画像蓄積システム
【課題】 少ない台数の画像撮影装置10により、街頭に多数のカメラを固定的に設置した監視システムと同様に、広範囲のエリアの画像を記憶蓄積し、画像の特徴に応じて事後的に利用することができるようにする。
【解決手段】 移動体1に設けられた画像撮影装置10は、画像撮像手段が撮影する画像を特徴付ける付加情報を取得し、付加情報を画像管理装置20へ送信して画像管理装置20から画像要求があると、画像撮像手段が画像を撮影して画像管理装置20へ送信する。画像管理装置20では、受信した付加情報と画像とを対応付けて記憶蓄積し、端末装置50から付加情報による指定を含む指示を受信すると、該当する画像を端末装置50へ送信して閲覧可能とする。
【解決手段】 移動体1に設けられた画像撮影装置10は、画像撮像手段が撮影する画像を特徴付ける付加情報を取得し、付加情報を画像管理装置20へ送信して画像管理装置20から画像要求があると、画像撮像手段が画像を撮影して画像管理装置20へ送信する。画像管理装置20では、受信した付加情報と画像とを対応付けて記憶蓄積し、端末装置50から付加情報による指定を含む指示を受信すると、該当する画像を端末装置50へ送信して閲覧可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、船舶、航空機などといった移動体に画像撮影装置を設け、この画像撮影装置により撮影された画像を当該画像と特徴付ける付加情報に対応付けて記憶・蓄積する画像蓄積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラを固定的に設置して、カメラで撮影した画像により遠隔の監視室で監視したり、この画像を記録保持したりするシステムが実用されている。
また、車両や航空機などの移動体にカメラを搭載し、移動体の運航中にカメラで画像を撮影して記録しておくことにより、移動体に事故があったときに事後的に、記録した画像を事故原因の解析に利用できるようにしたシステムが実用されている。
【0003】
また、特許文献1に記載されるように、会員登録がなされた車両に撮像手段、位置情報取得手段、及び情報通信手段を設け、他の会員が所望する位置に存する車両が撮影した画像をセンタを介して取得して閲覧できるようにしたシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−179553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラで撮影した動画又は静止画の画像を記録して、この画像を監視などの用途に使用できるようにしたシステムを構築する場合、カメラを固定して設置すると、画像を撮影できる範囲が限られることから、広範囲な監視を行うことができない。
これに対して、多数のカメラを固定的に設置すれば、カメラの台数に応じて監視できる範囲が拡大されるが、カメラの台数に応じてシステムのコストが増大する。また、如何にカメラの台数を多くしたとしても、現実的には、広範囲の画像を隈無く撮影することは困難である。
【0006】
また、多数のカメラを固定設置すると、これらカメラが不特定多数の人の目に触れるため、プライバシーの侵害などの不快感を与えるシステム構成となってしまう。
また、上空や海上など地上以外の場所は、カメラを固定的に設置することが不可能なため、地上にいながらこのような場所の画像を見ることはできない。
【0007】
上記特許文献1に記載されたシステムでは、車両に搭載したカメラで撮影した画像を他の会員が見ることができるが、車両が存するその時点の場所の画像を遠隔地で見ることができると言うだけで、撮影された画像を監視や事後確認のために利用するための工夫がなされていない。
【0008】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、固定設置したカメラを用いる場合の問題を解決し、しかも、撮影された画像を監視や事後確認などのために利用できるようにした画像蓄積システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像蓄積システムは、移動体に設けられた画像撮影装置と、画像と当該画像を特徴付ける付加情報とを対応付けて蓄積する画像管理装置と、を備えている。
この画像蓄積システムでは、車両、船舶、航空機、携帯電話機などといった存在場所が変化する移動体において、画像撮影装置により画像が撮影され、また、この画像を特徴付ける付加情報が取得される。そして、画像撮影装置から、先ず付加情報が画像管理装置へ送信され、この付加情報に基づいて画像管理装置が画像を要求した場合、当該付加情報に対応する画像を画像管理装置へ送信する。
画像管理装置では、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶蓄積し、利用者が操作する端末装置などから付加情報による指定を含む指示があると、これに応じて記憶蓄積されている対応する画像を出力する。
【0010】
具体的には、画像撮影装置は、画像を撮影する画像撮像手段と、画像撮像手段が撮影する画像を特徴付ける付加情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した付加情報を無線区間を介して画像管理装置へ送信する付加情報送信手段と、画像管理装置からの要求を受信する要求受信手段と、画像管理装置からの要求に応じて付加情報に対応する画像を無線区を介して画像管理装置へ送信する画像送信手段と、を有し、また、画像管理装置は、画像撮影装置から付加情報を受信する付加情報受信手段と、受信した付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定する判定手段と、判定手段が要と判定した画像の要求を画像撮影装置へ送信する要求送信手段と、画像撮影装置から画像を受信する画像受信手段と、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段と、付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段と、を有している。
【0011】
本発明では、多数の移動体に画像撮影装置を設け、これら移動体で撮影された画像を付加情報と対応付けて画像管理装置に蓄積するのが好ましく、これによって、撮影した場所、撮影した方位、撮影した時刻など特徴の異なる多種多様な画像を画像管理装置に蓄積することができるが、これに限定されることなく、1つの移動体に画像撮影装置を設けただけであってもよく、これによっても、移動体は移動するので、上記のような特徴の異なる多種多様な画像を画像管理装置に蓄積することができる。
【0012】
本発明では、撮影した画像を特徴付ける付加情報として、撮影した位置、撮影した方位、撮影した時刻などを選択的に用いることができる他、移動体(すなわち、画像撮影装置)を識別できる識別情報(ID)、撮影したときに画像撮影装置の操作者が付加した重要度の情報なども選択的に用いることができる。
そして、記憶蓄積された画像を表示して利用する場合、例えば、位置情報と時刻情報を用いることにより、当該位置を含む予め設定した範囲(エリア)で撮影された多数の画像を時系列で表示出力することができ、また、方位情報と時刻情報とを用いることにより、或る時刻において一定の方向から撮影した画像を表示出力することができ、また、移動体識別情報を用いることにより、パトロールカーなどといった特定の種類の移動体により撮影された画像だけを表示出力することができ、また、重要度情報を用いることにより、重要度の高い画像だけを表示出力することができる。
【0013】
なお、本発明では、GPS、方位センサ、時計などを専用に設けて、これらから撮影した場所、方位、時刻を取得するようにしてもよいが、車両などの移動体に設けられているナビゲーションシステムから位置や方位を所得したり、同様に移動体に設けられている時計から時刻を取得するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明では、画像撮影装置が所定の周期で自動的に画像を撮影して、画像管理装置に画像が自動的に蓄積されるようにするのが好ましいが、必要なときに操作者が画像撮影装置を操作して画像を撮影して、画像管理装置に画像が蓄積されるようにしてもよい。
また、本発明は、静止画又は動画のいずれを撮影して記憶蓄積するようにしてもよく、コマ落としのような間欠画像の所定時間の組を1つの画像として扱ってもよい。
また、画像撮影装置は移動体に設けられていることから、画像撮影装置は無線通信により情報通信するが、画像管理装置に至る途中の区間では有線回線を用いた有線通信により情報通信するようにしてもよい。
【0015】
本発明では、画像管理装置が付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定することにより、必要性の乏しい画像の送信処理や記憶蓄積処理を省いて、システム構成の簡素化や運用の迅速化を実現しているが、この判定基準としては、既に記憶されている画像と、撮影位置(場所)、撮影方位、撮影時刻などが同一又は予め設定した類似する範囲の画像は不要とする、或いは、予め設定した範囲の位置、方位、時刻などの画像は不要とする、などと言ったように、システムの使用目的に応じて必要性の有無の観点から任意に設定することができる。
【0016】
また、本発明では、画像管理装置が受信した画像を付加情報に対応付けて記憶するが、付加情報に応じて、例えば、同一類似の場所の画像は撮影時間による時系列で整理して記憶する、といったように分類や整理をつけて記憶するようにすれば、付加情報に基づいて記憶蓄積された画像を検索出力するに好適であるが、このような分類整理づけを行なって記憶させずとも、付加情報に基づいて記憶蓄積された画像を検索出力することができるから、付加情報と画像とが対応付けられていればよい。
【0017】
また、本発明に係るシステムでは、典型的には、画像管理装置の外部の利用者が使用する端末装置から入力された付加情報による指定を含む指示に応じて、記憶手段に記憶されている対応する画像を出力し、当該端末装置において当該画像を表示出力するが、このような構成に限定されず、画像管理装置が自ら対応する画像を表示出力して、画像管理装置を使用する管理者に提示するようにしてもよい。
【0018】
本発明では、上記に処理に加えて、通信障害などに対処する画像の再送処理を行なう。
具体的には、画像管理装置は、画像撮影装置から画像を受信するに応じて当該画像撮影装置へ応答を送信する応答手段を有し、画像撮影装置は、画像管理装置から応答を受信しないときは送信した画像をメモリに保持して、応答を受信した後に当該画像を再送する。
【0019】
更に、本発明では、画像管理装置及び画像撮影装置に加えて、利用者が使用する端末装置を備えた構成とすることができる。
具体的には、端末装置は、付加情報による指定を含む指示を画像管理装置へ出力する出力手段と、画像管理装置から出力された画像を入力する入力手段と、入力された画像を表示する表示手段と、を有する装置とする。
【0020】
蓄積記憶された画像を表示出力して利用する場合、端末装置や画像管理装置の表示出力手段は、利用者や管理者に対するインタフェースとなるが、本発明では、表示出力手段を次のような構成としてもよい。
画像管理装置が位置情報(付加情報)に基づいて記憶蓄積する画像を所定の位置範囲(エリア)毎に分類する、或いは、端末装置や画像管理装置が表示出力する際に同様な分類することにより、表示出力手段の画面にエリア毎の画像の蓄積量を表示する。
具体的には、位置情報(付加情報)による指定を含む指示に基づいて、表示出力手段はその画面に、当該位置を含むエリア及び周辺のエリアの地図を表示し、当該地図のエリア毎をそこに対応して記憶蓄積されている画像の数に応じて視覚的に識別できる態様の変化(濃淡の差をつける、色彩を異ならせる、記憶蓄積数を表示するなど)をもたせて表示する。
【0021】
更には、付加情報に含まれる移動体の識別情報(ID)を利用して、画面上の地図中に各移動体(カメラ)が存する位置を表示するようにしてもよい。
また、画像管理装置或いは端末装置が移動体に移動指示を送信するようにしてもよく、例えば記憶蓄積された画像が少ないエリアや記憶蓄積された画像が無いエリアなど画像の必要性が高いエリアに移動体を移動させる移動指示を送信して、当該エリアで撮影された画像を画像管理装置が記憶蓄積するようにしてもよい。
【0022】
また、画像を撮影するカメラ(画像撮像手段)は移動体に設けられることから、移動体の移動による撮影画像のぶれに対処するのが好ましい。この対処方法として、前後左右、上下の振動に対する公知のぶれ補正手段をカメラに設けるようにすればよいが、移動体の移動速度は比較的速いことから、前後方向のぶれは、通常の振動などによるぶれより大きくなるため、取得手段で取得した移動体の移動速度や移動方向に基づいて、カメラの電動レンズやカメラを指示する電動雲台を制御して、画像ぶれを防止するのが好ましい。
【0023】
なお、本発明は、記憶蓄積された画像を付加情報により利用価値の高いものとすることができる発明ということができることから、次のような構成とすることもできる。
移動体に設けられた画像撮影装置と、画像を蓄積する画像管理装置と、を備えた画像蓄積システムであって、画像撮影装置は、画像を撮影する画像撮像手段と、画像撮像手段が撮影した画像を特徴付ける付加情報を取得する取得手段と、画像撮像手段が撮影した画像に当該画像を特徴付ける付加情報を付加する付加手段と、付加情報が付加された画像を無線区間を介して画像管理装置へ送信する送信手段と、を有し、画像管理装置は、付加情報が付加された画像を受信する受信手段と、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段と、付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段と、を有していることを特徴とする画像蓄積システム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、移動体に設けた画像撮影装置により画像を撮影し、当該画像を付加情報に対応付けて記憶蓄積するので、少ない台数の画像撮影装置により、例えば街頭に多数のカメラを固定的に設置した監視システムと同様に、広範囲のエリアの画像を記憶蓄積でき、しかも、付加情報に基づいて記憶蓄積された画像を画像の特徴に応じて事後的に利用することができる。
更に上記に加えて、本発明によれば、画像撮影装置により撮影した画像を画像管理装置へ送信するに先だって、当該画像を特徴付ける付加情報により記憶蓄積する画像の要否を判定するようにしているので、記憶蓄積の必要性に乏しい画像の通信に要する処理負担や記憶蓄積に要する処理負担を省いて、システム構成の簡素化やシステム運用の迅速化を実現することができる。
【0025】
本発明では、固定カメラで撮影された画像のように利用者へ提供することが可能となり、また、移動体にカメラが設置されているため、人の目には触れにくく監視カメラによる威圧感も軽減され、また、移動体で画像を撮影するため、上空や海上といったカメラ設置が不可能な場所の画像も閲覧することが可能である。
また、本発明では、移動体に搭載されたカメラで撮像された画像を場所別に時系列で管理することで、監視者(サービス利用者)に、固定カメラで撮影された映像のように提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像蓄積システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像撮影装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像管理装置(蓄積・配信サーバ)の構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像の記憶態様を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る端末装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像ぶれを防止する方法を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像撮影装置(カメラ)と画像管理装置(蓄積・配信サーバ)との通信を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像撮影装置の処理を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像管理装置(蓄積・配信サーバ)の処理を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像の利用態様の一例を説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る端末装置の画面表示を説明する図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る画像管理装置(蓄積・配信サーバ)の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る画像蓄積システムを、その一実施形態に基づいて具体的に説明する。
なお、以下に説明する一実施形態では静止画像を撮影して記憶蓄積するが、本発明は、動画像を撮影して記録蓄積するシステムとして構成することもできる。また、以下に説明する一実施形態では移動体としてパトカー、救急車、タクシー、警備車両などの自動車を用いているが、本発明は、このように陸上を移動する移動体の他に、船舶や航空機を移動体として用いることもでき、また、利用者が携行するカメラ付き携帯電話機を移動体として用いることもできる。
【0028】
本実施形態は、パトカー、救急車、タクシーなどと言った様々な種類の多数の車両を用いて、サービス提供事業者が携帯情報端末装置やパーソナルコンピュータなどの情報端末装置を操作する利用者に、画像を提供するシステムとして構成されている。
図1に示すように、車両1には画像を撮影する画像撮影装置10が設けられ、また、サービス提供事業者2には画像蓄積配信サーバ20が画像管理装置として設けられている。なお、サービス提供事業者2には、サービスを提供するためのWEB画面を配信するシステム管理サーバ(WEBサーバ)30や、全ての画像撮影装置(カメラ)10の時刻同期を行なうためのNTPサーバ40も設けられている。
【0029】
また、画像撮影装置10と無線接続される無線中継局(アクセスポイント)3が複数設けられており、無線中継局3はインターネット網4を介してサービス提供事業者2の画像蓄積配信サーバ20、システム管理サーバ(WEBサーバ)30、NTPサーバ40に接続される。なお、図中の5は、画像蓄積配信サーバ20、システム管理サーバ(WEBサーバ)30、NTPサーバ40への通信情報を制御するルータである。
したがって、車両1に設けられた画像撮影装置10は、無線区間を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20に接続され、画像や付加情報などの情報を通信する。
【0030】
また、サービス提供事業者2の各装置には、インターネット網4を介して利用者が操作する端末装置50が接続される。なお、本実施形態では、通信機能を有するパーソナルコンピュータや携帯無線通信端末が端末装置50として用いられ、携帯無線通信端末と無線通信するための無線中継局6がインターネット網4との間に設けられている。
【0031】
図2に示すように、画像撮影装置10は、静止画像を撮影するカメラ(画像撮像手段)11、画像撮像手段11が撮影する画像を特徴付ける付加情報(位置、方位、時刻、カメラID、重要度など)を取得する取得手段12、無線中継局3と無線通信を行なう無線通信機13、操作者からの入力を受け付ける操作手段14、画像撮影装置10に備えられた各機能を制御するとともに所定の処理を行なう制御手段15を備えており、無線通信機13には画像の再送処理に用いるメモリ16が設けられている。
【0032】
撮像手段11は制御手段15の制御により、例えば5分毎といったように、所定の周期で画像を撮影する。
取得手段12は、時計、GPS端末、方位センサを備えて、時刻、位置、方位を取得する他、操作手段14から入力された重要度の情報を取得し、図外のメモリに予め設定されたカメラIDを取得する。更に、取得手段12は、車両1の速度計から、当該車両の走行速度を取得する。
【0033】
なお、上記カメラIDは各画像撮影装置10を識別する情報であり、画像撮影装置10を搭載する車両とカメラIDとの対応付けを用いることにより、カメラIDにより、それを搭載した各車両や車両の種類を特定することができる。
また、画像撮影装置10とサービス提供業者2との高精度な時間同期を図るため、時計は、通信網を経由してNTP(Network Time Protocol)サーバ40と自動同期されるのが好ましい。
【0034】
ここに、制御手段15の制御により、撮像手段11が画像を撮影したときの付加情報(位置、方位、時刻、カメラID、重要度など)を取得手段12が取得し、この取得された付加情報は無線通信機13により無線中継局3、インターネット網4を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20へ送信され、これら機能を実行する手段により付加情報送信手段が構成されている。
【0035】
また、制御手段15の制御により、無線通信機13が無線中継局3、インターネット網4を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20から送信された画像要求を受信し、これら機能を実行する手段により要求受信手段が構成されている。
【0036】
また、制御手段15の制御により、画像管理装置20からの要求に応じて、既に送信した付加情報に対応する画像が無線通信機13により無線中継局3、インターネット網4を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20へ送信され、これら機能を実行する手段により画像送信手段が構成されている。
【0037】
ここで、制御手段15には、本実施形態では、制御手段15は、画像管理装置20からの要求に応じて撮像手段11による画像の撮影を行なわせるが、後述するように、画像を撮影した時点の付加情報を用いる場合には、制御手段15には、付加情報の送信から画像を送信するまでの間に送信対象となる画像を一時的に保持するメモリが設けられている。
なお、画像管理装置20からの要求に応じて撮像手段11による画像の撮影を行なわせる場合、撮像手段11が周期的に撮影するスケジュールにおいて、取得した付加情報は周期的に画像管理装置20へ送信し、画像管理装置20からの要求があったときにだけ、撮像手段11が対応する画像の撮影スケジュールを実行するようにすればよい。
【0038】
撮像手段11には、レンズのピント合わせや絞り調整を電動で行なう機能と、撮像装置(カメラ)11の撮影方向や向きを電動で変更させるカメラ雲台機能が備えられており、制御手段15は、車両1から取得した速度情報に基づいて、撮像手段11の撮影のタイミングで、カメラ雲台やレンズの制御を行なって、撮影画像のぶれを防止する。
カメラ11は定周期に静止画を撮影するため、撮影直前にカメラ11から制御手段15に撮影開始信号を送信し、制御手段15はこの信号を受信すると現在の車両速度とカメラの方位からカメラ雲台とレンズの制御を実施し、カメラ11は制御手段15からの制御信号を受けて撮影を開始する。
なお、移動体が鉄道車両である場合、位置情報をキロ程情報から得てもよい。
【0039】
図6には、撮影画像のぶれ防止を説明するため、撮影時の移動体搭載カメラ11の撮影画角を示してある。
撮影直前のカメラ11の画角の水平角度をθ、撮影終了時のカメラ11の画角の水平角度をφ、カメラ11の静止画撮影中の移動距離をY、カメラ11から被写体までの距離をL、被写体位置における水平画角(水平距離)をX、撮影時の移動体の移動速度をV、静止画の撮影時間をTとして、θの二等辺三角形からXを求めると、X=2Ltan(θ/2・・・(式1)であり、φの二等辺三角形からXを求めると、X=2L−Y)tan(φ/2=2L−VT)tan(φ/2・・・(式2)である。
【0040】
そして、(式1)と(式2)から、Ltan(θ/2= (L−Y)tan(φ/2、すなわち、tan(φ/2={L/(L−Y}tan(θ/2であるから、φ= tan-1 [{L/(L−Y}tan(θ/2)]・・・(式3)である。
したがって、移動体が直進しながら静止画を撮影する場合、移動体の移動速度V(=Y/T)に応じて、制御手段15が、現在のカメラ画角の水平角度θから水平角度φにするよう電動レンズのズーム制御を実施することにより、移動中でも映像変化を抑えることができ、静止画のぶれの低減を図ることができる。
【0041】
図3に示すように、画像蓄積配信サーバ(画像管理装置)20は、画像や付加情報などの情報をルータ5を介して通信する通信手段21、画像撮影装置10から受信した付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定する判定手段22、判定手段22が要と判定した画像の要求を通信手段21を介して該当する画像撮影装置10へ送信する要求送信手段23、受信した画像をその付加情報に基づいて分類して当該付加情報に対応付けてデータベースメモリ25に記憶する分類手段24、通信手段21で受信した付加情報による指定を含む指示にを受け付ける指示受付手段26、受け付けた指示に応じてデータベースメモリ2に記憶されている付加情報に対応する画像を検索して通信手段21により指示元に送信する検索手段27、地図を保持した地図データベース28を備えており、検索手段27により検索された画像に対応する必要なエリアの地図が検索された画像に対応して送信される。
【0042】
なお、通信手段21には、画像撮影装置10から画像を受信したことに応じて画像受信応答を当該画像撮影装置10へ送信する応答手段29を有している。
また、上記の通信手段21が画像撮影装置10から付加情報を受信する付加情報受信手段及び画像を受信する画像受信手段を構成し、分類手段24とデータベースメモリ25が受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段を構成し、指示受付手段26及び検索手段27及び通信手段21が付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段を構成している。なお、画像管理装置20が、検索された画像を画面表示する場合は、この表示画面は出力手段を構成する。
【0043】
ここに、本実施形態では、分類手段24が、受信した画像を付加情報に基づいて、例えば同じ撮影位置(或いは、当該位置を含む所定の面積のエリア)でまとめるといったように、予め整理付けてデータベースメモリ25に記憶するが、図4に示すように画像と当該画像を特徴付ける付加情報の対応付けがなされて記憶されていれば、後に所望の画像を付加情報に基づいて検索することができるので、本発明では、分類手段24を廃して、受信した画像をその付加情報と対応付けてデータベースメモリ25に記憶蓄積する態様としてもよい。
【0044】
本実施形態では、付加情報として、各画像撮影装置を識別するカメラID、画像を撮影する位置、画像を撮影した方位、画像を撮影する時刻、画像を撮影するときに撮影現場の操作者により入力された重要度が用いられ、当該付加情報が撮影する画像に対応付けて処理されるが、付加情報としては、これらの一部を採用してもよく、また、これら以外に、監視や状況確認をするために、特徴の異なる画像がどの程度必要性があるかの観点から、種々な情報を用いることができる。
なお、カメラIDは、画像管理装置20が、画像撮影装置10を搭載する移動体の種類との対応を管理することにより、パトロールカーや救急車などといった移動体の種類を識別する種別IDとなる。
【0045】
また、本実施形態では、同じ画像撮影装置又は複数の画像撮影装置で撮影された画像を重複して通信し記憶する処理負担を軽減するため、位置や時間などの付加情報のそれぞれに所定の幅をもたせた類似範囲を判定手段22に設定してあり、判定手段22は、受信した付加情報がデータベースメモリ25に記憶されている付加情報と同一又は類似であるかを判断して、同一又は類似の画像が既にデータベースメモリ25に記憶されていない場合に画像を要と判定する。
なお、類似の幅をどの程度に設定するかは、記憶蓄積される画像の詳細さの必要性や、上記処理負担との軽減度などを考慮して、システム運用上の要求に応じて任意に設定すればよい。
【0046】
図5に示すように、端末装置50は、付加情報による指定を含む指示や画像などの情報を通信する通信手段51、受信した画像などの表示処理を行なう表示処理手段52、表示処理された画像などを表示する表示画面53、付加情報による指定を含む指示などの利用者からの操作入力を受け付ける操作手段54を備えている。
したがって、通信手段51及び操作手段54が付加情報による指定を含む指示を画像管理装置20へ出力する出力手段を構成し、通信手段51及び表示処理手段52が画像管理装置20から出力された画像を入力する入力手段を構成している。
【0047】
次に、本実施形態に係るシステムの動作を説明する。
上記構成の画像蓄積システムにより、移動体1に搭載されたカメラ10にて定周期で撮影された画像が通信路を介して画像蓄積配信サーバ20で収集され、画像蓄積配信サーバ20は、画像に付加されている付加情報に基づいて、例えば方位情報と位置情報から画像が撮影された方向と場所別に分類し、分類された画像を更に、時刻情報を元にほぼ同一時刻とみなされる一定範囲の時刻の画像に分類するといったようにして、データベースメモリ25に記憶蓄積する。
このような処理により、例えば、エリア別に画像が時系列に整理され、端末装置50を操作する監視者へ特定のエリアの過去から現在に至る映像を提供することが可能になる。
【0048】
なお、上記の処理において、管理サーバ30は、監視者の端末装置(クライアント)50に対して本サービスを提供するためのWEB画面を配信し、端末装置50は本サービスへアクセスすることで提供されたWEB画面で、記憶蓄積された画像の閲覧が可能になる。本実施形態のシステムにおける端末装置50はPCや携帯情報端末であり、その上で動くブラウザ、インターネット接続環境があればどこでも本サービスを受けることができる。
また、NTPサーバ40は、全ての画像撮影装置(カメラ)10の時刻同期を行なう。
【0049】
図7には、画像撮影装置(カメラ)10と画像管理装置(蓄積配信サーバ)20との間の処理シーケンスを示してある。
画像撮影装置10は定期的に撮影する画像の付加情報を画像管理装置20へ順次送信する(ステップS1)。
画像管理装置20は、受信した付加情報に基づいて画像の必要性を判定し(ステップS2)、必要と判定した画像を送信元の画像撮影装置10へ要求する(ステップS3)。例えば、付加情報に含まれる位置情報から、送信元の画像撮影装置10(すなわち、移動体1)が他のエリアに移動したか、そのエリアでは他に画像撮影装置(移動体)が存在しないかを判定し、送信元の画像撮影装置10(移動体)が同じエリアに留まっている場合には重複して画像は不要と判定し、また、他のエリアに移動してもそのエリアに他に画像撮影装置が存在する場合には、当該他のエリアで重複して画像は不要と判定する。
【0050】
画像撮影装置10は、画像管理装置20からの画像要求を受信すると、当該要求の判定の元となった付加情報に対応する画像の撮影処理を行ない(ステップS4)、撮影した画像を画像管理装置20へ送信し(ステップS5)、画像管理装置20は、画像管理装置20から受信した画像をその付加情報に対応付けてデータベースメモリ25に記憶蓄積し(ステップS6)、上記と同様な処理を繰り返す(ステップS7)。
【0051】
本実施形態では、画像撮影装置10が、画像を撮影するに先だって現時点の付加情報を画像管理装置20へ送信し、画像管理装置20から画像の送信要求を受信したときに画像を撮影して画像管理装置20へ送信するようにするようにしており、このように、これから撮影しようとする画像についての付加情報を定期的に送信する処理を行なっても、付加情報の位置や時刻などを所定の幅をもって管理する場合や、移動速度が比較的低速な移動体を利用する場合などでは、付加情報による画像の特徴付けは確保することができ、また、このような処理によれば、画像撮影装置10の画像撮影処理の負担を軽減することができる。
なお、本発明では、画像撮影装置10が画像を撮影したときの付加情報を画像管理装置20へ送信し、画像管理装置20から画像の送信要求があったときに、当該撮影した画像を画像管理装置20へ送信するようにしてもよい。
【0052】
図8には、画像撮影装置(カメラ)10における更に詳しい処理シーケンスを示してある。
画像撮影装置10は、所定の周期で位置情報などの付加情報を画像管理装置20へ送信し(ステップS10)、画像管理装置(蓄積配信サーバ)20から当該付加情報に対する画像の送信要求を受信したかを判定する(ステップS11)。
なお、複数の画像撮影装置10(移動体1)を用いたシステム構成とする場合には、各画像撮影装置10と画像管理装置20との一対一の通信をするために、画像管理装置20が画像要求などの宛先とするカメラID(移動体ID)を含ませる。
【0053】
そして、画像撮影装置10は、画像の送信要求を受信すると画像の撮影処理を行ない、取得手段12が取得した方位情報や位置情報を制御手段15に入力し(ステップS12)、制御手段15が、入力された情報に基づいて撮像手段11の雲台やレンズを制御して画像ぶれを防止し(ステップS13)、撮像手段11に画像(本例では、静止画像)を撮影させ(ステップS14)、撮影した画像を無線通信機13により要求元の画像管理装置20へ送信する(ステップS15)。
そして、画像撮影装置10は、送信した画像に対する受信応答を画像管理装置20から受信したかを判断し(ステップS16)、受信応答が受信されないときには、送信した画像をメモリ16に保持する(ステップS17)。
【0054】
画像を画像管理装置20へ送信した後、受信応答が得られない場合は、画像撮影装置10から画像管理装置20へ至る無線回線などの不通状態など回線異常があるとみなされるので、送信した画像をメモリ16に保持しており、対応する受信応答或いは他の付加情報の画像に対する受信応答が画像管理装置20から得られたところで(ステップS16)、メモリ16に保持した画像の有無を判断して(ステップS18)、保持された画像を無線通信機13により画像管理装置20へ再び送信する(ステップS19)。
【0055】
なお、先に送信した付加情報と後に送信する画像とに、同じID(図4の例では、画像ID)を付加する、又は、画像にも先に送信した付加情報を付加するなどと言った方法で、付加情報と画像との対応関係を維持すればよい。
また、上記のように受信応答が得られないときに再送処理を行なう他に、無線通信機13の受信レベルが低い時は、送信する画像をメモリ16に一次的に保持し、受信レベルが正常になった時点で当該画像を送信するようにして、受信レベルに応じて画像送信を行なうこともできる。
【0056】
図9には、画像管理装置(蓄積配信サーバ)20における更に詳しい処理シーケンスを示してある。
画像管理装置20は、画像撮影装置(カメラ)10から定期的に送信されるカメラIDや位置情報などの付加情報を受信すると(ステップS20)、今回受信した付加情報と前回受信した付加情報とを比較して、当該画像撮影装置10の存するエリアが変わったかを判断し(ステップS21)、他のエリアに移動したと判断できるときには、移動したエリアに他の画像撮影装置(すなわち、他の移動体)が存するかを判断する(ステップS22)。
【0057】
この判断により、今までに画像を撮影したエリアと異なるエリアで撮影する画像は新たな情報を含むものと期待でき、また、他の画像撮影装置がない場合には新しい情報を含む画像が撮影されると期待できるので、画像管理装置20は、これらの条件を満たすと判定したときに、上記付加情報を送信してきた画像撮影装置10へ画像の送信要求を送信する(ステップS23)。
そして、画像管理装置20は、要求した画像を受信すると(ステップS24)、画像の受信応答を送信元の画像撮影装置10へ送信する(ステップS25)。
なお、送信元の画像撮影装置10の特定は、例えば付加情報に含まれるカメラIDにより行なうことができ、また、送信要求や受信応答の対象となる画像の特定は、例えば付加情報に含まれる画像IDにより行なうことができる。
【0058】
なお、本発明では、画像撮影装置10が撮影した画像とともに付加情報を画像管理装置20へ送信する態様とすることもでき、この態様では、同一エリアにおいて複数の画像撮影装置10から同時に画像と付加情報の送信があった場合、画像管理装置20は、1台を除いた他の画像撮影装置に対して画像送信の一時停止要求を送信し、一時停止要求を受けた画像撮影装置10は画像の送信を停止すると共に、定期的に付加情報(特に位置情報及びカメラID)のみを画像管理装置20へ送信するようにしてもよい。そして、この場合、付加情報から画像送信をする画像撮影装置10が他のエリアに移ったことを画像管理装置20が検知すると、前記他の画像撮影装置の内の1台に対して画像送信の再開要求を送信し、配信再開要求を受けた画像撮影装置が画像の送信を再開する。
このようにすることで、同一エリアに複数の画像撮影装置が存在しても、画像送信を行なう画像撮影装置を1台に限定することができる。
【0059】
図10には、付加情報に基づいた画像の分類方法の一例を示してある。
付加情報の位置情報と時刻情報を用いることにより、当該位置を含む予め設定した範囲(エリア)で撮影された複数の画像を時系列で分類し、これを端末装置50に送信して画面53に表示させることができる。
同図において、a〜dはエリア、M1とM2は異なる画像撮影装置10(移動体)、g1は移動体M1が時刻Tにエリアaで撮影した画像、g2は移動体M2が時刻Tにエリアbで撮影した画像、g3は移動体M1が時刻T+1にエリアbで撮影した画像、g4は移動体M2が時刻T+1にエリアcで撮影した画像、g5は移動体M1が時刻T+2にエリアcで撮影した画像、g6は移動体M2が時刻T+2にエリアdで撮影した画像である。
【0060】
このように2台の画像撮影装置(移動体)M1,M2がエリアa〜dへ移動して、各エリアで画像を撮影した場合、これら2台の画像撮影装置で撮影されたエリア毎の画像をまとめると、エリアbについては時系列な画像g2,g3が得られ、また、エリアcについては時系列な画像g4,g5が得られる。
すなわち、このようにエリア毎に時系列で分類した画像を端末装置50に送信して画面53に表示させることにより、端末装置50の使用者が特定のエリアの画像を時系列に連続的にモニタすることが可能になる。
【0061】
管理サーバ30から本サービスを提供するためのWEB画面の配信を受けた端末装置50において、利用者が操作手段54を操作して、付加情報を含む指示を端末装置50から画像管理装置20へ送信すると、画像管理装置20は当該付加情報に該当する画像をデータベースメモリ25から検索して、検索結果に応じた必要なエリアの地図をともに送信元の端末装置50へ送信する。
端末装置50では、検索結果の画像及び地図を受信すると、これを画面53に表示出力して、利用者が閲覧することができる。
【0062】
図11には、端末装置50の画面表示の一例を示してあり、図11(a)はメイン画面の表示、図11(b)はエリアを選択したことにより表示される画像表示を示している。
なお、図11中の、60は画像閲覧をするエリアを指定する位置情報を利用者が入力する領域、61はバスやタクシーにより撮影された画像を検索指示するボタン、62はパトカーや救急車などの緊急車両により撮影された画像を検索指示するボタン、63は航空機や船舶により撮影された画像を検索指示するボタン、64は画像の送りや逆戻し表示を指示するボタン、65は画像閲覧をする画像の時刻情報を利用者が入力する領域、66はメイン画面への戻りを指示するボタンである。
【0063】
これら領域やボタンは、端末装置50の操作手段54を構成している。
なお、図11に示す例では、領域60に入力された位置情報を付加情報として含めた指示が画像管理装置20に送信され、画像管理装置20が当該位置情報を含むエリアの画像及び当該エリアに周辺の画像をそれらの付加情報とともに端末装置50に送信しているが、本発明では、位置情報、時刻情報、移動体の種別情報など、端末装置50から指定される毎に画像管理装置20が該当する画像を送信するようにしてもよい。
【0064】
また、領域60に位置情報を入力して指示せずとも、端末装置50が自らGPS機能などにより自己の位置を取得し、この位置情報をデフォルトとして付加情報に含めて指示するようにしてもよく、また、領域60に入力された住所などの位置情報から、当該位置を中心とした地図を画像管理装置50が提供して端末装置50のメイン画面に表示してもよい。
【0065】
また、本例では、メイン画面には指示した位置情報の対応する地図が表示され、この地図中に区画された各エリアは、当該エリアで撮影された画像の数に応じて異なる態様で表示されている。具体的には、撮影された画像が比較的多いエリア80は比較的濃い色の背景色で表示され、撮影された画像が比較的少ないエリア81は比較的薄い色の背景色で表示され、これによって、利用者がエリア毎に画像の多少を直感的に把握することができる。
【0066】
そして、メイン画面の地図内のエリアを選択(クリック)すると、図11(b)に示される当該エリアで撮影された画像が表示され、そして、画像送り/戻しボタン64を操作することで当該エリアの画像を時系列で閲覧することができる。
また、領域65に時刻を入力することで、撮影時刻を特定した画像を画面表示して閲覧することも可能である。
また、メイン画面からボタン63を選択することで、メイン画面の表示を上空或いは海上の地図へ遷移することができ、利用者は航空機から送られた上空の画像や、船舶から送られた海上の画像を閲覧することが可能である。なお、上空画像は局所的な天気情報、海上画像は局所的な海洋の状況を知ることができ、また海上で遭難や座礁などの事故が発生した際も画像情報からの捜索が可能となる。
【0067】
また、画像管理装置20から画像とともに受信した付加情報(種別IDなど)に基づいて、端末装置50は利用者(端末装置)が存する位置70とともに、画像撮影装置10を搭載したタクシーやバスが存する位置71や、画像撮影装置10を搭載したパトカーなどの緊急車両が存する位置72を、それぞれ識別できるように色分けするなどの態様でメイン画面の地図上に表示する。
【0068】
これにより、利用者がボタン61,62を選択することで、タクシーなどの車両で撮影された画像や、緊急車両で撮影された画像を選択して閲覧することができる。
また、画像管理装置20で同様なメイン画面を表示出力することにより、サービス提供業者は移動体が走行していない又は走行が少ないエリアや、特定の種別の移動体が走行していないエリアを判別することができ、例えば、サービス提供業者は、画像撮影装置10を搭載した移動体を移動体が走行していないエリア(すなわち、画像が蓄積されていないエリア)へ移動するよう通知して、必要なエリアの画像収集ができるようにすることができる。また、サービス提供業者は、パトカーが巡回していないエリアを警察署に対して通知することで効率的な巡回に役立てることが可能となる。
【0069】
上記の実施形態では、画像管理装置20が、付加情報に基づいて画像の要否を判定し、必要な画像だけを画像撮影装置10から受信して記憶するようにしたが、図12に示すように、画像の要否を判定する機能を廃した構成をしてもよい。
すなわち、画像撮影装置10は、制御手段(付加手段)15により、画像撮像手段11が画像を撮影したときに取得した付加情報を当該画像に付加して画像管理装置20へ送信する構成とし、画像管理手段20は、付加情報が付加された画像を受信すると、受信した画像を付加情報に対応付けてデータベースメモリ25に記憶する。このような構成によっても、上記の実施形態と同様に、記憶蓄積された画像の内から必要な画像を、付加情報に基づいて検索して端末装置50へ提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:移動体、 2:サービス提供業者、
10:画像撮影装置、 11:撮像手段、
12:取得手段、 13:無線通信機、
15:制御手段、 16:メモリ、
20:画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)、 21:通信手段
22:判定手段、 23:要求手段、
25:データベースメモリ、 26:指示受付手段、
27:検索手段、 50:端末装置、
53:表示画面、
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、船舶、航空機などといった移動体に画像撮影装置を設け、この画像撮影装置により撮影された画像を当該画像と特徴付ける付加情報に対応付けて記憶・蓄積する画像蓄積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラを固定的に設置して、カメラで撮影した画像により遠隔の監視室で監視したり、この画像を記録保持したりするシステムが実用されている。
また、車両や航空機などの移動体にカメラを搭載し、移動体の運航中にカメラで画像を撮影して記録しておくことにより、移動体に事故があったときに事後的に、記録した画像を事故原因の解析に利用できるようにしたシステムが実用されている。
【0003】
また、特許文献1に記載されるように、会員登録がなされた車両に撮像手段、位置情報取得手段、及び情報通信手段を設け、他の会員が所望する位置に存する車両が撮影した画像をセンタを介して取得して閲覧できるようにしたシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−179553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラで撮影した動画又は静止画の画像を記録して、この画像を監視などの用途に使用できるようにしたシステムを構築する場合、カメラを固定して設置すると、画像を撮影できる範囲が限られることから、広範囲な監視を行うことができない。
これに対して、多数のカメラを固定的に設置すれば、カメラの台数に応じて監視できる範囲が拡大されるが、カメラの台数に応じてシステムのコストが増大する。また、如何にカメラの台数を多くしたとしても、現実的には、広範囲の画像を隈無く撮影することは困難である。
【0006】
また、多数のカメラを固定設置すると、これらカメラが不特定多数の人の目に触れるため、プライバシーの侵害などの不快感を与えるシステム構成となってしまう。
また、上空や海上など地上以外の場所は、カメラを固定的に設置することが不可能なため、地上にいながらこのような場所の画像を見ることはできない。
【0007】
上記特許文献1に記載されたシステムでは、車両に搭載したカメラで撮影した画像を他の会員が見ることができるが、車両が存するその時点の場所の画像を遠隔地で見ることができると言うだけで、撮影された画像を監視や事後確認のために利用するための工夫がなされていない。
【0008】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、固定設置したカメラを用いる場合の問題を解決し、しかも、撮影された画像を監視や事後確認などのために利用できるようにした画像蓄積システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像蓄積システムは、移動体に設けられた画像撮影装置と、画像と当該画像を特徴付ける付加情報とを対応付けて蓄積する画像管理装置と、を備えている。
この画像蓄積システムでは、車両、船舶、航空機、携帯電話機などといった存在場所が変化する移動体において、画像撮影装置により画像が撮影され、また、この画像を特徴付ける付加情報が取得される。そして、画像撮影装置から、先ず付加情報が画像管理装置へ送信され、この付加情報に基づいて画像管理装置が画像を要求した場合、当該付加情報に対応する画像を画像管理装置へ送信する。
画像管理装置では、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶蓄積し、利用者が操作する端末装置などから付加情報による指定を含む指示があると、これに応じて記憶蓄積されている対応する画像を出力する。
【0010】
具体的には、画像撮影装置は、画像を撮影する画像撮像手段と、画像撮像手段が撮影する画像を特徴付ける付加情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した付加情報を無線区間を介して画像管理装置へ送信する付加情報送信手段と、画像管理装置からの要求を受信する要求受信手段と、画像管理装置からの要求に応じて付加情報に対応する画像を無線区を介して画像管理装置へ送信する画像送信手段と、を有し、また、画像管理装置は、画像撮影装置から付加情報を受信する付加情報受信手段と、受信した付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定する判定手段と、判定手段が要と判定した画像の要求を画像撮影装置へ送信する要求送信手段と、画像撮影装置から画像を受信する画像受信手段と、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段と、付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段と、を有している。
【0011】
本発明では、多数の移動体に画像撮影装置を設け、これら移動体で撮影された画像を付加情報と対応付けて画像管理装置に蓄積するのが好ましく、これによって、撮影した場所、撮影した方位、撮影した時刻など特徴の異なる多種多様な画像を画像管理装置に蓄積することができるが、これに限定されることなく、1つの移動体に画像撮影装置を設けただけであってもよく、これによっても、移動体は移動するので、上記のような特徴の異なる多種多様な画像を画像管理装置に蓄積することができる。
【0012】
本発明では、撮影した画像を特徴付ける付加情報として、撮影した位置、撮影した方位、撮影した時刻などを選択的に用いることができる他、移動体(すなわち、画像撮影装置)を識別できる識別情報(ID)、撮影したときに画像撮影装置の操作者が付加した重要度の情報なども選択的に用いることができる。
そして、記憶蓄積された画像を表示して利用する場合、例えば、位置情報と時刻情報を用いることにより、当該位置を含む予め設定した範囲(エリア)で撮影された多数の画像を時系列で表示出力することができ、また、方位情報と時刻情報とを用いることにより、或る時刻において一定の方向から撮影した画像を表示出力することができ、また、移動体識別情報を用いることにより、パトロールカーなどといった特定の種類の移動体により撮影された画像だけを表示出力することができ、また、重要度情報を用いることにより、重要度の高い画像だけを表示出力することができる。
【0013】
なお、本発明では、GPS、方位センサ、時計などを専用に設けて、これらから撮影した場所、方位、時刻を取得するようにしてもよいが、車両などの移動体に設けられているナビゲーションシステムから位置や方位を所得したり、同様に移動体に設けられている時計から時刻を取得するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明では、画像撮影装置が所定の周期で自動的に画像を撮影して、画像管理装置に画像が自動的に蓄積されるようにするのが好ましいが、必要なときに操作者が画像撮影装置を操作して画像を撮影して、画像管理装置に画像が蓄積されるようにしてもよい。
また、本発明は、静止画又は動画のいずれを撮影して記憶蓄積するようにしてもよく、コマ落としのような間欠画像の所定時間の組を1つの画像として扱ってもよい。
また、画像撮影装置は移動体に設けられていることから、画像撮影装置は無線通信により情報通信するが、画像管理装置に至る途中の区間では有線回線を用いた有線通信により情報通信するようにしてもよい。
【0015】
本発明では、画像管理装置が付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定することにより、必要性の乏しい画像の送信処理や記憶蓄積処理を省いて、システム構成の簡素化や運用の迅速化を実現しているが、この判定基準としては、既に記憶されている画像と、撮影位置(場所)、撮影方位、撮影時刻などが同一又は予め設定した類似する範囲の画像は不要とする、或いは、予め設定した範囲の位置、方位、時刻などの画像は不要とする、などと言ったように、システムの使用目的に応じて必要性の有無の観点から任意に設定することができる。
【0016】
また、本発明では、画像管理装置が受信した画像を付加情報に対応付けて記憶するが、付加情報に応じて、例えば、同一類似の場所の画像は撮影時間による時系列で整理して記憶する、といったように分類や整理をつけて記憶するようにすれば、付加情報に基づいて記憶蓄積された画像を検索出力するに好適であるが、このような分類整理づけを行なって記憶させずとも、付加情報に基づいて記憶蓄積された画像を検索出力することができるから、付加情報と画像とが対応付けられていればよい。
【0017】
また、本発明に係るシステムでは、典型的には、画像管理装置の外部の利用者が使用する端末装置から入力された付加情報による指定を含む指示に応じて、記憶手段に記憶されている対応する画像を出力し、当該端末装置において当該画像を表示出力するが、このような構成に限定されず、画像管理装置が自ら対応する画像を表示出力して、画像管理装置を使用する管理者に提示するようにしてもよい。
【0018】
本発明では、上記に処理に加えて、通信障害などに対処する画像の再送処理を行なう。
具体的には、画像管理装置は、画像撮影装置から画像を受信するに応じて当該画像撮影装置へ応答を送信する応答手段を有し、画像撮影装置は、画像管理装置から応答を受信しないときは送信した画像をメモリに保持して、応答を受信した後に当該画像を再送する。
【0019】
更に、本発明では、画像管理装置及び画像撮影装置に加えて、利用者が使用する端末装置を備えた構成とすることができる。
具体的には、端末装置は、付加情報による指定を含む指示を画像管理装置へ出力する出力手段と、画像管理装置から出力された画像を入力する入力手段と、入力された画像を表示する表示手段と、を有する装置とする。
【0020】
蓄積記憶された画像を表示出力して利用する場合、端末装置や画像管理装置の表示出力手段は、利用者や管理者に対するインタフェースとなるが、本発明では、表示出力手段を次のような構成としてもよい。
画像管理装置が位置情報(付加情報)に基づいて記憶蓄積する画像を所定の位置範囲(エリア)毎に分類する、或いは、端末装置や画像管理装置が表示出力する際に同様な分類することにより、表示出力手段の画面にエリア毎の画像の蓄積量を表示する。
具体的には、位置情報(付加情報)による指定を含む指示に基づいて、表示出力手段はその画面に、当該位置を含むエリア及び周辺のエリアの地図を表示し、当該地図のエリア毎をそこに対応して記憶蓄積されている画像の数に応じて視覚的に識別できる態様の変化(濃淡の差をつける、色彩を異ならせる、記憶蓄積数を表示するなど)をもたせて表示する。
【0021】
更には、付加情報に含まれる移動体の識別情報(ID)を利用して、画面上の地図中に各移動体(カメラ)が存する位置を表示するようにしてもよい。
また、画像管理装置或いは端末装置が移動体に移動指示を送信するようにしてもよく、例えば記憶蓄積された画像が少ないエリアや記憶蓄積された画像が無いエリアなど画像の必要性が高いエリアに移動体を移動させる移動指示を送信して、当該エリアで撮影された画像を画像管理装置が記憶蓄積するようにしてもよい。
【0022】
また、画像を撮影するカメラ(画像撮像手段)は移動体に設けられることから、移動体の移動による撮影画像のぶれに対処するのが好ましい。この対処方法として、前後左右、上下の振動に対する公知のぶれ補正手段をカメラに設けるようにすればよいが、移動体の移動速度は比較的速いことから、前後方向のぶれは、通常の振動などによるぶれより大きくなるため、取得手段で取得した移動体の移動速度や移動方向に基づいて、カメラの電動レンズやカメラを指示する電動雲台を制御して、画像ぶれを防止するのが好ましい。
【0023】
なお、本発明は、記憶蓄積された画像を付加情報により利用価値の高いものとすることができる発明ということができることから、次のような構成とすることもできる。
移動体に設けられた画像撮影装置と、画像を蓄積する画像管理装置と、を備えた画像蓄積システムであって、画像撮影装置は、画像を撮影する画像撮像手段と、画像撮像手段が撮影した画像を特徴付ける付加情報を取得する取得手段と、画像撮像手段が撮影した画像に当該画像を特徴付ける付加情報を付加する付加手段と、付加情報が付加された画像を無線区間を介して画像管理装置へ送信する送信手段と、を有し、画像管理装置は、付加情報が付加された画像を受信する受信手段と、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段と、付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段と、を有していることを特徴とする画像蓄積システム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、移動体に設けた画像撮影装置により画像を撮影し、当該画像を付加情報に対応付けて記憶蓄積するので、少ない台数の画像撮影装置により、例えば街頭に多数のカメラを固定的に設置した監視システムと同様に、広範囲のエリアの画像を記憶蓄積でき、しかも、付加情報に基づいて記憶蓄積された画像を画像の特徴に応じて事後的に利用することができる。
更に上記に加えて、本発明によれば、画像撮影装置により撮影した画像を画像管理装置へ送信するに先だって、当該画像を特徴付ける付加情報により記憶蓄積する画像の要否を判定するようにしているので、記憶蓄積の必要性に乏しい画像の通信に要する処理負担や記憶蓄積に要する処理負担を省いて、システム構成の簡素化やシステム運用の迅速化を実現することができる。
【0025】
本発明では、固定カメラで撮影された画像のように利用者へ提供することが可能となり、また、移動体にカメラが設置されているため、人の目には触れにくく監視カメラによる威圧感も軽減され、また、移動体で画像を撮影するため、上空や海上といったカメラ設置が不可能な場所の画像も閲覧することが可能である。
また、本発明では、移動体に搭載されたカメラで撮像された画像を場所別に時系列で管理することで、監視者(サービス利用者)に、固定カメラで撮影された映像のように提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像蓄積システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像撮影装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像管理装置(蓄積・配信サーバ)の構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像の記憶態様を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る端末装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像ぶれを防止する方法を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像撮影装置(カメラ)と画像管理装置(蓄積・配信サーバ)との通信を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像撮影装置の処理を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像管理装置(蓄積・配信サーバ)の処理を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像の利用態様の一例を説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る端末装置の画面表示を説明する図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る画像管理装置(蓄積・配信サーバ)の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る画像蓄積システムを、その一実施形態に基づいて具体的に説明する。
なお、以下に説明する一実施形態では静止画像を撮影して記憶蓄積するが、本発明は、動画像を撮影して記録蓄積するシステムとして構成することもできる。また、以下に説明する一実施形態では移動体としてパトカー、救急車、タクシー、警備車両などの自動車を用いているが、本発明は、このように陸上を移動する移動体の他に、船舶や航空機を移動体として用いることもでき、また、利用者が携行するカメラ付き携帯電話機を移動体として用いることもできる。
【0028】
本実施形態は、パトカー、救急車、タクシーなどと言った様々な種類の多数の車両を用いて、サービス提供事業者が携帯情報端末装置やパーソナルコンピュータなどの情報端末装置を操作する利用者に、画像を提供するシステムとして構成されている。
図1に示すように、車両1には画像を撮影する画像撮影装置10が設けられ、また、サービス提供事業者2には画像蓄積配信サーバ20が画像管理装置として設けられている。なお、サービス提供事業者2には、サービスを提供するためのWEB画面を配信するシステム管理サーバ(WEBサーバ)30や、全ての画像撮影装置(カメラ)10の時刻同期を行なうためのNTPサーバ40も設けられている。
【0029】
また、画像撮影装置10と無線接続される無線中継局(アクセスポイント)3が複数設けられており、無線中継局3はインターネット網4を介してサービス提供事業者2の画像蓄積配信サーバ20、システム管理サーバ(WEBサーバ)30、NTPサーバ40に接続される。なお、図中の5は、画像蓄積配信サーバ20、システム管理サーバ(WEBサーバ)30、NTPサーバ40への通信情報を制御するルータである。
したがって、車両1に設けられた画像撮影装置10は、無線区間を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20に接続され、画像や付加情報などの情報を通信する。
【0030】
また、サービス提供事業者2の各装置には、インターネット網4を介して利用者が操作する端末装置50が接続される。なお、本実施形態では、通信機能を有するパーソナルコンピュータや携帯無線通信端末が端末装置50として用いられ、携帯無線通信端末と無線通信するための無線中継局6がインターネット網4との間に設けられている。
【0031】
図2に示すように、画像撮影装置10は、静止画像を撮影するカメラ(画像撮像手段)11、画像撮像手段11が撮影する画像を特徴付ける付加情報(位置、方位、時刻、カメラID、重要度など)を取得する取得手段12、無線中継局3と無線通信を行なう無線通信機13、操作者からの入力を受け付ける操作手段14、画像撮影装置10に備えられた各機能を制御するとともに所定の処理を行なう制御手段15を備えており、無線通信機13には画像の再送処理に用いるメモリ16が設けられている。
【0032】
撮像手段11は制御手段15の制御により、例えば5分毎といったように、所定の周期で画像を撮影する。
取得手段12は、時計、GPS端末、方位センサを備えて、時刻、位置、方位を取得する他、操作手段14から入力された重要度の情報を取得し、図外のメモリに予め設定されたカメラIDを取得する。更に、取得手段12は、車両1の速度計から、当該車両の走行速度を取得する。
【0033】
なお、上記カメラIDは各画像撮影装置10を識別する情報であり、画像撮影装置10を搭載する車両とカメラIDとの対応付けを用いることにより、カメラIDにより、それを搭載した各車両や車両の種類を特定することができる。
また、画像撮影装置10とサービス提供業者2との高精度な時間同期を図るため、時計は、通信網を経由してNTP(Network Time Protocol)サーバ40と自動同期されるのが好ましい。
【0034】
ここに、制御手段15の制御により、撮像手段11が画像を撮影したときの付加情報(位置、方位、時刻、カメラID、重要度など)を取得手段12が取得し、この取得された付加情報は無線通信機13により無線中継局3、インターネット網4を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20へ送信され、これら機能を実行する手段により付加情報送信手段が構成されている。
【0035】
また、制御手段15の制御により、無線通信機13が無線中継局3、インターネット網4を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20から送信された画像要求を受信し、これら機能を実行する手段により要求受信手段が構成されている。
【0036】
また、制御手段15の制御により、画像管理装置20からの要求に応じて、既に送信した付加情報に対応する画像が無線通信機13により無線中継局3、インターネット網4を介して画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)20へ送信され、これら機能を実行する手段により画像送信手段が構成されている。
【0037】
ここで、制御手段15には、本実施形態では、制御手段15は、画像管理装置20からの要求に応じて撮像手段11による画像の撮影を行なわせるが、後述するように、画像を撮影した時点の付加情報を用いる場合には、制御手段15には、付加情報の送信から画像を送信するまでの間に送信対象となる画像を一時的に保持するメモリが設けられている。
なお、画像管理装置20からの要求に応じて撮像手段11による画像の撮影を行なわせる場合、撮像手段11が周期的に撮影するスケジュールにおいて、取得した付加情報は周期的に画像管理装置20へ送信し、画像管理装置20からの要求があったときにだけ、撮像手段11が対応する画像の撮影スケジュールを実行するようにすればよい。
【0038】
撮像手段11には、レンズのピント合わせや絞り調整を電動で行なう機能と、撮像装置(カメラ)11の撮影方向や向きを電動で変更させるカメラ雲台機能が備えられており、制御手段15は、車両1から取得した速度情報に基づいて、撮像手段11の撮影のタイミングで、カメラ雲台やレンズの制御を行なって、撮影画像のぶれを防止する。
カメラ11は定周期に静止画を撮影するため、撮影直前にカメラ11から制御手段15に撮影開始信号を送信し、制御手段15はこの信号を受信すると現在の車両速度とカメラの方位からカメラ雲台とレンズの制御を実施し、カメラ11は制御手段15からの制御信号を受けて撮影を開始する。
なお、移動体が鉄道車両である場合、位置情報をキロ程情報から得てもよい。
【0039】
図6には、撮影画像のぶれ防止を説明するため、撮影時の移動体搭載カメラ11の撮影画角を示してある。
撮影直前のカメラ11の画角の水平角度をθ、撮影終了時のカメラ11の画角の水平角度をφ、カメラ11の静止画撮影中の移動距離をY、カメラ11から被写体までの距離をL、被写体位置における水平画角(水平距離)をX、撮影時の移動体の移動速度をV、静止画の撮影時間をTとして、θの二等辺三角形からXを求めると、X=2Ltan(θ/2・・・(式1)であり、φの二等辺三角形からXを求めると、X=2L−Y)tan(φ/2=2L−VT)tan(φ/2・・・(式2)である。
【0040】
そして、(式1)と(式2)から、Ltan(θ/2= (L−Y)tan(φ/2、すなわち、tan(φ/2={L/(L−Y}tan(θ/2であるから、φ= tan-1 [{L/(L−Y}tan(θ/2)]・・・(式3)である。
したがって、移動体が直進しながら静止画を撮影する場合、移動体の移動速度V(=Y/T)に応じて、制御手段15が、現在のカメラ画角の水平角度θから水平角度φにするよう電動レンズのズーム制御を実施することにより、移動中でも映像変化を抑えることができ、静止画のぶれの低減を図ることができる。
【0041】
図3に示すように、画像蓄積配信サーバ(画像管理装置)20は、画像や付加情報などの情報をルータ5を介して通信する通信手段21、画像撮影装置10から受信した付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定する判定手段22、判定手段22が要と判定した画像の要求を通信手段21を介して該当する画像撮影装置10へ送信する要求送信手段23、受信した画像をその付加情報に基づいて分類して当該付加情報に対応付けてデータベースメモリ25に記憶する分類手段24、通信手段21で受信した付加情報による指定を含む指示にを受け付ける指示受付手段26、受け付けた指示に応じてデータベースメモリ2に記憶されている付加情報に対応する画像を検索して通信手段21により指示元に送信する検索手段27、地図を保持した地図データベース28を備えており、検索手段27により検索された画像に対応する必要なエリアの地図が検索された画像に対応して送信される。
【0042】
なお、通信手段21には、画像撮影装置10から画像を受信したことに応じて画像受信応答を当該画像撮影装置10へ送信する応答手段29を有している。
また、上記の通信手段21が画像撮影装置10から付加情報を受信する付加情報受信手段及び画像を受信する画像受信手段を構成し、分類手段24とデータベースメモリ25が受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段を構成し、指示受付手段26及び検索手段27及び通信手段21が付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段を構成している。なお、画像管理装置20が、検索された画像を画面表示する場合は、この表示画面は出力手段を構成する。
【0043】
ここに、本実施形態では、分類手段24が、受信した画像を付加情報に基づいて、例えば同じ撮影位置(或いは、当該位置を含む所定の面積のエリア)でまとめるといったように、予め整理付けてデータベースメモリ25に記憶するが、図4に示すように画像と当該画像を特徴付ける付加情報の対応付けがなされて記憶されていれば、後に所望の画像を付加情報に基づいて検索することができるので、本発明では、分類手段24を廃して、受信した画像をその付加情報と対応付けてデータベースメモリ25に記憶蓄積する態様としてもよい。
【0044】
本実施形態では、付加情報として、各画像撮影装置を識別するカメラID、画像を撮影する位置、画像を撮影した方位、画像を撮影する時刻、画像を撮影するときに撮影現場の操作者により入力された重要度が用いられ、当該付加情報が撮影する画像に対応付けて処理されるが、付加情報としては、これらの一部を採用してもよく、また、これら以外に、監視や状況確認をするために、特徴の異なる画像がどの程度必要性があるかの観点から、種々な情報を用いることができる。
なお、カメラIDは、画像管理装置20が、画像撮影装置10を搭載する移動体の種類との対応を管理することにより、パトロールカーや救急車などといった移動体の種類を識別する種別IDとなる。
【0045】
また、本実施形態では、同じ画像撮影装置又は複数の画像撮影装置で撮影された画像を重複して通信し記憶する処理負担を軽減するため、位置や時間などの付加情報のそれぞれに所定の幅をもたせた類似範囲を判定手段22に設定してあり、判定手段22は、受信した付加情報がデータベースメモリ25に記憶されている付加情報と同一又は類似であるかを判断して、同一又は類似の画像が既にデータベースメモリ25に記憶されていない場合に画像を要と判定する。
なお、類似の幅をどの程度に設定するかは、記憶蓄積される画像の詳細さの必要性や、上記処理負担との軽減度などを考慮して、システム運用上の要求に応じて任意に設定すればよい。
【0046】
図5に示すように、端末装置50は、付加情報による指定を含む指示や画像などの情報を通信する通信手段51、受信した画像などの表示処理を行なう表示処理手段52、表示処理された画像などを表示する表示画面53、付加情報による指定を含む指示などの利用者からの操作入力を受け付ける操作手段54を備えている。
したがって、通信手段51及び操作手段54が付加情報による指定を含む指示を画像管理装置20へ出力する出力手段を構成し、通信手段51及び表示処理手段52が画像管理装置20から出力された画像を入力する入力手段を構成している。
【0047】
次に、本実施形態に係るシステムの動作を説明する。
上記構成の画像蓄積システムにより、移動体1に搭載されたカメラ10にて定周期で撮影された画像が通信路を介して画像蓄積配信サーバ20で収集され、画像蓄積配信サーバ20は、画像に付加されている付加情報に基づいて、例えば方位情報と位置情報から画像が撮影された方向と場所別に分類し、分類された画像を更に、時刻情報を元にほぼ同一時刻とみなされる一定範囲の時刻の画像に分類するといったようにして、データベースメモリ25に記憶蓄積する。
このような処理により、例えば、エリア別に画像が時系列に整理され、端末装置50を操作する監視者へ特定のエリアの過去から現在に至る映像を提供することが可能になる。
【0048】
なお、上記の処理において、管理サーバ30は、監視者の端末装置(クライアント)50に対して本サービスを提供するためのWEB画面を配信し、端末装置50は本サービスへアクセスすることで提供されたWEB画面で、記憶蓄積された画像の閲覧が可能になる。本実施形態のシステムにおける端末装置50はPCや携帯情報端末であり、その上で動くブラウザ、インターネット接続環境があればどこでも本サービスを受けることができる。
また、NTPサーバ40は、全ての画像撮影装置(カメラ)10の時刻同期を行なう。
【0049】
図7には、画像撮影装置(カメラ)10と画像管理装置(蓄積配信サーバ)20との間の処理シーケンスを示してある。
画像撮影装置10は定期的に撮影する画像の付加情報を画像管理装置20へ順次送信する(ステップS1)。
画像管理装置20は、受信した付加情報に基づいて画像の必要性を判定し(ステップS2)、必要と判定した画像を送信元の画像撮影装置10へ要求する(ステップS3)。例えば、付加情報に含まれる位置情報から、送信元の画像撮影装置10(すなわち、移動体1)が他のエリアに移動したか、そのエリアでは他に画像撮影装置(移動体)が存在しないかを判定し、送信元の画像撮影装置10(移動体)が同じエリアに留まっている場合には重複して画像は不要と判定し、また、他のエリアに移動してもそのエリアに他に画像撮影装置が存在する場合には、当該他のエリアで重複して画像は不要と判定する。
【0050】
画像撮影装置10は、画像管理装置20からの画像要求を受信すると、当該要求の判定の元となった付加情報に対応する画像の撮影処理を行ない(ステップS4)、撮影した画像を画像管理装置20へ送信し(ステップS5)、画像管理装置20は、画像管理装置20から受信した画像をその付加情報に対応付けてデータベースメモリ25に記憶蓄積し(ステップS6)、上記と同様な処理を繰り返す(ステップS7)。
【0051】
本実施形態では、画像撮影装置10が、画像を撮影するに先だって現時点の付加情報を画像管理装置20へ送信し、画像管理装置20から画像の送信要求を受信したときに画像を撮影して画像管理装置20へ送信するようにするようにしており、このように、これから撮影しようとする画像についての付加情報を定期的に送信する処理を行なっても、付加情報の位置や時刻などを所定の幅をもって管理する場合や、移動速度が比較的低速な移動体を利用する場合などでは、付加情報による画像の特徴付けは確保することができ、また、このような処理によれば、画像撮影装置10の画像撮影処理の負担を軽減することができる。
なお、本発明では、画像撮影装置10が画像を撮影したときの付加情報を画像管理装置20へ送信し、画像管理装置20から画像の送信要求があったときに、当該撮影した画像を画像管理装置20へ送信するようにしてもよい。
【0052】
図8には、画像撮影装置(カメラ)10における更に詳しい処理シーケンスを示してある。
画像撮影装置10は、所定の周期で位置情報などの付加情報を画像管理装置20へ送信し(ステップS10)、画像管理装置(蓄積配信サーバ)20から当該付加情報に対する画像の送信要求を受信したかを判定する(ステップS11)。
なお、複数の画像撮影装置10(移動体1)を用いたシステム構成とする場合には、各画像撮影装置10と画像管理装置20との一対一の通信をするために、画像管理装置20が画像要求などの宛先とするカメラID(移動体ID)を含ませる。
【0053】
そして、画像撮影装置10は、画像の送信要求を受信すると画像の撮影処理を行ない、取得手段12が取得した方位情報や位置情報を制御手段15に入力し(ステップS12)、制御手段15が、入力された情報に基づいて撮像手段11の雲台やレンズを制御して画像ぶれを防止し(ステップS13)、撮像手段11に画像(本例では、静止画像)を撮影させ(ステップS14)、撮影した画像を無線通信機13により要求元の画像管理装置20へ送信する(ステップS15)。
そして、画像撮影装置10は、送信した画像に対する受信応答を画像管理装置20から受信したかを判断し(ステップS16)、受信応答が受信されないときには、送信した画像をメモリ16に保持する(ステップS17)。
【0054】
画像を画像管理装置20へ送信した後、受信応答が得られない場合は、画像撮影装置10から画像管理装置20へ至る無線回線などの不通状態など回線異常があるとみなされるので、送信した画像をメモリ16に保持しており、対応する受信応答或いは他の付加情報の画像に対する受信応答が画像管理装置20から得られたところで(ステップS16)、メモリ16に保持した画像の有無を判断して(ステップS18)、保持された画像を無線通信機13により画像管理装置20へ再び送信する(ステップS19)。
【0055】
なお、先に送信した付加情報と後に送信する画像とに、同じID(図4の例では、画像ID)を付加する、又は、画像にも先に送信した付加情報を付加するなどと言った方法で、付加情報と画像との対応関係を維持すればよい。
また、上記のように受信応答が得られないときに再送処理を行なう他に、無線通信機13の受信レベルが低い時は、送信する画像をメモリ16に一次的に保持し、受信レベルが正常になった時点で当該画像を送信するようにして、受信レベルに応じて画像送信を行なうこともできる。
【0056】
図9には、画像管理装置(蓄積配信サーバ)20における更に詳しい処理シーケンスを示してある。
画像管理装置20は、画像撮影装置(カメラ)10から定期的に送信されるカメラIDや位置情報などの付加情報を受信すると(ステップS20)、今回受信した付加情報と前回受信した付加情報とを比較して、当該画像撮影装置10の存するエリアが変わったかを判断し(ステップS21)、他のエリアに移動したと判断できるときには、移動したエリアに他の画像撮影装置(すなわち、他の移動体)が存するかを判断する(ステップS22)。
【0057】
この判断により、今までに画像を撮影したエリアと異なるエリアで撮影する画像は新たな情報を含むものと期待でき、また、他の画像撮影装置がない場合には新しい情報を含む画像が撮影されると期待できるので、画像管理装置20は、これらの条件を満たすと判定したときに、上記付加情報を送信してきた画像撮影装置10へ画像の送信要求を送信する(ステップS23)。
そして、画像管理装置20は、要求した画像を受信すると(ステップS24)、画像の受信応答を送信元の画像撮影装置10へ送信する(ステップS25)。
なお、送信元の画像撮影装置10の特定は、例えば付加情報に含まれるカメラIDにより行なうことができ、また、送信要求や受信応答の対象となる画像の特定は、例えば付加情報に含まれる画像IDにより行なうことができる。
【0058】
なお、本発明では、画像撮影装置10が撮影した画像とともに付加情報を画像管理装置20へ送信する態様とすることもでき、この態様では、同一エリアにおいて複数の画像撮影装置10から同時に画像と付加情報の送信があった場合、画像管理装置20は、1台を除いた他の画像撮影装置に対して画像送信の一時停止要求を送信し、一時停止要求を受けた画像撮影装置10は画像の送信を停止すると共に、定期的に付加情報(特に位置情報及びカメラID)のみを画像管理装置20へ送信するようにしてもよい。そして、この場合、付加情報から画像送信をする画像撮影装置10が他のエリアに移ったことを画像管理装置20が検知すると、前記他の画像撮影装置の内の1台に対して画像送信の再開要求を送信し、配信再開要求を受けた画像撮影装置が画像の送信を再開する。
このようにすることで、同一エリアに複数の画像撮影装置が存在しても、画像送信を行なう画像撮影装置を1台に限定することができる。
【0059】
図10には、付加情報に基づいた画像の分類方法の一例を示してある。
付加情報の位置情報と時刻情報を用いることにより、当該位置を含む予め設定した範囲(エリア)で撮影された複数の画像を時系列で分類し、これを端末装置50に送信して画面53に表示させることができる。
同図において、a〜dはエリア、M1とM2は異なる画像撮影装置10(移動体)、g1は移動体M1が時刻Tにエリアaで撮影した画像、g2は移動体M2が時刻Tにエリアbで撮影した画像、g3は移動体M1が時刻T+1にエリアbで撮影した画像、g4は移動体M2が時刻T+1にエリアcで撮影した画像、g5は移動体M1が時刻T+2にエリアcで撮影した画像、g6は移動体M2が時刻T+2にエリアdで撮影した画像である。
【0060】
このように2台の画像撮影装置(移動体)M1,M2がエリアa〜dへ移動して、各エリアで画像を撮影した場合、これら2台の画像撮影装置で撮影されたエリア毎の画像をまとめると、エリアbについては時系列な画像g2,g3が得られ、また、エリアcについては時系列な画像g4,g5が得られる。
すなわち、このようにエリア毎に時系列で分類した画像を端末装置50に送信して画面53に表示させることにより、端末装置50の使用者が特定のエリアの画像を時系列に連続的にモニタすることが可能になる。
【0061】
管理サーバ30から本サービスを提供するためのWEB画面の配信を受けた端末装置50において、利用者が操作手段54を操作して、付加情報を含む指示を端末装置50から画像管理装置20へ送信すると、画像管理装置20は当該付加情報に該当する画像をデータベースメモリ25から検索して、検索結果に応じた必要なエリアの地図をともに送信元の端末装置50へ送信する。
端末装置50では、検索結果の画像及び地図を受信すると、これを画面53に表示出力して、利用者が閲覧することができる。
【0062】
図11には、端末装置50の画面表示の一例を示してあり、図11(a)はメイン画面の表示、図11(b)はエリアを選択したことにより表示される画像表示を示している。
なお、図11中の、60は画像閲覧をするエリアを指定する位置情報を利用者が入力する領域、61はバスやタクシーにより撮影された画像を検索指示するボタン、62はパトカーや救急車などの緊急車両により撮影された画像を検索指示するボタン、63は航空機や船舶により撮影された画像を検索指示するボタン、64は画像の送りや逆戻し表示を指示するボタン、65は画像閲覧をする画像の時刻情報を利用者が入力する領域、66はメイン画面への戻りを指示するボタンである。
【0063】
これら領域やボタンは、端末装置50の操作手段54を構成している。
なお、図11に示す例では、領域60に入力された位置情報を付加情報として含めた指示が画像管理装置20に送信され、画像管理装置20が当該位置情報を含むエリアの画像及び当該エリアに周辺の画像をそれらの付加情報とともに端末装置50に送信しているが、本発明では、位置情報、時刻情報、移動体の種別情報など、端末装置50から指定される毎に画像管理装置20が該当する画像を送信するようにしてもよい。
【0064】
また、領域60に位置情報を入力して指示せずとも、端末装置50が自らGPS機能などにより自己の位置を取得し、この位置情報をデフォルトとして付加情報に含めて指示するようにしてもよく、また、領域60に入力された住所などの位置情報から、当該位置を中心とした地図を画像管理装置50が提供して端末装置50のメイン画面に表示してもよい。
【0065】
また、本例では、メイン画面には指示した位置情報の対応する地図が表示され、この地図中に区画された各エリアは、当該エリアで撮影された画像の数に応じて異なる態様で表示されている。具体的には、撮影された画像が比較的多いエリア80は比較的濃い色の背景色で表示され、撮影された画像が比較的少ないエリア81は比較的薄い色の背景色で表示され、これによって、利用者がエリア毎に画像の多少を直感的に把握することができる。
【0066】
そして、メイン画面の地図内のエリアを選択(クリック)すると、図11(b)に示される当該エリアで撮影された画像が表示され、そして、画像送り/戻しボタン64を操作することで当該エリアの画像を時系列で閲覧することができる。
また、領域65に時刻を入力することで、撮影時刻を特定した画像を画面表示して閲覧することも可能である。
また、メイン画面からボタン63を選択することで、メイン画面の表示を上空或いは海上の地図へ遷移することができ、利用者は航空機から送られた上空の画像や、船舶から送られた海上の画像を閲覧することが可能である。なお、上空画像は局所的な天気情報、海上画像は局所的な海洋の状況を知ることができ、また海上で遭難や座礁などの事故が発生した際も画像情報からの捜索が可能となる。
【0067】
また、画像管理装置20から画像とともに受信した付加情報(種別IDなど)に基づいて、端末装置50は利用者(端末装置)が存する位置70とともに、画像撮影装置10を搭載したタクシーやバスが存する位置71や、画像撮影装置10を搭載したパトカーなどの緊急車両が存する位置72を、それぞれ識別できるように色分けするなどの態様でメイン画面の地図上に表示する。
【0068】
これにより、利用者がボタン61,62を選択することで、タクシーなどの車両で撮影された画像や、緊急車両で撮影された画像を選択して閲覧することができる。
また、画像管理装置20で同様なメイン画面を表示出力することにより、サービス提供業者は移動体が走行していない又は走行が少ないエリアや、特定の種別の移動体が走行していないエリアを判別することができ、例えば、サービス提供業者は、画像撮影装置10を搭載した移動体を移動体が走行していないエリア(すなわち、画像が蓄積されていないエリア)へ移動するよう通知して、必要なエリアの画像収集ができるようにすることができる。また、サービス提供業者は、パトカーが巡回していないエリアを警察署に対して通知することで効率的な巡回に役立てることが可能となる。
【0069】
上記の実施形態では、画像管理装置20が、付加情報に基づいて画像の要否を判定し、必要な画像だけを画像撮影装置10から受信して記憶するようにしたが、図12に示すように、画像の要否を判定する機能を廃した構成をしてもよい。
すなわち、画像撮影装置10は、制御手段(付加手段)15により、画像撮像手段11が画像を撮影したときに取得した付加情報を当該画像に付加して画像管理装置20へ送信する構成とし、画像管理手段20は、付加情報が付加された画像を受信すると、受信した画像を付加情報に対応付けてデータベースメモリ25に記憶する。このような構成によっても、上記の実施形態と同様に、記憶蓄積された画像の内から必要な画像を、付加情報に基づいて検索して端末装置50へ提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:移動体、 2:サービス提供業者、
10:画像撮影装置、 11:撮像手段、
12:取得手段、 13:無線通信機、
15:制御手段、 16:メモリ、
20:画像管理装置(画像蓄積配信サーバ)、 21:通信手段
22:判定手段、 23:要求手段、
25:データベースメモリ、 26:指示受付手段、
27:検索手段、 50:端末装置、
53:表示画面、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられた画像撮影装置と、画像と当該画像を特徴付ける付加情報とを対応付けて蓄積する画像管理装置と、を備えた画像蓄積システムであって、
画像撮影装置は、画像を撮影する画像撮像手段と、画像撮像手段が撮影する画像を特徴付ける付加情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した付加情報を無線区間を介して画像管理装置へ送信する付加情報送信手段と、画像管理装置からの要求を受信する要求受信手段と、画像管理装置からの要求に応じて付加情報に対応する画像を無線区間を介して画像管理装置へ送信する画像送信手段と、を有し、
画像管理装置は、画像撮影装置から付加情報を受信する付加情報受信手段と、受信した付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定する判定手段と、判定手段が要と判定した画像の要求を画像撮影装置へ送信する要求送信手段と、画像撮影装置から画像を受信する画像受信手段と、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段と、付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段と、を有していることを特徴とする画像蓄積システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像蓄積システムにおいて、
画像管理装置は、画像撮影装置から画像を受信するに応じて当該画像撮影装置へ応答を送信する応答手段を有し、
画像撮影装置は、画像管理装置から応答を受信しないときは送信した画像をメモリに保持して、応答を受信した後に当該画像を再送することを特徴とする画像蓄積システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像蓄積システムにおいて、
利用者が使用する端末装置を備え、
端末装置は、付加情報による指定を含む指示を画像管理装置へ出力する出力手段と、画像管理装置から出力された画像を入力する入力手段と、入力された画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする画像蓄積システム。
【請求項1】
移動体に設けられた画像撮影装置と、画像と当該画像を特徴付ける付加情報とを対応付けて蓄積する画像管理装置と、を備えた画像蓄積システムであって、
画像撮影装置は、画像を撮影する画像撮像手段と、画像撮像手段が撮影する画像を特徴付ける付加情報を取得する取得手段と、取得手段が取得した付加情報を無線区間を介して画像管理装置へ送信する付加情報送信手段と、画像管理装置からの要求を受信する要求受信手段と、画像管理装置からの要求に応じて付加情報に対応する画像を無線区間を介して画像管理装置へ送信する画像送信手段と、を有し、
画像管理装置は、画像撮影装置から付加情報を受信する付加情報受信手段と、受信した付加情報に基づいて当該付加情報で特徴付けられた画像の要否を判定する判定手段と、判定手段が要と判定した画像の要求を画像撮影装置へ送信する要求送信手段と、画像撮影装置から画像を受信する画像受信手段と、受信した画像を付加情報に対応付けて記憶する記憶手段と、付加情報による指定を含む指示に応じて記憶手段に記憶されている対応する画像を出力する出力手段と、を有していることを特徴とする画像蓄積システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像蓄積システムにおいて、
画像管理装置は、画像撮影装置から画像を受信するに応じて当該画像撮影装置へ応答を送信する応答手段を有し、
画像撮影装置は、画像管理装置から応答を受信しないときは送信した画像をメモリに保持して、応答を受信した後に当該画像を再送することを特徴とする画像蓄積システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像蓄積システムにおいて、
利用者が使用する端末装置を備え、
端末装置は、付加情報による指定を含む指示を画像管理装置へ出力する出力手段と、画像管理装置から出力された画像を入力する入力手段と、入力された画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする画像蓄積システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−216102(P2012−216102A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81370(P2011−81370)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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