説明

画像形成製本システム

【課題】
背表紙に針が存在する背を角型成形した中綴じ折り冊子であっても、見やすい背表紙の冊子を簡単に作成することができる。
【解決手段】
画像形成装置100と、中綴じ折り装置200と、中綴じ折りされた冊子の背を角型に成形する冊子成形装置400を含む画像形成製本システム1において、表紙画像に対し、冊子を角型に成形した後に背表紙となる部分にタイトルデータを配置するとき、タイトルデータの文字位置と綴じ針の位置とが重ならないように、タイトルデータあるいは綴じ針の位置を補正する補正手段を有する。
背を角型に成形した中綴じ折りの背表紙にタイトルデータを付与しても、このタイトルデータが綴じ針と重なることを回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の用紙に画像を形成して互いに綴じ合わせて製本する製本システム、特に画像形成した用紙を重ねてその中央を綴じ、綴じた位置で二つ折りして中綴じ折り冊子を作成し、さらにその背を角型に成形する製本システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成された複数の用紙の中央を綴じ針で綴じ、綴じた部分を2つ折りして冊子を形成する中綴じ折り製本は数多く実施されている。しかし、ページ数が多くなるとその分だけ折り曲げる枚数も増えるので、2つ折を行っても開きぐせが残り、見映えや積載性に問題が生じる。そこで、冊子の背の湾曲した部分を角型に成形する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−260564号公報(段落[0006]〜[0009]、図3乃至図5ほか)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中綴じ冊子の背の部分を角形に成形することによって、冊子の開きが抑制されるとともに、平坦な背表紙が形成できる。この背表紙に情報を付与すれば、本棚等から取り出す際の見出しにすることができる等の大きなメリットがあるが、中綴じ折り冊子であるという性質上、背表紙には針が存在し、付与した情報にこの針が重なってしまい、情報が見難くなることがあるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、中綴じ折冊子を角型に成形したときに、その背表紙となる部分に情報を付与しても綴じ針と重ならない冊子を作成できる製本システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の画像形成製本システムは、用紙に画像を形成する画像形成装置と、この画像形成装置に接続され、画像形成された用紙を蓄積してその中央部を綴じ、綴じた部分で二つ折りする中綴じ折り装置と、この中綴じ折り装置に接続され、中綴じ折りされた冊子の背を角型に成形する冊子成形装置と、印刷製本ジョブ情報を記憶するとともに、この印刷製本ジョブ情報に基づいて、前記画像形成装置、中綴じ折り装置、冊子成形装置の動作を制御する制御装置とを有する画像形成製本システムにおいて、前記印刷製本ジョブ情報は、冊子を構成する用紙の各々に形成すべき原稿画像データと、冊子の背表紙に印刷すべきタイトルデータ含み、前記制御装置は、中綴じ折り後に冊子の表紙となる用紙に形成されるべき前記原稿画像データに対し、冊子を角型に成形した後に背表紙となる部分に前記タイトルデータを配置するとき、前記タイトルデータの文字位置と綴じ針の位置とが重ならないように、タイトルデータあるいは綴じ針の位置を補正する補正手段を有することを特徴とする画像形成製本システムである。
【0007】
この態様によれば、背を角型に成形した中綴じ折りの背表紙にタイトルデータを付与しても、このタイトルデータが綴じ針と重なることを確実に回避することができるので、見やすい背表紙を形成することができる。
【0008】
さらに、前記補正手段は、角型成形後の背に現れる綴じ針の位置と長さの情報と、印刷製本ジョブ情報に基づいて角形成形後の背に配置された前記タイトルデータの文字位置の情報とを参照し、綴じ針が文字と文字の間に収容されるように、綴じ針位置及び文字位置を算出して補正することを特徴とする画像形成製本システムであってもよい。
【0009】
この態様によれば、綴じ針が文字と文字の間に収容されるように、綴じ針と文字位置とが自動的に算出・補正されるので、操作がきわめて簡単であり、かつ確実に針位置と文字位置とが重なることを回避することができる。
【0010】
さらに、前記補正手段は、角形成形後の背に現れる綴じ針の位置と長さの情報と、印刷製本ジョブ情報に基づいて角形成形後の背に配置された前記タイトルデータの文字位置の情報とを参照し、綴じ針とタイトルデータの文字の双方を表示した角形成形後の背のプレビュー画像を表示するとともに、この画像を参照しながらのユーザによる文字位置又は針位置、あるいはその両方の補正操作を受け付けることを特徴とする請求項1記載の画像形成製本システムであってもよい。
【0011】
この態様によれば、ユーザがプレビュー画像上で針位置と文字位置とを画面操作によって自由に動かすことができるので、ユーザの意図通りの補正作業を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、背表紙に針が存在する背を角型成形した中綴じ折り冊子であっても、見やすい背表紙の冊子を簡単に作成することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る製本システム1を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る製本システム1の制御構成を示すブロック図である。
【図3】テキストデータの具体例を示す図である。
【図4】デフォルトの綴じ針の位置を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る製本システム1の基本動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る補正処理前後における、タイトル文字位置を示す図である。
【図7】本発明の変形例による補正処理後のタイトル文字と針位置との関係を示す図である。
【図8】本発明の変形例による補正処理後のタイトル文字と針位置との関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るユーザによる補正操作を行うための補正操作画面700を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る文字位置の補正操作を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る針位置の補正操作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る製本システム1を模式的に示す正面図である。製本システム1は、画像形成装置100、中綴じ折り装置200、断裁装置300、冊子成形装置400、及び管理装置500を備える。
【0015】
画像形成装置100は、給紙部110、画像形成部120、排紙・反転部130が設けられている。給紙部110は、給紙台111、分離ヘッド112、メイン搬送路113を有する。
給紙台111は、その上に用紙束P1を積載する。分離ヘッド112は、用紙束P1の最上位用紙を分離して1枚ずつ送り出す。分離ヘッド112は、用紙搬送方向と直交する方向(以下「幅方向」という)に複数のベルトを巻き、下面側のベルトの隙間からエアを吸引して用紙を吸着し、ベルトを周回させて送り出すサクションベルト式のもので、公知につき詳細な説明は省略する。また、このようなサクションベルト式に限らず、ロータリーサクション式、フリクション式等であってもよい。分離ヘッド112により送り出された用紙は、メイン搬送路113を経由して画像形成部120に送られる。
【0016】
画像形成部120は、2個のヘッドユニット121a、121bを有し、その下部にプラテン122を有する。プラテン122は上面に複数の開口を有するサクションチャンバ(図示せず)の外側を、穴付ベルトが周回することにより、メイン搬送路113からプラテン122に送り込まれた用紙をベルト上面に吸着しながら搬送する。
【0017】
ヘッドユニット121a、121bは、各々が幅方向に直線状にインク噴射ノズルを並列させたラインヘッドを有する。本実施形態では、1つのヘッドユニット121につき、3個のラインヘッドが設けられ、各々がその幅方向の端部が重なるようにオーバーラップして配列されており、用紙の最大印刷幅以上の幅にわたりインク噴射ノズルが配置されるようになっている。各々のラインヘッドは、画像データに基づく駆動信号を受けて、プラテン122上を搬送される用紙に向かってインクを吐出する。各々のヘッドユニット121a、121bにはそれぞれ各1色のインクが供給される。すなわち本実施形態の画像形成部120はヘッドユニット121を2個有するライン型の2色インクジェット記録部である。
【0018】
なおこれに限らず、画像形成部120はCMYK4色分のヘッドユニットを備えたフルカラーインクジェット記録装置であってもよいし、電子写真方式、感熱方式、その他公知の印刷方式が用いられても良いことはもちろんである。
【0019】
排出・反転部130は、排出搬送路131を有する。この排出搬送路131は、画像形成部120で画像形成された用紙を、排紙口135に向けて搬送する。排出搬送路131から分岐して分岐搬送路132が設けられ、図示しない切替えゲートにより、排出搬送路131により排出口135へ搬送するか、分岐搬送路132に送り込むか、を切替え可能になっている。分岐搬送路132の用紙搬送方向下流側(以下単に「下流側」という)には、用紙をスイッチバックさせて表裏を反転させる反転部133が設けられている。反転搬部133にいったん送り込まれた用紙は、スイッチバックして反転搬送路134に送り込まれる。反転搬送路134は下流側の端でメイン搬送路113に合流する。両面印刷を行う場合に、いったん画像形成部120で一方の面に画像形成された用紙を反転部133に送り込んでスイッチバックさせ、反転搬送路134を経由して裏返した状態でメイン搬送路113に戻し、再度画像形成部134に送り込んで、用紙の他方の面に画像形成を行う。
【0020】
中綴じ折り装置200は、綴じ部210、折り部220を備える。画像形成装置100の排出口135から送り出され、中綴じ折り装置200に入った用紙は、搬送路201を図示左方に向かって搬送される。搬送される用紙は、この搬送路201を遮るように設けられた綴じストッパ211に、先端が当たって停止する。次に送り込まれてきた用紙は、先に送り込まれてきた用紙の上に載置された状態で、綴じストッパ211に当たって停止する。これを繰り返すことによって、綴じ部210に1冊分の用紙が蓄積される。
【0021】
綴じ部210に1冊分の用紙が蓄積されると、用紙の両サイドに設けられた板状の部材であるサイドジョガー212により用紙を挟み、用紙の両サイドが揃えられる。同時に用紙の搬送方向上流側(以下単に「上流側」という)に設けられた板状の部材であるバックジョガー213が用紙の後端に当接し、綴じストッパ211との間で用紙を挟み、用紙の前端後端が揃えられる。このようにして四方の端部が揃えられた用紙束に対し、その用紙搬送方向(以下「搬送方向」という)中央部にステッチャー214によって用紙搬送方向と直交する方向(以下「幅方向」という)に2箇所、綴じ針が打ち込まれる。
【0022】
綴じ部210で綴じ針が打ち込まれた後、綴じストッパ211が搬送路201から退避し、用紙束は折り部220に送り込まれ、折りストッパ221に先端が当たって停止する。停止した用紙の下方に折りナイフ222が上下動可能に設けられる。折りナイフ222は用紙幅方向に伸びた板状の部材である。折りストッパ221に当接して停止している用紙束の搬送方向中央部(ステッチャー214で綴じられた部分)下面に、上昇した折りナイフ222の先端が当接し、用紙束は1対の折りローラ230間に押し込まれて二つ折りにされ、冊子となる。そのまま背(折り目)を先頭にして折り搬送路240を搬送され、断裁装置300に送り込まれる。
【0023】
断裁装置300は、上可動刃301、下固定刃302、ストッパ303、紙押さえ304を有する。背を先頭にして断裁装置300に搬入された冊子は、ストッパ303に当接して停止し、紙押さえ304で折り目の膨らみが押さえられる。その後上可動刃301が下降し、下固定刃302と摺接して冊子の小口側が切り揃えられる。断裁後、ストッパ303が搬送路から退避し、冊子は図示左方へ搬送されて、冊子成形装置400に搬入される。
【0024】
冊子成形装置400は、把持機構410、成形機構420、排出搬送機構430を有する。把持機構400には上下に対になって設けられた搬入搬送ベルト411が設けられ、搬入された冊子はこの搬入搬送ベルト411に挟まれて図示左方に搬送され、背がストッパ412に当接して停止する。停止した冊子の背付近を上下から、グリッパ413で挟んで、背が少しはみ出した状態で把持固定するとともに、ストッパ412が下方に退避する。
【0025】
成形機構420は成形部材421が設けられ、この成形部材421の図示左端にカムフォロア422が設けられている。さらにその左方にはカム423が設けられ、バネ424の引張力によって、カムフロア422はカム423の外周に追随するようになっている。このカム423の回転によってカムフォロア422とともに成形部材421が図示右方に移動し、グリッパ413で把持固定した冊子の背を押しつぶし、角型に成型する。この際、ストッパ412は下降しているので、成形部材412との干渉は回避される。この成形部材421、カムフォロア422、カム423は冊子の幅全体にわたって、並列して複数設けられており、各々の成形部材がタイミングをずらして冊子の背に進出して押しつぶすようになっている。したがって、一度に押しつぶす範囲が狭く抑えられ、押しつぶすのに要する力を抑制できる。
【0026】
冊子の背の幅すべての成型が完了すると、成形機構420と排出搬送機構430が共に下降し、上下1対の排出搬送ベルト431の間に形成される搬送路が、把持されている冊子の背の下流側直近となる位置で停止する。そしてグリッパ413での把持が解除されて搬入搬送ベルト411、排出搬送ベルト431がともに周回駆動され、冊子は排出搬送ベルト431の間を図示左方に搬送され、スタッカ440に排出され蓄積される。
【0027】
管理装置500は、管理PC(Personal Computer)501、ディスプレイ502、キーボード503、マウス504によって構成される。管理PC501は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有し、管理装置500、画像形成装置100、中綴じ折り装置200、断裁装置300、および冊子成形装置400とデータの送受信可能に接続されている。ディスプレイ502、キーボード503、およびマウス504は管理PC94に接続されている。
【0028】
管理PC500は、ディスプレイ502に設定画面を表示することにより、ユーザによって各種の設定入力が可能な状態とする。ユーザは、この設定画面においてキーボード504やマウス505を使って各種の設定入力を行うことができる。ディスプレイ502に表示されたスタートボタンがクリックされると、管理PC500は、設定内容を示す情報を画像形成装置100、中綴じ折り装置200、断裁装置300、および冊子成形装置400の各々に送信すると共に、製本処理を開始する旨を示すスタート信号を送信する。画像形成装置100、中綴じ折り装置200、断裁装置300、および冊子成形装置400の各々は、CPU、ROM、RAMを有し内部機構の動作を制御する制御部を有しており、スタート信号を受信すると、受信した設定内容に基づいた製本処理を実施する。これらの制御部および管理PC501を総じて、電子制御部600として以下説明する。
【0029】
図2は本発明の製本システム1の制御構成を示すブロック図である。
電子制御部600は、ジョブ情報記憶部610、印刷用画像データ生成部620、ステッチャ位置制御部630、画像形成制御部640を有する。ジョブ情報記憶部610に記憶されているジョブ情報は、タイトルデータ611、原稿画像データ612、用紙サイズ情報613、用紙枚数情報614、角型成形要否情報615を含む。
【0030】
タイトルデータ611は、その冊子の背表紙に印刷すべき表題を示すものであって、テキストデータであっても、複数の文字を組み合わせた画像データであってもよい。図3にその具体例を示す。図3(a)に示すものはテキストデータであって、文字コード、フォント、文字サイズ、文字の配置間隔、文字の縦横比を示す情報を少なくとも含む。図3(b)は画像データであって、適宜の背景に対して文字が埋め込まれた画像データとして記憶される。画像データはラスタ画像データや圧縮画像データ等様々なフォーマットの画像データを利用することができる。
【0031】
原稿画像データ612は、画像形成装置100で用紙面に印刷するにあたり、原稿となる画像を示すものであって、ラスタ画像データや圧縮画像データ等様々なフォーマットの画像データで構成される。本実施形態では、PDF(Portable Document Format)となっている。
【0032】
用紙サイズ情報613は、製本システム1に供給される用紙のサイズに関する情報であって、用紙の幅方向寸法を少なくとも含む。用紙枚数情報614は、1冊の冊子を構成する用紙の枚数である。角型成形要否情報615は、作成する冊子の背を角型に成形するか否かの情報である。成形が必要な場合は1、成形不要な場合は0が付与される。
【0033】
ステッチャ位置制御部630は、ジョブ情報記憶部610に記憶されている用紙サイズ情報613に基づいて決定される綴じ位置にしたがい、ステッチャー214を幅方向に移動させ、位置を決定する。具体的には、デフォルトの綴じ位置は、図4に示すように、用紙の幅方向の一方の端部から、2箇所の針のうちの一方の端部寄りの針の幅方向の中心位置までの距離D1と、2箇所の針の幅方向の中心位置同士の距離D2と、用紙の他方の端部寄りの針の幅方向の中心位置から、用紙の幅方向の他方の端部までの距離D3との関係が、D1:D2:D3=1:2:1になる位置に決定される。なお綴じ位置は、用紙サイズ情報613に依存するのではなく、用紙サイズ情報613とは別にジョブ情報記憶部610に記憶されていても良い。
【0034】
印刷用画像データ生成部620は、原稿画像データに基づいて、実際に画像形成装置100によって印刷する印刷画像である印刷用画像データを生成する。原稿画像データに文字フォントが含まれていた場合にその埋め込みを行うとともに、タイトルデータ611をも参照し、その文字データを配置して埋め込みを行う。このとき、タイトルデータ611は、冊子を中綴じ折り製本して、その背を角型に成形したときに背表紙となる位置に埋め込まれる。このとき、タイトルデータ611の文字が、背表紙に露出している綴じ針と重ならない位置に印刷されるように埋め込むための補正処理が行われる。この補正処理の詳細は後述する。
【0035】
画像形成制御部640は、ラインヘッドのインク吐出を制御する。画像形成制御部640には印刷用用紙画像データ生成部620において生成された印刷用画像データが送られ、この印刷用画像データのとおりに搬送されるよう紙面に画像が形成されるように、ラインヘッドのインク吐出が制御される。
【0036】
図5は、本発明の実施形態に係る製本システム1の基本動作を示すフローチャートである。印刷に先立ち、ジョブ情報の取得が行われ、取得されたジョブ情報が、ジョブ情報記憶部610に記憶される(ステップS01)。ジョブ情報の取得は、外部から通信線を通じて、あるいは無線通信でタイトルデータ611、原稿画像データ612、用紙サイズ情報613、用紙枚数情報614、角型成形要否情報615を含むジョブ情報を取得して入力可能である。また、ディスプレイ502、キーボード503、マウス504を通じて各データを手入力することも可能である。例えばタイトルデータ611はその文字データの打ち込み入力、用紙サイズ情報613はその搬送方向、幅方向の寸法数値の入力、用紙枚数情報614はその枚数の数値の入力が、キーボード503を通じて可能となっている。角型成形要否情報615は、ディスプレイに表示された角型成形の要否を示すチェックボックスをチェックしたり、プルダウンメニューによりON,OFFを選択するなどして入力することができる。さらに、外部入力データと手入力データとを組み合わせてジョブ情報としても良いし、外部入力データを手入力により修正可能となっていてもよい。
【0037】
次に印刷用画像データ生成部620において、補正処理とともに印刷用画像データを生成し、画像形成制御部640へ送り出す(ステップS02)。ここで補正処理とは、製本して角形成形した冊子となったときに、角型成形した背表紙に存在する針と、その背表紙に印刷されるタイトル文字とが重ならないように、タイトルデータの印刷位置、あるいは針を打ち込む位置を補正する処理である。以下その具体例を記載する。
【0038】
本実施形態の補正処理は、タイトルデータ611の文字間隔を均等としたまま、その文字の間に針を収めるように補正するものである。図6(a)は補正前の文字位置と針位置との関係、図6(b)は補正後の文字位置と針位置との関係の例を示す図である。図6では、幅200mmの冊子を例として、その背側から見た図であって、文字の位置を正方形で、針の位置を縦向きのラインで表現している。図6(a)では冊子の上端から最上位文字の中心までの距離L1が40mmであり、そこから文字ピッチ(文字中心間の距離)L3=13mm間隔で、文字サイズL2=4mm(1辺の長さ)の文字が、8文字印字されている。このL1,L2,L3のデータはタイトルデータ611に含まれている。一方綴じ針は、上端から上方の綴じ針までの距離、上下の綴じ針間の距離、下方の綴じ針から下端までの距離の関係が1:2:1になるように、幅方向の中央振り分けで間隔L6=100mmとなる位置に打ち込まれており、背側に出ている針の長さL5=10mmである。この図6(a)では、タイトルデータの文字のうち、上から2文字目が上側の綴じ針と重なっている。
【0039】
具体的な補正の手順を以下説明する。第1に、文字の間隔に綴じ針が入るか否かを判定し、入らない場合は、入るように文字ピッチL3を変更する。綴じ針の長さL5の両側に、所定の余裕長さα1を加えた長さ(L5+2×α1)が、文字間に綴じ針を収容するために最低限必要な文字間距離となる。したがって、次式E1の計算結果βが0以上であれば文字間隔に綴じ針が入ると判定され、0未満であれば入らないと判定される。
β=(L3−L2)−(L5+2×α1) ・・・ (式E1)
【0040】
式E1の計算の結果β<0、すなわち文字間に綴じ針が入らないと判定された場合は、β=0となるように文字の間隔を広げるため、文字ピッチL3をL3´に補正する。L3´は式E1にβ=0を代入して移項した下記式E2によって得られる。
L3´=L5+L2+2×α1 ・・・ (式E2)
なお、β≧0の場合は、L3の補正は行われず、すなわちL3´=L3である。
【0041】
図6の例において、所定の余裕α1=1mmとして式E1に代入すると、
β=(13−4)−(10+2×1)=−3となる。βが0未満であるため、式E2に代入して補正を行うと、L3´=10+4+2×1=16となる。すなわち文字ピッチL3=13は、L3´=16に補正される。
【0042】
第2に、2つの綴じ針がともに文字間に収容されるように、綴じ針の間隔(綴じ針の中心間距離)L6をL6´に補正する。2つの綴じ針がともに文字間に収容されるためには、綴じ針の間隔L6´から、両端における、針の中心から端までの距離(L5/2)と、余裕長さα1、文字の中心から端までの距離(L2/2)を差し引いた長さが、補正後の文字ピッチL3´の整数倍でなければならない。すなわち下記式E3の計算結果γが整数であればよいことになる。
γ=(L6´−2×(L5/2+L2/2+α1))/L3´ ・・・ (式E3)
【0043】
補正前の綴じ針の間隔L6は、間隔を広げるか狭くするかのいずれかを行って、上記式E3の結果γが整数になるようなL6´を決定する。その補正の幅は、製本物としてのバランスを損なわないよう、できるだけ小さくするのが望ましい。したがって、式E3のL6´を補正前のL6に置き換えた式で得られた結果の剰余と、L3´/2との大小関係で、間隔を広げるか狭くするかを決定すればよい。剰余がL3´/2よりも大きければ、間隔を狭くするよりも広げた方が補正の幅が小さく、剰余がL3´/2よりも小さければ、間隔を広くするよりも狭くした方が補正の幅が小さくなる。剰余がL3´/2と等しい場合は、間隔を広げても狭くしても補正の幅は同一となるので、どちらを行っても良いから、いずれかに決めておけばよい。
【0044】
図6の例で、式E3のL6´を補正前のL6=100mmに置き換えた式は(100−2×(10/2+4/2+1))/16となり、これを計算させた値の整数部分は5となり、剰余は4となる。この剰余は16/2=8よりも小さいから、間隔を狭くするように補正を行う。補正の幅を小さくするためには、この計算結果の整数部分である5がγとなるようにL6´を定めればよい。すなわち、式E3に代入すると、5=(L6´−2×(10/2+4/2+1))/16となり、これを計算すると、L6´=96mmとなる。すなわち針位置は、中心振り分けで針の中心間隔が96mmとなる位置に決定する。なお、補正前の中心間隔L6が108mmであったとすれば、式E3のL6´をL6=108mmに置き換えた式で得られる結果の整数部分は5であり、剰余は12となる。この剰余は16/2=8よりも大きいから、間隔を広くするように補正を行う。補正の幅を小さくするためには、この計算結果の整数部分である5よりも1大きい6がγとなるようにL6´を定めればよいので、式E3での計算の結果、L6´=112mmとなる。
【0045】
第3に、決定した針位置にあわせて、文字の配置位置を決定する。すなわち、決定した針位置が文字間におさまるように、冊子の上端から最上位の文字中心までの距離L1をL1´に補正する。冊子の上端から上側の針の中心位置までの距離をL4としたとき、このL4から、針の中心から端までの距離(L5/2)と、余裕長さα1、文字の中心から端までの距離(L2/2)を差し引いた長さと、補正後のL1´との差が、0か、あるいは文字ピッチL3´の整数倍である必要がある。すなわち下記式E4の計算結果が0か整数となるように、L1´を定めればよい。
δ=(L4−((L5/2)+(L2/2)+α1)−L1´)/L3´ ・・・ (式E4)
【0046】
また、補正前のL1は、針位置との重なりを回避する考慮はされていないものの、タイトル印字位置としてのバランスは考慮して決定されていると考えられるので、補正の幅はできる限り小さくするのが望ましい。したがって、式E4の結果が0または整数となるL1´の値のうち、補正前のL1に最も近い数値となるものを採用すればよい。
【0047】
図6の例では、式E4は
δ=(52−((10/2)+(4/2)+1)−L1´)/13
となり、これにδ=0を代入すると、L1´=44mmとなり、δ=1ではL1´=31、δ=2ではL1´=18mmとなる。補正前のL1=40mmと最も近いものはδ=0の場合であるから、L1´=44mmと定めればよい。このδの値は言い換えれば、上側の針の上に存在する文字数よりも1少ない数値である。すなわち、上側の針のさらに上方に何文字存在させるかを、補正前の配置位置のバランスをできる限り崩さないように決定するということである。従って、上記複数のδの値について各々計算させるとき、そのδの最大値は、上側の針のさらに上方に配置される可能性のある文字数の上限を考慮して決定すればよい。
【0048】
なお補正処理は上記形態に限られるものではなく、文字位置と針位置とが重ならないよう補正する様々な処理が考えられる。例えば、タイトル文字全体を2つの綴じ針の内側に収容するようにしてもよい。この場合は、文字間に針が収容できるようにする必要はないが、綴じ針の位置のバランスを損なわないように、文字数が多い場合は文字ピッチを小さくするのが良い。あるいは文字の縦横比率を変えて横長の文字にしたり、文字の大きさそのものを小さくするなどして、2つの綴じ針の間隔が広がりすぎないようにするのがよい。
【0049】
また、文字間に針が収容できない場合、針の存在する部分だけ、針が収容できるように間隔を拡大させ、その他の部分は拡大させないようにしてもよい。特にタイトルデータの文字数が多い場合は、すべての文字間隔を、間に針が収容できる間隔に統一してしまうと、冊子の幅から文字がはみ出してしまう可能性が高くなる。このような場合には図7に示すように、針の存在する位置に文字が来ないように、針の存在する部分だけ間隔を拡大するようにすればよい。
【0050】
さらに、文字が2つの針の上方または下方に収容できるように、文字位置、ピッチ、大きさ、縦横比を変えても良いし、タイトルデータを複数有し、これを2本の針の上方、中間、下方に各々配置しても良い。例えば図8に示すように、本のシリーズ名を表すタイトルデータ611aを2本の針の上方に、本の題名を現すタイトルデータ611bを2本の針の中間に、本の出版元を示すタイトルデータ611cを2本の針の下方に配置するように、各々のタイトルデータの文字位置、ピッチ、大きさ、縦横比を決定しても良い。
【0051】
タイトルデータが画像データである場合は、この画像データ全体が2本の針の間に収まるように、2本の針の間隔を変更、あるいは画像データのサイズの変更を行って埋め込み、タイトルの画像データと文字データが重ならないようにすればよい。さらに、冊子の端部と針との間に画像データを収容するようにしてもよい。
【0052】
図5に戻る。補正処理が行われると、補正後の位置にタイトルデータ611が埋め込まれて生成された印刷用画像データが、画像形成制御部640へ送信されるとともに、補正後の針位置を、ステッチャ位置制御部630に送信する。ステッチャ位置制御部630は受信した針位置に針が打ち込まれるように、ステッチャー214を移動させてその位置を調整し、スタートの準備が完了する。
【0053】
各々の装置に設けられた操作パネルのスタートボタン押す、あるいはディスプレイ502においてスタートボタンをクリックするなどして、装置をスタートさせる(ステップS11)と、画像形成装置100の給紙部110より用紙が1枚ずつ送り出される(ステップS12)。送り出された用紙はメイン搬送路113を経由して画像形成部120へ搬送され、プラテン122の上面に吸着搬送されながら、ラインヘッドから吐出されるインクを受けて画像が形成される。ラインヘッドの各吐出ノズルは、画像形成制御部640より送られる、印刷用画像データに基づいた駆動信号により駆動され、その結果用紙上に印刷用画像データの通りに画像が形成される(ステップS13)。裏面の印刷が必要な場合は、表面印刷後の用紙は分岐搬送路132に送られ、反転部133でスイッチバック反転させてから反転搬送路134を経由し、再度プラテン122に送り込まれ、裏面の画像形成が行われる。
【0054】
画像形成後の用紙は中綴じ折り装置200に送り込まれ、綴じストッパ211に当たって停止する。その停止位置に後続の用紙がさらに送り込まれて重ねられ、1冊分の束を形成すると(ステップS14)、サイドジョガー212及びバックジョガー213により揃えられ、ステッチャー214によって綴じ針が打ち込まる。その後折り部220に送り込まれて折りストッパ221に当接していったん停止し、折りナイフ222によって折りローラ230間に押し込まれ手二つ折りされる。このようにして中綴じ折り冊子が形成される(ステップS15)。
【0055】
中綴じ折りされた冊子は断裁装置300に送り込まれ、先端ストッパ303に当接して停止した後、上可動刃301が下降して冊子の小口側が断裁されて切りそろえられる(ステップS16)。
【0056】
小口断裁後の冊子は冊子成形装置400に搬入され、背がストッパ412に当接して停止し、背付近の表裏からグリッパ413で把持した状態でストッパ412を下方に退避させ、成形部材421によって背を押しつぶして角型に成形する(ステップS18)。その後成形機構420と排出搬送機構430が共に下降し、成形後の冊子は排出搬送ベルト431によって搬送され、処理が完了する。所定数の冊子の作成が完了すると、装置は停止して処理完了となる(ステップS19)。
【0057】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、補正手段が第1の実施形態と異なっている。第2の実施形態の補正手段は、原稿画像データ、タイトルデータ、作成する冊子の厚さに基づいて、作成後の背側から見た冊子のプレビュー画像を表示し、この画像を参照しながらのユーザによる補正操作により、補正を行うものである。補正手段以外は第1の実施形態と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0058】
図9はこの第2の実施形態に係るユーザによる補正操作を行うための補正操作画面700を示す図である。中央に冊子の背の部分を模式表示した背表示部701を備える。背表示部701は、タイトル文字位置表示702と、針位置表示703を含んでいる。背表示部701の外枠の縦方向寸法は、ジョブ情報記憶部610から読み出された用紙サイズ情報613に含まれる用紙の幅方向寸法に合わせて表示される。背表示部701の外枠の幅は、製本後の背表紙の幅に合わせて表示される。具体的には、ジョブ情報記憶部610から読み出された用紙枚数情報614に用紙1枚あたりの厚さを乗じ、さらに2倍(二つ折りするため)した数値にあわせて表示される。用紙1枚あたりの厚さは、ジョブ情報記憶部610に含まれている用紙連量情報(図2には図示せず)を利用してもよいし、ユーザが入力するようにしてもよい。
【0059】
タイトル文字位置表示702は、ジョブ情報記憶部610から読み出されたタイトルデータ611に含まれる、冊子の上端から最上位文字の中心までの距離L1、文字サイズL2、文字ピッチL3に基づいて表示される。針位置表示703は、ジョブ情報記憶部610から読み出された用紙サイズ情報613に含まれる用紙の幅方向寸法に基づいて針位置を算出して表示する。具体的には、用紙の幅方向の一方の端部から、2箇所の針のうちの一方の端部寄りの針の幅方向の中心位置までの距離D1と、2箇所の針の幅方向の中心位置同士の距離D2と、用紙の他方の端部寄りの針の幅方向の中心位置から、用紙の幅方向の他方の端部までの距離D3との関係が、D1:D2:D3=1:2:1になる位置に表示する。
【0060】
背表示部701の図示左側には、文字位置操作部711が設けられている。文字位置操作部711は、背表示部710に表示されているタイトル文字の範囲にあわせた縦方向寸法を持った矩形形状の外枠712が設けられ、この外枠712内には、各々のタイトル文字が存在する範囲にあわせた縦方向寸法を持った矩形形状の文字枠713a〜713fが、文字の数分形成されている。外枠712の上端には上端移動ハンドル714、下端には下端移動ハンドル715が設けられている。外枠712の上方には、全文字移動ハンドル716が設けられる。外枠712の図示左方であって、縦方向位置が、背表示部701の縦方向中央付近に、文字ピッチ固定アイコン717が表示されている。
【0061】
背表示部701の図示右側には、針位置操作部721が設けられている。針位置操作部721は、背表示部701に表示されている針の範囲に合わせた縦方向寸法を持った矩形形状の外枠722が設けられ、この外枠722内には、各々の針が存在する範囲にあわせた縦方向寸法を持った矩形形状の針枠723a、723bが、針の数分形成されている。外枠722の上端には上端移動ハンドル724、下端には下端移動ハンドル725が設けられている。外枠722の上方には、全針移動ハンドル726が設けられる。外枠722の図示右方であって、縦方向位置が、背表示部701の縦方向中央付近に、針の中心振り分け固定アイコン727が表示されている。
【0062】
この補正操作画面700は、ディスプレイ502に表示される。この画面上に現れるカーソルをマウス504で操作し、文字の位置と針の位置をともに変えることができるので、各々操作することによって、文字と針が重ならないような位置とすることができる。また、文字の位置と針の位置との関係がプレビューされており、この画面で実際に重なっているか否かを検証しながら位置調整ができるため、操作性の良い装置を得ることができる。
【0063】
この補正操作画面700で行われる文字の位置変更の手順を説明する。まず文字ピッチ固定アイコン717を、必要に応じてクリックして、文字ピッチ固定ON、OFFを切り替える。デフォルトでは文字ピッチ固定状態はONであり、文字ピッチ固定アイコン716を1回クリックするとOFFとなる。さらにOFFの状態で1回クリックするとONに戻る。
【0064】
次に実際の文字位置の変更を行う。マウス504の操作によりカーソルを外枠712の上端移動ハンドル714を上下方向にドラッグすると、その通りに外枠712の上端が移動し、外枠712の範囲が拡大または縮小する。文字は等間隔のまま、移動後の外枠712にあわせて均等配置されるとともに、背表示部701に表示されている文字位置もこれに従い移動する。図10(a)は上端移動ハンドル714を上側にドラッグして、外枠712を上側に拡大した場合の文字位置操作部711の変化を示す図である。同様に、下端移動ハンドル715を上下方向にドラッグすると、その通りに外枠712の下端が移動し、外枠712の範囲が拡大または縮小する。
【0065】
次に文字枠713をドラッグして文字位置を変更する方法を説明する。文字枠713をドラッグした時の動きは、文字ピッチ固定状態がONであるかOFFであるかによって異なる。まず文字ピッチ固定状態がONである場合について説明する。文字枠713を左クリックし、上下方向にドラッグすると、その通りにその文字枠713が上下方向に移動するとともに、移動した方向に存在する各々の文字がすべて同方向に移動して文字間隔は保持され、移動した方向とは逆方向に存在する各々の文字は移動しない。すなわち移動した方向と隣り合う文字との文字間隔は開くことになる。背表示部701に表示されている文字位置もこれに従い移動する。図10(b)は、文字枠713dを左クリックして下方向にドラッグした場合の文字位置操作部711の変化を示す図である。文字枠713dと文字枠713cとの間隔は開き、文字枠713d、713e、713fの各々の間隔は保持される。
【0066】
文字枠713を右クリックし、上下方向にドラッグすると、その通りにその文字枠713が上下方向に移動するとともに、移動した方向とは反対方向に存在する各々の文字がすべて同方向に移動して文字間隔は保持され、移動した方向に存在する各々の文字は移動しない。すなわち移動した方向と隣り合う文字との文字間隔は狭くなることになる。背表示部701に表示されている文字位置もこれに従い移動する。図10(c)は、文字枠713cを右クリックして下方向にドラッグした場合の文字位置操作部711の変化を示す図である。文字枠713cと文字枠713dとの間隔は狭くなり、その他の文字枠の間隔は保持される。
【0067】
次に文字ピッチ固定状態がOFFである場合について説明する。文字枠713を左クリックし、上下方向にドラッグすると、その文字枠713のみがその通りに上下方向に移動し、その他の文字枠713は移動しない。図10(d)は、文字枠713dを下方向にドラッグした場合の文字位置操作部711の変化を示す図である。文字枠713dのみが下方向に移動し、その他の文字枠713は移動しない。
【0068】
文字ピッチ固定状態ONでは、任意の文字間のみ間隔を変更したい場合に便利であり、文字ピッチ固定状態OFFでは、任意の文字のみを動かしたい場合に便利である。なお、文字間ピッチ固定アイコン717を利用することなく、文字枠をドラッグした場合は文字のみが移動し、間隔を変更したい場合は文字枠と文字枠との間をドラッグするようにしてもよい。
【0069】
全文字移動ハンドル716を上下方向にドラッグすると、外枠712全体が上下方向に移動する。すなわち、タイトル文字のすべてを長さ、間隔はそのままに、全体の位置を移動させることができる。背表示部701に表示されている文字位置もこれに従い移動する。 図10(e)は、全文字移動ハンドル716を下方向にドラッグした場合の文字位置操作部711の変化を示す図である。
【0070】
次に、補正操作画面700で行われる針の位置変更の手順を説明する。まず中心振り分け固定アイコン727を、必要に応じてクリックして、中心振り分け固定状態ON、OFFを切り替える。デフォルトでは中心振り分け固定状態はONであり、中心振り分け固定アイコン727を1回クリックするとOFFとなる。さらにOFFの状態で1回クリックするとONに戻る。
【0071】
次に実際の針位置の変更を行う。マウス504の操作によりカーソルを外枠722の上端移動ハンドル724を上下方向にドラッグすると、その通りに外枠722の上端が移動する。同様に下端移動ハンドル725を上下方向にドラッグすると、その通りに外枠722の下端が移動する。ここで中心振り分け固定状態がONであれば、外枠722の上端、下端の一方をドラッグして移動させると、他方が同じ移動量だけ逆方向に移動する。そして針枠723aは上端とともに、針枠723bは下端とともに移動する。すなわち、2つの針が互いに縦方向(冊子の幅方向)の中央を中心として左右に振り分け移動する形となる。中心振り分け固定状態がOFFであれば、ドラッグした方のみが移動し、もう一方の針は移動しない。図11(a)、(b)は、外枠722の上端移動ハンドル724を上方にドラッグした場合の、針位置操作部721の変化を示す図であり、図11(a)は中心振り分け固定状態がONである場合、図11(b)は中心振り分け固定状態がOFFである場合を示す。
【0072】
全針移動ハンドル726を上下方向にドラッグすると、外枠722全体が上下方向に移動する。すなわち、両方の針を同じ方向に移動させることができる。図11(c)は全針移動ハンドル726を上方向にドラッグした場合の、針位置操作部721の変化を示す。
【0073】
このように文字位置操作部711と針位置操作部721においてカーソルをマウス502で操作することによって、背表示部701で互いの位置関係を確認しながら、文字位置と針位置をそれぞれ移動させ、互いに重ならない位置に調整することができる。調整終了したら処理完了キー731をクリックすると、設定した位置にタイトル文字が埋め込まれて印刷画像データを生成するとともに、設定した位置に針が打たれるようにステッチャー214の幅方向位置を移動させ、印刷製本の準備が完了する。その後の印刷製本動作は第1の実施形態と同一である。
【0074】
なお、タイトルデータ611が文字データではなく、画像データであってもよく、その画像データにタイトル文字が既に埋め込まれていても良い。その場合は、その画像データそのものが針と針との間に収まるように、画像データの拡縮や針位置の移動が自動的に行われても良いし、背表示部701に針位置とともに画像データを表示させ、適宜の方法で画像データの拡縮と針位置の移動を画面上で行っても良い。また、ジョブ情報記憶部610から読み出された用紙枚数情報614に用紙1枚あたりの厚さを乗じて2倍して算出した冊子厚さを参照し、タイトルデータ611の文字や画像データが冊子の背の厚さ方向寸法からはみ出す場合は、前記補正処理と同時に修正を行っても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 製本システム、100 画像形成装置、200 中綴じ折り装置、300 断裁装置、400 冊子成形装置、500 管理PC、600 電子制御部、610 ジョブ情報記憶部、611 タイトルデータ、620 印刷用画像データ生成部、630 ステッチャ位置制御部、640 画像形成制御部、700 補正操作画面、701 背表示部、711 文字位置操作部、721 針位置操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
この画像形成装置に接続され、画像形成された用紙を蓄積してその中央部を綴じ、綴じた部分で二つ折りする中綴じ折り装置と、
この中綴じ折り装置に接続され、中綴じ折りされた冊子の背を角型に成形する冊子成形装置と、
印刷製本ジョブ情報を記憶するとともに、この印刷製本ジョブ情報に基づいて、前記画像形成装置、中綴じ折り装置、冊子成形装置の動作を制御する制御装置と
を有する画像形成製本システムにおいて、
前記印刷製本ジョブ情報は、冊子を構成する用紙の各々に形成すべき原稿画像データと、冊子の背表紙に印刷すべきタイトルデータ含み、前記制御装置は、中綴じ折り後に冊子の表紙となる用紙に形成されるべき前記原稿画像データに対し、冊子を角型に成形した後に背表紙となる部分に前記タイトルデータを配置するとき、前記タイトルデータの文字位置と綴じ針の位置とが重ならないように、タイトルデータあるいは綴じ針の位置を補正する補正手段を有することを特徴とする画像形成製本システム。
【請求項2】
前記補正手段は、角型成形後の背に現れる綴じ針の位置と長さの情報と、印刷製本ジョブ情報に基づいて角形成形後の背に配置された前記タイトルデータの文字位置の情報とを参照し、綴じ針が文字と文字の間に収容されるように、綴じ針位置及び文字位置を算出して補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成製本システム。
【請求項3】
前記補正手段は、角形成形後の背に現れる綴じ針の位置と長さの情報と、印刷製本ジョブ情報に基づいて角形成形後の背に配置された前記タイトルデータの文字位置の情報とを参照し、綴じ針とタイトルデータの文字の双方を表示した角形成形後の背のプレビュー画像を表示するとともに、この画像を参照しながらのユーザによる文字位置又は針位置、あるいはその両方の補正操作を受け付けることを特徴とする請求項1記載の画像形成製本システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−18220(P2013−18220A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154355(P2011−154355)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【Fターム(参考)】