説明

画像表示装置および画像表示方法

【課題】表示画像の画質を高品位に保つとともに表示解像度を増やす。
【解決手段】投射型表示装置20aは、緑色光表示素子、赤色光表示素子、および青色光表示素子それぞれが出力する緑色画像、赤色画像、および青色画像における赤色画像および青色画像の表示位置が、緑色画像の表示位置に対して表示面内の水平方向および垂直方向またはいずれか一方の方向に0.5画素の距離分ずれる位置となる第1の表示と、赤色画像および青色画像の表示位置が第1の表示における緑色画像の表示位置となり、緑色画像の表示位置が第1の表示における赤色画像および青色画像の表示位置となる第2の表示とを切り替えるよう、緑色光表示素子、赤色光表示素子、および青色光表示素子からの各出力光路を変更する光路変更部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置および画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二つの緑色映像表示素子と一つの赤色映像表示素子と一つの青色映像表示素子とを搭載した4板式の映像投射装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この文献に開示された映像投射装置は、一方の緑色映像が他方の緑色映像に対して水平方向および垂直方向に0.5画素分ずれて表示されるように二つの緑色映像表示素子を設けたものであり、観察者により視認される水平方向および垂直方向の解像度が、3板式で構成した場合の映像投射装置の解像度の2倍になるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−109878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、4板式の映像投射装置は、4系統分の映像表示素子および光学系を備える必要があるため、回路および光学系の規模が大きくなるという問題がある。
一方、テレビ受像機等で用いられてきたインタレース走査の技術を映像投射装置に適用すれば、3板式の映像表示素子を用いて例えば垂直方向に2倍の解像度の映像を得ることができる。しかし、インタレース走査を行うと、縞模様や市松模様等の周波数成分の高い画像を表示させた場合に、目障りなフリッカが発生する等のいわゆるインタレース妨害が発生し、画質が劣化することとなる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、表示画像の画質を高品位に保つとともに表示解像度を増やすことのできる、画像表示装置および画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である画像表示装置は、第1の色画像光を出力する第1の色画像光出力部と、第2の色画像光を出力する第2の色画像光出力部と、第3の色画像光を出力する第3の色画像光出力部と、前記第1から第3までの色画像光を表示させる表示光学系と、前記表示光学系により表示される表示面における前記第2および第3の色画像光による表示位置が、前記第1の色画像光による表示位置に対して前記表示面内の所定方向にずれる位置となる第1の表示状態と、前記第2および第3の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第1の色画像光による表示位置となり、前記第1の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第2および第3の色画像光による表示位置となる第2の表示状態とを切り替えるよう、前記第1から第3までの色画像光出力部からの各出力光路を変更する光路変更部と、を備えることを特徴とする。
このように構成したことにより、第1の色画像光による画像の画素の位置と第2の色画像光および第3の色画像光による画像の画素の位置とが、画像おきに相補的に所定方向にずれるように、光路変更部が第1から第3までの表示出力部からの各出力光路を変更する。これにより、本発明の一態様である画像表示装置は、所定方向の表示の解像度を高めることができるとともに高画質な表示を行うことができる。
【0006】
[2]上記[1]記載の画像表示装置において、前記第1の色画像光は緑色画像光であり、前記第2の色画像光は赤色画像光であり、前記第3の色画像光は青色画像光であることを特徴とする。
[3]上記[1]記載の画像表示装置において、前記所定方向は、前記表示面内の水平方向および垂直方向またはいずれか一方の方向であることを特徴とする。
[4]上記[1]から[3]までのいずれか一項記載の画像表示装置において、前記光路変更部は、前記第1の表示状態と前記第2の表示状態とを交互に繰り返し切り替えるよう、前記第1から第3までの色画像光出力部からの各出力光路を変更することを特徴とする。
[5]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である画像表示方法は、第1から第3までの色画像光出力部が第1から第3までの色画像光を出力し、前記第2および第3の色画像光による表示位置が、前記第1の色画像光による表示位置に対して表示面内の所定方向にずれる位置となる第1の表示状態と、前記第2および第3の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第1の色画像光による表示位置となり、前記第1の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第2および第3の色画像光による表示位置となる第2の表示状態とを切り替えるよう、前記第1から第3までの色画像光出力部からの各出力光路を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示画像の画質を高品位に保つとともに、表示解像度を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態である画像表示装置を適用した投射型表示装置を含む投射型表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における、光学ユニット部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態において、フレーム同期信号と光路変更制御信号との動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】緑色映像光により表示される画素と、赤色映像光および青色映像光それぞれにより表示される画素とが水平方向に0.5画素分ずれて表示される状態のフレーム画像を模式的に示す図である。
【図5】図4における奇数フレームの画像と偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像を模式的に示す図である。
【図6】緑色映像光により表示される画素と、赤色映像光および青色映像光それぞれにより表示される画素とが垂直方向に0.5画素分ずれて表示される状態のフレーム画像を模式的に示す図である。
【図7】図6における奇数フレームの画像と偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像を模式的に示す図である。
【図8】緑色映像光により表示される画素と、赤色映像光および青色映像光それぞれにより表示される画素とが水平方向および垂直方向に0.5画素分ずれて表示される状態のフレーム画像を模式的に示す図である。
【図9】図8における奇数フレームの画像と偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態である画像表示装置を適用した投射型表示装置を含む投射型表示システムの全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、投射型表示システム200は、映像供給装置10と、投射型表示装置20aとを含んで構成される。
【0010】
映像供給装置10は、映像信号と同期信号とを出力する映像信号発生装置であり、緑色映像の映像信号である緑色映像信号Ginと、赤色映像の映像信号である赤色映像信号Rinと、青色映像の映像信号である青色映像信号Binと、映像のフレーム周期に同期したフレーム同期信号Fとを投射型表示装置20aに供給する。映像供給装置10は、例えば、映像コンテンツを再生してその再生信号である映像信号と同期信号とを出力するビデオ再生装置や、撮像により得た映像信号と同期信号とを出力するビデオカメラ装置である。
なお、映像供給装置10から投射型表示装置20aに対しては、赤色・緑色・青色(RGB)映像信号の他、映像同期信号やクロック信号等の制御信号が供給されるが、本実施形態においては、緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとフレーム同期信号Fとについてのみ説明し、その他の制御信号についてはその説明を省略する。
【0011】
投射型表示装置20aは、プロジェクタ装置であり、映像供給装置10から供給される緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとフレーム同期信号Fとを取り込み、フレーム同期信号Fに基づくフレーム周期で前述した第1の表示状態と前述した第2の表示状態とを交互に繰り返すように、緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとに基づき出力する映像光の光路を変更し、光路変更後の映像光である緑色映像光Goutと、赤色映像光Routと、青色映像光Boutとを投射する。
【0012】
上記の第1の表示状態とは、緑色映像光Goutによるフレーム画像の画素位置に対して赤色映像光Routおよび青色映像光Boutそれぞれによるフレーム画像の画素位置を、水平方向および垂直方向またはいずれか一方の方向に1画素未満の距離分ずらした状態である。また、上記の第2の表示状態とは、第1の表示状態における緑色映像光Goutによるフレーム画像の画素位置に赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによる両フレーム画像の画素位置を一致させるとともに、第1の表示状態における赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによる両フレーム画像の画素位置に緑色映像光Goutによるフレーム画像の画素位置を一致させた状態である。
つまり、投射型表示装置20aは、緑色映像光Goutによるフレーム画像の表示位置と赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによる両フレーム画像の表示位置とを、フレーム周期で相補的に切り替えて表示する。
【0013】
なお、上記の1画素未満の距離は、一例としては0.5画素に相当する距離である。本実施形態では、水平方向および垂直方向またはいずれか一方の方向の画素ずらし量を、0.5画素に相当する距離として説明する。
【0014】
図1に示すように、投射型表示装置20aは、光学ユニット部21aと、光路変更制御部22aと、投射光学系(表示光学系)24とを備える。
光学ユニット部21aは、メカニカルに光路を変更する光路変更部を含むものであり、緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとの供給を受けて各映像信号を電気信号から光信号に変換し、上記光路変更部によって光路が制御された緑色映像光Goutと、赤色映像光Routと、青色映像光Boutとを出力する。
【0015】
光路変更制御部22aは、フレーム同期信号Fの供給を受けて、フレーム周期で“OFF”状態と“ON”状態とを交互に繰り返す光路変更制御信号Sgと、フレーム周期で“ON”状態と“OFF”状態とを交互に繰り返す光路変更制御信号Srbとを生成して出力する。つまり、光路変更制御信号Sgと光路変更制御信号Srbとは互いに逆相である。そして、光路変更制御信号Sgが“OFF”状態であり光路変更制御信号Srbが“ON”状態である場合が第1の表示状態に対応し、光路変更制御信号Sgが“ON”状態であり光路変更制御信号Srbが“OFF”状態である場合が第2の表示状態に対応する。
なお、本実施形態である画像表示装置は、光路変更制御部22aと上記光路変更部とを含むものである。
【0016】
投射光学系24は、少なくとも投射レンズを含み、緑色映像光Goutと赤色映像光Routと青色映像光Boutとをその投射レンズを通して外部に投射する。
【0017】
次に、投射型表示装置20aの主要な構成部のより詳細な構成について説明する。図2は、光学ユニット部21aの機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、光学ユニット部21aは、光源部201と、青色光ダイクロイックミラー202と、偏光ビームスプリッタ203,204,209,211、214と、青色光表示素子(第3の色画像光出力部)205aと、クロスダイクロイックプリズム207と、黄色光ダイクロイックミラー208と、緑色光ダイクロイックミラー210と、赤色光表示素子(第2の色画像光出力部)212aと、緑色光表示素子(第1の色画像光出力部)215aと、青色光光路変更部221と、赤色光光路変更部222と、緑色光光路変更部223とを備える。青色光光路変更部221と赤色光光路変更部222と緑色光光路変更部223とは光路変更部である。
なお、同図において、破線で表した矢印は、光束の進路の概略を示すものであり、実線で表した矢印は、電気信号の経路を示すものである。
【0018】
光源部201は、白色光源と偏光変換素子とを含んで構成される。白色光源が発光した白色光は、偏光変換素子を通過することによってその偏光成分がS偏光に揃えられたS偏光白色光Lとなる。青色光ダイクロイックミラー202は、光源部201から照射されたS偏光白色光Lのうち青色光波長成分を有する青色光Bを反射させて偏光ビームスプリッタ203に入射させる。偏光ビームスプリッタ203は、入射されたS偏光である青色光Bを反射させて偏光ビームスプリッタ204に入射させる。偏光ビームスプリッタ204は、入射された青色光Bを反射させて青色光表示素子205aの受光部に入射させる。青色光表示素子205aは、映像供給装置10から青色映像信号Binの供給を受けて表示部に表示するとともに、受光部に入射された青色光Bを変調し、P偏光である青色映像光(第3の色画像光)を出力してクロスダイクロイックプリズム207に入射させる。
【0019】
黄色光ダイクロイックミラー208は、光源部201から照射されたS偏光白色光Lのうち赤色光波長成分および緑色光波長成分のみを有する黄色光Yeを反射させて偏光ビームスプリッタ209に入射させる。偏光ビームスプリッタ209は、入射されたS偏光である黄色光Yeを反射させて緑色光ダイクロイックミラー210に入射させる。緑色光ダイクロイックミラー210は、入射された黄色光Yeのうち赤色光波長成分を有する赤色光Rを透過させて偏光ビームスプリッタ211に入射させる。一方、緑色光ダイクロイックミラー210は、黄色光Yeのうち緑色光波長成分を有する緑色光Gを反射させて偏光ビームスプリッタ214に入射させる。
【0020】
偏光ビームスプリッタ211は、入射された赤色光Rを反射させて赤色光表示素子212aの受光部に入射させる。赤色光表示素子212aは、映像供給装置10から赤色映像信号Rinの供給を受けて表示部に表示するとともに、受光部に入射された赤色光Rを変調し、P偏光である赤色映像光(第2の色画像光)を出力してクロスダイクロイックプリズム207に入射させる。偏光ビームスプリッタ214は、入射された緑色光Gを反射させて緑色光表示素子215aの受光部に入射させる。緑色光表示素子215aは、映像供給装置10から緑色映像信号Ginの供給を受けて表示部に表示するとともに、受光部に入射された緑色光Gを変調し、P偏光である緑色映像光(第1の色画像光)を出力してクロスダイクロイックプリズム207に入射させる。
【0021】
クロスダイクロイックプリズム207は、青色光表示素子205aから供給された青色映像光を反射させて青色映像光Boutとして出力し、赤色光表示素子212aから供給された赤色映像光を反射させて赤色映像光Routとして出力し、緑色光表示素子215aから供給された緑色映像光を透過させて緑色映像光Goutとして出力する。
青色光表示素子205aと赤色光表示素子212aと緑色光表示素子215aとのそれぞれは透過型表示素子であり、例えば透過型液晶表示素子である。
【0022】
青色光光路変更部221は、光路変更制御部22aから供給される光路変更制御信号Srbの動作タイミングに基づいて、青色光表示素子205aを所定方向に0.5画素分に相当する距離分移動させる光路変更部である。同様に、赤色光光路変更部222は、光路変更制御部22aから供給される光路変更制御信号Srbの動作タイミングに基づいて、赤色光表示素子212aを所定方向に0.5画素分に相当する距離分移動させる光路変更部である。また、緑色光光路変更部223は、光路変更制御部22aから供給される光路変更制御信号Sgの動作タイミングに基づいて、緑色光表示素子215aを所定方向に0.5画素分に相当する距離分移動させる光路変更部である。青色光光路変更部221と赤色光光路変更部222と緑色光光路変更部223とのそれぞれは、例えば、印加電圧に応じて一次元方向に力を発生する圧電素子を適用した圧電アクチュエータにより構成される。つまり、青色光光路変更部221と赤色光光路変更部222と緑色光光路変更部223とのそれぞれは、圧電アクチュエータにより発生した力の方向に、青色光表示素子205aと赤色光表示素子212aと緑色光表示素子215aとのそれぞれを、0.5画素分に相当する距離分移動させる。
【0023】
緑色映像光Goutと赤色映像光Routと青色映像光Boutとによる各フレーム画像の画素の位置が一致した状態における、緑色光表示素子215aと赤色光表示素子212aと青色光表示素子205aとの位置を原点、すなわち変位量が“0”(ゼロ)であるとすると、緑色映像光Goutに対して赤色映像光Routと青色映像光Boutとを図2におけるu軸正方向に変位させるためには、緑色光表示素子215aの位置の変位量を“0”(ゼロ)とし、赤色光表示素子212aをv軸負方向に変位させるとともに、青色光表示素子205aをv軸正方向に変位させる。また、赤色映像光Routと青色映像光Boutとに対して緑色映像光Goutを同図におけるu軸正方向に変位させるためには、赤色光表示素子212aおよび青色光表示素子205aの各位置の変位量を“0”(ゼロ)とし、緑色光表示素子215aをu軸正方向に変位させる。
【0024】
次に、光路変更制御部22aが生成する光路変更制御信号Sgおよび光路変更制御信号Srbの動作タイミングについて説明する。図3は、フレーム同期信号Fと光路変更制御信号Sgと光路変更制御信号Srbとの動作タイミングを示すタイミングチャートである。同図に示すように、フレーム同期信号Fは、映像のフレーム周期で各フレームの先頭の所定期間に立ち上がるパルス信号である。この先頭の所定期間は例えば垂直ブランキング期間であってよい。光路変更制御信号Sgは、フレーム同期信号Fの各パルスの立ち上がりに同期してローレベル(“OFF”)とハイレベル(“ON”)とを交互に繰り返す信号である。光路変更制御信号Srbは、フレーム同期信号Fの各パルスの立ち上がりに同期してハイレベル(“ON”)とローレベル(“OFF”)とを交互に繰り返す信号である。つまり、光路変更制御信号Sgと光路変更制御信号Srbとは互いに逆相となる信号である。光路変更制御信号Sgがローレベル(“OFF”)であり光路変更制御信号Srbがハイレベル(“ON”)である期間は、奇数回目のフレーム期間に対応し、光路変更制御信号Sgがハイレベル(“ON”)であり光路変更制御信号Srbがローレベル(“OFF”)である期間は、偶数回目のフレーム期間に対応する。
【0025】
次に、本実施形態である画像表示装置を適用した投射型表示装置20aを含む投射型表示システム200の動作について説明する。まず、映像供給装置10は、緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとフレーム同期信号Fとを、投射型表示装置20aに供給する。
投射型表示装置20aは、映像供給装置10から供給される緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとフレーム同期信号Fとを取り込むと、緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとを光学ユニット部21aに供給し、フレーム同期信号Fを光路変更制御部22aに供給する。
光学ユニット部21aは、緑色映像信号Ginと赤色映像信号Rinと青色映像信号Binとの供給を受けると、緑色映像信号Ginを緑色映像光Goutに変換して出力し、赤色映像信号Rinを赤色映像光Routに変換して出力し、青色映像信号Binを青色映像光Boutに変換して出力する。光学ユニット部21aが出力する緑色映像Goutと赤色映像光Routと青色映像光Boutとは投射レンズ系24を通して外部に投射される。
【0026】
ここで、光路変更制御部22aと光学ユニット部21aに含まれる光路変更部との動作について説明する。光路変更制御部22aは、フレーム同期信号Fの供給を受けると、フレーム周期でローレベル(“OFF”)とハイレベル(“ON”)とを交互に繰り返す、互いに逆相である光路変更制御信号Sgおよび光路変更制御信号Srbを生成して光学ユニット部21aに供給する。
【0027】
光路変更制御部22aから供給される光路変更制御信号Sgがローレベル(“OFF”)であり光路変更制御信号Srbがハイレベル(“ON”)であるとき、つまり、奇数回目のフレーム期間において、光路変更制御信号Sgの供給を受ける緑色光光路変更部223は、緑色光表示素子215aのu軸上の変位量が“0”(ゼロ)となる状態になり、光路変更制御信号Srbの供給を受ける赤色光光路変更部222は、赤色光表示素子212aをv軸負方向に0.5画素分に相当する距離だけ位置を変位させ、光路変更制御信号Srbの供給を受ける青色光光路変更部221は、青色光表示素子205aをv軸正方向に0.5画素分に相当する距離だけ位置を変位させる。これにより、緑色映像光Goutの光軸に対して赤色映像光Routおよび青色映像光Boutの両光軸がu軸正方向に0.5画素分に相当する距離だけ変位する。
【0028】
また、光路変更制御部22aから供給される光路変更制御信号Sgがハイレベル(“ON”)であり光路変更制御信号Srbがローレベル(“OFF”)であるとき、つまり、偶数回目のフレーム期間において、光路変更制御信号Sgの供給を受ける緑色光光路変更部223は、緑色光表示素子215aをu軸正方向に0.5画素分に相当する距離だけ位置を変位させ、光路変更制御信号Srbの供給を受ける赤色光光路変更部222および青色光光路変更部221は、赤色光表示素子212aおよび青色光表示素子205aのv軸上の変位量が“0”(ゼロ)となる状態になる。これにより、奇数回目のフレーム期間とは逆に、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutの両光軸に対して緑色映像光Goutの光軸がu軸正方向に0.5画素分に相当する距離だけ変位する。
【0029】
次に、投射型表示装置20aが緑色映像光Goutと赤色映像光Routと青色映像光Boutとを投射することにより表示されるフレーム画像の画素構造について説明する。図4は、緑色映像光Goutにより表示される画素と、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutそれぞれにより表示される画素とが水平方向に0.5画素分ずれて表示される状態のフレーム画像を模式的に示す図である。
同図(a)は、奇数フレームの一部分を示した図であり、緑色映像光Goutによるフレーム画像(水平方向の画素ピッチはPxである。)の緑色画素Gの位置に対して、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによるフレーム画像(水平方向の画素ピッチはPxである。)の赤色・青色画素RBの位置が画素ずらし方向(X軸正方向)に0.5画素分(Px/2)ずれた状態を示している。また、同図(b)は、偶数フレームの一部分を示した図であり、同図(a)の状態とは逆に、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによるフレーム画像(水平方向の画素ピッチはPxである。)の赤色・青色画素RBの位置に対して、緑色映像光Goutによるフレーム画像の緑色画素Gの位置が画素ずらし方向(X軸正方向)に0.5画素分(Px/2)ずれた状態を示している。
つまり、同図(a)および(b)において、投射型表示装置20が表示する奇数フレームと偶数フレームとの間には、水平方向に0.5画素分の変位量があり、緑色画素と赤色・青色画素RBとの位置関係が相補的である。
【0030】
図5は、図4における奇数フレームの画像と偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像を模式的に示す図である。図5に示すように、図4(a)に示した奇数フレームの画像と同図(b)に示した偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像の赤色・緑色・青色画素RGBの水平方向(X軸方向)の画素ピッチはPx/2となり、水平方向の解像度が2倍となる。
【0031】
また、図6は、緑色映像光Goutにより表示される画素と、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutそれぞれにより表示される画素とが垂直方向に0.5画素分ずれて表示される状態のフレーム画像を模式的に示す図である。
同図(a)は、奇数フレームの一部分を示した図であり、緑色映像光Goutによるフレーム画像(垂直方向の画素ピッチはPyである。)の緑色画素Gの位置に対して、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによるフレーム画像(垂直方向の画素ピッチはPyである。)の赤色・青色画素RBの位置が画素ずらし方向(Y軸正方向)に0.5画素分(Py/2)ずれた状態を示している。また、同図(b)は、偶数フレームの一部分を示した図であり、同図(a)の状態とは逆に、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによるフレーム画像(垂直方向の画素ピッチはPyである。)の赤色・青色画素RBの位置に対して、緑色映像光Goutによるフレーム画像の緑色画素Gの位置が画素ずらし方向(Y軸正方向)に0.5画素分(Py/2)ずれた状態を示している。
つまり、同図(a)および(b)において、投射型表示装置20が表示する奇数フレームと偶数フレームとの間には、垂直方向に0.5画素分の変位量があり、緑色画素と赤色・青色画素RBとの位置関係が相補的である。
【0032】
図7は、図6における奇数フレームの画像と偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像を模式的に示す図である。図7に示すように、図6(a)に示した奇数フレームの画像と同図(b)に示した偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像の赤色・緑色・青色画素RGBの垂直方向(Y軸方向)の画素ピッチはPy/2となり、垂直方向の解像度が2倍となる。
【0033】
また、図8は、緑色映像光Goutにより表示される画素と、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutそれぞれにより表示される画素とが水平方向および垂直方向に0.5画素分ずれて表示される状態のフレーム画像を模式的に示す図である。
同図(a)は、奇数フレームの一部分を示した図であり、緑色映像光Goutによるフレーム画像(水平方向の画素ピッチはPxであり、垂直方向の画素ピッチはPyである。)の緑色画素Gの位置に対して、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによるフレーム画像(水平方向の画素ピッチはPxであり、垂直方向の画素ピッチはPyである。)の赤色・青色画素RBの位置が画素ずらし方向(X軸方向およびY軸方向それぞれの正方向)に0.5画素分(Px/2,Py/2)ずれた状態を示している。また、同図(b)は、偶数フレームの一部分を示した図であり、同図(a)の状態とは逆に、赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによるフレーム画像(水平方向の画素ピッチはPxであり、垂直方向の画素ピッチはPyである。)の赤色・青色画素RBの位置に対して、緑色映像光Goutによるフレーム画像の緑色画素Gの位置が画素ずらし方向(X軸方向およびY軸方向それぞれの正方向)に0.5画素分(Px/2,Py/2)ずれた状態を示している。
つまり、同図(a)および(b)において、投射型表示装置20が表示する奇数フレームと偶数フレームとの間には、水平方向および垂直方向それぞれに0.5画素分の変位量があり、緑色画素と赤色・青色画素RBとの位置関係が相補的である。
【0034】
図9は、図8における奇数フレームの画像と偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像を模式的に示す図である。図9に示すように、図8(a)に示した奇数フレームの画像と同図(b)に示した偶数フレームの画像とを重ね合わせて得られる合成画像の赤色・緑色・青色画素RGBの水平方向の画素ピッチはPx/2であり、また垂直方向の画素ピッチはPy/2であり、水平方向および垂直方向それぞれの解像度がそれぞれ2倍となる。
【0035】
以上、説明したとおり、本実施形態である画像表示装置を適用した投射型表示装置20aは、光路変更制御部22aが生成する光路変更制御信号Sgおよび光路変更制御信号Srbの動作タイミングに基づいて、光学ユニット部21aが出力する緑色映像光Goutと赤色映像光Routと青色映像光Boutとの各光路を、緑色映像光Goutによるフレーム画像の画素の位置と赤色映像光Routおよび青色映像光Boutによるフレーム画像の画素の位置とがフレーム画像おきに相補的に0.5画素分ずれるように、光学ユニット部21a内部の光路変更部が変更する。
これにより、本実施形態における投射型表示装置20aによれば、3板式の表示素子を用いて所望の方向に解像度を2倍に高めることができ、また、縞模様や市松模様等の周波数成分の高い画像を表示させる場合に、目障りなフリッカ等が発生せず高画質を保つことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、緑色映像のフレーム画像と赤色映像および青色映像のフレーム画像との間で相補的に画素ずらしを行うものであった。これ以外にも、青色映像のフレーム画像と緑色映像および赤色映像のフレーム画像との間で相補的に画素ずらしを行ったり、赤色映像のフレーム画像と青色映像および緑色映像のフレーム画像との間で相補的に画素ずらしを行ったりするように構成してもよい。
【0037】
また、本実施形態における投射型表示装置20aはカラー映像を投射表示するものであったが、本実施形態はカラー静止画にも適用することができる。カラー静止画に適用する場合は、第1の表示状態のフレーム画像と第2の表示状態のフレーム画像とを重ね合わせて表示することにより実現できる。
【0038】
また、本実施形態における投射型表示装置20aは、透過型表示素子である青色光表示素子205aと赤色光表示素子212aと緑色光表示素子215aとを用いて光学ユニット部21aを構成したが、各表示素子とも反射型表示素子を用いて光学ユニット部21aを構成してもよい。
【0039】
また、本実施形態である画像表示装置は、投射型表示装置以外にも、例えば液晶ディスプレイ装置やPDP(Plasma Display Panel)装置等の直視型画像表示装置にも適用可能である。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10 映像供給装置
20a 投射型表示装置
21a 光学ユニット部
22a 光路変更制御部
24 投射光学系(表示光学系)
200 投射型表示システム
201 光源部
202 青色光ダイクロイックミラー
203,204,209,211,214 変更ビームスプリッタ
205a 青色光表示素子(第3の色画像光出力部)
207 クロスダイクロイックプリズム
208 黄色光ダイクロイックミラー
210 緑色光ダイクロイックミラー
212a 赤色光表示素子(第2の色画像光出力部)
215a 緑色光表示素子(第1の色画像光出力部)
221 青色光光路変更部(光路変更部)
222 赤色光光路変更部(光路変更部)
223 緑色光光路変更部(光路変更部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色画像光を出力する第1の色画像光出力部と、
第2の色画像光を出力する第2の色画像光出力部と、
第3の色画像光を出力する第3の色画像光出力部と、
前記第1から第3までの色画像光を表示させる表示光学系と、
前記表示光学系により表示される表示面における前記第2および第3の色画像光による表示位置が、前記第1の色画像光による表示位置に対して前記表示面内の所定方向にずれる位置となる第1の表示状態と、前記第2および第3の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第1の色画像光による表示位置となり、前記第1の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第2および第3の色画像光による表示位置となる第2の表示状態とを切り替えるよう、前記第1から第3までの色画像光出力部からの各出力光路を変更する光路変更部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の色画像光は緑色画像光であり、前記第2の色画像光は赤色画像光であり、前記第3の色画像光は青色画像光であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記所定方向は、前記表示面内の水平方向および垂直方向またはいずれか一方の方向であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記光路変更部は、前記第1の表示状態と前記第2の表示状態とを交互に繰り返し切り替えるよう、前記第1から第3までの色画像光出力部からの各出力光路を変更することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項記載の画像表示装置。
【請求項5】
第1から第3までの色画像光出力部が第1から第3までの色画像光を出力し、
前記第2および第3の色画像光による表示位置が、前記第1の色画像光による表示位置に対して表示面内の所定方向にずれる位置となる第1の表示状態と、前記第2および第3の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第1の色画像光による表示位置となり、前記第1の色画像光による表示位置が前記第1の表示状態における前記第2および第3の色画像光による表示位置となる第2の表示状態とを切り替えるよう、前記第1から第3までの色画像光出力部からの各出力光路を変更する
ことを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−13766(P2012−13766A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147569(P2010−147569)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】