画像形成装置
【課題】水平方向に滴吐出するヘッドを吸引キャップでキャッピングして廃液をキャップ内に排出すると、デキャップ時に廃液が吸引キャップから垂れ落ちる。
【解決手段】キャリッジ23は主ガイド部材22に対して両方向に回転可能に保持され、吸引キャップ91は、斜め上方向を向けて、記録ヘッド23のノズル面124に対して進退可能に配置され、副ガイド部材22を上下方向に移動(昇降)させて、キャリッジ23の姿勢を、記録ヘッド24のノズル面124が斜め下方を向いて吸引キャップ91に対面する状態にする手段を有している。
【解決手段】キャリッジ23は主ガイド部材22に対して両方向に回転可能に保持され、吸引キャップ91は、斜め上方向を向けて、記録ヘッド23のノズル面124に対して進退可能に配置され、副ガイド部材22を上下方向に移動(昇降)させて、キャリッジ23の姿勢を、記録ヘッド24のノズル面124が斜め下方を向いて吸引キャップ91に対面する状態にする手段を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
ところで、液体吐出方式の画像形成装置において、記録ヘッドのノズルの吐出安定性を維持し、ノズル内のインク乾燥、ノズル内への埃混入防止のため、記録ヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、記録ヘッドのノズル面を払拭して清浄化するワイパ部材(ワイパブレード、ワイピングブレード、ブレードなどとも称される。)などを含む維持回復機構を備え、例えばノズルから増粘インクを吸引キャップ内に排出した後、ノズル面をワイパ部材で払拭してノズルメニスカスを形成する回復動作などを行なう。
【0004】
従来の維持回復機構として、垂直方向に配設された記録ヘッドのノズル面をキャッピングし、上端部に大気開放口が設けられ、下方側部に吸引口が設けられた吸引キャップを備えるものが知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4186557号公報
【特許文献2】特開平09−254401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、記録ヘッドのノズル面を垂直に配設して液滴を水平方向に吐出させ、維持回復を行うための吸引キャップを水平方向から移動させてノズル面をキャッピングする場合、液体垂れを防止するために、キャッピング→ヘッド吸引→キャップ内大気開放→デキャップ、の順で吸引動作を行なう。
【0007】
しかしながら、キャップ内に排出された廃液を吸引手段で吸引してもキャップ内には廃液が残るため、デキャップすると、キャップの下側部から廃液が垂れ落ち、キャップホルダに付着して固着し、あるいは、固着した廃液によってキャップ位置が目標位置からずれてノズル面の密閉状態が不完全になり、ノズルの乾燥や液体の増粘を引き起こしたり、ノズル回復のための吸引性能が低下したりするという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、液滴を水平方向に吐出させる記録ヘッドの回復動作で吸引キャップから廃液が垂れ落ちないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
ノズルから液滴を水平方向に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの案内する主ガイド部材及び副ガイド部材と、
前記記録ヘッドのノズル面をキャピングする吸引キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記記録ヘッドのノズル面に対して斜め上方を向いて配置されて、前記ノズル面に対して進退可能であり、
前記キャリッジは前記主ガイド部材に対して回り動くことが可能であり、
前記副ガイド部材を前記主走査方向と直交する面内で移動させ、前記キャリッジの姿勢を、前記記録ヘッドの前記ノズル面が斜め下方を向いて前記吸引キャップに対面する状態にする手段を有している
構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成装置によれば、液滴を水平方向に吐出させる記録ヘッドの回復動作で吸引キャップから廃液が垂れ落ちることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図2】図1を矢示A方向から見た説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態における印字動作時及び維持回復時のキャリッジ姿勢と吸引キャップの配置姿勢の説明に供する模式的側面説明図である。
【図4】同実施形態による回復動作の説明に供する模式的側面説明図である。
【図5】比較例の回復動作の説明に供する側面説明図である。
【図6】同実施形態における副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第1例の模式的説明図である。
【図7】同じく第2例の模式的説明図である。
【図8】同じく第3例の説明に供するキャリッジ部分の側面説明図である。
【図9】同じく第3例の模式的説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【図12】本発明の第4実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【図13】本発明の第5実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の機構部の側面説明図、図2は図1を矢示A方向から見た説明図である。
【0013】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側に被記録媒体である用紙10を積載可能な給紙トレイ(給紙カセットを含み、給紙部の意味で使用する。)4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を垂直方向(鉛直方向に沿う方向)に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって水平方向に液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6を通じて画像が形成された用紙10を更に上方向に搬送して、装置本体の上方側に設けられた排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0014】
また、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、排紙部6から反転部8内に用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を逆方向(下方向)に搬送しながら反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構部5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0015】
ここで、画像形成部2は、左右の側板101L、101R間に横架した主ガイド部材21及び副ガイド部材(従ガイド部材ともいう。)22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、図示しないキャリッジ移動機構の主走査モータによって駆動プーリと従動プーリ間に架け渡したタイミングベルトを介して主走査方向に移動走査する。
【0016】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向に配置され、水平方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッド24を備える水平打ち方式を採用している。
【0017】
記録ヘッド24は、それぞれ複数の液滴を吐出するノズルが列設された2つのノズル列を有し、記録ヘッド24aの一方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列はマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド24bの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0018】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24の各ノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)からインクが供給される。
【0019】
給紙トレイ4の用紙10は、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙され、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込まれ、搬送ベルト51に吸着されて搬送される。
【0020】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持するプラテン部材55となどを有している。なお、搬送ベルト51は、図示しない副走査駆動機構の副走査モータによってタイミングベルト及びタイミングプーリを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。
【0021】
排紙部6は、排紙ガイド部材61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63と、排紙ローラ64及び拍車65とが配置され、画像が形成された用紙10を排紙ローラ64及び拍車65間から排紙トレイ7上にフェイスダウンで排紙する。
【0022】
また、反転部8は、排紙トレイ7に一部を排出した用紙10をスイッチバック方式で反転して搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込むため、排紙経路と反転経路を切り替える切替爪81と、反転ガイド部材82と、反転ローラ83及び反転コロである拍車84と、従動ローラ53に対向する搬送補助ローラ85と、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと、搬送ベルト51の逆搬送部分51bから分離された用紙10を、帯電ローラ54を迂回させて、搬送ベルト51と押えコロ48との間に案内する迂回ガイド部材86などを備えている。
【0023】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズル124bの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。
【0024】
この維持回復機構9のフレーム90には、記録ヘッド24の各ノズル面124をキャピングするための吸引キャップ91及び保湿キャップ92と、ノズル面124をワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)94などが保持されている。吸引キャップ91はキャップホルダ93に保持されている。また、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け95を備えている。吸引キャップ91には吸引手段としての吸引ポンプ96を有する吸引排出経路97が接続され、吸引排出経路97は廃液タンク98に通じている。
【0025】
なお、維持回復機構9のフレーム90内部には、図示しないキャッピング機構用ステッピングモータが配設され、キャッピング機構用ステッピングモータを正転回転すると、図示しないギアとカムを通じて、キャップホルダ93とともに吸引キャップ91が、図示しないキャップホルダとともに保湿キャップ92が、それぞれキャッピングとデキャップ動作を行う。また、キャッピング機構用ステッピングモータを逆転回転することで吸引ポンプ96が駆動される。
【0026】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ4から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が垂直方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0027】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ91によるキャッピングを行ってノズルからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0028】
また、両面印刷を行う場合には、第1面印刷は上述したとおりの動作を行い、用紙10の後端が反転部分岐(切替爪81)を通過すると、排紙ローラ64が反転駆動されて用紙10がスイッチバックされ、反転ガイド部材82側に案内され、反転ローラ83と拍車84の間で搬送され、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと搬送補助ローラ85との間へと用紙10が送り込まれる。
【0029】
これにより、用紙10は搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって搬送され、搬送ローラ52側で搬送ベルト51から分離されて、迂回ガイド部材86で案内され(迂回パスを経由し)、再度搬送ベルト51の正搬送部分51aと押圧コロ48との間に送り込まれて搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0030】
次に、本発明の第1実施形態について図3を参照して説明する。図3は同実施形態における印字動作時及び維持回復時のキャリッジ姿勢と吸引キャップの配置姿勢の説明に供する模式的側面説明図である。なお、以下の各図において、y方向は水平方向、z方向は垂直方向を示している。
【0031】
本実施形態では、キャリッジ23は主ガイド部材22に対して回り動くことが可能に保持されている。また、吸引キャップ91は、斜め上方向を向けて、記録ヘッド23のノズル面124に対して矢印方向に進退可能に配置されている。
【0032】
また、詳細は後述するが、図3(b)に示すように、従ガイド部材22を破線図示の位置と実線図示の位置との間で上下方向(矢印方向)に移動させる副ガイド部材移動機構(キャリッジ姿勢変更機構)を備えている。
【0033】
そして、印刷動作時には、従ガイド部材22を図3(a)の位置(図3(b)の破線図示の位置)にして、記録ヘッド24から水平方向に液滴301を吐出させる。
【0034】
一方、回復動作時には、従ガイド部材22を上方向に図3(b)の実線図示の位置まで移動させて、キャリッジ23の姿勢を、記録ヘッド24のノズル面124が斜め下方を向いて吸引キャップ91に対面する状態にする。この場合、従ガイド部材22の移動は主走査方向と直交する面内で行われることで、キャリッジ23を回転させることができる。
【0035】
次に、本実施形態による回復動作(ここでは、クリーニング動作という。)について図4の模式的説明図を参照して説明する。
【0036】
まず、図3(a)に示す印字時のキャリッジ23の姿勢から従ガイド部材22を上昇させることで、図4(a)に示すように、キャリッジ23の姿勢を、記録ヘッド24のノズル面124が斜め下方を向いて吸引キャップ91に対面する状態にする。
【0037】
その後、図4(b)に示すように、吸引キャップ91を移動させて、記録ヘッド24のノズル面124をキャッピングする。
【0038】
次いで、吸引ポンプ96を駆動することによって、記録ヘッド24のノズル面124と吸引キャップ91との間の密閉空間を負圧にして、記録ヘッド24のノズルから廃液となるインク300を吸引キャップ91内に排出させる。なお、ここでは、吸引排出方式によっているが、記録ヘッド24にインクを加圧供給して排出させる加圧排出方式や、これらを併用した方式を採ることもできる。
【0039】
その後、吸引キャップ91内に排出された廃インク300を吸引ポンプ96で吸引排出し、図4(d)に示すように、吸引キャップ91を記録ヘッド24のノズル面124から離間(デキャップ)する。
【0040】
このように、吸引キャップ91が斜め上方向に傾斜して配置されていることで、デキャップ時に吸引キャップ91から廃液が垂れにくくなる。
【0041】
ここで、吸引キャップも記録ヘッドと同じ姿勢で配置した比較例における回復動作について図5を参照して説明する。
【0042】
この比較例では、吸引キャップ91は上下方向にノズル面124が配置されている記録ヘッド24に対して水平方向に移動してノズル面124をキャッピングするように配置されている。
【0043】
そのため、図5(a)ないし(c)に示すように、吸引キャップ91で記録ヘッド24のノズル面124をキャッピングし、吸引ポンプ96を駆動して、吸引キャップ91内に廃インク300を排出した(ヘッド吸引した)状態で、吸引キャップ91内の廃インク300を吸引排出したとしても、吸引キャップ91内に廃インク300が残存するため、図5(d)に示すように、吸引キャップ91をデキャップしたときに残存廃インク300が装置内に垂れるという不都合がある。
【0044】
これに対し、本実施形態では、吸引キャップ91が斜め上方を向いて開口しているので、残存廃インクが生じても、デキャップ後も吸引キャップ91内に保持することができ、装置内に垂れ落ちることがなくなる。
【0045】
次に、本実施形態における副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第1例について図6を参照して説明する。図6は同機構の模式的説明図である。
【0046】
ここでは、従ガイド部材22の例えば主走査方向両端部を上下方向(垂直方向)に案内するガイド部201と、従ガイド部材22の下方からガイド部201間に沿って移動可能に配置された昇降部材202と、昇降部材202を移動させるアクチュエータ203とを備えている。
【0047】
この場合、従ガイド部材22は、y方向での移動がガイド部201で規制されているので、アクチュエータ203を駆動して昇降部材202を上昇させることで、従ガイド部材22が上昇する。これにより、キャリッジ23は図4に示すように主ガイド部材21の周りを回転して、前述したように記録ヘッド24のノズル面124が吸引キャップ91に対面する姿勢となる。
【0048】
次に、副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第2例について図7を参照して説明する。図7は同機構の模式的説明図である。
【0049】
ここでは、従ガイド部材22の主走査方向端部22aを偏心カム205にて保持している。偏心カム205は、図示しないモータによって回転される駆動プーリ206及びタイミングベルト207を介して回転される。なお、駆動源としては、副走査モータや図示しないインク供給機構を用いることもできる。
【0050】
この偏心カム205の回転位置により従ガイド部材22が昇降される。
【0051】
次に、副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第3例について図8及び図9を参照して説明する。図8は同機構におけるキャリッジ部分の側面説明図、図9は同機構の模式的説明図である。
【0052】
ここでは、キャリッジ23の従ガイド部材22で支持される部分231の従ガイド部材22と接触する部分を傾斜面210としている。
【0053】
そして、従ガイド部材22の例えば主走査方向両端部を水平方向に案内するガイド部211と、従ガイド部材22の側方(キャリッジ23の傾斜面210に対向する方向)からガイド部211間に沿って移動可能に配置された移動部材212と、移動部材212を移動させるアクチュエータ213とを備えている。
【0054】
一方、移動部材212と反対側に、加圧板215を介して従ガイド部材22を移動部材212側に押し付ける方向(矢印方向)の復元力を有する弾性部材214を配置している。
【0055】
これにより、従ガイド部材22がキャリッジ23の傾斜面210に押し付けられる方向に移動されることで、相対的に傾斜面210が上昇することになる。つまり、従ガイド部材22のy方向の移動をキャリッジ23の回転に利用している。
【0056】
なお、本実施形態では、従ガイド部材22として断面円筒形状の軸部材を用いているが、どのような断面形状でも特に不都合はない。
【0057】
また、本実施形態では、従ガイド部材22を移動させることでキャリッジ23を回転させる例で説明しているが、主ガイド部材21を移動させることによってもキャリッジ23を回転させて記録ヘッド23の姿勢を変更することができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0059】
本実施形態では、吸引キャップ91には、キャッピング状態で吸引キャップ91の内部を大気に開放する大気開放弁191が設けられた大気開放経路(この例ではチューブで構成)190が設けられている。
【0060】
これにより、吸引キャップ91に吸引排出した後(ヘッド吸引後)、大気開放弁191を開いて吸引キャップ91内を大気に開放することで、吸引キャップ91内に排出された廃インクを効果的に排出することができ、残存廃インクを低減できる。
【0061】
次に、本発明の第3実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0062】
本実施形態では、吸引キャップ91には、廃液を溜める廃液溜り部192を設けている。
【0063】
これにより、吸引キャップ91のノズル面124に接触する部分に廃インク300が残らなくなるため、デキャップ時の液垂れを効果的に防止することができる。
【0064】
次に、本発明の第4実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0065】
本実施形態では、主ガイド部材21と従ガイド部材22とが記録ヘッド24を挟む位置関係で配置されている。
【0066】
そして、図示しない副ガイド部材移動機構は、従ガイド部材22をy方向又は主ガイド部材21と従ガイド部材22との軸心を結ぶ線に対して直交する方向で、従ガイド部材22を斜め上方に向けて移動させる。
【0067】
このように構成しても前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
次に、本発明の第5実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0069】
本実施形態では、前記第1実施形態において、キャリッジ23の従ガイド部材22で支持され部分231に対して、従ガイド部材22を挟んで対向する回転防止部材232を設けている。
【0070】
つまり、従ガイド部材22を移動可能に配置した場合、吸引キャップ91でノズル面124をキャッピングするために吸引キャップ91を記録ヘッド24に押し付けるとき、押し付け力が大きいと、キャリッジ23が従ガイド部材22から離れる方向(図13で矢印方向)に回転して、確実にキャッピングすることができなくなる。
【0071】
そこで、キャリッジ23の従ガイド部材22で支持され部分231に対して、従ガイド部材22を挟んで対向する回転防止部材232を設けることで、キャッピング時のキャリッジ23の回転を防止することができ、キャッピング時の押し付け力が大きい場合でもキャッピングを確実に行なうことができる。
【0072】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0073】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0074】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0075】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0076】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0077】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構部
6 排紙部
7 排紙トレイ
8 反転部
9 維持回復機構
10 用紙(被記録媒体)
21 主ガイド部材
22 従ガイド部材
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
51 搬送ベルト
91 吸引キャップ
96 吸引ポンプ
98 廃液タンク
191 大気開放弁
232 回転防止部材
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
ところで、液体吐出方式の画像形成装置において、記録ヘッドのノズルの吐出安定性を維持し、ノズル内のインク乾燥、ノズル内への埃混入防止のため、記録ヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、記録ヘッドのノズル面を払拭して清浄化するワイパ部材(ワイパブレード、ワイピングブレード、ブレードなどとも称される。)などを含む維持回復機構を備え、例えばノズルから増粘インクを吸引キャップ内に排出した後、ノズル面をワイパ部材で払拭してノズルメニスカスを形成する回復動作などを行なう。
【0004】
従来の維持回復機構として、垂直方向に配設された記録ヘッドのノズル面をキャッピングし、上端部に大気開放口が設けられ、下方側部に吸引口が設けられた吸引キャップを備えるものが知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4186557号公報
【特許文献2】特開平09−254401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、記録ヘッドのノズル面を垂直に配設して液滴を水平方向に吐出させ、維持回復を行うための吸引キャップを水平方向から移動させてノズル面をキャッピングする場合、液体垂れを防止するために、キャッピング→ヘッド吸引→キャップ内大気開放→デキャップ、の順で吸引動作を行なう。
【0007】
しかしながら、キャップ内に排出された廃液を吸引手段で吸引してもキャップ内には廃液が残るため、デキャップすると、キャップの下側部から廃液が垂れ落ち、キャップホルダに付着して固着し、あるいは、固着した廃液によってキャップ位置が目標位置からずれてノズル面の密閉状態が不完全になり、ノズルの乾燥や液体の増粘を引き起こしたり、ノズル回復のための吸引性能が低下したりするという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、液滴を水平方向に吐出させる記録ヘッドの回復動作で吸引キャップから廃液が垂れ落ちないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
ノズルから液滴を水平方向に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの案内する主ガイド部材及び副ガイド部材と、
前記記録ヘッドのノズル面をキャピングする吸引キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記記録ヘッドのノズル面に対して斜め上方を向いて配置されて、前記ノズル面に対して進退可能であり、
前記キャリッジは前記主ガイド部材に対して回り動くことが可能であり、
前記副ガイド部材を前記主走査方向と直交する面内で移動させ、前記キャリッジの姿勢を、前記記録ヘッドの前記ノズル面が斜め下方を向いて前記吸引キャップに対面する状態にする手段を有している
構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成装置によれば、液滴を水平方向に吐出させる記録ヘッドの回復動作で吸引キャップから廃液が垂れ落ちることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図2】図1を矢示A方向から見た説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態における印字動作時及び維持回復時のキャリッジ姿勢と吸引キャップの配置姿勢の説明に供する模式的側面説明図である。
【図4】同実施形態による回復動作の説明に供する模式的側面説明図である。
【図5】比較例の回復動作の説明に供する側面説明図である。
【図6】同実施形態における副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第1例の模式的説明図である。
【図7】同じく第2例の模式的説明図である。
【図8】同じく第3例の説明に供するキャリッジ部分の側面説明図である。
【図9】同じく第3例の模式的説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【図12】本発明の第4実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【図13】本発明の第5実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の機構部の側面説明図、図2は図1を矢示A方向から見た説明図である。
【0013】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側に被記録媒体である用紙10を積載可能な給紙トレイ(給紙カセットを含み、給紙部の意味で使用する。)4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を垂直方向(鉛直方向に沿う方向)に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって水平方向に液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6を通じて画像が形成された用紙10を更に上方向に搬送して、装置本体の上方側に設けられた排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0014】
また、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、排紙部6から反転部8内に用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を逆方向(下方向)に搬送しながら反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構部5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0015】
ここで、画像形成部2は、左右の側板101L、101R間に横架した主ガイド部材21及び副ガイド部材(従ガイド部材ともいう。)22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、図示しないキャリッジ移動機構の主走査モータによって駆動プーリと従動プーリ間に架け渡したタイミングベルトを介して主走査方向に移動走査する。
【0016】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向に配置され、水平方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッド24を備える水平打ち方式を採用している。
【0017】
記録ヘッド24は、それぞれ複数の液滴を吐出するノズルが列設された2つのノズル列を有し、記録ヘッド24aの一方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列はマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド24bの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0018】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24の各ノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)からインクが供給される。
【0019】
給紙トレイ4の用紙10は、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙され、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込まれ、搬送ベルト51に吸着されて搬送される。
【0020】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持するプラテン部材55となどを有している。なお、搬送ベルト51は、図示しない副走査駆動機構の副走査モータによってタイミングベルト及びタイミングプーリを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。
【0021】
排紙部6は、排紙ガイド部材61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63と、排紙ローラ64及び拍車65とが配置され、画像が形成された用紙10を排紙ローラ64及び拍車65間から排紙トレイ7上にフェイスダウンで排紙する。
【0022】
また、反転部8は、排紙トレイ7に一部を排出した用紙10をスイッチバック方式で反転して搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込むため、排紙経路と反転経路を切り替える切替爪81と、反転ガイド部材82と、反転ローラ83及び反転コロである拍車84と、従動ローラ53に対向する搬送補助ローラ85と、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと、搬送ベルト51の逆搬送部分51bから分離された用紙10を、帯電ローラ54を迂回させて、搬送ベルト51と押えコロ48との間に案内する迂回ガイド部材86などを備えている。
【0023】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズル124bの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。
【0024】
この維持回復機構9のフレーム90には、記録ヘッド24の各ノズル面124をキャピングするための吸引キャップ91及び保湿キャップ92と、ノズル面124をワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)94などが保持されている。吸引キャップ91はキャップホルダ93に保持されている。また、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け95を備えている。吸引キャップ91には吸引手段としての吸引ポンプ96を有する吸引排出経路97が接続され、吸引排出経路97は廃液タンク98に通じている。
【0025】
なお、維持回復機構9のフレーム90内部には、図示しないキャッピング機構用ステッピングモータが配設され、キャッピング機構用ステッピングモータを正転回転すると、図示しないギアとカムを通じて、キャップホルダ93とともに吸引キャップ91が、図示しないキャップホルダとともに保湿キャップ92が、それぞれキャッピングとデキャップ動作を行う。また、キャッピング機構用ステッピングモータを逆転回転することで吸引ポンプ96が駆動される。
【0026】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ4から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が垂直方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0027】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ91によるキャッピングを行ってノズルからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0028】
また、両面印刷を行う場合には、第1面印刷は上述したとおりの動作を行い、用紙10の後端が反転部分岐(切替爪81)を通過すると、排紙ローラ64が反転駆動されて用紙10がスイッチバックされ、反転ガイド部材82側に案内され、反転ローラ83と拍車84の間で搬送され、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと搬送補助ローラ85との間へと用紙10が送り込まれる。
【0029】
これにより、用紙10は搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって搬送され、搬送ローラ52側で搬送ベルト51から分離されて、迂回ガイド部材86で案内され(迂回パスを経由し)、再度搬送ベルト51の正搬送部分51aと押圧コロ48との間に送り込まれて搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0030】
次に、本発明の第1実施形態について図3を参照して説明する。図3は同実施形態における印字動作時及び維持回復時のキャリッジ姿勢と吸引キャップの配置姿勢の説明に供する模式的側面説明図である。なお、以下の各図において、y方向は水平方向、z方向は垂直方向を示している。
【0031】
本実施形態では、キャリッジ23は主ガイド部材22に対して回り動くことが可能に保持されている。また、吸引キャップ91は、斜め上方向を向けて、記録ヘッド23のノズル面124に対して矢印方向に進退可能に配置されている。
【0032】
また、詳細は後述するが、図3(b)に示すように、従ガイド部材22を破線図示の位置と実線図示の位置との間で上下方向(矢印方向)に移動させる副ガイド部材移動機構(キャリッジ姿勢変更機構)を備えている。
【0033】
そして、印刷動作時には、従ガイド部材22を図3(a)の位置(図3(b)の破線図示の位置)にして、記録ヘッド24から水平方向に液滴301を吐出させる。
【0034】
一方、回復動作時には、従ガイド部材22を上方向に図3(b)の実線図示の位置まで移動させて、キャリッジ23の姿勢を、記録ヘッド24のノズル面124が斜め下方を向いて吸引キャップ91に対面する状態にする。この場合、従ガイド部材22の移動は主走査方向と直交する面内で行われることで、キャリッジ23を回転させることができる。
【0035】
次に、本実施形態による回復動作(ここでは、クリーニング動作という。)について図4の模式的説明図を参照して説明する。
【0036】
まず、図3(a)に示す印字時のキャリッジ23の姿勢から従ガイド部材22を上昇させることで、図4(a)に示すように、キャリッジ23の姿勢を、記録ヘッド24のノズル面124が斜め下方を向いて吸引キャップ91に対面する状態にする。
【0037】
その後、図4(b)に示すように、吸引キャップ91を移動させて、記録ヘッド24のノズル面124をキャッピングする。
【0038】
次いで、吸引ポンプ96を駆動することによって、記録ヘッド24のノズル面124と吸引キャップ91との間の密閉空間を負圧にして、記録ヘッド24のノズルから廃液となるインク300を吸引キャップ91内に排出させる。なお、ここでは、吸引排出方式によっているが、記録ヘッド24にインクを加圧供給して排出させる加圧排出方式や、これらを併用した方式を採ることもできる。
【0039】
その後、吸引キャップ91内に排出された廃インク300を吸引ポンプ96で吸引排出し、図4(d)に示すように、吸引キャップ91を記録ヘッド24のノズル面124から離間(デキャップ)する。
【0040】
このように、吸引キャップ91が斜め上方向に傾斜して配置されていることで、デキャップ時に吸引キャップ91から廃液が垂れにくくなる。
【0041】
ここで、吸引キャップも記録ヘッドと同じ姿勢で配置した比較例における回復動作について図5を参照して説明する。
【0042】
この比較例では、吸引キャップ91は上下方向にノズル面124が配置されている記録ヘッド24に対して水平方向に移動してノズル面124をキャッピングするように配置されている。
【0043】
そのため、図5(a)ないし(c)に示すように、吸引キャップ91で記録ヘッド24のノズル面124をキャッピングし、吸引ポンプ96を駆動して、吸引キャップ91内に廃インク300を排出した(ヘッド吸引した)状態で、吸引キャップ91内の廃インク300を吸引排出したとしても、吸引キャップ91内に廃インク300が残存するため、図5(d)に示すように、吸引キャップ91をデキャップしたときに残存廃インク300が装置内に垂れるという不都合がある。
【0044】
これに対し、本実施形態では、吸引キャップ91が斜め上方を向いて開口しているので、残存廃インクが生じても、デキャップ後も吸引キャップ91内に保持することができ、装置内に垂れ落ちることがなくなる。
【0045】
次に、本実施形態における副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第1例について図6を参照して説明する。図6は同機構の模式的説明図である。
【0046】
ここでは、従ガイド部材22の例えば主走査方向両端部を上下方向(垂直方向)に案内するガイド部201と、従ガイド部材22の下方からガイド部201間に沿って移動可能に配置された昇降部材202と、昇降部材202を移動させるアクチュエータ203とを備えている。
【0047】
この場合、従ガイド部材22は、y方向での移動がガイド部201で規制されているので、アクチュエータ203を駆動して昇降部材202を上昇させることで、従ガイド部材22が上昇する。これにより、キャリッジ23は図4に示すように主ガイド部材21の周りを回転して、前述したように記録ヘッド24のノズル面124が吸引キャップ91に対面する姿勢となる。
【0048】
次に、副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第2例について図7を参照して説明する。図7は同機構の模式的説明図である。
【0049】
ここでは、従ガイド部材22の主走査方向端部22aを偏心カム205にて保持している。偏心カム205は、図示しないモータによって回転される駆動プーリ206及びタイミングベルト207を介して回転される。なお、駆動源としては、副走査モータや図示しないインク供給機構を用いることもできる。
【0050】
この偏心カム205の回転位置により従ガイド部材22が昇降される。
【0051】
次に、副ガイド部材移動機構(キャリッジの姿勢変更機構)の第3例について図8及び図9を参照して説明する。図8は同機構におけるキャリッジ部分の側面説明図、図9は同機構の模式的説明図である。
【0052】
ここでは、キャリッジ23の従ガイド部材22で支持される部分231の従ガイド部材22と接触する部分を傾斜面210としている。
【0053】
そして、従ガイド部材22の例えば主走査方向両端部を水平方向に案内するガイド部211と、従ガイド部材22の側方(キャリッジ23の傾斜面210に対向する方向)からガイド部211間に沿って移動可能に配置された移動部材212と、移動部材212を移動させるアクチュエータ213とを備えている。
【0054】
一方、移動部材212と反対側に、加圧板215を介して従ガイド部材22を移動部材212側に押し付ける方向(矢印方向)の復元力を有する弾性部材214を配置している。
【0055】
これにより、従ガイド部材22がキャリッジ23の傾斜面210に押し付けられる方向に移動されることで、相対的に傾斜面210が上昇することになる。つまり、従ガイド部材22のy方向の移動をキャリッジ23の回転に利用している。
【0056】
なお、本実施形態では、従ガイド部材22として断面円筒形状の軸部材を用いているが、どのような断面形状でも特に不都合はない。
【0057】
また、本実施形態では、従ガイド部材22を移動させることでキャリッジ23を回転させる例で説明しているが、主ガイド部材21を移動させることによってもキャリッジ23を回転させて記録ヘッド23の姿勢を変更することができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0059】
本実施形態では、吸引キャップ91には、キャッピング状態で吸引キャップ91の内部を大気に開放する大気開放弁191が設けられた大気開放経路(この例ではチューブで構成)190が設けられている。
【0060】
これにより、吸引キャップ91に吸引排出した後(ヘッド吸引後)、大気開放弁191を開いて吸引キャップ91内を大気に開放することで、吸引キャップ91内に排出された廃インクを効果的に排出することができ、残存廃インクを低減できる。
【0061】
次に、本発明の第3実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0062】
本実施形態では、吸引キャップ91には、廃液を溜める廃液溜り部192を設けている。
【0063】
これにより、吸引キャップ91のノズル面124に接触する部分に廃インク300が残らなくなるため、デキャップ時の液垂れを効果的に防止することができる。
【0064】
次に、本発明の第4実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0065】
本実施形態では、主ガイド部材21と従ガイド部材22とが記録ヘッド24を挟む位置関係で配置されている。
【0066】
そして、図示しない副ガイド部材移動機構は、従ガイド部材22をy方向又は主ガイド部材21と従ガイド部材22との軸心を結ぶ線に対して直交する方向で、従ガイド部材22を斜め上方に向けて移動させる。
【0067】
このように構成しても前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
次に、本発明の第5実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態の説明に供する模式的側面説明図である。
【0069】
本実施形態では、前記第1実施形態において、キャリッジ23の従ガイド部材22で支持され部分231に対して、従ガイド部材22を挟んで対向する回転防止部材232を設けている。
【0070】
つまり、従ガイド部材22を移動可能に配置した場合、吸引キャップ91でノズル面124をキャッピングするために吸引キャップ91を記録ヘッド24に押し付けるとき、押し付け力が大きいと、キャリッジ23が従ガイド部材22から離れる方向(図13で矢印方向)に回転して、確実にキャッピングすることができなくなる。
【0071】
そこで、キャリッジ23の従ガイド部材22で支持され部分231に対して、従ガイド部材22を挟んで対向する回転防止部材232を設けることで、キャッピング時のキャリッジ23の回転を防止することができ、キャッピング時の押し付け力が大きい場合でもキャッピングを確実に行なうことができる。
【0072】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0073】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0074】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0075】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0076】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0077】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構部
6 排紙部
7 排紙トレイ
8 反転部
9 維持回復機構
10 用紙(被記録媒体)
21 主ガイド部材
22 従ガイド部材
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
51 搬送ベルト
91 吸引キャップ
96 吸引ポンプ
98 廃液タンク
191 大気開放弁
232 回転防止部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液滴を水平方向に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの案内する主ガイド部材及び副ガイド部材と、
前記記録ヘッドのノズル面をキャピングする吸引キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記記録ヘッドのノズル面に対して斜め上方を向いて配置されて、前記ノズル面に対して進退可能であり、
前記キャリッジは前記主ガイド部材に対して回り動くことが可能であり、
前記副ガイド部材を前記主走査方向と直交する面内で移動させ、前記キャリッジの姿勢を、前記記録ヘッドの前記ノズル面が斜め下方を向いて前記吸引キャップに対面する状態にする手段を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ノズルから液滴を水平方向に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの案内する主ガイド部材及び副ガイド部材と、
前記記録ヘッドのノズル面をキャピングする吸引キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記記録ヘッドのノズル面に対して斜め上方を向いて配置されて、前記ノズル面に対して進退可能であり、
前記キャリッジは前記副ガイド部材に対して回り動くことが回転可能であり、
前記主ガイド部材を前記主走査方向と直交する面内で移動させ、前記キャリッジの姿勢を、前記記録ヘッドの前記ノズル面が斜め下方を向いて前記吸引キャップに対面する状態にする手段を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記吸引キャップには、液溜まり部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸引キャップには、キャッピング状態で吸引キャップの内部を大気に開放する大気開放弁が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記キャリッジには、前記吸引キャップを前記記録ヘッドに押し付けたときに、前記キャリッジの回転を防止する回転防止手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
ノズルから液滴を水平方向に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの案内する主ガイド部材及び副ガイド部材と、
前記記録ヘッドのノズル面をキャピングする吸引キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記記録ヘッドのノズル面に対して斜め上方を向いて配置されて、前記ノズル面に対して進退可能であり、
前記キャリッジは前記主ガイド部材に対して回り動くことが可能であり、
前記副ガイド部材を前記主走査方向と直交する面内で移動させ、前記キャリッジの姿勢を、前記記録ヘッドの前記ノズル面が斜め下方を向いて前記吸引キャップに対面する状態にする手段を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ノズルから液滴を水平方向に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して主走査方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジの案内する主ガイド部材及び副ガイド部材と、
前記記録ヘッドのノズル面をキャピングする吸引キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記記録ヘッドのノズル面に対して斜め上方を向いて配置されて、前記ノズル面に対して進退可能であり、
前記キャリッジは前記副ガイド部材に対して回り動くことが回転可能であり、
前記主ガイド部材を前記主走査方向と直交する面内で移動させ、前記キャリッジの姿勢を、前記記録ヘッドの前記ノズル面が斜め下方を向いて前記吸引キャップに対面する状態にする手段を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記吸引キャップには、液溜まり部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸引キャップには、キャッピング状態で吸引キャップの内部を大気に開放する大気開放弁が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記キャリッジには、前記吸引キャップを前記記録ヘッドに押し付けたときに、前記キャリッジの回転を防止する回転防止手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−59876(P2013−59876A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198242(P2011−198242)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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