説明

画像表示システム、携帯情報端末及び画像表示プログラム

【課題】
導入コストが低く且つ位置精度の高い、屋内用のエアタグサービスを実現すること。
【解決手段】
所定の範囲を示す画像の情報及び前記所定の範囲における位置と当該位置に対応して表示させるべき情報とが関連付けられた表示情報を記憶している設備マスターデータ13と、携帯端末1に設けられたカメラ3と、カメラ3が撮像している方向を検知する方向センサ5と、カメラ3によって撮像されている画像を撮像画像としてディスプレイ4に表示させると共に、ユーザによって入力された現在位置情報を取得し、前記検知された方向と合わせて撮像画像の範囲を認識し、表示情報のうち認識された範囲に含まれる位置に対応する情報を撮像画像の対応する位置に重畳して表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム、携帯情報端末及び画像表示プログラムに関し、特に、位置情報に関連付けられた情報を撮像された画像に重畳して表示させるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セカイカメラ(登録商標)というアプリケーションサービスが携帯型通信端末において提供されている。このアプリケーションサービスにおいては、携帯型通信端末に搭載された測位システムを用いて現在位置を特定する。更に、携帯型通信端末に搭載されたカメラの向きを、同じく搭載された電子コンパスの機能により認識することにより、現在カメラに映し出されている画像の範囲を特定する。
【0003】
このアプリケーションサービスのユーザは、カメラに映し出されている範囲内の位置を指定して、その位置に“エアタグ”と呼ばれる文字情報を貼り付けることができる。このエアタグの情報は、ネットワークを介してサーバ上に記憶される。サーバ上に記憶されるエアタグの情報は、ユーザによって貼り付けられた文字情報及びその文字情報が貼り付けられた位置の情報を含む。これにより、他のユーザが、上記アプリケーションサービスを利用して同じ位置をカメラに写した場合、サーバ上に既に記憶されているエアタグの文字情報が表示される。
【0004】
測位の技術としては、例えば、シート状部材又は網目状部材に規則的に一体に装着されていることを特徴とする位置情報特定部材により、簡単に設置できて屋外でも室内でも電波障害を受けることなく位置情報を正確に特定できる位置情報特定部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、撮像された画像に撮像位置及び撮像方向を加味して情報を表示させる技術としては、カメラの緯度及び経度と姿勢からカメラ画像に情報の表示を行う技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−155383号公報
【特許文献2】特表2000−512781号公報特許第4294093号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなアプリケーションサービス(以降、エアタグサービスとする)においては、上述したように端末の現在位置を認識する必要があり、現状では測位システムとしてGPS(Global Positioning System)が用いられている。例えば、屋外においてエアタグを貼り付ける対象は建物等の比較的大きなものであるため、数メートル程度の誤差は許容される。従って、屋外において、建物等の位置を指定してエアタグを表示させる場合には、GPSによる測位において位置精度は問題とならない。
【0008】
しかしながら、屋内においてエアタグを貼り付ける対象は、建物内の設備や備品等、比較的小さなものであるため、数メートル程度の誤差があると、エアタグが表示される位置が意図した位置、即ち、設備や備品等の位置と大きく外れてしまうこととなる。換言すると、屋内における部屋のサイズは一般的に一辺が数メートルから数十メートルであり、屋内の位置情報を扱うシステムは屋外の位置情報を扱うシステムよりも高い測位精度(数十センチメートル)の実現が課題となる。
【0009】
屋外の測位に利用されるGPSの測位精度は誤差が数メートルから数十メートルであり、屋内においてはさらに誤差が大きくなるため、屋内の位置情報を扱うシステムにおいて測位にGPSを利用することは現実的でない。
【0010】
屋内における測位システムとしては、GPS以外に、IMES(Indoor Messaging System)、無線LAN(Local Area Network)、RFID(Radio Frequency IDentification)等があり得る。しかしながら、いずれも測位のための機器設置が必要であり、機器を設置する部屋の数や大きさに比例して設置コストおよび運用コストが大きくなる。また、必ずしも上述したような位置精度の実現が容易なわけではない。
【0011】
本発明の目的は、導入コストが低く且つ位置精度の高いエアタグサービスを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、撮像された画像に他の情報を重畳して表示させる画像表示システムであって、所定の範囲を示す画像の情報を記憶している範囲画像情報記憶部と、前記所定の範囲における位置と当該位置に対応して表示させるべき情報とが関連付けられた表示情報を記憶している表示情報記憶部と、携帯型の情報端末に設けられた撮像部と、ユーザによって入力された前記情報端末の現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、前記撮像部が撮像している方向を検知する方向検知部と、前記撮像部によって撮像されている画像を撮像画像として表示部に表示させる表示処理部とを含み、前記表示処理部は、前記取得された現在位置情報及び前記検知された方向に基づいて前記撮像画像の範囲を認識し、前記記憶されている表示情報のうち前記認識された範囲に含まれる位置に対応して表示させるべき情報を前記撮像画像の対応する位置に重畳して表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の態様は、撮像された画像に他の情報を重畳して表示させる携帯情報端末であって、画像を撮像する撮像部と、ユーザによる操作に応じて入力された前記情報端末の現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、前記所定の範囲における位置と当該位置に対応して表示させるべき情報とが関連付けられた表示情報を記憶している表示情報記憶部から前記表示情報を取得する表示情報取得部と、前記撮像部が撮像している方向を検知する方向検知部と、前記撮像部によって撮像されている画像を撮像画像として表示部に表示させる表示処理部とを含み、前記表示処理部は、前記取得された現在位置情報及び前記検知された方向に基づいて前記撮像画像の範囲を認識し、前記取得された表示情報のうち前記認識された範囲に含まれる位置に対応して表示させるべき情報を前記撮像画像の対応する位置に重畳して表示することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の更に他の態様は、撮像された画像に他の情報を重畳して表示させる携帯情報端末の画像表示プログラムであって、ユーザによる操作に応じて入力された前記情報端末の現在位置情報を取得するステップと、前記所定の範囲における位置と当該位置に対応して表示させるべき情報とが関連付けられた表示情報を記憶している表示情報記憶部から前記表示情報を取得するステップと、前記携帯情報端末に設けられた撮像部が撮像している方向を示す情報であって、前記携帯情報端末に設けられた方向検知部によって検知された方向を示す情報を取得するステップと、前記撮像部によって撮像されている画像を撮像画像として表示部に表示させるステップと、前記取得された現在位置情報及び前記検知された方向に基づいて前記撮像画像の範囲を認識するステップと、前記取得された表示情報のうち前記認識された範囲に含まれる位置に対応して表示させるべき情報を前記撮像画像の対応する位置に重畳して表示するステップとを前記携帯情報端末に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明を用いることにより、導入コストが低く且つ位置精度の高いエアタグサービスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理システムの運用形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る設備マスターデータに含まれる情報の例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理システムにおける携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る携帯端末操作者が部屋の出入り口付近に位置する例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る携帯端末操作者が出入り口付近に位置するときの携帯端末位置入力手段の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る携帯端末操作者が出入り口付近に位置するときの携帯端末の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る携帯端末操作者が部屋中央付近に移動した例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る携帯端末操作者が部屋中央付近に移動したときの携帯端末の表示例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る携帯端末操作者が部屋中央付近に移動したときの携帯端末位置入力手段の表示例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る携帯端末操作者が部屋中央付近に移動したときに携帯端末位置入力手段で正しい位置を入力したときの携帯端末の表示例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る情報処理端末のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、建物内において、予め記憶された設備名のデータを、設定された位置に表示するエアタグサービスを例として説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るエアタグサービスの運用形態を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るエアタグサービスは、携帯端末1と設備管理サーバ2とが無線通信を行うことにより実現される。携帯端末1及び設備管理サーバ2は、撮像された情報及びエアタグの情報を表示する画像表示システムとして動作する。本実施形態に係るエアタグサービスにおいて、設備管理サーバ2は、1つの建物におけるエアタグサービスを提供する。
【0019】
図1に示すように、設備管理サーバ2は屋内に設置されている設備の設備マスターデータ13を保持している。設備マスターデータ管理手段12は設備マスターデータ13の登録・削除・更新などの管理を行う。設備管理サーバ通信手段11は携帯端末1に携帯端末1が位置する部屋の設備マスターデータを送信する。設備マスターデータには、部屋の形状データ、設備の位置、名称などが含まれる。
【0020】
図2を参照して、設備マスターデータ13に記憶されている情報について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る設備マスターデータ13は、建物データ、部屋データ及び設備データを含む。建物データは、そのエアタグサービスが提供されている建物についての情報であり、図2に示すように、フロアID、フロアの画像情報及び建物位置情報を含む。
【0021】
フロアIDは、その建物を構成している各フロアを識別する識別情報である。フロアの画像情報は、図2に示すように、その建物を構成している各フロアのフロアマップの画像である。建物位置情報は、その建物が建てられている位置の情報であり、本実施形態においては、GPSによる位置信号に対応した情報である。
【0022】
部屋データは、上記建物を構成している各フロアに存在する部屋の情報であり、図2に示すように、部屋ID、部屋の画像情報及び部屋位置情報を含む。部屋IDは、各部屋を識別する識別情報である。部屋の画像情報は、図2に示すように、各部屋の平面の画像である。部屋位置情報は、その建物の各フロアにおいて部屋が配置されている位置の情報であり、本実施形態においては、建物データに含まれるフロアの画像情報中の座標に対応した情報である。
【0023】
このように、本実施形態においては、設備マスターデータ13が、所定の範囲として部屋を示す画像の情報を記憶している範囲画像情報記憶部として機能する。また、設備マスターデータ13は、建物内のフロア画像の情報を記憶しているフロア画像情報記憶部としても機能する。
【0024】
設備データは、上記各部屋内に配置されている設備の情報であり、図2に示すように、設備ID、部屋ID、設備名及び設備位置の情報を含む。設備IDは、夫々の設備を識別するための識別情報である。部屋IDは、夫々の設備が設置された部屋を識別するための識別情報であり、部屋データに含まれる部屋IDに対応している。
【0025】
設備名は、夫々の設備の名前を示す文字情報であり、本実施形態においては、この設備名の文字情報がエアタグとして表示される。設備位置は、夫々の設備が設置されている位置の情報であり、本実施形態においては、部屋データに含まれる部屋の画像情報中の座標に対応した情報である。この設備位置によって特定される位置に、エアタグが表示される。
【0026】
このように、設備マスターデータ13は、上述した部屋、即ち所定の範囲における位置と、その位置に対応して表示させるべき情報である設備名の情報とが関連付けられた表示情報を記憶している表示情報記憶部として機能する。
【0027】
携帯端末1においては、撮像部であるカメラ3が光学情報を電気信号に変換して画像情報を生成する。方向センサ5は、携帯端末1のカメラ3が向いている方向を検知し、検知信号を設備データ表示手段6に出力する。尚、方向センサ5は、東西南北の方位の他、加速度センサ等により、上下の方向も検知可能である。携帯端末位置入力手段7は、ユーザが携帯端末1に対して情報を入力するユーザインタフェースであり、本実施形態において、ユーザは、自分が立っている位置の情報を、携帯端末位置入力手段7を介して入力する。
【0028】
携帯端末通信手段8は、設備管理サーバ通信手段11が送信した設備マスターデータを受信する。設備データ管理手段9は、携帯端末通信手段8が受信した設備マスターデータを設備データ10として保存する。また、設備データ管理手段9は、設備データとして保存した情報を設備データ表示手段6に入力する。
【0029】
設備データ表示手段6は、携帯端末位置入力手段7を介して入力された情報に基づいて、携帯端末1の現在位置を認識する。更に、設備データ表示手段6は、方向センサ5による検知信号に基づき、カメラ3が向いている方向を認識し、上記認識した現在位置との関係から、現在カメラ3によって撮像されている範囲(以降、撮像範囲とする)を判断する。即ち、方向センサ5が方向検知部として機能する。
【0030】
そして、設備データ表示手段6は、上記判断した撮像範囲に表示させるべきエアタグ、即ち設備名の文字情報を設備データ管理手段9から取得し、エアタグを表示させるべき位置、即ち設備位置の情報に基づいてカメラ3が生成した画像情報にエアタグを重畳してディスプレイ4に表示させる。ディスプレイ4は、画像を表示する表示部として機能する他、タッチパネルとしてユーザが情報を入力する入力部としても機能する。
【0031】
次に、本実施形態に係るエアタグサービスの動作について、図3を参照して説明する。図3に示すように、まず、携帯端末通信手段8が、設備データ管理手段9の制御に基づき、設備管理サーバ2から設備マスターデータを受信する。設備データ管理手段0は、受信した設備マスターデータを設備データ10として保存する(S301)。即ち、設備データ管理手段9が、表示情報取得部として機能する。次に、設備データ表示手段6は、設備データ管理手段9から、設備データ10に含まれる情報のうちフロアデータを取得し、フロアの画像をディスプレイ4に表示させる(S302)。
【0032】
S302において表示されるのは、図2に示すフロアの画像である。この画面において、ユーザはフロアに含まれる部屋のいずれかを選択する。ユーザによる部屋の選択は、表示された画面上の部屋をユーザがタッチすることにより、画面上の座標情報が入力され、画面上の座標情報とフロア画像上の座標情報との変換処理の後、部屋データにおける座標情報との対応関係により認識される。
【0033】
ユーザによって部屋が選択されると(S303)、設備データ表示手段6は、設備データ管理手段9から選択された部屋の部屋データ及びその部屋に含まれる設備の設備データを取得する(S304)。そして、設備データ表示手段6は、選択された部屋の画像をディスプレイ4に表示させる(S305)。S305において表示される部屋の画像は、図2に示す部屋の平面図である。
【0034】
S305において部屋の画像が表示されると、ユーザは、携帯端末位置入力手段7を介して、現在の位置を入力する(S306)。S306において、例えば、ユーザが図4に示すような位置に立っている場合、図5に星のマークで示す位置がユーザの現在位置として入力される。この入力は、図5のように表示された部屋の画面において、指定すべき位置、即ち星マークの位置をユーザがタッチすることにより、画面上の座標情報が入力され、画面上の座標情報と画像情報の座標情報との変換処理により、画像上の座標として認識される。
【0035】
即ち、設備データ表示手段6が、表示された部屋の画像に対する操作に応じて携帯端末1の現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段として機能する。このように、本実施形態においては、タッチパネルとして構成されたディスプレイ4を用い、部屋の平面図をディスプレイ4に表示させた上で、画面上のタッチにより現在位置情報携帯端末1が現在位置情報を取得するため、直感的な操作が可能であり、容易且つ高精度な現在位置情報の取得が可能となる。
【0036】
S306の処理により位置情報が入力されると、設備データ表示手段6は、カメラ3によって生成された画像情報をディスプレイ4に表示させると共に、方向センサ5によって検知された方向の情報、携帯端末位置入力手段7を介して入力された位置情報に基づき、ディスプレイ4に表示されている画像の位置及び範囲を認識する。
【0037】
そして、設備データ表示手段6は、S304において取得した設備データの設備位置に基づいて夫々の設備名をエアタグとして表示させるべき位置を判断し、上記カメラ3によって生成された画像情報に重畳してエアタグを表示させる(S307)。即ち、設備データ表示手段6が、表示処理部として機能する。図4の状態において、カメラ3が部屋の奥側を向いている場合のS307の画面表示の例を図6に示す。
【0038】
図6に示すように、設備A、設備Bとしった設備名の文字情報が、エアタグとしてカメラ3によって撮像された画像に重畳されて表示される。尚、S307の処理において、設備データ表示手段6は、方向センサ5による検知信号をリアルタイムでモニターしており、方向センサ5による検知信号が変化した場合、その変化に応じてエアタグの表示位置を変化させる。
【0039】
S307の処理の後、アプリケーションの終了が指示されれば(S308/YES)、設備データ表示手段6は、ディスプレイ4への表示を停止して処理を終了する。他方、アプリケーションの終了が指示されない場合(S308/NO)、S305からの処理が繰り返される。ここで、ユーザが図4の状態から図7の状態に移動した場合の処理について説明する。
【0040】
図4の状態から図7の状態にユーザが移動し、図6の状態と同様の方向を撮像し続けた場合、ディスプレイ4に表示される画像は、図8のように、実際の設備と設備名が表示されたエアタグとがずれた状態となる。これは、既に入力されている位置情報が、図4の状態から更新されていないからである。
【0041】
これに対して、ユーザは、携帯端末1を操作してディスプレイ4に再度部屋データを表示させ(S305)、図9に示すように、移動後の自分の位置を指定して入力する(S306)。これにより、設備データ表示手段6が設備データの表示位置を更新して、更新後の表示位置により設備データをエアタグとして表示させる(S307)。
【0042】
更新後のディスプレイ4における画面表示例を図10に示す。図10に示すように、正しい位置情報を入力することにより、設備データの表示位置が更新され、実際の設備と設備名が表示されたエアタグとがずれた状態が解消される。
【0043】
尚、携帯端末1及び設備管理サーバ2は、情報処理端末によって実現される。図11を参照して、本実施形態に係る携帯端末1及び設備管理サーバ2を実現する情報処理端末のハードウェア構成について説明する。図11は、本実施形態に係る情報処理端末のハードウェア構成を示すブロック図である。図11に示すように、本実施形態に係る情報処理端末は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を有する。
【0044】
即ち、本実施形態に係る情報処理端末は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104及びI/F105がバス108を介して接続されている。また、I/F105にはLCD(Liquid Crystal Display)106及び操作部107が接続されている。
【0045】
CPU101は演算手段であり、情報処理端末全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。
【0046】
HDD104は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F105は、バス108と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。尚、カメラ3、方向センサ5等の他のデバイスのI/F105において携帯端末1と接続される。LCD106は、ユーザが情報処理端末の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部107は、キーボードやマウス等、ユーザが情報処理端末に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0047】
このようなハードウェア構成において、ROM103やHDD104若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM103に読み出され、CPU101がそのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る情報処理端末の機能が実現される。
【0048】
上記ソフトウェァ制御部として実現される機能としては、携帯端末1における設備データ表示手段6、携帯端末通信手段8、設備データ管理手段9や、設備管理サーバ2における設備管理サーバ通信手段11、設備マスターデータ管理手段12が挙げられる。また、設備マスターデータ13は、HDD104等の不揮発性の記憶媒体によって実現される。更に、設備データ10は、上記不揮発性の記憶媒体の他、RAM102の一部に確保された記憶領域において実現される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態においては、屋内におけるエアタグサービスを提供する場合において、フロアや部屋における現在位置をユーザに入力させることによって携帯端末1の現在位置を取得することにより、導入コストが低く且つ位置精度の高い、屋内用のエアタグサービスを実現することができる。
【0050】
尚、上記実施形態においては、図3に示すように、エアタグサービスの開始時に設備管理サーバ2から設備マスターデータ13の全てを取得する場合を例として説明した。この他、S301においては、図2に示す情報のうち建物データのみを取得し、S304において、該当する設備データ及び部屋データを取得するようにしても良い。これにより、携帯端末1側にダウンロードするデータの量を削減することができ、携帯端末1側の記憶容量及び通信負荷を削減することができる。
【0051】
また、上記実施形態においては、設備管理サーバ2は、1つの建物についての設備マスターデータを管理している場合を例として説明した。この他、1つの設備管理サーバ2が、複数の建物の設備マスターデータを管理していても良い。この場合、ユーザは、設備管理サーバ2が管理している複数の建物から1つを選択することになる。この際、携帯端末1にGPSが搭載されている場合には、携帯端末1の現在位置と図2に示す建物データの建物位置情報との対比により、取得すべき建物データを判別することが可能である。
【0052】
また、上記実施形態においては、予め構築された設備マスターデータ13の存在を前提としたシステムを例として説明した。この他、ユーザが携帯端末1のディスプレイ4に表示された画像上で位置を指定して文字情報を入力することにより、設備マスターデータ13への情報の追加及び情報の更新を可能とすることもできる。
【0053】
また、上述したような設備名をエアタグとして表示するためのシステムに限らず、位置情報と関連付けられた任意の文字列を、リアルタイムの撮像画像に重畳して表示可能なシステムとして上記実施形態を適用することも可能である。更には、エアタグとして表示される情報は文字情報に限らず、位置情報と関連付けられている情報であれば、画像情報等他の情報であっても適用可能である。
【0054】
また、上述したように設備に対応した情報をエアタグとして表示するシステムにおいても、設備名に限らず、設備の説明等他の情報をエアタグとして表示させても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 携帯端末、
2 設備管理サーバ、
3 カメラ、
4 ディスプレイ、
5 方向センサ、
6 設備データ表示手段、
7 端末位置入力手段、
8 携帯端末通信手段、
9 設備データ管理手段、
10 設備データ、
11 設備管理サーバ通信手段、
12 設備マスターデータ管理手段、
13 設備マスターデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像された画像に他の情報を重畳して表示させる画像表示システムであって、
所定の範囲を示す画像の情報を記憶している範囲画像情報記憶部と、
前記所定の範囲における位置と当該位置に対応して表示させるべき情報とが関連付けられた表示情報を記憶している表示情報記憶部と、
携帯型の情報端末に設けられた撮像部と、
前記記憶されている画像の情報に基づいて前記所定の範囲を表示部に表示させ、前記表示された範囲に対する操作に応じて入力された前記情報端末の現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、
前記撮像部が撮像している方向を検知する方向検知部と、
前記撮像部によって撮像されている画像を撮像画像として表示部に表示させる表示処理部とを含み、
前記表示処理部は、前記取得された現在位置情報及び前記検知された方向に基づいて前記撮像画像の範囲を認識し、前記記憶されている表示情報のうち前記認識された範囲に含まれる位置に対応して表示させるべき情報を前記撮像画像の対応する位置に重畳して表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記所定の範囲は建物内の部屋であり、
前記建物内のフロア画像の情報を記憶しているフロア画像情報記憶部を更に含み、
前記現在位置情報取得部は、前記記憶されているフロア画像の情報に基づいて前記建物内のフロアを前記表示部に表示させ、前記表示されたフロアに含まれる複数の部屋のうちの1つを選択させることにより、前記表示部に表示させる前記所定の範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記複数の部屋のうちの1つが選択された後に、前記選択された部屋の範囲に含まれる位置に対応した前記表示情報を前記表示情報記憶部から取得して保持することを特徴とする請求項2に記載の画像表示システム
【請求項4】
前記所定の範囲における位置は、前記所定の範囲において所定の設備が設置された位置であり、
前記位置に対応して表示させるべき情報は、前記設備に対応して表示させるべき情報であることを特徴とする請求項2たまは3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記位置に対応して表示させるべき情報は、前記設備の名前であることを特徴とする請求項4に記載の画像表示システム。
【請求項6】
撮像された画像に他の情報を重畳して表示させる携帯情報端末であって、
画像を撮像する撮像部と、
所定の範囲を示す画像の情報を記憶している範囲画像情報記憶部から前記所定の範囲を示す画像の情報を取得して前記所定の範囲を表示部に表示させ、前記表示された範囲に対する操作に応じて入力された前記情報端末の現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、
前記所定の範囲における位置と当該位置に対応して表示させるべき情報とが関連付けられた表示情報を記憶している表示情報記憶部から前記表示情報を取得する表示情報取得部と、
前記撮像部が撮像している方向を検知する方向検知部と、
前記撮像部によって撮像されている画像を撮像画像として表示部に表示させる表示処理部とを含み、
前記表示処理部は、前記取得された現在位置情報及び前記検知された方向に基づいて前記撮像画像の範囲を認識し、前記取得された表示情報のうち前記認識された範囲に含まれる位置に対応して表示させるべき情報を前記撮像画像の対応する位置に重畳して表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項7】
撮像された画像に他の情報を重畳して表示させる携帯情報端末の画像表示プログラムであって、
所定の範囲を示す画像の情報を記憶している範囲画像情報記憶部から前記所定の範囲を示す画像の情報を取得して前記所定の範囲を表示部に表示させ、前記表示された範囲に対する操作に応じて入力された前記情報端末の現在位置情報を取得するステップと、
前記所定の範囲における位置と当該位置に対応して表示させるべき情報とが関連付けられた表示情報を記憶している表示情報記憶部から前記表示情報を取得するステップと、
前記携帯情報端末に設けられた撮像部が撮像している方向を示す情報であって、前記携帯情報端末に設けられた方向検知部によって検知された方向を示す情報を取得するステップと、
前記撮像部によって撮像されている画像を撮像画像として表示部に表示させるステップと、
前記取得された現在位置情報及び前記検知された方向に基づいて前記撮像画像の範囲を認識するステップと、
前記取得された表示情報のうち前記認識された範囲に含まれる位置に対応して表示させるべき情報を前記撮像画像の対応する位置に重畳して表示するステップとを前記携帯情報端末に実行させることを特徴とする画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−191892(P2011−191892A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56007(P2010−56007)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】