説明

画像表示装置及び画像表示方法

【課題】動画部分の解像度を向上させる画像表示装置及び画像表示方法を提供する。
【解決手段】入力された画像信号を高解像度化処理する高解像度化回路と、前記高解像度化回路から入力された画像信号にフレーム・レート変換処理を行うFrame Rate Converter変換回路とを備え、前記高解像度化回路は、入力された前記画像信号が前記Frame Rate Converter変換回路における動きベクトル検出処理が行われた画像信号を含むときに、この動きベクトル検出処理が行われた前記画像信号に関するベクトル分布データまたはベクトル信頼度情報を用いて高解像度化処理の尖鋭化ゲインを制御することを特徴とする画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び画像表示方法に係わり、特に超解像制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置においては、静止部分のノイズ感低下、動画部分の解像度の向上、といった要請がある。関連して例えば特許文献1には概要として動き検出装置で、動きベクトルを画面の一定範囲ごとにヒストグラム化し、それによってフレームレート変換処理またはIP(インターレース・プログレッシブ)変換処理からの映像の鮮鋭度を制御している旨が記載されている。
【0003】
しかしながら画面を構造化された範囲で捉え拡大縮小を含めて相関をとるといった、上記要請に対する汎用性には乏しいアプローチであった。
また一般には先行技術では、超解像回路の尖鋭化パラメータの可変(ゲイン制御など)は、画像の動き情報とは無関係に制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−234088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、動画部分の解像度を向上させる画像表示装置及び画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像表示装置は、入力された画像信号を高解像度化処理する高解像度化回路と、前記高解像度化回路から入力された画像信号にフレーム・レート変換処理を行うFrame Rate Converter変換回路とを備え、前記高解像度化回路は、入力された前記画像信号が前記Frame Rate Converter変換回路における動きベクトル検出処理が行われた画像信号を含むときに、この動きベクトル検出処理が行われた前記画像信号に関するベクトル分布データまたはベクトル信頼度情報を用いて高解像度化処理の尖鋭化ゲインを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、動画部分の解像度を向上させる画像表示装置及び画像表示方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用したデジタルテレビジョン放送受信装置111の外観と、このデジタルテレビジョン放送受信装置111を中心として構成されるネットワークシステムを説明するための図。
【図2】デジタルテレビジョン放送受信装置111の主要な信号処理系を示す図。
【図3】同実施形態の機能ブロック構成図。
【図4】同実施形態の代表的なブロック構成図。
【図5】同実施形態に用いられるフローチャート例。
【図6】同実施形態の動画部分の解像度を向上させる実施例。
【図7】同他の形態に用いられる代表的なブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
本発明による実施形態1を図1乃至図6を参照して説明する。
以下、デジタルテレビジョン放送受信装置111の機能ブロック図とフローチャートを用いて更に詳細に説明する。
図1は、本発明に係る通信装置であるネットワーク機能を備えたデジタルテレビジョン放送受信装置111の外観と、このデジタルテレビジョン放送受信装置111を中心として構成されるネットワークシステムの一例を概略的に示している。
【0010】
すなわち、デジタルテレビジョン放送受信装置111は、主として、薄型のキャビネット112と、このキャビネット112を起立させて支持する支持台113とから構成されている。そして、キャビネット112には、例えばSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)表示パネル,液晶表示パネル等でなる平面パネル型の映像表示器114、スピーカ115、操作部116、リモートコントローラ117から送信される操作情報を受ける受光部118等が設置されている。
【0011】
また、このデジタルテレビジョン放送受信装置111には、例えばSD(Secure Digital)メモリカード、MMC(Multimedia Card)及びメモリスティック等の第1のメモリカード119が着脱可能となっており、この第1のメモリカード119に対して番組や写真等の情報の記録再生が行なわれるようになっている。
【0012】
さらに、このデジタルテレビジョン放送受信装置111には、例えば契約情報等の記録された第2のメモリカード(ICカード)120が着脱可能となっており、この第2のメモリカード120に対して情報の記録再生が行なわれるようになっている。
【0013】
また、このデジタルテレビジョン放送受信装置111は、第1のLAN(Local Area Network)端子121、第2のLAN端子122、USB(Universal Serial Bus)端子123及びi.LINK端子124を備えている。
【0014】
このうち、第1のLAN端子121は、LAN対応HDD専用ポートとして使用されるもので、接続されたNAS(Network Attached Storage)であるLAN対応のHDD125に対して、イーサネット(登録商標)により情報の記録再生を行なうために使用される。
【0015】
このように、LAN対応HDD専用ポートとしての第1のLAN端子121を設けることにより、他のネットワーク環境やネットワーク使用状況等に影響されることなく、LAN対応のHDD125に対してハイビジョン画質による番組の情報記録を安定して行なうことができる。
【0016】
また、第2のLAN端子122は、イーサネット(登録商標)を用いた一般的なLAN対応ポートとして使用されるもので、例えばハブ126を介して、LAN対応のHDD127、コンテンツサーバー128、HDD内蔵のDVD(Digital Versatile Disk)レコーダ129等の機器を接続し、これらの機器と情報伝送を行なうために使用される。
【0017】
なお、コンテンツサーバー128については、家庭内ネットワークにおいてコンテンツのサーバー機器として動作するための機能を持ち、さらにコンテンツのアクセスに必要なURI(Uniform Resource Identifier)情報を提供するサービスを備えたUPnP(ユニバーサルプラグアンドプレイ)対応機器として構成される。
【0018】
なお、DVDレコーダ129については、第2のLAN端子122を介して通信されるデジタル情報が制御系のみの情報であるため、デジタルテレビジョン放送受信装置111との間でアナログの映像及び音声情報を伝送するために、専用のアナログ伝送路130を設ける必要がある。
【0019】
さらに、この第2のLAN端子122は、ハブ126に接続されたブロードバンドルータ131を介して、例えばインターネット等のネットワーク132に接続し、このネットワーク132を介してコンテンツサーバー133や携帯電話134等と情報伝送を行なうために使用される。
【0020】
なお、コンテンツサーバー133についてはコンテンツのサーバー機器として動作するための機能を持ち、さらにコンテンツのアクセスに必要なURI情報を提供するサービスを備えたUPnP対応機器として構成される。
【0021】
また、上記USB端子123は、一般的なUSB対応ポートとして使用されるもので、例えばハブ135を介して、携帯電話136、デジタルカメラ137、メモリカードに対するカードリーダ/ライタ138、HDD139、キーボード140等のUSB機器を接続し、これらのUSB機器と情報伝送を行なうために使用される。
【0022】
さらに、上記i.LINK端子124は、例えばAV−HDD141、D(Digital)
−VHS(Video Home System)142等をシリアル接続し、これらの機器と情報伝送を行なうために使用される。
図2は、上記したデジタルテレビジョン放送受信装置111の主要な信号処理系を示している。
すなわち、BS/CSデジタル放送受信用のアンテナ243で受信した衛星デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子244を介して衛星デジタル放送用のチューナ245aに供給される。
【0023】
チューナ245aは、制御部261からの制御信号により所望のチャンネルの放送信号を選局し、この選局された放送信号をPSK(Phase Shift Keying)復調器245bに出力する。
【0024】
PSK復調器245bは、制御部261からの制御信号により、チューナ245aで選局された放送信号を復調し、所望の番組を含んだトランスポートストリームを得て、TS復号器245cに出力する。
【0025】
TS復号器245cは、制御部261からの制御信号によりトランスポートストリーム(TS)多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組のデジタルの映像信号及び音声信号をデパケットすることにより得たPES(Packetized Elementary Stream)を信号処理部247内のSTDバッファ247fへ出力する。
【0026】
また、TS復号器245cは、デジタル放送により送られているセクション情報を信号処理部247内のセクション処理部247hへ出力する。
また、地上波放送受信用のアンテナ248で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子249を介して地上デジタル放送用のチューナ250aに供給される。
【0027】
チューナ250aは、制御部261からの制御信号により所望のチャンネルの放送信号を選局し、この選局された放送信号をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器250bに出力する。
【0028】
OFDM復調器250bは、制御部261からの制御信号により、チューナ250aで選局された放送信号を復調し、所望の番組を含んだトランスポートストリームを得て、TS復号器250cに出力する。
【0029】
TS復号器250cは、制御部261からの制御信号によりトランスポートストリーム(TS)多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組のデジタルの映像信号及び音声信号をデパケットすることにより得たPES(Packetized Elementary Stream)を信号処理部247内のSTDバッファ247fへ出力する。
【0030】
また、TS復号器250cは、デジタル放送により送られているセクション情報をセクション処理部247hへ出力する。
ここで、上記信号処理部247は、テレビ視聴時には、TS復号器245cおよびTS復号器250cからそれぞれ供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して、選択的に所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部254及び音声処理部255に出力している。また、信号処理部247は、コンテンツ再生時には、制御部261から入力されたコンテンツの再生信号を選択し、所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部254及び音声処理部255に出力している。
【0031】
制御部261には、信号処理部247から、番組を取得するための各種データや電子番組ガイド(EPG)情報,番組属性情報(番組ジャンル等),字幕情報等(サービス情報、SIやPSI)が入力されている。
【0032】
制御部261は、これら入力された情報からEPG,字幕を表示するため画像生成処理を行い、この生成した画像情報をグラフィック処理部254へ出力する。
セクション処理部247hは、TS復号器245c(250c)から入力されたセクション情報の中から、番組を取得するための各種データや電子番組ガイド(EPG)情報,番組属性情報(番組ジャンル等),字幕情報等(サービス情報、SIやPSI)を制御部261へ出力する。
【0033】
グラフィック処理部254は、(1)信号処理部247内のAVデコーダ247gから供給されるデジタルの映像信号と、(2)OSD(On Screen Display)信号生成部257で生成されるOSD信号と、(3)データ放送による画像データと、(4)制御部261により生成されたEPG,字幕信号,GUI画面とを合成して映像処理部258へ出力する機能を有する。
【0034】
また、字幕放送による字幕を表示するとき、グラフィック処理部254は、制御部261からの制御による字幕情報に基づき、映像信号上に字幕情報を重畳する処理を行う。
【0035】
グラフィック処理部254から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部258に供給される。この映像処理部258は、入力されたデジタルの映像信号を、前記映像表示器114で表示可能なフォーマットのアナログ映像信号に変換した後、映像表示器114に出力して映像表示させるとともに、出力端子259を介して外部に導出させる。
【0036】
また、上記音声処理部255は、入力されたデジタルの音声信号を、前記スピーカ115で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換した後、スピーカ115に出力して音声再生させるとともに、出力端子260を介して外部に導出させる。
【0037】
ここで、このデジタルテレビジョン放送受信装置111は、上記した各種の受信動作を含むその全ての動作を制御部261によって統括的に制御されている。この制御部261は、CPU(Central Processing Unit)等を内蔵しており、前記操作部116からの操作情報を受け、または、リモートコントローラ117から送出された操作情報を、前記受光部118を介して受信し、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0038】
この場合、制御部261は、主として、そのCPUが実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)261aと、該CPUに作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)261bと、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリ261cとを利用している。
【0039】
また、この制御部261は、カードI/F(Interface)265を介して、前記第1のメモリカード119が装着可能なカードホルダ266に接続されている。これによって、制御部261は、カードホルダ266に装着された第1のメモリカード119と、カードI/F265を介して情報伝送することができる。
【0040】
さらに、上記制御部261は、カードI/F267を介して、前記第2のメモリカード120が装着可能なカードホルダ268に接続されている。これにより、制御部261は、カードホルダ268に装着された第2のメモリカード120と、カードI/F267を介して情報伝送することができる。
【0041】
また、上記制御部261は、通信I/F269を介して第1のLAN端子121に接続されている。これにより、制御部261は、第1のLAN端子121に接続されたLAN対応のHDD125と、通信I/F269を介して情報伝送することができる。この場合、制御部261は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能を有し、第1のLAN端子121に接続されたLAN対応のHDD125にIP(Internet Protocol)アドレスを割り当てて制御している。
【0042】
さらに、上記制御部261は、通信I/F270を介して第2のLAN端子122に接続されている。これにより、制御部261は、第2のLAN端子122に接続された各機器(図1参照)と、通信I/F270を介して情報伝送することができる。
【0043】
また、上記制御部261は、USB I/F271を介して前記USB端子123に接続されている。これにより、制御部261は、USB端子123に接続された各機器(図1参照)と、USB I/F271を介して情報伝送することができる。
【0044】
さらに、上記制御部261は、i.LINK I/F272を介してi.LINK端子124に接続されている。これにより、制御部261は、i.LINK端子124に接続された各機器(図1参照)と、i.LINK I/F272を介して情報伝送することができる。
【0045】
ところで、この実施形態では、LAN対応のHDD125に初期登録時のHDD125、HDD127、コンテンツサーバー128、DVDレコーダ129それぞれに割り当てられたストレージID(IPアドレス、機器名を含む)を記述した登録ファイルを記憶保持している。
【0046】
また、不揮発性メモリ261cに、LAN対応のHDD125、HDD127、コンテンツサーバー128、DVDレコーダ129それぞれのストレージIDを記憶している。
【0047】
また、制御部261は、この発明に係わる機能として、UPnPを利用した(1)サーバー機器発見機能261dと、(2)UPnPを利用したコンテンツ情報取得機能261eと、(3)コンテンツアクセス制御機能261fとを備えている。
【0048】
(1)制御部261は、サーバー機器発見機能261dにより、UPnPのディスカバリ機能を用いてネットワーク上のUPnP対応機器を発見する。例えばサーバー機器発見機能261dは、UPnPのディスカバリ機能を用いてコンテンツサーバー128を発見する。
【0049】
(2)制御部261は、コンテンツ情報取得機能261eにより、UPnPのコントロール機能を用いてUPnP対応機器をコントロールし、UPnP対応機器内のコンテンツをアクセスするために必要なURI情報を取得する。例えばコンテンツ情報取得機能261eは、コンテンツサーバー128をコントロールし、コンテンツサーバー128内のHDD等に蓄積されているコンテンツをアクセスするために必要なURI情報をコンテンツサーバー128から取得する。
【0050】
(3)制御部261は、コンテンツアクセス制御機能261fにより、サーバー機器発見機能261dにより取得したサーバー機器のIPアドレス情報と、コンテンツ情報取得機能261eにより取得したURI情報から得たIPアドレス情報と、デジタルテレビジョン放送受信装置111のLAN端子122に割り当てられたIPアドレスとネットマスクに基づいてコンテンツへのアクセス可否判定を行う。そして制御部261は、アクセス可と判断した場合にはコンテンツアクセスを許可するが、否と判断した場合には許可できない旨を映像表示器114にOSDにより表示させる。
【0051】
さらに、上記制御部261は、ネットワーク上の記録再生処理を行う記録再生機器を登録する登録部261gと、任意の記録再生位置にファイルを記録させる記録速度を測定する測定制御部261hとを有しており、後に詳細に説明する測定処理を行うものである。
【0052】
以下、一般的なUSB対応ポートであるUSB端子123を用いてUSB機器であるHDD139を接続し、HDD139(以下、USB HDD139と記す)へ記録/再生を行う場合について説明する。
【0053】
しかし、本発明はUSBに限定されるものではなく、IEEE1394やLAN−HDD等、他のインターフェースに適用しても良い。
なお、図1ではUSB HDD139は、ハブ135を介して複数のUSB機器で使用されているが、好ましくは専用ポートとすることで、他機器の影響を受けることを防ぐことができる。
【0054】
以下、デジタルテレビジョン放送受信装置111の機能ブロック図とフローチャートを用いて更に詳細に説明する。図3は、デジタルテレビジョン放送受信装置111を機能ブロックとして表現した映像信号処理装置の機能ブロック図である。
【0055】
図3において、映像信号処理装置は、地上波もしくは衛星波により送信されたRF信号から特定のチャンネルに選局するためのデバイスTuner1(図2のチューナ245a、250aに相当)を具備し、このTuner1の出力を映像処理モジュール4(信号処理部247に相当)へ接続し、映像処理モジュール4は、Tuner1から取り出されたストリーム信号から映像ストリームデータを分離取得し映像信号を生成し、この生成した映像信号を、例えばSD信号(標準解像度信号)をHD信号(高解像度信号)へ変換する機能や、映像信号の黒色を伸張する機能を有している。映像処理モジュール4は、例えばTV信号処理LSI内部の一部の機能として供給されている。なおキャビネット112の前面下部などに上記変換する機能が働いているときに点灯するLED等の状態表示部を更に備えてもよい。
【0056】
映像処理モジュール4には、Tuner1から入力されたストリームデータを記録することができるHDD(Hard Disc Driver)3が接続されており、放送された番組が記録できる。このHDD3において本実施形態の目的とするところは、電源の供給を遮断した状態で記憶した内容を保持し続けられる不揮発性の記憶装置(所謂コンピュータの5大装置の一つである補助記憶装置(二次記憶装置))であることを特徴とし、例えばSDD(Solid Disc Driver)や、SD Card、FLASH Memoryなども用いられうる。HDD3としては必ずしも装置に内蔵されている必要はなく図1のHDD125のように外付けタイプのものでもよい。
【0057】
映像処理モジュール4の出力は、Video Encorder&Backend Processor5(映像処理部258に相当)に接続され、映像処理モジュール4より処理された放送等のストリーム信号または図示せぬDVD等に記録された映像信号が、映像処理モジュール4より出力され、Video Encorder&Backend Processor5により、実際のNTSC信号やPAL信号に変換され、Video Encorder&Backend Processor5の内部のBackend processorによりPanel6(映像表示器114に相当)を制御し、Panel6に映像を映し出すことができる。
【0058】
また、制御モジュール2(制御部261に相当)は、ユーザからの指示または自動でデジタルテレビジョン放送受信装置111の電源入り切り制御や、映像処理モジュール4、Video Encoder&Backend Processor5の制御を司っている。また制御部261内の不揮発性メモリ261cは後述のTV視聴の時間の頻度分布の蓄積を担っている。
【0059】
ここで上記映像処理モジュール4による変換機能の一例として高画質化を行う所謂超解像技術について説明する。超解像アルゴリズムについては種々存在しているが、本発明の超解像アルゴリズムは以下に説明する通りである。なお、本発明の超解像アルゴリズムを用いた高画質化処理としては、基本であるリアルタイムモードと熟成モードとがある。
【0060】
リアルタイムモードのステップは以下の通りである。
<ステップ1>
地上デジタル放送(1440×1080画素)やDVDソフト(720×480画素)等の60コマ/秒で構成される映像1コマごとに精細度を解析し、草の葉のように細かい模様で構成されているテクスチャー部を識別する。
【0061】
<ステップ2>
ステップ1で識別したテクスチャー部に対して、次の「超解像処理」を実施する。
これまでのフルHDパネルへの対応と同様に、例えば1440×1080画素の解像度をもつ地上デジタル放送などの入力映像(1)に画素補間処理を行なった後、HD水準の1920×1080画素に引き伸ばすことにより高解像度映像(2)を作成する。
【0062】
一旦、この高解像度映像(2)を所定のアルゴリズムで元の解像度の映像(3)に変換する。この映像を入力映像(1)と比較し、その違い(4)をもとにして高解像度映像(2)に補正処理を加える(5)ことにより自然で鮮鋭感あふれる映像(6)を実現する。なおこれらの処理はLSI化されている場合があり、上記補正処理等に対して超解像の尖鋭化ゲインとして外部からパラメータ制御する構成をとることができる。
【0063】
このリアルタイムモードに対し熟成モードでは例えば、更に映像(6)から再び映像(3)を作成し(4)、(5)と処理を続け、この映像(6)から(3)を作成し(4)、(5)と続く処理を既定回数繰り返す。また映像1コマ内のみでなく複数コマに渡って解析をしてもよい。熟成モードでは二次記憶内にある映像を変換し、この変換した結果の映像を二次記憶内に戻す。
【0064】
図4は、本発明の機能構成例である。入力画像が、超解像回路部URを経由しFRC(Frame Rate Converter、倍速)回路RCに入力される構成となる。FRCブロックでは補間画像を生成するため、動きベクトルの検出を行っているが、ここの動きベクトル検出部より得られる、動きベクトル分布、ベクトル信頼度などの情報をもとに超解像の尖鋭化ゲインを制御する構成となっている。
【0065】
動きベクトルの検出は例えば、補間フレームの挿入位置を中心としそれを挟む前後2枚のフレーム上で規定の形状のブロックを点対称に平行移動させる。そして、対応する位置の画素どうしの画素値の差分値をブロック内の画素全てについて計算し、これを累積した値(SAD)を求め、このSAD値がある範囲内となる方向を該ブロックの動きベクトル候補とする。
【0066】
このときベクトル信頼度は例えば、このSAD値の極小点が十分に小さいといった判定がされなかった等の理由で低下することがある。
図5に本発明の実施例を示すフローチャートを示す。
動きベクトル検出部で実施された動きベクトル検出(ステップS701)で得られた、動きベクトル分布より画像内で動きのある範囲を検出する(ステップS702)。動きの無い(静止部)部分に関しては尖鋭化ゲインを抑え(ステップS706)、ノイズ感を減少させる。動きの有る範囲では、その動き量に応じて尖鋭化ゲインを調節する(ステップS703)。動き量が大きい場合はより高速に動いていることになるため尖鋭化ゲインを上げてもノイズ感は目立ちにくくなる。
【0067】
更に、動きのある部分においてベクトルの信頼度情報を用いる(ステップS704)。この信頼度が低い場合、FRCブロックなどによってベクトル誤検出による破綻の可能性が高いということになる。
【0068】
この場合、超解像による尖鋭化されているとより、破綻が目に付きやすいことになるため、ベクトルの信頼性が低い場合には、超解像の尖鋭化ゲインを抑えて(ステップS706)解像感を低下させることで、FRCブロックなどのベクトル誤検出による補間画像破綻を目立ちにくくする制御を行う。
【0069】
動き部分であり且つ動き量が大きく、ベクトル信頼度も高い場合には、解像度を増加させてもノイズ感が目立ちにくいため、尖鋭化ゲインを大きくする制御を行う(ステップS705)。これにより従来技術に対しより動画解像度の高い画質を得ることが可能となる。
【0070】
他方で動き部分であるが動き量が小さく、ベクトル信頼度も高い場合には、解像度を増加させてもノイズ感が目立ちにくいため、尖鋭化ゲインを中程度とする制御を行う(ステップS707)。ここでベクトルの信頼性が低い場合には、超解像の尖鋭化ゲインを抑えて(ステップS706)解像感を低下させることで、FRCブロックなどのベクトル誤検出による補間画像破綻を目立ちにくくする制御を行う。
【0071】
図6は、実際に図5に示したフローに基づいて尖鋭化ゲイン制御を行った場合の画像例である。
画面下部にABC・・・で示したテロップが流れており、背景は静止に近い状態を示したものである。
テロップ部分をベクトル検出部において動き部分Dとして検出し、その速度に応じた尖鋭化制御を行うことでより解像感の増したテロップを見ることが出来る。逆に背景の静止に近い部分Sは、尖鋭化によるノイズ感を緩和するため尖鋭化ゲインを抑える制御を行う。
【0072】
(実施形態2)
本発明による実施形態2を図1乃至図3及び図5乃至図7を参照して説明する。実施形態1と共通する部分は説明を省略する。
図7は、入力画像がIP変換部IPに入力され、後段に超解像部URがある場合である。IP変換部IPにおいてもFRC部RC同様ベクトル検出を行っており、この検出部より得られる動きベクトル分布およびベクトル信頼度などの情報により超解像の尖鋭化ゲインを制御する構成となっている。
【0073】
以上の実施形態のように、IP変換やFRC回路部の動きベクトル検出部情報を利用して超解像の尖鋭化ゲインを制御することにより動きに適応した超解像最適化が可能となる。動画部分についてはノイズ感が目立ちにくい特性を利用して尖鋭化ゲインを上げることでより動画解像度が向上することになり、見た目の動画応答性の向上につながる効果を持つ。静止に近い部分においては、ノイズ感が目立ちやすいため尖鋭化ゲインを低下させS/Nの良好な画質となる。また、IP/FRC部分のベクトル信頼性を利用することで信頼性の低い場合は、ベクトル誤検出による破綻の可能性が高いため、尖鋭化ゲインを抑えて破綻を目立ちにくくする効果を持つ。
【0074】
簡単にまとめると次のようになる。
1.IP変換およびFRC回路部の動きベクトル検出部より得られる、ベクトル分布データを用いて、超解像度回路の尖鋭化ゲインを制御する。
2.IP変換およびFRC回路部の動きベクトル検出部より得られる、ベクトル信頼度情報を用いて、超解像度回路の尖鋭化ゲインを制御する。
超解像回路では尖鋭化ゲインを上げる程解像感は増すが、ノイズ感が増加するデメリットを持つ。ノイズ感は静止画像であるほど目立つ特性をもつという事情にあった。
【0075】
本実施形態では、超解像回路の周辺に存在するIP変換回路や、FRC回路の動きベクトル情報を用いて、動き情報に適した尖鋭化ゲインの制御をすることによって、静止部分のノイズ感低下、動画部分の解像度の向上、FRC回路やIP変換部の破綻緩和、の効果を生むことが出来る。
【0076】
効果として、動画部静止部の尖鋭化ゲインの適正化による静止部分のノイズ感減少、動画部分の解像感の向上、IP変換、FRC回路部の破綻緩和の効果が得られる。
【0077】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【符号の説明】
【0078】
111…デジタルテレビジョン放送受信装置、112…キャビネット、113…支持台、114…映像表示器、115…スピーカ、116…操作部、117…リモートコントローラ、118…受光部、119…第1のメモリカード、120…第2のメモリカード、121…第1のLAN端子、122…第2のLAN端子、123…USB端子、124…i.LINK端子、125,127,139…HDD、126,135…ハブ、128,133…コンテンツサーバー、129…DVDレコーダ、130…アナログ伝送路、131…ブロードバンドルータ、132…ネットワーク、134,136…携帯電話、137…デジタルカメラ、138…カードリーダ/ライタ、140…キーボード、141…AV−HDD、142…D−VHS。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像信号を高解像度化処理する高解像度化回路と、
前記高解像度化回路から入力された画像信号にフレーム・レート変換処理を行うFrame Rate Converter変換回路とを備え、
前記高解像度化回路は、入力された前記画像信号が前記Frame Rate Converter変換回路における動きベクトル検出処理が行われた画像信号を含むときに、この動きベクトル検出処理が行われた前記画像信号に関するベクトル分布データまたはベクトル信頼度情報を用いて高解像度化処理の尖鋭化ゲインを制御することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
インターレース・プログレッシブ変換処理を行うインターレース・プログレッシブ変換回路と、
前記インターレース・プログレッシブ変換回路から入力された画像信号を高解像度化処理する高解像度化回路とを備え、
前記高解像度化回路は、前記インターレース・プログレッシブ変換回路から入力された前記画像信号が動きベクトル検出処理が行われた画像信号を含むときに、この動きベクトル検出処理が行われた前記画像信号に関するベクトル分布データまたはベクトル信頼度情報を用いて高解像度化処理の尖鋭化ゲインを制御することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
入力された画像信号を高解像度化処理し、
前記高解像度化処理された画像信号にフレーム・レート変換処理を行い、
前記高解像度化処理は、入力された前記画像信号が前記フレーム・レート変換処理における動きベクトル検出処理が行われた画像信号を含むときに、この動きベクトル検出処理が行われた前記画像信号に関するベクトル分布データまたはベクトル信頼度情報を用いて高解像度化処理の尖鋭化ゲインを制御することを特徴とする画像表示方法。
【請求項4】
インターレース・プログレッシブ変換処理を行い、
前記インターレース・プログレッシブ変換処理された画像信号を高解像度化処理し、
前記高解像度化処理は、前記インターレース・プログレッシブ変換処理に関わって前記画像信号が動きベクトル検出処理が行われた画像信号を含むときに、この動きベクトル検出処理が行われた前記画像信号に関するベクトル分布データまたはベクトル信頼度情報を用いて高解像度化処理の尖鋭化ゲインを制御することを特徴とする画像表示方法。
【請求項5】
前記高解像度化処理された画像信号を表示する表示部を更に備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−35450(P2011−35450A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176733(P2009−176733)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】