画像形成装置
【課題】ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置は、ユーザー名と判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面を操作パネル101の液晶表示部11に表示させる主制御部110を備えている。
【解決手段】この画像形成装置は、ユーザー名と判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面を操作パネル101の液晶表示部11に表示させる主制御部110を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作画面を表示する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々のメニューやメッセージなどを表示する操作パネルを備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1の画像形成装置は、複写機である。そして、操作パネルは、コピーの実行に際して、コピーに関する各種設定をユーザーから受け付けるための設定画面(操作画面)を表示する。
【0003】
ところで、オフィスなどにおいては、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが1台の画像形成装置を共同で利用する場合がある。たとえば、英語圏のユーザーと日本語圏のユーザーとが混在していたとする。この場合、画像形成装置の言語設定が英語に設定されていれば、操作パネルに表示されるメニューやメッセージが英語となるので、日本語圏のユーザーにとっては装置の使い勝手が悪くなる。逆に、画像形成装置の言語設定が日本語に設定されていれば、英語圏のユーザーにとっては装置の使い勝手が悪くなる。
【0004】
このことを考慮して、操作パネルを備えた画像形成装置では、表示言語が切り換え可能になっているものが多い。このため、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが同一の画像形成装置を利用する環境であっても、各ユーザーは自身の使用する言語を表示言語とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−119176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、言語設定を設定変更する場合、ユーザーは、言語設定を設定変更するための何らかの操作を操作パネルに対して行う。たとえば、操作パネルには、システムメニューキーが設けられている。システムメニューキーをユーザーが押下すると、複数の設定項目が操作パネルに羅列表示され、続いて、操作パネルに羅列表示された複数の設定項目のうちから言語設定をユーザーが押下すると、表示言語として設定可能な複数種の言語が操作パネルに羅列表示される。これによって、ユーザーは、表示言語を所望の言語に設定変更することができる。
【0007】
このように、言語設定を設定変更するには、ユーザーが操作パネルに対して数々の操作を行う必要がある。したがって、ユーザーからすると、言語設定の設定変更は煩わしく、利便性が悪い。
【0008】
特に、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが1台の画像形成装置を共同で利用する環境においては、ユーザーは、自身の使用する言語を表示言語とするため、言語設定を頻繁に設定変更しなければならない。したがって、このような環境では、ユーザーの利便性がさらに悪化する。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、ユーザー名の入力操作を受け付けるとともに、複数種の言語で操作画面を表示する操作表示部と、複数種の言語にそれぞれ応じた操作画面を表示するための操作画面情報、および、ユーザーが使用する言語をユーザー名から判別するための判別情報、を記憶する記憶部と、ユーザー名と判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面を操作表示部に表示させる制御部と、を備えている。
【0011】
本発明の構成によると、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面を操作表示部に表示させる。これにより、ユーザーからすると、ユーザー名を入力するだけで、自身が使用する言語が表示言語として設定されるので、言語設定を設定変更するための操作を行わなくてもよくなる。すなわち、本発明の構成では、言語設定の設定変更をユーザーに行ってもらう必要がないので、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことができる。なお、本発明の構成は、特に、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが同一の画像形成装置を利用する環境(言語設定が頻繁に設定変更される環境)において、著しい効果を奏する。
【0012】
上記した構成において、好ましくは、判別情報は、ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための情報、ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための情報、および、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための情報、のうちの少なくとも1つの情報を含む。このような判別情報を用いると、容易に、ユーザー名から、ユーザーの使用する言語を判別することができる。
【0013】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国の基準に基づき用紙設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、用紙設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0014】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国のカントリーコードに基づきカントリーコード設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、カントリーコード設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0015】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、判別した国のタイムゾーンに基づきタイムゾーン設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、タイムゾーン設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0016】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、操作表示部は、メールアドレスの入力操作を受け付けるときに、制御部が判別した国の国別コードトップレベルドメインのリストを表示する。このように構成すれば、ユーザーからすると、メールアドレスの国別コードトップレベルドメインを入力する際に、操作表示部に表示されたリストから所望の国別コードトップレベルドメインを選択するだけでよいので、国別コードトップレベルドメインの入力が平易になる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0017】
上記した構成において、好ましくは、操作表示部は、ログインのためのユーザー認証画面を表示し、制御部は、ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と判別情報とに基づいて判別動作を行う。このように構成すれば、ユーザーからすると、ログインするだけで、設定操作を別途行うことなく、設定内容を自身が使い易い設定にすることができる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をさらに向上させることができる。この場合、操作表示部は、ログアウトの指示を受け付けるためのログアウトキーを有し、制御部は、操作表示部がログアウトの指示を受け付けたとき、ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と判別情報とに基づいた設定内容をリセットすることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことが可能な画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の概略図
【図2】図1に示した画像形成装置の操作パネル(操作表示部)の平面図
【図3】図1に示した画像形成装置の画像形成部を示した概略図
【図4】図1に示した画像形成装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図5】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ユーザー認証画面の図)
【図6】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ユーザー名入力画面の図)
【図7】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(パスワード入力画面の図)
【図8】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ユーザー認証画面にユーザー名およびパスワードが入力された図)
【図9】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ダイアクリティカルマークを有する文字を入力するためのソフトウェアキーボードの図)
【図10】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(日本語を使った設定画面の図)
【図11】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(英語を使った設定画面の図)
【図12】図1に示した画像形成装置で行われる言語判別の方法を説明するための図(ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための第1判別情報の概念図)
【図13】図1に示した画像形成装置で行われる言語判別の方法を説明するための図(ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための第2判別情報の概念図)
【図14】図1に示した画像形成装置で行われる言語判別の方法を説明するための図(国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための第3判別情報の概念図)
【図15】図1に示した画像形成装置において言語設定を設定変更するときの動作を説明するためのフローチャート
【図16】図1に示した画像形成装置において、用紙設定、タイムゾーン設定およびカントリーコード設定を設定変更するときの動作を説明するためのフローチャート
【図17】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(メールアドレス入力画面の図)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置100について説明する。
【0021】
本実施形態の画像形成装置100は、たとえば、タンデム方式のカラー複合機であり、コピー、プリント、スキャナおよびファックスなどの複数種のジョブを実行することができる。また、画像形成装置100は、ログインしたユーザーにのみ装置の使用(または、特定の機能の使用)を許可する機能も有する。たとえば、ユーザーは、画像形成装置100の使用に際して、ログインのためのユーザー認証を受ける。そして、ログインしたユーザーは、与えられた権限の範囲内で画像形成装置100の使用が許可される。なお、ログインのためのユーザー認証については、後で詳細に述べる。
【0022】
この画像形成装置100の構成としては、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などを備える。
【0023】
操作パネル101は、操作表示部に相当し、たとえば、図1中の破線で示された箇所に配置される。この操作パネル101には、図2に示すように、液晶表示部11が設けられている。液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよびソフトキーが表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。そして、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたソフトキーを押下することで、各種設定などを行うことができる。なお、液晶表示部11は、その表示面がタッチパネルで覆われた形態をとる。これにより、液晶表示部11に表示されたソフトキーがユーザーによって押下されたとき(タッチパネルが押下されたとき)、タッチパネルの出力に基づいて押下位置の座標を検出できるようになっている。
【0024】
また、操作パネル101には、テンキー12やスタートキー13などのハードキーが設けられている。テンキー12は、数値入力が必要な設定指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。スタートキー13は、各種ジョブの実行開始の指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。
【0025】
さらに、操作パネル101には、コピーキー14、送信キー15およびボックスキー16などのハードキーも設けられている。そして、コピーキー14がユーザーによって押下されると、コピーを利用する上で必要なソフトキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。送信キー15がユーザーによって押下されると、スキャナおよびファックスを利用する上で必要なソフトキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。ボックスキー16がユーザーによって押下されると、ボックスを利用する上で必要なソフトキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。なお、ボックスというのは、ボックスと呼ばれる所定の保存領域(たとえば、後述する記憶部113に設けられたフォルダ)に画像データなどを保存しておくジョブである。
【0026】
図1に戻って、画像読取部102は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。この画像読取部102は、コンタクトガラス21に載置される原稿にビームを照射し、その原稿の反射ビームを受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換することにより、画像データを生成する。これにより、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー)。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを蓄積することもできる(スキャナ)。なお、画像読取部102による原稿の読み取り時には、コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えることができる。
【0027】
給紙部103は、記録媒体としての用紙Pを収容するカセット31を複数有し、それら複数のカセット31に収容された用紙Pを搬送路104に供給する。また、この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー32や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー対33などが設けられている。
【0028】
搬送路104は、装置内部において用紙Pを搬送するものである。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、中間転写部106および定着部107をこの順番で通過して排出トレイ109に導かれる。この搬送路104には、用紙Pを中間転写部106の手前で待機させ、タイミングを合わせて中間転写部106に送り出すレジストローラー対41などが設けられている。
【0029】
画像形成部105は、画像データに基づいてトナー像を形成するものであって、4色分の画像形成部50(ブラックのトナー像を形成する画像形成部50Bk、イエローのトナー像を形成する画像形成部50Y、シアンのトナー像を形成する画像形成部50C、および、マゼンダのトナー像を形成する画像形成部50M)と、露光装置5とを備えている。なお、画像形成部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、互いに異なる色のトナー像を形成するが、いずれも基本的に同様の構成である。したがって、以下の説明では、各色を表す符号(Bk、Y、CおよびM)を省略する。
【0030】
各画像形成部50のそれぞれは、図3に示すように、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置3および清掃装置4を含んでいる。
【0031】
各感光体ドラム1は、外周面にトナー像を担持するものであって、外周面に感光層を有するとともに、周方向に回転可能に支持されている。各帯電装置2は、対応する感光体ドラム1を一定の電位で帯電させる。各現像装置3は、対応する色の現像剤を収容し、対応する感光体ドラム1にトナーを供給する。各清掃装置4は、対応する感光体ドラム1の清掃を行う。そして、各感光体ドラム1の外周面は、露光装置5によって露光される。これにより、各感光体ドラム1の外周面に静電潜像が形成される。
【0032】
露光装置5は、図示しないが、半導体レーザー素子、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、Fθレンズおよび反射ミラーなどを含む。なお、これら露光装置5の構成部材は、各色の画像形成部50に対して1セットずつ設けられていてもよい。あるいは、半導体レーザー素子、Fθレンズおよび反射ミラーのみを各色の画像形成部50に対して1セットずつ設け、ポリゴンミラーおよびポリゴンモーターについては2色分(または、4色分)の画像形成部50で共用してもよい。
【0033】
図1に戻って、中間転写部106は、画像形成部105からトナー像の1次転写を受けた後、用紙Pに2次転写を行う。中間転写部106は、中間転写ベルト61と、各画像形成部50にそれぞれ割り当てられた1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mとを少なくとも含んでいる。1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mは、対応する画像形成部50(具体的には、感光体ドラム1)との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0034】
また、中間転写部106は、駆動ローラー63および従動ローラー64も含んでいる。そして、駆動ローラー63および従動ローラー64は、1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mと共に、中間転写ベルト61を張架している。このため、駆動ローラー63が回転駆動すると、中間転写ベルト61が循環移動する。
【0035】
さらに、中間転写部106は、2次転写ローラー65も含んでいる。この2次転写ローラー65は、駆動ローラー63との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0036】
そして、各画像形成部50で形成されたトナー像は、転写用電圧が印加された1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mにより、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト61に1次転写される。すなわち、中間転写ベルト61にフルカラートナー像が転写される。その後、中間転写ベルト61に1次転写されたトナー像は、転写用電圧が印加された2次転写ローラー65により、用紙Pに2次転写される。
【0037】
また、中間転写部106は、ベルト清掃装置66も含んでいる。そして、このベルト清掃装置66によって、中間転写ベルト61から用紙Pへのトナー像の2次転写の後、中間転写ベルト61の清掃が行われる。
【0038】
定着部107は、用紙Pに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させるものである。この定着部107は、発熱源を内蔵する定着ローラー71と、定着ローラー71に圧接される加圧ローラー72とを含んでいる。そして、トナー像が2次転写された用紙Pは、定着ローラー71と加圧ローラー72との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。
【0039】
そして、用紙Pは、定着部107を通過した後、排出トレイ109に排出される。これによって、画像形成処理が完了する。
【0040】
また、両面搬送路108は、両面印刷を可能とするものである。この両面搬送路108は、定着ローラー71および加圧ローラー72の下流側おいて搬送路104と分岐し、レジストローラー対41の上流側において搬送路104と合流している。そして、両面搬送路108には、搬送路104との分岐点に配置された切替爪81、排出トレイ109に繋がる排出口109aに配置されているとともに正逆回転の切り換えが可能な排出ローラー対82、および、用紙Pを搬送する搬送ローラー対83などが設けられている。
【0041】
両面印刷を行う場合、切替爪81は、両面搬送路108を閉じるポジションとなり、定着部107から送られた用紙Pを排出トレイ109に導く。また、排出ローラー対82は、ひとまず正回転して用紙Pの一部分を排出トレイ109に排出する。この後、排出ローラー対82は、用紙Pが排出ローラー対82を通過しきる前に逆回転する。このとき、切替爪81は、両面搬送路108を開く方向に回動する。これにより、片面印刷された用紙Pは、両面搬送路108に導かれる。
【0042】
両面搬送路108に導かれた用紙Pは、搬送ローラー対83により搬送され、レジストローラー対41の上流側に至る。そして、再び、中間転写部106から定着部107へと送られる。このときには、用紙Pの表裏が逆転しているので、用紙Pの裏面(未印刷面)に対して、2次転写処理および定着処理がなされる。そして、両面印刷が終わった用紙Pは、排出トレイ109に排出される。
【0043】
次に、図4を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0044】
画像形成装置100は、主制御部110を有する。この主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111や画像処理部112などを含む。また、主制御部110は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などと接続されている。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶された各種のプログラムおよびデータに基づき、各部の制御や演算などを行う。なお、主制御部110は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモーターのオン/オフを制御するエンジン制御部とに分割されていてもよい。
【0045】
記憶部113は、ROM113a、RAM113bおよびHDD113cなどの揮発性の記憶装置と不揮発性の記憶装置とを含む。そして、記憶部113に記憶された各種のプログラムおよびデータは、ROM113aに記憶され、RAM113bに展開される。
【0046】
記憶部113に記憶されるプログラムとしては、複数種のジョブをそれぞれ実行するための複数のアプリケーションプログラムがあり、たとえば、コピーを実行するためのコピーアプリ、プリントを実行するためのプリントアプリ、スキャナを実行するためのスキャナアプリ、ファックスを実行するためのファックスアプリ、および、ボックスを実行するためのボックスアプリなどが挙げられる。なお、これら基本的なジョブに対応したアプリ以外の種々のアプリなどが記憶されていてもよい。
【0047】
また、主制御部110は、通信部114と接続される。通信部114は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、ケーブル)を介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる(プリント)。さらに、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる(スキャナ)。さらに、たとえば、通信部114にモデムなどを内蔵してもよく、この場合、電話回線などのネットワークを介して、外部のファックス装置300とファックス通信を行うことができる(ファックス)。
【0048】
主制御部110に接続される操作パネル101は、表示制御部17を有する。表示制御部17は、CPUやICなどからなり、液晶表示部11の表示動作を制御する。また、表示制御部17は、液晶表示部11(タッチパネル)に表示されたソフトキーがユーザーによって押下されると、タッチパネルの出力を受けて押下位置の座標を特定する。これによって、液晶表示部11に対してユーザーが押下した位置(選択したソフトキー)が特定される。たとえば、タッチパネルの出力と押下位置の座標との対応を示すテーブルなどのデータは、記憶部18(あるいは、記憶部113)に記憶される。なお、表示制御部17の機能を主制御部110に持たせてもよい。
【0049】
この操作パネル101は、ログインのためのユーザー認証の入力操作(ユーザー名およびパスワードの入力操作)をユーザーから受け付ける。たとえば、操作パネル101に設けられたシステムメニューキー19(図2参照)がユーザーに押下されると、液晶表示部11は、ユーザー認証という項目を含む種々の設定項目を羅列表示する。そして、ユーザー認証をユーザーが選択(押下)すれば、液晶表示部11は、図5に示すようなユーザー認証画面A(ユーザー名およびパスワードの入力操作をユーザーから受け付けるための画面)を表示する。
【0050】
ユーザー認証画面Aには、「キーボード」というソフトキーSK1およびSK2が設けられている。液晶表示部11は、ソフトキーSK1がユーザーによって押下されると、図6に示すようなユーザー名入力画面B1(複数のソフトキーからなるキーボードKBを含む画面)を表示し、ソフトキーSK2がユーザーによって押下されると、図7に示すようなパスワード入力画面B2(複数のソフトキーからなるキーボードKBを含む画面)を表示する。
【0051】
これによって、ユーザーは、各入力画面(ユーザー名入力画面B1およびパスワード入力画面B2)のキーボードKBを使って、ユーザー名およびパスワードを入力することができる。なお、ユーザー名およびパスワードはどのような順番で入力を行ってもよい。たとえば、ユーザー名入力画面B1においてユーザー名の入力が終わった後、「パスワード」というソフトキーSK3を押下すると、パスワード入力画面B2に移行し、引き続き、パスワードの入力を行うことができる。また、パスワード入力画面B2においてパスワードの入力が終わった後、「ユーザー名」というソフトキーSK4を押下すると、ユーザー名入力画面B1に移行し、引き続き、ユーザー名の入力を行うことができる。
【0052】
ユーザーは、各入力画面(ユーザー名入力画面B1およびパスワード入力画面B2)での入力操作を終えた後、「OK」というソフトキーSK5を押下する。これにより、液晶表示部11は、図8に示すように、ユーザー名およびパスワードが入力されたユーザー認証画面Aを表示する。
【0053】
この後、ユーザー認証画面Aの「ログイン」というソフトキーSK6がユーザーによって押下されると、主制御部110は、新たに入力されたユーザー情報(ユーザー名およびパスワード)が認証可能なユーザー情報か否かを判断する。たとえば、主制御部110は、新たに入力されたユーザー情報が予め登録されたユーザー情報と合致するか否かを判断し、合致した場合にログインを許可する。この主制御部110による認証判断の基となるユーザー情報は、認証を受けるユーザーが予め登録しておいたユーザー情報であり、たとえば、記憶部113に記憶されている。
【0054】
また、ユーザーは、ログアウトする場合、操作パネル101に設けられたログアウトキー20(図2参照)を押下する。
【0055】
なお、ユーザー名入力画面B1において、ダイアクリティカルマーク(たとえば、ウムラウト記号など)を有する文字を使用したいと考えるユーザーは、たとえば、ソフトキーSK7を押下する。このソフトキーSK7がユーザーによって押下されると、図9に示すように、キーボードKBの種類が切り換わり、ダイアクリティカルマークを有する文字が入力可能となる。これにより、ユーザーは、ダイアクリティカルマークを有する文字を含むユーザー名を入力することができる。したがって、たとえば、ドイツ語圏やフランス語圏などで使用される名前をユーザー名とすることが可能となる。さらに、図示しないが、ロシア語圏で使用されるキリル文字に対応したキーボードに切り換え可能になっていてもよいし、他の言語圏で使用される文字に対応したキーボードに切り換え可能になっていてもよい。
【0056】
また、操作パネル101は、各種ジョブの実行に際して、実行するジョブに関する設定値の設定指示をユーザーから受け付ける。具体的には、コピーを例にとると、ユーザーがコピーキー14を押下することによって、液晶表示部11は、コピーに関する設定値の設定指示を受け付けるための設定画面(ソフトキーとしての設定キーやメッセージなど)を表示する。これにより、ユーザーは、設定画面を見ながら、操作パネル101に対して、コピーに関する設定値の設定指示を行う(液晶表示部11に表示されたソフトキーとしての設定キーやハードキーとしてのテンキー12を押下することで設定を行う)ことができる。
【0057】
設定画面を液晶表示部11に表示するためのデータは、たとえば、記憶部18に記憶される。そして、表示制御部17は、ユーザーが操作パネル101に対して行った操作に基づき、液晶表示部11に表示すべき設定画面に応じたデータを記憶部18から読み出し、液晶表示部11に適切な設定画面を表示させる。
【0058】
なお、各種ジョブの実行に際して設定可能な設定項目は多数ある。たとえば、コピーの実行に際して設定可能な設定項目としては、用紙選択、縮小/拡大、濃度、両面/分割、ページ集約、ソート/仕分け、原稿サイズ、原稿セット向き、原稿サイズ混載、排紙先、ステープル、カラー選択、原稿画質、エコプリント、色相調整、カラーバランス、シャープネス、地色調整、うら写り防止、彩度、とじしろ、連続読み込み、自動画像回転、ジョブ終了通知、文書名入力、優先印刷、および、割り込みコピーなどである。また、コピー以外の他のジョブについても、実行に際して設定可能な設定項目は多数ある。
【0059】
そして、操作パネル101は、実行するジョブに関する設定値の設定をユーザーが終えた後、ジョブの開始指示をユーザーから受け付ける。たとえば、液晶表示部11は、ソフトキーとしてのスタートキーを表示する。これにより、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたソフトキーとしてのスタートキーを押下することによって、設定値を設定したジョブの実行を開始することができる。あるいは、ハードキーとしてのスタートキー13をユーザーが押下した場合にも、ジョブの実行が開始される。
【0060】
ここで、液晶表示部11が表示する言語(種々のソフトキーやメッセージに使用する言語)は、複数種の言語からユーザーが選択できるようになっている。
【0061】
たとえば、システムメニューキー19がユーザーによって押下されると、液晶表示部11は、言語設定を含む種々の設定項目を表示する。このときに液晶表示部11が表示する設定項目としては、言語設定以外に、用紙設定(たとえば、用紙サイズの単位をミリにするかインチにするかの設定)、タイムゾーン設定、および、ファックスカントリーコード設定などが挙げられる。
【0062】
ユーザーが言語設定を選択(押下)すれば、液晶表示部11は、設定可能な複数種の言語を羅列表示する。そして、ユーザーは、液晶表示部11に羅列表示された複数種の言語から所望の言語を選択(押下)する。これによって、液晶表示部11は、ユーザーが選択した言語に応じた操作画面(たとえば、設定画面など)を表示する。
【0063】
たとえば、コピーに関する設定画面を例にとると、ユーザーが表示言語として日本語を選択していれば、液晶表示部11は、図10に示すように、日本語を使った設定画面S1を表示する。一方で、ユーザーが表示言語として英語を選択していれば、液晶表示部11は、図11に示すように、英語を使った設定画面S2を表示する。なお、図10および図11に示す設定画面S1およびS2は、コピーの使用に際して設定可能な設定項目を羅列表示した画面である。
【0064】
また、操作画面を複数種の言語で液晶表示部11に表示させるため、記憶部18(あるいは、記憶部113)は、操作画面を液晶表示部11に表示するための操作画面データを複数種の言語ごとに記憶している。そして、表示制御部17(あるいは、主制御部110)は、液晶表示部11に操作画面を表示させる際に、ユーザーによって選択された言語に応じた操作画面データを記憶部18から読み出す。
【0065】
ところで、1台の画像形成装置100が複数のユーザーで利用される場合においては、ユーザーによって所望の表示言語が異なることが多々ある。たとえば、日本語圏のユーザーと英語圏のユーザーとが1台の画像形成装置100を共有し、日本語圏のユーザーが表示言語を日本語に設定したままであったとする。この場合、英語圏のユーザーは、画像形成装置100を利用する際に、表示言語を英語に設定し直さなければならず、煩わしい。これに加えて、ユーザーによっては、他の設定項目(用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など)の設定内容も変更することがあるので、設定し直さなければならない設定項目がさらに増大することもある。したがって、画像形成装置100の扱いに慣れていないユーザーにとっては、負担が大きく、各種設定項目を所望の設定内容に変更できない恐れがある。
【0066】
このような不都合を解消する方法としては、ログインユーザーの登録時に各種設定項目の設定内容をユーザーごとに予め記憶できるようにし、ログインしたユーザーが画像形成装置100を利用する際に、ユーザーに応じて各種設定項目の設定内容を変更する、という方法が考えられる。しかし、この方法を採用したとしても、ユーザーは、ログインユーザーの登録時に、各種設定項目の設定操作を行わなければならない。したがって、画像形成装置100の扱いに慣れていないユーザーの負担は、それほど軽減されない。
【0067】
このため、本実施形態では、ログインのためのユーザー認証時に入力されたユーザー名に応じて、言語設定などの各種設定項目(言語設定以外に、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など)の設定内容が自動的に変更されるようになっている。
【0068】
具体的には、本実施形態では、ユーザーの使用する言語をユーザー名(ログインのためのユーザー認証時に入力された文字列)から判別するための判別情報が記憶部113に記憶されている。そして、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザーの使用する言語を判別し、その判別した言語を表示言語として設定する。すなわち、液晶表示部11は、主制御部110が判別した言語に応じた操作画面を表示する。また、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、言語設定以外の各種設定項目(用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など)の設定内容も変更する。
【0069】
記憶部113に記憶された判別情報は、たとえば、ユーザー名の文字または文字に付された記号(ダイアクリティカルマーク)から言語を判別するための第1判別情報D1、ユーザー名の記し方の法則から言語を判別する第2判別情報D2、および、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための第3判別情報D3、のうちの少なくとも1つの判別情報を含んでいる。以下、図12〜図14を参照して、第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3について説明する。なお、以下に述べる言語(英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語および日本語)は一例であって、これら以外の多数の言語(たとえば、韓国語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語など)に関する情報が各判別情報に含まれていてもよい。
【0070】
まず、図12を参照して、第1判別情報D1について説明する。
【0071】
たとえば、ドイツ語では、ウムラウト記号が付された文字が使用される。また、フランス語では、グレイヴ・アクセント記号(他に、アキュート・アクセント記号、サーカムフレックス記号、セディーユ記号などがある)が付された文字が使用される。また、ロシア語では、キリル文字が使用される。また、日本語では、平仮名やカタカナが使用される。
【0072】
そこで、第1判別情報D1では、ウムラウト記号が付された文字とドイツ語とを関連付けている。また、グレイヴ・アクセント記号などが付された文字はフランス語と関連付けている。また、キリル文字はロシア語と関連付けている。また、平仮名やカタカナは日本語と関連付けている。
【0073】
これにより、主制御部110は、ウムラウト記号が付された文字がユーザー名に含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をドイツ語と判別する。また、グレイヴ・アクセント記号などが付された文字がユーザー名に含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をフランス語と判別する。また、キリル文字がユーザー名に含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をロシア語と判別する。また、平仮名やカタカナがユーザー名に含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を日本語と判別する。
【0074】
次に、図13を参照して、第2判別情報D2について説明する。
【0075】
たとえば、英語圏では、名前の最初の文字がラテンアルファベットの大文字で表記される。さらに、名前の最後に「Jr.」を付ける場合がある。また、ドイツ語圏では、姓の前に「von」を付ける場合がある。また、フランス語圏では、姓の前に「de」を付ける場合がある。
【0076】
そこで、第2判別情報D2では、最初の文字がラテンアルファベットの大文字である文字列や「Jr.」を含む文字列と英語とを関連付けている。また、「von」を含む文字列はドイツ語と関連付けている。また、「de」を含む文字列はフランス語と関連付けている。
【0077】
これにより、主制御部110は、ユーザー名の最初の文字がラテンアルファベットの大文字である場合や、ユーザー名に「Jr.」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を英語と判別する。また、ユーザー名に「von」が含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をドイツ語と判別する。また、ユーザー名に「de」が含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をフランス語と判別する。
【0078】
次に、図14を参照して、第3判別情報D3について説明する。
【0079】
たとえば、英語を公用語とするアメリカでは、男性のファーストネームとして、「James」が最も多く使用され、「John」が2番目に多く使用され、「Robert」が3番目に多く使用される。女性のファーストネームとしては、「Mary」が最も多く使用され、「Patricia」が2番目に多く使用され、「Linda」が3番目に多く使用される。ファミリーネームとしては、「Smith」が最も多く使用され、「Johnson」が2番目に多く使用され、「Williams」が3番目に多く使用される。そこで、第3判別情報D3では、先述した各文字列と英語とを関連付けている。
【0080】
さらに、別の例を挙げると、日本語を公用語とする日本では、名字(ファミリーネーム)として、「佐藤(さとう、サトウ、Satou)」が最も多く使用され、「鈴木(すずき、スズキ、Suzuki)」が2番目に多く使用され、「高橋(たかはし、タカハシ、Takahashi)」が3番目に多く使用される。したがって、これら各文字列は日本語と関連付けている。
【0081】
これにより、主制御部110は、たとえば、ユーザー名に「Smith」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を英語と判別する。また、ユーザー名に「佐藤(さとう、サトウ、Satou)」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を日本語と判別する。
【0082】
なお、たとえば、ユーザー名を入力したユーザーがドイツ語圏やフランス語圏であったとしても、そのユーザー名にダイアクリティカルマークを有する文字(あるいは、「von」や「De」という文字列)が含まれないこともあり、この場合、第1判別情報D1や第2判別情報D2だけでは、正確な言語判別を行うことができない。言い換えると、第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3のうちの1つ(あるいは、2つ)だけでは、言語判別を正確に行うことができない場合がある。このため、好ましくは、主制御部110は、言語判別を行う際に、第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3の全てを参照する。
【0083】
また、主制御部110は、上述したように、ユーザー名と判別情報とに基づき、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など、国によって設定し直すことが多い設定項目を自動的に変更する。
【0084】
たとえば、アメリカでは、「ミリ」ではなくて「インチ」を用いて用紙サイズを表すことが多い。したがって、アメリカ人のユーザーが画像形成装置100を利用する場合、用紙設定を「ミリ」から「インチ」に変更することが多々ある。そこで、本実施形態では、主制御部110は、ログインしたユーザーがアメリカ人であれば、用紙設定を自動的に「インチ」に設定変更する。これにより、液晶表示部11は、用紙サイズに関する設定内容については、「インチ」で表示する。
【0085】
また、画像形成装置100を利用するユーザーは、海外に在る自国向けにファックス送信することがあるので、タイムゾーン設定やファックスコード設定についても、海外に在る自国に合わせて変更することがある。たとえば、液晶表示部11は、ファックス送信の際に、宛先入力画面を表示し、送信先のファクス番号をユーザーに入力してもらう。このとき、海外に在る自国向けにファックス送信するユーザーは、通常、ファックスカントリーコード(送信先の国番号)とファックス番号とを入力しなければならない。したがって、海外に在る自国向けにファックス送信するユーザーにとっては、入力操作が多く煩わしい。そこで、本実施形態では、主制御部110は、ログインしたユーザーに応じてファックスカントリーコード設定を設定変更する。そして、液晶表示部11は、たとえば、ログインしたユーザーに応じたファックスカントリーコードのリストを宛先入力画面に表示しておく。このようにすると、海外に在る自国向けにファックス送信するユーザーからすると、宛先入力画面内のリストから所望のファックスカントリーコードを押下するだけでファックスカントリーコードの入力を終えることができ、入力操作が平易になる。
【0086】
また、同時に、タイムゾーン設定も設定変更しておけば、ファックス送信の開始時間を指定する場合に、海外に在る自国の時間との時差を計算しなくても、適切な時間に、海外に在る自国にファックスデータを届けることができる。
【0087】
ところで、たとえば、英語を公用語とする国は、アメリカ、イギリス、カナダおよびオーストラリアなどが挙げられる。また、ドイツ語を公用語とする国は、ドイツ、オーストリア、ベルギーおよびスイスなどが挙げられる。また、フランス語を公用語とする国は、フランス、ベルギーおよびスイスなどが挙げられる。また、他の言語についても、複数の国で公用語として使われることが多い。
【0088】
したがって、第1判別情報D1や第2判別情報D2だけを使うようにした場合、主制御部110は、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定を設定変更できない。具体的には、ユーザーの使用する言語が英語であることが判別できたとしても、英語を公用語とする複数の国(たとえば、アメリカ、イギリス、カナダおよびオーストラリアなど)のうちのどの国に合わせて設定変更すればよいかが判断できない。
【0089】
しかし、第3判別情報D3は、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための情報である。このため、少なくとも第3判別情報D3を使うようにすれば、主制御部110は、言語の判別だけでなく、国をも判別することができる。たとえば、主制御部110は、ユーザー名に「Smith」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーの使用する言語が英語であると判別し、さらに、ユーザー名に対応する国がアメリカであると判別する。
【0090】
以下に、図15を参照して、主制御部110が言語設定を自動的に変更するときの動作について説明する。
【0091】
まず、図15のフローのスタート時点では、ログインのためのユーザー認証の入力操作(ユーザー名およびパスワードの入力操作)がユーザーによって行われているとする。そして、ユーザーによって新たに入力されたユーザー情報(ユーザー名およびパスワード)を主制御部110が認証したときに、図15のフローがスタートする。
【0092】
ステップS1において、主制御部110は、ユーザー認証時に入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいた言語判別(ユーザー名を入力したユーザーが使用する言語の判別)を開始する。
【0093】
ステップS2において、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づき言語判別を行い、言語の判別ができた場合には、ステップS3に移行する一方、言語の判別ができなかった場合には、言語設定の設定変更は行わずに終了する。
【0094】
ステップS3に移行すると、主制御部110は、判別した言語を表示言語として設定する。ステップS4において、主制御部110は、設定した表示言語を記憶部113(または記憶部18)に記憶させる。
【0095】
たとえば、表示言語として日本語が設定されたとすると、主制御部110は、表示言語を日本語とする旨の指示を表示制御部17に与える。そして、表示制御部17は、主制御部110からの指示に基づいて、図10に示したように、日本語を使った設定画面(操作画面)を液晶表示部11に表示させる。また、たとえば、表示言語として英語が設定されたとすると、主制御部110は、表示言語を英語とする旨の指示を表示制御部17に与える。そして、表示制御部17は、主制御部110からの指示に基づいて、図11に示したように、英語を使った設定画面(操作画面)を液晶表示部11に表示させる。
【0096】
次に、図16を参照して、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定を主制御部110が自動的に変更するときの動作について説明する。
【0097】
まず、図16のフローのスタート時点では、ログインのためのユーザー認証の入力操作(ユーザー名およびパスワードの入力操作)がユーザーによって行われているとする。そして、ユーザーによって新たに入力されたユーザー情報(ユーザー名およびパスワード)を主制御部110が認証したときに、図16のフローがスタートする。すなわち、図16のフローは、図15のフローと同時進行する。
【0098】
ステップS11において、主制御部110は、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定の各設定内容を変更するため、ユーザー認証時に入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づき、ユーザー名に対応する国(地域)の判別を開始する。
【0099】
ステップS12において、主制御部110は、ユーザー名に対応する国の判別を行い、ユーザー名に対応する国の判別ができた場合には、ステップS13に移行する一方、ユーザー名に対応する国の判別ができなかった場合には、設定変更は行わない。
【0100】
ステップS13に移行すると、主制御部110は、判別した国に応じて、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定を設定変更する。具体的には、主制御部110は、判別した国の基準に基づいて用紙設定を設定変更する。また、主制御部110は、判別した国のカントリーコードに基づいてカントリーコード設定を設定変更する。また、主制御部110は、判別した国のタイムゾーンに基づいてタイムゾーン設定を設定変更する。そして、ステップS14において、主制御部110は、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定の変更後の各設定内容を記憶部113に記憶させる。
【0101】
なお、この後、操作パネル101がログアウトの指示をユーザーから受け付けた場合(ログアウトキー20がユーザーによって押下された場合)、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいた設定内容をリセットする。
【0102】
ところで、本実施形態では、液晶表示部11は、メールアドレスの入力操作をユーザーから受け付けるとき、図17に示すようなメールアドレス入力画面Cを表示する。このとき、液晶表示部11は、ユーザーの入力操作時の負担を軽減するため、メールアドレス入力画面Cに、国別コードトップレベルドメインのリストLを表示する。なお、国別コードトップレベルドメインに関して、「□□□□@example.co.jp」というメールアドレスにおいては、「.jp」が国別コードトップレベルドメインに該当する。
【0103】
たとえば、アメリカ人のユーザーが画像形成装置100を利用するとする。この場合、以下の国別コードトップレベルドメインの入力回数が多くなると考えられる。
「.us」・・・アメリカ合衆国
「.gu」・・・グアム(アメリカ領)
「.mp」・・・北マリアナ諸島(アメリカ領)
「.pr」・・・プエルトリコ(アメリカ領)
「.um」・・・アメリカ領太平洋諸島
【0104】
このため、液晶表示部11は、画像形成装置100を利用するユーザーがアメリカ人であれば、「.us」、「.gu」、「.mp」、「.pr」および「.um」をリストLにリストアップして表示する。
【0105】
どの国の国別コードトップレベルドメインをリストLにリストアップするかについての判断は、主制御部110が行う。具体的には、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別する。なお、この場合の国の判別方法は、用紙設定などの設定変更に際して行った国の判別方法と同様である。そして、主制御部110は、判別した国の国別コードトップレベルドメインがリストLにリストアップされるように設定する。すなわち、たとえば、主制御部110が判別した国がアメリカであったとすると、液晶表示部11は、「.us」、「.gu」、「.mp」、「.pr」および「.um」をリストLにリストアップして表示する。
【0106】
なお、主制御部110は、上述したように、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定の設定変更に際して、ユーザー名に対応する国(地域)を既に判別し、記憶部113に記憶させている。したがって、主制御部110は、リストLにリストアップする国別コードトップレベルドメインの設定を行う際に、記憶部113に既に記憶された判別結果を使うことができる。
【0107】
本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面(たとえば、設定画面など)を操作パネル110(操作表示部に相当)の液晶表示部11に表示させる。これにより、ユーザーからすると、ユーザー名を入力するだけで、自身が使用する言語が表示言語として設定されるので、言語設定を設定変更するための操作を行わなくてもよくなる。すなわち、本実施形態では、言語設定の設定変更をユーザーに行ってもらう必要がないので、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことができる。なお、本実施形態は、特に、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが同一の画像形成装置100を利用する環境(言語設定が頻繁に設定変更される環境)において、著しい効果を奏する。
【0108】
また、本実施形態では、上記のように、判別情報は、ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための第1判別情報D1、ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための第2判別情報D2、および、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための第3判別情報D3、のうちの少なくとも1つの情報を含む。このような判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)を用いると、容易に、ユーザー名から、ユーザーの使用する言語を判別することができる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国の基準に基づき用紙設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、用紙設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国のカントリーコードに基づきカントリーコード設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、カントリーコード設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、判別した国のタイムゾーンに基づきタイムゾーン設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、タイムゾーン設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、操作パネル101の液晶表示部11は、メールアドレスの入力操作を受け付けるときに、主制御部110が判別した国の国別コードトップレベルドメインのリストLを表示する。このように構成すれば、ユーザーからすると、メールアドレスの国別コードトップレベルドメインを入力する際に、操作パネル101の液晶表示部11に表示されたリストLから所望の国別コードトップレベルドメインを選択するだけでよいので、国別コードトップレベルドメインの入力が平易になる。すなわち、このように構成することにより、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、操作パネル101の液晶表示部11は、ログインのためのユーザー認証画面Aを表示し、主制御部110は、ユーザー認証画面Aに入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいて判別動作を行う。このように構成すれば、ユーザーからすると、ログインするだけで、設定操作を別途行うことなく、設定内容を自身が使い易い設定にすることができる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をさらに向上させることができる。なお、ユーザーは、操作パネル101に設けられたログアウトキー20を押下するだけで、ユーザー認証画面Aに入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいた設定内容をリセットすることができる。
【0114】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0115】
17 表示制御部(制御部)
18、113 記憶部
20 ログアウトキー
100 画像形成装置
101 操作パネル(操作表示部)
110 主制御部(制御部)
D1 第1判別情報(判別情報)
D2 第2判別情報(判別情報)
D3 第3判別情報(判別情報)
L リスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作画面を表示する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々のメニューやメッセージなどを表示する操作パネルを備えた画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1の画像形成装置は、複写機である。そして、操作パネルは、コピーの実行に際して、コピーに関する各種設定をユーザーから受け付けるための設定画面(操作画面)を表示する。
【0003】
ところで、オフィスなどにおいては、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが1台の画像形成装置を共同で利用する場合がある。たとえば、英語圏のユーザーと日本語圏のユーザーとが混在していたとする。この場合、画像形成装置の言語設定が英語に設定されていれば、操作パネルに表示されるメニューやメッセージが英語となるので、日本語圏のユーザーにとっては装置の使い勝手が悪くなる。逆に、画像形成装置の言語設定が日本語に設定されていれば、英語圏のユーザーにとっては装置の使い勝手が悪くなる。
【0004】
このことを考慮して、操作パネルを備えた画像形成装置では、表示言語が切り換え可能になっているものが多い。このため、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが同一の画像形成装置を利用する環境であっても、各ユーザーは自身の使用する言語を表示言語とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−119176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、言語設定を設定変更する場合、ユーザーは、言語設定を設定変更するための何らかの操作を操作パネルに対して行う。たとえば、操作パネルには、システムメニューキーが設けられている。システムメニューキーをユーザーが押下すると、複数の設定項目が操作パネルに羅列表示され、続いて、操作パネルに羅列表示された複数の設定項目のうちから言語設定をユーザーが押下すると、表示言語として設定可能な複数種の言語が操作パネルに羅列表示される。これによって、ユーザーは、表示言語を所望の言語に設定変更することができる。
【0007】
このように、言語設定を設定変更するには、ユーザーが操作パネルに対して数々の操作を行う必要がある。したがって、ユーザーからすると、言語設定の設定変更は煩わしく、利便性が悪い。
【0008】
特に、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが1台の画像形成装置を共同で利用する環境においては、ユーザーは、自身の使用する言語を表示言語とするため、言語設定を頻繁に設定変更しなければならない。したがって、このような環境では、ユーザーの利便性がさらに悪化する。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、ユーザー名の入力操作を受け付けるとともに、複数種の言語で操作画面を表示する操作表示部と、複数種の言語にそれぞれ応じた操作画面を表示するための操作画面情報、および、ユーザーが使用する言語をユーザー名から判別するための判別情報、を記憶する記憶部と、ユーザー名と判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面を操作表示部に表示させる制御部と、を備えている。
【0011】
本発明の構成によると、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面を操作表示部に表示させる。これにより、ユーザーからすると、ユーザー名を入力するだけで、自身が使用する言語が表示言語として設定されるので、言語設定を設定変更するための操作を行わなくてもよくなる。すなわち、本発明の構成では、言語設定の設定変更をユーザーに行ってもらう必要がないので、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことができる。なお、本発明の構成は、特に、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが同一の画像形成装置を利用する環境(言語設定が頻繁に設定変更される環境)において、著しい効果を奏する。
【0012】
上記した構成において、好ましくは、判別情報は、ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための情報、ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための情報、および、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための情報、のうちの少なくとも1つの情報を含む。このような判別情報を用いると、容易に、ユーザー名から、ユーザーの使用する言語を判別することができる。
【0013】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国の基準に基づき用紙設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、用紙設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0014】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国のカントリーコードに基づきカントリーコード設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、カントリーコード設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0015】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、判別した国のタイムゾーンに基づきタイムゾーン設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、タイムゾーン設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0016】
上記した構成において、好ましくは、制御部は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、操作表示部は、メールアドレスの入力操作を受け付けるときに、制御部が判別した国の国別コードトップレベルドメインのリストを表示する。このように構成すれば、ユーザーからすると、メールアドレスの国別コードトップレベルドメインを入力する際に、操作表示部に表示されたリストから所望の国別コードトップレベルドメインを選択するだけでよいので、国別コードトップレベルドメインの入力が平易になる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0017】
上記した構成において、好ましくは、操作表示部は、ログインのためのユーザー認証画面を表示し、制御部は、ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と判別情報とに基づいて判別動作を行う。このように構成すれば、ユーザーからすると、ログインするだけで、設定操作を別途行うことなく、設定内容を自身が使い易い設定にすることができる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をさらに向上させることができる。この場合、操作表示部は、ログアウトの指示を受け付けるためのログアウトキーを有し、制御部は、操作表示部がログアウトの指示を受け付けたとき、ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と判別情報とに基づいた設定内容をリセットすることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことが可能な画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の概略図
【図2】図1に示した画像形成装置の操作パネル(操作表示部)の平面図
【図3】図1に示した画像形成装置の画像形成部を示した概略図
【図4】図1に示した画像形成装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図5】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ユーザー認証画面の図)
【図6】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ユーザー名入力画面の図)
【図7】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(パスワード入力画面の図)
【図8】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ユーザー認証画面にユーザー名およびパスワードが入力された図)
【図9】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(ダイアクリティカルマークを有する文字を入力するためのソフトウェアキーボードの図)
【図10】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(日本語を使った設定画面の図)
【図11】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(英語を使った設定画面の図)
【図12】図1に示した画像形成装置で行われる言語判別の方法を説明するための図(ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための第1判別情報の概念図)
【図13】図1に示した画像形成装置で行われる言語判別の方法を説明するための図(ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための第2判別情報の概念図)
【図14】図1に示した画像形成装置で行われる言語判別の方法を説明するための図(国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための第3判別情報の概念図)
【図15】図1に示した画像形成装置において言語設定を設定変更するときの動作を説明するためのフローチャート
【図16】図1に示した画像形成装置において、用紙設定、タイムゾーン設定およびカントリーコード設定を設定変更するときの動作を説明するためのフローチャート
【図17】図2に示した操作パネルに表示される画面の一例を示した図(メールアドレス入力画面の図)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置100について説明する。
【0021】
本実施形態の画像形成装置100は、たとえば、タンデム方式のカラー複合機であり、コピー、プリント、スキャナおよびファックスなどの複数種のジョブを実行することができる。また、画像形成装置100は、ログインしたユーザーにのみ装置の使用(または、特定の機能の使用)を許可する機能も有する。たとえば、ユーザーは、画像形成装置100の使用に際して、ログインのためのユーザー認証を受ける。そして、ログインしたユーザーは、与えられた権限の範囲内で画像形成装置100の使用が許可される。なお、ログインのためのユーザー認証については、後で詳細に述べる。
【0022】
この画像形成装置100の構成としては、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などを備える。
【0023】
操作パネル101は、操作表示部に相当し、たとえば、図1中の破線で示された箇所に配置される。この操作パネル101には、図2に示すように、液晶表示部11が設けられている。液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよびソフトキーが表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。そして、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたソフトキーを押下することで、各種設定などを行うことができる。なお、液晶表示部11は、その表示面がタッチパネルで覆われた形態をとる。これにより、液晶表示部11に表示されたソフトキーがユーザーによって押下されたとき(タッチパネルが押下されたとき)、タッチパネルの出力に基づいて押下位置の座標を検出できるようになっている。
【0024】
また、操作パネル101には、テンキー12やスタートキー13などのハードキーが設けられている。テンキー12は、数値入力が必要な設定指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。スタートキー13は、各種ジョブの実行開始の指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。
【0025】
さらに、操作パネル101には、コピーキー14、送信キー15およびボックスキー16などのハードキーも設けられている。そして、コピーキー14がユーザーによって押下されると、コピーを利用する上で必要なソフトキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。送信キー15がユーザーによって押下されると、スキャナおよびファックスを利用する上で必要なソフトキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。ボックスキー16がユーザーによって押下されると、ボックスを利用する上で必要なソフトキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。なお、ボックスというのは、ボックスと呼ばれる所定の保存領域(たとえば、後述する記憶部113に設けられたフォルダ)に画像データなどを保存しておくジョブである。
【0026】
図1に戻って、画像読取部102は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。この画像読取部102は、コンタクトガラス21に載置される原稿にビームを照射し、その原稿の反射ビームを受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換することにより、画像データを生成する。これにより、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー)。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを蓄積することもできる(スキャナ)。なお、画像読取部102による原稿の読み取り時には、コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えることができる。
【0027】
給紙部103は、記録媒体としての用紙Pを収容するカセット31を複数有し、それら複数のカセット31に収容された用紙Pを搬送路104に供給する。また、この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー32や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー対33などが設けられている。
【0028】
搬送路104は、装置内部において用紙Pを搬送するものである。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、中間転写部106および定着部107をこの順番で通過して排出トレイ109に導かれる。この搬送路104には、用紙Pを中間転写部106の手前で待機させ、タイミングを合わせて中間転写部106に送り出すレジストローラー対41などが設けられている。
【0029】
画像形成部105は、画像データに基づいてトナー像を形成するものであって、4色分の画像形成部50(ブラックのトナー像を形成する画像形成部50Bk、イエローのトナー像を形成する画像形成部50Y、シアンのトナー像を形成する画像形成部50C、および、マゼンダのトナー像を形成する画像形成部50M)と、露光装置5とを備えている。なお、画像形成部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、互いに異なる色のトナー像を形成するが、いずれも基本的に同様の構成である。したがって、以下の説明では、各色を表す符号(Bk、Y、CおよびM)を省略する。
【0030】
各画像形成部50のそれぞれは、図3に示すように、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置3および清掃装置4を含んでいる。
【0031】
各感光体ドラム1は、外周面にトナー像を担持するものであって、外周面に感光層を有するとともに、周方向に回転可能に支持されている。各帯電装置2は、対応する感光体ドラム1を一定の電位で帯電させる。各現像装置3は、対応する色の現像剤を収容し、対応する感光体ドラム1にトナーを供給する。各清掃装置4は、対応する感光体ドラム1の清掃を行う。そして、各感光体ドラム1の外周面は、露光装置5によって露光される。これにより、各感光体ドラム1の外周面に静電潜像が形成される。
【0032】
露光装置5は、図示しないが、半導体レーザー素子、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、Fθレンズおよび反射ミラーなどを含む。なお、これら露光装置5の構成部材は、各色の画像形成部50に対して1セットずつ設けられていてもよい。あるいは、半導体レーザー素子、Fθレンズおよび反射ミラーのみを各色の画像形成部50に対して1セットずつ設け、ポリゴンミラーおよびポリゴンモーターについては2色分(または、4色分)の画像形成部50で共用してもよい。
【0033】
図1に戻って、中間転写部106は、画像形成部105からトナー像の1次転写を受けた後、用紙Pに2次転写を行う。中間転写部106は、中間転写ベルト61と、各画像形成部50にそれぞれ割り当てられた1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mとを少なくとも含んでいる。1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mは、対応する画像形成部50(具体的には、感光体ドラム1)との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0034】
また、中間転写部106は、駆動ローラー63および従動ローラー64も含んでいる。そして、駆動ローラー63および従動ローラー64は、1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mと共に、中間転写ベルト61を張架している。このため、駆動ローラー63が回転駆動すると、中間転写ベルト61が循環移動する。
【0035】
さらに、中間転写部106は、2次転写ローラー65も含んでいる。この2次転写ローラー65は、駆動ローラー63との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0036】
そして、各画像形成部50で形成されたトナー像は、転写用電圧が印加された1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mにより、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト61に1次転写される。すなわち、中間転写ベルト61にフルカラートナー像が転写される。その後、中間転写ベルト61に1次転写されたトナー像は、転写用電圧が印加された2次転写ローラー65により、用紙Pに2次転写される。
【0037】
また、中間転写部106は、ベルト清掃装置66も含んでいる。そして、このベルト清掃装置66によって、中間転写ベルト61から用紙Pへのトナー像の2次転写の後、中間転写ベルト61の清掃が行われる。
【0038】
定着部107は、用紙Pに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させるものである。この定着部107は、発熱源を内蔵する定着ローラー71と、定着ローラー71に圧接される加圧ローラー72とを含んでいる。そして、トナー像が2次転写された用紙Pは、定着ローラー71と加圧ローラー72との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。
【0039】
そして、用紙Pは、定着部107を通過した後、排出トレイ109に排出される。これによって、画像形成処理が完了する。
【0040】
また、両面搬送路108は、両面印刷を可能とするものである。この両面搬送路108は、定着ローラー71および加圧ローラー72の下流側おいて搬送路104と分岐し、レジストローラー対41の上流側において搬送路104と合流している。そして、両面搬送路108には、搬送路104との分岐点に配置された切替爪81、排出トレイ109に繋がる排出口109aに配置されているとともに正逆回転の切り換えが可能な排出ローラー対82、および、用紙Pを搬送する搬送ローラー対83などが設けられている。
【0041】
両面印刷を行う場合、切替爪81は、両面搬送路108を閉じるポジションとなり、定着部107から送られた用紙Pを排出トレイ109に導く。また、排出ローラー対82は、ひとまず正回転して用紙Pの一部分を排出トレイ109に排出する。この後、排出ローラー対82は、用紙Pが排出ローラー対82を通過しきる前に逆回転する。このとき、切替爪81は、両面搬送路108を開く方向に回動する。これにより、片面印刷された用紙Pは、両面搬送路108に導かれる。
【0042】
両面搬送路108に導かれた用紙Pは、搬送ローラー対83により搬送され、レジストローラー対41の上流側に至る。そして、再び、中間転写部106から定着部107へと送られる。このときには、用紙Pの表裏が逆転しているので、用紙Pの裏面(未印刷面)に対して、2次転写処理および定着処理がなされる。そして、両面印刷が終わった用紙Pは、排出トレイ109に排出される。
【0043】
次に、図4を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0044】
画像形成装置100は、主制御部110を有する。この主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111や画像処理部112などを含む。また、主制御部110は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などと接続されている。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶された各種のプログラムおよびデータに基づき、各部の制御や演算などを行う。なお、主制御部110は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモーターのオン/オフを制御するエンジン制御部とに分割されていてもよい。
【0045】
記憶部113は、ROM113a、RAM113bおよびHDD113cなどの揮発性の記憶装置と不揮発性の記憶装置とを含む。そして、記憶部113に記憶された各種のプログラムおよびデータは、ROM113aに記憶され、RAM113bに展開される。
【0046】
記憶部113に記憶されるプログラムとしては、複数種のジョブをそれぞれ実行するための複数のアプリケーションプログラムがあり、たとえば、コピーを実行するためのコピーアプリ、プリントを実行するためのプリントアプリ、スキャナを実行するためのスキャナアプリ、ファックスを実行するためのファックスアプリ、および、ボックスを実行するためのボックスアプリなどが挙げられる。なお、これら基本的なジョブに対応したアプリ以外の種々のアプリなどが記憶されていてもよい。
【0047】
また、主制御部110は、通信部114と接続される。通信部114は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、ケーブル)を介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる(プリント)。さらに、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる(スキャナ)。さらに、たとえば、通信部114にモデムなどを内蔵してもよく、この場合、電話回線などのネットワークを介して、外部のファックス装置300とファックス通信を行うことができる(ファックス)。
【0048】
主制御部110に接続される操作パネル101は、表示制御部17を有する。表示制御部17は、CPUやICなどからなり、液晶表示部11の表示動作を制御する。また、表示制御部17は、液晶表示部11(タッチパネル)に表示されたソフトキーがユーザーによって押下されると、タッチパネルの出力を受けて押下位置の座標を特定する。これによって、液晶表示部11に対してユーザーが押下した位置(選択したソフトキー)が特定される。たとえば、タッチパネルの出力と押下位置の座標との対応を示すテーブルなどのデータは、記憶部18(あるいは、記憶部113)に記憶される。なお、表示制御部17の機能を主制御部110に持たせてもよい。
【0049】
この操作パネル101は、ログインのためのユーザー認証の入力操作(ユーザー名およびパスワードの入力操作)をユーザーから受け付ける。たとえば、操作パネル101に設けられたシステムメニューキー19(図2参照)がユーザーに押下されると、液晶表示部11は、ユーザー認証という項目を含む種々の設定項目を羅列表示する。そして、ユーザー認証をユーザーが選択(押下)すれば、液晶表示部11は、図5に示すようなユーザー認証画面A(ユーザー名およびパスワードの入力操作をユーザーから受け付けるための画面)を表示する。
【0050】
ユーザー認証画面Aには、「キーボード」というソフトキーSK1およびSK2が設けられている。液晶表示部11は、ソフトキーSK1がユーザーによって押下されると、図6に示すようなユーザー名入力画面B1(複数のソフトキーからなるキーボードKBを含む画面)を表示し、ソフトキーSK2がユーザーによって押下されると、図7に示すようなパスワード入力画面B2(複数のソフトキーからなるキーボードKBを含む画面)を表示する。
【0051】
これによって、ユーザーは、各入力画面(ユーザー名入力画面B1およびパスワード入力画面B2)のキーボードKBを使って、ユーザー名およびパスワードを入力することができる。なお、ユーザー名およびパスワードはどのような順番で入力を行ってもよい。たとえば、ユーザー名入力画面B1においてユーザー名の入力が終わった後、「パスワード」というソフトキーSK3を押下すると、パスワード入力画面B2に移行し、引き続き、パスワードの入力を行うことができる。また、パスワード入力画面B2においてパスワードの入力が終わった後、「ユーザー名」というソフトキーSK4を押下すると、ユーザー名入力画面B1に移行し、引き続き、ユーザー名の入力を行うことができる。
【0052】
ユーザーは、各入力画面(ユーザー名入力画面B1およびパスワード入力画面B2)での入力操作を終えた後、「OK」というソフトキーSK5を押下する。これにより、液晶表示部11は、図8に示すように、ユーザー名およびパスワードが入力されたユーザー認証画面Aを表示する。
【0053】
この後、ユーザー認証画面Aの「ログイン」というソフトキーSK6がユーザーによって押下されると、主制御部110は、新たに入力されたユーザー情報(ユーザー名およびパスワード)が認証可能なユーザー情報か否かを判断する。たとえば、主制御部110は、新たに入力されたユーザー情報が予め登録されたユーザー情報と合致するか否かを判断し、合致した場合にログインを許可する。この主制御部110による認証判断の基となるユーザー情報は、認証を受けるユーザーが予め登録しておいたユーザー情報であり、たとえば、記憶部113に記憶されている。
【0054】
また、ユーザーは、ログアウトする場合、操作パネル101に設けられたログアウトキー20(図2参照)を押下する。
【0055】
なお、ユーザー名入力画面B1において、ダイアクリティカルマーク(たとえば、ウムラウト記号など)を有する文字を使用したいと考えるユーザーは、たとえば、ソフトキーSK7を押下する。このソフトキーSK7がユーザーによって押下されると、図9に示すように、キーボードKBの種類が切り換わり、ダイアクリティカルマークを有する文字が入力可能となる。これにより、ユーザーは、ダイアクリティカルマークを有する文字を含むユーザー名を入力することができる。したがって、たとえば、ドイツ語圏やフランス語圏などで使用される名前をユーザー名とすることが可能となる。さらに、図示しないが、ロシア語圏で使用されるキリル文字に対応したキーボードに切り換え可能になっていてもよいし、他の言語圏で使用される文字に対応したキーボードに切り換え可能になっていてもよい。
【0056】
また、操作パネル101は、各種ジョブの実行に際して、実行するジョブに関する設定値の設定指示をユーザーから受け付ける。具体的には、コピーを例にとると、ユーザーがコピーキー14を押下することによって、液晶表示部11は、コピーに関する設定値の設定指示を受け付けるための設定画面(ソフトキーとしての設定キーやメッセージなど)を表示する。これにより、ユーザーは、設定画面を見ながら、操作パネル101に対して、コピーに関する設定値の設定指示を行う(液晶表示部11に表示されたソフトキーとしての設定キーやハードキーとしてのテンキー12を押下することで設定を行う)ことができる。
【0057】
設定画面を液晶表示部11に表示するためのデータは、たとえば、記憶部18に記憶される。そして、表示制御部17は、ユーザーが操作パネル101に対して行った操作に基づき、液晶表示部11に表示すべき設定画面に応じたデータを記憶部18から読み出し、液晶表示部11に適切な設定画面を表示させる。
【0058】
なお、各種ジョブの実行に際して設定可能な設定項目は多数ある。たとえば、コピーの実行に際して設定可能な設定項目としては、用紙選択、縮小/拡大、濃度、両面/分割、ページ集約、ソート/仕分け、原稿サイズ、原稿セット向き、原稿サイズ混載、排紙先、ステープル、カラー選択、原稿画質、エコプリント、色相調整、カラーバランス、シャープネス、地色調整、うら写り防止、彩度、とじしろ、連続読み込み、自動画像回転、ジョブ終了通知、文書名入力、優先印刷、および、割り込みコピーなどである。また、コピー以外の他のジョブについても、実行に際して設定可能な設定項目は多数ある。
【0059】
そして、操作パネル101は、実行するジョブに関する設定値の設定をユーザーが終えた後、ジョブの開始指示をユーザーから受け付ける。たとえば、液晶表示部11は、ソフトキーとしてのスタートキーを表示する。これにより、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたソフトキーとしてのスタートキーを押下することによって、設定値を設定したジョブの実行を開始することができる。あるいは、ハードキーとしてのスタートキー13をユーザーが押下した場合にも、ジョブの実行が開始される。
【0060】
ここで、液晶表示部11が表示する言語(種々のソフトキーやメッセージに使用する言語)は、複数種の言語からユーザーが選択できるようになっている。
【0061】
たとえば、システムメニューキー19がユーザーによって押下されると、液晶表示部11は、言語設定を含む種々の設定項目を表示する。このときに液晶表示部11が表示する設定項目としては、言語設定以外に、用紙設定(たとえば、用紙サイズの単位をミリにするかインチにするかの設定)、タイムゾーン設定、および、ファックスカントリーコード設定などが挙げられる。
【0062】
ユーザーが言語設定を選択(押下)すれば、液晶表示部11は、設定可能な複数種の言語を羅列表示する。そして、ユーザーは、液晶表示部11に羅列表示された複数種の言語から所望の言語を選択(押下)する。これによって、液晶表示部11は、ユーザーが選択した言語に応じた操作画面(たとえば、設定画面など)を表示する。
【0063】
たとえば、コピーに関する設定画面を例にとると、ユーザーが表示言語として日本語を選択していれば、液晶表示部11は、図10に示すように、日本語を使った設定画面S1を表示する。一方で、ユーザーが表示言語として英語を選択していれば、液晶表示部11は、図11に示すように、英語を使った設定画面S2を表示する。なお、図10および図11に示す設定画面S1およびS2は、コピーの使用に際して設定可能な設定項目を羅列表示した画面である。
【0064】
また、操作画面を複数種の言語で液晶表示部11に表示させるため、記憶部18(あるいは、記憶部113)は、操作画面を液晶表示部11に表示するための操作画面データを複数種の言語ごとに記憶している。そして、表示制御部17(あるいは、主制御部110)は、液晶表示部11に操作画面を表示させる際に、ユーザーによって選択された言語に応じた操作画面データを記憶部18から読み出す。
【0065】
ところで、1台の画像形成装置100が複数のユーザーで利用される場合においては、ユーザーによって所望の表示言語が異なることが多々ある。たとえば、日本語圏のユーザーと英語圏のユーザーとが1台の画像形成装置100を共有し、日本語圏のユーザーが表示言語を日本語に設定したままであったとする。この場合、英語圏のユーザーは、画像形成装置100を利用する際に、表示言語を英語に設定し直さなければならず、煩わしい。これに加えて、ユーザーによっては、他の設定項目(用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など)の設定内容も変更することがあるので、設定し直さなければならない設定項目がさらに増大することもある。したがって、画像形成装置100の扱いに慣れていないユーザーにとっては、負担が大きく、各種設定項目を所望の設定内容に変更できない恐れがある。
【0066】
このような不都合を解消する方法としては、ログインユーザーの登録時に各種設定項目の設定内容をユーザーごとに予め記憶できるようにし、ログインしたユーザーが画像形成装置100を利用する際に、ユーザーに応じて各種設定項目の設定内容を変更する、という方法が考えられる。しかし、この方法を採用したとしても、ユーザーは、ログインユーザーの登録時に、各種設定項目の設定操作を行わなければならない。したがって、画像形成装置100の扱いに慣れていないユーザーの負担は、それほど軽減されない。
【0067】
このため、本実施形態では、ログインのためのユーザー認証時に入力されたユーザー名に応じて、言語設定などの各種設定項目(言語設定以外に、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など)の設定内容が自動的に変更されるようになっている。
【0068】
具体的には、本実施形態では、ユーザーの使用する言語をユーザー名(ログインのためのユーザー認証時に入力された文字列)から判別するための判別情報が記憶部113に記憶されている。そして、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザーの使用する言語を判別し、その判別した言語を表示言語として設定する。すなわち、液晶表示部11は、主制御部110が判別した言語に応じた操作画面を表示する。また、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、言語設定以外の各種設定項目(用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など)の設定内容も変更する。
【0069】
記憶部113に記憶された判別情報は、たとえば、ユーザー名の文字または文字に付された記号(ダイアクリティカルマーク)から言語を判別するための第1判別情報D1、ユーザー名の記し方の法則から言語を判別する第2判別情報D2、および、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための第3判別情報D3、のうちの少なくとも1つの判別情報を含んでいる。以下、図12〜図14を参照して、第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3について説明する。なお、以下に述べる言語(英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語および日本語)は一例であって、これら以外の多数の言語(たとえば、韓国語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語など)に関する情報が各判別情報に含まれていてもよい。
【0070】
まず、図12を参照して、第1判別情報D1について説明する。
【0071】
たとえば、ドイツ語では、ウムラウト記号が付された文字が使用される。また、フランス語では、グレイヴ・アクセント記号(他に、アキュート・アクセント記号、サーカムフレックス記号、セディーユ記号などがある)が付された文字が使用される。また、ロシア語では、キリル文字が使用される。また、日本語では、平仮名やカタカナが使用される。
【0072】
そこで、第1判別情報D1では、ウムラウト記号が付された文字とドイツ語とを関連付けている。また、グレイヴ・アクセント記号などが付された文字はフランス語と関連付けている。また、キリル文字はロシア語と関連付けている。また、平仮名やカタカナは日本語と関連付けている。
【0073】
これにより、主制御部110は、ウムラウト記号が付された文字がユーザー名に含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をドイツ語と判別する。また、グレイヴ・アクセント記号などが付された文字がユーザー名に含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をフランス語と判別する。また、キリル文字がユーザー名に含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をロシア語と判別する。また、平仮名やカタカナがユーザー名に含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を日本語と判別する。
【0074】
次に、図13を参照して、第2判別情報D2について説明する。
【0075】
たとえば、英語圏では、名前の最初の文字がラテンアルファベットの大文字で表記される。さらに、名前の最後に「Jr.」を付ける場合がある。また、ドイツ語圏では、姓の前に「von」を付ける場合がある。また、フランス語圏では、姓の前に「de」を付ける場合がある。
【0076】
そこで、第2判別情報D2では、最初の文字がラテンアルファベットの大文字である文字列や「Jr.」を含む文字列と英語とを関連付けている。また、「von」を含む文字列はドイツ語と関連付けている。また、「de」を含む文字列はフランス語と関連付けている。
【0077】
これにより、主制御部110は、ユーザー名の最初の文字がラテンアルファベットの大文字である場合や、ユーザー名に「Jr.」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を英語と判別する。また、ユーザー名に「von」が含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をドイツ語と判別する。また、ユーザー名に「de」が含まれている場合には、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語をフランス語と判別する。
【0078】
次に、図14を参照して、第3判別情報D3について説明する。
【0079】
たとえば、英語を公用語とするアメリカでは、男性のファーストネームとして、「James」が最も多く使用され、「John」が2番目に多く使用され、「Robert」が3番目に多く使用される。女性のファーストネームとしては、「Mary」が最も多く使用され、「Patricia」が2番目に多く使用され、「Linda」が3番目に多く使用される。ファミリーネームとしては、「Smith」が最も多く使用され、「Johnson」が2番目に多く使用され、「Williams」が3番目に多く使用される。そこで、第3判別情報D3では、先述した各文字列と英語とを関連付けている。
【0080】
さらに、別の例を挙げると、日本語を公用語とする日本では、名字(ファミリーネーム)として、「佐藤(さとう、サトウ、Satou)」が最も多く使用され、「鈴木(すずき、スズキ、Suzuki)」が2番目に多く使用され、「高橋(たかはし、タカハシ、Takahashi)」が3番目に多く使用される。したがって、これら各文字列は日本語と関連付けている。
【0081】
これにより、主制御部110は、たとえば、ユーザー名に「Smith」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を英語と判別する。また、ユーザー名に「佐藤(さとう、サトウ、Satou)」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーが使用する言語を日本語と判別する。
【0082】
なお、たとえば、ユーザー名を入力したユーザーがドイツ語圏やフランス語圏であったとしても、そのユーザー名にダイアクリティカルマークを有する文字(あるいは、「von」や「De」という文字列)が含まれないこともあり、この場合、第1判別情報D1や第2判別情報D2だけでは、正確な言語判別を行うことができない。言い換えると、第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3のうちの1つ(あるいは、2つ)だけでは、言語判別を正確に行うことができない場合がある。このため、好ましくは、主制御部110は、言語判別を行う際に、第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3の全てを参照する。
【0083】
また、主制御部110は、上述したように、ユーザー名と判別情報とに基づき、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定など、国によって設定し直すことが多い設定項目を自動的に変更する。
【0084】
たとえば、アメリカでは、「ミリ」ではなくて「インチ」を用いて用紙サイズを表すことが多い。したがって、アメリカ人のユーザーが画像形成装置100を利用する場合、用紙設定を「ミリ」から「インチ」に変更することが多々ある。そこで、本実施形態では、主制御部110は、ログインしたユーザーがアメリカ人であれば、用紙設定を自動的に「インチ」に設定変更する。これにより、液晶表示部11は、用紙サイズに関する設定内容については、「インチ」で表示する。
【0085】
また、画像形成装置100を利用するユーザーは、海外に在る自国向けにファックス送信することがあるので、タイムゾーン設定やファックスコード設定についても、海外に在る自国に合わせて変更することがある。たとえば、液晶表示部11は、ファックス送信の際に、宛先入力画面を表示し、送信先のファクス番号をユーザーに入力してもらう。このとき、海外に在る自国向けにファックス送信するユーザーは、通常、ファックスカントリーコード(送信先の国番号)とファックス番号とを入力しなければならない。したがって、海外に在る自国向けにファックス送信するユーザーにとっては、入力操作が多く煩わしい。そこで、本実施形態では、主制御部110は、ログインしたユーザーに応じてファックスカントリーコード設定を設定変更する。そして、液晶表示部11は、たとえば、ログインしたユーザーに応じたファックスカントリーコードのリストを宛先入力画面に表示しておく。このようにすると、海外に在る自国向けにファックス送信するユーザーからすると、宛先入力画面内のリストから所望のファックスカントリーコードを押下するだけでファックスカントリーコードの入力を終えることができ、入力操作が平易になる。
【0086】
また、同時に、タイムゾーン設定も設定変更しておけば、ファックス送信の開始時間を指定する場合に、海外に在る自国の時間との時差を計算しなくても、適切な時間に、海外に在る自国にファックスデータを届けることができる。
【0087】
ところで、たとえば、英語を公用語とする国は、アメリカ、イギリス、カナダおよびオーストラリアなどが挙げられる。また、ドイツ語を公用語とする国は、ドイツ、オーストリア、ベルギーおよびスイスなどが挙げられる。また、フランス語を公用語とする国は、フランス、ベルギーおよびスイスなどが挙げられる。また、他の言語についても、複数の国で公用語として使われることが多い。
【0088】
したがって、第1判別情報D1や第2判別情報D2だけを使うようにした場合、主制御部110は、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定を設定変更できない。具体的には、ユーザーの使用する言語が英語であることが判別できたとしても、英語を公用語とする複数の国(たとえば、アメリカ、イギリス、カナダおよびオーストラリアなど)のうちのどの国に合わせて設定変更すればよいかが判断できない。
【0089】
しかし、第3判別情報D3は、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための情報である。このため、少なくとも第3判別情報D3を使うようにすれば、主制御部110は、言語の判別だけでなく、国をも判別することができる。たとえば、主制御部110は、ユーザー名に「Smith」が含まれている場合、そのユーザー名を入力したユーザーの使用する言語が英語であると判別し、さらに、ユーザー名に対応する国がアメリカであると判別する。
【0090】
以下に、図15を参照して、主制御部110が言語設定を自動的に変更するときの動作について説明する。
【0091】
まず、図15のフローのスタート時点では、ログインのためのユーザー認証の入力操作(ユーザー名およびパスワードの入力操作)がユーザーによって行われているとする。そして、ユーザーによって新たに入力されたユーザー情報(ユーザー名およびパスワード)を主制御部110が認証したときに、図15のフローがスタートする。
【0092】
ステップS1において、主制御部110は、ユーザー認証時に入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいた言語判別(ユーザー名を入力したユーザーが使用する言語の判別)を開始する。
【0093】
ステップS2において、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づき言語判別を行い、言語の判別ができた場合には、ステップS3に移行する一方、言語の判別ができなかった場合には、言語設定の設定変更は行わずに終了する。
【0094】
ステップS3に移行すると、主制御部110は、判別した言語を表示言語として設定する。ステップS4において、主制御部110は、設定した表示言語を記憶部113(または記憶部18)に記憶させる。
【0095】
たとえば、表示言語として日本語が設定されたとすると、主制御部110は、表示言語を日本語とする旨の指示を表示制御部17に与える。そして、表示制御部17は、主制御部110からの指示に基づいて、図10に示したように、日本語を使った設定画面(操作画面)を液晶表示部11に表示させる。また、たとえば、表示言語として英語が設定されたとすると、主制御部110は、表示言語を英語とする旨の指示を表示制御部17に与える。そして、表示制御部17は、主制御部110からの指示に基づいて、図11に示したように、英語を使った設定画面(操作画面)を液晶表示部11に表示させる。
【0096】
次に、図16を参照して、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定を主制御部110が自動的に変更するときの動作について説明する。
【0097】
まず、図16のフローのスタート時点では、ログインのためのユーザー認証の入力操作(ユーザー名およびパスワードの入力操作)がユーザーによって行われているとする。そして、ユーザーによって新たに入力されたユーザー情報(ユーザー名およびパスワード)を主制御部110が認証したときに、図16のフローがスタートする。すなわち、図16のフローは、図15のフローと同時進行する。
【0098】
ステップS11において、主制御部110は、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定の各設定内容を変更するため、ユーザー認証時に入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づき、ユーザー名に対応する国(地域)の判別を開始する。
【0099】
ステップS12において、主制御部110は、ユーザー名に対応する国の判別を行い、ユーザー名に対応する国の判別ができた場合には、ステップS13に移行する一方、ユーザー名に対応する国の判別ができなかった場合には、設定変更は行わない。
【0100】
ステップS13に移行すると、主制御部110は、判別した国に応じて、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定を設定変更する。具体的には、主制御部110は、判別した国の基準に基づいて用紙設定を設定変更する。また、主制御部110は、判別した国のカントリーコードに基づいてカントリーコード設定を設定変更する。また、主制御部110は、判別した国のタイムゾーンに基づいてタイムゾーン設定を設定変更する。そして、ステップS14において、主制御部110は、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定の変更後の各設定内容を記憶部113に記憶させる。
【0101】
なお、この後、操作パネル101がログアウトの指示をユーザーから受け付けた場合(ログアウトキー20がユーザーによって押下された場合)、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいた設定内容をリセットする。
【0102】
ところで、本実施形態では、液晶表示部11は、メールアドレスの入力操作をユーザーから受け付けるとき、図17に示すようなメールアドレス入力画面Cを表示する。このとき、液晶表示部11は、ユーザーの入力操作時の負担を軽減するため、メールアドレス入力画面Cに、国別コードトップレベルドメインのリストLを表示する。なお、国別コードトップレベルドメインに関して、「□□□□@example.co.jp」というメールアドレスにおいては、「.jp」が国別コードトップレベルドメインに該当する。
【0103】
たとえば、アメリカ人のユーザーが画像形成装置100を利用するとする。この場合、以下の国別コードトップレベルドメインの入力回数が多くなると考えられる。
「.us」・・・アメリカ合衆国
「.gu」・・・グアム(アメリカ領)
「.mp」・・・北マリアナ諸島(アメリカ領)
「.pr」・・・プエルトリコ(アメリカ領)
「.um」・・・アメリカ領太平洋諸島
【0104】
このため、液晶表示部11は、画像形成装置100を利用するユーザーがアメリカ人であれば、「.us」、「.gu」、「.mp」、「.pr」および「.um」をリストLにリストアップして表示する。
【0105】
どの国の国別コードトップレベルドメインをリストLにリストアップするかについての判断は、主制御部110が行う。具体的には、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別する。なお、この場合の国の判別方法は、用紙設定などの設定変更に際して行った国の判別方法と同様である。そして、主制御部110は、判別した国の国別コードトップレベルドメインがリストLにリストアップされるように設定する。すなわち、たとえば、主制御部110が判別した国がアメリカであったとすると、液晶表示部11は、「.us」、「.gu」、「.mp」、「.pr」および「.um」をリストLにリストアップして表示する。
【0106】
なお、主制御部110は、上述したように、用紙設定、タイムゾーン設定およびファックスカントリーコード設定の設定変更に際して、ユーザー名に対応する国(地域)を既に判別し、記憶部113に記憶させている。したがって、主制御部110は、リストLにリストアップする国別コードトップレベルドメインの設定を行う際に、記憶部113に既に記憶された判別結果を使うことができる。
【0107】
本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、その判別した言語を表示言語として設定し、判別した言語に応じた操作画面(たとえば、設定画面など)を操作パネル110(操作表示部に相当)の液晶表示部11に表示させる。これにより、ユーザーからすると、ユーザー名を入力するだけで、自身が使用する言語が表示言語として設定されるので、言語設定を設定変更するための操作を行わなくてもよくなる。すなわち、本実施形態では、言語設定の設定変更をユーザーに行ってもらう必要がないので、ユーザーの利便性を向上させる(ユーザーが行う操作を減らす)ことができる。なお、本実施形態は、特に、言語圏が互いに異なる複数のユーザーが同一の画像形成装置100を利用する環境(言語設定が頻繁に設定変更される環境)において、著しい効果を奏する。
【0108】
また、本実施形態では、上記のように、判別情報は、ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための第1判別情報D1、ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための第2判別情報D2、および、国別の名前の使用頻度順位とユーザー名とを比較して言語を判別するための第3判別情報D3、のうちの少なくとも1つの情報を含む。このような判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)を用いると、容易に、ユーザー名から、ユーザーの使用する言語を判別することができる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国の基準に基づき用紙設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、用紙設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、その判別した国のカントリーコードに基づきカントリーコード設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、カントリーコード設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、判別した国のタイムゾーンに基づきタイムゾーン設定を設定変更する。このように構成すれば、ユーザーからすると、言語設定に加えて、タイムゾーン設定を設定変更するための操作も必要なくなる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、ユーザー名と判別情報とに基づいて、ユーザー名に対応する国を判別し、操作パネル101の液晶表示部11は、メールアドレスの入力操作を受け付けるときに、主制御部110が判別した国の国別コードトップレベルドメインのリストLを表示する。このように構成すれば、ユーザーからすると、メールアドレスの国別コードトップレベルドメインを入力する際に、操作パネル101の液晶表示部11に表示されたリストLから所望の国別コードトップレベルドメインを選択するだけでよいので、国別コードトップレベルドメインの入力が平易になる。すなわち、このように構成することにより、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、操作パネル101の液晶表示部11は、ログインのためのユーザー認証画面Aを表示し、主制御部110は、ユーザー認証画面Aに入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいて判別動作を行う。このように構成すれば、ユーザーからすると、ログインするだけで、設定操作を別途行うことなく、設定内容を自身が使い易い設定にすることができる。すなわち、このように構成することによって、ユーザーの利便性をさらに向上させることができる。なお、ユーザーは、操作パネル101に設けられたログアウトキー20を押下するだけで、ユーザー認証画面Aに入力されたユーザー名と判別情報(第1判別情報D1、第2判別情報D2および第3判別情報D3)とに基づいた設定内容をリセットすることができる。
【0114】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0115】
17 表示制御部(制御部)
18、113 記憶部
20 ログアウトキー
100 画像形成装置
101 操作パネル(操作表示部)
110 主制御部(制御部)
D1 第1判別情報(判別情報)
D2 第2判別情報(判別情報)
D3 第3判別情報(判別情報)
L リスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー名の入力操作を受け付けるとともに、複数種の言語で操作画面を表示する操作表示部と、
前記複数種の言語にそれぞれ応じた操作画面を表示するための操作画面情報、および、ユーザーが使用する言語を前記ユーザー名から判別するための判別情報、を記憶する記憶部と、
前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、前記判別した言語を表示言語として設定し、前記判別した言語に応じた操作画面を前記操作表示部に表示させる制御部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判別情報は、前記ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための情報、前記ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための情報、および、国別の名前の使用頻度順位と前記ユーザー名とを比較して言語を判別するための情報、のうちの少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、前記判別した国の基準に基づき用紙設定を設定変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、前記判別した国のカントリーコードに基づきカントリーコード設定を設定変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、前記判別した国のタイムゾーンに基づきタイムゾーン設定を設定変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、
前記操作表示部は、メールアドレスの入力操作を受け付けるときに、前記制御部が判別した国の国別コードトップレベルドメインのリストを表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作表示部は、ログインのためのユーザー認証画面を表示し、
前記制御部は、前記ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と前記判別情報とに基づいて判別動作を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作表示部は、ログアウトの指示を受け付けるためのログアウトキーを有し、
前記制御部は、前記操作表示部がログアウトの指示を受け付けたとき、前記ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と前記判別情報とに基づいた設定内容をリセットすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項1】
ユーザー名の入力操作を受け付けるとともに、複数種の言語で操作画面を表示する操作表示部と、
前記複数種の言語にそれぞれ応じた操作画面を表示するための操作画面情報、および、ユーザーが使用する言語を前記ユーザー名から判別するための判別情報、を記憶する記憶部と、
前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいてユーザーが使用する言語を判別するとともに、前記判別した言語を表示言語として設定し、前記判別した言語に応じた操作画面を前記操作表示部に表示させる制御部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判別情報は、前記ユーザー名の文字または文字に付された記号から言語を判別するための情報、前記ユーザー名の記し方の法則から言語を判別するための情報、および、国別の名前の使用頻度順位と前記ユーザー名とを比較して言語を判別するための情報、のうちの少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、前記判別した国の基準に基づき用紙設定を設定変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、前記判別した国のカントリーコードに基づきカントリーコード設定を設定変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、前記判別した国のタイムゾーンに基づきタイムゾーン設定を設定変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザー名と前記判別情報とに基づいて、前記ユーザー名に対応する国を判別し、
前記操作表示部は、メールアドレスの入力操作を受け付けるときに、前記制御部が判別した国の国別コードトップレベルドメインのリストを表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作表示部は、ログインのためのユーザー認証画面を表示し、
前記制御部は、前記ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と前記判別情報とに基づいて判別動作を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作表示部は、ログアウトの指示を受け付けるためのログアウトキーを有し、
前記制御部は、前記操作表示部がログアウトの指示を受け付けたとき、前記ユーザー認証画面に入力されたユーザー名と前記判別情報とに基づいた設定内容をリセットすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−7958(P2013−7958A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141833(P2011−141833)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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