画像形成装置
【課題】トナーボトルモータの負荷を検知して、トナーボトルの交換が必要かどうかの判定を行う。
【解決手段】S102でホッパーにトナーが無くなったと判定されると、S103でボトルモータを駆動して、S104でその負荷を測定する。そして、S105で負荷が閾値未満かどうかを判定する。負荷が閾値以上であればトナーボトルにはトナーが残存していると推定される。一方、負荷が閾値未満であればトナーボトルにはトナーが残存していないと推定されるため、トナーボトルの交換を促すメッセージを表示する。
【解決手段】S102でホッパーにトナーが無くなったと判定されると、S103でボトルモータを駆動して、S104でその負荷を測定する。そして、S105で負荷が閾値未満かどうかを判定する。負荷が閾値以上であればトナーボトルにはトナーが残存していると推定される。一方、負荷が閾値未満であればトナーボトルにはトナーが残存していないと推定されるため、トナーボトルの交換を促すメッセージを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が用紙へ画像を転写するために用いるトナー剤は、ユーザーによって交換可能なトナーボトルから画像形成装置の本体内に設けられたホッパー部へ供給される。ホッパー部は、トナーを現像器へ供給する前に一時的に収納する収納部(ホッポー)を備えている。ホッパー部にはトナーがホッパー内に有るか無いかを検知するトナーセンサが設けられることがある。トナーセンサがトナーの無いことを検知すると、ホッパー部は、モータによってトナーボトルを回転させることで、トナーボトルからホッパーへトナーを補給する。
【0003】
トナーボトルが空になると、ユーザーはトナーボトルの交換を行わなくてはならない。そのためにはトナーボトルが空になったということを検知しなければならない。トナーボトル内にトナーセンサを設ければ、トナーボトルが空になったことを検知できる。しかし、トナーボトルは交換部品であるため、トナーセンサをトナーボトルに設けるとトナーボトルが高額になってしまう。
【0004】
特許文献1では、トナーボトルが交換されたかどうかを判断する時間を短縮する発明が提案されている。トナー補給を実行してもホッポー部のトナーセンサがトナーのないことを検知していれば、トナーボトルの交換を促すメッセージを表示部が表示する。その後、ドアセンサがドアの開閉を検知すると、回転速度検知部がFG信号を利用してトナーボトルモータの回転速度を検知する。回転速度が閾値を超えていればトナーボトルが交換されていないと判定される。一方、回転速度が閾値以下であればトナーボトルが交換されたと判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−288679号公報、図6、段落0050〜段落0064
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、トナーボトル内にトナーがなくなるとモータの回転速度が増加する現象を利用して、トナーボトル内にトナーがあるかどうかを判定している。しかし、特許文献1の発明では、FG信号から回転速度を求めるため、FG信号を入力するポートや、FG信号を出力するモータが必要となってしまう。また、トナーボトルは一般にユーザーによって交換される。そのため、トナーボトルが間違って取り付けられてしまうと、トナーボトルを回転するモータに高い負荷がかかってしまい、トナーが有るものと誤検知してしまう可能性がある。
【0007】
ところで、トナーボトルが高湿環境で長時間放置されると、トナーボトル内部のトナーの流動性が悪化してトナーの供給量が少なくなってしまう。また、トナーボトルがよく振られてから取り付けられると、トナーの供給量が急激に多くなるため、トナーボトルの出口でトナー詰まりを起こしてしまうことがある。このような場合には、トナーボトルにトナーがあるにも拘わらず、トナーが正常にホッパーに入らなくなってしまう。
【0008】
とりわけ、特許文献1に記載の発明では、トナーボトルモータの回転速度からトナーボトルが交換されたと判定し、その後、トナーボトルを一定期間にわたって回転させてもホッパー部にトナーが補給されなければトナーボトルの交換表示を出力する。つまり、トナーボトルモータの回転速度が、トナーボトルの交換表示に反映されることはない。しかし、ホッパー部にトナーが入って来なくても、上記の様にトナーボトル内にまだトナーが有る可能性もある。よって、ホッパー部に設けられたトナーセンサがトナーを検知できないことだけを根拠にトナーボトルの交換表示を出力するのは適切でないケースがある。このように、従来技術では、トナーボトルモータの回転速度はトナーボトルが交換されたかどうかの判定に利用されているにすぎず、トナーボトルの交換が必要かどうかの判定には利用されていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、トナーボトルモータの負荷を検知して、トナーボトルの交換が必要かどうかの判定を行う画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
トナーボトルを駆動して当該トナーボトルからトナーを供給するモータと、
前記トナーボトルから供給されたトナーを収納する収納部と、
前記モータにかかる負荷を測定する負荷測定部と
前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値未満になると前記トナーボトルの交換が必要であると判定し、前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値以上になると前記トナーボトルの交換が必要ではないと判定する判定部と、
前記判定部が、前記トナーボトルの交換が必要であると判定すると、当該トナーボトルの交換を促すメッセージを出力する出力部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナーボトルを駆動するモータの負荷に応じてトナーボトルの交換が必要かどうかを判定できるようになる。これにより、本発明では、収納部におけるトナーの有無からトナーボトルの交換の必要性を判定する従来技術よりも、精度よく交換の必要性を判定できるようになる。たとえば、トナーボトルの出口でトナーが固まっている場合、従来技術では、トナーボトルの交換メッセージが出力されてしまう。一方、本発明であれば、トナーボトルの交換は不要と判定されるため、無用な交換メッセージが出力されないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の断面図。
【図2】トナー補給部を示す図。
【図3】トナーセンサの検知方法を説明する図。
【図4】制御部を示すブロック図。
【図5】トナーが少ないときと多いでのボトルモータの電流値を示す図。
【図6】トナー残量とモータ電流値の関係を示す図。
【図7】トナーボトル交換メッセージとトナーボトル再設置メッセージの一例を示す図。
【図8】トナーボトル交換の必要性とトナーボトル再設置の必要性を判定する処理を示すフローチャート。
【図9】トナー残量とモータ電流値との関係を示す図。
【図10】トナー残量とトナーボトル準備メッセージの表示例を示す図。
【図11】トナー残量の推定処理とトナーボトル準備メッセージの表示処理を示すフローチャート。
【図12】トナーボトルがトナーで満杯になっているときの負荷取得処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施例>
一般的な画像形成装置1の簡単な構成を図1に示す。画像形成装置1は、いわゆる複写機または複合機であるが、電子写真方式のプリンタやファクシミリであってもよい。画像出力部10は、記録用紙に原稿画像を出力するユニット(プリンタ)である。画像入力部11は、原稿画像のデータを読み取るユニット(イメージスキャナ)である。表示部14はユーザーがコピーモードを設定するなどのオペレーションを可能にしたり、エラーコードやメンテナンス方法を表示したりするユニットである。画像出力部10には、記録用紙を格納する給紙部34、35、36、37が設けられている。記録用紙は給紙搬送ローラー38、39、40、41によって画像形成部へ給紙および搬送される。画像形成部の光学照射部27は、画像入力部11からの画像信号に応じたレーザービームを出力し、感光体31上を走査する。レーザービームによって感光体31上に形成された潜像は、トナー補給部44からトナーが補給された現像器33によってトナー像へと現像される。トナー像は感光体31から記録用紙へ転写され、その後、定着ローラー32と加圧ローラー43の間により定着する。
【0014】
図2はトナー補給部44の内部を詳細に示している。トナーが予め充填されているトナーボトル50はユーザーによってボトル取り付け部51に設置される。ここで、トナーボトル50のキャップがキャップつまみ53によって開放される。ボトルモータ52はキャップつまみ53の軸上に取り付けられており、ボトルモータ52を回転駆動することによってトナーボトル50を矢印Aが示す方向に回転させる。トナーボトル50を回転させることでトナーボトル50の内部からホッパー54へトナーが供給される。ホッパー54は、トナーボトルから供給されたトナーを収納する収納部である。ホッパー54内にはスクリュー55が設けられている。スクリュー55は、図示しないモータ等の駆動源で回転駆動され、トナーを図2において左から右へ搬送する。ホッパー54の内部にはトナーの有無を検知するトナーセンサ56が配置されている。トナーセンサ56がホッパー54の内部にトナーが無くなったことを検知すると、スクリュー55が駆動されるとともに、ボトルモータ52も駆動される。これにより、トナーボトル50からトナーが供給され、ホッパー54内へ送り込まれる。ホッパー54の出口57の下には現像器33が設けられている。現像器33の内部に設けられている別のトナーセンサ(図示略)が現像器33の内部にトナーがなくなったことを検知すると、ホッパーシャッター58が開き、トナーがホッパー54から現像器33へ補給される。
【0015】
図3(A)および図3(B)はホッパー54内のトナーセンサ56のトナー有無検知方法を示している。ここでは、トナーセンサ56はピエゾ方式のセンサが採用されているが、トナーの磁束を検知するインダクタ方式や透過光を見る透過型のセンサなど他の方式のセンサが採用されてもよい。破線30はトナーセンサ56がトナー有りと無しとを検知する境界である。図3(A)では破線より下にトナー界面があるため、トナーセンサ56は、「トナー無し」と検知する。一方、図3(B)では破線より上にトナー界面があるため、トナーセンサ56は、「トナー有り」と検知する。トナーセンサ56は、トナーの有無を示すハイレベルとローレベルのいずれかの検知信号を出力する。
【0016】
図4に制御部のブロック図を示す。CPU60は、トナーがホッパー54に無くなったことを示す検知信号をトナーセンサ56が出力すると、モータ駆動回路61を制御してボトルモータ52を駆動する。このように、CPU60およびモータ駆動回路61はモータを制御する制御部として機能している。CPU60は、ボトルモータ52に流れるモータ電流を検知するモータ電流検知回路62からモータ電流を示す出力値を受け取る。モータ電流はボトルモータ52にかかる負荷に対応している。よって、モータ電流検知回路62は、モータにかかる負荷を測定する負荷測定部として機能する。CPU60は、モータ電流の値に応じてトナーボトル50の交換を促すメッセージやトナーボトル50の取り付け直しを促すメッセージなどを表示部14に表示させる。メモリ63はROMやRAMなどであり、CPU60からのデータを記憶したり、記憶しているデータを出力したりする。また、メモリ63は、CPU60が実行する制御プログラムも記憶している。
【0017】
図5(A)および図5(B)を用いてボトルモータ52に流れる電流を説明する。図5(A)において横軸は時間を示し、縦軸はトナーボトル50が満杯のときにボトルモータ52に流れるモータ電流の値を示している。ボトルモータ52の駆動時間Tonのうち最初の期間である起動期間Tstartはボトルモータ52が回転を開始してから定常回転に至るまで時間を示している。起動期間Tstartにおいては起動トルクがボトルモータ52にかかるため、モータ電流値は定常回転時のモータ電流値よりも大きくなる。起動期間Tstartが経過した後はボトルモータ52が定常回転するため、モータ電流値が安定する。定常回転時のモータ電流値をI0fとする。
【0018】
図5(B)において横軸は時間を示し、縦軸はトナーボトル50が空の時のボトルモータ52のモータ電流値を示している。起動期間Tstartにおいてトナーボトル50が満杯の時と同じく空の時にも突入電流が流れるが、その後は定常電流I0eが流れる。ここでI0f>I0eの関係がある。これは、トナーボトル50が満杯のときはボトルモータ52にかかる負荷が高いためモータ電流値が多くなり、トナーボトル50が空のときはボトルモータ52にかかる負荷が低いためモータ電流値が少なくなるからである。
【0019】
モータ電流検知回路62は、電流検知抵抗等を用いてボトルモータ52に流れる電流の値を電圧値に変換する。さらにモータ電流検知回路62はADコンバータ等を用いてモータ電流値に相当するアナログ電圧をデジタル値に変換してCPU60に出力する。CPU60は、モータ電流の定常時の電流値のみを検知する。これは、定常時のモータ電流値がトナーボトル50の内部に残存しているトナーの量を精度よく示すからである。よって、CPU60は、ボトルモータ52を起動してから起動期間Tstartが十分に経過するまでは、入力された検知信号を無視し、その後の電流値を平均処理する。制御プログラムによって、所定時間(起動期間Tstart + α)が経過するまでは、モータ電流値の読み込みを禁止するようにしてもよい。あるいは、モータ電流検知回路62がトナー電流値を示す電圧が入力されてから所定時間は信号をCPU60へ出力しない論理回路を内蔵していてもよい。
【0020】
ボトルモータ52に流れるモータ電流の値とトナーボトル50内のトナー残量には図6に示すような関係がある。モータ電流がI0fであるときは、トナー残量が100%である。一方、モータ電流がI0eであるときは、トナー残量が0%である。図6において、閾値Idは、トナーボトル50の交換を促すか否かを決定するための閾値である。Id≧I0eの関係にある。閾値IdをI0eよりも若干大きくするのは、モータ電流の検知精度に依存した誤差を考慮したマージンを付与するためである。メモリ63は閾値Idを工場出荷時に予め記憶しており、CPU60はIdをメモリから読み込むことができる。
【0021】
図8のフローチャートを用いて、CPU60で行われる制御を詳細に説明する。S101で、画像形成装置の電源がオンされたり、省電力モードから復帰したりすると、CPU60は、制御プログラムを実行して以下の処理を実行する。
【0022】
S102で、CPU60は、トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示しているか、トナーが有ることを示しているかを判定する。トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示していれば、S103に進む。S103で、CPU60は、モータ駆動回路61を通じてボトルモータ52を駆動する。これにより、CPU60は、トナーボトル50からホッパー54へのトナーの排出を試行する。S104で、CPU60は、ボトルモータ52にかかっている負荷の大きさを測定する。たとえば、CPU60は、モータ電流検知回路62を介してボトルモータ52の電流値を検知する。
【0023】
S105で、CPU60は、トナーボトル50の交換が必要か否かを判定するために、測定した負荷が所定の閾値未満か否かを判定する。たとえば、CPU60は、電流値が閾値Id未満か否かを判定する。負荷が閾値未満であれば、CPU60はトナーボトル50が空であると判断し、S106に進む。S106で、CPU60は、モータ駆動回路61に停止信号を出力することで、ボトルモータ52を停止させる。S107で、CPU60は、トナーボトル50の交換を促すメッセージを表示部14に表示させる。図7(A)には、トナーボトル50の交換を促すメッセージの一例が示されている。このように、CPU60がトナーボトル50の交換が必要であると判定すると、表示部14はトナーボトル50の交換を促すメッセージを出力する出力部として機能する。
【0024】
一方、S105で負荷が閾値未満でなければ、CPU60は、トナーボトル50は空ではないと判断し、ボトルモータ52とスクリュー55の駆動を継続しつつ、S108に進む。S108で、CPU60は、トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示しているか、トナーが有ることを示しているかを再び判定する。これは、S103でボトルモータ52を回転させたことでホッパー54内にトナーが補給された可能性があるからである。トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示していれば、S109に進む。S109で、CPU60は、ボトルモータ52の駆動を開始してから所定時間T0が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していなければS108に戻る。一方、所定時間が経過してもトナー無しであれば、CPU60は、トナーが補給されていないと判断し、S110に進む。S110で、CPU60は、図7(B)に示したように、トナーボトル50の取り付け直しを促すメッセージを表示部14に表示させる。これは、ボトルモータ52には高い負荷がかかっているのに、トナーがホッパー54に補給されているため、トナーボトル50の設置不良が疑われるからである。
【0025】
一方、S108で、トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが有ることを示していれば、S111に進む。S111で、CPU60は、トナーボトル50の交換は必要なく、トナーもホッパー54に補給されたと判断し、通常のプリント動作に移行する。
【0026】
本実施例では、ボトルモータ52の電流を検知しているが、ボトルモータ52にかかる負荷が測定できれば十分であるため、ボトルモータ52のFG信号から回転数を検知することで負荷を推定してもよい。この場合、CPU60は、FG信号を入力するためのポートが必要となる。
【0027】
このように本実施例では、CPU60が、負荷測定部が測定した負荷の値が所定値未満になるとトナーボトルの交換が必要であると判定し、負荷測定部が測定した負荷の値が所定値以上になるとトナーボトルの交換が必要ではないと判定する判定部として機能する。これにより、本実施例は、トナーボトルを駆動するモータの負荷に応じてトナーボトルの交換が必要かどうかを判定できるようになる。さらに、本実施例では、収納部におけるトナーの有無からトナーボトルの交換の必要性を判定する従来技術よりも、精度よく交換の必要性を判定できるようになる。たとえば、トナーボトルの出口でトナーが固まっている場合、従来技術では、トナーボトルの交換メッセージが出力されてしまう。一方、本発明であれば、トナーボトルの交換は不要と判定されるため、無用な交換メッセージが出力されないようになる。
【0028】
さらに、本実施例では、CPU60がトナーボトルの交換が必要ではないと判定したときに、所定時間にわたりモータを駆動してもトナーセンサがトナーを検知できなければ、トナーボトルの取り付け直しを促すメッセージを表示部14に出力する。これにより、トナーボトルの設置不良の問題を解決できるようになる。本実施例では、ボトルモータ52の負荷に応じてトナーボトルの交換の必要性を判定している。そのため、トナーボトルの設置不良によって見かけ上の負荷が高くなっているときには、トナーボトルの交換の必要性の判定が誤ってしまう可能性がある。そこで、設置不良の疑いがあるときは、トナーボトルの取り付け直しを促すメッセージを出力することで、設置不良の疑いを解決できるようになる。トナーボトル50の内部でトナーが固着しているときにも、負荷が高いにも拘わらず、トナーが補給されない状態となる。よって、取り付け直しを促すメッセージにしたがってトナーを取り付け直す際に、トナーボトル50を振ってから取り付ければ固着したトナーが崩れて、トナーが補給されやすくなろう。
【0029】
<第2実施例>
実施例1で説明した画像形成装置においては、図6に示したようなトナー残量とモータ電流の関係があるため、CPU60は、モータ電流値からトナー残量を推測することができる。そこで、実施例2では、ボトルモータ52にかかっている負荷を測定し、さらに負荷からトナー残量を測定して、表示部14に表示することを特徴とする。
【0030】
図9において横軸はトナー残量を示し、縦軸はモータ電流値を示している。ここでは、I0eをトナー残量0%とし、I0fをトナー残量100%としている。さらに、トナー残量を10%刻みでレベル分けし、各々のトナー残量に対応する電流値をI1〜I9とする。このI1〜I9の値と、トナー残量との関係はテーブルまたは数式化されて予めメモリ63に記憶されている。よって、CPU60は、測定された負荷(電流値)を用いてテーブルを三要することで、負荷に対応するトナー残量を取得できる。なお、このトナー残量は、負荷から推定された推定値である。
【0031】
たとえば、電流値がI4とI5の間にあった場合、トナー残量は40%〜50%の間である。そこで、CPU60は、図10(A)に示したように、「トナー残り 50%」といったトナー残量メッセージ101を表示部14に表示してもよい。
【0032】
ところで、トナー残量によっては、プリントを数百枚行うと、再度、トナーボトル50が空になってしまう可能性もある。この場合、ユーザーはさらに交換用のトナーボトル50を予め準備しておく必要がある。これにより、ユーザーは、次のトナーボトル交換メッセージが表示されたとき素早くトナーボトル50を交換できるため、ジョブの中断時間を減少させることができる。本実施例によれば、CPU60は、トナー残量が所定のトナー残量値X%になったときに、トナーボトル50を準備することを促すメッセージを表示部14に表示する。たとえば、トナー残量が20%になったときに、CPU60は、図10(B)に示すように「!!トナーボトルを準備してください」とメッセージ102を表示してもよい。
【0033】
図11にトナー残量メッセージおよびトナーボトル準備メッセージを表示する処理のフローチャートを示す。本フローチャートは、図8に示したS111の通常動作において並行して実行される処理を示している。
【0034】
S112で、CPU60は、ボトルモータ52にかかっている負荷の大きさを測定し、その負荷の値からトナー残量を推定する。たとえば、CPU60は、モータ電流検知回路62を通じてモータ電流値を測定し、上述したようなテーブルを用いる方法や数式を用いる方法により、モータ電流値に対応するトナー残量を推定する。このように、CPU60は、測定した負荷の値からトナーボトルに残存しているトナー残量を推定する推定部として機能する。S113で、CPU60は、トナー残量の推定値を示すトナー残量メッセージ101を表示部14に表示する。
【0035】
S114で、CPU60は、トナーボトル50のトナー残量が閾値X%未満か否かを判定する。このように、CPU60は、トナー残量を所定の閾値X%と比較する比較部として機能する。トナー残量がX%以上であれば、CPU60は、トナーボトルの準備は不要と判断し、本処理を終了する。一方、トナー残量がX%未満であれば、CPU60は、トナーボルトの交換の準備を促す必要があると判断し、S115に進む。S115で、CPU60は、トナーボトル50の交換の準備を促すメッセージ102を表示部14に表示する。
【0036】
このように本実施例によれば、トナーの残量を出力することで、ユーザーにトナーボトル50の交換の準備が必要かどうかを間接的に伝えることができるようになる。さらに、トナーボトル50の交換の準備を促すメッセージ102を表示部14に表示することで、ユーザーに対してトナーボトル50の交換の準備が必要になったことを直接的に伝えられるようになる。また、トナー残量の推定は、ボトルモータ52にかかる負荷に基づいて実行されるため、従来よりも精度よくトナー残量を推定できると考えられる。
【0037】
<第3実施例>
ボトルモータ52にはモータ単体の個体差やメカ構成の負荷バラつきにより電流値と負荷トルクの関係にバラつきが生じることがある。そのため、測定した負荷の値から推定されたトナー残量に誤差が反映されてしまい、推定値と実際のトナー残量との間に違いが生じてしまう可能性がある。そこで、トナーボトル50が満杯時のボトルモータ52の負荷を測定し、その負荷の値からトナー残量の推定値を補正することを提案する。
【0038】
画像形成装置のメンテナンスを実行するサービスマンが画像形成装置をユーザーの居室に設置するときには、まず、CPU60をトナー設置モードに変更し、空のホッパー54と現像器33にトナーを入れる作業を実行する。このトナー設置モードに移行しているときには必ず満杯のトナーボトル50が使用されるため、CPU60は、満杯時の負荷の値を取得できる。
【0039】
図12はトナーボトルがトナーで満杯になっているときの負荷を取得する処理を示したフローチャートである。S201で、CPU60は、表示部14に設けられたタッチパネルからトナー設置モードへの移行指示が入力されると、トナー設置モードへ移行する。この状態で、サービスマンがトナーで満杯になったトナーボトル50をホッパー54に対して設置する。
【0040】
S202で、CPU60は、モータ駆動回路61を通じてボトルモータ52を駆動する。S203で、CPU60は、ボトルモータ52の負荷の値を測定する。たとえば、CPU60は、モータ電流検知回路62を通じてモータ電流値を測定する。このモータ電流値は、そのときのモータ単体の個体差やメカ構成の負荷バラつきを反映した負荷であって、トナーボトル50が満杯のときの負荷を示している。
【0041】
S204で、CPU60は、測定した負荷の値をトナー残量が100%ときに負荷の値として、メモリ63に記憶する。たとえば、CPU60は、測定した電流値If0をトナー残量100%に対応付けてメモリ63に記憶する。S205で、CPU60は、トナー設置モードを終了し、ボトルモータ52を停止させる。
【0042】
なお、CPU60は、測定した電流値If0と、画像形成装置の工場出荷時に記憶された初期値Ifdとの比率を算出し、実施例2で説明したIe0〜If0までの各々の電流値に対してこの比率を乗算することで電流値を補正する。たとえば、測定した負荷が初期の負荷に対して1.1倍になっていれば、CPU60は、各負荷の測定値に対して1.1倍してから、トナー残量の推定などに使用する。このように、負荷の補正処理はS104やS112で実行される。
【0043】
このように、CPU60は、トナーボトル50の初期設置時に負荷測定部で測定された負荷の値と、画像形成装置の工場出荷時に設定された負荷の値との比率を求め、当該比率を乗算することで、負荷測定部が測定した負荷の値を補正する補正部として機能する。これにより、本実施例では、ボトルモータ52にはモータ単体の個体差やメカ構成の負荷バラつきを考慮して精度よくトナーボトル交換の必要性を判定でき、トナー残量も精度よく推定できるようになる。
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が用紙へ画像を転写するために用いるトナー剤は、ユーザーによって交換可能なトナーボトルから画像形成装置の本体内に設けられたホッパー部へ供給される。ホッパー部は、トナーを現像器へ供給する前に一時的に収納する収納部(ホッポー)を備えている。ホッパー部にはトナーがホッパー内に有るか無いかを検知するトナーセンサが設けられることがある。トナーセンサがトナーの無いことを検知すると、ホッパー部は、モータによってトナーボトルを回転させることで、トナーボトルからホッパーへトナーを補給する。
【0003】
トナーボトルが空になると、ユーザーはトナーボトルの交換を行わなくてはならない。そのためにはトナーボトルが空になったということを検知しなければならない。トナーボトル内にトナーセンサを設ければ、トナーボトルが空になったことを検知できる。しかし、トナーボトルは交換部品であるため、トナーセンサをトナーボトルに設けるとトナーボトルが高額になってしまう。
【0004】
特許文献1では、トナーボトルが交換されたかどうかを判断する時間を短縮する発明が提案されている。トナー補給を実行してもホッポー部のトナーセンサがトナーのないことを検知していれば、トナーボトルの交換を促すメッセージを表示部が表示する。その後、ドアセンサがドアの開閉を検知すると、回転速度検知部がFG信号を利用してトナーボトルモータの回転速度を検知する。回転速度が閾値を超えていればトナーボトルが交換されていないと判定される。一方、回転速度が閾値以下であればトナーボトルが交換されたと判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−288679号公報、図6、段落0050〜段落0064
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、トナーボトル内にトナーがなくなるとモータの回転速度が増加する現象を利用して、トナーボトル内にトナーがあるかどうかを判定している。しかし、特許文献1の発明では、FG信号から回転速度を求めるため、FG信号を入力するポートや、FG信号を出力するモータが必要となってしまう。また、トナーボトルは一般にユーザーによって交換される。そのため、トナーボトルが間違って取り付けられてしまうと、トナーボトルを回転するモータに高い負荷がかかってしまい、トナーが有るものと誤検知してしまう可能性がある。
【0007】
ところで、トナーボトルが高湿環境で長時間放置されると、トナーボトル内部のトナーの流動性が悪化してトナーの供給量が少なくなってしまう。また、トナーボトルがよく振られてから取り付けられると、トナーの供給量が急激に多くなるため、トナーボトルの出口でトナー詰まりを起こしてしまうことがある。このような場合には、トナーボトルにトナーがあるにも拘わらず、トナーが正常にホッパーに入らなくなってしまう。
【0008】
とりわけ、特許文献1に記載の発明では、トナーボトルモータの回転速度からトナーボトルが交換されたと判定し、その後、トナーボトルを一定期間にわたって回転させてもホッパー部にトナーが補給されなければトナーボトルの交換表示を出力する。つまり、トナーボトルモータの回転速度が、トナーボトルの交換表示に反映されることはない。しかし、ホッパー部にトナーが入って来なくても、上記の様にトナーボトル内にまだトナーが有る可能性もある。よって、ホッパー部に設けられたトナーセンサがトナーを検知できないことだけを根拠にトナーボトルの交換表示を出力するのは適切でないケースがある。このように、従来技術では、トナーボトルモータの回転速度はトナーボトルが交換されたかどうかの判定に利用されているにすぎず、トナーボトルの交換が必要かどうかの判定には利用されていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、トナーボトルモータの負荷を検知して、トナーボトルの交換が必要かどうかの判定を行う画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
トナーボトルを駆動して当該トナーボトルからトナーを供給するモータと、
前記トナーボトルから供給されたトナーを収納する収納部と、
前記モータにかかる負荷を測定する負荷測定部と
前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値未満になると前記トナーボトルの交換が必要であると判定し、前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値以上になると前記トナーボトルの交換が必要ではないと判定する判定部と、
前記判定部が、前記トナーボトルの交換が必要であると判定すると、当該トナーボトルの交換を促すメッセージを出力する出力部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナーボトルを駆動するモータの負荷に応じてトナーボトルの交換が必要かどうかを判定できるようになる。これにより、本発明では、収納部におけるトナーの有無からトナーボトルの交換の必要性を判定する従来技術よりも、精度よく交換の必要性を判定できるようになる。たとえば、トナーボトルの出口でトナーが固まっている場合、従来技術では、トナーボトルの交換メッセージが出力されてしまう。一方、本発明であれば、トナーボトルの交換は不要と判定されるため、無用な交換メッセージが出力されないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の断面図。
【図2】トナー補給部を示す図。
【図3】トナーセンサの検知方法を説明する図。
【図4】制御部を示すブロック図。
【図5】トナーが少ないときと多いでのボトルモータの電流値を示す図。
【図6】トナー残量とモータ電流値の関係を示す図。
【図7】トナーボトル交換メッセージとトナーボトル再設置メッセージの一例を示す図。
【図8】トナーボトル交換の必要性とトナーボトル再設置の必要性を判定する処理を示すフローチャート。
【図9】トナー残量とモータ電流値との関係を示す図。
【図10】トナー残量とトナーボトル準備メッセージの表示例を示す図。
【図11】トナー残量の推定処理とトナーボトル準備メッセージの表示処理を示すフローチャート。
【図12】トナーボトルがトナーで満杯になっているときの負荷取得処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施例>
一般的な画像形成装置1の簡単な構成を図1に示す。画像形成装置1は、いわゆる複写機または複合機であるが、電子写真方式のプリンタやファクシミリであってもよい。画像出力部10は、記録用紙に原稿画像を出力するユニット(プリンタ)である。画像入力部11は、原稿画像のデータを読み取るユニット(イメージスキャナ)である。表示部14はユーザーがコピーモードを設定するなどのオペレーションを可能にしたり、エラーコードやメンテナンス方法を表示したりするユニットである。画像出力部10には、記録用紙を格納する給紙部34、35、36、37が設けられている。記録用紙は給紙搬送ローラー38、39、40、41によって画像形成部へ給紙および搬送される。画像形成部の光学照射部27は、画像入力部11からの画像信号に応じたレーザービームを出力し、感光体31上を走査する。レーザービームによって感光体31上に形成された潜像は、トナー補給部44からトナーが補給された現像器33によってトナー像へと現像される。トナー像は感光体31から記録用紙へ転写され、その後、定着ローラー32と加圧ローラー43の間により定着する。
【0014】
図2はトナー補給部44の内部を詳細に示している。トナーが予め充填されているトナーボトル50はユーザーによってボトル取り付け部51に設置される。ここで、トナーボトル50のキャップがキャップつまみ53によって開放される。ボトルモータ52はキャップつまみ53の軸上に取り付けられており、ボトルモータ52を回転駆動することによってトナーボトル50を矢印Aが示す方向に回転させる。トナーボトル50を回転させることでトナーボトル50の内部からホッパー54へトナーが供給される。ホッパー54は、トナーボトルから供給されたトナーを収納する収納部である。ホッパー54内にはスクリュー55が設けられている。スクリュー55は、図示しないモータ等の駆動源で回転駆動され、トナーを図2において左から右へ搬送する。ホッパー54の内部にはトナーの有無を検知するトナーセンサ56が配置されている。トナーセンサ56がホッパー54の内部にトナーが無くなったことを検知すると、スクリュー55が駆動されるとともに、ボトルモータ52も駆動される。これにより、トナーボトル50からトナーが供給され、ホッパー54内へ送り込まれる。ホッパー54の出口57の下には現像器33が設けられている。現像器33の内部に設けられている別のトナーセンサ(図示略)が現像器33の内部にトナーがなくなったことを検知すると、ホッパーシャッター58が開き、トナーがホッパー54から現像器33へ補給される。
【0015】
図3(A)および図3(B)はホッパー54内のトナーセンサ56のトナー有無検知方法を示している。ここでは、トナーセンサ56はピエゾ方式のセンサが採用されているが、トナーの磁束を検知するインダクタ方式や透過光を見る透過型のセンサなど他の方式のセンサが採用されてもよい。破線30はトナーセンサ56がトナー有りと無しとを検知する境界である。図3(A)では破線より下にトナー界面があるため、トナーセンサ56は、「トナー無し」と検知する。一方、図3(B)では破線より上にトナー界面があるため、トナーセンサ56は、「トナー有り」と検知する。トナーセンサ56は、トナーの有無を示すハイレベルとローレベルのいずれかの検知信号を出力する。
【0016】
図4に制御部のブロック図を示す。CPU60は、トナーがホッパー54に無くなったことを示す検知信号をトナーセンサ56が出力すると、モータ駆動回路61を制御してボトルモータ52を駆動する。このように、CPU60およびモータ駆動回路61はモータを制御する制御部として機能している。CPU60は、ボトルモータ52に流れるモータ電流を検知するモータ電流検知回路62からモータ電流を示す出力値を受け取る。モータ電流はボトルモータ52にかかる負荷に対応している。よって、モータ電流検知回路62は、モータにかかる負荷を測定する負荷測定部として機能する。CPU60は、モータ電流の値に応じてトナーボトル50の交換を促すメッセージやトナーボトル50の取り付け直しを促すメッセージなどを表示部14に表示させる。メモリ63はROMやRAMなどであり、CPU60からのデータを記憶したり、記憶しているデータを出力したりする。また、メモリ63は、CPU60が実行する制御プログラムも記憶している。
【0017】
図5(A)および図5(B)を用いてボトルモータ52に流れる電流を説明する。図5(A)において横軸は時間を示し、縦軸はトナーボトル50が満杯のときにボトルモータ52に流れるモータ電流の値を示している。ボトルモータ52の駆動時間Tonのうち最初の期間である起動期間Tstartはボトルモータ52が回転を開始してから定常回転に至るまで時間を示している。起動期間Tstartにおいては起動トルクがボトルモータ52にかかるため、モータ電流値は定常回転時のモータ電流値よりも大きくなる。起動期間Tstartが経過した後はボトルモータ52が定常回転するため、モータ電流値が安定する。定常回転時のモータ電流値をI0fとする。
【0018】
図5(B)において横軸は時間を示し、縦軸はトナーボトル50が空の時のボトルモータ52のモータ電流値を示している。起動期間Tstartにおいてトナーボトル50が満杯の時と同じく空の時にも突入電流が流れるが、その後は定常電流I0eが流れる。ここでI0f>I0eの関係がある。これは、トナーボトル50が満杯のときはボトルモータ52にかかる負荷が高いためモータ電流値が多くなり、トナーボトル50が空のときはボトルモータ52にかかる負荷が低いためモータ電流値が少なくなるからである。
【0019】
モータ電流検知回路62は、電流検知抵抗等を用いてボトルモータ52に流れる電流の値を電圧値に変換する。さらにモータ電流検知回路62はADコンバータ等を用いてモータ電流値に相当するアナログ電圧をデジタル値に変換してCPU60に出力する。CPU60は、モータ電流の定常時の電流値のみを検知する。これは、定常時のモータ電流値がトナーボトル50の内部に残存しているトナーの量を精度よく示すからである。よって、CPU60は、ボトルモータ52を起動してから起動期間Tstartが十分に経過するまでは、入力された検知信号を無視し、その後の電流値を平均処理する。制御プログラムによって、所定時間(起動期間Tstart + α)が経過するまでは、モータ電流値の読み込みを禁止するようにしてもよい。あるいは、モータ電流検知回路62がトナー電流値を示す電圧が入力されてから所定時間は信号をCPU60へ出力しない論理回路を内蔵していてもよい。
【0020】
ボトルモータ52に流れるモータ電流の値とトナーボトル50内のトナー残量には図6に示すような関係がある。モータ電流がI0fであるときは、トナー残量が100%である。一方、モータ電流がI0eであるときは、トナー残量が0%である。図6において、閾値Idは、トナーボトル50の交換を促すか否かを決定するための閾値である。Id≧I0eの関係にある。閾値IdをI0eよりも若干大きくするのは、モータ電流の検知精度に依存した誤差を考慮したマージンを付与するためである。メモリ63は閾値Idを工場出荷時に予め記憶しており、CPU60はIdをメモリから読み込むことができる。
【0021】
図8のフローチャートを用いて、CPU60で行われる制御を詳細に説明する。S101で、画像形成装置の電源がオンされたり、省電力モードから復帰したりすると、CPU60は、制御プログラムを実行して以下の処理を実行する。
【0022】
S102で、CPU60は、トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示しているか、トナーが有ることを示しているかを判定する。トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示していれば、S103に進む。S103で、CPU60は、モータ駆動回路61を通じてボトルモータ52を駆動する。これにより、CPU60は、トナーボトル50からホッパー54へのトナーの排出を試行する。S104で、CPU60は、ボトルモータ52にかかっている負荷の大きさを測定する。たとえば、CPU60は、モータ電流検知回路62を介してボトルモータ52の電流値を検知する。
【0023】
S105で、CPU60は、トナーボトル50の交換が必要か否かを判定するために、測定した負荷が所定の閾値未満か否かを判定する。たとえば、CPU60は、電流値が閾値Id未満か否かを判定する。負荷が閾値未満であれば、CPU60はトナーボトル50が空であると判断し、S106に進む。S106で、CPU60は、モータ駆動回路61に停止信号を出力することで、ボトルモータ52を停止させる。S107で、CPU60は、トナーボトル50の交換を促すメッセージを表示部14に表示させる。図7(A)には、トナーボトル50の交換を促すメッセージの一例が示されている。このように、CPU60がトナーボトル50の交換が必要であると判定すると、表示部14はトナーボトル50の交換を促すメッセージを出力する出力部として機能する。
【0024】
一方、S105で負荷が閾値未満でなければ、CPU60は、トナーボトル50は空ではないと判断し、ボトルモータ52とスクリュー55の駆動を継続しつつ、S108に進む。S108で、CPU60は、トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示しているか、トナーが有ることを示しているかを再び判定する。これは、S103でボトルモータ52を回転させたことでホッパー54内にトナーが補給された可能性があるからである。トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが無いことを示していれば、S109に進む。S109で、CPU60は、ボトルモータ52の駆動を開始してから所定時間T0が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していなければS108に戻る。一方、所定時間が経過してもトナー無しであれば、CPU60は、トナーが補給されていないと判断し、S110に進む。S110で、CPU60は、図7(B)に示したように、トナーボトル50の取り付け直しを促すメッセージを表示部14に表示させる。これは、ボトルモータ52には高い負荷がかかっているのに、トナーがホッパー54に補給されているため、トナーボトル50の設置不良が疑われるからである。
【0025】
一方、S108で、トナーセンサ56の検知信号がホッパー54にトナーが有ることを示していれば、S111に進む。S111で、CPU60は、トナーボトル50の交換は必要なく、トナーもホッパー54に補給されたと判断し、通常のプリント動作に移行する。
【0026】
本実施例では、ボトルモータ52の電流を検知しているが、ボトルモータ52にかかる負荷が測定できれば十分であるため、ボトルモータ52のFG信号から回転数を検知することで負荷を推定してもよい。この場合、CPU60は、FG信号を入力するためのポートが必要となる。
【0027】
このように本実施例では、CPU60が、負荷測定部が測定した負荷の値が所定値未満になるとトナーボトルの交換が必要であると判定し、負荷測定部が測定した負荷の値が所定値以上になるとトナーボトルの交換が必要ではないと判定する判定部として機能する。これにより、本実施例は、トナーボトルを駆動するモータの負荷に応じてトナーボトルの交換が必要かどうかを判定できるようになる。さらに、本実施例では、収納部におけるトナーの有無からトナーボトルの交換の必要性を判定する従来技術よりも、精度よく交換の必要性を判定できるようになる。たとえば、トナーボトルの出口でトナーが固まっている場合、従来技術では、トナーボトルの交換メッセージが出力されてしまう。一方、本発明であれば、トナーボトルの交換は不要と判定されるため、無用な交換メッセージが出力されないようになる。
【0028】
さらに、本実施例では、CPU60がトナーボトルの交換が必要ではないと判定したときに、所定時間にわたりモータを駆動してもトナーセンサがトナーを検知できなければ、トナーボトルの取り付け直しを促すメッセージを表示部14に出力する。これにより、トナーボトルの設置不良の問題を解決できるようになる。本実施例では、ボトルモータ52の負荷に応じてトナーボトルの交換の必要性を判定している。そのため、トナーボトルの設置不良によって見かけ上の負荷が高くなっているときには、トナーボトルの交換の必要性の判定が誤ってしまう可能性がある。そこで、設置不良の疑いがあるときは、トナーボトルの取り付け直しを促すメッセージを出力することで、設置不良の疑いを解決できるようになる。トナーボトル50の内部でトナーが固着しているときにも、負荷が高いにも拘わらず、トナーが補給されない状態となる。よって、取り付け直しを促すメッセージにしたがってトナーを取り付け直す際に、トナーボトル50を振ってから取り付ければ固着したトナーが崩れて、トナーが補給されやすくなろう。
【0029】
<第2実施例>
実施例1で説明した画像形成装置においては、図6に示したようなトナー残量とモータ電流の関係があるため、CPU60は、モータ電流値からトナー残量を推測することができる。そこで、実施例2では、ボトルモータ52にかかっている負荷を測定し、さらに負荷からトナー残量を測定して、表示部14に表示することを特徴とする。
【0030】
図9において横軸はトナー残量を示し、縦軸はモータ電流値を示している。ここでは、I0eをトナー残量0%とし、I0fをトナー残量100%としている。さらに、トナー残量を10%刻みでレベル分けし、各々のトナー残量に対応する電流値をI1〜I9とする。このI1〜I9の値と、トナー残量との関係はテーブルまたは数式化されて予めメモリ63に記憶されている。よって、CPU60は、測定された負荷(電流値)を用いてテーブルを三要することで、負荷に対応するトナー残量を取得できる。なお、このトナー残量は、負荷から推定された推定値である。
【0031】
たとえば、電流値がI4とI5の間にあった場合、トナー残量は40%〜50%の間である。そこで、CPU60は、図10(A)に示したように、「トナー残り 50%」といったトナー残量メッセージ101を表示部14に表示してもよい。
【0032】
ところで、トナー残量によっては、プリントを数百枚行うと、再度、トナーボトル50が空になってしまう可能性もある。この場合、ユーザーはさらに交換用のトナーボトル50を予め準備しておく必要がある。これにより、ユーザーは、次のトナーボトル交換メッセージが表示されたとき素早くトナーボトル50を交換できるため、ジョブの中断時間を減少させることができる。本実施例によれば、CPU60は、トナー残量が所定のトナー残量値X%になったときに、トナーボトル50を準備することを促すメッセージを表示部14に表示する。たとえば、トナー残量が20%になったときに、CPU60は、図10(B)に示すように「!!トナーボトルを準備してください」とメッセージ102を表示してもよい。
【0033】
図11にトナー残量メッセージおよびトナーボトル準備メッセージを表示する処理のフローチャートを示す。本フローチャートは、図8に示したS111の通常動作において並行して実行される処理を示している。
【0034】
S112で、CPU60は、ボトルモータ52にかかっている負荷の大きさを測定し、その負荷の値からトナー残量を推定する。たとえば、CPU60は、モータ電流検知回路62を通じてモータ電流値を測定し、上述したようなテーブルを用いる方法や数式を用いる方法により、モータ電流値に対応するトナー残量を推定する。このように、CPU60は、測定した負荷の値からトナーボトルに残存しているトナー残量を推定する推定部として機能する。S113で、CPU60は、トナー残量の推定値を示すトナー残量メッセージ101を表示部14に表示する。
【0035】
S114で、CPU60は、トナーボトル50のトナー残量が閾値X%未満か否かを判定する。このように、CPU60は、トナー残量を所定の閾値X%と比較する比較部として機能する。トナー残量がX%以上であれば、CPU60は、トナーボトルの準備は不要と判断し、本処理を終了する。一方、トナー残量がX%未満であれば、CPU60は、トナーボルトの交換の準備を促す必要があると判断し、S115に進む。S115で、CPU60は、トナーボトル50の交換の準備を促すメッセージ102を表示部14に表示する。
【0036】
このように本実施例によれば、トナーの残量を出力することで、ユーザーにトナーボトル50の交換の準備が必要かどうかを間接的に伝えることができるようになる。さらに、トナーボトル50の交換の準備を促すメッセージ102を表示部14に表示することで、ユーザーに対してトナーボトル50の交換の準備が必要になったことを直接的に伝えられるようになる。また、トナー残量の推定は、ボトルモータ52にかかる負荷に基づいて実行されるため、従来よりも精度よくトナー残量を推定できると考えられる。
【0037】
<第3実施例>
ボトルモータ52にはモータ単体の個体差やメカ構成の負荷バラつきにより電流値と負荷トルクの関係にバラつきが生じることがある。そのため、測定した負荷の値から推定されたトナー残量に誤差が反映されてしまい、推定値と実際のトナー残量との間に違いが生じてしまう可能性がある。そこで、トナーボトル50が満杯時のボトルモータ52の負荷を測定し、その負荷の値からトナー残量の推定値を補正することを提案する。
【0038】
画像形成装置のメンテナンスを実行するサービスマンが画像形成装置をユーザーの居室に設置するときには、まず、CPU60をトナー設置モードに変更し、空のホッパー54と現像器33にトナーを入れる作業を実行する。このトナー設置モードに移行しているときには必ず満杯のトナーボトル50が使用されるため、CPU60は、満杯時の負荷の値を取得できる。
【0039】
図12はトナーボトルがトナーで満杯になっているときの負荷を取得する処理を示したフローチャートである。S201で、CPU60は、表示部14に設けられたタッチパネルからトナー設置モードへの移行指示が入力されると、トナー設置モードへ移行する。この状態で、サービスマンがトナーで満杯になったトナーボトル50をホッパー54に対して設置する。
【0040】
S202で、CPU60は、モータ駆動回路61を通じてボトルモータ52を駆動する。S203で、CPU60は、ボトルモータ52の負荷の値を測定する。たとえば、CPU60は、モータ電流検知回路62を通じてモータ電流値を測定する。このモータ電流値は、そのときのモータ単体の個体差やメカ構成の負荷バラつきを反映した負荷であって、トナーボトル50が満杯のときの負荷を示している。
【0041】
S204で、CPU60は、測定した負荷の値をトナー残量が100%ときに負荷の値として、メモリ63に記憶する。たとえば、CPU60は、測定した電流値If0をトナー残量100%に対応付けてメモリ63に記憶する。S205で、CPU60は、トナー設置モードを終了し、ボトルモータ52を停止させる。
【0042】
なお、CPU60は、測定した電流値If0と、画像形成装置の工場出荷時に記憶された初期値Ifdとの比率を算出し、実施例2で説明したIe0〜If0までの各々の電流値に対してこの比率を乗算することで電流値を補正する。たとえば、測定した負荷が初期の負荷に対して1.1倍になっていれば、CPU60は、各負荷の測定値に対して1.1倍してから、トナー残量の推定などに使用する。このように、負荷の補正処理はS104やS112で実行される。
【0043】
このように、CPU60は、トナーボトル50の初期設置時に負荷測定部で測定された負荷の値と、画像形成装置の工場出荷時に設定された負荷の値との比率を求め、当該比率を乗算することで、負荷測定部が測定した負荷の値を補正する補正部として機能する。これにより、本実施例では、ボトルモータ52にはモータ単体の個体差やメカ構成の負荷バラつきを考慮して精度よくトナーボトル交換の必要性を判定でき、トナー残量も精度よく推定できるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーボトルを駆動して当該トナーボトルからトナーを供給するモータと、
前記トナーボトルから供給されたトナーを収納する収納部と、
前記モータにかかる負荷を測定する負荷測定部と
前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値未満になると前記トナーボトルの交換が必要であると判定し、前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値以上になると前記トナーボトルの交換が必要ではないと判定する判定部と、
前記判定部が、前記トナーボトルの交換が必要であると判定すると、当該トナーボトルの交換を促すメッセージを出力する出力部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記収納部にトナーが有るか無いかを検知するトナーセンサと、
前記モータを制御する制御部と
をさらに備え、
前記制御部は、前記判定部が前記トナーボトルの交換が必要ではないと判定したときに、所定時間にわたり前記モータを駆動しても前記トナーセンサがトナーを検知できなければ、前記トナーボトルの取り付け直しを促すメッセージを前記出力部に出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記負荷測定部が測定した負荷の値から前記トナーボトルに残存しているトナー残量を推定する推定部をさらに備え、
前記出力部は、前記推定部により推定された前記トナー残量を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー残量を所定の閾値と比較する比較部をさらに備え、
前記出力部は、前記トナー残量が前記閾値に満たなくなると、前記トナーボトルの交換の準備を促すメッセージを出力することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーボトルの初期設置時に前記負荷測定部で測定された負荷の値と、前記画像形成装置の工場出荷時に設定された負荷の値との比率を求め、当該比率を乗算することで、前記負荷測定部が測定した負荷の値を補正する補正部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記負荷測定部は、前記モータに流れる電流の値を前記負荷の値として測定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナーボトルを駆動して当該トナーボトルからトナーを供給するモータと、
前記トナーボトルから供給されたトナーを収納する収納部と、
前記モータにかかる負荷を測定する負荷測定部と
前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値未満になると前記トナーボトルの交換が必要であると判定し、前記負荷測定部が測定した負荷の値が所定値以上になると前記トナーボトルの交換が必要ではないと判定する判定部と、
前記判定部が、前記トナーボトルの交換が必要であると判定すると、当該トナーボトルの交換を促すメッセージを出力する出力部と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記収納部にトナーが有るか無いかを検知するトナーセンサと、
前記モータを制御する制御部と
をさらに備え、
前記制御部は、前記判定部が前記トナーボトルの交換が必要ではないと判定したときに、所定時間にわたり前記モータを駆動しても前記トナーセンサがトナーを検知できなければ、前記トナーボトルの取り付け直しを促すメッセージを前記出力部に出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記負荷測定部が測定した負荷の値から前記トナーボトルに残存しているトナー残量を推定する推定部をさらに備え、
前記出力部は、前記推定部により推定された前記トナー残量を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー残量を所定の閾値と比較する比較部をさらに備え、
前記出力部は、前記トナー残量が前記閾値に満たなくなると、前記トナーボトルの交換の準備を促すメッセージを出力することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーボトルの初期設置時に前記負荷測定部で測定された負荷の値と、前記画像形成装置の工場出荷時に設定された負荷の値との比率を求め、当該比率を乗算することで、前記負荷測定部が測定した負荷の値を補正する補正部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記負荷測定部は、前記モータに流れる電流の値を前記負荷の値として測定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−97005(P2013−97005A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236474(P2011−236474)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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