説明

画像表示装置

【課題】画像表示装置において、部品点数及び製造コストの低減を図る。
【解決手段】画像表示装置1は、可視光を変調し出射するLD2と、LD2からの光をLD2と同期して平面P上に2次元走査する光走査デバイス4と、平面P上に表示された画像Gを撮像する撮像部5と、撮像部5により撮像される画像Gの時間的変化に基づいて、画像G上の任意の位置を指示するために用いられる指等の指示手段の有無を判別する画像処理部6と、を備える。指示手段として人の指等が用いられる場合においても、指等による画像指示の有無を判別可能であるため、部品点数の低減を図ることができる。また、従来のように、不可視光を出射し、指示手段で反射した不可視光の受光タイミングに応じて指示手段の位置を検出する画像表示装置と比べ、高い時間分解能を持つ複雑な検出回路等が不要であり、構成を簡単化することができるので、製造コストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの可視光を走査手段により平面上に2次元走査することで平面上に画像を表示可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図13に示されるように、画像G上の任意の位置を指示するために用いられる指示手段100の位置を検出するため、光出射手段200から指示手段100に不可視光Lを出射する画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この画像表示装置において、指示手段100には、光出射手段200からの不可視光Lを偏向し、その不可視光Lを入射方向に反射する再帰性反射部材が設けられている。この指示手段100により反射された不可視光Lは、光出射手段200内の受光手段により受光される。指示手段100の位置は、この受光手段による不可視光の受光タイミングに基づいて求められる。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の技術においては、指示手段100を人の指等で代用することは困難であり、部品点数の低減を図ることが難しい。また、反射光の受光タイミングに基づく位置検出のため、ピコセカンド(ps)オーダの高い時間分解能が必要となり、複雑で高性能の検出回路が必要とされる。このため、製造コストが上がる虞がある。
【特許文献1】特開2006−277357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、部品点数及び製造コストの低減を図ることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光源からの光を平面上に2次元走査する走査手段と、前記走査手段と同期して可視光を変調し出射することで平面上に画像を表示可能な光源と、を備えた画像表示装置において、前記光源により平面上に表示された画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像される画像の時間的変化に基づいて、画像上の任意の位置を指示するために用いられる指示手段の有無を判別する判別手段と、を備えるものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像表示装置において、画像が表示される平面と前記撮像手段との間に、前記光源からの光と同一色の光のみを透過するフィルタが設けられたものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置において、前記光源は、平面上にさらに基準マークを表示可能であり、前記撮像手段は、前記光源により平面上に表示された基準マークを撮像し、前記判別手段は、前記撮像手段により撮像された画像を基準マークに基づいて分割し、分割された画像ごとにその時間的変化を検出するものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載の画像表示装置において、前記判別手段は、前記撮像手段により撮像された基準マークに基づいて、平面上の基準マークの傾き及び/又は歪みを検出し、前記光源は、前記判別手段による検出結果に応じて画像を補正するものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載の画像表示装置において、前記判別手段が、前記分割された画像のうちの特定の画像上で前記指示手段を検出したとき、前記光源は平面上の画像を切り替え表示するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、画像上の指示手段の有無に応じて、撮像される画像が時間的に変化し、その変化に基づいて指示手段による画像指示の有無が判別されるので、指示手段として人の指等が用いられる場合においても画像指示の有無を判別可能である。このため、部品点数の低減を図ることができる。また、従来のように、不可視光を出射して指示手段で反射した不可視光を受光し、その受光タイミングに応じて指示手段の位置を検出する画像表示装置と比べ、高い時間分解能を持つ複雑な検出回路等が不要であり、構成を簡単化することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、表示した画像のみを撮像することができるので、指示手段による画像指示に起因して画像の一部が隠され、その結果として、撮像された画像の形状が時間的に変化したかどうかを判別することにより、画像上の指示手段の有無を高精度に判別することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、撮像された画像を基として、その画像が基準マークを用いて分割され、その分割された画像ごとに指示手段による画像指示の有無が判別されるので、画像が表示される平面との間の距離、平面に対する光出射方向又は平面の形状に拘らず、画像の中で指示手段により指示された部位を基準マークを用いて検出することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、撮像される基準マークは、画像が表示される平面に対する光出射方向や平面の形状に応じて傾き又は歪むので、この傾きや歪みに応じて画像を補正することで、上記の光出射方向や平面の形状に拘らず、平面に所望の大きさや形状で画像を表示することが可能になる。
【0014】
請求項5の発明によれば、画像上で特定の部位を指示手段により指示することで画像が切り替わるので、画像が表示される平面をタッチスクリーンとして使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置について図1乃至図6(a)〜(d)を参照して説明する。まず、画像表示装置の構成について図1を参照して説明する。この画像表示装置1は、平面P上に光を投射することにより画像Gを表示し、人の指等による画像G上での指示やその位置を、画像Gを撮像することにより検出し、その検出結果に応じて例えば画像Gの表示を切り替える。
【0016】
画像表示装置1は、可視光を出射するレーザダイオード(以下、LDという)2と、LD2を駆動する駆動回路で構成されるLD駆動部3と、LD2からの可視光を平面P上に2次元走査する光走査デバイス4(走査手段)と、を備える。LD駆動部3は、LD2の光出力を変調し、変調した可視光をLD2から出射させて、平面P上に画像Gと基準マークMとを表示する。このようしてLD2及びLD駆動部3は光源を構成する。また、画像表示装置1は、LD2、LD駆動部3及び光走査デバイス4(以下、LD2等という)により平面P上に表示された画像G及び基準マークMを撮像する撮像部5(撮像手段)を備える。以下、撮像部5により撮像された画像G及び基準マークMを、それぞれ、撮像画像Gi、撮像基準マークMiということにする。
【0017】
さらに、画像表示装置1は、撮像画像Giを撮像基準マークMiに基づいて処理する画像処理部6と、表示すべき画像Gに応じて又は画像処理部6からの信号に応じてLD駆動部3及び光走査デバイス4を制御する制御部7と、を備える。LD駆動部3及び光走査デバイス4は、制御部7により制御され、同期して駆動する。画像処理部6は、処理した撮像画像Giの時間的変化に基づいて、画像G上の任意の位置を指示するために用いられる指示手段の有無を判別する(判別手段)。この指示手段は、特に限定されず、人の指やペン等の有形物であればよい。画像Gが表示される平面Pと撮像部5との間には、LD2からの可視光と同一色の可視光のみを透過する光学部材から成るフィルタ8が配設されている。このフィルタ8により、外部からの光を遮光することができる。LD2等、画像処理部6及び制御部7は、装置本体の筐体(不図示)に内装されている。撮像部5及びフィルタ8は、装置本体の筐体内部に設けられていても、その筐体外部に設けられていてもよい。
【0018】
LD2等は、例えば1色の可視光で、キー等を含む画像Gを矩形状に表示し、さらにその四隅に基準マークMを表示する。図1においては、画像Gの一例としてアルファベットA、B、C、Dのキーを図示する。基準マークMは、形状が例えば十字であり、その交差点が画像Gの角と合うように表示される。画像Gの形状、基準マークMの数、位置及び形状は上記に限定されない。
【0019】
光走査デバイス4は、例えば、ポリゴンミラー、ガルバノミラー又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー若しくはこれらの組み合わせにより構成されており、LD2からの可視光を垂直方向と水平方向の2方向すなわち2軸方向に走査可能である。この2軸方向の光走査により、平面Pに2次元の画像Gを投影することが可能になる。
【0020】
撮像部5は、CCDカメラ又はCMOSカメラ等により構成される。この撮像部5には、フィルタ8の作用により、LD2からの可視光と同一色の可視光のみが入射する。従って、基本的には画像G及び基準マークMだけが撮像部5により撮像される。この撮像は、所定の時間間隔でもって行われる。撮像画像Gi及び撮像基準マークMiのデータは、撮像部5から画像処理部6に送出される。撮像部5は、装置本体の筐体外部に配設される場合、有線を用いて又は無線でデータを画像処理部6に送出する。
【0021】
上記のように構成された撮像部5においては、基本的に、表示した画像G及び基準マークMのみを撮像することができるので、指示手段による画像指示に起因して画像Gの一部が隠され、その結果として、撮像された画像Gの形状が時間的に変化したかどうかを判別することにより、画像G上の指示手段の有無を高精度に判別することができる。
【0022】
画像処理部6は、CPUを含むマイクロコンピュータ等により構成される。このマイクロコンピュータ等は、撮像部5から送出された撮像画像Gi及び撮像基準マークMiのデータに基づき、撮像画像Giの濃淡値を画素ごとに2値化すると共に、撮像画像Giを撮像基準マークMiを基準に分割する。画像Gが複数のキーを含む場合、画像処理部6は、撮像画像Giをそれらのキーに切り分けるように複数の分割線で分割する。例えば、図2に示されるように、複数のアルファベットのキーが2行2列の行列状に配列され、画面一杯に表示されて成る撮像画像Giの場合、図中上下の撮像基準マークMiの略中間と、図中左右の撮像基準マークMiの略中間に、縦と横の分割線D(二点鎖線で示す)が設定される。これらの分割線Dにより、撮像画像Giが分割され、4個のキーに切り分けられる。
【0023】
また、画像処理部6は、分割した撮像画像Giごとにその時間的変化を検出する。具体的には、画像処理部6は、分割した撮像画像Giごとに、時間的に前の撮像画像Giと現在の撮像画像Giとを比較し、撮像画像Giにおける文字やキー枠(以下、文字等という)の面積減少、すなわち文字等を形成する画素数の減少を検出する。この画素数減少は、指示手段による画像Gの指示に起因して生ずる。画像処理部6は、分割した撮像画像Giのうちの特定の撮像画像上で指示手段を検出したとき、すなわち、指示手段による画像Gの特定部位の指示を検出したとき、その検出情報を制御部7に送出する。
【0024】
ここで、分割された1つの撮像画像Giにおける文字等の面積減少について具体例を挙げて説明する。複数のキーを含む画像の中で、図3(a)に示されるようにアルファベットAのキー画像G1がユーザにより指Fで指示され、いわゆるキー画像G1の打鍵動作が行われたとする。このとき、図3(b)に示されるように、画像処理部6で分割して得られた、キー画像G1の撮像画像(以下、撮像キー画像Gi1という)は、その中の文字等の一部がくり抜かれた形状となる。具体的には、撮像キー画像Gi1の中の文字等において、キー画像G1で指Fや手等により隠されていた部分に対応する部分gが、指Fや手等の形状に合わせてくり抜かれた形状となる。その結果、打鍵前と比べ、撮像キー画像Gi1における文字等の面積が減少する。すなわち、文字等を形成する画素数が減少する。従って、この画素数減少を検出することにより、キー画像G1の打鍵すなわち指F等の指示手段によるキー画像G1の指示を検出することが可能となる。
【0025】
ユーザが画像Gの所望の部位を指等の指示手段を用いて指示するとき、その指示手段やユーザの体により他の部分も隠れる虞がある。その隠れる部分が少ない場合、その部分に対応する撮像画像Giにおいて、文字等を形成する画素数の減少数は少量になる。上記の隠れる部分が多い場合には、上記の画素数の減少数は多量になる。そこで、指示の誤検出を防止するため、画像指示の有無を判断する上で基準となる画素数の減少数につき、下限値と上限値とが設定されていることが望ましい。画素数の減少数が下限値以上で且つ上限値以下であるときに、画像処理部6が、指示手段による指示があったと判断することが望ましい。
【0026】
制御部7は、CPUを含むマイクロコンピュータ等により構成される。このマイクロコンピュータ等には、例えばパーソナルコンピュータ等の外部装置から、表示すべき画像Gの情報が入力される。マイクロコンピュータ等は、入力された画像Gの情報に応じてLD2等を制御する。画像Gの情報は、制御部7内に設けられたメモリに格納されていてもよい。
【0027】
また、制御部7は、画像処理部6から送出された検出情報に応じてLD2等を制御する。この制御により、LD2等は、分割された撮像画像Giのうち、その上で指示手段が検出された撮像画像に応じて、平面上の画像Gを切り替え表示する。画像Gの切り替え表示の一例として、図4に示される、メニューの階層表示が挙げられる。具体的には、画像Gの中に、各種メニューを示す複数のキー(A、B、C、Dのキーで示す)が表示され、それらのうちのいずれかがユーザの指Fにより指示されてメニューが選択されたとき、そのメニューに従属する下位のメニューを示すキー(a、bのキーで示す)が画像Gとして表示される。このメニューの階層表示において、メニューを示す画像は、キーに限定されず、タグ等であってもよい。また、画像切り替え表示により、メニューの階層表示に限定されず、ページ送り又はページ戻しが行われてもよい。
【0028】
上記のように構成された画像表示装置1においては、画像G上の指示手段の有無に応じて、撮像画像Giが時間的に変化し、その変化に基づいて指示手段による画像指示の有無が判別されるので、指示手段として人の指等が用いられる場合にであっても、人の指等による画像指示の有無を判別可能である。このため、部品点数の低減を図ることができる。また、従来のように、不可視光を出射して指示手段で反射した不可視光を受光し、その受光タイミングに応じて指示手段の位置を検出する画像表示装置と比べ、高い時間分解能を持つ複雑な検出回路等が不要であり、構成を簡単化することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
また、上述の撮像画像Giの時間的変化の検出により、ユーザによる指示手段を用いた画像Gの指示とその指示部位との検出が可能となる。従って、画像Gに複数のキーを含ませ、撮像画像Giをそれぞれのキーに切り分けるように分割することで、画像Gを操作パネルに見立て、分割された撮像画像Giの指示をキーの打鍵操作とみなすことができる。この打鍵操作により画像Gが切り替わるので、平面Pをタッチスクリーンとして使用することが可能になる。
【0030】
次に、基準マークMを表示することによる効果について図5及び図6(a)〜(d)を参照して説明する。図5に示されるように、画像表示装置1と平面Pとの間の距離が変わると、画像Gの形状は変化しないが、画像Gの大きさがその距離に応じて変化する。画像Gの大きさの変化に伴って、基準マークMの平面P上における位置は変化するが、基準マークMは画像Gの大きさに拘らずその四隅に表示される。このため、画像Gと基準マークMとの位置関係は上記の距離に拘らず変わらない。従って、画像Gの撮像画像を基として、その撮像画像が撮像基準マークを用いて分割され、その分割された撮像画像ごとに指示手段による画像指示の有無が判別されるので、画像表示装置1と平面Pとの間の距離に拘らず、画像Gの中で指示手段により指示された部位を基準マークMを用いて導き出すことができる。
【0031】
また、図6(a)に示されるように、画像表示装置1の装置本体1aが平面Pに正対する位置から水平方向に角度をもった位置に在り、撮像部5が装置本体1aの筐体外で、平面Pに正対する位置に在るとき、図6(b)に示されるように、撮像画像Giは、矩形状ではなく、台形の頭部を横にした形状となる。
【0032】
ここで、撮像画像Giの両側端部のうち、それらの縦方向の長さが異なる場合には長い方の側端部の縦方向の長さを基準長Hとし、それらの長さが略等しい場合にはその長さを基準長Hとする。また、撮像画像Gi中の任意の位置における縦方向の長さをyとする。そして、数式(H−y)/H×100を計算して得られる値を撮像画像Giの圧縮率ということにする。そうすると、図6(b)に示される撮像画像Giは、その一方の側端部から他方の側端部にかけて圧縮率を高めつつ縦方向に圧縮された形状であるといえる。
【0033】
また、図6(c)に示されるように、装置本体1aが平面Pに正対する位置に在り、撮像部5が装置本体1aの筐体に内装され、平面Pの水平断面が画像表示装置1側に凸となる曲線を形成しているとき、図6(d)に示されるように、撮像画像Giは、その両側端部から中央部にかけて圧縮率を高めつつ縦方向に圧縮された形状となる。
【0034】
しかしながら、基準マークMは画像Gの四隅に表示されるので、撮像画像Giの形状変化が生じた場合においても、撮像画像Giと撮像基準マークMiとの位置関係は、平面Pに対する画像Gの投影方向や平面Pの形状に拘らず変わらない。従って、撮像基準マークMiの互いの位置関係に基づいて分割線Dを設定することができ、この分割線Dによって撮像画像Giが分割され、その分割された撮像画像Giごとに指示手段による画像指示の有無が判別される。このため、平面Pに対する光出射方向すなわち画像Gの投影方向や平面Pの形状に拘らず、画像Gにおける指示部位を基準マークMを用いて導き出すことができる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置について図7乃至図12(a)〜(c)を参照して説明する。本実施形態の画像表示装置の構成は、第1の実施形態と同じであるので、その構成については図1を流用して説明する。本実施形態の画像表示装置1は、第1の実施形態に比べ、画像処理部6が、画像Gが表示される平面Pとの位置関係や平面Pの形状等(以下、平面Pとの位置関係等という)に合わせて画像Gを補正する処理を行う点で異なる。画像処理部6は、平面Pとの位置関係等に応じて生ずる撮像基準マークMiの傾きや歪みを検出し、その検出結果に応じて平面Pとの位置関係や平面Pの形状を推定する。そして、画像処理部6は、その推定結果に基づいて画像Gを補正する。
【0036】
ここで、まず、平面Pとの位置関係とそれに応じた撮像基準マークMiの歪み例、さらにその歪みに応じた画像処理部6における推定処理について図7及び図8(a)〜(f)を参照して説明する。
【0037】
例えば、上述の図6(a)に示されるように、画像表示装置1の装置本体1aが平面Pに正対する位置から水平方向に角度をもった位置に在り、撮像部5が装置本体1aの筐体外で、平面Pに正対する位置に在るとき、撮像基準マークMiは歪んだ形状となる。そのときの撮像基準マークMiの縦線は歪みが無いときと変わらず、その横線が傾く。
【0038】
具体的には、画像表示装置1が、平面Pに向かって平面視で時計回りの方向に角度をもった位置に在るときには、図7に示されるように、図中左上、右上、左下、右下の撮像基準マークMiのそれぞれにおいて、横線が傾き、縦線と横線によって示される撮像画像Giの内角θ、θ、θ、θが、数式θ≒θ>90°及びθ≒θ<90°を満たす。従って、画像処理部6は、内角θ〜θがこの数式を満たすことを算出したとき、画像表示装置1が、平面Pに向かって、平面視で時計回りの方向に角度をもった位置から画像G及び基準マークMを投影していると推定する。
【0039】
上記と同様に、装置本体1aが、図8(a)に示されるように、平面Pに正対する位置から、平面視で反時計回りの方向に角度をもった位置に在る場合、内角θ、θ、θ、θは、図8(b)に示されるように、数式θ≒θ<90°及びθ≒θ>90°を満たす。また、装置本体1aが、図8(c)に示されるように、平面Pに正対する位置から、側面視で時計回りの方向に角度をもった位置に在る場合、内角θ、θ、θ、θは、図8(d)に示されるように、数式θ≒θ>90°及びθ≒θ<90°を満たす。また、装置本体1aが、図8(e)に示されるように、平面Pに正対する位置から、側面視で反時計回りの方向に角度をもった位置に在る場合、内角θ、θ、θ、θは、図8(f)に示されるように、数式θ≒θ<90°及びθ≒θ>90°を満たす。従って、画像処理部6は、内角θ、θ、θ、θが満たす上記の数式に基づいて、平面Pとの位置関係を推定する。
【0040】
次に、平面Pの形状とそれに応じた撮像基準マークMiの歪み例、さらにその歪みに応じた画像処理部6における推定処理について図9及び図10(a)〜(f)を参照して説明する。
【0041】
例えば、上述の図6(c)に示されるように、装置本体1aが平面Pに正対する位置に在り、撮像部5が装置本体1aの筐体に内装され、平面Pの水平断面が画像表示装置1側に凸となる曲線を形成しているとき、撮像基準マークMiは、図9に示されるように、その縦線が歪みの無いときと変わらず、その横線が撮像画像Giの中央方向(以下、画像中央方向という)に傾く。そして、内角θ、θ、θ、θが、数式θ≒θ≒θ≒θ<90°を満たす。従って、画像処理部6は、撮像基準マークMiの横線における画像中央方向への傾きを検出し、内角θ〜θがこの数式を満たすことを算出したとき、平面Pの水平断面が画像表示装置1側に凸となる曲線を形成していると推定する。
【0042】
上記と同様に、図10(a)に示されるように、平面Pの水平断面が画像表示装置1から遠方に凸となる曲線を形成している場合、図10(b)に示されるように、撮像基準マークMiの横線は画像中央方向とは反対方向に傾き、内角θ、θ、θ、θは数式θ≒θ≒θ≒θ>90°を満たす。また、図10(c)に示されるように、平面Pの縦断面が画像表示装置1側に凸となる曲線を形成している場合、図10(d)に示されるように、撮像基準マークMiの縦線は画像中央方向に傾き、内角θ、θ、θ、θは数式θ≒θ≒θ≒θ<90°を満たす。また、図10(e)に示されるように、平面Pの縦断面が画像表示装置1側に凸となる曲線を形成している場合、図10(f)に示されるように、撮像基準マークMiの縦線は画像中央方向とは反対方向に傾き、内角θ、θ、θ、θは数式θ≒θ≒θ≒θ>90°を満たす。従って、画像処理部6は、撮像基準マークMiの縦線又は横線の傾きと、内角θ、θ、θ、θが満たす上記の数式に基づいて、平面Pの形状を推定する。
【0043】
次に、画像処理部6における画像補正処理について図11(a)〜(c)及び図12(a)〜(c)を参照して説明する。例えば、上述の図6(a)に示されるように、装置本体1aが平面Pに正対する位置から、平面視で時計回り方向に角度をもった位置に在り、撮像部5が平面Pに正対する位置に在る場合、撮像画像Giにおいては、図11(a)に示されるように歪みが発生し、図中左側端部の縦の長さHと図中右側端部の縦の長さHとの間にH<Hの関係が成立する。画像処理部6は、その撮像画像Giの歪み量を算出する。そして、画像処理部6は、その算出結果に基づいて、図11(b)に示されるように画像左側端部の縦の高さH’と画像右側端部の縦の長さH’との間にH’>H’の関係が成立する画像Gの投影を制御部7に指示する。制御部7は、この指示に基づいてLD2等及び光走査デバイス4を制御し、この制御に基づいてLD2等は画像Gを補正する。上記の画像補正の結果、平面Pに実際に表示される画像Gは、所望の形状、例えば図11(c)に示されるように矩形状となる。なお、さらに、画像処理部6は、画像Gを全体的に横方向に圧縮して表示するかのように光走査デバイス4による走査の幅を狭め、それに合わせてLD2の光出力を変調してもよい。この場合、画像Gが平面P上で横方向に伸びて表示されることを防ぐことができる。
【0044】
また、上述の図6(c)に示されるように、装置本体1aが平面Pに正対する位置に在り、撮像部5が装置本体1aの筐体に内装され、平面Pの水平断面が画像表示装置1側に凸となる曲線を形成している場合、撮像画像Giにおいては、図12(a)に示されるように歪みが発生し、中央部の縦の長さHと両側端部Hとの間にH<Hの関係が成立する。画像処理部6は、その撮像画像Giの歪み量を算出する。そして、画像処理部6は、その算出結果に基づいて、図12(b)に示されるように画像中央部の縦の高さH’と画像両側端部の縦の長さH’との間にH’>H’の関係が成立する画像Gの投影を制御部7に指示する。制御部7は、この指示に基づいてLD2等及び光走査デバイス4を制御し、この制御に基づいてLD2等は画像Gを補正する。上記の画像補正の結果、平面Pに実際に表示される画像Gは、所望の形状、例えば図12(c)に示されるように矩形状となる。
【0045】
従って、本実施形態においては、平面Pに対する光出射方向すなわち画像Gの投影方向又は平面Pの形状に拘らず、平面Pに所望の大きさや形状で画像を表示することが可能になる。本実施形態においても、第1の実施形態と同じ効果を奏することは可能である。
【0046】
なお、本発明は、上記第1及び第2の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、撮像画像Giの時間的変化の検出は、時間的に前の撮像画像Giと現在の撮像画像Giとのパターンマッチングを行い、それらが一致しているか否かを検出することにより行われてもよい。また、画像処理部6により記憶される画像Gと撮像画像Giとを比較することにより、画像指示の検出が行われても構わない。また、画像指示の有無の判断は、画像Gが指示手段により指示されている時間や、画像G上での指示手段の動き、例えばその速度等に基づいて行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成図。
【図2】上記装置の撮像部による撮像画像を示す図。
【図3】(a)はユーザによる画像指示時の様子を示す図、(b)はその時の撮像画像を示す図。
【図4】上記装置による画像切り替え表示の一例を示す図。
【図5】画像が表示される平面と上記装置との間の距離に応じた画像変化を示す図。
【図6】(a)は上記装置が画像を平面の斜め横から投影しているときの様子を示す斜視図、(b)はそのときの上記撮像部による撮像画像を示す図、(c)は画像が表示される平面が曲面を形成しているときの様子を示す斜視図、(d)はそのときの同撮像部による撮像画像を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置が平面の斜め横から画像を投影しているときの撮像画像の内角を示す図。
【図8】(a)は上記装置が平面の斜め横で上記とは異なる方向から画像を投影しているときの様子を示す斜視図、(b)はそのときの撮像画像の内角を示す図、(c)は同装置が平面の斜め上方から画像を投影しているときの様子を示す斜視図、(d)はそのときの撮像画像の内角を示す図、(e)は同装置が平面の斜め下方から画像を投影しているときの様子を示す斜視図、(f)はそのときの撮像画像の内角を示す図。
【図9】画像が表示される平面の水平断面が曲がっているときの上記装置による撮像画像の内角及び撮像基準マークの傾きを示す図。
【図10】(a)は上記平面の水平断面が上記とは異なる方向に曲がっているときの様子を示す斜視図、(b)はそのときの撮像画像の内角及び撮像基準マークの傾きを示す図、(c)は同平面の縦断面が曲がっているときの様子を示す斜視図、(d)はそのときの撮像画像の内角及び撮像基準マークの傾きを示す図、(e)は同平面の縦断面が上記とは異なる方向に曲がっているときの様子を示す斜視図、(f)はそのときの撮像画像の内角及び撮像基準マークの傾きを示す図。
【図11】(a)は上記装置が画像を平面の斜め横から投影しているときの同装置による画像補正前の撮像画像を示す図、(b)は同装置による画像補正時の投影画像を示す図、(b)はその時の実際の表示画像の図。
【図12】(a)は画像が表示される平面が曲面を形成しているときの上記装置による画像補正前の撮像画像を示す図、(b)は同装置による画像補正時の投影画像を示す図、(b)はその時の実際の表示画像の図。
【図13】従来の画像表示装置の構成図。
【符号の説明】
【0048】
1 画像表示装置
2 LD(光源)
3 LD駆動部(光源)
4 光走査デバイス(走査手段)
5 撮像部(撮像手段)
6 画像処理部(判別手段)
7 制御部
8 フィルタ
G 画像
Gi 撮像画像
F 指
M 基準マーク
Mi 撮像基準マーク
P 平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を平面上に2次元走査する走査手段と、
前記走査手段と同期して可視光を変調し出射することで平面上に画像を表示可能な光源と、を備えた画像表示装置において、
前記光源により平面上に表示された画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像される画像の時間的変化に基づいて、画像上の任意の位置を指示するために用いられる指示手段の有無を判別する判別手段と、を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
画像が表示される平面と前記撮像手段との間に、前記光源からの光と同一色の光のみを透過するフィルタが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記光源は、平面上にさらに基準マークを表示可能であり、
前記撮像手段は、前記光源により平面上に表示された基準マークを撮像し、
前記判別手段は、前記撮像手段により撮像された画像を基準マークに基づいて分割し、分割された画像ごとにその時間的変化を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記撮像手段により撮像された基準マークの傾き及び/又は歪みを検出し、
前記光源は、前記判別手段による検出結果に応じて画像を補正することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記判別手段が、前記分割された画像のうちの特定の画像上で前記指示手段を検出したとき、前記光源は平面上の画像を切り替え表示することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−43157(P2009−43157A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209748(P2007−209748)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】