説明

画像投写装置

【課題】安価な装置で簡易的に台形歪みの無い画像を投写する。
【解決手段】光学エンジンユニットから出射される画像の光を反射させるミラーを回動自在に設け、そのミラーの傾動に連動しかつ2倍の角度で傾動するカメラを設け、ミラーにより反射する第2の投写方向に位置するスクリーンに映し出される画像をカメラにより撮像、スクリーンに映し出される画像が正常な形状の画像となるように、カメラの撮像データに基づいて光学エンジンユニットから出射される画像を補正する。スクリーン上に映し出される画像を撮像するカメラの向きをミラーに連動させることから、カメラの向きの調整を行う必要が無く、画像形状の補正処理を簡略化し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン上に投写可能な画像投写装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、壁に掛けられたスクリーン等に対して画像を投写する画像投写装置として小型のプロジェクタ装置があり、例えばノート型パソコンのディスプレイ上に表示した画像を一度に多人数で見ることができるように、携帯型情報処理装置としてのノート型パソコン(パーソナルコンピュータ)に接続可能な光学ユニットを用いたものがあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−76814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のものでは、光源部と、液晶パネルと、光路変更ミラーと、レンズ部とを有し、ノート型パソコンからの映像信号に基づいて液晶パネルに元映像が作成され、光源部からの光が、液晶パネルを透過してミラーで光路を変更され、レンズ部を介して投写されるようになっている。これにより、ミラーを回動させて反射方向の角度を切り替えることにより、所定角度において任意の方向への投写が可能となる。
【0005】
しかしながら、例えば壁等のスクリーンに対してミラーの角度を変えることによりスクリーン上の投写画像に台形歪みが生じることから、台形歪み補正を行う必要がある。台形歪み補正には種々の方法があるが、手動の場合には装置のコストは安価であるが、調整が煩雑化し、装置の傾きをセンサで検出して自動的に補正を行うようにしたものもあるが、装置が高騰化するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、安価な装置で簡易的に台形歪みの無い投写画像が得られる画像投写装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像投写装置は、入力される画像信号に基づいて画像を第1の投写方向に投写する投写ユニットと、前記投写ユニットから投写される前記画像を前記第1の投写方向とは異なる第2の投写方向に投写するように設けられたミラーと、前記第2の投写方向の光路上に配置されたスクリーン上に映し出される映像を撮像して得られる撮像データを、前記スクリーン上の前記映像が正常な形状となるように前記画像信号を補正する画像形状補正手段に出力するカメラとを有する構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、投写ユニットから投写される画像を投写ユニットからの第1の投写方向とは異なる第2の投写方向にミラーで投写すると共に、その第2の投写方向に設けられたスクリーン上に映し出される映像をカメラで撮像し、その撮像データを画像形状補正手段に出力することから、画像形状補正手段によりスクリーン上の映像が正常な形状となるように画像信号を補正して、ミラーにより方向が変えられてスクリーン上に映し出さられる画像を正常な形状にすることができる。そのスクリーン上に映し出される画像を撮像するカメラの向きをミラーに連動させることから、カメラの向きの調整を行う必要が無く、画像形状の補正処理を簡略化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による画像投写装置を組み付けたノート型パソコンにおける使用例を示す斜視図。
【図2】画像投射装置を示す要部拡大斜視図。
【図3】ミラー及びカメラと減速機構の一例とを示す図。
【図4】ミラーとカメラとの傾動関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、入力される画像信号に基づいて画像を第1の投写方向に投写する投写ユニットと、前記投写ユニットから投写される前記画像を前記第1の投写方向とは異なる第2の投写方向に投写するように設けられたミラーと、前記第2の投写方向の光路上に配置されたスクリーン上に映し出される映像を撮像して得られる撮像データを、前記スクリーン上の前記映像が正常な形状となるように前記画像信号を補正する画像形状補正手段に出力するカメラとを有する構成とする。
【0011】
これによると、投写ユニットから投写される画像を投写ユニットからの第1の投写方向とは異なる第2の投写方向にミラーで投写すると共に、その第2の投写方向に設けられたスクリーン上に映し出される映像をカメラで撮像し、その撮像データを画像形状補正手段に出力することから、画像形状補正手段によりスクリーン上の映像が正常な形状となるように画像信号を補正して、ミラーにより方向が変えられてスクリーン上に映し出される画像を容易に正常な形状にすることができる。そのスクリーン上に映し出される画像を撮像するカメラの向きをミラーに連動させることから、カメラの向きの調整を行う必要が無く、画像形状の補正処理を簡略化し得る。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記ミラーが回動自在に設けられていると共に、前記カメラが、前記ミラーの回動に連動して前記第2の投写方向を撮像する向きに変位するように設けられている構成とする。
【0013】
これによると、ミラーを回動させて投写方向を決めるだけで、カメラがミラーに連動してミラーによる第2の投写方向を撮像することができ、操作が容易である。
【0014】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記ミラーの回動により、前記ミラーの角度に対して前記カメラが1:2となる角度で連動する構成とする。
【0015】
これによると、第1の投写方向と第2の投写方向との間の角度に対してミラーの回動角度は1/2となり、第2の投写方向を撮像するカメラの角度はミラーの回動角度の2倍となることから、ミラーの回動する角度とカメラの変位する角度との比を1:2とするギア比となる簡単なギア機構でミラーとカメラとを連動させることができる。
【0016】
また、第4の発明は、前記第1乃至第3の発明において、前記ミラーと前記カメラとが1つのケースに組み付けられ、前記ケースは、前記投写ユニットに対して前記投写ユニットの前記投写方向に近接離反自在に設けられている構成とする。
【0017】
これによると、例えば投写ユニットをノート型パソコンに内蔵固定し、ミラー及びカメラを組み付けたケースを、投写ユニットに対して近接した位置ではノート型パソコンに内蔵状態とし、ノート型パソコンから外方に変位させて離反した位置とすることにより、ノート型パソコンに画像投写装置を一体的に組み付けることができ、画像投写装置の利便性を高めることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明による画像投写装置を組み付けたノート型パソコンにおける使用例を示す斜視図である。図に示されるように、ノート型パソコン1は、キーボード2が設けられている本体3と、本体3の背面3a側にて起立倒伏可能に支持された蓋体4とを有する公知構造のものであってよい。蓋体4の裏面(キーボード2側)にはパソコン処理における各種情報を表示するための例えば液晶画面からなるディスプレイ4aが設けられている。
【0020】
本体3にの背面3a側には画像投写装置5が設けられている。画像投写装置5は、図2に併せて示されるように、本体3に支持されたハウジング6と、ハウジング6にアーム7を介してスライド自在に設けられたケース8と、ケース8に内蔵されたミラー13及びカメラ10とを有する。ハウジング6は、本体3に埋没する内蔵状態と、背面3aから所定量出た突出状態との2位置間で変位し得るように本体3にスライド自在に支持されており、そのハウジング6内には投写ユニットとしての光学エンジンユニット11が設けられている。
【0021】
光学エンジンユニット11は、ディスプレイ4aと同じ情報の画像を拡大して投写するものであり、例えば、緑色・赤色・青色の各レーザ光を出力する各レーザ光源装置と、各色レーザ光を同一の光路に導く光学系と、本体3からのディスプレイ4aと同じ画像信号が入力し、その画像信号に応じて各色レーザ光をフィールドシーケンシャル方式(時分割表示方式)でカラー画像として出力する制御を行う制御回路とを有し、それらの構造は公知のものであってよく、図示及び説明を省略する。なお、ハウジング6の背面3aと同じ側となる面にはカラー画像のレーザ光を出射するための出射窓11aが設けられている。
【0022】
上記したハウジング6は本体3の背面3aに対して直交する方向にスライド可能である。そのハウジング6に、アーム7が同じく背面3aに対して直交する方向にスライド自在に設けられており、そのアーム7の突出方向端にケース8が結合されている。このようにして、ケース8が背面3aに対向しかつ近接離反し得る。
【0023】
ケース8内には、背面3aに平行な軸線周りに回動可能かつ互いに同軸な第1回動軸12a及び第2回動軸12bが設けられている。第1回動軸12aの軸線方向一端部がケース8の側面から外方に突出しており、その突出部分により、第1回動軸12a回動させる際に把持可する把持部12dが設けられている。
【0024】
また、第1回動軸12aには、第1回動軸12aの軸線に沿いかつ半径方向外向きに延出するミラー13が一体的に固設されている。ミラー13は、ケース8内に収容可能な大きさに形成されていると共に、その反射面13aは、ケース8から起き上がった状態で本体3側に向く面に設けられている。
【0025】
第2回動軸12bにはカメラ10が一体的に設けられている。カメラ10は、第2回動軸12bの半径方向外向きに突出する軸部の突出方向端に固設され、第2回動軸12bの回動によりケース8内に収容される状態とケース8から起き上がる状態とを取り得る。さらに、両回動軸12a・12bの間には、第1回動軸12aを角度θだけ回動させた場合に第2回動軸12bを角度2θだけ回動させる減速ギア装置12cが設けられている。
【0026】
図3に減速ギア装置12cの一例を示す。図では、第1回動軸12aと第2回動軸12bとの間に減速ギア装置12cが介装され、第1回動軸12aには大径ギアZ1が同軸に固設され、第2回動軸12bには小径ギアZ2が同軸に固設されている。両ギアZ1・Z2は、両軸12a・12bと平行なアイドル軸に固設された各アイドルギアZ3・Z4を介してギア結合されている。例えば大径ギアZ1と対応するアイドルギアZ3とのギア比を2:1とし、小径ギアZ2と対応するアイドルギアZ4とのギア比を1:1として、第1回動軸12aの回動角度に対して第2回動軸12bの回動角度が2倍にすることができる。なお、減速ギア機構12cは、図示例の構造に限られるものではなく、回動角度の比が1:2となるものであれば公知の種々の伝達機構が適用可能である。
【0027】
次に、このようにして構成された画像投写装置における作動要領について説明する。上記したように予め本発明による画像投写装置が内蔵されているノート型パソコン1を用いて相手にディスプレイ4aに表示されている内容と同じ画像を表示して見せる場合に、相手が対面に位置している場合にはノート型パソコン1の起立状態にした蓋体4の表面(ディスプレイ4aとは反対側となる面)4bをスクリーンとすることができる。
【0028】
図1に示されるように、本体3の背面3aから光学エンジンユニット11のハウジング6とケース8とを引き出す。ケース8は、ハウジング6にアーム7を介してスライド自在に設けられていることから、ハウジング6からさらに離した位置まで引き出すことができる。なお、例えばアーム7に所定間隔で複数の縦溝を設けると共に、ハウジング6側に縦溝に係合する弾性係合片を設けておくことにより、ケース8の引き出し量を任意に設定することができるようになっている。
【0029】
例えば、図示されないスイッチの操作により光学エンジンユニット11を駆動する。図4に示されるように、出射窓11aから出射されたレーザ光L1はミラー13で反射されて起立状態の蓋体4の表面4bに向かう。ミラー13の角度θは、上記した把持部12dを回して任意に設定することができ、図ではミラー13に向かうレーザ光L1の光軸を第1の投写方向として、その光軸に直角な軸からの角度として示されている。そして、ミラー13で反射された反射光L2は第2の投写方向となる蓋体4の裏面4bに向かい、裏面4bにはディスプレイ4aと同じ画像が映し出される。なお、焦点合わせは、公知の光学系の処理により、図示されない調節器等で合わすことができるようになっている。
【0030】
また、ミラー13により角度をつけて投写される画像は、レーザ光L1が矩形の場合には台形となって映し出されるため、台形歪み補正を行う必要が生じる。台形歪み補正は、ノート型パソコン1でのCPUを用いた処理で行ってもよいが、光学エンジンユニット11に、カメラ10の撮像データに応じて補正処理する形状補正回路を設けて処理することができる。この場合、カメラ10で撮像された画像の台形状に表示されることになる上辺と下辺とが同一寸法となるように台形歪み補正を行うことで補正することができる。この台形歪み補正も公知の回路で行うことができ、その詳しい説明は省略する。
【0031】
カメラ10は、上記したようにミラー13の角度θに対して2倍の角度2θまで傾動し、これにより、カメラ10の撮像方向はミラー13による反射光L2の方向(第2の投写方向)と一致する。したがって、ミラー13を回動して蓋体4の表面4bに画像を映し出すことにより、カメラ10の向きを調整することなく、カメラ10はその画像を撮像できる反射光L2の方向を向く。
【0032】
図示例のようにノート型パソコン1の起立状態の蓋体4の表面4bをスクリーンとする場合の他に、ミラー13の角度を大きくすることにより、蓋体4を避けて投写することができ、その場合には可搬型のスクリーンを別途用意することにより、そのスクリーン上に投写可能となる。このような場合でも、カメラ10はミラー13に連動して投写方向に向くため、そのスクリーン上の画像を撮像し、上記したように台形歪み補正を行って、スクリーン上に正常な形の画像を映し出すことができる。
【0033】
また、アーム7に対してケース8を曲折可能にすることにより、ミラー13による反射方向(第2の投写方向)を例えば本体3の左右方向に向けることができ、その場合には壁等に画像を映し出すことができる。この場合も、カメラ10はケース8と一体的に向きを変えかつ上記と同様にミラー13の傾きに連動して傾動するため、映し出された画像に台形歪みが生じていても、カメラ10の撮像データを光学エンジンユニット11の上記形状補正回路に入力し、その画像データにおける画像の上下辺が一致するように補正処理することにより、正常な形の画像を壁等に映し出すことができる。
【0034】
また、形状補正回路により、台形歪み補正のみならず、撮像データの形状が矩形になるように補正することは公知の画像形状補正技術で可能である。そのような形状補正回路を設けておくことにより、蓋体4の表面4bが平坦になっていなくても、カメラ10の撮像データに基づいて形状補正を行って、映し出される画像を正常な矩形にすることができる。この場合、蓋体4の表面4bの形状(段差等)が予め分かっている場合には、例えば画面上の補正値の分布を適合可能に設定しておくことにより、容易かつより正常な形状に補正することができる。
【0035】
このように、ミラー13で反射した画像をスクリーン上に映し出す構造の画像投写装置において、簡単な構成で、台形歪み補正のためのカメラ10の向きの調整を別途行うことなく、正常な形状の画像を映し出すことができる。
【0036】
また、上記実施形態ではノート型パソコン1に一体的に組み付けて使用する例について説明したが、本発明による画像投射装置は外部接続用として使用してもよい。例えば、ハウジング6とケース8とはアーム7を介して1つのユニットとして取り扱い可能にしてノート型パソコン1とは別個の装置とし、ノート型パソコン1の外部映像出力端子に光学エンジンユニット11をケーブル接続する。これにより、ケース8すなわちミラー13を任意の方向に向けることができ、画像を映し出すスクリーンの位置を自由に選ぶことができ、取り扱い性が良くなる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明にかかる画像投写装置は、ミラーにより反射してスクリーン上に映し出す画像の形状補正を行うべく、スクリーンの画像を撮像するカメラの向きの調整を行う必要が無く、可搬型のプロジェクター等として有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 ノート型パソコン
4 蓋体
4b 表面(スクリーン)
8 ケース
10 カメラ
11 光学エンジンユニット(投写ユニット・画像形状補正手段)
12a 第1回動軸
12b 第2回動軸
12c 減速ギア装置
13 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像信号に基づいて画像を第1の投写方向に投写する投写ユニットと、
前記投写ユニットから投写される前記画像を前記第1の投写方向とは異なる第2の投写方向に投写するように設けられたミラーと、
前記第2の投写方向の光路上に配置されたスクリーン上に映し出される映像を撮像して得られる撮像データを、前記スクリーン上の前記映像が正常な形状となるように前記画像信号を補正する画像形状補正手段に出力するカメラとを有することを特徴とする画像投写装置。
【請求項2】
前記ミラーが回動自在に設けられていると共に、
前記カメラが、前記ミラーの回動に連動して前記第2の投写方向を撮像する向きに変位するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像投写装置。
【請求項3】
前記ミラーの回動により、前記ミラーの角度に対して前記カメラが1:2となる角度で連動することを特徴とする請求項2に記載の画像投写装置。
【請求項4】
前記ミラーと前記カメラとが1つのケースに組み付けられ、
前記ケースは、前記投写ユニットに対して前記投写ユニットの前記投写方向に近接離反自在に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像投写装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−242491(P2012−242491A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110441(P2011−110441)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】