説明

画像表示装置及びプロジェクタ

【課題】映像信号の切替を確実に行うことを可能にした画像表示装置及びプロジェクタを提供する。
【解決手段】複数の音声入力端子33,34と、前記複数種類の音声信号に対応した複数の映像入力端子31,32と、複数の音声入力端子の内、音声信号が入力している音声入力端子を検出する音声電流・電圧判断部17とを備え、音声信号が入力している音声入力端子33,34に対応した映像入力端子31,32からの映像信号を取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置及びプロジェクタに関し、特に、映像入力端子の自動切替に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校等の教育現場では、例えば学習用電子機器として「施錠が可能な開閉扉8を有する箱形の教卓本体1内に、パソコン21、映像機器24、プロジェクタ25及びスピーカー27を含む所要の電子機器を所要の配線を済ませた状態で収納する。パソコン21を遠隔操作しながら収納された各種電子機器を駆動し、学生に映像と音声とで教材を提示する。」というものが提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−316440号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の学習用電子機器において、プロジェクタの映像信号の切り替えはユーザーが任意にボタンを押すことで固定映像又は映像入力を検出して切り替える処理を行っていた。例えばビデオの映像信号を入力しているときにリモコンのビデオのボタンをダイレクトに押す方法、または入力検出ボタンを押して、映像信号が入力されている端子を検出して、その端子から映像信号を取り込んで映像表示を行っていた。このため、正常な信号として認識されない場合には検出の対象外となったり、信号の認識時間により検出対象外となることが発生していた。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、映像信号の切り替えを確実に行うことを可能にした画像表示装置及びプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像表示装置は、複数種類の音声信号を入力するための複数の音声入力端子と、前記複数種類の音声信号に対応した複数種類の映像信号を入力するための複数の映像入力端子と、前記複数の音声入力端子の内、音声信号が入力している音声入力端子を検出する音声電流・電圧判断部とを備え、音声信号が入力している音声入力端子に対応した映像入力端子からの映像信号を取り込むものである。本発明においては、複数の音声入力端子の内、音声信号が入力している音声入力端子を音声信号の有無に基づいて検出しており、このため、その検出の際に誤差が含まれる要因が少なく、従来のように検出の対象外になったりするような事態が避けられており、音声信号を確実に検出することが可能になっている。そして、音声信号が入力している音声入力端子に対応した映像入力端子からの映像信号を取り込むようにしており、映像信号の切り替えを確実に行うことが可能になっている。
【0006】
本発明に係る画像表示装置は、前記複数の音声入力端子からの音声信号の内、1つの音声信号を選択して出力する音声信号切替回路と、前記複数の映像入力端子からの映像信号の内、1つの映像信号を選択して出力する映像信号切替回路とを備え、前記音声電流・電圧判断部は、前記音声信号切替回路の選択を切り替えて音声信号が入力している音声入力端子を検出し、前記映像信号選択回路の選択を切り替えて、前記音声信号が入力している音声入力端子に対応した前記映像入力端子からの映像信号を選択させるものである。本発明においては、音声信号切替回路の選択を切り替えながら音声信号が入力している音声入力端子を検出し、そして、映像信号選択回路の選択を切り替えて、当該音声信号が入力している音声入力端子に対応した映像入力端子からの映像信号を選択させるようにしたので、映像信号の切り替えを自動的に確実に行うことが可能になっている。
【0007】
本発明に係る画像表示装置は、前記複数の音声入力端子からの音声信号の内、1つの音声信号を選択して出力するとともに、前記複数の映像入力端子からの映像信号の内、前記選択された音声信号に対応する映像信号を選択して出力する切替回路とを備え、前記音声電流・電圧判断部は、前記切替回路に入力する音声信号の選択を切り替えさせて、音声信号が入力している音声入力端子を検出すると、その音声入力端子からの音声信号を出力させるとともに、該音声信号が入力している音声入力端子に対応した前記映像入力端子からの映像信号を出力させる。本発明においては、切替回路に入力する音声信号の選択を切り替えながら音声信号が入力している音声入力端子を検出すると、その音声入力端子からの音声信号を出力させるとともに、音声信号が入力している音声入力端子に対応した前記映像入力端子からの映像信号を出力させるようにしたので、映像信号の切り替えを自動的に確実に行うことが可能になっている。
【0008】
本発明に係る画像表示装置において、前記音声電流・電圧判断部は、音声信号の電圧又は電流に基づいて音声信号が入力しているかどうかを判定する。本発明においては、音声信号の電圧又は電流に基づいて音声信号が入力しているかどうかを判定しており、このため、判定処理が簡単で且つ確実なものとなっている。
【0009】
本発明に係るプロジェクタは、上記の画像表示装置を組み込んで構成したものである。本発明においては、映像信号の切り替えを確実に且つ自動的に行うことを可能にしたプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係るプロジェクタの構成を示したブロック図である。このプロジェクタは、映像入力部11,12、映像信号切替回路13、音声入力部14,15、音声信号切替回路16、音声電流・電圧判断部17、CPU18、音声出力部19、スピーカー20、画像保存メモリ21、画像処理部22、投影画像メモリ23及び投写部24から構成されている。映像入力部11,12には映像信号を入力するための映像入力端子31,32が接続されており、映像入力端子31は例えばテレビ、DVDプレーヤーやビデオデッキの該当する端子と専用のケーブルと接続されて映像信号が入力される。映像入力端子32についても例えばPC(パソコン)の該当する端子と専用のケーブルにより接続されて映像信号が入力される。映像入力端子31又は32に入力した映像信号は映像入力部11又は12を介して映像信号切替回路13に送出され、映像信号切替回路13は何れか一方の映像信号を取り込む。音声入力部14,15には音声信号を入力するための音声入力端子33,34が接続されている。音声入力端子33は例えばRCA端子(赤色と白色の端子)からなり、テレビ、DVDプレーヤー、ビデオデッキ等の該当する端子と市販のRCAケーブル等により接続され、音声信号が入力される。音声入力端子34は例えばイヤホンやヘッドホンで使用されている形式のミニジャック(miniJack)端子からなり、PC(パソコン)の該当する端子と市販のステレオミニピンオーディオケーブルで接続され、音声信号が入力される。
【0011】
音声入力端子33又は34に入力した音声信号は音声入力部14又は15を介して音声信号切替回路16に送出され、音声信号切替回路16は何れか一方の音声信号を取り込む。なお、このプロジェクタを教育現場(例えば学校)で使用する場合には、授業の開始前に、生徒が例えば使用が予定されているDVDプレーヤーとプロジェクタとをケーブルにより接続しておく場合があるが、この種のケーブルの端子は映像信号や音声信号の種類に応じて異なった大きさになっているので、機器についての専門知識がなくとも、誤接続するようなおそれはない。なお、本実施形態1においては、音声信号切替回路16と映像信号切替回路13とはその切り替え動作が関係付けられているが、その詳細は後述する。
【0012】
ここで、例えば音声入力端子33に音声信号が入力されている場合には、音声入力部14を介して音声信号切替回路16に送出され、音声信号切替回路16は音声入力部14からの音声信号を選択して送り出し、CPU18はその音声信号を音声出力部19に送り出し、音声出力部19で信号処理されてスピーカー20から音声が得られる。
【0013】
上記のように音声入力端子33に音声信号が入力されている場合には、映像入力端子31に映像信号が入力されていることになるので、映像入力部11を介して音声信号切替回路16に送出され、映像信号切替回路13は映像入力部11からの映像信号を選択して送り出し、CPU18はその映像信号を画像保存メモリ21に一旦保存する。画像保存メモリ21に保存された映像信号は、画像処理部22において各種の信号処理を行って投影画像メモリ23に格納する。画像処理部22は、フリーズ(FREEZE)、ミュート(MUTE)、ズーム(ZOOM)、エフェクト(EFFECT)、台形補正、リサイズ(RESIZE)、ガンマ(γ)補正、色むら補正等の各種の処理を適宜行う。画像処理部22で処理された映像信号はフレームメモリとして機能する投影画像メモリ23に格納され、その映像信号は投写部24に読み込まれて画像が生成されてスクリーン35に投写される。なお、投写部24は、表示デバイス(液晶パネル)や投写レンズを含む光学系を備えており、投影画像メモリ23に格納されたフレーム画像を読み込んで表示デバイスに描画し、その画像を光学系により拡大してスクリーン35に投写する。
【0014】
これまでの説明では、音声入力端子33に音声信号が入力し、映像入力端子31に映像信号が入力した場合について説明したが、映像ソースのパソコンの場合には、音声入力端子34に音声信号が入力するためにケーブルを接続するともに、映像入力端子32に映像信号が入力するためのケーブルを接続することになる。本実施形態においては、音声電流・電圧判断部17が音声入力端子33,34の何れに音声信号が入力したかどうかを判定し、その判定結果に基づいて映像信号切替回路13を切り替えてその音声信号に対応した映像信号を取り込むようにしている。その詳細を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0015】
図2は音声電流・電圧判断部17等の動作を示すフローチャートである。まず、電源がオンになると、音声電流・電圧判断部17は、音声信号切替回路16が初期状態(例えば端子a側に切り替えられている)において、音声信号が有るかどうかを判定する(S11)。音声信号切替回路16が初期状態(例えば端子a側に切り替えられている)にあるときに、仮に音声入力端子34に音声信号が入力していると、音声信号切替回路16の端子aを介して音声信号が取り込まれないので、音声電流・電圧判断部17は音声信号が無いという判定をする。音声電流・電圧判断部17が音声信号は無いという判定をすると、次に、CPU18を介して音声信号切替回路16を端子bに切り替えさせる(S12)。この状態においては、音声入力端子34、音声入力部15、音声信号切替回路16の端子bを介して音声信号が取り込まれることになるので、音声電流・電圧判断部17は音声信号が有るという判定をする(S11)。
【0016】
なお、音声電流・電圧判断部17は、その判定に際しては、ノイズ等による誤判定を避けるために、例えば音声信号の電圧又は電流を複数回サンプリングし、その複数回サンプリングされたデータに基づいて音声信号の有無を判定する。ここで、例えば音声入力端子34に音声信号が入力されていると判定されると,CPU18は映像入力端子32に映像信号が入力されているものとして、映像信号切替回路13の切替端子を「b」に切り替えさせる(S13)。これにより、プロジェクタには、音声入力端子34からの音声信号及び映像入力端子32からの映像信号が取り込まれ(S14)、その音声信号に対応した音声がスピーカー20から得られ、また、映像信号に対応した画像がスクリーン35に表示されることになる。
【0017】
以上のように本実施形態1においては、音声入力端子33,34の何れに音声信号が入力されているかを判定し、その判定結果に基づいて映像入力端子31,32の何れに映像信号が入力しているかを事実上判定して映像信号切替回路13を自動的に切り替えるようにしており、音声信号による判定はその有無だけで判定されるので、判断処理が簡単に且つ迅速になされ、その判定精度も高く、誤判定が避けられるので、映像信号の切り替えを自動的に確実に行うことが可能になっている。そして、音声入力端子33,34及び映像入力端子31,32に専用のケーブルが接続されると、どの入力端子にケーブルが接続されたのかを自動的に判定することが可能になっているので、例えば教育現場(学校・予備校等)において、1個のプロジェクタに対して各種の映像ソース(テレビ、DVDプレーヤー、パソコン)を適用するような場合に、教師や生徒が必ずしも機器の取り扱いに熟知していないくとも、該当するケーブルを接続さえすれば良いので、使い勝手の良いものとなる。
【0018】
実施形態2.
なお、上記の説明では、音声入力端子及び映像入力端子がそれぞれ2種類のものについて説明したが、3種類以上のものであっても同様に適用できる。また、映像信号切替回路13及び音声信号切替回路16をそれぞれ独立したものの例について説明したが、これを図3に示されるように1個の切替回路16aとして構成してもよく、その場合には音声信号側を切り替えると、映像信号側も同時に切り替えられる(音声信号側を切替端子aに切り替えると、映像信号側も切替端子aに切り替えられる。)。このようにした場合には図2の処理(S13)は不要になる。また、図1においては、映像信号切替回路13及び音声信号切替回路16を機械的な切り替え回路として図示されているが、この切替回路をソフトウェアにより実現しても良いことはいうまでもない。
【0019】
また、上記の説明においては画像表示装置の例としてプロジェクタについて説明したが、映像信号と音声信号の組が複数組あるような機器(例えばテレビ受像機)においても本発明は同様に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1に係るプロジェクタの構成を示したブロック図である。
【図2】切り替え動作を示すフローチャートである。
【図3】切替回路の他の構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0021】
11,12 映像入力部、13 映像信号切替回路、14,15 音声入力部、16 音声信号切替回路、16a 切替回路、17 音声電流・電圧判断部、18 CPU、19 音声出力部、20 スピーカー、21 画像保存メモリ、22 画像処理部、23 投影画像メモリ、24 投写部、31,32 映像入力端子、33,34 音声入力端子、35 スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の音声信号を入力するための複数の音声入力端子と、
前記複数種類の音声信号に対応した複数種類の映像信号を入力するための複数の映像入力端子と、
前記複数の音声入力端子の内、音声信号が入力している音声入力端子を検出する音声電流・電圧判断部とを備え、
前記音声信号が入力している音声入力端子に対応した映像入力端子からの映像信号を取り込むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記複数の音声入力端子からの音声信号の内、1つの音声信号を選択して出力する音声信号切替回路と、
前記複数の映像入力端子からの映像信号の内、1つの映像信号を選択して出力する映像信号切替回路とを備え、
前記音声電流・電圧判断部は、前記音声信号切替回路の選択を切り替えさせて、音声信号が入力している音声入力端子を検出し、前記映像信号選択回路の選択を切り替えさせて、前記音声信号が入力している音声入力端子に対応した前記映像入力端子からの映像信号を選択させることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記複数の音声入力端子からの音声信号の内、1つの音声信号を選択して出力するとともに、前記複数の映像入力端子からの映像信号の内、前記選択された音声信号に対応する映像信号を選択して出力する切替回路とを備え、
前記音声電流・電圧判断部は、前記切替回路に入力する音声信号の選択を切り替えて音声信号が入力している音声入力端子を検出すると、その音声入力端子からの音声信号を出力させるとともに、該音声信号が入力している音声入力端子に対応した前記映像入力端子からの映像信号を出力させることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記音声電流・電圧判断部は、音声信号の電圧又は電流に基づいて音声信号が入力しているかどうかを判定する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の画像表示装置を組み込んで構成したことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−232959(P2007−232959A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53357(P2006−53357)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】