説明

画像表示データ生成装置及び画像表示データ生成方法

【課題】一覧中の個々の画像について、確認済みであるか否かをユーザーに容易に判別してもらうことが可能なサムネイル表示等の画像一覧イメージを生成することができる画像表示データ生成装置を提供する。
【解決手段】複数の画像を並べて配設した画像一覧イメージを構築し、その全領域又は一部領域をディスプレイ103に表示させた後、ディスプレイ103の画面での画像一覧イメージの表示領域や表示倍率を切り替えるための切替操作がなされたことに基づいて、画像一覧イメージにおける切替操作に応じた領域だけを画像表示手段に表示させる画像表示データ生成装置において、画像一覧イメージ内の複数の画像についてそれぞれ、上記切替操作に基づいて、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標となる既視度を算出する既視度算出手段と、これによる算出結果に応じて、画像一覧イメージ内の画像を補正するイメージ補正手段とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイなどの表示装置に画像を表示させるための画像表示データを生成する画像表示データ生成装置及び画像表示データ生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャナの低価格化や、いわゆるe−文書法の施行などに伴って、グラフィックや紙文書をスキャナによって画像として読み込んで電子化することが広く行われるようになっている。グラフィックや紙文書を画像データファイルとして電子化することで、それらを少ないスペースで保管することができる。
【0003】
しかしながら、画像データファイルの数が多くなると、ハードディスク等の記録媒体の中から、目的の画像データファイルを見つけ出すことが困難になる。
【0004】
そこで、記録媒体の中に記録されている複数の画像データファイルにそれぞれ基づく画像を、サムネイルと呼ばれる縮小画像として一覧表示するファイル管理用のソフトウエアが広く出回るようになってきた。かかるソフトウエアによれば、ディスプレイに一覧表示されたサムネイルによって個々の画像を大雑把に判別することで、僅かにイメージとして残っている曖昧な記憶を頼りにして目的の画像データファイルを容易に見つけ出すことができる。画面に表示されているサムネイルが目的の画像であることを確信したユーザーは、そのサムネイルをマウスでクリックすることで、画像表示ソフトを起動させて画像の詳細をディスプレイに表示させることも可能である。
【0005】
このようなサムネイル一覧表示を利用した装置としては、たとえば特許文献1に記載の情報探索装置が知られている。
【0006】
【特許文献1】特許第3614235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来のサムネイル一覧表示においては、一覧表示におけるどこからどこまでの範囲を確認済みなのかが解り難いため、スクロールの操作を誤るとサムネイルの確認作業が繁雑になってしまう。具体的には、画像データファイルの数が多い場合には、それらにそれぞれ対応する全てのサムネイルを同時に画面に表示することができない。このため、一覧における一部の領域のサムネイルだけが画面に表示されることになる。ユーザーは、必要に応じてマウスなどを操作して一覧中の表示領域をスクロールすることで、それまでは画面から外れていたサムネイルを表示させる。このスクロールの操作を誤って表示領域を高速で一気にスクロールしてしまうと、そのスクロールの間に画面上を高速で通過させてしまったサムネイルについては再確認する必要がある。この場合、表示領域を逆方向に一気にスクロールして誤操作前の状態に瞬時に戻すのが理想であるが、どの程度まで逆方向にスクロールすれば元に戻せるのかが解らない。このため、直前に見た覚えのあるサムネイルにたどり着くまで、逆方向にゆっくりとスクロールしながらサムネイルを1つずつ確認していくことになる。更に、その後も未確認のサムネイルを確認する必要がある場合には、スクロール方向を順方向に戻して未確認の領域まで表示領域を移す必要がある。この場合にも、どの程度までスクロールすれば未確認の領域にたどり着けるのかが解らないため、順方向にゆっくりとスクロールしていき、しばらくの間は既に確認済みのサムネイルを確認するという無駄な作業が発生してしまう。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像表示データ生成装置や画像表示データ生成方法を提供することである。即ち、一覧中の個々の画像について、確認済みであるか否かをユーザーに容易に判別してもらうことが可能な画像一覧イメージを生成することができる画像表示データ生成装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の画像データファイルにそれぞれ基づく複数の画像を並べて配設した画像一覧イメージを構築するイメージ構築手段と、該画像一覧イメージの全領域又は一部領域を画像表示手段に表示させるための表示データを出力した後、該画像表示手段の画面での該画像一覧イメージの表示領域や表示倍率を切り替えるための切替操作がユーザーによってなされたことに基づいて、該画像一覧イメージの全領域のうち、該切替操作に応じた領域だけを画像表示手段に表示させるための表示データを出力する表示データ出力手段とを備える画像表示データ生成装置において、上記画像一覧イメージに含まれる複数の画像についてそれぞれ、上記切替操作に基づいて、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標となる既視度を算出する既視度算出手段と、該既視度算出手段による算出結果に応じて、該画像一覧イメージ内の画像を補正するイメージ補正手段とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像表示データ生成装置において、上記画像一覧イメージ内の画像について、画像表示手段における表示時間を上記切替操作に基づいて算出し、算出結果が大きくなるほど該画像における上記既視度を大きくするように、上記既視度算出手段を構成するとともに、該既視度が大きくなるほど画像の補正の度合いを大きくするように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像表示データ生成装置において、上記画像一覧イメージ内の画像について、画像表示手段における表示倍率を上記切替操作に基づいて算出し、算出結果が大きくなるほど該画像における上記既視度を大きくするように、上記既視度算出手段を構成するとともに、該既視度が大きくなるほど画像の補正の度合いを大きくするように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの画像表示データ生成装置において、上記画像一覧イメージ内の画像について、画像表示手段の画面中心位置からの距離を上記切替操作に基づいて算出し、算出結果が小さくなるほど上記既視度を大きくするように、上記既視度算出手段を構成するとともに、該既視度が大きくなるほど画像の補正の度合いを大きくするように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの画像表示データ生成装置において、上記画像一覧イメージとして、複数の上記画像のそれぞれに個別に対応する目印画像を、画像内又は画像周囲に付したものを構築するように上記イメージ構築手段を構成するとともに、上記既視度に応じて該目印を補正するように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像表示データ生成装置において、複数の上記画像データファイルと、それぞれの画像データファイルに対応する上記既視度とを関連付けて格納する画像データベースを構築するデータベース構築手段を設け、該画像データベースのデータに基づいて上記画像一覧イメージを構築するように、上記イメージ構築手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像表示データ生成装置において、ユーザーによる初期化操作に基づいて上記既視度を初期化するように、上記既視度算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項4の画像表示データ生成装置において、画像表示手段の画面におけるユーザーの指定箇所を指示するためのポインタを該画面に表示させるポインタ表示手段を設け、該ポインタの動きに基づいて、上記既視度の算出法を、上記画面中心位置からの画像の距離に基づく算出法と、該ポインタからの画像の距離に基づく算出法とで切り替えるように、上記既視度算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、複数の画像データファイルにそれぞれ基づく複数の画像を並べて配設した画像一覧イメージを構築するイメージ構築工程と、該画像一覧イメージの全領域又は一部領域を画像表示手段に表示させるための表示データを出力した後、該画像表示手段の画面での該画像一覧イメージの表示領域や表示倍率を切り替えるための切替操作がユーザーによってなされたことに基づいて、該画像一覧イメージの全領域のうち、該切替操作に応じた領域だけを画像表示手段に表示させるための表示データを出力する表示データ出力工程とを実施する画像データ処理方法において、上記画像一覧イメージに含まれる複数の画像についてそれぞれ、上記切替操作に基づいて、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標となる既視度を算出する既視度算出工程と、該既視度算出工程での算出結果に応じて、該画像一覧イメージ内の画像を補正するイメージ補正工程とを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、画像表示手段の画面における画像一覧イメージの表示領域を切り替えたり、表示倍率を切り替えたりするための切替操作に基づいて、画像一覧イメージに含まれる個々の画像についてそれぞれ、ユーザーによる確認がなされたか否かの指標となる既視度を算出する。そして、既視度に応じて画像一覧イメージ中の画像を補正することで、ユーザーによる確認がなされた可能性が高くなるほど、画像を目立ち易くしたり、逆に目立ち難くしたりすることが可能である。これにより、画像一覧イメージ内の個々の画像について、確認済みであるか否かをユーザーに容易に判別してもらうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、専用のファイル管理ソフトウエアのインストールにより、本発明を適用した画像表示データ生成装置としてパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)を機能させた場合を例にして、本発明の実施形態を説明する。
実施形態に係る画像表示データ生成装置は、近年、一般家庭への普及が急速に進んでいるスキャナ搭載型のMFP(Multi Function Printer)のハードディスク内に記録された画像データファイルに基づいて、画像一覧イメージを生成することが可能になっている。
【0012】
図1は、実施形態に係る画像表示データ生成装置1と、その周辺機器とを示すブロック図である。画像表示データ生成装置1には、入力手段たるキーボード101やマウス102が接続されており、これらがユーザーによって操作されることで、ユーザーからの指示を受け付ける。また、画像表示データ生成装置1には、画像表示手段たるディスプレイ103や、スキャナ搭載型のMFP100なども接続されている。なお、MFP100は、図示しない記録媒体としてのハードディスクを内蔵しており、スキャナによって読み込んだ画像データをビットマップ形式、JPEG形式、GIF形式などの画像データファイルとしてハードディスク内に記録する。
【0013】
ユーザーがキーボード101やマウス102を操作して上述のソフトウエアを起動すると、画像表示データ生成装置1は、ネットワークケーブルを介してMFP100に対してハードディスク内にアクセスして、そのファイル格納状況の情報を取得する。そして、ディスプレイ103に、そのファイル格納状況を表示させる。ユーザーは、ディスプレイ103の表示を参照しながら、MFP100のハードディスク内において、所望のファイルが格納されているディレクトリ(フォルダ)を指定する。ディレクトリが指定されると、画像表示データ生成装置1はネットワークケーブルを介してMFP100に対して指定ディレクトリ内に格納されている画像データファイルの送信要求信号を送る。MFP100は、その送信要求信号に基づいて、指定ディレクトリ内に格納されている全ての画像データファイルを画像表示データ生成装置1に送る。
【0014】
画像表示データ生成装置1は、MFP100から送られてきた全ての画像データファイルを、自らのハードディスク内のテンポラリファイル格納領域に記録する。そして、それらの画像データファイルにそれぞれ基づく画像を展開及び加工しながら、それぞれの画像をマトリクス状に並べた画像一覧イメージを構築する。そして、その画像一覧イメージの一部の領域をディスプレイ103に表示させる。
【0015】
図2は、画像表示データ生成装置1によって構築される画像一覧イメージを示す模式図である。同図において、マトリクス状に並ぶ小さな矩形は、それぞれ個別の画像データファイルに基づいて生成された画像Icを示している。また、図中の太線fで囲まれた領域は、画像一覧イメージの全領域のうち、ディスプレイ103に表示される表示領域を示している。図示の例では、縦2個×横3個の6個の画像を含む表示領域になっているが、ユーザーの操作により、最大で縦4個×横6個の画像を含む表示領域とすることが可能である。表示領域の大きさは変わらないので、表示領域内の画像の個数が増えるほど、個々の画像はより低い解像度且つより低い倍率で表示される。
【0016】
ユーザーは、キーボード101やマウス102を用いて、表示領域を縦方向や横方向にずらしたり、表示領域内の画像表示数を増減したり(画像の表示倍率を増減)する。具体的には、ユーザーは、マウス102を動かすことでディスプレイ103の画面中に表示されるマウスポインタを画面中で移動させることができる。また、マウス102を用いた周知のドラッグ操作(切替操作)により、表示領域を縦方向や横方向にずらす、即ち、縦方向や横方向のスクロールを行うことができる。また、マウス102のホイールを回転させることで(切替操作)、画像の表示倍率を増減(これに伴って画像の表示個数が増減)することができる。
【0017】
図3は、画像表示データ生成装置1によって発揮される各機能を、各種の機器として捉えた場合における機器の接続状態を示すブロック図である。なお、画像表示データ生成装置1は、実際には、画像表示データを生成するための専用の装置として製造されているのではなく、パソコンが専用のソフトウエアを起動することで画像表示データ生成装置としての機能を発揮している。このため、実際には、パソコンのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどが、同図に示される各種の機器の役割を担っている。
【0018】
同図において、図示しないMFPから送られてきた複数の画像データファイルは、画像配置手段2に入力される。画像配置手段2は、それらの画像データファイルに基づいて複数の画像を展開及び加工しながら、得られた画像をマトリクス状に展開して、画像一覧イメージを構築する。即ち、イメージ構築手段として機能している。
【0019】
表示位置決定手段3は、ユーザーの操作情報に基づいて、画像一覧イメージのディスプレイ画面上における表示領域を決定する。また、既視度算出手段5は、ユーザ−の操作情報に基づいて、画像一覧イメージに含まれる個々の画像についてそれぞれ、既視度を算出する。既視度とは、ユーザ−が既にその画像を確認した否かを多値的に示す指標である。画像一覧イメージにおいては、画像の個数が非常に多くなってくると、一覧の全領域のうち、どこからどこまでの範囲を確認済みであるのかについて、判断することが非常に困難になる。たとえディスプレイ103の画像に表示中の領域であっても、その表示領域内にある全ての画像を確認したのか否かでさえ、解らなくなることもある。そこで、各画像についてそれぞれ既視度を算出する。そして、加工手段4が、既視度算出手段5による既視度の算出結果に基づいて、各画像に対して後述するような補正を行うようになっている。
【0020】
既視度算出手段5による既視度の算出は、次のようにして行われる。即ち、ディスプレイ103の画面上における表示領域の中心(矩形状の画面の重心)から、画像の中心までの距離d[pixel]、画像の拡大率z[倍]、表示時間t[秒]などに基づいて、既視度が算出される。拡大率zは、ディスプレイ103に最大で元の画像と等倍の画像が表示されることから、0〜1の範囲となる。また、表示時間tは、各画像についての累積的な表示時間ではなく、スクロール1回当たりの表示時間を2値のデータで示すものである。詳しくは、ワードプロセッサにおけるスクロールが行単位で行われるのが一般的であるように、この画像表示データ生成装置1のディスプレイ103における表示領域のスクロールも、例えば数十画素などといった所定の画素数の単位で行われる。このようなスクロールでも、短時間で連続して行われると、画面上を流れるようなスムーズな画像の移動が視認される。1回のスクロールが行われた直後に、表示時間tの計時が開始される。そして、計時結果が所定時間(例えば0.5秒)に達する前に次のスクロールが行われた場合には、表示時間tが0として取り扱われる。また、次のスクロールが行われる前に計時結果が所定時間に達した場合には、表示時間tが1として取り扱われる。
【0021】
図4は、ディスプレイ103の画面と、距離dとの関係を示す模式図である。図示のように、距離dは、画面の中心から画像の中心(矩形の重心)までの長さであり、その単位はpixel[画素]となっている。画面の幅をWとすると、既視度cは、次式のように求められる。
【数1】

【0022】
この式における右辺の第1項の値は、距離dが小さくなるほどプラス側に大きくなっていく。距離dは、画面の中心から画像の中心までの長さであるが、仮に画面の中心から画面の左右端までの長さとしてみると、右辺の第1項の値はゼロとなる。
【0023】
一般に、ユーザーが注目する画面領域は、画像の中心付近であることが多い。このため、画面の中心付近で閲覧された画像は、ユーザーによって確認された可能性が高くなる。また、拡大率zが高くなるほど、表示領域内に表示される画像の数が少なくなるため、ユーザーによって確認された可能性が高くなる。2値データである表示時間tは、画像について、ユーザによって確認されたのか、それとも連続的なスクロールによって画面上を通過しただけなのかを示すことになる。
【0024】
0又は1の値をとる表示時間tの判定基準となる所定時間として、デフォルトでは0.5秒が設定されているが、この所定時間は、パソコンに関する熟練度や好みなど、ユーザーの個人差に左右される数字なので、ユーザーによって設定変更が可能になっている。なお、既視度cの最大値は、255となる。また、既視度cは、表示領域内にある画像についてのみ算出される。その算出タイミングは、上述したように、1スクロール毎であるが、算出結果が、それまでの既視度cよりも小さい場合には、既視度cはそれまでの値のまま更新されないようになっている。
【0025】
図5は、図3に示した画像配置手段2の内部機能を示すブロック図である。図示のように、画像配置手段2は、特徴量算出手段2aや座標決定手段2bなどを有している。特徴量算出手段2aは、入力された個々の画像データについて、画像の特徴を示すN次元の特徴量ベクトルを算出するものである。一例としては、画像の色情報、エッジ情報、及びテクスチャ情報の3つの特徴を3次元のベクトルとして算出する。
【0026】
画像内の各画素の色情報は、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の三原色の階調をそれぞれ0〜255の256階調で示している。三原色の階調が何れも0である場合には、その画素の色は黒となる。また、三原色の階調が何れも255である場合には、その画素の色は白となる。このように、各画素には、sRGB表色系の三次元の色情報が割り当てられている。
【0027】
特徴量算出手段2aによるエッジ特徴量の算出は、次のようにして行われる。即ち、まず、画像内の画素マトリクスの各画素に対して、図6に示されるような3画素×3画素のフィルタリングマトリクスを用いて、たたみ込み積分を施す。画像内の注目画素に対して、図示のフィルタリングマトリクスにおける中心画素の値(4)を割り当てるとともに、その注目画素の周囲に存在する画素に対して、フィルタリングマトリクスの中心画素の周囲に存在する画素の値を割り当てるのである。このようなたたみ込み積分を画像全体に施して、エッジ画像を得る。その後、所定の閾値(例えば128)を用いて2値化する。次に画像全体を10×10の同サイズのブロックに等分して、それぞれの中で2値化の閾値を超えていた画素をカウントする、最後にブロックに含まれる全ての画素で除算する。これにより100次元のベクトルが得られる。
【0028】
特徴量算出手段2aによる色特徴量の算出は、次のようにして行われる。即ち、まず、画像を次式に基づいてsRGB表色系からLab表色系の色表現に変換する。
【数2】

【0029】
D65光源を想定した場合、この式では、Xn=95、Yn=100、Zn=109となる。このようにしてLab表色系に変換したら、次に、エッジ特徴量の算出と同様にして、画像を10×10のブロックに等分し、それぞれのブロックで平均Labを得る。この結果、100×3=300次元のベクトルが得られる。
【0030】
特徴量算出手段2aによるテクスチャ特徴量の算出には、周知の濃度共起行列が用いられる。濃度共起行列は、ある小領域において、図7に示すように、濃淡画像の明るさがkの画素からδ(r,θ)で示される相対位置に1の画素が出現する頻度をpδ(r,θ)とする。sRGB表色系の画像をグレー画像に変換し、その後、各画素を16で割って余りを捨てることで16の階調に量子化する。その後、16の階調数をmとして、次式に基づいて16×16次元の濃度共起行列を得る。
【数3】

【0031】
本実施形態では、δ(1,0)、δ(1,45)、及びδ(1,90)の三種類の濃度共起行列を得ているため、最終的に256×3=768次元の特徴量ベクトルが得られる。濃度共起行列は画像の周波数情報の概略を示す特徴量であるため、テクスチャ特徴量の算出に用いることが可能である。なお、周波数情報の取得にはフーリエ変換を用いることが可能である。また、MFPに記憶されている画像データファイルがJPEG方式で圧縮されているものであればDiscrete Cosine Transformを用いることで、容易に周波数情報を得ることができる。
【0032】
以上のようにして、最終的には100+300+768=1168次元の特徴量ベクトルが得られる。なお、エッジ情報、色情報、テクスチャ情報は全く尺度の違う値になるため、それぞれのベクトルには個別の重み付けがなされることが望ましい。
【0033】
座標決定手段2bは、個々の画像についてそれぞれ、事前に作成しておいたマトリクス状のマップと、特徴量算出手段2aによって算出された特徴量とに基づいて、画像一覧イメージ内における位置を決定する。マップとは、画像一覧イメージの全体に対し、特定の大きさで区切られたグリッドの各交点に、特徴量と同じ次元のベクトルを関連づけて記憶したものである。座標決定手段2bは、特徴量算出手段2aによって算出された特徴量ベクトルと最も近いベクトルに関連づけられたグリッドの交点の座標を、入力された画像の座標として出力する。
【0034】
マップ記憶手段7には、上述のマップが記憶されている。このマップとしては、自己組織化マップが用いられている。複数の多値ベクトルを視覚的に理解しやすいようにマッピングする手法である。その詳細は、「Kohonen, T: Self-organized formation of topologically correct feature maps, Biological Cybernetics, 43:59-69, 1982」などに公開されている。概略を説明すると、まず、最終的な出力画像となる大きな画像を特定の大きさで区切りグリッドを作成する。また、様々な画像を入力し、それぞれ特徴量算出手段2aと同様に特徴量を算出しておく。各グリッドの交点である各ノードには、入力ベクトルと同じ次元のベクトルWxyi(以下、ノードの重みベクトルという)を割り当てる。Wxyiに付されている添え字x、yは、ノードの行、列を示している。また、添字iは、ベクトル固有の値を示している。各重みベクトルには、ランダムな値を入れておく。そして、画像から得られたベクトルに最も近い重みベクトルを持つノードを探す(step1)。このとき、距離のとり方には様々な方法があるが、本実施形態では、ユークリッド距離を用いた。0番目の入力ベクトルに対して、X行Y列目のノードが最も近かった場合。各ノードの重みベクトルに対し、次式で示される計算を行って重みベクトルを更新する(step2)。
【数4】

【0035】
なお、この式において、αは学習率を示す変数であり、本実施形態ではα=100としている。
【0036】
上述したstep1とstep2とを繰り返し収束するまで繰り返す。これにより、画像一覧イメージにおいて、互いに特徴量が近い画像はそれぞれ近くに配設され、特徴量が離れている画像同士は互いに遠く離れた位置に配設されることになる。よって、画像一覧イメージの各領域においては、類似した画像が集まっている。ユーザーは、所望する画像に近いと思われる画像を辿っていけば目的とする画像に近づくことができるため、無作為に一枚一枚の画像を確認するのに比べて、より効率的に画像を探索する事が可能となる。
【0037】
先に図3に示した加工手段4は、画像一覧イメージに配設される個々の画像を、既視度cに基づいて補正する。画像が補整された後の画像一覧イメージの一例を図8に示す。画像一覧イメージに含まれる個々の画像Icは、図9に示すように、矩形状のオリジナル画像部Iaと、その周囲を縁状に覆う縁画像部Ibとからなる。オリジナル画像部Iaは、画像データファイルに基づく画像がほぼそのままの状態で展開されたものである。縁画像部Ibは、そのオリジナル画像部Iaの周囲を覆うように、画像配置手段2によって付加されたものである。
【0038】
加工手段4は、既視度cに基づいて、縁画像部Ibの色を変化させることで、画像Icを補正する。具体的には、既視度cが高くなるほど、縁画像部Ibの色を濃いものに補正する。既視度cが初期値である場合には、縁画像部Ibの色がかなり薄いものに設定されている。縁画像部Ibの色として、グレースケール色を採用する場合には、0〜255の値をとる既視度cの各値に対して、グレースケール色の0〜255の階調を割り当てればよい。
【0039】
図8に示したように、既視度cが大きい画像、即ち、ユーザーによって確認された可能性が高い画像は、縁画像部が暗く表示されるため、各画像Icの縁画像部に着目すれば、各画像Icについて、確認済みであるか否かを容易に判別することができる。これにより、画像一覧イメージ内のどこからどこまでの範囲を確認したのかについて、ユーザーは容易に認識することができる。
【0040】
縁画像部Ibの色表現としては、カラーを採用することが望ましい。例えば、既視度cを用いて縁画像部Ibの色を次式に基づいて決定すれば、既視度cに応じて縁画像部Ibの色相が変わることになるため、既に確認した画像とまだ確認していない画像との差異をより明瞭にすることができる。
【数5】

【0041】
1つの画像Icに対して、既視度cを1つずつ算出する例について説明したが、画素毎に既視度を算出して、画像Ic内における各画素の既視度の合計を画像Icの全体の既視度cとして求めてもよい。また、既視度cに応じて縁画像部Ibの色を変化させる例について説明したが、オリジナルの画像そのものの色相を補正してもよい。更には、目印画像としての縁画像部Ibに代えて、画像ファイル名をオリジナル画像部Iaの周囲にファイル名画像部として付し、既視度cに応じて、目印画像たるファイル名画像部の色や太さを補正してもよい。
【0042】
画像表示データ生成装置1は、それぞれの画像データファイルのファイル名と、それらに対応する既視度cとを関連付けて格納する画像データベースを構築する図示しないデータベース構築を有している。ユーザーによってソフトウエアの起動を終了する旨の操作がなされると、データベース構築手段は、その時に表示されている各画像の既視度cに基づいてハードディスク内の画像データベースを更新する。その後、ハードディスク内のテンポラリファイル格納領域に記録していた各画像データファイルを削除する。
【0043】
ソフトウエアが再び起動されると、画像表示データ生成装置1は、MFP100から送られてくる画像データファイルをテンポラリファイル格納領域に記憶した後、上述したようにして画像一覧イメージを作成する。その後すぐに、画像一覧イメージに含まれる全ての画像について、ハードディスク内の画像データベースに登録されているか否かを検索する。そして、登録されている場合には、その画像に対応する既視度cの初期値を、画像データベースに記録されている値に更新し、その値に応じて画像の縁画像部を補正する。このようにすることで、前回の画像一覧イメージに対するユーザーの閲覧履歴を、今回の画像一覧イメージに反映させるのである。
【0044】
ソフト起動直後の画像一覧イメージにおいて、前回のイメージには含まれていなかった画像の縁画像部の色は、初期値の既視度cに対応する薄い色であるため、前回のイメージに含まれていた画像と容易に判別することができる。つまり、MFP内に新たに登録された画像が、目立つのである。これにより、ユーザーは、新たにMFPで読み込んだ画像を画像一覧イメージから容易に探し出すことができる。新たに登録された画像の周囲に存在する画像の既視度cが比較的小さい値であっても、即ち、新たに登録された画像の周囲の画像が、新たに登録された画像と判別し難い状態にあっても、それら画像の領域は、他の領域に比べて全体として薄くなっていて目立つ。このため、ユーザーは、色の薄い領域だけに着目することで、新たに登録された画像を容易に見つけ出すことができる。
【0045】
前回の画像一覧イメージにおける個々の画像の既視度cを、ソフト起動直後の今回の画像一覧イメージに反映させたくない場合もある。前回の画像一覧イメージでは検索対象としていなかった場合などには、前回の既視度cが却って画像検索の妨げになることもあるからである。このような場合、ユーザーは、マウス操作などによって既視度cを初期化する旨の操作を行うことで、今回の画像一覧イメージにおける各画像の既視度cを初期化することができる。
【0046】
次に、実施形態に係る画像表示データ生成装置1の変形例について説明する。
実施形態に係る画像表示データ生成装置では、画面の中心から画像の中心までの長さを距離dとして用いていたが、この変形例に係る画像表示データ生成装置1では、表1に示すように、状況に応じて、距離dの算出方法を切り替えるようになっている。
【表1】

【0047】
スクロールがなされておらず、且つ画面上のマウスポインタが停止している場合には、ユーザーが画面の中心付近に注目している可能性が高い。そこで、そのような場合には、実施形態と同様に、画面の中心から画像の中心までを距離dとして算出する。
【0048】
一方、スクロールがなされていないにもかかわらず、マウスポインタが動いている場合には、ユーザーの視線は画像の中心ではなく、マウスポインタを追っている可能性が高い。そこで、このような場合には、表1に示すように、マウスポインタから画像の中心までを距離dとして算出する。
【0049】
また一方、スクロールが行われていて且つマウスポインタが動いている場合、即ち、ドラッグ操作によってスクロールが行われている場合には、ユーザーの視線はマウスのポインタとは別の領域を追っている可能性が高い。例えばユーザーがドラッグ操作によって、表示領域を画面の右側に移そうとする場合、ユーザーの視線は、ドラッグ操作のためにマウスポインタの移動を開始させる時点まではマウスポインタを追っている。ところが、ドラッグ操作が始まると、移動して確認しようとした領域の方向へと視線が移る。このように画面が移動している場合、ユーザーは画面の端に注目していることが多い。そこで、スクロールが行われ且つマウスポインタが動いている場合には、表1に示すように、画面の端部から画像の中心までを距離dとして算出する。このように、ユーザーの操作状況に応じて距離dの算出方法を切り替えることで、距離dを1つの方法で算出する場合に
比べて、ユーザーの画像に対する注目度をより正確に既視度cに反映させることができる。
【0050】
なお、文書画像にOptical Character Recognition(以下OCR)と呼ばれる文字認識処理を施し、タイトルを抽出してファイル名へ設定したり、テキストの全文検索を可能にしたりと言った事が古くからなされていた。しかし、文書の取得環境が理想的な状態で有ってもOCRの識別率は完全ではなく、一般に文字が大量に含まれる文書に於いてはかなりの数が間違いということになってしまう。例えば仮にOCRの識別率が98%であるとすると一般的な400字詰め原稿用紙では8文字間違えてしまうことになる。更に、実際の識別率は文書の種類や撮影条件によって大幅に低下する。このため、検索ワードを含む文書に対して検索を行ってもヒットしないことも多い。更に、文書と雖も文字が殆ど含まれていない文書も数多く存在する。よって、画像一覧イメージによる画像の検索の方が、有利である。
【0051】
また、帳票画像をサムネイルにて探索することを考えると、特定フォーマットの中に含まれる文字のみが異なるため、縮小画像における見た目は全て同じになってしまうことがある。この場合、従来のサムネイル表示では、ユーザーは、サムネイルの1つ1つを画像表示ソフトで開き、文字が確認できる大きさまで画像を拡大した後、画像表示ソフトを閉じるという操作を繰り返さなければならない。これに対し、実施形態に係る画像表示データ生成装置による画像一覧イメージによれば、目的の画像であるか否かの確証がもてない場合、とりあえずそれを画像表示ソフトで開くことをペンディングにして画面のスクロールを継続しても、注目した画像については既視度cをより高くしているため、他の画像を確認した後にスクロールを戻したとしても、ペンディングにしておいた画像を容易に見つけ出すことができる。
【0052】
また、本発明は、ディスプレイ等の画像表示手段に画像を表示させるための画像表示データを生成する画像表示データ生成手段として、コンピュータを機能させるための、次のようなプログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体にも適用が可能である。即ち、複数の画像データファイルにそれぞれ基づく複数の画像を並べて配設した画像一覧イメージを構築するイメージ構築処理と、該画像一覧イメージの全領域又は一部領域を画像表示手段に表示させるための表示データを出力した後、該画像表示手段の画面での該画像一覧イメージの表示領域や表示倍率を切り替えるための切替操作がユーザーによってなされたことに基づいて、該画像一覧イメージの全領域のうち、該切替操作に応じた領域だけを画像表示手段に表示させるための表示データを出力する表示データ出力処理と、上記画像一覧イメージに含まれる複数の画像についてそれぞれ、上記切替操作に基づいて、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標となる既視度を算出する既視度算出処理と、該既視度算出工程での算出結果に応じて、該画像一覧イメージ内の画像を補正するイメージ補正処理とを行う手段として、コンピュータを機能させるためのプログラムを記録している記録媒体である。
【0053】
以上、実施形態に係る画像表示データ生成装置においては、画像一覧イメージ内の画像Icについて、画像表示手段たるディスプレイ103における表示時間tを、マウスによる表示領域の指定操作に基づいて算出し、算出結果が大きくなるほど画像Icにおける既視度cを大きくするように、既視度算出手段5を構成している。かかる構成では、画像の表示時間tが長くなるほど、その画像Icについてユーザーによって確認された可能性が高いと推定することで、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標として、既視度cを機能させることができる。
【0054】
また、画像一覧イメージ内の画像Icについて、ディスプレイ103における表示倍率である拡大率zを上記指定操作に基づいて算出し、算出結果が大きくなるほど画像Icにおける既視度cを大きくするように、既視度算出手段5を構成している。かかる構成では、拡大率zが大きくなるほど、その画像Icについてユーザーによって確認された可能性が高いと推定することで、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標として、既視度cを機能させることができる。
【0055】
また、画像一覧イメージ内の画像Icについて、ディスプレイ103の画面中心位置からの距離dを上記指定操作に基づいて算出し、算出結果が小さくなるほど既視度cを大きくするように、既視度算出手段5を構成している。かかる構成では、距離dが小さくなるほど、その画像Icについてユーザーによって確認された可能性が高いと推定することで、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標として、既視度cを機能させることができる。
【0056】
また、表示時間t、拡大率z、距離dの何れか1つだけを既視度cに反映させるのではなく、それらを組み合わせて反映させることで、既に確認されたか否かという定性的な判断ではなく、どの程度細かく確認されたのかという定量的な判断を行い得る指標として、既視度cを機能させることができる。
【0057】
また、画像一覧イメージとして、複数の画像のそれぞれに個別に対応する目印画像たる縁画像部Ibを、画像周囲に付したものを構築するようにイメージ構築手段を構成するとともに、既視度cに応じて縁画像部Ibを補正するように、イメージ補正手段たる加工手段4を構成している。かかる構成では、縁画像部Ibの変化に基づいて、ユーザーに対して既視度cを把握させることができる。
【0058】
また、複数の上記画像データファイルと、それぞれの画像データファイルに対応する既視度cとを関連付けて格納する画像データベースを構築するデータベース構築手段を設け、画像データベースのデータに基づいて画像一覧イメージを構築するように、イメージ構築手段たる画像配置手段2を構成している。かかる構成では、前回の画像一覧イメージにおける個々の画像の既視度cを、今回の画像一覧イメージに反映させることができる。
【0059】
また、ユーザーによる初期化操作に基づいて既視度cを初期化するように、既視度算出手段5を構成している。かかる構成では、前回の画像一覧イメージでは検索対象としていなかった画像を検索対象とする場合に、前回の既視度cが却って画像検索の妨げになってしまうといった事態を回避することができる。
【0060】
また、変形例に係る画像表示データ生成装置においては、ディスプレイ103の画面におけるユーザーの指定箇所を指示するためのマウスポインタを画面に表示させるポインタ表示手段を設けている。そして、マウスポインタの動きに基づいて、既視度cの算出法を、画面中心位置からの画像の距離dに基づく算出法と、マウスポインタからの画像の距離に基づく算出法とで切り替えるように、既視度算出手段5を構成している。かかる構成では、距離dを1つの方法で算出する場合に比べて、ユーザーの画像に対する注目度をより正確に既視度cに反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施形態に係る画像表示データ生成装置と、その周辺機器とを示すブロック図。
【図2】画像表示データ生成装置によって構築される画像一覧イメージを示す模式図。
【図3】画像表示データ生成装置によって発揮される各機能を、各種の機器として捉えた場合における機器の接続状態を示すブロック図。
【図4】ディスプレイの画面と、距離dとの関係を示す模式図。
【図5】画像配置手段の内部機能を示すブロック図。
【図6】フィルタリングマトリクスを示す模式図。
【図7】濃淡画像の明るさの相対位置を説明するための模式図。
【図8】画像を補正した後の画像一覧イメージを示す模式図。
【図9】画像一覧イメージ内の画像を拡大して示す模式図。
【符号の説明】
【0062】
1:画像表示データ生成装置
2:画像配置手段(イメージ構築手段)
4:加工手段(表示データ出力手段、イメージ補正手段)
5:既視度算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像データファイルにそれぞれ基づく複数の画像を並べて配設した画像一覧イメージを構築するイメージ構築手段と、該画像一覧イメージの全領域又は一部領域を画像表示手段に表示させるための表示データを出力した後、該画像表示手段の画面での該画像一覧イメージの表示領域や表示倍率を切り替えるための切替操作がユーザーによってなされたことに基づいて、該画像一覧イメージの全領域のうち、該切替操作に応じた領域だけを画像表示手段に表示させるための表示データを出力する表示データ出力手段とを備える画像表示データ生成装置において、
上記画像一覧イメージに含まれる複数の画像についてそれぞれ、上記切替操作に基づいて、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標となる既視度を算出する既視度算出手段と、該既視度算出手段による算出結果に応じて、該画像一覧イメージ内の画像を補正するイメージ補正手段とを設けたことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項2】
請求項1の画像表示データ生成装置において、
上記画像一覧イメージ内の画像について、画像表示手段における表示時間を上記切替操作に基づいて算出し、算出結果が大きくなるほど該画像における上記既視度を大きくするように、上記既視度算出手段を構成するとともに、該既視度が大きくなるほど画像の補正の度合いを大きくするように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像表示データ生成装置において、
上記画像一覧イメージ内の画像について、画像表示手段における表示倍率を上記切替操作に基づいて算出し、算出結果が大きくなるほど該画像における上記既視度を大きくするように、上記既視度算出手段を構成するとともに、該既視度が大きくなるほど画像の補正の度合いを大きくするように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかの画像表示データ生成装置において、
上記画像一覧イメージ内の画像について、画像表示手段の画面中心位置からの距離を上記切替操作に基づいて算出し、算出結果が小さくなるほど上記既視度を大きくするように、上記既視度算出手段を構成するとともに、該既視度が大きくなるほど画像の補正の度合いを大きくするように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの画像表示データ生成装置において、
上記画像一覧イメージとして、複数の上記画像のそれぞれに個別に対応する目印画像を、画像内又は画像周囲に付したものを構築するように上記イメージ構築手段を構成するとともに、上記既視度に応じて該目印を補正するように、上記イメージ補正手段を構成したことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの画像表示データ生成装置において、
複数の上記画像データファイルと、それぞれの画像データファイルに対応する上記既視度とを関連付けて格納する画像データベースを構築するデータベース構築手段を設け、該画像データベースのデータに基づいて上記画像一覧イメージを構築するように、上記イメージ構築手段を構成したことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項7】
請求項6の画像表示データ生成装置において、
ユーザーによる初期化操作に基づいて上記既視度を初期化するように、上記既視度算出手段を構成したことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項8】
請求項4の画像表示データ生成装置において、
画像表示手段の画面におけるユーザーの指定箇所を指示するためのポインタを該画面に表示させるポインタ表示手段を設け、
該ポインタの動きに基づいて、上記既視度の算出法を、上記画面中心位置からの画像の距離に基づく算出法と、該ポインタからの画像の距離に基づく算出法とで切り替えるように、上記既視度算出手段を構成したことを特徴とする画像表示データ生成装置。
【請求項9】
複数の画像データファイルにそれぞれ基づく複数の画像を並べて配設した画像一覧イメージを構築するイメージ構築工程と、該画像一覧イメージの全領域又は一部領域を画像表示手段に表示させるための表示データを出力した後、該画像表示手段の画面での該画像一覧イメージの表示領域や表示倍率を切り替えるための切替操作がユーザーによってなされたことに基づいて、該画像一覧イメージの全領域のうち、該切替操作に応じた領域だけを画像表示手段に表示させるための表示データを出力する表示データ出力工程とを実施する画像データ処理方法において、
上記画像一覧イメージに含まれる複数の画像についてそれぞれ、上記切替操作に基づいて、ユーザーによる確認が行われたか否かを示す指標となる既視度を算出する既視度算出工程と、該既視度算出工程での算出結果に応じて、該画像一覧イメージ内の画像を補正するイメージ補正工程とを設けたことを特徴とする画像データ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69365(P2009−69365A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236428(P2007−236428)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】