画像形成装置
【課題】記録ヘッドのノズル面を垂直方向に配設した水平打ちではキャリッジのピッチングが生じて画像品質が低減する。
【解決手段】キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向で、キャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21とキャリッジ23の重心位置Oとの間に配置され、軸受231には主ガイド軸21の周面に摺動自在に当接する2つの斜面232A、232Bを有し、軸受231の斜面232A、232Bは、2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21の外周面との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点P1とガイド軸中心P2とを通る線Lが、ノズル面124に沿う方向の線Lnと斜めに交差する状態で配置されて、液体供給チューブ301は鉛直方向に湾曲されて配置されている。
【解決手段】キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向で、キャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21とキャリッジ23の重心位置Oとの間に配置され、軸受231には主ガイド軸21の周面に摺動自在に当接する2つの斜面232A、232Bを有し、軸受231の斜面232A、232Bは、2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21の外周面との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点P1とガイド軸中心P2とを通る線Lが、ノズル面124に沿う方向の線Lnと斜めに交差する状態で配置されて、液体供給チューブ301は鉛直方向に湾曲されて配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものである。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置として、上述したように、画像形成手段である液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドをキャリッジに搭載し、キャリッジをガイド軸に沿って主走査方向に移動走査し、媒体を主走査方向と直交する副走査方向に間歇的に移動させながら、記録ヘッドから液滴を吐出させて画像を形成するシリアル型画像形成装置が知られている。
【0005】
このシリアル型画像形成装置においては、インク着弾精度向上のために、キャリッジ挙動の安定性を必要とする。そこで、キャリッジの挙動の安定化を図るために、キャリッジ牽引時に重量、重心位置、摺動位置などから牽引位置を設定する。また、キャリッジの軸受部に2点支持軸受、即ちガイド軸と接触する2つの斜面を有する軸受(ガイド軸心方向に見て接触部がハ字形状に配置された軸受)を用いることが知られている(特許文献1、2)。
【0006】
例えば、特許文献1に開示の構成では、ガイド軸と接触する2つの傾斜面と鉛直方向線とがなす角度を、キャリッジ加減速時に2点支持軸受がガイド軸から浮き上がろうとする力より浮き上がりを妨げる力の方が大きくなるように設定している。
【0007】
また、シリアル型画像形成装置において、キャリッジ側にヘッドタンクを搭載し、装置本体側の着脱自在に装着されるメインタンク(インクカートリッジ)側からインク供給チューブを介してインクを供給する構成とする場合、インク供給チューブを被記録媒体の搬送面に沿う方向で(面内で)這い回すことが一般的であるが、インク供給チューブを被記録媒体の搬送面と直交する方向で這い回すものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3745747号公報
【特許文献2】特許第3858998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、液体吐出方式の画像形成装置として、被記録媒体を鉛直方向に沿う方向又は鉛直方向に沿う方向に対して傾斜した方向に向けて搬送し、被記録媒体に対して水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッドを往復移動させながら、記録ヘッドから液滴を吐出させて被記録媒体に画像を形成させる構成のもの、つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向(鉛直方向も同義とする。)又は垂直方向に対して傾斜して配置され、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッドを有する構成のものがある。なお、被記録媒体を鉛直方向に沿う方向又は鉛直方向に沿う方向に対して傾斜した方向に向けて搬送し、被記録媒体に対して水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出する方式を「水平打ち」という。ここで、水平方向に対して傾斜した方向とは、例えば水平方向を基準として斜め下方向に45°傾斜した位置から斜め上方向に45°傾斜した範囲とし、この範囲を「水平方向」というものとする(鉛直方向に沿う方向に対する傾斜、「垂直方向」の意味も同様とする。)。なお、媒体搬送方向と滴吐出方向を上記と逆の関係にしたものを「垂直打ち」という。
【0010】
ここで、垂直打ちの場合には、記録ヘッドのノズル面が水平方向に配置されているので、キャリッジ走査時にキャリッジが水平方向平面で振れるヨーイングが発生すると、滴着弾位置ずれが生じることになる。このキャリッジのヨーイング挙動を低減するためには、2つの斜面の鉛直方向に対する角度を設定することが有効である。
【0011】
これに対し、水平打ちの場合には、記録ヘッドのノズル面が水平方向に配置されているので、キャリッジ走査時にキャリッジが垂直方向平面で振れるピッチングが発生すると、滴着弾位置ずれが生じることになる。この場合、垂直打ちと同様に、ガイド軸に対して鉛直方向から2つの斜面でガイド軸を挟み込む配置にすると、ピッチングが大きくなる。また、ノズル面を水平方向から垂直方向にしたことに伴ってそのまま2つの斜面の水平方向に方向転換するだけではピッチングを低減することはできない。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、水平打ちにおけるキャリッジのピッチングを低減して画像品質を向上し、液体供給チューブの復元力によるキャリッジ挙動の影響を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドが搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
前記キャリッジを前記主走査方向に案内するガイド軸と、
前記キャリッジに搭載されて前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
装置本体側に着脱自在に装着された前記液体を収容したメインタンクと、
前記メインタンクと前記ヘッドタンクとをつなぐ液体供給チューブと、を備え、
前記記録ヘッドは、前記ノズル面が垂直方向又は垂直方向に対して傾斜して前記キャリッジに搭載されて、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出し、
前記キャリッジには、前記ガイド軸の周面に摺動可能に当接する2つの斜面を有する軸受を備え、
前記ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、
前記軸受の前記2つの斜面は、
前記軸受の前記2つの斜面と前記ガイド軸の外周面との各接触点における前記ガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点と前記ガイド軸中心とを通る線が、前記ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置され、
前記液体供給チューブは、主走査方向に沿って這い回され、装置本体の底部側から前記記録ヘッドで画像が形成される被記録媒体の搬送方向に沿って湾曲する湾曲部を経て、高さ方向で上方の前記キャリッジに取付けられている
構成とした。
【0014】
ここで、前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位と前記キャリッジの重心位置との間に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側にある構成とできる。
【0015】
また、前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの重心位置に対して前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位の反対側に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側と反対側にある構成とできる。
【0016】
また、前記ガイド軸に摺動自在に接触する摺動部材と、
前記摺動部材を前記ガイド軸側に付勢する付勢手段と、を備えている
構成とできる。
【0017】
この場合、前記摺動部材は前記ガイド軸と当接する斜面が形成されている構成とできる。
【0018】
また、前記摺動部材は楔形状である構成とできる。
【0019】
また、前記装置本体の底部側には前記液体供給チューブを案内するチューブガイド部材が設けられ、前記チューブガイド部材は主走査方向に沿って傾斜している構成とできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る画像形成装置によれば、ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、軸受の2つの斜面は、軸受の2つの斜面とガイド軸の外周面との各接触点におけるガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点とガイド軸中心とを通る線が、ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置され、液体供給チューブは、主走査方向に沿って這い回され、装置本体の底部側から記録ヘッドで画像が形成される被記録媒体の搬送方向に沿って湾曲する湾曲部を経て、高さ方向で上方のキャリッジに取付けられている構成としたので、水平打ち方式におけるキャリッジのピッチングが低減して、画像品質を向上でき、液体供給チューブの復元力によるキャリッジ挙動に対する影響も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図2】図1を矢示A方向から見た説明図である。
【図3】記録ヘッドの説明図である。
【図4】同装置におけるキャリッジ部分の側面説明図である。
【図5】同じく正面説明図である。
【図6】垂直打ち方式の装置におけるキャリッジのヨーイングの説明に供する斜視説明図である。
【図7】水平打ち方式の装置におけるキャリッジのピッチングの説明に供する正面説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態におけるキャリッジの軸受構造の説明に供するキャリッジ部分の平面説明図である。
【図9】同じく図8の右側面説明図である。
【図10】同じく軸受の拡大説明図である。
【図11】同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【図12】2点支持軸受にかかる力の説明に供する説明図である。
【図13】軸受のインサート角度(傾斜角度)の具体例の説明に供する説明図である。
【図14】本発明の第2実施形態におけるキャリッジのガイド軸に対する支持構造に説明に供するキャリッジ部分の側面説明図である。
【図15】同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【図16】本発明の第3実施形態の説明に供する要部説明図である。
【図17】同じく付勢部材の説明に供する拡大説明図である。
【図18】本発明の第4実施形態の説明に供する要部説明図である。
【図19】本発明の第5実施形態の説明に供する図2と同様な説明図である。
【図20】軸受の斜面の角度と液体供給チューブの復元力の方向に関係の説明に供する側面説明図である。
【図21】液体供給チューブを鉛直方向に対して斜め方向に配設する例の説明に供する模式的説明図である。
【図22】同実施形態の液体供給チューブの配設方向の説明に供する模式的説明図である。
【図23】キャリッジ側チューブ固定部と本体側チューブ固定部との位置関係の説明に供する模式的説明図である。
【図24】チューブ復元力によりキャリッジをガイド軸に押圧するためのチューブ固定部の位置の説明に供する模式的説明図である。
【図25】装置本体側のチューブガイド部材の説明に供する模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の側面説明図、図2は図1を矢示A方向から見た説明図である。
【0023】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側に被記録媒体である用紙10を積載可能な給紙トレイ(給紙カセットを含み、給紙部の意味で使用する。)4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙10を取り込み、搬送機構5によって用紙10を垂直方向(鉛直方向に沿う方向)に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって水平方向に液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6を通じて画像が形成された用紙10を更に上方向に搬送して、装置本体の上方側に設けられた排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0024】
また、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、排紙部6から反転部8内に用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を逆方向(下方向)に搬送しながら反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0025】
ここで、画像形成部2は、左右の側板101L、101R間に横架した主ガイド部材(主ガイド軸)21及び従ガイド部材(従ガイド軸)22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、主走査モータ25によって、駆動プーリ26と従動プーリ27間に渡したタイミングベルト28を介して主走査方向に移動走査する。
【0026】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは上記のとおり「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向に配置され、水平方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッド24を備える水平打ち方式を採用している。
【0027】
記録ヘッド24は、図3に示すように、それぞれ複数の液滴を吐出するノズル124bが列設された2つのノズル列Na、Nbを有し、記録ヘッド24aの一方のノズル列Naはイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列Nbはマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド24bの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0028】
なお、記録ヘッド24を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ23には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0029】
また、キャリッジ23には、図示しないが、記録ヘッド24の各ノズル列Na、Nbに対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)からインクが供給される。
【0030】
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って両側板101L、101R間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール121を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール121のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ122を設け、これらのエンコーダスケール121とエンコーダセンサ122によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)123を構成している。
【0031】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズル124bの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。この維持回復機構9には、フレーム90にて、記録ヘッド24の各ノズル面124(図3参照)をキャピングするための吸引キャップ92a及びキャップ92b(区別しないときは「キャップ92」という。)と、ノズル面124を矢示方向に移動してワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)93が保持され、また増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け94などを備えている。吸引キャップ92aには吸引手段としてのチューブポンプからなる吸引ポンプ96が接続され、吸引ポンプ96は廃液タンク97に通じている。また、吸引キャップ92aには、吸引キャップ92aで記録ヘッド24のノズル面をキャッピングしたときに形成される密閉空間を大気に開放する開閉可能な大気開放弁98を設けている。
【0032】
給紙トレイ4の用紙10は、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙され、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込まれ、搬送ベルト51に吸着されて搬送される。
【0033】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持するプラテン部材55となどを有している。
【0034】
搬送ベルト51は、副走査モータ151によってタイミングベルト152及びタイミングプーリ153を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。
【0035】
また、搬送ローラ52の軸52aにはコードホイール154を取り付け、このコードホイール154に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ155を設けて、これらのコードホイール154とエンコーダセンサ155によって搬送ベルト51の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)156を構成している。
【0036】
排紙部6は、排紙ガイド部材61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63と、排紙ローラ64及び拍車65とが配置され、画像が形成された用紙10を排紙ローラ63A及び拍車63B間から排紙トレイ7上にフェイスダウンで排紙する。
【0037】
また、反転部8は、排紙トレイ7に一部を排出した用紙10をスイッチバック方式で反転して搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込むための反転経路82と、反転経路82と排紙経路(排紙ガイド部材61)とを切り替える切替爪81とを有し、反転経路82には、反転ローラ83及び反転コロである拍車84と、搬送ローラ85及び拍車86と、搬送ローラ87及び拍車88とが設けられている。
【0038】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ4から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が垂直方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0039】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ92aによるキャッピングを行ってノズル124bからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0040】
また、両面印刷を行う場合には、第1面印刷は上述したとおりの動作を行い、用紙10の後端が反転部分岐(切替爪81)を通過すると、排紙ローラ64が反転駆動されて用紙10がスイッチバックされ、反転経路82側に案内され、反転ローラ83と拍車84、搬送ローラ85及び拍車86、搬送ローラ87及び拍車88にて搬送され、搬送ベルト51と押圧コロ48の間へと用紙10が送り込まれる。そして、搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0041】
これにより、用紙10は搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって搬送され、搬送ローラ52側で搬送ベルト51から分離されて、迂回ガイド部材86で案内され(迂回パスを経由し)、再度搬送ベルト51の正搬送部分51aと押圧コロ48との間に送り込まれて搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0042】
次に、この画像形成装置におけるキャリッジの支持構造について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4はキャリッジ部分の側面説明図、図5は同じく正面説明図である。
前述したようにキャリッジ23は主ガイド軸21及び従ガイド軸22に主走査方向に移動可能に支持され、キャリッジ走査機構のタイミングベルト28に伝達部230と連結されて移動走査される。キャリッジ23には、主ガイド軸21が挿通される2つの軸受231A、231B(区別しないときは、「軸受231」という。)が主走査方向両端部に設けられている。
【0043】
また、キャリッジ23にはノズル面124aを垂直方向にして記録ヘッド24が搭載され、記録ヘッド24から水平方向に液滴が吐出される。
【0044】
ここで、軸受231と、主ガイド軸21との摺動位置、駆動力伝達部230は、キャリッジ23の重心位置と同位置に配置することで、キャリッジ23にかかる回転モーメントを0に極めて近づけることが可能である。しかしながら、実際には。キャリッジ23に記録ヘッド24にインクを供給するヘッドタンクが搭載されるため、軸受231と主ガイド軸21との摺動位置、キャリッジ牽引位置(駆動力伝達部230の位置であり、以下「キャリッジ牽引位置230」ともいう。)を重心位置に配置することは困難である。そのため、キャリッジ23にかかる回転モーメントを小さくするために、軸受231と主ガイド軸21との摺動位置とキャリッジ牽引位置230を、キャリッジ23の重心位置に極力近づけることが好ましい。
【0045】
一方、軸受231と主ガイド軸21との摺動位置をキャリッジ23の重心位置とは異なる位置に配置する場合、記録ヘッド24が受けるキャリッジ挙動の影響を小さくするために、主ガイド軸21を記録ヘッド24の近傍に配置することが好ましい。
【0046】
また、キャリッジ23を安定して走査するにあたり、主ガイド軸21とは別にさらにもう一つの従ガイド軸22を設け、主ガイド軸21、従ガイド軸22の2つでキャリッジを支持する。従ガイド軸22には一般的に円筒断面の軸や板金などが用いられる。
【0047】
この場合、記録ヘッド24を跨いで主ガイド軸21と従ガイド軸22を配置すると、キャリッジ牽引時に従ガイド軸22とキャリッジ23との摺動負荷により、キャリッジ23の挙動が乱れる。そのため、主ガイド軸21と従ガイド軸22は、鉛直方向において略同位置に配置することが好ましい。
【0048】
また、キャリッジ23に搭載するエンコーダセンサ122は、キャリッジ挙動の影響により、実際の記録ヘッド24の位置とセンサ122で検出した記録ヘッド24の位置とでズレが生じると、インク着弾精度が悪化する。そのため、キャリッジ挙動の影響で記録ヘッド23の位置にズレが生じた場合でも、記録ヘッド24と同じ方向にセンサ122がずれるように配置することでインク着弾精度が悪化を低減させることができる。
【0049】
次に、垂直打ち方式の画像形成装置におけるキャリッジのヨーイングについて図6の斜視説明図を参照して説明する。
一般的にシリアル式のインクジェット記録装置では、キャリッジ23の加減速時において、キャリッジ23の慣性により、x,y,z軸まわりにキャリッジ23が回転するローリング、ピッチング、ヨーイングが生じる。
【0050】
ここで、垂直打ち方式では、x軸は主走査方向に沿う軸、y軸は用紙搬送方向に沿う軸、z軸は用紙搬送面に対して垂直方向の軸となる。
【0051】
そして、垂直打ち方式では、記録ヘッド24のノズル面が水平方向に配置されていることから、記録ヘッド24が水平面で主走査方向に振れることで、主ガイド軸21から離れた位置にあるノズルの着弾位置ずれが大きくなる。つまり、垂直打ち方式では、z軸周りにキャリッジ23が回転するヨーイングが最もインク着弾精度に影響を与える。このヨーイングを抑制するためには、主ガイド軸21とキャリッジ23の軸受231を互いの寸法誤差ができる限り少なくなるように構成する必要がある。一方、キャリッジ23の軸受231が主ガイド軸21上を摺動して滑らかに走行するためには軸受231と主ガイド軸21との間にある程度の隙間が必要である。さらには、温度変化による両者の寸法変動についても考慮すると、より大きな隙間を設ける必要がある。
【0052】
したがって、主ガイド軸21及び軸受231を温度変化による寸法変動が少ない材料で構成したとしても、加工公差を含めると、両者間の隙間は最大で50μm程度になる。そのため、記録密度が例えば600dpi(1インチ(2.54cm)当たり600画素)の装置においては、この隙間によって、被記録媒体上におけるインク滴の着弾位置に1画素分以上のずれが発生する可能性がある。
【0053】
なお、キャリッジ23に搭載したヘッドタンク29に接続したインク供給チューブの負荷により、キャリッジ23のヨーイングやピッチングが生じることが知られている。インク供給チューブの負荷がキャリッジ23の挙動に与える影響を小さくするために、軸受231と主ガイド軸21との接触部に近い位置に供給チューブとヘッドタンク29との接続部を配置することが好ましい。
【0054】
次に、水平打ち方式の画像形成装置におけるキャリッジのピッチングについて図7の正面説明図を参照して説明する。
水平打ち方式では、x軸は主走査方向に沿う方向の軸、y軸は用紙搬送面に対して垂直方向の軸、z軸は用紙搬送方向に沿う方向の軸となる。そして、水平打ち方式では、記録ヘッド24のノズル面が垂直方向に配置されていることから、記録ヘッド24が垂直面で主走査方向に振れることで、主ガイド軸21から離れた位置にあるノズルの着弾位置ずれが大きくなる。つまり、水平打ち方式では、y軸周りにキャリッジ23が回転するピッチングが最もインク着弾精度に影響を与える。
【0055】
そこで、本発明の第1実施形態におけるキャリッジの軸受構造について図8ないし図11を参照して説明する。なお、図8はキャリッジ部分の平面説明図、図9は同じく図8の右側面説明図、図10は同じく軸受の拡大説明図、図11は同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【0056】
まず、本実施形態では、図8及び図9に示すように、キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向で、キャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21とキャリッジ23の重心位置Oとの間に配置されている。
【0057】
そして、図10に示すように、軸受231には主ガイド軸21の周面に摺動自在に当接する2つの斜面232A、232Bを有している。この軸受231の斜面232A、232Bは、図11に示すように、2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21の外周面との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点P1とガイド軸中心P2とを通る線Lが、ノズル面124に沿う方向の線Lnと斜めに交差する(角度θ3で交差する)状態で配置されている。なお、角度θ3は、ノズル面124が鉛直方向であるときには角度θ2と同じになる。
【0058】
なお、2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21の外周面との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2がなす角度θ1を軸受開き角度、ノズル面124に対する線Lの傾き角度θ2をインサート角度という。
【0059】
このように、構成することで、水平打ち方式におけるキャリッジ23のピッチングを低減することができる。
【0060】
この点について図12及び図13も参照して詳細に説明する。なお、図12は2点支持軸受にかかる力の説明に供する説明図、図13は軸受のインサート角度(傾斜角度)の具体例の説明に供する説明図である。
【0061】
まず、図12に示すように、キャリッジ23の駆動による外力1F、2Fが軸受231に作用すると、外力1F、2Fは軸受斜面232A、232Bに垂直方向にかかる力1fa、2faと軸受斜面232A、232Bに平行な方向にかかる力1fb、2fbに分解される。この外力1F、2Fの分力のうち、分力1fbと2fbが軸受231を主ガイド軸21に乗り上げさせる力となる。つまり、軸受231の斜面232A、232Bで外力を受けることで乗り上げ力が小さくなる。
【0062】
そこで、理想的には、外力の方向に対して直交するように軸受231の斜面232A、232Bの角度を設定することで、乗り上げ力が発生しないが、副作用として、軸受231と主ガイド軸21との摺動負荷が増大する。このため、軸受231の乗り上げ力と摺動負荷の2点から最適な2つの斜面間の角度θ1が決定される。
【0063】
一方、外力3Fのように軸受231の2つの斜面232A、232Bが主ガイド軸21から反力を受けない方向から力が加わると、軸受21が浮き上がってしまうため、2点支持軸受の効果を発揮できないことになる。
【0064】
そこで、垂直打ち方式では、記録ヘッド24のノズル面124が水平方向に配置されているので、上述したインサート角度θ2を0度に設定することで、滴着弾位置精度に最も影響を与えるz軸周りのヨーイングを抑えることができる。
【0065】
これに対し、水平打ち方式では、垂直打ち方式に対して記録ヘッド24のノズル面124を90度回転下方向になるので、単純に垂直打ち方式の構成を適用すると、上述したインサート角度θ2は90度になる。しかしながら、インサート角度θ2を90度に設定すると、y軸方向の力が作用したときに斜面232A、232Bで受けることができない。そこで、本実施形態では、キャリッジ23のy軸まわりの回転であるピッチングがインク着弾精度に最も影響するため、インサート角度(傾斜角度)θ2を、略60度から90度未満の角度の間に設定している。
【0066】
具体的には、前述した図8及び図9に示すように、キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向の断面で、キャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21とキャリッジ23の重心位置Oとの間に配置されている場合、キャリッジ移動方向における前側の軸受231Aの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、232Bのうち、鉛直方向におけるキャリッジ重心Oから遠い側の斜面232Bにキャリッジ加速時に軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0067】
また、走査方向における後側の軸受231Bの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、232Bのうち、鉛直方向におけるキャリッジ重心Oに近い側の斜面232Aにキャリッジ加速時に軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0068】
このとき、後側の軸受231Bにかかる乗り上げ力は、前側の軸受231Aにかかる乗り上げ力より大きいため、後側の軸受231Bにかかる乗り上げ力を抑えることで効率的にキャリッジの挙動を安定させることができる。
【0069】
そして、前記のように主ガイド軸21中心を通るx−y平面におけるキャリッジ23の断面において、重心Oの位置より主ガイド軸21側にキャリッジ牽引部位が配置されている場合、図8に示すように、キャリッジ加速時にキャリッジ23の慣性による回転モーメントMは時計回りに加わる。この回転モーメントMによりキャリッジ23のヨーイングが生じ、走査方向における後側の軸受231Bに荷重fが加わる。
【0070】
そこで、この荷重fにより、主ガイド軸21が2つの斜面232A、232B間に食い込む方向に、軸受231の2つの斜面232A、232Bの向きを設定している。これにより、軸受231の主ガイド軸21への乗り上げが抑制されて、ピッチングが抑制される。
【0071】
一方、キャリッジ減速時においては、キャリッジ移動方向における前側の軸受231Aの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、232Bのうち、鉛直方向における重心Oに近い側の斜面232Aに軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0072】
また、キャリッジ移動方向における後側の軸受232Bの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、2332Bのうち、鉛直方向における重心から遠い側の斜面232Bに軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0073】
ここで、前側の軸受231Aにかかる乗り上げ力は、後側の軸受231Bにかかる乗り上げ力より大きいため、前側の軸受231Aにかかる乗り上げ力を抑えることで効率的にキャリッジの挙動を安定させることができる。
【0074】
そして、主ガイド軸21の中心を通るx−y平面におけるキャリッジ23の断面において、キャリッジ減速時には加速時に生じる回転モーメントとは反対方向に回転モーメントが生じる。したがって、軸受231の2つの斜面232A、232Bの向きを、上述したキャリッジ加速時に設定した向きに設定することで、キャリッジ減速時のピッチングも抑制することができる。
【0075】
ここで、インサート角度θ2について図13を参照して具体的に説明する。
図13は軸受開き角度θ1=30度とした場合におけるインサート角度θ2と軸受231の乗り上げ力との関係の一例を示している。インサート角度θ2が小さいほど走査方向における後側の軸受にかかる乗り上げ力が大きく、インサート角度θ2が大きいほど走査方向における前側の軸受にかかる乗り上げ力が大きくなる。2つ軸受231A、231Bにかかる力が最小となるようにインサート角度θ2を設定することが好ましい。この例では、軸受231の乗り上げ力を最小にするインサート角度θ2は83.2度となる。
【0076】
つまり、キャリッジ23のキャリッジ牽引部位が主ガイド軸21に支持される部位とキャリッジ23の重心位置との間に配置されているとき、主ガイド軸21の中心を通り、被記録媒体の搬送方向と直交する断面において、軸受231に形成された2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点が、主ガイド軸21の中心を通る鉛直方向線に対し、キャリッジ23の重心位置側に配置されていることで、ピッチングを抑制して画像品質を向上することができる。
【0077】
このように、ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、軸受の2つの斜面は、軸受の2つの斜面とガイド軸の外周面との各接触点におけるガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点とガイド軸中心とを通る線が、ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置されている構成とすることで、水平打ち方式におけるキャリッジのピッチングが低減して、画像品質を向上できり。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態におけるキャリッジのガイド軸に対する支持構造について図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は同実施形態におけるキャリッジ部分の側面説明図、図15は同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【0079】
本実施形態は、図14に示すように、キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向の断面で、キャリッジ23の重心位置Oを挟んでキャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21と反対側に配置されている。
【0080】
この場合には、図15に示すように、主ガイド軸21の中心を通り、被記録媒体の搬送方向と直交する断面において、軸受231に形成された2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点が、主ガイド軸21の中心を通る鉛直方向線に対し、主ガイド軸21を挟んでキャリッジ23の重心位置と反対側に配置する。
【0081】
これにより、前記第1実施形態と同様に、ピッチングを抑制して画像品質を向上することができる。
【0082】
次に、本発明の第3実施形態について図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は同実施形態の説明に供する要部説明図、図17は同じく付勢部材の説明に供する拡大説明図である。
本実施形態では、キャリッジ23と主ガイド軸21との間に先端部が楔形状に形成されて斜面240aを有する摺動部材240を設け、この摺動部材240の斜面240aを主ガイド軸21の周面に当接させ、キャリッジ23の構成部材との間で固定されている付勢部材241によって摺動部材240を主ガイド軸21側に付勢している。この摺動部材240は主走査方向で軸受231A、231Bに近傍にそれぞれ配置している。
【0083】
ここで、摺動部材240は軸受231の乗り上げ力を上回る力で付勢しなければならないため、摺動部材240を板バネ等で付勢するだけでは、キャリッジ23と主ガイド軸21との摺動負荷が増大するおそれがある。そこで、上述した斜面240aを有する楔形状の摺動部材240を用いることで、キャリッジ23とガイド軸240の摺動負荷の増大を抑えつつ、キャリッジ加減速時に付勢部材241にかかる力F1の水平方向の分力F1sinθ4以上の付勢力を加えることで軸受21の乗り上げを防止することができる。
【0084】
次に、本発明の第4実施形態について図18を参照して説明する。なお、図18は同実施形態の説明に供する要部説明図である。
本実施形態では、上記第3実施形態において、摺動部材240の摺動方向への移動を規制する規制部材242を設けている。
【0085】
これにより、摺動部材240がキャリッジ23と主ガイド軸21との間に食い込み、キャリッジ23とガイド軸240の摺動負荷が増大して摺動不能になることを防止している。
【0086】
次に、本発明の第5実施形態について図19を参照して説明する。なお、図19は同実施形態の説明に供する図2と同様な説明図である。
各色のメインタンク(インクカートリッジ)11(11K、11C、11M、11Y)側に接続された液体供給チューブ(インク供給チューブ)301は、装置本体側に設けられたガイド部材302に沿って装置本体の底部側に主走査方向に配設され、U字状に曲げられて(U字状部分を湾曲部301aという。)、垂直方向(鉛直方向)に立ち上げられた後、キャリッジ23側のチューブ固定部303にて固定されて、キャリッジ23のヘッドタンク29に接続されている。また、ガイド部材302側には液体供給チューブ301を固定するチューブ固定部304が設けられている。
【0087】
ここで、前述した各実施形態で説明したような軸受の斜面の角度と液体供給チューブの復元力の方向に関係について図20を参照して説明する。
上述したように液体供給チューブ301は本体側チューブ固定部304とキャリッジ側チューブ固定部303との間で略U字形に湾曲されて配設される。液体供給チューブ301には自己復帰習性が備わっているため、湾曲させることで復元力が生じる。復元力がキャリッジ23に加わると、キャリッジ23の挙動が乱れ、インク着弾精度が悪化することになる。
【0088】
そのため、液体供給チューブ301の復元力がキャリッジ23に加わってもインク着弾精度を悪化させないように、復元力の方向、キャリッジ側チューブ固定部の位置、形状を設定する。
【0089】
この場合、記録ヘッド24のノズル面124が垂直方向に配置されている水平打ち方式では、軸受231の傾斜角度(インサート角度)θ2はインク着弾精度に最も影響するキャリッジ23のピッチングを抑えるように設定しているため、液体供給チューブ301を水平面に沿って移動するように配設すると、液体供給チューブ301の復元力が軸受231に加わり、軸受231の斜面232A、232Bが浮き上がる、若しくは主ガイド軸21に乗り上げてしまい、キャリッジ23の挙動が乱れることになる。
【0090】
そこで、軸受231の傾斜角度θ2に応じて、液体供給チューブ301の復元力がかかる方向を設定することでインクチューブの復元力1Nによるキャリッジ23の挙動の悪化を防ぐことができる。
【0091】
つまり、軸受231の2つの斜面232A、232Bの延長線が交わる点P1と軸受中心P2を結んだ直線と直交する方向に液体供給チューブ301の復元力1N、もしくは2Nが掛かるように復元力の方向を設定することで、軸受231が最も乗り上げにくい方向に液体供給チューブ301の復元力が加わる。したがって、この方向が最もキャリッジ挙動に対する液体供給チューブ301の影響が小さくなる。
【0092】
しかしながら、このように方向に復元力を生じる液体供給チューブ301の配設を行なうと、液体供給チューブ301の復元力の影響を低減することができるものの、図21に示すように、装置本体の底部側から液体供給チューブ301が鉛直方向に対して斜めに立ち上がる方向に這い回すことになり、複数本の液体供給チューブ301(チューブ群)を使用するとき、チューブ群全体を斜めに配設しなければならない。この結果、キャリッジ23の移動に対する他の影響が発生し、またチューブ配設構成も複雑になる。
【0093】
そのため、本実施形態では、図22に示すように、軸受231の傾斜角度(インサート角度)θ2はインク着弾精度に最も影響するキャリッジ23のピッチングを抑えるように設定しつつ、液体供給チューブ301は、装置本体の底部側から用紙搬送方向に沿って(この例では鉛直方向に沿って)這い回して湾曲させた湾曲部301aを有する構成とすることで、液体供給チューブ301の復元力による影響を低減している。
【0094】
次に、キャリッジ側チューブ固定部303と本体側チューブ固定部304との位置関係について図23の模式的説明図を参照して説明する。
鉛直方向に液体供給チューブ301を湾曲させる場合、キャリッジ側チューブ固定部303と本体側チューブ固定部304は鉛直方向の異なる位置に配置される。鉛直方向において、キャリッジ側チューブ固定部303を本体側チューブ固定部304より高さ方向で上に配置することで、チューブ復元力1Nの鉛直方向成分1Naとチューブ自重10Nとが打ち消しあう方向に作用するため、キャリッジ側チューブ固定部303に加わる力を小さくすることができる。
【0095】
次に、チューブ復元力によりキャリッジをガイド軸に押圧するためのチューブ固定部の位置について図24の模式的説明図を参照して説明する。
液体供給チューブ301の復元力1Nがキャリッジ23に鉛直方向上向きに作用する場合、主ガイド軸21中心を通る鉛直方向線に対して従ガイド軸22と反対側にキャリッジ側チューブ固定部303を配置することで、主ガイド軸21を支点とした回転モーメントにより、キャリッジ23を従ガイド軸22側に押し付ける力20Nが発生する。この押し付ける力により、キャリッジ23のx軸方向の回転であるローリングを防ぐことができる。
【0096】
また、液体供給チューブ301の復元力1Nがキャリッジ23に鉛直方向下向きに作用する場合、主ガイド軸21の中心を通る鉛直方向線に対して従ガイド軸22と同じ側にキャリッジ側チューブ固定部303を配置することで、主ガイド軸21を支点とした回転モーメントにより、キャリッジ23を従ガイド軸22に押し付ける力20Nが発生する。この押し付ける力により、キャリッジ23のx軸方向の回転であるローリングを防ぐことができる。
【0097】
このキャリッジ側チューブ固定部303の配置が困難である場合、キャリッジ側チューブ固定部303と主ガイド軸21の中心を結んだ直線上にクチューブ復元力1Nが作用するようにキャリッジ側チューブ固定部303を配置することで、主ガイド軸21を支点とした回転モーメントが0となるため、キャリッジ23が従ガイド軸22から浮き上がることがなくなる。
【0098】
次に、装置本体側のチューブガイド部材302について図25の模式的説明図を参照して説明する。
キャリッジ23の走査により、湾曲させた液体供給チューブ301が本体側チューブ固定部302の方向に膨らみ、液体供給チューブ301が他の部品に接触し、突発的に液体供給チューブ301が変形し、キャリッジ23の挙動を乱す場合がある。略U字形に湾曲した液体供給チューブ301をガイド部材302に沿わせることで、突発的なチューブ301の変形を防ぐことができる。
【0099】
しかし、水平方向に液体供給チューブ301を湾曲させる場合とは異なり、鉛直方向に液体供給チューブ301を湾曲させる場合では、キャリッジ23の走査による液体供給チューブ301の膨らみに加え、液体供給チューブ301が重力により本体側チューブ固定部302の方向に垂れるため、液体供給チューブ301がガイド部材302から受ける反力が大きくなる。そのため、ガイド部材302を、液体供給チューブ301を水平方向に配置する場合と同様にキャリッジ23の走査方向に平行に配置すると、走査方向におけるキャリッジ23の位置による液体供給チューブ301の負荷の変動が大きくなる。
【0100】
そこで、ガイド部材302を主走査方向に傾斜させて配置することで走査時のキャリッジ23の位置による液体供給チューブ301の復元力の変動を小さくすることができる。
【0101】
なお、上記実施形態では、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に搬送し、液滴を水平方向に吐出する例で説明しているが、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に対して傾斜した方向に搬送し、液滴を水平方向に対して傾斜した方向に吐出する構成であっても、本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構
6 排紙部
7 排紙トレイ
8 反転部
9 維持回復機構
10 用紙(被記録媒体)
21 主ガイド軸(主ガイド部材)
22 従ガイド軸(従ガイド部材)
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
29 ヘッドタンク
51 搬送ベルト
124 ノズル面
231、231A、231B ガイド軸
232A、232B 斜面
301 液体供給チューブ
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものである。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置として、上述したように、画像形成手段である液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドをキャリッジに搭載し、キャリッジをガイド軸に沿って主走査方向に移動走査し、媒体を主走査方向と直交する副走査方向に間歇的に移動させながら、記録ヘッドから液滴を吐出させて画像を形成するシリアル型画像形成装置が知られている。
【0005】
このシリアル型画像形成装置においては、インク着弾精度向上のために、キャリッジ挙動の安定性を必要とする。そこで、キャリッジの挙動の安定化を図るために、キャリッジ牽引時に重量、重心位置、摺動位置などから牽引位置を設定する。また、キャリッジの軸受部に2点支持軸受、即ちガイド軸と接触する2つの斜面を有する軸受(ガイド軸心方向に見て接触部がハ字形状に配置された軸受)を用いることが知られている(特許文献1、2)。
【0006】
例えば、特許文献1に開示の構成では、ガイド軸と接触する2つの傾斜面と鉛直方向線とがなす角度を、キャリッジ加減速時に2点支持軸受がガイド軸から浮き上がろうとする力より浮き上がりを妨げる力の方が大きくなるように設定している。
【0007】
また、シリアル型画像形成装置において、キャリッジ側にヘッドタンクを搭載し、装置本体側の着脱自在に装着されるメインタンク(インクカートリッジ)側からインク供給チューブを介してインクを供給する構成とする場合、インク供給チューブを被記録媒体の搬送面に沿う方向で(面内で)這い回すことが一般的であるが、インク供給チューブを被記録媒体の搬送面と直交する方向で這い回すものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3745747号公報
【特許文献2】特許第3858998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、液体吐出方式の画像形成装置として、被記録媒体を鉛直方向に沿う方向又は鉛直方向に沿う方向に対して傾斜した方向に向けて搬送し、被記録媒体に対して水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッドを往復移動させながら、記録ヘッドから液滴を吐出させて被記録媒体に画像を形成させる構成のもの、つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向(鉛直方向も同義とする。)又は垂直方向に対して傾斜して配置され、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッドを有する構成のものがある。なお、被記録媒体を鉛直方向に沿う方向又は鉛直方向に沿う方向に対して傾斜した方向に向けて搬送し、被記録媒体に対して水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出する方式を「水平打ち」という。ここで、水平方向に対して傾斜した方向とは、例えば水平方向を基準として斜め下方向に45°傾斜した位置から斜め上方向に45°傾斜した範囲とし、この範囲を「水平方向」というものとする(鉛直方向に沿う方向に対する傾斜、「垂直方向」の意味も同様とする。)。なお、媒体搬送方向と滴吐出方向を上記と逆の関係にしたものを「垂直打ち」という。
【0010】
ここで、垂直打ちの場合には、記録ヘッドのノズル面が水平方向に配置されているので、キャリッジ走査時にキャリッジが水平方向平面で振れるヨーイングが発生すると、滴着弾位置ずれが生じることになる。このキャリッジのヨーイング挙動を低減するためには、2つの斜面の鉛直方向に対する角度を設定することが有効である。
【0011】
これに対し、水平打ちの場合には、記録ヘッドのノズル面が水平方向に配置されているので、キャリッジ走査時にキャリッジが垂直方向平面で振れるピッチングが発生すると、滴着弾位置ずれが生じることになる。この場合、垂直打ちと同様に、ガイド軸に対して鉛直方向から2つの斜面でガイド軸を挟み込む配置にすると、ピッチングが大きくなる。また、ノズル面を水平方向から垂直方向にしたことに伴ってそのまま2つの斜面の水平方向に方向転換するだけではピッチングを低減することはできない。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、水平打ちにおけるキャリッジのピッチングを低減して画像品質を向上し、液体供給チューブの復元力によるキャリッジ挙動の影響を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドが搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
前記キャリッジを前記主走査方向に案内するガイド軸と、
前記キャリッジに搭載されて前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
装置本体側に着脱自在に装着された前記液体を収容したメインタンクと、
前記メインタンクと前記ヘッドタンクとをつなぐ液体供給チューブと、を備え、
前記記録ヘッドは、前記ノズル面が垂直方向又は垂直方向に対して傾斜して前記キャリッジに搭載されて、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出し、
前記キャリッジには、前記ガイド軸の周面に摺動可能に当接する2つの斜面を有する軸受を備え、
前記ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、
前記軸受の前記2つの斜面は、
前記軸受の前記2つの斜面と前記ガイド軸の外周面との各接触点における前記ガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点と前記ガイド軸中心とを通る線が、前記ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置され、
前記液体供給チューブは、主走査方向に沿って這い回され、装置本体の底部側から前記記録ヘッドで画像が形成される被記録媒体の搬送方向に沿って湾曲する湾曲部を経て、高さ方向で上方の前記キャリッジに取付けられている
構成とした。
【0014】
ここで、前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位と前記キャリッジの重心位置との間に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側にある構成とできる。
【0015】
また、前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの重心位置に対して前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位の反対側に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側と反対側にある構成とできる。
【0016】
また、前記ガイド軸に摺動自在に接触する摺動部材と、
前記摺動部材を前記ガイド軸側に付勢する付勢手段と、を備えている
構成とできる。
【0017】
この場合、前記摺動部材は前記ガイド軸と当接する斜面が形成されている構成とできる。
【0018】
また、前記摺動部材は楔形状である構成とできる。
【0019】
また、前記装置本体の底部側には前記液体供給チューブを案内するチューブガイド部材が設けられ、前記チューブガイド部材は主走査方向に沿って傾斜している構成とできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る画像形成装置によれば、ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、軸受の2つの斜面は、軸受の2つの斜面とガイド軸の外周面との各接触点におけるガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点とガイド軸中心とを通る線が、ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置され、液体供給チューブは、主走査方向に沿って這い回され、装置本体の底部側から記録ヘッドで画像が形成される被記録媒体の搬送方向に沿って湾曲する湾曲部を経て、高さ方向で上方のキャリッジに取付けられている構成としたので、水平打ち方式におけるキャリッジのピッチングが低減して、画像品質を向上でき、液体供給チューブの復元力によるキャリッジ挙動に対する影響も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図2】図1を矢示A方向から見た説明図である。
【図3】記録ヘッドの説明図である。
【図4】同装置におけるキャリッジ部分の側面説明図である。
【図5】同じく正面説明図である。
【図6】垂直打ち方式の装置におけるキャリッジのヨーイングの説明に供する斜視説明図である。
【図7】水平打ち方式の装置におけるキャリッジのピッチングの説明に供する正面説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態におけるキャリッジの軸受構造の説明に供するキャリッジ部分の平面説明図である。
【図9】同じく図8の右側面説明図である。
【図10】同じく軸受の拡大説明図である。
【図11】同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【図12】2点支持軸受にかかる力の説明に供する説明図である。
【図13】軸受のインサート角度(傾斜角度)の具体例の説明に供する説明図である。
【図14】本発明の第2実施形態におけるキャリッジのガイド軸に対する支持構造に説明に供するキャリッジ部分の側面説明図である。
【図15】同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【図16】本発明の第3実施形態の説明に供する要部説明図である。
【図17】同じく付勢部材の説明に供する拡大説明図である。
【図18】本発明の第4実施形態の説明に供する要部説明図である。
【図19】本発明の第5実施形態の説明に供する図2と同様な説明図である。
【図20】軸受の斜面の角度と液体供給チューブの復元力の方向に関係の説明に供する側面説明図である。
【図21】液体供給チューブを鉛直方向に対して斜め方向に配設する例の説明に供する模式的説明図である。
【図22】同実施形態の液体供給チューブの配設方向の説明に供する模式的説明図である。
【図23】キャリッジ側チューブ固定部と本体側チューブ固定部との位置関係の説明に供する模式的説明図である。
【図24】チューブ復元力によりキャリッジをガイド軸に押圧するためのチューブ固定部の位置の説明に供する模式的説明図である。
【図25】装置本体側のチューブガイド部材の説明に供する模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の側面説明図、図2は図1を矢示A方向から見た説明図である。
【0023】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側に被記録媒体である用紙10を積載可能な給紙トレイ(給紙カセットを含み、給紙部の意味で使用する。)4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙10を取り込み、搬送機構5によって用紙10を垂直方向(鉛直方向に沿う方向)に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって水平方向に液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6を通じて画像が形成された用紙10を更に上方向に搬送して、装置本体の上方側に設けられた排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0024】
また、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、排紙部6から反転部8内に用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を逆方向(下方向)に搬送しながら反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0025】
ここで、画像形成部2は、左右の側板101L、101R間に横架した主ガイド部材(主ガイド軸)21及び従ガイド部材(従ガイド軸)22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、主走査モータ25によって、駆動プーリ26と従動プーリ27間に渡したタイミングベルト28を介して主走査方向に移動走査する。
【0026】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは上記のとおり「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向に配置され、水平方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッド24を備える水平打ち方式を採用している。
【0027】
記録ヘッド24は、図3に示すように、それぞれ複数の液滴を吐出するノズル124bが列設された2つのノズル列Na、Nbを有し、記録ヘッド24aの一方のノズル列Naはイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列Nbはマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド24bの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0028】
なお、記録ヘッド24を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ23には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0029】
また、キャリッジ23には、図示しないが、記録ヘッド24の各ノズル列Na、Nbに対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)からインクが供給される。
【0030】
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って両側板101L、101R間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール121を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール121のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ122を設け、これらのエンコーダスケール121とエンコーダセンサ122によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)123を構成している。
【0031】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズル124bの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。この維持回復機構9には、フレーム90にて、記録ヘッド24の各ノズル面124(図3参照)をキャピングするための吸引キャップ92a及びキャップ92b(区別しないときは「キャップ92」という。)と、ノズル面124を矢示方向に移動してワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)93が保持され、また増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け94などを備えている。吸引キャップ92aには吸引手段としてのチューブポンプからなる吸引ポンプ96が接続され、吸引ポンプ96は廃液タンク97に通じている。また、吸引キャップ92aには、吸引キャップ92aで記録ヘッド24のノズル面をキャッピングしたときに形成される密閉空間を大気に開放する開閉可能な大気開放弁98を設けている。
【0032】
給紙トレイ4の用紙10は、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙され、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込まれ、搬送ベルト51に吸着されて搬送される。
【0033】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持するプラテン部材55となどを有している。
【0034】
搬送ベルト51は、副走査モータ151によってタイミングベルト152及びタイミングプーリ153を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。
【0035】
また、搬送ローラ52の軸52aにはコードホイール154を取り付け、このコードホイール154に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ155を設けて、これらのコードホイール154とエンコーダセンサ155によって搬送ベルト51の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)156を構成している。
【0036】
排紙部6は、排紙ガイド部材61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63と、排紙ローラ64及び拍車65とが配置され、画像が形成された用紙10を排紙ローラ63A及び拍車63B間から排紙トレイ7上にフェイスダウンで排紙する。
【0037】
また、反転部8は、排紙トレイ7に一部を排出した用紙10をスイッチバック方式で反転して搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込むための反転経路82と、反転経路82と排紙経路(排紙ガイド部材61)とを切り替える切替爪81とを有し、反転経路82には、反転ローラ83及び反転コロである拍車84と、搬送ローラ85及び拍車86と、搬送ローラ87及び拍車88とが設けられている。
【0038】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ4から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が垂直方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0039】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ92aによるキャッピングを行ってノズル124bからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0040】
また、両面印刷を行う場合には、第1面印刷は上述したとおりの動作を行い、用紙10の後端が反転部分岐(切替爪81)を通過すると、排紙ローラ64が反転駆動されて用紙10がスイッチバックされ、反転経路82側に案内され、反転ローラ83と拍車84、搬送ローラ85及び拍車86、搬送ローラ87及び拍車88にて搬送され、搬送ベルト51と押圧コロ48の間へと用紙10が送り込まれる。そして、搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0041】
これにより、用紙10は搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって搬送され、搬送ローラ52側で搬送ベルト51から分離されて、迂回ガイド部材86で案内され(迂回パスを経由し)、再度搬送ベルト51の正搬送部分51aと押圧コロ48との間に送り込まれて搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0042】
次に、この画像形成装置におけるキャリッジの支持構造について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4はキャリッジ部分の側面説明図、図5は同じく正面説明図である。
前述したようにキャリッジ23は主ガイド軸21及び従ガイド軸22に主走査方向に移動可能に支持され、キャリッジ走査機構のタイミングベルト28に伝達部230と連結されて移動走査される。キャリッジ23には、主ガイド軸21が挿通される2つの軸受231A、231B(区別しないときは、「軸受231」という。)が主走査方向両端部に設けられている。
【0043】
また、キャリッジ23にはノズル面124aを垂直方向にして記録ヘッド24が搭載され、記録ヘッド24から水平方向に液滴が吐出される。
【0044】
ここで、軸受231と、主ガイド軸21との摺動位置、駆動力伝達部230は、キャリッジ23の重心位置と同位置に配置することで、キャリッジ23にかかる回転モーメントを0に極めて近づけることが可能である。しかしながら、実際には。キャリッジ23に記録ヘッド24にインクを供給するヘッドタンクが搭載されるため、軸受231と主ガイド軸21との摺動位置、キャリッジ牽引位置(駆動力伝達部230の位置であり、以下「キャリッジ牽引位置230」ともいう。)を重心位置に配置することは困難である。そのため、キャリッジ23にかかる回転モーメントを小さくするために、軸受231と主ガイド軸21との摺動位置とキャリッジ牽引位置230を、キャリッジ23の重心位置に極力近づけることが好ましい。
【0045】
一方、軸受231と主ガイド軸21との摺動位置をキャリッジ23の重心位置とは異なる位置に配置する場合、記録ヘッド24が受けるキャリッジ挙動の影響を小さくするために、主ガイド軸21を記録ヘッド24の近傍に配置することが好ましい。
【0046】
また、キャリッジ23を安定して走査するにあたり、主ガイド軸21とは別にさらにもう一つの従ガイド軸22を設け、主ガイド軸21、従ガイド軸22の2つでキャリッジを支持する。従ガイド軸22には一般的に円筒断面の軸や板金などが用いられる。
【0047】
この場合、記録ヘッド24を跨いで主ガイド軸21と従ガイド軸22を配置すると、キャリッジ牽引時に従ガイド軸22とキャリッジ23との摺動負荷により、キャリッジ23の挙動が乱れる。そのため、主ガイド軸21と従ガイド軸22は、鉛直方向において略同位置に配置することが好ましい。
【0048】
また、キャリッジ23に搭載するエンコーダセンサ122は、キャリッジ挙動の影響により、実際の記録ヘッド24の位置とセンサ122で検出した記録ヘッド24の位置とでズレが生じると、インク着弾精度が悪化する。そのため、キャリッジ挙動の影響で記録ヘッド23の位置にズレが生じた場合でも、記録ヘッド24と同じ方向にセンサ122がずれるように配置することでインク着弾精度が悪化を低減させることができる。
【0049】
次に、垂直打ち方式の画像形成装置におけるキャリッジのヨーイングについて図6の斜視説明図を参照して説明する。
一般的にシリアル式のインクジェット記録装置では、キャリッジ23の加減速時において、キャリッジ23の慣性により、x,y,z軸まわりにキャリッジ23が回転するローリング、ピッチング、ヨーイングが生じる。
【0050】
ここで、垂直打ち方式では、x軸は主走査方向に沿う軸、y軸は用紙搬送方向に沿う軸、z軸は用紙搬送面に対して垂直方向の軸となる。
【0051】
そして、垂直打ち方式では、記録ヘッド24のノズル面が水平方向に配置されていることから、記録ヘッド24が水平面で主走査方向に振れることで、主ガイド軸21から離れた位置にあるノズルの着弾位置ずれが大きくなる。つまり、垂直打ち方式では、z軸周りにキャリッジ23が回転するヨーイングが最もインク着弾精度に影響を与える。このヨーイングを抑制するためには、主ガイド軸21とキャリッジ23の軸受231を互いの寸法誤差ができる限り少なくなるように構成する必要がある。一方、キャリッジ23の軸受231が主ガイド軸21上を摺動して滑らかに走行するためには軸受231と主ガイド軸21との間にある程度の隙間が必要である。さらには、温度変化による両者の寸法変動についても考慮すると、より大きな隙間を設ける必要がある。
【0052】
したがって、主ガイド軸21及び軸受231を温度変化による寸法変動が少ない材料で構成したとしても、加工公差を含めると、両者間の隙間は最大で50μm程度になる。そのため、記録密度が例えば600dpi(1インチ(2.54cm)当たり600画素)の装置においては、この隙間によって、被記録媒体上におけるインク滴の着弾位置に1画素分以上のずれが発生する可能性がある。
【0053】
なお、キャリッジ23に搭載したヘッドタンク29に接続したインク供給チューブの負荷により、キャリッジ23のヨーイングやピッチングが生じることが知られている。インク供給チューブの負荷がキャリッジ23の挙動に与える影響を小さくするために、軸受231と主ガイド軸21との接触部に近い位置に供給チューブとヘッドタンク29との接続部を配置することが好ましい。
【0054】
次に、水平打ち方式の画像形成装置におけるキャリッジのピッチングについて図7の正面説明図を参照して説明する。
水平打ち方式では、x軸は主走査方向に沿う方向の軸、y軸は用紙搬送面に対して垂直方向の軸、z軸は用紙搬送方向に沿う方向の軸となる。そして、水平打ち方式では、記録ヘッド24のノズル面が垂直方向に配置されていることから、記録ヘッド24が垂直面で主走査方向に振れることで、主ガイド軸21から離れた位置にあるノズルの着弾位置ずれが大きくなる。つまり、水平打ち方式では、y軸周りにキャリッジ23が回転するピッチングが最もインク着弾精度に影響を与える。
【0055】
そこで、本発明の第1実施形態におけるキャリッジの軸受構造について図8ないし図11を参照して説明する。なお、図8はキャリッジ部分の平面説明図、図9は同じく図8の右側面説明図、図10は同じく軸受の拡大説明図、図11は同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【0056】
まず、本実施形態では、図8及び図9に示すように、キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向で、キャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21とキャリッジ23の重心位置Oとの間に配置されている。
【0057】
そして、図10に示すように、軸受231には主ガイド軸21の周面に摺動自在に当接する2つの斜面232A、232Bを有している。この軸受231の斜面232A、232Bは、図11に示すように、2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21の外周面との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点P1とガイド軸中心P2とを通る線Lが、ノズル面124に沿う方向の線Lnと斜めに交差する(角度θ3で交差する)状態で配置されている。なお、角度θ3は、ノズル面124が鉛直方向であるときには角度θ2と同じになる。
【0058】
なお、2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21の外周面との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2がなす角度θ1を軸受開き角度、ノズル面124に対する線Lの傾き角度θ2をインサート角度という。
【0059】
このように、構成することで、水平打ち方式におけるキャリッジ23のピッチングを低減することができる。
【0060】
この点について図12及び図13も参照して詳細に説明する。なお、図12は2点支持軸受にかかる力の説明に供する説明図、図13は軸受のインサート角度(傾斜角度)の具体例の説明に供する説明図である。
【0061】
まず、図12に示すように、キャリッジ23の駆動による外力1F、2Fが軸受231に作用すると、外力1F、2Fは軸受斜面232A、232Bに垂直方向にかかる力1fa、2faと軸受斜面232A、232Bに平行な方向にかかる力1fb、2fbに分解される。この外力1F、2Fの分力のうち、分力1fbと2fbが軸受231を主ガイド軸21に乗り上げさせる力となる。つまり、軸受231の斜面232A、232Bで外力を受けることで乗り上げ力が小さくなる。
【0062】
そこで、理想的には、外力の方向に対して直交するように軸受231の斜面232A、232Bの角度を設定することで、乗り上げ力が発生しないが、副作用として、軸受231と主ガイド軸21との摺動負荷が増大する。このため、軸受231の乗り上げ力と摺動負荷の2点から最適な2つの斜面間の角度θ1が決定される。
【0063】
一方、外力3Fのように軸受231の2つの斜面232A、232Bが主ガイド軸21から反力を受けない方向から力が加わると、軸受21が浮き上がってしまうため、2点支持軸受の効果を発揮できないことになる。
【0064】
そこで、垂直打ち方式では、記録ヘッド24のノズル面124が水平方向に配置されているので、上述したインサート角度θ2を0度に設定することで、滴着弾位置精度に最も影響を与えるz軸周りのヨーイングを抑えることができる。
【0065】
これに対し、水平打ち方式では、垂直打ち方式に対して記録ヘッド24のノズル面124を90度回転下方向になるので、単純に垂直打ち方式の構成を適用すると、上述したインサート角度θ2は90度になる。しかしながら、インサート角度θ2を90度に設定すると、y軸方向の力が作用したときに斜面232A、232Bで受けることができない。そこで、本実施形態では、キャリッジ23のy軸まわりの回転であるピッチングがインク着弾精度に最も影響するため、インサート角度(傾斜角度)θ2を、略60度から90度未満の角度の間に設定している。
【0066】
具体的には、前述した図8及び図9に示すように、キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向の断面で、キャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21とキャリッジ23の重心位置Oとの間に配置されている場合、キャリッジ移動方向における前側の軸受231Aの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、232Bのうち、鉛直方向におけるキャリッジ重心Oから遠い側の斜面232Bにキャリッジ加速時に軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0067】
また、走査方向における後側の軸受231Bの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、232Bのうち、鉛直方向におけるキャリッジ重心Oに近い側の斜面232Aにキャリッジ加速時に軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0068】
このとき、後側の軸受231Bにかかる乗り上げ力は、前側の軸受231Aにかかる乗り上げ力より大きいため、後側の軸受231Bにかかる乗り上げ力を抑えることで効率的にキャリッジの挙動を安定させることができる。
【0069】
そして、前記のように主ガイド軸21中心を通るx−y平面におけるキャリッジ23の断面において、重心Oの位置より主ガイド軸21側にキャリッジ牽引部位が配置されている場合、図8に示すように、キャリッジ加速時にキャリッジ23の慣性による回転モーメントMは時計回りに加わる。この回転モーメントMによりキャリッジ23のヨーイングが生じ、走査方向における後側の軸受231Bに荷重fが加わる。
【0070】
そこで、この荷重fにより、主ガイド軸21が2つの斜面232A、232B間に食い込む方向に、軸受231の2つの斜面232A、232Bの向きを設定している。これにより、軸受231の主ガイド軸21への乗り上げが抑制されて、ピッチングが抑制される。
【0071】
一方、キャリッジ減速時においては、キャリッジ移動方向における前側の軸受231Aの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、232Bのうち、鉛直方向における重心Oに近い側の斜面232Aに軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0072】
また、キャリッジ移動方向における後側の軸受232Bの主ガイド軸21と接触する2つの斜面232A、2332Bのうち、鉛直方向における重心から遠い側の斜面232Bに軸受231が主ガイド軸21へ乗り上げる力が発生する。
【0073】
ここで、前側の軸受231Aにかかる乗り上げ力は、後側の軸受231Bにかかる乗り上げ力より大きいため、前側の軸受231Aにかかる乗り上げ力を抑えることで効率的にキャリッジの挙動を安定させることができる。
【0074】
そして、主ガイド軸21の中心を通るx−y平面におけるキャリッジ23の断面において、キャリッジ減速時には加速時に生じる回転モーメントとは反対方向に回転モーメントが生じる。したがって、軸受231の2つの斜面232A、232Bの向きを、上述したキャリッジ加速時に設定した向きに設定することで、キャリッジ減速時のピッチングも抑制することができる。
【0075】
ここで、インサート角度θ2について図13を参照して具体的に説明する。
図13は軸受開き角度θ1=30度とした場合におけるインサート角度θ2と軸受231の乗り上げ力との関係の一例を示している。インサート角度θ2が小さいほど走査方向における後側の軸受にかかる乗り上げ力が大きく、インサート角度θ2が大きいほど走査方向における前側の軸受にかかる乗り上げ力が大きくなる。2つ軸受231A、231Bにかかる力が最小となるようにインサート角度θ2を設定することが好ましい。この例では、軸受231の乗り上げ力を最小にするインサート角度θ2は83.2度となる。
【0076】
つまり、キャリッジ23のキャリッジ牽引部位が主ガイド軸21に支持される部位とキャリッジ23の重心位置との間に配置されているとき、主ガイド軸21の中心を通り、被記録媒体の搬送方向と直交する断面において、軸受231に形成された2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点が、主ガイド軸21の中心を通る鉛直方向線に対し、キャリッジ23の重心位置側に配置されていることで、ピッチングを抑制して画像品質を向上することができる。
【0077】
このように、ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、軸受の2つの斜面は、軸受の2つの斜面とガイド軸の外周面との各接触点におけるガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点とガイド軸中心とを通る線が、ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置されている構成とすることで、水平打ち方式におけるキャリッジのピッチングが低減して、画像品質を向上できり。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態におけるキャリッジのガイド軸に対する支持構造について図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は同実施形態におけるキャリッジ部分の側面説明図、図15は同じく軸受の斜面とノズル面との関係の説明に供する説明図である。
【0079】
本実施形態は、図14に示すように、キャリッジ23の伝達部(キャリッジ牽引部位)230は、主走査方向と直交する方向の断面で、キャリッジ23の重心位置Oを挟んでキャリッジ23の主ガイド軸21で支持される支持部位、即ち主ガイド軸21と反対側に配置されている。
【0080】
この場合には、図15に示すように、主ガイド軸21の中心を通り、被記録媒体の搬送方向と直交する断面において、軸受231に形成された2つの斜面232A、232Bと主ガイド軸21との各接触点における主ガイド軸21の外周面上の2つの接線L1、L2が交わる点が、主ガイド軸21の中心を通る鉛直方向線に対し、主ガイド軸21を挟んでキャリッジ23の重心位置と反対側に配置する。
【0081】
これにより、前記第1実施形態と同様に、ピッチングを抑制して画像品質を向上することができる。
【0082】
次に、本発明の第3実施形態について図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は同実施形態の説明に供する要部説明図、図17は同じく付勢部材の説明に供する拡大説明図である。
本実施形態では、キャリッジ23と主ガイド軸21との間に先端部が楔形状に形成されて斜面240aを有する摺動部材240を設け、この摺動部材240の斜面240aを主ガイド軸21の周面に当接させ、キャリッジ23の構成部材との間で固定されている付勢部材241によって摺動部材240を主ガイド軸21側に付勢している。この摺動部材240は主走査方向で軸受231A、231Bに近傍にそれぞれ配置している。
【0083】
ここで、摺動部材240は軸受231の乗り上げ力を上回る力で付勢しなければならないため、摺動部材240を板バネ等で付勢するだけでは、キャリッジ23と主ガイド軸21との摺動負荷が増大するおそれがある。そこで、上述した斜面240aを有する楔形状の摺動部材240を用いることで、キャリッジ23とガイド軸240の摺動負荷の増大を抑えつつ、キャリッジ加減速時に付勢部材241にかかる力F1の水平方向の分力F1sinθ4以上の付勢力を加えることで軸受21の乗り上げを防止することができる。
【0084】
次に、本発明の第4実施形態について図18を参照して説明する。なお、図18は同実施形態の説明に供する要部説明図である。
本実施形態では、上記第3実施形態において、摺動部材240の摺動方向への移動を規制する規制部材242を設けている。
【0085】
これにより、摺動部材240がキャリッジ23と主ガイド軸21との間に食い込み、キャリッジ23とガイド軸240の摺動負荷が増大して摺動不能になることを防止している。
【0086】
次に、本発明の第5実施形態について図19を参照して説明する。なお、図19は同実施形態の説明に供する図2と同様な説明図である。
各色のメインタンク(インクカートリッジ)11(11K、11C、11M、11Y)側に接続された液体供給チューブ(インク供給チューブ)301は、装置本体側に設けられたガイド部材302に沿って装置本体の底部側に主走査方向に配設され、U字状に曲げられて(U字状部分を湾曲部301aという。)、垂直方向(鉛直方向)に立ち上げられた後、キャリッジ23側のチューブ固定部303にて固定されて、キャリッジ23のヘッドタンク29に接続されている。また、ガイド部材302側には液体供給チューブ301を固定するチューブ固定部304が設けられている。
【0087】
ここで、前述した各実施形態で説明したような軸受の斜面の角度と液体供給チューブの復元力の方向に関係について図20を参照して説明する。
上述したように液体供給チューブ301は本体側チューブ固定部304とキャリッジ側チューブ固定部303との間で略U字形に湾曲されて配設される。液体供給チューブ301には自己復帰習性が備わっているため、湾曲させることで復元力が生じる。復元力がキャリッジ23に加わると、キャリッジ23の挙動が乱れ、インク着弾精度が悪化することになる。
【0088】
そのため、液体供給チューブ301の復元力がキャリッジ23に加わってもインク着弾精度を悪化させないように、復元力の方向、キャリッジ側チューブ固定部の位置、形状を設定する。
【0089】
この場合、記録ヘッド24のノズル面124が垂直方向に配置されている水平打ち方式では、軸受231の傾斜角度(インサート角度)θ2はインク着弾精度に最も影響するキャリッジ23のピッチングを抑えるように設定しているため、液体供給チューブ301を水平面に沿って移動するように配設すると、液体供給チューブ301の復元力が軸受231に加わり、軸受231の斜面232A、232Bが浮き上がる、若しくは主ガイド軸21に乗り上げてしまい、キャリッジ23の挙動が乱れることになる。
【0090】
そこで、軸受231の傾斜角度θ2に応じて、液体供給チューブ301の復元力がかかる方向を設定することでインクチューブの復元力1Nによるキャリッジ23の挙動の悪化を防ぐことができる。
【0091】
つまり、軸受231の2つの斜面232A、232Bの延長線が交わる点P1と軸受中心P2を結んだ直線と直交する方向に液体供給チューブ301の復元力1N、もしくは2Nが掛かるように復元力の方向を設定することで、軸受231が最も乗り上げにくい方向に液体供給チューブ301の復元力が加わる。したがって、この方向が最もキャリッジ挙動に対する液体供給チューブ301の影響が小さくなる。
【0092】
しかしながら、このように方向に復元力を生じる液体供給チューブ301の配設を行なうと、液体供給チューブ301の復元力の影響を低減することができるものの、図21に示すように、装置本体の底部側から液体供給チューブ301が鉛直方向に対して斜めに立ち上がる方向に這い回すことになり、複数本の液体供給チューブ301(チューブ群)を使用するとき、チューブ群全体を斜めに配設しなければならない。この結果、キャリッジ23の移動に対する他の影響が発生し、またチューブ配設構成も複雑になる。
【0093】
そのため、本実施形態では、図22に示すように、軸受231の傾斜角度(インサート角度)θ2はインク着弾精度に最も影響するキャリッジ23のピッチングを抑えるように設定しつつ、液体供給チューブ301は、装置本体の底部側から用紙搬送方向に沿って(この例では鉛直方向に沿って)這い回して湾曲させた湾曲部301aを有する構成とすることで、液体供給チューブ301の復元力による影響を低減している。
【0094】
次に、キャリッジ側チューブ固定部303と本体側チューブ固定部304との位置関係について図23の模式的説明図を参照して説明する。
鉛直方向に液体供給チューブ301を湾曲させる場合、キャリッジ側チューブ固定部303と本体側チューブ固定部304は鉛直方向の異なる位置に配置される。鉛直方向において、キャリッジ側チューブ固定部303を本体側チューブ固定部304より高さ方向で上に配置することで、チューブ復元力1Nの鉛直方向成分1Naとチューブ自重10Nとが打ち消しあう方向に作用するため、キャリッジ側チューブ固定部303に加わる力を小さくすることができる。
【0095】
次に、チューブ復元力によりキャリッジをガイド軸に押圧するためのチューブ固定部の位置について図24の模式的説明図を参照して説明する。
液体供給チューブ301の復元力1Nがキャリッジ23に鉛直方向上向きに作用する場合、主ガイド軸21中心を通る鉛直方向線に対して従ガイド軸22と反対側にキャリッジ側チューブ固定部303を配置することで、主ガイド軸21を支点とした回転モーメントにより、キャリッジ23を従ガイド軸22側に押し付ける力20Nが発生する。この押し付ける力により、キャリッジ23のx軸方向の回転であるローリングを防ぐことができる。
【0096】
また、液体供給チューブ301の復元力1Nがキャリッジ23に鉛直方向下向きに作用する場合、主ガイド軸21の中心を通る鉛直方向線に対して従ガイド軸22と同じ側にキャリッジ側チューブ固定部303を配置することで、主ガイド軸21を支点とした回転モーメントにより、キャリッジ23を従ガイド軸22に押し付ける力20Nが発生する。この押し付ける力により、キャリッジ23のx軸方向の回転であるローリングを防ぐことができる。
【0097】
このキャリッジ側チューブ固定部303の配置が困難である場合、キャリッジ側チューブ固定部303と主ガイド軸21の中心を結んだ直線上にクチューブ復元力1Nが作用するようにキャリッジ側チューブ固定部303を配置することで、主ガイド軸21を支点とした回転モーメントが0となるため、キャリッジ23が従ガイド軸22から浮き上がることがなくなる。
【0098】
次に、装置本体側のチューブガイド部材302について図25の模式的説明図を参照して説明する。
キャリッジ23の走査により、湾曲させた液体供給チューブ301が本体側チューブ固定部302の方向に膨らみ、液体供給チューブ301が他の部品に接触し、突発的に液体供給チューブ301が変形し、キャリッジ23の挙動を乱す場合がある。略U字形に湾曲した液体供給チューブ301をガイド部材302に沿わせることで、突発的なチューブ301の変形を防ぐことができる。
【0099】
しかし、水平方向に液体供給チューブ301を湾曲させる場合とは異なり、鉛直方向に液体供給チューブ301を湾曲させる場合では、キャリッジ23の走査による液体供給チューブ301の膨らみに加え、液体供給チューブ301が重力により本体側チューブ固定部302の方向に垂れるため、液体供給チューブ301がガイド部材302から受ける反力が大きくなる。そのため、ガイド部材302を、液体供給チューブ301を水平方向に配置する場合と同様にキャリッジ23の走査方向に平行に配置すると、走査方向におけるキャリッジ23の位置による液体供給チューブ301の負荷の変動が大きくなる。
【0100】
そこで、ガイド部材302を主走査方向に傾斜させて配置することで走査時のキャリッジ23の位置による液体供給チューブ301の復元力の変動を小さくすることができる。
【0101】
なお、上記実施形態では、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に搬送し、液滴を水平方向に吐出する例で説明しているが、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に対して傾斜した方向に搬送し、液滴を水平方向に対して傾斜した方向に吐出する構成であっても、本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構
6 排紙部
7 排紙トレイ
8 反転部
9 維持回復機構
10 用紙(被記録媒体)
21 主ガイド軸(主ガイド部材)
22 従ガイド軸(従ガイド部材)
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
29 ヘッドタンク
51 搬送ベルト
124 ノズル面
231、231A、231B ガイド軸
232A、232B 斜面
301 液体供給チューブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドが搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
前記キャリッジを前記主走査方向に案内するガイド軸と、
前記キャリッジに搭載されて前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
装置本体側に着脱自在に装着された前記液体を収容したメインタンクと、
前記メインタンクと前記ヘッドタンクとをつなぐ液体供給チューブと、を備え、
前記記録ヘッドは、前記ノズル面が垂直方向又は垂直方向に対して傾斜して前記キャリッジに搭載されて、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出し、
前記キャリッジには、前記ガイド軸の周面に摺動可能に当接する2つの斜面を有する軸受を備え、
前記ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、
前記軸受の前記2つの斜面は、
前記軸受の前記2つの斜面と前記ガイド軸の外周面との各接触点における前記ガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点と前記ガイド軸中心とを通る線が、前記ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置され、
前記液体供給チューブは、主走査方向に沿って這い回され、装置本体の底部側から前記記録ヘッドで画像が形成される被記録媒体の搬送方向に沿って湾曲する湾曲部を経て、高さ方向で上方の前記キャリッジに取付けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位と前記キャリッジの重心位置との間に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの重心位置に対して前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位の反対側に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側と反対側にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド軸に摺動自在に接触する摺動部材と、
前記摺動部材を前記ガイド軸側に付勢する付勢手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記摺動部材は前記ガイド軸と当接する斜面が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記摺動部材は楔形状であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記装置本体の底部側には前記液体供給チューブを案内するチューブガイド部材が設けられ、前記チューブガイド部材は主走査方向に沿って傾斜していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドが搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
前記キャリッジを前記主走査方向に案内するガイド軸と、
前記キャリッジに搭載されて前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
装置本体側に着脱自在に装着された前記液体を収容したメインタンクと、
前記メインタンクと前記ヘッドタンクとをつなぐ液体供給チューブと、を備え、
前記記録ヘッドは、前記ノズル面が垂直方向又は垂直方向に対して傾斜して前記キャリッジに搭載されて、水平方向又は水平方向に対して傾斜した方向に向けて液滴を吐出し、
前記キャリッジには、前記ガイド軸の周面に摺動可能に当接する2つの斜面を有する軸受を備え、
前記ガイド軸の軸心と直交する方向の断面において、
前記軸受の前記2つの斜面は、
前記軸受の前記2つの斜面と前記ガイド軸の外周面との各接触点における前記ガイド軸の外周面上の2つの接線が交わる点と前記ガイド軸中心とを通る線が、前記ノズル面に沿う方向の線と斜めに交差する状態で配置され、
前記液体供給チューブは、主走査方向に沿って這い回され、装置本体の底部側から前記記録ヘッドで画像が形成される被記録媒体の搬送方向に沿って湾曲する湾曲部を経て、高さ方向で上方の前記キャリッジに取付けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位と前記キャリッジの重心位置との間に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記キャリッジの駆動源からの駆動力が伝達される伝達部位は、前記主走査方向と直交する方向の断面で、前記キャリッジの重心位置に対して前記キャリッジの前記ガイド軸で支持される支持部位の反対側に配置され、前記2つの接線が交わる点が前記重心位置側と反対側にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド軸に摺動自在に接触する摺動部材と、
前記摺動部材を前記ガイド軸側に付勢する付勢手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記摺動部材は前記ガイド軸と当接する斜面が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記摺動部材は楔形状であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記装置本体の底部側には前記液体供給チューブを案内するチューブガイド部材が設けられ、前記チューブガイド部材は主走査方向に沿って傾斜していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−56260(P2012−56260A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203807(P2010−203807)
【出願日】平成22年9月11日(2010.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月11日(2010.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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