画像管理装置、画像再生装置、画像管理システム、画像再生方法およびプログラム
【課題】画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限とする。
【解決手段】ネットワーク140を介して画像再生装置130と通信可能に接続された画像管理装置110は、検索部113と、ネットワーク速度取得部116と、分割画像ファイル生成部115と、通信部112と、を備える。検索部113は、画像再生装置130の要求に応じて画像ファイルを検索する。ネットワーク速度取得部116は、画像再生装置とのネットワーク速度を取得する。分割画像ファイル生成部115は、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。通信部112は、分割画像ファイルを画像再生装置の要求に応じて順次送信する。
【解決手段】ネットワーク140を介して画像再生装置130と通信可能に接続された画像管理装置110は、検索部113と、ネットワーク速度取得部116と、分割画像ファイル生成部115と、通信部112と、を備える。検索部113は、画像再生装置130の要求に応じて画像ファイルを検索する。ネットワーク速度取得部116は、画像再生装置とのネットワーク速度を取得する。分割画像ファイル生成部115は、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。通信部112は、分割画像ファイルを画像再生装置の要求に応じて順次送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像管理装置、画像再生装置、画像管理システム、画像再生方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場において、患者を撮影した医療画像をデジタル化する手段が実現されている。例えば、CR(Computed Radiography)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、超音波診断装置、内視鏡診断装置などがある。このような医療画像生成装置(以降、モダリティと呼ぶ。)は、いわゆる医療画像データを生成する。
【0003】
医療画像データは、デジタルデータであるため、ネットワーク上のデータベースによる管理が容易である。この管理システムとしては、PACS(Picture Archiving and Communication System)という医療画像管理システムが知られている。
【0004】
PACSにおいては、モダリティからの医療画像データを受信してデータベースに保存し、また画像ビューワなどのクライアントからの画像要求に応じて、特定の画像データをデータベースから検索しクライアントに送信することが可能である。このモダリティとPACS間の通信手順や、通信するデータ形式を取り決めた標準規格がDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)である。
【0005】
DICOMは、病院内外で、異なった製造業者(マルチベンダ)による異なった種類の装置(マルチモダリティ)からの医療画像データを、ネットワーク、あるいは画像データの記録媒体で、相互に転送、保存することを実現した業界標準規格である。管理コストの低減、診断精度の向上に貢献し、今現在もその汎用性が拡大されつつある。
【0006】
DICOM規格では、医療画像データのファイルフォーマットが規定されている。DICOMのファイルフォーマットは、医療画像データと、患者情報や検査内容などの画像データを説明する付帯情報とから構成され、ファイル単独で成立するフォーマットとなっている(以降、DICOM画像ファイルと呼ぶ。)。最新のDICOM規格のVersion3では、静止画データだけでなく動画像データも扱えるよう規格化されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】DICOM PS 3 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例においては、送信側が一連のデータファイルを送信し、そのデータファイルを受信側で受け取って、そのデータファイルを処理する場合において、受信側でそのデータファイルを速く処理し始めることができないという問題があった。
【0009】
すなわち、上記従来例においては、DICOM規格のファイルの送受信では、受信側ですべてのデータファイルの受信が完了しないと、このデータファイルの処理を開始できないため、受信側でそのデータファイルを速く処理し始めることができなかった。
【0010】
例えば、医療分野においては、検査結果を収めた長時間の医療画像データを1つのファイルにして、PACS等のサーバー装置から、ネットワークを介して、受信端末に送信する場合、受信側では、送信される医療画像データを見て、逸早く、患者の診断を行いたい場合がある。しかし、すべての医療画像データファイルの受信が完了するまでは長時間かかり、この画像を見始めることができなかったのである。
【0011】
そこで本発明は、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、第1の発明に係る画像管理装置は、ネットワークを介して画像再生装置と通信可能に接続された画像管理装置であって、検索部と、ネットワーク速度取得部と、分割画像ファイル生成部と、通信部と、を備える。検索部は、画像再生装置の要求に応じて画像ファイルを検索する。ネットワーク速度取得部は、画像再生装置とのネットワーク速度を取得する。分割画像ファイル生成部は、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。通信部は、分割画像ファイルを画像再生装置の要求に応じて順次送信する。
【0013】
ここでは、ネットワーク速度に応じて画像ファイルの分割サイズを決定し、分割した画像ファイルを再生装置に順次送信することにより、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限にできる。
【0014】
第2の発明に係る画像管理装置は、第1の発明の画像管理装置であって、分割画像ファイル生成部は、ネットワーク速度と画像ファイルのフレームレートとの比に基づいて、所定のサイズを演算する。
【0015】
ここでは、ネットワーク速度と画像ファイルのフレームレートとの比に基づいて、所定のサイズを演算することにより、画像再生装置の再生速度に合わせたサイズに画像ファイルを分割することができるため、画像再生効率を向上させる。
【0016】
第3の発明に係る画像管理装置は、第1の発明の画像管理装置であって、分割画像ファイル生成部は、Nをネットワーク速度、Wを、再生端末130による最初の画像ファイルの送信要求から画像ファイルの再生開始までの時間、Bを画像ファイルのフレームレートとすると、次の式により所定のサイズS(n)を計算する。
S(n)=Nn×W/Bn-1
【0017】
ここでは、特にネットワーク速度がフレームレートよりも大きい場合、分割画像ファイルのサイズは累積的に大きくなるよう分割されることになるため、効率よく画像を再生させることを可能にする。
【0018】
第4の発明に係る画像管理装置は、第1の発明の画像管理装置であって、分割画像ファイル生成部は、Nをネットワーク速度、Wを画像ファイルの再生開始までの時間、Bを画像ファイルのフレームレート、N>Bの場合はR=1、N≦Bの場合はR<N/Bとすると、次の式により所定のサイズS’(n)を計算する。
S'(n)=(Nn×W)/(Bn-1×R)
【0019】
ここでは、特にネットワーク速度がフレームレート以下である場合、分割画像ファイルのサイズは累積的に大きくなるよう分割されることになるため、効率よく画像を再生させることを可能にする。
【0020】
第5の発明に係る画像再生装置は、第1の発明から第4の発明のいずれか1つに係る画像管理装置と通信可能に設けられ、画像ファイルの検索要求を送信し、分割画像ファイルを受信する通信部と、画像ファイルを特定するための情報を入力するための入力部と、分割画像ファイルを表示する表示部と、分割画像ファイルを格納するメモリと、通信部、入力部、表示部およびメモリを制御する制御部と、を備える。制御部はさらに、分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを受信するよう制御する。
【0021】
ここでは、予め所定のサイズに分割された分割画像ファイルが画像管理装置より画像再生装置に順次送信され、画像再生装置は分割画像ファイルの再生と同時に次の分割画像ファイルを受信するよう制御するため、待ち時間なく画像を再生させることができる。
【0022】
第6の発明に係る画像管理システムは、第1の発明から第4の発明のいずれか1つに係る画像管理装置と、第5の発明に係る画像再生装置と、同画像管理装置と同画像再生装置とを接続するネットワークと、を備える。
【0023】
第7の発明に係る画像再生方法は、画像再生装置と、画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とを使用して、所定の画像ファイルを再生する画像再生方法であって、次の手順を備える。画像管理装置により、格納された画像ファイルを検索し、画像再生装置と画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。そして、画像再生装置により、分割画像ファイルを画像管理装置より受信し、受信した分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを画像管理装置から受信する。
【0024】
第8の発明に係る画像再生プログラムは、画像再生装置と、画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とに対し、所定の画像ファイルの再生を実行させる画像再生プログラムであって、次の処理を実行させる。画像管理装置により、格納された画像ファイルを検索し、画像再生装置と画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。画像再生装置により、分割画像ファイルを画像管理装置より受信し、受信した分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを画像管理装置から受信する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明は、ネットワークを介して画像再生装置と通信可能に接続された画像管理装置であって、前記画像再生装置の要求に応じて画像ファイルを検索する検索部と、前記画像再生装置とのネットワーク速度を取得するネットワーク速度取得部と、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する分割画像ファイル生成部と、分割画像ファイルを前記画像再生装置の要求に応じて順次送信する通信部と、を備える構成としたので、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限とすることを可能にした。
【0026】
すなわち、ネットワーク速度に応じて画像ファイルの分割サイズを決定し、分割した画像ファイルを再生装置に順次送信することにより、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限にできるのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一の実施形態に係る画像管理システムの構成図。
【図2】上記一の実施形態に係るサーバーの機能ブロック図。
【図3】DICOM画像ファイルの構成図。
【図4】上記一の実施形態に係るDICOM画像ファイルの構成図。
【図5】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルの構成図。
【図6】DICOM画像ファイルに含まれている情報の一例を示す図。
【図7】DICOM画像ファイルの連結情報の一例を示す図。
【図8】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルに含まれる情報の一例を示す図。
【図9】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルに含まれる情報の一例を示す図。
【図10】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルに含まれる情報の一例を示す図。
【図11】画像ファイルの分割処理の流れを示すフローチャート。
【図12】画像ファイルの再生処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<1.画像管理システム100の概要>
以下に、本発明の一の実施形態に係る画像管理システム100の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
なお、以下に記述されている通常のアラビア数字(0、1から9)は、10進数で表記したものであり、16進数で表記する場合(0、1から9、AからF)、数字の接頭文字として“0x”を付与して数字を表記する(例えば10進数の10は、16進数では0xAと表記)。
【0030】
図1は、本実施形態に係る画像管理システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、画像管理システム100は、画像サーバー(画像管理装置)110と、モダリティ120と、再生端末(画像再生装置)130とがネットワーク140を介して接続され、それぞれがデータ通信可能なように接続されている。
【0031】
モダリティ120は、医療用画像を撮影し、DICOM画像ファイルを生成する医療画像生成装置である。モダリティ120は、生成したDICOM画像ファイルを画像サーバー110に送信する。
【0032】
画像サーバー110は、DICOM画像ファイルを保存し、管理する医療画像管理装置である。画像サーバー110は、モダリティ120から送信されたDICOM画像ファイルを受信し保存する。
【0033】
また、画像サーバー110は、再生端末130からのDICOM画像ファイル取得要求に対して、再生端末130までのネットワーク速度に応じて、1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルへ、論理的に分割し、再生端末130に対して送信する。ここで、分割されたそれぞれのDICOM画像ファイルには、付帯情報として、一連のDICOM画像ファイルの一部であることを示す連結情報を格納する。
【0034】
再生端末130は、DICOM画像ファイル情報に基づいて、医療画像や、その付帯情報を表示する装置である。再生端末130は、画像サーバー110に対して、患者情報等の各種付帯情報をキーワードとしてDICOM画像ファイルの検索要求を送信する。また、再生端末130は、分割されたDICOM画像ファイルを、分割されたDICOM画像ファイル内に格納された連結情報に基づいて、連結し、一のDICOM画像ファイルとして連続的に再生する。医師等のユーザーは、再生端末130において読影や診断を行う。
【0035】
なお、再生端末130は、ネットワーク140に対する通信インターフェースである通信部、RAMやROMなどの内部メモリや外部メモリを含む記憶部、画像データを表示するためのLCDなどの表示部、キーボート、タッチパネル、マウスなどの入力部およびこれらの各部を制御するCPUなどの制御部を備える、コンピュータ端末である。
【0036】
<1.1.画像サーバー110の構成>
図2は、本実施形態に係る画像サーバー110の機能構成例を示したブロック図である。
【0037】
図2によれば、本実施形態の画像サーバー110は、データベース111、通信部112、データ検索部(検索部)113、レポートデータ構築部114、ネットワーク速度検出部(ネットワーク速度取得部)116、およびデータ書き込み部117を備えている。
【0038】
データベース111は、DICOM画像ファイル群を保存するデータベースである。各モダリティから受信したDICOM画像ファイルは、このデータベース111に格納され管理される。なお、データベース111は、サーバー110内に設けられていてもよいし、あるいはデータベースサーバーなど別の装置に設けられネットワーク140に接続されていてもよい。
【0039】
通信部112は、ネットワーク140と接続され、ネットワーク140上の通信装置と画像データの送受信を行う機能ブロックである。送受信手段となる通信プロトコルには、DICOM規格により規定されているプロトコルを用いる。DICOM規格では、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いて通信を行うことが規定されている。
【0040】
本実施形態による通信部112は、最大通信速度100Mbpsの100BASE−TXとして知られるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.3u規格に対応したネットワークインターフェースとして説明する。ただし、画像サーバー110が接続するネットワークは、TCP/IPを用いて画像データを送受信することが可能なものならどのような方式でもよく、ここで示したものに限定されるものではない。例えば最大通信速度10Mbps、10BASE−Tとして知られるIEEE802.3に対応したネットワークインターフェースであってもよい。
【0041】
データ書き込み部117は、通信部112とデータベース111に接続されており、モダリティ120からネットワーク140を介して通信部112で受信したDICOM画像データを、データベース111に格納するブロックである。
【0042】
ネットワーク速度検出部116は、再生端末130から画像サーバー110に対して通信要求があった場合、画像サーバー110と再生端末130間のネットワーク通信速度を検出するブロックである。通信速度を検出する方法の一例としては、PING(Packet Internet Groper)コマンドを利用する方法がある。PINGは、インターネットやイントラネットなどのTCP/IPネットワークを診断するプログラムであり、診断したい端末のIPアドレスと送信するデータサイズを指定しコマンドを実行することにより、指定したデータサイズのデータの送信にどのくらい時間がかかるかを測定することができる。なお、ネットワーク速度は予め検出したものをメモリに格納しておき、必要に応じて取得するようにしてもよい。
【0043】
データ検索部113は、再生端末130からの検索要求に応じて、データベース111内から指定されたパラメータと一致するDICOM画像ファイルを検索するブロックである。なお、検索要求は、再生端末130を使用する医師等のユーザーが、例えば患者名、診察日、モダリティ等の画像ファイルを特定するパラメータを指定することにより、画像サーバー110に送信される。
【0044】
レポートデータ構築部114は、検索要求を送信した再生端末130に対して、データ検索部113によって検索されたDICOM画像ファイルを列挙したレポートデータを構築し、通信部112を利用して送信するブロックである。レポートデータ構築部114には、分割画像ファイル生成部115が組み込まれている。
【0045】
分割画像ファイル生成部115は、ネットワーク速度検出部116により検出された、画像サーバー110と検索要求を送信した再生端末130との間のネットワーク速度に基づいて、1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルへ論理的に分割するブロックである。1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルへ論理的に分割する方法の詳細については後述する。
【0046】
なお、上記画像サーバー110のデータ検索部113、レポートデータ構築部114、分割画像ファイル生成部115、ネットワーク速度検出部116、およびデータ書き込み部117の機能は、CPUなどの制御部がROMなどのメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0047】
<1.2.画像ファイルのフォーマット>
<1.2.1.DICOM規格によるフォーマット>
図3は、DICOM画像ファイル201のフォーマットを図示したものである。このフォーマットは、DICOM規格で規定されている。
図3のDICOM画像ファイル201は、複数のエレメントと呼ばれる情報要素から構成される。各エレメントはひとつの情報を保持するため、図3ではN個(Nは1以上の整数)のエレメントでDICOM画像ファイルが構成されていることを表している(図中202から204)。従って、患者情報や検査情報、医療画像データの内容が、それぞれエレメントとして管理され、一つのDICOM画像ファイルを構成している。画像データにどのDICOM情報の情報エレメントが必要かはモダリティによってDICOM規格で決められている。医療画像データはモダリティによって生成された画像データであり、例えば静止画であればJPEGファイルの内容、動画であれば、Motion−JPEGやMPEG形式のファイルの内容が保持されるが、本実施形態ではMPEG形式の動画像を対象とする。
【0048】
それぞれの情報エレメントは、IDを示すタグ部205、長さ部206、情報部207から構成されている。長さ部206は、情報部207の長さをバイト単位で保持しており、必要に応じて情報部207に水増し情報を追加するなどして、必ず偶数バイトになるようにDICOM規格で規定されている。
【0049】
タグ部205は、グループ番号208とエレメント番号209のそれぞれ2バイトのフィールドからなる二つの要素により構成され、情報のカテゴリ化を行うとともに、エレメントの内容を一意に特定することが可能な仕組みとなっている。グループ番号208およびエレメント番号209の番号とその内容は、DICOM規格で規定されている。また、タグ部205には、製造会社が独自のプライベート情報を付すことも可能であり、DICOM規格で規定された情報エレメントと利用者独自のプライベート情報エレメントとを混在させることが可能になっている(以降、必要であれば、このグループ番号208とエレメント番号209の組を数学の行列で表記する)。
【0050】
<1.2.2.画像ファイルの分割>
図4は、1つのDICOM画像ファイル301を、複数のDICOM画像ファイル(図5における310〜312)に分割する場合のイメージ図である。ここで、DICOM画像ファイルの分割方法を詳細に説明する。
【0051】
DICOM画像ファイルにおいて、画像データは、Pixcel Dataとして、(グループ番号、エレメント番号)=(0x7FE0、0x0010)の情報エレメントの情報部に格納される。図4における、DICOMヘッダ部302は、DICOM画像ファイル301の画像データ部以外を示している。即ち、DICOMヘッダ部302は、Pixcel Data以外の情報エレメントと、Pixcel Dataのタグ部および長さ部を含むものである。
【0052】
ここで、図2におけるネットワーク速度検出部116によって検出した画像サーバー110と再生端末130との間のネットワーク速度を、Nバイト/秒、画像ファイルの画像データのフレームレートをBバイト/秒とする。
【0053】
なお、画像データのフレームレートは、画像データの先頭部分のMPEGパケット内に記されたPresentation Time Stamp(以下、PTSと表記)と、末尾部分のMPEGパケット内に記されたPTSとの差と、Pixcel Dataエレメントの長さ部に格納された画像データのサイズから容易に算出することができる。
【0054】
さらに再生開始までの許容待ち時間をW秒と設定した場合、W秒後にはN×Wバイトの画像データが受信できることになる。また、N×Wバイトの画像データを通常速度で再生する場合の再生時間は、N×W/B秒である。このN×W/B秒間の再生時間には、N2×W/Bバイトの画像データが受信できることとなる。さらに、N2×W/Bバイトの画像データの通常速度での再生時間はN2×W/B2秒であり、同再生時間にはN3×W/B2バイトの画像データが受信できることになる。このように、通常速度での再生時間間隔でファイルを分割する場合、n番目の分割サイズS(n)バイトは、次の式1のように定義できる。
【0055】
S(n)=Nn×W/Bn-1 ・・・ (式1)
ただし、nは1以上の整数
また、DICOMヘッダ部のサイズは、動画像データのサイズに対して十分小さいものとして無視できるものとする。
【0056】
ここで、ネットワークの速度N<画像データのフレームレートBであった場合、通常速度で再生を行った場合、(式1)によると、nが大きくなるにつれて、S(n)が減少していくことになる。これを防ぐため、推奨再生速度R%を用いて(式1)を以下のように拡張する。
【0057】
S'(n)=(Nn×W)/(Bn-1×R)・・・ (式2)
ただし、nは1以上の整数
ここで、Rは下記のように設定するものとする。
【0058】
ネットワーク速度N>画像データのフレームレートBの場合、
R=100% (通常再生速度を推奨)
上記以外の場合、
R<N/B (通常再生速度に対してR%でのスロー再生を推奨)
を満たす値。
【0059】
すなわち、推奨再生速度R%は、画像サーバー110から転送される画像データの再生を行う際、画像データのフレームレートより、ネットワークの速度が遅かった場合においても、再生が破綻しない、すなわち、データの供給が再生に間に合う、ことを保障するものであり、通常再生速度に対する再生速度比率である。
【0060】
図4は、画像データ部303を、複数の画像データ部304〜305(以下、分割画像データ部と呼ぶ)に分割する場合のイメージ図である。図4では、分割画像データ部304と分割画像データ部305は、画像データ部303の先頭部分から連続した領域であり、画像データ部306は、画像データ部303の終端部分の1つを示している。すなわち、分割画像データ部305と分割画像データ部306との間には、複数に分割された他の分割画像データ部が存在していることを示す。また、この例は、画像データのフレームレートより、ネットワーク速度のほうが速い場合の例である。
【0061】
図4を例にとった場合、画像データ部303は、(式2)に基づき、S'(1)のサイズをもつ分割画像データ部304、S'(2)のサイズをもつ画像データ部305と続き、最後にS'(n)のサイズを持つ画像データ部306のように、n個の画像データ部に分割している。
【0062】
ここで、S'(1)〜S'(n)の和が画像データ部303のサイズを越える場合、n番目の画像データ部のサイズS'(n)は、次の式3で導かれる値とすることは自明である。
【0063】
S'(n)=画像データ部303のサイズ−ΣS'(x) ・・・ (式3)
ただし、x=1〜(n−1)
このようにして複数に分割した画像データ部を、個別の分割DICOM画像ファイルとして構成するためには、それぞれの画像データ部に対して、DICOMヘッダ部を付与する必要がある。
【0064】
図5は、分割画像データ部304〜306のそれぞれにDICOMヘッダ部307〜309を付与し、個別のDICOM画像ファイル310〜312を構成した例を示す。ここで、分割画像データ部304〜306を分割画像データ部304(a)〜306(a)と示している。これは、画像データ部303を物理的に別の複数ファイルへ分割するという対応方法だけでなく、ファイルシステム上、画像データ部303における、分割画像データ部304〜306の格納位置は変更せず、リンク情報としてそれぞれのDICOMヘッダ部に接続する方法を選択することも可能であることを意味している。
【0065】
次に、分割画像データ部304〜306に対しDICOMヘッダ部307〜309(以下、分割DICOMヘッダ部と呼ぶ。)を付与し、分割画像ファイルを構成する手段について説明する。
【0066】
<1.2.3.分割画像ファイルの生成>
図6は、DICOM画像ファイル301に含まれている情報の一例を示す。
【0067】
左からタグ部(グループ番号、エレメント番号)、長さ部、情報部を記述し、またそれぞれのタグの意味を説明の欄に記述している。長さ部は、情報部の具体的な長さをあらわしている。
【0068】
図6に示した例では、検査情報として、検査日が2009年2月28日、検査時刻が16時15分30.00秒、モダリティがMR検査(Magnetic Resonance)、製造者がPanasonic、患者名が松下太郎、そして1ギガバイト(1,000,000,000バイト)の画像データから構成されていることを示している。
【0069】
図7は、本実施形態において新たに追加する情報であり、複数に分割したDICOM画像ファイルを1つのDICOMファイルに統合させるための連結情報の構成例である。前述のようにDICOM規格では、情報エレメントとして独自定義のプライベート情報エレメントを持たせることが可能である。そこで、DICOMファイルの連結情報として、プライベート情報エレメントを利用する。この例では、プライベート情報予約用文字列、時系列的に前方のDICOM画像ファイルにおける検査時刻、本DICOM画像ファイルにおける検査時間、さらに推奨再生速度を、プライベート情報エレメントとして追加している。
【0070】
図8は、図6のDICOM情報に、図7のプライベート情報エレメントを追加したDICOM情報を用いて、図5の分割DICOMヘッダ部307を構成した例を示す。同様に図9、図10は、それぞれ、図5に示す分割DICOMヘッダ部308、309を構成した例である。このように、モダリティ、製造者、患者情報等の基本構成部分は全て共通としつつ、検査時刻+検査時間を、時系列的に後方となるDICOMファイルにおける検査時刻となるように、前方のDICOMファイルの検査時刻に、時系列的に前方となるDICOMファイルにおける検査時刻を格納することにより、DICOM画像ファイルとしての連結情報を構成することができる。
【0071】
なお、分割DICOMヘッダ部307〜309に格納される検査時間は、分割画像ファイル生成部115により、連結情報を生成する際に、付与される。例えば、図4に示すように、DICOM画像ファイル301のうちの画像データ部303を分割して分割画像データ部304〜306を生成する場合、各分割画像データ部のサイズに対応した時間を算出し、その算出した時間を各分割画像データ部の検査時間として取得する。
【0072】
また、連結される2番目以降の分割画像ファイルに付与される検査時刻は、前方ファイル検査時刻に同前方ファイルの検査時間を加算して、算出される。これにより、分割画像ファイルの検査時刻=前方ファイルの検査時刻+前方ファイルの検査時間、という分割画像ファイル間の時系列的な関係が、ヘッダ部の情報として格納される。よって再生端末130が、画像ファイルを再生する際に、この連結情報に基づき順次画像ファイルを再生することができる。
【0073】
<1.3.画像管理システム100による処理の流れ>
<1.3.1.画像ファイルの分割処理>
図11は、再生端末の130の要求により、画像サーバー110が検索結果であるレポートデータを送信するまでのフローチャートである。
【0074】
再生端末130は、ユーザーの入力操作により取得された患者情報、検査日、モダリティ等の情報に応じて、サーバー110に対しDICOM情報の取得要求(検索要求)を送信する(S001)。
【0075】
サーバー110は、通信部112を介してDICOM情報の取得要求を受信すると、ネットワーク速度検出部116により要求のあった再生端末130までのネットワーク速度を検出する(S002)。このネットワーク速度の検出は、DICOM情報の取得要求をトリガとして行ってもよいし、接続されている再生端末130のようなクライアントに対して定期的に問い合わせて検出するなどしてもよい。
【0076】
次にサーバー110は、データ検索部113により、再生端末130からの検索情報に応じてデータベース111から対応するDICOM画像ファイルを検索する(S003)。
【0077】
サーバー110は、所望のDICOM画像ファイルが検出できたかどうかの判定を行う(S004)。
サーバー110は、所望のDICOM画像ファイルが検出できなかった場合は、対応するDICOM画像ファイルがデータベース111内に存在しない旨を記したレポートデータを構築し(S007)、レポートデータとして再生端末に通知する(S008)。
【0078】
一方、サーバー110は、所望のDICOM画像ファイルが検出できた場合、分割画像ファイル生成部115によって、S002で検出したネットワークの速度と、計算したフレームレートとに基づき、(式2)を演算し、ファイルの分割サイズを決定する。この分割サイズに従って、1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルに分割する(S005)。そして、分割画像ファイル生成部115は、レポートデータ構築部114により、レポートデータを構築し(S006)、通信部112を介してそのレポートデータを再生端末130に通知する(S008)。
【0079】
再生端末130に送信されたレポートデータは、再生端末130の記憶部に格納される。
なお、上記処理手順は、上記のものに限定されず、本発明を逸脱しない範囲内で変更可能である。
【0080】
<1.3.2.画像ファイルの再生処理>
図12は、サーバー110側で複数のファイルに分割されたDICOM画像ファイルを連続して再生する際のフローチャートである。ここでは便宜上、nという初期値1のパラメータを用いて説明を行う。
【0081】
まず、再生端末130は、1番目(n番目:n=1)、すなわち、先頭となるDICOM画像ファイルの取得要求をサーバー110に対して送信する(S101)。どのDICOM画像ファイルが先頭となるかは、サーバー110から送信されメモリなどに格納されたレポートデータを参照することにより確定できる。
【0082】
サーバー110は、DICOM画像ファイルの取得要求に応答し、要求されたDICOM画像ファイルを読み出し、送信する(S102)。
再生端末130は、要求したDICOM画像ファイルの受信が完了した時点で再生が可能となるため、ここで、1番目(n番目:n=1)のDICOM画像ファイルを推奨再生速度で再生を開始する(S103)。
【0083】
1番目(n番目:n=1)のDICOM画像ファイルに連結情報が存在する場合、すなわち、時系列的に続きとなるDICOM画像ファイルが存在する場合、再生端末130は、2番目(n+1番目:n=1)のDICOM画像ファイルの取得をサーバー110に対し要求する(S105)。
【0084】
サーバー110は、DICOM画像ファイルの取得要求に応答し、要求された2番目(n+1番目:n=1)のDICOM画像ファイルを読み出し、送信する(S106)。
再生端末130は、1番目(n番目:n=1)のDICOM画像ファイルの再生が終了するのを待ち(S107)、nをカウントアップ(n=2)し(S108)、2番目(n番目:n=2)のDICOM画像ファイルを推奨再生速度で再生を開始する(S103)。
【0085】
このように、n番目のDICOM画像ファイルに連結情報が存在しなくなるまでS103からS108の処理を行うことにより、複数ファイルに分割されたDICOM画像ファイルを再生待ち時間を要することなく連続して再生することができる。
【0086】
なお、上記再生端末130の処理は、制御部が、ROMなどのメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより実現される。また、上記処理手順は、上記のものに限定されず、本発明を逸脱しない範囲内で変更可能である。
【0087】
<1.4.本実施形態の効果>
このように、本実施形態によれば、本来1つのDICOM画像ファイルであったものを、サーバー110と再生端末130間のネットワークの速度を基に、ファイルの分割サイズを決定し、連結情報をもつ複数のDICOM画像ファイルを生成し、提供する。これにより、従来の方法では、DICOM画像ファイル全体をダウンロードしなければ再生が開始できなかったものが、分割されたDICOMファイルの先頭のファイルをダウンロードするだけで再生を開始することができ、再生中に連結情報を基に次に再生すべきDICOM画像を特定し、再生と平行してダウンロードすることが可能となる。したがって、レスポンスのよい再生システムを提供することが可能となる。
【0088】
本実施形態によれば、特に医療分野において、例えば診断医による読影開始までの時間を大幅に短縮することとなり、ユーザビリティの向上に対しても効果がある。また、本実施形態に係るシステムまたは装置は、DICOM規格によるファイルフォーマットをそのまま利用することができるため、導入が容易である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像管理装置、画像再生装置、画像管理システム、画像再生方法およびプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0090】
100 画像管理システム
110 画像サーバー(画像管理装置)
111 データベース
112 通信部
113 データ検索部(検索部)
114 レポートデータ構築部
115 分割画像ファイル生成部
116 ネットワーク速度検出部(ネットワーク速度取得部)
117 データ書き込み部
120 モダリティ
130 再生端末(画像再生装置)
140 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像管理装置、画像再生装置、画像管理システム、画像再生方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場において、患者を撮影した医療画像をデジタル化する手段が実現されている。例えば、CR(Computed Radiography)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、超音波診断装置、内視鏡診断装置などがある。このような医療画像生成装置(以降、モダリティと呼ぶ。)は、いわゆる医療画像データを生成する。
【0003】
医療画像データは、デジタルデータであるため、ネットワーク上のデータベースによる管理が容易である。この管理システムとしては、PACS(Picture Archiving and Communication System)という医療画像管理システムが知られている。
【0004】
PACSにおいては、モダリティからの医療画像データを受信してデータベースに保存し、また画像ビューワなどのクライアントからの画像要求に応じて、特定の画像データをデータベースから検索しクライアントに送信することが可能である。このモダリティとPACS間の通信手順や、通信するデータ形式を取り決めた標準規格がDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)である。
【0005】
DICOMは、病院内外で、異なった製造業者(マルチベンダ)による異なった種類の装置(マルチモダリティ)からの医療画像データを、ネットワーク、あるいは画像データの記録媒体で、相互に転送、保存することを実現した業界標準規格である。管理コストの低減、診断精度の向上に貢献し、今現在もその汎用性が拡大されつつある。
【0006】
DICOM規格では、医療画像データのファイルフォーマットが規定されている。DICOMのファイルフォーマットは、医療画像データと、患者情報や検査内容などの画像データを説明する付帯情報とから構成され、ファイル単独で成立するフォーマットとなっている(以降、DICOM画像ファイルと呼ぶ。)。最新のDICOM規格のVersion3では、静止画データだけでなく動画像データも扱えるよう規格化されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】DICOM PS 3 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例においては、送信側が一連のデータファイルを送信し、そのデータファイルを受信側で受け取って、そのデータファイルを処理する場合において、受信側でそのデータファイルを速く処理し始めることができないという問題があった。
【0009】
すなわち、上記従来例においては、DICOM規格のファイルの送受信では、受信側ですべてのデータファイルの受信が完了しないと、このデータファイルの処理を開始できないため、受信側でそのデータファイルを速く処理し始めることができなかった。
【0010】
例えば、医療分野においては、検査結果を収めた長時間の医療画像データを1つのファイルにして、PACS等のサーバー装置から、ネットワークを介して、受信端末に送信する場合、受信側では、送信される医療画像データを見て、逸早く、患者の診断を行いたい場合がある。しかし、すべての医療画像データファイルの受信が完了するまでは長時間かかり、この画像を見始めることができなかったのである。
【0011】
そこで本発明は、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、第1の発明に係る画像管理装置は、ネットワークを介して画像再生装置と通信可能に接続された画像管理装置であって、検索部と、ネットワーク速度取得部と、分割画像ファイル生成部と、通信部と、を備える。検索部は、画像再生装置の要求に応じて画像ファイルを検索する。ネットワーク速度取得部は、画像再生装置とのネットワーク速度を取得する。分割画像ファイル生成部は、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。通信部は、分割画像ファイルを画像再生装置の要求に応じて順次送信する。
【0013】
ここでは、ネットワーク速度に応じて画像ファイルの分割サイズを決定し、分割した画像ファイルを再生装置に順次送信することにより、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限にできる。
【0014】
第2の発明に係る画像管理装置は、第1の発明の画像管理装置であって、分割画像ファイル生成部は、ネットワーク速度と画像ファイルのフレームレートとの比に基づいて、所定のサイズを演算する。
【0015】
ここでは、ネットワーク速度と画像ファイルのフレームレートとの比に基づいて、所定のサイズを演算することにより、画像再生装置の再生速度に合わせたサイズに画像ファイルを分割することができるため、画像再生効率を向上させる。
【0016】
第3の発明に係る画像管理装置は、第1の発明の画像管理装置であって、分割画像ファイル生成部は、Nをネットワーク速度、Wを、再生端末130による最初の画像ファイルの送信要求から画像ファイルの再生開始までの時間、Bを画像ファイルのフレームレートとすると、次の式により所定のサイズS(n)を計算する。
S(n)=Nn×W/Bn-1
【0017】
ここでは、特にネットワーク速度がフレームレートよりも大きい場合、分割画像ファイルのサイズは累積的に大きくなるよう分割されることになるため、効率よく画像を再生させることを可能にする。
【0018】
第4の発明に係る画像管理装置は、第1の発明の画像管理装置であって、分割画像ファイル生成部は、Nをネットワーク速度、Wを画像ファイルの再生開始までの時間、Bを画像ファイルのフレームレート、N>Bの場合はR=1、N≦Bの場合はR<N/Bとすると、次の式により所定のサイズS’(n)を計算する。
S'(n)=(Nn×W)/(Bn-1×R)
【0019】
ここでは、特にネットワーク速度がフレームレート以下である場合、分割画像ファイルのサイズは累積的に大きくなるよう分割されることになるため、効率よく画像を再生させることを可能にする。
【0020】
第5の発明に係る画像再生装置は、第1の発明から第4の発明のいずれか1つに係る画像管理装置と通信可能に設けられ、画像ファイルの検索要求を送信し、分割画像ファイルを受信する通信部と、画像ファイルを特定するための情報を入力するための入力部と、分割画像ファイルを表示する表示部と、分割画像ファイルを格納するメモリと、通信部、入力部、表示部およびメモリを制御する制御部と、を備える。制御部はさらに、分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを受信するよう制御する。
【0021】
ここでは、予め所定のサイズに分割された分割画像ファイルが画像管理装置より画像再生装置に順次送信され、画像再生装置は分割画像ファイルの再生と同時に次の分割画像ファイルを受信するよう制御するため、待ち時間なく画像を再生させることができる。
【0022】
第6の発明に係る画像管理システムは、第1の発明から第4の発明のいずれか1つに係る画像管理装置と、第5の発明に係る画像再生装置と、同画像管理装置と同画像再生装置とを接続するネットワークと、を備える。
【0023】
第7の発明に係る画像再生方法は、画像再生装置と、画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とを使用して、所定の画像ファイルを再生する画像再生方法であって、次の手順を備える。画像管理装置により、格納された画像ファイルを検索し、画像再生装置と画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。そして、画像再生装置により、分割画像ファイルを画像管理装置より受信し、受信した分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを画像管理装置から受信する。
【0024】
第8の発明に係る画像再生プログラムは、画像再生装置と、画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とに対し、所定の画像ファイルの再生を実行させる画像再生プログラムであって、次の処理を実行させる。画像管理装置により、格納された画像ファイルを検索し、画像再生装置と画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する。画像再生装置により、分割画像ファイルを画像管理装置より受信し、受信した分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを画像管理装置から受信する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明は、ネットワークを介して画像再生装置と通信可能に接続された画像管理装置であって、前記画像再生装置の要求に応じて画像ファイルを検索する検索部と、前記画像再生装置とのネットワーク速度を取得するネットワーク速度取得部と、検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する分割画像ファイル生成部と、分割画像ファイルを前記画像再生装置の要求に応じて順次送信する通信部と、を備える構成としたので、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限とすることを可能にした。
【0026】
すなわち、ネットワーク速度に応じて画像ファイルの分割サイズを決定し、分割した画像ファイルを再生装置に順次送信することにより、画像ファイルの再生処理において、画像ファイルの開始時間を早め、かつ再生待ち時間を最小限にできるのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一の実施形態に係る画像管理システムの構成図。
【図2】上記一の実施形態に係るサーバーの機能ブロック図。
【図3】DICOM画像ファイルの構成図。
【図4】上記一の実施形態に係るDICOM画像ファイルの構成図。
【図5】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルの構成図。
【図6】DICOM画像ファイルに含まれている情報の一例を示す図。
【図7】DICOM画像ファイルの連結情報の一例を示す図。
【図8】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルに含まれる情報の一例を示す図。
【図9】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルに含まれる情報の一例を示す図。
【図10】上記一の実施形態に係る分割画像ファイルに含まれる情報の一例を示す図。
【図11】画像ファイルの分割処理の流れを示すフローチャート。
【図12】画像ファイルの再生処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<1.画像管理システム100の概要>
以下に、本発明の一の実施形態に係る画像管理システム100の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
なお、以下に記述されている通常のアラビア数字(0、1から9)は、10進数で表記したものであり、16進数で表記する場合(0、1から9、AからF)、数字の接頭文字として“0x”を付与して数字を表記する(例えば10進数の10は、16進数では0xAと表記)。
【0030】
図1は、本実施形態に係る画像管理システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、画像管理システム100は、画像サーバー(画像管理装置)110と、モダリティ120と、再生端末(画像再生装置)130とがネットワーク140を介して接続され、それぞれがデータ通信可能なように接続されている。
【0031】
モダリティ120は、医療用画像を撮影し、DICOM画像ファイルを生成する医療画像生成装置である。モダリティ120は、生成したDICOM画像ファイルを画像サーバー110に送信する。
【0032】
画像サーバー110は、DICOM画像ファイルを保存し、管理する医療画像管理装置である。画像サーバー110は、モダリティ120から送信されたDICOM画像ファイルを受信し保存する。
【0033】
また、画像サーバー110は、再生端末130からのDICOM画像ファイル取得要求に対して、再生端末130までのネットワーク速度に応じて、1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルへ、論理的に分割し、再生端末130に対して送信する。ここで、分割されたそれぞれのDICOM画像ファイルには、付帯情報として、一連のDICOM画像ファイルの一部であることを示す連結情報を格納する。
【0034】
再生端末130は、DICOM画像ファイル情報に基づいて、医療画像や、その付帯情報を表示する装置である。再生端末130は、画像サーバー110に対して、患者情報等の各種付帯情報をキーワードとしてDICOM画像ファイルの検索要求を送信する。また、再生端末130は、分割されたDICOM画像ファイルを、分割されたDICOM画像ファイル内に格納された連結情報に基づいて、連結し、一のDICOM画像ファイルとして連続的に再生する。医師等のユーザーは、再生端末130において読影や診断を行う。
【0035】
なお、再生端末130は、ネットワーク140に対する通信インターフェースである通信部、RAMやROMなどの内部メモリや外部メモリを含む記憶部、画像データを表示するためのLCDなどの表示部、キーボート、タッチパネル、マウスなどの入力部およびこれらの各部を制御するCPUなどの制御部を備える、コンピュータ端末である。
【0036】
<1.1.画像サーバー110の構成>
図2は、本実施形態に係る画像サーバー110の機能構成例を示したブロック図である。
【0037】
図2によれば、本実施形態の画像サーバー110は、データベース111、通信部112、データ検索部(検索部)113、レポートデータ構築部114、ネットワーク速度検出部(ネットワーク速度取得部)116、およびデータ書き込み部117を備えている。
【0038】
データベース111は、DICOM画像ファイル群を保存するデータベースである。各モダリティから受信したDICOM画像ファイルは、このデータベース111に格納され管理される。なお、データベース111は、サーバー110内に設けられていてもよいし、あるいはデータベースサーバーなど別の装置に設けられネットワーク140に接続されていてもよい。
【0039】
通信部112は、ネットワーク140と接続され、ネットワーク140上の通信装置と画像データの送受信を行う機能ブロックである。送受信手段となる通信プロトコルには、DICOM規格により規定されているプロトコルを用いる。DICOM規格では、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いて通信を行うことが規定されている。
【0040】
本実施形態による通信部112は、最大通信速度100Mbpsの100BASE−TXとして知られるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.3u規格に対応したネットワークインターフェースとして説明する。ただし、画像サーバー110が接続するネットワークは、TCP/IPを用いて画像データを送受信することが可能なものならどのような方式でもよく、ここで示したものに限定されるものではない。例えば最大通信速度10Mbps、10BASE−Tとして知られるIEEE802.3に対応したネットワークインターフェースであってもよい。
【0041】
データ書き込み部117は、通信部112とデータベース111に接続されており、モダリティ120からネットワーク140を介して通信部112で受信したDICOM画像データを、データベース111に格納するブロックである。
【0042】
ネットワーク速度検出部116は、再生端末130から画像サーバー110に対して通信要求があった場合、画像サーバー110と再生端末130間のネットワーク通信速度を検出するブロックである。通信速度を検出する方法の一例としては、PING(Packet Internet Groper)コマンドを利用する方法がある。PINGは、インターネットやイントラネットなどのTCP/IPネットワークを診断するプログラムであり、診断したい端末のIPアドレスと送信するデータサイズを指定しコマンドを実行することにより、指定したデータサイズのデータの送信にどのくらい時間がかかるかを測定することができる。なお、ネットワーク速度は予め検出したものをメモリに格納しておき、必要に応じて取得するようにしてもよい。
【0043】
データ検索部113は、再生端末130からの検索要求に応じて、データベース111内から指定されたパラメータと一致するDICOM画像ファイルを検索するブロックである。なお、検索要求は、再生端末130を使用する医師等のユーザーが、例えば患者名、診察日、モダリティ等の画像ファイルを特定するパラメータを指定することにより、画像サーバー110に送信される。
【0044】
レポートデータ構築部114は、検索要求を送信した再生端末130に対して、データ検索部113によって検索されたDICOM画像ファイルを列挙したレポートデータを構築し、通信部112を利用して送信するブロックである。レポートデータ構築部114には、分割画像ファイル生成部115が組み込まれている。
【0045】
分割画像ファイル生成部115は、ネットワーク速度検出部116により検出された、画像サーバー110と検索要求を送信した再生端末130との間のネットワーク速度に基づいて、1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルへ論理的に分割するブロックである。1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルへ論理的に分割する方法の詳細については後述する。
【0046】
なお、上記画像サーバー110のデータ検索部113、レポートデータ構築部114、分割画像ファイル生成部115、ネットワーク速度検出部116、およびデータ書き込み部117の機能は、CPUなどの制御部がROMなどのメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0047】
<1.2.画像ファイルのフォーマット>
<1.2.1.DICOM規格によるフォーマット>
図3は、DICOM画像ファイル201のフォーマットを図示したものである。このフォーマットは、DICOM規格で規定されている。
図3のDICOM画像ファイル201は、複数のエレメントと呼ばれる情報要素から構成される。各エレメントはひとつの情報を保持するため、図3ではN個(Nは1以上の整数)のエレメントでDICOM画像ファイルが構成されていることを表している(図中202から204)。従って、患者情報や検査情報、医療画像データの内容が、それぞれエレメントとして管理され、一つのDICOM画像ファイルを構成している。画像データにどのDICOM情報の情報エレメントが必要かはモダリティによってDICOM規格で決められている。医療画像データはモダリティによって生成された画像データであり、例えば静止画であればJPEGファイルの内容、動画であれば、Motion−JPEGやMPEG形式のファイルの内容が保持されるが、本実施形態ではMPEG形式の動画像を対象とする。
【0048】
それぞれの情報エレメントは、IDを示すタグ部205、長さ部206、情報部207から構成されている。長さ部206は、情報部207の長さをバイト単位で保持しており、必要に応じて情報部207に水増し情報を追加するなどして、必ず偶数バイトになるようにDICOM規格で規定されている。
【0049】
タグ部205は、グループ番号208とエレメント番号209のそれぞれ2バイトのフィールドからなる二つの要素により構成され、情報のカテゴリ化を行うとともに、エレメントの内容を一意に特定することが可能な仕組みとなっている。グループ番号208およびエレメント番号209の番号とその内容は、DICOM規格で規定されている。また、タグ部205には、製造会社が独自のプライベート情報を付すことも可能であり、DICOM規格で規定された情報エレメントと利用者独自のプライベート情報エレメントとを混在させることが可能になっている(以降、必要であれば、このグループ番号208とエレメント番号209の組を数学の行列で表記する)。
【0050】
<1.2.2.画像ファイルの分割>
図4は、1つのDICOM画像ファイル301を、複数のDICOM画像ファイル(図5における310〜312)に分割する場合のイメージ図である。ここで、DICOM画像ファイルの分割方法を詳細に説明する。
【0051】
DICOM画像ファイルにおいて、画像データは、Pixcel Dataとして、(グループ番号、エレメント番号)=(0x7FE0、0x0010)の情報エレメントの情報部に格納される。図4における、DICOMヘッダ部302は、DICOM画像ファイル301の画像データ部以外を示している。即ち、DICOMヘッダ部302は、Pixcel Data以外の情報エレメントと、Pixcel Dataのタグ部および長さ部を含むものである。
【0052】
ここで、図2におけるネットワーク速度検出部116によって検出した画像サーバー110と再生端末130との間のネットワーク速度を、Nバイト/秒、画像ファイルの画像データのフレームレートをBバイト/秒とする。
【0053】
なお、画像データのフレームレートは、画像データの先頭部分のMPEGパケット内に記されたPresentation Time Stamp(以下、PTSと表記)と、末尾部分のMPEGパケット内に記されたPTSとの差と、Pixcel Dataエレメントの長さ部に格納された画像データのサイズから容易に算出することができる。
【0054】
さらに再生開始までの許容待ち時間をW秒と設定した場合、W秒後にはN×Wバイトの画像データが受信できることになる。また、N×Wバイトの画像データを通常速度で再生する場合の再生時間は、N×W/B秒である。このN×W/B秒間の再生時間には、N2×W/Bバイトの画像データが受信できることとなる。さらに、N2×W/Bバイトの画像データの通常速度での再生時間はN2×W/B2秒であり、同再生時間にはN3×W/B2バイトの画像データが受信できることになる。このように、通常速度での再生時間間隔でファイルを分割する場合、n番目の分割サイズS(n)バイトは、次の式1のように定義できる。
【0055】
S(n)=Nn×W/Bn-1 ・・・ (式1)
ただし、nは1以上の整数
また、DICOMヘッダ部のサイズは、動画像データのサイズに対して十分小さいものとして無視できるものとする。
【0056】
ここで、ネットワークの速度N<画像データのフレームレートBであった場合、通常速度で再生を行った場合、(式1)によると、nが大きくなるにつれて、S(n)が減少していくことになる。これを防ぐため、推奨再生速度R%を用いて(式1)を以下のように拡張する。
【0057】
S'(n)=(Nn×W)/(Bn-1×R)・・・ (式2)
ただし、nは1以上の整数
ここで、Rは下記のように設定するものとする。
【0058】
ネットワーク速度N>画像データのフレームレートBの場合、
R=100% (通常再生速度を推奨)
上記以外の場合、
R<N/B (通常再生速度に対してR%でのスロー再生を推奨)
を満たす値。
【0059】
すなわち、推奨再生速度R%は、画像サーバー110から転送される画像データの再生を行う際、画像データのフレームレートより、ネットワークの速度が遅かった場合においても、再生が破綻しない、すなわち、データの供給が再生に間に合う、ことを保障するものであり、通常再生速度に対する再生速度比率である。
【0060】
図4は、画像データ部303を、複数の画像データ部304〜305(以下、分割画像データ部と呼ぶ)に分割する場合のイメージ図である。図4では、分割画像データ部304と分割画像データ部305は、画像データ部303の先頭部分から連続した領域であり、画像データ部306は、画像データ部303の終端部分の1つを示している。すなわち、分割画像データ部305と分割画像データ部306との間には、複数に分割された他の分割画像データ部が存在していることを示す。また、この例は、画像データのフレームレートより、ネットワーク速度のほうが速い場合の例である。
【0061】
図4を例にとった場合、画像データ部303は、(式2)に基づき、S'(1)のサイズをもつ分割画像データ部304、S'(2)のサイズをもつ画像データ部305と続き、最後にS'(n)のサイズを持つ画像データ部306のように、n個の画像データ部に分割している。
【0062】
ここで、S'(1)〜S'(n)の和が画像データ部303のサイズを越える場合、n番目の画像データ部のサイズS'(n)は、次の式3で導かれる値とすることは自明である。
【0063】
S'(n)=画像データ部303のサイズ−ΣS'(x) ・・・ (式3)
ただし、x=1〜(n−1)
このようにして複数に分割した画像データ部を、個別の分割DICOM画像ファイルとして構成するためには、それぞれの画像データ部に対して、DICOMヘッダ部を付与する必要がある。
【0064】
図5は、分割画像データ部304〜306のそれぞれにDICOMヘッダ部307〜309を付与し、個別のDICOM画像ファイル310〜312を構成した例を示す。ここで、分割画像データ部304〜306を分割画像データ部304(a)〜306(a)と示している。これは、画像データ部303を物理的に別の複数ファイルへ分割するという対応方法だけでなく、ファイルシステム上、画像データ部303における、分割画像データ部304〜306の格納位置は変更せず、リンク情報としてそれぞれのDICOMヘッダ部に接続する方法を選択することも可能であることを意味している。
【0065】
次に、分割画像データ部304〜306に対しDICOMヘッダ部307〜309(以下、分割DICOMヘッダ部と呼ぶ。)を付与し、分割画像ファイルを構成する手段について説明する。
【0066】
<1.2.3.分割画像ファイルの生成>
図6は、DICOM画像ファイル301に含まれている情報の一例を示す。
【0067】
左からタグ部(グループ番号、エレメント番号)、長さ部、情報部を記述し、またそれぞれのタグの意味を説明の欄に記述している。長さ部は、情報部の具体的な長さをあらわしている。
【0068】
図6に示した例では、検査情報として、検査日が2009年2月28日、検査時刻が16時15分30.00秒、モダリティがMR検査(Magnetic Resonance)、製造者がPanasonic、患者名が松下太郎、そして1ギガバイト(1,000,000,000バイト)の画像データから構成されていることを示している。
【0069】
図7は、本実施形態において新たに追加する情報であり、複数に分割したDICOM画像ファイルを1つのDICOMファイルに統合させるための連結情報の構成例である。前述のようにDICOM規格では、情報エレメントとして独自定義のプライベート情報エレメントを持たせることが可能である。そこで、DICOMファイルの連結情報として、プライベート情報エレメントを利用する。この例では、プライベート情報予約用文字列、時系列的に前方のDICOM画像ファイルにおける検査時刻、本DICOM画像ファイルにおける検査時間、さらに推奨再生速度を、プライベート情報エレメントとして追加している。
【0070】
図8は、図6のDICOM情報に、図7のプライベート情報エレメントを追加したDICOM情報を用いて、図5の分割DICOMヘッダ部307を構成した例を示す。同様に図9、図10は、それぞれ、図5に示す分割DICOMヘッダ部308、309を構成した例である。このように、モダリティ、製造者、患者情報等の基本構成部分は全て共通としつつ、検査時刻+検査時間を、時系列的に後方となるDICOMファイルにおける検査時刻となるように、前方のDICOMファイルの検査時刻に、時系列的に前方となるDICOMファイルにおける検査時刻を格納することにより、DICOM画像ファイルとしての連結情報を構成することができる。
【0071】
なお、分割DICOMヘッダ部307〜309に格納される検査時間は、分割画像ファイル生成部115により、連結情報を生成する際に、付与される。例えば、図4に示すように、DICOM画像ファイル301のうちの画像データ部303を分割して分割画像データ部304〜306を生成する場合、各分割画像データ部のサイズに対応した時間を算出し、その算出した時間を各分割画像データ部の検査時間として取得する。
【0072】
また、連結される2番目以降の分割画像ファイルに付与される検査時刻は、前方ファイル検査時刻に同前方ファイルの検査時間を加算して、算出される。これにより、分割画像ファイルの検査時刻=前方ファイルの検査時刻+前方ファイルの検査時間、という分割画像ファイル間の時系列的な関係が、ヘッダ部の情報として格納される。よって再生端末130が、画像ファイルを再生する際に、この連結情報に基づき順次画像ファイルを再生することができる。
【0073】
<1.3.画像管理システム100による処理の流れ>
<1.3.1.画像ファイルの分割処理>
図11は、再生端末の130の要求により、画像サーバー110が検索結果であるレポートデータを送信するまでのフローチャートである。
【0074】
再生端末130は、ユーザーの入力操作により取得された患者情報、検査日、モダリティ等の情報に応じて、サーバー110に対しDICOM情報の取得要求(検索要求)を送信する(S001)。
【0075】
サーバー110は、通信部112を介してDICOM情報の取得要求を受信すると、ネットワーク速度検出部116により要求のあった再生端末130までのネットワーク速度を検出する(S002)。このネットワーク速度の検出は、DICOM情報の取得要求をトリガとして行ってもよいし、接続されている再生端末130のようなクライアントに対して定期的に問い合わせて検出するなどしてもよい。
【0076】
次にサーバー110は、データ検索部113により、再生端末130からの検索情報に応じてデータベース111から対応するDICOM画像ファイルを検索する(S003)。
【0077】
サーバー110は、所望のDICOM画像ファイルが検出できたかどうかの判定を行う(S004)。
サーバー110は、所望のDICOM画像ファイルが検出できなかった場合は、対応するDICOM画像ファイルがデータベース111内に存在しない旨を記したレポートデータを構築し(S007)、レポートデータとして再生端末に通知する(S008)。
【0078】
一方、サーバー110は、所望のDICOM画像ファイルが検出できた場合、分割画像ファイル生成部115によって、S002で検出したネットワークの速度と、計算したフレームレートとに基づき、(式2)を演算し、ファイルの分割サイズを決定する。この分割サイズに従って、1つのDICOM画像ファイルを複数のDICOM画像ファイルに分割する(S005)。そして、分割画像ファイル生成部115は、レポートデータ構築部114により、レポートデータを構築し(S006)、通信部112を介してそのレポートデータを再生端末130に通知する(S008)。
【0079】
再生端末130に送信されたレポートデータは、再生端末130の記憶部に格納される。
なお、上記処理手順は、上記のものに限定されず、本発明を逸脱しない範囲内で変更可能である。
【0080】
<1.3.2.画像ファイルの再生処理>
図12は、サーバー110側で複数のファイルに分割されたDICOM画像ファイルを連続して再生する際のフローチャートである。ここでは便宜上、nという初期値1のパラメータを用いて説明を行う。
【0081】
まず、再生端末130は、1番目(n番目:n=1)、すなわち、先頭となるDICOM画像ファイルの取得要求をサーバー110に対して送信する(S101)。どのDICOM画像ファイルが先頭となるかは、サーバー110から送信されメモリなどに格納されたレポートデータを参照することにより確定できる。
【0082】
サーバー110は、DICOM画像ファイルの取得要求に応答し、要求されたDICOM画像ファイルを読み出し、送信する(S102)。
再生端末130は、要求したDICOM画像ファイルの受信が完了した時点で再生が可能となるため、ここで、1番目(n番目:n=1)のDICOM画像ファイルを推奨再生速度で再生を開始する(S103)。
【0083】
1番目(n番目:n=1)のDICOM画像ファイルに連結情報が存在する場合、すなわち、時系列的に続きとなるDICOM画像ファイルが存在する場合、再生端末130は、2番目(n+1番目:n=1)のDICOM画像ファイルの取得をサーバー110に対し要求する(S105)。
【0084】
サーバー110は、DICOM画像ファイルの取得要求に応答し、要求された2番目(n+1番目:n=1)のDICOM画像ファイルを読み出し、送信する(S106)。
再生端末130は、1番目(n番目:n=1)のDICOM画像ファイルの再生が終了するのを待ち(S107)、nをカウントアップ(n=2)し(S108)、2番目(n番目:n=2)のDICOM画像ファイルを推奨再生速度で再生を開始する(S103)。
【0085】
このように、n番目のDICOM画像ファイルに連結情報が存在しなくなるまでS103からS108の処理を行うことにより、複数ファイルに分割されたDICOM画像ファイルを再生待ち時間を要することなく連続して再生することができる。
【0086】
なお、上記再生端末130の処理は、制御部が、ROMなどのメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより実現される。また、上記処理手順は、上記のものに限定されず、本発明を逸脱しない範囲内で変更可能である。
【0087】
<1.4.本実施形態の効果>
このように、本実施形態によれば、本来1つのDICOM画像ファイルであったものを、サーバー110と再生端末130間のネットワークの速度を基に、ファイルの分割サイズを決定し、連結情報をもつ複数のDICOM画像ファイルを生成し、提供する。これにより、従来の方法では、DICOM画像ファイル全体をダウンロードしなければ再生が開始できなかったものが、分割されたDICOMファイルの先頭のファイルをダウンロードするだけで再生を開始することができ、再生中に連結情報を基に次に再生すべきDICOM画像を特定し、再生と平行してダウンロードすることが可能となる。したがって、レスポンスのよい再生システムを提供することが可能となる。
【0088】
本実施形態によれば、特に医療分野において、例えば診断医による読影開始までの時間を大幅に短縮することとなり、ユーザビリティの向上に対しても効果がある。また、本実施形態に係るシステムまたは装置は、DICOM規格によるファイルフォーマットをそのまま利用することができるため、導入が容易である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像管理装置、画像再生装置、画像管理システム、画像再生方法およびプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0090】
100 画像管理システム
110 画像サーバー(画像管理装置)
111 データベース
112 通信部
113 データ検索部(検索部)
114 レポートデータ構築部
115 分割画像ファイル生成部
116 ネットワーク速度検出部(ネットワーク速度取得部)
117 データ書き込み部
120 モダリティ
130 再生端末(画像再生装置)
140 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して画像再生装置と通信可能に接続された画像管理装置であって、
前記画像再生装置の要求に応じて画像ファイルを検索する検索部と、
前記画像再生装置とのネットワーク速度を取得するネットワーク速度取得部と、
検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する分割画像ファイル生成部と、
分割画像ファイルを前記画像再生装置の要求に応じて順次送信する通信部と、
を備える、画像管理装置。
【請求項2】
前記分割画像ファイル生成部は、前記ネットワーク速度と前記画像ファイルのフレームレートとの比に基づいて、前記所定のサイズを演算する、
請求項1に記載の画像管理装置。
【請求項3】
前記分割画像ファイル生成部は、Nを前記ネットワーク速度、Wを前記画像ファイルの再生開始までの時間、Bを前記画像ファイルのフレームレートとすると、次の式により前記所定のサイズS(n)を計算する、
S(n)=Nn×W/Bn-1
請求項1に記載の画像管理装置。
【請求項4】
前記分割画像ファイル生成部は、Nを前記ネットワーク速度、Wを前記画像ファイルの再生開始までの時間、Bを前記画像ファイルのフレームレート、N>Bの場合はR=1、N≦Bの場合はR<N/Bとすると、次の式により前記所定のサイズS’(n)を計算する、
S'(n)=(Nn×W)/(Bn-1×R)
請求項2に記載の画像管理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像管理装置と通信可能に設けられ、前記画像ファイルの検索要求を送信し、前記分割画像ファイルを受信する通信部と、
前記画像ファイルを特定するための情報を入力するための入力部と、
前記分割画像ファイルを表示する表示部と、
前記分割画像ファイルを格納するメモリと、
前記通信部、前記入力部、前記表示部および前記メモリを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを受信するよう制御する、
画像再生装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像管理装置と、
請求項5に記載の画像再生装置と、
前記画像管理装置と前記画像再生装置とを接続するネットワークと、
を備える、画像管理システム。
【請求項7】
画像再生装置と、前記画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とを使用して、所定の画像ファイルを再生する画像再生方法であって、
前記画像管理装置により、
格納された画像ファイルを検索し、
前記画像再生装置と前記画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、
検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成し、
前記画像再生装置により、
前記分割画像ファイルを前記画像管理装置より受信し、
受信した前記分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを前記画像管理装置から受信する、
画像再生方法。
【請求項8】
画像再生装置と、前記画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とに対し、所定の画像ファイルの再生を実行させる画像再生プログラムであって、
前記画像管理装置により、
格納された画像ファイルを検索し、
前記画像再生装置と前記画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、
検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する、
ことを実行させ、
前記画像再生装置により、
前記分割画像ファイルを前記画像管理装置より受信し、
受信した前記分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを前記画像管理装置から受信する、
ことを実行させる、
画像再生プログラム。
【請求項1】
ネットワークを介して画像再生装置と通信可能に接続された画像管理装置であって、
前記画像再生装置の要求に応じて画像ファイルを検索する検索部と、
前記画像再生装置とのネットワーク速度を取得するネットワーク速度取得部と、
検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する分割画像ファイル生成部と、
分割画像ファイルを前記画像再生装置の要求に応じて順次送信する通信部と、
を備える、画像管理装置。
【請求項2】
前記分割画像ファイル生成部は、前記ネットワーク速度と前記画像ファイルのフレームレートとの比に基づいて、前記所定のサイズを演算する、
請求項1に記載の画像管理装置。
【請求項3】
前記分割画像ファイル生成部は、Nを前記ネットワーク速度、Wを前記画像ファイルの再生開始までの時間、Bを前記画像ファイルのフレームレートとすると、次の式により前記所定のサイズS(n)を計算する、
S(n)=Nn×W/Bn-1
請求項1に記載の画像管理装置。
【請求項4】
前記分割画像ファイル生成部は、Nを前記ネットワーク速度、Wを前記画像ファイルの再生開始までの時間、Bを前記画像ファイルのフレームレート、N>Bの場合はR=1、N≦Bの場合はR<N/Bとすると、次の式により前記所定のサイズS’(n)を計算する、
S'(n)=(Nn×W)/(Bn-1×R)
請求項2に記載の画像管理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像管理装置と通信可能に設けられ、前記画像ファイルの検索要求を送信し、前記分割画像ファイルを受信する通信部と、
前記画像ファイルを特定するための情報を入力するための入力部と、
前記分割画像ファイルを表示する表示部と、
前記分割画像ファイルを格納するメモリと、
前記通信部、前記入力部、前記表示部および前記メモリを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを受信するよう制御する、
画像再生装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像管理装置と、
請求項5に記載の画像再生装置と、
前記画像管理装置と前記画像再生装置とを接続するネットワークと、
を備える、画像管理システム。
【請求項7】
画像再生装置と、前記画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とを使用して、所定の画像ファイルを再生する画像再生方法であって、
前記画像管理装置により、
格納された画像ファイルを検索し、
前記画像再生装置と前記画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、
検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成し、
前記画像再生装置により、
前記分割画像ファイルを前記画像管理装置より受信し、
受信した前記分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを前記画像管理装置から受信する、
画像再生方法。
【請求項8】
画像再生装置と、前記画像再生装置とネットワークを介して通信可能に接続された画像管理装置とに対し、所定の画像ファイルの再生を実行させる画像再生プログラムであって、
前記画像管理装置により、
格納された画像ファイルを検索し、
前記画像再生装置と前記画像管理装置との間のネットワーク速度を取得し、
検索した画像ファイルを、取得したネットワーク速度に応じて所定のサイズに分割して分割画像ファイルを生成する、
ことを実行させ、
前記画像再生装置により、
前記分割画像ファイルを前記画像管理装置より受信し、
受信した前記分割画像ファイルを再生すると同時に、次の分割画像ファイルを前記画像管理装置から受信する、
ことを実行させる、
画像再生プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−253189(P2010−253189A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109696(P2009−109696)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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