説明

画像表示装置およびその駆動方法

【課題】発光素子の輝度ばらつきを抑制した、画素サイズの小さい画像表示装置およびその駆動方法を提供する。
【解決手段】リセットスイッチSWRは、プリチャージ期間およびデータ書込期間に、駆動トランジスタTRDのゲート電極とドレイン電極とを導通させる。点灯制御スイッチSWIは、発光期間に、駆動トランジスタTRDのドレイン電極と発光素子ILとを導通させる。電荷放電スイッチSWDは、プリチャージ期間に、駆動トランジスタTRDのドレイン電極をそのゲート電極の電位を制御するためのリセット制御線RESに導通させる。プリチャージ期間には、リセット制御線RESに駆動トランジスタTRDのドレイン電極より低い電位が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を有する画像表示装置およびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(たとえば有機EL素子)を有する画素回路を複数含む画像表示装置が知られている。これらの画素回路には、それぞれ、発光輝度を示すデータ信号(映像信号)を供給するデータ線が接続されており、そのデータ信号に応じた電位差を保持する保持容量と、保持容量が保持する電位差により生じるゲート−ソース間電圧に応じた量の電流を発光素子に流す駆動トランジスタと、が設けられている。発光素子は、この駆動トランジスタにより制御される電流量に応じた輝度で、つまりデータ線から供給されるデータ信号に応じた輝度で発光する。
【0003】
ただし、現行の製造技術では駆動トランジスタの閾値電圧等の特性をそろえることが難しいため、上記構成だけでは画素回路ごとに発光素子の輝度にばらつきが生じてしまう。
【0004】
そこで従来、データ信号により生じる電位差を駆動トランジスタの閾値電圧分だけ補正してから保持容量に保持させ、駆動トランジスタにより制御される電流量のばらつき(発光素子の輝度のばらつき)を抑制する画素回路およびその駆動方法が開発されている。
【0005】
たとえば、特許文献1には、発光素子の点灯を制御する点灯制御スイッチや、データ信号に応じた電位差を保持する保持容量などに溜まる電荷を逃がすためのプリチャージ/リセット用スイッチなどが設けられた画素回路が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、データ書込みと発光とが行ごとに異なるタイミングで行われる画像表示装置において、電流を流さない非駆動期間が設けられた電源パルスを発光素子に印加する駆動方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−157250号公報
【特許文献2】特開2008−122497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、点灯制御スイッチの他にプリチャージ/リセット用のスイッチなどを画素回路に設けるため、画素回路の構成が複雑になる。また、上記特許文献2では、負電源が必要になる上、画素回路の構成も複雑になる。画素回路の構成が複雑になると、画素サイズを大きくせざるを得ず、解像度の向上が難しい。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、発光素子の輝度ばらつきを抑制した、画素サイズの小さい画像表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る画像表示装置は、電流量に応じた輝度で発光する発光素子と、データ書込期間に、データ線からのデータ信号が一端に供給される保持容量と、前記データ書込期間に、ソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に電流を流して該ゲート電極の電位である補正電位を前記保持容量の他端に供給し、該データ書込期間の後の発光期間に、前記保持容量が保持する電位差に応じたゲート電極とソース電極との間の電位差に応じてソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する駆動トランジスタと、前記データ書込期間の前のプリチャージ期間および前記データ書込期間に、前記駆動トランジスタのゲート電極とドレイン電極とを導通させるリセットスイッチと、前記発光期間に、前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させる点灯制御スイッチと、前記プリチャージ期間に、前記駆動トランジスタのドレイン電極を前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を制御するためのゲート制御線に導通させる電荷放電スイッチと、を含み、前記ゲート制御線には、前記プリチャージ期間に、前記駆動トランジスタのドレイン電極より低い電位が印加されることを特徴とする。
【0011】
(2)(1)において、前記プリチャージ期間に、電源電位と前記駆動トランジスタのソース電極との導通を遮断する電源制御スイッチをさらに含んでもよい。
【0012】
(3)(2)において、前記点灯制御スイッチは、前記プリチャージ期間にも、前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させてもよい。
【0013】
(4)(3)において、前記プリチャージ期間は、前記点灯制御スイッチが前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子との導通を遮断する第1プリチャージ期間と、前記第1プリチャージ期間の後に前記点灯制御スイッチが前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させる第2プリチャージ期間と、を含んでもよい。
【0014】
(5)(1)において、前記プリチャージ期間および前記データ書込期間に、前記保持容量の一端を前記データ線に導通させる選択スイッチをさらに含んでもよい。
【0015】
(6)(5)において、前記リセットスイッチおよび前記選択スイッチは、互いに同極性のトランジスタであり、前記リセットスイッチのゲート電極および前記選択スイッチのゲート電極は、該ゲート電極の電位を共通に制御するリセット制御線に接続されていてもよい。
【0016】
(7)(6)において、前記発光期間に、前記保持容量の一端を発光制御信号を供給する発光制御信号線に導通させる発光制御信号供給スイッチをさらに含み、前記駆動トランジスタは、前記発光期間に、前記保持容量が保持する電位差と前記発光制御信号により制御される前記保持容量の一端の電位とに応じて前記電流の量を制御してもよい。
【0017】
(8)(7)において、前記リセットスイッチおよび前記発光制御信号供給スイッチは、互いに逆極性のトランジスタであり、前記発光制御信号供給スイッチのゲート電極は、前記リセット制御線に接続されていてもよい。
【0018】
(9)(8)において、前記駆動トランジスタ、前記リセットスイッチ、および前記選択スイッチは、Pチャネル型トランジスタであり、前記ゲート制御線は、前記リセット制御線であってもよい。
【0019】
(10)(7)において、前記ゲート制御線は、前記発光制御信号線であってもよい。
【0020】
(11)(2)において、前記電源制御スイッチおよび前記電荷放電スイッチは、互いに逆極性のトランジスタであり、前記電源制御スイッチのゲート電極および前記電荷放電スイッチのゲート電極は、該ゲート電極の電位を共通に制御する電源スイッチ制御線に接続されていてもよい。
【0021】
(12)上記課題を解決するために、本発明に係る画像表示装置は、複数の発光素子と、前記複数の発光素子に流れる電流の量をそれぞれ制御する複数のPチャネル型トランジスタと、前記複数のPチャネル型トランジスタのゲート電極の電位を制御するゲート制御線と、を含み、前記複数のPチャネル型トランジスタの少なくとも1つのドレイン電極は、前記ゲート制御線に接続されていることを特徴とする。
【0022】
(13)上記課題を解決するために、本発明に係る画像表示装置の駆動方法は、電流量に応じた輝度で発光する発光素子と、保持容量と、前記保持容量が保持する電位差に応じたゲート電極とソース電極との間の電位差に応じてソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する駆動トランジスタと、を含む画像表示装置の駆動方法であって、データ線からのデータ信号を前記保持容量の一端に供給するとともに、前記駆動トランジスタのソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に電流を流して該ゲート電極の電位である補正電位を前記保持容量の他端に供給するデータ書込ステップと、前記データ書込ステップの後に、前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させる発光ステップと、前記データ書込ステップの前に、前記駆動トランジスタのゲート電極とドレイン電極とを導通させるとともに、前記駆動トランジスタのドレイン電極を該ドレイン電極より低い電位が印加されるゲート制御線であって前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を制御するためのゲート制御線に導通させるプリチャージステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、発光素子の輝度ばらつきを抑制しながら、画素サイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1−3に係る画像表示装置の構成の一例を示す図である。
【図2】実施形態1に係る画素回路の回路図である。
【図3】図2に示す画素回路に供給される信号の一例を示す波形図である。
【図4A】プリチャージ期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図4B】データ書込期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図4C】発光期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図5】図2に示す画素回路に供給される信号の他の一例を示す波形図である。
【図6A】第1プリチャージ期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図6B】第2プリチャージ期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図6C】データ書込期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図6D】発光期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図7】実施形態2に係る画素回路の回路図である。
【図8】図7に示す画素回路に供給される信号の一例を示す波形図である。
【図9A】第1プリチャージ期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図9B】第2プリチャージ期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図9C】データ書込期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図9D】発光期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図10】実施形態3に係る画素回路の回路図である。
【図11】図10に示す画素回路に供給される信号の一例を示す波形図である。
【図12A】プリチャージ期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図12B】データ書込期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図12C】発光期間におけるスイッチの状態を示す図である。
【図13】実施形態1−3に係る画像表示装置の構成の変形例を示す図である。
【図14】リセット制御線用ゲート出力バッファの構成の一例を示す図である。
【図15A】図14に示すリセット制御線用ゲート出力バッファのPチャネルMOSの構造を示す図である。
【図15B】図14に示すリセット制御線用ゲート出力バッファのNチャネルMOSの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態1−3を図面に基づいて詳細に説明する。これらの実施形態では、発光素子として有機EL素子を用いた画像表示装置に本発明を適用した場合について説明する。なお、同じ機能を有する構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
図1は、実施形態1−3に係る画像表示装置の構成の一例を示す図である。画像表示装置は、垂直走査回路YDVと、データ線駆動回路XDVと、電源回路PWUと、複数の画素回路PCと、アレイ基板と、フレキシブルプリント基板と、パッケージに封入されたドライバ集積回路と、を含む。
【0027】
このうち図1に示す回路は、主にアレイ基板とドライバ集積回路とに設けられている。たとえば、データ線駆動回路XDV、垂直走査回路YDVおよび電源回路PWUは、アレイ基板上の領域であって表示領域DAの外側の領域に設けられている。なお、これらの一部はドライバ集積回路にも設けられている。また、画素回路PCは、アレイ基板上に設けられた表示領域DA内にマトリクス状に配置されている。画像表示装置の解像度がN行M列で3色カラー表示であれば、表示領域DA内には(3×M)列×N行の画素回路PCが並ぶ。以下、画素回路PCの各行を画素行PXLと呼ぶ。
【0028】
表示領域DA内では、画素回路PCの各列に対応して、データ線DATが図中上下方向に延びている。データ線DATの一端はデータ線駆動回路XDVに接続されており、その一端にはデータ線駆動回路XDVからデータ信号が供給される。図面では、m列目の画素回路PCに対応するデータ線DATをDATmと表記する。
【0029】
また、表示領域DA内では、画素回路PCの各行に対応して、リセット制御線RESと、点灯制御線ILMと、電源スイッチ制御線CTPと、が図中左右方向に延びている。リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの一端は、垂直走査回路YDVに接続されている。図面では、n行目の画素回路PCに対応するリセット制御線RESをRESn、点灯制御線ILMをILMnと表記する。
【0030】
表示領域DA内の各画素回路PCには、電源線PWLが接続されており、この電源線PWLを介して電源回路PWUから電源電位が供給される。
【0031】
[実施形態1]
図2は、実施形態1に係る画素回路PCの回路図である。画素回路PCは、発光素子ILと、保持容量CPと、駆動トランジスタTRDと、リセットスイッチSWRと、電荷放電スイッチSWDと、点灯制御スイッチSWIと、電源制御スイッチSWPと、選択スイッチSWSと、発光制御信号供給スイッチSWFと、を含む。
【0032】
発光素子ILは、それを流れる電流の量に応じて輝度が変化する素子であり、本実施形態では有機EL素子である。有機EL素子は、一般的に整流素子の特性をもつためOLED(Organic light-emitting diode)とも呼ばれる。発光素子ILのカソードには接地電位が供給される。この接地電位は必ずしも接地された電極から供給されなくてもよい。
【0033】
保持容量CPは、データ線DATから供給されるデータ信号に応じた電位差を保持する。保持容量CPの一端は選択スイッチSWSを介してデータ線DATに接続され、その他端は駆動トランジスタTRDのゲート電極に接続されている。
【0034】
駆動トランジスタTRDは、Pチャネル型の薄膜トランジスタであり、ゲート電極に印加される電位とソース電極に印加される電位との電位差に応じてソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する。駆動トランジスタTRDのソース電極は、電源制御スイッチSWPを介して電源線PWLに接続され、駆動トランジスタTRDのドレイン電極は点灯制御スイッチSWIを介して発光素子ILのアノードに接続されている。
【0035】
リセットスイッチSWRの一端は駆動トランジスタTRDのゲート電極に接続され、その他端は駆動トランジスタTRDのドレイン電極に接続されている。電荷放電スイッチSWDの一端はリセット制御線RESに接続され、その他端は駆動トランジスタTRDのドレイン電極に接続されている。発光制御信号供給スイッチSWFの一端は保持容量CPの一端に接続され、その他端は発光制御信号線REFに接続されている。
【0036】
リセットスイッチSWR、選択スイッチSWS、および電源制御スイッチSWPは、Pチャネル型の薄膜トランジスタである(ここでは、リセットスイッチSWRだけダブルゲート構造にしている)。一方、点灯制御スイッチSWIおよびドレイン電荷放電スイッチSWDは、Nチャネル型の薄膜トランジスタである。このうち、リセットスイッチSWRのゲート電極、選択スイッチSWSのゲート電極、および発光制御信号供給スイッチSWFのゲート電極は、リセット制御線RESに接続されている。一方、点灯制御スイッチSWIのゲート電極は、点灯制御線ILMに接続され、電源制御スイッチSWPのゲート電極および電荷放電スイッチSWDのゲート電極は、電源スイッチ制御線CTPに接続されている。
【0037】
上記のとおり、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの一端は、いずれも垂直走査回路YDVに接続されており、電源線PWLは、電源回路PWUに接続されている。
【0038】
次に、実施形態1に係る画像表示装置の駆動方法について説明する。
【0039】
図3は、図2に示す画素回路PCに供給される信号の一例を示す波形図である。図3には、上から順に、リセット制御線RESに印加される電位の波形、点灯制御線ILMに印加される電位の波形、電源スイッチ制御線CTPに印加される電位の波形が示されている。ここでは、1フィールド期間Tが、画素回路PCに蓄積された電荷をリセットするプリチャージ期間Tと、画素回路PCにデータを書き込むデータ書込期間Tと、発光素子ILを発光させる発光期間Tと、を含む。これらの期間の境界は、各画素行PXLの走査タイミングに応じて異なる。
【0040】
図4Aは、プリチャージ期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。プリチャージ期間Tでは、次のデータ書込期間Tの開始時に駆動トランジスタTRDがソース電極からドレイン電極に電流を流せるように、保持容量CPの電荷がリセット制御線RESに放電される。また、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷によってデータ信号と関係なく発光素子ILが微発光することを防ぐために、寄生容量CPRの電荷もリセット制御線RESに放電される。
【0041】
すなわち、プリチャージ期間Tでは、リセット制御線RESの電位がローレベルとなり、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの電位がハイレベルとなる(図3参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWR、点灯制御スイッチSWIおよび電荷放電スイッチSWDはオン(導通状態)となり、発光制御信号供給スイッチSWFおよび電源制御スイッチSWPはオフ(遮断状態)となる。これにより、保持容量CPの駆動トランジスタTRD側の一端がローレベル(駆動トランジスタTRDのドレイン電極より低い電位)が印加されたリセット制御線RESに導通し、保持容量CPに蓄積された電荷がリセット制御線RESに放電される。また、発光素子ILの駆動トランジスタTRD側の一端がリセット制御線RESに導通し、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷もリセット制御線RESに放電される。
【0042】
図4Bは、その後のデータ書込期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。データ書込期間Tでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの電位がローレベルとなる(図3参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWR、および電源制御スイッチSWPはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。これにより、駆動トランジスタTRDはダイオード接続となり、駆動トランジスタTRDのソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に向けて、駆動トランジスタTRDのソース電極とゲート電極との間の電位差が閾値電圧となるまで電流が流れる。このタイミングでデータ線DATにはデータ信号の電位が印加され、保持容量CPは電源電位から閾値電圧を引いた電位(補正電位)とデータ信号の電位との電位差を保持する。これにより、駆動トランジスタTRDの特性ばらつきが補償される。
【0043】
なお、1行目の画素回路PCへのデータ書込期間Tが終わると、2行目の画素回路PCへのデータ書込期間Tが始まり、以降N行目の画素回路PCまで順次データ書込が行われる。
【0044】
図4Cは、その後の発光期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。発光期間Tでは、リセット制御線RESおよび点灯制御線ILMの電位がハイレベルとなり、電源スイッチ制御線CTPの電位がローレベルとなる(図3参照)。これに伴って、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電源制御スイッチSWPはオンとなり、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。これにより、駆動トランジスタTRDのソース電極が電源線PWLに接続され、電源回路PWUは電源電位を駆動トランジスタTRDのソース電極に供給する。このタイミングで発光制御信号線REFには発光制御信号の電位が印加され、駆動トランジスタTRDのゲート電極には発光制御信号の電位に保持容量CPが保持する電位差を加えた電位が供給される。駆動トランジスタTRDは、そのゲート電極の電位とソース電極の電位との電位差によってソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する。最低輝度とするために駆動トランジスタTRDがオフにされる場合を除いて駆動トランジスタTRDからの電流は発光素子ILを流れ、発光素子ILはその電流の量に応じた輝度で発光する。発光期間Tが終わると、次のプリチャージ期間Tが始まる。
【0045】
このように、図2に示す画素回路PCでは、駆動トランジスタTRDのゲート電極の電位を制御するゲート制御線の1つであるリセット制御線RESを、保持容量CPおよび発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷の放電経路としても用いるため、放電専用の経路を新たに設ける必要がない。また、選択スイッチSWSおよびリセットスイッチSWRを互いに同極性のトランジスタにし、発光制御信号供給スイッチSWFをそれとは逆極性のトランジスタにすることで、これら3つのスイッチングを1本のリセット制御線RESで共通に制御し、配線数の増加を抑制している。同様に、電源制御スイッチSWPおよび電荷放電スイッチSWDを互いに逆極性のトランジスタにすることで、これら2つをスイッチングも1本の電源スイッチ制御線CTPで共通に制御する。このため、発光素子ILの輝度ばらつきを抑制しながら、画素サイズを小さくすることができる。
【0046】
また、図2に示す画素回路PCを図3に示す波形の信号で駆動すれば、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷がプリチャージ期間Tで放電されるため、発光素子ILの不要な発光を抑制し、コントラストを向上させることができる。さらに、プリチャージ期間Tに電源制御スイッチSWPをオフにして電源回路PWUからの電流を遮断することで、リセット制御線RESに流れる電流を低減することができる。
【0047】
なお、図2に示す画素回路PCには、図3に示す波形とは異なる波形を有する信号を供給してもよい。
【0048】
図5は、図2に示す画素回路PCに供給される信号の他の一例を示す波形図である。図5には、上から順に、リセット制御線RESに印加される電位の波形、点灯制御線ILMに印加される電位の波形、電源スイッチ制御線CTPに印加される電位の波形が示されている。ここでは、1フィールド期間Tが、保持容量CPに蓄積された電荷をリセットする第1プリチャージ期間T1Aと、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷をリセットする第2プリチャージ期間T1Bと、画素回路PCにデータを書き込むデータ書込期間Tと、発光素子ILを発光させる発光期間Tと、を含む。
【0049】
図6Aは、第1プリチャージ期間T1Aにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。第1プリチャージ期間Tでは、次のデータ書込期間Tの開始時に駆動トランジスタTRDがソース電極からドレイン電極に電流を流せるように、保持容量CPの電荷がリセット制御線RESに放電される。
【0050】
すなわち、第1プリチャージ期間T1Aでは、リセット制御線RESおよび点灯制御線ILMの電位がローレベルとなり、電源スイッチ制御線CTPの電位がハイレベルとなる(図5参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび電荷放電スイッチSWDはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電源制御スイッチSWPはオフとなる。これにより、保持容量CPの駆動トランジスタTRD側の一端がローレベル(駆動トランジスタTRDのドレイン電極より低い電位)が印加されたリセット制御線RESに導通し、保持容量CPに蓄積された電荷がリセット制御線RESに放電される。ここでは、点灯制御スイッチSWIが駆動トランジスタTRDのドレイン電極と発光素子ILとの導通を遮断しているため、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷は放電されない。
【0051】
図6Bは、その後の第2プリチャージ期間T1Bにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。第2プリチャージ期間T1Bでは、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷によってデータ信号と関係なく発光素子ILが微発光することを防ぐために、寄生容量CPRの電荷がリセット制御線RESに放電される。
【0052】
すなわち、第2プリチャージ期間T1Bでは、リセット制御線RESの電位がローレベルとなり、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの電位がハイレベルとなる(図5参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWR、点灯制御スイッチSWIおよび電荷放電スイッチSWDはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWFおよび電源制御スイッチSWPはオフとなる。これにより、発光素子ILの駆動トランジスタTRD側の一端がリセット制御線RESに導通し、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷がローレベルが印加されたリセット制御線RESに放電される。
【0053】
図6Cは、その後のデータ書込期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。データ書込期間Tでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの電位がローレベルとなる(図5参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWR、および電源制御スイッチSWPはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。これにより、駆動トランジスタTRDはダイオード接続となり、駆動トランジスタTRDのソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に向けて、駆動トランジスタTRDのソース電極とゲート電極との間の電位差が閾値電圧となるまで電流が流れる。このタイミングでデータ線DATにはデータ信号の電位が印加され、保持容量CPは電源電位から閾値電圧を引いた電位(補正電位)とデータ信号の電位との電位差を保持する。
【0054】
図6Dは、その後の発光期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。発光期間Tでは、リセット制御線RESおよび点灯制御線ILMの電位がハイレベルとなり、電源スイッチ制御線CTPの電位がローレベルとなる(図5参照)。これに伴って、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電源制御スイッチSWPはオンとなり、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。これにより、駆動トランジスタTRDのソース電極が電源線PWLに接続され、電源回路PWUは電源電位を駆動トランジスタTRDのソース電極に供給する。このタイミングで発光制御信号線REFには発光制御信号の電位が印加され、駆動トランジスタTRDのゲート電極には発光制御信号の電位に保持容量CPが保持する電位差を加えた電位が供給される。駆動トランジスタTRDは、そのゲート電極の電位とソース電極の電位との電位差によってソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する。最低輝度とするために駆動トランジスタTRDがオフにされる場合を除いて駆動トランジスタTRDからの電流は発光素子ILを流れ、発光素子ILはその電流の量に応じた輝度で発光する。発光期間Tが終わると、次の第1プリチャージ期間T1Aが始まる。
【0055】
このように、図2に示す画素回路PCを図5に示す波形の信号で駆動すれば、保持容量CPに蓄積された電荷が第1プリチャージ期間T1Aで放電された後に、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷が第2プリチャージ期間T1Bで放電される。このため、保持容量CPに蓄積された電荷が発光素子ILに流れ込むことを防止できる。
【0056】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る画素回路PCの回路図である。画素回路PCは、発光素子ILと、保持容量CPと、駆動トランジスタTRDと、リセットスイッチSWRと、電荷放電スイッチSWDと、点灯制御スイッチSWIと、電源制御スイッチSWPと、選択スイッチSWSと、発光制御信号供給スイッチSWFと、を含む。
【0057】
実施形態2に係る画素回路PCは、実施形態1に係る画素回路PCと比較して、電荷放電スイッチSWDの一端が発光制御信号線REFに接続されている点、保持容量CPおよび発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷を発光制御信号線REFに放電する点、が異なる。以下では、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0058】
図8は、図7に示す画素回路に供給される信号の一例を示す波形図である。図8には、上から順に、リセット制御線RESに印加される電位の波形、点灯制御線ILMに印加される電位の波形、電源スイッチ制御線CTPに印加される電位の波形、発光制御信号線REFに印加される電位の波形が示されている。ここでは、1フィールド期間Tが、保持容量CPに蓄積された電荷をリセットする第1プリチャージ期間T1Aと、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷をリセットする第2プリチャージ期間T1Bと、画素回路PCにデータを書き込むデータ書込期間Tと、発光素子ILを発光させる発光期間Tと、を含む。
【0059】
図9Aは、第1プリチャージ期間T1Aにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。第1プリチャージ期間T1Aでは、次のデータ書込期間Tの開始時に駆動トランジスタTRDがソース電極からドレイン電極に電流を流せるように、保持容量CPの電荷が発光制御信号線REFに放電される。
【0060】
すなわち、第1プリチャージ期間T1Aでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび発光制御信号線REFの電位がローレベルとなり、電源スイッチ制御線CTPの電位がハイレベルとなる(図8参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび電荷放電スイッチSWDはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電源制御スイッチSWPはオフとなる。これにより、保持容量CPの駆動トランジスタTRD側の一端がローレベル(駆動トランジスタTRDのドレイン電極より低い電位、望ましくは0V)が印加された発光制御信号線REFに導通し、保持容量CPに蓄積された電荷が発光制御信号線REFに放電される。ここでは、点灯制御スイッチSWIが駆動トランジスタTRDのドレイン電極と発光素子ILとの導通を遮断しているため、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷は放電されない。
【0061】
図9Bは、その後の第2プリチャージ期間T1Bにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。第2プリチャージ期間T1Bでは、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷によってデータ信号と関係なく発光素子ILが微発光することを防ぐために、寄生容量CPRの電荷が発光制御信号線REFに放電される。
【0062】
すなわち、第2プリチャージ期間T1Bでは、リセット制御線RESおよび発光制御信号線REFの電位がローレベルとなり、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの電位がハイレベルとなる(図8参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWR、点灯制御スイッチSWIおよび電荷放電スイッチSWDはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWFおよび電源制御スイッチSWPはオフとなる。これにより、発光素子ILの駆動トランジスタTRD側の一端が発光制御信号線REFに導通し、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷がローレベルが印加された発光制御信号線REFに放電される。
【0063】
図9Cは、その後のデータ書込期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。データ書込期間Tでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTPの電位がローレベルとなり、発光制御信号線REFの電位がローレベルとなる(図8参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWR、および電源制御スイッチSWPはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。これにより、駆動トランジスタTRDはダイオード接続となり、駆動トランジスタTRDのソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に向けて、駆動トランジスタTRDのソース電極とゲート電極との間の電位差が閾値電圧となるまで電流が流れる。このタイミングでデータ線DATにはデータ信号の電位が印加され、保持容量CPは電源電位から閾値電圧を引いた電位(補正電位)とデータ信号の電位との電位差を保持する。
【0064】
図9Dは、その後の発光期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。発光期間Tでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび発光制御信号線REFの電位がハイレベルとなり、電源スイッチ制御線CTPの電位がローレベルとなる(図8参照)。これに伴って、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電源制御スイッチSWPはオンとなり、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。これにより、駆動トランジスタTRDのソース電極が電源線PWLに接続され、電源回路PWUは電源電位を駆動トランジスタTRDのソース電極に供給する。このタイミングで発光制御信号線REFには発光制御信号の電位が印加され、駆動トランジスタTRDのゲート電極には発光制御信号の電位に保持容量CPが保持する電位差を加えた電位が供給される。駆動トランジスタTRDは、そのゲート電極の電位とソース電極の電位との電位差によってソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する。最低輝度とするために駆動トランジスタTRDがオフにされる場合を除いて駆動トランジスタTRDからの電流は発光素子ILを流れ、発光素子ILはその電流の量に応じた輝度で発光する。発光期間Tが終わると、次の第1プリチャージ期間T1Aが始まる。
【0065】
このように、図7に示す画素回路PCでは、駆動トランジスタTRDのゲート電極の電位を制御するゲート制御線の1つである発光制御信号線REFを、保持容量CPおよび発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷の放電経路としても用いるため、放電専用の経路を新たに設ける必要がない。また、選択スイッチSWSおよびリセットスイッチSWRを互いに同極性のトランジスタにし、発光制御信号供給スイッチSWFをそれとは逆極性のトランジスタにすることで、これら3つのスイッチングを1本のリセット制御線RESで共通に制御し、ゲート制御線数の増加を抑制している。同様に、電源制御スイッチSWPおよび電荷放電スイッチSWDを互いに逆極性のトランジスタにすることで、これら2つをスイッチングも1本の電源スイッチ制御線CTPで共通に制御する。このため、発光素子ILの輝度ばらつきを抑制しながら、画素サイズを小さくすることができる。
【0066】
また、電位上昇によるスイッチの誤作動のおそれがない発光制御信号線REFを放電経路としているため、発光制御信号線REFの低インピーダンス化や出力バッファの低インピーダンス化などが必要ない。
【0067】
また、図7に示す画素回路PCを図8に示す波形の信号で駆動すれば、保持容量CPに蓄積された電荷が第1プリチャージ期間T1Aで放電された後に、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷が第2プリチャージ期間T1Bで放電される。このため、保持容量CPに蓄積された電荷が発光素子ILに流れ込むことを防止できる。また、発光素子ILの不要な発光を抑制し、コントラストを向上させることができる。さらに、第1プリチャージ期間T1Aおよび第2プリチャージ期間T1Bに電源制御スイッチSWPをオフにして電源回路PWUからの電流を遮断することで、発光制御信号線REFに流れる電流を低減することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、保持容量CPに蓄積された電荷の放電した後に発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷を放電するが、これらの放電は同時に行ってもよい(実施形態1の図4A参照)。
【0069】
[実施形態3]
図10は、実施形態3に係る画素回路PCの回路図である。画素回路PCは、発光素子ILと、保持容量CPと、駆動トランジスタTRDと、リセットスイッチSWRと、電荷放電スイッチSWDと、点灯制御スイッチSWIと、選択スイッチSWSと、発光制御信号供給スイッチSWFと、を含む。
【0070】
実施形態3に係る画素回路PCは、実施形態2に係る画素回路PCと比較して、電源制御スイッチSWPがなく駆動トランジスタTRDのソース電極が電源線PWLに直接接続されている点、プリチャージ期間Tが第1プリチャージ期間T1Aと第2プリチャージ期間T1Bとに分かれていない点、が異なる。以下では、実施形態2との相違点を中心に説明する。
【0071】
図11は、図10に示す画素回路に供給される信号の一例を示す波形図である。図11には、上から順に、リセット制御線RESに印加される電位の波形、点灯制御線ILMに印加される電位の波形、電源スイッチ制御線CTPに印加される電位の波形、発光制御信号線REFに印加される電位の波形が示されている。ここでは、1フィールド期間Tが、保持容量CPに蓄積された電荷をリセットするプリチャージ期間Tと、画素回路PCにデータを書き込むデータ書込期間Tと、発光素子ILを発光させる発光期間Tと、を含む。
【0072】
図12Aは、プリチャージ期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。プリチャージ期間Tでは、次のデータ書込期間Tの開始時に駆動トランジスタTRDがソース電極からドレイン電極に電流を流せるように、保持容量CPの電荷が発光制御信号線REFに放電される。
【0073】
すなわち、プリチャージ期間Tでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび発光制御信号線REFの電位がローレベルとなり、電源スイッチ制御線CTP(図10参照)の電位がハイレベルとなる(図11参照)。これに伴って、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび電荷放電スイッチSWDはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWFおよび点灯制御スイッチSWIはオフとなる。これにより、保持容量CPの駆動トランジスタTRD側の一端がローレベル(駆動トランジスタTRDのドレイン電極より低い電位、望ましくは0V)が印加された発光制御信号線REFに導通し、保持容量CPに蓄積された電荷が発光制御信号線REFに放電される。本実施形態では、駆動トランジスタTRDのソース電極が電源線PWLに常時導通しているため、電源回路PWUから発光制御信号線REFにも電流が流れる。また、点灯制御スイッチSWIが駆動トランジスタTRDのドレイン電極と発光素子ILとの導通を遮断しているため、発光素子ILの寄生容量CPRに蓄積された電荷は放電されない。
【0074】
図12Bは、その後のデータ書込期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。データ書込期間Tでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMおよび電源スイッチ制御線CTP(図10参照)の電位がローレベルとなり、発光制御信号線REFの電位がハイレベルとなる(図11参照)。これに伴って、選択スイッチSWSおよびリセットスイッチSWRはオンとなり、発光制御信号供給スイッチSWF、点灯制御スイッチSWIおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。これにより、駆動トランジスタTRDはダイオード接続となり、駆動トランジスタTRDのソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に向けて、駆動トランジスタTRDのソース電極とゲート電極との間の電位差が閾値電圧となるまで電流が流れる。このタイミングでデータ線DATにはデータ信号の電位が印加され、保持容量CPは電源電位から閾値電圧を引いた電位(補正電位)とデータ信号の電位との電位差を保持する。
【0075】
図12Cは、その後の発光期間Tにおける画素回路PCのスイッチの状態を示す図である。発光期間Tでは、リセット制御線RES、点灯制御線ILMがハイレベルとなり、電源スイッチ制御線CTP(図10参照)の電位がローレベルとなる(図11参照)。これに伴って、発光制御信号供給スイッチSWFおよび点灯制御スイッチSWIはオンとなり、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび電荷放電スイッチSWDはオフとなる。このタイミングで発光制御信号線REFには発光制御信号の電位が印加され、駆動トランジスタTRDのゲート電極には発光制御信号の電位に保持容量CPが保持する電位差を加えた電位が供給される。駆動トランジスタTRDは、そのゲート電極の電位とソース電極の電位との電位差によってソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する。最低輝度とするために駆動トランジスタTRDがオフにされる場合を除いて駆動トランジスタTRDからの電流は発光素子ILを流れ、発光素子ILはその電流の量に応じた輝度で発光する。発光期間Tが終わると、次のプリチャージ期間Tが始まる。
【0076】
このように、図10に示す画素回路PCでは、発光素子ILの記載容量CPRに蓄積された電荷が放電されないため、実施形態1,2に比べてコントラストは悪いが、電源制御スイッチSWPを省略できるため、画素回路PCの簡素化が可能となる。
【0077】
なお、本実施形態では、保持容量CPに蓄積された電荷を発光制御信号線REFに放電するが、実施形態1のように、電荷放電スイッチSWDの一端をリセット制御線RESに接続し、保持容量CPに蓄積された電荷をそのリセット制御線RESに放電してもよい。
【0078】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。また上記実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0079】
たとえば、電源制御スイッチSWPは、画素回路PCごとではなく、同一画素行PXLの複数画素回路PCごとに設けてもよいし、図13に示すように、画素行PXLごとに設けてもよい。
【0080】
また、電源スイッチ制御線CTPに印加される電位の波形(図3、図5、図8、図11参照)のローレベルとハイレベルとを反転させれば、電源制御スイッチSWPをNチャネル型の薄膜トランジスタとし、電荷放電スイッチSWDをPチャネル型の薄膜トランジスタとしてもよい。同様に、点灯制御線ILMに印加される電位の波形(図3、図5、図8、図11参照)のローレベルとハイレベルとを反転させれば、点灯制御スイッチSWIをPチャネル型の薄膜トランジスタとしてもよい。
【0081】
ところで、上記のように、複数の発光素子ILと、複数の発光素子ILに流れる電流の量をそれぞれ制御する複数の駆動トランジスタTRD(Pチャネル型トランジスタ)と、複数の駆動トランジスタTRDのゲート電極の電位を制御するゲート制御線(たとえばリセット制御線RES)と、を含む画像表示装置において、プリチャージ期間にこれら複数の駆動トランジスタTRDの少なくとも1つ(実施形態1−3では全部)のドレイン電極を駆動トランジスタの電極の電位を制御するためのゲート制御線に接続してこのゲート制御線に駆動トランジスタのドレイン電極より低い電位を印加しておけば、ゲート制御線が放電経路にもなり、配線数の増加が抑制される。
【0082】
ただし、ゲート制御線を放電経路として活用する場合、放電によりゲート制御線の電位が上昇し、スイッチの誤作動が発生するおそれがある。たとえば、実施形態1のようにリセット制御線RESを放電経路として用いる場合、放電によりリセット制御線RESの電位が上昇し、選択スイッチSWS、リセットスイッチSWRおよび発光制御信号供給スイッチSWFが誤作動するおそれがある。
【0083】
このため、放電経路として用いるゲート制御線には、低インピーダンス化や出力バッファの低インピーダンス化などを施すことが望ましい。たとえば、実施形態1のようにリセット制御線RESを放電経路として用いる場合、リセット制御線RESに他の画素回路配線より低抵抗の材料(たとえばCu,Agなど)を用いること、リセット制御線RESに画素回路配線より太くする(たとえば幅、高さを2倍以上にする)こと、図14に例示するリセット制御線RESの出力バッファのCMOSにおけるNMOSのゲート長をPMOSより短くすること(図15A、図15B参照)、などが有効である。ここで、図14はリセット制御線用ゲート出力バッファの構成の一例を示す図である。また図15Aは図14に示すリセット制御線用ゲート出力バッファのPチャネルMOSの構造を示す図である。図15Bは図14に示すリセット制御線用ゲート出力バッファのNチャネルMOSの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
DA 表示領域、DAT データ線、ILM 点灯制御線、RES リセット制御線、REF 発光制御信号線、PC 画素回路、PWL 電源線、PWU 電源回路、PXL 画素行、XDV データ線駆動回路、YDV 垂直走査回路、CTP 電源スイッチ制御線、SWP 電源制御スイッチ、CP 保持容量、CPR 寄生容量、IL 発光素子、SWF 発光制御信号供給スイッチ、SWI 点灯制御スイッチ、SWD 電荷放電スイッチ、SWR リセットスイッチ、SWS 選択スイッチ、TRD 駆動トランジスタ、T フィールド期間、T プリチャージ期間、T1A 第1プリチャージ期間、T1B 第2プリチャージ期間、T データ書込期間、T 発光期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流量に応じた輝度で発光する発光素子と、
データ書込期間に、データ線からのデータ信号が一端に供給される保持容量と、
前記データ書込期間に、ソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に電流を流して該ゲート電極の電位である補正電位を前記保持容量の他端に供給し、該データ書込期間の後の発光期間に、前記保持容量が保持する電位差に応じたゲート電極とソース電極との間の電位差に応じてソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する駆動トランジスタと、
前記データ書込期間の前のプリチャージ期間および前記データ書込期間に、前記駆動トランジスタのゲート電極とドレイン電極とを導通させるリセットスイッチと、
前記発光期間に、前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させる点灯制御スイッチと、
前記プリチャージ期間に、前記駆動トランジスタのドレイン電極を前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を制御するためのゲート制御線に導通させる電荷放電スイッチと、
を含み、
前記ゲート制御線には、前記プリチャージ期間に、前記駆動トランジスタのドレイン電極より低い電位が印加される、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記プリチャージ期間に、電源電位と前記駆動トランジスタのソース電極との導通を遮断する電源制御スイッチ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記点灯制御スイッチは、前記プリチャージ期間にも、前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記プリチャージ期間は、
前記点灯制御スイッチが前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子との導通を遮断する第1プリチャージ期間と、
前記第1プリチャージ期間の後に前記点灯制御スイッチが前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させる第2プリチャージ期間と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記プリチャージ期間および前記データ書込期間に、前記保持容量の一端を前記データ線に導通させる選択スイッチ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記リセットスイッチおよび前記選択スイッチは、互いに同極性のトランジスタであり、
前記リセットスイッチのゲート電極および前記選択スイッチのゲート電極は、該ゲート電極の電位を共通に制御するリセット制御線に接続されている、
をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記発光期間に、前記保持容量の一端を発光制御信号を供給する発光制御信号線に導通させる発光制御信号供給スイッチをさらに含み、
前記駆動トランジスタは、前記発光期間に、前記保持容量が保持する電位差と前記発光制御信号により制御される前記保持容量の一端の電位とに応じて前記電流の量を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記リセットスイッチおよび前記発光制御信号供給スイッチは、互いに逆極性のトランジスタであり、
前記発光制御信号供給スイッチのゲート電極は、前記リセット制御線に接続されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記駆動トランジスタ、前記リセットスイッチ、および前記選択スイッチは、Pチャネル型トランジスタであり、
前記ゲート制御線は、前記リセット制御線である、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記ゲート制御線は、前記発光制御信号線である、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記電源制御スイッチおよび前記電荷放電スイッチは、互いに逆極性のトランジスタであり、
前記電源制御スイッチのゲート電極および前記電荷放電スイッチのゲート電極は、該ゲート電極の電位を共通に制御する電源スイッチ制御線に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項12】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子に流れる電流の量をそれぞれ制御する複数のPチャネル型トランジスタと、
前記複数のPチャネル型トランジスタのゲート電極の電位を制御するゲート制御線と、
を含み、
前記複数のPチャネル型トランジスタの少なくとも1つのドレイン電極は、前記ゲート制御線に接続されている、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項13】
電流量に応じた輝度で発光する発光素子と、保持容量と、前記保持容量が保持する電位差に応じたゲート電極とソース電極との間の電位差に応じてソース電極からドレイン電極へ流れる電流の量を制御する駆動トランジスタと、を含む画像表示装置の駆動方法であって、
データ線からのデータ信号を前記保持容量の一端に供給するとともに、前記駆動トランジスタのソース電極およびドレイン電極を介してゲート電極に電流を流して該ゲート電極の電位である補正電位を前記保持容量の他端に供給するデータ書込ステップと、
前記データ書込ステップの後に、前記駆動トランジスタのドレイン電極と前記発光素子とを導通させる発光ステップと、
前記データ書込ステップの前に、前記駆動トランジスタのゲート電極とドレイン電極とを導通させるとともに、前記駆動トランジスタのドレイン電極を該ドレイン電極より低い電位が印加されるゲート制御線であって前記駆動トランジスタのゲート電極の電位を制御するためのゲート制御線に導通させるプリチャージステップと、
を含むことを特徴とする画像表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2012−133207(P2012−133207A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286451(P2010−286451)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】