説明

画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法

【課題】事前に記録媒体にマークを設けることなく、記録媒体にミシン目を加工することが可能な画像記録装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】上位装置23からのジョブ情報に基づいて、記録媒体2に画像記録を行う。ミシン目制御部10dは、画像記録を行った記録媒体2の基準位置に基づいて、記録媒体の搬送方向に略平行な移動量を算出し、この移動量に基づいたミシン刃加工を行う指示をミシン目挿入部40に対して行い、ミシン目挿入部40は指示された位置にミシン目を入れる。基準位置は、端部追従モードのときは、媒体端部検出部50が検出した媒体の側端部で、画像中心追従モードでは、記録画像の基準位置となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば用紙やフィルム等の記録媒体にインクやトナー等を定着させて画像を記録する画像記録装置に関し、特に記録媒体にミシン目を加工することが可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在プリンタ、FAX等の画像記録装置の中には、後処理機構として、画像を記録する記録媒体の所望位置にミシン目を入れる機能を有するものがある。
例えば特許文献1には、縦ミシン目を加工できるランダムミシン目加工装置が提案されており、記録媒体の搬送を停止させずにミシン目の加工を可能とする構成となっている。
【0003】
この特許文献1の装置では、記録媒体に記録されたマークを読み取り、これに基づいてミシン目刃の駆動タイミングを制御し、記録媒体の所望の位置にミシン目の加工を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−61889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている装置では、記録媒体に印刷したマークを検出し、このマークの位置に基づいてミシン目の加工を行うため、あらかじめ記録媒体にマークを記録しておく必要がある。
【0006】
また記録媒体が画像記録装置内を通過する際に所定の通過位置にマークが無い場合、ユーザが所望した用紙端部からの位置に縦ミシン目を加工することができない。
また、画像にあわせて縦ミシン目を加工する場合、例えば画像で「キリトリセン」と記載した破線を作成し、その上に縦ミシン目を挿入するような場合に関しては、特許文献1では何の示唆も開示もされていない。
【0007】
そこで本発明は、事前に記録媒体にマークを設けることなく、記録媒体にミシン目を加工することが可能な画像記録装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
また記録媒体上に記録した画像に合わせてミシン目を加えることが可能な画像記録装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本画像記録装置は、上位装置からのジョブ情報に基づいて、記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、基準位置に基づいて前記記録媒体の搬送方向に略平行な移動量を算出し、当該移動量に基づいたミシン刃加工を行う指示を行うミシン目制御部と、当該指示に基づいて移動して、前記記録媒体に対してミシン目加工を行うミシン刃横移動部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本画像記録装置の制御方法は、上位装置からのジョブ情報に基づいて、記録媒体に画像記録を行う画像記録装置の制御方法において、基準位置に基づいて前記記録媒体の搬送方向に略平行な移動量を算出し、当該移動量に基づいたミシン刃加工を行う指示を行い、当該指示に基づいて移動して、前記記録媒体に対してミシン目加工を行うよう指示を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上位装置からの指示に基づいて記録媒体の所定の位置に縦ミシン目を加工することが出来、更に記録媒体に記録された記録画像を基準とした所定の位置に縦ミシン目の加工を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態における画像記録装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態における画像記録装置を模式的に示す断面図である。
【図3】本実施形態の画像記録装置1が備えるミシン目挿入部の構成例を示す図である。
【図4】媒体端部検出部とミシン刃横移動部の関係を説明する図である。
【図5】(a)は、媒体端部追従モードによる、(b)は画像基準追従モードによるミシン目の入れ方を示す図である。
【図6】媒体端部追従モード時の制御方法の説明図である。
【図7】画像基準追従モード時の制御方法の説明図である。
【図8】画像情報テーブルの構成例を示す図である。
【図9】画像基準追従モード時の画像中心とした場合の制御方法の説明図である。
【図10】本実施形態の画像記録装置で行われるミシン目加工処理時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、以下の説明では、本実施形態の画像記録装置として、インクジェット方式のフルライン型プリンタ装置の例を用いて説明する。
【0013】
インクジェットプリンタは、搬送系により保持搬送される記録媒体に、記録ヘッドの複数のノズルよりインク滴を吐出して、高速且つ高画質に画像記録を行う。このインクジェットプリンタは、例えばカットシート状の記録媒体(用紙)に画像を記録するオフィス用途として幅広く使用されている。近年では、多数の記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する方向に整列配置したラインヘッドを構成することで、スループットの向上を可能とし、ロール紙などの記録媒体(連続紙)に画橡を記録する産業用途としても使用されている。
【0014】
なお本実施形態の画像記録装置は、プリンタ以外の装置であっても良いし、また画像記録方式もインクジェット方式でなく静電記録方式の画像記録装置であっても良い。
また以下の例では、画像記録装置で記録する記録媒体は、ロール紙である場合を例として説明するが、記録媒体の形状はカット紙であっても良く、また材質は紙以外の例えばフィルム等であっても良い。
【0015】
また以下の説明で、ロール紙を規定の大きさにカットしたものをシートといい、各シートの表裏をそれぞれページという。
図1は、本実施形態における画像記録装置の全体構成を示す図である。また、図2は、本実施形態における画像記録装置を模式的に示す断面図である。
【0016】
図1及び図2において画像記録装置1は、記録媒体給送部3、記録媒体接続部4、第1の画像記録部5、第2の画像記録部6、搬送部7、切断部8、導入部9、制御部10及び表示部/入力部15を有する構成となっている。
【0017】
記録媒体給送部3は、連続したロール状の連続記録媒体2(以下、単に記録媒体という)を巻装する。記録媒体接続部4は、記録媒体給送部3から搬送路に搬出される記録媒体2を継ぐものである。第1の画像記録部5は、制御部2からの指示に基づいて搬送されてきた記録媒体2の表面に画像記録を行うものであり、第2の画像記録部6は、記録媒体2の裏面に画像記録を行うものである。搬送部7は、第1の画像記録部5及び第2の画像記録部6によって画像記録が行われた記録媒体2を所定の張力と速度とで搬送するものである。ミシン目挿入部40は、制御部2からの指示に基づいて記録媒体2に搬送方向に平行なミシン目(以下縦ミシン目という)を施すためのものである。切断部8は、記録媒体2を所定長に切断するものである。導入部9は、搬送部7と切断部8との間に配置され、切断部8に記録媒体2を導くものである。制御部10は、画像記録装置1全体の制御を司るものである。表示部/入力部15は、ユーザが画像記録装置1の種々の設定情報を入力するために用いるものである。
【0018】
なお、切断部8の後方には切断部8で切断された記録媒体2を収納する記録媒体排出部11が設けられている。そして記録媒体排出部11には、画像が記録された記録媒体2を収納する記録媒体スタッカ12、及び不要な記録媒体2を廃棄するための廃棄媒体スタッカ13が配設されている。また記録媒体2をスタッカ12又は13の何れか排出するかの切り換えは、切換板14によって行われる。
【0019】
一方、搬送部7は記録媒体2を挟持し、記録媒体2を下流側に向けて搬送するニップローラ対20(20a、20b)を有している。このニップローラ対20は、ニップローラ駆動モータ21によって駆動する。また、搬送部7は記録媒体2の搬送に従動して回転するローラ22を有し、このローラ22は記録媒体2の搬送量を検知する搬送情報生成部22aを備える。この搬送情報生成部22aは、例えばエンコーダで構成されている。制御部10は、搬送情報生成部22aから出力されるエンコーダ値を常時監視し、記録媒体2が現在搬送部7上のどの位置にあるかをシート単位で管理している。
【0020】
また第1の画像記録部5の上流には媒体端部検出部50を有している。媒体端部検出部50は、記録媒体2の両側端部位置を検出する。
記録媒体2は連続紙であり、連続紙の加工品質によっては記録媒体の搬送方向に直交する位置が数ミリメートル単位で変化することがある。本実施形態の画像記録装置1は、媒体端部検出部50によって、制御部2が両側端部位置情報を取得することで、記録媒体2に対する画像記録位置の補正、及びミシン目加工位置の補正を行なう。媒体端部検出部50は例えば、コンタクト・イメージ・センサ(CIS)で構成される。
【0021】
図3は、本実施形態の画像記録装置1が備えるミシン目挿入部40の構成例を示す図である。
図3に示すように、ミシン目挿入部40はミシン刃横移動部41、ミシン目加工部42、アンビルローラ43を有する。
【0022】
ミシン刃横移動部41は、図示しない駆動源を持ち、記録媒体2の搬送方向に対して直交する方向に動作する。これにより、記録媒体上での搬送方向に直交する方向にミシン刃44の位置を移動することができるように構成されている。ミシン目加工部42は、偏心カムを備えたモータ45及びミシン刃44を有する。ミシン目加工部42では、カムモータ45を駆動することにより、カムモータ45に接続されているミシン刃44が矢印49方向に動作し、ミシン刃44を記録媒体2に当接または離隔させる。ミシン刃44が記録媒体2に当接することにより、記録媒体2にミシン目47が加工される。アンビルローラ43は、ミシン刃44が記録媒体2に当接する際のバックアップローラの機能とともに、記録媒体2を下流へと送出する機能を有する。
【0023】
本実施形態の画像記録装置1のミシン目挿入部40では、ミシン目加工部42を複数設け、複数の縦ミシン目を入れることが出来る構成としても良い。以下の説明では、ミシン目挿入部40には2つのミシン目加工部42が備えられているものとする。
【0024】
切断部8は、記録媒体2を切断可能に対向配置され、所定の回転数で回転するカット側回転体としてのカットローラ24、及び受け側回転体としてのアンビルローラ25を備えている。カットローラ24の外周面にはカッター刃26が設けられており、このカッター刃26によって記録媒体2の切断が行われる。
【0025】
カットローラ24は、カットローラ駆動モータ27を駆動源とするが、カットローラ駆動モータ27は上記搬送情報生成部22aが生成する搬送情報を制御パルスとして用いており、記録媒体2の搬送速度とカッター刃26の周速との同期を確立している。
【0026】
なお、カットローラ駆動モータ27にエンコーダを取り付け、このエンコーダ信号により記録媒体2の搬送速度とカッター刃26の周速との同期を取る構成としてもよい。
導入部9は、搬送部7と切断部8との間に配設され、導入部9の媒体搬送張力は、記録媒体2を挟持し、これを搬送部7における張力よりも小さな張力で切断部8に導入する一対の導入用回転体としてのカッター供給ローラ対28(28a、28b)を備える。このカッター供給ローラ対28は、カッター供給ローラ駆動モータ29によって駆動される。
【0027】
次に制御部10について説明する。
図1に示すように、制御部10は、記憶部10a、画像記録制御部10b、切断制御部10c、及びミシン目制御部10dを有する。これらはそれぞれが図示しないバスによって接続されている。また、上位装置23にも接続されている。
【0028】
記憶部10aは、本画像記録装置の動作プログラムの格納や上位装置23からの記録データ、ミシン目加工情報などの一時格納などを行なう。また記憶部10aは、画像記録装置1で用いる種々の調整パラメータ等の保存も行なう。画像記録制御部10bは、搬送情報生成部22aの搬送情報を平均化し、第1の画像記録部5、第2の画像記録部6及び切断制御部10cに対して記録媒体2の搬送情報を出力する。
【0029】
切断制御部10cは、切断部8に対して駆動指示を行うと共に、刃物位置情報生成部30から切断位置情報を取得して、この切断位置情報に基づいた駆動指示をミシン刃挿入部40に出力する。
【0030】
ミシン目制御部10dは、不図示のミシン刃横移動演算部及びタイミング生成部を有する。ミシン刃横位置演算部は、上位装置23から通知されたミシン刃加工情報と媒体端部検出部50の媒体端部位置情報を基にミシン目の横方向位置を演算し、この演算結果に基づいてミシン刃横移動部41に駆動指示を行なう。タイミング生成部は、上位装置23から通知されたミシン刃加工情報を基にミシン目加工部42に対して、ミシン目の加工を行なうシートに対する駆動指示を行なう。
【0031】
次に本実施形態の画像記録装置1の処理動作を説明する。なお、制御部10は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置23からの画像記録指令を受信し、この画像記録指令に対応した画像記録処理を行うために第1の画像記録部5、第2の画像記録部6、搬送部7、切断部8、ミシン目挿入部40及び導入部9の駆動制御を行う。
【0032】
画像記録処理が行われる前段階として、記録媒体2は、前述のようにロール状に巻回された状態で記録媒体給送部3に取り付けられる。このロール状の記録媒体2には、不図示の制動機構によりバックテンションが付与されている。
【0033】
画像記録処理が開始されると、画像記録装置1では、ニップローラ対20が、記録媒体2の搬送速度を一定に保ちながら記録媒体2を第1の画像記録部5に搬送する。そして記録媒体2が所定の位置まで搬送されると、第1の画像記録部5が、記録媒体2の表面に対して画像記録を行なう。さらに記録媒体2が搬送されると、次に第2の画像記録部6が記録媒体2の裏面に画像記録を行う。
【0034】
本実施形態の画像記録装置1では、所定の画像記録単位で記録媒体2をカットする方法として、上記したようにロータリ式の切断部8を用いている。この切断部8のカッター刃26の周速度を、記録媒体2の搬送速度に同期した一定の速度で回転させることで、カッター刃26がアンビルローラ25側に押し付け、記録媒体2を所定のサイズにカットする。
【0035】
カットローラ24の駆動軸上には、カッター刃26の位置を検出するための刃物位置情報生成部30が設けられている。この刃物位置情報生成部30は、例えばアブソリュートエンコーダで構成され、カッター刃26の装着位置をアブソリュートエンコーダの原点位置とした場合、カットローラ24の全外周長とアブソリュートエンコーダの分解能から、現在のカッター刃26の位置から次回のカット位置までの外周長を求めることができる。
【0036】
カットローラ24及びアンビルローラ25は、ニップローラ対20と比較して大きな慣性力を有しており、カッター刃の周速度が記録媒体の搬送速度に同期するように回転している。そして記録媒体2は、このカットローラ24とアンビルローラ25との間に入ることで切断される。
【0037】
続いて、本実施の形態の画像記録装置1の特徴となる、ミシン目加工処理について詳細に説明する。
上位装置23からは、ジョブ情報として、記録する画像を指示するデータ(画像データ)と共に、ミシン目加工位置情報が、記録シート単位で送出される。このミシン目加工情報には、ミシン目加工の有無、ミシン目加工位置及びミシン目加工の長さ等の情報を含んでいる。ミシン目加工の有無情報は、ミシン目加工を行うか否かを示す情報である。ミシン目加工位置情報は、例えば記録画像の端部から何ミリメートルの位置にミシン目を加工するかを示す情報である。またミシン目加工の長さ情報は、ミシン目加工位置情報が示す位置において搬送方向にどこからどこまで縦ミシン目を入れるかを示す情報である。
【0038】
制御部10は、ミシン目加工有無情報から、ミシン目挿入部40に到達したシートのミシン目加工の有無を判断する。そしてミシン目加工有りのシートであれば、制御部10はミシン刃横位置演算部に対して演算指令を行う。ミシン刃横位置演算部は、ミシン目加工位置情報と媒体端部検出部50の端部位置情報とから、ミシン刃44の横移動位置を演算し、ミシン刃横移動部41に対して駆動指令を行なう。
【0039】
本実施形態の画像記録装置1では、ミシン刃横位置演算部が行う横移動位置の演算の仕方として、記録媒体端部追従モードと、画像基準追従モードの二つのモードを備えている。以下に記録媒体端部追従モードと画像基準追従モードそれぞれにおける、ミシン目追従のための横移動位置の制御方法を説明する。
【0040】
本実施形態の画像記録装置1では、上記した記録媒体端部追従モード若しくは画像基準追従モードで横移動位置の演算を行う前に、まず初期処理として原点設定を行う必要がある。横移動位置の演算を行うには、制御部10がミシン刃横移動部41の制御座標系において原点となる基準位置検出部46の位置(原点センサ位置)が、媒体端部検出部50上のどの位置に相当するかを示す情報を保持している必要がある。この原点設定は、画像記録装置1が出荷される前に、工場等で実施される。
【0041】
図4は、媒体端部検出部50とミシン刃横移動部41の関係を説明する図である。なお本実施形態の画像記録装置1では、ミシン目挿入部40がミシン刃44−1及び44−2がついた2つのミシン刃横移動部41−1及び41−2を備える構成である。以下の説明では、ミシン刃横移動部41の原点設定方法についてはミシン刃横移動部41−1についてのみ説明するが、原点設定方法についてはミシン刃横移動部41−2も同様である。
【0042】
図4では、媒体端部検出部50の分解能が300dpi(dot per inch)のCISである場合を事例として原点設定方法を説明する。
原点設定では、まずミシン刃横移動部41−1を位置決め位置である基準位置検出部46のある位置に移動し、次に記録媒体2を搬送させ、ミシン刃44−1によって記録媒体2にミシン目47の加工を実施する。そしてこのミシン目加工をしている時に媒体端部検出部50により、記録媒体2の側端部を検出し、側端部が媒体端部検出部50を構成する素子の何番目(何ドット目)にあたるかを数値として制御部10に通知し、制御部10は、これを記憶部10aに記憶する。本例ではこの値をA(ドット)とする。なおこのA(ドット)は、媒体端部検出部50を構成する素子の内、左端の素子(基準位置)からAドット目の素子であることを示す。
【0043】
次に記録媒体2の搬送を停止し、記録媒体2に加工されたミシン目が記録媒体2の端部からどれくらいの位置に加工されたかを実測する。この実測値をBmmとする。
この実測値B(mm)を画像記録装置1が備えているタッチパネルなどの表示部/入力部15、または上位装置23から入力することにより、制御部10は、媒体端部検出部50のドット素子上の制御座標系における、ミシン刃横移動部の原点センサ46の位置C(ドット)を以下の演算で求める。なおこの式では1inch≒25.4(mm)としている。
C=A+(B×300)/25.4
そして制御部10は、この上記演算で求めたCの値をミシン刃横移動部41−1の原点を示す調整値として、記憶部10a内の不揮発な記憶領域に保存する。
【0044】
なお、ここではミシン目が媒体端部からどれくらいの位置に加工されたかを実測し、この実測値Bを画像記録装置に入力するとしているが、ミシン目挿入部40の下流側に更にCISを設け、そのCISによる読取り情報からミシン目が加工された位置を制御部10が読取る構成としても良い。
【0045】
このような原点調整が行われた本実施形態の画像記録装置1で各モードの画像記録時に行われる動作処理について説明する。
まず媒体端部追従モードによるミシン目の入れ方をについて説明する。
【0046】
媒体端部追従モードは、記録媒体2の側端部分を基準としてミシン目を入れる。
図5(a)は、媒体端部追従モードによるミシン目の入れ方を示す図である。
図5(a)に示すように媒体端部追従モードでは、記録媒体2の側端部61を基準としてミシン目62を入れる。同図(a)では、ミシン目62−1及び62−2と2つのミシン目が記録媒体2に入れられている。
【0047】
媒体端部追従モードでは、画像記録を行う際に上位装置23から通知されるジョブ情報に、ミシン目の情報として、記録媒体2の側端部61からの距離(同図(a)では、a1、a2)、ミシン目の長さ(同図(a)では、b1、b2)及びミシン目の開始位置(同図(a)では、63−1、63−2)が入っている。制御部10のミシン目制御部10dは、このミシン目の情報に基づいて、記録媒体2の側端部61を基準としてミシン目62−1、62−2を入れる。
【0048】
図6は、媒体端部追従モード時の制御方法の説明図である。
画像記録のために記録媒体2が搬送経路を搬送されると、媒体端部検出部50が記録媒体2の側端部を検出し、側端部分を検出した媒体端部検出部50を構成する素子の基準位置からのドット位置D(ドット)を制御部10に通知する。
【0049】
制御部10は、このドット位置D(ドット)と上述した原点センサ46の位置C(ドット)、及び上位装置23から通知されたミシン目挿入位置E(mm)(基準位置からの距離)を用いてミシン刃横移動部41−1の原点センサの位置からの横位置移動量F(mm)を算出する。
F=E−((C−D)×25.4/300)
制御部10は、Fmmの移動量をミシン刃横移動部41に指令し、ミシン刃横移動部41はミシン刃44を上位装置23から指令された位置に移動させ、所定のシートの所定の位置でカムモータ45を作動させてミシン目加工を行なう。
【0050】
この制御により、ユーザが画像記録原稿作成時に意図した記録媒体端部からの指定位置にミシン目を加工することができる。
次に画像基準追従モードによるミシン目の入れ方をについて説明する。
【0051】
画像基準追従モードでは、記録媒体2に記録する画像内に設定した基準位置を基準として、ミシン目を入れる。
図5(b)は、画像基準追従モードによるミシン目の入れ方を示す図である。
【0052】
図5(b)に示すように、画像基準追従モードでは、記録媒体2に画像64を記録すると共に、その画像64を記録するのに用いる基準位置65(例えば画像64の中心)を基準とした位置にミシン目62−3を入れる。
【0053】
画像基準追従モードでミシン目を入れる場合、上位装置23から通知されるジョブ情報には、ミシン目の情報として、画像64の基準位置からの距離(同図(b)では、a3)、ミシン目の長さ(同図(b)では、b3)及びミシン目の開始位置(同図(b)では、63−3)が入っている。制御部10のミシン目制御部10dは、このミシン目の情報に基づいて、画像の基準位置65を基準としてミシン目62−3を入れる。
【0054】
図7は、画像基準追従モード時の制御方法の説明図である。
画像記録のために記録媒体2が搬送路を搬送されると、制御部10は画像記録時に使用した記録画像の基準点位置(例えば画像の中心位置)を媒体端部検出部50上の座標系(媒体端部検出部50の基準位置のドットを基準として数えたドット数)で表した値D3に変換する。
【0055】
この値D3を上位装置23からのジョブ情報に含まれるシート毎の識別子であるシートIDと、その他のシート毎の情報、例えばミシン目位置、ミシン目有無等とともに制御部内の記憶部10aに画像情報テーブル48として保存する。
【0056】
図8は、画像情報テーブル48の構成例を示す図である。
画像情報テーブル48は、上位装置23から通知されるジョブ情報を基にして制御部10によって記憶部10a内に構成される。
【0057】
同図の画像情報テーブル48では、通知されたジョブ情報によって画像記録が行われるシートを識別するシートID、ミシン目の有無、上記した基準となる画像64の基準位置65を媒体端部検出部50上の座標系で表した値D3、ミシン目のD3を基準とした位置(記録媒体2の幅方向の位置)、ミシン目の開始位置(縦方向の位置)、及びミシン目の長さが関連づけられて記憶されている。なお同テーブル48で、ミシン目位置がマイナスの値になっている箇所は、図5(b)においてミシン目が基準位置65より左側に来ることを表している。
【0058】
次に、制御部10は、画像記録を行った記録媒体2がミシン目挿入部40の位置に搬送されたことを検出すると、図8の画像情報テーブル48を対応するシートIDで参照して、ミシン目の有無を判定する。その結果ミシン目が無い場合は、ミシン目挿入部40を稼働させずにミシン目を入れずに切断部8に送る。また画像情報テーブル48を参照した結果、対応するシートがミシン目有であった場合、画像情報テーブル48の対応するD3の値、ミシン目位置、ミシン目の開始位置、及びミシン目長さを基にミシン目挿入部40を制御してミシン目を入れる。
【0059】
図7に示すように、制御部10は、画像情報テーブル48から読み出したミシン目位置E(mm)及び上記D3の値(ドット)と、原点センサ46の位置C(ドット)を用いて以下のようにミシン刃横移動部41の横位置移動量H(mm)を算出する。
H=(D3×25.4/300)−E−(C×25.4/300)
制御部10は、この横位置移動量H(mm)をミシン刃横移動部41に通知し、ミシン刃44を上位装置23から指令された位置に移動させる。これにより、記録画像64を基準とした所定の位置にミシン目47の加工が可能となる。
【0060】
次に基準となる画像64のる基準位置65が記録媒体2の幅方向の中心に来た場合について説明する。なお基準位置65は画像64の中心にあるものとし、図9はこの場合の模式図となっている。
【0061】
媒体端部検出部50は、搬送されてくる記録媒体2の両側端部を検出し、その位置を媒体端部検出部50上の座標系の情報D(D1、D2)(ドット)として制御部10に通知する。
【0062】
制御部10は、画像記録処理を行うときこの情報D(ドット)を用い、記録媒体2の幅方向の中心と記録する画像64の中心とが一致するように記録する。記録媒体2の幅方向中心位置D3(ドット)は、記録媒体2の左側端部の位置D1(ドット)及び右側端部の位置D2(ドット)から、以下のように求めることができる。
D3=(D1+D2)/2
【0063】
この幅方向の中心位置D3(ドット)の値を使って、ミシン刃横移動部41の横位置移動量H(mm)を算出し、この値を用いてミシン目加工を行う。これにより、記録画像46の中央と搬送された記録媒体2の幅方向の中央が一致し、記録媒体の中央に画像を記録することができると共に、画像46の中央を基準とした所定の位置にミシン目の加工を行うことが出来る。
【0064】
なお、記録媒体2の幅方向の中心を求めるのに、情報D1(ドット)またはD2(ドット)の一方の値と、記録媒体2の幅を求めることが出来る記録媒体2の規格値から求めてもよい。
【0065】
この画像基準追従モードによるミシン目加工の制御により、記録媒体2の幅によらずに画像64を基準としてミシン目を入れることが出来るので、ユーザが意図した画像64とミシン目47の位置関係でミシン目加工を行うことが出来る。
【0066】
図10は、本実施形態の画像記録装置1で行われるミシン目加工処理時の動作を示すフローチャートである。
同図の処理は、制御部10が記憶部10a内の制御プログラムを実行することにより実現する。
【0067】
図10の処理が開始されると、まずステップS1として制御部10は、上位装置23からジョブ情報を受信し、このジョブ情報内のミシン目挿入位置情報を取得する。
次に制御部10は、ステップS2として、画像記録を行うべきページが第1の画像記録部5あるいは第2の画像記録部6の記録規定位置にあるかどうかを判断する。
【0068】
その結果画像記録を行うべきページが第1の画像記録部5あるいは第2の画像記録部6の記録規定位置にあれば(ステップS2、YES)、ステップS3として媒体端部検出部50から記録媒体2の端部の位置を示す情報を取得する。次に制御部10は、ステップS4において、ステップS3で取得した記録媒体2の端部の位置を示す情報を基に記録媒体2の中心位置を求め、記録媒体2に画像を記録する。そして次に制御部10は、ステップS5として、ステップS4で画像を記録したシートのシートIDと記録した画像の基準位置、及びステップS1で取得したミシン目挿入位置情報を、記憶部10a内に画像情報テーブル48として記憶後、処理をステップS2に戻す。
【0069】
ステップS2において、制御部10が記録を行うべきページが第1の画像記録部5あるいは第2の画像記録部6の記録規定位置に無いと判断したならば(ステップS2、NO)、次に制御部はステップS6として、記録媒体2の搬送位置がミシン目挿入部40の手前規定位置にあるかどうかを判断する。そしてその結果、記録媒体2の搬送位置がミシン目挿入部40の手前規定位置に無ければ(ステップS6、NO)、処理をステップS2に戻す。
【0070】
ステップS6において、制御部10が記録媒体2の搬送位置がミシン目挿入部40の手前規定位置にあると判断したならば(ステップS6、YES)、次に制御部10は、ジョブ情報から、ミシン目加工処理のモード指定が媒体端部追従モードであるか、あるいは画像基準追従モードであるかを判断する。
【0071】
ステップS7の判断の結果、ミシン目加工処理のモード指定が媒体端部追従モードであった場合(ステップS7、YES)、現在ミシン目挿入部40内にある記録媒体2に対応するシートは、媒体端部追従モードでミシン目加工処理を行う。
【0072】
媒体端部追従モードでは、制御部10のミシン目制御部10dは、ステップS8として、媒体端部検出部50から記録媒体2の側端部の位置を示す端部情報を所得する。次にミシン目制御部10dは、ステップS9として、ミシン刃横移動部41の基準位置とステップS1で得たミシン目挿入位置情報からミシン刃横移動部41の移動量を演算して求める。そしてミシン目制御部10dは、ステップS10としてミシン刃横移動部41にステップS9で算出した位置に移動するよう指示を行い、ミシン刃横移動部41は指示された位置に移動して記録媒体2にミシン目を入れる。
【0073】
一方ステップS7の判断の結果、ミシン目加工処理のモード指定が画像基準追従モードであった場合(ステップS7、NO)、現在ミシン目挿入部40内にある記録媒体2に対応するシートは、画像基準追従モードでミシン目加工処理を行う。
【0074】
画像基準追従モードでは、ミシン目制御部10dは、ステップS11としてシートIDでステップS5で記憶部10a内に記憶した画像情報テーブル48を参照して、記録画像の基準点位置D3及びミシン目挿入位置E(mm)を取得する。次にミシン目制御部10dは、ステップS12として、上位装置23から受信したジョブ情報から画像の大きさG(mm)を記憶部10aから取得する。そしてステップS13として、ミシン目制御部10dは、ステップS11及びS12で取得した記録画像の基準点位置D3(ドット)、ミシン目挿入位置E(mm)、画像の大きさG(mm)、及びミシン刃基準位置C(ドット)からシン刃横移動部41の横位置移動量H(mm)を算出する。そしてミシン目制御部10dは、ステップS10として、このシン刃横移動部41の横位置移動量H(mm)移動することを指示し、ミシン刃横移動部41は指示された位置に移動して記録媒体2にミシン目を入れる。
【0075】
そして制御部10は、ステップS14として、ジョブ情報内の画像記録指示を全て処理終えたかどうかを判断し、未処理の画像記録指示があれば(ステップS14、NO)、ステップS2に処理を戻し、全ての画像記録指示を終了していれば(ステップS14、YES)、本処理を終了する。
【0076】
このように本実施形態の画像記録装置1では、事前に記録媒体にマークを設けることなく、記録媒体にミシン目を加工することが出来る。
またミシン目加工処理として媒体端部追従モードと画像基準追従モードの2つのモードを持つ。そして媒体端部追従モードでミシン目加工処理を行ったときは、ユーザが画像記録原稿作成時に意図した記録媒体端部からの指定位置にミシン目を加工することができる。そして1シート単位で記録媒体2の側端部の位置を検出しているので、記録媒体2がずれたり、記録媒体2に誤差があっても対処することができる。また画像基準追従モードでミシン目加工処理を行ったときは、画像記録を行った画像を基準としてミシン目加工処理を行うことが出来るので、ユーザが意図した記録画像とミシン目の位置関係でミシン目加工を行うことが出来る。
【0077】
なお、上記説明では、本実施形態の画像記録装置1で用いられる媒体端部検出部50は、CISである場合を例にして説明をしたが、媒体端部検出部50はCISに限定されルものではなく、他の検知センサでも良い。
【0078】
また本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明は、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明をなすことができる。例えば、本発明は実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いし、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0079】
1 画像記録装置
2 記録媒体
3 記憶媒体給送部
4 記憶媒体接続部
5 第1の画像記憶部
6 第2の画像記憶部
7 搬送部
8 切断部
9 導入部
10 制御部
10a 記憶部
10b 画像記録制御部
10c 切断制御部
10d ミシン目制御部
11 記憶媒体排出部
15 表示部/入力部
23 上位装置
30 刃物位置情報生成部
40 ミシン目挿入部
50 媒体端部検出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置からのジョブ情報に基づいて、記録媒体に画像記録を行う画像記録装置において、
基準位置に基づいて前記記録媒体の搬送方向に略平行な移動量を算出し、当該移動量に基づいたミシン刃加工を行う指示を行うミシン目制御部と、
当該指示に基づいて移動して、前記記録媒体に対してミシン目加工を行うミシン刃横移動部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
演算処理部、及び制御プログラムを予め記憶している記憶部を少なくとも備える制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記演算処理部に前記制御プログラムを実行させることにより、前記ミシン目制御部として機能する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録媒体の搬送方向に略平行な端部の位置を検出する媒体端部検出部を更に備え、
前記ミシン目制御部は、前記媒体端部検出部が検出した前記端部の位置を前記基準位置として前記移動量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録媒体に画像を記録する画像記録部を更に備え、
前記ミシン目制御部は、前記画像記録部が記録する前記画像に基づいた位置を前記基準位置として前記移動量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記ミシン目制御部は、前記画像記録部が前記画像を記録する際に用いた基準位置を前記基準位置として前記移動量を算出することを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記ミシン目制御部は、前記画像記録部が記録した前記画像の中心位置を前記基準位置として前記移動量を算出することを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体の搬送方向に略平行な端部の位置を検出する媒体端部検出部を更に備え、
前記画像記録部が記録する前記画像に基づいた位置を前記記録媒体の幅方向の中心位置とし、前記ミシン目制御部は、前記媒体端部検出部が検出した前記媒体の両端部から前記基準位置を求めることを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記画像記録部は、前記記録媒体の表裏の少なくとも一方に前記画像を記録することを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記ミシン目加工部は前記記録媒体に対して当該記録媒体の搬送方向に平行にミシン目を入れることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記ジョブ情報に基づいて,前記ミシン刃横移動部による前記ミシン目加工と同期して前記記録媒体を所定の寸法に切断する切断部を更に備え、
前記記録媒体はロール紙であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項11】
上位装置からのジョブ情報に基づいて、記録媒体に画像記録を行う画像記録装置の制御方法において、
基準位置に基づいて前記記録媒体の搬送方向に略平行な移動量を算出し、当該移動量に基づいたミシン刃加工を行う指示を行い、
当該指示に基づいて移動して、前記記録媒体に対してミシン目加工を行うよう指示を行う
ことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項12】
前記記録媒体の搬送方向に略平行な端部の位置を検出し、
前記媒体端部検出部が検出した前記端部の位置を前記基準位置として前記移動量を算出することを特徴とする請求項11に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項13】
前記記録媒体に画像を記録し、
前記画像に基づいた位置を前記基準位置として前記移動量を算出することを特徴とする請求項11に記載の画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図10】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−110803(P2011−110803A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269177(P2009−269177)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】