説明

画像形成装置

【課題】現像カートリッジ側の電極と、感光ドラムを支持する支持壁側の電極が擦れて磨耗するのを抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体と、感光体を支持する支持壁(本体フレーム220)と、感光体に対して現像剤を供給する現像ローラを有し、支持壁に着脱可能に設けられる現像カートリッジ62と、現像カートリッジ62のうち当該現像カートリッジ62の着脱方向に沿った側面621に設けられるカートリッジ側電極620と、支持壁に設けられ、カートリッジ側電極620と接触する支持壁側電極200と、カートリッジ側電極620と支持壁側電極200のいずれか一方の電極を他方の電極に向けて付勢する弾性部材(コイルバネ210)と、を備え、一方の電極は、着脱方向に移動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像カートリッジを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置として、静電潜像が形成される感光ドラムと、感光ドラムを支持する装置本体と、感光ドラムに現像剤を供給する現像ローラを有し、装着本体に着脱可能な現像カートリッジとを備えるものが知られている。このような画像形成装置では、現像カートリッジを装置本体に装着するときに現像カートリッジに設けたカートリッジ側電極と装置本体に設けた本体側電極とを接触させるために、一方の電極をバネによって他方の電極に向けて押圧している。
【0003】
具体的に、一方の電極をバネで他方の電極に接触させるための構成としては、特許文献1に挙げるような構成が知られている。この技術では、感光ドラムや現像カートリッジを複数備えるドロワに設けた電極を、装置本体の電極に接触させるために、コイルバネによって装置本体の電極をドロワの着脱方向に直交する直交方向に付勢している。
【0004】
また、コイルバネは、円筒状の壁内に配置されることで、この壁で揺動することが抑えられているので、装置本体の電極は前述した直交方向のみに移動可能となっている。これにより、ドロワを装置本体に装着すると、ドロワ側の電極が装置本体の電極を直交方向に押すことでコイルバネが縮んで、所定の付勢力で各電極が接触するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−64925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した構造を現像カートリッジの電極と装置本体の電極に適用した場合には、装置本体の電極が直交方向のみにしか動かないことにより、例えば現像カートリッジが感光ドラムの表面の振れにより振動すると、電極同士が擦れて磨耗してしまうといった問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、現像カートリッジ側の電極と装置本体(感光ドラムを支持する支持壁)側の電極が擦れて磨耗するのを抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体を支持する支持壁と、前記感光体に対して現像剤を供給する現像ローラを有し、前記支持壁に対し着脱可能に設けられる現像カートリッジと、前記現像カートリッジのうち当該現像カートリッジの着脱方向に沿った側面に設けられるカートリッジ側電極と、前記支持壁に設けられ、前記カートリッジ側電極と接触する支持壁側電極と、前記カートリッジ側電極と前記支持壁側電極のいずれか一方の電極を他方の電極に向けて付勢する弾性部材と、を備える。
そして、前記一方の電極は、前記着脱方向に移動可能に構成されている。
【0009】
この構成によれば、例えば印字中に感光体の表面の振れに追従して現像カートリッジが着脱方向に振動しても、一方の電極が着脱方向に移動可能に構成されていることにより、両方の電極が摺接するのを抑えることができるので、各電極の磨耗を抑えることができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記現像ローラを前記感光体に対して接触させる接触位置と、前記現像ローラを前記感光体から離間させる離間位置とに前記現像カートリッジを移動可能な接離機構を備える場合には、前記一方の電極が、前記接触位置から前記離間位置までの前記現像カートリッジの移動量よりも大きな移動量で移動可能に構成されるのが望ましい。
【0011】
これによれば、接離機構により現像カートリッジが大きな移動量で移動した場合であっても、一方の電極が現像カートリッジの移動量よりも大きな移動量で移動可能となっているので、電極同士が擦れ合うのが抑えられ、各電極の磨耗を抑えることができる。
【0012】
また、前記した構成では、前記一方の電極と前記他方の電極が、前記着脱方向において係合するのが望ましい。
【0013】
これによれば、現像カートリッジの振動時における各電極の摺接をより抑えることができるため、各電極の磨耗をより抑えることができる。
【0014】
また、前記した構成では、前記一方の電極が凸形状に形成され、前記他方の電極が凹形状に形成されるのが望ましい。
【0015】
これによれば、両方の電極を凸形状にするものに比べ、現像カートリッジを容易に着脱することができる。
【0016】
また、前記した構成では、前記一方の電極が前記支持壁側電極であり、前記弾性部材が、コイルバネであり、先端が円環状に形成されることで、当該先端で前記支持壁側電極を構成し、当該円環状の支持壁側電極の外周面のうち前記カートリッジ側電極と接する部位の接線が前記着脱方向に沿うように前記装置本体に設けられていてもよい。
【0017】
これによれば、円環状の支持壁側電極の外周面のカートリッジ側電極と対向する部位の接線が着脱方向に沿うので、現像カートリッジの装着時に支持壁側電極の外周面がカム面として機能する。そのため、カートリッジ側電極で円環状の支持壁側電極をコイルバネの軸方向に押して、コイルバネを確実に縮ませ、所望の付勢力で各電極を接触させることができる。
【0018】
また、前記した構成では、前記現像カートリッジの前記カートリッジ側電極が設けられる側面に対向する本体フレームを設け、前記本体フレームに、前記着脱方向に沿って延び、前記支持壁側電極が入り込むことで当該支持壁側電極を前記着脱方向に案内するガイド溝を形成するのが望ましい。
【0019】
これによれば、ガイド溝によって支持壁側電極の移動方向を着脱方向に規制することができるので、支持壁側電極が着脱方向以外の方向に移動することによってカートリッジ側電極から外れるのを防止することができる。
【0020】
また、前記した構成では、前記一方の電極または前記弾性部材の前記着脱方向両側に一対の規制壁を設け、前記現像カートリッジの着脱時に前記一方の電極または前記弾性部材が前記規制壁に当接することで、前記一方の電極または前記弾性部材の移動が規制されるように構成されるのが望ましい。
【0021】
これによれば、現像カートリッジの着脱時において、弾性部材が変形しすぎるのを一対の規制壁で抑えることができる。
【0022】
また、前記した構成では、前記現像カートリッジが前記支持壁に装着されていないときにおいて、前記一方の電極または前記弾性部材が、前記一対の規制壁のうち、前記現像カートリッジの装着時に前記他方の電極が前記一方の電極に近付く方向の下流側の規制壁に寄せて配置されているのが望ましい。
【0023】
これによれば、現像カートリッジの装着時において各電極が当接したときに一方の電極が正規の位置からずれるのを規制壁で抑えることができるので、各電極を確実に接続させることができる。
【0024】
また、前記した構成では、前記一対の規制壁が、前記弾性部材を囲む楕円筒状の壁として一体に形成されているのが望ましい。
【0025】
これによれば、楕円筒状の壁によって弾性部材を着脱方向のみに揺動させることができるので、一方の電極をより確実に着脱方向に移動させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、現像カートリッジ側の電極と、感光ドラムを支持する支持壁側の電極が擦れて磨耗するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の側断面図である。
【図2】感光ドラムと現像ローラの離間を説明する図である。
【図3】現像カートリッジの装着時において各電極が接続される様子を示す図(a)〜(c)である。
【図4】現像カートリッジを装置本体から取り外したときの支持壁側電極を示す図(a)と、図4(a)のI−I断面図(b)である。
【図5】現像カートリッジが接触位置であるときの各電極を示す図(a)と、離間位置であるときの各電極を示す図(b)である。
【図6】カートリッジ側電極をコイルバネで付勢する形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0029】
以下において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0030】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体2内に、用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90と、制御装置100とを備えている。
【0031】
装置本体2の上部には、開口部2Aが形成されている。そして、この開口部2Aは、装置本体2に回動可能に支持されるアッパーカバー3によって開閉されるようになっている。アッパーカバー3の上面は、装置本体2から排出された用紙Pを蓄積する排紙トレイ4となっており、下面にはLEDユニット40を保持する複数のLED取付部材5が設けられている。
【0032】
給紙部20は、装置本体2内の下部に設けられ、装置本体2に着脱可能に装着される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。用紙供給機構22は、給紙トレイ21の前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24および分離パッド25を主に備えている。
【0033】
このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Pが、一枚ずつ分離されて上方へ送られ、紙粉取りローラ26とピンチローラ27の間を通過する過程で紙粉が除去された後、搬送経路28を通って後ろ向きに方向転換され、画像形成部30に供給される。
【0034】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
【0035】
LEDユニット40は、LED取付部材5に対して揺動可能に連結されており、装置本体2に設けられる位置決め部材によって適宜位置決めされて支持されている。
【0036】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー3と給紙部20との間で前後方向に並んで配置され、アッパーカバー3を開いたときにできる開口部2Aから装置本体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ50は、ドラムユニット61と、現像カートリッジ62とから構成されている。
【0037】
ドラムユニット61は、静電潜像が形成される感光体の一例としての感光ドラム51と、帯電器52とを備えている。また、現像カートリッジ62は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ53や、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容室54などを備えて構成されている。
【0038】
プロセスカートリッジ50は、ブラック用、イエロー用、マゼンタ用およびシアン用の各色のトナーが入った50K,50Y,50M,50Cの符号で示すものが用紙Pの搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。なお、本明細書および図面において、トナーの色に対応した感光ドラム51や現像ローラ53等を特定する場合には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれに対応させて、K、Y、M、Cの記号を付することとする。
【0039】
図2に示すように、現像ローラ53は、公知の接離機構110を制御装置100により制御することで、カラー印刷時(カラーモード)においてはすべての現像ローラ53K,53Y,53M,53Cがそれぞれ対応する感光ドラム51K,51Y,51M,51Cに接触して各感光ドラム51K,51Y,51M,51Cにトナーを供給するようになっているが、モノクロ印刷時(モノクロモード)においては、ブラック用の現像ローラ53Kのみが感光ドラム51Kに接触し、その他の3色の現像ローラ53Y,53M,53Cは、対応する感光ドラム51Y,51M,51Cから離間するようになっている。
【0040】
具体的には、接離機構110は、ブラック以外の現像カートリッジ62Y,62M,62Cを現像カートリッジ62の着脱方向(後斜め上方もしくは前斜め下方)に移動可能に支持している。そして、接離機構110は、ブラック以外の現像カートリッジ62Y,62M,62Cの位置を、現像ローラ53を感光ドラム51に対して接触させる接触位置と、現像ローラ53を感光ドラム51から離間させる離間位置とに切り替えている。
【0041】
図1に示すように、転写ユニット70は、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト73および転写ローラ74を備えている。
【0042】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間に無端状のベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光ドラム51に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光ドラム51に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが掛けられる。
【0043】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0044】
このように構成される画像形成部30では、カラーモードの場合、まず、各感光ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、各LEDユニット40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光ドラム51上にトナー像が担持される。
【0045】
搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光ドラム51と搬送ベルト73の内側に配置される各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム51上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0046】
排紙部90は、定着ユニット80の出口から上方に向かって延び、前方に反転するように形成された排紙側搬送経路91と、用紙Pを搬送する搬送ローラ92を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ92によって排紙側搬送経路91を搬送され、装置本体2の外部に排出されて排紙トレイ4に蓄積される。
【0047】
制御装置100は、CPU,ROM,RAMなどを有し、予め用意されたプログラムに従い、印刷データの受信、給紙部20、画像形成部30、排紙部90および接離機構110の制御を行うように構成されている。
【0048】
<カートリッジ側電極と支持壁側電極の構造>
次に、図3〜図5を参照して、現像カートリッジ62に設けられるカートリッジ側電極620と装置本体2に設けられる支持壁側電極200について詳細に説明する。
【0049】
図3(a)に示すように、カートリッジ側電極620は、現像カートリッジ62のうち当該現像カートリッジ62の着脱方向(装着方向D1に沿った方向)に沿った左右方向外側の側面621に設けられている。カートリッジ側電極620は、金属製の板状部材であり、左右方向内側に向けて凹む凹形状に形成されている。このカートリッジ側電極620は、図示せぬ配線を介して現像ローラ53に接続され、当該現像ローラ53に現像バイアスが印加されるようになっている。
【0050】
支持壁側電極200は、カートリッジ側電極620に接触する電極であり、弾性部材の一例としてのコイルバネ210の先端が円環状に形成されることで構成されており、コイルバネ210を介して支持壁の一例としての本体フレーム220に支持されている。ここで、本体フレーム220は、現像カートリッジ62を左右方向で挟むように当該現像カートリッジ62の左右両側に配置され、ドラムユニット61(感光ドラム51)を着脱可能に支持している。
【0051】
言い換えると、現像カートリッジ62は、ドラムユニット61を介して本体フレーム220に対し着脱可能に設けられている。そして、左右一対の本体フレーム220のうち現像カートリッジ62の側面621に対向する本体フレーム220に、前述した支持壁側電極200が設けられている。
【0052】
コイルバネ210は、その軸が現像カートリッジ62の着脱方向に直交する方向に沿うように配置されている。これにより、図3(b),(c)に示すように、現像カートリッジ62の装着時にカートリッジ側電極620によって支持壁側電極200が左右方向外側に押されると、コイルバネ210が軸方向に縮んで支持壁側電極200をカートリッジ側電極620に向けて付勢するようになっている。
【0053】
特に、本実施形態では、図4(a),(b)に示すように、円環状の支持壁側電極200の外周面のうちカートリッジ側電極620と対向する部位(先端部201)の接線TLが着脱方向に沿うように、コイルバネ210が装置本体2に設けられている。これにより、現像カートリッジ62の装着時に支持壁側電極200の外周面がカム面として機能するので、カートリッジ側電極620で円環状の支持壁側電極200をコイルバネ210の軸方向に押して、コイルバネ210を確実に縮ませ、所望の付勢力で各電極200,620を接触させることが可能となっている。
【0054】
また、コイルバネ210の基端(支持壁側電極200とは反対側の端部)は、本体フレーム220の一部(図示略)に固定されており、図示せぬ配線や基板やコンセント等を介して外部電源に接続されている。そして、支持壁側電極200とコイルバネ210は、本体フレーム220に形成されたガイド溝221と楕円筒状の筒状壁222とによって支持されることで、着脱方向に移動・揺動可能となっている。
【0055】
これにより、例えば印字中にブラック用の感光ドラム51Kの表面の振れに追従して現像カートリッジ62Kが着脱方向に振動しても、支持壁側電極200が着脱方向に移動可能に構成されていることにより、両方の電極200,620が摺接するのを抑えることができるので、各電極200,620の磨耗を抑えることが可能となっている。
【0056】
より詳しくは、ガイド溝221の長さL2は、図5(a),(b)に示すように、前述した接離機構110で移動される現像カートリッジ62の接触位置から離間位置までの移動量L1と、着脱方向における支持壁側電極200の長さL3(支持壁側電極200の外径)との合計の長さよりも長く設定されている。これにより、支持壁側電極200は、移動量L1よりも大きな移動量で移動可能に構成されている。そのため、接離機構110によって現像カートリッジ62が大きな移動量で移動した場合であっても、支持壁側電極200がカートリッジ側電極620とともに移動することが可能であるため、各電極200,620の磨耗を抑えることが可能となっている。
【0057】
また、この際、円環状(凸形状)の支持壁側電極200が凹形状のカートリッジ側電極620に入り込むことで各電極200,620が着脱方向において係合しているので、接離機構110によって現像カートリッジ62が大きく移動しても各電極200,620が着脱方向でずれるのが抑制され、各電極200,620の摺接による磨耗をより抑えることが可能となっている。
【0058】
また、図4(a),(b)に示すように、ガイド溝221は、着脱方向に沿って延びるとともに支持壁側電極200の幅と略同じ幅で形成される溝であり、支持壁側電極200が入り込むことで当該支持壁側電極200を着脱方向に案内している。これにより、ガイド溝221によって支持壁側電極200の移動方向を着脱方向に規制することができるので、支持壁側電極200が着脱方向以外の方向に移動することによってカートリッジ側電極620から外れるのを防止することが可能となっている。
【0059】
また、ガイド溝221の下端部221Aおよび上端部221Bは、現像カートリッジ62の着脱時に支持壁側電極200と当接することで、支持壁側電極200の移動を規制する一対の規制壁として機能している。これにより、現像カートリッジ62の着脱時においてコイルバネ210が変形しすぎるのをガイド溝221の下端部221Aおよび上端部221Bで抑えることが可能となっている。
【0060】
また、支持壁側電極200は、図4(a)に示すような、現像カートリッジ62が本体フレーム220に装着されていないときにおいて、ガイド溝221の下端部221Aに寄せて配置されている。言い換えると、支持壁側電極200は、一対の規制壁(下端部221Aおよび上端部221B)のうち、現像カートリッジ62の装着時にカートリッジ側電極620が支持壁側電極200に近付く方向(装着方向D1と同じ方向)の下流側の規制壁(下端部221A)に寄せられている。
【0061】
これにより、現像カートリッジ62の装着時において各電極200,620が互いに当接することで支持壁側電極200が正規の位置から下方にずれるのを規制壁(下端部221A)で抑えることができるので、各電極200,620を確実に接続させることが可能となっている。
【0062】
また、筒状壁222は、ガイド溝221を囲うように形成されるとともに、左右方向外側に向かうにつれて徐々に縮径するように形成されている。具体的に、筒状壁222は、コイルバネ210の着脱方向における両側に配置される下側壁222Aと上側壁222Bとを一体に有している。
【0063】
下側壁222Aは、本体フレーム220から左右方向外側(着脱方向に直交する方向)に延びるように形成されており、上側壁222Bは、本体フレーム220から左右方向外側に向かうにつれて下側壁222Aに近付くように下側壁222Aに対して斜めに形成されている。なお、本実施形態では、ガイド溝221の下端部221Aおよび上端部221Bが、筒状壁222の下側壁222Aおよび上側壁222Bよりもコイルバネ210側に突出することで、コイルバネ210(巻線部分)が下側壁222Aおよび上側壁222Bに当接する前に、支持壁側電極200がガイド溝221の下端部221Aおよび上端部221Bに当接するようになっている。
【0064】
そのため、本実施形態では、下側壁222Aおよび上側壁222Bが、コイルバネ210に当接せず、当該コイルバネ210の変形を抑える一対の規制壁としては機能しないようになっている。しかし、本発明はこれに限定されず、コイルバネ210が下側壁222Aおよび上側壁222Bに先に当接するように、ガイド溝221、筒状壁222、コイルバネ210、支持壁側電極200の形状を適宜形成することで、下側壁222Aおよび上側壁222Bを一対の規制壁として機能させてもよい。
【0065】
また、図4(b)に示すように、筒状壁222は、その下側壁222Aおよび上側壁222Bがコイルバネ210と間隔を空けて配置され、かつ、その前後の壁222C,222Dがコイルバネ210に近接するように配置されるように、コイルバネ210を囲んでいる。これにより、筒状壁222によってコイルバネ210を着脱方向のみに揺動させることができるので、支持壁側電極200をより確実に着脱方向に移動させることが可能となっている。
【0066】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されず適宜変形して実施することができる。
【0067】
前記実施形態では、支持壁側電極200をコイルバネ210によってカートリッジ側電極620に付勢したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図6に示すように、カートリッジ側電極630をコイルバネ640によって支持壁側電極230に付勢してもよい。なお、この場合には、カートリッジ側電極630およびコイルバネ640をガイド溝650の上端部651および筒状壁660の上側壁661に寄せて配置するのが望ましい。
【0068】
言い換えると、カートリッジ側電極630を、一対の規制壁(上端部651および下端部652)のうち、現像カートリッジ62の装着時に支持壁側電極230がカートリッジ側電極630に近付く方向(離脱方向D2と同じ方向)の下流側の規制壁(上端部651)に寄せて配置するのが望ましい。また、コイルバネ640も同様に、一対の規制壁(上側壁661および下側壁662)のうち、現像カートリッジ62の装着時に支持壁側電極230がカートリッジ側電極630に近付く方向(離脱方向D2と同じ方向)の下流側の規制壁(上側壁661)に寄せて配置するのが望ましい。
【0069】
これによれば、前記実施形態と同様に、現像カートリッジ62の装着時において各電極630,230が互いに当接することでカートリッジ側電極630が正規の位置から上方にずれるのを規制壁(上端部651もしくは上側壁661)で抑えることができるので、各電極630,230を確実に接続させることができる。
【0070】
前記実施形態では、支持壁側電極200を凸形状とし、カートリッジ側電極620を凹形状としたが、本発明はこれに限定されず、例えば両方の電極をともに凸形状にしてもよい。ただし、前記実施形態のように、一方の電極を凸形状とし、他方の電極を凹形状とする構造では、両方の電極を凸形状にするものに比べ、現像カートリッジ62を容易に着脱することができるので前記実施形態のように構成するのが望ましい。
【0071】
前記実施形態では、支持壁側電極が設けられる支持壁として本体フレーム220を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、装置本体に対して引き出し可能なドロワに現像カートリッジを着脱可能に支持させ、ドロワと現像カートリッジとの間で電気的な接続を行う場合には、支持壁をドロワの側壁とし、当該側壁に支持壁側電極を設けてもよい。また、現像カートリッジとドラムユニットとの間で電気的な接続を行う場合には、支持壁をドラムユニットの側壁とし、当該側壁に支持壁側電極を設けてもよい。
【0072】
前記実施形態では、一対の規制壁として、ガイド溝221の下端部221Aおよび上端部221Bもしくは筒状壁222の下側壁222Aおよび上側壁222Bを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、突起状の2つの壁を弾性部材の着脱方向両側に配置することで、これらを規制壁としてもよい。
【0073】
前記実施形態では、弾性部材としてコイルバネ210を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば板バネやトーションバネなどであってもよい。
【0074】
前記実施形態では、感光体として感光ドラム51を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
【0075】
前記実施形態においては、画像形成装置としてカラープリンタを例示したが、複合機やコピー機に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1 カラープリンタ
2 装置本体
51 感光ドラム
53 現像ローラ
61 ドラムユニット
62 現像カートリッジ
110 接離機構
200 支持壁側電極
210 コイルバネ
220 本体フレーム
620 カートリッジ側電極
621 側面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体を支持する支持壁と、
前記感光体に対して現像剤を供給する現像ローラを有し、前記支持壁に対し着脱可能に設けられる現像カートリッジと、
前記現像カートリッジのうち当該現像カートリッジの着脱方向に沿った側面に設けられるカートリッジ側電極と、
前記支持壁に設けられ、前記カートリッジ側電極と接触する支持壁側電極と、
前記カートリッジ側電極と前記支持壁側電極のいずれか一方の電極を他方の電極に向けて付勢する弾性部材と、を備え、
前記一方の電極が、前記着脱方向に移動可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像ローラを前記感光体に対して接触させる接触位置と、前記現像ローラを前記感光体から離間させる離間位置とに前記現像カートリッジを移動可能な接離機構を備え、
前記一方の電極が、前記接触位置から前記離間位置までの前記現像カートリッジの移動量よりも大きな移動量で移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一方の電極と前記他方の電極は、前記着脱方向において係合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記一方の電極は凸形状に形成され、前記他方の電極は凹形状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一方の電極は前記支持壁側電極であり、
前記弾性部材は、コイルバネであり、先端が円環状に形成されることで、当該先端で前記支持壁側電極を構成し、当該円環状の支持壁側電極の外周面のうち前記カートリッジ側電極と対向する部位の接線が前記着脱方向に沿うように前記装置本体に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像カートリッジの前記カートリッジ側電極が設けられる側面に対向する本体フレームを備え、
前記本体フレームには、前記着脱方向に沿って延び、前記支持壁側電極が入り込むことで当該支持壁側電極を前記着脱方向に案内するガイド溝が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記一方の電極または前記弾性部材の前記着脱方向両側に設けられる一対の規制壁を備え、
前記現像カートリッジの着脱時に前記一方の電極または前記弾性部材が前記規制壁に当接することで、前記一方の電極または前記弾性部材の移動が規制されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像カートリッジが前記支持壁に装着されていないときにおいて、前記一方の電極または前記弾性部材が、前記一対の規制壁のうち、前記現像カートリッジの装着時に前記他方の電極が前記一方の電極に近付く方向の下流側の規制壁に寄せて配置されていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記一対の規制壁は、前記弾性部材を囲む楕円筒状の壁として一体に形成されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29717(P2013−29717A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166559(P2011−166559)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】