説明

画像形成装置

【課題】位置ズレ検知用画像の検知結果に基づいて第一駆動源の駆動速度と該第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定して重ね合わせズレ量を小さくする処理を連続的な画像形成動作を中断することなく行い、この処理を実行中に形成する画像として副走査方向の伸び縮みのない画像を形成することが出来る画像形成装置を提供する。
【解決手段】K用の感光体ドラム1Kを駆動する第一駆動源と、他の三色の感光体ドラム1(Y,M,C)を駆動する第二駆動源とを備える画像形成装置で、第一駆動源駆動速度を駆動速度個別決定処理で決定した駆動速度に変更する速度変更タイミングを、K用の感光体ドラム1Kに形成される連続する二つの可視像のうちの先の可視像(IM1K)が中間転写ベルト8に転写された後から、後の可視像(IM2K)の潜像の形成が始まる前までのタイミングに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の像担持体のそれぞれに形成した可視像を中間転写ベルト等の中間転写体に重ね合わせて転写して重ね合わせ像を得る複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、例えば特許文献1〜3に記載のものが知られている。この画像形成装置は、像担持体として、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック(以下、それぞれY,M,C,Kと記す)のそれぞれの色に対応する4つの感光体を備えている。そして、これらの感光体上にそれぞれ個別に形成したY,M,C,Kトナー像を、転写体たる中間転写ベルトに重ね合わせて転写することで、多色画像を形成することができる。このような画像形成装置において、各感光体をそれぞれ個別の駆動モータで駆動する構成を採用すると、駆動モータを複数設けることによるコストアップを引き起こしてしまう。そこで、特許文献1の画像形成装置においては、各色のうち、最も使用頻度の高いK用の感光体を第一の駆動モータで駆動するとともに、他の感光体(Y,M,C用)の感光体をそれぞれ共通の第二の駆動モータで駆動するようにしている。かかる構成では、各感光体をそれぞれ個別の駆動モータで駆動する場合に比べて、駆動モータの個数を減らしてコストダウンを図ることができる。更には、最も使用頻度の高いモノクロの画像出力の際には、第1の駆動モータだけを駆動させればよいので、電力消費量を減らしてコストダウンを図ることもできる。
【0003】
一方、この画像形成装置のように複数の感光体を備えるものでは、各色トナー像の副走査方向(感光体の表面移動方向)における重ね合わせズレを引き起こし易い。この重ね合わせズレは、各感光体を光走査する光学系の温度変化に伴う光路位置の変動や、外力が加わることよる各感光体の相対位置変化などに起因して、各感光体に対する潜像の適切な光書込開始タイミングが経時的に変動することによって起こる。複数色のトナー像の重ね合わせによる細線画像において、このような重ね合わせズレが起こると、細線がにじんで見えてしまう。また、白以外の色からなる背景画像の上に文字画像が形成されたカラー画像において、このような重ね合わせズレが起こると、文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生してしまう。また、複数の色付け領域を具備するカラー画像において重ね合わせズレが起こると、互いに異なる色付け領域の繋ぎ目が異なる色の筋に見えたり、白く抜けてしまったりする。更には、色付け領域において、帯状に周期的に現れる濃度ムラを発生させる場合もある。これらは、近年の高画質化の要望に対応する上で、大きな支障になる。
【0004】
特許文献2には、各感光体に対する潜像の光書込開始タイミングを補正するタイミング補正処理を行うことで、各色トナー像の副走査方向における重ね合わせズレを抑える画像形成装置が記載されている。このタイミング補正制御では、まず、所定のタイミングでそれぞれの感光体に所定の基準トナー像を形成した後、それらを転写ベルト等の転写体の表面に転写して位置ズレ検知用画像を得る。次いで、その位置ズレ検知用画像内の各基準トナー像をフォトセンサによって検知したタイミングに基づいて、それぞれの基準トナー像の相対的な位置ズレ量を算出する。そして、その算出結果に基づいて、それぞれの感光体に対する光書込開始タイミングを個別に補正することで、各色の重ね合わせズレを抑える。
【0005】
しかしながら、このようにして光書込開始タイミングを補正しても、副走査方向において、1ドット以下の長さに相当する僅かな重ね合わせズレが残ってしまう。これは次に説明する理由による。すなわち、複数の感光体を設けた画像形成装置では、光書込装置の小型化を図る目的から、各感光体にそれぞれ個別に対応する走査光を、1つの共通のポリゴンミラーによって偏向せしめるようにするのが一般的である。そして、かかる構成では、各感光体に対する光書込開始タイミングを、1ライン分(1走査線分)の書込に相当する時間単位でしか調整することができない。
【0006】
例えば、2つの感光体間で副走査方向に1/2ドットを超える重ね合わせズレが発生している場合、何れか一方の感光体に対する光書込開始タイミングを、1ライン分の書込時間の整数倍だけ前後にずらせばよい。より詳しくは、例えば3/4ドットの重ね合わせズレの場合には1ライン分の書込時間の1倍、7/4ドットの重ね合わせズレの場合には1ライン分の書込時間の2倍だけ、光書込開始タイミングがそれまでのタイミングよりも前後にずらす。これにより、それら2つの感光体間での副走査方向におけるトナー像の重ね合わせズレ量を「1ドット−3/4ドット=1/4ドット」、2ドット−7/4ドット=1/4ドット」にまで低減することができる。即ち、1/2ドット以下にすることができる。
【0007】
しかしながら、副走査方向における重ね合わせズレ量が1/2ドットである場合には、光書込開始タイミングを1ライン分の書込時間だけ前後にずらしたとしても、重ね合わせズレ量は変わらず1/2ドットのままとなる。また、副走査方向における重ね合わせズレ量が1/2ドット未満の場合、光書込開始タイミングを1ライン分の書込時間の単位で前後にずらすと、重ね合わせズレ量を却って大きくしてしまうため、光書込開始タイミングの補正を行うことができない。この結果、2つの感光体間で1/2ドット以下の重ね合わせズレは残ってしまう。
【0008】
また、光書込開始タイミングを補正した後において、4つの感光体のうち、特定の第1感光体(例えばK用の感光体)を基準にした場合、その他の全ての感光体にそれぞれ形成されたトナー像が何れも、第1感光体に形成されたトナー像よりも感光体表面移動方向の上流側にずれる場合には、最大の重ね合わせズレ量が1/2ドット以下になる。また、何れも感光体表面移動方向の下流側にずれる場合にも、最大の重ね合わせズレ量が1/2ドット以下になる。但し、第1感光体に形成されたトナー像に対し、第2感光体に形成されたトナー像が感光体表面移動方向の上流側にずれる一方で、第3感光体に形成されたトナー像が感光体表面移動方向の下流側にずれるなど、ズレ方向が異なる場合がある。このような場合には、最大の重ね合わせズレ量が1ドット近くになることもある。よって、1ドット以下の長さに相当する僅かな重ね合わせズレがどうしても残ってしまうのである。
【0009】
特許文献3には、光書込開始タイミングを補正した後の画像形成でも残ってしまう可視像の重ね合わせズレ量に基づいて、第一駆動源の駆動速度と第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定する駆動速度個別決定処理を行う構成が記載されている。この構成では、上記重ね合わせズレ量に応じた線速差を、第一駆動源によって駆動される第一像担持体と、第二駆動源によって駆動される二つ以上の像担持体との間に設ける。そして、この線速差により、第一像担持体に形成される可視像と、第二駆動源によって駆動される他の二以上の像担持体にそれぞれ形成される可視像との重ね合わせズレ量を、補正後の像形成タイミングでも残ってしまう重ね合わせズレ量よりも小さくする。これにより、可視像の重ね合わせズレ量を従来よりも低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3に記載の画像形成装置では、位置ズレ検知用画像を形成する処理と、その検知結果に基づいた駆動速度個別決定処理と、決定した駆動速度となるように駆動源の駆動速度を変更する処理とを、装置本体の電源スイッチが投入された直後に行っている。さらに、これらの処理を、連続的に複数枚の画像形成を行っているときに、所定時間経過後に、連続的な画像形成動作を一時中断してから、実施することが記載されている。
しかしながら、連続的な画像形成動作を一時中断することで、画像形成処理が遅れてしまう問題があった。よって、連続的な画像形成動作を一時中断することなく、位置ズレ検知用画像を形成する処理、駆動速度個別決定処理及び駆動源の駆動速度を変更する処理を実行することが望まれる。
【0011】
特許文献3の画像形成装置では、位置ズレ検知用画像を画像領域内に形成するために連続的な画像形成動作を一時中断している。しかし、位置ズレ検知用画像を画像領域外に形成したり、連続する画像の紙間に形成したりすることにより、画像形成動作を一時中断することなく位置ズレ検知用画像を形成する処理を実行できる。また、駆動速度個別決定処理は、計算上の処理であるため、画像形成動作を一時中断することなく実行できる処理である。
【0012】
ところが、連続的な画像形成動作を一時中断することなく駆動源の駆動速度を変更すると、次のような問題が生じるおそれがあることがわかった。
すなわち、一つの画像の潜像の形成が始まってから、その潜像が現像された可視像が中間転写体に転写されるまでの間で像担持体の駆動源の駆動速度を変更すると、画像の一部または全部が所望の画像に対して副走査方向に伸びたり縮んだりした状態で中間転写体上に転写されることとなる。
【0013】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、位置ズレ検知用画像の検知結果に基づいて第一駆動源の駆動速度と該第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定して重ね合わせズレ量を小さくする処理を、連続的な画像形成動作を中断することなく行い、この処理を実行中に形成する画像として副走査方向の伸び縮みのない画像を形成することが出来る画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、移動する表面に潜像が形成され、現像されることにより可視像を担持する三つ以上の像担持体と、それら像担持体のうち、少なくとも第一像担持体に伝達するための駆動力を発揮する第一駆動源と、該第一像担持体とは異なる二つ以上の像担持体に伝達するための駆動力を発揮する第二駆動源と、画像情報に基づいて、それぞれの像担持体に可視像を形成する可視像形成手段と、それぞれの像担持体に担持された可視像を表面移動する中間転写体の表面に重ね合わせて転写し、該中間転写体上に形成された重ね合わせ画像を記録媒体に転写する転写手段と、該中間転写体の表面上の可視像を検知する像検知手段と、を有し、予め定められた可視像をそれぞれの像担持体に形成して該中間転写体の表面に転写してそれら可視像からなる位置ズレ検知用画像を得た後、該像検知手段による該位置ズレ検知用画像内の各可視像の検知タイミングに基づいて重ね合わせズレ量を算出し、該重ね合わせズレ量に基づいて、該第一駆動源の駆動速度と該第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定する駆動速度個別決定処理と、該第一駆動源及び該第二駆動源をそれぞれ該駆動速度個別決定処理で決定した駆動速度で駆動しながら上記画像情報に基づく画像を形成する画像形成処理と、を実施する制御手段を有する画像形成装置において、連続的に複数枚の画像形成を行っているときに、上記第一駆動源または上記第二駆動源の少なくとも一方の駆動速度を上記駆動速度個別決定処理で決定した駆動速度に変更する速度変更タイミングは、その駆動源が駆動する像担持体に形成される連続する二つの可視像のうちの先の可視像が上記中間転写体に転写された後から、後の可視像の潜像の形成が始まる前までのタイミングであることを特徴とするものである。
【0015】
本発明においては、駆動源が駆動させる像担持体に形成される連続する二つの可視像のうちの先の可視像が上記中間転写体に転写された後のタイミングで、駆動源の速度変更を行っているため、先の可視像が副走査方向に伸びたり縮んだりすることはない。また、後の可視像の潜像の形成が始まる前までのタイミングで駆動源の速度変更を行っているため、後の可視像が副走査方向に伸びたり縮んだりすることはない。
このように、連続する二つの可視像の両方について、可視像が副走査方向に伸びたり縮んだりすることがないため、連続的に複数枚の画像形成を行っているときに駆動源の速度変更を行っても、副走査方向の伸び縮みのない画像を形成することができる。
なお、像担持体の駆動源の駆動速度を変更すると、駆動速度の大きさにより、駆動速度の変更前に対して変更後に像担持体上に形成される可視像が、副走査方向に伸びたり縮んだりする。しかし、駆動速度を変更すると、中間転写体と像担持体との線速差も変化するため中間転写体上には副走査方向の伸び縮みのない画像が形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置ズレ検知用画像の検知結果に基づいて第一駆動源の駆動速度と該第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定して重ね合わせズレ量を小さくする処理を、連続的な画像形成動作を中断することなく行い、この処理を実行中に形成する画像として副走査方向の伸び縮みのない画像を形成することが出来るという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】連続プリントを行っているときの連続する二つの可視像のうちの後の可視像を形成している状態の説明図。
【図2】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】プリンタ部の拡大構成図。
【図4】感光体ドラムに回転駆動を伝達する駆動伝達部の説明図、(a)は、斜視説明図、(b)は、正面説明図。
【図5】連続プリントを行っているときの連続する二つの可視像のうちの先可視像を形成している状態の説明図。
【図6】光学センサユニットによる検知位置の斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用したカラー画像形成装置の一実施形態として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタ100という)について説明する。
まず、プリンタ100の基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係るプリンタ100を示す概略構成図である。プリンタ100は、画像形成を行うプリンタ部200と、プリンタ部200に対して記録媒体である記録紙Pを供給する給紙部300とを備えている。
プリンタ100は、その筐体外に、記録紙Pを手差し給紙する手差しトレイ70を備え、その上方にはプリンタ100の筺体から排出された画像形成済みの記録紙Pをスタックするための排紙トレイ31などを具備する。
【0019】
図3は、プリンタ部200の要部を拡大して示す拡大構成図である。
プリンタ部200は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を形成するための四つの画像形成ユニット16(Y,M,C,K)を有している。また、図3に示すように、プリンタ部200の中間転写ユニットは、ベルトループ内側に配設された駆動ローラ3、テンションローラ7、及び、四つの一次転写ローラ9(Y,M,C,K)によって水平方向に延在する姿勢で張架された中間転写ベルト8を有している。
テンションローラ7は揺動可能に軸支されており、中間転写ベルト8の内側から外側に向かってスプリングにより付勢されることで中間転写ベルト8に張力を与えている。像担持体としての中間転写ベルト8は、駆動ローラ3の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。四つの画像形成ユニット16(Y,M,C,K)は、中間転写ベルト8の張架面に沿って並ぶように配設されている。
【0020】
画像形成ユニット16(Y,M,C,K)は、感光体ドラム1(Y,M,C,K)、帯電装置(図示省略)、現像装置2(Y,M,C,K)、及び、ドラムクリーニング装置(図示省略)を一つのユニットとして共通の保持体で保持されている。帯電装置は、図示しない駆動手段によって回転駆動される感光体ドラム1(Y,M,C,K)の周面を、暗中にて、トナーの帯電極性とは逆極性に一様帯電せしめるものである。また、画像形成ユニット16(Y,M,C、K)は、作像ユニットとして一体化されており、プリンタ100本体に対して画像形成ユニット16(Y,M,C、K)を各々で着脱可能に構成されている。
【0021】
画像形成ユニット16(Y,M,C,K)の下方には、潜像形成手段たる光書込ユニット13が配設されている。図示しない外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報は、図示しない画像処理部で(Y,M,C,K)の情報に分解される。光書込ユニット13は、Y,M,C,Kの色分解画像情報に基づいて、周知の技術によって図示しないY,M,C,K用の光源を駆動して、Y,M,C,K用の書込光を生成する。そして、不図示の帯電装置によって一様帯電せしめられた感光体ドラム1(Y,M,C,K)のそれぞれの周面を、Y,M,C,K用の書込光Lで走査する。この走査により、感光体1M,C,Y,K上にM,C,Y,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット13は、光源から発した書込光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー上での反射によって主走査方向に偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体ドラム1に照射するものである。
【0022】
これにより、感光体ドラム1(Y,M,C,K)の周面には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。書込光の光源としては、レーザーダイオードやLEDなどを例示することができる。
感光体ドラム1(Y,M,C,K)の周面に形成された静電潜像は、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いる周知の二成分現像方式を採用した現像装置によって現像されてY,M,C,Kトナー像となる。なお、現像装置として、トナーからなる一成分現像剤を用いる周知の一成分現像方式を採用したものを用いてもよい。
【0023】
四つの感光体ドラム1(Y,M,C,K)は、中間転写ベルト8に当接してY,M,C,K用の一次転写ニップを形成している。また、中間転写ベルト8のループ内側には、中間転写ベルト8を感光体ドラム1(Y,M,C,K)に向けて押圧する一次転写ローラ9(Y,M,C,K)が配設されている。一次転写ローラ9(Y,M,C,K)には、それぞれ一次転写バイアスが印加されており、これにより、Y,M,C,K用の一次転写ニップ内に転写電界が形成される。感光体ドラム1(Y,M,C,K)の周面に形成されたY,M,C,Kトナー像は、転写電界やニップ圧の作用によってY,M,C,K用の一次転写ニップで中間転写ベルト8の表面(ループ外側面)に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト8の表面には、四色重ね合わせトナー像が形成される。
【0024】
中間転写ベルト8の図中右側方には、二次転写ローラ4が配設されている。二次転写ローラ4を、中間転写ベルト8を介して駆動ローラ3に当接させることで二次転写ニップを形成している。二次転写ローラ4には、二次転写バイアスが印加されており、これにより二次転写ニップ内に転写電界が形成される。
【0025】
プリンタ部200の筺体の下部には、給紙部300として、第一給紙カセット30と第二給紙カセット40とが鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセットは、内部に収容している記録紙Pを給紙ローラ71(71aまたは71b)によって紙搬送路に送り出す。送り出された記録紙Pは、搬送ローラ72(72aや72b)によって給紙部300内及びプリンタ部200内を鉛直方向に沿って延びる紙搬送路内に配設されたレジストローラ対11に突き当たってスキューが補正された後、レジストローラ対11のローラ間に挟み込まれる。そして、レジストローラ対11により、所定のタイミングで更に上方に向けて送り出される。
【0026】
レジストローラ対11から送り出された記録紙Pは、二次転写ニップを通過する際に中間転写ベルト8上の四色重ね合わせトナー像が転写電界やニップ圧の作用を受けて一括二次転写される。これにより、記録紙Pの表面には、Y,M,C,Kの四色重ね合わせトナー像であるフルカラー画像が形成される。
Y,M,C,K用の一次転写ニップや感光体ドラム1(Y,M,C,K)の表面に付着している転写残トナーは、不図示のドラムクリーニング装置によって除去される。ドラムクリーニング装置としては、クリーニングブレードによってトナーを掻き取る方式のものでもよいし、ファーブラシローラによってトナーを掻き取る方式や、磁気ブラシクリーニング方式などのものを用いてもよい。
【0027】
二次転写ニップの上方には、加熱ローラと加圧ローラとの当接によって定着ニップを形成している定着装置10が配設されている。二次転写ニップを通過した記録紙Pは、定着装置10内の定着ニップに送られて、熱と圧力とにより記録紙P上にフルカラー画像を定着させる定着処理が施される。二次転写ニップと定着装置10の定着ニップとの位置関係は、二次転写ニップから定着装置10に記録紙Pが真っ直ぐ搬送されるような位置関係で設定されている。この後、記録紙Pは排紙路を通り排紙ローラ対30を経由して、プリンタ100本体の上面に設けられた排紙トレイ31に排出されてスタックされる。
【0028】
図4は、四つの感光体ドラム1に対して回転駆動を伝達する駆動伝達部の説明図である。図4(a)は、図2及び図3に示すプリンタ部200の手前側から見た駆動伝達部の斜視説明図であり、図4(b)は、図4(a)とは反対側から見た駆動伝達部の正面説明図である。
図4に示すように、駆動伝達部は、Y,M,C,K用の感光体ドラム1(Y,M,C,K)ののそれぞれと同軸で、感光体ドラム1よりも大きな径の感光体ギヤ21(Y,M,C,K)を備える。そして、各感光体ギヤ21が回転することで、それと同軸の感光体ドラム1が回転する。
【0029】
また、駆動伝達部は、K用の感光体ギヤ21Kに駆動を伝達する第一駆動モータ22と、他の色(Y,M,C)用の感光体ギヤ21(Y,M,C)に駆動を伝達する第二駆動モータ23とを備える。第一駆動モータ22は、その回転軸に第一駆動ギヤ22aを備えており、この第一駆動ギヤ22aは、K用の感光体ギヤ21Kに噛み合っている。この噛み合いにより、第一駆動モータ22の回転駆動力がK用の感光体ギヤ21Kを介してK用の感光体ドラム1Kに伝達される。
【0030】
第二駆動モータ23は、その回転軸に第二駆動ギヤ23aを備えており、この第二駆動ギヤ23aは、C用の感光体ギヤ21C及びM用の感光体ギヤ21Mに噛み合っている。この噛み合いにより、第二駆動モータ23の回転駆動力がC用の感光体ギヤ21Cを介してC用の感光体ドラム1Cに伝達されるとともに、第二駆動モータ23の回転駆動力がM用の感光体ギヤ21Mを介してM用の感光体ドラム1Mに伝達される。また、Y用の感光体ギヤ21YとM用の感光体ギヤ21Mとの間には、中継ギヤ24がこれら感光体ギヤ21の両方に噛み合うように配設されている。これにより、第二駆動モータ23の回転駆動力がM用の感光体ギヤ21Mと、中継ギヤ24と、Y用の感光体ギヤ21Yとを介して、Y用の感光体ドラム1Yに伝達される。
【0031】
このようなギヤの噛み合いにより、Kのトナー像が形成される第一像担持体であるK用の感光体ドラム1Kは、第一駆動モータ22の発する回転駆動力によって回転駆動される。また、K用を除く三つの感光体ドラム1(M,C,Y)は、第二駆動モータの発する回転駆動力によって回転駆動される。かかる構成では、K用の感光体ドラム1Kを除く、三つの感光体ドラム1(M,C,Y)を共通の第二駆動モータ23で駆動しているため、四つの感光体ドラム1(Y,M,C,K)をそれぞれ個別の駆動モータで駆動することによるコストアップを回避することができる。
【0032】
なお、K用の感光体ドラム1Kだけ駆動モータを異ならせたのは、モノクロプリントの需要がカラープリントに比べて高いことに起因する。需要の高いモノクロプリント時においては、K用の感光体ドラム1Kだけを駆動させるようにすることで、他の感光体ドラム1やモータ(第二駆動モータ23)の消耗を抑えることができる。さらに、使用しないモータを駆動させないことで、省エネルギー化を図ることができる。
モノクロプリント時には、このようにしてK用の感光体ドラム1Kだけを駆動するが、このとき、プリンタ部200では、四つの感光体ドラム1(Y,M,C,K)のうち、K用の感光体ドラム1Kだけに接触させる姿勢で中間転写ベルトを張架する。
【0033】
図5及び図1に、各色感光体ドラム1に対する光書込み開始タイミング、感光体ドラム1から中間転写ベルト8への可視像の転写タイミング及び用紙への画像転写タイミングを示す。
図5は、連続プリントを行っているときの連続する二つの可視像のうちの先の可視像IM1を形成している状態の説明図である。図1は、連続プリントを行っているときの連続する二つの可視像のうちの後の可視像IM2を形成している状態の説明図であり、図5(d)以降の状態の説明図である。
また、図6は、プリンタ100における中間転写ベルト8の一部を、光学センサユニット60が備えるフォトセンサ6とともに示す図3中の斜め下方から見た斜視図である。
【0034】
図5(a)は、先の可視像IM1を構成するYトナー像IM1YのY用感光体ドラム1上における先端がY用の一次転写ニップに到達したタイミングの説明図である。図5(b)は、中間転写ベルト8上のYトナー像のみからなる先の可視像IM1の先端と、先の可視像IM1を構成するMトナー像IM1MのM用の感光体ドラム1M上における先端とが、M用の一次転写ニップに到達したタイミングの説明図である。図5(c)は、中間転写ベルト8上のY及びMのトナー像からなる先の可視像IM1の先端と、先の可視像IM1を構成するCトナー像IM1CのC用の感光体ドラム1C上における先端とが、C用の一次転写ニップに到達したタイミングの説明図である。図5(d)は、中間転写ベルト8上のY,M及びCのトナー像からなる先の可視像IM1の先端と、先の可視像IM1を構成するKトナー像IM1KのK用の感光体ドラム1K上における先端とが、C用の一次転写ニップに到達したタイミングの説明図である。
【0035】
図1(a)は、中間転写ベルト8上の先の可視像IM1の先端が二次転写ニップに到達したタイミングの説明図である。図1(a)に示すタイミングでは、先の可視像IM1を構成するKトナー像IM1Kの後端側はまだ中間転写ベルト8に転写されていないが、後の可視像IM2を構成するYトナー像IM2Yの先端側がすでに中間転写ベルト8に転写され始めている。また、図1(a)に示すタイミングから中間転写ベルト8上の先の可視像IM1が記録紙Pに転写され始める。
【0036】
図1(b)は、先の可視像IM1を構成するKトナー像IM1Kの後端がK用の一次転写ニップに到達したタイミングの説明図である。そして、図1(c)は、後述する第一駆動モータ22の駆動速度を変更するタイミングの説明図である。
【0037】
プリンタ100は、感光体ドラム1(Y,M,C,K)に対する光書込開始タイミングを補正する構成において、タイミング補正処理による補正後の光書込開始タイミングに基づいて、駆動源の駆動速度を変更する処理を実施している。タイミング補正処理や駆動速度を変更する処理としては、特許文献3に記載の処理と同様の処理を行うことができる。
【0038】
このタイミング補正処理では、まず、所定のタイミングでそれぞれの感光体ドラム1に所定の基準トナー像を形成した後、それらを中間転写ベルト8の表面に転写して位置ズレ検知用画像42を得る。次いで、図6に示すようにその位置ズレ検知用画像42内の各基準トナー像をフォトセンサ6によって検知したタイミングに基づいて、それぞれの基準トナー像の相対的な位置ズレ量を算出する。そして、その算出結果に基づいて、それぞれの感光体ドラム1に対する光書込開始タイミングを個別に補正することで、各色の重ね合わせズレを抑える処理を実施している。
【0039】
照射タイミングをずらすには少なくとも1ドット(1ライン)分単位で必要がある。ここで仮にC用感光体ドラム1Cに対する照射開始タイミングをデフォルト値から1ドット分遅らせるとする。すると、感光体ドラム1Cに対する光書込み開始位置が1ドット分シフトすることにより例えばKトナー像との重ね合わせズレが短い長さになる、即ち重ね合わせズレが低減されるのである。このように各色に対しの重ね合わせズレに関しては1ドットレベルでのズレ量低減は感光体に線速差を持たせることなく低減することが可能となる。
ここで、補正後の光書込開始タイミングでも残ってしまうトナー像の重ね合わせズレ量に対し重ね合わせズレ量を算出し、算出結果に基づいて、駆動速度を変更する処理を実施する。
【0040】
次に、駆動速度を変更する処理について説明する。
プリンタ100では、図4に示す三つの感光体ドラム1(Y,M,C)を駆動する第二駆動モータ23の駆動速度を基準速度とし、一つの感光体ドラム1(K)を駆動する第一駆動モータ22の駆動速度を変更する構成である。
【0041】
ここで、第一駆動モータ22の回転速度を第二駆動モータ23よりも速くしたとする。この場合、K用の感光体ドラム1Kにおいて静電潜像が光書込み位置5を通過してから現像され一次転写ニップに進入するまでに要する時間は、Y,M,C用の感光体ドラム1(Y,M,C)において静電潜像が光書込み位置5を通過してから現像され一次転写ニップに進入するまでに要する時間よりも短くなる。
このため、K用のトナー像が駆動速度を変更する前のタイミングより早く中間転写ベルト8に転写されるようになる。K用のトナー像の先端位置が線速差に応じた量だけ駆動速度を変更する前の位置よりも感光体ドラム1の表面移動方向に対し下流側にシフトする。これにより、Kトナー像と他の三色(Y,M,C)トナー像の重ね合わせズレ量が更に低減される。
駆動速度の変更値は中間転写ベルト8上の像にトナー像を転写する転写位置の他のトナー像の転写位置に対する相対的な位置の移動量が1ドット以下となるような数値を上限とする。
【0042】
次に、第一駆動モータ22の速度を変更するタイミングについて説明する。
プリンタ100における重ね合わせズレ量を算出する方式は、特許文献3に記載のものと同様のラインパターン群からなる位置ズレ検知用画像42を形成し、ライン間隔を読み取ることにより重ね合わせズレ量を算出する方式である。そして、プリンタ100は、特許文献3に記載のものとは異なり、中間転写ベルト8上における幅方向外側の画像領域外に位置ズレ検知用画像42を形成する。これにより、プリント動作を停止することなく重ね合わせズレ量を算出することができる。
【0043】
図1及び図3等に示すように、K用の感光体ドラム1Kは、四つの感光体ドラム1(Y,M,C,Y)の中で最も二次転写ニップに近い位置となっている。
図5(a)及び図1(a)に示すように、各画像IMを形成する際の光書込み処理は二次転写ニップに対して最も離れた位置に配置されたY用の感光体ドラム1Yから処理が開始される。また、図1(a)に示すように、連続する二つの可視像のうちの先の可視像IM1の後端と後の可視像IM2の先端とは中間転写ベルト8上である一定の間隔を有しており、この間隔が用紙間に相当する。
【0044】
次に、第一駆動モータ22の速度調整タイミングを示す。
K用の感光体ドラム1Kを駆動する第一駆動モータ22の速度調整タイミングは、図1(c)に示すように、先の可視像のKトナー像IM1Kの中間転写ベルト8への転写を完了させた後から、後の可視像のKトナー像IM2Kの静電潜像を形成するためのK用感光体ドラム1Kに対する光書込みが開始する前までの期間とする。このタイミングで第一駆動モータ22の速度を調整することにより画像形成への影響が回避できる。
【0045】
逆に、これ以外のタイミング、すなわち一つ画像について、K用の感光体ドラム1Kへの光書込みを開始してから中間転写ベルト8への転写完了までのタイミングで、第一駆動モータ22の速度を調整してしまうと形成画像に対して画像スジ、画像伸び若しくは縮みが発生してしまう。
【0046】
プリンタ100は、各色の重ね合わせズレを抑えるために、感光体ドラム1(Y,M,C,Y)に対する光書込開始タイミングを補正する。さらに、タイミング補正処理による補正後の光書込開始タイミングに基づいて、補正後の光書込開始タイミングでも残ってしまうトナー像の重ね合わせズレ量を算出する。そして、この算出結果に基づいて、K用の感光体ドラム1Kを駆動する第一駆動モータ22の駆動速度と、他の三色の感光体ドラム1(M,C,Y)を駆動する第二駆動モータ23の駆動速度とをそれぞれ個別に決定する駆動速度個別決定処理を実施する。
【0047】
プリンタ100では、駆動速度の基準を第二駆動モータ23に設定し、駆動速度個別決定処理における第二駆動モータ23の駆動速度を固定値と設定する。そして、この固定値に基づいて第一駆動モータ22駆動速度を調整する。
また、第一駆動モータ22の速度調整タイミングは、第一駆動モータ22により駆動されるK用の感光体ドラム1Kに対し、光書込みや中間転写ベルト8への転写処理を実行していないタイミングとする。このようなタイミングによれば、第一駆動モータ22の速度調整タイミングは、第二駆動モータ23によって駆動される感光体ドラム1(M,C,Y)に対し、光書込みや中間転写ベルト8への転写処理を実行しているタイミングとなる。このようなタイミングで、第一駆動モータ22の速度調整を実行することにより、画像形成処理間隔を空けることなく各色の重ね合わせズレを抑える処理を実施することができ、画像形成処理におけるダウンタイムを発生させない効果がある。
【0048】
また、第二駆動モータ23の速度を調整する場合には、二次転写ローラ4から感光体ドラム1Yの位置関係が短くなってしまうため、形成画像に影響を及ぼさないタイミングであるK用の感光体ドラム1K上の先の可視像のKトナー像IM1Kが中間転写ベルト8への転写を完了させた後から後の可視像のKトナー像IM2Kの潜像を形成するためのK用の感光体ドラム1Kへの光書込みが開始する前までの期間が短くなってしまう。この場合、形成画像に影響を与えないためには紙間を広げる必要性がある。紙間を広げると、画像形成処理のダウンタイムが発生してしまう。
【0049】
プリンタ100の駆動モータ(22及び23)の配置構成は、最も使用頻度の高いモノクロ画像出力時には第一駆動モータ22だけを駆動させれば良いので、電力消費量を低減することが可能な構成である。
また、プリンタ100における2回目以降の駆動源の駆動速度を変更する処理を行う場合の位置ズレ検知用画像42を形成する際の第一駆動モータ22の駆動速度は、前回の駆動源の駆動速度を変更する処理が反映された速度とする。これにより、画像形成時の現状での重ね合わせズレ量が反映されるため、より実使用に合致したズレ量を確認することができる。
【0050】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
〔態様A〕
移動する表面に潜像が形成され、現像されることにより可視像を担持する三つ以上の感光体ドラム1などの像担持体と、それら像担持体のうち、少なくともK用の感光体ドラム1Kなどの第一像担持体に伝達するための駆動力を発揮する第一駆動モータ22などの第一駆動源と、第一像担持体とは異なる二つ以上の像担持体に伝達するための駆動力を発揮する第二駆動モータ23などの第二駆動源と、画像情報に基づいて、それぞれの像担持体に可視像を形成するプリンタ部200などの可視像形成手段と、それぞれの像担持体に担持された可視像を表面移動する中間転写ベルト8などの中間転写体の表面に重ね合わせて転写し、中間転写体上に形成された重ね合わせ画像を記録媒体に転写する二次転写ローラ4などの転写手段と、中間転写体の表面上の可視像を検知する光学センサユニット60などの像検知手段と、を有し、予め定められた可視像をそれぞれの像担持体に形成して中間転写体の表面に転写してそれら可視像からなる位置ズレ検知用画像42などの位置ズレ検知用画像を得た後、像検知手段による位置ズレ検知用画像内の各可視像の検知タイミングに基づいて重ね合わせズレ量を算出し、重ね合わせズレ量に基づいて、第一駆動源の駆動速度と第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定する駆動速度個別決定処理と、第一駆動源及び第二駆動源をそれぞれ駆動速度個別決定処理で決定した駆動速度で駆動しながら画像情報に基づく画像を形成する画像形成処理と、を実施する不図示の制御手段を有するプリンタ100などの画像形成装置において、連続的に複数枚の画像形成を行っているときに、第一駆動源または第二駆動源の少なくとも一方の駆動速度を駆動速度個別決定処理で決定した駆動速度に変更する速度変更タイミングは、その駆動源が駆動させる像担持体に形成される連続する二つの可視像のうちの先の可視像が中間転写体に転写された後から、後の可視像の潜像の形成が始まる前までのタイミングである。これによれば、上記実施形態について説明したように、第一駆動モータ22などの駆動源が駆動させるK用の感光体ドラム1Kなどの像担持体に形成される連続する二つの可視像のうちの先の可視像(IM1K)が中間転写ベルト8などの中間転写体に転写された後のタイミングで、駆動源の速度変更を行っているため、先の可視像が副走査方向に伸びたり縮んだりすることはない。また、後の可視像(IM2K)の潜像の形成が始まる前までのタイミングで駆動源の速度変更を行っているため、後の可視像が副走査方向に伸びたり縮んだりすることはない。このように、連続する二つの可視像の両方について、可視像が副走査方向に伸びたり縮んだりすることがないため、連続的に複数枚の画像形成を行っているときに駆動源の速度変更を行っても、副走査方向の伸び縮みのない画像を形成することができる。このように、態様Aでは、位置ズレ検知用画像の検知結果に基づいて第一駆動源の駆動速度と該第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定して重ね合わせズレ量を小さくする処理を、連続的な画像形成動作を中断することなく行い、この処理を実行中に形成する画像として副走査方向の伸び縮みのない画像を形成することが出来る。
〔態様B〕
〔態様A〕において、プリンタ部200などの可視像形成手段は、位置ズレ検知用画像42などの位置ズレ検知用画像を中間転写ベルト8の幅方向端部近傍などの画像領域外に形成する。これによれば、上記実施形態について説明したように、位置ズレ検知用画像を画像領域外に形成しているため、画像情報に基づいて形成される画像と位置ズレ検知用画像とを同じタイミングで像担持体や中間転写体に形成することができ、連続的な画像形成動作を中断することなく位置ズレ検知用画像を形成する処理を行うことができる。特許文献3に記載の画像形成装置では、位置ズレ検知用画像を画像領域に形成している。このような構成では、画像情報に基づいて形成される画像と位置ズレ検知用画像とを同じタイミングで像担持体や中間転写体に形成することができない。よって、位置ズレ検知用画像を形成する処理を含む重ね合わせズレ量を小さくする処理は、画像情報に基づいた画像形成を行わないタイミングで実施せざるを得ない。このため連続的に複数枚の画像形成を行っているときに重ね合わせズレ量を小さくする処理を行うには、画像形成動作を一時中断する必要がある。これに対して、態様Bでは、位置ズレ検知用画像を画像領域外に形成しているため、画像情報に基づいて形成される画像と位置ズレ検知用画像とを同じタイミングで像担持体や中間転写体に形成することができ、連続的な画像形成動作を中断することなく位置ズレ検知用画像を形成する処理を行うことができる。
なお、連続的な画像形成動作を中断することなく位置ズレ検知用画像を形成する処理を行う構成としては、先の可視像の後端と後の可視像の先端との間の紙間の画像領域内に位置ズレ検知用画像を形成しても良い。
〔態様C〕
〔態様A〕または〔態様B〕において、制御手段は、像検知手段による位置ズレ検知用画像内の各可視像の検知タイミングに基づいて、感光体ドラム1に対する光書込開始タイミングを補正するなどのそれぞれの像担持体に対する像形成開始タイミングを補正して、それぞれの可視像の重ね合わせズレを低減するタイミング補正処理を実施し、タイミング補正処理による補正後の像形成開始タイミングに基づいて、像形成開始タイミングでも残ってしまう可視像の重ね合わせズレ量を算出する。これによれば、上記実施形態について説明したように、重ね合わせズレが短い長さになる、即ち重ね合わせズレが低減されるのである。このように各色に対しの重ね合わせズレに関しては1ドットレベルでのズレ量低減は像担持体に線速差を持たせることなく低減することが可能となる。そして、このような像形成開始タイミングでも残ってしまう可視像の重ね合わせズレ量を算出して、そのズレ量をさらに小さくするように、像担持体同士の線速差を変更することで、重ね合わせズレ量をさらに小さくすることができる。
〔態様D〕
〔態様A〕乃至〔態様C〕の何れか一つの態様において、制御手段が、第一駆動源または第二駆動源のいずれかの駆動源の該駆動速度を変更する速度変更タイミングは、駆動速度を変更する第一駆動モータ22などの駆動源とは異なる方の第二駆動モータ23などの駆動源によって駆動される感光体ドラム1(Y,M,C)などの像担持体に対して潜像の形成が始まってから、潜像の可視像を中間転写体に転写し終わるまでの期間である。これによれば、上記実施形態について説明したように、このようなタイミングで第一駆動モータ22の速度調整を実行することにより、画像形成処理間隔を空けることなく各色の重ね合わせズレを抑える処理を実施することができ、ダウンタイムを発生させずに画像形成処理を継続することができる。
〔態様E〕
〔態様A〕乃至〔態様D〕の何れか一つの態様において、制御手段は、駆動速度個別決定処理では第二駆動モータ23などの第二駆動源の駆動速度を普遍の固定値とすると共に、重ね合わせズレ量と、固定値とに基づいて第一駆動モータ22などの第一駆動源の駆動速度を決定する。これによれば、上記実施形態について説明したように、複数の像担持体に駆動を伝達する第二駆動源は、三つの感光体ドラム1(Y,M,C)などのすべての像担持体について、その駆動源が駆動する像担持体に形成される連続する二つの可視像のうちの先の可視像が中間転写体に転写された後から、後の可視像の潜像の形成が始まる前まで、となるようなタイミングを設定するのは困難である。一方、K用感光体ドラム1などの一つの像担持体に駆動を伝達する第一駆動源であれば、上記タイミングの設定が容易である。
〔態様F〕
〔態様A〕乃至〔態様E〕の何れか一つの態様において、位置ズレ検知用画像を形成するときの第一駆動モータ22などの第一駆動源と第二駆動モータ23などの第二駆動源との駆動速度は、その直前の駆動速度個別決定処理によって設定した駆動速度である。これによれば、上記実施形態について説明したように、位置ズレ検知用画像を形成する際の第一駆動源と第二駆動源との駆動速度は、前回の駆動速度を変更する処理が反映された速度とすることができ、画像形成時の現状での重ね合わせズレ量が反映されるため、より実使用に合致したズレ量を確認することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 感光体ドラム
2 現像装置
3 駆動ローラ
4 二次転写ローラ
6 フォトセンサ
7 テンションローラ
8 中間転写ベルト
9 一次転写ローラ
10 定着装置
11 レジストローラ対
13 光書込ユニット
16 画像形成ユニット
21 感光体ギヤ
22a 第一駆動ギヤ
22 第一駆動モータ
23a 第二駆動ギヤ
23 第二駆動モータ
24 中継ギヤ
30 排紙ローラ対
30 第一給紙カセット
31 排紙トレイ
40 第二給紙カセット
42 位置ズレ検知用画像
60 光学センサユニット
70 手差しトレイ
71 給紙ローラ
72 搬送ローラ
100 プリンタ
200 プリンタ部
300 給紙部
IM1 先の可視像
IM2 後の可視像
L 書込光
P 記録紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2006−163056号公報
【特許文献2】特許第2642351号公報
【特許文献1】特開2008−139614号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する表面に潜像が形成され、現像されることにより可視像を担持する三つ以上の像担持体と、
それら像担持体のうち、少なくとも第一像担持体に伝達するための駆動力を発揮する第一駆動源と、
該第一像担持体とは異なる二つ以上の像担持体に伝達するための駆動力を発揮する第二駆動源と、
画像情報に基づいて、それぞれの像担持体に可視像を形成する可視像形成手段と、
それぞれの像担持体に担持された可視像を表面移動する中間転写体の表面に重ね合わせて転写し、該中間転写体上に形成された重ね合わせ画像を記録媒体に転写する転写手段と、
該中間転写体の表面上の可視像を検知する像検知手段と、を有し、
予め定められた可視像をそれぞれの像担持体に形成して該中間転写体の表面に転写してそれら可視像からなる位置ズレ検知用画像を得た後、該像検知手段による該位置ズレ検知用画像内の各可視像の検知タイミングに基づいて重ね合わせズレ量を算出し、該重ね合わせズレ量に基づいて、該第一駆動源の駆動速度と該第二駆動源の駆動速度とをそれぞれ個別に決定する駆動速度個別決定処理と、
該第一駆動源及び該第二駆動源をそれぞれ該駆動速度個別決定処理で決定した駆動速度で駆動しながら上記画像情報に基づく画像を形成する画像形成処理と、を実施する制御手段を有する画像形成装置において、
連続的に複数枚の画像形成を行っているときに、上記第一駆動源または上記第二駆動源の少なくとも一方の駆動速度を上記駆動速度個別決定処理で決定した駆動速度に変更する速度変更タイミングは、その駆動源が駆動する像担持体に形成される連続する二つの可視像のうちの先の可視像が上記中間転写体に転写された後から、後の可視像の潜像の形成が始まる前までのタイミングであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記可視像形成手段は、上記位置ズレ検知用画像を画像領域外に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記制御手段は、上記像検知手段による上記位置ズレ検知用画像内の各可視像の検知タイミングに基づいてそれぞれの像担持体に対する像形成開始タイミングを補正して、それぞれの可視像の重ね合わせズレを低減するタイミング補正処理を実施し、
該タイミング補正処理による補正後の該像形成開始タイミングに基づいて、該像形成開始タイミングでも残ってしまう可視像の上記重ね合わせズレ量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、
上記制御手段が、上記第一駆動源または上記第二駆動源のいずれかの駆動源の該駆動速度を変更する速度変更タイミングは、駆動速度を変更する該駆動源とは異なる方の駆動源によって駆動される上記像担持体に対して潜像の形成が始まってから、当該潜像の可視像を上記中間転写体に転写し終わるまでの期間であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像形成装置において、
上記制御手段は、上記駆動速度個別決定処理では上記第二駆動源の駆動速度を普遍の固定値とすると共に、重ね合わせズレ量と、該固定値とに基づいて上記第一駆動源の駆動速度を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
上記位置ズレ検知用画像を形成するときの上記第一駆動源と上記第二駆動源との駆動速度は、その直前の該駆動速度個別決定処理によって設定した駆動速度であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−41071(P2013−41071A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177303(P2011−177303)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】