説明

画像表示システム及び画像表示プログラム

【課題】簡易な手法により、高解像度で8ビット(256階調)の画像表示と、通常解像度で多階調の画像表示とを切り替えて行うことが可能であり、状況に応じて最適な画像を表示させることのできる画像表示システム及び画像表示プログラムを提供する。
【解決手段】元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成部37と、モノクロ液晶パネル51をサブ画素毎に駆動可能な液晶駆動部52と、表示用データ生成部37により生成された表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率に応じて、液晶パネル51に画像を表示させる際に、画素を階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させるか、サブ画素を階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させるかを切り替えるように液晶駆動部52を制御する表示手段制御部32と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム及び画像表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、X線診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging 磁気共鳴映像法)診断装置、各種CT(Computed Tomography コンピュータ断層撮影)装置などの医療用診断装置で撮影された撮影画像(医用画像)は、通常、X線フィルムやその他のフィルム感光材料などの光透過性の画像記録フィルムに記録され、光透過性の画像として再生される。この診断画像が再生されたフィルムは、シャーカステンと呼ばれる観察用の装置にセットされて、背面から光を照射された状態で観察され、病変箇所の有無等の診断が行われる。
【0003】
また、近年は、各種の医療用診断装置で撮影された診断画像を、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display 液晶ディスプレイ)等のモニタに出力し、モニタに出力された画像により、診断等が行われている。
【0004】
しかし、特に医療用診断装置で撮影されるモノクロ画像の画像データは、元画像データの画素数が多く、そのままではモニタに出力した際に、1画面に画像全体を表示させることができない。このため、従来、モニタの1画素を構成する複数のサブ画素を階調表現の1単位とし、元画像データを間引いて画像全体が1画面に収まるように調整して表示させることが行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
しかし、一般にモニタのサブ画素が表現できる階調数(表示階調数)は、8ビット(256階調)であり、一律にサブ画素を階調表現の1単位としたのでは、多階調の画像表示を行うことができない。
【0006】
他方で、複数のサブ画素を組み合わせて1画素を表現し、この1画素を階調表現の1単位とした場合には、多階調の画像表示を行うことはできるが、その分元画像データからの間引き量を多くしなければ、1画面に画像全体を収めることができない。
【0007】
この点、カラー画像を表示する際には画素を階調表現の1単位とし、モノクロ画像を表示する際にはサブ画素を階調表現の1単位とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、カラー画像については多階調の表示を行うことが可能となる。
【0008】
また、動画を表示する際には画素を階調制御の1単位とし、静止画を表示する際にはサブ画素を階調制御の1単位とする技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−174780号公報
【特許文献2】特開2001−350453号公報
【非特許文献1】東京特殊電線(株)製のモノクロ液晶モニタのカタログ(2007.10版)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記各従来技術では、解像度を高くしようとすると表示階調数が8ビット(256階調)となり、表示階調を多階調とすると解像度が低くなることとなる。
しかし、例えば全体画像の一部分をトリミングしたり拡大して表示させたい場合等は、当該部分は病変の疑いのある箇所である可能性が高く、このような部分についてはより「高階調」な画像表示が求められる。
他方で、画像全体が1画面に収まるように表示させることができなければ、診断を行う際に不便であり、また、このような全体画像においてもある程度高精細な表示を行うことができなければ、全体画像から病変の疑いのある箇所を発見することができず、当該病変の疑いのある箇所をトリミングしたり拡大して表示させることもないまま、病変を見逃してしまう危険がある。
【0010】
そこで、解像度は高いが表示階調数が8ビット(256階調)となるモードと、表示階調を多階調とすることができるが解像度が低くなるモードとを切り替えることも考えられるが、単に切り替えただけでは、モニタにどちらか一方の表示しかできないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な手法により、高解像度で8ビット(256階調)の画像表示と、通常解像度で多階調の画像表示とを切り替えて行うことが可能であり、状況に応じて最適な画像を表示させることのできる画像表示システム及び画像表示プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有するモノクロ液晶表示手段に画像を表示させる画像表示システムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成手段と、
前記モノクロ液晶表示手段を前記サブ画素毎に駆動可能な液晶駆動手段と、
前記表示用データ生成手段により生成された前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際に、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替えるように前記液晶駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有するモノクロ液晶表示手段に画像種別の異なる画像を表示可能な画像表示システムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成手段と、
前記表示用データに基づいて前記モノクロ液晶表示手段を前記画素又は前記サブ画素を1単位として駆動させる液晶駆動手段と、
前記液晶駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備え、
前記駆動制御手段は、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて前記画素を階調表現の1単位とするか前記サブ画素を階調表現の1単位とするかを切り替えるか、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず前記画素を階調表現の1単位とするか、を前記画像種別に応じて切り替えるように前記液晶駆動手段を制御することを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有するモノクロ液晶表示手段にモノクロ画像データに基づく画像及びカラー画像データに基づく画像の少なくともいずれか1つを表示させる画像表示システムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成手段と、
前記表示用データに基づいて前記モノクロ液晶表示手段を前記画素又は前記サブ画素を1単位として駆動させる液晶駆動手段と、
前記液晶駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備え、
前記駆動制御手段は、前記元画像データが前記モノクロ画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替えるように前記液晶駆動手段を制御し、前記元画像データが前記カラー画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるように前記液晶駆動手段を制御することを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有し、前記サブ画素毎に駆動可能なモノクロ液晶表示手段に画像を表示させる画像表示プログラムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成機能と、
前記表示用データ生成機能により生成された前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際に、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替える駆動制御機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有し、前記サブ画素毎に駆動可能なモノクロ液晶表示手段に画像種別の異なる画像を表示可能な画像表示プログラムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成機能と、
前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際に、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて前記画素を階調表現の1単位とするか前記サブ画素を階調表現の1単位とするかを切り替えるか、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず前記画素を階調表現の1単位とするか、を前記画像種別に応じて切り替える駆動制御機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有し、前記サブ画素毎に駆動可能なモノクロ液晶表示手段にモノクロ画像データに基づく画像及びカラー画像データに基づく画像の少なくともいずれか1つを表示させる画像表示プログラムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成機能と、
前記元画像データが前記モノクロ画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替え、前記元画像データが前記カラー画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させる駆動制御機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、元画像データの画像を縮小して画像全体をモノクロ液晶表示手段に表示させる場合には、各サブ画素を階調表現の1単位として扱うことにより解像度を上げ、元画像データの画像の一部をトリミング又は拡大して元画像データと等倍で表示させる場合には、複数のサブ画素で構成される画素を階調表現の1単位として扱うことにより多階調で画像を表示させるというように、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率に応じて、画素又はサブ画素のいずれを階調表現の1単位とするかを切り替える。
このため、画像全体を縮小表示させた状態でも、医師等のユーザが当該画像から病変の疑いのある箇所を発見することができ、また、病変の疑いのある箇所を発見した場合、これを拡大して表示させた場合には、高精細で、なおかつ高階調の画像を表示させることができる。これにより、病変箇所の見逃しを防止し、より適切な診断を行うことができるとの効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、画像種別に応じて、画素又はサブ画素のいずれを階調表現の1単位とするかを切り替える。このため、例えばCR画像のように元画像データの画素数の多い画像については、元画像データの画像を縮小して画像全体をモノクロ液晶表示手段に表示させるようにし、例えばCT画像、MR画像、超音波画像のように元画像データの画素数が比較的少ない画像については、表示倍率(前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率)によらずに画素を階調表現の1単位として表示を行うことができる。
これにより、階調表現の1単位を切り替える必要のない場合には、処理速度を早くすることができるという効果を奏する。例えばCT画像やMR画像では、多数のスライスの画像を切り替えることが要求される場合も多く、解像度や階調数よりも処理速度に対する要求が高いので好ましい。
【0020】
また、本発明によれば、元画像データがモノクロ画像データかカラー画像データかに応じて、画素又はサブ画素のいずれを階調表現の1単位とするかを切り替える。このため、元画像データの画素数は比較的多いモノクロ画像については、元画像データの画像を縮小して画像全体をモノクロ液晶表示手段に表示させるようにし、元画像データの画素数が比較的少ないカラー画像については、表示倍率(前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率)によらずに画素を階調表現の1単位として表示を行うことができる。
これにより、階調表現の1単位を切り替える必要のない場合には、処理速度を早くすることができるという効果を奏する。例えばCT画像やMR画像では、多数のスライスの画像を切り替えることが要求される場合も多く、解像度や階調数よりも処理速度に対する要求が高いので好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第一の実施形態]
以下に、本発明に係る画像表示システムの第1の実施形態について、図1から図18を参照しつつ説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0022】
図1は、本実施形態における画像表示システムの構成例を示した要部ブロック図である。
【0023】
本実施形態において、画像表示システム100は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の図示しない通信ネットワークを介して画像生成装置1と接続されており、画像生成装置1によって生成された撮影画像データ(以下、「元画像データ」と称する。)が送信されるようになっている。
【0024】
画像生成装置1は、例えば、内視鏡画像装置、超音波画像装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomografhy)、MRT(Magnetic Resonance Imaging)、乳房画像生成装置(マンモグラフィ)、FPD(Flat Panel Detector)等のX線画像装置、等である。なお、画像生成装置1の種類等はここに例示したものに限定されない。
【0025】
なお、画像表示システム100と画像生成装置1等との通信方式としては、例えばDICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格が用いられ、LAN接続された各装置間の通信では、DICOM MWM(Modality Worklist Management)やDICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)等が用いられる。なお、本実施形態に適用可能な通信方式はこれに限定されない。
【0026】
画像表示システム100は、画像生成装置1によって生成された元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成処理等を行う画像処理手段3、画像処理手段3によって生成された表示用データに基づいて画像を表示する画像表示手段5、各種指示等を入力する入力部7等を備えて構成されている。
【0027】
画像表示手段5は、例えば、医療用診断画像を表示させるモニタである。図1に示すように、画像表示手段5には、表示用データに基づいてモノクロ画像を表示するモノクロ液晶表示手段としての液晶パネル(LCD(Liquid Crystal Display))51と、液晶パネル51を駆動させる液晶駆動部52とが備えられている。
【0028】
図2は、液晶パネル51を構成する画素を模式的に示した説明図である。なお、図2においては4つの画素A,B,C,Dを抜き出して示している。
図2に示すように、本実施形態において、液晶パネル51の各画素A,B,C,D(図2中、太線で囲まれた部分)は、一定方向(図2において縦方向)に配列された3つのサブ画素a,b,c(図2中、一点鎖線で囲まれた部分)により構成されている。
【0029】
液晶駆動部52は、表示用データに基づいて液晶パネル51を、液晶パネル51の1画素A,B,C,D又はサブ画素a,b,cを1単位として駆動させる液晶駆動手段である。
すなわち、液晶駆動部52は、画像処理手段3の表示手段制御部32から液晶パネル51の1画素を1単位とした表示用データが送られたときは、1画素を階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させる。また、表示手段制御部32から液晶パネル51の各サブ画素a,b,cを1単位とした表示用データが送られたときは、各サブ画素a,b,cを階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させる。
【0030】
なお、液晶パネル51の1画素を階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させる場合には、1画素を構成する3つのサブ画素a,b,cを組み合わせて1画素を表現する。
本実施の形態においては、液晶パネル51は、階調特性として、8ビットの階調(256階調)を表現することが可能となっており、サブ画素が表現できる階調数は8ビット(256階調)となっているが、各サブ画素a,b,c毎にそれぞれに入力信号値を割り当て、3つのサブ画素a,b,cを組み合わせて駆動させて、1画素を表現することにより、液晶パネル51の階調特性(サブ画素a,b,cが表現できる階調数)を超える階調表現が可能となる。なお、液晶パネル51の1画素を階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させる場合に、サブ画素が表現できる階調数よりもどの程度多い階調数を表現するかは限定されないが、サブ画素が表現できる階調数の2倍以上の階調数を表現できることが好ましい。
【0031】
これに対して、各サブ画素a,b,cを階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させる場合には、各サブ画素a,b,c毎にそれぞれに入力信号値が割り当てられ、各サブ画素a,b,cを独立に駆動させる。この場合には、例えば、1画素が3つのサブ画素a,b,cで構成されている場合、液晶パネル51の1画素を階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させる場合と比べて3倍の解像度を実現することができる。他方で、サブ画素a,b,cを組み合わせて階調表現を行うことはできないため、サブ画素が表現できる階調数(本実施形態では、8ビット(256階調))での階調表現ができるにとどまる。
【0032】
本実施形態に適用可能な液晶パネル51の種類は特に限定されず、また、液晶駆動部52が液晶パネル51を駆動させる方式についてもTN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、MVA(Multi-domain Vertical Alignement)方式、IPS(In Plane Switching)方式等の各種の駆動方式のものを適用することができる。
【0033】
また、画像表示手段5は非観察側から液晶パネル51に光を照射するバックライト53を備えている。バックライト53は、液晶パネル51を照明するに足りる光を提供し得るものであればよく、例えば、LED、冷陰極蛍光管、熱陰極蛍光管、その他の発光素子等を適用可能であるが、医療用途のモニタにも好適に利用可能なように、観察側での最大輝度が300〜5000cd/m2であることが好ましい。
【0034】
入力部7は、図示しない文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス等を備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号やマウスによる操作信号を、入力信号として本体制御部31に出力する。
本実施形態において、入力部7は、医師等のユーザが画像表示手段5の液晶パネル51に表示させる画像の表示倍率や、拡大表示・トリミング等を行う場合の対象箇所の選択・指定等を入力する手段として機能する。
【0035】
なお、前記画像表示手段5の液晶パネル51の画面上に、透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネル(図示せず)を形成し、液晶パネル51と入力部7とが一体に構成されるタッチスクリーンとし、拡大表示・トリミング等を行う場合の対象箇所の選択・指定等を入力する手段として機能させてもよい。この場合、タッチパネルは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号が操作信号として本体制御部31に出力されるように構成される。
【0036】
本実施形態において、画像処理手段3は、画像処理手段3を統括的に制御する本体制御部31、画像表示手段5を制御する表示手段制御部32、記憶部33等を備えて構成されるコンピュータである。
【0037】
記憶部33は、プログラム記憶部34、RAM(Random Access Memory)35等を備えている。
プログラム記憶部34は、情報を読み込み可能に記憶するメモリである。本実施形態において、プログラム記憶部34には、元画像データに基づいて表示用データを生成したり、画像を画像表示手段5に表示させる際の表示倍率や元画像データの画像種別等に応じて表示の仕方を切り替える等、画像を適切に画像表示手段5に表示させるための画像表示プログラム等の各種プログラムが格納されている。
RAM35は、各種情報を格納する揮発性のメモリであり、各種情報を一時記憶する記憶領域と、各種プログラム、データ等を展開する作業領域と(いずれも図示せず)を有している。
【0038】
なお、本実施形態において、本体制御部31が画像生成装置1から元画像データを取得すると、RAM35の記憶領域に一時的に記憶されるようになっている。なお、元画像データを記憶する手段はRAM35に限定されず、画像処理手段3に、元画像データを記憶する記憶部が別途備えられていてもよい。
【0039】
本体制御部31は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等により構成されており、画像種別判定部36、表示用データ生成部37等を備えている。
本体制御部31は、プログラム記憶部34に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM35の作業領域に展開し、RAM35に展開されたプログラムとの協働により、各種処理を実行する。
【0040】
画像種別判定部36は、インターフェースを介して入力された元画像データについて、画像種別を判定する機能部である。本実施形態において、画像種別判定部36によって判定される画像種別としては、元画像データがカラー画像データかモノクロ画像データかの別、元画像データの縦方向・横方向の画素数(元画像データサイズ)等である。画像種別判定部36による判定結果は、表示用データ生成部37に送られる。
【0041】
各元画像データには、付帯情報(画像データのヘッダ情報)として、元画像データを取得した画像生成装置1の種別、画像のカラー情報、画像の1画素当たりのビット数、1画素当たりのバイト数、画像の縦方向の画素数、画像の横方向の画素数、といった各種の情報が付帯されている。各付帯情報はそれぞれアドレスを付与され、参照可能な形で元画像データに付帯されており、画像種別判定部36は、元画像データに付帯するこの付帯情報に基づいて、各画像の画像種別を判定するようになっている。なお、画像種別として考慮される条件はここに例示したものに限定されず、例えば、さらに階調数等をも併せて画像種別としてもよい。
【0042】
なお、元画像データの保存は、例えば医用画像の配信、医用画像の保存フォーマット等に係る規格であるDICOM規格に従って行われ、このDICOM規格の保存フォーマットでは、医用画像のヘッダ領域に元画像データに関する各種付帯情報を書き込み、付帯させる際の規格が定められている。したがって、元画像データの保存がDICOM規格の保存フォーマットで行われた場合には、元画像データを保存する際に、DICOM規格に従って必要な付帯情報が元画像データに付帯される。このDICOM規格を適用することにより異なる装置間での元画像データの交換が可能となる。なお、元画像データに付帯情報を付帯させる手法は特に限定されず、元画像データの保存がDICOM規格の保存フォーマットで行われていない場合には、図示しない入力部から必要な情報を入力して付帯情報としたり、バーコード等を読み込ませることにより必要な付帯情報を付帯させる手法等を用いることができる。
【0043】
表示用データ生成部37は、画像種別判定部36によって判定された元画像データの画像の縦方向の画素数・横方向の画素数と、液晶パネル51の縦方向の画素数・横方向の画素数、及び、入力部7から入力された拡大表示・トリミング等の有無に応じて、各元画像データに基づく表示用データを生成する表示用データ生成手段である。なお、表示用データ生成部37は、図示しない階調変換LUTを適用することにより、元画像データの画像種別に応じた画像処理条件で各元画像データの画像処理を行い、表示用データを生成するようになっている。
【0044】
例えば、図3に示すように、元画像データが、画像の縦方向の画素数が4800画素、横方向の画素数が3600画素であり、これを表示させる液晶パネル51の縦方向の画素数が1600画素、横方向の画素数が1200画素である場合、液晶パネル51に元画像データに基づく画像全体を表示させるためには、縦方向の画素及び横方向の画素を間引くことより全体の画素数を液晶パネル51に表示可能なものとする間引き処理を行って、例えば、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が1対3となる縮小率で液晶パネル51に画像を表示させる表示用データを生成する必要がある。
これを便宜上、画素数を少なくして、図4を参照しつつ説明する。
例えば、元画像データが、画像の縦方向の画素数が15画素、横方向の画素数が12画素であり、これを表示させる液晶パネル51の縦方向の画素数が5画素、横方向の画素数が4画素である場合、元画像データにおける9画素(縦3画素×横3画素)を1つの画素とする間引き処理を行うことで、縦方向の画素数を5画素、横方向の画素数を4画素とする表示用データを生成することができる。
【0045】
このような表示用データを生成する手法としては、以下のような縮小手法がある。
まず、第1の縮小手法としては、図5に示すように、元画像データ(図5(a))における9画素(縦3画素×横3画素)の代表値を求めて、この代表値を画素値とする画素を1画素とする間引き処理を行う(図5(b))。代表値は、9画素の中央の画素値でもよいし、9画素の平均値、中央値、最多値を求めてもよい。本実施形態では、以下において9画素の平均値を代表値とする。さらに、これを液晶パネル51の階調数に合わせて768階調から256階調になるように階調数変換処理を行う(図5(c))。そして、各画素について決定された画素値(例えば、図5(c)における右上の画素の画素値は113。)を当該画素を構成する3つのサブ画素a,b,cの画素値とする256階調の表示用画像データを生成する(図5(d))。図6は、この手法で表示用データを生成した場合の画素数の減少を模式的に示したものである。
この手法によれば、元画像データの画素数が多く、そのままでは画像全体を液晶パネル51に表示させることができない場合でも、液晶パネル51に画像全体を表示させることのできる表示用データを生成することができる。しかし、3つのサブ画素a,b,cの画素値として同じ数値が設定されるため、液晶パネル51に表示させた際の階調数は256階調に減少してしまう。このため、高精細な画像を表示させることができない。
【0046】
そこで、第2の縮小手法としては、図7に示すように、元画像データ(図7(a))における9画素(縦3画素×横3画素)の代表値を求めて、この代表値を画素値とする画素を1画素とする間引き処理を行う(図7(b))。さらに、液晶パネル51の各画素を構成する3つのサブ画素a,b,cについてそれぞれ個別に画素値を決定し、これら3つのサブ画素a,b,cを組み合わせて1つの画素を表現させることにより、元画像データの階調数(図7では768階調)と同じ階調数を表現することのできる表示用データを生成する(図7(c))。図8は、この手法で表示用データを生成した場合の画素数の減少を模式的に示したものである。
この手法によれば、元画像データの画素数が多く、そのままでは画像全体を液晶パネル51に表示させることができない場合でも、液晶パネル51に画像全体を表示させることのできる表示用データを生成することができる。また、液晶パネル51に表示させた際の階調数は元画像データと同じ768階調とすることができるため、高精細な画像を表示させることができる。ただ、3つのサブ画素a,b,cを独立して駆動させないため、解像度は低くなる。
【0047】
また、第3の縮小手法としては、図9に示すように、サブ画素a,b,cの配列方向(図9における縦方向)の画素数が元画像データの画素数と同一であり、サブ画素a,b,cの配列方向と直交する方向(図9における横方向)の画素数が元画像データの画素数の3分の1になるように、新たな画素値を求めて表示用データを生成する。具体的には、元画像データ(図9(a))における横方向についてだけ3画素の代表値を求める間引き処理を行う(図9(b))。さらに、これを液晶パネル51の階調数に合わせて768階調から256階調になるように階調数変換処理を行う(図9(c))。そして、元画像データ(図9(a))における横方向の3画素を1つのサブ画素a,b,cとし、各サブ画素a,b,cを階調表現の1単位とする256階調の表示用画像データを生成する(図9(d))。これにより、図10に示すように、縦方向においては画素数が元画像データの画素数と同一であり、横方向においては画素数が元画像データの画素数の3分の1となるように、各サブ画素a,b,cにデータが割り当てられる。図11は、この手法で表示用データを生成した場合の画素数の減少を模式的に示したものである。
この手法によれば、元画像データの画素数が多く、そのままでは画像全体を液晶パネル51に表示させることができない場合でも、液晶パネル51に画像全体を表示させることのできる表示用データを生成することができる。また、各サブ画素a,b,cをそれぞれ独立に駆動させるため、液晶パネル51に表示させた際の階調数は256階調に減少してしまうが、縦方向(サブ画素a,b,cの配列方向)については元画像データの画素数と同一であるため、解像度が向上し、高精細な画像を表示させることができる。
【0048】
次に、画像の一部をトリミングする場合、例えば元画像データが、画像の縦方向の画素数が4800画素、横方向の画素数が3600画素であり、このような画像から縦方向の画素数が1600画素、横方向の画素数が1200画素の画像を選択して、これを液晶パネル51に表示させる場合には、図12に示すように、任意に設定されたトリミング枠内の画像については、元画像データと等倍(表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が1対1)の画像を表示させる表示用データを生成する。
これを便宜上、画素数を少なくして、図13を参照しつつ説明する。
例えば、元画像データが、画像の縦方向の画素数が15画素、横方向の画素数が12画素であり、ここから縦方向の画素数が5画素、横方向の画素数が4画素の画像をトリミングして液晶パネル51に表示させるようにトリミング枠が設定された場合、元画像データ中のトリミング枠に対応する部分(縦方向の画素数を5画素、横方向の画素数を4画素とする範囲内の画像)についての表示用データを生成することができる。
【0049】
このような等倍の表示用データを生成する手法としては、以下のようなトリミング手法がある。
まず、第1のトリミング手法としては、図14に示すように、元画像データ中のトリミング枠に対応する部分(図14(a)において太線で囲まれた分)について抜き出し(図14(b))、これを液晶パネル51の階調数に合わせて768階調から256階調になるように階調数変換処理を行う(図14(c))。そして、各画素について決定された画素値(例えば、図14(c)における右上の画素の画素値は128。)を当該画素を構成する3つのサブ画素a,b,cの画素値とする256階調の表示用画像データを生成する(図14(d))。
【0050】
また、第2のトリミング手法としては、図15に示すように、元画像データ中のトリミング枠に対応する部分(図15(a)において太線で囲まれた分)について抜き出し(図15(b))、液晶パネル51の各画素を構成する3つのサブ画素a,b,cについてそれぞれ個別に画素値を決定し、これら3つのサブ画素a,b,cを組み合わせて1つの画素を表現させることにより、元画像データの階調数(図15では768階調)と同じ階調数を表現することのできる表示用データを生成する(図15(c))。
【0051】
表示用データ生成部37による表示用データの生成においては、上記のような縮小手法とトリミング手法とを組み合わせて、元画像データの画像を縮小して画像全体を液晶パネル51に表示させる場合の表示用データと、元画像データの画像の一部をトリミングして元画像データと等倍で表示させる場合の表示用データとを生成することが可能である。
【0052】
図16に、縮小手法とトリミング手法との組み合わせ(組み合わせパターン)の例と、各組み合わせパターンにおける解像度及び階調分解能の評価を示す。
図16に示すように、組み合わせパターンとしては、第1の縮小手法と第1のトリミング手法とを組み合わせた第1の組み合わせパターン、第2の縮小手法と第2のトリミング手法とを組み合わせた第2の組み合わせパターン、第3の縮小手法と第1のトリミング手法とを組み合わせた第3の組み合わせパターン、第3の縮小手法と第2のトリミング手法とを組み合わせた第4の組み合わせパターンの4つがある。
第1の縮小手法をとった場合は、処理速度は速くなるが、表示用データに基づいて表示される全体画像の解像度及び階調分解能の点で劣るものとなる。第2の縮小手法をとった場合に、表示用データに基づいて表示される全体画像は、解像度は低くなるが、階調分解能は高いものとなる。第3の縮小手法をとった場合に、表示用データに基づいて表示される全体画像は、階調分解能の点では劣るが、解像度は高いものとなる。また、トリミングについて第1のトリミング手法をとった場合は、解像度は高いが、階調分解能の点では劣るものとなる。第2のトリミング手法をとった場合は、解像度も高く、階調分解能の点でも優れたものとなる。
【0053】
上記のうち、本実施形態においては、第4の組み合わせパターンを採用して表示用データを生成する。
すなわち、本実施形態では、表示用データ生成部37は、元画像データの画像を縮小して画像全体を液晶パネル51に表示させる場合には、上記第3の縮小手法(図9参照)により表示用データを生成し、元画像データの画像の一部をトリミングして元画像データと等倍で表示させる場合には、第2のトリミング手法(図15参照)によって表示用データを生成する。
【0054】
なお、元画像データの画像全体(全体画像)を液晶パネル51に縮小して表示させた後、医師等のユーザがその一部を拡大して表示させるように、拡大したい範囲及び拡大率を入力部7から入力した場合(いわゆる虫眼鏡機能の指示入力があった場合)には、トリミング処理を行うときと同様に、元画像データの画像中、拡大表示が指示された範囲については、元画像データをそのまま抜き出し、指示された拡大率となるように液晶パネル51の各画素を構成する3つのサブ画素a,b,cについてそれぞれ個別に画素値を決定し、これら3つのサブ画素a,b,cを組み合わせて1つの画素を表現させることにより、元画像データの階調数と同じ階調数を表現することのできる表示用データを生成する。
【0055】
なお、本実施形態において、液晶パネル51は、同一画面上に、同一の元画像データに基づく画像に対する表示倍率が異なる画像を、少なくとも2以上表示できるようになっている。
液晶パネル51の同一画面上に表示倍率が異なる画像を複数表示する場合には、表示倍率の小さい画像(例えば縮小して表示された全体画像)に重畳して表示倍率の大きい画像(例えばトリミング又は拡大された画像)を表示させる。
そして、表示倍率が異なる画像を表示させたときは、表示倍率の小さい画像中に表示倍率の大きい画像の該当位置を示す表示枠55(図18参照)を表示させるようになっている。
【0056】
表示用データ生成部37により生成された表示用データは、表示手段制御部32に送られる。
表示手段制御部32は、本体制御部31の制御に基づいて、表示用データ生成部37から送られた表示用データを画像表示手段5の液晶駆動部52に入力することにより、画像表示手段5の液晶パネル51が表示用データに基づいた画像や文字等を表示するように画像表示手段5を制御する。
表示手段制御部32は、液晶駆動部52に入力する表示用データを切り替えることにより、表示用データ生成部37により生成された表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率に応じて、液晶パネル51に画像を表示させる際に、液晶パネル51の1画素を階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させるか、サブ画素a,b,cを階調表現の1単位として液晶パネル51を駆動させるかを切り替えるように液晶駆動部52を制御する駆動制御手段として機能する。
表示手段制御部32としては、例えばグラフィックボード等を用いることができる。
【0057】
次に、図17及び図18を参照しつつ、本実施形態における画像表示システム100の作用について説明する。
【0058】
図17に示すように、画像処理手段3に、画像表示手段5の液晶パネル51に表示させるものとして、画像生成装置1から元画像データが入力されると(ステップS1)、本体制御部31は、元画像データをRAM35に記憶させる(ステップS2)。そして、画像種別判定部36において当該元画像データの縦方向及び横方向の画素数が判定され(ステップS3)、判定結果が表示用データ生成部37に送られる。
本実施形態において、記憶部33には画像表示手段5の液晶パネル51の縦方向及び横方向の画素数が記憶されており、表示用データ生成部37は、画像種別判定部36による判定結果と、液晶パネル51の縦方向及び横方向の画素数とに基づいて、表示用データの縮小率、各画素又はサブ画素ごとに割り当てる画素値等を決定し、表示用データを生成する。具体的には、元画像データに基づく画像全体(全体画像)を液晶パネル51に表示させることができるように、表示用データ生成部37は、前記第3の縮小手法(図9参照)により表示用データを生成する(ステップS4)。
【0059】
生成された表示用データは表示手段制御部32に送られ、表示手段制御部32は、送られた表示用データを画像表示手段5の液晶駆動部52に入力する(ステップS5)。液晶駆動部52は表示手段制御部32から入力された表示用データに基づいて液晶パネル51の各サブ画素を駆動させ(ステップS6)、これにより、元画像データに対応する画像全体(全体画像)が液晶パネル51に収まるように表示される(ステップS7)。
【0060】
さらに、本体制御部31は、全体画像の一部をトリミング又は拡大する指示が入力されたかを判断する(ステップS8)。そして、トリミング又は拡大する指示が入力されたとき(ステップS8:YES)は、表示用データ生成部37は、当該画像中、トリミング又は拡大する旨の選択・指定のあった範囲について、当該画像の元画像データから指示に基づいた拡大率の表示用データを生成する(ステップS9)。具体的には、表示用データ生成部37は、選択・指定された範囲について、前記第2のトリミング手法(図15参照)によって表示用データを生成する。
【0061】
生成された表示用データは、表示手段制御部32から液晶駆動部52に入力され(ステップS10)、液晶駆動部52が表示用画像データに基づく入力信号を各サブ画素に入力することによって駆動させる(ステップS11)。これにより、拡大画像が液晶パネル51上に表示される(ステップS12)。このとき、拡大画像は、全体画像とともに、全体画像と並列又は全体画像の上に重畳して液晶パネル51上に表示される。また、全体画像上には、拡大画像の全体画像上における位置を表す表示枠55(図18参照)が表示される。例えば、トリミングの場合には、図18(a)に示すような表示が行われる。また、虫眼鏡機能によって全体画像の一部を拡大する場合には、図18(b)のような表示が行われる。この場合、ユーザが入力部7からの入力等により表示枠55を移動させると、拡大される部位・範囲も移動するようになっている。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、元画像データの画像を縮小して画像全体(全体画像)を液晶パネル51に表示させる場合には、各サブ画素a,b,cを階調表現の1単位として扱うので、解像度を上げることができる。このため、画像全体を縮小表示させた状態でも、医師等のユーザが当該画像から病変の疑いのある箇所を発見することができる。
また、元画像データの画像の一部をトリミング又は拡大して元画像データと等倍で表示させる場合には、3つのサブ画素a,b,cを組み合わせて1画素として扱うので、個々のサブ画素a,b,cが表現できる階調数の2倍以上の階調数を表現することができる。このため、病変の疑いのある箇所を拡大して表示させた場合に、より詳細な診断を行うことができる。
【0063】
また、拡大画像を表示させるときには、全体画像上に、拡大画像の全体画像上における位置を表す拡大部位表示枠を表示させ、拡大画像を全体画像とともに液晶パネル51上に表示させる。このため、拡大箇所の全体画像における位置づけが診断を行う医師等に分かりやすく、また、拡大箇所の周辺部についても全体画像を見ることで同時に確認することも可能となり、診断の便宜に資する。
【0064】
なお、本実施形態では、元画像データの画像を縮小して全体画像を液晶パネル51に表示させる場合の縮小率として、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が1対3となる縮小率である場合を例として説明したが、縮小率はこれに限定されない。
【0065】
また、元画像データの画像の一部をトリミング又は拡大して表示させる場合、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が1対1の等倍である場合を例としたが、拡大率はこれに限定されない。
【0066】
また、本実施形態では、元画像データの画像を縮小した全体画像と、その一部を元画像データと等倍の大きさに拡大した拡大画像の2種類を液晶パネル51に表示させることとしたが、さらに拡大率の異なる画像を複数同時に表示させるようにしてもよい。例えば、元画像データと等倍の大きさに拡大した拡大画像の一部をさらに拡大して表示させることができるようにしてもよい。
【0067】
また、画像を縮小する際に新たな画素データを求める方法は、本実施態様に限られない。例えば、最近接補間、線形(リニア)補間、スプライン補間、バイキュービック補間、複数画素の単純平均・加重平均など、一般的に行われている各種の補間方法を用いることができる。補間の際に、高周波ノイズ成分を減弱させるようなフィルタリング処理を行ってもよい。
また、縮小率の違いで異なる補間方法を用いたり、サブ画素の配列方向とこれに直交する方向とで異なる補間方法を用いるようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、画像生成装置1が通信ネットワークを介して画像表示システム100と接続されている構成としたが、画像表示システム100に接続される外部機器は画像生成装置1に限定されない。例えば、電子カルテ情報等を記憶する患者情報記憶装置等が画像表示システム100と接続されていてもよい。
【0069】
また、画像生成装置1が画像表示システム100と接続されていることは必須の構成ではなく、例えば、画像生成装置1で生成された元画像データ等を格納するPACS(Picture Archiving and Communication System)を管理するPACSサーバが通信ネットワークを介して画像表示システム100と接続されている構成としてもよい。
この場合には、画像表示システム100は、このPACSサーバにおいて一括管理されている元画像データ等を読み出してくることにより元画像データを取得するように構成される。
ここで、PACSサーバとは、各種の画像生成装置で生成された元画像データや電子カルテ情報等の患者情報をデータベース化して保存するものである。PACSサーバにおいては、元画像データ等の保存はDICOM規格に従って行われており、画像データに関する各種の情報を画像データのヘッダ領域に書き込み、付帯情報として付帯させることによりデータベース化されている。
また、通信ネットワークにPACSサーバが接続されていない場合でも、個々の画像生成装置で生成された元画像データを記憶する記憶手段が通信ネットワークを介して画像表示システム100と接続されていればよい。
【0070】
また、本実施形態では、画像処理手段3のプログラム記憶部34に画像表示処理プログラムが格納されているものとしたが、画像表示処理プログラムの格納先はここに例示したものに限定されない。例えば外部の記憶手段に記憶されているプログラムを本体制御部31が読み込んでRAM35に展開するように構成してもよい。
【0071】
また、本実施形態では画像表示手段として液晶パネル51を備えるものとしたが、画像表示手段は医用画像を高輝度で表示可能なものであればよく、液晶パネルに限定されない。
例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等を画像表示手段として用いてもよい。
【0072】
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【0073】
[第2の実施形態]
次に、図19を参照しつつ、本発明に係る画像表示システムの第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、表示用データの生成手法が第1の実施形態と異なるものであるので、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。なお、画像表示システムの構成は第1の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0074】
本実施形態において、画像表示システムは、第1の実施形態と同様に、画像処理手段と画像表示手段とを備えている。画像処理手段の画像種別判定部は、元画像データの付帯情報に基づいて、元画像データのカラー画像データかモノクロ画像データかの別、元画像データの縦方向・横方向の画素数(元画像データサイズ)等を判定する。画像種別判定部による判定結果は、表示用データ生成部に送られる。
【0075】
表示用データ生成部は、画像種別判定部によって判定された元画像データの画像種別がカラー画像データかモノクロ画像データかに応じて、各元画像データに基づく表示用データを生成する表示用データ生成手段である。
【0076】
具体的には、表示用データ生成部は、液晶パネルにモノクロ画像データに基づく画像を表示させる際には、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率に応じて、液晶パネルの1画素を階調表現の1単位として液晶パネルを駆動させるように表示用データを生成するか、個々のサブ画素を階調表現の1単位として液晶パネルを駆動させるように表示用データを生成するかを切り替える。
すなわち、元画像データの画像を縮小して画像全体を液晶パネル51に表示させる場合には、第1の実施形態で示した第3の縮小手法(図9参照)により表示用データを生成し、元画像データの画像の一部をトリミングして元画像データと等倍で表示させる場合には、第2のトリミング手法(図15参照)によって表示用データを生成する。
【0077】
他方、液晶パネルにカラー画像データに基づく画像を表示する際には、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率にかかわらず、液晶パネルの1画素を階調表現の1単位として液晶パネルを駆動させるように、第1の実施形態で示した第3の縮小手法(図9参照)、または、第1の実施態様で示した第2のトリミング手法(図15参照)により表示用データを生成する。
【0078】
なお、液晶パネルにカラー画像データに基づく画像を表示させる際には、表示用データ生成部は、カラー画像をカラー表示用のモニタに表示させた場合に人の目が検知する明るさに対応した1chのモノクロ階調データとなるようにカラー画像の元画像データを変換して表示用データを生成するようになっている。
【0079】
次に、図19を参照しつつ、本実施形態における画像表示システムの作用について説明する。
【0080】
図19に示すように、画像処理手段に、画像生成装置から元画像データが入力されると(ステップS21)、本体制御部は、元画像データをRAMに記憶させる(ステップS22)。画像種別判定部において当該元画像データのカラー画像データかモノクロ画像データかの別、縦方向及び横方向の画素数が判定され(ステップS23)、判定結果が表示用データ生成部に送られる。
【0081】
表示用データ生成部の判定結果から当該元画像データがモノクロ画像データかを判断し(ステップS24)、元画像データがモノクロ画像データである場合(ステップS24:YES)には、表示用データ生成部は、画像種別判定部による元画像データの縦方向及び横方向の画素数についての判定結果と、液晶パネルの縦方向及び横方向の画素数とに基づいて、表示用データの縮小率、各画素又はサブ画素ごとに割り当てるデータ等を決定し、表示用データを生成する(ステップS25)。具体的には、元画像データに基づく画像全体を液晶パネルに表示させることができるように、表示用データ生成部は、第1の実施形態に示した第3の縮小手法(図9参照)により表示用データを生成する。生成された表示用データは表示手段制御部に送られ、表示手段制御部は、送られた表示用データを画像表示手段の液晶駆動部に入力する(ステップS26)。液晶駆動部は表示手段制御部から入力された表示用データに基づいて液晶パネルの各サブ画素を駆動させ(ステップS27)、これにより、元画像データに対応する画像全体(全体画像)が液晶パネルに収まるように表示される(ステップS28)。
【0082】
さらに、本体制御部は、全体画像の一部をトリミング又は拡大する指示が入力されたかを判断し(ステップS29)、指示が入力されたとき(ステップS29:YES)は、トリミング又は拡大する旨の選択・指定のあった範囲について、第1の実施形態に示した第2のトリミング手法(図15参照)によって表示用データを生成する。生成された表示用データは表示手段制御部に送られ、表示手段制御部は、送られた表示用データを画像表示手段の液晶駆動部に入力する(ステップS31)。液晶駆動部は表示手段制御部から入力された表示用データに基づいて液晶パネルの各サブ画素を駆動させ(ステップS32)、これにより、元画像データに対応する画像全体(全体画像)が液晶パネルに収まるように表示される(ステップS33)。
【0083】
他方、元画像データがモノクロ画像データでない場合(ステップS24:NO)には、表示用データ生成部は、元画像データの縦方向及び横方向の画素数や、画像を縮小して全体画像として表示させるか、画像の一部を抜き出して拡大表示させるかの区別にかかわらず第1の実施態様で示した第3の縮小手法(図9参照)、または、第1の実施態様で示した第2のトリミング手法(図15参照)と同様に、3つのサブ画素を組み合わせて1画素として扱う表示用データを生成する(ステップS34)。
【0084】
生成された表示用データは、表示手段制御部から液晶駆動部に送られ(ステップS35)、液晶駆動部が表示用画像データに基づく入力信号を各サブ画素に入力し、駆動させる(ステップS36)ことによって画像が液晶パネル上に表示される(ステップS37)。このとき、全体画像の他に拡大画像を表示させるときは、拡大画像は、全体画像とともに液晶パネル上に表示される。また、全体画像上には、拡大画像の全体画像上における位置を表す拡大部位表示枠が表示される。
【0085】
以上のように、本実施形態によれば、元画像データがモノクロ画像データである場合に、画像を縮小して画像全体を液晶パネルに表示させる場合には、各サブ画素を階調表現の1単位として扱うので、解像度を上げることができる。このため、画像全体を縮小表示させた状態でも、医師等のユーザが当該画像から病変の疑いのある箇所を発見することができる。
また、モノクロ画像の元画像データの画像の一部をトリミング又は拡大して元画像データと等倍で表示させる場合には、3つのサブ画素を組み合わせて1画素として扱うので、個々のサブ画素が表現できる階調数の2倍以上の階調数を表現することができる。このため、病変の疑いのある箇所を拡大して表示させた場合に、より詳細な診断を行うことの可能な画像を表示させることができる。
【0086】
また、元画像データがカラー画像データである場合には、モノクロ画像データの場合ほど画素数が多くないため、画像を縮小して全体画像を表示させるか、画像の一部を拡大した拡大画像を表示させるかにかかわらず3つのサブ画素を組み合わせて1画素として扱う。これにより、カラー画像データに基づく画像を表示させる場合には、サブ画素が表現できる階調数の2倍以上の階調数を表現することができ、診断に適した画像を表示させることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、元画像データの画像種別がカラー画像データかモノクロ画像データかによって、液晶パネルに画像を表示させる際に、画素を階調表現の1単位とするか、サブ画素を階調表現の1単位とするかを切り替える場合を例としたが、画素を階調表現の1単位とするか、サブ画素を階調表現の1単位とするかを切り替えるについて考慮される画像種別はこれに限定されない。
【0088】
例えば、元画像データがCR画像である場合には、元画像データの画素数が多いため、全体画像を液晶パネルに表示させるためにはサブ画素を1画素とする必要があるが、元画像データがCT画像等である場合には、元画像データの画素数がそれほど多くないため、3つのサブ画素を1単位とする液晶パネルの画素を1画素として扱っても全体画像を表示させることができる。
【0089】
したがって、例えば図20に示すように、元画像データがCR画像である場合には、第1の実施形態で示した第4の組み合わせパターンを適用して、全体画像を表示させる際に個々のサブ画素を1画素として扱うように表示用データを生成し、元画像データがCT画像等である場合には、第1の実施形態で示した第1の組み合わせパターンを適用して、全体画像を表示させる際に液晶パネルの画素を1画素として扱うように表示用データを生成するというように、画像生成装置の種別に応じて、画素とサブ画素のいずれを階調表現の1単位とするかを切り替えるようにしてもよい。
なお、図20に示した画像種別に応じた縮小手法とトリミング手法との組合せの対応関係を、例えば記憶部33に記憶しておき、プログラムが前記対応関係を読み込み、画像データに付帯する画像生成装置1の種別に応じて自動的に組合せパターンを選択することが好ましい。
【0090】
なお、上記の実施形態では、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が1対3となる縮小率となるように、元画像データを間引いて表示用データを生成し、液晶パネルに画像を表示させる場合を例として説明したが、本発明は、ここに例示したものに限定されない。
以下、好ましい例として表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が2対3となる縮小率となるように、元画像データを間引いて表示用データを生成し、液晶パネルに画像を表示させる場合について、図21から図26を参照しつつ説明する。
【0091】
この場合、図21に示すように、サブ画素a,b,cの配列方向(図21(e)参照)と直交する方向については、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が2対3となるように元画像データについて間引き処理を行い、サブ画素a,b,cの配列方向と直交する方向に並列する3つの画素α,β,γ(図22参照)を2つの画素(図21(a)及び図22において点線で示す範囲)に変換する。
間引き処理は、例えば以下のように行う。すなわち、例えば、図22に示したように、元画像データにおける連続する3つの画素α,β,γの値をそれぞれα,β,γとすると、(2×α+β)/3、 (β+2×γ)/3 との計算式によって、サブ画素a,b,cの配列方向と直交する方向に並列する2つの画素の画素値(図21(a)参照)を算出することができる。例えば、図22の1段目の左側の画素値を算出する場合には、(376×2+378)÷3との計算式となり、画素値は376となる。また、図22の2段目の右側の画素値を算出する場合には、(384×2+372)÷3との計算式となり、画素値は380となる。なお、この画素値の算出において、小数点以下は切捨てとする。なお、画素数との比率が2対3となるように元画像データを間引く手法は、これに限定されるものではない。
【0092】
サブ画素a,b,cの配列方向について画素数との比率が2対3となるように元画像データを間引く間引き処理は、例えば以下のように行う。すなわち、まず766階調である元画像データについて、256階調に変換する階調数変換処理を行う。具体的には、例えば図21(b)の左上の画素の場合、766階調のデータにおける画素値が「376」であり、これを766階調から256階調に変換するので、図21(c)に示すように、376÷765×255との式により階調数変換後の画素値を求めることができる。次に、液晶パネルにおける1画素(すなわち、液晶パネルにおける1画素を構成する3つのサブ画素a,b,c)に対応付けられていた画素値(図21(c)で各画素に対応付けられている画素値)を2つのサブ画素a,b(又はサブ画素c,a、サブ画素b,c)に対応付けることによって、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が2対3となるように元画像データを縮小する(間引き処理:図21(d)参照)。この場合、2つのサブ画素a,b(又はサブ画素c,a、サブ画素b,c)がサブ画素の配列方向の階調表現の1単位となる。
【0093】
このようにして生成された間引き画像データを液晶パネルの画素単位に当てはめると図21(e)のようになる。なお、液晶パネルの1画素は、3つのサブ画素a,b,cで構成されているのに対して、元画像データにおける1画素は上記のように2つのサブ画素に対応付けられているので、元画像データにおける1画素が液晶パネル上では2つの画素にまたがって表現される箇所も存在する(例えば図21(e)において、サブ画素cとこの下側に隣接するサブ画素aとは元画像データにおいて1画素を構成するものであるが、液晶パネル上では、それぞれ隣接する別の画素に属することとなる。)。
【0094】
この際、図21(d)及び図21(e)に示すように2つのサブ画素a,bに同一の信号値を割り当ててもよいが、図23(d)及び図23(e)に示すように、2つのサブ画素a,b(又はサブ画素c,a、サブ画素b,c)の信号値の組み合わせにより、サブ画素の配列方向の階調を表現することによって、サブ画素a,b,cが表現できる階調数よりも多い階調数を表現するとより好ましい。このように、多階調で表現できるようにする場合には、図23(c)に示すように、376÷765×510との式により階調数変換後の画素値を求める。
【0095】
例えば、CR画像は解像度が高く、いわゆる半切サイズ(14インチ×17インチ)の画像情報に対応する画素数は、図24(b)及び図25(b)の元画像データの画素数欄に示すように、画素サイズが200μmであれば1760画素×2140画素、画素サイズが175μmであれば2010画素×2446画素であり、画素数が非常に多い。このため、元画像データを等倍で画像全体を表示するためには5Mピクセルの液晶モニタ(画素数:2048画素×2560画素)が必要である。しかし、5Mピクセルの液晶モニタは高価であり、これを施設に導入するには大きな設備投資が必要となる。
この点、表示用データの画素数と元画像データの画素数との比率が2対3となる縮小率(2/3の表示倍率)で表示をすることにより、比較的安価な2Mピクセルの液晶モニタ(図24(a)参照)又は3Mピクセルの液晶モニタ(図25(a)参照)でも、図24(b)及び図25(b)の全体表示の大きさ欄に示すように、画像全体を適度な大きさで、比較的解像度のよい状態で表示することが可能となる。なお、その際、図23に示すように、2つのサブ画素を階調表現の1単位とすることにより、解像度と階調数の低下を最小限に留めながら画像全体を表示することができるという効果がある。
【0096】
なお、本実施態様では、元画像データの階調数が768階調の場合を例としたが、元画像データの階調数はこれに限定されない。CR画像の元画像データの階調数としては1024階調(10ビット)以上が好ましく、4096階調(12ビット)が好適である。
【0097】
ここで、図26から図29を参照しつつ、元画像データの階調数が4096階調である場合に、1画素を階調表現の1単位として、各サブ画素(図21(e)等参照)に同一の値を割り付けて低階調(図26及び図28では256階調の例を示す。)の画像を得る場合と、1画素を階調表現の1単位として、各サブ画素a,b,c(図23(e)等参照)の組み合わせで多階調(図27及び図29では766階調の例を示す。)の画像を得る場合の階調数変換処理を、LUT(Look-up table)を用いて行う例を示す。
【0098】
まず、図26及び図28を参照しつつ、各サブ画素a,b,cを同じ信号値で駆動させる場合について説明する。
サブ画素a,b,cを同じ信号値で駆動する場合には、表現できる階調数は0〜255の256階調である。まず、図28(a)に示すモノクロ階調変換LUTを用いて、モノクロ1チャンネルの信号を256階調に変換するための、モノクロ階調変換LUT処理を行う。なお、その際、モノクロ階調変換LUT処理を行うLUTは単なる比例関係でもよいが、図26に示すように表示階調特性を加味した曲線のLUTであってもよい。さらに、図28(b)に示す信号振り分けLUTを用いて、256階調に変換した内部信号に対応して、各サブ画素a,b,cに同じ値を割り付ける信号振り分けLUT処理を行う。これによってサブ画素a,b,cを同じ信号値で駆動させることができる。
【0099】
次に、図27及び図29を参照しつつ、サブ画素a,b,cの信号値の組み合わせで多階調駆動させる場合について説明する。
例えばサブ画素a,b,cの組み合わせで、255×3+1=766階調を表現する場合を例として以下説明する。
まず、図29(a)に示すモノクロ階調変換LUTを用いて、モノクロ1チャンネルの信号を766階調に変換するための、モノクロ階調変換LUT処理を行う。なお、その際、モノクロ階調変換LUT処理を行うLUTは単なる比例関係でもよいが、図27に示すように表示階調特性を加味した曲線のLUTであってもよい。さらに、図29(b)に示す信号振り分けLUTを用いて、765階調に変換した内部信号に対応して、各サブ画素の信号値の和が内部信号値の増加に伴って単調増加するように割り付ける信号振り分けLUT処理を行う。これによって、多階調の表示ができる。
【0100】
なお、上記の例では、モノクロ階調変換LUT処理と信号振り分けLUT処理を2段階で行っているが、予め、モノクロ階調変換LUTと信号振り分けLUTの合成LUTを作成しておき、1回のLUT処理によってこれらの処理を行うようにすると処理時間が短縮されて、より好ましい。
【0101】
また、本実施態様では、画像処理手段から画像表示手段に画像信号を送信する際には、OS(Operating System)で定義されるR,G,Bのカラー画像信号としてデータを転送するようになっており、液晶駆動部は、R,G,Bのカラー画像信号に対応して、各サブ画素a,b,cを駆動させる。
画像処理手段は、各サブ画素a,b,cの配列の仕方、及び、各サブ画素a,b,cとR,G,Bの信号値との対応関係に基づいて、画像処理を行う。
【0102】
例えば、サブ画素a,b,cが上下方向に配列している場合(図30、図31の中央部の「縦長置き」参照)には、画像の上下方向ではサブ画素a,b,cが階調表現の1単位となり、画像の左右方向では画素が階調表現の1単位となるように縮小処理を行う。
逆に、サブ画素a,b,cが左右方向に配列している場合(図30、図31の左側及び右側の「横長置き」参照)には、画像の左右方向ではサブ画素a,b,cが階調表現の1単位となり、画像の上下方向では画素が階調表現の1単位となるように縮小処理を行う。
【0103】
また、サブ画素a,b,cがそれぞれR、G、Bのどの信号値と対応して駆動されるかも考慮して、信号値の配分を行う。例えば、サブ画素a,b,cがR,G,Bの順に対応している場合と、サブ画素a,b,cがB、G、Rの順に対応している場合では、信号の配分順が異なる。
【0104】
さらにサブ画素がa,b,c、a,b,c…の順に配列されているか(図30参照)、c,b,a、c,b,a…の順に配列されているか(図31参照)、によっても信号の配分順が異なる。
【0105】
画像信号のR,G,B信号の配分は、画像情報の縦方向、横方向の順序が、本来表示されるべき順序に保たれるように行うのは言うまでもない。
【0106】
液晶パネルによってサブ画素の構造(a,b,cとOSで定義されるR,G,B信号との対応付け)が異なる。また、モニタ(液晶パネル)が縦長置きか横長置きかによっても、サブ画素が配列される方向が90度異なる(図30及び図31参照)。
そこで、a,b,cとOSで定義されるR,G,B信号との対応付けの情報、モニタが縦長置きか横長置きかの情報をモニタごとに記憶しておく、あるいは、OS、デバイスドライバ(表示手段制御部、液晶駆動部)、モニタ自身から情報を取得し、その情報に応じて縦横の表示倍率、及び/または、サブ画素a,b,cへの信号の割り付け方を選択するように構成することが好ましい。
【0107】
なお、本発明が本実施の形態に限られないことは、勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本実施形態における画像表示システム概略構成を示すブロック図である。
【図2】画素とサブ画素との関係を示す説明図である。
【図3】間引き処理により元画像データを縮小する過程を模式的に示した説明図である。
【図4】間引き処理により元画像データを縮小する過程を模式的に示した説明図である。
【図5】第1の縮小手法を説明する説明図である。
【図6】第1の縮小手法により得られる表示用データを模式的に示す説明図である。
【図7】第2の縮小手法を説明する説明図である。
【図8】第2の縮小手法により得られる表示用データを模式的に示す説明図である。
【図9】第3の縮小手法を説明する説明図である。
【図10】第3の縮小手法を説明する説明図である。
【図11】第3の縮小手法により得られる表示用データを模式的に示す説明図である。
【図12】元画像データの一部をトリミングする過程を模式的に示した説明図である。
【図13】元画像データの一部をトリミングする過程を模式的に示した説明図である。
【図14】第1のトリミング手法を説明する説明図である。
【図15】第2のトリミング手法を説明する説明図である。
【図16】組み合わせパターンの例と各パターンの評価を示した表である。
【図17】第1の実施形態における画像表示システムの作用を示すフローチャートである。
【図18】図18(a)は、トリミングの場合の画面表示例を示した図であり、図18(b)は、虫眼鏡機能を用いた場合の画面表示例を示した図である。
【図19】第2の実施形態における画像表示システムの作用を示すフローチャートである。
【図20】画像種別に応じた手法の選択の一例を示した表である。
【図21】2対3の縮小率とする場合における元画像データを縮小する過程を模式的に示した説明図である。
【図22】間引き処理を行う際の画素値の算出例を示す説明図である。
【図23】2対3の縮小率とする場合における元画像データを縮小する過程を模式的に示した説明図である。
【図24】3M液晶モニタに2対3の縮小率の画像を表示させた場合の評価を示した表である。
【図25】2M液晶モニタに2対3の縮小率の画像を表示させた場合の評価を示した表である。
【図26】表示階調特性を加味した曲線で表されるモノクロ階調変換LUTの一例を示すグラフである。
【図27】表示階調特性を加味した曲線で表されるモノクロ階調変換LUTの一例を示すグラフである。
【図28】図28(a)は、モノクロ階調変換LUTの一例を示す表であり、図28(b)は、信号振り分けLUTの一例を示す表である。
【図29】図29(a)は、モノクロ階調変換LUTの一例を示す表であり、図29(b)は、信号振り分けLUTの一例を示す表である。
【図30】液晶パネルの向きによるサブ画素の配列の違いを説明する説明図である。
【図31】液晶パネルの向きによるサブ画素の配列の違いを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1画像生成装置
3画像処理手段
5画像表示手段
7入力部
31本体制御部
32表示手段制御部
33記憶部
36画像種別判定部
37表示用データ生成部
51液晶パネル
52液晶駆動部
100画像表示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有するモノクロ液晶表示手段に画像を表示させる画像表示システムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成手段と、
前記モノクロ液晶表示手段を前記サブ画素毎に駆動可能な液晶駆動手段と、
前記表示用データ生成手段により生成された前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際に、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替えるように前記液晶駆動手段を制御する駆動制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、
前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率が1対3となる縮小率となるように前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際には、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるように前記液晶駆動手段の制御を行い、
前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率が1対1となるように前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際には、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるように前記液晶駆動手段の制御を行うように、前記画素と前記サブ画素のいずれを階調表現の1単位とするかの切り替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記表示用データ生成手段は、
前記モノクロ液晶表示手段に前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率が1対3となる縮小率で画像を表示させる際には、前記表示用データにおいて、前記サブ画素の配列方向の画素数が元画像データの画素数と同一であり、前記サブ画素の配列方向と直交する方向の画素数が元画像データの画素数の3分の1になるように、新たな画素値を求めて表示用データを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記表示用データ生成手段は、
前記モノクロ液晶表示手段に前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率が1対1となるように画像を表示させる際には、前記画素を階調表現の1単位とし、前記サブ画素の組み合わせにより前記サブ画素が表現できる階調数よりも多い階調数を表現するように、1つの前記画素を構成する前記各サブ画素の画素値を決定して表示用データを生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記表示用データ生成手段は、
前記モノクロ液晶表示手段に前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率が1対1となるように画像を表示させる際には、前記画素を階調表現の1単位とし、前記サブ画素が表現できる階調数の2倍以上の階調数を表現するように、1つの前記画素を構成する前記各サブ画素の画素値を決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記モノクロ液晶表示手段は、同一画面上に、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率が異なる画像を、少なくとも2以上表示可能なものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記モノクロ液晶表示手段は、同一画面上に、同一の前記元画像データに基づく画像に対する表示倍率が異なる画像を、少なくとも2以上表示可能なものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記モノクロ液晶表示手段は、表示倍率の小さい画像中に表示倍率の大きい画像の該当位置を示す表示を表示させることを特徴とする請求項7に記載の画像表示システム。
【請求項9】
前記モノクロ液晶表示手段は、表示倍率の小さい画像に重畳して表示倍率の大きい画像を表示させることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像表示システム。
【請求項10】
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有するモノクロ液晶表示手段に画像種別の異なる画像を表示可能な画像表示システムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成手段と、
前記表示用データに基づいて前記モノクロ液晶表示手段を前記画素又は前記サブ画素を1単位として駆動させる液晶駆動手段と、
前記液晶駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備え、
前記駆動制御手段は、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて前記画素を階調表現の1単位とするか前記サブ画素を階調表現の1単位とするかを切り替えるか、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず前記画素を階調表現の1単位とするか、を前記画像種別に応じて切り替えるように前記液晶駆動手段を制御することを特徴とする画像表示システム。
【請求項11】
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有するモノクロ液晶表示手段にモノクロ画像データに基づく画像及びカラー画像データに基づく画像の少なくともいずれか1つを表示させる画像表示システムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成手段と、
前記表示用データに基づいて前記モノクロ液晶表示手段を前記画素又は前記サブ画素を1単位として駆動させる液晶駆動手段と、
前記液晶駆動手段を制御する駆動制御手段と、を備え、
前記駆動制御手段は、前記元画像データが前記モノクロ画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替えるように前記液晶駆動手段を制御し、前記元画像データが前記カラー画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるように前記液晶駆動手段を制御することを特徴とする画像表示システム。
【請求項12】
前記表示用データ生成手段は、前記モノクロ液晶表示手段に前記カラー画像データに基づく画像を表示する際には、前記カラー画像をカラー表示手段に表示させた場合に人の目が検知する明るさに対応した1chのモノクロ階調データとなるように前記カラー画像の元画像データを変換することにより表示用データを生成することを特徴とする請求項11に記載の画像表示システム。
【請求項13】
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有し、前記サブ画素毎に駆動可能なモノクロ液晶表示手段に画像を表示させる画像表示プログラムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成機能と、
前記表示用データ生成機能により生成された前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際に、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替える駆動制御機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする画像表示プログラム。
【請求項14】
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有し、前記サブ画素毎に駆動可能なモノクロ液晶表示手段に画像種別の異なる画像を表示可能な画像表示プログラムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成機能と、
前記モノクロ液晶表示手段に画像を表示させる際に、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて前記画素を階調表現の1単位とするか前記サブ画素を階調表現の1単位とするかを切り替えるか、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず前記画素を階調表現の1単位とするか、を前記画像種別に応じて切り替える駆動制御機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする画像表示プログラム。
【請求項15】
一定方向に配列された複数のサブ画素から構成される画素を複数有し、前記サブ画素毎に駆動可能なモノクロ液晶表示手段にモノクロ画像データに基づく画像及びカラー画像データに基づく画像の少なくともいずれか1つを表示させる画像表示プログラムであって、
元画像データに基づいて表示用データを生成する表示用データ生成機能と、
前記元画像データが前記モノクロ画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率に応じて、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるか、前記サブ画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させるかを切り替え、前記元画像データが前記カラー画像データであるときは、前記表示用データの画素数と前記元画像データの画素数との比率にかかわらず、前記画素を階調表現の1単位として前記モノクロ液晶表示手段を駆動させる駆動制御機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−123084(P2011−123084A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97452(P2008−97452)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】