説明

画像比較検証システム

【課題】 本発明は、コンピュータ、携帯電話等の携帯情報端末、その他の電子機器のディスプレイ上に表示される複数の画像等において、各々の画像から形状、色及大きさの判別やその位置関係を把握するための比較検証を、精度よく、より確実に、簡易操作で行うことができるシステムを提供する。
【解決手段】 ディスプレイ上に表示された2枚の画像を比較検証するにあたり、各々の形状、色及び大きさの判別やその位置関係を把握するために、2枚の画像を重ねて表示し、手前側に表示された画像の一部領域を任意の大きさで透明とし、その透明部分から奥側に表示された画像が視認でき、前記透明領域を任意に移動可能とすることで、当該比較対象画像の比較検証が容易に可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイ上に画面表示を行う、コンピュータ、携帯電話等の携帯情報端末、その他の電子機器上での表示画像及び画面の比較検証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータ等でディスプレイに表示されるアプリケーション・プログラムは、一般的にユーザー・インターフェイスとして個別のフォームを使用している。このフォームの形状は、ディスプレイの形状に合わせ、矩形であることが一般的であるが、その大きさや位置は任意に可変可能である。ここで、複数のアプリケーションを起動している場合、又は複数の画像ファイルを表示している場合には、各々のフォームが画面上に重ねて表示され、作業に応じて必要なフォームを選択し、又は、フォームの大きさを変化させ、並べて表示する等により行っている。
【0003】
一方、医療の現場では、例えばMRIで撮影されたCT画像をディスプレイに表示して診断を行う場合、複数の画像を1枚1枚確認することで行い、必要に応じては複数枚の画像を並べて表示し、異常の有無等を比較し検証を行っている。この方法は医療の現場に限らず、様々な場面でディスプレイに表示された画像を確認する、或いは画像を並べて比較することが行われている。例えば2枚の画像を比較検証するにあたり、画像を縦又は横に並べてディスプレイ上に表示した場合、表示された2枚の画像を見比べることで、各々の画像の特徴又は特異箇所の形状、色及び大きさの違い等を判別することになるが、漠然と違いを見出すことは可能であるが、確実に精度よく形状、色及大きさの判別やその位置関係を把握することは困難である。図9は従来の画像比較方法をイメージとして表したものである。
【0004】
特開2008−197736号には、画像の中で観察したい領域を任意の表示倍率で改変して観察できる画像処理に関する技術が記載されているが、複数の画像を比較することは困難と考えられ、本発明の技術的手段及びその目的が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−197736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の課題を解決するために本発明は、コンピュータ、携帯電話等の携帯情報端末、その他の電子機器のディスプレイ上に表示される複数の画像及びアプリケーション・プログラムで表示される複数のフォーム画面において、各々の画像から形状、色及大きさの判別やその位置関係を把握するための比較検証を、精度よく、より確実に、簡易操作で行うことができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ディスプレイ上に表示された2枚の画像を比較検証するにあたり、各々の形状、色及び大きさの判別やその位置関係を把握するために、2枚の画像を重ねて表示し、手前側に表示された画像の一部領域を任意の大きさで透明とし、その透明部分から奥側に表示された画像が視認でき、前記透明領域を任意に移動可能とすることで、当該比較対象画像の比較検証が容易に可能となる。
【0008】
ディスプレイ上に表示されたアプリケーション・プログラムのフォームで表示された複数枚の画像の比較検証において、透明領域を設定する対象フォームの識別情報を取得する手段と、前記フォームの表示領域情報の取得手段とにより、透明領域を設定する対象フォームの基本情報を入手し、透明領域設定手段と透明領域以外の表示領域作成手段とを、透明領域設定手段により結合して、対象フォームへ設定し、動的表示領域の割り当て手段により、透明領域を任意に移動可能であることを特徴とする。加えて、領域反転手段により、前述の領域を反転表示とする。すなわち前記透明領域以外を透明領域とし、透明領域に画像を表示させるよう反転機能を持つことも特徴とする。これにより、比較検証の方法を検証対象の画像により、比較し易い方法を選択可能となる。
【0009】
また、透明領域形状の設定及び変更手段により、透明領域の形状を予め用意した形状に変更することが可能であり、透明領域サイズの設定及び変更手段により、透明領域の大きさを任意に変更することを可能とする。比較検証する対象によっては、小さな透明領域が必要であったり、角のない透明領域が必要であったりすることもあり、用途に応じた形状及び大きさの設定を可能にする。加えて、領域設定保持手段により、透明領域を設定したときのフォームの設定を保持し、背面のフォームを手前に表示した際に、先に設定した透明領域が背面であったフォームに反映されるよう同期させることも可能とする。これにより、フォームの切り替えにより、都度、透明領域作成に必要な設定作業を省くことができ、比較検証の作業効率が格段に向上する。
【0010】
画像を比較検証する場合、対象画像は同じ様な被写体の画像を比較することが多く、この2枚の画像を重ねて手前の画像に透明領域を設定した場合、透明領域の位置が視認しにくくなることから、透明領域の枠表示及び解除手段により、必要に応じて任意に枠を表示できることで、透明領域の位置を認識することが可能である。透明領域の位置が認識でき、枠が不要のときは解除可能とする。
【0011】
比較検証する画像に表示される被写体の位置が違う場合、重ねた2枚または複数枚の画像に表示される被写体に位置ズレが生じてしまい、比較検証が困難となる。この場合画像位置合わせ手段により、画像に表示される被写体の位置を合わせることが可能な機能を設ける。
【0012】
比較検証する際の操作は、コンピュータの場合、主にマウスやキーボードとなるが、マウスのような操作性を持たせた、専用のコントローラーとコントローラー作動手段を設け、そのコントローラーをコンピュータ等の機器に接続することで、専用機器として利用することも可能とする。コンピュータにこのコントローラーを接続した場合、既存のマウスはそのまま利用できるものとし、通常のコンピュータの操作にはなんら支障を起こさないものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、画像の比較検証においては、比較する画像の相違点を、精度よく、より正確に、簡易操作で比較検証が実施でき、異常の検出精度と効率が向上する。また、透過領域の形状や大きさを任意に変更可能であるため、比較対象の画像により、比較しすい形状、大きさで検証は可能となる。
特に医療の現場における、診断用写真の比較や生産現場での不良品解析、建物の赤外線写真による異常検出等、比較解析作業が行われる場面での利用が可能となる。
【0014】
領域反転手段を用いることで、画像領域を移動しながら比較検証が可能となり、比較する対象画像の状況に合わせ、比較方法を選択することが可能となる。また、領域設定保持手段を用いることで、フォームの切り替え時に都度行う、透明領域の設定作業を省くことができ、比較検証作業の効率が格段に向上する。
【0015】
専用コントローラーを利用することで、専用機器として利用することもでき、コンピュータと並行して利用することも可能である。
【0016】
対象となるのは画像だけではなく、複数のアプリケーション・プログラムを起動している場合など、奥側に表示されているフォームの表示内容を、手前に表示されているフォームの透過領域から確認することも可能となる。透過領域は起動している全てのフォームに設定が可能であるため、透過領域の位置や大きさを可変して、任意のフォームの表示内容を確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】透明領域設定のアルゴリズム
【図2】本発明の一例の透明領域のイメージ
【図3】透明領域移動のイメージ
【図4】透明領域形状の一例のイメージ
【図5】透明領域の枠表示と解除のイメージ
【図6】画像の被写体位置合わせのイメージ
【図7】フォームを下から透明領域とするイメージ
【図8】フォームを横から透明領域とするイメージ
【図9】従来の画像比較方法
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の構成について、図面を引用して説明する。
【実施例1】
【0019】
透明領域を設定する対象フォームの、アプリケーション・プログラムから識別情報を入手し、当該プログラムの構成を把握する。次に前記アプリケーション・プログラムから表示領域情報を入手し、表示領域の位置を把握する。透明領域の設定手段により、透明領域の大きさ及び形状を決定し、透明領域を設定する位置を指定する。その設定値を受けて、透明領域以外の表示領域作成手段は、画面に表示すべき領域を指定する。これにより、透明領域の大きさ及び形状、作成する位置を決定する。
【0020】
動的表示領域の割り当て手段は、透明領域と透明領域以外の設定値を、把握すると共に、透明領域を移動させる時に、透明領域と透明領域以外の設定値を管理する。対象フォームへの透明領域設定手段は、前述の指定及び設定された値により、対象フォームへ透明領域を設定するにあたり、必要なAPI関数を使用し、それら関数を結合して対象フォームへ設定する。これにより、透明領域がディスプレイに表示された対象フォームの一部に作成される。
【0021】
図1は、本発明の透明領域設定のアルゴリズムであり、図2は、本発明の透明領域のイメージを表したもので、一例として縦長の矩形を透明領域としている。図面に使用しているイメージ画像は、わかりやすさを考慮して単純な図形として円を用いている。手前のフォームに表示されている円は実線で表し、背面のフォームに表示されている円は、手前の画像で隠れている状態を示すために、破線で表している。従って、透明領域には背面の円が実線で表され、手前のフォームの円は表示されない。
図3は、透明領域移動のイメージであり、この例では透明領域を右から左に移動した場合を表したものである。
【実施例2】
【0022】
透明領域の形状及び大きさは、透明領域の設定手段により、変更することが可能である。使用する形状に必要なAPI関数と、大きさを変えるために必要なAPI関数を予め透明領域の設定手段に組み込むことで行う。図4は、透明領域形状の一例イメージを表したもので、透明領域の形状を正方形、円、三角形にした場合を表している。比較検証する対象によっては、小さな透明領域が必要であったり、角のない透明領域が必要であったりすることもあり、用途に応じた形状及び大きさの設定が可能である。
【0023】
透明領域の外枠を、例えば太い線又は明るい色等で表示することで、透明領域の位置が判り易くなる。枠が不要のときは解除して非表示とすることが可能とする。透明領域の枠表示及び解除手段として、透明領域の設定手段に連動するAPI関数を予め設定することで行う。 画像を比較検証する場合、対象画像は同じような被写体の画像を比較することが多く、この2枚の画像を重ねて手前の画像に透明領域を設定した場合、透明領域の位置が視認しにくくなるが、この機能を用いることで解決される。
【0024】
比較検証する画像に表示される被写体の位置が違う場合、画像位置合わせ手段により複数枚の画像に表示される被写体の位置を合わせることが可能である。表示領域情報の取得手段で入手した画像データを利用し、2つのデータを比較して整合位置を割り出し、片側の画像の位置を調整することで行う。簡易操作で位置合わせが可能で、検証効率が大幅に向上する。図6は、画像の被写体位置合わせのイメージである。
【実施例3】
【0025】
実施例1の透明領域の設定手段と、透明領域以外の表示領域作成手段の表示設定を変換し、透明領域とそれ以外を反転表示とする、すなわち前記透明領域以外を透明領域とし、透明領域に画像を表示させる機能を持たせる。透明領域の設定手段と、透明領域以外の表示領域作成手段を、領域反転手段によりそれらの設定値を入れ替える。これにより、比較検証の方法を検証対象の画像により、比較し易い方法を選択可能となる。
【実施例4】
【0026】
領域設定保持手段により、透明領域を設定したフォームの最新設定値を保持し、背面のフォームを手前に表示した際に、対象フォームへの透明領域設定手段が、設定した透明領域を背面であったフォームに反映するよう同期させる。これにより、フォームの切り替えにより、都度透明領域の設定作業を省くことができ、比較検証の作業効率が格段に向上する。
【実施例5】
【0027】
透明領域の設定において、実施例1及び2は、対象とするフォーム内の一部に、ある形状の透明領域を設定する手段であるが、フォームそのものを例えば下から、又は横から透明領域にしていくことも可能である。透明領域の設定手段において、フォーム全体を指定し、動的表示領域の割り当て手段と連動させることで行う。画像全体を比較検証する場合に適している。図7は、フォームを下から透明領域とするイメージであり、図8は、フォームを横から透明領域とするイメージである。
【実施例6】
【0028】
比較検証する際の操作は、コンピュータの場合主にマウスやキーボードとなるが、マウスのような操作性を持たせた、専用のコントローラーとコントローラー作動手段を設け、そのコントローラーをコンピュータ等の機器に接続することで、専用機器として利用可能になる。例えば、ジョイステックのようなコントローラーと、その制御を行うプログラムを設けたコントローラー作動手段と、動的表示領域の割り当て手段とをコンバートし、比較検証時の操作をコントローラーでも可能にする。コンピュータにこのコントローラーを接続した場合は、既存のマウスやキーボードがそのまま利用でき、通常のコンピュータの操作に支障のない設定にすることで、半専用機器として比較検証を行いながら、コンピュータはなんら弊害なく利用でき、比較検証時の操作もコントローラー若しくはマウス・キーボード双方利用可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の表示画像及び画面の比較検証システムは、医療の現場における、診断用写真の比較や生産現場での不良品解析、建物の赤外線写真による異常検出等、比較解析作業が行われる場面での利用が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 ディスプレイ
2 比較画像1
3 比較画像2
4 比較画像3
5 比較画像4
6 枠
7 透明領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ上に表示されたアプリケーション・プログラムのフォームで表示された複数枚の画像の比較検証において、透明領域を設定する対象フォームの識別情報を取得する手段と、前記フォームの表示領域情報の取得手段とにより、透明領域を設定する対象フォームの基本情報を入手し、透明領域設定手段と透明領域以外の表示領域作成手段とを、透明領域設定手段により結合して、対象フォームへ設定し、動的表示領域の割り当て手段により、透明領域を任意に移動可能であることを特徴とする画像比較検証システム。
【請求項2】
透明領域形状の設定及び変更手段と、透明領域サイズの設定及び変更手段により、透明領域の形状及び大きさを、任意に変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像比較検証システム。
【請求項3】
画像位置合わせ手段により、複数枚の画像に表示される被写体の位置を合わせることが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像比較検証システム。
【請求項4】
透明領域の枠表示及び解除手段により、透明領域枠の表示及び非表示とすることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の画像比較検証システム。
【請求項5】
領域反転手段により、透明領域の設定手段と、透明領域以外の表示領域作成手段の設定値を入れ替え、透明領域とそれ以外を反転表示とすることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の画像比較検証システム。
【請求項6】
領域設定保持手段により、透明領域を設定したフォームの最新設定値を保持し、背面のフォームを手前に表示した際に、対象フォームへの透明領域設定手段が、設定した透明領域を背面であったフォームに反映するよう同期させたことを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の画像比較検証システム。
【請求項7】
コントローラーとコントローラー作動手段を設け、そのコントローラーをコンピュータ機器に接続することで、比較検証時の操作をコントローラーで行うことを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載の画像比較検証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−233122(P2011−233122A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113642(P2010−113642)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(510136345)株式会社EARTH (2)
【出願人】(503174626)有限会社ブリーズ (3)
【Fターム(参考)】