説明

画像表示装置

【課題】 表示パネル内部におけるガス発生を低減させることにより、高真空度を維持させ、高品質及び長寿命化を実現可能とする画像表示装置を提供する。
【解決手段】 蛍光体層17及びメタルバック膜19を内面に有する前面基板2と、電子源12を内面に有して前面基板2と所定の間隔をもって対向する背面基板1と、前面基板2と背面基板1との間で表示領域8を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、枠体の端面と前面基板2及び背面基板1とをそれぞれ封着部材を介して気密封着してなる画像表示装置であって、前面基板2の背面基板1と対向する内面にシリコン窒化膜3とシリコン酸化膜4とを積層して設けることにより動作中に前面基板2及び背面基板1のより発生する水分の表示パネル内への拡散を防止できるので、真空度の劣化を確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面基板と背面基板の間に形成される真空中への電子放出を利用した平面型の画像表示装置に係り、特に表示パネルを構成する前面基板及び背面基板の基板構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高輝度、高精細に優れたディスプレイデバイスとして、従来からカラー陰極線管が広く用いられている。しかし、近年の情報処理装置やテレビ放送の高画質化に伴い、高輝度、高精細の特性をもつと共に軽量、省スペースの平面型画像表示装置(フラット・パネル・ディスプレイ:FPD)の要求が高まっている。
【0003】
その典型例として液晶表示装置、プラズマ表示装置などが実用化されている。また、特に、高輝度化が可能なものとして、電子源から真空への電子放出を利用した自発光型表示装置として、電子放出型画像表示装置、または電界放出型画像表示装置と呼ばれるものや、低消費電力を特徴とする有機ELディスプレイなど、種々の平面型画像表示装置の実用化も図られている。
【0004】
平面型画像表示装置の中で自発光型のフラット・パネル・ディスプレイでは、電子源をマトリクス状に配置した構成が知られており、その一つとして、微少で集積可能な冷陰極を利用する前述した電界放出型画像表示装置(FED:Field Emission Display)も知られている。
【0005】
また、自発光型のフラット・パネル・ディスプレイでは、その冷陰極にスピント型、表面伝導型、カーボンナノチューブ型、金属―絶縁体―金属を積層したMIM(Metal-Insulator-Metal)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型または金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源などが用いられる。
【0006】
MIM型電子源については、例えば特許文献1、特許文献2に開示されたものが知られている。また、金属―絶縁体―半導体型電子源については非特許文献1で報告されたMOS型、金属―絶縁体―半導体−金属型電子源に関しては、非特許文献2などで報告されたHEED型電子源、非特許文献3などで報告されたEL型電子源、非特許文献4などで報告されたポーラスシリコン型電子源などが知られている。
【0007】
FPDは、上記のような電子源を備えた背面基板と、蛍光体層とこの蛍光体層に電子源から放出される電子を射突させるための加速電圧を形成する陽極を備えた前面基板とを対向させ、両基板の対向する内部空間を所定の真空状態に封止する封止枠となる枠体とで構成される表示パネルが知られている。この表示パネルに駆動回路を組み合わせて動作させる。
【0008】
MIM型電子源を有する画像表示装置では、前記背面基板は絶縁材からなる基板を有し、この基板上には一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて前記他方向に走査信号が順次印加される複数の走査信号配線が形成されている。また、この基板上には、前記他方向に延在し前記走査信号配線に交差する如く前記一方向に並設された複数の画像信号配線が形成されている。走査信号配線と画像信号配線の各交差部に上記の電子源が設けられ、これら両配線と電子源とは給電電極で接続され、電子源に電流が供給される。
【0009】
個々の電子源は対応する蛍光体層と対になって単位画素を構成する。通常は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の単位画素で一つの画素(カラー画素、ピクセル)が構成される。なお、カラー画素の場合、単位画素は副画素(サブピクセル)とも呼ばれる。
【0010】
前記構成による平面型の画像表示装置では、一般的に背面基板と前面基板間の前記枠体で囲繞された表示領域内に複数の間隔保持部材(以下スペーサと称する)が配置固定され、前記両基板間の間隔を前記枠体と協働して所定間隔に保持している。このスペーサは、一般にはガラスやセラミックスなどの絶縁材で形成した板状体からなり、通常、複数の画素毎に画素の動作を妨げない位置に設置される。
【0011】
また、平面型の画像表示装置において、絶縁性基板に電子放出部を形成する電子放出素子は、基体上に活性化抑制層と活性化促進層とを積層形成し、この積層上に電子放出部を形成する際に活性化抑制層として窒化シリコンを、活性化促進層として酸化シリコンをそれぞれ用いた構成が特許文献3に提案されている。
【0012】
【特許文献1】特開平7−65710号公報
【特許文献2】特開平10−153979号公報
【特許文献3】特開平9−293448号公報
【非特許文献1】j.Vac.Sci.Techonol.B11(2)p.429−432(1993)
【非特許文献2】high−efficiency−electro−emission device、Jpn.J.Appl.Phys.、vol36、pL939
【非特許文献3】Electroluminescence、応用物理 第63巻、第6号、592頁
【非特許文献4】応用物理 第66巻、第5号、437頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
背景技術において、電子放出型表示装置は、前面基板と背面基板との間に間隔保持を担うものとして枠ガラスを介在させてフリットガラスを用いて真空封着する。このため、前面基板と背面基板には、フリットガラスに熱膨張係数が近似するソーダライム系ガラスが用いられる。ソーダライム系ガラスは真空封着する工程の熱処理により、ナトリウム(Na)を析出する。析出したナトリウムは電子源(陰極)の表面を汚染する。このようなナトリウムによる電子源の汚染を抑制することが課題となっていた。
【0014】
また、電子放出型表示装置は、製造工程では、前面基板と背面基板と枠ガラスとで囲まれた表示領域となる空間を排気ベーキングにより気密封着する。この排気ベーキングは真空炉内で約380℃で数時間行なう。この場合、排気ベーキング中に前面基板と背面基板とに形成されている各電極に所定の動作電圧と略同一の電圧を印加させて行なわれる。この場合、動作中における電子ビーム照射により、前面基板及び背面基板の少なくとも一方の基板の表層部から水分(H2O)が発生する。この水分が電子ビームの照射により分解したプラスイオンとなって電子源(陰極)を損傷させ、蛍光体層に十分な電子を射突させることができず、励起不十分となり、輝度不足や色再現性が劣化するという課題があった。
【0015】
また、電子放出型表示装置のパネル内で動作中に発生する排気ガスは、表示パネルの内部に例えばBaゲッターを配置し、このBaゲッターに吸着することにより対策していたが、表示パネル内部の基板間が数mm程度の狭小間隔に設定されているので、表示パネルの中央部分で発生したガスはBaゲッターに十分に吸着されない。この結果、高真空度維持を困難にする要因となり、長寿命化の阻害要因となるという課題があった。
【0016】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、表示パネル内部におけるガス発生を低減させることにより、高真空度を維持させ、高品質及び長寿命化を実現可能とする画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するために本発明による画像表示装置は、蛍光体層及び陽極電極を内面に有する前面基板と、電子源を内面に有して前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前面基板と背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、所定の間隔を保持する枠体とを備え、枠体の端面と前面基板及び背面基板とをそれぞれ封着部材を介して気密封着してなる画像表示装置であって、前面基板及び背面基板の少なくとも一方の基板の対向する内面に無機膜を設けることにより、背景技術の課題を解決することができる。
【0018】
なお、本発明は、上記の構成及び後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、動作中に前面基板及び背面基板の少なくとも一方から発生する水分の表示パネル内への拡散を防止できるので、表示パネル内部の真空度の劣化を確実に防止することができる。したがって、表示パネル内のガス発生,電子源の表面汚染及び損傷も解決できるので、電子放出特性に優れるとともに、長寿命で信頼性の高い画像表示装置が得られるという極めて優れた効果を有する。
【0020】
また、本発明によれば、無機質膜を積層膜とすることにより、特定波長領域の透過光の一部を吸収または透過するフィルタ効果が得られるので、色再現性の高い画像表示が得られるという極めて優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1乃至図4は、本発明の画像表示装置の実施例1の構成を説明するための図であり、図1(a)は前面基板側から見た平面図、図1(b)は図1(a)のA方向から見た側面図、図2は図1の前面基板を取り去って示す背面基板の模式平面図、図3は図2のB−B線に沿って切断した背面基板の模式断面図とその背面基板と対応する部分の前面基板の要部拡大断面図、図4は図2のC−C線に沿って切断した要部拡大断面図である。
【0023】
これら図1〜図4において、参照符号1は背面基板、2は前面基板である。図3に示すようにこの前面基板2の背面基板1と対向する内面側には、無機膜としてシリコン窒化膜3が成膜され、さらにこのシリコン窒化膜3膜上には、シリコン酸化膜4が順次成膜されて二層構造の積層膜が形成されている。このシリコン窒化膜3は、CVD法またはスパッタリング法等により膜厚が約80nm〜200nmの厚さで成膜されている。また、シリコン酸化膜4は、上記同様にCVD法またはスパッタリング法により膜厚が数10nm程度の厚さで成膜されている。
【0024】
また、これらの背面基板1及び前面基板2は、厚さ数mm、例えば約3mm程度のガラス板から構成されている。5は枠体であり、この枠体5は、厚さ数mm、例えば約3mm程度のガラス板またはフリットガラスの燒結体から構成されている。6は排気管であり、この排気管6は、背面基板1に固着されている。枠体5は、背面基板1と前面基板2との間の周縁部に周回して介挿され、背面基板1と前面基板2とがフリットガラス等の封着部材7を介して気密封着されて外囲器が構成される。
【0025】
この枠体5と、背面基板1及び前面基板2と、封着部材7とで囲まれた空間は、排気管6を介して排気され、例えば10-3〜10-5Paの真空度を保持している。また、排気管6は、前述したように背面基板1の外表面に取り付けられてこの背面基板1を貫通して穿設された貫通孔9に連通されており、排気完了後の排気管6はチップオフされて封止される。10は画像信号配線であり、この画像信号配線10は、背面基板1の内面にY方向に延在しX方向に並設されている。
【0026】
また、11は走査信号配線であり、この走査信号配線11は、画像信号配線10上でこれと交差するX方向に延在しY方向に並設されている。12は電子源であり、この電子源12は、走査信号配線11と画像信号配線10とに接続している。走査信号配線11及び画像信号配線10と電子源12とは接続電極13,13Aによりそれぞれ電気的に接続されている。また、画像信号配線10と、電子源12及び走査信号配線11との間には層間絶縁膜14が配置されている。
【0027】
ここで、画像信号配線10は、例えばAl/Nd膜が用いられ、走査信号配線11は例えばIr/Pt/Au膜等が用いられる。
【0028】
また、参照符号15は、間隔保持部材としてのスペーサであり、このスペーサ15は、例えばセラミックス材またはガラス材などから構成されており、長方形の薄板形状に整形され、この実施例では、走査信号配線11上に1本おきに直立配置され、接着部材16により、背面基板1と前面基板2とを固定させている。このスペーサ15は、通常、複数の画素毎に画素の動作を妨げない位置に設置される。
【0029】
また、このスペーサ15の寸法は、背面基板1及び前面基板2の基板寸法,枠体3の高さ,スペーサ12の配置間隔,スペーサ素材などにより設定されるが、一般的には高さ寸法が支持体3と略同一寸法、厚さは数十μm〜数mm以下、長さは50mm〜200mm程度、好ましくは80mm〜120mmの範囲が実用的な値となる。
【0030】
また、この接着部材16は、例えば接着用フリットガラスまたはガラス化成分と例えば銀とを含有した導電性の接着材などからなり、スペーサ15を背面基板1と前面基板2とに接着固定している。この接着部材16は、その組成にもよるが、厚さは接着固定の確保の点から数十μm以上、望ましくは20〜40μm程度の厚さに設定される。
【0031】
一方、前面基板2の内面には、赤色,緑色,青色用の蛍光体層17が遮光用のBM(ブラックマトリクス)膜18で区画されて配置され、これらを覆うようにアルミニウムの蒸着膜からなる反射膜としてのメタルバック膜(陽極電極)19が成膜されて蛍光面を形成している。この蛍光面の構成により、電子源12から放射される電子を加速し、対応する画素を構成する蛍光体層17に射突させる。これによって蛍光体層17が所定の色光で発色し、他の画素の蛍光体に発光色と混合されて所定の色のカラー画素を構成する。また、メタルバック膜19は面電極として示してあるが、走査信号配線11と交差して画素列毎に分割されたストライプ状電極とすることもできる。画素の形成された領域が表示領域8となる。
【0032】
この実施例1の構成によれば、前面基板2の内面にシリコン窒化膜3を成膜したことにより、このシリコン窒化膜3の膜緻密性により動作中に前面基板2の表層部から発生する水分(H2O)の外囲器内への拡散を確実に防止できる。これによって外囲器内の真空度の劣化がなくなるので、電子源12からの電子放射性を向上させることができる。また、このシリコン窒化膜3の上面にシリコン酸化膜4を成膜したことにより、支持体5の封着部材7による前面基板2への接合性を向上させて外囲器内を高真空度に維持することができる。
【0033】
また、この実施例1の構成によれば、シリコン窒化膜3とシリコン酸化膜4との膜厚を適宜調整し、干渉膜を形成することにより、特定の波長の光を吸収または透過させるフィルタ機能を持たせることができる。さらに、前面基板2を構成する透光性ガラス板と、シリコン窒化膜3と、シリコン酸化膜4とからなる多層膜構造を構成することにより、1/4波長の干渉作用を持たせることができるので、特定波長に対するフィルタ効果、例えば着色効果または黄色成分の吸収等を持たせることができる。また、シリコン窒化膜3の成膜条件,屈折率及び膜厚等を適宜調整することにより、所望の波長を適宜選択することができる。なお、シリコン窒化膜3の膜厚を約80nm〜200nmの範囲に設定することにより、上記フィルタ効果が得られることを発明者等の実験により確認できた。
【実施例2】
【0034】
図5は、本発明の画像表示装置の実施例2による構成を説明する背面基板及びこれと対応する前面基板からなる表示パネルの要部拡大断面図である。前述した図と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図5において、前述した図4と異なる点は、背面基板1の前面基板2と対向する内面には、背面基板1の上面側にシリコン窒化膜3が成膜され、さらにこのシリコン窒化膜3の上面にシリコン酸化膜4が順次成膜されて二層構造の積層膜が形成されている。なお、これらのシリコン窒化膜3及びシリコン酸化膜4の成膜方法及び膜厚条件は上記実施例1と同様である。
【0035】
この実施例2の構成によれば、背面基板1の内面にもシリコン窒化膜3を成膜したことにより、このシリコン窒化膜3の膜緻密性により動作中に背面基板1の表層部から発生する水分(H2O)の外囲器内への拡散を確実に防止できる。これによって外囲器内の真空度の劣化がなくなるので、電子源12からの電子放射性を大幅に向上させることができる。また、このシリコン窒化膜3の上面にシリコン酸化膜4を成膜したことにより、支持体5の封着部材7による前面基板2への接合性を向上させて外囲器内を高真空度に維持することができるとともに、このシリコン酸化膜4上に形成する各電極配線を含む画像信号配線10等の成膜性を向上させることができる。
【実施例3】
【0036】
図6は、本発明の画像表示装置の実施例3による構成を説明する背面基板及びこれと対応する前面基板からなる表示パネルの要部拡大断面図である。前述した図と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図6において、前述した図5と異なる点は、前面基板2の内面に形成される赤色,緑色,青色用の蛍光体層17毎にシリコン窒化膜3とシリコン酸化膜4との積層膜が成膜され、遮光用のBM(ブラックマトリクス)膜18の形成部位にはこの積層膜が形成されていない。
【0037】
この実施例3の構成によれば、上記各実施例の効果に加えて赤色,緑色,青色用の蛍光体層17毎にシリコン窒化膜3とシリコン酸化膜4との膜厚を適宜調整することにより、赤色,緑色,青色用の蛍光体層17の波長に一致したフィルタ効果を持たせることができる。
【0038】
図7は、本発明に係わる画像表示装置を構成する背面基板の内面側から見た要部平面図である。図7において、ガラス板またはセラミックス材などを好適とする背面基板1の主面(前面)には、第1の方向(y方向)に延在して第1の方向と交差する第2の方向(x方向)に並設された複数のデータ線(または陰極ラインとも称する)DLと、第2の方向(x方向)に延在して第2の方向と交差する第1の方向(y方向)に並設された複数の走査線SLとを有している。マトリクス状に配置されたこれらのデータ線DL及び走査線SLの交差部または交差部近傍には電子源が形成されている。
【0039】
走査線SLは、その一端が走査ドライバSDに接続されている。一方、データ線DLはその一端がデータドライバDDに接続されている。前面基板は、図中、破線部分に沿って対向して配置される。前面基板2と背面基板1とはその対向領域の外周に沿って接着され、内部ガスを排気して封止される。前述したスペーサは走査線SL上に配置される。
【0040】
図8は、本発明に係わる画像表示装置を構成する前面基板の内面側から見た要部平面図である。図8において、透光性ガラス材からなる前面基板2の内面には、図7に示す複数のデータ線DLの長さ方向に沿って赤色蛍光体層PHR,緑色蛍光体層PHG及び青色蛍光体層PHBを有する蛍光面PHが形成され、さらにこの蛍光面PHには各赤色蛍光体層PHR,緑色蛍光体層PHG及び青色蛍光体層PHBを区画するブラックマトリクス膜BMが形成されている。
【0041】
図9は、前面基板2の内面に形成された蛍光面PHの拡大断面図である。図9において、蛍光面PHを構成する各赤色蛍光体層PHR,緑色蛍光体層PHG及び青色蛍光体層PHBはブラックマトリクス膜BMの一部を覆って形成されている。また、この蛍光面PH上には各赤色蛍光体層PHR,緑色蛍光体層PHG及び青色蛍光体層PHBの発光光を効率的に反射させるメタルバック膜MTが形成されている。このメタルバック膜MTには陽極電圧が印加され、陽極電極として機能する。スペーサはブラックマトリクス膜BM上に配置される。
【0042】
なお、前述した実施例においては、画像表示装置として内面に蛍光体層及びブラックマトリクス膜を有し、蛍光体層及びブラックマトリクス膜の背面にメタルバック膜(陽極電極)を有する前面基板を用いた電子放出型表示装置に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、内部を排気したディスプレイに適用しても前述と全く同様の効果が得られることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の画像表示装置の実施例1を説明するための図であり、図1(a)は前面基板側から見た平面図、図1(b)は図1(a)のA方向から見た側面図である。
【図2】図1の前面基板を取り去って示す背面基板の模式平面図である。
【図3】図2のB−B線に沿って切断した背面基板及びこれと対応する前面基板の模式拡大断面図である。
【図4】図1のC−C線に沿って切断した要部拡大模式断面図である。
【図5】本発明による画像表示装置の実施例2の構成を説明する背面基板及びこれと対応する前面基板からなる表示パネルの要部拡大断面図である。
【図6】本発明による画像表示装置の実施例3の構成を説明する背面基板及びこれと対応する前面基板からなる表示パネルの要部拡大断面図である。
【図7】本発明による画像表示装置の背面基板の構成を示す要部平面図である。
【図8】本発明による画像表示装置の前面基板の構成を示す要部平面図である。
【図9】本発明による画像表示装置の前面基板に形成される蛍光面の構成を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・背面基板、2・・・前面基板、3・・・シリコン窒化膜(無機膜)、4・・・シリコン酸化膜(無機膜)、5・・・枠体、6・・・排気管、7・・・封着部材、8・・・表示領域、9・・・貫通孔、10・・・画像信号配線、11・・・走査信号配線、12・・・電子源、13・・・接続電極、13A・・・接続電極、14・・・層間絶縁膜、15・・・スペーサ(間隔保持部材)、16・・・接着部材、17・・・蛍光体層、18・・・BM(ブラックマトリクス)膜、19・・・メタルバック膜(陽極電極)、
DL・・・データ線(陰極ライン)、SL・・・走査線、SD・・・走査ドライバ、DD・・・データドライバ、PHR・・・赤色蛍光体層、PHG・・・緑色蛍光体層、PHB・・・青色蛍光体層、PH・・・蛍光面、BM・・・ブラックマトリクス膜、MT・・・メタルバック膜。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体層及び陽極電極を内面に有する前面基板と、
電子源を内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、
前記前面基板と背面基板との間で表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持する枠体と、
前記枠体の端面と前記前面基板及び背面基板とをそれぞれ封着部材を介して気密封着してなる画像表示装置であって、
前記前面基板及び前記背面基板の少なくとも一方の基板の対向する内面に無機膜を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記背面基板は、一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて前記他方向に走査信号が順次印加される複数の走査信号配線と、
前記他方向に延在し前記走査信号配線に交差する如く前記一方向に並設された複数の画像信号配線と、
前記走査信号配線と前記画像信号配線の各交差部に設けられた電子源と、
前記電子源と前記走査信号及び画像信号両配線とをそれぞれ接続する給電電極と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記無機膜は、前記前面基板の前記背面基板と対向する内面に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記無機膜は、前記背面基板の前記前面基板と対向する内面に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記無機膜は、前記前面基板と前記背面基板との対向内面に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記無機膜は、シリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記無機膜は、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記シリコン窒化膜の膜厚は、80nm以上200nm以下の範囲とすることを特徴とする請求項6または請求項7の何れかに記載の画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−141547(P2007−141547A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331151(P2005−331151)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】