説明

画像形成装置

【課題】新たに画像データを入力する必要のない出力ジョブの転送を停止することなく、ユーザに時間待ちや出力操作のやり直しの無駄を強いることのない画像形成装置を提供すること。
【解決手段】出力ジョブを一時記憶して順次実行するジョブエリアと画像データを含む保存ファイルを保存する保存エリアとを有する保存装置と、出力ジョブの実行の制御を行う制御部と、保存エリアに保存された保存ファイルを出力する保存ファイル出力ジョブを一時記憶するための保存ファイル出力予約リストとを備え、新たな出力ジョブの受付を禁止している間に保存ファイル出力ジョブが入力された場合、入力された保存ファイル出力ジョブを保存ファイル出力予約リストに保存し、新たな出力ジョブの受付が可能になったら、保存ファイル出力予約リストに保存された保存ファイル出力ジョブを、ジョブエリアに転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にデータを記憶するための保存装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置を備え、ハードディスク装置に画像データ等のデータを予め記憶させておいて、必要に応じて、データを取り出して印刷することのできる画像形成装置が知られている。
【0003】
また、従来から、複数の情報処理装置から印刷制御装置へ印刷データを転送して印刷する印刷システムにおいて、印刷制御装置の容量等の制限に応じて印刷データの転送量を調節することで、印刷制御装置の付加を軽減することが行われている。
【0004】
しかし、このような方法では、印刷データの転送量の調節タイミングによっては、1つの情報処理装置が一度に大量の印刷データを転送してしまった場合等に、他の情報処理装置が印刷データを転送できない状況が発生してしまう場合がある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1には、1つの情報処理装置から印刷装置に送信済みのジョブ数が所定値以上か、印刷装置が保持する全ての情報処理装置から受信したジョブ数が所定値以上である場合に、印刷ジョブの送信を停止する方法が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−128989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、上述したハードディスク装置を備えた画像形成装置のように、すでに装置内に画像データが保存されていて、新たに画像データを入力する必要のない出力ジョブであっても、出力ジョブの転送を停止してしまうために、ユーザは、出力が可能になるまで時間待ちをしたり、再度出力操作をやり直したりする手間が必要となり、時間や労力を無駄にすることとなる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、新たに画像データを入力する必要のない出力ジョブの転送を停止することなく、ユーザに時間待ちや出力操作のやり直しの無駄を強いることのない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0010】
1.画像データを含む保存ファイルを保存する保存装置と、
画像データを出力する出力ジョブの実行を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記保存装置は、
複数の出力ジョブを一時記憶して順次実行するジョブエリアと、
画像データを含む保存ファイルを保存する保存エリアとを有し、
前記保存エリアに保存された保存ファイルを出力する保存ファイル出力ジョブを一時記憶するための保存ファイル出力予約リストを備え、
前記制御部は、
前記ジョブエリアに一時記憶されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の何れか一方または両方が所定値以上の場合には、新たな出力ジョブの受付を禁止するとともに、
新たな出力ジョブの受付を禁止している間に、前記保存エリアに保存された保存ファイルを出力する保存ファイル出力ジョブが入力された場合には、入力された保存ファイル出力ジョブを前記保存ファイル出力予約リストに保存し、
前記ジョブエリアに一時記憶されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計が前記所定値未満に変化した場合には、前記保存ファイル出力予約リストに保存された保存ファイル出力ジョブを、前記ジョブエリアに転送することを特徴とする画像形成装置。
【0011】
2.前記制御部は、
前記ジョブエリアに記憶された出力ジョブの実行が終了すると、終了した出力ジョブを前記ジョブエリアから削除することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0012】
3.前記保存ファイル出力予約リストは、前記保存エリアに保存された保存ファイルの画像データを含まず、
前記保存ファイル出力予約リストに保存された保存ファイル出力ジョブを前記ジョブエリアに転送する際には、前記保存エリアに保存された対応する保存ファイルの画像データを同時に転送することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0013】
4.前記制御部は、
前記ジョブエリアに一時記憶されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計が所定値未満に変化し、前記保存ファイル出力予約リストに保存ファイル出力ジョブが記憶されていない場合に、新たな出力ジョブを受け付けることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出力ジョブを一時記憶して順次実行するジョブエリアと画像データを含む保存ファイルを保存する保存エリアとを有する保存装置と、出力ジョブの実行の制御を行う制御部と、保存エリアに保存された保存ファイルを出力する保存ファイル出力ジョブを一時記憶するための保存ファイル出力予約リストとを備え、ジョブエリアの出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の何れか一方または両方が所定値以上となって新たな出力ジョブの受付を禁止している間に、保存ファイル出力ジョブが入力された場合、入力された保存ファイル出力ジョブを保存ファイル出力予約リストに保存し、ジョブエリアの出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の両方が所定値未満に変化したら、保存ファイル出力予約リストに保存された保存ファイル出力ジョブを、ジョブエリアに転送することで、新たに画像データを入力する必要のない出力ジョブの受付を停止することなく、ユーザに時間待ちや出力操作のやり直しの無駄を強いることのない画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置の構成例を説明するための模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置の制御部およびその周辺の構成の例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における保存装置の内部構成の例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるジョブ受付動作のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS3「ジョブ予約サブルーチン」を示すフローチャートである。
【図6】ジョブリスト、保存ファイルリストおよび保存ファイル出力予約リストの構成の例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態における出力ジョブの実行動作を示すフローチャートである。
【図8】ジョブリストへの繰り込み時の状態を例示する模式図である。
【図9】操作パネル上の液晶表示パネルに表示する例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略することがある。
【0017】
最初に、本発明の実施の形態における画像形成装置の構成例について、図1を用いて説明する、図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置の構成例を説明するための模式図で、図1(a)は画像形成装置を含むシステムの構成例を説明するための模式図で、図1(b)は画像形成装置の内部構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1(a)において、画像形成装置1は、ネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介して、同様にネットワークNWに接続されたパーソナルコンピュータ(PC)2、3や、スキャナ4等から送信される出力ジョブを受信して実行する。
【0019】
図1(b)において、画像形成装置1は、制御部10、保存装置20、インターフェース(I/F)部30、操作パネル40、スキャナ50、画像出力部60および後処理装置70等で構成される。
【0020】
制御部10は、画像形成装置1全体の制御を司るとともに、本発明のポイントである出力ジョブの制御を行う。詳細は後述する。保存装置20は、例えばハードディスク装置等で構成され、画像データを含む保存ファイルを保存する。詳細は後述する。
【0021】
インターフェース(I/F)部30は、画像形成装置1をネットワークNWに接続するためのインターフェースであり、制御部10は、I/F部30を介して、ネットワークNW上のPCやスキャナ等からの出力ジョブを受信する。
【0022】
操作パネル40は、例えばテンキーやタッチパネルと、液晶表示パネル等で構成され、画像形成装置1の出力ジョブ等の動作を指示したり、動作結果や警告等を表示する、操作表示部である。
【0023】
スキャナ50は、原稿を走査して画像データを生成し、制御部10の制御に従って保存装置20に転送する。
【0024】
画像出力部60は、例えば電子写真方式やインクジェット方式の画像形成部等で構成され、制御部10の制御に従って、記録媒体上に画像データを印刷する。
【0025】
後処理装置70は、画像出力部60で画像データが印刷された記録媒体に、必要に応じて、パンチ穴あけ処理、綴じ処理や製本処理等の後処理を施す。
【0026】
次に、本発明の実施の形態における画像形成装置の制御部およびその周辺の構成の例について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置の制御部およびその周辺の構成の例を示すブロック図である。
【0027】
図2において、制御部10は、CPU11、ROM12、RAM13等で構成されており、CPU11、ROM12およびRAM13は、それぞれバスBを介して接続されている。また、保存装置20およびインターフェース(I/F)部30も同様に、バスBを介して接続されている。
【0028】
CPU11は、マイクロコンピュータであり、ROM12に格納された制御プログラムをRAM13上に展開し、制御プログラムに従って画像形成装置1の動作を制御する。CPU11は、画像データを出力する出力ジョブ実行時には、画像データを画像出力部で出力可能な形にRAM13上に展開する。
【0029】
次に、本発明の実施の形態における保存装置の内部構成の例について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態における保存装置の内部構成の例を示す模式図である。
【0030】
図3において、保存装置20は、ジョブエリア21と保存エリア22等とに分けられている。
【0031】
ジョブエリア21は、複数の出力ジョブを一時記憶して順次実行するエリアであり、複数の出力ジョブを実行する順に一時保存するジョブリスト211を有している。制御部10は、複数の出力ジョブを、実行する順にジョブリスト211に一時保存させ、出力ジョブの実行が完了すると、ジョブリスト211から削除させる。
【0032】
保存エリア22は、画像データを含む保存ファイルを保存するエリアであり、複数の保存ファイルを保存する保存ファイルリスト221を有している。保存ファイルリスト221に保存された保存ファイルは、ユーザからの指示によって出力したり、ネットワークNWを介して他のPC等に送信したりすることができる。
【0033】
上述したように、保存装置20は、例えばハードディスク装置であり、その容量値は例えば数百GB程度である。ジョブエリア21に割り付けられる容量値は例えば数十GB程度で、残りが保存エリア22に割り付けられる。
【0034】
このように、ジョブエリア21の容量値には限界があるので、ジョブエリア21に一時記憶できる出力ジョブの数とファイルサイズの合計にも限界がある。そこで、制御部10は、出力ジョブの数とファイルサイズの合計の何れか一方または両方が所定値以上となった場合には、新たな出力ジョブの受付を禁止することで、出力ジョブの数とファイルサイズの合計とが限界以内となるように制御する。
【0035】
また、制御部10は、例えばRAM13上に保存ファイル出力予約リスト131を有している。上述したように新たな出力ジョブの受付を禁止している状態で、ユーザが、既に保存装置20に保存されている保存ファイルの出力ジョブを入力した場合、制御部10は、保存ファイル出力ジョブを一旦、保存ファイル出力予約リスト131に保存(出力予約)する。
【0036】
その後、ジョブエリア21で実行されている出力ジョブの処理が進み、ジョブエリア21の出力ジョブの数とファイルサイズの合計とが所定値未満となったら、保存ファイル出力予約リスト131に保存した保存ファイル出力ジョブをジョブエリア21に転送する。
【0037】
これによって、ユーザは、既に保存装置20に保存されている保存ファイルの出力ジョブをやり直しする必要がなくなり、無駄を省くことができる。なお、この例では制御部10のRAM13上に保存ファイル出力予約リスト131を有するとしたが、これに限るものではなく、例えば保存装置20のジョブエリア21あるいは保存エリア22等の他の場所に設けてもよい。
【0038】
次に、本発明の実施の形態における画像形成装置の動作について、図4から図9を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態におけるジョブ受付動作のメインルーチンを示すフローチャートである。
【0039】
図4において、ステップS1で、画像形成装置1に向けて、ネットワークNW上のPC等からI/F部30を介して、あるいはユーザによって操作パネル40が操作されることで、何らかのジョブが入力され、制御部10によって受信される。ステップS2で、受信されたジョブが画像データの出力ジョブであるか否かが確認される。
【0040】
出力ジョブである場合(ステップS2;Yes)、ステップS3「ジョブ予約サブルーチン」が実行され、ステップS4に進む。ステップS3については、図5で詳述する。ここで、画像データの出力ジョブには、これからネットワークNW上のPC等からI/F部30を介して、あるいはスキャナ50を介して入力される画像データの出力ジョブと、既に保存装置20に保存されている保存ファイルの画像データの出力ジョブの2通りがある。
【0041】
ステップS4で、ステップS1で受信されたジョブが、出力ジョブであると共に、入力された画像データを保存装置20に保存する保存ジョブであるか否かが確認される。保存ジョブである場合(ステップS4;Yes)、ステップS5で、後述するステップS3で入力された画像データと画像データの出力時の設定情報等とが、保存ファイルとして、図6で後述する保存装置20の保存エリア22の保存ファイルリスト221に保存され、動作が終了される。保存ジョブでない場合(ステップS4;No)、そのまま動作が終了される。
【0042】
ステップS2で受信されたジョブが出力ジョブでない場合(ステップS2;No)、ステップS6で、入力された画像データを保存装置20に保存する保存ジョブであるか否かが確認される。保存ジョブである場合(ステップS6;Yes)、ステップS7で、保存ジョブが受け付けられ、ステップS8で、ネットワークNW上のPC等からI/F部30を介して、あるいはスキャナ50と操作パネル40とを介して、画像データと画像データの出力時の設定情報等とが読み込まれる。
【0043】
ステップS5で、ステップS8で読み込まれた画像データと画像データの出力時の設定情報等とが、保存ファイルとして、図6(b)で後述する保存装置20の保存エリア22の保存ファイルリスト221に保存され、動作が終了される。
【0044】
保存ジョブでない場合(ステップS6;No)、ステップS9で、ステップS1で受信されたジョブの内容、例えばスキャナ50でスキャンされた画像データの転送ジョブや、保存装置20に保存されている保存ファイルの転送ジョブ等に従って、その他の処理が進められる。
【0045】
図5は、図4のステップS3「ジョブ予約サブルーチン」を示すフローチャートである。また、図6は、ジョブリスト、保存ファイルリストおよび保存ファイル出力予約リストの構成の例を示す模式図で、図6(a)はジョブリストの構成の例を示す模式図、図6(b)は保存ファイルリストの構成の例を示す模式図、図6(c)は保存ファイル出力予約リストの構成の例を示す模式図である。
【0046】
図5において、ステップS311で、保存装置20のジョブエリア21のジョブリスト211に一時記憶されているジョブの数が所定値未満であるか否かが確認される。所定値未満である場合(ステップS311;Yes)ステップS312で、ジョブリスト211に一時記憶されているジョブのファイルサイズの合計が所定値未満であるか否かが確認される。
【0047】
図6(a)に例示するように、ジョブリスト211は、複数の出力ジョブを実行する順に一時保存する予約リストであり、例えば予約番号211a、画像データ211b、ファイルサイズ211cおよび設定情報211d等で構成される。
【0048】
例えば、予約番号1の出力ジョブは、ファイルサイズ35MBの画像データ1を、片面印刷で1部だけ画像形成装置1のトレイaから出力するジョブである。出力ジョブの最大値である所定値は、ジョブエリアに割り付けられた容量値(例えば10GB)と1ファイルあたりの平均ファイルサイズ(例えば100MB)等から適宜決定されればよく、この例では、所定値は例えば100となる。
【0049】
図5に戻って、ステップS312でジョブリスト211に一時記憶されているジョブのファイルサイズの合計が所定値未満であった場合(ステップS312;Yes)、ステップS313で、図4のステップS1で受信された出力ジョブが受け付けられ、ステップS314で、ネットワークNW上のPC等からI/F部30を介して、あるいはスキャナ50と操作パネル40とを介して、画像データと画像データの出力時の設定情報等とが読み込まれる。
【0050】
ステップS315で、読み込まれた画像データとその設定情報等が、図6(a)に例を示したジョブリスト211の末尾に、例えば予約番号nの出力ジョブとして追記されて記憶される。
【0051】
ステップS316で、出力ジョブの予約を受け付けた旨の受付メッセージを、例えばネットワークNW上のPC等から受け付けた出力ジョブの場合はPC等に送信し、操作パネル40から受け付けた出力ジョブの場合は操作パネル40上の液晶表示パネルに表示して、メインルーチンに戻る。
【0052】
図9(a)に、ステップS316の受付メッセージを操作パネル40上の液晶表示パネルに表示する例を示す。ここでは、操作パネル40上の液晶表示パネルに、「出力ジョブの予約を受け付けました」というメッセージを表示している。
【0053】
図5に戻って、ステップS311でジョブリスト211に一時記憶されているジョブの数が所定値未満でない場合(ステップS311;No)、あるいは、ステップS312でジョブリスト211に一時記憶されているジョブのファイルサイズの合計が所定値未満でない場合(ステップS312;No)、ステップS321で、ステップS1で受信したジョブが、既に保存装置20の保存エリア22の保存ファイルリスト221に保存されている保存ファイルの出力ジョブであるか否かが確認される。
【0054】
図6(b)に例示するように、保存ファイルリスト221は、ファイル名221a、画像データ221b、ファイルサイズ221cおよび設定情報221d等で特定される1つまたは複数の保存ファイルで構成される。例えば、ファイル名がファイルAの保存ファイルは、ファイルサイズ150MBの画像データAを、片面印刷で1部だけ画像形成装置1のトレイaから出力する設定がなされた保存ファイルである。
【0055】
図5に戻って、ステップS1で受信したジョブが保存ファイルの出力ジョブである場合(ステップS321;Yes)、ステップS322で、保存ファイルの出力ジョブの予約を受け付け、ステップS323で、保存ファイルの出力ジョブが制御部10の保存ファイル出力予約リスト131の末尾に追記されて記憶される。
【0056】
図6(c)に保存ファイル出力予約リスト131の一例を示す。図6(c)の例では、予約番号1から3の3件の保存ファイルの出力ジョブが予約されている状態を例示している。ここで、保存ファイル出力予約リスト131には、予約番号131aと、保存ファイルリスト221上の保存ファイルを特定するための情報であるファイル名131bとファイルサイズ131c、および出力時の設定条件を示す設定情報131d等が記載されており、ジョブリスト211や保存ファイルリスト221とは異なり、画像データが記憶されていない。
【0057】
図5に戻って、ステップS324で、保存ファイルの出力ジョブの予約を受け付けた旨の受付メッセージを、例えばネットワークNW上のPC等から受け付けた出力ジョブの場合はPC等に送信し、操作パネル40から受け付けた出力ジョブの場合は操作パネル40上の液晶表示パネルに表示して、メインルーチンに戻る。
【0058】
図9(b)に、ステップS324の受付メッセージを操作パネル40上の液晶表示パネルに表示する例を示す。ここでは、操作パネル40上の液晶表示パネルに、「保存ファイルの出力ジョブの予約を受け付けました。予約ジョブ終了後に出力します」というメッセージを表示している。
【0059】
図5に戻って、ステップS1で受信したジョブが保存ファイルの出力ジョブでない場合(ステップS321;No)、受信したジョブは、これからネットワークNW上のPC等からI/F部30を介して、あるいはスキャナ50を介して入力される画像データの出力ジョブであるので、ステップS331で、新たなジョブの受付を禁止する。
【0060】
ステップS332で、ジョブの受付を禁止する旨のメッセージを、例えばネットワークNW上のPC等から受け付けた出力ジョブの場合はPC等に送信し、操作パネル40から受け付けた出力ジョブの場合は操作パネル40上の液晶表示パネルに表示して、メインルーチンに戻る。
【0061】
図9(c)に、ステップS332の受付禁止メッセージを操作パネル40上の液晶表示パネルに表示する例を示す。ここでは、操作パネル40上の液晶表示パネルに、「予約ジョブ数を超えていますので、しばらくお待ちください」というメッセージを表示している。
【0062】
上述したように、ジョブエリア21のジョブリスト211に一時記憶されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の何れか一方または両方が所定値以上の場合には、新たに入力される画像データを出力する出力ジョブの受付を禁止する。それとともに、新たな出力ジョブの受付を禁止している状態で、既に保存エリア22の保存ファイルリスト221に保存されている保存ファイルを出力する出力ジョブが入力された場合、入力された保存ファイル出力ジョブを保存ファイル出力予約リスト131に保存する。これによって、新たに画像データを入力する必要のない出力ジョブの受付を停止することなく、ユーザに時間待ちや出力操作のやり直しの無駄を強いることを防止することができる。
【0063】
図7は、本発明の実施の形態における出力ジョブの実行動作を示すフローチャートである。図7の出力ジョブの実行動作は、図4のジョブ受付動作とは独立に行われる。
【0064】
ステップS11で、図6(a)に例示したジョブリスト211に出力ジョブの予約があるか否かが確認される。予約されていない場合(ステップS11;No)にはそのまま終了される。
【0065】
出力ジョブの予約がある場合(ステップS11;Yes)、ステップS12で、ジョブリスト211の予約番号1番に記憶されている画像データ(この例では画像データ1)が、制御部10のRAM13上に印刷用データとして展開され、ステップS13で、画像出力部60によって印刷が行われる。
【0066】
印刷が終了すると、ステップS14で、ジョブリスト211の予約番号1番に記憶されていたジョブが削除されて、ステップS15で、ジョブリスト211に記憶されている各ジョブの順位が1つずつ繰り上げられる。これによって、ジョブリスト211の最下位が空欄になる。
【0067】
ステップS16で、保存ファイル出力予約リスト131に出力ジョブの予約があるか否かが確認される。予約されていない場合(ステップS16;No)、ステップS18で、新しい出力ジョブの予約が可能となった旨のメッセージを、例えばネットワークNW上のPC等から受け付けた出力ジョブの場合はPC等に送信し、操作パネル40から受け付けた出力ジョブの場合は操作パネル40上の液晶表示パネルに表示して、ステップS11に戻り、上述した各ステップが繰り返される。
【0068】
図9(d)に、ステップS318の出力ジョブの予約が可能である旨のメッセージを、操作パネル40上の液晶表示パネルに表示する例を示す。ここでは、操作パネル40上の液晶表示パネルに、「出力ジョブの予約が可能です」というメッセージを表示している。
【0069】
図7に戻って、保存ファイル出力予約リスト131に出力ジョブの予約がある場合(ステップS16;Yes)、ステップS17で、保存ファイル出力予約リスト131の最上位の出力ジョブが、ジョブリスト211の予約順位の最下位に繰り込まれ、ステップS11に戻り、上述した各ステップが繰り返される。
【0070】
ジョブリスト211への繰り込み時に、保存ファイルリスト221に保存されている最上位の出力ジョブに対応する画像データが、ジョブリスト211の予約順位の最下位の画像データの欄に転送される。
【0071】
図8に、ジョブリスト211への繰り込み時の状態を例示する。ジョブリスト211は、図6(a)に例示した状態から、ステップS14およびS15の動作によって、予約順位1番に記憶されていた画像データ1を出力する出力ジョブが削除され、予約順位2番に記憶されていた画像データ2を出力する出力ジョブが予約順位1番に繰り上げられ、以下、順次、予約順位が繰り上げられる。
【0072】
これによって空欄となったジョブリスト211の最下位の予約順位n番には、図6(c)に示した保存ファイル出力予約リスト131の最上位の出力ジョブであるファイルMを出力する出力ジョブが繰り込まれる。この時、図6(b)に示した保存ファイルリスト221のファイルMの画像データMが、ジョブリスト211の予約順位n番の画像データの欄に転送される。この状態を、図8(a)に示す。
【0073】
最上位の出力ジョブがジョブリスト211の最下位に繰り込まれると、保存ファイル出力予約リスト131も、予約順位が1つずつ繰り上げられる。この状態を、図8(b)に示す。図6(c)で3つあった予約が繰り上げられて、2つに減っている。
【0074】
上述したように、ジョブエリア21のジョブリスト211に一時記憶されている出力ジョブが順次実行されて、予約されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の両方が所定値未満に変化した場合、保存ファイル出力予約リスト131に保存ファイルの出力ジョブが保存されている場合には、保存されている保存ファイルの出力ジョブをジョブリスト211に繰り込み、保存されていない場合には、新たな出力ジョブの受付を可能にする。これによって、新たに画像データを入力する必要のない出力ジョブの受付を停止することなく、ユーザに時間待ちや出力操作のやり直しの無駄を強いることを防止することができる。
【0075】
以上に述べたように、本発明によれば、出力ジョブを一時記憶して順次実行するジョブエリアと画像データを含む保存ファイルを保存する保存エリアとを有する保存装置と、出力ジョブの実行の制御を行う制御部と、保存エリアに保存された保存ファイルを出力する保存ファイル出力ジョブを一時記憶するための保存ファイル出力予約リストとを備え、ジョブエリアの出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の何れか一方または両方が所定値以上となって新たな出力ジョブの受付を禁止している間に、保存ファイル出力ジョブが入力された場合、入力された保存ファイル出力ジョブを保存ファイル出力予約リストに保存し、ジョブエリアの出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の両方が所定値未満に変化したら、保存ファイル出力予約リストに保存された保存ファイル出力ジョブを、ジョブエリアに転送することで、新たに画像データを入力する必要のない出力ジョブの入力を停止することなく、ユーザに時間待ちや出力操作のやり直しの無駄を強いることのない画像形成装置を提供することができる。
【0076】
なお、本発明に係る画像形成装置を構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置
2 パーソナルコンピュータ(PC)
3 パーソナルコンピュータ(PC)
4 スキャナ
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
131 保存ファイル出力予約リスト
20 保存装置
21 ジョブエリア
211 ジョブリスト
22 保存エリア
221 保存ファイルリスト
30 インターフェース(I/F)部
40 操作パネル
50 スキャナ
60 画像出力部
70 後処理装置
NW ネットワーク
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを含む保存ファイルを保存する保存装置と、
画像データを出力する出力ジョブの実行を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記保存装置は、
複数の出力ジョブを一時記憶して順次実行するジョブエリアと、
画像データを含む保存ファイルを保存する保存エリアとを有し、
前記保存エリアに保存された保存ファイルを出力する保存ファイル出力ジョブを一時記憶するための保存ファイル出力予約リストを備え、
前記制御部は、
前記ジョブエリアに一時記憶されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計の何れか一方または両方が所定値以上の場合には、新たな出力ジョブの受付を禁止するとともに、
新たな出力ジョブの受付を禁止している間に、前記保存エリアに保存された保存ファイルを出力する保存ファイル出力ジョブが入力された場合には、入力された保存ファイル出力ジョブを前記保存ファイル出力予約リストに保存し、
前記ジョブエリアに一時記憶されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計が前記所定値未満に変化した場合には、前記保存ファイル出力予約リストに保存された保存ファイル出力ジョブを、前記ジョブエリアに転送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ジョブエリアに記憶された出力ジョブの実行が終了すると、終了した出力ジョブを前記ジョブエリアから削除することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保存ファイル出力予約リストは、前記保存エリアに保存された保存ファイルの画像データを含まず、
前記保存ファイル出力予約リストに保存された保存ファイル出力ジョブを前記ジョブエリアに転送する際には、前記保存エリアに保存された対応する保存ファイルの画像データを同時に転送することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ジョブエリアに一時記憶されている出力ジョブの数およびファイルサイズの合計が所定値未満に変化し、前記保存ファイル出力予約リストに保存ファイル出力ジョブが記憶されていない場合に、新たな出力ジョブを受け付けることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−89045(P2012−89045A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237111(P2010−237111)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】