説明

画像生成装置、画像生成方法、及び、プログラム

【課題】ノイズおよび画像再構成時に用いた速度と実際の伝播速度との不一致による画質劣化が抑制された、被検体内部の情報を表す画像を再構成することのできる画像生成装置及び画像生成方法を提供する。
【解決手段】本発明の画像生成装置は、被検体内の一部分に注目領域を設定し、各検出素子から注目領域までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行し、複数の仮定の速度のうち、強度のばらつきが最小となる速度を伝播速度に決定する決定手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内部の情報を表す画像を再構成する画像生成装置、画像生成方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光源(レーザーなど)からの光を生体などの被検体に照射し、該被検体の内部の情報を可視化する画像化装置の研究が医療分野で積極的に進められている。このような光による可視化技術の一つとして、Photoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が
ある。光音響トモグラフィー装置では、被検体内を伝播し、拡散した光のエネルギーを吸収した生体組織から発生される音響波(典型的に超音波である)を、被検体を取り囲む複数の個所で検出する。そして、得られた信号を数学的に解析処理し、被検体内部の光学特性値、特に吸収係数分布に関連した情報を可視化する。近年、この光音響トモグラフィー装置を用いて、小動物の血管像をイメージングする前臨床研究や、この原理を乳がんなどの診断に応用する臨床研究が積極的に進められている。
【0003】
このような光音響トモグラフィー装置や、従来から医療分野で使われている超音波診断装置(生体内で反射した音響波を検出し、画像を再構成する装置)では、通常、被検体の平均的な音速(被検体内部における音響波の伝播速度)を用いて、画像が再構成される。一般的に、伝播速度は経験的な値や文献値などにより決定される。しかしながら、伝播速度には個体差があり、また、伝播速度は被検体の保持方法などにより変化する。そのため、画像再構成時に用いた速度と実際の伝播速度が離れていた場合、画像の解像度が大きく劣化する課題があった。
【0004】
このような課題の解決方法は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の技術では、各画素(ボクセルまたはピクセル)の輝度値又はコントラストが最大になるように伝播速度が決定される。それにより、画像再構成時に用いた速度と実際の伝播速度との不一致による画質劣化を抑制している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、画素ごとの輝度値又はコントラストを最大にするため、バックグラウンドノイズの輝度値やコントラストも上昇させてしまう。さらに、検出信号にノイズが含まれている場合には、ノイズ成分と正常な信号成分の合計値が最大となるように伝播速度が決定されるため、正確な伝播速度を得ることができず、画像にボケが表れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−166925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、ノイズおよび画像再構成時に用いた速度と実際の伝播速度との不一致による画質劣化が抑制された、被検体内部の情報を表す画像を再構成することのできる画像生成装置及び画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像生成装置は、被検体内部から伝播してくる音響波を検出して、検出信号を出力する複数の検出素子を有する探触子と、被検体内部における音響波の伝播速度を決定
する決定手段と、決定手段で決定された伝播速度と、複数の検出素子から得られる複数の検出信号とを用いて被検体内部の情報を表す画像を再構成する画像生成手段と、を有し、決定手段は、被検体内の一部分に注目領域を設定し、各検出素子から注目領域までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行し、複数の仮定の速度のうち、強度のばらつきが最小となる速度を伝播速度に決定することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像生成方法は、複数の検出素子のそれぞれを用いて被検体内部から伝播してくる音響波を検出して、検出信号を生成するステップと、被検体内部における音響波の伝播速度を決定する決定ステップと、決定ステップで決定された伝播速度と、複数の検出素子から得られる複数の検出信号とを用いて被検体内部の情報を表す画像を再構成する画像生成ステップと、を有し、決定ステップでは、被検体内の一部分に注目領域を設定し、各検出素子から注目領域までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行し、複数の仮定の速度のうち、強度のばらつきが最小となる速度を伝播速度に決定することを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムは、コンピュータに、被検体内部における音響波の伝播速度を決定する決定ステップと、複数の検出素子が被検体内部から伝播してくる音響波を検出し、生成した複数の検出信号と、決定ステップで決定された伝播速度とを用いて被検体内部の情報を表す画像を再構成する画像生成ステップと、を実行させるためのプログラムであって、決定ステップでは、被検体内の一部分に注目領域を設定し、各検出素子から注目領域までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行し、複数の仮定の速度のうち、強度のばらつきが最小となる速度を伝播速度に決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ノイズおよび画像再構成時に用いた速度と実際の伝播速度との不一致による画質劣化が抑制された、被検体内部の情報を表す画像を再構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の原理を示す模式図。
【図2】本実施形態に係る画像生成装置の構成の一例を示す模式図。
【図3】再構成画像の生成方法を示すフローチャート。
【図4】検出素子の指向性を説明するための図。
【図5】実施例1に係るシミュレーションの条件及び検出信号の一例を示す図。
【図6】実施例1に係るシミュレーションで再構成された画像の一例を示す図。
【図7】実施例2に係る画像生成装置で再構成された画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<原理>
以下、本発明の原理について説明する。
図1は本発明の原理を示す模式図である。図1において、符号1は(被検体内部の)音源、符号2はボクセル(あるいはピクセル)、符号3は検出素子を示す。各検出素子は、時間分割測定により被検体内部から伝播してくる音響波を検出して、検出信号を出力する。なお、検出素子3の数はN(Nは2以上の整数)個とする。
一般的に、音響波(超音波)を利用した画像生成装置では、複数の検出素子iから得られる複数の検出信号S(i,t)を用いて被検体内部の情報を表す画像を再構成する。こ
のような画像は再構成画像と呼ばれ、再構成画像が3次元画像(ボクセルの集合体)の場合にはボリュームデータとも呼ばれる。再構成画像が2次元画像の場合にはピクセルデータとも呼ばれる。再構成画像の各画素(ボクセルあるいはピクセル)は、一般的には各検出素子からその画素に対応する位置までの距離と伝播速度(被検体内部における音響波の伝播速度)に基づいて位相が調整された検出信号から算出される。ただし、フーリエドメイン法などでは、周波数空間での演算により、画像が再構成される。なお、図1においてiは検出素子の番号(0からN−1の範囲の整数)、tは時間を示す。
以下、一般的な画像再構成法であるタイムドメイン法について具体的に説明する。まず、検出素子毎に、i番目の検出素子から再構成画像内の或る画素に対応する位置までの距離を伝播速度で除算する。それにより、その画素位置で音響波が発生した場合において、該音響波が検出素子iに到達するまでの時間τi(遅延時間)を算出する(発生時刻をt=0とする)。そして、検出素子毎に、時間τiのときの検出信号の強度S(i,τi)を算出し、それらを足し合わせることにより、再構成画像の画素を生成する(同様に複数の位置について画素を生成することにより、再構成画像が生成される)。このような再構成画像の生成方法において、各ボクセル(またはピクセル)のデータが最大になるように伝播速度、すなわち時間τiを決定するのが特許文献1に開示の技術である。なお、強度S(i,τi)は時間τiでの検出信号S(i,t)の強度(位相が調整された検出信号の強度)を示す。
【0014】
ここで、伝播速度として予想した速度と、実際の伝播速度とが大きく異なっていた場合には、強度S(i,τi)は大きくばらつく。そこで、本発明では、被検体内の一部分に注目領域5(注目すべき領域)を設定する。その後、各検出素子iから注目領域5までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号S(i,t)の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度S(i,τi)のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行する。そして、複数の仮定の速度のうち、上記強度のばらつきS(i,τi)が最小となる速度を伝播速度に決定し、該伝播速度に基づいて再構成画像を生成する。
【0015】
例えば、遅延信号値のばらつきの指標として、以下の式(101)で表されるコヒーレントファクター(CF)を用いればよい。
【数1】


ここで、S(i)は、検出素子iから出力され、位相が調整された検出信号の強度、即ち、ある速度に基づいて算出された時間τiでの検出信号の強度S(i,τi)である。S(i)が検出素子によらず同じ値となる場合、指標CF=1となり、S(i)の値のばらつきが大きいほど、指標CFは0に近づく。つまり、強度S(i,τi)のばらつきが大きいほど、指標CFは0に近い値となり、ばらつきが小さいほど1に近い値となる。本発明では、強度S(i,τi)のばらつきが最小、すなわち指標CFが最大となる速度を伝播速度に決定する。なお、指標はCFに限らない。分散値や標準偏差値など統計分野で使われる尺度を用いてばらつきを評価しても良い。
【0016】
このように、本発明では、強度S(i,τi)のばらつきが最小となる速度を伝播速度とすることにより、実際の伝播速度に近い速度に基づいて再構成画像を生成することが可
能となる。また、本発明では、強度S(i,τi)のばらつきを最小とする領域を制限することにより、バックグラウンドノイズの増加を抑制することができる。また、本発明では、強度S(i,τi)のばらつきが最小となる速度を伝播速度とするため、検出信号にノイズがランダム含まれていたとしても、そのノイズを平均化することができる(即ち、ノイズの影響を小さくすることができる)。その結果、検出信号にノイズが含まれていても、実際の伝播速度を精度良く推測することができる。
そのため、本発明によれば、ノイズおよび画像生成時に用いた速度と実際の伝播速度との不一致による画質劣化が抑制された、被検体内部の情報を表す画像を再構成することができる。
【0017】
<実施形態>
次に、本実施形態に係る画像生成装置及び画像生成方法について説明する。図2は、本実施形態に係る画像生成装置の構成の一例を示す。ここでは、被検体内部から伝播してくる音響波を検出し、生体情報を可視化する光音響トモグラフィー技術を用いた画像生成装置(光音響トモグラフィー装置)の場合を例にして説明する。なお、本発明は音響波探触子から音響波(超音波)を送信し、被検体内で反射した反射音響波(超音波)を検出することで被検体内部を表す情報を画像化する超音波診断技術を用いた画像生成装置(超音波診断装置)にも適用できる。
【0018】
本実施形態に係る画像生成装置は、大まかに、光源11、光学機器13、音響波探触子17、信号収集器18、画像再構成処理部19、信号処理器20、表示装置21から構成される。光源11から発せられた光12(強度変調光)は、光学機器13を介して生体などの被検体15に照射される。被検体15の内部を伝播した光のエネルギーの一部が血管などの光吸収体(結果的に音源となる)14に吸収されると、その光吸収体14の熱膨張により音響波(典型的には超音波)16が発生する。その発生した音響波16は音響波探触子17により検出され、その後の処理により被検体の生体情報が画像化される。
【0019】
光源11は、生体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特定の波長の光を発する。なお、光源11は、本実施形態に係る画像生成装置と一体であってもよいし、別体であってもよい。光源11は、数ナノから数百ナノ秒オーダーのパルス光を発生可能な1つ以上のパルス光源で構成される。光源としては大きな出力が得られるレーザーが好ましいが、レーザーのかわりに発光ダイオードなどを用いてもよい。レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用することができる。照射のタイミング、光の波形、強度などは不図示の制御部によって制御される。
【0020】
光源11から放たれた光12は、光学機器13を介して被検体に導かれる(光導波路などを用いて導かれてもよい)。光学機器13は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したりするレンズなどである。このような光学機器は、光源から発せられた光12が被検体15に所望の形状で照射されれば、どのようなものを用いてもかまわない。なお、一般的には、光12をレンズで集光させるより、ある程度の面積まで広げる方が、生体への安全性ならびに診断領域を広げられるという観点で好ましい。また、被検体の光が照射される領域(照射領域)は移動可能(変更可能)であることが好ましい。言い換えると、本実施形態に係る画像生成装置は、光源から発生した光が被検体上を移動可能となるように構成されていることが好ましい。それにより、より広範囲の再構成画像を生成することができる。また、照射領域(被検体に照射される光)は、音響波探触子17と同期して移動可能であることが好ましい。照射領域を移動させる方法としては、可動式ミラー等を用いる方法、光源自体を機械的に移動させる方法などがある。
【0021】
本実施形態に係る画像生成装置は、例えば、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断
に利用される。そのため、被検体15としては、人体や動物の乳房や指・手足などの診断の対象部位が想定される。光音響トモグラフィー装置では、光吸収体(あるいは音源)14は、被検体内の吸収係数が高い部分である。例えば、人体が測定対象である場合には、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、それらを多く含む血管、及び、新生血管を多く含む悪性腫瘍などが光吸収体となる。また、超音波診断装置では、音源14は、周囲との音響インピーダンスが異なる組織界面である。
【0022】
音響波探触子17は、複数の検出素子を有する。検出素子は、圧電現象を利用したトランスデューサー、光の共振を利用したトランスデューサー、または、容量の変化を利用したトランスデューサーなどで構成される。但し、音響波を検知することができれば、このような構成に限らない。音響波探触子17において、典型的には、複数の検出素子は1次元的あるいは2次元的に配置される。このように配置された複数の検出素子を用いることにより、一度に複数の場所で音響波を検出することができる。そのため、検出時間を短縮できると共に、被検体の振動などの影響を低減できる。なお、1つの検出素子の位置を移動させて、複数箇所で音響波を検出すれば、複数の検出素子を用いた場合と同様の信号(検出信号)を得ることができる。
【0023】
信号収集器18は、音響波探触子17(各検出素子)より得られた電気信号(アナログ信号)を増幅し、デジタル信号(検出信号)に変換する。信号収集器18は、典型的には、増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate
Array)チップなどで構成される。なお、複数の検出信号を同時に処理できることが望ましい。それにより、画像を生成するまでの時間を短縮できる。
【0024】
画像再構成処理部19は、複数の検出素子から得られる複数の検出信号(信号収集器18から出力される複数のデジタル信号)を用いて被検体内部の情報を表す画像(再構成画像)を再構成する(画像生成手段)。再構成画像の各画素は、一般的なタイムドメイン法では、各検出素子からその画素に対応する位置までの距離と後述する信号処理器20で決定された伝播速度に基づいて位相が調整された検出信号から算出される。
画像再構成処理部19に接続される信号処理器20は、被検体内部における音響波の伝播速度を決定する(決定手段)。本実施形態では、信号収集器18から出力される複数のデジタル信号と画像再構成処理部19で得られた画像を用いて伝播速度を決定する。
【0025】
表示装置21は画像再構成処理部19で生成された再構成画像を表示する装置である。表示装置21としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子放出素子を有するディスプレイなどを利用することができる。
【0026】
次に、画像再構成処理部19と信号処理器20による処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、画像再構成処理部19が、被検体の予想される伝播速度(所定の速度)に基づいて仮の再構成画像(ボリュームデータ)を生成する(ステップ301)。仮の再構成画像の生成方法としては、光音響トモグラフィー装置や超音波診断装置で従来から用いられている手法を用いることができる。例えば、タイムドメインあるいはフーリエドメインでの逆投影法などである。
なお、ステップ301では、超音波診断装置や光音響トモグラフィー装置などのような、音響波を検出して再構成画像を生成する画像生成装置を用いることが好ましい。但し、これに限らず、X線CTやMRIなど、別原理の画像生成装置を用いて、生体情報にかかわるボリュームデータ(再構成画像)を生成してもよい。
【0027】
次に、信号処理器20が、ステップ301で得られたボリュームデータ(再構成画像)から生体情報を強く反映した画素(注目画素)を選択し、該注目画素に対応する位置を含
む領域を注目領域に決定する(ステップ302)。注目画素は、光音響トモグラフィー装置の場合、吸収体を構成する画素であり、超音波再構成画像の場合、超音波の反射が大きい領域の画素である。
【0028】
注目画素は、ユーザが再構成画像を確認することにより手動で選択されてもよいし、自動で選択されてもよい。注目画素を自動で選択する場合には、例えば、画像内において、輝度またはコントラストが最も高い画素を注目画素として選択すればよい。
【0029】
注目領域をどの程度の大きさとするかは、後述する仮定の速度の選択範囲に基づいて決定される。例えば、1500m/秒の速度(予想される伝播速度c;所定の速度)を用いて再構成画像を得た後に、速度を1400〜1600m/秒の範囲内の他の速度(仮定の速度)に切り替え、画像を生成しなおす場合を考える。なお、画素間隔dを0.25mm、被検体の厚さr(注目画素に対応する被検体内の位置から音響波探触子までの距離)を40mmとする。その場合、用いる速度を変化させることにより、注目画素に対応する位置が最大で前後上下左右に約10画素分ずれる可能性がある。そのため、そのような場合には、注目画素の前後上下左右それぞれ10画素を含む範囲(例えば、注目画素を中心として21×21×21個の画素を含む範囲)に対応する領域を注目領域とすればよい。
【0030】
具体的には、予想される伝播速度c(所定の速度)を用いた場合の注目画素に対応する位置は、用いる速度を変化させた場合に、該位置を中心として約幅M画素分だけ変化する。Mの値は以下の式(102)により得られる。なお、式(102)において、cminは仮定の速度のうちの最小値、cmaxは仮定の速度のうちの最大値である。
【数2】


そのため、注目画素の周りの式(102)で得られる幅Mの範囲に対応する領域を注目領域に設定すればよい。即ち、3次元画像を生成する場合には、注目画素を中心として、M×M×M個のボクセルを含む範囲に対応する領域を注目領域とすればよい。2次元画像を生成する場合には、注目画素を中心として、M×M個のピクセルを含む範囲に対応する領域を注目領域とすればよい。それにより、吸収体などの音源を含む領域を注目領域とすることができる。
【0031】
なお、この式の被検体の厚さrは、具体的には、注目画素に対応する位置と該位置から最も遠い検出素子までの距離である。但し、これに限らず、注目画素に対応する位置と該位置から最も近い検出素子までの距離を被検体の厚さとしても良い。注目画素に対応する位置と各検出素子との間の平均距離を被検体の厚さとしても良い。
【0032】
次に、信号処理器20が、各検出素子から注目領域(例えば、再構成画像の画素に対応する注目領域内の位置)までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整する。そして、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する(ステップ303)。なお、ステップ303の処理は、複数の仮定の速度に対して実行される。
そして、信号処理器20が、複数の仮定の速度のうち、強度のばらつきが最小となる速度を伝播速度に決定する(ステップ304)。また、画像再構成処理部19が、該決定された伝播速度に基づいて再構成画像を生成する。
以上の処理により、ノイズおよび画像再構成時に用いた速度と実際の伝播速度との不一致による画質劣化が抑制された、被検体内部の情報を表す画像を再構成することができる。
【0033】
なお、検出信号は検出素子の面積が大きい場合には指向性の影響を強く受ける。指向性について図4を用いて説明する。指向性とは検出素子と被検体内部の位置(画素に対応する位置;処理対象位置)との相対的な位置関係により、検出素子の検出感度が変化する特性のことである。例えば、図4(A)のように検出素子が処理対象位置の方向を向いている場合には、該位置からの音響波の検出感度が最大となる(検出信号の強度は最大となる)。一方、検出素子の向きと処理対象位置とのずれが大きいほど、検出感度は低下する(検出信号の強度が低下する)。このような指向性の影響は、素子幅が大きい場合や、検出する音響波の周波数が大きい場合に顕著に現れる。指向性R(検出感度)は式(103)で表される。
【数3】


ここで、検出素子の形状は正方形とする。式(103)において、dは検出素子の幅、θは処理対象位置と検出素子を結ぶ直線と、検出素子の向きとの間の角度、kは2π/λ、λは音響波の波長である。
【0034】
図4(B)に素子幅2mmの検出素子の指向性の一例を示す。ここでは、検出素子のインパルス応答から得られる周波数特性を用いて、各周波数成分の大きさを算出し、上記の式(103)から指向性(最大値が1で規格化された検出感度)を計算している。この図から分かるように、角度θが大きくなると急激に感度(検出信号の強度)が低下することがわかる。このような指向性があると、検出信号間のばらつきが大きくなる。
【0035】
そのため、本実施形態に係る画像生成装置は、画素に対応する位置と、検出素子との相対的な位置関係に応じて、該検出素子の指向性による検出信号の強度の低下を補正する機能をさらに有することが好ましい。そして、信号処理器20が、該強度が補正された検出信号を用いて伝播速度を決定し、画像再構成処理部19が、該強度が補正された検出信号を用いて画像を再構成することが好ましい。それにより、検出素子の指向性による影響を抑制することができる。例えば、指向性による検出信号のばらつきが低減されるため(速度によるばらつきが支配的となるため)、より精度良く伝播速度を決定することができる。また、指向性による検出信号の強度のばらつきが低減されるため、より画質劣化の無い画像を生成することができる。
【0036】
例えば、処理対象位置と検出素子の相対的な位置関係から、角度θを計算し、その角度に応じた指向性の値(例えば、図4(B)の縦軸の値)に基づいて、該検出素子から出力された検出信号の強度を大きくする補正を行えばよい。具体的には、指向性の値の逆数を検出信号に乗算すればよい。それにより、指向性による検出信号の強度のばらつきを抑えることができる。
【0037】
なお、多くの場合、画像再構成処理部19、信号処理器20の処理は、コンピュータ(ワークステーションなど)の演算処理装置がソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。そのため、画像再構成処理部19と信号処理器20を区別することができない場合がある。ただし、これらの機能要素はそれぞれ専用のチップで構成されていてもよい。
なお、画像再構成処理部19、信号処理器20の処理は、ソフトウェアではなく、ハードウェアで実現されていてもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、注目画素の位置と式(102)とを用いて注目領域を決定するものとしたが、この構成に限らない。予め被写体が決まっている場合など、注目領域の大まかな場所が予想できる場合には、注目領域は予め装置内に記憶されていてもよい。被写体の種類(測定部位)毎に予め決められた注目領域が記憶されていてもよい。そのような場合には、本実施形態のステップ301のように仮の再構成画像を生成する必要はない。また、注目領域はどのような大きさであってもよい(1画素分の大きさであってもよい)。例えば、ステップ302で選択された注目画素に対応する位置を含むように注目領域を設定すればよい。音源はある程度の大きさを有することが想定されるため、そのように注目領域を設定すれば、速度を変更することにより注目画素に対応する位置が注目領域の外側に位置することになったとしても、注目領域で音源を捉えることができる。
【0039】
<実施例1>
シミュレーションにより本発明を実施し、その効果を検証した。以下、図5,6を用いて説明する。
被検体として、図5(A)に示すように、X方向:4cm、Y方向:4cm、Z方向:4cmの立方体ファントム43を用いた。立方体ファントム43の中心には、直径が0.05cm、高さが2cmの円柱形状の音源41を、その軸方向がX方向と平行になるように設置した。ここで、音源41は、光音響トモグラフィーでは光吸収体、超音波診断装置では超音波反射体のことを示す。なお、被検体内部における音響波の伝播速度を1500m/秒、音源41で発生する初期発生音圧を3000Pa(パスカル)とした。
【0040】
音響波探触子42は2次元アレイ型で、20×20個の正方形型の検出素子で構成されているものとした。また、各素子の一辺の長さを2mm、ピッチ間隔を2mmとした。音響波は、サンプリング周波数20MHz、測定点数1280点で検出されるものとした。
【0041】
以上の条件の元で、物理シミュレーションにより音響波探触子42の各素子で検出された音響波の検出信号を生成した。探触子の中心の検出素子から得られる検出信号の例を図5(B)に示す。図中の大きな信号が音源41からの信号を示している。なお、検出信号は、標準偏差の3倍が20Paとなるようなホワイトノイズを含むものとした。
【0042】
このように得られた検出信号と、速度(所定の速度)1580m/秒を用いて再構成画像を生成した。生成方法としては、公知技術のタイムドメイン法であるユニバーサルバックプロジェクションを用いた。なお、画像化範囲はX方向:3.8cm、Y方向:3.8cm、Z方向:4cmとし、画素間隔(ボクセル間隔)は0.025cmとした。ボクセル総数は画像化範囲をボクセル間隔で除算したものであり、152×152×160となる。
【0043】
図6に再構成された画像を示す。図6に示す画像は、いずれも、音響波探触子42の方向に最大強度のボクセル値を投影したMIP(Maximum Intensity Projection)画像であり、白色領域が高い音圧を示している。また、各々の画像の上側には、その画像のY=2.0cmにおける、X方向の音圧変化を模式的に示している。
【0044】
図6において、画像Aは被検体内の音源のMIP像を示している。本実施例では画像Aに近い画像ほどを解像度が高いものとする。
画像Bは、伝播速度として1580m/秒の速度を用いたときに得られる再構成画像である。このように実際の伝播速度1500m/秒と異なる速度を用いると、画像にボケが生じ、解像度が低下することが分かる。
【0045】
次に、この画像(ボリュームデータ)において輝度が最大となるボクセルを探索した。その結果、中心のボクセル(152×152×160の全ボクセルにおいて、76×76×80番目)が検出された。そして、このボクセルを中心として21×21×21ボクセルに対応する領域を注目領域として設定した。
【0046】
そして、従来技術との比較のために、用いる速度を1400m/秒から1600秒/秒まで2m/秒間隔で変化させて、注目領域内の位置(ボクセル)毎に輝度値を算出した。即ち、21×21×21×101個の輝度値を計算した。その結果、輝度値が最大となる速度は1456m/秒であった。そして、この速度1456m/秒を用いて、再び画像再構成を行った。画像Cはそのときに得られた画像である。多少の画像ボケはあるものの、画像Bと比較して、若干であるが解像度が向上していることが分かる。また、最大輝度の値も増加していることが分かる。
【0047】
次に、本発明の効果を実証するため、用いる速度を1400m/秒から1600秒/秒まで2m/秒間隔で変化させて、注目領域内の位置(ボクセル)毎に検出信号の強度のばらつき(指標CF)を算出した。即ち、21×21×21×101個の指標CFを計算した。その結果、指標CFが最大となる速度は1492m/秒であった。そして、この速度1492m/秒を用いて、再び画像再構成を行った。画像C’はそのときに得られた画像である。従来技術である画像Cと比較して、画像のボケが少なくなり、解像度が向上していることが分かる。なお、画像Cと比べると最大輝度値は低下している。
以上の結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
このように、本発明では、実際の伝播速度に近い速度(1492m/秒)を推測することができる。特に、ノイズが含まれた検出信号においては、従来技術で得られる速度(1456m/秒)よりもより実際の伝播速度に近い速度を推測することができる。その結果、解像度が低下することのない画像を得ることができる。
なお、実際の伝播速度が1500m/秒であるのに対し、本実施例では伝播速度が1492m/秒と推定されたのは、ノイズと検出素子の指向性の影響による。
なお、本実施例では、注目領域内の位置毎に検出信号の強度のばらつきを算出するものとしたが、注目領域内の一部の位置についてばらつきを算出する構成であってもよい。例えば、注目領域の中心位置のみについてのばらつきを算出する構成であってもよい。
【0050】
<実施例2>
次に、光音響トモグラフィー装置に本発明を適用した例について、図2を用いて説明する。本実施例では、光源11として波長1064nmで約10ナノ秒のパルス光を発生するQスイッチYAGレーザーを用いた。パルスレーザー光(光12)のエネルギーは0.6Jであり、そのパルス光をミラーとビームエキスパンダーなどの光学機器13を用いて、半径約2cm程度まで広げた。被検体15としては生体を模擬したファントムを用いた。ファントムは1%のイントラリピッドを寒天で固めたものを利用した。ファントムの大きさは幅:12cm、高さ:8cm、奥行き:4cmとした。また、このファントム内には直径0.03cmのゴム製の黒色ワイヤが中心付近に光吸収体14として埋め込まれている。このようなファントムに、半径2cmまで広げた光12を照射した。音響波探触子
17としてはPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)で作られた超音波トランスデューサーを用いた。このトランスデューサーは2次元アレイ型で、素子数は18×18個、各素子の形状は正方形形状、素子ピッチは2mmである。また、素子の幅は約2mmである。なお、この音響波探触子は光照射領域と同期して、XY方向に移動可能になっており、大きな領域を画像化できるように構成されている。
【0051】
このファントムの1つの面にパルス光を照射すると、ファントム内に拡散した光がゴム製ワイヤに吸収され、光音響波が発生する。その光音響波を324チャンネルの各超音波トランスデューサーで検出し、アンプ、A/Dコンバーター、FPGAからなる信号収集器18を用いて、チャンネル毎の光音響波のデジタルデータ(検出信号)を取得する。なお、信号のS/N比を向上させるために、36回レーザーを照射し、得られたすべての検出信号を平均化した。その後、得られたデジタルデータを画像再構成処理器19及び信号処理器20であるワークステーション(WS)へ転送し、WS内に保存する。この保存したデータに対して、離散ウェーブレット変換によるノイズ低減処理を行った後に、生体内部における音響波の平均的な伝播速度である1540m/秒の速度を用いて、画像再構成を行った。ここではタイムドメイン方式であるユニバーサルバックプロジェクション法を用いてボリュームデータを生成した。このとき使用したボクセル間隔は0.05cmとした。画像化範囲は11.8cm×11.8cm×4.0cmとした。得られた画像の一例を図7(A)に示す。
【0052】
次に、用いる速度を1400m/秒から1600秒/秒まで2m/秒間隔で変化させて、注目領域内の位置(ボクセル)毎に検出信号の強度のばらつき(指標CF)を算出した。なお、本実施例では、得られたボリュームデータにおいて、ワイヤで発生した音響波(初期音圧)を含むボクセル群(21×21×21個)に対応する領域を注目領域とした。また、本実施例では、検出素子のインパルス応答から算出した指向性を考慮して検出信号を補正し、補正した検出信号を用いて指標CFを計算した。最大となる指標CFは、指向性を考慮することで、0.056から0.078まで向上した。本実施例では、指標CFが最大となる速度は1454m/秒であった。そして、この速度1454m/秒と、PCに保存した検出信号とを用いて再び画像再構成を行った。得られた画像を表示装置21である液晶ディスプレイに表示した。得られた画像の一例を図7(B)に示す。
【0053】
以上の結果から、1540m/秒の速度を用いて生成した画像(図7(A))よりも、1454m/秒の速度を用いて生成した画像(図7(B))のほうが、ゴム製ワイヤから発生した音響波(初期音圧)の幅が明らかに狭くなっていることが分かる。また、画像のボケも少ない、つまり、解像度が向上していることがわかる。
このように、本実施例では、被検体内部における音響波の伝播速度を正確に推定することができ、ひいては、再構成画像の解像度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0054】
3 検出素子
5 注目領域
15 被検体
16 音響波
17 音響波探触子
19 画像再構成処理部
20 信号処理器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内部から伝播してくる音響波を検出して、検出信号を出力する複数の検出素子を有する探触子と、
前記被検体内部における音響波の伝播速度を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された伝播速度と、複数の検出素子から得られる複数の検出信号とを用いて前記被検体内部の情報を表す画像を再構成する画像生成手段と、
を有し、
前記決定手段は、
被検体内の一部分に注目領域を設定し、
各検出素子から前記注目領域までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行し、
前記複数の仮定の速度のうち、前記強度のばらつきが最小となる速度を前記伝播速度に決定する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記画素に対応する位置と、検出素子との相対的な位置関係に応じて、該検出素子の指向性による検出信号の強度の低下を補正する補正手段をさらに有しており、
前記決定手段は、前記強度が補正された検出信号を用いて前記伝播速度を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記検出素子の数をN(Nは2以上の整数)とし、i番目(iは0からN−1の範囲の整数)の検出素子から出力され、位相が調整された検出信号の強度をS(i)とした場合に、
【数1】


で表される指標CFが最大となる速度を前記伝播速度に決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記決定手段は、所定の速度に基づいて生成された前記被検体内部の情報を表す画像の各画素の内、輝度値またはコントラストが最も高い注目画素に対応する位置を含む領域を前記注目領域として設定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記複数の仮定の速度のうちの最小値をcmin、最大値をcmaxとし、
画素間隔をd、前記探触子から前記注目画素に対応する位置までの距離をr、前記所定の速度をcとした場合に、前記決定手段は、前記注目画素の周りの、
【数2】

で得られる幅M画素の範囲に対応する領域を注目領域に設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記画像生成手段は、前記画像の各画素を、各検出素子からその画素に対応する位置までの距離と前記決定された伝播速度に基づいて位相が調整された検出信号から算出する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記被検体内部から伝播してくる音響波は、光源から被検体に照射された強度変調光により発生する音響波である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像生成装置。
【請求項8】
複数の検出素子のそれぞれを用いて被検体内部から伝播してくる音響波を検出して、検出信号を生成するステップと、
前記被検体内部における音響波の伝播速度を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された伝播速度と、複数の検出素子から得られる複数の検出信号とを用いて前記被検体内部の情報を表す画像を再構成する画像生成ステップと、
を有し、
前記決定ステップでは、
被検体内の一部分に注目領域を設定し、
各検出素子から前記注目領域までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行し、
前記複数の仮定の速度のうち、前記強度のばらつきが最小となる速度を前記伝播速度に決定する
ことを特徴とする画像生成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
前記被検体内部における音響波の伝播速度を決定する決定ステップと、
複数の検出素子が被検体内部から伝播してくる音響波を検出し、生成した複数の検出信号と、前記決定手段で決定された伝播速度とを用いて前記被検体内部の情報を表す画像を再構成する画像生成ステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記決定ステップでは、
被検体内の一部分に注目領域を設定し、
各検出素子から前記注目領域までの距離と、仮定の速度とに基づいて各検出信号の位相を調整し、該位相が調整された複数の検出信号の強度のばらつきを算出する処理を、複数の仮定の速度に対して実行し、
前記複数の仮定の速度のうち、前記強度のばらつきが最小となる速度を前記伝播速度に決定する
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−120765(P2011−120765A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281452(P2009−281452)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】