説明

画像形成装置

【課題】積み重ねられた本体ユニットと増設ユニットとの間から騒音が漏れるのを抑制可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1において、増設ユニット5の上側に本体ユニット3が積み重ねられた際、本体ユニット側垂設壁27A、カバー垂設壁29A、及び増設ユニット側立設壁37A,37Dが、互い違いに配置される。これにより、第一ギヤ機構25と第二ギヤ機構35が互いに噛み合う位置からの騒音が、本体ユニット3と増設ユニット5との間にある隙間41Aを伝わったとしても、左端に向かって真っ直ぐに騒音が伝わることはなく、本体ユニット側垂設壁27A、カバー垂設壁29A、及び増設ユニット側立設壁37A,37Dによって阻まれるか、これらの壁間に形成される屈曲した経路43Aを伝わる間に減衰させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体ユニットの下側にオプションの増設ユニットを追加可能に構成された画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種の画像形成装置では、本体ユニット側に被記録媒体を収納できるほか、増設ユニット側にも被記録媒体を収納でき、増設ユニット側から本体ユニット側へ被記録媒体を供給して、その被記録媒体に対して画像を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−59278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような本体ユニットと増設ユニットを積み重ねると、両者間には隙間ができることがある(例えば、特許文献1の図2参照。)。そのため、このような隙間ができると、この隙間を介して本体ユニットもしくは増設ユニットの内部機構から騒音が漏れることがあり、画像形成装置周辺における静粛性が損なわれる、という問題があった。
【0005】
特に、本体ユニットや増設ユニットの外装部のすぐ内側に、騒音源となる可動機構などが配置されている場合、本体ユニット側の外装部と増設ユニット側の外装部との間に隙間があると、それらの外装部の外側へ騒音が漏れやすい、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、積み重ねられた本体ユニットと増設ユニットとの間から騒音が漏れるのを抑制可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の画像形成装置は、本体ユニットと、前記本体ユニットが上側に積み重ねられることにより、前記本体ユニットの下側に増設される増設ユニットとを備え、前記本体ユニットには、被記録媒体に対して画像を形成する画像形成手段が設けられ、前記増設ユニットには、被記録媒体を前記増設ユニット側から前記本体ユニット側へと搬送する搬送手段が設けられ、さらに、前記本体ユニット側には第一ギヤ機構が設けられるとともに、前記増設ユニット側には第二ギヤ機構が設けられ、前記本体ユニットを前記増設ユニットの上側に積み重ねた際には、前記第一ギヤ機構と前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う構造とされた画像形成装置であって、前記本体ユニットと前記増設ユニットの積み重ね方向を上下方向、前記搬送手段による被記録媒体の搬送方向に平行且つ前記上下方向に垂直な方向を前後方向、前記搬送手段による被記録媒体の搬送方向に垂直な方向を左右方向として、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、左右いずれか一方の端部側に偏った位置において互いに噛み合う構造になっており、前記増設ユニットに対向する前記本体ユニットの下面側には、下方に向かって垂設された本体ユニット側垂設壁が形成され、前記本体ユニットに対向する前記増設ユニットの上面側には、上方に向かって立設された増設ユニット側立設壁が形成され、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置よりも、さらに前記一方の端部に近い位置において、前後方向に延在する形態になっており、しかも、前記本体ユニットと前記増設ユニットが積み重ねられた際に、前記本体ユニット側垂設壁の下端が前記増設ユニット側立設壁の上端よりも下方に位置する形態とされていて、前記一方の端部側から見たときに前記本体ユニット側垂設壁の下端と前記増設ユニット側立設壁の上端が重なって見える構造とされていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された画像形成装置によれば、本体ユニット側垂設壁及び増設ユニット側立設壁は、一方の端部側から見て一部が重なって見える状態にある。そのため、第一ギヤ機構と第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置からの騒音が、本体ユニットと増設ユニットとの間にある隙間を伝わったとしても、一方の端部に向かって真っ直ぐに騒音が伝わることはない。すなわち、騒音は、本体ユニット側垂設壁及び増設ユニット側立設壁によって阻まれるか、それら二つの壁間に形成される屈曲した経路を伝わる間に減衰させられる。したがって、一方の端部から装置外へと放出される騒音を抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置よりも、左右方向について前記一方の端部とは反対側となる他方の端部に近い位置において、前後方向に延在する形態になっており、しかも、前記他方の端部側から見たときに前記本体ユニット側垂設壁の下端と前記増設ユニット側立設壁の上端が重なって見える構造とされていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された画像形成装置によれば、本体ユニット側垂設壁及び増設ユニット側立設壁は、他方の端部側から見て一部が重なって見える状態にある。そのため、第一ギヤ機構と第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置からの騒音が、本体ユニットと増設ユニットとの間にある隙間を伝わったとしても、他方の端部に向かって真っ直ぐに騒音が伝わることもない。したがって、他方の端部から装置外へと放出される騒音を抑制することができる。
【0011】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置よりも、前方の端部に近い位置において、左右方向に延在する形態になっており、しかも、前記前方の端部側から見たときに前記本体ユニット側垂設壁の下端と前記増設ユニット側立設壁の上端が重なって見える構造とされていることを特徴とする。
【0012】
このように構成された画像形成装置によれば、本体ユニット側垂設壁及び増設ユニット側立設壁は、前方の端部側から見て一部が重なって見える状態にある。そのため、第一ギヤ機構と第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置からの騒音が、本体ユニットと増設ユニットとの間にある隙間を伝わったとしても、前方の端部に向かって真っ直ぐに騒音が伝わることもない。したがって、前方の端部から装置外へと放出される騒音を抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記左右方向に延在する部分の左右両端それぞれから、さらに連続して前記前後方向に延在する部分が形成されることにより、上方から見るとコの字形をなす形態になっていることを特徴とする。
【0014】
このように構成された画像形成装置によれば、左右方向に延在する部分の左右両端において、前後方向に延在する部分との間に隙間がないので、そのような隙間があるものに比べ、騒音を抑制する効果がさらに高くなる。
【0015】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構は、前記本体ユニット側にある動力源から前記増設ユニット側にある前記搬送手段への動力伝達経路を形成していることを特徴とする。
【0016】
このように構成された画像形成装置によれば、本体ユニット側にある動力源を利用して、増設ユニット側にある搬送手段を駆動できるので、増設ユニット側には動力源を設けなくても済み、その分だけ増設ユニットの構造を簡素化し、増設ユニットの小型化や、製造コストの抑制を図ることができる。
【0017】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁のうち、少なくとも一方の壁は、間隔を空けて複数形成されており、しかも、他方の壁は、隣り合う位置にある二つの前記一方の壁間となる位置に前記他方の壁の先端が入り込んだ構造とされていることを特徴とする。
【0018】
このように構成された画像形成装置によれば、本体ユニット側垂設壁及び増設ユニット側立設壁のうち、少なくとも一方の壁は、間隔を空けて複数形成され、それら一方の壁間に他方の壁の先端が入り込んだ構造とされているので、壁間の隙間がより複雑に屈曲した形態となり、この隙間を伝わる騒音を減衰させる効果がより一層高くなる。
【0019】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記本体ユニット側垂設壁の下端が前記増設ユニット側に密着する構造、及び前記増設ユニット側立設壁の上端が前記本体ユニット側に密着する構造のうち、少なくとも一方の構造を備えていることを特徴とする。
【0020】
このように構成された画像形成装置によれば、本体ユニット側垂設壁の下端が増設ユニット側に密着する構造か、増設ユニット側立設壁の上端が本体ユニット側に密着する構造、いずれかを少なくとも備えているので、これらの構造を双方とも備えていない場合に比べ、外部へ騒音が漏れるのを抑制できる。
【0021】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記本体ユニット側垂設壁の下端が前記増設ユニット側に密着する箇所、及び前記増設ユニット側立設壁の上端が前記本体ユニット側に密着箇所には、弾性変形を伴って前記本体ユニット側及び前記増設ユニット側の双方に密着する弾性体が介装されていることを特徴とする。
【0022】
このように構成された画像形成装置によれば、弾性体を介装することにより、本体ユニット側垂設壁の下端が増設ユニット側に密着する構造、ないし増設ユニット側立設壁の上端が本体ユニット側に密着する構造を形成してあるので、本体ユニット側及び増設ユニット側そのものを弾性体で形成しなくても、所期の密着構造を実現できる。
【0023】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットの外装カバー及び前記増設ユニットの外装カバーとは別の部品上に一体成形されており、しかも、前記本体ユニットの外装カバー及び前記増設ユニットの外装カバーのうち、少なくとも一方には、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁が重なる方向について、さらに重なる位置に配置される部分が形成されていることを特徴とする。
【0024】
このように構成された画像形成装置によれば、本体ユニットの外装カバー及び増設ユニットの外装カバーのうち、少なくとも一方には、本体ユニット側垂設壁及び増設ユニット側立設壁が重なる方向について、さらに重なる位置に配置される部分が形成されているので、外部へ騒音が漏れるのを抑制する効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】画像形成装置を斜め上方から見た状態を示す斜視図。
【図2】画像形成装置の内部構造を示す縦断面図。
【図3】本体ユニットを斜め下方から見た状態を示す斜視図。
【図4】本体ユニットの平面図。
【図5】増設ユニットを斜め上方から見た状態を示す斜視図。
【図6】増設ユニットの平面図。
【図7】(a)は画像形成装置左端部の内部構造を背面側から見た縦断面図、(b)は図7(a)に示すA部の拡大図。
【図8】(a)は画像形成装置右端部の内部構造を背面側から見た縦断面図、(b)は図8(a)に示すB部の拡大図。
【図9】(a)は画像形成装置前端部の内部構造を左側面側から見た縦断面図、(b)は図9(a)に示すC部の拡大図。
【図10】(a)は弾性体を配置した変形例について図7(a)に示すA部に相当する範囲を示した説明図、(b)は別形態の弾性体を配置した変形例について図7(a)に示すA部に相当する範囲を示した説明図、(c)は主となる実施例で垂設壁及び立設壁を設けた位置を示す説明図、(d)は変形例として例示したコの字形の垂設壁及び立設壁を設ける位置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。なお、以下の説明においては、装置各部の相対的な位置関係を簡潔に説明するため、図中に併記した上下左右前後の各方向を利用して説明を行う。ただし、これらの各方向は、装置が設置される場所や装置を利用する利用者との相対的な位置関係を規定するものではない。
【0027】
[画像形成装置の構造]
画像形成装置1は、図1に示すように、本体ユニット3と、本体ユニット3が上側に積み重ねられることにより、本体ユニット3の下側に増設される増設ユニット5を備えている。
【0028】
これらのうち、本体ユニット3は、単独でも画像形成装置として利用可能な機器であり、増設ユニット5は、本体ユニット3と組み合わせることによって利用可能となるオプション機器である。
【0029】
より具体的には、本体ユニット3の下部には、前方へ引き出し可能な引き出し形のカセットトレイ7が設けられ、本体ユニット3は、このカセットトレイ7から供給される被記録媒体(例えば、記録用紙。)に対し、画像形成を行うことができるように構成されている。
【0030】
また、増設ユニット5にも、前方へ引き出し可能な引き出し形のカセットトレイ9が設けられ、本体ユニット3は、カセットトレイ9から供給される被記録媒体に対しても、画像形成を行うことができるように構成されている。
【0031】
また、この画像形成装置1は、電子写真方式で画像を形成可能な画像形成機構を備えている。具体的には、この画像形成装置1において、本体ユニット3には、供給ユニット11、搬送ローラ群12、プロセスカートリッジ13、スキャナユニット14、定着装置15、及び排出部16などが設けられている。
【0032】
これらのうち、供給ユニット11は、カセットトレイ7に収納された被記録媒体を、搬送経路(図2中に破線で図示した経路。)の下流側へと送り出す装置である。搬送ローラ群12は、搬送経路に沿って複数箇所に配置されたローラであり、供給ユニット11から送り出された被記録媒体を、搬送経路に沿って搬送方向上流側から下流側へと搬送する。
【0033】
プロセスカートリッジ13は、感光体と、その感光体上に形成される静電潜像を現像するための現像機構を備えている。スキャナユニット14は、プロセスカートリッジ13が備える感光体に対してレーザー光を照射することにより、感光体上に静電潜像を形成する装置である。スキャナユニット14によって感光体上に描かれる静電潜像は、プロセスカートリッジ13が備える現像機構によって現像されてトナー像となり、そのトナー像が、搬送ローラ群12によって搬送される被記録媒体に転写されることになる。
【0034】
定着装置15は、トナー像が転写された被記録媒体をローラ間に挟み込んで加熱及び加圧を行うことにより、トナー像を被記録媒体に定着させる装置である。定着装置15を通過した被記録媒体は、排出部16から排紙トレイ17へと排出されることになる。
【0035】
また、この画像形成装置1において、増設ユニット5には、供給ユニット18が設けられている。供給ユニット18は、カセットトレイ9に収納された被記録媒体を、搬送経路の下流側へと送り出す装置で、カセットトレイ9から供給される被記録媒体は、供給ユニット18により、増設ユニット5側から本体ユニット3側へと送り出される。
【0036】
増設ユニット5側から本体ユニット3側に至る搬送経路は、供給ユニット11の下流側において本体ユニット3側にあるカセットトレイ7からの搬送経路に合流している。そのため、増設ユニット5側から送り出された被記録媒体は、上述の合流点を通過してプロセスカートリッジ13側へと送られることになる。
【0037】
[本体ユニット下部付近の構造]
本体ユニット3は、図3及び図4に示すように、サイドフレーム21A,21Bを備えている。これらサイドフレーム21A,21Bの間には、上述したカセットトレイ7が装着され、このカセットトレイ7の下面が、サイドフレーム21A,21B間で露出する状態になっている。
【0038】
また、サイドフレーム21A,21Bは、四つの脚部22A〜22Dを備え、これらの脚部22A〜22Dで、本体ユニット3の重量が支えられる構造になっている。また、サイドフレーム21A,21Bには、増設ユニット5側との位置決めを行うため、四つの位置決め穴23A〜23Dが形成されている。
【0039】
これら四つの位置決め穴23A〜23Dのうち、左側前方にある位置決め穴23Aは、基準位置を規定する位置決め穴であり、他の位置決め穴23B〜23Dよりも径の小さい円形穴になっている。一方、他の位置決め穴23B〜23Dは、サイドフレーム21A,21Bが温度変化等に起因して変形した場合に、位置決め穴23Aとの相対距離が変動するのを吸収するため、長穴又は位置決め穴23Aよりも径の大きい穴となっている。
【0040】
また、本体ユニット3の内部で、本体ユニット3の左側に偏った位置には、第一ギヤ機構25が設けられている。この第一ギヤ機構25を構成するギヤの一部は、サイドフレーム21A下面側において外部に露出する状態になっている。なお、この第一ギヤ機構25の役割については後述する。
【0041】
さらに、本体ユニット3の下面側には、下方に向かって垂設された本体ユニット側垂設壁27A〜27Cが形成されている。これらのうち、本体ユニット側垂設壁27Aは、本体ユニット3の下面左側にあるサイドフレーム21Aに一体成形されたもので、サイドフレーム21Aの左端付近において前後方向に延在する形態になっている。
【0042】
また、本体ユニット側垂設壁27Bは、本体ユニット3の下面右側にあるサイドフレーム21Bに一体成形されたもので、サイドフレーム21Bの右端付近において前後方向に延在する形態になっている。本体ユニット側垂設壁27Cは、カセットトレイ7の前端付近の下面側に一体成形されたもので、カセットトレイ7の前端付近において左右方向に延在する形態になっている。
【0043】
これらの本体ユニット側垂設壁27A〜27Cに加え、本体ユニット3が両側面に備えるサイドカバー28A,28Bの下端には、カバー垂設壁29A,29Bが形成されている。これらのカバー垂設壁29A,29Bは、本体ユニット側垂設壁27A,27Bと平行に前後方向へと延びる形態になっている。
【0044】
[増設ユニット上部付近の構造]
増設ユニット5は、図5及び図6に示すように、サイドフレーム31A,31Bを備えている。これらサイドフレーム31A,31Bの間には、上述したカセットトレイ9が装着されている。
【0045】
また、サイドフレーム31A,31Bには、本体ユニット3側との位置決めを行うため、四つの位置決めボス33A〜33Dが突設されている。これら四つの位置決めボス33A〜33Dは、増設ユニット5の上側に本体ユニット3が積み重ねられた際に、上述した四つの位置決め穴23A〜23Dに嵌り込み、これにより、本体ユニット3と増設ユニット5の位置決めがなされる構造になっている。
【0046】
また、増設ユニット5の内部で、増設ユニット5の左側に偏った位置には、第二ギヤ機構35が設けられている。この第二ギヤ機構35を構成するギヤの一部は、サイドフレーム31Aの上面側において外部に露出する状態になっている。しかも、この第二ギヤ機構35の露出位置は、上述した第一ギヤ機構25の露出位置と対向する位置にあり、本体ユニット3を増設ユニット5の上側に積み重ねた際には、第一ギヤ機構25と第二ギヤ機構35が互いに噛み合う構造になっている。
【0047】
このように第一ギヤ機構25と第二ギヤ機構35が噛み合うと、第二ギヤ機構35は、上述した第一ギヤ機構25と協働して、本体ユニット3側から増設ユニット5側に至る動力伝達経路を構成する。より詳しくは、この画像形成装置1において、増設ユニット5が備える可動機構は、本体ユニット3側に設けられた動力源(図示略)からの動力によって駆動される仕組みになっており、その動力が第一ギヤ機構25及び第二ギヤ機構35を介して伝達される。
【0048】
さらに、増設ユニット5の上面側には、上方に向かって立設された増設ユニット側立設壁37A〜37Eが形成されている。これらのうち、増設ユニット側立設壁37A,37Dは、増設ユニット5の上面左側にあるサイドフレーム31Aに一体成形されたもので、サイドフレーム31Aの左端付近において前後方向に平行に延在する形態になっている。
【0049】
また、増設ユニット側立設壁37B,37Eは、増設ユニット5の上面右側にあるサイドフレーム31Bに一体成形されたもので、サイドフレーム31Bの右端付近において前後方向に平行に延在する形態になっている。増設ユニット側立設壁37Cは、増設ユニット5のフロントカバー38の上端側に一体成形されたもので、増設ユニット5の前端付近において左右方向に延在する形態になっている。
【0050】
[騒音抑制構造、及び効果]
この画像形成装置1においては、増設ユニット5の上側に本体ユニット3が積み重ねられた際に、上述した本体ユニット側垂設壁27A〜27C、カバー垂設壁29A,29B、及び増設ユニット側立設壁37A〜37Eによって騒音抑制構造が形成される。
【0051】
具体的には、画像形成装置1の左端側においては、図7(a)及び同図(b)に示すように、本体ユニット側垂設壁27A、カバー垂設壁29A、及び増設ユニット側立設壁37A,37Dが、図示したような位置関係で互い違いに配置される。
【0052】
より詳しくは、これら本体ユニット側垂設壁27A、カバー垂設壁29A、及び増設ユニット側立設壁37A,37Dは、いずれも前後方向に平行に延びる形態となっており、且つ左右方向には僅かずつずれた位置に突設されている。
【0053】
しかも、増設ユニット5の上側に本体ユニット3が積み重ねられた際に、本体ユニット側垂設壁27Aとカバー垂設壁29Aは、下端位置が、増設ユニット側立設壁37A,37Dの上端位置よりも下方に来る形態とされている。
【0054】
すなわち、左端側から見たときに本体ユニット側垂設壁27Aの下端と増設ユニット側立設壁37A,37Dの上端が重なって見える構造とされている。なお、ここでいう、上端と下端が重なるとは、最上端から連続するある範囲と最下端から連続するある範囲が重なることを意味しており、最上端と最下端の位置が一致するという意味ではない。
【0055】
このような構造になっていると、増設ユニット5の上側に本体ユニット3が積み重ねられた際には、二つの垂設壁27A,29Aと二つの立設壁37A,37Dが、互いに当接することなく交互に互いの間に入り込むことになる。
【0056】
そのため、このような入り組んだ構造を設けると、画像形成装置1の内部の騒音、特に第一ギヤ機構25と第二ギヤ機構35が互いに噛み合う位置からの騒音が、本体ユニット3と増設ユニット5との間にある隙間41Aを伝わったとしても、左端に向かって真っ直ぐに騒音が伝わることはない。
【0057】
すなわち、そのような騒音は、本体ユニット側垂設壁27A、カバー垂設壁29A、及び増設ユニット側立設壁37A,37Dによって阻まれるか、これらの壁間に形成される屈曲した経路43Aを伝わる間に減衰させられる。したがって、これら本体ユニット側垂設壁27A、カバー垂設壁29A、及び増設ユニット側立設壁37A,37Dにより、画像形成装置1の左方へ放出される騒音を抑制することができるのである。
【0058】
また、画像形成装置1の右端側においても、図8(a)及び同図(b)に示すように、本体ユニット側垂設壁27B、カバー垂設壁29B、及び増設ユニット側立設壁37B,37Eが、図示したような位置関係で互い違いに配置される。
【0059】
したがって、画像形成装置1の左端側同様、画像形成装置1の内部の騒音が、本体ユニット3と増設ユニット5との間にある隙間41Bを伝わったとしても、右端に向かって真っ直ぐに騒音が伝わることはない。
【0060】
すなわち、騒音は、本体ユニット側垂設壁27B、カバー垂設壁29B、及び増設ユニット側立設壁37B,37Eによって阻まれるか、これらの壁間に形成される屈曲した経路43Bを伝わる間に減衰させられる。したがって、これら本体ユニット側垂設壁27B、カバー垂設壁29B、及び増設ユニット側立設壁37B,37Eにより、画像形成装置1の右方へ放出される騒音を抑制することができる。
【0061】
さらに、画像形成装置1の前端側においても、図9(a)及び同図(b)に示すように、本体ユニット側垂設壁27C、及び増設ユニット側立設壁37Cが、図示したような位置関係で配置される。
【0062】
したがって、画像形成装置1の左端側や右端側同様、画像形成装置1の内部の騒音が、本体ユニット3と増設ユニット5との間にある隙間41Cを伝わったとしても、前端に向かって真っ直ぐに騒音が伝わることはない。
【0063】
すなわち、騒音は、本体ユニット側垂設壁27C、及び増設ユニット側立設壁37Cによって阻まれるか、これらの壁間に形成される屈曲した経路43Cを伝わる間に減衰させられる。したがって、これら本体ユニット側垂設壁27C、及び増設ユニット側立設壁37Cにより、画像形成装置1の前方へ放出される騒音を抑制することができる。
【0064】
[変形例等]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0065】
例えば、上記実施形態では、本体ユニット側垂設壁27A〜27C、及び増設ユニット側立設壁37A〜37Eそれぞれの先端は、単に対向する箇所に接するか、僅かな隙間を介して対向する構造としてあったが、図10(a)に示すように、この部分に弾性体51を介装することにより、各先端が対向する箇所(弾性体51)に密着する構造としてもよい。これら弾性体51は、図10(a)に示すように、複数箇所に配置されていてもよいが、いずれか一箇所に配置するだけでも相応の効果を期待することができる。
【0066】
あるいは、このような弾性体を用いるのであれば、図10(b)に示すように、増設ユニット側立設壁55そのものを、シャーシとは一体成形せず、弾性材料で別部品として形成してもよい。
【0067】
また、上記実施形態において、本体ユニット側垂設壁27A〜27C、及び増設ユニット側立設壁37A〜37Eは、平面視したときに真っ直ぐな直線状に見える形態とされたものを、図10(c)において斜線部61A〜61Cとして示した位置にそれぞれ設けてあったが、これらを連続させることで、図10(d)において斜線部63として示した位置に、平面視したときにコの字形に見える形態とされた垂設壁や立設壁を設けてもよい。このようなコの字形の形態とすることで、上記実施形態では不連続になっていた箇所からの騒音漏れも抑制することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、左側で前後方向に延びる増設ユニット側立設壁37A,37Dと、右側で前後方向に延びる増設ユニット側立設壁37B,37Eについては、二つの立設壁を平行に設ける例を示したが、これらは一つの立設壁でもよいし、三つ以上の立設壁を平行に設けてあってもよい。このようにいくつの壁を設けてもよい点は、本体ユニット側垂設壁についても同様である。
【0069】
また、上記実施形態では、画像形成装置1の左端側、右端側、前端側にそれぞれ立設壁及び垂設壁を設けてあったが、騒音の程度によっては、前端側を省略して、左端側及び右端側に立設壁及び垂設壁を設けてもよい。あるいは、上記実施形態のように、左端側に騒音源がある場合には、左端側だけに立設壁及び垂設壁を設けてもよく、左端側と前端側だけ、右端側と前端側だけ、といった組み合わせとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1・・・画像形成装置、3・・・本体ユニット、5・・・増設ユニット、7,9・・・カセットトレイ、11,18・・・供給ユニット、12・・・搬送ローラ群、13・・・プロセスカートリッジ、14・・・スキャナユニット、15・・・定着装置、16・・・排出部、17・・・排紙トレイ、21A,21B,31A,31B・・・サイドフレーム、22A〜22D・・・脚部、23A〜23D・・・位置決め穴、25・・・第一ギヤ機構、27A,27B,27C・・・本体ユニット側垂設壁、28A,28B・・・サイドカバー、29A,29B・・・カバー垂設壁、33A〜33D・・・位置決めボス、35・・・第二ギヤ機構、37A,37B,37C,55・・・増設ユニット側立設壁、38・・・フロントカバー、41A,41B,41C・・・隙間、43A,43B,43C・・・経路、51・・・弾性体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、前記本体ユニットが上側に積み重ねられることにより、前記本体ユニットの下側に増設される増設ユニットとを備え、前記本体ユニットには、被記録媒体に対して画像を形成する画像形成手段が設けられ、前記増設ユニットには、被記録媒体を前記増設ユニット側から前記本体ユニット側へと搬送する搬送手段が設けられ、さらに、前記本体ユニット側には第一ギヤ機構が設けられるとともに、前記増設ユニット側には第二ギヤ機構が設けられ、前記本体ユニットを前記増設ユニットの上側に積み重ねた際には、前記第一ギヤ機構と前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う構造とされた画像形成装置であって、
前記本体ユニットと前記増設ユニットの積み重ね方向を上下方向、前記搬送手段による被記録媒体の搬送方向に平行且つ前記上下方向に垂直な方向を前後方向、前記搬送手段による被記録媒体の搬送方向に垂直な方向を左右方向として、
前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、左右いずれか一方の端部側に偏った位置において互いに噛み合う構造になっており、
前記増設ユニットに対向する前記本体ユニットの下面側には、下方に向かって垂設された本体ユニット側垂設壁が形成され、
前記本体ユニットに対向する前記増設ユニットの上面側には、上方に向かって立設された増設ユニット側立設壁が形成され、
前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置よりも、さらに前記一方の端部に近い位置において、前後方向に延在する形態になっており、しかも、前記本体ユニットと前記増設ユニットが積み重ねられた際に、前記本体ユニット側垂設壁の下端が前記増設ユニット側立設壁の上端よりも下方に位置する形態とされていて、前記一方の端部側から見たときに前記本体ユニット側垂設壁の下端と前記増設ユニット側立設壁の上端が重なって見える構造とされている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置よりも、左右方向について前記一方の端部とは反対側となる他方の端部に近い位置において、前後方向に延在する形態になっており、しかも、前記他方の端部側から見たときに前記本体ユニット側垂設壁の下端と前記増設ユニット側立設壁の上端が重なって見える構造とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットと前記増設ユニットとが対向する範囲のうち、前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構が互いに噛み合う位置よりも、前方の端部に近い位置において、左右方向に延在する形態になっており、しかも、前記前方の端部側から見たときに前記本体ユニット側垂設壁の下端と前記増設ユニット側立設壁の上端が重なって見える構造とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記左右方向に延在する部分の左右両端それぞれから、さらに連続して前記前後方向に延在する部分が形成されることにより、上方から見るとコの字形をなす形態になっている
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一ギヤ機構及び前記第二ギヤ機構は、前記本体ユニット側にある動力源から前記増設ユニット側にある前記搬送手段への動力伝達経路を形成している
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁のうち、少なくとも一方の壁は、間隔を空けて複数形成されており、しかも、他方の壁は、隣り合う位置にある二つの前記一方の壁間となる位置に前記他方の壁の先端が入り込んだ構造とされている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記本体ユニット側垂設壁の下端が前記増設ユニット側に密着する構造、及び前記増設ユニット側立設壁の上端が前記本体ユニット側に密着する構造のうち、少なくとも一方の構造を備えている
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記本体ユニット側垂設壁の下端が前記増設ユニット側に密着する箇所、及び前記増設ユニット側立設壁の上端が前記本体ユニット側に密着箇所には、弾性変形を伴って前記本体ユニット側及び前記増設ユニット側の双方に密着する弾性体が介装されている
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁は、前記本体ユニットの外装カバー及び前記増設ユニットの外装カバーとは別の部品上に一体成形されており、
しかも、前記本体ユニットの外装カバー及び前記増設ユニットの外装カバーのうち、少なくとも一方には、前記本体ユニット側垂設壁及び前記増設ユニット側立設壁が重なる方向について、さらに重なる位置に配置される部分が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−53207(P2012−53207A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194709(P2010−194709)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】