説明

画像読取装置、画像形成装置、及び画像処理プログラム

【課題】原稿の大きさを検出してから画像処理を行う場合に比べて、原稿の読み取りを開始してから画像処理が終了するまでの時間が短縮される、画像読取装置、画像形成装置、及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像読取装置10では、原稿台30に原稿Gが置かれると、読み取り開始前に、原稿幅検知部52が原稿幅を検知し、原稿幅に基づいて原稿サイズ推定部76が原稿サイズを推定する。原稿Gの読み取り開始後、画像処理部72は、推定された原稿サイズに基づいて、読取データの画像処理を開始する。また画像処理と並行して、読取データが記憶部78に蓄積される。その後、原稿長検知部54が原稿長を検知し実際の原稿サイズを検出する。実際の原稿サイズが推定した原稿サイズと一致する場合は、画像処理部72で実行中の画像処理をそのまま継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像読取位置に固定された画像読取手段に対して原稿を副走査方向に送ることにより、当該原稿の画像データを読み取って記録シートに画像を形成する画像形成装置において、原稿を画像読取位置へ搬送する原稿搬送手段と、当該原稿搬送手段の搬送経路途中に設けられ、搬送される原稿の通過を検出する原稿検出手段と、原稿検出手段からの検出信号に基づき前記原稿のサイズを判定する原稿サイズ判定手段と、判定された原稿サイズに基づき所定サイズの記録シートを選択して給紙する給紙手段と、画像読取手段により読取られた原稿の画像データを書き込むメモリと、を備え、前記原稿サイズ判定手段によって原稿サイズがまだ判定されていなくても、原稿の前端が画像読取位置に到達した時点でそのまま画像読取りを開始してその画像データを前記メモリに書き込んでいき、原稿サイズが判定された時点において当該原稿の画像読取りが終了していなくても、前記選択された記録シートの給紙を開始し、当該原稿の画像データのうちすでにメモリに書込み済みのものから読出しを開始することにより前記記録シートに画像を形成するようにしたことを特徴とする画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−331418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、原稿の大きさを検出してから画像処理を行う場合に比べて、原稿の読み取りを開始してから画像処理が終了するまでの時間が短縮される、画像読取装置、画像形成装置、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像読取装置は、原稿台に置かれた原稿の読み取り方向と交差する交差方向の大きさを検知する第1検知手段と、前記原稿を読み取って第1画像情報を出力する読取手段と、前記読取手段で読み取った前記第1画像情報に対して、原稿の大きさに応じて予め定められた画像処理を実行して第2画像情報を出力する画像処理手段と、前記第1検知手段で検知した前記原稿の前記交差方向の大きさに応じて原稿の大きさを推定し、かつ推定した原稿の大きさに基づいて前記画像処理を行うように前記画像処理手段を制御すると共に、前記読取手段で読み取った前記第1画像情報を記憶手段に記憶させる制御手段と、を備える。
【0006】
請求項2に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記原稿の読み取り中に前記原稿の前記読み取り方向の大きさを検知する第2検知手段を備え、前記制御手段は、前記第2検知手段で検知した前記原稿の読み取り方向の大きさに応じた原稿の大きさが前記制御手段で推定した前記原稿の大きさと一致する場合は、前記画像処理手段で実行中の前記予め定められた画像処理を継続させる。
【0007】
請求項3に記載の画像読取装置は、請求項2に記載の画像読取装置において、前記制御手段は、前記第2検知手段で検知した前記原稿の読み取り方向の大きさに応じた原稿の大きさが前記制御手段で推定した前記原稿の大きさと一致しない場合は、前記記憶手段に記憶させた前記第1画像情報を読み出して前記予め定められた画像処理を行わせるよう前記画像処理手段を制御する。
【0008】
請求項4に記載の画像読取装置は、請求項2または請求項3に記載の画像読取装置において、前記制御手段は、前記第2検知手段で検知した前記原稿の読み取り方向の大きさに応じた原稿の大きさが前記制御手段で推定した前記原稿の大きさと一致しない場合は、前記画像処理手段により画像処理済みの前記第2画像情報を廃棄する。
【0009】
請求項5に記載の画像読取装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置において、前記原稿台に置かれた原稿が複数枚の場合は、前記第1検知手段は、前記複数枚の原稿のうち最初に前記読取手段が読み取る原稿、または、前記複数枚の原稿のうち最も前記交差方向の大きさが大きい原稿の前記交差方向の大きさを検知する。
【0010】
請求項6に記載の画像形成装置は、前記請求項1から前記請求項5の何れか1項に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取られた原稿の画像情報に応じた画像を形成する画像形成手段と、を備える。
【0011】
請求項7に記載の画像処理プログラムは、原稿台に置かれた原稿の読み取り方向と交差する交差方向の大きさを検知する第1検知手段と、前記原稿を読み取って第1画像情報を出力する読取手段と、前記読取手段で読み取った前記第1画像情報に対して、原稿の大きさに応じて予め定められた画像処理を実行して第2画像情報を出力する画像処理手段と、を備えた画像読取装置を制御するコンピュータを、前記第1検知手段で検知した前記原稿の前記交差方向の大きさに応じて原稿の大きさを推定し、かつ推定した原稿の大きさに基づいて前記画像処理を行うように前記画像処理手段を制御すると共に、前記読取手段で読み取った前記第1画像情報を記憶手段に記憶させる制御手段として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項6、及び請求項7に記載の発明によれば、原稿の大きさを検出してから画像処理を行う場合に比べて、原稿の読み取りを開始してから画像処理が終了するまでの時間が短縮される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、画像処理手段で実行中の予め定められた画像処理を継続させない場合に比べて、原稿の読み取りを開始してから画像処理が終了するまでの時間が短縮される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、記憶手段に記憶させた第1画像情報の画像処理を行わせない場合に比べて、適切に画像処理が行われる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、第2画像情報を廃棄しない場合に比べて、画像処理にかかる負荷を低減させられる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、複数枚の原稿の各々に対して交差方向の大きさを検知する場合に比べて、原稿の読み取りを開始してから画像処理が終了するまでの時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の一例の正面図である概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る画像読取装置の一例の機能ブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る画像読取装置の記憶部に記憶されている原稿幅と推定原稿サイズとの対応関係の具体的一例を説明するための説明図である。
【図4】本実施の形態に係る画像読取装置の画像読取処理の流れの一例のフローチャートである。
【図5】本実施の形態に係る画像読取装置の画像読取処理動作における、読取データや画像データ等、各データの流れの一例を説明するための説明図(タイムチャート)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態の画像形成装置の概略について説明する。図1に、本実施の形態の画像形成装置の一例の正面図である概略構成図を示す。本実施の形態の画像形成装置1は、画像読取装置10及び画像形成装置12を備えている。なお、以下の説明では、図1に対する正面視上下方向を矢印Y方向、水平方向を矢印X方向、奥に向かう方向を矢印Z方向と記載する。また、左、右と記載するときは、画像形成装置1を正面から見た場合の左、右を表している。
【0020】
まず、本実施の形態の画像形成装置12について説明する。本実施の形態の画像形成装置12は、画像読取装置10から出力された画像データに基づいて記録用紙Pに画像を形成して出力する機能を有している。画像形成装置12は、図1に対する正面視上下方向(図示の矢印Y方向)の下側から上側へ向けて、記録用紙Pが収容される用紙収容部80と、用紙収容部80の上に設けられ用紙収容部80から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部82と、画像形成部82の左上側に一体的に設けられ画像形成された記録用紙Pを排出する排出部84と、を備えている。
【0021】
用紙収容部80は、シートの一例としてのサイズの異なる記録用紙Pが各々収容される収容部88A及び収容部88Bが矢印Y方向に並んで設けられている。収容部88A及び収容部88B(以下、区別する必要がない場合は「収容部」という。)の各々には、収容された記録用紙Pを搬送経路90に送り出す送出ロール92が設けられている。
【0022】
また、記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール対93よりも下流側には、記録用紙Pを一旦停止させると共に、予め決められたタイミングで下流側の領域(二次転写部126)へ送り出す一対の位置合せロール94が設けられている。一対の位置合わせロール38は、互いの外周面を接触させて対向して配置されており、記録用紙Pを挟み込み、モータ(図示省略)から駆動力を受けて回転することで記録用紙Pを搬送経路90の下流側へ送り出す。
【0023】
画像形成部82は、装置本体である筐体16Aを有している。筐体16Aは、画像形成装置12の正面視で画像形成部82の左上部が中央上部及び右上部よりも上側に突出されている。
【0024】
画像形成部82の搬送経路90を挟んで収容部88Bと反対側には、画像形成装置12の正面視で左側面に設けられた手差給紙部95から搬送経路90へ記録用紙Pが搬送される予備搬送路96が設けられている。予備搬送路96には、手差給紙部95の記録用紙Pを予備搬送路96に送り出す送出ロール97と、送出ロール97よりも下流側に設けられ記録用紙Pを一枚ずつ搬送する複数の搬送ロール対98とが設けられており、予備搬送路96の下流側端部は搬送経路90に接続されている。
【0025】
また、画像形成部82で搬送経路90における二次転写部126よりも下流側には、定着装置140が設けられている。定着装置140は、記録用紙P上の現像剤を加熱する定着ロール142と、定着ロール142に向けて記録用紙Pを加圧する加圧ロール144とを有しており、記録用紙Pが定着ロール142と加圧ロール144との接触部であるニップ部を通過すると、現像剤が溶融、凝固して記録用紙Pに現像剤像が定着されるように構成されている。なお、本実施の形態の画像形成装置1では、現像剤として、主にトナーとキャリアを含んで構成された二成分現像剤を採用しており、以下では、この現像剤を「トナー」と称する。
【0026】
図1に示すように、画像形成部82の中央には、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナーを組合せて記録用紙Pにトナー像を形成する形成手段の一例としての画像形成ユニット110が設けられている。画像形成ユニット110は、静電潜像を保持する感光体ドラム112K、112Y、112M、112Cが、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナーに対応して設けられている。なお、以下の説明では、K、Y、M、Cを区別する必要がある場合は、数字の後にK、Y、M、Cのいずれかの英字を付して説明し、構成上K、Y、M、Cを区別して説明する必要がない場合は、K、Y、M、Cの記載を省略する。
【0027】
感光体ドラム112K、112Y、112M、112Cは、この順番で図示の右上方に向けて並んでおり、それぞれ図示の反時計回り方向に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を外周面に保持する。また、各感光体ドラム112K、112Y、112M、112Cの周囲には、回転方向に沿って順に、帯電ロール116、LED(Light Emitting Diode)ヘッド118、現像器120、中間転写ベルト114、及びクリーニングロール124が設けられている。
【0028】
帯電ロール116は、一例として、ステンレス鋼製の軸部の周囲に電気的導通性を有する弾性層、中間層、及び表面樹脂層を含む複数の層(何れも図示省略)が形成された構成となっている。また、帯電ロール116は、外周面が感光体ドラム112の表面層と接触して従動するように軸部が回転自在に設けられており、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されることにより生じる放電により、感光体ドラム112の外周面を帯電させる。
【0029】
LEDヘッド118は、帯電ロール116により帯電した感光体ドラム112の外周面に各トナー色に対応した光を照射(露光)して静電潜像を形成する。なお、感光体ドラム112への露光手段として、K、Y、M、Cの4色共通でレーザ光をポリゴンミラーで走査する方式を用いてもよい。
【0030】
中間転写ベルト114は、無端状に形成されており、二次転写部126に設けられたベルト搬送ロール132と、ベルト搬送ロール132の右下方に設けられたベルト搬送ロール134と、ベルト搬送ロール132の右上方に設けられモータ(図示省略)で駆動される駆動ロール136とに巻き掛けられて図示の時計回り方向に周回移動するように支持されている。中間転写ベルト114の外周面は、トナー像が転写される転写面とされており、中間転写ベルト114の駆動ロール136からベルト搬送ロール134までの転写面に感光体ドラム112K、112Y、112M、112Cの外周面が接触している。
【0031】
一方、中間転写ベルト114を挟んで感光体ドラム112K、112Y、112M、112Cの反対側には、一次転写ロール122(122K、122Y、122M、122C)が設けられている。一次転写ロール122は、中間転写ベルト114の内周面に接触しており、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加されることで、接地された感光体ドラム112との電位差により、感光体ドラム112のトナー像を中間転写ベルト114の転写面へ一次転写させる。これにより、中間転写ベルト114が1周する間に中間転写ベルト114上に各トナー像が重ねて転写される。
【0032】
中間転写ベルト114を挟んで駆動ロール136と反対側には、二次転写後の中間転写ベルト114の転写面に残留したトナー等を清掃する清掃部材139が設けられている。
【0033】
二次転写部126は、中間転写ベルト114が巻き掛けられたベルト搬送ロール132と、中間転写ベルト114を挟んでベルト搬送ロール132と反対側に設けられた搬送手段の一例としての二次転写ロール138とを含んで構成されている。二次転写ロール138は、電圧印加部(図示省略)から電圧が印加され、ベルト搬送ロール132と二次転写ロール138との電位差により、中間転写ベルト114上のトナー像が記録用紙P上に二次転写されるように構成されている。
【0034】
図1に示すように、画像形成部82の清掃部材139よりも右側には、K、Y、M、Cの各トナーを収容するトナーカートリッジ125K、125Y、125M、125Cが交換自在に設けられている。また、画像形成部82の搬送経路90よりも左側には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路106が設けられている。
【0035】
両面搬送路106は、搬送経路90における記録用紙Pの搬送方向で定着装置140よりも下流側に設けられた搬送ロール対107と、搬送ロール対107よりも下流側に設けられ回転方向が切り換え自在とされた搬送ロール対108との間に一端が接続されており、他端が位置合せロール94の上流側に接続されている。また、両面搬送路106には、搬送ロール対108から送り込まれる記録用紙Pを位置合せロール94へ向けて搬送する複数の搬送ロール109が設けられている。これにより、両面画像形成時には、定着装置140で表面側にトナー像が定着された記録用紙Pが、搬送ロール対108の逆回転及び経路切り替え部材(図示省略)により両面搬送路106に進入し、再度位置合せロール94に進入することで、記録用紙Pの表裏が反転される。
【0036】
排出部84における搬送ロール対107よりも下流側には、画像形成部82の上部に設けられた下置台100へ記録用紙Pを排出する下排出ロール101が設けられている。また、排出部84における搬送ロール対107よりも下流側の搬送経路90には、下置台100の上方に設けられた上置台102へ記録用紙Pを排出する上排出ロール103が設けられている。
【0037】
次に、本実施の形態の画像読取装置10について説明する。本実施の形態の画像読取装置10は、原稿Gを読み取って画像データに変換して上述の画像形成装置12に出力する機能を有している。本実施の形態の画像読取装置10は、自動原稿送り装置20と、原稿Gの表面に形成された画像を読み取る画像読取処理部22と、を備えて構成されている。
【0038】
本実施の形態の自動原稿送り装置20は、少なくとも1枚の原稿Gが置かれる原稿台30と、原稿Gを搬送する原稿搬送路32と、画像を読み取った後の原稿Gが排出される排出台34と、密着型イメージセンサ(CIS)35と、を含んで構成されている。
【0039】
原稿搬送路32は、U字状に形成され、原稿搬送路32の周囲には、用紙送出ロール36、送出ロール38、プリ位置合わせロール40、位置合わせロール42、プラテンロール44、アウトロール46、及び排出ロール48が設けられている。用紙送出ロール36は、原稿Gの送り時に下降し、原稿台30に置かれた原稿Gをピックアップする。送出ロール38は、用紙送出ロール36から送られた原稿Gのうち最上部にある原稿Gのみを内部に供給する。プリ位置合わせロール40は、送出ロール38から送られた原稿Gを一時停止させ、斜行補正する。位置合わせロール42は、プリ位置合わせロール40から送られた原稿Gを一時停止させ、読取りタイミングを調整する。プラテンロール44は、原稿搬送路32を通る原稿GをCVT(Constant Velocity Transport:原稿定速搬送)ガラス54に対峙させる。アウトロール46及び排出ロール48は、読み取った原稿Gを排出台34へ排出する。
【0040】
また、本実施の形態の自動原稿送り装置20は、原稿台30に、原稿幅検知部52が設けられている。原稿幅検知部52は、原稿台30状に置かれた原稿Gの幅(原稿が読み取られる方向と交差する方向、主走査方向ともいう。図1では矢印Z方向)を読み取る機能を有している(詳細後述)。さらに、自動原稿送り装置20は、原稿搬送路32沿いに、原稿長検知部54が設けられている。原稿長検知部54は、読み取りを開始した原稿Gの長さ(原稿が読み取られる方向、副走査方向ともいう。図1では矢印X方向)を読み取る機能を有している(詳細後述)。
【0041】
密着型イメージセンサ35は、アウトロール46と排出ロール48との間に配置され、原稿Gの裏面に形成された画像を上方から読み取るためのものである。密着型イメージセンサ35の下方には、白基準板50が原稿搬送路32を挟んで密着型イメージセンサ35に対向するように配置されている。白基準板50は、上方に向けられた反射面が画像読み取りの基準となる白色にされており、密着型イメージセンサ35の光源部(図示省略)が照射した光を白色に対する基準反射光として密着型イメージセンサ35に向けて反射する。
【0042】
本実施の形態の画像読取装置10は、原稿台30から自動原稿送り装置20により送られた原稿Gの表面を流し読みする機能と、プラテンガラス60上に置かれた原稿Gの表面を読み取る機能と、自動原稿送り装置20により送られた原稿Gの両面(表面及び裏面)の各々を読み取る機能と、を備えている。
【0043】
本実施の形態の画像読取処理部22の装置フレーム66の自動原稿送り装置12に対向する面には、画像を読み取る原稿Gが置かれるプラテンガラス60、白基準板62、及び自動原稿送り装置20によって搬送中の原稿Gを読み取るために原稿Gに光を照射するための開口部となるCVTガラス64が設けられている。
【0044】
本実施の形態の画像読取処理部22は、筐体である装置フレーム66内に、原稿Gを読み取った画像情報である画像信号(読取データ)を出力する画像読取部70、読取データに予め定められた画像処理を施し画像情報(画像データ)を出力する画像処理部72、及び画像データを画像形成装置12に出力する出力インターフェイス74等を備える。なお、以下では、画像読取部70から出力される原稿Gを読み取ったままの生データである画像情報を読取データ、画像処理部72から出力される読取データに予め定められた画像処理を行った画像情報を画像データと称する。
【0045】
以下、本実施の形態の画像読取装置10について詳細に説明する。図2に、本実施の形態の画像読取装置10の一例の機能ブロック図を示す。本実施の形態の画像読取装置10は、原稿幅検知部52、原稿長検知部54、画像読取部70、画像処理部72、出力インターフェイス74、制御部75、原稿サイズ推定部76、原稿サイズ検出部77、及び記憶部78を備えている。原稿幅検知部52、原稿長検知部54、画像読取部70、画像処理部72、出力インターフェイス74、制御部75、原稿サイズ推定部76、原稿サイズ検出部77、及び記憶部78は、互いにバス79によって情報が授受されるように接続されている。
【0046】
制御部75は、CPU(Central Processing Uint)150、ROM(Read−Only Memory)152、及びRAM(Rabdom Access Memory)154またはハードディスク等により構成され、画像読取装置10全体を制御する機能を有するものである。CPU150では、詳細を後述する画像読取処理のプログラム153が実行される。ROM152は、プログラム153やパラメータ等が記憶されており、RAM154は、CPU152によるプログラム153の実行時におけるワークエリア等として用いられる。なお、画像読取処理の処理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM(いずれも図示省略)、USB等の記録媒体に記録しておき、制御部75内のROM152等にインストールし、CPU150により読込まれて実行されるようにしてもよい。
【0047】
原稿幅検知部52は、上述のように、原稿Gの幅を検知する機能を有している。本実施の形態では、原稿幅検知部52は、原稿台30に置かれた状態の原稿Gの幅を、原稿Gの読み取り開始(読み取りがユーザにより指示される)前、または読み取り開始時に検知する。原稿幅の検知の仕方は特に限定されず、例えば、原稿台30に、原稿Gの位置決めを行う、原稿の幅に応じて移動するガイドが設けられている場合は、当該ガイドの移動位置により原稿幅を検知してもよい。また例えば、原稿台30の原稿幅方向に複数の光センサを設けておき、光センサの発光部で発光した光を受光部で受光することにより、複数の光センサのうちいずれの光センサが受光したかに応じて原稿幅を検知してもよい。
【0048】
原稿長検知部54は、上述のように、原稿Gの長さを検知する機能を有している。本実施の形態では、原稿長検知部54は、原稿Gの長さを、原稿Gの読み取り開始後、具体的には、原稿Gが送られ、自動原稿送り装置20内部に引き込まれた後に原稿長を検知する。原稿長の検知の仕方は特に限定されず、例えば、原稿Gの先端部と後端部とを検知して原稿Gの通過時間を検出し、当該通過時間に基づいて原稿長を検知するようにしてもよい。
【0049】
原稿サイズ推定部76は、原稿幅検知部52で検知した原稿幅に基づいて、ハードディスク等の記憶部78に記憶されている原稿幅と推定原稿サイズとの対応関係(図3参照)により、原稿台30に置かれている原稿Gのサイズを推定する機能を有している。なお、本実施の形態で「原稿サイズ」とは、A4、B5等の、原稿用紙の大きさのことをいう。
【0050】
本実施の形態の原稿サイズ検出部77は、原稿幅検知部52による原稿幅の検知後に、原稿長検知部54で原稿長を検知した場合は、検知した原稿幅及び原稿長に基づいて、原稿Gの実際のサイズを検出する。
【0051】
記憶部78は、いわゆるハードディスク等であり、上述の図3に示した原稿幅と推定原稿サイズとの対応関係等が予め記憶されている。当該対応関係は、画像読取装置10において、使用頻度の高い原稿Gの原稿サイズと原稿Gの幅との対応関係とすることが好ましい。例えば、A4サイズの原稿Gの読み取り頻度が高い場合は、A4サイズの用紙幅(原稿幅)に対応する大きさ原稿幅検知部52で検知した場合は、A4サイズであると推定されるように対応関係を定めておくことが好ましい。
【0052】
また、本実施の形態では、記憶部78には、画像読取部70で読み取られた読取データが一時的に記憶される。
【0053】
画像読取部70は、上述のように原稿Gを読み取って読取データを出力する機能を有しており、原稿を読み取るための光学部(図示省略)を備えている。光学部は、光源及びミラーを有するフルレートキャリッジ、複数のミラーを有するハーフレートキャリッジ、レンズ、光電変換素子(CCD)等を含んで構成されている。光電変換素子では、受光面に結像された光学像を光電変換し、アナログの電気信号である読取データを生成して出力する。
【0054】
画像処理部72は、画像読取部70から出力されたアナログの電気信号である読取データをデジタルの電気信号に変換し、デジタルの読取データに対して、予め定められた画像処理を行った画像データを生成して出力する機能を有している。画像処理部72で行われる当該画像処理は、原稿Gの原稿サイズに応じて、画像処理におけるパラメータや処理の仕方等が予め定められている処理であり、例えば、シェーディングデータ等による補正処理等や、拡縮処理等が挙げられる。
【0055】
出力インターフェイス74は、画像処理部72から出力された画像データを画像形成装置12に出力する機能を有するインターフェイスである。
【0056】
次に、本実施の形態の画像読取装置10の制御部75で実行される画像読取処理動作について詳細に説明する。当該画像読取処理は、CPU150がプログラム153を実行することにより行われる。図4に、本実施の形態の画像読取処理の流れの一例のフローチャートを示す。また、図5に、本実施の形態の画像読取処理動作における、読取データや画像データ等、各データの流れの一例を示す。
【0057】
ステップS200では、原稿台30に原稿Gが置かれたか(セットされたか)否か判断する。なお、原稿台30に原稿Gが置かれたか否かの判断の仕方は特に限定されず、例えば、原稿台30の奥に原稿Gが当たったことをセンサ等により検出したり、原稿台30上の重量を検出したり、原稿台30に上述した原稿の幅に応じて移動するガイドが設けられている場合は当該ガイドの移動を検出したりすればよい。また、原稿台30に原稿Gが置かれたことを示す旨が図示を省略したユーザインターフェイス等によりユーザから指示された場合等でもよい。原稿台30に原稿Gが置かれていない場合は、否定されて待機状態になる。一方、原稿台30に原稿Gが置かれたと判断した場合は、肯定されてステップS202へ進む。
【0058】
ステップS202では、原稿幅検知部52により原稿台30上に置かれた原稿Gの幅を検知する。次のステップS204では、原稿サイズ推定部76が、原稿幅検知部52で検知された原稿幅に基づいて原稿台30上に置かれている原稿Gの原稿サイズを推定する。
【0059】
次のステップS206では、原稿Gの読み取りが開始されたか否かを判断する。読み取りが開始されていない場合は、否定されて待機状態になる。一方、例えば、図示を省略したユーザインターフェイス等によりユーザから原稿の読み取り開始が指示された場合等は、肯定されてステップS208へ進む。ステップS208では、自動原稿送り装置20により原稿Gを画像読取装置10内部に搬送すると共に、画像読取部70により原稿Gの読み取りを行う。
【0060】
次のステップS210では、画像処理部72により、読取データに対して推定した原稿サイズに応じた画像処理を実行させると共に、記憶部78に、読み取りデータの蓄積を行わせる(図5参照)。本実施の形態では、このように、推定した原稿サイズによる読取データの画像処理と、読取データの記憶部78への蓄積とが並行して行われる。
【0061】
次のステップS212では、原稿長検知部54により、原稿長が検知されたか否か判断する。未だ検知されていない場合は、否定されて待機状態になる。一方、検知された場合は、肯定されてステップS214へ進む。
【0062】
ステップS214では、原稿サイズ検出部77により、原稿幅及び原稿長に基づいて、原稿Gの実際の原稿サイズを検出し、次のステップS216では、検出した実際の原稿サイズが、推定した原稿サイズと一致するか否か判断する。一致する場合は、ステップS218へ進み、画像処理部72で実行中の画像処理をそのまま継続し、次のステップS220で画像処理を終了するか否か判断する。1枚の原稿Gの画像処理が終了していない場合、または複数枚の原稿Gが原稿台30に置かれており、未だ画像処理していない原稿Gが原稿台30上に置かれている場合は、否定されてステップS218に戻り、画像処理を継続する。なお、本実施の形態では、複数枚の原稿Gに対して画像処理を行う場合は、最初に推定した原稿サイズに基づいて、画像処理を行うようにしている。一方、画像処理が終了した場合は、肯定されてステップS228へ進む。なお、一致すると判断した場合は、記憶部78への読取データの蓄積は、そのまま継続するようにしてもよいし、蓄積を中止すると共に、蓄積されている読取データを廃棄するようにしてもよい。
【0063】
一方、ステップS216で、検出した実際の原稿サイズが、推定した原稿サイズと一致していないと判断した場合は、否定されてステップS222へ進む。ステップS222では、記憶部78に蓄積されている読取データを読み出させる。次のステップS224では、画像処理部72で実行中の画像処理を中止し、現在画像処理済みの画像データを廃棄して、新たに読み出した読取データを画像処理部72で画像処理させる。次のステップS226では、上述のステップS220と同様に、画像処理を終了するか否か判断する。否定された場合は、ステップS224に戻り、画像処理を行う。一方、画像処理が終了した場合は、肯定されてステップS228へ進む。
【0064】
ステップS228では、出力インターフェイス74により、画像データを画像形成装置12に出力させる。当該画像データの出力により、画像形成装置12では、画像データに応じた画像が記録用紙P上に形成される。
【0065】
以上説明したように本実施の形態の画像形成装置1における画像読取装置10では、原稿台30に原稿Gが置かれると、原稿Gの読み取り開始前に、原稿幅検知部52により、原稿幅が検知され、検知された原稿幅に基づいて原稿サイズ推定部76が原稿Gのサイズ(例えば、A4)を推定する。自動原稿送り装置20が動作し、画像読取処理部22の画像読取部70により原稿Gの読み取りが開始され読取データが出力されると、画像処理部72は、推定された原稿サイズに基づいて、読取データの画像処理を開始する。また、画像処理と並行して、読取データが記憶部78に蓄積される。その後、原稿長検知部54により原稿Gの原稿長が検知されると、原稿サイズ検出部77で、原稿幅及び原稿長に基づいて原稿Gの実際の原稿サイズを検出する。検出した実際の原稿サイズが推定した原稿サイズと一致する場合は、画像処理部72で実行中の画像処理をそのまま継続する。一方、検出した実際の原稿サイズが推定した原稿サイズと一致しない場合は、記憶部78に蓄積されている読取データを読み出し、画像処理部72で実行中の画像処理を停止させ、処理済みの画像データを廃棄させ、新たに読み出した読取データの画像処理を行わせる。
【0066】
このように、本実施の形態では、原稿Gの読み取り開始前に原稿Gの原稿幅を検出し、実際の原稿Gの検出前に原稿幅に基づいて推定した原稿サイズに基づいた読取データの画像処理部72による画像処理を読取データの記憶部78への蓄積と並行して行わせるため、原稿Gの実際のサイズを検出してから画像処理を行う場合に比べて、原稿の読み取りを開始してから画像処理が終了して画像データが出力されるまでの時間が短縮される。
【0067】
また、本実施の形態では、原稿台30に原稿Gが置かれた状態等、原稿の読み取り開始前に、原稿長を検知しなくても、上述のように、原稿の読み取りを開始してから画像処理が終了して画像データが出力されるまでの時間が短縮される。
【0068】
これにより、原稿Gの読み取りに関する生産性を低下させることがなく、また原稿台30等に原稿長の検知を行うセンサ等の原稿サイズ検知機構が省略を実現すると共に、画像読取装置10の小型化が図れる。
【0069】
なお、上記実施の形態は、画像読取装置10により出力された画像データに基づいた画像が画像形成装置12により形成される場合について説明したがこれに限らず、画像読取装置10は、画像データをその他(外部)の画像形成装置に出力してもよいし、ユーザのコンピュータ等に出力するようにしてもよい。
【0070】
また、原稿台30上に、複数枚の原稿Gが置かれかつ、原稿サイズが異なる場合は、最も大きな原稿Gの幅を原稿幅検知部52で検知するようにしてもよい。また、このような場合において、複数枚の原稿Gの画像処理中に、推定した原稿サイズと実際の原稿サイズとが異なった際は、その時点で、上述の推定した原稿サイズと実際の原稿サイズとが一致しなかった場合の処理(図4、ステップS222〜S226)を行うようにしてもよい。
【0071】
なお、本実施の形態で説明した、画像形成装置1、画像読取装置10、及び画像形成装置12等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
10 画像読取装置
12 画像形成装置
52 原稿幅検知部
54 原稿長検知部
70 画像読取部
72 画像処理部
75 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に置かれた原稿の読み取り方向と交差する交差方向の大きさを検知する第1検知手段と、
前記原稿を読み取って第1画像情報を出力する読取手段と、
前記読取手段で読み取った前記第1画像情報に対して、原稿の大きさに応じて予め定められた画像処理を実行して第2画像情報を出力する画像処理手段と、
前記第1検知手段で検知した前記原稿の前記交差方向の大きさに応じて原稿の大きさを推定し、かつ推定した原稿の大きさに基づいて前記画像処理を行うように前記画像処理手段を制御すると共に、前記読取手段で読み取った前記第1画像情報を記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿の読み取り中に前記原稿の前記読み取り方向の大きさを検知する第2検知手段を備え、前記制御手段は、前記第2検知手段で検知した前記原稿の読み取り方向の大きさに応じた原稿の大きさが前記制御手段で推定した前記原稿の大きさと一致する場合は、前記画像処理手段で実行中の前記予め定められた画像処理を継続させる、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2検知手段で検知した前記原稿の読み取り方向の大きさに応じた原稿の大きさが前記制御手段で推定した前記原稿の大きさと一致しない場合は、前記記憶手段に記憶させた前記第1画像情報を読み出して前記予め定められた画像処理を行わせるよう前記画像処理手段を制御する、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2検知手段で検知した前記原稿の読み取り方向の大きさに応じた原稿の大きさが前記制御手段で推定した前記原稿の大きさと一致しない場合は、前記画像処理手段により画像処理済みの前記第2画像情報を廃棄する、請求項2または請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記原稿台に置かれた原稿が複数枚の場合は、前記第1検知手段は、前記複数枚の原稿のうち最初に前記読取手段が読み取る原稿、または、前記複数枚の原稿のうち最も前記交差方向の大きさが大きい原稿の前記交差方向の大きさを検知する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記請求項1から前記請求項5の何れか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた原稿の画像情報に応じた画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
原稿台に置かれた原稿の読み取り方向と交差する交差方向の大きさを検知する第1検知手段と、前記原稿を読み取って第1画像情報を出力する読取手段と、前記読取手段で読み取った前記第1画像情報に対して、原稿の大きさに応じて予め定められた画像処理を実行して第2画像情報を出力する画像処理手段と、を備えた画像読取装置を制御するコンピュータを、
前記第1検知手段で検知した前記原稿の前記交差方向の大きさに応じて原稿の大きさを推定し、かつ推定した原稿の大きさに基づいて前記画像処理を行うように前記画像処理手段を制御すると共に、前記読取手段で読み取った前記第1画像情報を記憶手段に記憶させる制御手段として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90213(P2013−90213A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230050(P2011−230050)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】