画像形成装置
【課題】転写部材に対するガイド部材の位置精度を高め、コンパクトでかつメンテナンス時の作業性も良好であり、しかも高い画像品質が得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、転写部材33と、転写部材33を押圧して転写ニップを形成する転写回転体36と、転写回転体36と共に第1回転中心O1を中心として回転可能であり、転写ニップを形成する閉状態と解消する開状態とに切り替え可能なハウジング7と、記録媒体Pを転写ニップよりも転写部材33の回転方向上流側にガイドするガイド部材71とを有する。この画像形成装置は、さらに、転写部材33を支持する支持フレーム40と、ガイド部材71に付勢力を作用させる付勢手段72,75と、ハウジング7の閉状態で、付勢力を受けたガイド部材71と当接してガイド部材71の位置決めを行う受け部38とを有する。受け部は支持フレーム40に形成する。
【解決手段】画像形成装置は、転写部材33と、転写部材33を押圧して転写ニップを形成する転写回転体36と、転写回転体36と共に第1回転中心O1を中心として回転可能であり、転写ニップを形成する閉状態と解消する開状態とに切り替え可能なハウジング7と、記録媒体Pを転写ニップよりも転写部材33の回転方向上流側にガイドするガイド部材71とを有する。この画像形成装置は、さらに、転写部材33を支持する支持フレーム40と、ガイド部材71に付勢力を作用させる付勢手段72,75と、ハウジング7の閉状態で、付勢力を受けたガイド部材71と当接してガイド部材71の位置決めを行う受け部38とを有する。受け部は支持フレーム40に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真式などの画像形成装置においては、極性を有する帯電したトナーを用いて感光体の表面にトナー画像を形成し、そのトナー画像を中間転写ベルト上に一次転写する。次いで、中間転写ベルト上のトナー画像を記録媒体に二次転写し、その後、定着処理することによって画像を形成する。二次転写を行う際には、中間転写ベルトと転写ローラによって形成される二次転写ニップにおいて、中間転写ベルト上のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧を転写ローラに印加することにより、二次転写ニップに転写電界を形成する。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト上のトナー画像を記録媒体上に一括して転写する。
【0003】
図18に示すように、転写装置において、中間転写ベルト100と転写ローラ200とによって形成する二次転写ニップNの転写前における転写電界の近辺には、中間転写ベルト100と記録用紙Pとの間に空隙(放電領域)Mが存在している。その空隙Mにおいては、電界によって発生する放電により、中間転写ベルト100上のトナーの一部が飛散し、記録用紙Pに付着することで、記録用紙P上に画像の乱れを生じることが知られている。これを回避するためには、例えば図19に示すように、二次転写ニップNの手前にローラ300を追加し、空隙Mの手前で中間転写ベルト100と記録用紙Pとを密着させることにより、放電の影響を受けにくくすることが考えられる。しかし、中間転写ベルト100の経路を変更するためのローラ300が必要であるため、コストアップとなることや、配置スペースによって転写装置の厚みが増すため、転写装置が大型化するといった問題がある。
【0004】
放電の影響を受けない他の方法として、例えば転写前ガイドを設けることによって、記録媒体Pを二次転写ニップNの手前で中間転写ベルトに密着させることが知られている。この種の転写前ガイドを用いた画像形成装置については、特開2006−301509号公報(特許文献1)、特開2008−026533号公報(特許文献2)などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の転写前ガイドは、中間転写ベルトを支持するローラの軸方向両側において、保持部材によって回動可能に支持されている。転写前ガイドは中間転写ベルトとの距離が一定となるように支持されているが、例えば、紙詰まりが発生した場合などのメンテナンスの際には、用紙との干渉等により、転写前ガイドが変形したり損傷したりするおそれがある。
【0006】
特許文献2に記載の転写前ガイドは、搬送ユニットに揺動可能に支持されており、転写前ガイドに設けた凸部を搬送ガイドに当接させることによって転写前ガイドの位置決めを行っている。しかしながら、装置本体に対する搬送ガイドの取り付け精度が、転写前ガイドの位置決め精度を左右する構造になっているため、取り付け誤差の累積により、転写前ガイドの位置決め精度が低下し、放電による画像乱れを招くおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、かかる事情に鑑みて、転写部材に対するガイド部材の位置精度を高め、コンパクトでかつメンテナンス時の作業性も良好であり、しかも高い画像品質が得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、表面にトナー画像を担持して回転駆動される転写部材と、転写部材を押圧して、転写部材上のトナー画像を記録媒体に転写するための転写ニップを形成する転写回転体と、転写回転体と共に第1回転中心を中心として回転可能であり、この回転により、前記転写ニップを形成する閉状態と前記転写ニップを解消する開状態とに切り替え可能なハウジングと、搬送路を搬送された記録媒体を前記転写ニップよりも転写部材の回転方向上流側に向けてガイドするガイド部材とを有する画像形成装置であって、さらに、転写部材を支持する支持フレームと、ガイド部材に付勢力を作用させる付勢手段と、ハウジングの閉状態で、前記付勢力を受けたガイド部材と当接してガイド部材の位置決めを行う受け部とを備え、ガイド部材をハウジングで支持し、かつ支持フレームに受け部を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体は、ガイド部材により転写ニップの上流側で転写部材と密着するように精度良くガイドされる。そのため、放電領域でのトナーの飛散による画像乱れを生じることがない。また、メンテナンス時等においてハウジングを開状態にすると、ハウジングに追従してガイド部材も移動し、記録媒体の搬送路周辺から退避する。そのため、紙詰まり除去作業等のメンテナンス作業における作業性が向上する。さらに、ガイド部材の位置決めを行う受け部を、転写部材を支持する支持フレームに設けているため、受け部を他部材に取り付ける際に不可避となる取り付け誤差が生じない。従って、その分だけ取り付け誤差の累積を少なくすることができ、転写部材に対するガイド部材の位置決め精度を向上させて、放電による画像乱れを確実に防止することが可能となる。以上の機能を得るにあたり、ガイド部材が大型化することはなく、複雑な機構を追加する必要もない。従って、コンパクトでかつメンテナンス時の作業性が良好であり、しかも高い画像品質が得られる画像形成装置を低コストに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガイド機構の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3(A)はガイド部材の斜視図、同図(B)はガイド部材と受け部の接触部分を拡大して示す側面図、同図(C)は回転スライド機構を拡大して示す側面図である。
【図4】ハウジングの閉状態から開状態への移行中のガイド機構を示す側面図である。
【図5】ハウジングの開状態におけるガイド機構を示す側面図である。
【図6】ハウジングの開状態から閉状態ヘの移行中におけるガイド機構を示す側面図である。
【図7】ハウジングの閉状態でのガイド機構を示す側面図である。
【図8】転写ベルトに対する記録用紙の接触開始位置および二次転写ニップ間の距離と、画像乱れとの関係を示す図である。
【図9】ガイド部材の他の構成例を示す側面図である。
【図10】ガイド部材の他の構成例を示す側面図である。
【図11】ガイド部材の他の構成例を示す側面図である。
【図12】図12(A)はガイド機構の他の構成例を示す側面図であり、同図(B)はその一部を拡大した側面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るガイド機構の概略構成を示す側面図である。
【図14】ハウジングの開状態におけるガイド機構を示す側面図である。
【図15】図15(A)および(B)はガイド部材および規制部材の他の構成例を示す側面部であり、同図(C)はその一部を示す斜視図である。
【図16】ガイド部材および規制部材の他の構成例を示す斜視図である。
【図17】受け部の他の構成例を示す側面図である。
【図18】従来の転写装置の概略構成を示す側面図である。
【図19】従来の転写装置の概略構成を示す側面図である。
【図20】厚い用紙を搬送した時のガイド機構の挙動を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置1は、露光部(図示せず)、画像形成部2、転写装置3、給紙部4、搬送路5、定着部6などより構成されている。
【0013】
露光部は、画像形成装置1の上部に位置しており、レーザ光を発する光源や各種光学系より構成されている。具体的には、図示しない画像読取手段から得られた画像データに基づいて作成される画像の色分解成分毎のレーザ光Lを、後述する画像形成部の2の感光体ドラム22に向けて照射することで、感光体の表面を露光するものである。
【0014】
画像形成部2は、露光部の下方に位置しており、画像形成装置1に対して着脱可能に構成された複数のプロセスユニット21を備えている。各プロセスユニット21は、現像剤としてのトナーを表面上に担持可能な感光体ドラム22と、感光体ドラム22の表面を一様に帯電させる帯電ローラ23と、感光体ドラム22の表面にトナーを供給する現像装置24と、感光体ドラム22の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード25等で構成されている。現像装置24には、初期的に正規帯電極性がマイナス極性のトナーが収容されている。なお、各プロセスユニット21は、カラー画像の色分解成分であるイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色に対応した4つのプロセスユニット21からなっており、これらは異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっているため、符号は省略している。
【0015】
転写装置3は、画像形成部2の直下に位置する。この転写装置3は、支持部材としての駆動ローラ31および従動ローラ32に周回走行可能に張架されている転写部材としての中間転写ベルト33、中間転写ベルト33の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置34、各プロセスユニット21の感光体ドラム22に対して中間転写ベルト33を挟んだ対向位置に配置されている金属製の一次転写ローラ35等で構成されている。各一次転写ローラ35は、中間転写ベルト33の内周面をそれぞれの位置で押圧しており、押圧された部分と各感光体ドラム22とが接触する箇所に一次転写ニップを形成している。一次転写部材として金属製の一次転写ローラ35を使用する場合を例示したが、導電ブレードや導電スポンジローラを一次転写部材として使用することも可能である。従動ローラ32は、図示しない圧縮ばねによって、中間転写ベルト33に張力を与える方向に付勢されている。
【0016】
駆動ローラ31としては、ポリウレタンゴム(肉厚0.3[mm]〜1[mm])、薄層コーティングローラ(肉厚0.03[mm]〜0.1[mm])等が使用可能である。また、従動ローラ32は、アルミニウム製のパイプ形状であり、図示しないフランジを圧入して、中間転写ベルト33の蛇行を規制している。
【0017】
中間転写ベルト33は、樹脂フィルムに導電性材料を分散させたエンドレスベルトで構成される。樹脂フィルムとしては、例えばPVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、TPE(熱可塑性エラストマー)等が使用される。本実施形態においては、引張弾性率が1000[MPa]〜2000[MPa]となる厚さ90[μm]〜160[μm]、幅230[mm]のベルトを用いた。
【0018】
中間転写ベルト33の抵抗としては、23[℃]、50[%]RHの環境にて体積低効率108[Ω・cm]〜1011[Ω・cm]、表面抵抗率108[Ω/sq]〜1011[Ω/sq]の範囲であることが望ましい。
【0019】
中間転写ベルト33の体積抵抗率および表面抵抗率が上述した範囲を超えると、中間転写ベルト33が帯電するため、作像順の下流ほど設定電圧値を高く設定する、等の処置が必要となる。そのため、一次転写部へ単独の供給電源を使用することが困難となる。これは転写工程、転写材剥離工程などで発生する放電によって中間転写ベルト33表面の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるためであり、対策には中間転写ベルト33の除電手段を設ける必要がある。
【0020】
また、体積抵抗率および表面抵抗率が上述した範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため、自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるため、トナーの飛び散りが発生してしまう。
【0021】
最下流のプロセスユニット21よりも下流側には、正反射型や拡散型のトナーマークセンサ17(TMセンサ)が配置される。画像濃度や色合わせを調整する際には、このセンサ17によって中間転写ベルト33上のトナー画像濃度や各色位置が測定される。
【0022】
また、中間転写ベルト33を挟んで駆動ローラ31に対向した位置には、転写回転体としての二次転写ローラ36が配設されている。二次転写ローラ36は中間転写ベルト33の外周面を押圧しており、二次転写ローラ36と駆動ローラ31に巻きかけられた中間転写ベルト33との間に二次転写ニップを形成している。二次転写ローラ36はSUS等の金属製芯金を、導電性材料によって106〜1010[Ω]の抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体で被覆することにより構成されている。弾性体の材料としては、イオン導電性ローラ(ウレタン+カーボン分散、NBR、ヒドリン)や電子導電タイプのローラ(EPDM)等が用いられる。本実施形態においては、アスカーC硬度が35〜50のローラを用いた。
【0023】
二次転写ローラ36の抵抗値が上記範囲を超えると、電流が流れ難くなるため、必要な転写性を得るためにはより高電圧を印加しなければならず、電源コストが増大する。また、高電圧を印加する必要が生じるため、二次転写ニップの前後の空隙にて放電が生じやすくなり、画像品質の低下を招く。これは低温低湿環境(例えば10[℃]、15[%]RH)で顕著となる。
【0024】
逆に二次転写ローラ36の抵抗値が上記範囲を下回ると、同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性を両立できない。これは二次転写ローラ36の抵抗値が低いため、比較的低電圧で単色画像部を転写するのに十分な電流が流れるが、複数色画像部を転写するには単色画像部に最適な電圧よりも高い電圧値が必要となるため、複数色画像部を転写できる電圧に設定すると、単色画像では転写電流過剰となり、転写効率の低減を招くからである。
【0025】
なお、二次転写ローラ36の上記抵抗値は、導電性の金属製板にローラ36を設置し、芯金両端部にそれぞれ片側4.9[N]の荷重をかけた状態にて、芯金と金属製板との間に1kvの電圧を印加した時に流れる電流値から算出した。
【0026】
中間転写ベルト33の下方には、図示しない廃トナー移送ホースを介して、ベルトクリーニング装置34によってクリーニングされた廃トナーを収容する廃トナー収容器37が配設されている。
【0027】
給紙部4は、画像形成装置1の下部に位置しており、記録媒体としての記録用紙Pを収容した用紙トレイ41や、用紙トレイ41から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ42等からなっている。
【0028】
搬送路5は、給紙部4から搬出された記録用紙Pを搬送する経路であり、一対のレジストローラ51の他、図示しない搬送ローラ対を、後述する排出部に至るまで搬送路5の途中に適宜配置している。
【0029】
定着部6は、二次転写ニップの搬送路下流に位置しており、図示しない熱源によって加熱される定着ローラ、その定着ローラを加圧可能な加圧ローラ等を有している。
【0030】
排出部(図示せず)は、画像形成装置1の搬送路5の最下流に設けられ、記録用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラと、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイとを配設している。
【0031】
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
【0032】
画像形成装置1において、画像形成動作を開始すると、各プロセスユニット21の感光体ドラム22は、図示しない駆動装置によって図の時計回りに周速100[mm/s]〜180[mm/s]で回転駆動し、感光体ドラム22の表面を帯電ローラ23により所定の極性に一様に表面電位−200[V]〜−1000[V]に帯電する。帯電された各感光体ドラム22の表面は、形成する画像の色成分毎のレーザ光Lを露光部から照射されて、それぞれの感光体ドラム22の表面に静電潜像を形成する。このとき、各感光体ドラム22に露光する画像情報は、所望のフルカラー画像を、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このようにして各感光体ドラム22上に形成された静電潜像に対して、各現像装置24からトナーを供給することによってトナー画像(現像剤像)として可視像化する。
【0033】
次いで、転写装置3の駆動ローラ31を図の反時計回りに回転駆動することにより、中間転写ベルト33を図の矢印で示す方向に走行駆動する。また、各一次転写ローラ35に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧または定電流制御された電圧(例えば+500V〜+1000V)を印加する。これにより、各一次転写ローラ35と各感光体ドラム22との間の一次転写ニップにおいて転写電界を形成する。そして、各プロセスユニット21の感光体ドラム22上に形成された各色のトナー画像を、上記一次転写ニップに形成された転写電界により、中間転写ベルト33上に順次重ね合わせて転写する。このようにして、中間転写ベルト33の表面にフルカラーのトナー画像を形成する。
【0034】
その後、トナー画像が転写された後の各感光体ドラム22の表面に付着している残留トナーがクリーニングブレード25により除去される。次いで、その表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されてから、次の画像形成が行われる。
【0035】
一方、画像形成動作を開始すると、給紙部4の給紙ローラ42を回転駆動することにより、用紙トレイ41に収容された記録用紙Pが搬送路5に送り出される。そして、この記録用紙Pを、レジストローラ51によってタイミングを計り、二次転写ローラ36と、対向する駆動ローラ31との間の二次転写ニップに搬送する。このとき二次転写ローラ36に、中間転写ベルト33上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧を印加することにより、二次転写ニップに転写電界を形成している。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト33上のトナー画像を記録用紙P上に一括して転写する。
【0036】
次いで、トナー画像を転写した記録用紙Pを定着部6へと搬送し、加熱されている定着ローラと加圧ローラとによって記録用紙Pを加熱および加圧することにより、トナー画像を記録用紙Pに定着する。その後、記録用紙Pを定着ローラから分離し、図示しない搬送ローラ対によって排出部まで搬送して、排紙ローラによって排紙トレイに排出する。また、転写後の中間転写ベルト33上に付着している残留トナーは、ベルトクリーニング装置34によって除去し、図示しないスクリューや廃トナー移送ホース等によって廃トナー収容器37へ搬送して回収する。
【0037】
次に、図1〜図7に基づき、画像形成装置1における本発明の特徴部分を詳細に説明する。図2は、画像形成装置1における二次転写ニップ周辺の概略構成を示す側面図である。
【0038】
図2に示すように、二次転写ニップを形成する二次転写ローラ36は、ハウジング7に回転自在に支持される。ハウジング7と二次転写ローラ36の間には、二次転写ローラ36を駆動ローラ31に押し付けて所定のニップ圧を得るためのばね36a(例えば圧縮ばね)が配置されている。
【0039】
図1に示すように、ハウジング7は、搬送路5の側方を覆うように配置され、装置本体に設けられた静止側の部材1a(例えばベースフレーム)に第1回転中心O1を中心として回転可能に取り付けられている。紙詰まり除去等のメンテナンス時には、画像形成装置1の外装ケースに設けられた蓋部材(図示省略)を開き、さらにハウジング7を矢印方向に回転させることによって、搬送路5の側方空間を開放する。これにより、搬送路5で滞留した記録用紙Pを外部から容易に除去することができる。
【0040】
このようにハウジング7を矢印方向に回転させると、これに追従して二次転写ローラ36も駆動ローラ31から離反する方向に移動し、二次転写ニップが解消される。一方、メンテナンス終了後、ハウジング7を矢印とは逆方向に回転させると、二次転写ローラ36が中間転写ベルト33と当接する規定位置に配置され、二次転写ニップが形成される。
【0041】
以下の説明では、ハウジング7を閉じて二次転写ニップを形成した状態を、ハウジングの閉状態(図1に実線で示す)と呼び、ハウジング7を開いて二次転写ニップを解消した状態を、ハウジングの開状態(図1に二点鎖線で示す)と呼ぶ。
【0042】
図2に示すように、二次転写ニップの周辺には、搬送路5で搬送される記録用紙Pをガイドするガイド機構70が設けられる。ガイド機構70は、二次転写ニップよりも用紙搬送方向の上流側で、記録用紙Pの搬送方向をガイドするガイド部材71と、ガイド部材71の位置決めを行う受け部38と、ガイド部材71を付勢する付勢手段としての付勢ばね72とで構成される。また、本実施形態でのガイド機構70は、ガイド部材71と当接可能のストッパ73と、ガイド部材71とハウジング7との間で相対的な回転運動と往復スライド運動とを許容する回転スライド機構75も併せて有する。
【0043】
ガイド部材71は、使用予定の記録用紙Pのうち、最大サイズの記録用紙Pの幅よりも大きい幅を有する。ガイド部材71は例えば樹脂で形成することができる。
【0044】
図3(A)に示すように、ガイド部材71の一端部のうち、通紙領域となる軸方向(第1回転中心O1が延びる方向をいう。以下、同じ。)中央部分に記録用紙Pをガイドするガイド部71aが構成され、その軸方向両側に受け部38と当接する当接部71bが構成される。受け部38との当接時におけるこじりを防止するため、少なくとも当接部71bの先端面は曲面状(円筒面状)に形成するのが望ましい。ガイド部材71の他端部には、軸方向に突出した支軸71cが形成されている。
【0045】
付勢ばね72は、ハウジング7とガイド部材71との間に配設される。図2では、付勢ばね72を引張状態とし、その一端をガイド部材71の当接部71bと支軸71cとの間に結合した場合を例示している。これにより、ガイド部材71に図2中の矢印で示す付勢力Fが常時付与される。この付勢力Fにより、ガイド部材71が受け部38との当接方向に押圧される。この時の付勢力Fは、後述の回転スライド機構75でハウジング7とガイド部材71との間に許容されるスライド移動方向と略平行にするのが望ましい。
【0046】
付勢力Fは、ガイド部材71に回転モーメント、例えばガイド部材71の一端を中心としてガイド部材71を回転させる方向の回転モーメントを与えるものであれば足りる。このような回転モーメントがガイド部材71に与えられる限り、付勢ばね72の配設位置は任意である。また、付勢ばね72として圧縮状態のばねを使用して上記付勢力Fを与えてもよい。さらにばね以外の任意の弾性体で付勢力Fを与えてもよい。
【0047】
受け部38は、駆動ローラ31および従動ローラ32を回転自在に支持する支持フレーム40に一体に設けられる。本実施形態の受け部38は、支持フレーム40のうちハウジング7との対向側をV字状に部分的に切り欠いた形状をなす。支持フレーム40は樹脂の
射出成形で形成されており、受け部38もこの射出成形と同時に型成形されている。支持フレーム40は、装置本体の静止側部材(ベースフレーム等)に装着されており、駆動ローラ31および従動ローラ32を挟んでその軸方向両側に配置されている。この支持フレーム40のベルト搬送方向の両端に、駆動ローラ31および従動ローラ32の回転軸31a,32aが図示しない軸受(転がり軸受等)を介して回転自在に支持されている。
【0048】
受け部38には、ガイド部材71の当接部71bを案内する二つのガイド面38a,38bが形成される。受け部38の一方のガイド面38a(第1ガイド面)は付勢力Fと交差する方向に延び、他方のガイド面38b(第2ガイド面)は付勢力Fと略平行となる方向に延びている。双方のガイド面38a,38bは平坦面状に形成されている。二つのガイド面38a,38bが交わる角部は、ガイド部材71の位置決めを行う位置決め部38cとして機能する。
【0049】
図2に示すハウジング7の閉状態では、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の位置決め部38cに当接し、付勢ばね72による付勢力に抗してこの当接状態が保持される。これにより、ガイド部材71の位置決めが行われる。図3(B)に示すように、この位置決め状態では、ガイド部材71と受け部38の二つのガイド面38a,38bとの間の角度θ1,θ2はいずれも鋭角となる。二つのガイド面38a,38bの交差角度(θ1+θ2)は鈍角とする。
【0050】
図2に示すように、ガイド部材71のガイド部71aは、二次転写ニップの開始点よりも中間転写ベルト33の周回方向上流側にあって、中間転写ベルト33に対し、その外周面との間に所定幅の隙間をあけて対峙している。そのため、搬送路5を搬送された記録媒体Pは、ガイド部材71に当接してからガイド部71aにガイドされ、二次転写ニップの開始点よりも中間転写ベルト33の周回方向上流側で中間転写ベルト33の外周面に接触する。
【0051】
ストッパ73は、ガイド部材71よりも付勢力Fの作用方向側の領域でハウジング7に固定されている。図2に示すように、ハウジング7が閉状態であり、ガイド部材71が位置決め部38cで位置決めされた状態では、ストッパ73はガイド部材71に対して非接触である。
【0052】
回転スライド機構75は、例えばハウジング7に設けた長孔74にガイド部材71の支軸71cを摺動可能に嵌合することで構成される。これにより、ガイド部材71は、ハウジング7に対し、支軸71cを中心として回転可能となり、かつその回転中心O2(第2回転中心)がハウジング7に対して規定の行程S内で往復スライド移動可能となる。
【0053】
図3(C)に示すように、スライド移動の行程Sの一端は、支軸71c(実線で示す)が付勢力Fの作用方向にある長孔74の一端と当接する位置とする。一方、行程Sの他端では、支軸71c(二点鎖線で示す)は長孔74の他方の端部74bに対して非接触とする。図2に示すように、ハウジング7の閉状態では、第2回転中心O2が行程Sの途中に位置するよう(支軸71cが長孔74の両端74a,74bと非接触の状態となるよう)ガイド機構70の各部が構成される。
【0054】
回転スライド機構75としては、図2に例示する構成に限らず、ガイド部材71とハウジング7の間で相対的な回転運動とスライド運動とが許容される限り任意の機構を採用することができる。例えば上記実施形態とは逆に、ハウジング7に支軸71cに相当する部分を設け、ガイド部材71に長孔74に相当する部分を設けてもよい。また、案内レールと案内レールに沿って移動可能のスライド部材を設置し、スライド部材にガイド部材71の一端を回転可能に取り付けた構成でもよい。行程Sは図示のように直線状に形成するのが好ましいが、スライド移動がスムーズに行われる限り、長孔74を曲線形状にする等して曲線状の行程Sを構成しても構わない。スライド移動の円滑化のため、行程S中には段差は設けない。
【0055】
以下、図2〜図7に基づいて、ガイド機構70の動作を説明する。
【0056】
図2の状態から、第1回転中心O1を中心としてハウジング7を開くと、図4に示すように、二次転写ローラ36および圧縮ばね36aがハウジング7に追従して搬送路5から離間する方向に移動する。
【0057】
これに伴い、付勢ばね72の付勢力Fによってガイド部材71が第2回転中心O2を中心として反時計方向に回転し、ストッパ73に当接する。また、同じく付勢力Fによってガイド部材71全体が付勢力Fの作用方向にスライド移動し、支軸71cが長孔74の一端74aに当接して、第2回転中心O2が行程Sの一端(終端)に達する。この間は、ガイド部材71の当接部71bは受け部38の第1ガイド面38a上を下向きに摺動する。
【0058】
その後、さらにハウジング7を開くと、ガイド部材71の当接部71bが第1ガイド面38aから離反する。引き続きハウジング7を開くと、ガイド部材71がストッパ73と当接し、かつ第2回転中心O2がスライド行程Sの終端に位置した状態のまま、ハウジング7が図5に示す開状態となる。
【0059】
メンテナンス作業等の終了後、図5の状態からハウジング7を閉めると、図6に示すように、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の第1ガイド面38aに当接する。この時の第1ガイド面38aに対するガイド部材71の角度θ3は鋭角とする。さらにハウジング7を閉めると、ガイド部材71の当接部71bは第1ガイド面38a上を摺動して上方に移動する。また、ガイド部材71は、付勢ばね72の付勢力Fに抗して第2回転中心O2を中心に図の時計回りに回転してストッパ73から離間する。
【0060】
その後、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の位置決め部38cに到達すると、ガイド部材71が位置決め部38cに拘束された状態となる。ハウジング7を完全に閉めて閉状態にすると、図7に示すように、ガイド部材71に受け部38からの反力Gが作用する。この反力Gにより、支軸71cが長孔74の一端74aから離れる方向にスライド移動し、反力Gが0になったところで支軸71cの移動が停止する。この時、第2回転中心O2は行程Sの途中にある。これにより、図2に示すハウジング7の閉状態が再現される。
【0061】
以上に述べたガイド機構70によれば、記録媒体Pをガイド部材71で二次転写ニップよりも中間転写ベルト33の周回方向上流側に向けてガイドすることで、二次転写電界の近辺での中間転写ベルト33と記録用紙P間の空隙(放電領域)の発生を防止している。そのため、放電領域解消の目的で、駆動ローラ31よりもベルト周回方向の上流側にローラを追加する必要はなく、図14に示す転写装置3よりも小型化を図りつつ画像品質の向上を図ることができる。
【0062】
また、ガイド部材71をハウジング7で支持しているので、ガイド部材71はハウジング7の開閉操作に追従して移動する。これにより、ハウジング7の開状態では、ガイド部材71を記録用紙Pの搬送路5の周辺から退避させることができる。そのため、搬送路5に滞留した記録用紙Pを除去する際にも、用紙とガイド部材71との干渉を防止することができ、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0063】
受け部38を、支持フレーム40から分離した別部材とし、これを支持フレーム40や他の部材に取り付けるように構成した場合、受け部の取り付け精度がガイド部材71の位置決め精度を左右する。そのため、誤差の累積により中間転写ベルト33に対するガイド部材71の位置決め精度が低下するおそれがある。これに対し、本発明では、支持フレーム40に直接受け部38を形成しているので、受け部38の取り付け精度をキャンセルすることができる。また、支持フレーム40は、駆動ローラ31および従動ローラ32を介して中間転写ベルト33を支持する部材でもある。以上から、中間転写ベルト33に対するガイド部材71の位置決め精度を高めることができ、放電による画像の乱れを防止することが可能となる。
【0064】
具体的には、中間転写ベルト33側で、中間転写ベルト33と位置決めされたガイド部材71との間のギャップの公差を左右するのは、軸受と支持フレーム40の嵌合面となる支持フレーム40の内周面から位置決め部38cまでの距離、駆動ローラ31の外径寸法、および中間転写ベルト33の厚みの各公差分となる。この場合、ギャップ公差は、受け部38の取り付け精度は無関係となる。そのため、上記効果が得られる。
【0065】
上記のガイド機構70のように、ハウジング7側に設けたガイド部材71を、装置本体側に設けた受け部38で位置決めする場合、ガイド部材71を位置決め部38cに導入し、あるいはここから退避させる際に必要なガイド部材71の導入経路や退避経路を確保することが難しくなる。この点、上記ガイド機構70のように、ガイド部材71をハウジング7に回転自在に取り付け、さらに、ガイド部材71とハウジング7との間に相対的な往復スライド移動を許容すれば、ハウジング7に対するガイド部材71の姿勢の自由度が高まる。そのため、ハウジング7の回転中にガイド部材71がガイド面38a,38bと当接し、こじりを生じるような状況下でも、ハウジング7とガイド部材71の間の任意の姿勢変化によってこじりを解消することができ、ハウジング7の開閉をスムーズに行うことが可能となる。
【0066】
図2に示すハウジング7の閉状態において、支軸71cがスライド移動行程Sの終端にあると、支軸71cの一方向のスライド移動が規制されるため、ハウジング7に対するガイド部材71の姿勢変化がそれだけ限定される。そのため、ハウジング7を閉状態から開状態に切り替える際にガイド部材71と受け部38との間でこじりを生じる可能性がある。これに対し、上記ガイド機構70のように、ハウジング7の閉状態で、第2回転中心O2をスライド移動行程Sの途中に配置しておけば、ハウジング7とガイド部材71との間で両方向のスライド移動が許容されるため、ハウジング7に対してとり得るガイド部材71の姿勢の自由度が高まる。そのため、ハウジング7をスムーズに開くことができる。
【0067】
図4〜図7に示すように、上記ガイド機構70では、ガイド部材71がストッパ73と当接した際に、第2回転中心O2がスライド移動行程Sの終端に位置する。この場合、ガイド部材71のハウジング7に対する姿勢がロックされた状態でハウジング7が回転することになる。そのため、ハウジング7の回転中は、開き動作であるか閉じ動作であるかを問わず、ガイド部材71の移動軌跡が一定となる。これにより、ガイド部材71とその周辺の他部材(特に装置本体側の部材)との衝突や干渉を防止することができ、周辺構造の設計が容易なものとなる。
【0068】
また、ガイド部材71の当接部71bは、ガイド部材71先端の非通紙領域に設けられているので、ガイド部材71の当接部71bと受け部38を非通紙領域で接触摺動させることができる。そのため、接触摺動により摩耗粉が発生しても、通紙領域を通過する記録用紙Pに付着しにくく、記録用紙Pへの摩耗粉の付着による画像品質の低下を防止することができる。
【0069】
本実施形態では、ガイド部材71および受け部38の双方を樹脂で形成しているが、これは両者を異種材料を使用した場合に問題となる、両者間での摩耗の進行を抑制するためである。ガイド部材71の本体は金属製として受け部38との摺動部分のみに樹脂製カバーを装着する構成でもよい(図12(a)参照)。摩耗抑制のためには、支持フレーム40とガイド部材71が同種材料であればよいので、どちらか一方を金属製とする場合には、他方も金属製とするのが望ましい。
【0070】
ガイド部材71によってガイドされた記録用紙Pが中間転写ベルト33に接触し始める位置(接触開始点)と二次転写ニップの開始点との間の距離D(中間転写ベルト33上での円弧距離:図2参照)の大小は、画像品質に影響を与えると考えられる。これを検証するため、距離Dを異ならせて画像形成を行い、それぞれについて画像品質を評価した。評価結果を図8に示す。
【0071】
図8において、縦軸は画像の乱れの5段階評価を示し、横軸は距離Dを示す。なお、縦軸は、数値が高いほど画像の乱れの発生が低く、高画質な画像であることを示す。評価の結果、距離Dが大きいほど高画質であり、かつ1.5mm以上の距離Dを確保すると、ほぼ画像の乱れの発生を防ぐことができることが判明した。従って、距離Dが1.5mm以上となるように、位置決め部38cでガイド部材71を位置決めすることが好ましい。
【0072】
先に述べた放電現象による画像の乱れは、低温低湿度の環境下であって、両面印刷時における二面目の印刷時のように電気抵抗が高い状態の時に特に起こりやすいことが知られている。よって、記録用紙Pとして、二面目の印刷を行わない厚紙を使用する場合には、必要以上に二次転写ニップから中間転写ベルト33の周回方向の上流側に向けてガイドする必要はない。また、必要以上に上流側にガイドされた厚紙Pは、ガイド部材71から受ける負荷が大きくなるため、搬送速度が安定せず、画像倍率や濃度の変動が発生するなどの問題がある。
【0073】
そのため、記録用紙Pの種類によらず、放電抑制と搬送速度の安定化を両立させるためには、記録用紙Pの剛性による押圧力に応じて、ガイド部材71によるガイド方向を変更可能とすることが好ましい。
【0074】
図2に示すガイド機構70では、ガイド部材71が、付勢ばね72で弾性的に支持されており、かつ回転スライド機構75により付勢力Fの方向にスライド移動可能に支持されている。この場合、厚紙などの高剛性の記録用紙Pが搬送路5を搬送され、ガイド部材71と当接すると、図20に示すように、記録用紙Pから押圧力B(用紙の坪量に比例して大きくなる)を受けたガイド部材71が、付勢力Fに抗して押圧力Bの方向に変位する。これに伴って、ガイド部材71の支軸71cが長孔74内を押圧力Bの方向に移動する。
【0075】
ガイド部材71が変位すると、高剛性の記録用紙Pは、変位前のガイド部材71によるガイド方向よりも二次転写ニップ入口への接近方向にガイドされる。従って、記録用紙Pが二次転写ニップに到達しても、記録用紙Pがガイド部材71によって大きく屈曲することはなく、搬送負荷の低減、さらには搬送速度の安定化を図ることができる。
【0076】
この場合、ガイド部材71の変位中は、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の第2ガイド面38b上を摺動する。そのため、ガイド部材71の当接部71bの位置を制御することができ、ガイド部材71が上記変位を行った場合でも、記録用紙Pのガイド方向が不安定化することはない。
【0077】
一方、薄紙などの低剛性の記録用紙Pが搬送された場合は、ガイド部材71に変位を生じない。そのため、図7に示すように、低剛性の記録用紙Pは、駆動ローラ31と二次転写ローラ36との間の放電領域よりも中間転写ベルト33の周回方向上流側に向けてガイドされ、中間転写ベルト33との接触後は中間転写ベルト33の外周面に巻き付いた屈曲状態となって二次転写ニップに突入する。そのため、両面印刷時における二面目の印刷時のように記録用紙Pの電気抵抗が高くなった状態でも、放電現象による画像の乱れが生じにくくなる。
【0078】
以上の動作を可能とするため、両面対応の記録用紙P(薄紙)に対しては、記録用紙Pによる押圧力Bよりも付勢ばね72の付勢力Fを強くする必要がある。つまり、付勢ばね72の付勢力をF、製品規格で両面対応とされた記録用紙Pのうち最大坪量の用紙がガイド部材71に与える押圧力をFaとして、Fa≦Fの関係にする。一方、両面非対応の記録用紙P(厚紙)に対しては、記録用紙Pによる押圧力Bを付勢力Fよりも強くする。つまり、両面非対応の記録用紙Pの押圧力をFbとして、F≦Fbの関係にする。
【0079】
このように付勢ばね72の付勢力FをFa≦F≦Fbとなるように設定すれば、搬送される記録用紙Pの剛性差に応じ、自身の位置を自動的に修正する自己修正機能をガイド部材71に与えることができる。これにより、比較的薄い記録用紙Pに対しては、放電による画像乱れを回避することができ、厚みのある記録用紙Pに対しては安定した搬送速度で画像形成を行って、画像倍率や濃度の変動の発生を防止することができる。従って、放電抑制と搬送速度の安定化とを両立することが可能となる。
【0080】
なお、記録用紙Pとの当接により変位したガイド部材71によるガイド方向が、二次転写ニップの入口を超えて二次転写ローラ36側に向くのを防止するため、図9に破線で示すように、ガイド部材71の最大変位を規制するストッパ73aをハウジング7(あるいは装置本体側の部材)に設けてもよい。
【0081】
以上に述べた厚紙搬送時のガイド部材71による用紙ガイド方向の変更が不要である場合には、図17に示すように、受け部38の第1ガイド面38aと第2ガイド面38bとの交差角(θ1+θ2)を鋭角にすることもできる。これにより、位置決め部38cにおけるガイド部材71の位置決め効果が高まり、ガイド部材71をより高精度に位置決めすることが可能となる。この場合、図2に示す実施形態よりも付勢ばね72の弾性力を弱めても十分な位置決め効果を得ることができる。
【0082】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。
【0083】
ガイド部材71を金属製とする場合には、ガイド部材71は、例えば金属板(例えば厚さ0.8〜1.5mm程度)をプレス加工して形成される。この場合、記録用紙Pと当接したガイド部材71が撓むと、ガイド部71aのガイド機能が軸方向で安定せず、画像品質の低下来たす。これを防止するため、図9に示ように、ガイド部材71の先端、特にガイド部71aをヘミング曲げ加工等により折り曲げてR形状とし、ガイド部71aの剛性を向上させるのが望ましい。必要に応じて、ガイド部71aだけでなく、当接部71bも同様に折り曲げることができる。当接部71bを、プレス加工時に生じたせん断面のままで残すと、せん断面のバリが受け部38の摩耗を促進させるおそれがある。これに対し、当接部71bをR形状とすることにより、かかる不具合を防止することができる。
【0084】
また、ガイド部材71の先端のガイド部71aおよび当接部71bに対して、図10に示すように、フッ素樹脂コーティング等の低摩擦処理(鎖線で示す)を行ってもよい。これにより、ガイド部71aと記録用紙Pとの摩擦力を低下できると共に、当接部71bと受け部38とが滑らかに接するために摺動性を向上させ、両者の摩耗を抑制できる。
【0085】
ガイド部材71のガイド部71aは、図11に示すように、ローラ71dで構成することもできる。これにより、ガイド部材71と記録用紙Pとの摺動負荷を軽減し、記録用紙Pを安定して二次転写ニップに供給することができる。
【0086】
図12(A)(B)に示す実施形態は、ガイド部材71の当接部71bおよびガイド部材71の位置決めを行う受け部38の双方を曲面状(円筒面状)に形成したものである。受け部38の曲率半径R1はガイド部材71の当接部71bの曲率半径R2よりも大きい。
【0087】
ガイド部材71の凸曲面状の当接部71bは、ガイド部材71先端の軸方向両側部に樹脂製のカバー71eを装着することで構成されている。この実施形態では、ガイド部材71のガイド部71aは、図9に示すように、ヘミング加工等で折り曲げている(図示省略)。
【0088】
この実施形態においても、図2に示す実施形態と同様に、凹曲面状の受け部38は、駆動ローラ31および従動ローラ32を回転自在に支持する樹脂製の支持フレーム40に一体形成されている。そのため、受け部38の取り付け精度をキャンセルして、中間転写ベルト33に対するガイド部材71の位置決め精度を高め、放電による画像乱れを防止することが可能となる。
【0089】
以上に述べた構成を除き、図12(A)(B)に示す実施形態でも、図2に示す実施形態と同様の構成・機能のガイド機構70が設けられる(図示省略)。従って、図2に示す実施形態と同様に、ハウジング7の閉状態では、付勢ばね72の付勢力Fにより、ガイド部材71が受け部38に押し付けられてガイド部材71の位置決めが行われる(図12(B)に拡大図を示す)。また、ハウジング7の開閉に伴い、図4〜図7と同様の態様でガイド部材71が受け部38の内面を摺動しながら移動する。この場合、受け部38と当接部71bの双方を曲面状にしているため、両者の摺動時にこじりが生じにくく、ハウジング7をよりスムーズに開閉させることができる。
【0090】
ガイド部材71が厚紙等からなる高剛性の記録用紙Pと当接すると、記録用紙Pから押圧力を受けたガイド部材71は、図12(B)に二点鎖線で示すように受け部38上を摺動してガイド機構70のスライド移動方向に変位する(この時、図示しない支軸71cも長孔74に沿って同方向に移動する)。そのため、図9と同様に、記録用紙Pは変位前のガイド部材71によるガイド方向よりも二次転写ニップ入口への接近方向にガイドされる。従って、高剛性の記録用紙Pが二次転写ニップに到達しても、該記録用紙Pがガイド部材71によって大きく屈曲することはなく、搬送負荷の低減、さらには搬送速度の安定化を図ることができる。
【0091】
曲面状の受け部38では、図2の実施形態におけるV字状の受け部38とは異なり、ガイド面38a,38bおよび位置決め部38c間の境界は明確ではない。しかしながら、以上の説明からも明らかなように、実質的には曲面状の受け部38も、これら各部38a,38b,38cを備え、かつこれら各部と同様の機能を奏するものである。
【0092】
以下、図13〜図16に基づき、本発明のさらに他の実施形態について説明する。図13は、本発明の他の実施形態に係る二次転写ニップ周辺の概略構成を示す側面図である。
【0093】
図13に示す実施形態では、図2に示すガイド機構70のうち、ガイド部材71とハウジング7との間で相対的な回転運動と往復スライド運動とを許容する回転スライド機構75を省略している。回転スライド機構75に代えて、ガイド部材71を、付勢手段としての支持付勢ばね75を介してハウジング7で支持した点が図2に示す実施形態と異なる。図2に示す実施形態と共通する構成については重複説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0094】
支持付勢ばね75は、ハウジング7とガイド部材71との間に配置された圧縮ばねであり、ガイド部材71をその基端から先端に向けて常時付勢する。ハウジング7の閉状態においては、ガイド部材71の当接部71bは受け部38の位置決め部38cと当接し、支持付勢ばね75の付勢力によって当接部71bが位置決め部38cに位置決めされている。そのため、ガイド部材71と当接した記録用紙Pは、ガイド部材71によって二次転写ニップよりも中間転写ベルト33の周方向上流側に向けてガイドされ、放電による画像品質の低下が防止される。
【0095】
図13に示す状態からハウジング7を開くと、ガイド部材71の当接部71bは、第2ガイド面38b上を摺動して受け部38から離間する。また、ハウジング7を閉めると、ガイド部材71の当接部71bは、第2ガイド面38b上を摺動し、位置決め部38cに達して位置決めされる。ガイド部材71と受け部38との当接後、ハウジング7が完全に閉まるまでは、ハウジング7の閉方向の回転に伴い支持付勢ばね75が圧縮される。そのため、ハウジング7が完全に閉まった状態では、支持付勢ばね75の付勢力によって、ガイド部材71は位置決め部38cで位置決めされる。
【0096】
かかる構成では、ハウジング7を開いて、第2ガイド面38bから当接部71bが離脱すると、支持付勢ばね75の付勢力によってガイド部材71が付勢方向に飛び出し、中間転写ベルト33に接触して、中間転写ベルト33を傷つけるおそれがある。
【0097】
これを防止するため、図13および図14に示すように、支持フレーム40のハウジング7側端部を、中間転写ベルト33(駆動ローラ31)を越える位置まで延ばすのが好ましい。これにより、受け部38から離脱したガイド部材71が付勢力で飛び出した場合でも、ガイド部材71が中間転写ベルト33と接触することはなく、中間転写ベルト33の損傷を防止できる。
【0098】
上記付勢力によるガイド部材71の飛び出しが過剰に生じると(オーバーストローク)、ハウジング7を開状態から閉じる際にガイド部材71が支持フレーム40の端面と干渉し、受け部38に導入されない事態が起こり得る。これを防止するため、ガイド部材71とハウジング7の間に、ガイド部材71の飛び出しを規制するストッパ機構を設けるのが望ましい。
【0099】
このストッパ機構の一例として、図15(A)〜(C)に、ハウジング7にストッパ部76を設けると共に、ガイド部材71に、支持付勢ばね75の付勢方向でストッパ部76と係合可能の係合部71gを設ける構成が考えられる。係合部71gは、図15(C)に示すように、ガイド部材71に突出部71hを形成する他、図16に示すように、ガイド部材71に切欠き71iを形成することによっても構成することができる。
【0100】
これらの構成により、ガイド部材71が受け部38を離脱し、支持付勢ばね75の付勢力で飛び出そうとした場合でも、係合部71gとストッパ部76との当接により、それ以上のガイド部材71の飛び出しが規制されるので、図15(B)に示すように、ガイド部材71のオーバーストロークが防止される。そのため、ハウジング7を閉める際にもガイド部材71が支持フレーム40や中間転写ベルト33と干渉することはなく、ハウジング7をスムーズに閉めることができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
33 中間転写ベルト(転写部材)
36 二次転写ローラ(転写回転体)
38 受け部
40 支持フレーム
7 ハウジング
71 ガイド部材
P 記録用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開2006−098572号公報
【特許文献2】特開2008−026533号
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真式などの画像形成装置においては、極性を有する帯電したトナーを用いて感光体の表面にトナー画像を形成し、そのトナー画像を中間転写ベルト上に一次転写する。次いで、中間転写ベルト上のトナー画像を記録媒体に二次転写し、その後、定着処理することによって画像を形成する。二次転写を行う際には、中間転写ベルトと転写ローラによって形成される二次転写ニップにおいて、中間転写ベルト上のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧を転写ローラに印加することにより、二次転写ニップに転写電界を形成する。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト上のトナー画像を記録媒体上に一括して転写する。
【0003】
図18に示すように、転写装置において、中間転写ベルト100と転写ローラ200とによって形成する二次転写ニップNの転写前における転写電界の近辺には、中間転写ベルト100と記録用紙Pとの間に空隙(放電領域)Mが存在している。その空隙Mにおいては、電界によって発生する放電により、中間転写ベルト100上のトナーの一部が飛散し、記録用紙Pに付着することで、記録用紙P上に画像の乱れを生じることが知られている。これを回避するためには、例えば図19に示すように、二次転写ニップNの手前にローラ300を追加し、空隙Mの手前で中間転写ベルト100と記録用紙Pとを密着させることにより、放電の影響を受けにくくすることが考えられる。しかし、中間転写ベルト100の経路を変更するためのローラ300が必要であるため、コストアップとなることや、配置スペースによって転写装置の厚みが増すため、転写装置が大型化するといった問題がある。
【0004】
放電の影響を受けない他の方法として、例えば転写前ガイドを設けることによって、記録媒体Pを二次転写ニップNの手前で中間転写ベルトに密着させることが知られている。この種の転写前ガイドを用いた画像形成装置については、特開2006−301509号公報(特許文献1)、特開2008−026533号公報(特許文献2)などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の転写前ガイドは、中間転写ベルトを支持するローラの軸方向両側において、保持部材によって回動可能に支持されている。転写前ガイドは中間転写ベルトとの距離が一定となるように支持されているが、例えば、紙詰まりが発生した場合などのメンテナンスの際には、用紙との干渉等により、転写前ガイドが変形したり損傷したりするおそれがある。
【0006】
特許文献2に記載の転写前ガイドは、搬送ユニットに揺動可能に支持されており、転写前ガイドに設けた凸部を搬送ガイドに当接させることによって転写前ガイドの位置決めを行っている。しかしながら、装置本体に対する搬送ガイドの取り付け精度が、転写前ガイドの位置決め精度を左右する構造になっているため、取り付け誤差の累積により、転写前ガイドの位置決め精度が低下し、放電による画像乱れを招くおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、かかる事情に鑑みて、転写部材に対するガイド部材の位置精度を高め、コンパクトでかつメンテナンス時の作業性も良好であり、しかも高い画像品質が得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、表面にトナー画像を担持して回転駆動される転写部材と、転写部材を押圧して、転写部材上のトナー画像を記録媒体に転写するための転写ニップを形成する転写回転体と、転写回転体と共に第1回転中心を中心として回転可能であり、この回転により、前記転写ニップを形成する閉状態と前記転写ニップを解消する開状態とに切り替え可能なハウジングと、搬送路を搬送された記録媒体を前記転写ニップよりも転写部材の回転方向上流側に向けてガイドするガイド部材とを有する画像形成装置であって、さらに、転写部材を支持する支持フレームと、ガイド部材に付勢力を作用させる付勢手段と、ハウジングの閉状態で、前記付勢力を受けたガイド部材と当接してガイド部材の位置決めを行う受け部とを備え、ガイド部材をハウジングで支持し、かつ支持フレームに受け部を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体は、ガイド部材により転写ニップの上流側で転写部材と密着するように精度良くガイドされる。そのため、放電領域でのトナーの飛散による画像乱れを生じることがない。また、メンテナンス時等においてハウジングを開状態にすると、ハウジングに追従してガイド部材も移動し、記録媒体の搬送路周辺から退避する。そのため、紙詰まり除去作業等のメンテナンス作業における作業性が向上する。さらに、ガイド部材の位置決めを行う受け部を、転写部材を支持する支持フレームに設けているため、受け部を他部材に取り付ける際に不可避となる取り付け誤差が生じない。従って、その分だけ取り付け誤差の累積を少なくすることができ、転写部材に対するガイド部材の位置決め精度を向上させて、放電による画像乱れを確実に防止することが可能となる。以上の機能を得るにあたり、ガイド部材が大型化することはなく、複雑な機構を追加する必要もない。従って、コンパクトでかつメンテナンス時の作業性が良好であり、しかも高い画像品質が得られる画像形成装置を低コストに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガイド機構の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3(A)はガイド部材の斜視図、同図(B)はガイド部材と受け部の接触部分を拡大して示す側面図、同図(C)は回転スライド機構を拡大して示す側面図である。
【図4】ハウジングの閉状態から開状態への移行中のガイド機構を示す側面図である。
【図5】ハウジングの開状態におけるガイド機構を示す側面図である。
【図6】ハウジングの開状態から閉状態ヘの移行中におけるガイド機構を示す側面図である。
【図7】ハウジングの閉状態でのガイド機構を示す側面図である。
【図8】転写ベルトに対する記録用紙の接触開始位置および二次転写ニップ間の距離と、画像乱れとの関係を示す図である。
【図9】ガイド部材の他の構成例を示す側面図である。
【図10】ガイド部材の他の構成例を示す側面図である。
【図11】ガイド部材の他の構成例を示す側面図である。
【図12】図12(A)はガイド機構の他の構成例を示す側面図であり、同図(B)はその一部を拡大した側面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るガイド機構の概略構成を示す側面図である。
【図14】ハウジングの開状態におけるガイド機構を示す側面図である。
【図15】図15(A)および(B)はガイド部材および規制部材の他の構成例を示す側面部であり、同図(C)はその一部を示す斜視図である。
【図16】ガイド部材および規制部材の他の構成例を示す斜視図である。
【図17】受け部の他の構成例を示す側面図である。
【図18】従来の転写装置の概略構成を示す側面図である。
【図19】従来の転写装置の概略構成を示す側面図である。
【図20】厚い用紙を搬送した時のガイド機構の挙動を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置1は、露光部(図示せず)、画像形成部2、転写装置3、給紙部4、搬送路5、定着部6などより構成されている。
【0013】
露光部は、画像形成装置1の上部に位置しており、レーザ光を発する光源や各種光学系より構成されている。具体的には、図示しない画像読取手段から得られた画像データに基づいて作成される画像の色分解成分毎のレーザ光Lを、後述する画像形成部の2の感光体ドラム22に向けて照射することで、感光体の表面を露光するものである。
【0014】
画像形成部2は、露光部の下方に位置しており、画像形成装置1に対して着脱可能に構成された複数のプロセスユニット21を備えている。各プロセスユニット21は、現像剤としてのトナーを表面上に担持可能な感光体ドラム22と、感光体ドラム22の表面を一様に帯電させる帯電ローラ23と、感光体ドラム22の表面にトナーを供給する現像装置24と、感光体ドラム22の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード25等で構成されている。現像装置24には、初期的に正規帯電極性がマイナス極性のトナーが収容されている。なお、各プロセスユニット21は、カラー画像の色分解成分であるイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色に対応した4つのプロセスユニット21からなっており、これらは異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっているため、符号は省略している。
【0015】
転写装置3は、画像形成部2の直下に位置する。この転写装置3は、支持部材としての駆動ローラ31および従動ローラ32に周回走行可能に張架されている転写部材としての中間転写ベルト33、中間転写ベルト33の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置34、各プロセスユニット21の感光体ドラム22に対して中間転写ベルト33を挟んだ対向位置に配置されている金属製の一次転写ローラ35等で構成されている。各一次転写ローラ35は、中間転写ベルト33の内周面をそれぞれの位置で押圧しており、押圧された部分と各感光体ドラム22とが接触する箇所に一次転写ニップを形成している。一次転写部材として金属製の一次転写ローラ35を使用する場合を例示したが、導電ブレードや導電スポンジローラを一次転写部材として使用することも可能である。従動ローラ32は、図示しない圧縮ばねによって、中間転写ベルト33に張力を与える方向に付勢されている。
【0016】
駆動ローラ31としては、ポリウレタンゴム(肉厚0.3[mm]〜1[mm])、薄層コーティングローラ(肉厚0.03[mm]〜0.1[mm])等が使用可能である。また、従動ローラ32は、アルミニウム製のパイプ形状であり、図示しないフランジを圧入して、中間転写ベルト33の蛇行を規制している。
【0017】
中間転写ベルト33は、樹脂フィルムに導電性材料を分散させたエンドレスベルトで構成される。樹脂フィルムとしては、例えばPVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、TPE(熱可塑性エラストマー)等が使用される。本実施形態においては、引張弾性率が1000[MPa]〜2000[MPa]となる厚さ90[μm]〜160[μm]、幅230[mm]のベルトを用いた。
【0018】
中間転写ベルト33の抵抗としては、23[℃]、50[%]RHの環境にて体積低効率108[Ω・cm]〜1011[Ω・cm]、表面抵抗率108[Ω/sq]〜1011[Ω/sq]の範囲であることが望ましい。
【0019】
中間転写ベルト33の体積抵抗率および表面抵抗率が上述した範囲を超えると、中間転写ベルト33が帯電するため、作像順の下流ほど設定電圧値を高く設定する、等の処置が必要となる。そのため、一次転写部へ単独の供給電源を使用することが困難となる。これは転写工程、転写材剥離工程などで発生する放電によって中間転写ベルト33表面の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるためであり、対策には中間転写ベルト33の除電手段を設ける必要がある。
【0020】
また、体積抵抗率および表面抵抗率が上述した範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため、自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるため、トナーの飛び散りが発生してしまう。
【0021】
最下流のプロセスユニット21よりも下流側には、正反射型や拡散型のトナーマークセンサ17(TMセンサ)が配置される。画像濃度や色合わせを調整する際には、このセンサ17によって中間転写ベルト33上のトナー画像濃度や各色位置が測定される。
【0022】
また、中間転写ベルト33を挟んで駆動ローラ31に対向した位置には、転写回転体としての二次転写ローラ36が配設されている。二次転写ローラ36は中間転写ベルト33の外周面を押圧しており、二次転写ローラ36と駆動ローラ31に巻きかけられた中間転写ベルト33との間に二次転写ニップを形成している。二次転写ローラ36はSUS等の金属製芯金を、導電性材料によって106〜1010[Ω]の抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体で被覆することにより構成されている。弾性体の材料としては、イオン導電性ローラ(ウレタン+カーボン分散、NBR、ヒドリン)や電子導電タイプのローラ(EPDM)等が用いられる。本実施形態においては、アスカーC硬度が35〜50のローラを用いた。
【0023】
二次転写ローラ36の抵抗値が上記範囲を超えると、電流が流れ難くなるため、必要な転写性を得るためにはより高電圧を印加しなければならず、電源コストが増大する。また、高電圧を印加する必要が生じるため、二次転写ニップの前後の空隙にて放電が生じやすくなり、画像品質の低下を招く。これは低温低湿環境(例えば10[℃]、15[%]RH)で顕著となる。
【0024】
逆に二次転写ローラ36の抵抗値が上記範囲を下回ると、同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性を両立できない。これは二次転写ローラ36の抵抗値が低いため、比較的低電圧で単色画像部を転写するのに十分な電流が流れるが、複数色画像部を転写するには単色画像部に最適な電圧よりも高い電圧値が必要となるため、複数色画像部を転写できる電圧に設定すると、単色画像では転写電流過剰となり、転写効率の低減を招くからである。
【0025】
なお、二次転写ローラ36の上記抵抗値は、導電性の金属製板にローラ36を設置し、芯金両端部にそれぞれ片側4.9[N]の荷重をかけた状態にて、芯金と金属製板との間に1kvの電圧を印加した時に流れる電流値から算出した。
【0026】
中間転写ベルト33の下方には、図示しない廃トナー移送ホースを介して、ベルトクリーニング装置34によってクリーニングされた廃トナーを収容する廃トナー収容器37が配設されている。
【0027】
給紙部4は、画像形成装置1の下部に位置しており、記録媒体としての記録用紙Pを収容した用紙トレイ41や、用紙トレイ41から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ42等からなっている。
【0028】
搬送路5は、給紙部4から搬出された記録用紙Pを搬送する経路であり、一対のレジストローラ51の他、図示しない搬送ローラ対を、後述する排出部に至るまで搬送路5の途中に適宜配置している。
【0029】
定着部6は、二次転写ニップの搬送路下流に位置しており、図示しない熱源によって加熱される定着ローラ、その定着ローラを加圧可能な加圧ローラ等を有している。
【0030】
排出部(図示せず)は、画像形成装置1の搬送路5の最下流に設けられ、記録用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラと、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイとを配設している。
【0031】
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
【0032】
画像形成装置1において、画像形成動作を開始すると、各プロセスユニット21の感光体ドラム22は、図示しない駆動装置によって図の時計回りに周速100[mm/s]〜180[mm/s]で回転駆動し、感光体ドラム22の表面を帯電ローラ23により所定の極性に一様に表面電位−200[V]〜−1000[V]に帯電する。帯電された各感光体ドラム22の表面は、形成する画像の色成分毎のレーザ光Lを露光部から照射されて、それぞれの感光体ドラム22の表面に静電潜像を形成する。このとき、各感光体ドラム22に露光する画像情報は、所望のフルカラー画像を、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このようにして各感光体ドラム22上に形成された静電潜像に対して、各現像装置24からトナーを供給することによってトナー画像(現像剤像)として可視像化する。
【0033】
次いで、転写装置3の駆動ローラ31を図の反時計回りに回転駆動することにより、中間転写ベルト33を図の矢印で示す方向に走行駆動する。また、各一次転写ローラ35に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧または定電流制御された電圧(例えば+500V〜+1000V)を印加する。これにより、各一次転写ローラ35と各感光体ドラム22との間の一次転写ニップにおいて転写電界を形成する。そして、各プロセスユニット21の感光体ドラム22上に形成された各色のトナー画像を、上記一次転写ニップに形成された転写電界により、中間転写ベルト33上に順次重ね合わせて転写する。このようにして、中間転写ベルト33の表面にフルカラーのトナー画像を形成する。
【0034】
その後、トナー画像が転写された後の各感光体ドラム22の表面に付着している残留トナーがクリーニングブレード25により除去される。次いで、その表面が図示していない除電装置によって除電作用を受け、その表面電位が初期化されてから、次の画像形成が行われる。
【0035】
一方、画像形成動作を開始すると、給紙部4の給紙ローラ42を回転駆動することにより、用紙トレイ41に収容された記録用紙Pが搬送路5に送り出される。そして、この記録用紙Pを、レジストローラ51によってタイミングを計り、二次転写ローラ36と、対向する駆動ローラ31との間の二次転写ニップに搬送する。このとき二次転写ローラ36に、中間転写ベルト33上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧を印加することにより、二次転写ニップに転写電界を形成している。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト33上のトナー画像を記録用紙P上に一括して転写する。
【0036】
次いで、トナー画像を転写した記録用紙Pを定着部6へと搬送し、加熱されている定着ローラと加圧ローラとによって記録用紙Pを加熱および加圧することにより、トナー画像を記録用紙Pに定着する。その後、記録用紙Pを定着ローラから分離し、図示しない搬送ローラ対によって排出部まで搬送して、排紙ローラによって排紙トレイに排出する。また、転写後の中間転写ベルト33上に付着している残留トナーは、ベルトクリーニング装置34によって除去し、図示しないスクリューや廃トナー移送ホース等によって廃トナー収容器37へ搬送して回収する。
【0037】
次に、図1〜図7に基づき、画像形成装置1における本発明の特徴部分を詳細に説明する。図2は、画像形成装置1における二次転写ニップ周辺の概略構成を示す側面図である。
【0038】
図2に示すように、二次転写ニップを形成する二次転写ローラ36は、ハウジング7に回転自在に支持される。ハウジング7と二次転写ローラ36の間には、二次転写ローラ36を駆動ローラ31に押し付けて所定のニップ圧を得るためのばね36a(例えば圧縮ばね)が配置されている。
【0039】
図1に示すように、ハウジング7は、搬送路5の側方を覆うように配置され、装置本体に設けられた静止側の部材1a(例えばベースフレーム)に第1回転中心O1を中心として回転可能に取り付けられている。紙詰まり除去等のメンテナンス時には、画像形成装置1の外装ケースに設けられた蓋部材(図示省略)を開き、さらにハウジング7を矢印方向に回転させることによって、搬送路5の側方空間を開放する。これにより、搬送路5で滞留した記録用紙Pを外部から容易に除去することができる。
【0040】
このようにハウジング7を矢印方向に回転させると、これに追従して二次転写ローラ36も駆動ローラ31から離反する方向に移動し、二次転写ニップが解消される。一方、メンテナンス終了後、ハウジング7を矢印とは逆方向に回転させると、二次転写ローラ36が中間転写ベルト33と当接する規定位置に配置され、二次転写ニップが形成される。
【0041】
以下の説明では、ハウジング7を閉じて二次転写ニップを形成した状態を、ハウジングの閉状態(図1に実線で示す)と呼び、ハウジング7を開いて二次転写ニップを解消した状態を、ハウジングの開状態(図1に二点鎖線で示す)と呼ぶ。
【0042】
図2に示すように、二次転写ニップの周辺には、搬送路5で搬送される記録用紙Pをガイドするガイド機構70が設けられる。ガイド機構70は、二次転写ニップよりも用紙搬送方向の上流側で、記録用紙Pの搬送方向をガイドするガイド部材71と、ガイド部材71の位置決めを行う受け部38と、ガイド部材71を付勢する付勢手段としての付勢ばね72とで構成される。また、本実施形態でのガイド機構70は、ガイド部材71と当接可能のストッパ73と、ガイド部材71とハウジング7との間で相対的な回転運動と往復スライド運動とを許容する回転スライド機構75も併せて有する。
【0043】
ガイド部材71は、使用予定の記録用紙Pのうち、最大サイズの記録用紙Pの幅よりも大きい幅を有する。ガイド部材71は例えば樹脂で形成することができる。
【0044】
図3(A)に示すように、ガイド部材71の一端部のうち、通紙領域となる軸方向(第1回転中心O1が延びる方向をいう。以下、同じ。)中央部分に記録用紙Pをガイドするガイド部71aが構成され、その軸方向両側に受け部38と当接する当接部71bが構成される。受け部38との当接時におけるこじりを防止するため、少なくとも当接部71bの先端面は曲面状(円筒面状)に形成するのが望ましい。ガイド部材71の他端部には、軸方向に突出した支軸71cが形成されている。
【0045】
付勢ばね72は、ハウジング7とガイド部材71との間に配設される。図2では、付勢ばね72を引張状態とし、その一端をガイド部材71の当接部71bと支軸71cとの間に結合した場合を例示している。これにより、ガイド部材71に図2中の矢印で示す付勢力Fが常時付与される。この付勢力Fにより、ガイド部材71が受け部38との当接方向に押圧される。この時の付勢力Fは、後述の回転スライド機構75でハウジング7とガイド部材71との間に許容されるスライド移動方向と略平行にするのが望ましい。
【0046】
付勢力Fは、ガイド部材71に回転モーメント、例えばガイド部材71の一端を中心としてガイド部材71を回転させる方向の回転モーメントを与えるものであれば足りる。このような回転モーメントがガイド部材71に与えられる限り、付勢ばね72の配設位置は任意である。また、付勢ばね72として圧縮状態のばねを使用して上記付勢力Fを与えてもよい。さらにばね以外の任意の弾性体で付勢力Fを与えてもよい。
【0047】
受け部38は、駆動ローラ31および従動ローラ32を回転自在に支持する支持フレーム40に一体に設けられる。本実施形態の受け部38は、支持フレーム40のうちハウジング7との対向側をV字状に部分的に切り欠いた形状をなす。支持フレーム40は樹脂の
射出成形で形成されており、受け部38もこの射出成形と同時に型成形されている。支持フレーム40は、装置本体の静止側部材(ベースフレーム等)に装着されており、駆動ローラ31および従動ローラ32を挟んでその軸方向両側に配置されている。この支持フレーム40のベルト搬送方向の両端に、駆動ローラ31および従動ローラ32の回転軸31a,32aが図示しない軸受(転がり軸受等)を介して回転自在に支持されている。
【0048】
受け部38には、ガイド部材71の当接部71bを案内する二つのガイド面38a,38bが形成される。受け部38の一方のガイド面38a(第1ガイド面)は付勢力Fと交差する方向に延び、他方のガイド面38b(第2ガイド面)は付勢力Fと略平行となる方向に延びている。双方のガイド面38a,38bは平坦面状に形成されている。二つのガイド面38a,38bが交わる角部は、ガイド部材71の位置決めを行う位置決め部38cとして機能する。
【0049】
図2に示すハウジング7の閉状態では、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の位置決め部38cに当接し、付勢ばね72による付勢力に抗してこの当接状態が保持される。これにより、ガイド部材71の位置決めが行われる。図3(B)に示すように、この位置決め状態では、ガイド部材71と受け部38の二つのガイド面38a,38bとの間の角度θ1,θ2はいずれも鋭角となる。二つのガイド面38a,38bの交差角度(θ1+θ2)は鈍角とする。
【0050】
図2に示すように、ガイド部材71のガイド部71aは、二次転写ニップの開始点よりも中間転写ベルト33の周回方向上流側にあって、中間転写ベルト33に対し、その外周面との間に所定幅の隙間をあけて対峙している。そのため、搬送路5を搬送された記録媒体Pは、ガイド部材71に当接してからガイド部71aにガイドされ、二次転写ニップの開始点よりも中間転写ベルト33の周回方向上流側で中間転写ベルト33の外周面に接触する。
【0051】
ストッパ73は、ガイド部材71よりも付勢力Fの作用方向側の領域でハウジング7に固定されている。図2に示すように、ハウジング7が閉状態であり、ガイド部材71が位置決め部38cで位置決めされた状態では、ストッパ73はガイド部材71に対して非接触である。
【0052】
回転スライド機構75は、例えばハウジング7に設けた長孔74にガイド部材71の支軸71cを摺動可能に嵌合することで構成される。これにより、ガイド部材71は、ハウジング7に対し、支軸71cを中心として回転可能となり、かつその回転中心O2(第2回転中心)がハウジング7に対して規定の行程S内で往復スライド移動可能となる。
【0053】
図3(C)に示すように、スライド移動の行程Sの一端は、支軸71c(実線で示す)が付勢力Fの作用方向にある長孔74の一端と当接する位置とする。一方、行程Sの他端では、支軸71c(二点鎖線で示す)は長孔74の他方の端部74bに対して非接触とする。図2に示すように、ハウジング7の閉状態では、第2回転中心O2が行程Sの途中に位置するよう(支軸71cが長孔74の両端74a,74bと非接触の状態となるよう)ガイド機構70の各部が構成される。
【0054】
回転スライド機構75としては、図2に例示する構成に限らず、ガイド部材71とハウジング7の間で相対的な回転運動とスライド運動とが許容される限り任意の機構を採用することができる。例えば上記実施形態とは逆に、ハウジング7に支軸71cに相当する部分を設け、ガイド部材71に長孔74に相当する部分を設けてもよい。また、案内レールと案内レールに沿って移動可能のスライド部材を設置し、スライド部材にガイド部材71の一端を回転可能に取り付けた構成でもよい。行程Sは図示のように直線状に形成するのが好ましいが、スライド移動がスムーズに行われる限り、長孔74を曲線形状にする等して曲線状の行程Sを構成しても構わない。スライド移動の円滑化のため、行程S中には段差は設けない。
【0055】
以下、図2〜図7に基づいて、ガイド機構70の動作を説明する。
【0056】
図2の状態から、第1回転中心O1を中心としてハウジング7を開くと、図4に示すように、二次転写ローラ36および圧縮ばね36aがハウジング7に追従して搬送路5から離間する方向に移動する。
【0057】
これに伴い、付勢ばね72の付勢力Fによってガイド部材71が第2回転中心O2を中心として反時計方向に回転し、ストッパ73に当接する。また、同じく付勢力Fによってガイド部材71全体が付勢力Fの作用方向にスライド移動し、支軸71cが長孔74の一端74aに当接して、第2回転中心O2が行程Sの一端(終端)に達する。この間は、ガイド部材71の当接部71bは受け部38の第1ガイド面38a上を下向きに摺動する。
【0058】
その後、さらにハウジング7を開くと、ガイド部材71の当接部71bが第1ガイド面38aから離反する。引き続きハウジング7を開くと、ガイド部材71がストッパ73と当接し、かつ第2回転中心O2がスライド行程Sの終端に位置した状態のまま、ハウジング7が図5に示す開状態となる。
【0059】
メンテナンス作業等の終了後、図5の状態からハウジング7を閉めると、図6に示すように、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の第1ガイド面38aに当接する。この時の第1ガイド面38aに対するガイド部材71の角度θ3は鋭角とする。さらにハウジング7を閉めると、ガイド部材71の当接部71bは第1ガイド面38a上を摺動して上方に移動する。また、ガイド部材71は、付勢ばね72の付勢力Fに抗して第2回転中心O2を中心に図の時計回りに回転してストッパ73から離間する。
【0060】
その後、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の位置決め部38cに到達すると、ガイド部材71が位置決め部38cに拘束された状態となる。ハウジング7を完全に閉めて閉状態にすると、図7に示すように、ガイド部材71に受け部38からの反力Gが作用する。この反力Gにより、支軸71cが長孔74の一端74aから離れる方向にスライド移動し、反力Gが0になったところで支軸71cの移動が停止する。この時、第2回転中心O2は行程Sの途中にある。これにより、図2に示すハウジング7の閉状態が再現される。
【0061】
以上に述べたガイド機構70によれば、記録媒体Pをガイド部材71で二次転写ニップよりも中間転写ベルト33の周回方向上流側に向けてガイドすることで、二次転写電界の近辺での中間転写ベルト33と記録用紙P間の空隙(放電領域)の発生を防止している。そのため、放電領域解消の目的で、駆動ローラ31よりもベルト周回方向の上流側にローラを追加する必要はなく、図14に示す転写装置3よりも小型化を図りつつ画像品質の向上を図ることができる。
【0062】
また、ガイド部材71をハウジング7で支持しているので、ガイド部材71はハウジング7の開閉操作に追従して移動する。これにより、ハウジング7の開状態では、ガイド部材71を記録用紙Pの搬送路5の周辺から退避させることができる。そのため、搬送路5に滞留した記録用紙Pを除去する際にも、用紙とガイド部材71との干渉を防止することができ、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0063】
受け部38を、支持フレーム40から分離した別部材とし、これを支持フレーム40や他の部材に取り付けるように構成した場合、受け部の取り付け精度がガイド部材71の位置決め精度を左右する。そのため、誤差の累積により中間転写ベルト33に対するガイド部材71の位置決め精度が低下するおそれがある。これに対し、本発明では、支持フレーム40に直接受け部38を形成しているので、受け部38の取り付け精度をキャンセルすることができる。また、支持フレーム40は、駆動ローラ31および従動ローラ32を介して中間転写ベルト33を支持する部材でもある。以上から、中間転写ベルト33に対するガイド部材71の位置決め精度を高めることができ、放電による画像の乱れを防止することが可能となる。
【0064】
具体的には、中間転写ベルト33側で、中間転写ベルト33と位置決めされたガイド部材71との間のギャップの公差を左右するのは、軸受と支持フレーム40の嵌合面となる支持フレーム40の内周面から位置決め部38cまでの距離、駆動ローラ31の外径寸法、および中間転写ベルト33の厚みの各公差分となる。この場合、ギャップ公差は、受け部38の取り付け精度は無関係となる。そのため、上記効果が得られる。
【0065】
上記のガイド機構70のように、ハウジング7側に設けたガイド部材71を、装置本体側に設けた受け部38で位置決めする場合、ガイド部材71を位置決め部38cに導入し、あるいはここから退避させる際に必要なガイド部材71の導入経路や退避経路を確保することが難しくなる。この点、上記ガイド機構70のように、ガイド部材71をハウジング7に回転自在に取り付け、さらに、ガイド部材71とハウジング7との間に相対的な往復スライド移動を許容すれば、ハウジング7に対するガイド部材71の姿勢の自由度が高まる。そのため、ハウジング7の回転中にガイド部材71がガイド面38a,38bと当接し、こじりを生じるような状況下でも、ハウジング7とガイド部材71の間の任意の姿勢変化によってこじりを解消することができ、ハウジング7の開閉をスムーズに行うことが可能となる。
【0066】
図2に示すハウジング7の閉状態において、支軸71cがスライド移動行程Sの終端にあると、支軸71cの一方向のスライド移動が規制されるため、ハウジング7に対するガイド部材71の姿勢変化がそれだけ限定される。そのため、ハウジング7を閉状態から開状態に切り替える際にガイド部材71と受け部38との間でこじりを生じる可能性がある。これに対し、上記ガイド機構70のように、ハウジング7の閉状態で、第2回転中心O2をスライド移動行程Sの途中に配置しておけば、ハウジング7とガイド部材71との間で両方向のスライド移動が許容されるため、ハウジング7に対してとり得るガイド部材71の姿勢の自由度が高まる。そのため、ハウジング7をスムーズに開くことができる。
【0067】
図4〜図7に示すように、上記ガイド機構70では、ガイド部材71がストッパ73と当接した際に、第2回転中心O2がスライド移動行程Sの終端に位置する。この場合、ガイド部材71のハウジング7に対する姿勢がロックされた状態でハウジング7が回転することになる。そのため、ハウジング7の回転中は、開き動作であるか閉じ動作であるかを問わず、ガイド部材71の移動軌跡が一定となる。これにより、ガイド部材71とその周辺の他部材(特に装置本体側の部材)との衝突や干渉を防止することができ、周辺構造の設計が容易なものとなる。
【0068】
また、ガイド部材71の当接部71bは、ガイド部材71先端の非通紙領域に設けられているので、ガイド部材71の当接部71bと受け部38を非通紙領域で接触摺動させることができる。そのため、接触摺動により摩耗粉が発生しても、通紙領域を通過する記録用紙Pに付着しにくく、記録用紙Pへの摩耗粉の付着による画像品質の低下を防止することができる。
【0069】
本実施形態では、ガイド部材71および受け部38の双方を樹脂で形成しているが、これは両者を異種材料を使用した場合に問題となる、両者間での摩耗の進行を抑制するためである。ガイド部材71の本体は金属製として受け部38との摺動部分のみに樹脂製カバーを装着する構成でもよい(図12(a)参照)。摩耗抑制のためには、支持フレーム40とガイド部材71が同種材料であればよいので、どちらか一方を金属製とする場合には、他方も金属製とするのが望ましい。
【0070】
ガイド部材71によってガイドされた記録用紙Pが中間転写ベルト33に接触し始める位置(接触開始点)と二次転写ニップの開始点との間の距離D(中間転写ベルト33上での円弧距離:図2参照)の大小は、画像品質に影響を与えると考えられる。これを検証するため、距離Dを異ならせて画像形成を行い、それぞれについて画像品質を評価した。評価結果を図8に示す。
【0071】
図8において、縦軸は画像の乱れの5段階評価を示し、横軸は距離Dを示す。なお、縦軸は、数値が高いほど画像の乱れの発生が低く、高画質な画像であることを示す。評価の結果、距離Dが大きいほど高画質であり、かつ1.5mm以上の距離Dを確保すると、ほぼ画像の乱れの発生を防ぐことができることが判明した。従って、距離Dが1.5mm以上となるように、位置決め部38cでガイド部材71を位置決めすることが好ましい。
【0072】
先に述べた放電現象による画像の乱れは、低温低湿度の環境下であって、両面印刷時における二面目の印刷時のように電気抵抗が高い状態の時に特に起こりやすいことが知られている。よって、記録用紙Pとして、二面目の印刷を行わない厚紙を使用する場合には、必要以上に二次転写ニップから中間転写ベルト33の周回方向の上流側に向けてガイドする必要はない。また、必要以上に上流側にガイドされた厚紙Pは、ガイド部材71から受ける負荷が大きくなるため、搬送速度が安定せず、画像倍率や濃度の変動が発生するなどの問題がある。
【0073】
そのため、記録用紙Pの種類によらず、放電抑制と搬送速度の安定化を両立させるためには、記録用紙Pの剛性による押圧力に応じて、ガイド部材71によるガイド方向を変更可能とすることが好ましい。
【0074】
図2に示すガイド機構70では、ガイド部材71が、付勢ばね72で弾性的に支持されており、かつ回転スライド機構75により付勢力Fの方向にスライド移動可能に支持されている。この場合、厚紙などの高剛性の記録用紙Pが搬送路5を搬送され、ガイド部材71と当接すると、図20に示すように、記録用紙Pから押圧力B(用紙の坪量に比例して大きくなる)を受けたガイド部材71が、付勢力Fに抗して押圧力Bの方向に変位する。これに伴って、ガイド部材71の支軸71cが長孔74内を押圧力Bの方向に移動する。
【0075】
ガイド部材71が変位すると、高剛性の記録用紙Pは、変位前のガイド部材71によるガイド方向よりも二次転写ニップ入口への接近方向にガイドされる。従って、記録用紙Pが二次転写ニップに到達しても、記録用紙Pがガイド部材71によって大きく屈曲することはなく、搬送負荷の低減、さらには搬送速度の安定化を図ることができる。
【0076】
この場合、ガイド部材71の変位中は、ガイド部材71の当接部71bが受け部38の第2ガイド面38b上を摺動する。そのため、ガイド部材71の当接部71bの位置を制御することができ、ガイド部材71が上記変位を行った場合でも、記録用紙Pのガイド方向が不安定化することはない。
【0077】
一方、薄紙などの低剛性の記録用紙Pが搬送された場合は、ガイド部材71に変位を生じない。そのため、図7に示すように、低剛性の記録用紙Pは、駆動ローラ31と二次転写ローラ36との間の放電領域よりも中間転写ベルト33の周回方向上流側に向けてガイドされ、中間転写ベルト33との接触後は中間転写ベルト33の外周面に巻き付いた屈曲状態となって二次転写ニップに突入する。そのため、両面印刷時における二面目の印刷時のように記録用紙Pの電気抵抗が高くなった状態でも、放電現象による画像の乱れが生じにくくなる。
【0078】
以上の動作を可能とするため、両面対応の記録用紙P(薄紙)に対しては、記録用紙Pによる押圧力Bよりも付勢ばね72の付勢力Fを強くする必要がある。つまり、付勢ばね72の付勢力をF、製品規格で両面対応とされた記録用紙Pのうち最大坪量の用紙がガイド部材71に与える押圧力をFaとして、Fa≦Fの関係にする。一方、両面非対応の記録用紙P(厚紙)に対しては、記録用紙Pによる押圧力Bを付勢力Fよりも強くする。つまり、両面非対応の記録用紙Pの押圧力をFbとして、F≦Fbの関係にする。
【0079】
このように付勢ばね72の付勢力FをFa≦F≦Fbとなるように設定すれば、搬送される記録用紙Pの剛性差に応じ、自身の位置を自動的に修正する自己修正機能をガイド部材71に与えることができる。これにより、比較的薄い記録用紙Pに対しては、放電による画像乱れを回避することができ、厚みのある記録用紙Pに対しては安定した搬送速度で画像形成を行って、画像倍率や濃度の変動の発生を防止することができる。従って、放電抑制と搬送速度の安定化とを両立することが可能となる。
【0080】
なお、記録用紙Pとの当接により変位したガイド部材71によるガイド方向が、二次転写ニップの入口を超えて二次転写ローラ36側に向くのを防止するため、図9に破線で示すように、ガイド部材71の最大変位を規制するストッパ73aをハウジング7(あるいは装置本体側の部材)に設けてもよい。
【0081】
以上に述べた厚紙搬送時のガイド部材71による用紙ガイド方向の変更が不要である場合には、図17に示すように、受け部38の第1ガイド面38aと第2ガイド面38bとの交差角(θ1+θ2)を鋭角にすることもできる。これにより、位置決め部38cにおけるガイド部材71の位置決め効果が高まり、ガイド部材71をより高精度に位置決めすることが可能となる。この場合、図2に示す実施形態よりも付勢ばね72の弾性力を弱めても十分な位置決め効果を得ることができる。
【0082】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。
【0083】
ガイド部材71を金属製とする場合には、ガイド部材71は、例えば金属板(例えば厚さ0.8〜1.5mm程度)をプレス加工して形成される。この場合、記録用紙Pと当接したガイド部材71が撓むと、ガイド部71aのガイド機能が軸方向で安定せず、画像品質の低下来たす。これを防止するため、図9に示ように、ガイド部材71の先端、特にガイド部71aをヘミング曲げ加工等により折り曲げてR形状とし、ガイド部71aの剛性を向上させるのが望ましい。必要に応じて、ガイド部71aだけでなく、当接部71bも同様に折り曲げることができる。当接部71bを、プレス加工時に生じたせん断面のままで残すと、せん断面のバリが受け部38の摩耗を促進させるおそれがある。これに対し、当接部71bをR形状とすることにより、かかる不具合を防止することができる。
【0084】
また、ガイド部材71の先端のガイド部71aおよび当接部71bに対して、図10に示すように、フッ素樹脂コーティング等の低摩擦処理(鎖線で示す)を行ってもよい。これにより、ガイド部71aと記録用紙Pとの摩擦力を低下できると共に、当接部71bと受け部38とが滑らかに接するために摺動性を向上させ、両者の摩耗を抑制できる。
【0085】
ガイド部材71のガイド部71aは、図11に示すように、ローラ71dで構成することもできる。これにより、ガイド部材71と記録用紙Pとの摺動負荷を軽減し、記録用紙Pを安定して二次転写ニップに供給することができる。
【0086】
図12(A)(B)に示す実施形態は、ガイド部材71の当接部71bおよびガイド部材71の位置決めを行う受け部38の双方を曲面状(円筒面状)に形成したものである。受け部38の曲率半径R1はガイド部材71の当接部71bの曲率半径R2よりも大きい。
【0087】
ガイド部材71の凸曲面状の当接部71bは、ガイド部材71先端の軸方向両側部に樹脂製のカバー71eを装着することで構成されている。この実施形態では、ガイド部材71のガイド部71aは、図9に示すように、ヘミング加工等で折り曲げている(図示省略)。
【0088】
この実施形態においても、図2に示す実施形態と同様に、凹曲面状の受け部38は、駆動ローラ31および従動ローラ32を回転自在に支持する樹脂製の支持フレーム40に一体形成されている。そのため、受け部38の取り付け精度をキャンセルして、中間転写ベルト33に対するガイド部材71の位置決め精度を高め、放電による画像乱れを防止することが可能となる。
【0089】
以上に述べた構成を除き、図12(A)(B)に示す実施形態でも、図2に示す実施形態と同様の構成・機能のガイド機構70が設けられる(図示省略)。従って、図2に示す実施形態と同様に、ハウジング7の閉状態では、付勢ばね72の付勢力Fにより、ガイド部材71が受け部38に押し付けられてガイド部材71の位置決めが行われる(図12(B)に拡大図を示す)。また、ハウジング7の開閉に伴い、図4〜図7と同様の態様でガイド部材71が受け部38の内面を摺動しながら移動する。この場合、受け部38と当接部71bの双方を曲面状にしているため、両者の摺動時にこじりが生じにくく、ハウジング7をよりスムーズに開閉させることができる。
【0090】
ガイド部材71が厚紙等からなる高剛性の記録用紙Pと当接すると、記録用紙Pから押圧力を受けたガイド部材71は、図12(B)に二点鎖線で示すように受け部38上を摺動してガイド機構70のスライド移動方向に変位する(この時、図示しない支軸71cも長孔74に沿って同方向に移動する)。そのため、図9と同様に、記録用紙Pは変位前のガイド部材71によるガイド方向よりも二次転写ニップ入口への接近方向にガイドされる。従って、高剛性の記録用紙Pが二次転写ニップに到達しても、該記録用紙Pがガイド部材71によって大きく屈曲することはなく、搬送負荷の低減、さらには搬送速度の安定化を図ることができる。
【0091】
曲面状の受け部38では、図2の実施形態におけるV字状の受け部38とは異なり、ガイド面38a,38bおよび位置決め部38c間の境界は明確ではない。しかしながら、以上の説明からも明らかなように、実質的には曲面状の受け部38も、これら各部38a,38b,38cを備え、かつこれら各部と同様の機能を奏するものである。
【0092】
以下、図13〜図16に基づき、本発明のさらに他の実施形態について説明する。図13は、本発明の他の実施形態に係る二次転写ニップ周辺の概略構成を示す側面図である。
【0093】
図13に示す実施形態では、図2に示すガイド機構70のうち、ガイド部材71とハウジング7との間で相対的な回転運動と往復スライド運動とを許容する回転スライド機構75を省略している。回転スライド機構75に代えて、ガイド部材71を、付勢手段としての支持付勢ばね75を介してハウジング7で支持した点が図2に示す実施形態と異なる。図2に示す実施形態と共通する構成については重複説明を省略し、以下では相違点を中心に説明する。
【0094】
支持付勢ばね75は、ハウジング7とガイド部材71との間に配置された圧縮ばねであり、ガイド部材71をその基端から先端に向けて常時付勢する。ハウジング7の閉状態においては、ガイド部材71の当接部71bは受け部38の位置決め部38cと当接し、支持付勢ばね75の付勢力によって当接部71bが位置決め部38cに位置決めされている。そのため、ガイド部材71と当接した記録用紙Pは、ガイド部材71によって二次転写ニップよりも中間転写ベルト33の周方向上流側に向けてガイドされ、放電による画像品質の低下が防止される。
【0095】
図13に示す状態からハウジング7を開くと、ガイド部材71の当接部71bは、第2ガイド面38b上を摺動して受け部38から離間する。また、ハウジング7を閉めると、ガイド部材71の当接部71bは、第2ガイド面38b上を摺動し、位置決め部38cに達して位置決めされる。ガイド部材71と受け部38との当接後、ハウジング7が完全に閉まるまでは、ハウジング7の閉方向の回転に伴い支持付勢ばね75が圧縮される。そのため、ハウジング7が完全に閉まった状態では、支持付勢ばね75の付勢力によって、ガイド部材71は位置決め部38cで位置決めされる。
【0096】
かかる構成では、ハウジング7を開いて、第2ガイド面38bから当接部71bが離脱すると、支持付勢ばね75の付勢力によってガイド部材71が付勢方向に飛び出し、中間転写ベルト33に接触して、中間転写ベルト33を傷つけるおそれがある。
【0097】
これを防止するため、図13および図14に示すように、支持フレーム40のハウジング7側端部を、中間転写ベルト33(駆動ローラ31)を越える位置まで延ばすのが好ましい。これにより、受け部38から離脱したガイド部材71が付勢力で飛び出した場合でも、ガイド部材71が中間転写ベルト33と接触することはなく、中間転写ベルト33の損傷を防止できる。
【0098】
上記付勢力によるガイド部材71の飛び出しが過剰に生じると(オーバーストローク)、ハウジング7を開状態から閉じる際にガイド部材71が支持フレーム40の端面と干渉し、受け部38に導入されない事態が起こり得る。これを防止するため、ガイド部材71とハウジング7の間に、ガイド部材71の飛び出しを規制するストッパ機構を設けるのが望ましい。
【0099】
このストッパ機構の一例として、図15(A)〜(C)に、ハウジング7にストッパ部76を設けると共に、ガイド部材71に、支持付勢ばね75の付勢方向でストッパ部76と係合可能の係合部71gを設ける構成が考えられる。係合部71gは、図15(C)に示すように、ガイド部材71に突出部71hを形成する他、図16に示すように、ガイド部材71に切欠き71iを形成することによっても構成することができる。
【0100】
これらの構成により、ガイド部材71が受け部38を離脱し、支持付勢ばね75の付勢力で飛び出そうとした場合でも、係合部71gとストッパ部76との当接により、それ以上のガイド部材71の飛び出しが規制されるので、図15(B)に示すように、ガイド部材71のオーバーストロークが防止される。そのため、ハウジング7を閉める際にもガイド部材71が支持フレーム40や中間転写ベルト33と干渉することはなく、ハウジング7をスムーズに閉めることができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、図1に示す画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
33 中間転写ベルト(転写部材)
36 二次転写ローラ(転写回転体)
38 受け部
40 支持フレーム
7 ハウジング
71 ガイド部材
P 記録用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】
【特許文献1】特開2006−098572号公報
【特許文献2】特開2008−026533号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー画像を担持して回転駆動される転写部材と、転写部材を押圧して、転写部材上のトナー画像を記録媒体に転写するための転写ニップを形成する転写回転体と、転写回転体と共に第1回転中心を中心として回転可能であり、この回転により、前記転写ニップを形成する閉状態と前記転写ニップを解消する開状態とに切り替え可能なハウジングと、搬送路を搬送された記録媒体を前記転写ニップよりも転写部材の回転方向上流側に向けてガイドするガイド部材とを有する画像形成装置であって、
さらに、転写部材を支持する支持フレームと、ガイド部材に付勢力を作用させる付勢手段と、
ハウジングの閉状態で、前記付勢力を受けたガイド部材と当接してガイド部材の位置決めを行う受け部とを備え、ガイド部材をハウジングで支持し、かつ支持フレームに受け部を形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記受け部に、ガイド部材の前記位置決めを行う位置決め部と、ハウジングの開閉時にガイド部材と摺動するガイド面とを設けた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ガイド部材とハウジングとの間に、第2回転中心を中心とした回転と、規定行程の往復スライド移動とを許容する回転スライド機構を設けた請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ガイド部材の受け部との接触部を曲面状に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ガイド部材を金属板のプレス加工で形成し、ガイド部材の受け部との接触部に曲げ加工を施した請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
受け部を曲面状に形成した請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記フレームを、前記転写部材を越える位置まで延ばしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
ハウジングに、付勢手段による付勢方向へのガイド部材の移動を規制するストッパ機構を設けた請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
表面にトナー画像を担持して回転駆動される転写部材と、転写部材を押圧して、転写部材上のトナー画像を記録媒体に転写するための転写ニップを形成する転写回転体と、転写回転体と共に第1回転中心を中心として回転可能であり、この回転により、前記転写ニップを形成する閉状態と前記転写ニップを解消する開状態とに切り替え可能なハウジングと、搬送路を搬送された記録媒体を前記転写ニップよりも転写部材の回転方向上流側に向けてガイドするガイド部材とを有する画像形成装置であって、
さらに、転写部材を支持する支持フレームと、ガイド部材に付勢力を作用させる付勢手段と、
ハウジングの閉状態で、前記付勢力を受けたガイド部材と当接してガイド部材の位置決めを行う受け部とを備え、ガイド部材をハウジングで支持し、かつ支持フレームに受け部を形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記受け部に、ガイド部材の前記位置決めを行う位置決め部と、ハウジングの開閉時にガイド部材と摺動するガイド面とを設けた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ガイド部材とハウジングとの間に、第2回転中心を中心とした回転と、規定行程の往復スライド移動とを許容する回転スライド機構を設けた請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ガイド部材の受け部との接触部を曲面状に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ガイド部材を金属板のプレス加工で形成し、ガイド部材の受け部との接触部に曲げ加工を施した請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
受け部を曲面状に形成した請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記フレームを、前記転写部材を越える位置まで延ばしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
ハウジングに、付勢手段による付勢方向へのガイド部材の移動を規制するストッパ機構を設けた請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−47756(P2013−47756A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186385(P2011−186385)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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