説明

画像撮像装置およびノイズ除去方法

【課題】 画質の劣化をできるだけ押さえながら、効果的にノイズ除去を行う画像撮像装置およびノイズ除去方法を提供する。
【解決手段】 特徴検出回路7は、静止画または動画の1画面を構成する画像信号から、対象画素とその対象画素の周囲7つの画素を含む画素群の画素データを入力し、周波数特性の異なる複数のHPFで画素群のフィルタリングを行う。特徴算出回路8は、HPFの出力結果から、その画素群の画像に関する平坦度を算出する。その後、フィルタ係数決定回路9は、平坦度が、その画素群の画像について起伏が小さいことを示す場合には、カットオフ周波数の下限が低域に設定され、起伏が大きいことを示す場合には、カットオフ周波数の下限が高域に設定されるようにフィルタ係数を決定する。こうして決定されたフィルタ係数は、ノイズ低減回路11のLPFのフィルタ係数として用いられ、そこで、対象画素のフィルタリングが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像画像のノイズ除去を行う画像撮像装置およびノイズ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像撮像装置が画像信号を記録する際、ノイズによる影響を受ける。その結果、このようにして記録された画像信号には、ノイズが含まれることになる。そこで、従来より、入力された画像信号からノイズを検出して、その画像信号からノイズを除去する様々な方法が提案されている。
【0003】
第1の方法は、レベル変化の小さい、すなわち高周波成分の入力画像信号をノイズとみなすことによって(コアリング処理)、あるいは、空間周波数または時間周波数を検出して、いずれも、高い周波数の成分をノイズとみなすことによって、ノイズを検出し、こうして検出されたノイズを減衰することによって本来の画像信号成分と、ノイズ成分を分離する。
【0004】
第2の方法は、ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)を用いるノイズ除去処理である。この方法は、空間周波数の高い成分をノイズとみなして、これらのノイズを除去する処理を、画像全体に一様に行うものである。
【0005】
第3の方法は、動画の画像信号に対して、時間方向の再帰的LPFを用いるノイズ除去方法である。この方法は、時間周波数の高い成分をノイズとみなして、これらのノイズを除去する。
【0006】
しかしながら、第1の方法に関して上述したコアリング処理においては、入力画像信号のレベル変化の大小を基準にノイズが検出されるので、ノイズではない、本来の画像信号であっても、レベル変化が小さい場合にはノイズとして検出されてしまい、正確なノイズの除去が困難であるという問題がある。たとえば、人間の毛髪等を撮影した画像信号は、通常、レベル変化の小さな画像信号であり、このような画像信号が入力された場合には、これらがノイズとして検出されてしまい、本来有効な画像信号であるはずのこれらの情報が除去されてしまう。
【0007】
また、第2の方法については、エッジ等の高周波成分からなる、意味のある(本来有効な)画像信号をノイズとみなして除去してしまうという問題が存在する。
【0008】
また、第3の方法については、動きのある画像の質が劣化するという問題を有し、さらに、この時間方向のLPFを用いるノイズ除去方法においては、時間方向の情報を用いるので、フレームメモリが必要となり、コスト高になるという問題もある。
【0009】
そして、このような問題を解決するために提案されたノイズ除去方法として、特許文献1のノイズ検出回路が提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開平8−163408号公報
【0011】
特許文献1には、2次元1次微分フィルタによって、撮像された画像信号における輝度変化の方向と輝度変化の勾配を求め、その値からノイズ係数を算出しLPFの係数を変化させることでノイズを除去する回路が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1の回路では、撮像された画像の全方向において高周波である画像信号に対してLPFをかけてしまい、結果として画像のシャープさを失ってしまう恐れがある。
【0013】
したがって、この発明の目的は、画質の劣化をできるだけ押さえながら、効果的にノイズ除去を行う画像撮像装置およびノイズ除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の実施態様に係る発明は、静止画または動画の1画面を構成するディジタル画像信号内の、対象画素および対象画素の近傍の画素からなる画素群の画素データについて、それぞれ異なる周波数特性を有する複数のハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理を実行する第1フィルタリング手段と、ハイパスフィルタの出力と所定のしきい値とをそれぞれ比較し、その比較結果に基づいて、対象画素を中心とする画素群の画像の起伏の度合いを表す平坦度を算出する算出手段と、平坦度に基づいて、適応的に対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行する第2フィルタリング手段とを有するように構成される画像撮像装置である。
【0015】
第2の実施態様に係る発明は、第1の実施態様に係る発明において、第2フィルタリング手段が、平坦度に基づいてフィルタ特性を決定し、フィルタ特性を有したローパスフィルタにより、ローパスフィルタ処理を実行するように構成される画像撮像装置である。
【0016】
第3の実施態様に係る発明は、第1の実施態様に係る発明において、第2フィルタリング手段が、それぞれ異なるフィルタ特性を有する複数のローパスフィルタを有し、異なるフィルタ特性を有する複数のローパスフィルタを平坦度に応じて選択的に用いて対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行するように構成される画像撮像装置である。
【0017】
第4の実施態様に係る発明は、第1の実施態様に係る発明において、画素群が、ディジタル画像信号内の水平方向または垂直方向の連続する複数の画素から構成される画像撮像装置である。
【0018】
第5の実施態様に係る発明は、第1の実施態様に係る発明において、画素データが、輝度信号、色差信号、またはRGB信号のうちいずれかの信号のデータであるように構成される画像撮像装置である。
【0019】
第6の実施態様に係る発明は、第1の実施態様に係る発明において、複数の異なる周波数特性は、画素群に属する複数の画素間で画素データの差の検出を行うように設定されるように構成される画像撮像装置である。
【0020】
第7の実施態様に係る発明は、第6の実施態様に係る発明において、画素データの差が、対象画素の画素データと、対象画素と隣接する、または1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差、所定の画素の画素データと、所定の画素の両隣にある画素の画素データの平均値との差、および対象画素以外の画素の画素データと、対象画素以外の画素と1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差のうち、すくなくとも1つを含むように構成される画像撮像装置である。
【0021】
第8の実施態様に係る発明は、第1の実施態様に係る発明において、算出手段が、ハイパスフィルタの出力と所定のしきい値との比較結果を、それぞれ2値データで表し、2値データに対して所定の論理演算を行うことによって、平坦度を算出するように構成される画像撮像装置である。
【0022】
第9の実施態様に係る発明は、第1の実施態様に係る発明において、第2フィルタリング手段が、平坦度が、画素群の画像について起伏が小さいことを示す場合は、より低いカットオフ周波数でローパスフィルタ処理を実行し、平坦度が、画素群の画像について起伏が大きいことを示す場合は、より高いカットオフ周波数でローパスフィルタ処理を実行するように構成される画像撮像装置である。
【0023】
第10の実施態様に係る発明は、静止画または動画の1画面を構成するディジタル画像信号内の、対象画素および対象画素の近傍の画素からなる画素群の画素データについて、それぞれ異なる周波数特性を有する複数のハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理を実行する第1フィルタリングステップと、ハイパスフィルタの出力と所定のしきい値とをそれぞれ比較し、その比較結果に基づいて、対象画素を中心とする画素群の画像の起伏の度合いを表す平坦度を算出する算出ステップと、平坦度に基づいて、適応的に対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行する第2フィルタリングステップとを有するように構成されるノイズ除去方法である。
【0024】
第11の実施態様に係る発明は、第10の実施態様に係る発明において、第2フィルタリングステップが、平坦度に基づいてフィルタ特性を決定し、フィルタ特性を有したローパスフィルタにより、ローパスフィルタ処理を実行するように構成されたノイズ除去方法である。
【0025】
第12の実施態様に係る発明は、第10の実施態様に係る発明において、第2フィルタリングステップが、それぞれ異なるフィルタ特性を有する複数のローパスフィルタを、平坦度に応じて選択的に用いて対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行するように構成されたノイズ除去方法である。
【0026】
第13の実施態様に係る発明は、第10の実施態様に係る発明において、画素群が、ディジタル画像信号内の水平方向または垂直方向の連続する複数の画素から構成されるように構成されるノイズ除去方法である。
【0027】
第14の実施態様に係る発明は、第10の実施態様に係る発明において、画素データが、輝度信号、色差信号、またはRGB信号のうちいずれかの信号のデータであるように構成されるノイズ除去方法である。
【0028】
第15の実施態様に係る発明は、第10の実施態様に係る発明において、複数の異なる周波数特性が、画素群に属する複数の画素間で画素データの差の検出を行うように設定されるように構成されるノイズ除去方法である。
【0029】
第16の実施態様に係る発明は、第15の実施態様に係る発明において、画素データの差が、対象画素の画素データと、対象画素と隣接する、または1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差、所定の画素の画素データと、所定の画素の両隣にある画素の画素データの平均値との差、および対象画素以外の画素の画素データと、対象画素以外の画素と1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差のうち、すくなくとも1つを含むように構成されるノイズ除去方法である。
【0030】
第17の実施態様に係る発明は、第10の実施態様に係る発明において、算出ステップが、第1フィルタリングステップによる出力と所定のしきい値との比較結果を、それぞれ2値データで表し、2値データに対して所定の論理演算を行うことによって、平坦度を算出するように構成されるノイズ除去方法である。
【0031】
第18の実施態様に係る発明は、第10の実施態様に係る発明において、第2フィルタリングステップが、平坦度が画素群の画像について起伏が小さいことを示す場合は、より低いカットオフ周波数でローパスフィルタ処理を実行し、平坦度が画素群の画像について起伏が大きいことを示す場合は、より高いカットオフ周波数でローパスフィルタ処理を実行するように構成されるノイズ除去方法である。
【0032】
上述した第1ないし第14の実施態様に係る発明により、対象画素のノイズ除去を行うローパスフィルタのフィルタ係数が、対象画素および、その対象画素の周辺の画素を含む画素群の平坦度に応じて段階的に設定される。
【発明の効果】
【0033】
この発明によって、従来のコアリング処理、空間周波数、および時間周波数によるノイズ除去での問題点が解決される。すなわち、この発明においては、画像の起伏の激しい部分に対してはLPFのカットオフ周波数を高域に持っていくことで、従来の、有効な画像情報が失われるという問題が解消される。
【0034】
また、この発明によって、画像データとして起伏の少ないところにある、ざらついたノイズが効果的に除去され、結果的に滑らかな画像が生成される。さらに、画像のエッジ部分や高周波成分を含む部分に対してLPFのカットオフ周波数を高域に設定するので、エッジ部分の鈍りが抑えられ、全体としてノイズ感の減った画像データが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
最初に、この発明の一実施形態に係る画像撮像装置の構成について、図1を参照して説明する。この発明は、画像信号の空間周波数にもとづいて、適応的にローパスフィルタ処理を施し、画像信号のノイズを除去する。また、画像信号の空間周波数は、異なる空間周波数特性を有する複数のハイパスフィルタによって段階的に求められる。
【0036】
図1に示す、この発明の画像撮像装置1は、たとえば、色フィルタを有するCCD撮像素子のようなイメージセンサ2、ADC(AD変換装置)3、画像の調整を行うWB(White Balance:ホワイトバランス)処理やγ(ガンマ)処理を行う信号処理部4、RGBなどの色情報を持ったデータを輝度と色差の情報に変換するYC変換部5、ノイズ低減部6、およびラインメモリ12を有し、ノイズ低減部6はさらに、ハイパスフィルタ(HPF:High Pass Filter)を利用して画像信号の特徴を検出する特徴検出回路7、特徴検出回路7の結果から画像の定量的な特徴量を得る特徴算出回路8、特徴算出回路8で算出された特徴量を基にLPFのフィルタ係数(フィルタ特性)を決定するフィルタ係数決定回路9、ディレイライン10、および実際にノイズの低減を行うLPFを含むノイズ低減回路11からなる。
【0037】
画像撮像装置1で扱われる画像は、静止画または動画のどちらであってもよい。また、図1には、便宜上、この発明の特徴に関連する構成要素について示されている。したがって、ラインメモリ12に蓄積された画像信号はその後、その画像信号が静止画であるか動画であるかに基づいて、適宜対応する回路に送信され、そこで所定の信号処理が施される。
【0038】
ここで、特徴検出回路7は第1フィルタリング手段に対応し、特徴算出回路8は算出手段に対応し、フィルタ係数決定手段およびノイズ低減回路11は第2フィルタリング手段に対応する。
【0039】
特徴検出回路7は、上述のとおりHPFを有しており、HPFからの出力結果がしきい値以上であるかどうかを判定し、しきい値以下である場合には、画像情報の中の高周波成分(空間周波数における高周波成分)はノイズであるとみなす。より詳細には、特徴検出回路7は、帯域(空間周波数特性)の異なるHPFを複数有し、たとえば輝度Yといった画像信号をそれぞれのHPFに提供する。各HPFによるフィルタリングの結果はしきい値と比較され、その比較結果がさらに、特徴算出回路8で定量的な値に変換される。
【0040】
特徴算出回路8からの定量的な値は、次にフィルタ係数決定回路9に提供され、そこでLPFの仕様を決定するフィルタ係数が生成される。次に、ノイズ低減回路11において、ディレイライン10を介して提供された画像信号がLPFに提供されるが、ここで、フィルタ係数決定回路9により生成されたフィルタ係数が用いられる。
【0041】
ノイズ低減回路11は、LPFからのフィルタリング結果を画像信号として置き換えて出力し、これによってノイズが低減された画像信号がラインメモリ12等に提供される。上述した一連の処理は、撮像画像のすべての画素について行われ、1つの画素については、たとえば、周囲の7つの画素の画像信号が参照される。また、この1つの画素と、その周囲の7つの画素(画素群)として、たとえば、ノイズ低減対象となる1つの画素(ここでは、対象画素と称する)と同じ水平ライン(撮像画像における行)上の画素が選択される。また、この画素群として、対象画素と同じ垂直ライン(撮像画像における列)上の画素を選択することもできる。
【0042】
このようなフィルタリングは、画像信号の高周波成分に対してはノイズ低減をほとんど行わないか、またはまったく行わないので、その高周波成分を損なわず、画像のシャープさを保つことができる。一方、画像信号の低周波成分に関しては、LPFを強くかけるのでノイズを大幅に除去することができる。また、特徴算出回路8によって求められる定量的な値は段階的なものであり、高周波成分におけるノイズ低減と低周波成分のノイズ低減との間でなめらかに遷移するので、LPFの帯域の差による画像の急激な変化は生じない。
【0043】
次に、特徴検出回路7および特徴算出回路8の動作について詳細に説明する。ここで、図1にも示したように、画像信号は、YC変換部5によって輝度色差信号YCに変換され、特徴検出回路7には輝度信号Yが提供され、ディレイライン10には、輝度信号Yおよび色差信号Cの両方が提供される。この例では、特徴検出回路7による特徴検出処理を、輝度信号Yを用いて行うが、色差信号C(Cb、Cr)やRGBの各データを用いて検出するようにしてもよい。
【0044】
また、ここでは、特徴検出回路7および特徴算出回路8の動作をまとめて説明する。これらの間における処理の分担は任意に定めることが可能である。
【0045】
対象画素の処理に際しては、一次元方向(対象画素と同じ行、あるいは同じ列)に連続n画素の輝度データが保持される。今回、説明のためにn=8とする。そうすると、たとえば、図2に示すような形で連続した8画素のデータが定義されることになる。ここで、iは対象画素、すなわち、ノイズ低減回路11によって置き換えられる画素に関するインデックスである。対象画素の輝度データは、Y(i)と表され、これに隣接する輝度データ(以降、適宜画素データと称する)は、それぞれY(i−1)、Y(i+1)と表される。8画素分のデータは、Y(i−3)ないしY(i+4)として表される。
【0046】
次に、上記の輝度データY(i−3)ないしY(i+4)から、以下の各値が求められる。これらの値は、たとえば、特徴検出回路7内に配置された複数のHPFによってパラレルに求められ得る。
D2A(i)=Y(i+1)−Y(i) ・・・(式1)
D2B(i)=Y(i)−Y(i−1) ・・・(式2)
D3(i+n)=Y(i+n+1)−Y(i+n−1) ・・・(式3)
ただし、n=0、±1、±2、+3
σ3(i+n)={Y(i+n+1)+Y(i+n−1)}/2−Y(i+n) ・・・(式4)
ただし、n=0、±1、±2、+3
D4(i)=Y(i+1)−Y(i−2) ・・・(式5)
D5(i)=Y(i+2)−Y(i−2) ・・・(式6)
D6(i)=Y(i+3)−Y(i−2) ・・・(式7)
D7(i)=Y(i+3)−Y(i−3) ・・・(式8)
D8(i)=Y(i+4)−Y(i−3) ・・・(式9)
【0047】
上記の式を8つの画素データの位置関係に着目してまとめると、図3に示す表のようになる。D2A(i)等の上述した式1ないし式9の値のそれぞれに対応して8つの数字が示されており、その8つの数字は、それぞれ1つの画素データに対応する。数字の「1」は、対応する画素データが加算されることを意味し、数字の「−1」は、対応する画素データが減算されることを意味する(8つの数字は、画素データの係数と考えることができる)。たとえば、D2Aは、Y(i+1)に対応する箇所に数字の「1」が置かれ、Y(i)に対応する箇所に数字の「−1」が置かれ、その他の箇所には数字の「0」が置かれており、これによって、D2AがY(i+1)−Y(i)を意味するようになっている。数字の「1/2」は、画素データが2で除算されることを意味する。
【0048】
図3から分かるように、式1から式9によって求められる値は、対象画素の画素データY(i)を中心として、様々なバリエーションで、その周囲の画素データの関係(すなわち、画素データ間の差、傾き)を求めたものである。図3では、たとえば、対象画素の画素データと、対象画素と隣接する、または1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差、所定の画素の画素データと、その所定の画素の両隣にある画素の画素データの平均値との差、および対象画素以外の画素の画素データと、その対象画素以外の画素と1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差が求められる。これらの画素データの差のうち、すくなくとも1種類を求めるように構成することも可能であり、また、他のパターンの画素データ間の差分をとるようにもできる。
【0049】
また、図3に示す8つの数字は、HPFにおける8タップフィルタ(1次元フィルタ)係数に対応する。
【0050】
次に、画像信号の平坦さF(ここでは、随時、「平坦度F」と称する)を求める手順について説明する。
(手順1)
最初に、F=0とする。
ここで、Fは、HPFによる結果をLPFのフィルタ係数に反映するためのパラメータとして導入しており、画像信号の平坦さ、高周波成分を持っていない度合いを表す指標である。Fは、その値が大きいほど画像に含まれる高周波成分が少なく、小さいほど高周波成分が多いことを示す。
【0051】
(手順2)
(|D3(i+n)|<DTH)かつ(|σ3(i+n)|<σTH)である場合、F=F+1とする。
そうでない場合、F=Fとする。
ただし、n=0、±1、±2、+3である。
手順2は、LPFによって値が置き換えられる対象画素の両隣の画素について調べている(図3参照)。これらの画素を調べることによって、平坦さの指標Fが、隣接画素の間で急激に変化することを防止する。Fの急激な変化を防ぐことは、最終的に画像信号に対してかけるLPFの帯域制限を急激に変化させないことにつながるので、LPF後の不自然な信号の変化つまりノイズを追加してしまうような現象を排除できる。
【0052】
また、手順2では、D3(i+n)とσ3(i+n)がそれぞれ6個あるので、上述の判断を6回行うことになる。ここで、DTHは、D3(i+n)に関するしきい値、σTHは、σ3(i+n)に関するしきい値である。
【0053】
(手順3)
(|D2A(i)|>DTH)または(|D2B(i)|>DTH)である場合、F=F−1とする。
そうでない場合、F=F+1とする。
手順3は、対象画素がもっとも高い高周波、サンプリング周波数の情報を含んでいないかを判別している。すなわち、対象画素の隣の画素との輝度データの差が、所定のしきい値を越えていないかを判定する。対象画素が鋭いエッジの場合、手順2による周辺画素の判定で平坦度が高くなっていると、エッジが鈍るので、このことを防止するために行う処理である。
【0054】
(手順4)
(|D4(i)|<DTH)かつ(D3(i)|<DTH)かつ((|D2A(i)|<DTH)または(|D2B(i)|<DTH))である場合、F=F+1とする。
そうでない場合、F=Fとする。
【0055】
手順4以降は、HPFの通過帯域を下げていくことで画像がどの程度の高周波まで持っているのかを簡単に調べている。
【0056】
(手順5)
(|D5(i)|<DTH)かつ(|D4(i)|<DTH)かつ(|D3(i)|<DTH)かつ((|D2A(i)|<DTH)または(|D2B(i)|<DTH))である場合、F=F+1とする。
そうでない場合、F=Fとする。
【0057】
(手順6)
(|D6(i)|<DTH)かつ(|D5(i)|<DTH)かつ(|D4(i)|<DTH)かつ(|D3(i)|<DTH)かつ((|D2A(i)|<DTH)または(|D2B(i)|<DTH))である場合、F=F+1とする。
そうでない場合、F=Fとする。
【0058】
(手順7)
(|D7(i)|<DTH)かつ(|D6(i)|<DTH)かつ(|D5(i)|<DTH)かつ(|D4(i)|<DTH)かつ(|D3(i)|<DTH)かつ((|D2A(i)|<DTH)または(|D2B(i)|<DTH))である場合、F=F+1とする。
そうでない場合、F=Fとする。
【0059】
(手順8)
(|D8(i)|<DTH)かつ(|D7(i)|<DTH)かつ(|D6(i)|<DTH)かつ(|D5(i)|<DTH)かつ(|D4(i)|<DTH)かつ(|D3(i)|<DTH)かつ((|D2A(i)|<DTH)または(|D2B(i)|<DTH))である場合、F=F+1とする。
そうでない場合、F=Fとする。
【0060】
ここで、式1から式9の示す周波数特性を図4ないし図6に示す。これらの図を参照すると、手順4以降がHPFの帯域を下げていることがわかる。図4A、図4B、図4C、図5A、図5B、図5C、図6A、図6B、および図6Cのそれぞれは、周波数空間上で与えた式の特性を表現するグラフであり、すべてのグラフにおいて、縦軸がdB(デシベル)、横軸が周波数であり、さらに、グラフの右端は、サンプリング周波数(fs:Sampling Frequency)の1/2となっている。
【0061】
また、図4Aは、式1(D2A(i)=Y(i+1)−Y(i))に対応する特性を表したグラフであり、図4Bは、式3において、nが0の場合(D3(i)=Y(i+1)−Y(i−1))に対応する特性を表したグラフであり、図4Cは、式4において、nが0の場合(σ3(i)={Y(i+1)+Y(i−1)}/2−Y(i))に対応する特性を表したグラフである。
【0062】
さらに、図5Aは、式5(D4(i)=Y(i+1)−Y(i−2))に対応する特性を表したグラフであり、図5Bは、式6(D5(i)=Y(i+2)−Y(i−2))に対応する特性を表したグラフであり、図5Cは、式7(D6(i)=Y(i+3)−Y(i−2))に対応する特性を表したグラフである。
【0063】
またさらに、図6Aは、式8(D7(i)=Y(i+3)−Y(i−3))に対応する特性を表したグラフであり、図6Bは、式9(D8(i)=Y(i+4)−Y(i−3))に対応する特性を表したグラフであり、図6Cは、図4Aから図6Bまでのグラフに示されたすべての曲線を同時に示したものである。
【0064】
図4ないし図6は、上述のように、周波数空間上の特性を表現しているが、同様のものを実空間上で表現すると図7に示す曲線20のようになる。図7のグラフの縦軸は輝度レベル、横軸は各画素の位置(距離)を示すものである。これは画像が平坦であるかどうかを探っているのと同等の意味を持っている。図の直線21は、曲線20上の所定の2地点を結んでおり、これらの2地点の間で値の変化が大きくないため、比較的傾斜のない直線となっており、低周波の(すなわち平坦な)画像であるということができる。一方、直線21は、曲線20上の別の2地点を結んでおり、これらの2地点間では値の差が大きいために、直線の傾きは非常に大きなものとなっており、高周波の(すなわち、平坦でない)画像であるということができる。
【0065】
ここで、手順2ないし手順8のそれぞれは、他の手順の終了を待つ必要はないので、どのような順序で実行しても良く、さらには、各手順をパラレルで実行することも可能である。すべての手順の終了後、各手順で求められたFを足し合わせることによって最終的な平坦度Fが求められる。このような手順で求められた平坦度Fは、−1から12の14段階の値をとることになる。
【0066】
なお、この例では、1つの対象画素と、対象画素の周囲7画素の計8画素の画素データを用いて平坦度Fを求めているが、これ以外の数の画素を用いることも可能である。この画素数を8より大きな整数mとすると、上記式3、式4、および手順2における「n」は、以下のように表される。
n=−(m/2−2)、−(m/2−3)、・・・、m/2−1 ・・・(式10)
ただし、mは偶数である。
n=−((m−1)/2−1)、−((m−1)/2−2)、・・・、(m−1)/2 ・・・(式11)
ただし、mは奇数である。
【0067】
また、mが8より大きいために、式1ないし式9に加えて、以下のような新たな式が必要となる。
Dm(i)=Y(i+(m−1)/2)−Y(i−(m−1)/2) ・・・(式12)
ただし、mは奇数
Dm(ai)=Y(i+m/2)−Y(i−m/2) ・・・(式13)
ただし、mは偶数
【0068】
さらに、手順8以降の新たな手順mは、以下のように定義される。
(手順m)
(|Dn(i)|<DTH)かつ(|Dn−1(i)|<DTH)かつ、・・・かつ((|D2A(i)|<DTH)または(|D2B(i)|<DTH))である場合、F=F+1とする。
そうでない場合、F=Fとする。
【0069】
このような手順を実行した結果、特徴算出回路8から平坦度Fが出力される。Fは、前述したように、その値が大きいほど画像に含まれる高周波成分が少なく、小さいほど高周波成分が多いことを示す。このFは、各手順における判定の結果を、2値のデータ(ここでは、所定の条件を満たす場合「1」(手順3のみ「−1」とし、満たさない場合「0」としている)に対応付け、最終的にこれらの2値のデータに対して論理演算を行う(ここでは、足し算)ことによって求められている。ただし、2値のデータとして他のものを用いてもよいし、判定の条件等によっては、単なる足し算ではない他の論理演算を採用することも可能である。
【0070】
次に、フィルタ係数決定回路9の処理内容について説明する。フィルタ係数決定回路9は、特徴算出回路8から提供された平坦度Fを用いて、ノイズ低減回路11のLPFの係数を生成する。ノイズ低減回路11のLPFは、平坦度Fの値の増加または減少に応じて、LPFの強弱が変更されるように構成されていればどのようなものでも可能である。しかしながら、平坦度Fの値の段階(とりうる値の数)よりもLPFの帯域の段数が少ない場合は最良の結果を得ることが出来ないので、LPFの段数が、平坦度Fのとりうる値の数より大きくなるように回路を設計すべきである。
【0071】
この発明の一実施形態における平坦度Fは、画像信号の高周波成分の量の少なさ、平坦さを表す指標であり、Fの値が大きいほど画像が平坦であることを示す。画像が平坦であるということは、画像のノイズが目立ち易いと考えられるので、この場合はLPFをきつくかける。Fの値が小さい場合、画像は高周波な画像であるとみなして、LPFを出来るだけ弱く、またはまったくかけないように処理する必要がある。つまり、LPFについては、平坦度Fが大きい場合(すなわち、対象画素を含む画素群の画像について起伏が小さいことを意味する場合)は、カットオフ周波数の下限が低域に設定され、平坦度Fが小さい場合(すなわち、対象画素を含む画素群の画像について起伏が大きいことを意味する場合)は、カットオフ周波数の下限が高域に設定されるようにフィルタ係数が決定される。
【0072】
ここで、ノイズ低減回路11のLPFの一例を示す。下記の式14は、一般的に用いられるSync関数であり、この例では、8個の画素データを想定しているので、離散な変数nは−3ないし4となる。また、帯域の制限は離散的な変数bを用い、bの値を0ないし255までとしている。
S(n)=sin{π×256×n×(256−b)/(256)2}/{π×256×n×(256−b)/(256)2} ・・・(式14)
ただし、n=0、±1、±2、±3、+4とする。
【0073】
LPFによって実際にフィルタリングを行う際は、リンギングなどを防止するため窓関数が必要となり、この例では、ハミング窓関数を用いてリンギングを抑えることにする、ここで、窓関数は、下記の式15で与えられる。
W(n)=0.54+0.46×cos(2×π×n/(8−1)) ・・・(式15)
【0074】
また、フィルタ係数a(n)は、以下の式16、式17によって求められる。式17では、フィルタ係数の規格化が行われている。
A(n)=S(n)×W(n) ・・・(式16)
a(n)=A(n)/(Σn=-3〜4A(n)) ・・・(式17)
【0075】
上記によってフィルタ係数が得られるが、このときの変数bを、平坦度Fの関数とすること(すなわち、b=B(F))で、フィルタ係数と変数Fの関係をとることができる。関数Bとしては、さまざまなパターンが考えられるが、基本的には、平坦度Fの値の増加に伴って、bの値が増加する関数であり、たとえば、B(−1)=0、B(0)=20、B(1)=40、B(2)=60、B(3)=80、B(4)=100、B(5)=120、B(6)=140、B(7)=160、B(8)=180、B(9)=200、B(10)=220、B(11)=240、B(12)=255といったように、平坦度Fの各値に対応する所定の固定値とする方法がある。その他、平坦度Fの値に比例させて、値bを設定するようにしてもよい。
【0076】
図8には、上記固定値を用いた場合のbの値と、それぞれの周波数特性が示されており、平坦度Fの増加と共にLPFの通過帯域が下がって高周波成分を抑制していることがわかる。図に示すグラフは、縦軸がdB(デシベル(20log|H(f)|))であり、横軸が空間周波数/サンプリング周波数(f/fs)である。また、図に示すように、曲線31がb=0の場合の周波数特性であり、以降同様に、曲線32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44が、それぞれb=20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、255の場合の周波数特性に対応する。bの値は、たとえば、回路内のROMに記憶され、または算出回路、CPU、マイコン等によって随時計算される。
【0077】
ノイズ低減回路11は、上述のように求められたフィルタ係数を元に、ディレイライン10を介して提供された画像信号に対してLPFをかける。ディレイライン10は、画像信号の到着時間を、特徴検出回路7、特徴算出回路8、およびフィルタ係数決定回路9による各処理を通して対応するフィルタ係数が与えられるタイミングと合わせるために設けられている。
【0078】
こうして、画像信号に対してLPF処理が施されることにより、ノイズが低減される。なお、これまで説明してきたノイズ除去方法は、1次元画素データに対するものであり、2次元画素データからノイズを除去する場合は、水平方向の画素を処理するための回路と、これと同様の、垂直方向の画素を処理する回路を有し、垂直方向に対して必要なライン数の情報を取得するラインメモリを別途用意する必要がある。
【0079】
この発明における一連のノイズ低減処理は、水平ライン上の画素群と垂直ライン上の画素群の両方に施すよう構成することができる。たとえば、最初に水平ライン上の画素群についてすべてのノイズ低減処理を行った後、ノイズ低減処理のされた画素を一旦ディレイライン(フレームメモリ)に記憶し、次に、その記憶された画素群(画像信号)を垂直ラインの方向に読み出し、垂直ライン上の画素群についてすべてのノイズ低減処理を行うように構成される。
【0080】
また、この発明において、平坦度Fに対応して得られるフィルタ係数を有するLPFをあらかじめ備えておき(たとえば、上記の例では12個のLPFを用意する)、それぞれのLPFで対象画素にフィルタリング処理を施し、最終的に、求められた平坦度Fに対応するLPFの出力をノイズ低減処理が施された画素として扱うように構成可能である。勿論、異なる特性を有する複数のLPFを、平坦度Fに応じて選択的に用いるようにしてもよい。一方、1つのLPFを備え、平坦度Fに基づいて得られたフィルタ係数をその都度与えて、対象画素にフィルタリング処理を施すように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の一実施形態に係る映像撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】ノイズを除去する対象となる画素と、特徴検出を行うために用いる周辺画素との位置関係の例を示す略線図である。
【図3】特徴検出を行うための式と、各式で輝度データを使用する画素との関係の一例をまとめた略線図である。
【図4】特徴検出を行うために用いる式が示す周波数特性を表すグラフである。
【図5】特徴検出を行うために用いる式が示す周波数特性を表すグラフである。
【図6】特徴検出を行うために用いる式が示す周波数特性を表すグラフである。
【図7】図4ないし図6に示したグラフと同様の内容を、実空間上で表現したグラフである。
【図8】フィルタ係数ごとの周波数特性を表したグラフである。
【符号の説明】
【0082】
1・・・映像撮像装置、2・・・イメージセンサ、3・・・ADC、4・・・信号処理部、5・・・YC変換部、6・・・ノイズ低減部、7・・・特徴検出回路、8・・・特徴算出回路、9・・・フィルタ係数決定回路、10・・・ディレイライン、11・・・ノイズ低減回路、12・・・ラインメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止画または動画の1画面を構成するディジタル画像信号内の、対象画素および前記対象画素の近傍の画素からなる画素群の画素データについて、それぞれ異なる周波数特性を有する複数のハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理を実行する第1フィルタリング手段と、 前記ハイパスフィルタの出力と所定のしきい値とをそれぞれ比較し、その比較結果に基づいて、前記対象画素を中心とする前記画素群の画像の起伏の度合いを表す平坦度を算出する算出手段と、 前記平坦度に基づいて、適応的に前記対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行する第2フィルタリング手段とを有することを特徴とする画像撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像撮像装置において、 前記第2フィルタリング手段は、前記平坦度に基づいてフィルタ特性を決定し、前記フィルタ特性を有したローパスフィルタにより、前記ローパスフィルタ処理を実行することを特徴とする画像撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像撮像装置において、 前記第2フィルタリング手段は、それぞれ異なるフィルタ特性を有する複数のローパスフィルタを有し、 前記異なるフィルタ特性を有する複数のローパスフィルタを前記平坦度に応じて選択的に用いて、前記対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行することを特徴とする画像撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像撮像装置において、 前記画素群が、前記ディジタル画像信号内の水平方向または垂直方向の連続する複数の画素から構成されることを特徴とする画像撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像撮像装置において、 前記画素データは、輝度信号、色差信号、またはRGB信号のうちいずれかの信号のデータであることを特徴とする画像撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像撮像装置において、 複数の前記異なる周波数特性は、前記画素群に属する複数の画素間で画素データの差の検出を行うように設定されることを特徴とする画像撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像撮像装置において、 前記画素データの差は、 前記対象画素の画素データと、前記対象画素と隣接する、または1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差、 所定の画素の画素データと、前記所定の画素の両隣にある画素の画素データの平均値との差、および、 前記対象画素以外の画素の画素データと、前記対象画素以外の画素と1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差のうち、すくなくとも1つを含むことを特徴とする画像撮像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像撮像装置において、 前記算出手段は、前記ハイパスフィルタの出力と所定のしきい値との比較結果を、それぞれ2値データで表し、前記2値データに対して所定の論理演算を行うことによって、前記平坦度を算出することを特徴とする画像撮像装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像撮像装置において、 前記第2フィルタリング手段は、 前記平坦度が、前記画素群の画像について起伏が小さいことを示す場合は、より低いカットオフ周波数で前記ローパスフィルタ処理を実行し、 前記平坦度が、前記画素群の画像について起伏が大きいことを示す場合は、より高いカットオフ周波数で前記ローパスフィルタ処理を実行することを特徴とする画像撮像装置。
【請求項10】
静止画または動画の1画面を構成するディジタル画像信号内の、対象画素および前記対象画素の近傍の画素からなる画素群の画素データについて、それぞれ異なる周波数特性を有する複数のハイパスフィルタによりハイパスフィルタ処理を実行する第1フィルタリングステップと、 前記ハイパスフィルタの出力と所定のしきい値とをそれぞれ比較し、その比較結果に基づいて、前記対象画素を中心とする前記画素群の画像の起伏の度合いを表す平坦度を算出する算出ステップと、 前記平坦度に基づいて、適応的に前記対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行する第2フィルタリングステップとを有することを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項11】
請求項10に記載のノイズ除去方法において、 前記第2フィルタリングステップは、前記平坦度に基づいてフィルタ特性を決定し、前記フィルタ特性を有したローパスフィルタにより、前記ローパスフィルタ処理を実行することを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項12】
請求項10に記載のノイズ除去方法において、 前記第2フィルタリングステップは、それぞれ異なるフィルタ特性を有する複数のローパスフィルタを前記平坦度に応じて選択的に用いて、前記対象画素に対するローパスフィルタ処理を実行することを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項13】
請求項10に記載のノイズ除去方法において、 前記画素群が、前記ディジタル画像信号内の水平方向または垂直方向の連続する複数の画素から構成されることを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項14】
請求項10に記載のノイズ除去方法において、 前記画素データは、輝度信号、色差信号、またはRGB信号のうちいずれかの信号のデータであることを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項15】
請求項10に記載のノイズ除去方法において、 複数の前記異なる周波数特性は、前記画素群に属する複数の画素間で画素データの差の検出を行うように設定されることを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項16】
請求項15に記載のノイズ除去方法において、 前記画素データの差は、 前記対象画素の画素データと、前記対象画素と隣接する、または1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差、 所定の画素の画素データと、前記所定の画素の両隣にある画素の画素データの平均値との差、および、 前記対象画素以外の画素の画素データと、前記対象画素以外の画素と1画素以上の間隔を有する画素の画素データとの差のうち、すくなくとも1つを含むことを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項17】
請求項10に記載のノイズ除去方法において、 前記算出ステップは、前記第1フィルタリングステップによる出力と所定のしきい値との比較結果を、それぞれ2値データで表し、前記2値データに対して所定の論理演算を行うことによって、前記平坦度を算出することを特徴とするノイズ除去方法。
【請求項18】
請求項10に記載のノイズ除去方法において、 前記第2フィルタリングステップは、 前記平坦度が、前記画素群の画像について起伏が小さいことを示す場合は、より低いカットオフ周波数で前記ローパスフィルタ処理を実行し、 前記平坦度が、前記画素群の画像について起伏が大きいことを示す場合は、より高いカットオフ周波数で前記ローパスフィルタ処理を実行することを特徴とするノイズ除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−14164(P2006−14164A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191347(P2004−191347)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】