説明

画像投影装置

【課題】投影される画像の影響を受けず、簡便な処理で容易に投影面上での動作指示の検出ができ、動作応答性の良好な、画像投影装置を提供する。
【解決手段】投影面に画像を投影する投影部と、投影面を撮像する撮像部と、を有し、撮像部は、少なくとも投影部により投影される画像の外側の所定領域が撮像可能に設定されており、撮像部で撮像された撮像画像のうち、所定領域の画像に基づいて、投影部による投影画像を変更する画像投影装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影面に映像を投影する投影部と該投影面を撮像する撮像部とを備えた画像投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロジェクタで投影画像を投影し、該投影画像を撮影するカメラを配置し、カメラの撮影画像とプロジェクタの投影画像の差分から手領域を検出し、手領域から指先の位置を検出し、その位置をシステムに通知するポインティング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のポインティング装置は、手に画像が重畳される場合には、画像処理時に手の領域を誤認する可能性があり、更には指の先端を検出するまでの処理が複雑であるため処理時間を要し、手の撮影からシステムの応答動作までの間に時間を要するものとなり、ポインティング装置を含むシステム全体の応答性が悪化する問題がある。さらには、指の動き(例えば、指の移動)を検出することによりシステムの動作を制御しようとする場合には、より複雑となって処理時間を要し、さらにシステムの動作の応答性を悪化させる問題となる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、投影される画像の影響を受けず、簡便な処理で容易に投影面上での動作指示の検出ができ、動作応答性の良好な、画像投影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、下記の構成により達成される。
【0007】
(1)投影面に画像を投影する投影部と、前記投影面を撮像する撮像部と、を有し、前記撮像部は、少なくとも前記投影部により投影される画像の外側の所定領域が撮像可能に設定されており、前記撮像部で撮像された撮像画像のうち、前記所定領域の画像に基づいて、前記投影部による投影画像を変更することを特徴とする画像投影装置。
【0008】
(2)投影面に、画像と該画像の外側の所定領域に無画像の照明用の光とを、記憶された画像データに基づいて投影する投影部と、前記投影面を撮像する撮像部と、を有し、前記撮像部は、少なくとも前記投影部により投影される前記画像の外側の前記所定領域が撮像可能に設定されており、前記撮像部で撮像された撮像画像のうち、前記所定領域の画像に基づいて、前記投影部による投影画像を変更することを特徴とする画像投影装置。
【0009】
(3)前記所定領域は、前記投影部により投影される画像の四辺の少なくとも一辺に沿って帯状に設定されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の画像投影装置。
【0010】
(4)前記照明用の光は、白色光であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の画像投影装置。
【0011】
(5)前記所定領域の画像の時系列的変化に基づいて前記投影画像を変更することを特徴とする前記(1)から(4)までのいずれかに記載の画像投影装置。
【0012】
(6)前記所定領域の画像から肌色部を検出し、前記肌色部の時系列的変化に基づいて前記投影部の投影画像を変更することを特徴とする前記(1)から(5)までのいずれかに記載の画像投影装置。
【0013】
(7)前記撮像部により一般の被写体の撮像が可能となされていることを特徴とする前記(1)から(6)までのいずれかに記載の画像投影装置。
【0014】
すなわち本願発明は、投影部による投影画像の外側の領域を撮像部で撮像するよう構成することで、この画像の外側の領域では、画像が重畳しないことに着目して、なされた発明である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、投影される画像の影響を受けず、簡便な処理で容易に投影面上での動作指示の検出ができ、動作応答性の良好な、画像投影装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る画像投影装置の使用状態を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る画像投影装置の投影部の一構成例を示す模式図である。
【図3】本実施の形態に係る画像投影装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る画像投影装置の投影部による投影画像と、撮像部の撮像範囲と指示部検出領域の位置関係例を示す模式図である。
【図5】本実施の形態に係る画像投影装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る画像投影装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る画像投影装置による画像投影中の状態を示す模式図である。
【図8】レーザポインタによるポインタ位置、指示棒の先端等を動作の指示部とした場合の投影面撮像後の概略動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る画像投影装置1の使用状態を示す図である。
【0019】
図1に示す本実施の形態に係る画像投影装置1は、投影面2に投影画像3を投影する投影部10、投影面2に対向して設けられた撮像部20と、投影部10と撮像部20を統括的に制御する不図示の制御部とを有している。撮像部20は図示の如く、投影画像3の領域を包括するように撮像範囲4(一点鎖線で示す領域)が設定されている。投影面2は、例えばスクリーンや壁面等の略平坦な平面が用いられる。
【0020】
撮像部20は、撮像素子と該撮像素子の撮像面上に画像を形成する撮像光学系で構成された公知の撮像装置である。
【0021】
図1に示すように、撮像部20の撮像範囲4は、投影画像3の外側の所定の領域(本例では二点鎖線で示す領域)が予め撮像可能に設定されている。本実施の形態に係る画像投影装置1は、投影画像3の外側の所定の領域の、画像として投影されていない部分の撮像画像に基づいて、投影部10の投影画像を変更するよう構成されているものである。以下、本明細書では、この撮像部20による撮像画像のうち、画像の投影されていない所定の領域を指示部検出領域5と称している。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る画像投影装置1の投影部10の一構成例を示す模式図である。本実施の形態に係る画像投影装置1の投影部10には、透過型液晶を用いたもの、空間光変調素子であるLCOS(Liquid crystal on silicon)を用いたもの、デジタルマイクロミラー・デバイス(DMD)を用いたもの、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスを用いた走査型のもの等が適用可能である。本実施の形態では、一例としてLCOSを用いた投影部10で説明する。
【0023】
図2に示すように、投影部10は、照明光源11、集光光学系12、偏光変換素子13、偏光ビームスプリッタPBS、反射型液晶素子14、投影光学系15で構成されている。2は投影面である。
【0024】
照明光源11は、例えばLEDが用いられる。集光光学系12は、照明光源11から射出される光を略平行光に変換するものである。
【0025】
偏光変換素子13は、入射した光の光量を低下させずに特定の偏光に変換する光学素子である。例えば、図示のようにP偏光を透過する偏光分離膜13Pと、偏光分離膜13Pを透過したP偏光をS偏光に変換するλ/2波長板13aと、偏光分離膜13Pで反射したS偏光を、再度反射させて出射させるよう構成されたものである。
【0026】
偏光ビームスプリッタPBSは、所定の方向に直線偏光した光を反射させる反射面Rが斜面に形成された直角プリズムを貼り合わせたものである。これにより、偏光変換素子13を通過してきた所定の方向に直線偏光した光を反射させる。
【0027】
反射型液晶素子14は、LCOS(Liquid crystal on silicon)とも称されるマイクロディスプレイであり、シリコンチップの表面に直接液晶が載せられているものである。この反射型液晶素子14は、液晶層に対し駆動制御部から画像信号に応じた電圧が画素毎に印加され、液晶分子の配列を変化させることで変調し、所望の画像を表示するものである。
【0028】
投影光学系15は、照明光源11で照明され、反射型液晶素子14から反射された画像を投影面2に結像させるものである。
【0029】
以下、図2に示す投影部10の作用を簡単に説明する。なお、以下の説明では、偏光変換素子13は上述のようにS偏光を出射するよう構成され、偏光ビームスプリッタPBSの反射面RはS偏光を反射するよう構成された例で説明する。
【0030】
照明光源11から射出された光束は、偏光変換素子13によりS偏光の光が透過され、偏光ビームスプリッタPBSに入射し、反射面Rで反射型液晶素子14の方向に反射させられ、反射型液晶素子14を照明する。
【0031】
反射型液晶素子14に入射した光は反射型液晶素子14で反射され、偏光ビームスプリッタPBSに再度入射する。反射型液晶素子14を構成する不図示の液晶層は、電圧が印加されると位相板として機能する。従って、反射型液晶素子14から射出する光のうち、電圧が印加された画素領域を透過した光はS偏光からP偏光に変換される。一方、反射型液晶素子14から射出する光のうち、電圧が印加されていない画素領域を透過した光はS偏光のままとなる。
【0032】
反射型液晶素子14で反射された光のうちP偏光の光は、偏光ビームスプリッタPBSに再度入射後、反射面Rを透過し投影光学系15によって投影画像3が投影面2に投影される。
【0033】
図3は、本実施の形態に係る画像投影装置1の構成例を示すブロック図である。なお、図3は画像投影装置1の本発明の実施に係る部分についてのみ記載し、その他の構成は省略している。
【0034】
図3に示すように、画像投影装置1は、投影部10、撮像部20及び制御部30で構成されている。
【0035】
本実施の形態に係る画像投影装置1においては、投影部10による画像の投影中に投影面を撮像部により撮像するように構成されている。
【0036】
また、制御部30は、撮像画像メモリ32、指示部検出部33、処理実行部34、表示画像メモリ35、投影画像処理部36を有している。
【0037】
撮像画像メモリ32は、撮像部20が撮像した画像データを記憶する記憶部である。また、表示画像メモリ35は、投影部10で投影するための画像データを記憶した記憶部であり、本実施の形態においては複数の画像データが記憶されている。また、後述の画像に付随させて投影する照明のための、白色、単色等の無画像の画像データも記憶されている。
【0038】
指示部検出部33は、該撮像画像メモリ32に記憶された画像データのうち、予め決められている指示部検出領域5(例えば、図1参照)の画像データから、動作の指示部としての手、レーザポインタによるポイント位置、指示棒の先端等を検出するものである。
【0039】
処理実行部34は、指示部検出部33で検出した指示部の位置と前回撮像した画像データとの比較から指示部の移動方向を抽出して判断して、次に投影部10で投影すべき画像データを表示画像メモリ35から選択して投影画像処理部36に送出する。投影画像処理部36は、該画像データを投影のためのデータに変換し、反射型液晶素子14を駆動する不図示のドライバに送出するものである。
【0040】
図4は、本実施の形態に係る画像投影装置1の投影部10による投影画像3と、撮像部20の撮像範囲4と指示部検出領域5の位置関係例を示す模式図である。図4(a)は指示部検出領域5が投影画像3の外側の下部に帯状に設定されている場合を示し、図4(b)は指示部検出領域5が投影画像3の外側に右部に帯状に設定されている場合を示し、図4(c)は指示部検出領域5が投影画像3の外側の全周に額縁状に設定されている場合を示している。
【0041】
指示部検出領域5は、図4(a)に示すように投影画像3の外側の下部に帯状に設定されていてもよいし、投影画像3の外側の上部、下部に帯状に設定されていてもよい。また、図4(b)に示すように投影画像3の外側の右部に帯状に設定されていてもよいし、投影画像3の外側の右部と左部に帯状に設定されていてもよい。また、図4(c)に示すように投影画像3の外側の全周に額縁状に設定されていてもよい。さらに、指示部検出領域5は、図4に示すように、投影画像3の外側周囲に隣接するように設定しているため、操作者は実際に投影面上での動作指示を行ったかの如くの効果が得られ、装置としての操作性が向上する。
【0042】
また、図4(a)〜(c)に示す指示部検出領域5に、投影部10によって画像と共に表示画像メモリ35に記憶されている無画像の画像データを用いて、均一の照明用の光を投影するよう構成してもよい。照明用の光とは文字通り照明用であり、例えば無画像の白色光を投影面2に投影するものである。なお、照明用の光は白色が好ましいが、単色光又は2色の混合光であってもよい。このように構成することで、暗黒状態で投影がされるような環境下においても、指示部検出領域5内の画像から指示部検出部33(図3参照)は指示部である手や指示棒を明確に抽出処理できるようになる。
【0043】
図5及び図6は、本実施の形態に係る画像投影装置1の概略動作を示すフローチャートである。なお本例では、プレゼンテーション等における静止画の投影に際し画像投影装置1の動作の指示部として人の手が用いられる場合で説明する。また、指示部検出領域5として、図4(a)に示すような投影画像3の外側の下部に帯状に設定されている場合で説明する。
【0044】
図5に示すフローにおいて、画像投影装置1は、まず画像の投影を行う(ステップS101)。
【0045】
次いで、所定の時間が経過するのを待機する(ステップS102)。所定時間経過する(ステップS102;Yes)と、画像の投影に並行して撮像部20を用いて投影面2を撮像する(ステップS103)。すなわち、撮像部20による投影面2の撮像は、所定のインターバルで行われる。このインターバルの時間は、少なくとも撮像部20の撮像動作の繰り返しが可能な時間以上であって、撮像される指示部の時系列的な変化が確実に認識できるような時間に、予め設定されているものである。
【0046】
ステップS103で撮像された画像は、図6に示すフローに従ってパラレル処理が行われる。次いで投影動作の終了か否か判断する(ステップS104)。投影動作の終了は、画像投影装置1に設けられた不図示のスイッチが操作された場合に終了と判断(ステップS104;Yes)し、各部の終了動作(ステップS111)を行って終了する。
【0047】
一方、該スイッチの操作がされていない場合(ステップS104;No)には、動作が続行され、画像投影のための画像データが以下の図5に示すフローに従い選択(ステップS107)され、ステップS101に戻って、上記の動作を繰り返すようになっている。
【0048】
ステップS103において、撮像された投影面2の画像は図6に示すパラレル処理のフローにより処理される。以下、図6のフローを説明する。
【0049】
図6に示すフローにおいて、図5に示すステップS103で投影面2を撮像した後、撮像画像メモリ32(図3参照)に撮像した画像データを格納する(ステップS202)。
【0050】
次いで、指示部検出部33(図3参照)により、撮像画像メモリ32に格納した画像データを読み出し、該画像データ内の指示部検出領域5内の画像データ領域を抽出する。更に、指示部検出領域5を中央部を境に左右の領域に分割し、左右の領域の肌色画素数をそれぞれカウントする(ステップS203)。
【0051】
次いで、左右の領域の肌色画素数の合計が閾値以上か否か判断する(ステップS204)。ここでは、指示部検出領域5内に指示部である手が存在するか否かの判断を行うということである。
【0052】
左右の領域の肌色画素数の合計が閾値以上でない場合(ステップS204;No)は、指示部検出領域5内に指示部である手が存在しないと判断し、処理実行部34(図3参照)が投影中の同じ画像データを選択(ステップS251)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。すなわち、所定の数以上の肌色画素が検出されない場合は、同じ画像が選択され投影される。
【0053】
一方、左右の領域の肌色画素数の合計が閾値以上の場合(ステップS204;Yes)は、指示部検出領域5内に指示部である手が存在していると判断し、指示部検出領域5の左領域の肌色画素数が右領域の肌色画素数より多いか否か判断する(ステップS205)。すなわち、指示部である手が指示部検出領域5内の左右の領域のどちらに偏っているかを判断する。
【0054】
左領域の肌色画素数が右領域の肌色画素数より多い場合(ステップS205;Yes)は、前回のステップS205における結果と比較し前回と逆の結果か否か判断する(ステップS206)。前回と同じ結果である場合(ステップS206;No)は、処理実行部34が投影中の同じ画像データを選択(ステップS251)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。すなわち、肌色画素数の多い領域が前回と同じ左領域で有る場合は、手が移動していないと判断し、同じ画像が選択され投影される。
【0055】
ステップS206において、前回と逆の結果である場合(ステップS206;Yes)は、処理実行部34が表示画像メモリ35より次に投影する画像データを選択(ステップS281)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。すなわち、肌色画素数の多い領域が前回と逆の右領域で有る場合は、手が左領域から右領域に移動したと判断し、次の画像(コマ送り)が選択され投影される。
【0056】
一方、ステップS205において、左領域の肌色画素数が右領域の肌色画素数より少ない場合(ステップS205;No)も、前回のステップS205における結果と比較し前回と逆の結果か否か判断する(ステップS207)。前回と同じ結果である場合(ステップS207;No)は、処理実行部34が投影中の同じ画像データを選択(ステップS251)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。すなわち、肌色画素数の多い領域が前回と同じ右領域で有る場合は、手が移動していないと判断し、同じ画像が選択され投影される。
【0057】
ステップS207において、前回と逆の結果である場合(ステップS207;Yes)は、処理実行部34が表示画像メモリ35より前に投影した画像データを選択(ステップS271)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。すなわち、肌色画素数の多い領域が前回と逆の左領域で有る場合は、手が右領域から左領域に移動したと判断し、前に投影した画像(コマ戻し)が選択され投影される。
【0058】
すなわち、検出された手(肌色画素)の位置の時系列的変化に対応して、画像が選択され、次に投影されるということである。
【0059】
図7は、本実施の形態に係る画像投影装置1による画像投影中の状態を示す模式図である。図7(a)は指示部である手Tが指示部検出領域5の右領域にあるときの状態を示し、図7(b)は指示部である手Tが指示部検出領域5の左領域にあるときの状態を示している。
【0060】
図7(a)に示す状態のとき撮像され、次いで図7(b)に示す状態のとき撮像されると、上述のフローにより、手T(肌色画素)が右領域から左領域に移動したと判断される。
【0061】
また図7は、投影部10によって、投影画像3と、投影画像3の鑑賞を妨げない下端部の帯状の指示部検出領域5に無画像の照明用の光を同時に投影した状態を示している。このように構成することで、暗黒状態で投影がされるような環境下においても、あらたに照明光源を設けずとも、指示部検出領域5内の画像から指示部検出部33(図3参照)は指示部である手や指示棒を明確に抽出処理できるようになる。無画像の照明用の光の投影は、肌色領域を確実に検出するには白色が好ましいが、単色光又は2色の混合光であってもよい。
【0062】
図7に示すような、画像と共に投影される照明用の光の投影に際しては、以下の何れかのようにすればよい。
【0063】
1)投影部による投影可能な領域を図示ABCDで囲まれた領域とし、照明用の光の投影を行わない場合は、図示ABFEで囲まれた領域で画像を表示し、照明用の光の投影を行う場合は、図示CDEFで囲まれた領域に、表示画像メモリに予め記憶されている無画像の画像データを付加して投影する。
【0064】
2)投影部による投影可能な領域を図示ABCDで囲まれた領域とし、照明用の光の投影を行わない場合は、図示ABCDで囲まれた領域で画像を表示し、照明用の光の投影を行う場合は、図示CDEFで囲まれた領域の画像データを表示画像メモリに予め記憶されている無画像の画像データに置き換えて投影する。
【0065】
3)投影部による投影可能な領域を図示ABCDで囲まれた領域とし、照明用の光の投影を行わない場合は、図示ABCDで囲まれた領域で画像を表示し、照明用の光の投影を行う場合は、画像を図示ABFEで囲まれた領域に入るよう縮小し、図示CDEFで囲まれた領域に、表示画像メモリに予め記憶されている無画像の画像データを付加して投影する。
【0066】
なお、図7では、指示部検出領域を画像の下辺側の例で説明したが、これに限るものでなく、画像の上辺側、左辺側、右辺側或いは、これらの複合もしくは四辺の全てであってもよい。
【0067】
なお、上記の説明では手の左右方向の移動に基づいてコマ送り及びコマ戻しを行う例で説明したが、これに限るものでなく、図4(b)に示すような指示部検出領域5として、手の上下方向の移動に基づいて投影画像の変更を行うよう構成してもよい。更に、図4(c)にしめすような指示部検出領域5として、手の左右方向の移動でコマ送り及びコマ戻しを行い、手の上下方向の移動により輝度変更或いはズーミング等を行うよう構成してもよい。また、移動方向により何をするかは予め決められているものであり、本例に限るものでないのはもちろんである。
【0068】
上記では、動作の指示部として人の手の場合を例に取り説明したが、レーザポインタによるポインタ位置、指示棒の先端等を動作の指示部としてもよい。以下に、指示部がこれらの場合のフローを説明する。
【0069】
図8は、レーザポインタによるポインタ位置、指示棒の先端等を動作の指示部とした場合の投影面撮像後の概略動作を示すフローチャートである。なお、図5に示す動作は同様であるので省略する。
【0070】
図8に示すフローにおいて、図5に示すステップS103で投影面2を撮像した後、撮像画像メモリ32(図3参照)に撮像した画像データを格納する(ステップS302)。
【0071】
次いで、指示部検出部33(図3参照)により、撮像画像メモリ32に格納した画像データを読み出し、該画像データ内の指示部検出領域5内の画像データ領域を抽出する。更に、指示部検出領域5を中央部を境に左右の領域に分割し、指示部の有無を確認する(ステップS303)。レーザポインタに適用する場合には、指示部検出部33は撮像画像から該レーザの発信波長に基づく出力値となる画素領域を探し、ポインタ位置を検出するよう構成すればよい。また、指示棒の場合には、略直線画像を抽出し、その先端を検出するよう構成すればよい。
【0072】
指示部が検出されない場合(ステップS304;No)は、処理実行部34(図3参照)が投影中の同じ画像データを選択(ステップS351)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。すなわち、指示部が検出されない場合は、同じ画像が選択され投影される。
【0073】
一方、指示部(ポインタ或いは指示棒)が検出された場合(ステップS304;Yes)は、前回撮像した指示部の位置との変化の有無を比較する(ステップS305)。次いで、指示部位置に変化があったか否か判断する(ステップS306)。指示部の位置が前回、今回共に右領域にある場合或いは共に左領域にある場合、すなわち指示部位置に変化がない場合(ステップS306;No)は、処理実行部34(図3参照)が投影中の同じ画像データを選択(ステップS351)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。すなわち、指示部が検出されても移動が確認されない場合は、同じ画像が選択され投影される。
【0074】
指示部の位置に変化がある場合(ステップS306;Yes)、指示部の位置が左領域から右領域に移動したか否か判断する(ステップS307)。指示部の位置が左領域から右領域に移動と判断された場合(ステップS307;Yes)には、処理実行部34が表示画像メモリ35より次に投影する画像データを選択(ステップS381)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。
【0075】
指示部の位置が右領域から左領域に移動と判断された場合(ステップS307;No)には、処理実行部34が表示画像メモリ35より前に投影した画像データを選択(ステップS371)し、ステップS107(図5参照)へ移行する。
【0076】
すなわち、検出されたポインタ或いは指示棒先端の位置の時系列的変化に対応して、画像が選択され、次に投影されるということである。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像投影装置1は、投影部10により投影される画像の外側の指示部検出領域を撮像し、この指示部検出領域内で指示部を検出し、検出された指示部の時系列的変化に基づいて投影画像を変更するよう構成されている。
【0078】
このように、指示部検出領域を投影部10により投影される画像の外側とすることにより、指示部検出領域には投影される画像が重畳されないため、指示部を簡便な処理で容易に検出することができるようになる。
【0079】
さらに、プレゼンテーション中に投影画像内を、説明のためにレーザポインタや指示棒で指示しても、指示部検出領域でないため、不要なコマ送りやコマ戻し等の誤動作を防止することができる。
【0080】
また、指示棒の場合には、指示部検出領域を、投影部により照明用の光を投影することが好ましく、レーザポインタの場合には投影部による照明用の光は投影しないことが好ましい。
【0081】
なお、本実施の形態では、指示部検出領域を左右に2分割して判断する例で説明したが、これに限るものでなく、より細かく分割して判断してもよい。また、投影部10として反射型液晶素子(LCOS)を用いたもので説明したが、上述のように、これに限るものでなく、多数の微小鏡面を平面に配列した表示素子であるデジタルマイクロミラー・デバイス(DMD)を用いたものにも適用できる。この場合には、図2に示す反射型液晶素子14をDMDに置き換え、偏光ビームスプリッタPBSとDMDの間に1/4波長板を配置すればよい。また、特開2010−139687号公報に記載のようなMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスを用いた走査型の投影部を用いたものにも適用できるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1 画像投影装置
2 投影面
3 投影画像
4 撮像範囲
5 指示部検出領域
10 投影部
11 照明光源
12 集光光学系
13 偏光変換素子
13a λ/2波長板
13p 偏光分離膜
14 反射型液晶素子
15 投影光学系
20 撮像部
30 制御部
32 撮像画像メモリ
33 指示部検出部
34 処理実行部
35 表示画像メモリ
36 投影画像処理部
PBS 偏光ビームスプリッタ
R 反射面
T 手(指示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影面に画像を投影する投影部と、
前記投影面を撮像する撮像部と、を有し、
前記撮像部は、少なくとも前記投影部により投影される画像の外側の所定領域が撮像可能に設定されており、
前記撮像部で撮像された撮像画像のうち、前記所定領域の画像に基づいて、前記投影部による投影画像を変更することを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
投影面に、画像と該画像の外側の所定領域に無画像の照明用の光とを、記憶された画像データに基づいて投影する投影部と、
前記投影面を撮像する撮像部と、を有し、
前記撮像部は、少なくとも前記投影部により投影される前記画像の外側の前記所定領域が撮像可能に設定されており、
前記撮像部で撮像された撮像画像のうち、前記所定領域の画像に基づいて、前記投影部による投影画像を変更することを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
前記所定領域は、前記投影部により投影される画像の四辺の少なくとも一辺に沿って帯状に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記照明用の光は、白色光であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記所定領域の画像の時系列的変化に基づいて前記投影画像を変更することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記所定領域の画像から肌色部を検出し、前記肌色部の時系列的変化に基づいて前記投影部の投影画像を変更することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記撮像部により一般の被写体の撮像が可能となされていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の画像投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−65005(P2012−65005A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205382(P2010−205382)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】