画像形成装置
【課題】中間転写ベルト上の残留トナーを除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置において、除去したトナーを排出する搬送モータの駆動による騒音の低減を図ることを目的とする。
【解決手段】中間転写ベルト10e上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、搬送モータに所定電圧を印加することで搬送モータを制御するモータ駆動制御手段と、を備える画像形成装置において、予め定められた値の電圧を搬送モータに印加して、搬送モータに流れる電流値を検出する電流検出手段と、検出された電流値に基づいて搬送モータの目標の回転数を決定し、目標の回転数に対応する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、を有し、モータ駆動制御手段は、前記所定電圧として基準電圧を搬送モータに印加して、搬送モータを駆動制御する。
【解決手段】中間転写ベルト10e上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、搬送モータに所定電圧を印加することで搬送モータを制御するモータ駆動制御手段と、を備える画像形成装置において、予め定められた値の電圧を搬送モータに印加して、搬送モータに流れる電流値を検出する電流検出手段と、検出された電流値に基づいて搬送モータの目標の回転数を決定し、目標の回転数に対応する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、を有し、モータ駆動制御手段は、前記所定電圧として基準電圧を搬送モータに印加して、搬送モータを駆動制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ベルトに付着したトナーを除去するためのクリーニング装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多色画像形成装置としてのカラーレーザプリンタにおいては、中間転写ベルト上にトナー像を一次転写する。その後、一次転写された中間転写ベルト上のトナー像を紙等の転写材に二次転写する。この際に、中間転写ベルト上にトナーが残留する場合がある。そこで、従来より、中間転写ベルト上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置が備えられる画像形成装置が知られている。クリーニング装置は、クリーニング部材と、搬送経路(トナーダクト)と、搬送スクリューと、搬送モータとを備えている。中間転写ベルト上に残った残留トナーは、クリーニング部材により掻き取られる。掻き取られたトナーは、搬送経路に堆積する。そして、搬送経路に堆積するトナーは、搬送スクリューの回転によりトナーを回収するトナー回収容器へと搬送される。搬送スクリューは、搬送モータの駆動により回転する。この種の搬送モータとしては、安価なDCブラシモータを用いるものが知られている。例えば、特許文献1において、トナーを収容するトナー収容器から二成分現像剤を収容する現像器にトナーを搬送し補給するためのスクリューを備える画像形成装置が開示されており、このスクリューを駆動するためにDCブラシモータが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−343826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上記のような搬送モータとしてのDCブラシモータは、トナー量に関わらず、あらゆる状況において確実にトナー搬送可能な回転数を維持できるように駆動制御されていた。したがって、DCブラシモータをフィードバックを受け取ることなく所定の目標値のみに基づいて制御する場合であって、トナー回収容器へ搬送するトナーの量が少量である場合、必要以上の回転数でDCブラシモータが駆動することとなってしまう。その結果、DCブラシモータの駆動による騒音が発生するという問題が生じることがあった。このような問題は、DCブラシモータに限らずほかのモータについても同様である。
【0005】
そこで、本発明は、中間転写体上の残留トナーを除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置において、除去したトナーを排出する搬送モータの駆動による騒音の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体から転写材にトナー像を転写するための転写ベルトと、前記転写ベルトに残留したトナーを除去するクリーニング部材と、除去された残留トナーが堆積する搬送経路と、前記搬送経路に堆積した前記残留トナーを前記搬送経路からトナー回収容器へ搬送する搬送スクリューと、を備えるクリーニング装置と、前記搬送スクリューを駆動する搬送モータと、前記搬送モータに所定電圧を印加することで前記搬送モータを駆動制御するモータ駆動制御手段と、を有する画像形成装置において、予め定められた値の電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータに流れる電流値を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段で検出された電
流値に基づいて前記搬送モータの目標の回転数を決定し、前記目標の回転数に対応する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、を有し、前記モータ駆動制御手段は、前記所定電圧として前記基準電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータを駆動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送経路内のトナーを搬送するために必要な回転数と駆動トルクを担持する最小限の電圧である基準電圧を搬送モータに印加することで、適当な回転数になるように搬送モータを駆動させ、搬送モータの駆動による騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】実施例1に係る画像形成装置とその周辺のシステム構成を示す図
【図3】エンジン制御部とコントローラ部のインタフェース信号を示す図
【図4】実施例1に係る中間転写ベルトとクリーニング装置の断面図
【図5】実施例1に係るクリーニング装置とトナー回収容器の断面図
【図6】DCブラシモータについての回路図
【図7】PWM制御と電圧の関係について示す図
【図8】DCブラシモータの駆動時間と、電流値の関係を示す図
【図9】電流値確定手順を示すフローチャート図
【図10】基準電圧決定手順を示すフローチャート図
【図11】DCブラシモータのT−I特性表及び堆積トナー量と負荷トルクの関係図
【図12】流入トナー量とピクセルカウント値の関係を示す図
【図13】DCブラシモータのT−N特性表を示す図
【図14】推定流入トナー量平均値と検知期間実施判断基準の関係を示す図
【図15】実施例1に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【図16】実施例2に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【図17】実施例3に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【図18】駆動電圧毎の電流上限値を示した図
【図19】実施例4に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例として、画像形成装置としての電子写真方式のカラーレーザプリンタについて具体的に説明する。ただし、本発明は、レーザビームプリンタのみに限定するものでなく、複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に適用してもよい。また、本実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲を限定するものではない。
【0010】
(実施例1)
図1を用いて、実施例1に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、実施例1に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。実施例1に係る画像形成装置は、装置本体100に対して、着脱自在なプロセスカートリッジ3を備えている。プロセスカートリッジ3は、現像ユニット4a,4b,4c,4dと、クリーニングユニット5a,5b,5c,5dによって構成される。現像ユニット4は、現像ローラ6a,6b,6c,6dと、トナー塗布ローラ7a,7b,7c,7dと、トナー容器を有している。クリーニングユニット5は、像担持体としての感光ドラム1a,1b,1c,1dと、帯電ローラ2a,2b,2c,2dと、ドラムクリーニングブレード8a,8b,8c,8dとを有している。また、図1に示すように、プロセスカートリッジ3の鉛直下方には、スキャナユニット9が配置されている。帯電ローラ2によって所定の負極性の電位に帯電された感光ドラム1上に、スキャナユニット9からレーザ光が照射されることで、感
光ドラム1上(像担持体上)に静電潜像が形成される。
【0011】
次に、トナー像の一次転写について説明する。中間転写体としての中間転写ベルト10eは、駆動ローラ10fとテンションローラ10gに張架されている。中間転写ベルト10は、トナー像を転写材に転写するための転写ベルトである。感光ドラム1上に形成され
た静電潜像は、現像ローラ6によりトナーが供給されることによって可視化される。各感光ドラム1が、図2における時計周りに回転することで、中間転写ベルト10eが反時計周りに回転する。そして、一次転写ローラ10a,10b,10c,10dに正極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム1a上に可視化されたトナー像から順次、中間転写ベルト上(中間転写体上)に一次転写される。そして、中間転写ベルト上に転写された4色のトナー像は、重なった状態で二次転写部13まで搬送される。
【0012】
次に、トナー像の二次転写について説明する。用紙給送装置20に備えられる給送ローラ21および分離ローラ22の協働により、給紙カセット30内の用紙積載束から1枚ず
つ分離された転写材としての用紙Sは、レジストローラ対14を経由して、二次転写部13に搬送される。二次転写部13において、二次転写ローラ13aに正極性のバイアスを印加することにより、搬送された用紙Sに、中間転写ベルト10e上の4色のトナー像を二次転写する。トナー像転写後の用紙Sは、定着部15に搬送され、定着ローラ15aと加圧ローラ15bとによって加熱、加圧されることにより、その表面にトナー像が定着されることとなる。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラ対16に向けて搬送され、排紙トレイ17上へ排出される。
【0013】
次に、図2を用いて、実施例1に係る画像形成装置とその周辺のシステム構成について説明する。図2は、実施例1に係る画像形成装置とその周辺のシステム構成を示すブロック図である。図2に示すように、コントローラ部201によって、ホストコンピュータ200と、実施例1に係る画像形成装置が備えるエンジン制御部203とが相互に通信可能となっている。エンジン制御部203は、ビデオインタフェース部204と、CPU(中央演算処理装置)205と、画像処理GA(Genetic Algorithm)206と、画像制御部207と、定着制御部208と、転写材搬送部209と、駆動制御部210とを有する。さらに、ROM(Read Only Memory)211と、RAM(Random Access Memory)212と、MOTOR部213とを有する。コントローラ部201は、エンジン制御部から送信されたステータスデータを表示装置215に表示するとともに、ホストコンピュータ200にプリンタの状態を表示するためにステータスデータを送る。MOTOR部213は、搬送モータとしてのDCブラシモータ214を有している。また、CPU205は、検出部(不図示)によって、DCブラシモータ214に流れる電流を検出している。
【0014】
次に、図3を用いて、コントローラ部201とエンジン制御部203とを通信するインタフェースについて説明する。図3は、コントローラ部201とエンジン制御部203のインタフェース信号を示す図である。図3おいて、シリアルコマンド送信信号線103は、コントローラ部201からエンジン制御部203へ命令を送信するものである。シリアルコマンドステータス送信信号線104は、コマンドに応えてエンジン制御部203からコントローラ部201ヘシリアル通信でステータスデータを送信するものである。基準垂直同期信号線105は、エンジン制御部203からコントローラ部201へ基準の垂直同期信号を送信するものである。水平同期信号線106は、エンジン制御部203からコントローラ部201ヘイエローの水平同期信号を送信するものである。同様に、水平同期信号線107、108、109は、エンジン制御部203からコントローラ部201ヘマゼンタ、シアン、ブラックの水平同期信号を送信するものである。画像データ信号線110は、コントローラ部201からエンジン制御部203ヘイエローの画像データ信号を送信するものである。同様に、画像データ信号線111、112、113は、コントローラ部
201からエンジン制御部203ヘマゼンタ、シアン、ブラックの画像データ信号を送信するものである。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像情報と印字命令を受け取り、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換する。そして、ビデオインタフェース部204を介して、転写材毎に印字予約コマンド、印字開始コマンド及びビデオ信号をエンジン制御部203に送出する。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200からの印字命令に従って印字予約コマンドをエンジン制御部203へ送信し、印字可能な状態となったタイミングで、エンジン制御部203へ印字開始コマンドを送信する。エンジン制御部203は、コントローラ部201からの印字予約コマンドの順に印字の実行準備を行ない、コントローラ部201からの印字開始コマンドを待つ。エンジン制御部203は、印字指示信号を受信すると、コントローラ部201に、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる基準垂直同期信号(/TOP信号)を出力し、印字予約コマンドに従ってプリント動作を開始する。さらに、コントローラ部201は、表示装置215に接続されており、表示装置215はエンジン制御部203で演算された給紙カセット積載用紙残量及び警告等を表示する。
【0015】
次に、図4及び図5を用いて、実施例1に係る中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング装置について説明する。図4は、実施例1に係る中間転写ベルトとクリーニング装置の断面図である。図5は、実施例1に係るクリーニング装置とトナー回収容器の断面図である。クリーニング装置11には、クリーニング部材11aと、搬送スクリュー11bと、搬送経路11cと、搬送モータとしてのDCブラシモータ11eとが備えられている。クリーニング部材11aは、中間転写ベルト10eに当接して配置してあり、転写材としての用紙Sにトナー像を二次転写した後に中間転写ベルト10e上に残った残留トナーを掻き取り、除去する。図5に示すように、搬送経路11cは、クリーニング部材11a直下に配置されており、クリーニング部材11aにより掻き取られたトナーを堆積する。搬送スクリュー11bは、DCブラシモータ11eの駆動によって回転することで、搬送経路11c内に堆積したトナーをトナー回収容器12に向かう図5のA方向に搬送する。
【0016】
次に、図6を用いて、DCブラシモータの駆動回路について説明する。図6は、DCブラシモータについての回路図である。CPU205からDCブラシモータ11eのPWM(Pulse Width Modulation)駆動用としてPWM駆動信号702が出力される。CPU205は、回路701を介してDCブラシモータ11eの一端に接続されている。また、CPU205は、回路705を介してDCブラシモータ11eのもう一端に接続されており、DCブラシモータ11eの電流検知信号が入力される。DCブラシモータ11eは、抵抗704を介してグラウンドに接続されており、フライホイールダイオード703による回生電流を逃がすための回路に接続されている。
【0017】
次に、図7を用いて、PWM制御と電圧の関係について説明する。図7は、PWM制御と電圧の関係について示す図である。ここでPWM制御とは、電源電圧をパルス信号で入力する際に、デューティ比によって、投入する平均電圧を調節する制御である。デューティ比とは、パルス幅をパルス周期で割った値である。CPU205は、フィードバックを受け取ることなく所定の目標値のみに基づいて制御する開ループ制御を用いて、PWM駆動信号702のデューティ比を決定し、モータに投入する平均電圧(以下、駆動電圧)を設定する。
【0018】
次に、実施例1に係る画像形成装置の特徴部であるDCブラシモータの制御の概略について説明する。DCブラシモータ11eが駆動してから停止するまでの期間をDCブラシモータ駆動期間とする。実施例1において、上記駆動期間は、検知期間と搬送期間の2つの期間に分けられる。CPU205は、検知期間中、DCブラシモータに固定の駆動電圧を印加し、DCブラシモータに流れる電流値から、残留トナーが搬送経路に堆積すること
によりDCブラシモータにかかる負荷トルクを算出する。そして、CPU205は、負荷トルクに基づいて、排出すべき排出トナー量を推定する。ここで印加する駆動電圧は、搬送経路11c内に考えうる最大量のトナーが堆積されていた場合において定常回転可能な最小限の駆動電圧であり、予め開発段階で用意されているものである。CPU205が備える基準電圧設定手段は、検知期間において、搬送経路11cから排出すべきトナー量を推定し、推定した排出トナー量を搬送しうる回転数とトルクを担保した最小限の駆動電圧を求める。また、CPU205が備えるモータ駆動制御手段は、搬送期間において、検知期間で求めた駆動電圧を基準電圧としてDCブラシモータ11eを駆動する。
【0019】
次に、図8及び図9を用いて、上述した電流値の確定の手順について説明する。電流値は、CPU205の電流検出手段が、搬送モータとしてのDCブラシモータに予め定められた値の電圧を印加することによって検出する。図8は、搬送モータとしてのDCブラシモータ11eの駆動時間と、DCブラシモータ11eに流れる電流値の関係を示す図である。図9は、電流値確定手順を示すフローチャート図である。搬送経路11cからの排出トナー量を推定するために、搬送経路11c内の堆積トナー量と搬送経路11cへの流入トナー量を推定する。そのうち、搬送経路11c内の堆積トナー量を高い精度で推定するためには、可能な限り電流値が安定している状態において検知を実施する必要がある。DCブラシモータ11eの駆動時間は、検知期間開始時点T0を基点とする。図8において、検知期間開始時点T0からDCブラシモータ11eに流れる電流値の測定を開始し、所定時間ごとにDCブラシモータ11eに流れる電流値を測定する。測定した電流値が安定範囲内に収束した時点で、DCブラシモータ11eに流れる電流値を確定する。この確定した時点をT1とする。図9に示すように、電流値測定を開始してからまず、CPU205は、予め定めた所定電圧でDCブラシモータ11cを駆動させる(s901)。次に、CPU205は、DCブラシモータ電流値を測定する(s902)。次に、CPU205は、現在保持している測定結果が所定の数に至っているか否かを判別する(s903)。保持している測定結果が所定の数に至っていない場合、CPU205は、新しい測定結果を保持し(s904)、再びDCブラシモータ電流値を測定する(s902)。CPU205は、保持している測定結果が所定の数に至っている場合、新しい測定結果を保持し、最も古い測定結果を棄てる(s905)。次に、CPU205は、保持している測定結果の最大値と最小値の差が設定した安定判別範囲内閾値より小さいか否かを判別する(s906)。安定判別範囲内閾値より大きい場合、CPU205は、測定を開始してからの時間が強制終了時間に達しているかを判別する(s907)。測定経過時間が強制終了時間に達していない場合、CPU205は、再びDCブラシモータ電流値を測定する(s902)。測定経過時間が強制終了時間に達している場合、CPU205は、その時点で保持している測定結果の平均からDCブラシモータ電流値結果を確定する(s908)。そして、CPU205はDCブラシモータ電流値測定を終了する。(s906)において保持している測定結果の最大値と最小値の差が設定した安定判別範囲内閾値より小さい場合、CPU205は保持している測定結果の平均からDCブラシモータ電流値結果を確定する(s908)。そして、CPU205は、DCブラシモータ電流値測定を終了する。
【0020】
次に、図10乃至図13を用いて、算出された負荷トルクとDCブラシモータの目標の回転数に対応する最小限の基準電圧の決定の手順について説明する。図10は、基準電圧決定手順を示すフローチャート図である。図11は、DCブラシモータのT−I特性(負荷トルク対電流の特性)表(a)及び堆積トナー量と負荷トルクの関係図(b)である。図12は、流入トナー量と、中間転写体に形成されるトナー像であって転写材に転写される部分の画素数であるピクセルカウント値の関係を示す図である。図13は、DCブラシモータT−N特性表を示す図である。ここで、基準電圧決定手順とは、CPU205が搬送経路11c排出トナー量を推定し、推定した排出トナー量に応じて、基準電圧を決定するための手順である。CPU205は、図11(a)に示すDCブラシモータに用いるDCブラシモータT−I特性表から、上記確定電流値IcよりDCブラシモータ負荷トルク
を求める(S1001)。次に、CPU205は、図11(b)に示す搬送経路11c内に堆積するトナー量とDCブラシモータにかかる負荷トルクの関係から、求めた負荷トルクより搬送経路11c内堆積トナー量を推定する(S1002)。図11(a)、(b)に示す関係は、開発段階において予め用意しておき、CPU205のROM211、RAM212等に保持しておく。次にCPU205が、ピクセルカウント値を測定する(S1003)。ピクセルカウント値の測定は、図3に示す信号線から送られる画像データ信号をCPU205がカウントすることによって行う。また、CPU205は、その際の中間転写ベルト速度を保持する(S1004)。続けてCPU205は、図12に示すピクセルカウントと中間転写ベルトの回転速度と搬送経路11c流入トナー量の関係から、測定ピクセルカウント値と中間転写ベルト速度より搬送経路11c流入トナー量を推定する(S1005)。図12の関係は、開発段階において予め同定して用意しておき、CPU205のROM211、RAM212等に保持しておく。
【0021】
排出すべき排出トナー量Voutと、流入してくる流入トナー量Vinと、搬送経路内に堆積する堆積トナー量との関係は、式(1)のように表せる。ここで、k1は定数であり、開発段階であらかじめ決定されている。式(1)に、推定された流入トナー量と、推定された堆積トナー量を代入することにより、推定される排出トナー量を求めることが出来る(S1006)。また、DCブラシモータの目標の回転数Noutと排出トナー量との関係は、式(2)のように表せる。ここで、k2は定数であり、開発段階であらかじめ決定されている。式(2)に、式(1)で求めた排出トナー量Voutを代入することにより、DCブラシモータの目標の回転数Noutを求めることが出来る(S1007)。
【数1】
そして、CPU205は、図13に示すDCブラシモータT−N特性(負荷トルク対回転数特性)表から、求めたDCブラシモータ回転数とDCブラシモータにかかる負荷トルクより、基準電圧を決定する(S1008)。
【0022】
次に、DCブラシモータ駆動期間のうち搬送期間について説明する。搬送期間においてDCブラシモータは、検知期間で決定された基準電圧で駆動する。また、搬送期間中、CPU205は、定期的に検知期間実施判断を行い、必要に応じて検知期間を再度実施する。搬送期間における検知期間実施判断の手順について説明する。搬送期間中、CPU205は、定期的に搬送経路11c流入トナー量を推定し、その流入トナー量の変化に応じて検知期間実施判断を行う。搬送期間が開始するとCPU205はピクセルカウント値を定期的に測定する。測定毎に、測定ピクセルカウント値と測定した時点の中間転写ベルトの速度から搬送経路11c流入トナー量を推定する。推定した流入トナー量のうち、最新の所定回数分の値を平均し、その平均値を保持する。ここで、図14は、推定流入トナー量平均値と検知期間実施判断基準の関係を示す図である。保持した推定流入トナー量平均値と、検知期間中に確定した推定流入トナー量を比較し、その差分が一定量開いた際に、搬送期間を終了し、検知期間を再度実施する。
【0023】
次に、図15を用いて、実施例1に係る画像形成装置における、画像形成開始してから終了するまでのDCブラシモータの駆動について説明する。図15は、実施例1に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図である。まず、画像形成を開始すると、CPU205は電流値を確定する(S101)。次に、CPU205は、基準電圧を決定する(S102)。次に、CPU205は、搬送期間を開始し、先ずDCブラシモータを検知期間決定基準電圧で駆動する(S103)。次に、CPU205は、ピクセル
カウント値を測定する(S104)。次に、CPU205は、中間転写ベルト速度を保持する(S105)。次に、CPU205は、測定したピクセルカウント値と保持した中間転写ベルト速度から搬送経路流入トナー量を推定する(S106)。さらに、CPU205は、現在保持している流入トナー量が所定の数に至っているか否かを判別する(S107)。至っていない場合、CPU205は、新しい流入トナー量を保持して(S108)、再度ピクセルカウント値を測定し(S104)、中間転写ベルト速度を保持する(S105)。さらに、CPU205は、測定したピクセルカウント値と保持した中間転写ベルト速度から搬送経路流入トナー量を推定する(S106)。現在保持している流入トナー量が所定の数に至っている場合、CPU205は、新しい流入トナー量を保持し、最も古い流入トナー量を棄てる(S109)。そして、CPU205は、保持している流入トナー量の平均値を算出する(S110)。続いて、CPU205は、印刷指示確認をして(S111)、印刷指示が完了していた場合は、印刷動作を終了する。印刷指示が完了していなかった場合、続いて算出した流入トナー量平均値と検知期間で確定した流入トナー量の差分が検知期間実施判断基準閾値より大きいか否かを判別する(S112)。検知期間実施判断基準閾値より大きい場合は、検知期間の最初に戻り、電流値確定から再度実施する(S101)。検知期間実施判断基準閾値より小さい場合は、搬送期間最初に戻り、ピクセルカウント値を測定する(S104)ところから再度実施する。
【0024】
以上説明したように、実施例1に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧を印加し、DCブラシモータを駆動させることができ、その結果、DCブラシモータの駆動音による騒音を抑制することが出来る。
【0025】
(実施例2)
次に、図16を用いて、実施例2に係る画像形成装置について説明をする。なお、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下、実施例2に係る画像形成装置の搬送期間におけるプロセス速度変化、すなわち、中間転写ベルトの搬送速度の変化による検知期間実施判断手順について説明する。搬送期間中、CPU205は、搬送速度の変化に応じて検知期間を実施する。搬送速度の変化に応じて、かぶりトナー量が変化し、搬送経路11cから排出すべきトナー量が変化するためである。図16は、実施例2に係る画像形成装置の印刷(画像形成)開始から終了までのフローチャート図である。まず、画像形成を開始すると、CPU205は、電流値を確定する(S1501)。次に、CPU205は、基準電圧を決定する(S1502)。次に、CPU205は、検知期間で決定した基準電圧でDCブラシモータを駆動する(S1503)。次に、CPU205は、印刷指示確認をして(S1504)、印刷指示(画像形成指示)が完了していた場合は、印刷動作を終了する。印刷指示が完了していなかった場合、搬送速度が変化したか否かを判別する(S1505)。搬送速度が変化した場合、CPU205は、検知期間の最初に戻り、電流値確定から再度実施し(S1501)、基準電圧を再度設定する(S1502)。搬送速度が変化しなかった場合、CPU205は、搬送期間最初に戻り印刷指示確認を再度実行する(S1504)。
【0026】
以上説明したように、実施例2に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧を印加し、DCブラシモータを駆動させることができる。また、搬送するトナー量に応じて、DCブラシモータの回転数を変え、回転数変更判断を搬送速度の変化に応じて実行することができる。その結果、DCブラシモータの駆動音によ
る騒音を抑制することが出来る。
【0027】
(実施例3)
次に、図17及び図18を用いて、実施例3に係る画像形成装置について説明をする。なお、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下、実施例3に係る画像形成装置の印刷(画像形成)中におけるDCブラシモータ強制全速回転のアルゴリズムについて説明する。CPU205は印刷動作中、定期的にDCブラシモータ強制全速回転判断を実行し、必要に応じてDCブラシモータを一定時間、強制的に全速回転させる。図17は、実施例3に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図である。また、図18は、駆動電圧毎の電流上限値を示した図である。ここで、電流上限値は開発段階で予め決定されている。図17に示すように、CPU205は、印刷動作が完了しているか否か判別し(S1601)、完了している場合は印刷動作を終了する。完了していない場合、CPU205はDCブラシモータ電流を検知する(S1602)。その後、CPU205は、検知電流が検知時の駆動電圧に対応した電流上限値以上であるか否かを判別する(S1603)。検知時駆動電圧の電流上限値以上であった場合に、CPU205は、DCブラシモータ駆動制御を中断し(S1604)、所定時間DCブラシモータを全速回転数となるように搬送モータを制御する(S1605)。所定時間経過(S1606)した後、CPU205は、検知期間を開始する(S1607)。
【0028】
以上説明したように、実施例3に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧を印加し、DCブラシモータを駆動させることができる。また、突発的に搬送経路内のトナー堆積量が増えるような状態においても、搬送経路内のトナー量変化に柔軟に対応しつつ、搬送するトナー量に応じてDCブラシモータの回転数を変化させ、回転数変更判断を搬送速度の変化に応じて実行する。その結果、DCブラシモータの駆動音による騒音を抑制することが出来る。
【0029】
(実施例4)
次に、図19を用いて、実施例4に係る画像形成装置について説明をする。なお、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下、実施例4に係る画像形成装置の印刷開始時(画像形成開始時)におけるDCブラシモータ強制全速回転のアルゴリズムについて説明する。CPU205は印刷開始時、印刷開始以前に保持した情報から強制全速回転判断を実行し、必要に応じてDCブラシモータを一定時間強制全速回転させる。図19(a)は、印刷動作中(画像形成動作中)における次回の印刷開始時DCブラシモータ強制全速回転判別情報を保持するアルゴリズムについて示したフローチャートである。図19(b)は、印刷動作中(画像形成中)におけるDCブラシモータ強制全速回転のアルゴリズムについて示したフローチャートである。CPU205は、印刷指示完了時(S1801)において、前回の印刷動作中(画像形成動作中)に、トナーが中間転写ベルトから用紙に転写される前に印刷動作が中断されたか否かを判別する(S1802)。トナーが中間転写ベルトに乗る前に中断された、若しくは用紙に転写された後に中断された、若しくは中断されずに正常終了した場合は、CPU205は通常通り印刷動作を終了する。トナーが中間転写ベルト上にあり、中間転写ベルトから用紙に転写される前に印刷動作が中断されたか場合、CPU205はその時点でのピクセルカウント値が所定の値以上か否かを判別する(S1803)。所定値未満であった場合、CPU205は通常通り印刷動作を終了する。所定値以上であった場合、CPU205は印刷開始時DCブラシモータ強制全速回転指示情報をNVRAM(Non volatile RAM)に保持する(S1804)。次に、CPU205は印刷開始時において、NVRAMに印刷開始時DCブラシモータ強制全速回転指示情報が保持されているか否かを判別する(S1805)。保持されて
いなかった場合、CPU205は通常通りDCブラシモータ駆動制御を行い、印刷動作を終了する。保持されていた場合、CPU205は、所定時間、DCブラシモータに予め定めた全速回転時に対応する電圧を印加する全速回転制御を行うことにより、DCブラシモータを全速回転させる(S1806)。所定時間経過(S1807)した後、CPU205は、通常通りDCブラシモータ駆動制御(S1808)を行い、印刷動作を終了する。
【0030】
以上説明したように、実施例4に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧で印加し、DCブラシモータを駆動させることができる。また、印刷開始前に中間転写ベルト上若しくは搬送経路内のトナー量が多い状態において、搬送経路内のトナー量に対応しつつ、搬送するトナー量に応じて、DCブラシモータの回転数を変え、回転数変更判断を搬送速度の変化に応じて実行する。その結果、DCブラシモータの駆動音による騒音を抑制することが出来る。
【0031】
なお、上記各実施例では、搬送モータとしてDCブラシモータを例にとって説明したが、DCブラシモータに限定されるものではなく、DCブラシレスモータ、ACモータ、ステッピングモータ等の各種のモータを適用することもできる。また、モータの制御方式として、パルス幅変調(PWM)方式を採用した場合を例にとって説明したがアナログ方式で制御するようにしてもよい。また、上記実施例では、堆積トナー量に加えて、流入トナー量を推定することにより、排出トナー量を推定し、必要な回転数を決定しているが、堆積トナー量のみから排出トナー量を推定し、必要な回転数を決定してもよい。その場合、数式(1)のVinを一定量としてもよいし、場合によっては、ゼロとしてもよい。その場合でも、堆積トナー量に対する負荷トルクが決定されるので、必要とするトルクを決定することはできる。また、上記各実施例では、転写ベルトとして中間転写ベルトの構成で説明したが、転写材を担持搬送する転写材搬送ベルトを転写ベルトとして採用する画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…感光ドラム 10e…中間転写ベルト 11a…クリーニング部材 11b…搬送スクリュー 11c…搬送経路 11e…DCブラシモータ 12…トナー回収容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ベルトに付着したトナーを除去するためのクリーニング装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多色画像形成装置としてのカラーレーザプリンタにおいては、中間転写ベルト上にトナー像を一次転写する。その後、一次転写された中間転写ベルト上のトナー像を紙等の転写材に二次転写する。この際に、中間転写ベルト上にトナーが残留する場合がある。そこで、従来より、中間転写ベルト上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置が備えられる画像形成装置が知られている。クリーニング装置は、クリーニング部材と、搬送経路(トナーダクト)と、搬送スクリューと、搬送モータとを備えている。中間転写ベルト上に残った残留トナーは、クリーニング部材により掻き取られる。掻き取られたトナーは、搬送経路に堆積する。そして、搬送経路に堆積するトナーは、搬送スクリューの回転によりトナーを回収するトナー回収容器へと搬送される。搬送スクリューは、搬送モータの駆動により回転する。この種の搬送モータとしては、安価なDCブラシモータを用いるものが知られている。例えば、特許文献1において、トナーを収容するトナー収容器から二成分現像剤を収容する現像器にトナーを搬送し補給するためのスクリューを備える画像形成装置が開示されており、このスクリューを駆動するためにDCブラシモータが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−343826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上記のような搬送モータとしてのDCブラシモータは、トナー量に関わらず、あらゆる状況において確実にトナー搬送可能な回転数を維持できるように駆動制御されていた。したがって、DCブラシモータをフィードバックを受け取ることなく所定の目標値のみに基づいて制御する場合であって、トナー回収容器へ搬送するトナーの量が少量である場合、必要以上の回転数でDCブラシモータが駆動することとなってしまう。その結果、DCブラシモータの駆動による騒音が発生するという問題が生じることがあった。このような問題は、DCブラシモータに限らずほかのモータについても同様である。
【0005】
そこで、本発明は、中間転写体上の残留トナーを除去するクリーニング装置を備えた画像形成装置において、除去したトナーを排出する搬送モータの駆動による騒音の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体から転写材にトナー像を転写するための転写ベルトと、前記転写ベルトに残留したトナーを除去するクリーニング部材と、除去された残留トナーが堆積する搬送経路と、前記搬送経路に堆積した前記残留トナーを前記搬送経路からトナー回収容器へ搬送する搬送スクリューと、を備えるクリーニング装置と、前記搬送スクリューを駆動する搬送モータと、前記搬送モータに所定電圧を印加することで前記搬送モータを駆動制御するモータ駆動制御手段と、を有する画像形成装置において、予め定められた値の電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータに流れる電流値を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段で検出された電
流値に基づいて前記搬送モータの目標の回転数を決定し、前記目標の回転数に対応する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、を有し、前記モータ駆動制御手段は、前記所定電圧として前記基準電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータを駆動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送経路内のトナーを搬送するために必要な回転数と駆動トルクを担持する最小限の電圧である基準電圧を搬送モータに印加することで、適当な回転数になるように搬送モータを駆動させ、搬送モータの駆動による騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】実施例1に係る画像形成装置とその周辺のシステム構成を示す図
【図3】エンジン制御部とコントローラ部のインタフェース信号を示す図
【図4】実施例1に係る中間転写ベルトとクリーニング装置の断面図
【図5】実施例1に係るクリーニング装置とトナー回収容器の断面図
【図6】DCブラシモータについての回路図
【図7】PWM制御と電圧の関係について示す図
【図8】DCブラシモータの駆動時間と、電流値の関係を示す図
【図9】電流値確定手順を示すフローチャート図
【図10】基準電圧決定手順を示すフローチャート図
【図11】DCブラシモータのT−I特性表及び堆積トナー量と負荷トルクの関係図
【図12】流入トナー量とピクセルカウント値の関係を示す図
【図13】DCブラシモータのT−N特性表を示す図
【図14】推定流入トナー量平均値と検知期間実施判断基準の関係を示す図
【図15】実施例1に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【図16】実施例2に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【図17】実施例3に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【図18】駆動電圧毎の電流上限値を示した図
【図19】実施例4に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例として、画像形成装置としての電子写真方式のカラーレーザプリンタについて具体的に説明する。ただし、本発明は、レーザビームプリンタのみに限定するものでなく、複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に適用してもよい。また、本実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲を限定するものではない。
【0010】
(実施例1)
図1を用いて、実施例1に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、実施例1に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。実施例1に係る画像形成装置は、装置本体100に対して、着脱自在なプロセスカートリッジ3を備えている。プロセスカートリッジ3は、現像ユニット4a,4b,4c,4dと、クリーニングユニット5a,5b,5c,5dによって構成される。現像ユニット4は、現像ローラ6a,6b,6c,6dと、トナー塗布ローラ7a,7b,7c,7dと、トナー容器を有している。クリーニングユニット5は、像担持体としての感光ドラム1a,1b,1c,1dと、帯電ローラ2a,2b,2c,2dと、ドラムクリーニングブレード8a,8b,8c,8dとを有している。また、図1に示すように、プロセスカートリッジ3の鉛直下方には、スキャナユニット9が配置されている。帯電ローラ2によって所定の負極性の電位に帯電された感光ドラム1上に、スキャナユニット9からレーザ光が照射されることで、感
光ドラム1上(像担持体上)に静電潜像が形成される。
【0011】
次に、トナー像の一次転写について説明する。中間転写体としての中間転写ベルト10eは、駆動ローラ10fとテンションローラ10gに張架されている。中間転写ベルト10は、トナー像を転写材に転写するための転写ベルトである。感光ドラム1上に形成され
た静電潜像は、現像ローラ6によりトナーが供給されることによって可視化される。各感光ドラム1が、図2における時計周りに回転することで、中間転写ベルト10eが反時計周りに回転する。そして、一次転写ローラ10a,10b,10c,10dに正極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム1a上に可視化されたトナー像から順次、中間転写ベルト上(中間転写体上)に一次転写される。そして、中間転写ベルト上に転写された4色のトナー像は、重なった状態で二次転写部13まで搬送される。
【0012】
次に、トナー像の二次転写について説明する。用紙給送装置20に備えられる給送ローラ21および分離ローラ22の協働により、給紙カセット30内の用紙積載束から1枚ず
つ分離された転写材としての用紙Sは、レジストローラ対14を経由して、二次転写部13に搬送される。二次転写部13において、二次転写ローラ13aに正極性のバイアスを印加することにより、搬送された用紙Sに、中間転写ベルト10e上の4色のトナー像を二次転写する。トナー像転写後の用紙Sは、定着部15に搬送され、定着ローラ15aと加圧ローラ15bとによって加熱、加圧されることにより、その表面にトナー像が定着されることとなる。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラ対16に向けて搬送され、排紙トレイ17上へ排出される。
【0013】
次に、図2を用いて、実施例1に係る画像形成装置とその周辺のシステム構成について説明する。図2は、実施例1に係る画像形成装置とその周辺のシステム構成を示すブロック図である。図2に示すように、コントローラ部201によって、ホストコンピュータ200と、実施例1に係る画像形成装置が備えるエンジン制御部203とが相互に通信可能となっている。エンジン制御部203は、ビデオインタフェース部204と、CPU(中央演算処理装置)205と、画像処理GA(Genetic Algorithm)206と、画像制御部207と、定着制御部208と、転写材搬送部209と、駆動制御部210とを有する。さらに、ROM(Read Only Memory)211と、RAM(Random Access Memory)212と、MOTOR部213とを有する。コントローラ部201は、エンジン制御部から送信されたステータスデータを表示装置215に表示するとともに、ホストコンピュータ200にプリンタの状態を表示するためにステータスデータを送る。MOTOR部213は、搬送モータとしてのDCブラシモータ214を有している。また、CPU205は、検出部(不図示)によって、DCブラシモータ214に流れる電流を検出している。
【0014】
次に、図3を用いて、コントローラ部201とエンジン制御部203とを通信するインタフェースについて説明する。図3は、コントローラ部201とエンジン制御部203のインタフェース信号を示す図である。図3おいて、シリアルコマンド送信信号線103は、コントローラ部201からエンジン制御部203へ命令を送信するものである。シリアルコマンドステータス送信信号線104は、コマンドに応えてエンジン制御部203からコントローラ部201ヘシリアル通信でステータスデータを送信するものである。基準垂直同期信号線105は、エンジン制御部203からコントローラ部201へ基準の垂直同期信号を送信するものである。水平同期信号線106は、エンジン制御部203からコントローラ部201ヘイエローの水平同期信号を送信するものである。同様に、水平同期信号線107、108、109は、エンジン制御部203からコントローラ部201ヘマゼンタ、シアン、ブラックの水平同期信号を送信するものである。画像データ信号線110は、コントローラ部201からエンジン制御部203ヘイエローの画像データ信号を送信するものである。同様に、画像データ信号線111、112、113は、コントローラ部
201からエンジン制御部203ヘマゼンタ、シアン、ブラックの画像データ信号を送信するものである。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像情報と印字命令を受け取り、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換する。そして、ビデオインタフェース部204を介して、転写材毎に印字予約コマンド、印字開始コマンド及びビデオ信号をエンジン制御部203に送出する。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200からの印字命令に従って印字予約コマンドをエンジン制御部203へ送信し、印字可能な状態となったタイミングで、エンジン制御部203へ印字開始コマンドを送信する。エンジン制御部203は、コントローラ部201からの印字予約コマンドの順に印字の実行準備を行ない、コントローラ部201からの印字開始コマンドを待つ。エンジン制御部203は、印字指示信号を受信すると、コントローラ部201に、ビデオ信号の出力の基準タイミングとなる基準垂直同期信号(/TOP信号)を出力し、印字予約コマンドに従ってプリント動作を開始する。さらに、コントローラ部201は、表示装置215に接続されており、表示装置215はエンジン制御部203で演算された給紙カセット積載用紙残量及び警告等を表示する。
【0015】
次に、図4及び図5を用いて、実施例1に係る中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング装置について説明する。図4は、実施例1に係る中間転写ベルトとクリーニング装置の断面図である。図5は、実施例1に係るクリーニング装置とトナー回収容器の断面図である。クリーニング装置11には、クリーニング部材11aと、搬送スクリュー11bと、搬送経路11cと、搬送モータとしてのDCブラシモータ11eとが備えられている。クリーニング部材11aは、中間転写ベルト10eに当接して配置してあり、転写材としての用紙Sにトナー像を二次転写した後に中間転写ベルト10e上に残った残留トナーを掻き取り、除去する。図5に示すように、搬送経路11cは、クリーニング部材11a直下に配置されており、クリーニング部材11aにより掻き取られたトナーを堆積する。搬送スクリュー11bは、DCブラシモータ11eの駆動によって回転することで、搬送経路11c内に堆積したトナーをトナー回収容器12に向かう図5のA方向に搬送する。
【0016】
次に、図6を用いて、DCブラシモータの駆動回路について説明する。図6は、DCブラシモータについての回路図である。CPU205からDCブラシモータ11eのPWM(Pulse Width Modulation)駆動用としてPWM駆動信号702が出力される。CPU205は、回路701を介してDCブラシモータ11eの一端に接続されている。また、CPU205は、回路705を介してDCブラシモータ11eのもう一端に接続されており、DCブラシモータ11eの電流検知信号が入力される。DCブラシモータ11eは、抵抗704を介してグラウンドに接続されており、フライホイールダイオード703による回生電流を逃がすための回路に接続されている。
【0017】
次に、図7を用いて、PWM制御と電圧の関係について説明する。図7は、PWM制御と電圧の関係について示す図である。ここでPWM制御とは、電源電圧をパルス信号で入力する際に、デューティ比によって、投入する平均電圧を調節する制御である。デューティ比とは、パルス幅をパルス周期で割った値である。CPU205は、フィードバックを受け取ることなく所定の目標値のみに基づいて制御する開ループ制御を用いて、PWM駆動信号702のデューティ比を決定し、モータに投入する平均電圧(以下、駆動電圧)を設定する。
【0018】
次に、実施例1に係る画像形成装置の特徴部であるDCブラシモータの制御の概略について説明する。DCブラシモータ11eが駆動してから停止するまでの期間をDCブラシモータ駆動期間とする。実施例1において、上記駆動期間は、検知期間と搬送期間の2つの期間に分けられる。CPU205は、検知期間中、DCブラシモータに固定の駆動電圧を印加し、DCブラシモータに流れる電流値から、残留トナーが搬送経路に堆積すること
によりDCブラシモータにかかる負荷トルクを算出する。そして、CPU205は、負荷トルクに基づいて、排出すべき排出トナー量を推定する。ここで印加する駆動電圧は、搬送経路11c内に考えうる最大量のトナーが堆積されていた場合において定常回転可能な最小限の駆動電圧であり、予め開発段階で用意されているものである。CPU205が備える基準電圧設定手段は、検知期間において、搬送経路11cから排出すべきトナー量を推定し、推定した排出トナー量を搬送しうる回転数とトルクを担保した最小限の駆動電圧を求める。また、CPU205が備えるモータ駆動制御手段は、搬送期間において、検知期間で求めた駆動電圧を基準電圧としてDCブラシモータ11eを駆動する。
【0019】
次に、図8及び図9を用いて、上述した電流値の確定の手順について説明する。電流値は、CPU205の電流検出手段が、搬送モータとしてのDCブラシモータに予め定められた値の電圧を印加することによって検出する。図8は、搬送モータとしてのDCブラシモータ11eの駆動時間と、DCブラシモータ11eに流れる電流値の関係を示す図である。図9は、電流値確定手順を示すフローチャート図である。搬送経路11cからの排出トナー量を推定するために、搬送経路11c内の堆積トナー量と搬送経路11cへの流入トナー量を推定する。そのうち、搬送経路11c内の堆積トナー量を高い精度で推定するためには、可能な限り電流値が安定している状態において検知を実施する必要がある。DCブラシモータ11eの駆動時間は、検知期間開始時点T0を基点とする。図8において、検知期間開始時点T0からDCブラシモータ11eに流れる電流値の測定を開始し、所定時間ごとにDCブラシモータ11eに流れる電流値を測定する。測定した電流値が安定範囲内に収束した時点で、DCブラシモータ11eに流れる電流値を確定する。この確定した時点をT1とする。図9に示すように、電流値測定を開始してからまず、CPU205は、予め定めた所定電圧でDCブラシモータ11cを駆動させる(s901)。次に、CPU205は、DCブラシモータ電流値を測定する(s902)。次に、CPU205は、現在保持している測定結果が所定の数に至っているか否かを判別する(s903)。保持している測定結果が所定の数に至っていない場合、CPU205は、新しい測定結果を保持し(s904)、再びDCブラシモータ電流値を測定する(s902)。CPU205は、保持している測定結果が所定の数に至っている場合、新しい測定結果を保持し、最も古い測定結果を棄てる(s905)。次に、CPU205は、保持している測定結果の最大値と最小値の差が設定した安定判別範囲内閾値より小さいか否かを判別する(s906)。安定判別範囲内閾値より大きい場合、CPU205は、測定を開始してからの時間が強制終了時間に達しているかを判別する(s907)。測定経過時間が強制終了時間に達していない場合、CPU205は、再びDCブラシモータ電流値を測定する(s902)。測定経過時間が強制終了時間に達している場合、CPU205は、その時点で保持している測定結果の平均からDCブラシモータ電流値結果を確定する(s908)。そして、CPU205はDCブラシモータ電流値測定を終了する。(s906)において保持している測定結果の最大値と最小値の差が設定した安定判別範囲内閾値より小さい場合、CPU205は保持している測定結果の平均からDCブラシモータ電流値結果を確定する(s908)。そして、CPU205は、DCブラシモータ電流値測定を終了する。
【0020】
次に、図10乃至図13を用いて、算出された負荷トルクとDCブラシモータの目標の回転数に対応する最小限の基準電圧の決定の手順について説明する。図10は、基準電圧決定手順を示すフローチャート図である。図11は、DCブラシモータのT−I特性(負荷トルク対電流の特性)表(a)及び堆積トナー量と負荷トルクの関係図(b)である。図12は、流入トナー量と、中間転写体に形成されるトナー像であって転写材に転写される部分の画素数であるピクセルカウント値の関係を示す図である。図13は、DCブラシモータT−N特性表を示す図である。ここで、基準電圧決定手順とは、CPU205が搬送経路11c排出トナー量を推定し、推定した排出トナー量に応じて、基準電圧を決定するための手順である。CPU205は、図11(a)に示すDCブラシモータに用いるDCブラシモータT−I特性表から、上記確定電流値IcよりDCブラシモータ負荷トルク
を求める(S1001)。次に、CPU205は、図11(b)に示す搬送経路11c内に堆積するトナー量とDCブラシモータにかかる負荷トルクの関係から、求めた負荷トルクより搬送経路11c内堆積トナー量を推定する(S1002)。図11(a)、(b)に示す関係は、開発段階において予め用意しておき、CPU205のROM211、RAM212等に保持しておく。次にCPU205が、ピクセルカウント値を測定する(S1003)。ピクセルカウント値の測定は、図3に示す信号線から送られる画像データ信号をCPU205がカウントすることによって行う。また、CPU205は、その際の中間転写ベルト速度を保持する(S1004)。続けてCPU205は、図12に示すピクセルカウントと中間転写ベルトの回転速度と搬送経路11c流入トナー量の関係から、測定ピクセルカウント値と中間転写ベルト速度より搬送経路11c流入トナー量を推定する(S1005)。図12の関係は、開発段階において予め同定して用意しておき、CPU205のROM211、RAM212等に保持しておく。
【0021】
排出すべき排出トナー量Voutと、流入してくる流入トナー量Vinと、搬送経路内に堆積する堆積トナー量との関係は、式(1)のように表せる。ここで、k1は定数であり、開発段階であらかじめ決定されている。式(1)に、推定された流入トナー量と、推定された堆積トナー量を代入することにより、推定される排出トナー量を求めることが出来る(S1006)。また、DCブラシモータの目標の回転数Noutと排出トナー量との関係は、式(2)のように表せる。ここで、k2は定数であり、開発段階であらかじめ決定されている。式(2)に、式(1)で求めた排出トナー量Voutを代入することにより、DCブラシモータの目標の回転数Noutを求めることが出来る(S1007)。
【数1】
そして、CPU205は、図13に示すDCブラシモータT−N特性(負荷トルク対回転数特性)表から、求めたDCブラシモータ回転数とDCブラシモータにかかる負荷トルクより、基準電圧を決定する(S1008)。
【0022】
次に、DCブラシモータ駆動期間のうち搬送期間について説明する。搬送期間においてDCブラシモータは、検知期間で決定された基準電圧で駆動する。また、搬送期間中、CPU205は、定期的に検知期間実施判断を行い、必要に応じて検知期間を再度実施する。搬送期間における検知期間実施判断の手順について説明する。搬送期間中、CPU205は、定期的に搬送経路11c流入トナー量を推定し、その流入トナー量の変化に応じて検知期間実施判断を行う。搬送期間が開始するとCPU205はピクセルカウント値を定期的に測定する。測定毎に、測定ピクセルカウント値と測定した時点の中間転写ベルトの速度から搬送経路11c流入トナー量を推定する。推定した流入トナー量のうち、最新の所定回数分の値を平均し、その平均値を保持する。ここで、図14は、推定流入トナー量平均値と検知期間実施判断基準の関係を示す図である。保持した推定流入トナー量平均値と、検知期間中に確定した推定流入トナー量を比較し、その差分が一定量開いた際に、搬送期間を終了し、検知期間を再度実施する。
【0023】
次に、図15を用いて、実施例1に係る画像形成装置における、画像形成開始してから終了するまでのDCブラシモータの駆動について説明する。図15は、実施例1に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図である。まず、画像形成を開始すると、CPU205は電流値を確定する(S101)。次に、CPU205は、基準電圧を決定する(S102)。次に、CPU205は、搬送期間を開始し、先ずDCブラシモータを検知期間決定基準電圧で駆動する(S103)。次に、CPU205は、ピクセル
カウント値を測定する(S104)。次に、CPU205は、中間転写ベルト速度を保持する(S105)。次に、CPU205は、測定したピクセルカウント値と保持した中間転写ベルト速度から搬送経路流入トナー量を推定する(S106)。さらに、CPU205は、現在保持している流入トナー量が所定の数に至っているか否かを判別する(S107)。至っていない場合、CPU205は、新しい流入トナー量を保持して(S108)、再度ピクセルカウント値を測定し(S104)、中間転写ベルト速度を保持する(S105)。さらに、CPU205は、測定したピクセルカウント値と保持した中間転写ベルト速度から搬送経路流入トナー量を推定する(S106)。現在保持している流入トナー量が所定の数に至っている場合、CPU205は、新しい流入トナー量を保持し、最も古い流入トナー量を棄てる(S109)。そして、CPU205は、保持している流入トナー量の平均値を算出する(S110)。続いて、CPU205は、印刷指示確認をして(S111)、印刷指示が完了していた場合は、印刷動作を終了する。印刷指示が完了していなかった場合、続いて算出した流入トナー量平均値と検知期間で確定した流入トナー量の差分が検知期間実施判断基準閾値より大きいか否かを判別する(S112)。検知期間実施判断基準閾値より大きい場合は、検知期間の最初に戻り、電流値確定から再度実施する(S101)。検知期間実施判断基準閾値より小さい場合は、搬送期間最初に戻り、ピクセルカウント値を測定する(S104)ところから再度実施する。
【0024】
以上説明したように、実施例1に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧を印加し、DCブラシモータを駆動させることができ、その結果、DCブラシモータの駆動音による騒音を抑制することが出来る。
【0025】
(実施例2)
次に、図16を用いて、実施例2に係る画像形成装置について説明をする。なお、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下、実施例2に係る画像形成装置の搬送期間におけるプロセス速度変化、すなわち、中間転写ベルトの搬送速度の変化による検知期間実施判断手順について説明する。搬送期間中、CPU205は、搬送速度の変化に応じて検知期間を実施する。搬送速度の変化に応じて、かぶりトナー量が変化し、搬送経路11cから排出すべきトナー量が変化するためである。図16は、実施例2に係る画像形成装置の印刷(画像形成)開始から終了までのフローチャート図である。まず、画像形成を開始すると、CPU205は、電流値を確定する(S1501)。次に、CPU205は、基準電圧を決定する(S1502)。次に、CPU205は、検知期間で決定した基準電圧でDCブラシモータを駆動する(S1503)。次に、CPU205は、印刷指示確認をして(S1504)、印刷指示(画像形成指示)が完了していた場合は、印刷動作を終了する。印刷指示が完了していなかった場合、搬送速度が変化したか否かを判別する(S1505)。搬送速度が変化した場合、CPU205は、検知期間の最初に戻り、電流値確定から再度実施し(S1501)、基準電圧を再度設定する(S1502)。搬送速度が変化しなかった場合、CPU205は、搬送期間最初に戻り印刷指示確認を再度実行する(S1504)。
【0026】
以上説明したように、実施例2に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧を印加し、DCブラシモータを駆動させることができる。また、搬送するトナー量に応じて、DCブラシモータの回転数を変え、回転数変更判断を搬送速度の変化に応じて実行することができる。その結果、DCブラシモータの駆動音によ
る騒音を抑制することが出来る。
【0027】
(実施例3)
次に、図17及び図18を用いて、実施例3に係る画像形成装置について説明をする。なお、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下、実施例3に係る画像形成装置の印刷(画像形成)中におけるDCブラシモータ強制全速回転のアルゴリズムについて説明する。CPU205は印刷動作中、定期的にDCブラシモータ強制全速回転判断を実行し、必要に応じてDCブラシモータを一定時間、強制的に全速回転させる。図17は、実施例3に係る画像形成装置の印刷開始から終了までのフローチャート図である。また、図18は、駆動電圧毎の電流上限値を示した図である。ここで、電流上限値は開発段階で予め決定されている。図17に示すように、CPU205は、印刷動作が完了しているか否か判別し(S1601)、完了している場合は印刷動作を終了する。完了していない場合、CPU205はDCブラシモータ電流を検知する(S1602)。その後、CPU205は、検知電流が検知時の駆動電圧に対応した電流上限値以上であるか否かを判別する(S1603)。検知時駆動電圧の電流上限値以上であった場合に、CPU205は、DCブラシモータ駆動制御を中断し(S1604)、所定時間DCブラシモータを全速回転数となるように搬送モータを制御する(S1605)。所定時間経過(S1606)した後、CPU205は、検知期間を開始する(S1607)。
【0028】
以上説明したように、実施例3に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧を印加し、DCブラシモータを駆動させることができる。また、突発的に搬送経路内のトナー堆積量が増えるような状態においても、搬送経路内のトナー量変化に柔軟に対応しつつ、搬送するトナー量に応じてDCブラシモータの回転数を変化させ、回転数変更判断を搬送速度の変化に応じて実行する。その結果、DCブラシモータの駆動音による騒音を抑制することが出来る。
【0029】
(実施例4)
次に、図19を用いて、実施例4に係る画像形成装置について説明をする。なお、実施例1と同じ部分についての説明は割愛し、以下、実施例4に係る画像形成装置の印刷開始時(画像形成開始時)におけるDCブラシモータ強制全速回転のアルゴリズムについて説明する。CPU205は印刷開始時、印刷開始以前に保持した情報から強制全速回転判断を実行し、必要に応じてDCブラシモータを一定時間強制全速回転させる。図19(a)は、印刷動作中(画像形成動作中)における次回の印刷開始時DCブラシモータ強制全速回転判別情報を保持するアルゴリズムについて示したフローチャートである。図19(b)は、印刷動作中(画像形成中)におけるDCブラシモータ強制全速回転のアルゴリズムについて示したフローチャートである。CPU205は、印刷指示完了時(S1801)において、前回の印刷動作中(画像形成動作中)に、トナーが中間転写ベルトから用紙に転写される前に印刷動作が中断されたか否かを判別する(S1802)。トナーが中間転写ベルトに乗る前に中断された、若しくは用紙に転写された後に中断された、若しくは中断されずに正常終了した場合は、CPU205は通常通り印刷動作を終了する。トナーが中間転写ベルト上にあり、中間転写ベルトから用紙に転写される前に印刷動作が中断されたか場合、CPU205はその時点でのピクセルカウント値が所定の値以上か否かを判別する(S1803)。所定値未満であった場合、CPU205は通常通り印刷動作を終了する。所定値以上であった場合、CPU205は印刷開始時DCブラシモータ強制全速回転指示情報をNVRAM(Non volatile RAM)に保持する(S1804)。次に、CPU205は印刷開始時において、NVRAMに印刷開始時DCブラシモータ強制全速回転指示情報が保持されているか否かを判別する(S1805)。保持されて
いなかった場合、CPU205は通常通りDCブラシモータ駆動制御を行い、印刷動作を終了する。保持されていた場合、CPU205は、所定時間、DCブラシモータに予め定めた全速回転時に対応する電圧を印加する全速回転制御を行うことにより、DCブラシモータを全速回転させる(S1806)。所定時間経過(S1807)した後、CPU205は、通常通りDCブラシモータ駆動制御(S1808)を行い、印刷動作を終了する。
【0030】
以上説明したように、実施例4に係る画像形成装置においては、搬送モータとしてDCブラシモータを用いて、CPUからのPWM信号で駆動電圧を制御し、所定の目標値のみに基づいてDCブラシモータを駆動させるオープンループ制御を行う。このように安価な構成においても、排出すべきトナー量を推定することで、搬送経路内のトナーを搬送するのに必要な最小限の駆動電圧で印加し、DCブラシモータを駆動させることができる。また、印刷開始前に中間転写ベルト上若しくは搬送経路内のトナー量が多い状態において、搬送経路内のトナー量に対応しつつ、搬送するトナー量に応じて、DCブラシモータの回転数を変え、回転数変更判断を搬送速度の変化に応じて実行する。その結果、DCブラシモータの駆動音による騒音を抑制することが出来る。
【0031】
なお、上記各実施例では、搬送モータとしてDCブラシモータを例にとって説明したが、DCブラシモータに限定されるものではなく、DCブラシレスモータ、ACモータ、ステッピングモータ等の各種のモータを適用することもできる。また、モータの制御方式として、パルス幅変調(PWM)方式を採用した場合を例にとって説明したがアナログ方式で制御するようにしてもよい。また、上記実施例では、堆積トナー量に加えて、流入トナー量を推定することにより、排出トナー量を推定し、必要な回転数を決定しているが、堆積トナー量のみから排出トナー量を推定し、必要な回転数を決定してもよい。その場合、数式(1)のVinを一定量としてもよいし、場合によっては、ゼロとしてもよい。その場合でも、堆積トナー量に対する負荷トルクが決定されるので、必要とするトルクを決定することはできる。また、上記各実施例では、転写ベルトとして中間転写ベルトの構成で説明したが、転写材を担持搬送する転写材搬送ベルトを転写ベルトとして採用する画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…感光ドラム 10e…中間転写ベルト 11a…クリーニング部材 11b…搬送スクリュー 11c…搬送経路 11e…DCブラシモータ 12…トナー回収容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体から転写材にトナー像を転写するための転写ベルトと、
前記転写ベルトに残留したトナーを除去するクリーニング部材と、除去された残留トナーが堆積する搬送経路と、前記搬送経路に堆積した前記残留トナーを前記搬送経路からトナー回収容器へ搬送する搬送スクリューと、を備えるクリーニング装置と、
前記搬送スクリューを駆動する搬送モータと、
前記搬送モータに所定電圧を印加することで前記搬送モータを駆動制御するモータ駆動制御手段と、を有する画像形成装置において、
予め定められた値の電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータに流れる電流値を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流値に基づいて前記搬送モータの目標の回転数を決定し、前記目標の回転数に対応する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、を有し、
前記モータ駆動制御手段は、前記所定電圧として前記基準電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータを駆動制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記基準電圧設定手段は、
予め定められた前記搬送モータの負荷トルク対電流の特性から、前記電流検出手段で検出された電流値に対応する負荷トルクを算出し、
予め定められた前記搬送経路内の堆積トナー量と負荷トルクとの関係から、前記算出された負荷トルクに対応する堆積トナー量を推定し、
予め定められた堆積トナー量と排出トナー量の関係から、前記推定された堆積トナー量に対応して排出すべき排出トナー量を推定し、
予め定められた排出トナー量と搬送モータの回転数との関係から、前記推定された排出トナー量に対応する搬送モータの目標の回転数を決定し、
予め定められた前記搬送モータの負荷トルク対回転数の特性から、前記算出された負荷トルクと前記目標の回転数に対応する最小限の基準電圧を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ベルトは、前記像担持体からトナー像が一次転写される中間転写体であり、
前記基準電圧設定手段は、前記中間転写体上に形成されたトナー像であって、転写材に二次転写される部分の画素数であるピクセルカウント値を測定し、予め定められているピクセルカウント値と前記中間転写体の搬送速度に対応する流入トナー量の関係から、前記測定されたピクセルカウント値と前記中間転写体の搬送速度に対応する流入トナー量を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前回の画像形成動作中に、トナーが前記中間転写体に一次転写される前に画像形成動作が中断され、かつ、前記中間転写体上に形成されたトナー像であって転写材に転写される部分のピクセルカウント値が予め定められた所定値以上の場合には、次回の画像形成開始時に前記搬送モータを予め設定された全速回転制御を行う強制全速回転指示情報を保持する手段を有し、
前記強制全速回転指示情報を保持している場合には、画像形成開始時に、所定時間、前記搬送モータに予め定めた全速回転時に対応する電圧を印加して全速回転制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成指示が完了する前に、前記中間転写体の搬送速度が変更されたか否かを判別し、変更されている場合に前記基準電圧設定手段により前記基準電圧を再度設定する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成指示が完了する前に、定期的に前記搬送モータの電流値が予め定められた上限値以上になったかどうかを判別し、上限値以上になった場合に、前記搬送モータを強制的に予め定めた全速回転数となるように前記搬送モータを制御する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送モータはDCブラシモータであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体から転写材にトナー像を転写するための転写ベルトと、
前記転写ベルトに残留したトナーを除去するクリーニング部材と、除去された残留トナーが堆積する搬送経路と、前記搬送経路に堆積した前記残留トナーを前記搬送経路からトナー回収容器へ搬送する搬送スクリューと、を備えるクリーニング装置と、
前記搬送スクリューを駆動する搬送モータと、
前記搬送モータに所定電圧を印加することで前記搬送モータを駆動制御するモータ駆動制御手段と、を有する画像形成装置において、
予め定められた値の電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータに流れる電流値を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流値に基づいて前記搬送モータの目標の回転数を決定し、前記目標の回転数に対応する基準電圧を設定する基準電圧設定手段と、を有し、
前記モータ駆動制御手段は、前記所定電圧として前記基準電圧を前記搬送モータに印加して、前記搬送モータを駆動制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記基準電圧設定手段は、
予め定められた前記搬送モータの負荷トルク対電流の特性から、前記電流検出手段で検出された電流値に対応する負荷トルクを算出し、
予め定められた前記搬送経路内の堆積トナー量と負荷トルクとの関係から、前記算出された負荷トルクに対応する堆積トナー量を推定し、
予め定められた堆積トナー量と排出トナー量の関係から、前記推定された堆積トナー量に対応して排出すべき排出トナー量を推定し、
予め定められた排出トナー量と搬送モータの回転数との関係から、前記推定された排出トナー量に対応する搬送モータの目標の回転数を決定し、
予め定められた前記搬送モータの負荷トルク対回転数の特性から、前記算出された負荷トルクと前記目標の回転数に対応する最小限の基準電圧を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ベルトは、前記像担持体からトナー像が一次転写される中間転写体であり、
前記基準電圧設定手段は、前記中間転写体上に形成されたトナー像であって、転写材に二次転写される部分の画素数であるピクセルカウント値を測定し、予め定められているピクセルカウント値と前記中間転写体の搬送速度に対応する流入トナー量の関係から、前記測定されたピクセルカウント値と前記中間転写体の搬送速度に対応する流入トナー量を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前回の画像形成動作中に、トナーが前記中間転写体に一次転写される前に画像形成動作が中断され、かつ、前記中間転写体上に形成されたトナー像であって転写材に転写される部分のピクセルカウント値が予め定められた所定値以上の場合には、次回の画像形成開始時に前記搬送モータを予め設定された全速回転制御を行う強制全速回転指示情報を保持する手段を有し、
前記強制全速回転指示情報を保持している場合には、画像形成開始時に、所定時間、前記搬送モータに予め定めた全速回転時に対応する電圧を印加して全速回転制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成指示が完了する前に、前記中間転写体の搬送速度が変更されたか否かを判別し、変更されている場合に前記基準電圧設定手段により前記基準電圧を再度設定する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成指示が完了する前に、定期的に前記搬送モータの電流値が予め定められた上限値以上になったかどうかを判別し、上限値以上になった場合に、前記搬送モータを強制的に予め定めた全速回転数となるように前記搬送モータを制御する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送モータはDCブラシモータであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−76894(P2013−76894A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217391(P2011−217391)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]