画像表示装置及び裸眼立体視用パネル
【課題】ユーザが手動で切り替えることなく二次元映像又は三次元映像を選択的に表示部に表示する。
【解決手段】画像表示装置100は、表示部2と、判定部6と、表示制御部9とを備えている。表示部2は二次元映像又は三次元映像を選択して表示する。判定部6は表示部2に配置される裸眼立体視用パネル30の着脱を判定する。表示制御部9は判定部6の判定に基づいて、表示部2に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる。
【解決手段】画像表示装置100は、表示部2と、判定部6と、表示制御部9とを備えている。表示部2は二次元映像又は三次元映像を選択して表示する。判定部6は表示部2に配置される裸眼立体視用パネル30の着脱を判定する。表示制御部9は判定部6の判定に基づいて、表示部2に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次元映像又は三次元映像を選択して表示する画像表示装置、及び、この画像表示装置に装着される裸眼立体視用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像を表示するディスプレイに裸眼立体視用パネルであるレンチキュラーレンズを装着して、三次元映像を裸眼で視認可能な技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、裸眼立体視用パネルである立体実現装置をディスプレイの表面に装着する技術が記載されている。この立体実現装置をディスプレイに装着するために、取付器具が用いられている。この取付器具は、取り外し自在のバネハンドルと、ディスプレイと立体実現装置を定着するバネクリップ取り付け部とを有する。そして、取付器具は、ディスプレイの背面部と立体実現装置におけるディスプレイとの当接している面と反対側の面をバネクリップ取り付け部により挟んでいる。
【0004】
また、特許文献2には、表示部としての液晶パネルと、裸眼立体視用パネルとしてレンチキュラーレンズシートとを備える電子光学装置が記載されている。このレンチキュラーレンズシートは、液晶パネルの前面側に配設されている。また、レンチキュラーレンズシートには、液晶パネルとレンチキュラーレンズシートとの位置合わせを行うアライメントラインが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−507091号公報
【特許文献2】特開2010−231009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された立体実現装置は、ユーザがディスプレイに表示されたテスト画像を見ながら装着位置を毎回調整する必要があった。また、ユーザは裸眼立体視用パネルを着脱するたびにディスプレイに表示させる二次元映像又は三次元映像を手動で切り替えていた。
【0007】
また、特許文献2に記載された電子光学装置でも、裸眼立体視用パネルを着脱するたびにユーザがディスプレイに表示させる二次元映像又は三次元映像を手動で切り替えていた。
【0008】
本開示は、上記の問題点を考慮し、二次元映像又は三次元映像を手動で切り替える必要のない画像表示装置及びその画像表示装置に装着される裸眼立体視用パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の画像表示装置は、表示部と、判定部と、表示制御部とを備えている。表示部は二次元映像又は三次元映像を選択して表示する。判定部は表示部に配置される裸眼立体視用パネルの着脱を判定する。表示制御部は判定部の判定に基づいて、表示部に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる。
【0010】
なお、本明細書でいう「裸眼立体視用パネル」とは、ユーザが表示部に表示される三次元映像を裸眼により視認可能とするパネルのことをいう。
【0011】
また、本開示の裸眼立体視用パネルは、パネル本体と、識別部とを備えている。パネル本体は二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な画像表示装置に着脱可能に取り付けられる。また、識別部は、パネル本体に設けられ、画像表示装置の判定部によりパネル本体の着脱を認識させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の画像表示装置によれば、判定部が裸眼立体視用パネルの着脱を判定するため、手動で切り替えることなく二次元映像又は三次元映像を自動的に選択して表示部に表示することができる。
【0013】
また、本開示の裸眼立体視用パネルによれば、識別部を有するため、画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルが装着されたか否かを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の一実施形態に係る画像表示装置を示す斜視図である。図1(a)は画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルを装着する前の状態を示す斜視図、図1(b)は画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルを装着した状態を示す斜視図である。
【図2】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した際を示す上断面図である。
【図4】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した際の要部を示す上断面図である。
【図5】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着する前の状態における撮像部が撮像した画像の一例を示す図である。
【図6】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した状態における撮像部が撮像した画像の一例を示す図である。
【図7】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に二次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャートである。
【図8】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に三次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャートである。
【図9】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルにおける識別部を示す図である。
【図10】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを初めて装着した状態における撮像部が撮像した画像を示す図である。
【図11】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを2回目以降に装着した場合における撮像部が撮像した画像の一例を示す図である。
【図12】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に表示する映像の表示位置の調整の処理例を示すフローチャートである。
【図13】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルにおける識別部を示す図である。
【図14】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に装着する裸眼立体視用パネルが表示部に適合するか否かの判定を行う処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示の画像表示装置及び裸眼立体視用パネルの実施形態例について、図1〜図14を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本開示は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像表示装置の構成例
2.裸眼立体視用パネルの構成例
3.裸眼立体視用パネルの装着方法
4.画像表示装置の動作例
5.裸眼立体視用パネルにおける識別部の他の構成例
【0016】
<1.画像表示装置の構成例>
まず、本開示の画像表示装置の一実施形態例(以下、「本例」という。)について、図1及び図2を参照して説明する。
図1(a)は本例の画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着する前の状態を示す斜視図、図1(b)本例の画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した状態を示す斜視図である。また、図2は本例の画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1(a)に示すように、本例の画像表示装置100には、本体部1と、表示部2と、本体部1と表示部2を回動可能に連結するヒンジ機構3とを備えている。
【0018】
[本体部]
本体部1は、扁平な略直方体状に形成されている。この本体部1には、略長方形状の主面部1aと、2つの側面部1bと、正面部1cと、背面部1dと、載置面部1eとを有している。主面部1aにおける長手方向の両端には、2つの側面部1bが配置されている。この2つの側面部1bは、主面部1aに対して略垂直に形成されている。
【0019】
主面部1aにおける短手方向の一端には、正面部1cが連続して形成されている。また、主面部1aにおける短手方向の他端には、背面部1dが設けられている。この背面部1dは、正面部1cと対向して配置されている。また、載置面部1eは、主面部1aに対向して形成されている。
【0020】
主面部1aには、入力部4が設けられている。この入力部4は、多数のキーからなるキー式入力部4aと、ポインティングデバイスの一種であるタッチ式入力部4bから構成される。入力部4から制御信号が入力され、所定の情報処理等が行われる。タッチ式入力部4bの入力方式としては、例えば静電容量方式や抵抗膜方式等が挙げられる。
【0021】
側面部1bには、外付けハードディスクドライブやUSBフラッシュメモリ等の外部装置と接続するための接続端子5が設けられている。
【0022】
また、背面部1dの左右両端部には、ヒンジ機構3が設けられている。このヒンジ機構3は、本体部1に対して表示部2を回動可能に連結する。そして、ヒンジ機構3は、表示部2が本体部1に対して、任意の角度で傾斜した姿勢を保持できるように構成されている。
【0023】
[表示部]
次に、表示部2について説明する。
図1(a)に示すように、表示部2は、扁平な略直方体状に形成されている。この表示部2は、表示パネル21と、前面板22と、背面板23とを有している。さらに、表示部2には、撮像部24が内蔵されている。
【0024】
表示パネル21としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、表面電界ディスプレイ等が挙げられる。この表示パネル21と背面板23との間には、図示しないが、表示パネル21の背面側に光を当てるバックライトや、表示パネル21の画面を制御する制御装置が搭載された配線基板等が収納されている。これにより、表示パネル21に、各種の情報や二次元映像又は三次元映像を表示することができる。
【0025】
前面板22は、略長方形状の平板として形成されている。前面板22には、第1開口部22aと第2開口部22bが設けられている。表示パネル21は、前面板22に図示しないフレーム部材を介して固定される。前面板22に固定された表示パネル21は、第1開口部22aから露出する。そのため、第1開口部22aの大きさは、表示パネル21の大きさに合わせて設定される。
【0026】
第2開口部22bは、前面板22の一方の長辺部における中央に設けられている。第2開口部22bからは、背面板23に固定された撮像部24が露出する。そのため、第2開口部22bの大きさは、撮像部24の大きさに合わせて設定されている。
【0027】
背面板23は、前面板22と同様に、略長方形状をなす平板に形成されている。この背面板23は、表示パネル21の表示面の反対側に配置されて、表示パネル21の背面及び前面板22を全て覆っている(図3参照)。
【0028】
撮像部24は、背面板23に固定されて、表示部2に内蔵されている。この撮像部24は、第2開口部22bと重なる位置に設けられており、第2開口部22bから露出する。撮像部24は、顔認識に用いる画像や判定部6が行う判定に用いる画像を撮像する。また、ユーザの位置を把握するために、撮像部24が撮像した画像を用いている。
【0029】
図2に示すように、画像表示装置100は、判定部6と、記憶部7と、算出部8と、表示制御部9と、を備えている。判定部6、記憶部7及び算出部8には、撮像部24(図1(a)参照)が撮像した画像データが入力される。判定部6は、この画像データに基づいて裸眼立体視用パネル30の着脱の判定を行う。そして、この判定部6によって判定した判定データは、表示制御部9に入力される。また、記憶部7は、裸眼立体視用パネル30パネルを表示部2に初めて装着した際に、撮像部24が撮像した画像から表示部2に対する裸眼立体視用パネル30の位置情報を取得し記憶する。
【0030】
裸眼立体視用パネル30を表示部2に2回目以降に装着した場合、算出部8は撮像部24が撮像した画像から取得した表示部2に対する裸眼立体視用パネル30の位置情報と、記憶部7で記憶した裸眼立体視用パネル30の位置情報とを比較して校正値を算出する。そして、算出部8が算出した校正値は、表示制御部9に入力される。表示制御部9は、判定部6の判定に基づいて、二次元映像又は三次元映像を選択して表示部2に表示させる。また、表示制御部9は、算出部8が算出した校正値に基づいて映像の表示位置を調整した三次元映像を表示部2に表示させる。さらに、表示制御部9は、撮像部24が撮像した画像を用いてユーザの位置を把握し、表示部2に表示させる三次元映像の微調整を行う。なお、画像表示装置100の詳細な動作については、後述する。
【0031】
なお、本開示では、画像表示装置の一例としてノート型パーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、画像表示装置の他の例としては、デスクトップ型パーソナルコンピュータやテレビ受像機、携帯端末等が挙げられる。
【0032】
<2.裸眼立体視用パネルの構成例>
次に、裸眼立体視用パネル30の一実施形態例について、図1(a)、図1(b)を参照して説明する。
【0033】
図1(a)に示すように、裸眼立体視用パネル30は、略長方形の平板状に形成されたパネル本体35と、2つの取付部33から構成されている。このパネル本体35は、透過部31と、識別部32とを有している。
【0034】
透過部31は、例えば、レンチキュラーレンズにより構成される。表示部2に表示された映像が透過部31を通過すると、ユーザが裸眼により三次元映像を見ることができる。
【0035】
識別部32は、パネル本体35における長手方向の中央部、かつ、パネル本体35における短手方向の一端に形成されている。図1(b)に示すように、この識別部32は、裸眼立体視用パネル30を表示部2に装着した際に、表示部2における撮像部24の位置と重なる位置に設けられている。また、識別部32の大きさは、撮像部24の撮像範囲に合わせて設定される。
【0036】
識別部32は、全体に識別用の色が着けられて形成されている。識別部32の全体に着けられている色は、画像表示装置100が顔認識を行う際に撮像部24が撮像する画像に影響を与えない色により構成されている。画像表示装置100の顔認識に影響を与えない色としては、例えば、撮像部24が撮像した画像の輝度にあまり影響を与えない色等が挙げられる。
【0037】
また、着色されたシールを貼付することにより、識別部32を形成してもよい。本開示では、識別部32を顔認識に用いる画像に影響を与えない色により形成されているが、顔認識に用いる画像に影響を与えない形状により識別部32を形成してもよい。さらに、顔認識に用いる画像に影響を与える色又は形状により識別部32を構成してもよい。
【0038】
なお、顔認識に影響のある色又は形状により識別部32を構成する場合には、顔認識に影響のない位置に識別部32を配置することが好ましい。顔認識に影響のない位置としては、例えば、撮像部24が撮像した画像の角部等が挙げられる。
【0039】
2つの取付部33は、パネル本体35における長手方向の両端にそれぞれ固定されている。取付部33の固定方法としては、レーザー溶着や接着剤による固定方法の他に、パネル本体35の長手方向の両端に開口部を設け、この開口部に取付部33を差し込むことで取付部33を固定してもよい。この取付部33は、略V字型に形成されており、図1(b)に示すように、表示部2に裸眼立体視用パネル30を装着する際に、前面板22と背面板23を挟持する(図3参照)。
【0040】
そして、2つの取付部33は弾性材料により形成されおり、第1の取付部33aと、第2の取付部33bから構成される。第1の取付部33aは、パネル本体35の長手方向の一端部に配置され、第2の取付部33bは、パネル本体35の長手方向の他端部に配置される。第1の取付部33aの弾性率は第2の取付部33bの弾性率と異なっており、第1の取付部33aの弾性率が第2の取付部33bの弾性率よりも大きい。
【0041】
なお、取付部33を1つだけ設ける構成とすると位置合わせの精度が低くなるため、パネル本体35には取付部33を2つ以上設けることが望ましい。本開示では、取付部33を2つ設けているが、取付部33を3つ以上設けてもよい。これにより、裸眼立体視用パネル30の位置合わせの精度が向上する。
【0042】
<3.裸眼立体視用パネルの装着方法>
次に、裸眼立体視用パネル30の装着方法について、図1(b)、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、図1(b)における画像表示装置の上断面図である。また、図4は図3に示す画像表示装置における要部を示す断面図である。
【0043】
まず、ユーザは裸眼立体視用パネル30の取付部33を把持する。次いで、図3及び図4に示すように把持した取付部33のうち弾性率が大きい第1の取付部33aを表示部2の背面板23に掛けて装着する。その後、第1の取付部33aより弾性率が小さい第2の取付部33bを表示部2の背面板23に掛けて装着する。このとき、裸眼立体視用パネル30の透過部31が表示部2の表示パネル21及び前面板22に当接する。その結果、2つの取付部33の保持力により、裸眼立体視用パネル30の透過部31と表示パネル21が密着する。
【0044】
次に、裸眼立体視用パネル30の上下方向の位置合わせを行う。裸眼立体視用パネル30を表示部2の短手方向の本体部1側に移動させて、パネル本体35の下面を第1開口部22aの下面に当接させる。これにより、図1(b)に示すように、裸眼立体視用パネル30の識別部32が撮像部24の位置と重なる。そして、裸眼立体視用パネル30の装着が完了する。なお、パネル本体35の下面を主面部1aやヒンジ機構3に当接させるようにしてもよい。
【0045】
裸眼立体視用パネルのパネル本体に切欠を設けて、表示部に対して位置合わせを行うことも考えられる。パネル本体に切欠を設けるには、画像表示装置の表示部を設計する際にパネル本体の切欠について予め考慮する必要がある。そのため、画像表示装置の表示部にかかるコストが大きくなってしまう。
パネル本体の切欠について考慮されていない画像表示装置、例えば、すでに発売されている画像表示装置等における表示部に裸眼立体視用パネルを装着することは困難である。 また、パネル本体に切欠を設けると、パネル本体の切欠と表示部の間に隙間が生じる。そして、この隙間があることで裸眼立体視用パネルの装着位置が安定せず、裸眼立体視用パネルの装着位置の誤差が大きくなる。そのため、位置合わせの精度が低下し、後述するキャリブレーションをすることが困難となる。したがって、表示部2に表示部する映像の表示位置の調整が困難となる。これらの理由により、裸眼立体視用パネルのパネル本体に切欠を設けることは好ましくない。
【0046】
これに対し、本開示の裸眼立体視用パネル30における2つの取付部33a,33bは弾性率が異なっている。そして、第1の取付部33aは第2の取付部33bよりも弾性率が大きい。裸眼立体視用パネル30を装着すると、裸眼立体視用パネル30は、パネル本体35の長手方向において、弾性率が大きい第1の取付部33a側に寄る。また、裸眼立体視用パネル30は、パネル本体35の短手方向の他端が本体部1の主面部1a及びヒンジ機構3に当接する。そのため、パネル本体35の長手方向における第1の取付部33a側と、パネル本体35における短手方向の他端が位置合わせの基準となる。この基準を設けたことで、裸眼立体視用パネル30を表示部2に対して略同じ位置に装着することができるとともに、装着位置の誤差を少なくすることができる。その結果、裸眼立体視用パネル30の位置合わせの精度が向上する。そして、予め画像表示装置の表示部の設計の際にパネル本体の切欠について考慮する必要がなくなり、画像表示装置の表示部の設計に関するコストを小さくすることができる。また、すでに発売されている画像表示装置に対しても裸眼立体視用パネル30を装着することができ、汎用性を高めることができる。
【0047】
<4.画像表示装置の動作例>
次に、画像表示装置100の動作の一例について説明する。
画像表示装置100は、裸眼立体視用パネル30の着脱の判定と、二次元映像又は三次元映像を選択して自動的に切り替える自動切替と、裸眼立体視用パネルの装着位置により三次元映像の表示位置を自動的に調整する自動調整とを行う。
【0048】
[裸眼立体視用パネルの着脱判定例]
裸眼立体視用パネル30の着脱の判定例について、図1、図5及び図6を参照して説明する。
図5は本例の画像表示装置100に裸眼立体視用パネル30を装着する前の状態における撮像部24が撮像した画像を示す図である。図6は本例の画像表示装置100に装着された裸眼立体視用パネル30を撮像部24が撮像した画像を示す図である。
【0049】
まず、裸眼立体視用パネル30を装着する前の状態(図1(a)参照)において、撮像部24が撮像して図5に示す画像P1を取得する。このときの画像P1には、ユーザUのみが写っており、色の変化がない。その結果、判定部6は、画像P1から色の変化がないと判定し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていないと判定する。
【0050】
次に、図1(b)に示すように、ユーザは裸眼立体視用パネル30を表示部2に装着する。裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着された後に、撮像部24は撮像して図6に示す画像P2を取得する。このとき撮像部24の位置は、裸眼立体視用パネル30の識別部32と重なるため、取得した画像P2には、ユーザUの他に、裸眼立体視用パネル30の識別部32が写り、色の変化が生じる。判定部6は、画像P2から色の変化があると判定し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていると判定する。
【0051】
このように、画像表示装置100に顔認識用やウエブカメラとして設けられた撮像部を利用して、裸眼立体視用パネルの着脱の判定を行っている。そのため、着脱判定を行うスイッチやカメラ等を新たに設ける必要がなく、画像表示装置の設計コストを削減することができる。また、画像表示装置において、着脱の判定をウエブカメラとソフトウエアで制御しているため、着脱の判定に関するソフトウエアのアップデートをすることだけで、裸眼立体視用パネル30を多機種の画像表示装置に対して容易に対応させることができる。
【0052】
画像表示装置100の動作の一例として、色の変化により、裸眼立体視用パネル30の着脱について判定したがこれに限定されない。取得する画像に変化があればよく、例えば、識別部に複数の点や線を設けて、取得する画像に変化を与えてもよい。
【0053】
[表示映像の切替]
次に、表示部2に表示する映像の切替について図5〜図8を参照して説明する。
図7は本例の画像表示装置の表示部に二次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャート、図8は本例の画像表示装置の表示部に三次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャートである。
【0054】
裸眼立体視用パネルはプラスチック等で構成されているため、電気的な機構を設けることができない。このような裸眼立体視用パネルでは、裸眼立体視用パネルの着脱を自動的に判定することはできない。そのため、画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルの着脱のガイドを表示させることも考えられている。
【0055】
裸眼立体視用パネルを表示部に装着する場合、表示部には二次元映像の装着のガイドが表示される。ユーザは装着のガイドに従って裸眼立体視用パネルを表示部に装着すると、二次元映像で表示部に表示されている装着のガイドが裸眼立体視用パネルに覆われる。そのため、ユーザは、二次元映像で表示されている装着のガイドを視認することが困難となり、装着のガイドを解読できなくなってしまう問題があった。
【0056】
また、裸眼立体視用パネルを表示部から取り外す場合、表示部に裸眼立体視用パネルが装着されているため、表示部には三次元映像の取り外しのガイドが表示される。ユーザは取り外しのガイドに従って裸眼立体視用パネルを表示部から取り外す。しかし、ユーザは、裸眼立体視用パネルを介さないと、表示部に表示されている三次元映像を視認することができない。そのため、ユーザは、三次元映像で表示されている取り外しのガイドを視認することが困難となり、取り外しのガイドを解読できなくなってしまう問題もあった。
【0057】
この問題を解消するために、本開示の画像表示装置100では、後述するように表示部2に表示されている映像を裸眼立体視用パネル30の着脱に対応させて二次元映像又は三次元映像に自動的に切り替える。
【0058】
まず、表示部2に二次元映像が表示されている状態における処理例について図7を参照して説明する。
図7に示すように、ユーザは画像表示装置100を起動させると、画像表示装置100の表示部2には二次元映像を表示される(ステップS1)。そして、裸眼立体視用パネル30の着脱の判定の際に用いた画像P1,P2(図5及び図6参照)から、識別部32を認識できたか否かの判定を行う(ステップS2)。ここでは、一例として、色の変化が起こったか否かの判定を行う。
【0059】
図5に示す裸眼立体視用パネル30が装着される前の状態の画像P1では、画像の色に変化が起こっていない。撮像部24が撮像した画像の色に変化がなかった場合、判定部6は裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていないと判定する(ステップS2のNO)。
【0060】
裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていないと判定されたとき(ステップS2のNO)、表示制御部9は、引き続き二次元映像を表示部2に表示するように指令を出す。その結果、画像表示装置100は、表示部2に二次元映像が表示された状態に保たれる(ステップS3)。
【0061】
図6に示す裸眼立体視用パネル30が装着された後の状態の画像P2には、識別部32が写り、画像P2全体に色が着いている。このように、画像に色が着いている場合、判定部6は、識別部32を認識し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていると判定する(ステップS2のYES)。
【0062】
裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていると判定されたとき(ステップS2のYES)、表示制御部9は、二次元映像から三次元映像に切り替えて、三次元映像を表示部2に表示するように指令を出す。これにより、三次元映像が表示部2に表示される(ステップS4)。
【0063】
次に、表示部2に三次元映像が表示されている状態における処理例について図8を参照して説明する。
図8に示すように、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されている状態では、表示部2に三次元映像が表示されている(ステップS11)。そして、撮像部24は、裸眼立体視用パネル30の着脱の判定の際に用いる画像を撮像し取得する。その後、判定部6は、取得した画像から、識別部32を認識できたか否か(例えば、色の変化が起こったか否か)の判定を行う(ステップS12)。
【0064】
三次元映像が表示部2に表示されている状態において、ユーザが裸眼立体視用パネル30を取り外すと、撮像部24の撮像により、図5に示す画像P1と同様に着色されていない画像が得られる。したがって、判定部6は裸眼立体視用パネル30が装着されていないと判定する(ステップS12のNO)。
【0065】
裸眼立体視用パネル30が装着されていないと判定されたとき(ステップS12のNO)、表示制御部9は、三次元映像から二次元映像に切り替えて、二次元映像を表示部2に表示するように指令を出す。その結果、表示部2には、二次元映像が表示される(ステップS13)。
【0066】
一方、三次元映像が表示部2に表示されている状態において、ユーザが裸眼立体視用パネル30を取り外すまでは、図6に示す画像P2と同様に着色された画像が得られる。判定部6は、識別部32を認識し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されている状態であると判定する(ステップS12のYES)。そのため、画像表示装置100は、表示部2に三次元映像が表示された状態に保たれる(ステップS14)。
【0067】
本処理例では、撮像部24が撮像する識別部32全体に色をつけているが、撮像の環境、例えば、撮像場所に明るさや暗さによって、判定部6の判定に誤りが発生しうる。そのため、識別部32の半分を着色したり、角部等に着色してもよい。これにより、撮像の環境による判定部6の認識の誤りを低下することができる。
【0068】
また、画像表示装置100に適合しない裸眼立体視用パネルが装着された場合は、裸眼立体視用パネル30が装着されていない状態と同様に、二次元映像を表示部2に表示する。
【0069】
なお、二次元映像と三次元映像の切り替えを、三次元映像に対応したアプリケーションの表示領域のみで行ってもよい。また、表示部全体が三次元映像に対応している場合は、表示部全体で二次元映像と三次元映像の切り替えを行ってもよい。
【0070】
また、表示部2に表示される映像が裸眼立体視用パネル30の着脱に対応して二次元映像又は三次元映像に自動的に選択されるため、ユーザの状態にあった映像を表示させることができる。その結果、裸眼立体視用パネルの着脱のガイドのようなユーザインタフェースを実装して、画像表示装置の表示部に表示させる必要がない。
【0071】
[三次元映像における表示位置の自動調整]
次に、表示部2に表示する映像の自動調整について、図9〜図12を参照して説明する。
図9は他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルにおける識別部を示す図、図10は他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを初めて装着した際における撮像部が撮像した画像を示す図である。また、図11は他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを2回目以降に装着した際における撮像部が撮像した画像の一例を示す図、図12は本例の画像表示装置の表示部に表示する映像の表示位置の調整の処理例を示すフローチャートである。
【0072】
レンチキュラーレンズシートに形成されたアライメントラインに基づいて手動で位置合わせを行うことも考えられる。このような状況では、裸眼立体視用パネルの装着位置が毎回異なってしまい、位置合わせの精度が低下していた。また、裸眼立体視用パネルと表示部の表示パネルの位置関係は数μm〜数十μmで調整される必要がある。その結果、位置合わせの精度が低下により、左右の視点が逆になって奥行き感が反転した、いわゆる逆視の状態になりやすいという問題があった。
【0073】
この問題を解消するために、本開示の画像表示装置100では、後述するように表示部2に表示される映像の表示位置を自動的に調整する。
【0074】
他の実施形態例に係る裸眼立体視用パネル130が一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と異なるところは、識別部である。裸眼立体視用パネル130が一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。裸眼立体視用パネル130は、透過部31と、識別部132と、取付部33とを有している。
【0075】
図9に示すように、識別部132は略長方形状に形成されている。この識別部132には、短手方向に平行な線132aと、長手方向に平行な線132bが設けられている。これらの2本の線132a,132bは、識別部132の中心で交差して、十字形状を形成している。なお、この裸眼立体視用パネル130の識別部132は、識別部32と同様に、裸眼立体視用パネルの着脱の判定及び表示部2に表示する映像の切替に用いられる。
【0076】
次に、図10〜図12を参照して、映像の表示位置を調整する処理例について説明する。
【0077】
図12に示すように、ユーザは画像表示装置100を起動すると、表示部2に二次元映像が表示される(ステップS21)。ユーザは、裸眼立体視用パネル130を画像表示装置100の表示部2に装着する(ステップS22)。そして、撮像部24は、識別部132を撮像し、図10に示す画像P3を取得する。
【0078】
判定部6は、取得した画像P3から、裸眼立体視用パネルの着脱の判定を行う(ステップS23)。なお、裸眼立体視用パネル130の着脱の判定については、上述した判定方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
次に、裸眼立体視用パネル130が装着されていると判定されると、三次元映像が表示部2に表示される。次いで、判定部6は裸眼立体視用パネル130の装着が初回であるか否かを判定する(ステップS24)。裸眼立体視用パネル130の装着が初めてである場合(ステップS24のYES)、記憶部7には裸眼立体視用パネル130の位置情報が記憶されていない。そのため、ユーザは入力部4によりキャリブレーションを実行する必要がある。ここで、キャリブレーションとは、裸眼立体視用パネル130に対する表示部2の表示位置を所定の位置、裸眼で三次元映像を視認可能な位置に合わせる処理をいう。
【0080】
画像表示装置100は、ユーザに対して、キャリブレーションを行うように指令を出す(ステップS25)。ユーザは、画像表示装置100の指令に従い、キャリブレーションを行う(ステップS26)。
【0081】
キャリブレーションが完了すると、表示部2に対する識別部132の位置情報(裸眼立体視用パネル130の位置情報)が記憶部7に記憶され(ステップS27)終了する。このとき、記憶部7に記憶された識別部132の位置情報を初期値X0,Y0とする。なお、初期値X0は、撮像部24が撮像した画像の長手方向をX方向とした場合における識別部132の線132aのX方向の位置とする。初期値Y0は撮像部24が撮像した画像の短手方向をY方向とした場合における識別部132の線132bのY方向の位置とする。
【0082】
裸眼立体視用パネル130の装着が2回目以降である場合は(ステップS24のNO)、撮像部24により撮像した識別部132の位置情報が初期値X0,Y0に対してずれている可能性がある。そのため、2回目以降に撮像部24が撮像した識別部132の画像から取得した識別部132の位置情報と初期値X0,Y0を比較する。
【0083】
算出部8は、図11(a)に示す画像P4から識別部132の位置情報X1,Y1を取得する(ステップS28)。その後、算出部8は取得した識別部132の位置情報X1,Y1と初期値X0,Y0とを比較して(ステップS29)、画像P3に対する画像P4のX方向のずれ量q1及びY方向のずれ量r1を計測する(ステップS30)。
【0084】
そして、算出部8は、計測されたずれ量q1及びr1から、表示部2に表示する映像の表示位置を修正するための修正量(校正値)を算出する(ステップS31)。次に、算出部8は、算出した修正量(校正値)を表示制御部9に送る。表示制御部9は、修正量(校正値)に基づいて表示部2に表示する映像の表示位置を調整する(ステップS32)。表示位置が調整された映像が表示部2に表示されて、映像の表示位置の調整処理が終了する。
【0085】
図11(b)に示すように、裸眼立体視用パネル130が適正の位置に対して回転して装着される場合がある。この場合でも、算出部8は、画像P4と同様に、識別部132の画像P5から識別部132の位置情報X2,Y2及び、傾きθを取得し、初期値X0,Y0と比較する。その後、画像のX方向のずれ量q2及びY方向のずれ量r2を計測する。
【0086】
そして、算出部8は、計測されたずれ量q2、r2及び傾きθから、表示部2に表示する映像の表示位置を修正する修正量(校正値)を算出し、算出した修正量(校正値)を表示制御部9に送る。表示制御部9は、修正量(校正値)に基づいて表示部2に表示する映像の表示位置を調整し、表示部2に映像を表示させる。
【0087】
本開示では、表示制御部9が表示部2に表示させる三次元映像の表示位置を自動的に調整するため、ユーザが手動で位置合わせを行う手間を省くことができる。また、裸眼立体視用パネル30の装着位置が毎回変わる場合でも、初回(初期値)と比較して修正量を算出することで、表示部2に表示する映像の表示位置を高い精度で調整することができる。したがって、ユーザに対して表示される三次元映像が逆視の状態とならなくなり、良好な三次元映像を見ることができる。
【0088】
なお、初回に行うキャリブレーション工程を画像表示装置の製造時に行ってもよい。これにより、ユーザによる初回のキャリブレーションの実行が不要となり、ユーザの操作がより簡易となる。
【0089】
<5.裸眼立体視用パネルにおける識別部の他の構成例>
裸眼立体視用パネルの識別部の他の例について、図13を参照して説明する。
図13は本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネル230における識別部を示す図である。
【0090】
他の実施形態例に係る裸眼立体視用パネル230が一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と異なるところは、識別部である。ここでは、識別部に関連する事項について説明し、一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と共通する部分については説明を省略する。
【0091】
裸眼立体視用パネル230は、透過部31と、識別部232と、2つの取付部33を有している。図13に示すように、識別部232には、例えば、二次元バーコードマーク232aが設けられている。この二次元バーコードマーク232aは、例えば、裸眼立体視用パネル230の解像度、サイズ(大きさや厚さなど)、バージョン等の情報を有する。
【0092】
次に、識別部232が有する情報を用いて画像表示装置100に裸眼立体視用パネル230が適合するか否かの判定について図14を参照して説明する。
図14は本例の画像表示装置に装着する裸眼立体視用パネルが表示部に適合するか否かの判定を行う処理例を示すフローチャートである。
【0093】
本処理例では、例えば、高解像度の表示部に対して高解像度用の裸眼立体視用パネルが装着されると、表示部2に適正な映像が表示されるため、判定部6は裸眼立体視用パネルが表示部に適合すると判定する。また、高解像度の表示部に対して低解像度用の裸眼立体視用パネルが装着されると、表示部2に適正な映像が表示されないため、判定部6は裸眼立体視用パネルが表示部に適合しないと判定する。
【0094】
図14に示すように、裸眼立体視用パネル230が表示部2に装着されると(ステップS41)、撮像部24が裸眼立体視用パネル230の識別部232を撮像する。そして、判定部6では、裸眼立体視用パネル230の着脱の判定と合わせて、裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定を行う(ステップS42)。
【0095】
この場合、まず判定部6は、識別部232の二次元バーコードマーク232aが有する情報を取得する。そして、判定部6は、二次元バーコードマーク232aから取得した情報と画像表示装置100に適合する裸眼立体視用パネルの情報とを比較して、表示部2に装着された裸眼立体視用パネル30が画像表示装置100に適合するか否かの判定を行う。
【0096】
裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合しない場合には(ステップS42のNO)、画像表示装置100に装着された裸眼立体視用パネル230が適合しない旨を表示部2の表示パネル21に表示し、ユーザに知らせる(ステップS43)。
【0097】
ユーザが画像表示装置100に適合する裸眼立体視用パネル230に取り替えると(ステップS44)、上記と同様に、再び識別部232が撮像される。判定部6は、撮像された識別部232の画像から、裸眼立体視用パネル230の着脱の判定と合わせて、裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定を行う(ステップS42)。
【0098】
裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するまで、判定部6は裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定が行われる。
【0099】
裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合する場合には(ステップS42のYES)、裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定を終了させる。その後、キャリブレーションあるいは表示部2に表示する映像の調整が行われ、映像が二次元映像から三次元映像に切り替わる(図7及び図12参照)。
【0100】
裸眼立体視用パネル230の識別部232に形成する情報としては、解像度、サイズ、バージョンに限定されない。例えば、裸眼立体視用パネルの厚み、レンズピッチ、傾き、レンズ形状等の光学的な情報や対象機種情報等を含めてもよい。これにより、ソフトウエアによる管理が不要となる。
【0101】
その他の構成は、上述した一実施の形態例に係る裸眼立体視用パネル30と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する裸眼立体視用パネル230によっても、上述した一実施の形態例に係る裸眼立体視用パネル30と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0102】
なお、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な表示部と、
前記表示部に着脱可能に配置される裸眼立体視用パネルの着脱を判定する判定部と、
前記判定部の判定に基づいて、前記表示部に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる表示制御部と、
を備える画像表示装置。
(2)
前記裸眼立体視用パネルの少なくとも一部に設けられた識別部を撮像する撮像部を備え、
前記判定部は、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像を用いて前記裸眼立体視用パネルの着脱を判定する
前記(1)記載の画像表示装置。
(3)
前記表示制御部は、
前記裸眼立体視用パネルの装着が初回の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を初期値として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記初期値と、前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を比較して、校正値を算出する算出部と、を有し、
前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降である場合には、前記算出部により算出された前記校正値に基づいて三次元映像の表示位置を修正する
前記(2)記載の画像表示装置。
(4)
前記判定部は、前記裸眼立体視用パネルの前記識別部を用いて前記裸眼立体視用パネルが前記表示部に適合するか否かを判定する
前記(2)又は(3)記載の画像表示装置。
(5)
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な画像表示装置に着脱可能に取り付けられるパネル本体と、
前記パネル本体に設けられ、前記画像表示装置の判定部により前記パネル本体の着脱を認識させる識別部と、
を備える裸眼立体視用パネル。
(6)
前記画像表示装置の撮像部は、顔認識用の画像を撮像し、
前記識別部は、前記撮像部が撮像する前記顔認識用の画像に影響を与えない色又は形状により形成される
前記(5)記載の裸眼立体視用パネル。
(7)
前記識別部は、前記パネル本体の大きさや厚さ、前記パネル本体における透過部の解像度のうち少なくとも1つを識別情報として有する
前記(5)又は(6)記載の裸眼立体視用パネル。
(8)
前記パネル本体を前記画像表示装置の表示部に着脱可能に装着する取付部を有する
前記(5)記載の裸眼立体視用パネル。
(9)
前記取付部は弾性材料で形成される
前記(8)記載の裸眼立体視用パネル。
(10)
前記取付部は、
前記パネル本体の一端部に配置された第1の取付部と、
前記パネル本体の一端部と反対側にある他端部に配置され、前記第1の取付部の弾性率よりも小さい弾性率を有する第2の取付部と、からなる
前記(9)記載の裸眼立体視用パネル。
【0103】
なお、本開示は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0104】
本開示では、画像表示装置の撮像部が裸眼立体視用パネルに設けられた識別部を認識し、これを利用して、上述した動作を行っている。そのため、裸眼立体視用パネルを様々な機種の画像表示装置に容易に対応させることができる。
【符号の説明】
【0105】
1…筐体、 2…表示部、 3…ヒンジ機構、 4…入力部、 5…接続端子、 6…判定部、 7…記憶部、 8…算出部、 9…表示制御部、 21…表示パネル、 22…前面板、 22a…第1開口部、 22b…第2開口部、 23…背面板、 24…撮像部、 30,130,230…裸眼立体視用パネル、 31…透過部、 32,132,232…識別部、 33…取付部、 100…画像表示装置、 P1,P2,P3,P4,P5…画像、 X0,Y0…初期値
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次元映像又は三次元映像を選択して表示する画像表示装置、及び、この画像表示装置に装着される裸眼立体視用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像を表示するディスプレイに裸眼立体視用パネルであるレンチキュラーレンズを装着して、三次元映像を裸眼で視認可能な技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、裸眼立体視用パネルである立体実現装置をディスプレイの表面に装着する技術が記載されている。この立体実現装置をディスプレイに装着するために、取付器具が用いられている。この取付器具は、取り外し自在のバネハンドルと、ディスプレイと立体実現装置を定着するバネクリップ取り付け部とを有する。そして、取付器具は、ディスプレイの背面部と立体実現装置におけるディスプレイとの当接している面と反対側の面をバネクリップ取り付け部により挟んでいる。
【0004】
また、特許文献2には、表示部としての液晶パネルと、裸眼立体視用パネルとしてレンチキュラーレンズシートとを備える電子光学装置が記載されている。このレンチキュラーレンズシートは、液晶パネルの前面側に配設されている。また、レンチキュラーレンズシートには、液晶パネルとレンチキュラーレンズシートとの位置合わせを行うアライメントラインが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−507091号公報
【特許文献2】特開2010−231009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された立体実現装置は、ユーザがディスプレイに表示されたテスト画像を見ながら装着位置を毎回調整する必要があった。また、ユーザは裸眼立体視用パネルを着脱するたびにディスプレイに表示させる二次元映像又は三次元映像を手動で切り替えていた。
【0007】
また、特許文献2に記載された電子光学装置でも、裸眼立体視用パネルを着脱するたびにユーザがディスプレイに表示させる二次元映像又は三次元映像を手動で切り替えていた。
【0008】
本開示は、上記の問題点を考慮し、二次元映像又は三次元映像を手動で切り替える必要のない画像表示装置及びその画像表示装置に装着される裸眼立体視用パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の画像表示装置は、表示部と、判定部と、表示制御部とを備えている。表示部は二次元映像又は三次元映像を選択して表示する。判定部は表示部に配置される裸眼立体視用パネルの着脱を判定する。表示制御部は判定部の判定に基づいて、表示部に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる。
【0010】
なお、本明細書でいう「裸眼立体視用パネル」とは、ユーザが表示部に表示される三次元映像を裸眼により視認可能とするパネルのことをいう。
【0011】
また、本開示の裸眼立体視用パネルは、パネル本体と、識別部とを備えている。パネル本体は二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な画像表示装置に着脱可能に取り付けられる。また、識別部は、パネル本体に設けられ、画像表示装置の判定部によりパネル本体の着脱を認識させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の画像表示装置によれば、判定部が裸眼立体視用パネルの着脱を判定するため、手動で切り替えることなく二次元映像又は三次元映像を自動的に選択して表示部に表示することができる。
【0013】
また、本開示の裸眼立体視用パネルによれば、識別部を有するため、画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルが装着されたか否かを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の一実施形態に係る画像表示装置を示す斜視図である。図1(a)は画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルを装着する前の状態を示す斜視図、図1(b)は画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルを装着した状態を示す斜視図である。
【図2】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した際を示す上断面図である。
【図4】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した際の要部を示す上断面図である。
【図5】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着する前の状態における撮像部が撮像した画像の一例を示す図である。
【図6】本開示の一実施形態に係る画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した状態における撮像部が撮像した画像の一例を示す図である。
【図7】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に二次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャートである。
【図8】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に三次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャートである。
【図9】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルにおける識別部を示す図である。
【図10】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを初めて装着した状態における撮像部が撮像した画像を示す図である。
【図11】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを2回目以降に装着した場合における撮像部が撮像した画像の一例を示す図である。
【図12】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に表示する映像の表示位置の調整の処理例を示すフローチャートである。
【図13】本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルにおける識別部を示す図である。
【図14】本開示の一実施形態に係る画像表示装置の表示部に装着する裸眼立体視用パネルが表示部に適合するか否かの判定を行う処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示の画像表示装置及び裸眼立体視用パネルの実施形態例について、図1〜図14を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本開示は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像表示装置の構成例
2.裸眼立体視用パネルの構成例
3.裸眼立体視用パネルの装着方法
4.画像表示装置の動作例
5.裸眼立体視用パネルにおける識別部の他の構成例
【0016】
<1.画像表示装置の構成例>
まず、本開示の画像表示装置の一実施形態例(以下、「本例」という。)について、図1及び図2を参照して説明する。
図1(a)は本例の画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着する前の状態を示す斜視図、図1(b)本例の画像表示装置に裸眼立体視用パネルを装着した状態を示す斜視図である。また、図2は本例の画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1(a)に示すように、本例の画像表示装置100には、本体部1と、表示部2と、本体部1と表示部2を回動可能に連結するヒンジ機構3とを備えている。
【0018】
[本体部]
本体部1は、扁平な略直方体状に形成されている。この本体部1には、略長方形状の主面部1aと、2つの側面部1bと、正面部1cと、背面部1dと、載置面部1eとを有している。主面部1aにおける長手方向の両端には、2つの側面部1bが配置されている。この2つの側面部1bは、主面部1aに対して略垂直に形成されている。
【0019】
主面部1aにおける短手方向の一端には、正面部1cが連続して形成されている。また、主面部1aにおける短手方向の他端には、背面部1dが設けられている。この背面部1dは、正面部1cと対向して配置されている。また、載置面部1eは、主面部1aに対向して形成されている。
【0020】
主面部1aには、入力部4が設けられている。この入力部4は、多数のキーからなるキー式入力部4aと、ポインティングデバイスの一種であるタッチ式入力部4bから構成される。入力部4から制御信号が入力され、所定の情報処理等が行われる。タッチ式入力部4bの入力方式としては、例えば静電容量方式や抵抗膜方式等が挙げられる。
【0021】
側面部1bには、外付けハードディスクドライブやUSBフラッシュメモリ等の外部装置と接続するための接続端子5が設けられている。
【0022】
また、背面部1dの左右両端部には、ヒンジ機構3が設けられている。このヒンジ機構3は、本体部1に対して表示部2を回動可能に連結する。そして、ヒンジ機構3は、表示部2が本体部1に対して、任意の角度で傾斜した姿勢を保持できるように構成されている。
【0023】
[表示部]
次に、表示部2について説明する。
図1(a)に示すように、表示部2は、扁平な略直方体状に形成されている。この表示部2は、表示パネル21と、前面板22と、背面板23とを有している。さらに、表示部2には、撮像部24が内蔵されている。
【0024】
表示パネル21としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、表面電界ディスプレイ等が挙げられる。この表示パネル21と背面板23との間には、図示しないが、表示パネル21の背面側に光を当てるバックライトや、表示パネル21の画面を制御する制御装置が搭載された配線基板等が収納されている。これにより、表示パネル21に、各種の情報や二次元映像又は三次元映像を表示することができる。
【0025】
前面板22は、略長方形状の平板として形成されている。前面板22には、第1開口部22aと第2開口部22bが設けられている。表示パネル21は、前面板22に図示しないフレーム部材を介して固定される。前面板22に固定された表示パネル21は、第1開口部22aから露出する。そのため、第1開口部22aの大きさは、表示パネル21の大きさに合わせて設定される。
【0026】
第2開口部22bは、前面板22の一方の長辺部における中央に設けられている。第2開口部22bからは、背面板23に固定された撮像部24が露出する。そのため、第2開口部22bの大きさは、撮像部24の大きさに合わせて設定されている。
【0027】
背面板23は、前面板22と同様に、略長方形状をなす平板に形成されている。この背面板23は、表示パネル21の表示面の反対側に配置されて、表示パネル21の背面及び前面板22を全て覆っている(図3参照)。
【0028】
撮像部24は、背面板23に固定されて、表示部2に内蔵されている。この撮像部24は、第2開口部22bと重なる位置に設けられており、第2開口部22bから露出する。撮像部24は、顔認識に用いる画像や判定部6が行う判定に用いる画像を撮像する。また、ユーザの位置を把握するために、撮像部24が撮像した画像を用いている。
【0029】
図2に示すように、画像表示装置100は、判定部6と、記憶部7と、算出部8と、表示制御部9と、を備えている。判定部6、記憶部7及び算出部8には、撮像部24(図1(a)参照)が撮像した画像データが入力される。判定部6は、この画像データに基づいて裸眼立体視用パネル30の着脱の判定を行う。そして、この判定部6によって判定した判定データは、表示制御部9に入力される。また、記憶部7は、裸眼立体視用パネル30パネルを表示部2に初めて装着した際に、撮像部24が撮像した画像から表示部2に対する裸眼立体視用パネル30の位置情報を取得し記憶する。
【0030】
裸眼立体視用パネル30を表示部2に2回目以降に装着した場合、算出部8は撮像部24が撮像した画像から取得した表示部2に対する裸眼立体視用パネル30の位置情報と、記憶部7で記憶した裸眼立体視用パネル30の位置情報とを比較して校正値を算出する。そして、算出部8が算出した校正値は、表示制御部9に入力される。表示制御部9は、判定部6の判定に基づいて、二次元映像又は三次元映像を選択して表示部2に表示させる。また、表示制御部9は、算出部8が算出した校正値に基づいて映像の表示位置を調整した三次元映像を表示部2に表示させる。さらに、表示制御部9は、撮像部24が撮像した画像を用いてユーザの位置を把握し、表示部2に表示させる三次元映像の微調整を行う。なお、画像表示装置100の詳細な動作については、後述する。
【0031】
なお、本開示では、画像表示装置の一例としてノート型パーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、画像表示装置の他の例としては、デスクトップ型パーソナルコンピュータやテレビ受像機、携帯端末等が挙げられる。
【0032】
<2.裸眼立体視用パネルの構成例>
次に、裸眼立体視用パネル30の一実施形態例について、図1(a)、図1(b)を参照して説明する。
【0033】
図1(a)に示すように、裸眼立体視用パネル30は、略長方形の平板状に形成されたパネル本体35と、2つの取付部33から構成されている。このパネル本体35は、透過部31と、識別部32とを有している。
【0034】
透過部31は、例えば、レンチキュラーレンズにより構成される。表示部2に表示された映像が透過部31を通過すると、ユーザが裸眼により三次元映像を見ることができる。
【0035】
識別部32は、パネル本体35における長手方向の中央部、かつ、パネル本体35における短手方向の一端に形成されている。図1(b)に示すように、この識別部32は、裸眼立体視用パネル30を表示部2に装着した際に、表示部2における撮像部24の位置と重なる位置に設けられている。また、識別部32の大きさは、撮像部24の撮像範囲に合わせて設定される。
【0036】
識別部32は、全体に識別用の色が着けられて形成されている。識別部32の全体に着けられている色は、画像表示装置100が顔認識を行う際に撮像部24が撮像する画像に影響を与えない色により構成されている。画像表示装置100の顔認識に影響を与えない色としては、例えば、撮像部24が撮像した画像の輝度にあまり影響を与えない色等が挙げられる。
【0037】
また、着色されたシールを貼付することにより、識別部32を形成してもよい。本開示では、識別部32を顔認識に用いる画像に影響を与えない色により形成されているが、顔認識に用いる画像に影響を与えない形状により識別部32を形成してもよい。さらに、顔認識に用いる画像に影響を与える色又は形状により識別部32を構成してもよい。
【0038】
なお、顔認識に影響のある色又は形状により識別部32を構成する場合には、顔認識に影響のない位置に識別部32を配置することが好ましい。顔認識に影響のない位置としては、例えば、撮像部24が撮像した画像の角部等が挙げられる。
【0039】
2つの取付部33は、パネル本体35における長手方向の両端にそれぞれ固定されている。取付部33の固定方法としては、レーザー溶着や接着剤による固定方法の他に、パネル本体35の長手方向の両端に開口部を設け、この開口部に取付部33を差し込むことで取付部33を固定してもよい。この取付部33は、略V字型に形成されており、図1(b)に示すように、表示部2に裸眼立体視用パネル30を装着する際に、前面板22と背面板23を挟持する(図3参照)。
【0040】
そして、2つの取付部33は弾性材料により形成されおり、第1の取付部33aと、第2の取付部33bから構成される。第1の取付部33aは、パネル本体35の長手方向の一端部に配置され、第2の取付部33bは、パネル本体35の長手方向の他端部に配置される。第1の取付部33aの弾性率は第2の取付部33bの弾性率と異なっており、第1の取付部33aの弾性率が第2の取付部33bの弾性率よりも大きい。
【0041】
なお、取付部33を1つだけ設ける構成とすると位置合わせの精度が低くなるため、パネル本体35には取付部33を2つ以上設けることが望ましい。本開示では、取付部33を2つ設けているが、取付部33を3つ以上設けてもよい。これにより、裸眼立体視用パネル30の位置合わせの精度が向上する。
【0042】
<3.裸眼立体視用パネルの装着方法>
次に、裸眼立体視用パネル30の装着方法について、図1(b)、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、図1(b)における画像表示装置の上断面図である。また、図4は図3に示す画像表示装置における要部を示す断面図である。
【0043】
まず、ユーザは裸眼立体視用パネル30の取付部33を把持する。次いで、図3及び図4に示すように把持した取付部33のうち弾性率が大きい第1の取付部33aを表示部2の背面板23に掛けて装着する。その後、第1の取付部33aより弾性率が小さい第2の取付部33bを表示部2の背面板23に掛けて装着する。このとき、裸眼立体視用パネル30の透過部31が表示部2の表示パネル21及び前面板22に当接する。その結果、2つの取付部33の保持力により、裸眼立体視用パネル30の透過部31と表示パネル21が密着する。
【0044】
次に、裸眼立体視用パネル30の上下方向の位置合わせを行う。裸眼立体視用パネル30を表示部2の短手方向の本体部1側に移動させて、パネル本体35の下面を第1開口部22aの下面に当接させる。これにより、図1(b)に示すように、裸眼立体視用パネル30の識別部32が撮像部24の位置と重なる。そして、裸眼立体視用パネル30の装着が完了する。なお、パネル本体35の下面を主面部1aやヒンジ機構3に当接させるようにしてもよい。
【0045】
裸眼立体視用パネルのパネル本体に切欠を設けて、表示部に対して位置合わせを行うことも考えられる。パネル本体に切欠を設けるには、画像表示装置の表示部を設計する際にパネル本体の切欠について予め考慮する必要がある。そのため、画像表示装置の表示部にかかるコストが大きくなってしまう。
パネル本体の切欠について考慮されていない画像表示装置、例えば、すでに発売されている画像表示装置等における表示部に裸眼立体視用パネルを装着することは困難である。 また、パネル本体に切欠を設けると、パネル本体の切欠と表示部の間に隙間が生じる。そして、この隙間があることで裸眼立体視用パネルの装着位置が安定せず、裸眼立体視用パネルの装着位置の誤差が大きくなる。そのため、位置合わせの精度が低下し、後述するキャリブレーションをすることが困難となる。したがって、表示部2に表示部する映像の表示位置の調整が困難となる。これらの理由により、裸眼立体視用パネルのパネル本体に切欠を設けることは好ましくない。
【0046】
これに対し、本開示の裸眼立体視用パネル30における2つの取付部33a,33bは弾性率が異なっている。そして、第1の取付部33aは第2の取付部33bよりも弾性率が大きい。裸眼立体視用パネル30を装着すると、裸眼立体視用パネル30は、パネル本体35の長手方向において、弾性率が大きい第1の取付部33a側に寄る。また、裸眼立体視用パネル30は、パネル本体35の短手方向の他端が本体部1の主面部1a及びヒンジ機構3に当接する。そのため、パネル本体35の長手方向における第1の取付部33a側と、パネル本体35における短手方向の他端が位置合わせの基準となる。この基準を設けたことで、裸眼立体視用パネル30を表示部2に対して略同じ位置に装着することができるとともに、装着位置の誤差を少なくすることができる。その結果、裸眼立体視用パネル30の位置合わせの精度が向上する。そして、予め画像表示装置の表示部の設計の際にパネル本体の切欠について考慮する必要がなくなり、画像表示装置の表示部の設計に関するコストを小さくすることができる。また、すでに発売されている画像表示装置に対しても裸眼立体視用パネル30を装着することができ、汎用性を高めることができる。
【0047】
<4.画像表示装置の動作例>
次に、画像表示装置100の動作の一例について説明する。
画像表示装置100は、裸眼立体視用パネル30の着脱の判定と、二次元映像又は三次元映像を選択して自動的に切り替える自動切替と、裸眼立体視用パネルの装着位置により三次元映像の表示位置を自動的に調整する自動調整とを行う。
【0048】
[裸眼立体視用パネルの着脱判定例]
裸眼立体視用パネル30の着脱の判定例について、図1、図5及び図6を参照して説明する。
図5は本例の画像表示装置100に裸眼立体視用パネル30を装着する前の状態における撮像部24が撮像した画像を示す図である。図6は本例の画像表示装置100に装着された裸眼立体視用パネル30を撮像部24が撮像した画像を示す図である。
【0049】
まず、裸眼立体視用パネル30を装着する前の状態(図1(a)参照)において、撮像部24が撮像して図5に示す画像P1を取得する。このときの画像P1には、ユーザUのみが写っており、色の変化がない。その結果、判定部6は、画像P1から色の変化がないと判定し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていないと判定する。
【0050】
次に、図1(b)に示すように、ユーザは裸眼立体視用パネル30を表示部2に装着する。裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着された後に、撮像部24は撮像して図6に示す画像P2を取得する。このとき撮像部24の位置は、裸眼立体視用パネル30の識別部32と重なるため、取得した画像P2には、ユーザUの他に、裸眼立体視用パネル30の識別部32が写り、色の変化が生じる。判定部6は、画像P2から色の変化があると判定し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていると判定する。
【0051】
このように、画像表示装置100に顔認識用やウエブカメラとして設けられた撮像部を利用して、裸眼立体視用パネルの着脱の判定を行っている。そのため、着脱判定を行うスイッチやカメラ等を新たに設ける必要がなく、画像表示装置の設計コストを削減することができる。また、画像表示装置において、着脱の判定をウエブカメラとソフトウエアで制御しているため、着脱の判定に関するソフトウエアのアップデートをすることだけで、裸眼立体視用パネル30を多機種の画像表示装置に対して容易に対応させることができる。
【0052】
画像表示装置100の動作の一例として、色の変化により、裸眼立体視用パネル30の着脱について判定したがこれに限定されない。取得する画像に変化があればよく、例えば、識別部に複数の点や線を設けて、取得する画像に変化を与えてもよい。
【0053】
[表示映像の切替]
次に、表示部2に表示する映像の切替について図5〜図8を参照して説明する。
図7は本例の画像表示装置の表示部に二次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャート、図8は本例の画像表示装置の表示部に三次元映像が表示されている状態における映像の切替の処理例を示すフローチャートである。
【0054】
裸眼立体視用パネルはプラスチック等で構成されているため、電気的な機構を設けることができない。このような裸眼立体視用パネルでは、裸眼立体視用パネルの着脱を自動的に判定することはできない。そのため、画像表示装置の表示部に裸眼立体視用パネルの着脱のガイドを表示させることも考えられている。
【0055】
裸眼立体視用パネルを表示部に装着する場合、表示部には二次元映像の装着のガイドが表示される。ユーザは装着のガイドに従って裸眼立体視用パネルを表示部に装着すると、二次元映像で表示部に表示されている装着のガイドが裸眼立体視用パネルに覆われる。そのため、ユーザは、二次元映像で表示されている装着のガイドを視認することが困難となり、装着のガイドを解読できなくなってしまう問題があった。
【0056】
また、裸眼立体視用パネルを表示部から取り外す場合、表示部に裸眼立体視用パネルが装着されているため、表示部には三次元映像の取り外しのガイドが表示される。ユーザは取り外しのガイドに従って裸眼立体視用パネルを表示部から取り外す。しかし、ユーザは、裸眼立体視用パネルを介さないと、表示部に表示されている三次元映像を視認することができない。そのため、ユーザは、三次元映像で表示されている取り外しのガイドを視認することが困難となり、取り外しのガイドを解読できなくなってしまう問題もあった。
【0057】
この問題を解消するために、本開示の画像表示装置100では、後述するように表示部2に表示されている映像を裸眼立体視用パネル30の着脱に対応させて二次元映像又は三次元映像に自動的に切り替える。
【0058】
まず、表示部2に二次元映像が表示されている状態における処理例について図7を参照して説明する。
図7に示すように、ユーザは画像表示装置100を起動させると、画像表示装置100の表示部2には二次元映像を表示される(ステップS1)。そして、裸眼立体視用パネル30の着脱の判定の際に用いた画像P1,P2(図5及び図6参照)から、識別部32を認識できたか否かの判定を行う(ステップS2)。ここでは、一例として、色の変化が起こったか否かの判定を行う。
【0059】
図5に示す裸眼立体視用パネル30が装着される前の状態の画像P1では、画像の色に変化が起こっていない。撮像部24が撮像した画像の色に変化がなかった場合、判定部6は裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていないと判定する(ステップS2のNO)。
【0060】
裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていないと判定されたとき(ステップS2のNO)、表示制御部9は、引き続き二次元映像を表示部2に表示するように指令を出す。その結果、画像表示装置100は、表示部2に二次元映像が表示された状態に保たれる(ステップS3)。
【0061】
図6に示す裸眼立体視用パネル30が装着された後の状態の画像P2には、識別部32が写り、画像P2全体に色が着いている。このように、画像に色が着いている場合、判定部6は、識別部32を認識し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていると判定する(ステップS2のYES)。
【0062】
裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されていると判定されたとき(ステップS2のYES)、表示制御部9は、二次元映像から三次元映像に切り替えて、三次元映像を表示部2に表示するように指令を出す。これにより、三次元映像が表示部2に表示される(ステップS4)。
【0063】
次に、表示部2に三次元映像が表示されている状態における処理例について図8を参照して説明する。
図8に示すように、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されている状態では、表示部2に三次元映像が表示されている(ステップS11)。そして、撮像部24は、裸眼立体視用パネル30の着脱の判定の際に用いる画像を撮像し取得する。その後、判定部6は、取得した画像から、識別部32を認識できたか否か(例えば、色の変化が起こったか否か)の判定を行う(ステップS12)。
【0064】
三次元映像が表示部2に表示されている状態において、ユーザが裸眼立体視用パネル30を取り外すと、撮像部24の撮像により、図5に示す画像P1と同様に着色されていない画像が得られる。したがって、判定部6は裸眼立体視用パネル30が装着されていないと判定する(ステップS12のNO)。
【0065】
裸眼立体視用パネル30が装着されていないと判定されたとき(ステップS12のNO)、表示制御部9は、三次元映像から二次元映像に切り替えて、二次元映像を表示部2に表示するように指令を出す。その結果、表示部2には、二次元映像が表示される(ステップS13)。
【0066】
一方、三次元映像が表示部2に表示されている状態において、ユーザが裸眼立体視用パネル30を取り外すまでは、図6に示す画像P2と同様に着色された画像が得られる。判定部6は、識別部32を認識し、裸眼立体視用パネル30が表示部2に装着されている状態であると判定する(ステップS12のYES)。そのため、画像表示装置100は、表示部2に三次元映像が表示された状態に保たれる(ステップS14)。
【0067】
本処理例では、撮像部24が撮像する識別部32全体に色をつけているが、撮像の環境、例えば、撮像場所に明るさや暗さによって、判定部6の判定に誤りが発生しうる。そのため、識別部32の半分を着色したり、角部等に着色してもよい。これにより、撮像の環境による判定部6の認識の誤りを低下することができる。
【0068】
また、画像表示装置100に適合しない裸眼立体視用パネルが装着された場合は、裸眼立体視用パネル30が装着されていない状態と同様に、二次元映像を表示部2に表示する。
【0069】
なお、二次元映像と三次元映像の切り替えを、三次元映像に対応したアプリケーションの表示領域のみで行ってもよい。また、表示部全体が三次元映像に対応している場合は、表示部全体で二次元映像と三次元映像の切り替えを行ってもよい。
【0070】
また、表示部2に表示される映像が裸眼立体視用パネル30の着脱に対応して二次元映像又は三次元映像に自動的に選択されるため、ユーザの状態にあった映像を表示させることができる。その結果、裸眼立体視用パネルの着脱のガイドのようなユーザインタフェースを実装して、画像表示装置の表示部に表示させる必要がない。
【0071】
[三次元映像における表示位置の自動調整]
次に、表示部2に表示する映像の自動調整について、図9〜図12を参照して説明する。
図9は他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルにおける識別部を示す図、図10は他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを初めて装着した際における撮像部が撮像した画像を示す図である。また、図11は他の実施形態に係る裸眼立体視用パネルを2回目以降に装着した際における撮像部が撮像した画像の一例を示す図、図12は本例の画像表示装置の表示部に表示する映像の表示位置の調整の処理例を示すフローチャートである。
【0072】
レンチキュラーレンズシートに形成されたアライメントラインに基づいて手動で位置合わせを行うことも考えられる。このような状況では、裸眼立体視用パネルの装着位置が毎回異なってしまい、位置合わせの精度が低下していた。また、裸眼立体視用パネルと表示部の表示パネルの位置関係は数μm〜数十μmで調整される必要がある。その結果、位置合わせの精度が低下により、左右の視点が逆になって奥行き感が反転した、いわゆる逆視の状態になりやすいという問題があった。
【0073】
この問題を解消するために、本開示の画像表示装置100では、後述するように表示部2に表示される映像の表示位置を自動的に調整する。
【0074】
他の実施形態例に係る裸眼立体視用パネル130が一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と異なるところは、識別部である。裸眼立体視用パネル130が一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。裸眼立体視用パネル130は、透過部31と、識別部132と、取付部33とを有している。
【0075】
図9に示すように、識別部132は略長方形状に形成されている。この識別部132には、短手方向に平行な線132aと、長手方向に平行な線132bが設けられている。これらの2本の線132a,132bは、識別部132の中心で交差して、十字形状を形成している。なお、この裸眼立体視用パネル130の識別部132は、識別部32と同様に、裸眼立体視用パネルの着脱の判定及び表示部2に表示する映像の切替に用いられる。
【0076】
次に、図10〜図12を参照して、映像の表示位置を調整する処理例について説明する。
【0077】
図12に示すように、ユーザは画像表示装置100を起動すると、表示部2に二次元映像が表示される(ステップS21)。ユーザは、裸眼立体視用パネル130を画像表示装置100の表示部2に装着する(ステップS22)。そして、撮像部24は、識別部132を撮像し、図10に示す画像P3を取得する。
【0078】
判定部6は、取得した画像P3から、裸眼立体視用パネルの着脱の判定を行う(ステップS23)。なお、裸眼立体視用パネル130の着脱の判定については、上述した判定方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
次に、裸眼立体視用パネル130が装着されていると判定されると、三次元映像が表示部2に表示される。次いで、判定部6は裸眼立体視用パネル130の装着が初回であるか否かを判定する(ステップS24)。裸眼立体視用パネル130の装着が初めてである場合(ステップS24のYES)、記憶部7には裸眼立体視用パネル130の位置情報が記憶されていない。そのため、ユーザは入力部4によりキャリブレーションを実行する必要がある。ここで、キャリブレーションとは、裸眼立体視用パネル130に対する表示部2の表示位置を所定の位置、裸眼で三次元映像を視認可能な位置に合わせる処理をいう。
【0080】
画像表示装置100は、ユーザに対して、キャリブレーションを行うように指令を出す(ステップS25)。ユーザは、画像表示装置100の指令に従い、キャリブレーションを行う(ステップS26)。
【0081】
キャリブレーションが完了すると、表示部2に対する識別部132の位置情報(裸眼立体視用パネル130の位置情報)が記憶部7に記憶され(ステップS27)終了する。このとき、記憶部7に記憶された識別部132の位置情報を初期値X0,Y0とする。なお、初期値X0は、撮像部24が撮像した画像の長手方向をX方向とした場合における識別部132の線132aのX方向の位置とする。初期値Y0は撮像部24が撮像した画像の短手方向をY方向とした場合における識別部132の線132bのY方向の位置とする。
【0082】
裸眼立体視用パネル130の装着が2回目以降である場合は(ステップS24のNO)、撮像部24により撮像した識別部132の位置情報が初期値X0,Y0に対してずれている可能性がある。そのため、2回目以降に撮像部24が撮像した識別部132の画像から取得した識別部132の位置情報と初期値X0,Y0を比較する。
【0083】
算出部8は、図11(a)に示す画像P4から識別部132の位置情報X1,Y1を取得する(ステップS28)。その後、算出部8は取得した識別部132の位置情報X1,Y1と初期値X0,Y0とを比較して(ステップS29)、画像P3に対する画像P4のX方向のずれ量q1及びY方向のずれ量r1を計測する(ステップS30)。
【0084】
そして、算出部8は、計測されたずれ量q1及びr1から、表示部2に表示する映像の表示位置を修正するための修正量(校正値)を算出する(ステップS31)。次に、算出部8は、算出した修正量(校正値)を表示制御部9に送る。表示制御部9は、修正量(校正値)に基づいて表示部2に表示する映像の表示位置を調整する(ステップS32)。表示位置が調整された映像が表示部2に表示されて、映像の表示位置の調整処理が終了する。
【0085】
図11(b)に示すように、裸眼立体視用パネル130が適正の位置に対して回転して装着される場合がある。この場合でも、算出部8は、画像P4と同様に、識別部132の画像P5から識別部132の位置情報X2,Y2及び、傾きθを取得し、初期値X0,Y0と比較する。その後、画像のX方向のずれ量q2及びY方向のずれ量r2を計測する。
【0086】
そして、算出部8は、計測されたずれ量q2、r2及び傾きθから、表示部2に表示する映像の表示位置を修正する修正量(校正値)を算出し、算出した修正量(校正値)を表示制御部9に送る。表示制御部9は、修正量(校正値)に基づいて表示部2に表示する映像の表示位置を調整し、表示部2に映像を表示させる。
【0087】
本開示では、表示制御部9が表示部2に表示させる三次元映像の表示位置を自動的に調整するため、ユーザが手動で位置合わせを行う手間を省くことができる。また、裸眼立体視用パネル30の装着位置が毎回変わる場合でも、初回(初期値)と比較して修正量を算出することで、表示部2に表示する映像の表示位置を高い精度で調整することができる。したがって、ユーザに対して表示される三次元映像が逆視の状態とならなくなり、良好な三次元映像を見ることができる。
【0088】
なお、初回に行うキャリブレーション工程を画像表示装置の製造時に行ってもよい。これにより、ユーザによる初回のキャリブレーションの実行が不要となり、ユーザの操作がより簡易となる。
【0089】
<5.裸眼立体視用パネルにおける識別部の他の構成例>
裸眼立体視用パネルの識別部の他の例について、図13を参照して説明する。
図13は本開示の他の実施形態に係る裸眼立体視用パネル230における識別部を示す図である。
【0090】
他の実施形態例に係る裸眼立体視用パネル230が一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と異なるところは、識別部である。ここでは、識別部に関連する事項について説明し、一実施形態例に係る裸眼立体視用パネル30と共通する部分については説明を省略する。
【0091】
裸眼立体視用パネル230は、透過部31と、識別部232と、2つの取付部33を有している。図13に示すように、識別部232には、例えば、二次元バーコードマーク232aが設けられている。この二次元バーコードマーク232aは、例えば、裸眼立体視用パネル230の解像度、サイズ(大きさや厚さなど)、バージョン等の情報を有する。
【0092】
次に、識別部232が有する情報を用いて画像表示装置100に裸眼立体視用パネル230が適合するか否かの判定について図14を参照して説明する。
図14は本例の画像表示装置に装着する裸眼立体視用パネルが表示部に適合するか否かの判定を行う処理例を示すフローチャートである。
【0093】
本処理例では、例えば、高解像度の表示部に対して高解像度用の裸眼立体視用パネルが装着されると、表示部2に適正な映像が表示されるため、判定部6は裸眼立体視用パネルが表示部に適合すると判定する。また、高解像度の表示部に対して低解像度用の裸眼立体視用パネルが装着されると、表示部2に適正な映像が表示されないため、判定部6は裸眼立体視用パネルが表示部に適合しないと判定する。
【0094】
図14に示すように、裸眼立体視用パネル230が表示部2に装着されると(ステップS41)、撮像部24が裸眼立体視用パネル230の識別部232を撮像する。そして、判定部6では、裸眼立体視用パネル230の着脱の判定と合わせて、裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定を行う(ステップS42)。
【0095】
この場合、まず判定部6は、識別部232の二次元バーコードマーク232aが有する情報を取得する。そして、判定部6は、二次元バーコードマーク232aから取得した情報と画像表示装置100に適合する裸眼立体視用パネルの情報とを比較して、表示部2に装着された裸眼立体視用パネル30が画像表示装置100に適合するか否かの判定を行う。
【0096】
裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合しない場合には(ステップS42のNO)、画像表示装置100に装着された裸眼立体視用パネル230が適合しない旨を表示部2の表示パネル21に表示し、ユーザに知らせる(ステップS43)。
【0097】
ユーザが画像表示装置100に適合する裸眼立体視用パネル230に取り替えると(ステップS44)、上記と同様に、再び識別部232が撮像される。判定部6は、撮像された識別部232の画像から、裸眼立体視用パネル230の着脱の判定と合わせて、裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定を行う(ステップS42)。
【0098】
裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するまで、判定部6は裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定が行われる。
【0099】
裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合する場合には(ステップS42のYES)、裸眼立体視用パネル230が画像表示装置100に適合するか否かの判定を終了させる。その後、キャリブレーションあるいは表示部2に表示する映像の調整が行われ、映像が二次元映像から三次元映像に切り替わる(図7及び図12参照)。
【0100】
裸眼立体視用パネル230の識別部232に形成する情報としては、解像度、サイズ、バージョンに限定されない。例えば、裸眼立体視用パネルの厚み、レンズピッチ、傾き、レンズ形状等の光学的な情報や対象機種情報等を含めてもよい。これにより、ソフトウエアによる管理が不要となる。
【0101】
その他の構成は、上述した一実施の形態例に係る裸眼立体視用パネル30と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する裸眼立体視用パネル230によっても、上述した一実施の形態例に係る裸眼立体視用パネル30と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0102】
なお、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な表示部と、
前記表示部に着脱可能に配置される裸眼立体視用パネルの着脱を判定する判定部と、
前記判定部の判定に基づいて、前記表示部に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる表示制御部と、
を備える画像表示装置。
(2)
前記裸眼立体視用パネルの少なくとも一部に設けられた識別部を撮像する撮像部を備え、
前記判定部は、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像を用いて前記裸眼立体視用パネルの着脱を判定する
前記(1)記載の画像表示装置。
(3)
前記表示制御部は、
前記裸眼立体視用パネルの装着が初回の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を初期値として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記初期値と、前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を比較して、校正値を算出する算出部と、を有し、
前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降である場合には、前記算出部により算出された前記校正値に基づいて三次元映像の表示位置を修正する
前記(2)記載の画像表示装置。
(4)
前記判定部は、前記裸眼立体視用パネルの前記識別部を用いて前記裸眼立体視用パネルが前記表示部に適合するか否かを判定する
前記(2)又は(3)記載の画像表示装置。
(5)
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な画像表示装置に着脱可能に取り付けられるパネル本体と、
前記パネル本体に設けられ、前記画像表示装置の判定部により前記パネル本体の着脱を認識させる識別部と、
を備える裸眼立体視用パネル。
(6)
前記画像表示装置の撮像部は、顔認識用の画像を撮像し、
前記識別部は、前記撮像部が撮像する前記顔認識用の画像に影響を与えない色又は形状により形成される
前記(5)記載の裸眼立体視用パネル。
(7)
前記識別部は、前記パネル本体の大きさや厚さ、前記パネル本体における透過部の解像度のうち少なくとも1つを識別情報として有する
前記(5)又は(6)記載の裸眼立体視用パネル。
(8)
前記パネル本体を前記画像表示装置の表示部に着脱可能に装着する取付部を有する
前記(5)記載の裸眼立体視用パネル。
(9)
前記取付部は弾性材料で形成される
前記(8)記載の裸眼立体視用パネル。
(10)
前記取付部は、
前記パネル本体の一端部に配置された第1の取付部と、
前記パネル本体の一端部と反対側にある他端部に配置され、前記第1の取付部の弾性率よりも小さい弾性率を有する第2の取付部と、からなる
前記(9)記載の裸眼立体視用パネル。
【0103】
なお、本開示は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0104】
本開示では、画像表示装置の撮像部が裸眼立体視用パネルに設けられた識別部を認識し、これを利用して、上述した動作を行っている。そのため、裸眼立体視用パネルを様々な機種の画像表示装置に容易に対応させることができる。
【符号の説明】
【0105】
1…筐体、 2…表示部、 3…ヒンジ機構、 4…入力部、 5…接続端子、 6…判定部、 7…記憶部、 8…算出部、 9…表示制御部、 21…表示パネル、 22…前面板、 22a…第1開口部、 22b…第2開口部、 23…背面板、 24…撮像部、 30,130,230…裸眼立体視用パネル、 31…透過部、 32,132,232…識別部、 33…取付部、 100…画像表示装置、 P1,P2,P3,P4,P5…画像、 X0,Y0…初期値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な表示部と、
前記表示部に着脱可能に配置される裸眼立体視用パネルの着脱を判定する判定部と、
前記判定部の判定に基づいて、前記表示部に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる表示制御部と、
を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記裸眼立体視用パネルの少なくとも一部に設けられた識別部を撮像する撮像部を備え、
前記判定部は、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像を用いて前記裸眼立体視用パネルの着脱を判定する
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記裸眼立体視用パネルの装着が初回の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を初期値として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記初期値と、前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を比較して、校正値を算出する算出部と、を有し、
前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降である場合には、前記算出部により算出された前記校正値に基づいて三次元映像の表示位置を修正する
請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記裸眼立体視用パネルの前記識別部を用いて前記裸眼立体視用パネルが前記表示部に適合するか否かを判定する
請求項2記載の画像表示装置。
【請求項5】
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な画像表示装置に着脱可能に取り付けられるパネル本体と、
前記パネル本体に設けられ、前記画像表示装置の判定部により前記パネル本体の着脱を認識させる識別部と、
を備える裸眼立体視用パネル。
【請求項6】
前記画像表示装置の撮像部は、顔認識用の画像を撮像し、
前記識別部は、前記撮像部が撮像する前記顔認識用の画像に影響を与えない色又は形状により形成される
請求項5記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項7】
前記識別部は、前記パネル本体の大きさや厚さ、前記パネル本体における透過部の解像度のうち少なくとも1つを識別情報として有する
請求項5記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項8】
前記パネル本体を前記画像表示装置の表示部に着脱可能に装着する取付部を有する
請求項5記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項9】
前記取付部は弾性材料で形成される
請求項8記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項10】
前記取付部は、
前記パネル本体の一端部に配置された第1の取付部と、
前記パネル本体の一端部と反対側にある他端部に配置され、前記第1の取付部の弾性率よりも小さい弾性率を有する第2の取付部と、からなる
請求項9記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項1】
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な表示部と、
前記表示部に着脱可能に配置される裸眼立体視用パネルの着脱を判定する判定部と、
前記判定部の判定に基づいて、前記表示部に二次元映像又は三次元映像を選択して表示させる表示制御部と、
を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記裸眼立体視用パネルの少なくとも一部に設けられた識別部を撮像する撮像部を備え、
前記判定部は、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像を用いて前記裸眼立体視用パネルの着脱を判定する
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記裸眼立体視用パネルの装着が初回の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を初期値として記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記初期値と、前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降の際に、前記撮像部が撮像した前記識別部の画像における位置情報を比較して、校正値を算出する算出部と、を有し、
前記裸眼立体視用パネルの装着が2回目以降である場合には、前記算出部により算出された前記校正値に基づいて三次元映像の表示位置を修正する
請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記裸眼立体視用パネルの前記識別部を用いて前記裸眼立体視用パネルが前記表示部に適合するか否かを判定する
請求項2記載の画像表示装置。
【請求項5】
二次元映像又は三次元映像を選択して表示可能な画像表示装置に着脱可能に取り付けられるパネル本体と、
前記パネル本体に設けられ、前記画像表示装置の判定部により前記パネル本体の着脱を認識させる識別部と、
を備える裸眼立体視用パネル。
【請求項6】
前記画像表示装置の撮像部は、顔認識用の画像を撮像し、
前記識別部は、前記撮像部が撮像する前記顔認識用の画像に影響を与えない色又は形状により形成される
請求項5記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項7】
前記識別部は、前記パネル本体の大きさや厚さ、前記パネル本体における透過部の解像度のうち少なくとも1つを識別情報として有する
請求項5記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項8】
前記パネル本体を前記画像表示装置の表示部に着脱可能に装着する取付部を有する
請求項5記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項9】
前記取付部は弾性材料で形成される
請求項8記載の裸眼立体視用パネル。
【請求項10】
前記取付部は、
前記パネル本体の一端部に配置された第1の取付部と、
前記パネル本体の一端部と反対側にある他端部に配置され、前記第1の取付部の弾性率よりも小さい弾性率を有する第2の取付部と、からなる
請求項9記載の裸眼立体視用パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−256988(P2012−256988A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127752(P2011−127752)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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