説明

画像記録体の作製装置

【課題】ゴミ、埃の混入が抑制された画像記録体が得られる画像記録体の作製装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置(画像形成手段)10と、丁合い装置20(積層手段)と、クリーニング装置50と、ラミネート装置(ラミネート手段)30と、から構成されている画像記録体の作製装置において、積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を光透過性フィルムでラミネートするラミネート部40と、ラミネート部40を内部に配設する第1筐体41と前記第1筐体41を覆う第2筐体42と、を備える。このように、ラミネート部40を、第1筐体41と第2筐体42との2重構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録体の作製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成技術の発達に伴って、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビヤ印刷及びスクリーン印刷などの様々な印刷法により、同一品質の画像を、大量かつ安価に形成する手段が知られている。そして、この印刷法は、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカードなど、所定の情報を納め、外部装置と接触又は非接触に交信可能な情報媒体の表面印刷にも多く用いられている。
【0003】
例えば上記スクリーン印刷は、印刷しようとする画像の数に応じた印刷版が多数必要であり、カラー印刷の場合には、さらにその色の数だけ印刷版が必要となる。そのため、これら印刷方法は、個人の識別情報(顔写真、氏名、住所、生年月日、各種免許証など)に個々に対応できることから、現在もっとも主流となっている画像形成手段は、インクリボン等を用いた昇華型や溶融型の熱転写方式を採用したプリンタ等による画像形成方法である。
【0004】
ところで、電子写真方式による画像形成(印刷)は、像保持体表面を帯電させ、画像信号に応じて露光し、露光部分と非露光部分との電位差による静電潜像を形成させ、その後、前記帯電と反対(あるいは同一)の極性を持つトナーと呼ばれる色粉(画像形成材料)を静電現像させることにより、前記像保持体表面に可視画像(トナー画像)を形成させる方法で行われる。カラー画像の場合は、この工程を複数回繰り返すこと、あるいは画像形成器を複数並配置することによりカラーの可視画像を形成し、これらを画像記録体に転写、定着(固定化:主に熱による色粉の溶融と冷却による固化)することによりカラー画像を得る方法で行われる。
【0005】
これに対し、電子写真方式では、像保持体表面の静電潜像を画像信号により電気的に形成するため、同じ画像を何度でも形成できるだけでなく、異なる画像に対しても容易に対応でき画像形成することが可能である。また、像保持体表面のトナー画像は、完全に画像記録体表面に転移させることができ、像保持体表面にわずかに残存するトナー画像も、樹脂ブレードやブラシ等により容易に除去することができるため、多品種少量生産に向けた印刷物を容易に作製することが可能である。
【0006】
また、上記トナーは、通常、熱溶融性樹脂及び顔料、並びに場合によっては帯電制御剤などの添加剤を溶融混合し、この混練物を粉砕、粒子化して形成される。さらに、前記電子写真方式における静電潜像は、上記粒子化されたトナーに比べてかなり高い解像度を持っており、前記スクリーン印刷やインクリボンの熱転写方式の解像度と比べても十分な解像度が期待できる。
【0007】
カラー画像についても、カラートナーとしてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四原色を用い、これらを混合することにより、理論的に印刷と同様の色を再現できる。また、上記カラートナーでは、トナー樹脂と顔料とを比較的自由に配合できるため、トナーによる画像隠蔽性を増加させることは容易である。
【0008】
前述の電子写真装置を使用した各種カードの作製としては、既にいくつかの提案がなされている(例えば、特許文献1乃至5参照)。
【特許文献1】特開平11−338997号公報
【特許文献2】特開2004−195973公報
【特許文献3】特開2005−028865公報
【特許文献4】特開平07−013463号公報
【特許文献5】特開2007−025553公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、ゴミ、埃の混入が抑制された画像記録体が得られる画像記録体の作製装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
光透過性フィルムの少なくとも片面に、電子写真方式により画像を形成する画像形成手段と、
コアシートと前記光透過性フィルムとを、前記光透過性フィルムの画像面が前記コアシートの面と対向するように積層する積層手段と、
前記コアシートと前記光透過性フィルムとの積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を前記光透過性フィルムでラミネートするためのラミネート手段と、
を備え、
前記ラミネート手段が、
前記積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を前記光透過性フィルムでラミネートするラミネート部と、
前記積層体が挿入される挿入口と前記積層体が排出される排出口とを有し、前記ラミネート部を内部に配設する第1筐体と、
前記積層体が挿入される挿入口と前記積層体が排出される排出口とを有し、前記第1筐体を覆う第2筐体と、
を備えることを特徴とする画像記録体の作製装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、
前記ラミネート手段が前記第2筐体と第1筐体の間隙から外部へ空気を排出するための排出手段をさらに備え、
前記第1筐体が、前記第1筐体の内部へ空気を取り込むための取り込み口を有することを特徴とする請求項2に記載の画像記録体の作製装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、
前記ラミネート手段における前記加熱加圧部が、
一対のベルト部材と、
前記一対のベルト部材のそれぞれの内部に配される加熱加圧部材と、
前記一対のベルト部材のそれぞれの内部であって前記加熱加圧部材よりも前記積層体の搬送方向下流側に配され、積層体を冷却するために空気流を発生させる空気流発生部材と、
前記加熱加圧部材へ到達する前記空気流を遮断する遮断部材と、
を備えることを特徴とする画像記録体の作製装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ゴミ、埃の混入が抑制された画像記録体が得られる画像記録体の作製装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面をしつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0015】
図1は、実施形態に係る画像記録体の作製装置により作製される画像記録体を示す概略断面図である。図2は、実施形態に係る画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。図3及び4は、実施形態に係るラミネート装置を示す概略構成図である。なお、図4は、図3のA−A断面図である。
【0016】
まず、本実施形態に係る画像記録体の作製装置により作製される画像記録体について説明する。当該画像記録体は、例えば、プラスチックシートで構成され、図1に示すように、コアシート1と画像2、4が形成された表面フィルム3及び裏面フィルム5(共に光透過性フィルム)とが、画像2、4が形成された側の面がコアシート1と各々と対向するように重ねられ、ラミネートされてなる。なお、本実施形態では、コアシートの両面に画像が形成された光透過性フィルムをラミネートした形態を説明するが、無論、コアシートの片面に画像が形成された光透過性フィルムをラミネートした形態であってもよい。ここで、「光透過性」とは、可視光領域(400nm〜700nm)の光の透過率が80%以上、望ましくは90%以上であることを示している。
【0017】
そして、この画像記録体を作製する装置が、実施形態に係る画像記録体の作製装置である。
【0018】
実施形態に係る画像記録体の作製装置は、図2に示すように、画像形成装置(画像形成手段)10と、丁合い装置20(積層手段)と、クリーニング装置50と、ラミネート装置(ラミネート手段)30と、から構成されている。
【0019】
画像形成装置10は、例えば、フィルム収納部11と、画像形成部12と、フィルム収納部11から画像形成部12へ光透過性フィルムを搬送する搬送路13と、画像形成部12から排出口14へ画像形成後の光透過性フィルムを搬送する搬送路15とから構成されている。その他の構成は省略する。
【0020】
画像形成部12は、図示しないが、例えば、潜像を形成する潜像保持体と、該潜像を少なくともトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー画像を得る現像器と、現像されたトナー画像を光透過性フィルムに転写する転写器、光透過性フィルムに転写されたトナー画像を加熱加圧して定着する定着器などを含む、公知の電子写真方式のカラー画像形成装置で構成されている。
【0021】
搬送路13、15は、例えば、駆動ローラ対を含む複数のローラ対やガイド(図示せず)から構成されている。搬送路15には、光透過性フィルムの搬送方向を180°反転させる反転路16が設けられている。搬送路15と反転路16との分岐部には、光透過性フィルムを案内方向を変更するカム17が設けられている。この反転路16で光透過性フィルムを往復させ、再び搬送路15に戻すと、光透過性フィルムの搬送方向が180°反転されると共に、光透過性フィルムの表裏が反転して搬送される。
【0022】
丁合い装置20は、例えば、コアシート収納部22と、丁合い受け(位置決め部)25、コアシート収納部22から丁合い受け25へコアシート1を供給する搬送路24と、画像形成装置10の排出口14から排出された光透過性フィルムを、丁合い受け25へ供給する搬送路21と、から構成されている。
【0023】
コアシート1を丁合い受け25へ供給する搬送路24の排出部と、光透過性フィルムを丁合い受け25へ供給する搬送路21の排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
【0024】
上記搬送路21としては、例えば、板状部材と、その表面を光透過性フィルムを搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転するベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして光透過性フィルムが画像形成装置10から排出されるタイミングで搬送ロールやベルトが回転し、光透過性フィルム丁合い受け25に搬送する。
【0025】
コアシート収納部22には、例えば、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられており、丁合い受け25がコアシート収納部22の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い受け25にコアシートを搬送する。
【0026】
丁合い受け25は、例えば、搬送路24の排出部と搬送路21の排出部からコアシート及び光透過性フィルム(表面フィルム、裏面フィルム)がそれぞれ供給される位置に設置されており、積層されたコアシート及び光透過性フィルム(表面フィルム、裏面フィルム)の端部を揃えて、位置決めする手段(図示せず)が設けられている。
【0027】
また、丁合い受け25には、コアシートを介して2つの光透過性フィルムを積層した積層体を仮止めする仮止め装置26が設けられている。この仮止め装置26は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により積層体の端部を挟むことで、積層体の端部が熱溶着されて仮止めされる。
【0028】
なお、上記仮止め装置26は、丁合い受け25からラミネート装置への積層体の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置26は、仮止め時のみ丁合い受け25の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避できる機構を備える。
【0029】
積層体のクリーニング装置50は、例えば、除電装置51とクリーニングロール52とで構成されており、丁合い装置20を通過した積層体の表面のゴミ、埃等を除去した後、次工程のラミネート装置30へと積層体を搬送する。
【0030】
ラミネート装置30は、図3及び図4に示すように、積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を光透過性フィルムでラミネートするラミネート部40と、ラミネート部40を内部に配設する第1筐体41と、前記第1筐体を覆う第2筐体42と、を備える。
【0031】
ラミネート部40は、一対のベルト31から構成されるベルトニップ方式が採用され、容易にオンラインで画像記録体が作製される構成となっている。一対のベルト31は、それぞれの内部(内周側)にテンションロール32とインレットロール35とが積層体搬送方向にこの順で配されている。一対のベルト31は、テンションロール32とインレットロール35とにより張架された状態で、テンションロール32がテンションバネ36により引っ張られることで歪みを生じないように構成されている。一対のテンションロール32及び一対のインレットロール35はぞれぞれニップしないように設置されている。これにより、連続稼動によりベルト31が蛇行しても稼動させながらベルトを所定の位置に戻すことが可能である。
【0032】
ここで、ベルト31の材料としては熱変形量の小さい金属材料を用いることが望ましいが、プラスチック材料でもガラスを混ぜる等の処方により熱変形を小さくした材料を用いても構わない。また、ベルト31が蛇行した際に所定の位置に戻すためになるインレットロール35、テンションロール32には摩擦係数にして0.3以下となる低摩擦材料(金属系、プラスチック系等どちらでも可)を用いることが望ましい。
【0033】
ベルト31が蛇行した際に所定の位置に復帰させる方法としては図示しないが、ベルト31が所定の位置よりずれないようにストッパーを設置しても良いし、左右に設置したテンションバネ36のバネ力をコントロールしてベルト31の蛇行を防止するようにしてもよい。
【0034】
また、一対のベルト31のそれぞれ内部(内周側)には、インレットロール35とテンションロール32との間に、加熱加圧ロール34と冷却板39と冷却ロール33とが積層体搬送方向にこの順で配されている。これらは、一対のベルト31を介して、ニップ部を形成している。
【0035】
ラミネート部40では、インレットロール35の後方に配置された加熱加圧ロール34とにより積層体は加熱加圧される。この工程を経ることによって積層体は熱融着される。ここで、一対のインレットロール35がニップされていないことにより、積層体は一対の加熱加圧ロール34によるニップ部に突入する以前に一対のベルト31のニップ力と加熱加圧ロール34からの予熱により仮ラミネートされながら加熱加圧ロール34によるニップ部へと搬送される。
【0036】
加熱加圧ロール34によるニップ部は積層体の接着工程であり、このニップ部を通過した積層体は冷却板39によるニップ部へと突入する。これにより、積層体は、冷却板39によるニップ部により平面性を維持したまま冷却される。この冷却板39はアルミ等の熱伝導率の高い材料で構成させており、ベルト31と接触する面には擦動性を良くするためテフロン(登録商標)テープ等が貼られている。また、一対の冷却板39は、それぞれ図示しないがバネ等の弾性部材により所望の荷重でベルト31内周面に押圧され、ニップ部を形成している。
【0037】
ここで、ベルト31から伝達してくる熱を冷却するため冷却板39上に、当該冷却板39を冷却するための空気流を発生させる冷却ファン37(空気流発生手段)が設置されている。冷却ファン37は、一対のベルト31のそれぞれの内部であって、加熱加圧ロール34の積層体搬送方向下流側、即ち加熱加圧ロール34と冷却ロール33との間に配されている。冷却ファン37により発生した空気流を冷却板39に吹き付けることで、冷却板39が冷却される。
【0038】
また、冷却ファン37は、その周囲を冷却板39と共に箱状部材46(遮断部材)により囲まれている。これにより、冷却ファン37から発生した空気流が、冷却板39以外には到達せず、即ち、加熱加圧ロール34へ到達しない。また、冷却ファン37を取り囲む箱状部材46には外部(第1筐体41と第2筐体42との間)へと通じるダクト46Aが連結されており、外部から空気を取り込むように構成となっている。
【0039】
冷却板39を通過した積層体は冷却ロール33へ突入する。一対の冷却ロール33によるニップ力は冷却板39によるニップ圧力より高く設定されていると共に、冷却ロール33を通過する際に積層体の温度は光透過性フィルムのガラス転移温度(Tg)以下となるように、ラミネート部40の温度プロファイルは設計されているため、これにより、積層体は平面性を維持したまま一対の冷却ロール33によるニップを通過することとなる。なお、連続稼動によるベルト31の汚れ等を除去するためクリーニング装置(図示せず)が設置されている。
【0040】
上記構成のラミネート部40は、第1筐体41及び第2筐体42により覆われた2重枠構造となっている。第1筐体41には、積層体が挿入される挿入口41Aと積層体が排出される排出口41Bと外部の空気を取り込むための2つの取り込み口41C、41Dとが設けられている。また、第2筐体42には、第1筐体41と同様に、積層体が挿入される挿入口42Aと積層体が排出される排出口42Bと外部の空気を取り込むための2つの取り込み口42C、42Dとが設けられている。
【0041】
なお、第1筐体41における挿入口41A及び排出口41Bは、第1筐体41内部の空気を排出する排出口としても機能する。また、第2筐体42における挿入口42A及び排出口42Bは、第1筐体41と第2筐体42との間隙に空気を取り込む取り込み口としても機能する。
【0042】
第1筐体41及び第2筐体42において、互いの挿入口41Aと挿入口42Aとは対向して設けられ、互いの排出口41Bと排出口42Bとも対向して設けられている。これらの開口は積層体のみが通過されるようにスリット状に設けられている。そして、第1筐体41における挿入口41A及び排出口41Bの開口幅(積層体厚み方向の幅:スリット幅)よりも、第2筐体42における挿入口42A及び排出口42Bの開口幅が大きくなるように、それぞれの開口が設けられている。これにより、第1筐体41内部へのゴミ、埃の混入がより抑制される。
【0043】
なお、第2筐体42が、第1筐体41の一部を覆う構成、即ち第1筐体41の取り込み口41C、41D以外を覆う構成である場合には、第2筐体42に取り込み口42C、42Dを設ける必要はない。
【0044】
また、第1筐体41及び第2筐体42において、取り込み口41C、41Dと取り込み口42C、42Dとはそれぞれ対向して設けられている。そして、第1筐体41における取り込み口41C、41Dには、それぞれフィルタ44A、44Bが配されており、当該フィルタ44A、44Bにより取り込み口41C、41Dから取り込む空気に含まれるゴミ、埃を排除して第1筐体41内部にきれいな空気を取り込まれる。
【0045】
また、第1筐体41と第2筐体42と間隙には、挿入口41A、42A及び排出口41B、42Bと取り込み口41C、41D、42C、42Dとが、当該間隙を通じて繋がらないように仕切り板45が設けられている。これにより、第2筐体42における取り込み口42C、42Dから取り込んだ空気が、当該間隙を通じて挿入口41A、42A及び排出口41B、42B側へ流入されない。
【0046】
そして、第1筐体41には、第1筐体41と第2筐体42の間隙から外部へ空気を排出するためのファン43が配設されている。空気を排出するようにファン43を回転させると、ラミネート装置30内では、矢印A1〜A4、B1〜B4に示す空気流が発生する。すなわち、矢印A1、B1に示すように、第2筐体42の取り込み口42C、42Dを通じて、第1筐体41の取り込み口41C、41Dから外部の空気を第1筐体41内部へ取り込む。
【0047】
そして、矢印A2、B2に示すように、第1筐体41内部の空気は、挿入口41A及び排出口41Bから排出され、A3に示すように第1筐体41と第2筐体42との間隙を通じ、矢印A4に示すようにファン43により排出される。また、第2筐体42の挿入口42A及び排出口42Bからは、矢印A2’、B2’に示すように外部から第1筐体41と第2筐体42との間隙へ空気が流入するが、やはり、A3に示すように第1筐体41と第2筐体42との間隙を通じ、矢印A4に示すようにファン43により排出される。
【0048】
ここで、第1筐体41における挿入口41A及び排出口41Bからも、第2筐体42における挿入口42A及び排出口42Bからも、第1筐体41と第2筐体42との間隙へ流入する空気流(矢印A2、A2’、B2、B2’)が発生する。第1筐体41における挿入口41A及び排出口41Bが、第2筐体42における挿入口42A及び排出口42Bよりも開口幅(積層体厚み方向の幅:スリット幅)が大きくなるように設けられていることから、第1筐体41における挿入口41A及び排出口41Bで発生する空気流(矢印A2、B2)の方が第2筐体42における挿入口42A及び排出口42Bで発生する空気流(矢印A2’、B2’)よりも速くなる。このため、第2筐体42における挿入口42A及び排出口42Bから取り込まれる外部の空気(つまり、ゴミや埃などが含まれる空気)は、第1筐体41における挿入口41A及び排出口41Bを通じて第1筐体41内部に取り込まれることが抑制される。
【0049】
上記構成のラミネート装置30を経た(接着工程、冷却工程を経た)積層体は、平面性を維持したままラミネートされて、排出受け61に排出され、画像記録体が得られる。ここで、画像記録体に個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、所定のサイズの画像記録体を得る。また、例えば数枚分のカードのパターンとなっている場合は、1枚分ずつに裁断され表裏が光透過性フィルムでラミネートされたカード等となる。
【0050】
以上説明した本実施形態に係る画像記録体の作製装置では、ラミネート装置30が第1筐体41及び第2筐体42で構成される2構造を取るため、当該ラミネート装置30内部にゴミ、埃の混入が抑制される。したがって、ゴミ、埃の混入が抑制されて、ラミネートが実施される。結果、ゴミ、埃の混入が抑制された画像記録体が得られる。
【0051】
また、ラミネート装置30では、冷却ファン37により、第1筐体41と第2筐体42との間隙から外部へ空気を排出させることで、第1筐体41内部の空気から当該間隙を通じて外部へ排出される空気流が発生する。このため、より、ゴミ、埃の混入が抑制されて、ラミネートが実施される。
【0052】
本実施形態では、加熱加圧ロール34の積層体搬送方向下流側で、空気流を発生させる冷却ファン37がその周囲を箱状部材46(遮断部材)により囲まれていることから、冷却ファン37から発生した空気流が加熱加圧ロール34へ到達しない。このため、加熱加圧ロール34の温度低下が抑制される。加えて、加熱加圧ロール34の温度を制御するために当該加熱加圧ロール34の温度を検知する温度センサを加熱加圧ロール34近傍に設けた場合、当該温度センサにも冷却ファン37から発生した空気流が到達しない。このため、当該空気流に起因する温度センサの誤検知を抑制し、正確な検知が行われる。結果、ラミネート不良も抑制される。なお、加熱加圧ロール34へ到達する空気流を遮断する遮断部材としては、箱状部材46に限られず、当該空気流を遮断されるものであれば制限はなく、例えば、加熱加圧ロール34と冷却ファン37との間に介在するように設けた仕切り板であってもよい。
【0053】
上記実施形態では、一枚のコアシートに画像が形成された光透過性フィルムをラミネートし、必要に応じて裁断する形態を説明したが、これに限られるものではない。例えば、一つ以上の窓穴を有するコアシート保持ホルダーを利用し、予め所定の大きさ(例えばカードサイズ)に作製されたコアシートを当該コアシートホルダーの窓穴に挿入して保持された状態で、当該コアシートホルダー(これに保持された状態のコアシート)と画像が形成された光透過性フィルムを積層した積層体をラミネートする形態であってもよい。
【0054】
この形態では、図5(A)に示すように、まず、丁合い受け25上に裏面フィルム5が供給され、両面テープ貼り器(不図示)により例えば4ヶ所に両面テープ6が貼り付けられる。次に、図5(B)に示すように、窓穴7Aにコアシート1を挿入(セット)したコアシート保持ホルダー7が、丁合い受け25へと供給され、裏面フィルム5に積層される。この際、コアシート保持ホルダー7には所定の4ヶ所の位置に両面テープ貼り器(不図示)により両面テープ6が貼られる。裏面フィルム5の画像4はコアシート保持ホルダー7の窓穴7A(コアシート1)と一致する位置となっている。次に、図5(B)に示すように、表面フィルム3が、丁合い受け25へと供給され、コアシート保持ホルダー7に積層される。このとき、表面フィルム3の画像2はコアシート保持ホルダー7の窓穴(コアシート1)と一致する位置となっている。このようにして丁合い受け25上で積層体が形成される。なお、積層体は両面テープ6により仮止めされるが、当該両面テープ6は、各部材が丁合い受け25へ供給される搬送路で貼り付ける機構であってもよいし、各部材が丁合い受け25上に供給された後に貼り付ける機構でもよい。
【0055】
ここで、積層体について説明する。まず、コアシート保持ホルダー7は、図6乃至図7に示すように、例えばステンレス製の基材7Bと基材7Bの両面に形成された離型層7C(例えばテフロン(登録商標)シート)とで構成されている。基材7Bには、一つ以上の貫通した窓穴7Aがあり、この窓穴7Aにはコアシート1を挿入される。窓穴7Aの形状としては、コアシート1の形状に沿ったものであるが、コアシート1がコアシート保持ホルダー7から脱落しないように、窓穴7Aを構成する壁面をテーパ形状としてもよいし、窓穴7Aとコアシート1の寸法関係をしまりばめとしてもよい。コアシート保持ホルダー7には、例えば、6つの窓穴7Aが、コアシート保持ホルダー7の長手方向がコアシート1の短手方向と平行になる、言い換えればコアシート保持ホルダー7の短手方向がコアシート1の長手方向と平行になるように、2個×3個で配列されている。但し、コアシート保持ホルダー7の長手方向に沿った方向に配列された窓穴7A同士は、仮止めする領域(両面テープ6が貼り付けられる領域)を確保して配列されている。
【0056】
そして、仮止めする領域に、両面テープ6が貼り付けられ、これによって、位置決めがなされると共に、積層され、裏面フィルム5、コアシート保持ホルダー7及び表面フィルム3が仮止める。
【0057】
この仮止めする領域、即ち、両面テープ6の貼り付け領域は、コアシート保持ホルダー7に挿入されたコアシート1がコアシート保持ホルダー7から外れない領域であることがよいことから、例えば、コアシート保持ホルダー7の窓穴7Aを挟むように設けることがよい。また、両面テープ6を各部材の搬送中に貼り付けることが、生産性の観点からよいため、両面テープ6は、積層体の搬送方向に沿って設けることがよい。
【0058】
図6乃至図7に示すように、例えば、2個×3個で配列された窓穴7Aの長手方向に沿って、当該窓穴7Aを挟むように仮止めする領域が設けられる、即ち両面テープ6が貼り付けられている。但し、両面テープ6端辺から窓穴7Aの端辺までの最短距離R1が5mm以内でかつ窓穴7Aの端辺に沿う両面テープ6の長さR2が当該窓穴の端辺の半分以上の長さとなるように、両面テープ6を貼り付けることがよい。このように両面テープ6を貼り付けて仮止めを実施することで、製造中にコアシート保持ホルダー7の窓穴7Aからコアシートが外れることが抑制され、画像部の位置ズレを抑制しつつ各光透過性フィルムがコアシート表面へ被覆(ラミネート)される。
【0059】
ここで、両面テープ6は、例えば、基材と、基材の両面に形成される一対の粘着層とを有する。一対の粘着層のうち、光透過性フィルム(表面フィルム3、裏面フィルム5)と接着する側を第1粘着層とし、コアシート保持ホルダー7(その離型層7C)と接着する側を第2粘着層としたとき、第1粘着層が第2粘着層に対して10倍以上の粘着力を有することがよい。このように構成することで、後述する光透過性フィルムを剥離除去する際に両面テープ6はコアシート保持ホルダー7から除去され易くなり、コアシート保持ホルダー7の繰り返し使用が容易となる。結果、作業性・生産性が向上される。
【0060】
また、両面テープ6の基材は、粘着層よりも厚いことがよい。これにより、両面テープ6の取り扱いが容易となる。
【0061】
この如く両面テープ6の具体的構成としては、例えば、厚み15μmの基材の一方の面に粘着力2.0N/cm以下、保持力0.3mm以下、厚みが20μmの第1粘着層が設けられ、他方の面に粘着力0.15N/cm以下、保持力0.3mm以下、厚みが15μmの第2粘着層が設けられた構成が挙げられる。粘着力、保持力はJIS Z0237(2000)に準じて測定されるものである。
【0062】
なお、本実施形態に係る画像記録体の作製装置では、光透過性フィルムをコアシートの両面にラミネートする形態を説明したが、これに限られず、得られる画像記録体の用途に応じて、光透過性フィルムをコアシートの片面にラミネートする形態であってもよい。
【0063】
上記本実施形態に係る画像記録体の作製装置により得られる画像記録体(プラスチックシート)は、顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式又は接触式個人情報画像情報入り情報媒体、さらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどに利用される。用途に応じて、コアシートには、ICチップ、アンテナ、磁気ストライプ、外部端子などが埋め込まれたり、磁気ストライプ、ホログラム等が印刷されたり、必要文字情報がエンボスされる得る。そして、光透過性フィルムには必要な画像が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態に係る画像記録体の作製装置により作製される画像記録体を示す概略断面図である。
【図2】実施形態に係る画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。
【図3】実施形態に係るラミネート装置を示す概略構成図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】他の実施形態に係る丁合い装置(丁合い受け)における積層工程を示す工程図である。
【図6】他の実施形態に係る積層体を示す平面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 コアシート
2 画像
3 表面フィルム
5 裏面フィルム
6 両面テープ
7 コアシート保持ホルダー
7A 窓穴
7B 基材
7C 離型層
10 画像形成装置
11 フィルム収納部
12 画像形成部
13 搬送路
14 排出口
15 搬送路
16 反転路
17 カム
20 丁合い装置
21 搬送路
22 コアシート収納部
24 搬送路
26 仮止め装置
30 ラミネート装置
31 ベルト
32 テンションロール
33 冷却ロール
34 加熱加圧ロール
35 インレットロール
36 テンションバネ
37 冷却ファン
39 冷却板
40 ラミネート部
41 第1筐体
41A〜41D→開口部(挿入口、排出口、取り込み口)
42 第2筐体
42A〜42D→開口部(挿入口、排出口、取り込み口)
43 ファン
44A、44Bフィルタ
45 仕切り板
46 箱状部材
46A ダクト
50 クリーニング装置
51 除電装置
52 クリーニングロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性フィルムの少なくとも片面に、電子写真方式により画像を形成する画像形成手段と、
コアシートと前記光透過性フィルムとを、前記光透過性フィルムの画像面が前記コアシートの面と対向するように積層する積層手段と、
前記コアシートと前記光透過性フィルムとの積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を前記光透過性フィルムでラミネートするためのラミネート手段と、
を備え、
前記ラミネート手段が、
前記積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を前記光透過性フィルムでラミネートするラミネート部と、
前記積層体が挿入される挿入口と前記積層体が排出される排出口とを有し、前記ラミネート部を内部に配設する第1筐体と、
前記積層体が挿入される挿入口と前記積層体が排出される排出口とを有し、前記第1筐体を覆う第2筐体と、
を備えることを特徴とする画像記録体の作製装置。
【請求項2】
前記ラミネート手段が前記第2筐体と第1筐体の間隙から外部へ空気を排出するための排出手段をさらに備え、
前記第1筐体が、前記第1筐体の内部へ空気を取り込むための取り込み口を有することを特徴とする請求項2に記載の画像記録体の作製装置。
【請求項3】
前記ラミネート手段における前記ラミネート部が、
一対のベルト部材と、
前記一対のベルト部材のそれぞれの内部に配される加熱加圧部材と、
前記一対のベルト部材のそれぞれの内部であって前記加熱加圧部材よりも前記積層体の搬送方向下流側に配され、積層体を冷却するために空気流を発生させる空気流発生部材と、
前記加熱加圧部材へ到達する前記空気流を遮断する遮断部材と、
を備えることを特徴とする画像記録体の作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−51048(P2009−51048A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218435(P2007−218435)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】