画像濃度を補正する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。詳しくは、感光体ドラムに基準画像(例えばパッチ画像)を形成し、この基準画像を転写ベルトの搬送面等に転写しており、次いで、光を基準画像に照射して基準画像のトナー量を検出している。この基準画像からの光量を測定することにより、濃度の補正量を求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−92198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した転写ベルトの構成では、トナー像が記録材に転写される際に、感光体ドラムから記録材に向けて移動するトナーは、転写ベルトの搬送面にも付着することがあり(例えば、紙間でのかぶりトナー等)、この搬送面に付着した残トナーが記録材の裏汚れを起こす。そのため、この残トナーを搬送面から除去する措置が必要になる。
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、濃度センサは搬送面上の基準画像のトナー量を検知するだけであり、画像濃度の補正時以外における搬送面上のトナー濃度については検知していない。これでは、仮に転写ベルトのクリーニング装置を備えていたとしても、万一、クリーニング不良が生じていた場合には、その状態のまま画像形成が開始されてしまい、搬送面に付着した残トナーが記録材の裏汚れを生じさせるという問題がある。
【0007】
また、この問題の解決にあたり、濃度センサによるトナー量の検知位置にも留意しなければならない。当該センサによる検知値にバラツキが生ずると、画像濃度の補正が困難になるからである。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、記録材の裏汚れを確実に防止できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の発明は像担持体を有しており、その駆動によって像担持体上の潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する画像形成部と、ローラ間に掛け回され、その搬送面に記録材を載置して像担持体と転写ローラとの間を走行しており、トナー像を記録材に直接的に転写する転写ベルトと、搬送面に付着した残トナーを回収して搬送面を清掃するクリーニングユニットと、転写ベルトの走行方向で見てトナー像の転写位置の下流側であってクリーニングユニットの清掃位置の上流側に配置されており、搬送面上のトナー濃度を検知する濃度検知手段と、像担持体の画像濃度を補正する際には、搬送面に基準画像を形成した後の濃度検知手段の検知結果から画像濃度を補正する一方、搬送面を清掃した後にも濃度検知手段の検知結果から搬送面の清掃が必要である旨を判定したときには、搬送面をクリーニングユニットに清掃させる制御手段とを具備する。
【0009】
第1の発明によれば、転写ベルトは、記録材を搬送するベルトであり、像担持体と転写ローラとの間を走行しており、像担持体上に形成されたトナー像が記録材に転写される。一方、像担持体から記録材に向けて移動するトナーは、この記録材の他、転写ベルトの搬送面にも付着し得るが、この搬送面に付着した残トナーはクリーニングユニットで回収される。
【0010】
ここで、像担持体の画像濃度の補正は、転写ベルトの搬送面に基準画像を形成しておき、次いで、濃度検知手段が例えば光を基準画像に照射して基準画像のトナー量を検出する。そして、制御手段が濃度の補正量を求めて画像濃度を補正する。
しかし、本発明では、画像濃度補正時における基準画像の濃度検知に加え、この基準画像を搬送面に形成しない場合にも搬送面上のトナー濃度を検知し、搬送面のさらなる安定化を図っている。
【0011】
詳しくは、濃度検知手段は、搬送面をクリーニングユニットで清掃した後にも搬送面上の残トナーの濃度を検知しており、この検知結果は制御手段に向けて出力される。当該制御手段では、搬送面の清掃が必要であるか否か判別する。そして、この濃度検知手段の検知結果から搬送面の清掃が必要である旨を判定したとき、つまり、クリーニング不良等のときには、この搬送面をクリーニングユニットに改めて清掃させる。
【0012】
このように、画像濃度の補正時のみならず、クリーニング後における搬送面のトナー濃度の検知結果も利用しているため、転写ベルトの搬送面は従来に比して常に清掃された状態になる。この結果、搬送面に付着した残トナーによる記録材の裏汚れを確実に防止できる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、濃度検知手段は、定型サイズの記録材の両側位置から外れた位置に配置され、搬送面の濃度を検知する検知部を備えることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、像担持体の画像濃度の補正は、搬送面上の基準画像のトナー量と基準画像の無い状態のトナー量(基準値)とを比較して行われる。
ここで、定型サイズの記録材が搬送面上を繰り返し搬送されると、搬送面の同じ箇所が記録材のエッジとの接触によって傷つけられ、搬送面の表面状態が変化し易くなる。これでは、上記基準値にバラツキが生じ、求められた濃度の補正量をさらに補正しない限り、画像濃度の補正が困難になる。
【0014】
しかし、濃度検知手段の検知部は、定型サイズの記録材の両側位置から外れた位置に配置されており、上記基準値のバラツキを抑制できる。よって、複雑な補正を行うことなく画像濃度の補正を行い、良好な状態の搬送面を長期に亘って維持できる。
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、転写ベルトは、潜像に付着するトナーとは逆極性の電圧を転写ローラに印加してトナー像を記録材に直接的に転写し、クリーニングユニットは、搬送面に付着した残トナーを静電気力によって回収して搬送面を清掃することを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、転写ベルトは記録材を静電吸着搬送するベルトである。トナーは像担持体の静電潜像に付着し、像担持体にはトナー像が形成される。そして、この潜像に付着するトナーとは逆極性の電圧を転写ローラに印加すると、トナー像が記録材に転写される。つまり、このトナーは像担持体から記録材に向けて積極的に移動し、搬送面にも強く付着し得るものの、クリーニングユニットはその静電気力を用いて搬送面に付着した残トナーを回収しており、記録材の裏汚れをより一層確実に防止できる。
【0016】
しかも、静電吸着搬送する転写ベルトを用いれば、像担持体への巻きつきを容易に防止できるため、記録材の分離性が向上するし、また、次の定着に至るまで吸着させたまま搬送できることから、高速機等の性能安定化に寄与する。
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、記録材は下方から上方に向けて縦搬送されており、転写ベルトは、この下方側に配置された駆動ローラと、上方側に配置された従動ローラとの間にて傾斜して掛け回されていることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、記録材を縦搬送する際に転写ベルトを用いており、像担持体及び転写ローラだけで記録材を保持した場合に比して、記録材はより安定した姿勢で次工程に向けて移動でき、画像形成装置の良好な稼動に寄与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、濃度検知手段がクリーニング後にもトナー濃度を検知し、また、この濃度検知手段の検知位置を記録材のエッジに対してずらしており、正確な検知によって記録材の裏汚れを確実に防止できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例のプリンタの概略構成図である。
【図2】コントローラを含めた図1のプリンタの構成図である。
【図3】図1の転写ユニット周辺の説明図である。
【図4】図1の転写ユニットの斜視図である。
【図5】図4の転写ユニットの拡大図である。
【図6】図2のコントローラによる画像濃度制御や搬送面安定化制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、画像形成装置の一例であるモノクロ印刷用のプリンタ1の構造が概略的に示されている。図1に示された断面はプリンタ1の左側面からみたものである。このため、プリンタ1の前面は図1の右側に、背面は左側にそれぞれ位置する。
【0021】
図1に示されるように、プリンタ1の装置本体2の上方には排紙トレイ36が設けられ、この排紙トレイ36の近傍には、使用者の各種操作に供される複数の操作キーや、各種情報を表示する画面を配置したフロントカバー5が設けられている。
また、この装置本体2の下方には給紙カセット4が配置され、その収容部40には、枚葉の用紙(記録材)が積層された状態で収納されている。
【0022】
この図1でみて収容部40の右上方には給紙ローラ46が設けられており、用紙は、給紙カセット4の右上方に向けて送出され、この送出された用紙は、装置本体2の内部でプリンタ1の前面に沿って上方に向けて縦搬送される。
また、給紙カセット4は、プリンタ1の前面側、つまり、図1において右方向に向けて引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、収容部40に新たな用紙を補充したり、用紙を別の種類の用紙に入れ替え可能となる。
【0023】
装置本体2の内部には、給紙カセット4からの用紙搬送方向でみて下流側に搬送ローラ10、レジストローラ14、画像形成部16及び転写ユニット30が順番に配置されている。
画像形成部16には1個の感光体ドラム(像担持体)18が設けられ、この感光体ドラム18は回転自在に設置され、ドラムモータによって図1の反時計回りに駆動する。なお、本実施例の感光体ドラム18は、その表面に非晶質シリコン系の層を有したa−Siドラムである。
【0024】
図1でみて感光体ドラム18の左方には露光部15が備えられており、この露光部15からは、レーザ光が感光体ドラム18に向けて照射される。そして、図1に示されるように、感光体ドラム18の周囲の適宜位置には、帯電器20、現像器24、転写ユニット30の転写ローラ31やクリーニングユニット25がそれぞれ設けられている。
【0025】
本実施例の帯電器20は、図1でみて感光体ドラム18の左斜め上方に位置し、感光体ドラム18に接する帯電ローラや、この帯電ローラの表面を研磨摺擦する摺擦ローラを有し、感光体ドラム18の表面を帯電させる。
現像器24は感光体ドラム18の左斜め下方に配置され、感光体ドラム18に対峙する現像ローラを有する。この現像ローラは現像モータによって図1の時計回りに駆動する。
【0026】
また、露光部15と給紙カセット4との間にはブラック用のトナーコンテナ23が配設されている。
ここで、本実施例の転写ユニット30は、後述のように静電気力で用紙を吸着搬送する転写ベルト50を有し(図2,3)、当該転写ベルト50は感光体ドラム18の斜め下方に配置され、ベルトモータによって図1,3でみて時計回りに走行する。
【0027】
そして、転写ベルト50は、転写ローラ31を介して感光体ドラム18に対して右斜め下方から圧接可能に構成されている。これら転写ベルト50と感光体ドラム18とは、トナー像を用紙に転写するためのニップ部を形成する。なお、本実施例の転写ローラ31は、金属シャフト(直径8mm程度)上にEPDMの発泡ゴムを形成した直径14mm程度の大きさで構成され、転写ベルト50の裏面を感光体ドラム18に向けて押圧している。
【0028】
また、用紙搬送方向でみて転写ユニット30の下流側には、定着部32、排出分岐部34及び排出ローラ35が順番に配置されている(図1)。
本実施例では、転写ユニット30と手差しトレイ3との間に、この転写ユニット30とともに装置本体2に対して引き出し可能な搬送ユニット48を備え、この搬送ユニット48からみて装置本体2の前面側には両面印刷搬送路38が形成されている。この両面印刷搬送路38は、排出分岐部34から装置本体2の前面側で分岐して下方に向けて延び、レジストローラ14の上流側に連結している。
【0029】
上述した転写ベルト50には、ゴム製のシート材の両端部分を重ね合わせて接合したエンドレス形状のベルトや、継ぎ目を有しないシームレスのベルトが用いられており、図2に示されるように、下方のレジストローラ14側に配置された駆動ローラ52と上方の定着部32側に配置された従動ローラ54との間に平行掛けされ、傾斜した状態で時計回りに走行している。
【0030】
なお、ゴム製のシート材には例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などを使用し、トナーの離型性を高めるべく、その表面にはフッ素系(例えばPTFE)のコーティングが施されている。
また、この転写ベルト50の摩擦帯電特性は、感光体ドラム18の静電潜像に付着するトナーの摩擦帯電特性に対して逆極性の関係を有している。
【0031】
そして、転写ローラ31と感光体ドラム18との間に、その静電潜像に付着するトナーと逆極性の電圧を印加する。つまり、仮に本実施例で使用するトナーがプラス帯電性のトナーである場合には、転写ローラ31に当該トナーとは逆極性の電圧を印加すると、感光体ドラム18上のプラス帯電性のトナーは感光体ドラム18から離れ、基本的には転写ベルト50上の用紙に向かう。
【0032】
ここで、この転写ベルト50の搬送面には、この感光体ドラム18から離れたプラス帯電性のトナーや、感光体ドラム18の表面電位の上昇などで生じたマイナス帯電性のトナーが残トナーとして付着することがある。また、このプラス帯電性のトナーには、転写ベルト50の周回走行によって次第にチャージアップされた同じくプラス帯電性の残トナーも存在し得る。
【0033】
そこで、クリーニングユニット57が転写ベルト50の搬送面に残留した残トナーを除去している。
本実施例のクリーニングユニット57は、クリーニングローラ58、ブレード59や高圧基板、及びクリーニング補助部60などから構成される。
クリーニングローラ58は、転写ベルト50の走行方向で見て従動ローラ54の下流側近傍に配置され、用紙を載置する搬送面に付着した残トナーを静電気力によって回収して搬送面から除去する。
【0034】
具体的には、クリーニングローラ58は、金属製(例えばSUS430)で形成されており、転写ベルト50の幅方向に延びて回転可能に構成されている。また、クリーニングローラ58は、この転写ベルト50と同じか大きな速度(線速比:例えば1.0〜1.2)で図3の反時計回りに回転し、転写ベルト50の搬送面にトレール方向で当接する。
【0035】
ブレード59はウレタン製であり、転写ベルト50の幅方向に延び、その搬送面とは反対側にてクリーニングローラ58にカウンタ方向で当接する。
また、上述した従動ローラ54は接地され、これらクリーニングローラ58と従動ローラ54との間には、感光体ドラム18の静電潜像に付着するトナーと逆極性の電圧が高圧基板から印加されるので、転写ベルト50の搬送面からクリーニングローラ58に向かう電界が生じている。
【0036】
これにより、転写ベルト50の搬送面に付着したプラス帯電性のトナーは搬送面から回収され、クリーニングローラ58に付着する。このクリーニングローラ58に付着した残トナーはブレード59で掻き取られ、回収容器に集められる。
一方、クリーニング補助部60は、転写ベルト50の走行方向でみて駆動ローラ52の上流側近傍に配置されており、転写ベルト50の幅方向に延びて回転可能に構成される。
【0037】
このクリーニング補助部60は、その摩擦帯電特性が正規の帯電トナーとは逆極性(本実施例ではマイナス帯電性)の関係を有したブラシで構成される。そして、転写ベルト50と同じ速度(線速比:1.0)にて図3の時計回りに回転し、この転写ベルト50の搬送面にカウンタ方向で当接する。
これにより、搬送面に付着したマイナス帯電性のトナーは、クリーニングローラ58を通過しても、クリーニング補助部60で掻き乱されてプラス帯電性のトナーに総て整えられる。
【0038】
この整えられたプラス帯電性のトナーが付着したままの搬送面は、レジストローラ14の近傍にて用紙を載置し、感光体ドラム18に向かう。
次いで、転写ローラ31に上記トナーとは逆極性の電圧を印加すると、感光体ドラム18上のプラス帯電性のトナーは感光体ドラム18から離れて用紙に向かうが、転写ベルト50の搬送面に付着していたプラス帯電性のトナーは用紙の裏面に向かわず、この搬送面に付着し続ける。
【0039】
そして、クリーニングユニット57によれば、上記高圧基板によって搬送面からクリーニングローラ58に向かう電界が生じているため、この搬送面に付着し続けたプラス帯電性のトナーを搬送面から回収でき、その後の搬送面には残トナーが蓄積し難くなる。
ところで、本実施例の転写ユニット30には、濃度センサ(濃度検知手段)56が設置されている(図2)。
【0040】
これは、感光体ドラム18の画像濃度を補正する際には、まず、感光体ドラム18に画像調整用の基準画像(例えばパッチ画像)を形成し、この基準画像が転写ベルト50の搬送面に転写されるからである。
詳しくは、図3でみて従動ローラ54の右上方には支持台55が設けられており、この支持台55に濃度センサ56が取り付けられている。
【0041】
より具体的には、この図3と、搬送ユニット48側から転写ユニット30をみた図4とを合わせると容易に理解できるように、濃度センサ56は、トナー像の転写位置の下流側であってクリーニングローラ58の清掃位置の上流側に位置した転写ベルト50の搬送面上のトナー濃度を検知する。
また、本実施例の濃度センサ56は、上記図4の左側を拡大した図5に示される如く、その検知部70が定型サイズの用紙のエッジ位置から外れた位置に配置されている。
【0042】
より具体的には、当該図5において、実線で示された位置が日本で使用されるA版やB版サイズなどの用紙のエッジ位置である。また、1点鎖線で示された位置が欧米等で使用される所謂リーガルサイズなどの用紙のエッジ位置であり、本実施例の検知部70はいずれの用紙のエッジ位置には重ならない位置に配置されている。
【0043】
当該検知部70は発光部及び受光部からなり、この発光部から転写ベルト50の搬送面に向けて測定光を照射し、搬送面上の基準画像のトナーで反射した反射光を受光部で感知する。
具体的には、基準画像のトナー量が多い場合には、当該トナーとの衝突によって測定光が散乱するため、受光部での受光量が減る。この濃度センサ56の測定結果はコントローラ90に入力され(図2)、その画像濃度制御部(制御手段)92が、例えば正反射光量と乱反射光量との差分に基づいて基準画像のトナー量を計測する。これにより、濃度の補正量が求められ、画像形成部16による画像濃度に反映される。
【0044】
一方、本実施例では、この濃度センサ56の測定結果を転写ベルト50の搬送面の清浄状態の検知にも利用している。
図6を参照すると、コントローラ90による画像濃度制御や搬送面安定化制御のフローチャートが示されており、以下、上記コントローラ90を備えたプリンタ1の本発明に係る作用について説明する。
【0045】
図6のステップS601にて、コントローラ90がキャリブレーション時であると判定した場合には、ステップS602〜ステップS605に進み、感光体ドラム18の画像濃度を補正する。つまり、ステップS602では、感光体ドラム18に形成した画像調整用の基準画像を転写ベルト50の搬送面に転写し、ステップS603に進む。
【0046】
このステップS603では、画像濃度制御部92が濃度センサ56の測定結果に基づいて基準画像のトナー量を検知する。次いで、ステップS604では、画像濃度制御部92が濃度の補正量を求め、画像形成部16に出力する。そして、ステップS605に進み、この画像形成部16が外部から入力された画像データに基づいて画像形成を開始する。
【0047】
一方、上記ステップS601にてキャリブレーション時ではない場合には、ステップS606〜ステップS610に進み、転写ベルト50の搬送面の安定化を図る。
詳しくは、ステップS606では、コントローラ90は、転写ベルト50の搬送面の清掃が完了しているか否かを判別しており、例えばクリーニングユニット57が、上記基準画像のトナーの回収を開始してから所定期間が経過、或いは、所定枚数の印字が終了し、搬送面に付着した残トナーの回収を開始してから所定期間が経過していた場合、すなわち、YESと判定したときにはステップS607に進む。
【0048】
なお、この転写ベルト50の搬送面の清掃が完了していない場合にはステップS609に進んでクリーニングユニット57に清掃を実施させ、この清掃の完了後にステップS607に進む。
当該ステップS607では、図2のローラバイアス制御部(制御手段)94が濃度センサ56の測定結果に基づいて転写ベルト50の搬送面上のトナー量を検知する。
【0049】
次いで、ステップS608では、このローラバイアス制御部94がクリーニングユニット57による転写ベルト50の搬送面の清掃が正常に実施されたか否かを判別する。
そして、ローラバイアス制御部94が、クリーニング不良、つまり、残トナーが搬送面に依然として残留していたと判定した場合にはステップS609に進み、クリーニングユニット57に清掃を改めて実施させ、クリーニング不良が解消されてから待機状態に移行し、次回の画像形成に備える(ステップS610)。
【0050】
再び図1に戻り、上記プリンタ1が印刷を行う際は、給紙ローラ46によって給紙カセット4から用紙が1枚ずつ分離して送出される。送出された用紙は搬送ローラ10からレジストローラ14に到達する。このレジストローラ14は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部16で形成されるトナー像との画像転写タイミングを計りながら、用紙を所定の給紙タイミングにて転写ユニット30へと送出する。
【0051】
一方、図2の入力ポート91は、印刷の元になる画像データが外部から受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである。そして、このデータに基づき、コントローラ90ではレーザ光の照射などを制御する。
詳しくは、感光体ドラム18の表面を除電した後、帯電器20が感光体ドラム18の表面を帯電する。
【0052】
次いで、露光部15が感光体ドラム18の表面にレーザ光を照射すると、感光体ドラム18の表面には静電潜像が作られ、この静電潜像からブラック用のトナー像が形成される。
このトナー像は転写ベルト50で搬送される用紙に転写される。なお、感光体ドラム18の表面に残留したトナー等はクリーニングユニット25で除去され、また、転写ベルト50の搬送面に付着した残トナー等はクリーニングユニット57で除去される。
【0053】
続いて、用紙は未定着トナー像を担持した状態で定着部32に向けて送られ、この定着部32にて加熱及び加圧され、トナー像が定着される。その後、定着部32から送出された用紙は排出ローラ35を介して排紙トレイ36に排出され、高さ方向に積層される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部32から排出された用紙は、排出分岐部34でその搬送方向が切り替えられる。
【0054】
つまり、片面に印刷された用紙は装置本体2内に引き戻され、両面印刷搬送路38に搬送される。続いて、この用紙はレジストローラ14の上流側に向けて送出され、転写ユニット30に向けて再び送られる。これにより、用紙の未だ印刷がされていない面にトナー像が転写される。
【0055】
以上のように、本実施例によれば、転写ベルト50は、用紙を搬送するベルトであり、感光体ドラム18と転写ローラ31との間を走行しており、感光体ドラム18上に形成されたトナー像が用紙に転写される。一方、感光体ドラム18から用紙に向けて移動するトナーは、この用紙の他、転写ベルト50の搬送面にも付着し得るが、この搬送面に付着した残トナーはクリーニングユニット57で回収される。
【0056】
ここで、感光体ドラム18の画像濃度の補正は、転写ベルト50の搬送面に基準画像を形成しておき、次いで、濃度センサ56が例えば光を基準画像に照射して基準画像のトナー量を検出する。そして、画像濃度制御部92が濃度の補正量を求めて画像濃度を補正する。
しかし、本実施例では、キャリブレーション時における基準画像の濃度検知に加え、この基準画像を転写ベルト50の搬送面に形成しない場合にも搬送面上のトナー濃度を検知し、この搬送面のさらなる安定化を図っている。
【0057】
詳しくは、濃度センサ56は、転写ベルト50の搬送面をクリーニングユニット57で清掃した後にも搬送面上の残トナーの濃度を検知しており、この検知結果はローラバイアス制御部94に向けて出力される。ローラバイアス制御部94では、搬送面の清掃が必要であるか否か判別する。そして、この濃度センサ56の検知結果から搬送面の清掃が必要である旨を判定したとき、つまり、クリーニング不良等のときには、この搬送面をクリーニングユニット57に改めて清掃させる。
【0058】
このように、画像濃度の補正時のみならず、クリーニング後における搬送面のトナー濃度の検知結果も利用しているため、転写ベルト50の搬送面は従来に比して常に清掃された状態になる。この結果、搬送面に付着した残トナーによる用紙の裏汚れを確実に防止できる。
また、感光体ドラム18の画像濃度の補正は、転写ベルト50の搬送面上の基準画像のトナー量と基準画像の無い状態のトナー量(基準値)とを比較して行われる。
【0059】
ここで、定型サイズの用紙が転写ベルト50の搬送面上を繰り返し搬送されると、搬送面の同じ箇所が用紙のエッジとの接触によって傷つけられ、搬送面の表面状態が変化し易くなる。これでは、上記基準値にバラツキが生じ、求められた濃度の補正量をさらに補正しない限り、画像濃度の補正が困難になる。
しかし、濃度センサ56の検知部70は、定型サイズの用紙のエッジ位置から外れた位置に配置されており、上記基準値のバラツキを抑制できる。よって、複雑な補正を行うことなく画像濃度の補正を行い、良好な状態の搬送面を長期に亘って維持できる。
【0060】
さらに、転写ベルト50は用紙を静電吸着搬送するベルトである。トナーは感光体ドラム18の静電潜像に付着し、感光体ドラム18にはトナー像が形成される。そして、この潜像に付着するトナーとは逆極性の電圧を転写ローラ31に印加すると、トナー像が用紙に転写される。つまり、このトナーは感光体ドラム18から用紙に向けて積極的に移動し、転写ベルト50の搬送面にも強く付着し得るものの、クリーニングユニット57はその静電気力を用いて搬送面に付着した残トナーを回収しており、用紙の裏汚れをより一層確実に防止できる。
【0061】
しかも、静電吸着搬送する転写ベルト50を用いれば、感光体ドラム18への巻きつきを容易に防止できるため、用紙の分離性が向上するし、また、次の定着に至るまで吸着させたまま搬送できることから、高速機等の性能安定化に寄与する。
さらにまた、用紙を縦搬送する際に転写ベルト50を用いており、感光体ドラム18及び転写ローラ31だけで用紙を保持した場合に比して、用紙はより安定した姿勢で次の定着部32に向けて移動でき、転写巻きつき等による装置停止を防止し、プリンタ1の良好な稼動に寄与する。
【0062】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施例では、プラス帯電性のトナーを正規の帯電トナーとして説明したが、本発明はマイナス帯電のトナーを正規の帯電トナーする場合にも適用可能である。
【0063】
また、上記実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているが、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、記録材の裏汚れを確実に防止できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0064】
1 プリンタ(画像形成装置)
16 画像形成部
18 感光体ドラム(像担持体)
30 転写ユニット
31 転写ローラ
50 転写ベルト
52 駆動ローラ
54 従動ローラ
56 濃度センサ(濃度検知手段)
57 クリーニングユニット
58 クリーニングローラ
70 検知部
90 コントローラ
92 画像濃度制御部(制御手段)
94 ローラバイアス制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を有しており、その駆動によって前記像担持体上の潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する画像形成部と、
ローラ間に掛け回され、その搬送面に記録材を載置して前記像担持体と転写ローラとの間を走行しており、前記トナー像を前記記録材に直接的に転写する転写ベルトと、
前記搬送面に付着した残トナーを回収して前記搬送面を清掃するクリーニングユニットと、
前記転写ベルトの走行方向で見て前記トナー像の転写位置の下流側であって前記クリーニングユニットの清掃位置の上流側に配置されており、前記搬送面上のトナー濃度を検知する濃度検知手段と、
前記像担持体の画像濃度を補正する際には、前記搬送面に基準画像を形成した後の前記濃度検知手段の検知結果から前記画像濃度を補正する一方、前記搬送面を清掃した後にも前記濃度検知手段の検知結果から前記搬送面の清掃が必要である旨を判定したときには、前記搬送面を前記クリーニングユニットに清掃させる制御手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記濃度検知手段は、定型サイズの前記記録材の両側位置から外れた位置に配置され、前記搬送面の濃度を検知する検知部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記転写ベルトは、前記潜像に付着するトナーとは逆極性の電圧を前記転写ローラに印加して前記トナー像を前記記録材に直接的に転写し、前記クリーニングユニットは、前記搬送面に付着した残トナーを静電気力によって回収して前記搬送面を清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記記録材は下方から上方に向けて縦搬送されており、前記転写ベルトは、前記下方側に配置された駆動ローラと、前記上方側に配置された従動ローラとの間にて傾斜して掛け回されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53176(P2012−53176A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194251(P2010−194251)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】