画像表示装置
【課題】双方向の線順次走査を行う画像表示装置において、スペックルノイズを有効に低減しつつ、投射スポットの位置ずれを適切に補正する。
【解決手段】レーザ制御部は、順方向走査時には、波形パターンGPT,BPTを時間軸上で反転させて波形パターンを設定する。さらに、レーザ制御部は、逆方向走査時には、順方向走査時の波形パターンを、時間軸上で反転させて波形パターンを設定する。波形パターンRPT,GPT,BPTは、画素表示期間内にレーザ光源の駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有している。画素表示期間の開始タイミングから駆動開始タイミングまでのオフ期間と、駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでのオフ期間は、時間軸上で非対称に設けられている。
【解決手段】レーザ制御部は、順方向走査時には、波形パターンGPT,BPTを時間軸上で反転させて波形パターンを設定する。さらに、レーザ制御部は、逆方向走査時には、順方向走査時の波形パターンを、時間軸上で反転させて波形パターンを設定する。波形パターンRPT,GPT,BPTは、画素表示期間内にレーザ光源の駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有している。画素表示期間の開始タイミングから駆動開始タイミングまでのオフ期間と、駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでのオフ期間は、時間軸上で非対称に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の走査によって投射面上に画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、3つのレーザ光源からそれぞれ出射される赤青緑の各成分のレーザ光を合成したカラー光を走査ミラーで反射し、投射面上に投影することによって、この投射面上に画像を表示するレーザプロジェクタが開示されている。走査ミラーは2軸方向に変位自在であり、ミラー固有の共振周波数でミラーの振れ角を変位させる。これによって、投射面上におけるある水平ラインで一方向にレーザスポットを進め(順方向走査)、次の直下の水平ラインで逆方向にレーザスポットを戻す(逆方向走査)といった双方向の線順次走査が交互に繰り返され、投射面上に1フレームの画像が表示される。このようなレーザプロジェクタでは、レーザ光固有のコヒーレンス性(可干渉性)に起因して、スペックルノイズと呼ばれる微小な斑点状のチラツキが問題となる。スペックルノイズを低減するために、従来から様々な手法が提案されているが、その一つとして、特許文献2にはレーザ光源の緩和振動を用いる手法が開示されている。この手法では、オンおよびオフを交互に繰り返す矩形状の波形パターンを用いて、レーザ光源を駆動させる。レーザ光源は、オフからオンへ立ち上がるタイミングで緩和振動を開始し、その後のオン期間において緩和振動を継続する。このオン期間は、緩和振動が収束する時間と同等、または、それよりも短く設定されている。したがって、オン期間の全域に亘って、レーザ光源の出力レベルが不安定に変動し、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。
【0003】
ところで、上述した特許文献1では、3つのレーザ光源から出射されるレーザ光を合成してカラー光としているので、各レーザ光源の光軸は一致していることが望ましい。しかしながら、レーザ光源等の物理的な取付精度に起因して、各色成分のレーザ光源の光軸が完全には一致せず、投射面上におけるレーザ光の投射位置(投射スポットの位置)にずれが生じ得る。このような位置ずれを補正するために、特許文献3には、レーザ光源をオフからオンへ立ち上げるタイミング、すなわちレーザ光の出射開始タイミングを位置ずれの量に応じて色成分毎に調整する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−175428号公報
【特許文献2】特開2001−189520号公報
【特許文献3】特開平6−202017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、投射スポットの位置ずれを時間的に補正する特許文献3は、すべての走査線を一方向に線順次走査するものにすぎず、特許文献1に開示されているような双方向の線順次走査への適用については何ら考慮されていない。ここで、順方向走査時(例えば左から右への走査時)に、赤成分の投射スポットに対して青成分のそれが走査遅れ方向(左側)にずれている場合について考える。この場合、走査遅れが生じている青成分の出射開始タイミングを赤成分のそれよりも遅らせれば、青成分の位置ずれを低減できる。しかしながら、逆方向走査時(右から左への走査時)においても、順方向走査と同様、青成分の出射開始タイミングを遅らせてしまうと、青成分の位置ずれが却って増大されてしまう。なぜなら、逆方向走査時には、順方向走査時とは異なり、赤成分の投射スポットに対して青成分のそれが時間進み方向(左側)にずれるからである。
【0006】
そこで、本発明の目的は、双方向の線順次走査を行う画像表示装置において、スペックルノイズを有効に低減しつつ、投射スポットの位置ずれを適切に補正することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、第1のレーザ光源と、第2のレーザ光源と、レーザ走査部と、レーザ制御部とを有し、レーザ光を投射面に投影することによって、投射面上に画像を表示する画像表示装置を提供する。第1のレーザ光源は、第1のレーザ光を出射する。第2のレーザ光源は、第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する。レーザ走査部は、順方向走査と、順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、第1のレーザ光と、第2のレーザ光とを投射面上に投射する。レーザ制御部は、順方向走査時には、画素表示期間内において、第1のレーザ光源に対して走査遅れ方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源の駆動開始タイミングよりも遅くし、逆方向走査時には、画素表示期間内において、第1のレーザ光源に対して走査進み方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源の駆動開始タイミングをよりも早くする。
【0008】
ここで、第1の発明において、レーザ制御部は、順方向走査時には、画素表示期間内において、第2のレーザ光源の駆動終了タイミングを第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも遅くし、逆方向走査時には、画素表示期間内において、第2のレーザ光光源の駆動終了タイミングを第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも早くすることが好ましい。
【0009】
第2の発明は、第1のレーザ光源と、第2のレーザ光源と、レーザ走査部と、レーザ制御部とを有し、レーザ光を投射面に投影することによって、投射面上に画像を表示する画像表示装置を提供する。第1のレーザ光源は、第1のレーザ光を出射する。第2のレーザ光源は、第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する。レーザ走査部は、順方向走査と、順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、第1のレーザ光と、第2のレーザ光とを投射面上に投射する。レーザ制御部は、順方向走査時には、画素表示期間の開始タイミングからレーザ光源の駆動開始タイミングまでの第1のオフ期間と、レーザ光源の駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでの第2のオフ期間とが時間軸上で非対称に設けられた第1の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンを時間軸上で反転させた第2の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御するとともに、逆方向走査時には、第2の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御する。
【0010】
ここで、第2の発明において、第1のオフ期間および第2のオフ期間では、表示階調に関わりなく、レーザ光源に供給される駆動電流がバイアス電流以下に設定されることが好ましい。
【0011】
また、第1または第2の発明において、第1のレーザ光源における駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの第1の駆動期間は、第2のレーザ光源における駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの第2の駆動期間と同一であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、第1のレーザ光源および第2のレーザ光源は、1画素の表示期間を規定する画素表示期間内において、駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有しているので、レーザ光源の緩和振動が画素毎に行われる。この緩和振動によって、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。また、順方向走査時には、第1のレーザ光源に対して走査遅れ方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源のそれよりも遅くすることで、順方向走査における第2のレーザ光源の位置ずれが低減される。一方、逆方向走査時には、第1のレーザ光源に対して走査進み方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源のそれよりも早くすることで、逆方向走査における第2のレーザ光源の位置ずれが低減される。これにより、順方向走査および逆方向走査の双方において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【0013】
第2の発明によれば、第1のレーザ光源および第2のレーザ光源は、画素表示期間内において、駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有しているので、レーザ光源の緩和振動が画素毎に行われる。この緩和振動によって、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。また、順方向走査時には、第1のオフ期間と、第2のオフ期間とが時間軸上で非対称に設けられた第1の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンを時間軸上で反転させた第2の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御することで、第1の波形パターンと、第2の波形パターンとでレーザ光源の駆動開始タイミングを前後させることができる。したがって、順方向走査における投射スポットの位置ずれが低減される。一方、逆方向走査時には、第2の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御するので、第1のレーザ光源および第2のレーザ光源の駆動開始タイミングは、順方向走査時とは逆になる。したがって、逆方向走査における投射スポットの位置ずれが低減される。これにより、順方向走査および逆方向走査の双方において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るレーザプロジェクタのブロック構成図
【図2】第1の実施形態に係るレーザ制御部のブロック構成図
【図3】第1の実施形態に係る投射スポットの位置ずれの一例を示す図
【図4】第1の実施形態に係る投射面上に表示される画像を示す図
【図5】第1の実施形態に係る垂直方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図
【図6】第1の実施形態に係る水平方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図
【図7】第1の実施形態に係るピクセル単位で位置ずれの補正を行ったときに投射面上に表示される画素の状態を示す図
【図8】第1の実施形態に係る水平方向の位置ずれをサブピクセル単位で補正している状態を示す図
【図9】第1の実施形態に係る画素表示期間内における波形パターンの拡大図
【図10】第1の実施形態に係る投射スポットの位置ずれの量を計測している状態を示す図
【図11】第1の実施形態に係る計測器による計測結果の一例を示す図
【図12】第2の実施形態に係る画素表示期間内における波形パターンの拡大図
【図13】第2の実施形態に係る投射面上に表示されるレーザ光と画素との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るレーザプロジェクタのブロック構成図である。このレーザプロジェクタ1は、レーザ光源2a〜2cと、各種の光学素子3〜5と、走査ミラー6と、各種の駆動・制御ユニット7〜11を主体に構成されている。レーザプロジェクタ1は、赤青緑の各成分のレーザ光を合成した上で、スクリーンや壁などの投射面Aに投影することによって、映像信号に応じたカラー画像を投射面A上に表示する。レーザプロジェクタ1は、指向性が極めて高いレーザ光を利用しているため、投射面Aまでの距離に応じたフォーカス調整が不要といった優れた利点を有している。
【0016】
それぞれのレーザ光源2a〜2cは、レーザドライバ11から個別に供給される駆動電流によって互いに独立して駆動する。これによって、レーザ光源2aからは青成分(B)、レーザ光源2bからは緑成分(G)、レーザ光源2cからは赤成分(R)といった如く、特定の波長のレーザ光が出射される。ダイクロックミラー3,4は、特定波長のレーザ光のみを透過し、それ以外を反射することによって、レーザ光源2a〜2cから出射された各色成分のレーザ光を合成する。具体的には、レーザ光源2a,2bから出射された青成分および緑成分のレーザ光は、光路上流側のダイクロックミラー3において合成された上で、光路下流側のダイクロックミラー4に出射される。この出射された合成光は、ダイクロックミラー4においてレーザ光源2cから出射された赤成分のレーザ光と更に合成され、目標となる最終的なカラー光として出射される。この出射されたカラー光は、レンズ5を介して、レーザ走査部の一例としての走査ミラー6に入射される。
【0017】
走査ミラー6は、自己に入射したカラー光を、自己の振れ角(位相)に応じて反射して投射面A上に投射する。この走査ミラー6は、投射面Aの水平方向Xおよび垂直方向Yに対応した二次元的な自由度を有しており、その二次元的な変位に対応した線順次走査によって、投射面A上に画像を形成する。この線順次走査は、投射面A上におけるある水平ラインで一方向にレーザスポットpを進め、次の水平ラインで逆方向にレーザスポットpを戻すことの繰り返しによって、1フレーム内で連続して行われる。本実施形態では、線順次走査は、ある水平ラインで左から右の方向(順方向)に走査し、次の水平ラインで右から左の方向(逆方向)に走査する。なお、これとは逆に、順方向を右から左の方向とし、逆方向を左から右の方向としてもよい。走査ミラー6には、その駆動の仕方に応じていくつかのタイプが存在し、いずれを用いてもよい。このタイプは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたものが容易に入手可能であり、装置全体の小型化、低消費電力化および処理の高速化を図る上で有利である。ミラーの走査を電磁駆動にて行う場合の動作原理は、概ね以下の通りである。レーザ光を反射するミラーは、互いに直交する2つの回転軸を介して基板に取り付けられている。水平走査用のコイルに駆動電流が流れた場合、このコイルに対応した永久磁石との間に電磁力が生じ、この電磁力によって、基板に取り付けられたミラーが一方の回転軸に沿って揺動する(水平走査)。また、垂直走査用のコイルに駆動電流が流れた場合、このコイルに対応した別の永久磁石との間に電磁力が生じ、この電磁力によって、基板に取り付けられたミラーが他方の回転軸に沿って揺動する(垂直走査)。水平/垂直走査用の駆動電流は、ミラーの寸法、材料の密度、固さ等によって特定される固有の共振周波数を有しており、この共振周波数でミラーを二次元的に変位させることによって、最も大きな振れ角でミラーが連続的に振動する。なお、電磁駆動型ミラーの詳細については、特開2009−258321号公報に開示されているので、必要ならば参照されたい。また、電磁駆動型走査ミラーの中には、水平走査のみを共振周波数駆動にて行い、垂直走査についてはDC駆動(電流のレベルによって位相を制御するもの)にて行うタイプも存在し、このタイプを走査ミラー6として用いてもよい。
【0018】
走査ミラードライバ7は、走査ミラー6に駆動電流を供給することによって、走査ミラー6を駆動させる。それとともに、走査ミラードライバ7は、走査ミラー6の現在の位置(位相)を検出する。この検出された位置情報は、位置検出信号として走査ミラー制御部8に通知される。走査ミラー6の位置検出は、例えば、上述したミラーと基板の間を連結する回転軸(二軸)にねじれセンサを設け、ミラーの振れ角と連動する回転軸のねじれ角をねじれセンサで検出することによって、行うことができる。また、走査ミラー6の近傍に受光素子(フォトダイオード等)を配置し、ミラーの振れ角と連動する反射光の位置を受光素子で検出することによって、走査ミラー6の位置を検出してもよい。
【0019】
走査ミラー制御部8は、走査ミラー6に入射されるレーザ光が所定の画像領域を所定の周波数で走査するように、走査ミラー6を制御する。この制御は、走査ミラー制御部8が走査ミラードライバ7に駆動信号を出力することによって行われる。また、走査ミラー制御部8は、走査ミラードライバ7からの位置検出信号に基づいて、水平同期信号HSNCおよび垂直同期信号VSNCを生成し、これらを映像処理部9に出力する。レーザ光源2a〜2cからのレーザ光の出射タイミングは、走査ミラー6の位相制御と同期して行う必要があり、この同期を取るために水平/垂直同期信号HSNC,VSNCが用いられる。すなわち、本レーザプロジェクタ1では、走査ミラー6の駆動が主体となり、内部生成された水平/垂直同期信号HSNC,VSNCに基づいて、走査ミラー6の駆動と同期するようにレーザ光源2a〜2cが従動的に駆動する。
【0020】
映像処理部9は、外部装置から供給された入力映像信号(映像データ)を、外部装置から供給された同期信号によって規定されたタイミングで、図示しないフレームバッファに随時書き込む。また、映像処理部9は、走査ミラー制御部8から供給された水平/垂直同期信号HSNC,VSNCによって規定されたタイミングで、フレームバッファに格納された映像データを順次読み出し、レーザ制御部10に転送する。
【0021】
レーザ制御部10は、映像処理部9から順次転送された映像データに基づいて、それぞれの画素に関する駆動電流Idと、これに適用すべき波形パターンPTとを色成分毎に決定する。それぞれのレーザ光源2a〜2cは、色成分毎に設定された駆動電流Idおよび波形パターンPTに基づき、レーザドライバ11を介して個別に制御・駆動される。
【0022】
図2は、レーザ制御部10のブロック構成図である。このレーザ制御部10は、メモリ10aと、波形パターン設定回路10bと、駆動電流設定回路10cとを有する。メモリ10aは、レーザ制御部10で用いられる各種情報、特に、波形パターンを色成分毎に規定する情報を記憶する。波形パターン設定回路10bは、外部装置から入力された映像データと、メモリ10aから読み出された情報とに基づいて、レーザ光源2a〜2cにレーザ光を出射させるための波形パターンPTを設定する。駆動電流設定回路10cは、メモリ10aから読み出された情報と、色成分毎に用意された駆動電流テーブルとを参照して、表示すべき階調データDに応じた駆動電流Idを生成・出力する。この駆動電流テーブルには、それぞれの階調で設定すべき電流レベルが記述されており、これを参照することによって、表示すべき階調データDに対応する駆動電流Idが一義的に特定される。以上のようにして、ある画素の色成分毎に特定された駆動電流Idおよび波形パターンPTは、その画素の表示期間の開始タイミングで、レーザドライバ11に出力される。
【0023】
レーザドライバ11は、それぞれの色成分に関して、レーザ制御部10から出力された波形パターンPTを用いて駆動電流Idを変調し、変調された駆動電流をレーザ光源2a〜2cに出力する。これにより、レーザ光源2a〜2cは、表示すべき階調に応じた出力レベルのレーザ光を波形パターンPTにしたがって出射する。各色成分の出射光を合成した最終的なカラー光は、レーザ光の出射と同期して位置制御される走査ミラー6に導かれて、投射面A上の所望の画素位置に投射される。
【0024】
図3は、投射スポットの位置ずれの一例を示す図である。レーザ光源2a〜2c等の物理的な取付精度に起因して、レーザ光源2a〜2cの光軸が完全には一致せず、投射スポットの位置にずれが生じる場合がある。同図の例では、Bのレーザ光は、Gのレーザ光に対して水平方向Xに−1ピクセル、垂直方向Yに+1ピクセルの位置ずれが生じ、Rのレーザ光は、Gのレーザ光に対して水平方向Xに約+1.2ピクセル、垂直方向Yに−1ピクセルの位置ずれが生じている。
【0025】
図4は、投射面上に表示される画像を示す図である。各色成分の投射スポットの位置的関係は不変なので、これらの位置ずれは、線順次走査によって投射面A上に表示される1フレームの画像の位置ずれとなり、画質の低下に直結する。このような画質の低下を抑制すべく、レーザ制御部10は、駆動電流Idを変調する波形パターンPTを色成分毎に個別に設定し、色成分間における投射スポットの相対的な位置ずれを補正する。具体的には、メモリ10aには、ピクセル(画素)単位で投射スポットの位置ずれを補正するための画素補正用データと、1ピクセルより小さい分解能のサブピクセル単位で投射スポットの位置ずれを補正するためのサブ画素補正用データとが記憶されている。レーザ制御部10は、映像データと、メモリ10aから読み出された情報とに基づいて、表示すべき階調に応じた駆動電流Idと共に、この駆動電流Idの変調に適用する波形パターンPTを設定する。以下では、画素補正用データに基づくピクセル単位の位置ずれの補正と、サブ画素補正用データに基づくサブピクセル単位の位置ずれの補正とを分けて説明する。
【0026】
図5は、垂直方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図である。ここで、階調データD(RD,GD,BD)におけるLineの後の添字は、映像データにおける水平ラインの行数(Y座標)を示している。具体的には、駆動電流設定回路10cは、メモリ10aから読み出された画素補正用データに基づいて、水平同期信号HSNCによって規定される水平走査期間の整数倍で、各色成分の階調データRD,GD,BDの表示タイミングを補正する。図3の例で説明すると、青成分の投射スポットBは、緑成分の投射スポットGに対して1水平ライン分進んでいるので(Y方向に+1)、青成分の階調データBDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1水平走査期間だけ早くする。また、赤成分の投射スポットRは、緑成分の投射スポットGに対して1水平ライン分遅れているので(Y方向に−1)、赤成分の階調データRDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1水平走査期間だけ遅くする。これにより、ある水平走査期間において、赤成分はR_Line0、緑成分はG_Line1、青成分はB_Line2といった如く、色成分毎に異なる水平ラインを対象にした走査が同時並行的に行われる。このように、各色成分の投射スポットR,G,BのY方向の位置ずれを予め見越した上で、色成分毎に異なる水平ラインの走査を行えば、Y方向の位置ずれを時間的に補正できる。
【0027】
図6は、水平方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図である。ここで、図6(a),(b)は、図5の領域A,Bに該当する期間におけるドットクロックDCLK、波形パターンPT(RPT,GPT,BPT)、および階調データDをそれぞれ示している。また、階調データDにおけるRGBの後の添字は、映像データにおけるY座標を示し、Xの後の添字は、X座標を示している。具体的には、駆動電流設定回路10cは、順方向走査時(走査方向がX軸正側の時)には、メモリ10aから読み出された画素補正用データに基づいて、ドットクロックDCLKによって規定される画素表示期間の整数倍で、各色成分の階調データRD,GD,BDの表示タイミングを補正する。図3の例で説明すると、青成分の投射スポットBは、緑成分の投射スポットGに対して1画素分遅れているので(X方向に−1)、青成分の階調データBDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1画素表示期間だけ遅くする。また、赤成分の投射スポットRは、緑成分の投射スポットGに対して1画素表示期間分進んでいるので(X方向に+1)、赤成分の階調データRDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1画素表示期間だけ早くする。これにより、ある画素表示期間において、赤成分はR0_X1−1、緑成分はG1_X1、青成分はB2_X1+1といった如く、色成分毎に異なる画素を対象にした走査が同時並行的に行われる。このように、各色成分の投射スポットR,G,BのX方向の位置ずれを予め見越した上で、色成分毎に異なる画素の走査を行えば、X方向の位置ずれを時間的に補正できる。
【0028】
なお、垂直/水平方向におけるピクセル単位の位置ずれの補正の詳細については、特願2009−187225に開示されているので、必要ならば参照されたい。
【0029】
図7は、ピクセル単位で位置ずれの補正を行ったときに投射面上に表示される画素の状態を示す図である。図3の例では、Rのレーザ光は、Gのレーザ光に対して水平方向Xに約+1.2ピクセルの位置ずれが生じている。したがって、ピクセル単位の位置ずれの補正では、Rのレーザ光におけるサブピクセル単位の位置ずれを補正することはできない(図7(a)参照)。そこで、波形パターン設定回路10bは、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、波形パターンPTを設定する。これにより、レーザ制御部10は、サブピクセル単位の位置ずれを補正している(図7(b)参照)。
【0030】
図8は、水平方向の位置ずれをサブピクセル単位で補正している状態を示す図である。波形パターン設定回路10bは、順方向走査時には、Rのレーザ光におけるサブピクセル単位の位置ずれを補正するために、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、波形パターンGPT,BPTを時間軸上で反転させて設定する。すなわち、サブ画素補正用データは、各波形パターンPTのうち、どの波形パターンを反転させるかを示すデータである。さらに、波形パターン設定回路10bは、逆方向走査時には、順方向走査時の波形パターンPTを、それぞれ時間軸上で反転させて設定する。換言すれば、波形パターン設定回路10bは、逆方向走査時には、波形パターンGPT,BPTにしたがってレーザ光源2cから出射されるRのレーザ光の出力レベルを制御し、波形パターンRPTにしたがってレーザ光源2a,2bから出射されるG,Bのレーザ光の出力レベルを制御する。なお、本実施形態では、波形パターンPTの駆動期間(レーザ光源の駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの期間)は同一に設定されている。すなわち、各波形パターンPTを単位周期の繰り返しによって生成しているので、ドットクロックDCLKからの生成が容易であり、回路設計上有利である。
【0031】
図9は、画素表示期間内における波形パターンの拡大図である。なお、図9の上の波形パターンは、順方向走査時の波形パターンGPT,BPTであり、下の波形パターンは、順方向走査時の波形パターンRPTである。各波形パターンPTは、画素表示期間内にレーザ光源の駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有している。そして、画素表示期間の開始タイミングから駆動開始タイミングまでのオフ期間と、駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでのオフ期間は、時間軸上で非対称に設けられている。なお、オフ期間では、駆動電流Idは、表示階調に関わりなく、レーザ光源2a〜2cのバイアス電流以下に設定される。また、駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでのオフ期間は、次の画素表示期間における駆動開始タイミングに備えるという意味もあるが、隣接した画素間における混色を抑制するブランキングとしての意味合いもある。このような波形パターンPTを、時間軸上で反転させると、レーザ光源の駆動開始タイミングを前後させることができる。具体的には、波形パターン設定回路10bは、波形パターンGPT,BPTを反転させることによって、順方向走査時には、波形パターンRPTにおける駆動開始タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動開始タイミングよりも早く設定している。一方、逆方向走査時には、前述したように、波形パターンPTは、それぞれ時間軸上で反転しているので、波形パターンRPTにおける駆動開始タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動開始タイミングよりも遅く設定している。したがって、レーザ制御部10は、Rのレーザ光におけるサブピクセル単位の位置ずれを補正することができる。なお、本実施形態では、波形パターンPTの駆動期間は同一に設定されているので、順方向走査時には、波形パターンRPTにおける駆動終了タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動終了タイミングよりも早く設定し、逆方向走査時には、波形パターンRPTにおける駆動終了タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動終了タイミングよりも遅く設定していることとなる。したがって、レーザ光源の駆動開始タイミングを変更した場合であっても走査方向における1画素の幅を維持することができ、投射スポットの位置ずれを適切に補正することができる。
【0032】
図10は、投射スポットの位置ずれの量を計測している状態を示す図である。メモリ10aに記憶されている画素補正用データおよびサブ画素補正用データは、投射スポットの位置ずれの量を計測することで決定される。投射スポットの位置ずれの量は、例えば、レーザプロジェクタ1から出射されるレーザ光の光路上にレーザ光を検出する光検出器PDを設置し、光検出器PDから出力される光検出信号と、レーザプロジェクタ1から出力されるスタート信号とに基づいて、投射スポットの位置ずれの量を計測する計測器MIを用いて計測することができる。具体的には、レーザプロジェクタ1は、光検出器PDを通過するように水平方向Xまたは垂直方向Yに走査し、走査ミラー6が所定の位置となったときにRGBのうち、いずれか1つのレーザ光を出射させるとともに、計測器MIにスタート信号を出力する。そして、計測器MIは、スタート信号が入力されてから光検出器PDにてレーザ光が検出されるまでの時間を計測することによって、投射スポットの位置ずれの量を計測する。
【0033】
図11は、計測器による計測結果の一例を示す図である。ここで、図11(a)は、垂直方向Yにおける各投射スポットの位置ずれの量の計測結果であり、図11(b)は、水平方向Xにおける各投射スポットの位置ずれの量の計測結果である。そして、計測器MIにて計測された各投射スポットの位置ずれの量(trv,tgv,tbv,trh,tgh,tbh)に基づいて、画素補正用データおよびサブ画素補正用データを決定してメモリ10aに記憶させる。
【0034】
具体的には、まず、計測器MIにて計測された各投射スポットの位置ずれの量をピクセル単位でスケーリングする。次に、RGBのレーザ光のうち、いずれか1つを基準として他のレーザ光の相対的な位置ずれの量を算出することで画素補正用データおよびサブ画素補正用データを決定する。ここで、垂直方向Yについては、サブピクセル単位での補正を行わないので、四捨五入などで位置ずれ量を丸めて画素補正用データのみを決定する。また、水平方向Xについては、サブピクセル単位での補正を行うので、各位置ずれの量を整数部と小数部とに分けて、整数部によって画素補正用データを決定し、小数部によってサブ画素補正用データを決定する。なお、上述したように、サブ画素補正用データは、各波形パターンPTのうち、どの波形パターンを反転させるかを定めている。反転させる波形パターンPTによってサブピクセル単位の補正結果が異なるので、サブ画素補正用データは、各位置ずれの量の小数部に基づいて、最も効率よく補正をすることができるように決定される。
【0035】
このように、本実施形態によれば、波形パターンPTは、画素表示期間内において、駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有しているので、レーザ光源の緩和振動が画素毎に行われる。この緩和振動によって、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。また、波形パターン設定回路10bは、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、波形パターンGPT,BPTを時間軸上で反転させて設定し、逆方向走査時には、順方向走査時の波形パターンPTを、それぞれ時間軸上で反転させて設定する。したがって、順方向走査および逆方向走査の双方において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【0036】
(第2の実施形態)
図12は、本実施形態に係る画素表示期間内における波形パターンの拡大図である。本実施形態の特徴は、波形パターンPTにおける駆動開始タイミングを可変とし、駆動開始タイミングをサブ画素補正用データとしてメモリ10aに記憶させている点にある。なお、それ以外については、上述した第1の実施形態と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0037】
具体的には、波形パターン設定回路10bは、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、水平方向Xの位置ずれに応じた波形パターンPTを設定する。例えば、図12の最上段の波形パターンPTN1は、画素表示期間をtとしたときにドットクロックDCLKの立ち上がりタイミングから0.125t後に駆動開始タイミングを有する波形パターンである。また、波形パターンPTN2〜5は、波形パターンPTN1における駆動開始タイミングから0.125t刻みで駆動開始タイミングを遅らせた波形パターンである。なお、本実施形態では、波形パターンPTN1〜5における駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの期間は同一に設定されているが、駆動終了タイミングは可変としてもよい。ここで、1画素の輝度は、電流レベルのみで決まるわけではなく、画素表示期間における電流レベルと駆動期間の積によって決まる。したがって、波形パターンPTN1〜5の駆動期間が短くなるとレーザ光の輝度が低下することになる。このような場合には、例えば、駆動期間と電流レベルとの積が同じになるようにPTN1〜5の電流レベルに係数を乗じることでレーザ光の輝度を補償してもよい。
【0038】
図13は、投射面上に表示されるレーザ光と画素との関係を示す図である。投射面A上に表示されるレーザ光は、走査ミラー6による走査を行わない場合にはレーザスポットとなる。そして、走査ミラー6による走査が行われると、このスポットが投射面A上を移動して画素となる。ここで、例えば、画素の60%を走査ミラー6による走査で形成するとして(スポットは画素の40%)、PTN1〜5の0.125t刻みの駆動開始タイミングの遅れをピクセル単位でスケーリングすると、図12の括弧書きに示すように、0.0075ピクセル刻みとなる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様、スペックルノイズを有効に低減することができる。それとともに、レーザ制御部10は、0.0075ピクセル刻みのサブピクセル単位での位置ずれの補正をすることができる。したがって、双方向の順次走査において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【0040】
なお、上述した各実施形態では、立ち上がりタイミングから立ち下がりタイミングまでのオン期間を画素表示期間内に1つのみ有する波形パターンPTを設定する例について説明したが、画素表示期間内に複数のオン期間を有する波形パターンを設定しても構わない。なお、この場合には、駆動開始タイミングは、画素表示期間内の最初の立ち上がりタイミングであり、駆動終了タイミングは、画素表示期間内の最後の立ち下がりタイミングである。これにより、レーザ光源の緩和振動の時間総和を長くすることができるので、スペックルノイズを更に有効に低減させることができる。
【0041】
また、上述した各実施形態では、偶数ラインと、奇数ラインとで走査方向の異なる線順次走査によって、投射面A上に画像を形成する走査ミラー6をレーザ走査部の一例としていたが、レーザ走査部は、走査ミラー以外の他のデバイスによって構成されていてもよい。また、レーザ走査部は、2以上のライン毎に走査方向の異なる走査によって、投射面上に画像を形成するものであってもよい。
【0042】
また、上述した各実施形態では、単位周期の繰り返しによって、波形パターンPTを設定する例について説明したが、波形パターンPTとして周期性のないものを適用しても構わない。
【0043】
さらに、上述した実施形態では、異なる色成分(RGB)の合成光を表示する画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のレーザ光源から出射された同じ色成分のレーザ光を合成する形態にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明は、レーザプロジェクタに代表されるように、レーザ光を投射面に投影することによって、投射面上に画像(1画素によって構成されたものも含む)を階調表示する各種の画像表示装置に対して、広く適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 レーザプロジェクタ
2a〜2c レーザ光源
3,4 ダイクロックミラー
5 レンズ
6 走査ミラー
7 走査ミラードライバ
8 走査ミラー制御部
9 映像処理部
10 レーザ制御部
10a メモリ
10b 駆動電流設定回路
10c 波形パターン設定回路
11 レーザドライバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の走査によって投射面上に画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、3つのレーザ光源からそれぞれ出射される赤青緑の各成分のレーザ光を合成したカラー光を走査ミラーで反射し、投射面上に投影することによって、この投射面上に画像を表示するレーザプロジェクタが開示されている。走査ミラーは2軸方向に変位自在であり、ミラー固有の共振周波数でミラーの振れ角を変位させる。これによって、投射面上におけるある水平ラインで一方向にレーザスポットを進め(順方向走査)、次の直下の水平ラインで逆方向にレーザスポットを戻す(逆方向走査)といった双方向の線順次走査が交互に繰り返され、投射面上に1フレームの画像が表示される。このようなレーザプロジェクタでは、レーザ光固有のコヒーレンス性(可干渉性)に起因して、スペックルノイズと呼ばれる微小な斑点状のチラツキが問題となる。スペックルノイズを低減するために、従来から様々な手法が提案されているが、その一つとして、特許文献2にはレーザ光源の緩和振動を用いる手法が開示されている。この手法では、オンおよびオフを交互に繰り返す矩形状の波形パターンを用いて、レーザ光源を駆動させる。レーザ光源は、オフからオンへ立ち上がるタイミングで緩和振動を開始し、その後のオン期間において緩和振動を継続する。このオン期間は、緩和振動が収束する時間と同等、または、それよりも短く設定されている。したがって、オン期間の全域に亘って、レーザ光源の出力レベルが不安定に変動し、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。
【0003】
ところで、上述した特許文献1では、3つのレーザ光源から出射されるレーザ光を合成してカラー光としているので、各レーザ光源の光軸は一致していることが望ましい。しかしながら、レーザ光源等の物理的な取付精度に起因して、各色成分のレーザ光源の光軸が完全には一致せず、投射面上におけるレーザ光の投射位置(投射スポットの位置)にずれが生じ得る。このような位置ずれを補正するために、特許文献3には、レーザ光源をオフからオンへ立ち上げるタイミング、すなわちレーザ光の出射開始タイミングを位置ずれの量に応じて色成分毎に調整する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−175428号公報
【特許文献2】特開2001−189520号公報
【特許文献3】特開平6−202017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、投射スポットの位置ずれを時間的に補正する特許文献3は、すべての走査線を一方向に線順次走査するものにすぎず、特許文献1に開示されているような双方向の線順次走査への適用については何ら考慮されていない。ここで、順方向走査時(例えば左から右への走査時)に、赤成分の投射スポットに対して青成分のそれが走査遅れ方向(左側)にずれている場合について考える。この場合、走査遅れが生じている青成分の出射開始タイミングを赤成分のそれよりも遅らせれば、青成分の位置ずれを低減できる。しかしながら、逆方向走査時(右から左への走査時)においても、順方向走査と同様、青成分の出射開始タイミングを遅らせてしまうと、青成分の位置ずれが却って増大されてしまう。なぜなら、逆方向走査時には、順方向走査時とは異なり、赤成分の投射スポットに対して青成分のそれが時間進み方向(左側)にずれるからである。
【0006】
そこで、本発明の目的は、双方向の線順次走査を行う画像表示装置において、スペックルノイズを有効に低減しつつ、投射スポットの位置ずれを適切に補正することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、第1のレーザ光源と、第2のレーザ光源と、レーザ走査部と、レーザ制御部とを有し、レーザ光を投射面に投影することによって、投射面上に画像を表示する画像表示装置を提供する。第1のレーザ光源は、第1のレーザ光を出射する。第2のレーザ光源は、第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する。レーザ走査部は、順方向走査と、順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、第1のレーザ光と、第2のレーザ光とを投射面上に投射する。レーザ制御部は、順方向走査時には、画素表示期間内において、第1のレーザ光源に対して走査遅れ方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源の駆動開始タイミングよりも遅くし、逆方向走査時には、画素表示期間内において、第1のレーザ光源に対して走査進み方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源の駆動開始タイミングをよりも早くする。
【0008】
ここで、第1の発明において、レーザ制御部は、順方向走査時には、画素表示期間内において、第2のレーザ光源の駆動終了タイミングを第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも遅くし、逆方向走査時には、画素表示期間内において、第2のレーザ光光源の駆動終了タイミングを第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも早くすることが好ましい。
【0009】
第2の発明は、第1のレーザ光源と、第2のレーザ光源と、レーザ走査部と、レーザ制御部とを有し、レーザ光を投射面に投影することによって、投射面上に画像を表示する画像表示装置を提供する。第1のレーザ光源は、第1のレーザ光を出射する。第2のレーザ光源は、第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する。レーザ走査部は、順方向走査と、順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、第1のレーザ光と、第2のレーザ光とを投射面上に投射する。レーザ制御部は、順方向走査時には、画素表示期間の開始タイミングからレーザ光源の駆動開始タイミングまでの第1のオフ期間と、レーザ光源の駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでの第2のオフ期間とが時間軸上で非対称に設けられた第1の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンを時間軸上で反転させた第2の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御するとともに、逆方向走査時には、第2の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御する。
【0010】
ここで、第2の発明において、第1のオフ期間および第2のオフ期間では、表示階調に関わりなく、レーザ光源に供給される駆動電流がバイアス電流以下に設定されることが好ましい。
【0011】
また、第1または第2の発明において、第1のレーザ光源における駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの第1の駆動期間は、第2のレーザ光源における駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの第2の駆動期間と同一であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、第1のレーザ光源および第2のレーザ光源は、1画素の表示期間を規定する画素表示期間内において、駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有しているので、レーザ光源の緩和振動が画素毎に行われる。この緩和振動によって、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。また、順方向走査時には、第1のレーザ光源に対して走査遅れ方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源のそれよりも遅くすることで、順方向走査における第2のレーザ光源の位置ずれが低減される。一方、逆方向走査時には、第1のレーザ光源に対して走査進み方向に投射位置がずれた第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを第1のレーザ光源のそれよりも早くすることで、逆方向走査における第2のレーザ光源の位置ずれが低減される。これにより、順方向走査および逆方向走査の双方において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【0013】
第2の発明によれば、第1のレーザ光源および第2のレーザ光源は、画素表示期間内において、駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有しているので、レーザ光源の緩和振動が画素毎に行われる。この緩和振動によって、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。また、順方向走査時には、第1のオフ期間と、第2のオフ期間とが時間軸上で非対称に設けられた第1の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンを時間軸上で反転させた第2の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御することで、第1の波形パターンと、第2の波形パターンとでレーザ光源の駆動開始タイミングを前後させることができる。したがって、順方向走査における投射スポットの位置ずれが低減される。一方、逆方向走査時には、第2の波形パターンにしたがって、第1のレーザ光源から出射される第1のレーザ光の出力レベルを制御し、第1の波形パターンにしたがって、第2のレーザ光源から出射される第2のレーザ光の出力レベルを制御するので、第1のレーザ光源および第2のレーザ光源の駆動開始タイミングは、順方向走査時とは逆になる。したがって、逆方向走査における投射スポットの位置ずれが低減される。これにより、順方向走査および逆方向走査の双方において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るレーザプロジェクタのブロック構成図
【図2】第1の実施形態に係るレーザ制御部のブロック構成図
【図3】第1の実施形態に係る投射スポットの位置ずれの一例を示す図
【図4】第1の実施形態に係る投射面上に表示される画像を示す図
【図5】第1の実施形態に係る垂直方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図
【図6】第1の実施形態に係る水平方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図
【図7】第1の実施形態に係るピクセル単位で位置ずれの補正を行ったときに投射面上に表示される画素の状態を示す図
【図8】第1の実施形態に係る水平方向の位置ずれをサブピクセル単位で補正している状態を示す図
【図9】第1の実施形態に係る画素表示期間内における波形パターンの拡大図
【図10】第1の実施形態に係る投射スポットの位置ずれの量を計測している状態を示す図
【図11】第1の実施形態に係る計測器による計測結果の一例を示す図
【図12】第2の実施形態に係る画素表示期間内における波形パターンの拡大図
【図13】第2の実施形態に係る投射面上に表示されるレーザ光と画素との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るレーザプロジェクタのブロック構成図である。このレーザプロジェクタ1は、レーザ光源2a〜2cと、各種の光学素子3〜5と、走査ミラー6と、各種の駆動・制御ユニット7〜11を主体に構成されている。レーザプロジェクタ1は、赤青緑の各成分のレーザ光を合成した上で、スクリーンや壁などの投射面Aに投影することによって、映像信号に応じたカラー画像を投射面A上に表示する。レーザプロジェクタ1は、指向性が極めて高いレーザ光を利用しているため、投射面Aまでの距離に応じたフォーカス調整が不要といった優れた利点を有している。
【0016】
それぞれのレーザ光源2a〜2cは、レーザドライバ11から個別に供給される駆動電流によって互いに独立して駆動する。これによって、レーザ光源2aからは青成分(B)、レーザ光源2bからは緑成分(G)、レーザ光源2cからは赤成分(R)といった如く、特定の波長のレーザ光が出射される。ダイクロックミラー3,4は、特定波長のレーザ光のみを透過し、それ以外を反射することによって、レーザ光源2a〜2cから出射された各色成分のレーザ光を合成する。具体的には、レーザ光源2a,2bから出射された青成分および緑成分のレーザ光は、光路上流側のダイクロックミラー3において合成された上で、光路下流側のダイクロックミラー4に出射される。この出射された合成光は、ダイクロックミラー4においてレーザ光源2cから出射された赤成分のレーザ光と更に合成され、目標となる最終的なカラー光として出射される。この出射されたカラー光は、レンズ5を介して、レーザ走査部の一例としての走査ミラー6に入射される。
【0017】
走査ミラー6は、自己に入射したカラー光を、自己の振れ角(位相)に応じて反射して投射面A上に投射する。この走査ミラー6は、投射面Aの水平方向Xおよび垂直方向Yに対応した二次元的な自由度を有しており、その二次元的な変位に対応した線順次走査によって、投射面A上に画像を形成する。この線順次走査は、投射面A上におけるある水平ラインで一方向にレーザスポットpを進め、次の水平ラインで逆方向にレーザスポットpを戻すことの繰り返しによって、1フレーム内で連続して行われる。本実施形態では、線順次走査は、ある水平ラインで左から右の方向(順方向)に走査し、次の水平ラインで右から左の方向(逆方向)に走査する。なお、これとは逆に、順方向を右から左の方向とし、逆方向を左から右の方向としてもよい。走査ミラー6には、その駆動の仕方に応じていくつかのタイプが存在し、いずれを用いてもよい。このタイプは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたものが容易に入手可能であり、装置全体の小型化、低消費電力化および処理の高速化を図る上で有利である。ミラーの走査を電磁駆動にて行う場合の動作原理は、概ね以下の通りである。レーザ光を反射するミラーは、互いに直交する2つの回転軸を介して基板に取り付けられている。水平走査用のコイルに駆動電流が流れた場合、このコイルに対応した永久磁石との間に電磁力が生じ、この電磁力によって、基板に取り付けられたミラーが一方の回転軸に沿って揺動する(水平走査)。また、垂直走査用のコイルに駆動電流が流れた場合、このコイルに対応した別の永久磁石との間に電磁力が生じ、この電磁力によって、基板に取り付けられたミラーが他方の回転軸に沿って揺動する(垂直走査)。水平/垂直走査用の駆動電流は、ミラーの寸法、材料の密度、固さ等によって特定される固有の共振周波数を有しており、この共振周波数でミラーを二次元的に変位させることによって、最も大きな振れ角でミラーが連続的に振動する。なお、電磁駆動型ミラーの詳細については、特開2009−258321号公報に開示されているので、必要ならば参照されたい。また、電磁駆動型走査ミラーの中には、水平走査のみを共振周波数駆動にて行い、垂直走査についてはDC駆動(電流のレベルによって位相を制御するもの)にて行うタイプも存在し、このタイプを走査ミラー6として用いてもよい。
【0018】
走査ミラードライバ7は、走査ミラー6に駆動電流を供給することによって、走査ミラー6を駆動させる。それとともに、走査ミラードライバ7は、走査ミラー6の現在の位置(位相)を検出する。この検出された位置情報は、位置検出信号として走査ミラー制御部8に通知される。走査ミラー6の位置検出は、例えば、上述したミラーと基板の間を連結する回転軸(二軸)にねじれセンサを設け、ミラーの振れ角と連動する回転軸のねじれ角をねじれセンサで検出することによって、行うことができる。また、走査ミラー6の近傍に受光素子(フォトダイオード等)を配置し、ミラーの振れ角と連動する反射光の位置を受光素子で検出することによって、走査ミラー6の位置を検出してもよい。
【0019】
走査ミラー制御部8は、走査ミラー6に入射されるレーザ光が所定の画像領域を所定の周波数で走査するように、走査ミラー6を制御する。この制御は、走査ミラー制御部8が走査ミラードライバ7に駆動信号を出力することによって行われる。また、走査ミラー制御部8は、走査ミラードライバ7からの位置検出信号に基づいて、水平同期信号HSNCおよび垂直同期信号VSNCを生成し、これらを映像処理部9に出力する。レーザ光源2a〜2cからのレーザ光の出射タイミングは、走査ミラー6の位相制御と同期して行う必要があり、この同期を取るために水平/垂直同期信号HSNC,VSNCが用いられる。すなわち、本レーザプロジェクタ1では、走査ミラー6の駆動が主体となり、内部生成された水平/垂直同期信号HSNC,VSNCに基づいて、走査ミラー6の駆動と同期するようにレーザ光源2a〜2cが従動的に駆動する。
【0020】
映像処理部9は、外部装置から供給された入力映像信号(映像データ)を、外部装置から供給された同期信号によって規定されたタイミングで、図示しないフレームバッファに随時書き込む。また、映像処理部9は、走査ミラー制御部8から供給された水平/垂直同期信号HSNC,VSNCによって規定されたタイミングで、フレームバッファに格納された映像データを順次読み出し、レーザ制御部10に転送する。
【0021】
レーザ制御部10は、映像処理部9から順次転送された映像データに基づいて、それぞれの画素に関する駆動電流Idと、これに適用すべき波形パターンPTとを色成分毎に決定する。それぞれのレーザ光源2a〜2cは、色成分毎に設定された駆動電流Idおよび波形パターンPTに基づき、レーザドライバ11を介して個別に制御・駆動される。
【0022】
図2は、レーザ制御部10のブロック構成図である。このレーザ制御部10は、メモリ10aと、波形パターン設定回路10bと、駆動電流設定回路10cとを有する。メモリ10aは、レーザ制御部10で用いられる各種情報、特に、波形パターンを色成分毎に規定する情報を記憶する。波形パターン設定回路10bは、外部装置から入力された映像データと、メモリ10aから読み出された情報とに基づいて、レーザ光源2a〜2cにレーザ光を出射させるための波形パターンPTを設定する。駆動電流設定回路10cは、メモリ10aから読み出された情報と、色成分毎に用意された駆動電流テーブルとを参照して、表示すべき階調データDに応じた駆動電流Idを生成・出力する。この駆動電流テーブルには、それぞれの階調で設定すべき電流レベルが記述されており、これを参照することによって、表示すべき階調データDに対応する駆動電流Idが一義的に特定される。以上のようにして、ある画素の色成分毎に特定された駆動電流Idおよび波形パターンPTは、その画素の表示期間の開始タイミングで、レーザドライバ11に出力される。
【0023】
レーザドライバ11は、それぞれの色成分に関して、レーザ制御部10から出力された波形パターンPTを用いて駆動電流Idを変調し、変調された駆動電流をレーザ光源2a〜2cに出力する。これにより、レーザ光源2a〜2cは、表示すべき階調に応じた出力レベルのレーザ光を波形パターンPTにしたがって出射する。各色成分の出射光を合成した最終的なカラー光は、レーザ光の出射と同期して位置制御される走査ミラー6に導かれて、投射面A上の所望の画素位置に投射される。
【0024】
図3は、投射スポットの位置ずれの一例を示す図である。レーザ光源2a〜2c等の物理的な取付精度に起因して、レーザ光源2a〜2cの光軸が完全には一致せず、投射スポットの位置にずれが生じる場合がある。同図の例では、Bのレーザ光は、Gのレーザ光に対して水平方向Xに−1ピクセル、垂直方向Yに+1ピクセルの位置ずれが生じ、Rのレーザ光は、Gのレーザ光に対して水平方向Xに約+1.2ピクセル、垂直方向Yに−1ピクセルの位置ずれが生じている。
【0025】
図4は、投射面上に表示される画像を示す図である。各色成分の投射スポットの位置的関係は不変なので、これらの位置ずれは、線順次走査によって投射面A上に表示される1フレームの画像の位置ずれとなり、画質の低下に直結する。このような画質の低下を抑制すべく、レーザ制御部10は、駆動電流Idを変調する波形パターンPTを色成分毎に個別に設定し、色成分間における投射スポットの相対的な位置ずれを補正する。具体的には、メモリ10aには、ピクセル(画素)単位で投射スポットの位置ずれを補正するための画素補正用データと、1ピクセルより小さい分解能のサブピクセル単位で投射スポットの位置ずれを補正するためのサブ画素補正用データとが記憶されている。レーザ制御部10は、映像データと、メモリ10aから読み出された情報とに基づいて、表示すべき階調に応じた駆動電流Idと共に、この駆動電流Idの変調に適用する波形パターンPTを設定する。以下では、画素補正用データに基づくピクセル単位の位置ずれの補正と、サブ画素補正用データに基づくサブピクセル単位の位置ずれの補正とを分けて説明する。
【0026】
図5は、垂直方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図である。ここで、階調データD(RD,GD,BD)におけるLineの後の添字は、映像データにおける水平ラインの行数(Y座標)を示している。具体的には、駆動電流設定回路10cは、メモリ10aから読み出された画素補正用データに基づいて、水平同期信号HSNCによって規定される水平走査期間の整数倍で、各色成分の階調データRD,GD,BDの表示タイミングを補正する。図3の例で説明すると、青成分の投射スポットBは、緑成分の投射スポットGに対して1水平ライン分進んでいるので(Y方向に+1)、青成分の階調データBDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1水平走査期間だけ早くする。また、赤成分の投射スポットRは、緑成分の投射スポットGに対して1水平ライン分遅れているので(Y方向に−1)、赤成分の階調データRDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1水平走査期間だけ遅くする。これにより、ある水平走査期間において、赤成分はR_Line0、緑成分はG_Line1、青成分はB_Line2といった如く、色成分毎に異なる水平ラインを対象にした走査が同時並行的に行われる。このように、各色成分の投射スポットR,G,BのY方向の位置ずれを予め見越した上で、色成分毎に異なる水平ラインの走査を行えば、Y方向の位置ずれを時間的に補正できる。
【0027】
図6は、水平方向の位置ずれをピクセル単位で補正している状態を示す図である。ここで、図6(a),(b)は、図5の領域A,Bに該当する期間におけるドットクロックDCLK、波形パターンPT(RPT,GPT,BPT)、および階調データDをそれぞれ示している。また、階調データDにおけるRGBの後の添字は、映像データにおけるY座標を示し、Xの後の添字は、X座標を示している。具体的には、駆動電流設定回路10cは、順方向走査時(走査方向がX軸正側の時)には、メモリ10aから読み出された画素補正用データに基づいて、ドットクロックDCLKによって規定される画素表示期間の整数倍で、各色成分の階調データRD,GD,BDの表示タイミングを補正する。図3の例で説明すると、青成分の投射スポットBは、緑成分の投射スポットGに対して1画素分遅れているので(X方向に−1)、青成分の階調データBDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1画素表示期間だけ遅くする。また、赤成分の投射スポットRは、緑成分の投射スポットGに対して1画素表示期間分進んでいるので(X方向に+1)、赤成分の階調データRDの表示タイミングを緑成分の階調データGDのそれよりも1画素表示期間だけ早くする。これにより、ある画素表示期間において、赤成分はR0_X1−1、緑成分はG1_X1、青成分はB2_X1+1といった如く、色成分毎に異なる画素を対象にした走査が同時並行的に行われる。このように、各色成分の投射スポットR,G,BのX方向の位置ずれを予め見越した上で、色成分毎に異なる画素の走査を行えば、X方向の位置ずれを時間的に補正できる。
【0028】
なお、垂直/水平方向におけるピクセル単位の位置ずれの補正の詳細については、特願2009−187225に開示されているので、必要ならば参照されたい。
【0029】
図7は、ピクセル単位で位置ずれの補正を行ったときに投射面上に表示される画素の状態を示す図である。図3の例では、Rのレーザ光は、Gのレーザ光に対して水平方向Xに約+1.2ピクセルの位置ずれが生じている。したがって、ピクセル単位の位置ずれの補正では、Rのレーザ光におけるサブピクセル単位の位置ずれを補正することはできない(図7(a)参照)。そこで、波形パターン設定回路10bは、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、波形パターンPTを設定する。これにより、レーザ制御部10は、サブピクセル単位の位置ずれを補正している(図7(b)参照)。
【0030】
図8は、水平方向の位置ずれをサブピクセル単位で補正している状態を示す図である。波形パターン設定回路10bは、順方向走査時には、Rのレーザ光におけるサブピクセル単位の位置ずれを補正するために、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、波形パターンGPT,BPTを時間軸上で反転させて設定する。すなわち、サブ画素補正用データは、各波形パターンPTのうち、どの波形パターンを反転させるかを示すデータである。さらに、波形パターン設定回路10bは、逆方向走査時には、順方向走査時の波形パターンPTを、それぞれ時間軸上で反転させて設定する。換言すれば、波形パターン設定回路10bは、逆方向走査時には、波形パターンGPT,BPTにしたがってレーザ光源2cから出射されるRのレーザ光の出力レベルを制御し、波形パターンRPTにしたがってレーザ光源2a,2bから出射されるG,Bのレーザ光の出力レベルを制御する。なお、本実施形態では、波形パターンPTの駆動期間(レーザ光源の駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの期間)は同一に設定されている。すなわち、各波形パターンPTを単位周期の繰り返しによって生成しているので、ドットクロックDCLKからの生成が容易であり、回路設計上有利である。
【0031】
図9は、画素表示期間内における波形パターンの拡大図である。なお、図9の上の波形パターンは、順方向走査時の波形パターンGPT,BPTであり、下の波形パターンは、順方向走査時の波形パターンRPTである。各波形パターンPTは、画素表示期間内にレーザ光源の駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有している。そして、画素表示期間の開始タイミングから駆動開始タイミングまでのオフ期間と、駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでのオフ期間は、時間軸上で非対称に設けられている。なお、オフ期間では、駆動電流Idは、表示階調に関わりなく、レーザ光源2a〜2cのバイアス電流以下に設定される。また、駆動終了タイミングから画素表示期間の終了タイミングまでのオフ期間は、次の画素表示期間における駆動開始タイミングに備えるという意味もあるが、隣接した画素間における混色を抑制するブランキングとしての意味合いもある。このような波形パターンPTを、時間軸上で反転させると、レーザ光源の駆動開始タイミングを前後させることができる。具体的には、波形パターン設定回路10bは、波形パターンGPT,BPTを反転させることによって、順方向走査時には、波形パターンRPTにおける駆動開始タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動開始タイミングよりも早く設定している。一方、逆方向走査時には、前述したように、波形パターンPTは、それぞれ時間軸上で反転しているので、波形パターンRPTにおける駆動開始タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動開始タイミングよりも遅く設定している。したがって、レーザ制御部10は、Rのレーザ光におけるサブピクセル単位の位置ずれを補正することができる。なお、本実施形態では、波形パターンPTの駆動期間は同一に設定されているので、順方向走査時には、波形パターンRPTにおける駆動終了タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動終了タイミングよりも早く設定し、逆方向走査時には、波形パターンRPTにおける駆動終了タイミングを、波形パターンGPT,BPTにおける駆動終了タイミングよりも遅く設定していることとなる。したがって、レーザ光源の駆動開始タイミングを変更した場合であっても走査方向における1画素の幅を維持することができ、投射スポットの位置ずれを適切に補正することができる。
【0032】
図10は、投射スポットの位置ずれの量を計測している状態を示す図である。メモリ10aに記憶されている画素補正用データおよびサブ画素補正用データは、投射スポットの位置ずれの量を計測することで決定される。投射スポットの位置ずれの量は、例えば、レーザプロジェクタ1から出射されるレーザ光の光路上にレーザ光を検出する光検出器PDを設置し、光検出器PDから出力される光検出信号と、レーザプロジェクタ1から出力されるスタート信号とに基づいて、投射スポットの位置ずれの量を計測する計測器MIを用いて計測することができる。具体的には、レーザプロジェクタ1は、光検出器PDを通過するように水平方向Xまたは垂直方向Yに走査し、走査ミラー6が所定の位置となったときにRGBのうち、いずれか1つのレーザ光を出射させるとともに、計測器MIにスタート信号を出力する。そして、計測器MIは、スタート信号が入力されてから光検出器PDにてレーザ光が検出されるまでの時間を計測することによって、投射スポットの位置ずれの量を計測する。
【0033】
図11は、計測器による計測結果の一例を示す図である。ここで、図11(a)は、垂直方向Yにおける各投射スポットの位置ずれの量の計測結果であり、図11(b)は、水平方向Xにおける各投射スポットの位置ずれの量の計測結果である。そして、計測器MIにて計測された各投射スポットの位置ずれの量(trv,tgv,tbv,trh,tgh,tbh)に基づいて、画素補正用データおよびサブ画素補正用データを決定してメモリ10aに記憶させる。
【0034】
具体的には、まず、計測器MIにて計測された各投射スポットの位置ずれの量をピクセル単位でスケーリングする。次に、RGBのレーザ光のうち、いずれか1つを基準として他のレーザ光の相対的な位置ずれの量を算出することで画素補正用データおよびサブ画素補正用データを決定する。ここで、垂直方向Yについては、サブピクセル単位での補正を行わないので、四捨五入などで位置ずれ量を丸めて画素補正用データのみを決定する。また、水平方向Xについては、サブピクセル単位での補正を行うので、各位置ずれの量を整数部と小数部とに分けて、整数部によって画素補正用データを決定し、小数部によってサブ画素補正用データを決定する。なお、上述したように、サブ画素補正用データは、各波形パターンPTのうち、どの波形パターンを反転させるかを定めている。反転させる波形パターンPTによってサブピクセル単位の補正結果が異なるので、サブ画素補正用データは、各位置ずれの量の小数部に基づいて、最も効率よく補正をすることができるように決定される。
【0035】
このように、本実施形態によれば、波形パターンPTは、画素表示期間内において、駆動開始タイミングおよび駆動終了タイミングを有しているので、レーザ光源の緩和振動が画素毎に行われる。この緩和振動によって、レーザ光のコヒーレンスが低下するので、スペックルノイズが低減される。また、波形パターン設定回路10bは、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、波形パターンGPT,BPTを時間軸上で反転させて設定し、逆方向走査時には、順方向走査時の波形パターンPTを、それぞれ時間軸上で反転させて設定する。したがって、順方向走査および逆方向走査の双方において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【0036】
(第2の実施形態)
図12は、本実施形態に係る画素表示期間内における波形パターンの拡大図である。本実施形態の特徴は、波形パターンPTにおける駆動開始タイミングを可変とし、駆動開始タイミングをサブ画素補正用データとしてメモリ10aに記憶させている点にある。なお、それ以外については、上述した第1の実施形態と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0037】
具体的には、波形パターン設定回路10bは、メモリ10aから読み出されたサブ画素補正用データに基づいて、水平方向Xの位置ずれに応じた波形パターンPTを設定する。例えば、図12の最上段の波形パターンPTN1は、画素表示期間をtとしたときにドットクロックDCLKの立ち上がりタイミングから0.125t後に駆動開始タイミングを有する波形パターンである。また、波形パターンPTN2〜5は、波形パターンPTN1における駆動開始タイミングから0.125t刻みで駆動開始タイミングを遅らせた波形パターンである。なお、本実施形態では、波形パターンPTN1〜5における駆動開始タイミングから駆動終了タイミングまでの期間は同一に設定されているが、駆動終了タイミングは可変としてもよい。ここで、1画素の輝度は、電流レベルのみで決まるわけではなく、画素表示期間における電流レベルと駆動期間の積によって決まる。したがって、波形パターンPTN1〜5の駆動期間が短くなるとレーザ光の輝度が低下することになる。このような場合には、例えば、駆動期間と電流レベルとの積が同じになるようにPTN1〜5の電流レベルに係数を乗じることでレーザ光の輝度を補償してもよい。
【0038】
図13は、投射面上に表示されるレーザ光と画素との関係を示す図である。投射面A上に表示されるレーザ光は、走査ミラー6による走査を行わない場合にはレーザスポットとなる。そして、走査ミラー6による走査が行われると、このスポットが投射面A上を移動して画素となる。ここで、例えば、画素の60%を走査ミラー6による走査で形成するとして(スポットは画素の40%)、PTN1〜5の0.125t刻みの駆動開始タイミングの遅れをピクセル単位でスケーリングすると、図12の括弧書きに示すように、0.0075ピクセル刻みとなる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様、スペックルノイズを有効に低減することができる。それとともに、レーザ制御部10は、0.0075ピクセル刻みのサブピクセル単位での位置ずれの補正をすることができる。したがって、双方向の順次走査において、投射スポットの位置ずれを適切に補正することが可能になる。
【0040】
なお、上述した各実施形態では、立ち上がりタイミングから立ち下がりタイミングまでのオン期間を画素表示期間内に1つのみ有する波形パターンPTを設定する例について説明したが、画素表示期間内に複数のオン期間を有する波形パターンを設定しても構わない。なお、この場合には、駆動開始タイミングは、画素表示期間内の最初の立ち上がりタイミングであり、駆動終了タイミングは、画素表示期間内の最後の立ち下がりタイミングである。これにより、レーザ光源の緩和振動の時間総和を長くすることができるので、スペックルノイズを更に有効に低減させることができる。
【0041】
また、上述した各実施形態では、偶数ラインと、奇数ラインとで走査方向の異なる線順次走査によって、投射面A上に画像を形成する走査ミラー6をレーザ走査部の一例としていたが、レーザ走査部は、走査ミラー以外の他のデバイスによって構成されていてもよい。また、レーザ走査部は、2以上のライン毎に走査方向の異なる走査によって、投射面上に画像を形成するものであってもよい。
【0042】
また、上述した各実施形態では、単位周期の繰り返しによって、波形パターンPTを設定する例について説明したが、波形パターンPTとして周期性のないものを適用しても構わない。
【0043】
さらに、上述した実施形態では、異なる色成分(RGB)の合成光を表示する画像表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のレーザ光源から出射された同じ色成分のレーザ光を合成する形態にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明は、レーザプロジェクタに代表されるように、レーザ光を投射面に投影することによって、投射面上に画像(1画素によって構成されたものも含む)を階調表示する各種の画像表示装置に対して、広く適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 レーザプロジェクタ
2a〜2c レーザ光源
3,4 ダイクロックミラー
5 レンズ
6 走査ミラー
7 走査ミラードライバ
8 走査ミラー制御部
9 映像処理部
10 レーザ制御部
10a メモリ
10b 駆動電流設定回路
10c 波形パターン設定回路
11 レーザドライバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を投射面に投影することによって、前記投射面上に画像を表示する画像表示装置において、
第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光源と、
前記第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、
順方向走査と、当該順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、前記第1のレーザ光と、前記第2のレーザ光とを前記投射面上に投射するレーザ走査部と、
前記順方向走査時には、画素表示期間内において、前記第1のレーザ光源に対して走査遅れ方向に投射位置がずれた前記第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動開始タイミングよりも遅くし、前記逆方向走査時には、前記画素表示期間内において、前記第1のレーザ光源に対して走査進み方向に投射位置がずれた前記第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動開始タイミングをよりも早くするレーザ制御部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記レーザ制御部は、前記順方向走査時には、前記画素表示期間内において、前記第2のレーザ光源の駆動終了タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも遅くし、前記逆方向走査時には、前記画素表示期間内において、前記第2のレーザ光光源の駆動終了タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも早くすることを特徴とする請求項1に記載された画像表示装置。
【請求項3】
レーザ光を投射面に投影することによって、前記投射面上に画像を表示する画像表示装置において、
第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光源と、
前記第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、
順方向走査と、当該順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、前記第1のレーザ光と、前記第2のレーザ光とを前記投射面上に投射するレーザ走査部と、
前記順方向走査時には、画素表示期間の開始タイミングからレーザ光源の駆動開始タイミングまでの第1のオフ期間と、レーザ光源の駆動終了タイミングから前記画素表示期間の終了タイミングまでの第2のオフ期間とが時間軸上で非対称に設けられた第1の波形パターンにしたがって、前記第1のレーザ光源から出射される前記第1のレーザ光の出力レベルを制御し、前記第1の波形パターンを時間軸上で反転させた第2の波形パターンにしたがって、前記第2のレーザ光源から出射される前記第2のレーザ光の出力レベルを制御するとともに、前記逆方向走査時には、前記第2の波形パターンにしたがって、前記第1のレーザ光源から出射される前記第1のレーザ光の出力レベルを制御し、前記第1の波形パターンにしたがって、前記第2のレーザ光源から出射される前記第2のレーザ光の出力レベルを制御するレーザ制御部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間では、表示階調に関わりなく、前記レーザ光源に供給される駆動電流がバイアス電流以下に設定されることを特徴とする請求項3に記載された画像表示装置。
【請求項5】
前記第1のレーザ光源における前記駆動開始タイミングから前記駆動終了タイミングまでの第1の駆動期間は、前記第2のレーザ光源における前記駆動開始タイミングから前記駆動終了タイミングまでの第2の駆動期間と同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された画像表示装置。
【請求項1】
レーザ光を投射面に投影することによって、前記投射面上に画像を表示する画像表示装置において、
第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光源と、
前記第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、
順方向走査と、当該順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、前記第1のレーザ光と、前記第2のレーザ光とを前記投射面上に投射するレーザ走査部と、
前記順方向走査時には、画素表示期間内において、前記第1のレーザ光源に対して走査遅れ方向に投射位置がずれた前記第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動開始タイミングよりも遅くし、前記逆方向走査時には、前記画素表示期間内において、前記第1のレーザ光源に対して走査進み方向に投射位置がずれた前記第2のレーザ光源の駆動開始タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動開始タイミングをよりも早くするレーザ制御部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記レーザ制御部は、前記順方向走査時には、前記画素表示期間内において、前記第2のレーザ光源の駆動終了タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも遅くし、前記逆方向走査時には、前記画素表示期間内において、前記第2のレーザ光光源の駆動終了タイミングを前記第1のレーザ光源の駆動終了タイミングよりも早くすることを特徴とする請求項1に記載された画像表示装置。
【請求項3】
レーザ光を投射面に投影することによって、前記投射面上に画像を表示する画像表示装置において、
第1のレーザ光を出射する第1のレーザ光源と、
前記第1のレーザ光と合成すべき第2のレーザ光を出射する第2のレーザ光源と、
順方向走査と、当該順方向走査とは逆向きの逆方向走査とを交互に繰り返すことによって、前記第1のレーザ光と、前記第2のレーザ光とを前記投射面上に投射するレーザ走査部と、
前記順方向走査時には、画素表示期間の開始タイミングからレーザ光源の駆動開始タイミングまでの第1のオフ期間と、レーザ光源の駆動終了タイミングから前記画素表示期間の終了タイミングまでの第2のオフ期間とが時間軸上で非対称に設けられた第1の波形パターンにしたがって、前記第1のレーザ光源から出射される前記第1のレーザ光の出力レベルを制御し、前記第1の波形パターンを時間軸上で反転させた第2の波形パターンにしたがって、前記第2のレーザ光源から出射される前記第2のレーザ光の出力レベルを制御するとともに、前記逆方向走査時には、前記第2の波形パターンにしたがって、前記第1のレーザ光源から出射される前記第1のレーザ光の出力レベルを制御し、前記第1の波形パターンにしたがって、前記第2のレーザ光源から出射される前記第2のレーザ光の出力レベルを制御するレーザ制御部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間では、表示階調に関わりなく、前記レーザ光源に供給される駆動電流がバイアス電流以下に設定されることを特徴とする請求項3に記載された画像表示装置。
【請求項5】
前記第1のレーザ光源における前記駆動開始タイミングから前記駆動終了タイミングまでの第1の駆動期間は、前記第2のレーザ光源における前記駆動開始タイミングから前記駆動終了タイミングまでの第2の駆動期間と同一であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−58371(P2012−58371A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199720(P2010−199720)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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