説明

画像表示装置、集積回路、及び制御方法

【課題】固定ゲインによって動きベクトルの大きさを減じると、動画解像度を十分改善できない場合や、その反対に、画質低下の改善が十分でなくなる場合がある。
【解決手段】1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置であって、フィールドの表示画像の動きベクトルを出力する動きベクトル検出手段を備え、動きベクトルの移動量や移動量の変化量に応じて、サブフィールドの発光位置を制御するための動きベクトルの移動量を変えることにより、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を従来方式に比べ抑制しつつ、動画解像度の改善を行う画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールドにより中間調を表示するディスプレイにおいて、動きベクトルを使用して動画解像度の改善を図る画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ(以下 PDPと称する)における中間調表示は、1フィールドを輝度の重み付けを変えた複数のサブフィールドに分割表示することにより実現する。複数のサブフィールドに時分割して動きのある画像を表示する場合、視線の移動方向と中間調の表示位置がずれることにより、動画像ボケが発生することが知られている。
【0003】
これらを低減する方法としては、特許文献1において、動画像の移動方向にサブフィールドの表示位置を補正して表示するというものが開示されている。
【0004】
例えば、図11は、4つのサブフィールド(SF4、SF3、SF2、SF1)を発光させて表示する例で、図中斜線で示した部分が発光しているサブフィールドを示している。この場合、視点の移動方向に対して1フィールド内の表示位置を補正していないため、時間の経過と共に視点と表示位置との距離が大きくなってしまい動画像ボケとなる。
【0005】
そこで図12に示すようにサブフィールドの表示位置を視点の移動方向にあわせて発光させることにより、動画像ボケを抑制しようというものである。
【0006】
図13は、図12で示す動画ボケの改善を図るための従来の画像表示装置900の構成を示すブロック図である。
【0007】
図13に示す画像表示装置900は、サブフィールド作成部91、動き検出部92、サブフィールド制御部93、プラズマディスプレイ95を備える。
【0008】
ここで、サブフィールド作成部91は、入力信号から中間調表示を行うための複数のサブフィールドを出力する。動き検出部92は、入力信号の移動量及び移動方向である動きベクトル信号を出力する。サブフィールド制御部93は、サブフィールド作成部91の出力する複数のサブフィールドを、動きベクトル信号の移動方向に合わせて発光させるよう、各サブフィールドの発光位置を制御する。これらにより、視点の移動方向とフィールド内の表示位置をあわせ動画ボケを抑制しようとしている。
【0009】
一方、特許文献2においては、特許文献1の方法において、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を、動きベクトルに1以下のゲインを乗じ、それに基づいてサブフィールドの発光位置を制御することで改善するものである。
【特許文献1】特開平9−138666号公報
【特許文献2】特表2005−513924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に示した動画像表示装置は、前述したように、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を、動きベクトルに1以下の固定ゲイン、若しくは、動きベクトルの信頼性に応じたゲインを乗じ、それに基づいてサブフィールドの発光位置を制御することで改善するものである。
【0011】
しかしながら、人間の目の追跡度合は、動きの速さや、動きの連続性によっても異なるため、固定ゲインによって動きベクトルの大きさを減じると、動画解像度を十分改善できない場合や、その反対に、画質低下の改善が十分でなくなる場合がある。
【0012】
また、動きベクトルの信頼性に応じたゲインによる画質低下の改善は、動きベクトルの信頼性自体にエラーがあった場合も同様に、動画解像度を十分改善できない場合や、その反対に、画質低下の改善が十分でなくなる場合がある。
【0013】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、動きベクトルの移動量や移動量の変化量に応じて、サブフィールドの発光位置を制御するための動きベクトルの移動量を変えることにより、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を従来方式に比べ抑制しつつ、動画解像度の改善を行うことを特徴とする画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係る第1の画像表示装置は、1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置であって、前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に対してゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、前記動きベクトル変換手段の出力である第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトルを、前記第1の動きベクトルの移動量の変化に基づいて制御して、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がある場合には、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する画像表示装置である。
【0015】
また、第2の画像表示装置は、1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置であって、前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルの移動量より、動きベクトルの分散値を求める動きベクトル処理手段と、前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に、前記動きベクトル処理手段の分散値に応じたゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、前記動きベクトル変換手段の出力である前記第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトル出力を、前記第1の動きベクトルの分散値に基づいて制御し、前記分散値が大きいほど、小さいゲインを乗じた第2の動きベクトルを出力する画像表示装置である。
【0016】
また、第3の画像表示装置は、1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置であって、前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に対してゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、前記動きベクトル変換手段の出力である前記第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトルを、前記第1の動きベクトルと、当該第1の動きベクトル以外の他の前記第1の動きベクトルとに基づいて制御して、当該第1の動きベクトルの移動量と、前記他の第1の動きベクトルの移動量との間に予め定められた相違がある場合に、相違がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する画像表示装置である。
【0017】
また、第4の画像表示装置は、
1フィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置において、任意のフィールド時間における前記所定フィールドの表示データと、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ前又は後の時間における前記所定のフィールドの表示データとを比較することにより、前記所定フィールドの表示データの移動量及び移動方向、即ち第1の動きベクトルを出力する動きベクトル検出手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルの移動量に1以下のゲインを乗じ、第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換手段の出力である第2の動きベクトルに基づいて、前記サブフィールドの発光位置を移動させる画像表示装置であって、
前記動きベクトル変換手段の出力である第2の動きベクトル出力を、前記第1の動きベクトル信号の移動量変化に基づいて制御することにより、前記動きベクトル検出手段から出力される第1の動きベクトルが正しい移動量や方向でない場合においても、前記サブフィールドによる多階調表示の誤りを改善し、また、動画ボケの改善が有効な場合には前記第2の動きベクトル出力に応じた前記サブフィールドの発光位置制御により動画ボケを改善することを特徴とする画像表示装置である。
【0018】
このとき、第4の画像表示装置は、前記動きベクトル変換手段から出力される前記第2の動きベクトル出力は、前記第1の動きベクトルの移動量が第1の移動量から第2の移動量に変化する場合、第1の移動量、第2の移動量、及び第1の移動量と第2の移動量の差に応じた時定数で変化することを特徴とする画像表示装置であってもよい。
【0019】
このとき、第4の画像表示装置は、前記第1の動きベクトルが前記第1の移動量から、前記第2の移動量に変化する場合、前記第2の動きベクトルの時定数は、前記第1の移動量が前記第2の移動量に対して小さい時は、規定レベルより大きく、前記第1の移動量が前記第2の移動量に対して大きい時は、規定レベルより小さくなることを特徴とする画像表示装置であってもよい。
【0020】
また、第5の画像表示装置は、1フィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置において、任意のフィールド時間における前記所定フィールドの表示データと、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ前又は後の時間における前記所定のフィールドの表示データとを比較することにより、前記所定フィールドの表示データの移動量及び移動方向、即ち第1の動きベクトルを出力する動きベクトル検出手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルの移動量より、動きベクトルの分散値を求める動きベクトル処理手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルの移動量に、前記動きベクトル処理手段の分散値に応じたゲインを乗じ、第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換手段の出力である第2の動きベクトルに基づいて、前記サブフィールドの発光位置を移動させる画像表示装置であって、
前記動きベクトル変換手段の出力である第2の動きベクトル出力を、前記第1の動きベクトル信号の分散値に基づいて制御することにより、前記動きベクトル検出手段から出力される第1の動きベクトルが正しい移動量や方向でない場合においても、前記サブフィールドによる多階調表示の誤りを改善することを特徴とし、また、動画ボケの改善が有効な場合には前記第2の動きベクトル出力に応じた前記サブフィールドの発光位置制御により動画ボケを改善する画像表示装置である。
【0021】
このとき、第5の画像表示装置は、前記動きベクトル変換手段から出力される前記第2の動きベクトル出力は、前記第1の動きベクトルが、単一方向且つ単一移動量で分散値が小さい場合には、前記第1の動きベクトルに1若しくは1に近いゲインを乗じてそのまま出力し、前記第1の動きベクトルが、多種の方向や移動量を有するにしたがって、前記第1の動きベクトルに乗ずる値を減じることを特徴とする前記の画像表示装置であってもよい。
【0022】
なお、本発明は、このような手段を備える動画像表示装置として実現することができるだけでなく、画像表示装置を用いて行う方法や、画像表示装置に用いる集積回路としても実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、サブフィールド制御により発光制御するプラズマディスプレイにおいて、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を抑制しつつ、動画解像度の改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る画像表示装置100の実施の形態について説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による画像表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示す画像表示装置100は、サブフィールド作成部1、動き検出部2、サブフィールド制御部3、動きベクトル変換部4、プラズマディスプレイ10を備える。
【0027】
ここで、従来と同様、サブフィールド作成部1は、入力信号から中間調表示を行うための複数のサブフィールドを、動き検出部2は、入力信号の移動量及び移動方向である動きベクトル信号を出力する。
【0028】
動きベクトル変換部4は、動き検出部2の出力する動きベクトル信号の移動量や移動量変化に基づいたゲインを、その動きベクトル信号に乗じて、新たな第2の動きベクトルとして出力するものであり、サブフィールド制御部3は、サブフィールド作成部1の出力する複数のサブフィールドを、動きベクトル変換部4の出力する第2の動きベクトルの移動方向に合わせて発光させるよう、サブフィールドの発光位置を制御し、制御するための信号をプラズマディスプレイ10に出力する。
【0029】
図2は、画面の一部をテロップTpが横切る場合における、本発明の実施の形態1における動きベクトル変換部4の動作を示す概念図である。
【0030】
図3は、図2のように、静止若しくは小さな動き(ベクトル移動量X)の背景bgを有する画面の下部を、動きの速い(ベクトル移動量Y)テロップTpが横切る場合のAの点において、動き検出部2が出力するベクトルの移動量を示す。
【0031】
動き検出部2が出力するベクトルの移動量は、時間1と時間2の間で、X→Yに急峻に変化する。
【0032】
しかし、このように急峻にベクトルが変化する多くの場合、動き検出部2が出力するベクトルの移動量には、一般的にエラーが多く含まれる。このエラーが含まれた動きベクトルを用いて、サブフィールドの発光位置をサブフィールド制御部3が制御した場合、動画ボケが改善されないだけではなく、目線移動があった場合においても、本来であれば光らないサブフィールドが光ることにより、著しい画質劣化を発生する場合がある。
【0033】
一方で、人間の目はこのような急峻な動きに対し、目線移動が完全には追従しない。従って、仮に、正しい動きベクトルを動き検出部2が得ることができ、この動きベクトルを用いて、サブフィールドの発光位置を正しく制御できた場合においても、図2の時間3や、時間4のように、テロップTpがある一定時間以上出力され続けた後の場合に比べると、サブフィールドの発光位置制御による動きボケ改善の効果を得ることが難しい。
【0034】
したがって、動き検出部2のベクトルの移動量(図3の破線)が、小さな動きから、大きな動きに変化する場合は、図3の時間t1〜t2に示すように、動きベクトル変換部4が、第2の動きベクトルを(実線)、ある一定の時定数で緩やかに変化させて出力する。
【0035】
一方、動き検出部2のベクトル移動量が、大きな動きから、小さな動きに変化する場合は、ベクトルの精度が比較的高く、また、目線移動を即座に止める場合があるため、図3の時間t3〜t4に示すように、動きベクトル変換部4が、第2の動きベクトルを、動き検出部2のベクトルの移動量の時定数をあまり変化させず出力する。
【0036】
図4は、本発明の第1の実施形態における、動きベクトル変換部4に入力される動きベクトルの移動量の変化と、出力される第2の動きベクトルの時定数の関係を示す概念図である。動きベクトル変換部6は、図示される関係により特定される時定数により変化する第2の動きベクトル(図3の実線)を出力する。図4では、模式的には、動きベクトル変換部6のブロックのなかに、移動量の変化と時定数とのグラフが図示される。図2で示した場合と同様に、動き検出部2のベクトルの移動量が、小さな動きから、大きな動きに変化する場合は(小→大)、ベクトルの精度が悪く、目線移動による効果も少ないため、動きベクトル変換部4は、入力されるベクトル移動量の変化に応じ、出力される第2の動きベクトルの時定数を大きくする。一方、大きな動きから、小さな動きに変化する場合は(大→小)、ベクトルの精度が比較的高く、また、目線移動を即座に止める場合があるため、動きベクトル変換部4は、入力されるベクトル移動量変化によらず、出力される第2の動きベクトルの時定数を大きくしない。
【0037】
このように、動きベクトルの移動量や移動量の変化量に応じて、サブフィールドの発光位置を制御するための動きベクトルの移動量を動きベクトル変換部4が変えることにより、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を従来方式に比べ抑制しつつ、動画解像度の改善を行うことが可能になる。
【0038】
(具体例)
続けて、上記実施の形態1の画像表示装置100の具体例が述べられる。以下の説明により、実施の形態1の画像表示装置100の一例が示される。上記実施の形態1の画像表示装置100は、例えば、以下の説明に示される一例のようであってもよいし、以下で示される一例とは異なる構成が採られてもよい。なお、以下の説明における何れの記載も、上記実施の形態1を何ら限定しない。
【0039】
図1に示されるよう、画像表示装置100は、サブフィールド作成部1と、動き検出部2と、サブフィールド制御部3と、動きベクトル変換部4と、プラズマディスプレイ10とを備える。
【0040】
プラズマディスプレイ10は、入力信号により示される動画像を、当該画像表示装置100が表示させるディスプレイである。
【0041】
図2により、表示される動画像の一例が示される。
表示される動画像は、例えば、テレビ放送や映画などの、動きのある画像(動画像)である。動画像は、時間ごとに、それぞれ、その時間の画像を有し、各時間の画像によって、表示物の動きを表現する。
【0042】
例えば、図2の動画像では、時間1〜時間5で、それぞれ、(A)〜(E)の画像を有する。そして、(A)〜(E)の画像は、それぞれ、背景bgを有する。また、(B)〜(E)の画像は、それぞれ、テロップTpを有する。背景bgは、静止若しくは小さな動きを行い、テロップTpは、比較的速い動きをして、画面を横切る。そして、時間1は、テロップTpが画面に入る前の時間であり、時間2は、テロップTpが画面に入った後の時間である。
【0043】
図5は、フィールドが分割されたサブフィールドSF1〜SF4を示す図である。
図5において、「1フィールドの時間」の文字が付された横軸は、時間を示す。横軸における、左端の時間から、右端の時間までの時間は、1つのフィールドの時間の全体である。また、縦軸は、動画像の画素位置を示す。図5では、縦軸により、4つの画素位置が示される。以下では、最も下の画素位置が、1番目の画素位置と呼ばれ、最も下から2番目の画素位置が、2番目の画素位置と呼ばれるなどする。
【0044】
サブフィールド作成部1は、入力信号から、フィールドのデータを生成し、生成されたフィールドのデータをサブフィールド制御部3に出力する。
【0045】
生成される、フィールドのデータは、そのデータに対応するフィールドの輝度の中間調表示に際して、そのフィールドが分割されたサブフィールドSF1〜SF4(図5)が発光されるべきか否かを各々特定するデータである。サブフィールドSF1〜Sf4は、それぞれ、データに従って、発光するか否かが切り替えられた場合に、そのフィールドの上記輝度を表示する。
【0046】
動き検出部2は、入力信号(図1)から、フィールドの表示物(テロップTpや背景bg)の動きベクトルを検出する。ここで、フィールドの表示物は、そのフィールドの発光により少なくとも一部が表示される表示物である。以下、動き検出部2により検出される動きベクトルが、検出動きベクトルVt(図5参照)と呼ばれる。
【0047】
検出動きベクトルVtは、表示物の動きを示し、ひいては、検出される表示物を見るユーザの視点の動きを特定する。
【0048】
動きベクトルは、具体的には、その動きベクトルの動きの移動量(大きさ)及び移動方向(向き)を特定するデータである。なお、動きベクトルの移動量は、予め定められた単位時間当たりの移動量である。
【0049】
図3により、動き検出部2によって、図2のA点で検出される検出動きベクトル(破線)が示される。
【0050】
図3の時間t1は、時間1(図2)および時間2(図2)の間の時間であり、具体的には、図2のA点に、テロップTpが到達した時間である。
【0051】
動き検出部2は、この時間t1より前の時間では、破線に示されるよう、背景bgの移動量Xの検出動きベクトルを検出する。
【0052】
そして、動き検出部2は、時間t1からは、テロップTpの移動量Y(>移動量X)の検出動きベクトルを検出する。
【0053】
すなわち、検出動きベクトルの移動量は、時間t1において、移動量Xから移動量Y(>X)に変化する。
【0054】
こうして、図2のように、静止若しくは小さな動き(ベクトル移動量X)の背景bgを有する画面の下部を、動きの速い(ベクトル移動量Y)テロップTpが横切る場合のAの点において、動き検出部2が出力する検出動きベクトルの移動量が、テロップTpの動きに従って、図3に示されるように変化する。
【0055】
動きベクトル変換部4は、検出動きベクトルが変化した場合に、図3の時間t1〜t2の実線に示されるよう、予め定められた時定数で緩やかに変換後動きベクトルを変化させて、緩やかに変化する変換後動きベクトルを出力する。これにより、動きベクトル変換部4は、検出動きベクトルが変化した場合に、検出動きベクトルよりも小さい変換後動きベクトルを出力する(時間t1〜t2)。具体的には、動きベクトル変換部4は、検出動きベクトルが変化した場合に、その変化の変化量(図3の時間t1ではY−X)に対して時定数が対応付ける変化時間(時間t1〜t2)をかけて、出力する変換後動きベクトルを緩やかに変化させる。ここで、緩やかに変化させるとは、検出動きベクトルの変化よりも緩やかであることをいう。
【0056】
なお、一方の動きベクトルが他方の動きベクトルよりも小さいとは、その一方の動きベクトルの移動量が、他方の動きベクトルの移動量よりも小さいことを言う。
【0057】
換言すれば、動きベクトル変換部4は、動き検出部2の出力する検出動きベクトルから、検出動きベクトルの移動量の変化量(例えば、図3の時間t1では「Y−X」)に基づいたゲイン(係数)を、検出動きベクトルに乗じて、ゲインが乗じられた動きベクトルを、新たな第2の動きベクトル(変換後動きベクトル:図2の実線)として出力する。
【0058】
なお、検出動きベクトルにゲインを乗じるとは、検出動きベクトルと同じ移動方向であり、かつ、移動量が、検出動きベクトルの移動量にゲインが乗じられた移動量である動きベクトルを算出することをいう。
【0059】
そして、動きベクトル変換部4は、上記時定数で緩やかに変化する変換後動きベクトルを出力するよう、検出動きベクトルから変換後動きベクトルが算出されるゲインを変化させる。
【0060】
サブフィールド制御部3は、サブフィールド作成部1の出力する複数のサブフィールドを、動きベクトル変換部4の出力する第2の動きベクトル(変換後動きベクトル)の移動方向に合わせて発光させるよう、各サブフィールドSF1〜SF4の発光位置を制御し、制御のための信号をプラズマディスプレイ10に出力する。
【0061】
このような画像表示装置100であれば、検出動きベクトルに変化があった場合には、比較的、小さい変換後動きベクトルVtx(図5)が動きベクトル変換部4により出力されて(図3の時間t1〜t2の実線)、例えばサブフィールドSF1の発光が、図3の下から3番目の画素位置で行われるなどして、各サブフィールドSF1〜SF4の発光が、そのフィールドの起点の画素位置(図5の最も下の画素位置)に比較的近い画素位置で行われる。これにより、検出動きベクトルに変化があって、検出動きベクトルにエラーが多く含まれ、また、ユーザの目線移動が追従し易い場合には、起点の画素位置に比較的近い画素位置で行われて、画質が向上される。
【0062】
ここで、検出動きベクトルに変化がある場合としては、検出動きベクトルの移動量が、小さな移動量(図3の移動量X)から大きな移動量(移動量Y)に変化する場合(図3の時間t1)と、大きな移動量(移動量Y)から小さな移動量(移動量X)に変化する場合(時間t3)との2通りの場合がある。
【0063】
動きベクトル変換部4は、移動量が小さくなる場合(時間t3の場合)にも、図3の時間t3〜時間t4の実線に示されるよう、時定数での変換後動きベクトルの出力を行うものとしてもよい。
【0064】
ここで、動き検出部2の検出動きベクトルの移動量が、大きな動き(移動量Y)から、小さな動き(移動量X)に変化する場合は、ベクトルの精度が比較的高く、また、目線移動を即座に止める場合がある。
【0065】
そこで、例えば、画像表示装置100は、次のように構成される。
動きベクトル変換部4は、先述のように、動き検出部2の検出動きベクトルの移動量が、小さな動き(移動量X)から、大きな動き(移動量Y)に変化する場合は、図3の時間t1〜t2に示されるように、ある一定の時定数で緩やかに変換後動きベクトルを変化させて、緩やかに変化する変換後動きベクトルを出力する。
【0066】
そして、動きベクトル変換部4は、検出動きベクトルの移動量が小さくなる場合は、図3の時間t3〜t4に示されるように、動き検出部2の検出動きベクトルの移動量をあまり変化させず、検出動きベクトルの移動量からあまり変化しない移動量の変換後動きベクトルを出力する。
【0067】
図4により、動きベクトル変換部4に入力される検出動きベクトルの移動量と、出力される変換後動きベクトル(第2の動きベクトル)の時定数との対応関係4rが示される。
【0068】
図4では、図3の時間t3における変化のように、検出動きベクトルの移動量が小さくなる場合、すなわち、移動量の変化量が負である場合の時定数が、図4のグラフの左側、すなわち「大→小」の記号で示される領域において図示される。
【0069】
検出動きベクトルが小さくなる場合、すなわち、変化量が負である場合における、「大→小」の領域の時定数A−は、右側の「小→大」の領域における、絶対値が同じ変化量の時定数A+よりも小さい。
【0070】
動きベクトル変換部4は、検出動きベクトルが大きくなる場合には、図3の時間t1〜t2の実線で示されるよう、大きな時定数A+(図4)を用いて、比較的長い変化時間(時間t1〜t2)をかけて変換後動きベクトルを変化させる。他方で、動きベクトル変換部4は、検出動きベクトルが小さくなる場合には、図3の時間t3〜t4の実線で示されるよう、小さな時定数A−(図4)を用いて、比較的、短い変化時間(時間t3〜t4)のうちに速やかに変換後動きベクトルを変化させて、短い時間の間だけ、変化後の検出動きベクトルよりも大きい変換後動きベクトルを出力する。
【0071】
こうして、動き検出部2の検出動きベクトルの移動量が、小さな動きから、大きな動きに変化し、ベクトルの精度が悪く、目線移動による効果も少ないときには、入力されるベクトル移動量の変化量が正(Y−X)であるのに応じて、出力される変換後動きベクトル(第2の動きベクトル)の時定数が大きくされる。すなわち、動きベクトル変換部4によって、大きな時定数A+が用いられる。
【0072】
一方、検出動きベクトルの移動量が、大きな動きから、小さな動きに変化し、ベクトルの精度が比較的高く、また、目線移動を即座に止める場合があるときには、動きベクトル変換部4は、入力される検出動きベクトルの移動量の変化量によらず、出力される第2の動きベクトル(変換後動きベクトル)の時定数を大きくしない。すなわち、動きベクトル変換部4により、小さな時定数A−が用いられる。
【0073】
これにより、検出動きベクトルが小さくなる場合には、小さい時定数A−が用いられることにより、速やかに、小さい変換後動きベクトルが出力される。これにより、速やかに、精度の良い検出動きベクトルに基づいた各画素位置で、各サブフィールドSF1〜SF4の発光がされ、また、目線の移動に適合する各画素位置で、各サブフィールドSF1〜SF4の発光が、速やかに適切に行われる。
【0074】
なお、サブフィールド制御部3の機能について、より具体的に説明するなら、例えば、以下の通りである。
【0075】
すなわち、サブフィールド制御部3は、プラズマディスプレイ10に信号を出力することにより、各サブフィールドSF1〜SF4を、変換後動きベクトルに従った各画素位置(図5の図5のハッチングの各ボックスの各画素位置)で各々発光させる。サブフィールド制御部3は、そのフィールドの起点の画素位置(図5の4つの画素位置のうちで最も下の画素位置)から、変換後動きベクトルに従って動いた各画素位置(図5の最も下の画素位置、2番目、3番目、4番目の各画素位置)で、各サブフィールドSF1〜SF4の発光を各々行わせる。各サブフィールドSF1〜SF4の発光がされる各画素位置は、それぞれ、当該フィールドの起点の時間(図5の横軸方向の左端の時間)から、そのサブフィールドの時間(図5の横軸方向における、そのサブフィールドのボックスの位置の時間)までの間、起点の画素位置から、変換後動きベクトルの動きに従って動いた画素位置である。
【0076】
要するに、サブフィールド制御部3は、プラズマディスプレイ10に信号を出力することにより、そのフィールドの起点の画素位置(最も下の画素位置)から、変換後動きベクトルの動きに従って、起点の時間(左端の時間)からそのサブフィールドの時間までの間、動いた各画素位置(最も下の画素位置、2番目の画素位置、3番目の画素位置、4番目の画素位置)で、それぞれ、各サブフィールドSF1〜SF4の発光を行わせる。
【0077】
なお、以上述べられたことは、何れも、先述の通り、上記実施の形態1を限定するものではない。上記実施の形態1は、この具体例に係る画像表示装置100の通りにされてもよいし、この具体例に係る画像表示装置100とは異なった構成が採られてもよい。
【0078】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2による画像表示装置100xの構成を示すブロック図である。
【0079】
図6に示す画像表示装置100xは、サブフィールド作成部1、動き検出部2、サブフィールド制御部3、動きベクトル処理部5、動きベクトル変換部6、プラズマディスプレイ10を備える。
【0080】
ここで、従来と同様、サブフィールド作成部1は、入力信号から中間調表示を行うための複数のサブフィールドを、動き検出部2は、入力信号の移動量及び移動方向である動きベクトル信号を出力する。
【0081】
動きベクトル処理部5は、動き検出部2の出力する動きベクトル信号の画面全体の分散度合を計算し、出力する。動きベクトル変換部6は、動き検出部2の出力する動きベクトル信号の移動量に、動きベクトル処理部5の分散度合に応じたゲインを乗じて、新たな第2の動きベクトルとして出力するものであり、サブフィールド制御部3は、サブフィールド作成部1の出力する複数のサブフィールドを、動きベクトル変換部6の出力する第2の動きベクトルの移動方向に合わせて発光させるようサブフィールドの発光位置を制御し、プラズマディスプレイ10に出力する。
【0082】
図7は、本発明の実施の形態2における動きベクトル変換部6の処理における、分散度合とゲインの関係を示す概念図である。動きベクトル変換部6は、図示される関係により特定されるゲインに基いた第2の動きベクトルを出力する。図7では、模式的に、動きベクトル変換部6のブロックのなかに、グラフが図示される。
【0083】
人間の目線移動は、例えば、画面全体スクロールのように、画面全体が一つのベクトルで、ベクトル分散が0に近い場合は、非常に正確に追従する。このため、動きベクトル変換部6は、図7に示すように、動きベクトルに乗ずるゲインを1若しくは1の近傍の値とし、動きベクトルの移動方向を正確に反映した発光位置制御により、動画解像度の改善を行うことが可能になる。
【0084】
一方、人間の目線移動は、画面に多くの大きさ、多くの向きの動きベクトルが存在するような、ベクトルの分散値が高い場合には、追従が正確でない。このため、動きベクトルの移動方向を正確に反映した発光位置制御を行った場合でも、動画解像度の実効的改善はなされず、かえって画質を損なう場合がある。更に、このように、画面の中のベクトルが複雑な場合、ベクトル自体の精度が非常に低い場合が多く、この精度の低いベクトルで発光位置制御を行った場合には、エラー等により画質を大きく損なう。
【0085】
このため、動きベクトル変換部6は、図7に示すように、動きベクトルに乗ずるゲインを、ベクトルの分散値が大きくなるにしたがって0に近づけることで、画質低下を抑制する。
【0086】
このように、動きベクトルの分散値に応じて、サブフィールドの発光位置を制御するための動きベクトル(第2の動きベクトル、変換後動きベクトル)の移動量を変えることにより、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を従来方式に比べ抑制しつつ、動画解像度の改善を行うことが可能になる。
【0087】
尚、人間の目線移動は、テロップのように、画面の大部分が静止で、その大部分以外の、画面の一部分のみが、一つのベクトルで動いている場合も、上述した画面全体のスクロールの場合と同様に、正確に追従するため、動きベクトル処理部5は、画面全体の各動きベクトルのうちで、静止を示す0ベクトルを除いて、0ベクトルではない各動きベクトルの分散値を求める必要がある。そして、サブフィールド制御部3は、こうして求められた、0ベクトルではない各動きベクトルの分散値に基づいて、各サブフィールドSF1〜SF4の画素位置を制御するものとしてもよい。
【0088】
また、例えば野球中継がされる球場の動画像におけるボールの画像などのように、非常に小さい面積の表示物の移動も、人間の目線移動の対象とならない場合が多いため、ある一定面積以上のもの(表示物)についての動きベクトルについて、分散値を求めることや、動きベクトルに対して、その動きベクトルに対応する表示物の面積に応じた比率を乗じて、比率が乗じられた値の分散値を求めることも有効である。このとき、サブフィールド制御部3は、こうして求められた、比率が乗じられた値の分散値に基づいて、各サブフィールドSF1〜SF4の画素位置を制御する。
【0089】
(具体例)
続けて、上記実施の形態2の画像表示装置100xについて、より詳細、具体的に説明される。以下の説明により、実施の形態2の画像表示装置100xの具体例が示される。上記実施の形態2の画像表示装置100xは、例えば、以下の説明のようであってもよいし、以下で示される一例とは異なる構成が採られてもよい。なお、以下の説明における何れの記載も、上記実施の形態2の画像表示装置100xを何ら限定しない。
【0090】
図6に示されるように、画像表示装置100xは、サブフィールド作成部1と、動き検出部2と、サブフィールド制御部3と、動きベクトル処理部5と、動きベクトル変換部6と、プラズマディスプレイ10とを備える。
【0091】
動きベクトル処理部5は、動き検出部2の出力する検出動きベクトルの画面全体の分散値を計算し、計算された分散値を出力する。すなわち、動きベクトル処理部5は、画面の各部分でそれぞれ検出される各検出動きベクトルのうちで、画面の全ての部分での各検出動きベクトルの間での分散値を算出し、算出された分散値を動きベクトル変換部6に出力する。
【0092】
ここで、分散値は、各検出動きベクトルの移動方向の分散値である。具体的には、分散値は、例えば、各検出動きベクトルの移動方向が、各移動方向の平均に対して有する角度差を2乗した2乗値の平均値である。また分散値は、例えば、上記角度差に対して、その角度差を有する検出動きベクトルの移動量(又は、その移動量に予め定められた係数を乗じた数)が乗じられた値を2乗した2乗値の平均値である。
【0093】
図8は、小さい分散値が算出された検出動きベクトルV1a〜検出動きベクトルV1dを示す概念図である。なお、図8では、分かり易いよう、検出動きベクトルV1a〜検出動きベクトルV1dが、画面Scrの各部分のうちで、その検出動きベクトルが検出された部分に各々図示される。
【0094】
ここで、例えば、画面全体がスクロールする際の画像のように、画面全体のうちの多くの部分の動きベクトルが一つの同じベクトルで、各動きベクトルの間での分散値が0に近い場合は、ユーザの目線は正確に追従する。また、このように分散値が0に近く、画面の中のベクトルが複雑ではない場合、検出される検出動きベクトルの精度が低い場合が少なく、つまり、精度が高い場合が多い。すなわち、小さい分散値が算出される図8の場合には、目線移動が正確に追従し、また、検出される動きベクトルの精度が高い。
【0095】
図9は、大きい分散値が算出された検出動きベクトルV2a〜検出動きベクトルV2dを示す概念図である。
【0096】
一方で、人間の目線移動は、画面全体における各動きベクトルに多くの大きさ、多くの向きの動きベクトルが存在するような、各動きベクトルの間での分散値が高い場合には、追従が正確でない。また、このように分散値が高く、画面の中のベクトルが複雑な場合、検出される検出動きベクトルの精度が低い場合が多い。すなわち、大きい分散値が算出される図9の場合には、目線移動が正確に追従せず、また、検出される動きベクトルの精度が低い。
【0097】
このため、動きベクトル処理部5によって算出される分散値は、それら各検出動きベクトルが検出された画像を見るユーザの視線移動の追従し易さを特定し、また、各検出動きベクトルの精度も特定する。
【0098】
動きベクトル変換部6は、動き検出部2の出力する検出動きベクトルの移動量に、動きベクトル処理部5の出力する分散値に応じたゲインを乗じて、変換後動きベクトル(第2の動きベクトル)として出力する。
【0099】
図7により、算出された分散値(横軸)と、動きベクトル変換部6が、算出された分散値に基づいて出力する変換後動きベクトルのゲインとの対応関係4rxが図示される。
【0100】
対応関係4rxは、分散値0をゲイン1に対応付ける。そして、対応関係4rxは、大きな分散値ほど小さく0に近いゲインに対応付ける。
【0101】
すなわち、動きベクトル変換部6は、算出された分散値が0ならば、ゲイン1を用いると共に、分散値が大きいほど、小さくて0に近いゲインを用いる。つまり、動きベクトル変換部6は、分散値が小さい場合には(図8)、例えばゲイン1などの、比較的大きいゲインを用い、分散値が大きい場合には(図9)、比較的小さいゲインを用いる。
【0102】
これにより、分散値が小さくて、目線移動が正確に追従し、また、検出される動きベクトルの精度が高い場合には(図8の場合)、動きベクトル変換部6が、検出動きベクトルに乗ずるゲインを1などの大きいゲインとし、サブフィールド制御部3が、動きベクトルの移動方向を正確に反映した発光位置制御を行う。これにより、動画解像度の改善を行うことが可能になる。
【0103】
他方で、分散値が大きくて、目線移動が正確に追従せず、また、検出される動きベクトルの精度が低い場合には(図9の場合)、動きベクトル変換部6は、小さなゲインを用いて、画質低下が抑制される。
【0104】
これによって、目線移動が正確に追従せず、また、検出される動きベクトルの精度が低いにも関わらず、動きベクトルの移動方向を正確に反映した発光位置制御を行ってしまう事態が回避されて、動画解像度の実効的改善がなされず、かえって画質を損ってしまうことがないようにできる。
【0105】
なお、動きベクトル変換部6は、図7の対応関係4rに示すように、動きベクトルに乗ずるゲインを、ベクトルの分散値が大きくなるにしたがって0に近づける。これにより、分散値に関わらずに、より確実に的確なゲインを用いることができて、分散値に関わらずに、より確実に画質低下を抑制することができる。
【0106】
このようにして、検出される各検出動きベクトルの分散値に応じて、サブフィールドの発光位置を制御するための動きベクトル(変換後動きベクトル)の移動量を動きベクトル変換部6が変えることにより、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況(図9参照)によって発生する画質の低下を、従来方式に比べ抑制しつつ、動画解像度の改善を行うことが可能になる。
【0107】
さらに、以上説明した具体例に係る画像表示装置100xを変形した変形例について述べられる。
【0108】
人間の目線移動は、例えばテロップが表示される場合などのように、画面の大部分が静止で、画面の大部分を除いた、画面の一部分(例えばテロップの部分)のみが、一つの同じ動きベクトルで動いている場合も、上述したような、画面全体のスクロールが行われる場合(図8参照)と同様に、正確である。この点に鑑みれば、例えば、動きベクトル処理部5は、検出された各検出動きベクトルのうちで、静止を示す0ベクトルの検出動きベクトルを除いて、0ベクトルではない検出動きベクトルのうちでの分散値を求めるものとしてもよい。
【0109】
また、非常に小さい面積の移動も、人間の目線移動の対象とならない場合が多い。つまり、例えば野球中継がされる球場の動画像におけるボールの画像などのように、移動する表示物の面積が小さい場合、その部分の移動に合わせて人間の目線が移動しないことが多い。このため、ある一定面積以上のものについて、分散値を求めることや、面積に応じた比率を乗じて分散値を求めることも有効である。
【0110】
図10は、画面Scrの互いに異なる部分において検出された、移動量が予め定められた閾値r(図10)よりも大きい検出動きベクトルV31と、閾値rよりも小さい検出動きベクトルV32とを示す図である。
【0111】
閾値rよりも大きい移動量を有する、大きな検出動きベクトルV31等が検出された表示物の動きは、ユーザの視線の移動に変化を与え易い。他方、閾値r以下の移動量を有する小さな検出動きベクトルV31等が検出された表示物の動きは、ユーザの視線の移動に変化を与え難い。
【0112】
動きベクトル処理部5は、各検出動きベクトルのうちで、移動量が閾値rよりも大きな検出動きベクトルV31等のみの分散値を算出して、算出された分散値を動きベクトル変換部6に出力するものとしてもよい。そして、動きベクトル変換部6は、こうして算出された、閾値rよりも大きい検出動きベクトルV31等の分散値に基づいて、変換後動きベクトルを算出するものとしてもよい。
【0113】
なお、以上述べられたことは、何れも、先述の通り、上記実施の形態2を限定するものではない。上記実施の形態2は、この具体例に係る画像表示装置100xの通りにされてもよいし、この具体例に係る画像表示装置100xとは異なった構成が採られてもよい。
【0114】
以上説明した画像表示装置100及び画像表示装置100により、それぞれ、1つのフィールドを複数のサブフィールドSF1〜SF4に分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置(画像表示装置100、画像表示装置100x)であって、前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部(動き検出部2)と、前記動きベクトル検出部の出力である前記第1の動きベクトル(検出動きベクトル)と同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に対してゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトル(変換後動きベクトル)を出力する動きベクトル変換部(動きベクトル変換部4、動きベクトル変換部6及び動きベクトル処理部5)と、前記動きベクトル変換部の出力である前記第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御部(サブフィールド制御部3)とを備え、前記動きベクトル変換部(動きベクトル変換部4、動きベクトル変換部6及び動きベクトル処理部5)は、出力する前記第2の動きベクトル(変換後動きベクトル)を、前記第1の動きベクトルと、当該第1の動きベクトル以外の他の前記第1の動きベクトルとに基づいて制御して(例えば、図3の時間t1〜t2に検出された移動量Yの検出動きベクトルと時間t1より前に検出された移動量Xの検出動きベクトルとに基づいて制御したり、図8の検出動きベクトルV1aと検出動きベクトルV1b〜V1dとに基づいて制御したり、図9の検出動きベクトルV2aと検出動きベクトルV2b〜V2dとに基づいて制御したりして)、当該第1の動きベクトルの移動量と、前記他の第1の動きベクトルの移動量との間に予め定められた相違がある場合に、相違がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトル(図3の時間t1〜t2の変換後動きベクトル、図9の場合の変換後動きベクトル)を出力する画像表示装置が構成される。
【0115】
これにより、当該第1の動きベクトルと、他の第1の動きベクトルの移動量に相違があれば、比較的小さい第2の動きベクトルが出力される。そして、ここで、当該第1の動きベクトルに基いた発光と共に、当該第1の動きベクトルに対して予め定められた相違を有する他の第1の動きベクトルに基づく発光がされると、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況が発生し、画質が低下してしまい易い。この画像表示装置によれば、このような画質の低下を防ぎ、画質を向上できる。
【0116】
なお、上述のようにして、第1の動きベクトル(例えば、図3の時間t1〜t2に検出された移動量Yの検出動きベクトル、図8の検出動きベクトルV1a、図9の検出動きベクトルV2a)と、当該第1の動きベクトル以外の他の前記第1の動きベクトル(図3の時間t1より前に検出された移動量Xの検出動きベクトル、図8の検出動きベクトルV1b〜V1d、図9の検出動きベクトルV2b〜V2d)とに基づいて第2の動きベクトル(変換後動きベクトル)が制御されて、当該第1の動きベクトルの移動量と、前記他の第1の動きベクトルの移動量との間に予め定められた相違がある場合に、相違がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトル(図3の時間t1〜t2の変換後動きベクトル、図9の場合の変換後動きベクトル)が出力されることにより、画質が低下する課題が解決される点は、上記画像表示装置100及び画像表示装置100xの間で共通し、これら画像表示装置100及び画像表示装置100xは1つの発明によるものである。
【0117】
なお、この画像表示装置において、具体的には、例えば、前記他の第1の動きベクトルは、当該第1の動きベクトルの画素位置と同じ画素位置で、時間が異なる動きベクトル(例えば、図3の時間t1より前に検出された移動量Xの検出動きベクトル)であり、前記動きベクトル変換部は、当該第1の動きベクトルの移動量と、前記他の第1の動きベクトルの移動量との間に変化がある場合、変化がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する(画像表示装置100)。
【0118】
この具体例によれば、当該第1の動きベクトルの画素位置と、前記他の第1の動きベクトルの画素位置とが同じである。そして、ここで、各第1の動きベクトルの時間が異なるのに加えて、画素位置まで異なる場合には、当該第1の動きベクトルと前記他の第1の動きベクトルとの間で上記相違があっても、画質が比較的劣化し難い。このような場合にまで小さい第2の動きベクトルが出力されるのを回避できる。これにより、画質の劣化を防ぎつつ、大きな第2の動きベクトルに基く発光位置での発光が十分に行われるようにできる。
【0119】
また、この画像表示装置において、具体的には、例えば、前記他の第1の動きベクトルは、当該第1の動きベクトルの時間と同じ時間で、画素位置が異なる動きベクトル(図8の検出動きベクトルV1b〜V1d、図9の検出動きベクトルV2b〜V2d)であり、当該第1の動きベクトルの移動量、及び、1以上の前記他の第1の動きベクトルの移動量における分散値を求める動きベクトル処理部(動きベクトル処理部5)を備え、前記動きベクトル変換部(動きベクトル変換部6及び動きベクトル処理部5)は、求められた前記分散値が大きいほど、当該第1の動きベクトルに乗じられる前記ゲインとして、小さなゲインを用いる(画像表示装置100x)。
【0120】
この具体例によれば、当該第1の動きベクトルの画素位置と、前記他の第1の動きベクトルの時間が同じである。そして、ここで、各第1の動きベクトルの画素位置が異なるのに加えて、時間までが異なる場合には、当該第1の動きベクトルと前記他の第1の動きベクトルとの間で上記相違があっても、比較的画質が劣化し難い。このような場合にまで小さい第2の動きベクトルが出力されるのを回避できる。これにより、画質の低下は防ぎつつ、大きな第2の動きベクトルに基く発光位置での発光が、十分に行われるようにできる。また、単に分散値を求めるだけで、当該第1の動きベクトルと、他の前記第1の動きベクトルとについて複雑な演算が必要ではなく、処理を簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、サブフィールドによって中間調を表示するディスプレイに適用できる。
動きベクトルの移動量や移動量の変化量に応じて、サブフィールドの発光位置を制御するための動きベクトルの移動量を変えることにより、動きベクトルの誤りや、人間の目が正しく追跡していない状況によって発生する画質の低下を従来方式に比べ抑制しつつ、動画解像度の改善を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例による画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施例における動きベクトル変換部の動作を示す概念図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施例における動きベクトル変換部の動作を示す概念図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施例における動きベクトル変換部4の移動量と時定数の関係を示す概念図である。
【図5】図5は、フィールドから分割された複数のサブフィールドを示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施例による画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施例における動きベクトル変換部の移動量分散と出力ゲインの関係を示す概念図である。
【図8】図8は、小さい分散値が算出された複数の検出動きベクトルを示す概念図である。
【図9】図9は、大きい分散値が算出された複数の検出動きベクトルを示す概念図である。
【図10】図10は、画面の異なる部分において検出された、移動量が予め定められた閾値よりも大きい検出動きベクトルと、閾値よりも小さい検出動きベクトルとを示す図である。
【図11】図11は、サブフィールド駆動において動画ボケが発生する理由を示す概念図である。
【図12】図12は、サブフィールド駆動において動画ボケの改善手法を示す概念図である。
【図13】図13は、動画ボケの改善を図った従来の画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0123】
1 サブフィールド作成部
2 動き検出部
3 サブフィールド制御部
4 動きベクトル変換部
5 動きベクトル処理部
6 動きベクトル変換部
10 プラズマディスプレイ
100 画像表示装置
100x 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置であって、
前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に対してゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換手段の出力である第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、
前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトルを、前記第1の動きベクトルの移動量の変化に基づいて制御して、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がある場合には、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する画像表示装置。
【請求項2】
前記動きベクトル変換手段は、前記第1の動きベクトルの移動量が第1の移動量から第2の移動量に変化する場合、前記第1の移動量と、前記第2の移動量と、前記第1の移動量及び前記第2の移動量の間の差とに応じた時定数で、前記第2の動きベクトルの出力を変化させる請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記動きベクトル変換手段は、前記第1の動きベクトルが前記第1の移動量から、前記第2の移動量に変化する場合に、前記第1の移動量が前記第2の移動量よりも小さい時は、予め定められた規定レベルより大きい時定数を用い、前記第1の移動量が前記第2の移動量よりも大きい時は、当該規定レベルよりも小さい時定数を用いる請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置であって、
前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルの移動量より、動きベクトルの分散値を求める動きベクトル処理手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に、前記動きベクトル処理手段の分散値に応じたゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換手段の出力である前記第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、
前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトル出力を、前記第1の動きベクトルの分散値に基づいて制御し、前記分散値が大きいほど、小さいゲインを乗じた第2の動きベクトルを出力する画像表示装置。
【請求項5】
前記動きベクトル変換手段は、前記第1の動きベクトルが、単一方向且つ単一移動量で、前記分散値が小さい場合には、前記第1の動きベクトルに、1若しくは1に近い第1のゲインを乗じて出力し、前記第1の動きベクトルが、単一方向且つ単一移動量ではない場合は、前記第1の動きベクトルに乗ずる値を前記第1のゲインよりも小さい第2のゲインとする請求項4記載の画像表示装置。
【請求項6】
1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置であって、
前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量にゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換手段の出力である前記第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、
前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトルを、前記第1の動きベクトルと、当該第1の動きベクトル以外の他の前記第1の動きベクトルとに基づいて制御して、当該第1の動きベクトルの移動量と、前記他の第1の動きベクトルの移動量との間に予め定められた相違がある場合に、相違がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する画像表示装置。
【請求項7】
前記他の第1の動きベクトルは、当該第1の動きベクトルの画素位置と同じ画素位置で、時間が異なる動きベクトルであり、
前記動きベクトル変換手段は、当該第1の動きベクトルの移動量と、前記他の第1の動きベクトルの移動量との間に変化がある場合、変化がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する請求項6記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記他の第1の動きベクトルは、当該第1の動きベクトルの時間と同じ時間で、画素位置が異なる動きベクトルであり、
当該第1の動きベクトルの移動量、及び、1以上の前記他の第1の動きベクトルの移動量における分散値を求める動きベクトル処理手段を備え、
前記動きベクトル変換手段は、求められた前記分散値が大きいほど、当該第1の動きベクトルに乗じられる前記ゲインとして、小さなゲインを用いる請求項6記載の画像表示装置。
【請求項9】
1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置の動作を制御するための集積回路であって、
前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に対してゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換手段の出力である第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、
前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトルを、前記第1の動きベクトルの移動量の変化に基づいて制御して、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がある場合には、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する集積回路。
【請求項10】
前記動きベクトル変換手段は、前記第1の動きベクトルの移動量が第1の移動量から第2の移動量に変化する場合、前記第1の移動量と、前記第2の移動量と、前記第1の移動量及び前記第2の移動量の間の差とに応じた時定数で、前記第2の動きベクトルの出力を変化させる
請求項9記載の集積回路。
【請求項11】
前記動きベクトル変換手段は、前記第1の動きベクトルが前記第1の移動量から、前記第2の移動量に変化する場合に、前記第1の移動量が前記第2の移動量よりも小さい時は、予め定められた規定レベルより大きい時定数を用い、前記第1の移動量が前記第2の移動量よりも大きい時は、当該規定レベルよりも小さい時定数を用いる請求項10記載の集積回路。
【請求項12】
1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置の動作を制御するための集積回路であって、
前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルの移動量より、動きベクトルの分散値を求める動きベクトル処理手段と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に、前記動きベクトル処理手段の分散値に応じたゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換手段の出力である前記第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御手段とを備え、
前記動きベクトル変換手段は、出力する前記第2の動きベクトル出力を、前記第1の動きベクトルの分散値に基づいて制御し、前記分散値が大きいほど、小さいゲインを乗じた第2の動きベクトルを出力する集積回路。
【請求項13】
前記動きベクトル変換手段は、前記第1の動きベクトルが、単一方向且つ単一移動量で、前記分散値が小さい場合には、前記第1の動きベクトルに、1若しくは1に近い第1のゲインを乗じて出力し、前記第1の動きベクトルが、単一方向且つ単一移動量ではない場合は、前記第1の動きベクトルに乗ずる値を前記第1のゲインよりも小さい第2のゲインとする請求項12記載の集積回路。
【請求項14】
1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置の動作を制御する制御方法であって、
前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出工程と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に対してゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換工程と、
前記動きベクトル変換工程での出力である第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御工程とを備え、
前記動きベクトル変換工程では、出力する前記第2の動きベクトルを、前記第1の動きベクトルの移動量の変化に基づいて制御して、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がある場合、前記第1の動きベクトルの移動量の変化がない場合の第2の動きベクトルよりも小さい第2の動きベクトルを出力する制御方法。
【請求項15】
1つのフィールドを複数のサブフィールドに分割して発光することにより、中間調表示する画像表示装置の動作を制御する制御方法であって、
前記フィールドの表示データと、当該フィールドのフィールド時間から、任意に定めた一定のフィールド時間分だけ異なった時間における前記フィールドの表示データとを比較することにより、前記フィールドの表示画像の動きの移動量及び移動方向を示す第1の動きベクトルを検出する動きベクトル検出工程と、
前記動きベクトル検出工程での出力である第1の動きベクトルの移動量より、動きベクトルの分散値を求める動きベクトル処理工程と、
前記動きベクトル検出手段の出力である第1の動きベクトルと同じ移動方向を有し、当該第1の動きベクトルの移動量に、前記動きベクトル処理手段の分散値に応じたゲインが乗じられた移動量である第2の動きベクトルを出力する動きベクトル変換手段と、
前記動きベクトル変換工程での出力である前記第2の動きベクトルに基づいて、前記各サブフィールドの発光位置を移動させる発光位置制御工程とを備え、
前記動きベクトル変換工程では、出力する前記第2の動きベクトル出力を、前記第1の動きベクトルの分散値に基づいて制御し、前記分散値が大きいほど、小さいゲインを乗じた第2の動きベクトルを出力する制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−124079(P2010−124079A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293856(P2008−293856)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】