説明

画像形成装置

【課題】転写部材に誤って転写された画像の内容を、判別しづらくする。
【解決手段】画像形成装置は、回転可能に配置され、外周面にトナー像を保持する感光体ドラム11と、回転可能に配置され、感光体ドラム11との間に挟み込んだ用紙Sに感光体ドラム11上のトナー像を転写する転写ドラム21と、転写ドラム21に向けて供給される用紙Sを、転写ドラム21の外周面に把持させる先端グリッパ22および後端グリッパ23とを有する。転写ドラム21の外周面には、発泡体を含む弾性部材で構成された弾性層21Bが装着される。例えば用紙Sのジャムによって弾性層21Bに出力用画像が誤転写されてしまった場合、弾性層21Bに誤転写された出力用画像(誤転写画像)をバイアスの印加にて除去した後、誤転写画像をカムフラージュするために、弾性層21Bに上書画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、静電潜像が形成される感光体ドラムと、静電潜像を現像するための現像剤を担持する複数の現像ロールを有し、感光体ドラムに対向する現像位置に複数の現像ロールを順に移動させて現像色を切り替えるロータリ現像装置と、外周に用紙を担持して回転する転写ドラムとを備え、感光体ドラム上に現像された画像を、転写ドラムに担持された用紙に色毎に順次転写する画像形成装置が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−65560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、転写部材に誤って転写された画像の内容を、判別しづらくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、回転可能に配置され、画像を外周面に保持する像保持体と、外周面に発泡体を含む弾性層が形成されるとともに前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に対し、当該像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、前記像保持体に形成された出力用画像を、前記転写部材を用いて記録材に転写する出力画像形成動作を実行させ、当該出力画像形成動作を実行させた後に、当該像保持体を介して当該転写部材に上書画像を形成する上書画像形成動作を実行させる実行部とを含む画像形成装置である。
請求項2記載の発明は、前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記上書画像形成動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記像保持体から前記転写部材に誤って転写された前記出力用画像を当該像保持体に逆転写させる誤転写画像除去動作を実行させることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記実行部は、前記上書画像形成動作において、前記像保持体に形成された上書用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該上書用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記上書画像を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させる前に、前記像保持体を介して前記転写部材に下地画像を形成する下地画像形成動作を実行させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項6記載の発明は、前記実行部は、前記下地画像形成動作において、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
請求項7記載の発明は、前記実行部は、前記上書画像形成動作において前記転写部材に形成する前記上書画像の内容と、前記下地画像形成動作において当該転写部材に形成する前記下地画像の内容とを異ならせることを特徴とする請求項5または6記載の画像形成装置である。
請求項8記載の発明は、前記転写部材の外周面に記録材を保持させる保持部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項9記載の発明は、前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記像保持体から前記転写部材に誤って転写された前記出力用画像を当該像保持体に逆転写させる誤転写画像除去動作を実行させ、且つ、前記上書画像形成動作として、前記像保持体に形成された上書用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該上書用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記上書画像を形成させ、さらに、当該誤転写画像除去動作と当該上書画像形成動作とにおいて、当該像保持体と当該転写部材との間に供給する逆転写バイアスの大きさ、当該逆転写バイアスの供給期間、あるいは、当該逆転写バイアスと転写バイアスとを交互に供給する回数のうちの少なくとも1つを異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項10記載の発明は、前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させる前に、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成させる下地画像形成動作を実行させ、且つ、前記上書画像形成動作として、前記像保持体に形成された上書用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該上書用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記上書画像を形成させ、さらに、当該下地画像形成動作と当該上書画像形成動作とにおいて、当該像保持体と当該転写部材との間に供給する逆転写バイアスの大きさ、当該逆転写バイアスの供給期間、あるいは、当該逆転写バイアスと転写バイアスとを交互に供給する回数のうちの少なくとも1つを異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項11記載の発明は、前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させる前に、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成させる下地画像形成動作を実行させ、且つ、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記像保持体から前記転写部材に誤って転写された前記出力用画像を当該像保持体に逆転写させる誤転写画像除去動作を実行させ、さらに、当該下地画像形成動作と当該誤転写画像除去動作とにおいて、当該像保持体と当該転写部材との間に供給する逆転写バイアスの大きさ、当該逆転写バイアスの供給期間、あるいは、当該逆転写バイアスと転写バイアスとを交互に供給する回数のうちの少なくとも1つを異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
【0006】
請求項12記載の発明は、回転可能に配置され、画像を外周面に保持する像保持体と、外周面に発泡体を含む弾性層が形成されるとともに前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に対し、当該像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、前記像保持体を介して前記転写部材に下地画像を形成する下地画像形成動作を実行させ、当該下地画像形成動作を実行させた後に、当該像保持体に形成された出力用画像を、当該転写部材を用いて記録材に転写する出力画像形成動作を実行させる実行部とを含む画像形成装置である。
請求項13記載の発明は、前記実行部は、前記下地画像形成動作において、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成することを特徴とする請求項12記載の画像形成装置である。
請求項14記載の発明は、前記転写部材の外周面に記録材を保持させる保持部をさらに含むことを特徴とする請求項12または13記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材に誤って転写された画像の内容を、判別しづらくすることができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材に出力用画像が転写されやすくなる条件下において、転写部材に上書画像を形成することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、次の記録材に対する出力用画像の転写において、前の出力用画像の起因する記録材の裏面汚れを抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、次の記録材に対する出力用画像の転写において、上書用画像に起因する記録材の裏面汚れを抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材に誤って転写された画像を、より取り除きやすくすることができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材に対する出力用画像の転写において、下地用画像に起因する記録材の裏面汚れを抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材に誤って転写された画像の内容を、より判別しづらくすることができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材に転写される画像の位置ずれを抑制することができる。
請求項9記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、誤転写画像除去動作と上書画像形成動作とで、転写部材からの画像の転移のしやすさを異ならせることができる。
請求項10記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、下地画像形成動作と上書画像形成動作とで、転写部材からの画像の転移のしやすさを異ならせることができる。
請求項11記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、下地画像形成動作と誤転写画像除去動作とで、転写部材からの画像の転移のしやすさを異ならせることができる。
請求項12記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材に誤って転写された画像の内容を、判別しづらくすることができる。
請求項13記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材に対する出力用画像の転写において、下地用画像に起因する記録材の裏面汚れを抑制することができる。
請求項14記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材に転写される画像の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態における画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】転写ドラムの構成を説明するための図である。
【図3】画像形成装置における制御系の構成を説明するための図である。
【図4】下地用画像データの一例を説明するための図である。
【図5】上書用画像データの一例を説明するための図である。
【図6】実施の形態1における画像形成動作の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】下地画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】フルカラー画像を形成する場合における出力画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】モノクロ画像を形成する場合における出力画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】誤転写画像除去動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】上書画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャート(その1)である。
【図12】上書画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャート(その2)である。
【図13】実施の形態2における画像形成動作の手順の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における画像形成装置1の全体構成の一例を示す図である。
この画像形成装置1は、トナー像の形成を行う画像形成部10と、画像形成部10で形成されたトナー像を用紙Sに転写する転写部20と、転写部20によって用紙Sに転写されたトナー像を用紙Sに定着する定着部40と、転写部20に対しトナー像を転写するための用紙Sを供給する用紙供給部50とを備えている。また、この画像形成装置1は、画像形成部10、転写部20、定着部40および用紙供給部50等の動作を制御する制御部100をさらに備えている。ここで、画像形成装置1を構成する各部は、筺体2の内部に収容されており、この筺体2の上部には、定着部40から排出された用紙Sを積載する排紙積載部3が設けられている。
【0010】
これらのうち、画像形成部10は、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11を帯電する帯電装置12と、帯電された感光体ドラム11を露光する露光装置13と、帯電および露光によって感光体ドラム11に形成された静電潜像をトナーによって現像するロータリ現像装置14と、現像されたトナー像を転写した後に感光体ドラム11上に残ったトナー等を清掃する清掃装置15とを備えている。
【0011】
像保持体の一例としての感光体ドラム11は、その表面(外周面)に感光層(図示せず)が形成されるとともに、回転軸11aを中心に矢印A方向に回転するように取り付けられる。そして、帯電装置12、露光装置13、ロータリ現像装置14および清掃装置15は、感光体ドラム11の周囲に、矢印A方向に沿ってこの順番に配置される。ここで、感光体ドラム11の外径は、例えば30mmとなっている。
【0012】
帯電装置12は、本実施の形態においては接触ローラ型の放電装置で構成されており、感光体ドラム11とともに回転しながら感光体ドラム11を帯電する。
露光装置13は、帯電された感光体ドラム11の表面に選択的に光照射を行うことで、静電潜像を形成する。なお、本実施の形態の露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って複数の発光素子(例えばLED)を配列した構成を有している。
【0013】
ロータリ現像装置14は、感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って延びる回転軸14aと、回転軸14aの周囲に配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各現像器14Y、14M、14C、14Kとを備えている。また、ロータリ現像装置14は、回転軸14aを中心として矢印C方向に回転するように構成されており、感光体ドラム11と対向する位置(以下の説明では現像位置という)に、いずれかの現像器が停止するようになっている。そして、ロータリ現像装置14には、露光装置13によって感光体ドラム11上に形成された静電潜像を、現像位置に停止した現像器のトナーを用いて現像する。ここで、各現像器に収容されるトナーは、それぞれ、負の帯電極性を有している。なお、ロータリ現像装置14の外径は、例えば100mmとなっている。また、本実施の形態では、帯電装置12、露光装置13およびロータリ現像装置14が、トナー像形成部の一例としての機能を有している。
【0014】
清掃装置15は、感光体ドラム11の表面に残ったトナーやトナー以外の付着物を除去する。本実施の形態の清掃装置15は、感光体ドラム11の表面に接触するブレード式のクリーナで構成されている。
【0015】
また、転写部20は、感光体ドラム11に対向し且つ感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って伸びる回転軸21aを中心に回転可能に配置される転写ドラム21と、転写ドラム21の外周面にて用紙Sの搬送方向先端側を把持する先端グリッパ22と、同じく転写ドラム21の外周面にて用紙Sの搬送方向後端側を把持する後端グリッパ23と、回転する転写ドラム21の位相を測定する位相センサ25とを備えている。ここで、転写ドラム21は、感光体ドラム11との対向位置において、感光体ドラム11の回転方向(矢印A方向)と同じ向きとなる矢印B方向に回転するように構成されている。なお、転写ドラム21の外径は、例えば120mmとなっている。このように、本実施の形態では、転写ドラム21の外径が、感光体ドラム11の外径よりも大きく設定されている。
【0016】
これらのうち、転写部材の一例としての転写ドラム21は、円筒形状を有し且つ回転軸21aが取り付けられる基部21Aと、この基部21Aの外周面に設けられた弾性層21Bとを備えている。ここで、弾性層21Bは、基部21Aの外周面のうち、基部21Aの軸方向に沿う一部領域を除く部位を覆うようになっている。すなわち、弾性層21Bは、C字状の断面を有している。これにより、転写ドラム21における基部21Aの外周面のうち、弾性層21Bによって覆われない部位は、基部21Aが露出した露出部21Cとなっている。
【0017】
本実施の形態における基部21Aは導電性を有する中空管で構成され、例えば金属が用いられている。一方、弾性層21Bは半導電性を有し且つ発泡体を含む弾性部材で構成され、例えば導電性物質を含有させたポリウレタン等の樹脂が用いられている。ここで、本実施の形態の弾性層21Bは、その外周面に発泡体に起因する孔が露出した状態となっており、また、導電性物質を含有しているために全体として黒色を呈するようになっている。
また、基部21Aには、後述する正転写電源121b(図3参照)により、トナーとは逆極性の正転写バイアスが印加され、また、後述する逆転写電源121c(図3参照)により、トナーと同極性の逆転写バイアスが印加されるようになっている。一方、感光体ドラム11は接地されている。
【0018】
なお、以下の説明においては、感光体ドラム11と、転写ドラム21とが対向する位置を、転写位置Trと称する。そして、転写位置Trにおいては、感光体ドラム11に設けられた感光層と転写ドラム21に設けられた弾性層21Bとが接触することにより、転写ニップ部が構成される。
【0019】
また、保持部の一例としての先端グリッパ22は、転写ドラム21の外周面上のうち、露出部21Cと弾性層21Bの回転方向先端側とに跨る位置に、転写ドラム21の回転軸21aに沿って設けられている。そして、先端グリッパ22は、転写ドラム21に対して取り付けられており、転写ドラム21の回転に伴って先端グリッパ22も回転するようになっている。
【0020】
ここで、先端グリッパ22は、転写ドラム21にその回転軸21aに沿って設けられた軸(図示せず)を中心に回転する挟み部材を備えている。そして、この挟み部材が、軸を中心に正転および逆転することで、転写ドラム21との間に用紙Sの進行方向先端側の端部(以下では用紙先端と称する)を把持し、また、その把持を解除するように構成されている。なお、以下の説明においては、転写ドラム21に用紙Sを把持するときの先端グリッパ22の状態を「閉」状態にあるといい、また、転写ドラム21に用紙Sを把持しないときの先端グリッパ22の状態を「開」状態にあるという。
【0021】
一方、保持部の一例としての後端グリッパ23は、転写ドラム21の外周面上に、転写ドラム21の回転軸21aに沿って設けられている。そして、後端グリッパ23は、転写ドラム21の回転軸21aに対して回転可能に取り付けられており、転写ドラム21に対して独立して回転および停止することができるようになっている。これにより、本実施の形態では、転写ドラム21の外周面上での先端グリッパ22と後端グリッパ23との位置関係(距離)が変えられるようになっている。
【0022】
ここで、後端グリッパ23は、転写ドラム21の外周面に対し回転軸21aの軸方向に沿って伸びる帯状の押さえ部材を備えている。そして、この押さえ部材が、転写ドラム21の外周面に対して進退することで、転写ドラム21との間に用紙Sの進行方向後端側の端部(以下では用紙後端と称する)を把持し、また、その把持を解除するように構成されている。なお、以下の説明においては、転写ドラム21に用紙Sを把持するときの後端グリッパ23の状態を「閉」状態にあるといい、また、転写ドラム21に用紙Sを把持しないときの後端グリッパ23の状態を「開」状態にあるという。
【0023】
さらに、位相センサ25は、転写ドラム21の外周面に対向して配置されており、転写ドラム21の外周面に設けられたマーク(図示せず)を検知することで、回転する転写ドラム21の位相を測定するようになっている。
【0024】
また、定着部40は、加熱源(図示せず)を有し回転可能に設置される加熱ロール41と、この加熱ロール41に接触配置されて加熱ロール41とともに定着ニップ部を形成する加圧ロール42とを備えている。
【0025】
さらに、用紙供給部50は、転写ドラム21の下方に配置されるとともに内部に記録材の一例としての用紙Sを収容する用紙収容部51と、用紙収容部51から用紙Sを取り出す取り出しロール52と、取り出しロール52によって取り出された用紙Sを、タイミングを合わせて転写ドラム21に供給する一対の供給ロール53とを備えている。
【0026】
なお、以下の説明においては、用紙収容部51から、供給ロール53を介して転写ドラム21に向かう用紙Sの搬送経路を給紙経路61と称する。また、転写ドラム21の外周面における用紙Sの搬送経路を回転経路63と称し、転写位置Trから定着部40を介して排紙積載部3に向かう用紙Sの搬送経路を排紙経路64と称する。さらに、給紙経路61が転写ドラム21の外周面に到達する部位を給紙位置Pと称し、給紙経路61における一対の供給ロール53の対向部位を供給ニップ部Nと称する。
【0027】
ここで、本実施の形態の画像形成装置1では、転写ドラム21の回転方向(矢印B方向)に対し、給紙位置Pは転写位置Trよりも上流側に位置している。また、後端グリッパ23は、図1に示したように、転写ドラム21の回転方向(矢印B方向)に対し、転写位置Trよりも上流側且つ給紙位置Pよりも下流側となる部位(待機位置)にて、回転を停止した状態で停止している。
【0028】
図2は、上述した転写ドラム21の構成を説明するための図である。ここで、図2(a)は転写ドラム21の斜視図を示しており、図2(b)は転写ドラム21の外周面を平面上に展開した展開図を示している。なお、図2においては、転写ドラム21に取り付けられる先端グリッパ22の記載を省略している。
【0029】
上述したように、本実施の転写ドラム21は、円筒形状を有し且つ回転軸21aが取り付けられる基部21Aと、この基部21Aの外周面に、基部21Aの軸方向両端部および露出部21Cを除く領域に設けられた弾性層21Bとを備えている。ここで、弾性層21Bのうち、先端グリッパ22(図1参照)が取り付けられる側の端部を弾性層先端21Baと称し、逆側の端部を弾性層後端21Bbと称する。なお、弾性層21Bを基準としたとき、弾性層先端21Baは、弾性層後端21Bbからみて転写ドラム21の回転方向上流側に位置する。
【0030】
また、弾性層21Bの周方向の長さである弾性層周長Leは、基部21Aに露出部21Cが設けられている分、転写ドラム21の一周の長さである転写ドラム周長Ltよりも短い(Le<Lt)。一方、この弾性層周長Leは、この画像形成装置1で画像形成を行うことが可能な最大サイズの用紙Sの用紙長Lsよりも長い(Le>Ls)。したがって、本実施の形態では、用紙Sの用紙先端を先端グリッパ22(図1参照)で、この用紙Sの用紙後端を後端グリッパ23(図1参照)で、それぞれ挟むことにより、転写ドラム21の外周面(より具体的には弾性層21Bの表面)に用紙Sを保持させた際に、図2(b)に示したように、用紙Sの用紙後端よりも転写ドラム21の回転方向下流側において、弾性層21Bの一部が露出した状態となる。
【0031】
図3は、本実施の形態の画像形成装置1における制御系の構成を説明するための図である。
実行部の一例としての制御部100は、プログラムを読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101が実行するプログラムやプログラムを実行する際に使用するデータ等を記憶するROM102(Read Only Memory)と、プログラムを実行する際に一時的に生成されるデータ等を記憶するRAM103(Random Access Memory)とを備えている。また、制御部100は、画像形成装置1で画像形成動作(より具体的には後述する出力画像形成動作)を実行することに伴って、排紙積載部3に排出した用紙Sの枚数を累積した結果を格納する累積枚数格納部104を備える。さらに、制御部100は、この画像形成装置1が、上記出力画像形成動作以外に実行する、下地画像形成動作(詳細は後述する)で使用する下地用画像データDaおよび上書画像形成動作(詳細は後述する)で使用する上書用画像データDbを格納する画像データ格納部105を備える。
【0032】
一方、制御部100は、感光体ドラム11を回転駆動する感光体ドラム回転駆動部111、帯電装置12に帯電バイアスを供給する帯電電源112に、それぞれ制御信号を供給する。また、制御部100は、露光装置13に設けられた各LEDを駆動する露光駆動部113に、形成すべき画像データに対応した露光信号を供給する。さらに、制御部100は、ロータリ現像装置14を回転駆動するとともに、現像位置に配置された現像器に設けられた現像ロール(図示せず)等を駆動する現像装置回転駆動部114a、および、現像位置に配置された現像器に現像バイアスを供給する現像電源114bに、それぞれ制御信号を出力する。さらにまた、制御部100は、転写ドラム21を回転駆動する転写ドラム回転駆動部121a、転写ドラム21に正転写バイアス(トナーの帯電極性とは逆極性)を供給する正転写電源121b、および、転写ドラム21に逆転写バイアス(トナーの帯電極性と同極性)を供給する逆転写電源121cに、それぞれ制御信号を出力する。また、制御部100は、先端グリッパ22を開閉駆動する先端グリッパ開閉駆動部122、後端グリッパ23を開閉駆動する後端グリッパ開閉駆動部123a、および、後端グリッパ23を回転駆動する後端グリッパ回転駆動部123bに、それぞれ制御信号を出力する。さらに、制御部100は、定着部40に設けられた加熱ロール41を回転駆動する加熱ロール回転駆動部140a、および、加熱ロール41に設けられた加熱源(図示せず)を加熱する定着電源140bに、それぞれ制御信号を出力する。そして、制御部100は、用紙供給部50に設けられた取り出しロール52および供給ロール53を回転駆動する用紙供給回転駆動部150に制御信号を出力する。なお、本実施の形態では、正転写電源121bおよび逆転写電源121cが、バイアス供給部の一例としての機能を有している。また、本実施の形態では、正転写電源121bから供給される正転写バイアスが第1バイアスに対応しており、逆転写電源121cから供給される逆転写バイアスが第2バイアスに対応している。
【0033】
図4は、図3に示す画像データ格納部105に格納される、下地用画像データDaの一例を説明するための図である。
下地用画像データDaは、後述する下地画像形成動作においてイエロー(Y)のトナー像の形成に用いられるものであり、この例では、正方形状の矩形領域内において濃度が一様となるようにしたものである。ここで、図4では、下地用画像データDaとして3つの例を挙げており、図4(a)は濃度25%のハーフトーン画像(Y)を、図4(b)は濃度50%のハーフトーン画像(Y)を、そして図4(c)は濃度100%のベタ画像(Y)を、それぞれ例示している。なお、本実施の形態では、図4(a)に示す画像に対応する画像データが、下地用画像データDaとして画像データ格納部105に格納されているものとする。
【0034】
また、図5は、図3に示す画像データ格納部105に格納される、上書用画像データDbの一例を説明するための図である。
上書用画像データDbは、後述する上書画像形成動作において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒(K)の各色のトナー像の形成に用いられるものである。ここで、図5では、上書用画像データDbとして3つの例を挙げている。まず、図5(a)に示す例では、正方形状の矩形領域を8マス×8マス(64マス)に分割し、これらの中で塗りつぶすマスを、YMCKの各色において重なりが生じないように、各色に割り振っている。また、図5(b)に示す例では、正方形状の領域を8マス×8マス(64マス)に分割し、各マスに文字(この例では、アルファベット(A〜Z)、感嘆符(!)、疑問符(?)およびアラビア数字(1〜0)が含まれる)を割り振るとともに、色毎に画像の角度を90°ずつずらすようにしている。ここで、図5(a)および図5(b)に示す例では、各マスが複数のドットを含んで構成されている。さらに、図5(c)に示す例では、YMCKの各色について、正方形状の矩形領域内において濃度が一様となるようにしている。ここで、図5(c)に示す例の場合、各色の画像の濃度は、例えば上述した下地用画像データDaのように、ハーフトーン画像あるいはベタ画像から選択される。ただし、各色の画像の濃度については、互いに同じ濃度としてもよいし、互いに異なる濃度としてもよい。なお、本実施の形態では、図5(a)に示す画像に対応する画像データが、上書用画像データDbとして画像データ格納部105に格納されているものとする。
【0035】
では次に、本実施の形態の画像形成装置1による画像形成動作について説明を行う。なお、この画像形成装置1では、ユーザからの要求に伴って画像形成装置1の外部から送られてくる出力画像データに基づき、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、2色乃至4色のトナーを用いて1枚の用紙Sに出力用画像の一例としての多色画像を形成する動作(多色モードと称する)と、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、1色のトナーを用いて1枚の用紙Sに出力用画像の一例としての単色画像を形成する動作(単色モードと称する)とが実行可能である。
【0036】
図6は、本実施の形態における画像形成動作の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部100が、図示しないコンピュータ装置等から、用紙Sに出力用画像をプリントして出力(排出)する画像出力指示を受け付ける(ステップ11)。すると、制御部100は、ステップ11で受け付けた画像出力指示が、黒トナーのみを用いた単色モードであったか否かを判断する(ステップ12)。ステップ12において肯定の判断(YES)を行った場合は、後述するステップ14に進む。一方、ステップ12において否定の判断(NO)を行った場合、制御部100は、転写ドラム21に対する下地画像形成動作を実行させる(ステップ13)。なお、下地画像形成動作の詳細については後述する。
【0037】
それから、制御部100は、上記画像出力指示とともに画像形成装置1の外部から送られてくる出力画像データに基づき、用紙Sに対する出力画像形成動作を実行させる(ステップ14)。なお、出力画像形成動作の詳細については後述する。
【0038】
出力画像形成動作を実行させる間、制御部100は、出力用画像の形成対象となる用紙Sの挙動を監視しており、この用紙Sにジャムが発生したか否かを判断する(ステップ15)。ステップ15において否定(NO)の判断を行った場合、制御部100は、一連の画像形成動作を完了させる。一方、ステップ15において肯定(YES)の判断を行った場合、制御部100は、出力画像形成動作の実行を中止させるとともに、ユーザに対し、ジャムとなった用紙Sの除去を要求する。そして、ジャムとなった用紙Sが除去された後、制御部100は、ジャムの発生に伴って用紙Sではなく転写ドラム21に転写されてしまった画像(誤転写画像と称する)を除去する誤転写画像除去動作を実行させる(ステップ16)。なお、誤転写画像除去動作の詳細については後述する。
【0039】
続いて、制御部100は、ステップ11で受け付けた画像出力指示が、黒トナーのみを用いる単色モードであったか否かを判断する(ステップ17)。ステップ17において肯定(YES)の判断を行った場合、制御部100は、一連の画像形成動作を完了させる。一方、ステップ17において否定(NO)の判断を行った場合、制御部100は、転写ドラム21に対する上書画像形成動作を実行させ(ステップ18)、一連の画像形成動作を完了させる。なお、上書画像形成動作の詳細については後述する。
【0040】
では、上述した画像形成動作における『下地画像形成動作』、『出力画像形成動作』、『誤転写画像除去動作』、および『上書画像形成動作』のそれぞれについて、順番に説明する。なお、これらのうち、『出力画像形成動作』では、多色モードのうちYMCKのフルカラー画像を形成する場合、および、単色モードのうちモノクロ画像(Kの単色画像)を形成する場合について、それぞれ説明を行う。
【0041】
[下地画像形成動作]
図7は、図6に示すステップ13で実行される『下地画像形成動作』の一例を説明するためのタイミングチャートである。
ここで、図7は、時間の経過と、(a)感光体ドラム11の駆動(ON/OFF)と、(b)帯電装置12に供給される帯電バイアス(ON/OFF)と、(c)露光装置13に供給される露光信号(ON/OFF)と、(d)現像位置に配置される現像器と、(e)転写ドラム21の駆動(ON/OFF)と、(f)転写ドラム21に対する転写バイアスの印加(正/OFF/逆)と、(g)先端グリッパ22の状態(開/閉)と、(h)後端グリッパ23の状態(開/閉)と、(i)後端グリッパ23の駆動(ON/OFF)と、(j)供給ロール53の駆動(ON/OFF)と、(k)供給ニップ部Nを通過する用紙Sと、(l)給紙位置Pを通過する用紙Sと、(m)転写位置Trを通過する用紙Sと、(n)転写位置Trを通過する感光体ドラム11上の画像との関係を示している。また、図7(f)に示す転写バイアスにおいて、「正」は正転写電源121bより供給される正転写バイアスを、また、「逆」は逆転写電源121cより供給される逆転写バイアスを、それぞれ意味している。
【0042】
下地画像形成動作が開始される前の初期状態では、感光体ドラム11、転写ドラム21、そして供給ロール53の駆動が、すべてOFFになっている。また、本動作の初期状態では、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給、露光装置13に対する露光信号の供給、および転写ドラム21に対する転写バイアスの供給もOFFになっている。さらに、本動作の初期状態では、先端グリッパ22および後端グリッパ23が、ともに開状態に設定されている。さらにまた、本動作の初期状態では、黒の現像器14Kが現像位置に配置された状態で停止している(図1参照)。そして、本動作の初期状態では、後端グリッパ23が待機位置に配置された状態で停止している(図1参照)。
【0043】
なお、図7において、「Y」、「K」は、それぞれイエロー、黒に対応している。また、以下の説明においては、転写ドラム21の回転中に転写ドラム21が1回転するのに要する期間を、転写ドラム回転周期Tと呼ぶことにする。なお、図7においては、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bの弾性層先端21Baが、転写位置Trに到達してから次に転写位置Trに到達するまでの間を、転写ドラム回転周期Tとして表示している。また、このことについては、後述する図8〜図12においても同じである。
【0044】
下地画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11および転写ドラム21をそれぞれ回転させる。このとき、感光体ドラム11および転写ドラム21は、互いに接触した状態で、転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0045】
次に、制御部100は、ロータリ現像装置14を回転させ、現像位置にイエローの現像器14Yを配置させる。また、制御部100は、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を開始させるとともに、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、画像データ格納部105に格納される下地用画像データDa(図4(a)参照)を読み出し、この下地用画像データDaに基づいて作成したイエロー(Y)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0046】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には、下地用画像データDaに基づくイエロー用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像がイエローの現像器14Yによって現像され、感光体ドラム11上には、下地用画像データDaに基づくイエローのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0047】
このとき、制御部100は、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Ba(図2参照)が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のイエローのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。これにより、転写位置Trでは、感光体ドラム11から、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bに対するイエローのトナー像の転写が開始される。
【0048】
また、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達した後、この弾性層先端21Baが次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を終了させ、露光装置13に対する露光信号の供給を終了させ、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bに対するイエローのトナー像の転写が終了する。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21に転写されなかったイエローのトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0049】
ここで、感光体ドラム11から転写ドラム21にイエローのトナーを転写する期間の長さは、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bb(図2参照)が通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21では、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、一様濃度(この例では濃度25%)のイエローのトナー像が転写されることになる。
なお、以下の説明では、下地画像形成動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21に転写されたイエローのトナー像を、『下地用画像』と称する。
【0050】
次に、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baが次に転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから逆転写バイアスの供給に切り替えさせる。このとき、感光体ドラム11には、トナー像の形成が行われておらず、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bから、感光体ドラム11に対する下地用画像(イエローのトナー像)の逆転写(1回目:逆転写バイアス)が開始される。また、このとき、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された下地用画像を構成するイエローのトナーのうち、通常の帯電極性(この例では負極性)の状態を維持しているトナーが、感光体ドラム11側に転移する。そして、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baがその次に転写位置に到達する前に、制御部100が、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、逆転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11への下地用画像の逆転写(1回目:逆転写バイアス)が終了する。なお、1回目の逆転写動作において、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11に逆転写されたトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0051】
ここで、転写ドラム21から感光体ドラム11にイエローのトナーを逆転写する期間の長さは、転写時と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bbが通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21からは、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、トナーが逆転写される。
【0052】
次に、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baがその次に転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。このとき、感光体ドラム11には、トナー像の形成が行われておらず、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bから、感光体ドラム11に対する下地用画像の逆転写(2回目:正転写バイアス)が開始される。また、このとき、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された下地用画像を構成するトナーのうち、通常の帯電極性とは逆極性(この例では正極性)の状態に変化していることにより、1回目の逆転写動作では逆転写されなかったトナーが、感光体ドラム11側に転移する。そして、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baがさらにその次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、転写ドラム21に要求する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11への下地用画像の逆転写(2回目:正転写バイアス)が終了する。なお、2回目の逆転写動作において、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11に逆転写されたトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0053】
ここで、転写ドラム21から感光体ドラム11にイエローのトナーを逆転写する期間の長さは、転写時および1回目の逆転写時と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bbが通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21からは、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、トナーが逆転写される。
以上により、下地画像形成動作が完了する。
【0054】
このように、下地画像形成動作では、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bの周方向の全域にわたって、イエローのトナーからなる下地用画像を、正転写バイアスを印加することによって転写した後、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された下地用画像を構成するイエローのトナーを、逆転写バイアスおよび正転写バイアスを順次印加することによって除去している。
ただし、本実施の形態では、弾性層21Bが発泡体で構成されているために、転写された下地用画像のうち、発泡体の孔の内部等に入り込んだ一部のトナーが、逆転写を行っても感光体ドラム11側に転移せず、弾性層21B側に、下地用画像に対応する一様な濃度分布にてうっすらと残る。以下の説明においては、下地画像形成動作後に転写ドラム21の弾性層21Bに残存するイエローのトナーによる画像を、『下地画像』と称する。
【0055】
なお、下地画像形成動作では、転写ドラム21に対する用紙Sの供給および用紙Sに対するトナー像の転写を行わない。したがって、下地画像形成動作では、供給ロール53の駆動はOFFの状態に維持され、また、先端グリッパ22および後端グリッパ23が開状態に維持され、後端グリッパ23の駆動がOFFの状態に維持される。
【0056】
[出力画像形成動作1:多色モード(フルカラー画像)]
図8は、図6に示すステップ14で実行される『出力画像形成動作』のうち、多色モードにおいてフルカラー画像を形成する際の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、図8(a)〜(n)に示す各構成要素は、図7(a)〜(n)に示したものにそれぞれ対応している。また、ここでは、この画像形成装置1で画像形成を行うことが可能な最大サイズの用紙Sを使用する場合を例として説明を行う。
【0057】
ここで、フルカラー画像の出力画像形成動作が開始される前の初期状態は、図7に示す下地画像形成動作の終了時の状態となっている。これは、本実施の形態では、ステップ14でフルカラー画像の出力画像形成動作を実行する場合は、その前に、必ずステップ13の下地画像形成動作を実行することによるものである(図6参照)。より具体的に説明すると、本動作の初期状態では、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動は既にONとなっている。また、本動作の初期状態では、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給、露光装置13に対する露光信号の供給、および転写ドラム21に対する転写バイアスの供給はOFFになっている。さらに、本動作の初期状態では、先端グリッパ22および後端グリッパ23が、ともに開状態に設定されている。さらにまた、本動作の初期状態では、上述した下地画像形成動作が実行されることに伴い、イエローの現像器14Yが現像位置に配置された状態で停止している。そして、本動作の初期状態では、後端グリッパ23が待機位置に配置された状態で停止している。
【0058】
なお、図8において、「Y」、「M」、「C」、「K」は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒に対応している。また、図8において、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」は、同一の用紙Sが、転写ドラム21の外周面における給紙位置Pおよび転写位置Trを通過する回数を示している。したがって、例えば図8(m)に示す「転写位置通過用紙」における「S(2nd)」は、一度転写位置Trを通過した用紙Sが、再び(2度目に)転写位置Trを通過していることを意味するものとなっている。
【0059】
フルカラー画像の出力画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を開始させるとともに、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、画像形成装置1の外部から送られてくる出力画像データに基づいて作成したイエロー(Y)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0060】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には出力画像データに基づくイエロー用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像がイエローの現像器14Yによって現像され、感光体ドラム11上には、出力画像データに基づくイエローのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成されたイエローのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0061】
一方、フルカラー画像の出力画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。より具体的に説明すると、制御部100は、用紙収容部51に収容された用紙Sを、取り出しロール52によって取り出すことで給紙経路61内に進入させる。このとき、制御部100は、供給ロール53の駆動をOFFのままとしており、給紙経路61内に進入してきた用紙Sの用紙先端は、供給ニップ部Nの入口側に突き当たった状態で停止し、この用紙Sの斜行補正がなされる。そして、制御部100は、回転する転写ドラム21に取り付けられた先端グリッパ22が給紙位置Pに到達する際に、この用紙Sの用紙先端が給紙位置Pに到達するように、供給ロール53の駆動をOFFからONに切り替えることで、供給ロール53を回転させる。これに伴い、用紙Sの供給が再開され、用紙Sは供給ニップ部Nを通過しつつ、給紙経路61を介して給紙位置Pに到達する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が給紙位置Pに到達するのに合わせて、先端グリッパ22を開状態から閉状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端は、転写ドラム21に機械的に把持される。このとき、用紙Sの用紙先端側は、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で回転経路63に沿って搬送され、この用紙Sの用紙後端側は、供給ロール53により供給ニップ部Nにてニップされた状態で、給紙経路61に沿って搬送されることになる。
【0062】
次に、先端グリッパ22によって転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端は、給紙位置Pを通過し且つ待機位置にて停止状態を維持する後端グリッパ23をくぐり抜けた後、転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のイエローのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写(1色目)が開始される。
【0063】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達した後、この用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過し、さらに給紙位置Pも通過する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後に、供給ロール53の駆動をONからOFFに切り替えることで、供給ロール53の回転を停止させる。そして、制御部100は、この用紙Sの用紙後端が、待機位置で停止している後端グリッパ23との対向部に到達するのに合わせて、後端グリッパ23を開状態から閉状態へと移行させ、且つ、後端グリッパ23を、転写ドラム21と同じ方向に同じ速度で回転させる。これにより、用紙Sの用紙後端は、転写ドラム21に機械的に把持される。これに伴い、この用紙Sは、その用紙先端が先端グリッパ22によって、また、その用紙後端が後端グリッパ23によって、それぞれ把持されることになる。その結果、用紙Sの全体が、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で、回転経路63に沿って搬送されることになる。
【0064】
さらに、この例では、用紙Sの用紙後端が給紙位置Pに到達した後、この用紙Sに対応するイエロー用の静電潜像の形成(露光)およびイエローのトナー像の現像が終了する。このため、制御部100は、露光装置13に対するイエロー用の露光信号の供給を終了させる。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(イエローの現像器14Yからマゼンタの現像器14Mへの切り替え)を行う。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21側に転写されなかったイエローのトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0065】
ここで、転写ドラム21に正転写バイアスが供給されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたイエローの画像(図8(n)に示すY)が通過することになり、また、用紙Sが1回目の通過を行う(図8(m)に示すS(1st))ことになる。したがって、転写位置Trを通過した用紙Sには、イエローのトナー像が転写された状態となる。
【0066】
また、制御部100は、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を引き続き実行させるとともに、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、上述した出力画像データに基づいて作成したマゼンタ(M)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0067】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には出力画像データに基づくマゼンタ用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像がマゼンタの現像器14Mによって現像され、感光体ドラム11上には、出力画像データに基づくマゼンタのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成されたマゼンタのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0068】
一方、転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(2回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のマゼンタのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写(2色目)が開始される。
【0069】
また、この例では、用紙Sの用紙後端が給紙位置Pに到達した後、この用紙Sに対応するマゼンタ用の静電潜像の形成(露光)およびマゼンタのトナー像の現像が終了する。これに伴い、制御部100は、露光装置13に対するマゼンタ用の露光信号の供給を終了させる。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(マゼンタの現像器14Mからシアンの現像器14Cへの切り替え)を行う。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21側に転写されなかったマゼンタのトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0070】
ここで、転写ドラム21に正転写バイアスが供給されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたマゼンタの画像(図8(n)に示すM)が通過することになり、また、用紙Sが2回目の通過を行う(図8(m)に示すS(2nd))ことになる。したがって、転写位置Trを通過した用紙Sには、既に転写されているイエローのトナー像に加え、マゼンタのトナー像が転写された状態となる。
【0071】
また、制御部100は、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を引き続き実行させるとともに、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、上述した出力画像データに基づいて作成したシアン(C)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0072】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には出力画像データに基づくシアン用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像がシアンの現像器14Cによって現像され、感光体ドラム11上には、出力画像データに基づくシアンのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成されたシアンのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0073】
一方、転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(3回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のシアンのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写(3色目)が開始される。
【0074】
また、この例では、用紙Sの用紙後端が給紙位置Pに到達した後、この用紙Sに対応するシアン用の静電潜像の形成(露光)およびトナー像の現像が終了する。これに伴い、制御部100は、露光装置13に対するシアン用の露光信号の供給を終了させる。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(シアンの現像器14Cから黒の現像器14Kへの切り替え)を行う。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21側に転写されなかったシアンのトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0075】
ここで、転写ドラム21に正転写バイアスが供給されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたシアンの画像(図8(n)に示すC)が通過することになり、また、用紙Sが3回目の通過を行う(図8(m)に示すS(3rd))ことになる。したがって、転写位置Trを通過した用紙Sには、既に転写されているイエローおよびマゼンタのトナー像に加え、シアンのトナー像が転写された状態となる。
【0076】
また、制御部100は、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を引き続き実行させるとともに、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、上述した出力画像データに基づいて作成した黒(K)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0077】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には出力画像データに基づく黒用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像が黒の現像器14Kによって現像され、感光体ドラム11上には、出力画像データに基づく黒の静電潜像に対応した黒のトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0078】
一方、転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(4回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対する黒のトナー像の転写(4色目)が開始される。
【0079】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、制御部100が、先端グリッパ22を閉状態から開状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端の把持が解除されることとなり、転写位置Trを通過した用紙Sは回転経路63から離れ、排紙経路64に沿って定着部40に向けて移動していく。この用紙Sが定着部40の定着ニップ部を通過していくことにより、用紙Sに重ね転写されたフルカラートナー像は、用紙Sに定着される。
【0080】
そして、この例では、用紙Sの用紙後端が給紙位置Pに到達した後、この用紙Sに対応する黒用の静電潜像の形成(露光)およびトナー像の現像が終了する。これに伴い、制御部100は、露光装置13に対する黒用の露光信号の供給を終了させる。また、これに続いて、用紙Sの用紙後端が待機位置に到達するのに合わせて、制御部100は、後端グリッパ23を閉状態から開状態へと移行させ、且つ、後端グリッパ23の回転を停止させる。これにより、用紙Sの用紙後端の把持が解除され、後端グリッパ23は再び待機位置で停止することになる。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対する黒のトナー像の転写を終了する。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21側に転写されなかった黒のトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
その後、用紙Sは、定着部40を通過し、排紙経路64を介して排紙積載部3に積載され、1枚の用紙Sに対する出力画像形成動作が完了する。なお、出力画像形成動作の終了後、画像形成装置1を構成する各部は、それぞれ、上述した下地画像形成動作における初期状態に再設定された状態で停止する。
【0081】
ここで、転写ドラム21に正転写バイアスが供給されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成された黒の画像(図8(n)に示すK)が通過することになり、また、用紙Sが4回目の通過を行う(図8(m)に示すS(4th))ことになる。したがって、転写位置Trを通過した用紙Sには、既に転写されているイエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像に加え、黒のトナー像が転写された状態となる。
【0082】
[出力画像形成動作2:単色モード(モノクロ画像)]
図9は、図6に示すステップ14で実行される『出力画像形成動作』のうち、単色モードにおいてモノクロ画像(Kの単色画像)を形成する際の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、図9(a)〜(n)に示す各構成要素は、図8(a)〜(n)に示したものにそれぞれ対応している。また、ここでは、この画像形成装置1で画像形成を行うことが可能な最大サイズの用紙Sを使用する場合を例として説明を行う。
【0083】
ここで、モノクロ画像の出力画像形成動作が開始される前の初期状態は、図7に示す下地画像形成動作の開始前の状態となっている。これは、本実施の形態では、ステップ14でモノクロ画像(Kの単色画像)の出力画像形成動作を実行する場合は、その前に、ステップ13の下地画像形成動作を実行しないことによるものである(図6参照)。
【0084】
モノクロ画像の出力画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11および転写ドラム21をそれぞれ回転させる。このとき、感光体ドラム11および転写ドラム21は、互いに接触した状態で、転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0085】
また、モノクロ画像を形成する場合、制御部100は、現像位置に黒の現像器14Kが停止しているロータリ現像装置14を回転させることなく、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を開始させるとともに、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、画像形成装置1の外部から送られてくる出力画像データに基づいて作成した黒(K)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0086】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には出力画像データに基づく黒用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像が黒の現像器14Kによって現像され、感光体ドラム11上には、出力画像データに基づく黒のトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0087】
一方、モノクロ画像の出力画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。より具体的に説明すると、制御部100は、用紙収容部51に収容された用紙Sを、取り出しロール52によって取り出すことで給紙経路61内に進入させる。このとき、制御部100は、供給ロール53の駆動をOFFのままとしており、給紙経路61内に進入してきた用紙Sの用紙先端は、供給ニップ部Nの入口側に突き当たった状態で停止し、この用紙Sの斜行補正がなされる。そして、制御部100は、回転する転写ドラム21に取り付けられた先端グリッパ22が給紙位置Pに到達する際に、この用紙Sの用紙先端が給紙位置Pに到達するように、供給ロール53の駆動をOFFからONに切り替えることで、供給ロール53を回転させる。これに伴い、用紙Sの供給が再開され、用紙Sは供給ニップ部Nを通過しつつ、給紙経路61を介して給紙位置Pに到達する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が給紙位置Pに到達するのに合わせて、先端グリッパ22を開状態から閉状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端は、転写ドラム21に機械的に把持される。このとき、用紙Sの用紙先端側は、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で回転経路63に沿って搬送され、この用紙Sの用紙後端側は、供給ロール53による供給ニップ部Nにてニップされた状態で、給紙経路61に沿って搬送されることになる。
【0088】
次に、先端グリッパ22によって転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端は、給紙位置Pを通過し且つ待機位置にて停止状態を維持する後端グリッパ23をくぐり抜けた後、転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対する黒のトナー像の転写(1色目)が開始される。
【0089】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、制御部100が、先端グリッパ22を閉状態から開状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端の把持が解除されることとなり、転写位置Trを通過した用紙Sは回転経路63から離れ、排紙経路64に沿って定着部40に向けて移動していく。この用紙Sが定着部40の定着ニップ部を通過していくことにより、用紙Sに転写された黒のトナー像は、用紙Sに定着される。
【0090】
さらに、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達した後、この用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過し、さらに給紙位置Pも通過する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後に、供給ロール53の駆動をONからOFFに切り替えることで、供給ロール53の回転を停止させる。その後、用紙Sの後端は、待機位置で停止している後端グリッパ23との対向部を通過するが、単色モードの場合、制御部100は、後端グリッパ23を開状態のままに維持させる。
【0091】
さらにまた、この例では、用紙Sの用紙後端が給紙位置Pに到達した後、この用紙Sに対応する黒用の静電潜像の形成(露光)および黒のトナー像の現像が終了する。このため、制御部100は、露光装置13に対する黒用の露光信号の供給を終了させる。また、これに続いて、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対する黒のトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対する黒のトナー像の転写が終了しても、制御部100は、現像位置に黒の現像器14Kを停止させたままとする。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21側に転写されなかった黒のトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
その後、用紙Sは、定着部40を通過し、排紙経路64を介して排紙積載部3に積載される。
【0092】
ここで、転写ドラム21に正転写バイアスが供給されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成された黒の画像(図9(n)に示すK)が通過することになり、また、用紙Sが1回目の通過を行う(図9(m)に示すS(1st))ことになる。したがって、転写位置Trを通過した用紙Sには、黒のトナー像のみが転写された状態となる。
【0093】
このように、モノクロ画像の出力画像形成動作では、フルカラー画像の出力画像形成動作とは異なり、ロータリ現像装置14の回転による現像器の交換、後端グリッパ23による用紙Sの把持および後端グリッパ23の回転駆動を行わない。
【0094】
[誤転写画像除去動作]
図10は、図6に示すステップ16で実行される『誤転写画像除去動作』の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、図10(a)〜(n)に示す各構成要素は、図9(a)〜(n)に示したものにそれぞれ対応している。
【0095】
ここで、誤転写画像除去動作が開始される前の初期状態は、出力画像形成動作が中止されることに伴って画像形成装置1の状態が一旦リセットされることで、図7に示す下地画像形成動作の開始前と同じ状態となっている。ただし、本動作の初期状態において、転写ドラム21の弾性層21Bには、用紙Sのジャム発生に伴って、本来用紙Sに転写されるべき画像(出力用画像)が、誤転写画像として存在しているものとする。
なお、このような誤転写画像は、例えば出力画像形成動作の実行中に、給紙経路61内での搬送において用紙Sのジャムが発生した場合、給紙経路61から回転経路63への受け渡しにおいて用紙Sのジャムが発生した場合、あるいは、回転経路63内での搬送において用紙Sのジャムが発生した場合、に生じやすい。
【0096】
誤転写画像除去動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11および転写ドラム21をそれぞれ回転させる。このとき、感光体ドラム11および転写ドラム21は、互いに接触した状態で、転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0097】
また、誤転写画像除去動作を実行する場合、制御部100は、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給および露光装置13に対する露光信号の供給を行わせない。したがって、誤転写画像除去動作を実行する際、感光体ドラム11上へのトナー像の形成は行われない。
【0098】
次に、制御部100は、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Ba(図2参照)が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから逆転写バイアスに切り替えさせる。このとき、感光体ドラム11には、トナー像の形成が行われておらず、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bから、感光体ドラム11に対する誤転写画像(1色以上のトナー像)の逆転写(1回目:逆転写バイアス)が開始される。また、このとき、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された誤転写画像を構成するトナーのうち、通常の帯電極性(この例では負極性)の状態を維持しているトナーが、感光体ドラム11側に転移する。そして、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baがその次に転写位置に到達する前に、制御部100が、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、逆転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11への誤転写画像の逆転写(1回目:逆転写バイアス)が終了する。なお、1回目の逆転写動作において、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11に逆転写されたトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0099】
ここで、転写ドラム21から感光体ドラム11に誤転写画像のトナーを逆転写する期間の長さは、上述した下地画像形成動作と同じであり、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bbが通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21からは、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、トナーが逆転写される。
【0100】
次に、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baがその次に転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。このとき、感光体ドラム11には、トナー像の形成が行われておらず、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bから、感光体ドラム11に対する誤転写画像の逆転写(2回目:正転写バイアス)が開始される。また、このとき、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された誤転写画像を構成するトナーのうち、通常の帯電極性とは逆極性(この例では正極性)の状態に変化していることにより、1回目の逆転写動作では逆転写されなかったトナーが、感光体ドラム11側に転移する。そして、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baがさらにその次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11への誤転写画像の逆転写(2回目:正転写バイアス)が終了する。なお、2回目の逆転写動作において、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11に逆転写されたトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0101】
ここで、転写ドラム21から感光体ドラム11に誤転写画像のトナーを逆転写する期間の長さは、1回目の逆転写時と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bbが通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21からは、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、トナーが逆転写される。
【0102】
その後、制御部100は、上述した1回目の逆転写動作と同じ手順にて逆転写(3回目:逆転写バイアス)を実行させ、さらに上述した2回目の逆転写動作と同じ手順にて逆転写(4回目:正転写バイアス)を実行させる。
以上により、誤転写画像除去動作が完了する。
【0103】
このように、誤転写画像除去動作では、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bの周方向の全域にわたって、ジャム発生に伴って誤転写された誤転写画像を構成するトナーを、逆転写バイアスおよび正転写バイアスを順次且つ複数回交互に印加することによって除去している。
ただし、本実施の形態では、弾性層21Bが発泡体で構成されているために、転写された誤転写画像のうち、発泡体の孔の内部等に入り込んだ一部のトナーが、逆転写を行っても感光体ドラム11側に転移せず、弾性層21B側に、誤転写画像に対応する濃度分布にてうっすらと残る。以下の説明においては、誤転写画像除去動作後に転写ドラム21の弾性層21Bに残存するトナーによる画像を、『残留画像』と称する。
【0104】
なお、誤転写画像除去動作では、転写ドラム21に対する用紙Sの供給および用紙Sに対するトナー像の転写を行わない。したがって、誤転写画像除去動作では、供給ロール53の駆動はOFFの状態に維持され、また、先端グリッパ22および後端グリッパ23が開状態に維持され、後端グリッパ23の駆動がOFFの状態に維持される。
【0105】
[上書画像形成動作]
図11および図12は、図6に示すステップ18で実行される『上書画像形成動作』の一例を説明するためのタイミングチャートである。ここで、図11に示すタイミングチャートにおける右側端部と、図12に示すタイミングチャートにおける左側端部とは、時間的に連続しているものとする。なお、図11(a)〜(n)および図12(a)〜(n)に示す各構成要素は、図10(a)〜(n)に示したものにそれぞれ対応している。
【0106】
ここで、上書画像の出力画像形成動作が開始される前の初期状態は、図10に示す誤転写画像除去動作の終了時の状態となっている。これは、本実施の形態では、ステップ18で上書画像形成動作を実行する場合は、その前に、必ずステップ16の誤転写画像除去動作を実行することに起因するものである(図6参照)。より具体的に説明すると、本動作の初期状態では、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動が既にONとなっている。これに対し、本動作の初期状態では、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給、露光装置13に対する露光信号の供給、および転写ドラム21に対する転写バイアスの供給はOFFになっている。さらに、本動作の初期状態では、先端グリッパ22および後端グリッパ23が、ともに開状態に設定されている。さらにまた、本動作の初期状態では、上述した誤転写画像除去動作が実行されることに伴い、黒の現像器14Kが現像位置に配置された状態で停止している。そして、本動作の初期状態では、後端グリッパ23が待機位置に配置された状態で停止している。
【0107】
上書画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、ロータリ現像装置14を回転させ、現像位置にイエローの現像器14Yを配置させる。また、制御部100は、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を開始させるとともに、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、画像データ格納部105に格納されるイエローの上書用画像データDb(図5(a)におけるYを参照:以下では、上書用画像データDb(Y)と称する)を読み出し、上書用画像データDb(Y)に基づいて作成したイエロー(Y)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0108】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には、上書用画像データDb(Y)に基づくイエロー用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像がイエローの現像器14Yによって現像され、感光体ドラム11上には、上書用画像データDb(Y)に基づくイエローのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0109】
このとき、制御部100は、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Ba(図2参照)が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のイエローのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。これにより、転写位置Trでは、感光体ドラム11から、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bに対するイエローのトナー像の転写が開始される。
【0110】
また、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達した後、この弾性層先端21Baが次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、露光装置13に対するイエロー用の露光信号の供給を終了させ、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bに対するイエローのトナー像の転写が終了する。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21に転写されなかったイエローのトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0111】
ここで、感光体ドラム11から転写ドラム21にイエローのトナーを転写する期間の長さは、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bb(図2参照)が通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21では、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、図5(a)のYに示す紋様にて、イエローのトナー像が転写されることになる。
【0112】
また、この例では、転写ドラム21に対するイエローのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(イエローの現像器14Yからマゼンタの現像器14Mへの切り替え)を行う。さらに、制御部100は、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、画像データ格納部105に格納されるマゼンタの上書用画像データDb(図5(a)におけるMを参照:以下では上書用画像データDb(M)と称する)を読み出し、上書用画像データDb(M)に基づいて作成したマゼンタ(M)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0113】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には、上書用画像データDb(M)に基づくマゼンタ用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像がマゼンタの現像器14Mによって現像され、感光体ドラム11上には、上書用画像データDb(M)に基づくマゼンタのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11に形成されたマゼンタのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0114】
このとき、制御部100は、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Ba(図2参照)が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のマゼンタのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。これにより、転写位置Trでは、感光体ドラム11から、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bに対するマゼンタのトナー像の転写が開始される。
【0115】
また、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達した後、この弾性層先端21Baが次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、露光装置13に対するマゼンタ用の露光信号の供給を終了させ、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bに対するマゼンタのトナー像の転写が終了する。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21に転写されなかったマゼンタのトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0116】
ここで、感光体ドラム11から転写ドラム21にマゼンタのトナーを転写する期間の長さは、上述したイエローの場合と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bb(図2参照)が通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21では、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、既に転写済のイエローのトナー像に加えて、図5(a)のMに示す紋様にて、マゼンタのトナー像が転写されることになる。このとき、マゼンタのトナー像は、弾性層21Bのうち、イエローのトナー像が転写されていない領域に転写されることになる(図5(a)、(b)参照)。
【0117】
また、この例では、転写ドラム21に対するマゼンタのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(マゼンタの現像器14Mからシアンの現像器14Cへの切り替え)を行う。さらに、制御部100は、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、画像データ格納部105に格納されるシアンの上書用画像データDb(図5(a)におけるCを参照:以下では上書用画像データDb(C)と称する)を読み出し、上書用画像データDb(C)に基づいて作成したシアン(C)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0118】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には、上書用画像データDb(C)に基づくシアン用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像がシアンの現像器14Cによって現像され、感光体ドラム11上には、上書用画像データDb(C)に基づくシアンのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11に形成されたシアンのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0119】
このとき、制御部100は、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Ba(図2参照)が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のシアンのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。これにより、転写位置Trでは、感光体ドラム11から、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bに対するシアンのトナー像の転写が開始される。
【0120】
また、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達した後、この弾性層先端21Baが次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、露光装置13に対するシアン用の露光信号の供給を終了させ、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bに対するシアンのトナー像の転写が終了する。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21に転写されなかったシアンのトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0121】
ここで、感光体ドラム11から転写ドラム21にシアンのトナーを転写する期間の長さは、上述したイエローおよびマゼンタの場合と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bb(図2参照)が通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21では、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、既に転写済のイエローおよびマゼンタのトナー像に加えて、図5(a)のCに示す紋様にて、シアンのトナー像が転写されることになる。このとき、シアンのトナー像は、弾性層21Bのうち、イエローおよびマゼンタのトナー像が転写されていない領域に転写されることになる(図5(a)〜(c)参照)。
【0122】
また、この例では、転写ドラム21に対するシアンのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(シアンの現像器14Cから黒の現像器14Kへの切り替え)を行う。さらに、制御部100は、露光装置13に対する露光信号の供給を開始させる。このとき、制御部100は、画像データ格納部105に格納される黒の上書用画像データDb(図5(a)におけるKを参照:以下では上書用画像データDb(K)と称する)を読み出し、上書用画像データDb(K)に基づいて作成した黒(K)用の露光信号を、露光装置13に供給する。
【0123】
これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には、上書用画像データDb(K)に基づく黒用の静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像が黒の現像器14Kによって現像され、感光体ドラム11上には、上書用画像データDb(K)に基づく黒のトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11に形成された黒のトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0124】
このとき、制御部100は、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Ba(図2参照)が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。これにより、転写位置Trでは、感光体ドラム11から、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bに対する黒のトナー像の転写が開始される。
【0125】
また、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baが転写位置Trに到達した後、この弾性層先端21Baが次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、露光装置13に対する黒用の露光信号の供給を終了させ、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bに対する黒のトナー像の転写が終了する。なお、この転写動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21に転写されなかった黒のトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0126】
ここで、感光体ドラム11から転写ドラム21に黒のトナーを転写する期間の長さは、上述したイエロー、マゼンタおよびシアンの場合と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bb(図2参照)が通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21では、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、既に転写済のイエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像に加えて、図5(a)のKに示す紋様にて、黒のトナー像が転写されることになる。このとき、黒のトナー像は、弾性層21Bのうち、イエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像が転写されていない領域に転写されることになる(図5(a)〜(d)参照)。その結果、転写位置Trを通過した転写ドラム21の弾性層21Bの表面には、図5(a)に示す各紋様にて形成されたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナー像によって、YMCKの各色の正方形状の塗りつぶし領域をマトリックス状に配置してなるモザイクパターンが形成されることになる。
【0127】
また、この例では、転写ドラム21に対する黒のトナー像の転写が終了した後に、制御部100が、帯電装置12に対する帯電バイアスの供給を終了させる。ただし、このとき、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の両者の回転を続行させる。また、この例では、用紙Sに対する黒のトナー像の転写が終了しても、制御部100は、現像位置に黒の現像器14Kを停止させたままとする。
なお、以下の説明では、上書画像形成動作において、感光体ドラム11から転写ドラム21に転写された、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナー像(モザイクパターン)を、まとめて『上書用画像』と称する。
【0128】
続いて、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baが次に転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから逆転写バイアスに切り替えさせる。このとき、感光体ドラム11には、トナー像の形成が行われておらず、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bから、感光体ドラム11に対する上書用画像(イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナー像)の逆転写(1回目:逆転写バイアス)が開始される。また、このとき、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された上書用画像を構成するイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナーのうち、通常の帯電極性(この例では負極性)の状態を維持しているトナーが、感光体ドラム11側に転移する。そして、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baがその次に転写位置に到達する前に、制御部100が、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、逆転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11への上書用画像の逆転写(1回目:逆転写バイアス)が終了する。なお、1回目の逆転写動作において、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11に逆転写されたトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0129】
ここで、転写ドラム21から感光体ドラム11にイエローのトナーを逆転写する期間の長さは、上述した下地画像形成動作と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bbが通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21からは、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、トナーが逆転写される。
【0130】
次に、制御部100は、転写ドラム21の弾性層先端21Baがその次に転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、OFFから正転写バイアスに切り替えさせる。このとき、感光体ドラム11には、トナー像の形成が行われておらず、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bから、感光体ドラム11に対する上書用画像の逆転写(2回目:正転写バイアス)が開始される。また、このとき、転写位置Trでは、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された上書用画像を構成するトナーのうち、通常の帯電極性とは逆極性(この例では正極性)の状態に変化していることにより、1回目の逆転写動作では逆転写されなかったトナーが、感光体ドラム11側に転移する。そして、この例では、転写ドラム21の弾性層先端21Baがさらにその次に転写位置Trに到達する前に、制御部100が、転写ドラム21に供給する転写バイアスを、正転写バイアスからOFFに切り替えさせる。これにより、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11への上書用画像の逆転写(2回目:正転写バイアス)が終了する。なお、2回目の逆転写動作において、転写ドラム21の弾性層21Bから感光体ドラム11に逆転写されたトナーは、感光体ドラム11の回転に伴って、感光体ドラム11に設けられた清掃装置15によって取り除かれる。
【0131】
ここで、転写ドラム21から感光体ドラム11にイエローのトナーを逆転写する期間の長さは、1回目の逆転写時と同じく、転写位置Trを、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baが通過してから弾性層後端21Bbが通過するまでの期間に対応している。したがって、転写ドラム21からは、弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbにわたって、トナーが逆転写される。
【0132】
その後、制御部100は、上述した1回目の逆転写動作と同じ手順にて逆転写(3回目:逆転写バイアス)を実行させ、さらに上述した2回目の逆転写動作と同じ手順にて逆転写(4回目:正転写バイアス)を実行させる。
以上により、上書画像形成動作が完了する。
【0133】
このように、上書画像形成動作では、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bの周方向の全域にわたって、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナーからなる上書用画像を、それぞれ正転写バイアスを印加することによって順次転写した後、転写ドラム21の弾性層21Bに転写された上書用画像を構成する各色のトナーを、逆転写バイアスおよび正転写バイアスを順次且つ複数回交互に印加することによって除去している。
ただし、本実施の形態では、弾性層21Bが発泡体で構成されているために、転写された上書用画像のうち、発泡体の孔の内部等に入り込んだ一部のトナーが、逆転写を行っても感光体ドラム11側に転移せず、弾性層21B側に、上書用画像に対応する濃度分布(この例ではモザイクパターン)にてうっすらと残る。以下の説明においては、上書画像形成動作後に転写ドラム21の弾性層21Bに残存するイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナーによる画像を、『上書画像』と称する。
【0134】
なお、上書画像形成動作では、上述した下地画像形成動作と同様に、転写ドラム21に対する用紙Sの供給および用紙Sに対するトナー像の転写を行わない。したがって、上書画像形成動作では、供給ロール53の駆動はOFFの状態に維持され、また、先端グリッパ22および後端グリッパ23が開状態に維持され、後端グリッパ23の駆動がOFFの状態に維持される。
【0135】
ここで、本実施の形態では、下地画像形成動作において下地用画像を構成するイエローのトナー像を転写ドラム21の弾性層21Bに転写する期間、および、上書画像形成動作において上書用画像を構成するイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色トナー像を転写ドラム21の弾性層21Bにそれぞれ転写する期間、の両者が、出力画像形成動作において出力用画像を構成する各色トナー像を転写ドラム21上の用紙Sにそれぞれ転写する期間よりも長くなっている。この理由は、下地画像および上書画像については、転写ドラム21における弾性層21Bの弾性層先端21Baから弾性層後端21Bbに至る弾性層周長Leの全域に形成する必要があるのに対し、出力用画像は、用紙Sの用紙先端から用紙後端に至る用紙長Lsの全域(Le>Ls)に形成すれば足りるためである(図2参照)。
【0136】
ではここで、出力画像形成動作におけるジャムの発生に伴って誤転写画像除去動作を実行した後に、上書画像形成動作を実行する理由について説明する。
本実施の形態では、転写ドラム21の弾性層21Bが発泡体で構成されているために、誤転写画像除去動作を実行した後の弾性層には、誤転写画像除去動作では除去しきれなかったトナーが、残留画像として残る。この残留画像は、うっすらと存在する程度のものであり、次の出力画像形成動作において用紙Sの裏面に裏写りを起こさせるものではないが、転写ドラム21(弾性層21B)を外から眺めたときに、目視でその内容を確認できる程度になることがある。このため、何らかの理由により、第三者が転写ドラム21を眺めた場合に、残留画像を介して出力用画像の内容が外部に漏洩してしまう懸念が生じる。
【0137】
そこで、本実施の形態では、誤転写画像除去動作を実行した後に上書画像形成動作を実行することで、弾性層21Bに残留する残留画像に、さらに上書画像を被せるようにし、上書画像によって残留画像をカムフラージュさせるようにした。これにより、上書画像形成動作が実行された後の転写ドラム21(弾性層21B)を外から眺めたときに、残留画像の内容を判別し難くすることができる。
【0138】
特に、この例では、残留画像の背景となる弾性層21Bとして黒色を呈するものを用いているために、残留画像のうち、イエロー、マゼンタおよびシアンのトナー(カラートナー)によるものが目立ちやすくなってしまう。
これに対し、この例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のパッチを含むモザイクパターンで上書画像を構成しているため、上書画像を介した残留画像の内容の判別は、より困難なものとなる。
【0139】
一方、出力用画像がモノクロ画像(黒の単色画像)である場合は、出力画像形成動作でのジャムの発生に伴って誤転写画像除去動作を実行した後、上書画像形成動作を実行していないが、これは次の理由による。
出力用画像がモノクロ画像である場合、弾性層21Bに誤転写される誤転写画像は、当然、モノクロ画像となる。本実施の形態では、残留画像の背景となる弾性層21Bとして黒色を呈するものを用いており、黒のトナーで形成された残留画像は、背景となる弾性層21Bに埋没して目立たなくなるため、転写ドラム21(弾性層21B)を外から眺めた場合に、弾性層21Bと残留画像との判別がし難い。
そこで、本実施の形態では、トナーの消費量を低減する観点から、出力用画像がモノクロ画像の場合には、誤転写画像除去動作の実行後の上書画像形成動作の実行を省略している。ただし、必ずしもこれに限られるものではなく、出力用画像がモノクロ画像の場合であっても、誤転写画像除去動作の実行後に上書画像形成動作を実行するようにしてもかまわない。
【0140】
また、ここでは、図5(a)に示す上書用画像データDbを用いて上書画像を形成する場合について説明を行ったが、例えば図5(b)に示す上書用画像データDbを用いて上書画像を形成した場合には、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色の文字を含み、各色において文字の並び方向が異なるテキストパターンで上書画像を構成することになり、この場合も、上書画像を介した残留画像の内容の判別は、より困難なものとなる。さらに、例えば図5(c)に示す上書用画像データDbを用いて上書画像を形成した場合には、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色の全面パターンで上書画像を構成することになり、この場合も、上書画像を介した残留画像の内容の判別は、より困難なものとなる。
【0141】
なお、この例では、図5(a)に示す各パターン画像を用いているために、形成される上書用画像(上書画像)の各マスが、それぞれ単色(YMCKのいずれか)を呈するようになっているが、これに限られるものではない。すなわち、上書用画像(上書画像)の各マスを、複数色で構成してもかまわない。
【0142】
では続いて、出力画像形成動作を実行する前に、下地画像形成動作を実行する理由について説明する。
上述した誤転写画像除去動作では、感光体ドラム11と転写ドラム21との間に逆転写バイアスおよび正転写バイアスを交互且つ順次に供給することで、弾性層21Bからの誤転写画像の除去を行っている。ここで、本発明者の実験において、例えば弾性層21Bに対し、テスト用の誤転写画像としてイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナー像を、この順番に転写した後、上述した誤転写画像除去動作を実行してみたところ、弾性層21Bに対し先に転写されるトナー(この例ではイエロー)に比べて、それよりも後に転写されるトナー(この例ではマゼンタ、シアンおよび黒のトナー)の方が、弾性層21Bからより除去されやすい(弾性層21Bに残留しにくい)ことが判明した。
【0143】
そこで、本実施の形態では、出力画像形成動作を実行する前に下地画像形成動作を実行することで、弾性層21Bに誤転写される誤転写画像を、誤転写画像除去動作においてより除去しやすくし、誤転写画像除去動作の実行後において弾性層21Bに残る残留画像の濃度をより薄くさせるようにした。これにより、誤転写画像除去動作が実行された転写ドラム21(弾性層21B)を外から眺めたときに、残留画像の内容を判別し難くすることができる。
【0144】
一般に、用紙Sとして白色を呈するものを用いることが多いために、弾性層21Bに残留する下地画像を構成するトナーが、出力画像形成動作の実行時に用紙Sの裏面に付着することに伴って、出力される用紙Sの裏面に付着したトナーにより、汚れが目立ってしまう場合がある。
これに対し、この例では、イエローのトナーにて下地画像を構成しているため、仮に用紙Sの裏面に下地画像を構成するトナーが付着したとしても、このトナーによる汚れは目立ちにくい。
【0145】
一方、出力用画像がモノクロ画像(黒の単色画像)である場合は、出力画像形成動作を実行する前に、下地画像形成動作を実行していないが、これは次の理由による。
出力用画像がモノクロ画像である場合、弾性層21Bに誤転写される誤転写画像は、当然、モノクロ画像となる。本実施の形態では、残留画像の背景となる弾性層21Bとして黒色を呈するものを用いており、黒のトナーで形成された残留画像は、背景となる弾性層21Bに埋没して目立たなくなるため、転写ドラム21(弾性層21B)を外から眺めた場合に、弾性層21Bと残留画像との判別がし難い。
そこで、本実施の形態では、トナーの消費量を低減する観点から、出力用画像がモノクロ画像の場合には、出力画像形成動作の実行前の下地画像形成動作の実行を省略している。ただし、これに限られるものではなく、出力画像形成動作の実行前に下地画像形成動作を実行するようにしてもかまわない。
【0146】
また、ここでは、図4(a)に示す下地用画像データDaを用いて下地画像を形成する場合について説明を行ったが、例えば図4(b)に示す下地用画像データDaを用いて下地画像を形成するようにしてもよいし、例えば図4(c)に示す下地用画像データDaを用いて下地画像を形成するようにしてもかまわない。
【0147】
ただし、弾性層21Bに形成される下地画像は、この弾性層21Bに形成される上書画像に比べて、わずかに高い濃度を有していることが好ましい。これは、上書画像は、誤転写画像に起因する残留画像を隠蔽する機能が要求されるのに対し、下地画像は、誤転写画像を構成するトナーを、転写ドラム(弾性層21B)から感光体ドラム11へ転移させやすくする機能が要求されるためである。
そこで、下地画像形成動作において転写ドラム21から感光体ドラム11に下地用画像を逆転写するための設定と、上書画像形成動作において転写ドラム21から感光体ドラム11に上書用画像を逆転写させるための設定とを異ならせるとよい。より具体的に説明すると、下地画像形成動作の実行後に弾性層21Bに残る下地画像の濃度が、上書画像形成動作の実行後に弾性層21Bに残る上書画像の濃度よりも高くなるようにするとよい。このためには、下地画像形成動作と上書画像形成動作とで逆転写バイアスの大きさ、逆転写バイアスの供給期間、さらには逆転写バイアスおよび正転写バイアスの繰り返し供給回数を異ならせる手法などを採用するとよい。
【0148】
また、誤転写画像除去動作において転写ドラム21から感光体ドラム11に誤転写画像を逆転写するための設定と、下地画像形成動作において転写ドラム21から感光体ドラム11に下地用画像を逆転写するための設定と、上書画像形成動作において転写ドラム21から感光体ドラム11に上書用画像を逆転写させるための設定とを異ならせるとよい。
誤転写画像による残留画像は可能な限り転写ドラム21上から取り除くことが求められるのに対し、下地画像は誤転写画像を転移させ易くするため、また、上書画像は残留画像の隠蔽のため、次の出力画像形成の際に用紙裏面に付着しない程度に転写ドラム21上に残す必要がある。そこで、誤転写画像除去動作においては、下地画像形成動作および上書画像形成動作に対し、逆転写バイアスの大きさを大きくしたり、逆転写バイアスの供給期間を長くしたり、さらには逆転写バイアスおよび正転写バイアスの繰り返し供給回数をより多くしたりするなどの手法を採用するとよい。
【0149】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、実施の形態1では、出力用画像の内容に応じて、下地画像形成動作および上書画像形成動作の実行の可否を決定していたのに対し、本実施の形態では、ユーザから受け付けた指示の内容に応じて、下地画像形成動作および上書画像形成動作の実行の可否を決定している点が異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0150】
図13は、本実施の形態における画像形成動作の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部100が、図示しないコンピュータ装置等から、用紙Sに出力用画像をプリントして出力(排出)する画像出力指示を受け付ける(ステップ21)。すると、制御部100は、累積枚数格納部104に格納される累積枚数を読み出して取得し(ステップ22)、ステップ22で取得した累積枚数が、予め設定された基準枚数を超えているか否かを判断する(ステップ23)。ステップ23で否定の判断(NO)を行った場合、制御部100は、次に、ステップ21で受け付けた画像出力指示に、隠蔽指示があったか否かを判断する(ステップ24)。ステップ24において否定の判断(NO)を行った場合、制御部100は、ステップ22で取得した累積枚数に、ステップ21で受け付けた画像出力指示に含まれる出力枚数を加える累積枚数のカウントを行い(ステップ25)、得られた新たな累積枚数を、累積枚数格納部104に格納させ、後述するステップ28に進む。
【0151】
一方、ステップ23において肯定の判断(YES)の判断を行った場合、および、ステップ24において肯定の判断(YES)を行った場合、制御部100は、転写ドラム21に対する下地画像形成動作を実行させ(ステップ26)、続いて累積枚数をリセット(0)して累積枚数格納部104に格納させる(ステップ27)。
【0152】
それから、制御部100は、上記画像出力指示とともに画像形成装置1の外部から送られてくる出力画像データに基づき、用紙Sに対する出力画像形成動作を実行させる(ステップ28)。
【0153】
出力画像形成動作を実行させる間、制御部100は、出力用画像の形成対象となる用紙Sの挙動を監視しており、この用紙Sにジャムが発生したか否かを判断する(ステップ29)。ステップ29において否定の判断(NO)を行った場合、制御部100は、次に、ステップ21で受け付けた画像出力指示に、隠蔽指示があったか否かを判断する(ステップ30)。ステップ30において否定の判断(NO)を行った場合、制御部100は、一連の画像形成動作を完了させる。
【0154】
一方、ステップ29において肯定の判断(YES)を行った場合、および、ステップ30において肯定の判断(YES)を行った場合、制御部100は、誤転写画像除去動作を実行させ(ステップ31)、さらに上書画像形成動作を実行させ(ステップ32)、一連の画像形成動作を完了させる。
【0155】
本実施の形態では、出力画像形成動作の実行に伴って出力した用紙Sの累積枚数が予め決められた累積枚数を超えたとき、および、ユーザから隠蔽指示を受け付けたときにのみ、下地画像形成動作を実行する。また、本実施の形態では、出力画像形成動作においてジャムが発生したとき、および、出力画像形成動作においてジャムが発生しない場合であってもユーザから隠蔽指示を受け付けたときにのみ、上書画像形成動作を実行する。
【0156】
これにより、ユーザが必要とする場合には出力用画像の内容を隠蔽することが可能になるとともに、出力用画像の内容を隠蔽する必要がない場合には、画像形成動作における生産性の低下を抑制でき、さらにトナーの消費量を抑制することも可能になる。
【0157】
なお、実施の形態1および2では、感光体ドラム11に形成された出力用画像(トナー像)を、転写ドラム21に保持させた用紙Sに転写する方式を採用した画像形成装置1を例として説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、感光体ドラム11に、上述した発泡体を含む弾性層を有する一方、用紙Sを保持する機能は有しない転写ロールを接触して配置し、これら感光体ドラム11と転写ロールとの間に形成される転写ニップ部に、転写ロールに用紙Sを保持させない状態で通過させることで、感光体ドラム11上の出力用画像を用紙Sに転写する方式を採用した画像形成装置にも、適用することができる。
【符号の説明】
【0158】
1…画像形成装置、2…筐体、3…排紙積載部、10…画像形成部、11…感光体ドラム、12…帯電装置、13…露光装置、14…ロータリ現像装置、15…清掃装置、20…転写部、21…転写ドラム、21A…基部、21B…弾性層、21C…露出部、22…先端グリッパ、23…後端グリッパ、40…定着部、50…用紙供給部、100…制御部、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…累積枚数格納部、105…画像データ格納部、S…用紙、Da…下地用画像データ、Db…上書用画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に配置され、画像を外周面に保持する像保持体と、
外周面に発泡体を含む弾性層が形成されるとともに前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に対し、当該像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、
前記像保持体に形成された出力用画像を、前記転写部材を用いて記録材に転写する出力画像形成動作を実行させ、当該出力画像形成動作を実行させた後に、当該像保持体を介して当該転写部材に上書画像を形成する上書画像形成動作を実行させる実行部と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記上書画像形成動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記像保持体から前記転写部材に誤って転写された前記出力用画像を当該像保持体に逆転写させる誤転写画像除去動作を実行させることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記実行部は、前記上書画像形成動作において、前記像保持体に形成された上書用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該上書用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記上書画像を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させる前に、前記像保持体を介して前記転写部材に下地画像を形成する下地画像形成動作を実行させることを特徴とする画像形成装置請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記実行部は、前記下地画像形成動作において、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記実行部は、前記上書画像形成動作において前記転写部材に形成する前記上書画像の内容と、前記下地画像形成動作において当該転写部材に形成する前記下地画像の内容とを異ならせることを特徴とする請求項5または6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写部材の外周面に記録材を保持させる保持部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記像保持体から前記転写部材に誤って転写された前記出力用画像を当該像保持体に逆転写させる誤転写画像除去動作を実行させ、且つ、前記上書画像形成動作として、前記像保持体に形成された上書用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該上書用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記上書画像を形成させ、さらに、当該誤転写画像除去動作と当該上書画像形成動作とにおいて、当該像保持体と当該転写部材との間に供給する逆転写バイアスの大きさ、当該逆転写バイアスの供給期間、あるいは、当該逆転写バイアスと転写バイアスとを交互に供給する回数のうちの少なくとも1つを異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させる前に、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成させる下地画像形成動作を実行させ、且つ、前記上書画像形成動作として、前記像保持体に形成された上書用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該上書用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記上書画像を形成させ、さらに、当該下地画像形成動作と当該上書画像形成動作とにおいて、当該像保持体と当該転写部材との間に供給する逆転写バイアスの大きさ、当該逆転写バイアスの供給期間、あるいは、当該逆転写バイアスと転写バイアスとを交互に供給する回数のうちの少なくとも1つを異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記実行部は、前記出力画像形成動作を実行させる前に、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成させる下地画像形成動作を実行させ、且つ、前記出力画像形成動作を実行させた際に前記出力用画像の転写対象となる記録材の搬送に異常が生じた場合に、前記像保持体から前記転写部材に誤って転写された前記出力用画像を当該像保持体に逆転写させる誤転写画像除去動作を実行させ、さらに、当該下地画像形成動作と当該誤転写画像除去動作とにおいて、当該像保持体と当該転写部材との間に供給する逆転写バイアスの大きさ、当該逆転写バイアスの供給期間、あるいは、当該逆転写バイアスと転写バイアスとを交互に供給する回数のうちの少なくとも1つを異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項12】
回転可能に配置され、画像を外周面に保持する像保持体と、
外周面に発泡体を含む弾性層が形成されるとともに前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に対し、当該像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、
前記像保持体を介して前記転写部材に下地画像を形成する下地画像形成動作を実行させ、当該下地画像形成動作を実行させた後に、当該像保持体に形成された出力用画像を、当該転写部材を用いて記録材に転写する出力画像形成動作を実行させる実行部と
を含む画像形成装置。
【請求項13】
前記実行部は、前記下地画像形成動作において、前記像保持体に形成された下地用画像を前記転写部材に転写させるとともに、当該転写部材に転写された当該下地用画像を当該像保持体に逆転写させることで、当該転写部材に前記下地画像を形成することを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記転写部材の外周面に記録材を保持させる保持部をさらに含むことを特徴とする請求項12または13記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−57911(P2013−57911A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197612(P2011−197612)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】