説明

画像読取装置、画像読取方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】画像読取装置のコストを抑えつつ、さまざまな白色度の用紙に対しても、光沢の違いで作られたパターンを高い精度で抽出できるようにする。
【解決手段】画像読取装置は、規定の読取条件で照明手段および移動手段を制御して、用紙200の第1の領域200aの輝度画像データを得て、第1の領域200aの輝度画像データの度数分布を生成する度数分布生成手段と、パターン200dを含む用紙200において第1の領域200aの副走査方向下流に位置した第2の領域200bの読取条件を、度数分布を用いて決定する読取条件決定手段と、読取条件決定手段によって決定された読取条件で、照明手段および移動手段の少なくとも一方を制御して、第2の領域200bの前記輝度画像データを得る第2の領域読取手段と、第2の領域200bの輝度画像データからパターン200dを抽出する抽出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像読取方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードに代表されるパターン(マーク)を印刷するマーキングと呼ばれる技術がある。そして、パターンが印刷された用紙の画像を読み取り、読み取った画像からパターンを抽出し、抽出したパターンからそのパターンが示す情報を取り出す画像読取装置が知られている。
【0003】
マーキングの技術は、現在さまざまな用途に使われている。例えば、商品のラベルや出版物には、関連ホームページへ誘導するためのQRコード(登録商標)などの2次元コードが多くみられる。オフィスの文書にも、コピー機でのコピー許可または禁止を指示する地紋が使われている。
【0004】
2次元コードなどのコードシンボルは、用紙の局所面積をパターンで占有するタイプ、地紋は多数の小さな点や線で構成したパターンをコンテンツと重ね合わせるタイプであるが、いずれも、ラベル、出版物、文書にとって、邪魔なものであると言える。なぜなら、人間が見て理解するコンテンツ(文字や図形)と、機械に理解させるためのパターンを同じページ内に混在させているからである。
【0005】
パターンを邪魔でなくするためには、パターンを目立たない色のトナー(インク)で印刷すればよい。
【0006】
近年、電子写真プロセスにおいて、透明なトナーが使われるようになってきており、ここでは、これを利用することを考える。
【0007】
透明トナーでパターンを印刷することで、上記の邪魔の問題は解決されるが、パターンの抽出に新たな課題が生じてしまう。すなわち、人間が見ても見えない透明トナーパターンは、機械に読ませても見えないという課題である。これは通常の読取装置が、人間が観察するのと同じ見栄えの画像を得るように設計されているからである。つまり、この設計を多少なりとも変更しないと、前記課題は解決できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記課題を解決するには、下記の解決策がある。
【0009】
第1の解決策は、透明トナーに特殊な材を混ぜる方法である。この方法としては、紫外線を照射し、特殊な材によって励起した光を観測する方法(特許文献1参照)や、赤外線を照射し、特殊な材によって吸収された光を観測する方法(特許文献2参照)などがある。特殊な材を印刷した領域と、印刷していない領域とでパターンを形成すれば、受光の異なる2値のパターン画像が観測できる。特殊な材そのものも透明なので、邪魔の問題はないが、非可視波長域までカバーした特殊な照明や受光素子が必要となるため、読取装置が高コストとなる欠点がある。
【0010】
第2の解決策は、透明トナーにより光沢を生じさせる方法である。用紙において透明トナーを塗布した領域は平滑性が高まり光沢が生じ、塗布しない領域は用紙が持つ低い平滑性が維持され光沢が生じない。正反射光を観測すれば、両領域で2値のパターンが観測できる。特定の角度からだと人間にも見えてしまうが、邪魔というほどでもない。読取装置として、正反射光を観測する方式と、乱反射光のみを観測する方式とがある。前者の例として特許文献3、後者の例として特許文献4がある。
【0011】
正反射光より乱反射光を観測した方が、用紙の色(用紙によって吸収される波長)を精度よく読み取ることができる。このため通常の読取装置は、乱反射光を受光する受光素子を備えている。特許文献3の読取装置は、乱反射光を受光する受光素子とは別に、正反射光を受光する受光素子も備えた読取装置である。この特許文献3の読取装置は、光沢のパターンを読み取るためのものではないが、正反射光用受光素子を使えば、光沢パターンを読み取ることができる。しかし、専用の受光素子が必要となる分、読取装置が高コストとなる欠点がある。
【0012】
乱反射光の光量は、用紙の色(用紙自体または付着したトナーやインクの色)によって増減するが、光沢の度合いによっても増減する。用紙の色が同じなら、光沢のある領域(図8(b)参照)は、光沢のない領域(図8(a)参照)に比べ、乱反射光の光量が小さくなる。この原理を利用して、用紙地肌(トナーやインクが付着していない部分)の光沢パターンを読み取るのが、特許文献4の装置である。この特許文献4の装置では、特定の照明光量(通常の85%)でスキャンし、得られた画像の輝度値の度数分布(度数分布)から、光沢領域と非光沢領域の輝度値を特定している。特殊な照明や受光素子を必要としないため、読取装置が高コストとなる欠点のない方式といえる。しかし、用紙の多様性に対応できないという問題点を有している。つまり、用紙の白色度によっては、正しくパターンが検出できない場合がある。白色度が高い用紙では、検出できたとしても(同文献の段落0038記載)、白色度が低い用紙では、光沢領域と非光沢領域の輝度値が接近しすぎて、弁別できない。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像読取装置のコストを抑えつつ、さまざまな白色度の用紙に対しても、光沢の違いで作られたパターンを高い精度で抽出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、光沢の違いで表現されたパターンが印刷された用紙に、主走査方向に沿って照明光を照射する照明手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記照明光を前記用紙に対して相対移動させる移動手段と、前記照明光において前記用紙で乱反射した光を用いて、輝度画像データを生成する輝度画像データ生成手段と、規定の読取条件で前記照明手段および前記移動手段を制御して、前記用紙の第1の領域の前記輝度画像データを得て、前記第1の領域の前記輝度画像データの度数分布を生成する度数分布生成手段と、前記パターンを含み前記用紙において前記第1の領域の前記副走査方向下流に位置した第2の領域の読取条件を、前記度数分布を用いて決定する読取条件決定手段と、前記読取条件決定手段によって決定された読取条件で、前記照明手段および前記移動手段の少なくとも一方を制御して、前記第2の領域の前記輝度画像データを得る第2の領域読取手段と、前記第2の領域の前記輝度画像データから前記パターンを抽出する抽出手段と、を備える。
【0015】
また、本発明の画像読取方法は、光沢の違いで表現されたパターンが印刷された用紙に、主走査方向に沿って照明光を照射する照明手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記照明光を前記用紙に対して相対移動させる移動手段と、前記照明光において前記用紙で乱反射した光を用いて、輝度画像データを生成する輝度画像データ生成手段と、を備える画像読取装置で実行される画像読取方法であって、度数分布生成手段が、規定の読取条件で前記照明手段および前記移動手段を制御して、前記用紙の第1の領域の前記輝度画像データを得て、前記第1の領域の前記輝度画像データの度数分布を生成するステップと、読取条件決定手段が、前記パターンを含み前記用紙において前記第1の領域の前記副走査方向下流に位置した第2の領域の読取条件を、前記度数分布を用いて決定するステップと、第2の領域読取手段が、前記読取条件決定手段によって決定された読取条件で、前記照明手段および前記移動手段の少なくとも一方を制御して、前記第2の領域の前記輝度画像データを得るステップと、抽出手段が、前記第2の領域の前記輝度画像データから前記パターンを抽出するステップと、を含む。
【0016】
また、本発明のプログラムは、光沢の違いで表現されたパターンが印刷された用紙に、主走査方向に沿って照明光を照射する照明手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記照明光を前記用紙に対して相対移動させる移動手段と、前記照明光において前記用紙で乱反射した光を用いて、輝度画像データを生成する輝度画像データ生成手段と、を備える画像読取装置のコンピュータを、規定の読取条件で前記照明手段および前記移動手段を制御して、前記用紙の第1の領域の前記輝度画像データを得て、前記第1の領域の前記輝度画像データの度数分布を生成する度数分布生成手段と、前記パターンを含み前記用紙において前記第1の領域の前記副走査方向下流に位置した第2の領域の読取条件を、前記度数分布を用いて決定する読取条件決定手段と、前記読取条件決定手段によって決定された読取条件で、前記照明手段および前記移動手段の少なくとも一方を制御して、前記第2の領域の前記輝度画像データを得る第2の領域読取手段と、前記第2の領域の前記輝度画像データから前記パターンを抽出する抽出手段と、として機能させる。
【0017】
また、本発明の記録媒体は、前記プログラムを記録した、コンピュータが読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、用紙の第2の領域の読取条件を適切に変更設定できるので、特殊な照明や受光素子を必要とせずに、さまざまな白色度の用紙に対し、高い精度で光沢のパターンを抽出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる画像読取装置の概略構成例を示す構成図である。
【図2】図2は、輝度画像データ生成部を示す図である。
【図3】図3は、載置読取方式の画像読み取りを説明するための画像読取装置の概略図である。
【図4】図4は、シートスルー方式の画像読み取りを説明するための画像読取装置の概略図である。
【図5】図5は、画像読取装置の電気的接続を示すブロック図である。
【図6】図6は、用紙を示す平面図である。
【図7】図7は、照明の光度と露光エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図8】図8は、反射光の強度と方向との関係を説明するための説明図である。
【図9】図9は、用紙白色度が中の場合の輝度の度数分布の一例を示すグラフである。
【図10】図10は、用紙白色度が低の場合の輝度の度数分布の一例を示すグラフである。
【図11】図11は、用紙白色度が高の場合の輝度の度数分布の一例を示すグラフである。
【図12】図12は、画像読取装置が実行する読取処理のフローチャートである。
【図13】図13は、画像読取装置が実行する読取処理のタイムチャートである。
【図14】図14は、用紙の使用形態を説明するための図である。
【図15】図15は、第1の変形例にかかる用紙を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【図16】図16は、第2の変形例の用紙を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【図17】図17は、第3の変形例の用紙を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【図18】図18は、第4の変形例の用紙を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態にかかる画像読取装置100の概略構成例を示す構成図である。図1に示すように、画像読取装置100は、その下部に、用紙200の画像を読み取る画像読取部110を備え、その上部に、用紙200を搬送するADF(Auto Document Feeder:用紙200搬送装置)140を備える。
【0022】
画像読取部110は、ADF140により搬送される用紙200が上部を通過するスリットガラス112と、読取対象の用紙200を載置するコンタクトガラス114と、読取対象の用紙200に照明光を照射する光源118および第1のミラー120が搭載された第1のキャリッジ122と、第2のミラー124および第3のミラー126が搭載された第2のキャリッジ128と、レンズ132と、光電変換素子130と、を備える。また、画像読取部110は、第1のキャリッジ122および第2のキャリッジ128を駆動する駆動モータ133、ホームポジションを検出するホームポジションセンサ(図示せず)、および用紙200を検知する用紙検知センサ(図示省略)なども備える。ここで、駆動モータ133は、主走査方向と直交する副走査方向に、照明光を用紙200に対して相対移動させる移動手段に相当する。
【0023】
光源118は、主走査方向(図1の紙面に対し垂直の方向)に線状に伸びた光源である。光源118は、例えばLED(Light Emitting Diode)アレイやキセノン光源である。光源118は、用紙200に、主走査方向に沿って照明光を照射する照明手段に相当する。
【0024】
画像読取部110では、用紙200の面に対し45度の角度で光源118が照明光を照射し、90度の角度に反射した光(乱反射光)を、第1のキャリッジ122や第2のキャリッジ128の各ミラー122,124,126で折り返し、レンズ132で光電変換素子130に結像させている。
【0025】
図2は、輝度画像データ生成部134を示す図である。図2に示すように、画像読取部110は、輝度画像データ生成部134を備えている。輝度画像データ生成部134は、光電変換素子130と、AD変換部135と、を有する。光電変換素子130は、照明光において用紙200で乱反射した光を光電変換する。光電変換素子130は、1ラインの画素数だけ並んだフォトダイードアレイで構成されるCCDラインセンサである。各フォトダイオードは、用紙200の色や平滑度合いを反映した反射光量に応じた電荷を蓄える。各フォトダイオードの電荷は、アナログシフトレジスタに移され、転送クロックによってシリアルにAD変換部135へと送られる。AD変換部135では、各画素の電荷量を多値のデジタルデータ(8bit/画素)に変換する。これにより主走査方向1ライン分の輝度画像データが得られる。以上を副走査方向に繰り返すことにより、2次元の輝度画像データを得ることができる。次元の輝度画像データは、以下に説明するように、用紙200と照明光とを副走査方向に相対移動させることで実現される。このように、輝度画像データ生成部134は、照明光において用紙200で乱反射した光を用いて、輝度画像データを生成する。
【0026】
図3は、載置読取方式の画像読み取りを説明するための画像読取装置100の概略図、図4は、シートスルー方式の画像読み取りを説明するための画像読取装置100の概略図である。画像読取部110では、図3に示す載置読取方式又は図4に示すシートスルー読取方式で用紙200の画像を読み取ることができる。
【0027】
載置読取方式は、図3に示すように、光源118を点灯し、駆動モータ133により第1のキャリッジ122および第2のキャリッジ128を副走査方向に移動走査して、コンタクトガラス114上に載置された用紙200の面を読み取る読取方式である。
【0028】
シートスルー読取方式は、図4に示すように、光源118を点灯し、第1のキャリッジ122および第2のキャリッジ128を停止した状態のまま、ADF140により搬送される用紙200がスリットガラス112の上部を通過する際に用紙200の面を読み取る読取方式である。
【0029】
図1に戻って、ADF140は、用紙200を載置する用紙トレイ142と、用紙200を受け取る排紙トレイ146と、用紙搬送機構148とを、備える。ADF140には、用紙トレイ142から、スリットガラス112の上部を経て、排紙トレイ146へ至る用紙200搬送経路150が設けられている。用紙搬送機構148は、給紙ローラ151、搬送ドラムローラ152、排紙ローラ153等の搬送ローラを備える。これらの各ローラ151〜153は、駆動モータ159によって回転駆動される。画像読取部110によりシートスルー読み取りが行われる場合、用紙搬送機構148では、用紙トレイ142に載置された用紙200が、給送ローラ151および搬送ドラムローラ152によって、搬送経路150に沿って搬送されて、スリットガラス112の上部を通過し、画像読取装置100により読み取られる。読み取りが終了した用紙200は、搬送ドラムローラ152および排紙ローラ153によって、排紙トレイ146へ排出される。また、このADF140は、搬送経路150におけるスリットガラス112の上流側に、用紙200を検知する用紙検知センサ(図示省略)を備える。ここで、上述の駆動モータ159は、主走査方向と直交する副走査方向に、照明光を用紙200に対して相対移動させる移動手段に相当する。
【0030】
図5は、画像読取装置100の電気的接続を示すブロック図である。図5に示すように、画像読取装置100は、制御部としてのCPU170を備え、このCPU170に、ROMやHDDなどによって構成された記憶部171と、RAM172と、画像処理部173と、画像読取部110と、ADF140と、操作・表示部174と、通信インターフェス部175と、が接続されている。
【0031】
記憶部171は、CPU170が実行するプログラムや各種のデータを記憶している。RAM172は、CPU170が処理するデータやプログラムなどを展開する作業メモリである。画像処理部173は、ASICやDSP等の回路であって、データを高速に処理する。操作・表示部174は、スイッチ、ボタン、ICカードリーダ等から構成される操作部と、LEDやLCD等で構成された表示部と、から構成されている。この操作・表示部174を通じて当該画像読取装置100は、使用者と操作や状態に関する情報の授受を行う。通信インターフェス部175は、外部装置や記憶メディア(ICカード、CD、DVD等)との間で、バスやイーサネット(登録商標)、電話回線、無線等を介してデータ通信を行う。
【0032】
図6は、用紙200を示す平面図である。図6に示すように、本実施形態では、用紙200は、副走査方向での上流部(以後、前端部ともいう)が第1の領域200aとされ、副走査方向での下流部(以後、後端部ともいう)が第2の領域200bとされ、これらの第1の領域200aと第2の領域200bとの間の領域が第3の領域200cとなっている。なお、図面では、各領域200a,200b,200cの範囲を、それぞれ点線で概略的に示している。第1の領域200aおよび第2の領域200bには、同一のパターン200dが印刷されている。即ち、用紙200には、パターン200dが複数印刷されている。パターン200dは、光沢の違いで表現されている。光沢の違いは、例えば光沢の有無である。このようなパターン200dは、光沢部分が透明トナーで作られ、非光沢部分が用紙地肌で作られている。なお、図面では、目視可能に示してあるが、実際には本実施形態では透明となっている。第3の領域200cには、コンテンツが印刷される。パターン200dは、図面では2次元コードの例を示してあるが、バーコード等であってもよい。
【0033】
次に、用紙200の色および光沢と輝度データとの関係について参照して説明する。ここで、図7は、照明の光度と露光エネルギーとの関係を示すグラフ、図8は、反射光の強度と方向との関係を説明するための説明図である。
【0034】
光電変換素子130の露光エネルギーQは、受光束φと露光時間Tとの積に比例する。この関係を式で表すと、Q∝φ×T である。さらに、受光束φは、光源118の照明光の光度iにも比例するので、結局、露光エネルギーQと照明光の光度iとは、図7に示すように、比例関係にある。この関係を式で表すと、Q∝i×Tである。
【0035】
また、図8に示すように、照明光の光度が同じであっても、その乱反射光度は、用紙200の地肌領域より光沢領域の方が少し小さい。したがって、図7のグラフでは、地肌領域での露光エネルギーと照明の光度との関係を示す線(実線)よりも、光沢領域での露光エネルギーと照明の光度との関係を示す線(点線)の方が、傾きが少し小さくなる。同様に、反射光度は、用紙200の白色度に比例するので、図7中の各線の傾きも用紙200の白色度に比例する。図7の各線の傾きは、光沢の有無より用紙200の白色度で大きな違いを生じている。このような関係を踏まえ、本実施形態は、とある白色度の用紙200を、とある光度の照明光で照射し、その乱反射光の露光エネルギーのわずかな差を、光沢の有無ととらえ、パターン200dを抽出するものである。
【0036】
ところで、通常、画像読取装置100は、所定の範囲の露光エネルギーを輝度レベルに変換するようになっている。図7の例では、輝度レベル255と記した位置よりも下の露光エネルギーを、256段階の輝度レベルに変換し、その位置より上の露光エネルギーは全て輝度レベル「255」と変換する(クリッピングする)。これにより、例えば、照明の光=i2においては、用紙200の白色度が高だった場合、地肌領域も光沢領域も同じ輝度レベル「255」となる。つまり、両領域を弁別できない(パターン200dを抽出できない)。また同じ照明光度において、用紙200の白色度が低だった場合、両領域の輝度レベルは、かなり近接してしまい、弁別精度が低下してしまう。このような現象を避け、常に良好な領域弁別を行うには、用紙200の白色度が高、中、低と低くなるに従い、照明の光度を徐々に高くするように(図7中のi1,i2,i3となるように)変化させればよい。光源118が、LEDアレイならば光度を高速に変化させることが容易である。さらに、上述のQ∝i×Tの関係からわかるように、変化させるのは照明の光度でなくても、露光時間であってもよい。露光時間Tは、線速Vと反比例する関係にある。ここで、線速とは、図3を用いて説明した載置読取方式の例では第1のキャリッジ122の移動速度、図4を用いて説明したシートスルー方式の例では搬送ドラムローラ152の回転速度に相当する。つまり用紙200の白色度の高、中、低の場合に合わせて、移動速度または回転速度を大、中、小と変化させてもよい。
【0037】
図7は、理論的な説明をするためのものだが、実際の輝度データには、ある程度の揺らぎが入ってくる。これは用紙200の面の平滑度の不均一性などに起因する現象である。実際の輝度値のばらつきを、度数分布で表したものを、図9〜図11に示す。例えば、用紙200の8.5inch×1inchの矩形領域を600dpiで読み取った画像であれば、3.06×10個もの画素となり、各画素の輝度値の度数分布は、図9に示すように、ある輝度値を中心とした正規分布となる。前述のように、光沢領域は地肌領域より少しだけ輝度値が小さくなる。図7で照明の光度がi2で白色度が中の用紙200の場合のように、光沢/地肌の両領域の(理論)輝度値が十分離れていれば、図9に示すよう、両領域の分布は大きく交わることがない。しかし、図7で照明の光度がi2で白色度が低の用紙200の場合のように、両領域の(理論)輝度値が接近していると、図10に示すように、両領域の分布が交わってしまう。図9のような分布であれば、輝度値=Aをしきい値として、どの画素が地肌で、どの画素が光沢かを分別することができるが、図10のような分布だと、正しい分別をすることができない。図7で照明の光度がi2で白色度が高の用紙200の場合も、図11に示すような分布となるので、正しい分別をすることができない。しかし、正しい分別をすることができない場合であっても、度数分布が図10のような分布ならば、照明の光度をi2からi3に変更すればよく、図11のような分布なら照明の光度をi2からi1に変更すればよいことがわかる。
【0038】
上述したとおり、本実施形態の用紙200には、図6に示すように、前端部に位置する第1の領域200aと後端部に位置する第2の領域200bとの2箇所に同じパターン200dが印刷されている。そこで、第1の領域200aの度数分布から、第2の領域200bの照明光度や線速(読取条件)を決定すれば、用紙200の白色度に依存しない正しいパターン200dを抽出することができる。
【0039】
以下に、パターン抽出の具体的な詳細な処理として画像読取装置100が実行する読取処理について説明する。この読取処理は、CPU170によるソフトウェア処理であってもよいし、画像処理部173が行うハードウェア処理であってもよいが、以下では、CPU170が行うものとして説明する。
【0040】
この読取処理では、CPU170は、プログラムとの協働によって、図5に示すように、度数分布生成部181、読取条件決定部182、第2の領域読取部183および抽出部184として機能する。
【0041】
度数分布生成部181は、規定の読取条件で光源118および駆動モータを制御して、用紙200の第1の領域200aの輝度画像データを得て、第1の領域200aの輝度画像データの度数分布(ヒストグラム)を生成する。
【0042】
ここで、本実施形態では、用紙200の読取条件として、第1の〜第4の読取条件がある。第1の読取条件は、照明の光度が小(i1)、照明の移動の速度が大であり、白色度が高の用紙200用である。第2の読取条件は、照明の光度が中(i2)、照明の移動の速度が中であり、白色度が中の用紙200用である。第3の読取条件は、照明の光度が大(i3)、照明の移動の速度が小であり、白色度が低の用紙200用である。第4の読取条件は、第3の領域200cに印刷されたコンテンツを読み取るのに適した照明の光度や移動の速度を規定している。
【0043】
読取条件決定部182は、パターン200dを含み用紙200において第1の領域200aの副走査方向下流に位置した第2の領域200bの読取条件を、度数分布生成部181が生成した度数分布を用いて決定する。
【0044】
第2の領域200b読取手段は、読取条件決定部182によって決定された読取条件で、光源118および駆動モータの少なくとも一方を制御して、第2の領域200bの輝度画像データを得る。
【0045】
抽出部184は、第2の領域200bの輝度画像データからパターン200dを抽出する。
【0046】
次に、読取処理の流れを図12に示すフローチャートに沿って説明する。図12に示すように、CPU170は、まず、第2の読取条件で、用紙200の第1の領域200aのスキャン画像を得る(ステップS11)。続いて、CPU170は、第4の読取条件で用紙200の第3の領域200cのスキャン画像を得る(ステップS12)。なお、用紙200のパターン200dの抽出のためだけにスキャンをするのなら、このステップS12の処理は不要だが、ここでは、コンテンツの画像も同時に得る例を示しているため、ステップS12の処理を行っている。
【0047】
続いて、CPU170は、用紙200の第1の領域200aの度数分布を作成する(ステップS13)。画像読取装置100が光電変換素子130を3チャネル備えるカラー画像読取装置であっても、その輝度成分のみを、ここでは利用する。さらに低輝度の分布情報は不要なので、高輝度(輝度値=128〜255)の画素の個数のみをカウントする。度数分布が作成できたら、最大度数の輝度値を探し、その最大度数の輝度値が所定の輝度値A(例えば240)以下であれば(ステップS14のYes)、第2の領域200bの読取条件を第3の読取条件とし(ステップS16)、その最大度数の輝度値が所定に輝度値Aより大きく255より小さければ、第2の領域200bの読取条件を第2の読取条件とし(ステップS17)、その最大度数の輝度値が255であれば(ステップS15のNo)、第2の領域200bの読取条件を第1の読取条件として(ステップS18)、それぞれ用紙200の第2の領域200bのスキャン画像を得る。
【0048】
次に、CPU170は、用紙200の第2の領域200bのスキャン画像からパターン200dを抽出する(ステップS19)。抽出は、輝度値Aをしきい値として画像を2値化し、期待する2値画像パターン200dとの相関を求める一般的な手法を用いてよい。この際、しきい値は固定の値Aとしてもよいし、第1の領域200aと同様に第2の領域200bでも度数分布を作成して図9のような2山の谷間の輝度値をしきい値としてもよい。また、しきい値と、別な輝度値(図9中のB)との間を光沢部としてもよい。なお、この読取処理のタイムチャートは、図13のようになる。
【0049】
このように、本実施形態では、光源118による用紙200の露光量を、1ページ(1枚)の用紙200を読み取る期間で一定とせず変化させている。
【0050】
ここで、このような画像読取装置100で用いられる用紙200は、図14に示すように、例えば画像印刷装置によって印刷されたものである。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、度数分布生成部181が、規定の読取条件で光源118および駆動モータを制御して、用紙200の第1の領域200aの輝度画像データを得て、第1の領域200aの前記輝度画像データの度数分布を生成し、読取条件決定部182が、用紙200の第2の領域200bの読取条件を、度数分布生成部181が生成した度数分布を用いて決定し、第2の領域読取部183が、読取条件決定部182によって決定された読取条件で、光源118および駆動モータ133や159の少なくとも一方を制御して、第2の領域200bの輝度画像データを得る。したがって、用紙200の第2の領域200bの読取条件を適切に変更設定できるので、特殊な照明や受光素子を必要とせずに、さまざまな白色度の用紙200に対し、高い精度でパターン200dを抽出することができる。
【0052】
また、本実施形態では、パターン200dを用紙200の第1の領域200aと第2の領域200bに設けてある。これは、生産性を高める効果を狙ったものである。例えば、読取条件を変更する領域を設けない場合、同一ページを2回スキャン(2パス)させなければ、上記の処理を行うことができない。これに対して、パターン200dを含む2つの領域が同一ページの異なる領域に設けてあると、第1の領域200aで用紙200の地肌の輝度値を調べ、第2の領域200bでパターン200dを抽出する処理を、1パスの中で行うことができ、生産性が向上する。また、このように、第1の領域200aと第2の領域200bとを、副走査方向の両端部に設けたので、操作者は用紙200の縦幅方向(長手方向)を副走査方向に平行にさえすれば、用紙200の縦幅方向のどちらの端部を先に読み取らせるかを意識する必要がない。
【0053】
また、本実施形態では、第1の領域200aと第2の領域200bとが副走査方向に並んでいる。したがって、読取条件の切替えが容易である。
【0054】
また、本実施形態では、第1の領域200aと第2の領域200bとが用紙200の端部に位置している。このようにすることで、パターン200dとコンテンツが重畳することで読取精度が低下するという問題が避けられる。これは、コンテンツがページの端部まで印刷される頻度は低いという傾向を利用している。なお、上記の処理では、パターン200d(透明トナー)とコンテンツ(有色トナー)とが、重なっていないことを前提としている。
【0055】
次に、変形例にかかる用紙200について説明する。図15は、第1の変形例にかかる用紙200を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【0056】
図15に示すように、第1の変形例の用紙200は、用紙200の外周部の4つの各辺縁部のそれぞれに、パターン200dが印刷されている。そして、図15の(a)に示すように、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合には、用紙200の縦幅方向の前端部が第1の領域200aとされ、用紙200の縦幅方向の後端部が第2の領域200bとされる。一方、図15の(b)で示すように、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合(用紙横幅方向と副走査方向とが一致している場合)には、用紙200の横幅方向の前端部が第1の領域200aとされ、用紙200の横幅方向の後端部が第2の領域200bとされる。なお、このような用紙200の方向(姿勢)は、CPU170が用紙検出センサの出力に基づいて判断する。
【0057】
この変形例では、用紙200をどの方向で読み取らせても、パターン200dを検出することができるので、操作者に用紙200の上下左右の4方向を意識させなくて済む。
【0058】
図16は、第2の変形例の用紙200を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【0059】
図16に示すように、第2の変形例の用紙200には、一対の角部にパターン200dが印刷されている。そして、図16の(a)に示すように、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合には、用紙200の縦幅方向の前端部が第1の領域200aとされ、用紙200の縦幅方向の後端部が第2の領域200bとされる。一方、図16の(b)で示すように、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合(用紙横幅方向と副走査方向とが一致している場合)には、用紙200の横幅方向の前端部が第1の領域200aとされ、用紙200の横幅方向の後端部が第2の領域200bとされる。
【0060】
この変形例では、用紙200をどの方向で読み取らせても、パターン200dを検出することができるので、操作者に用紙200の上下左右の4方向を意識させなくて済む。
【0061】
図17は、第3の変形例の用紙200を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【0062】
第3変形例の用紙200には、第2の領域200bが2つ定義されており、一方の第2の領域200bにパターン200dが印刷されている。この変形例では、両方の第2の領域200bでパターン200d抽出を試みる方式である。この変形例によれば、操作者は4方向を意識せず、かつ、パターン200dも1個で済む。
【0063】
図18は、第4の変形例の用紙200を説明する説明図であって、(a)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合を示す図、(b)は、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合を示す図である。
【0064】
第4の変形例の用紙200には、第2の変形例と同様に、一対の角部にパターン200dが印刷されている。そして、図18の(a)に示すように、用紙縦幅方向と副走査方向とが一致している場合には、用紙200の縦幅方向の前端部における左右方向の両端部が第1の領域200aとされ、用紙200の縦幅方向の後端部における左右方向の両端部が第2の領域200bとされる。そして、用紙200における第1の領域200aと第2の領域200bを除く領域に第3の領域200cが位置している。一方、図18の(b)で示すように、用紙縦幅方向と副走査方向とが直交している場合(用紙横幅方向と副走査方向とが一致している場合)には、用紙200の横幅方向の前端部の左右方向の両端部が第1の領域200aとされ、用紙200の横幅方向の後端部の左右方向の両端部が第2の領域200bとされる。そして、用紙200における第1の領域200aと第2の領域200bを除く領域に第3の領域200cが位置している。即ち、本変形例では、第1の領域200aや第2の領域200bが主走査方向で分断されていている。これにより、第3の領域200cの面積を増やすことができる。この場合、載置読取方式で、LEDアレイ光源を用いれば、主走査の中で光度を変えることは容易である。
【0065】
この変形例では、用紙200をどの方向で読み取らせても、パターン200dを検出することができるので、操作者に用紙200の上下左右の4方向を意識させなくて済む。
【0066】
なお、本発明は、本実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施の形態を各種採用することができる。例えば、画像読取装置100の機構も、図4に示した縮小光学系に限定せず、密着イメージセンサを用いた等倍光学系であってもよい。
【0067】
また、パターン200dはネガポジどちらであってもよい。例えば、通常のバーコードパターンの黒で印刷される部分を光沢、それ以外の部分を非光沢とするものを「ポジ」とすれば、その逆を「ネガ」と呼ぶ。コンテンツがある第3の領域200cも含め、ほぼ全面を光沢とし、光沢をくり抜くかたちでパターン200dを形成するネガであってもよい。また光沢部分を透明トナーで作り、非光沢部分を用紙地肌で作ると説明したが、非光沢部分を透明トナー(塗布部がつや消し状態になる)で作り、光沢部分を用紙200の地肌(いわゆるグロス紙)で作ってもよい。
【0068】
また、本実施形態で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されても良い。
【0069】
また、本実施形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
100…画像読取装置
118…光源
133,159…駆動モータ
134…輝度画像データ生成部
181…度数分布生成部
182…読取条件決定部
183…第2の領域読取部
184…抽出部
200…用紙
200a…第1の領域
200b…第2の領域
200d…パターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2005−170007号公報
【特許文献2】特開2001−265181号公報
【特許文献3】特開平06−070097号公報
【特許文献4】特開2010−102032号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢の違いで表現されたパターンが印刷された用紙に、主走査方向に沿って照明光を照射する照明手段と、
前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記照明光を前記用紙に対して相対移動させる移動手段と、
前記照明光において前記用紙で乱反射した光を用いて、輝度画像データを生成する輝度画像データ生成手段と、
規定の読取条件で前記照明手段および前記移動手段を制御して、前記用紙の第1の領域の前記輝度画像データを得て、前記第1の領域の前記輝度画像データの度数分布を生成する度数分布生成手段と、
前記パターンを含み前記用紙において前記第1の領域の前記副走査方向下流に位置した第2の領域の読取条件を、前記度数分布を用いて決定する読取条件決定手段と、
前記読取条件決定手段によって決定された読取条件で、前記照明手段および前記移動手段の少なくとも一方を制御して、前記第2の領域の前記輝度画像データを得る第2の領域読取手段と、
前記第2の領域の前記輝度画像データから前記パターンを抽出する抽出手段と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記第2の領域読取手段は、前記用紙の白色度が低いほど前記第2の領域の露光量を大きくする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第2の領域読取手段は、前記用紙の白色度が低いほど、前記照明光の光度を大きくする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第2の領域読取手段は、前記用紙の白色度が低いほど、副走査方向での前記照明光と前記用紙との相対移動速度を遅くする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記読取条件は、前記照明光の光度と、前記副走査方向での前記照明光の前記用紙に対する相対移動速度とのうちの少なくとも1つである請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記副走査方向に沿って並んでいる請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記用紙の端部に位置している請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
光沢の違いで表現されたパターンが印刷された用紙に、主走査方向に沿って照明光を照射する照明手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記照明光を前記用紙に対して相対移動させる移動手段と、前記照明光において前記用紙で乱反射した光を用いて、輝度画像データを生成する輝度画像データ生成手段と、を備える画像読取装置で実行される画像読取方法であって、
度数分布生成手段が、規定の読取条件で前記照明手段および前記移動手段を制御して、前記用紙の第1の領域の前記輝度画像データを得て、前記第1の領域の前記輝度画像データの度数分布を生成するステップと、
読取条件決定手段が、前記パターンを含み前記用紙において前記第1の領域の前記副走査方向下流に位置した第2の領域の読取条件を、前記度数分布を用いて決定するステップと、
第2の領域読取手段が、前記読取条件決定手段によって決定された読取条件で、前記照明手段および前記移動手段の少なくとも一方を制御して、前記第2の領域の前記輝度画像データを得るステップと、
抽出手段が、前記第2の領域の前記輝度画像データから前記パターンを抽出するステップと、
を含む画像読取方法。
【請求項9】
光沢の違いで表現されたパターンが印刷された用紙に、主走査方向に沿って照明光を照射する照明手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に、前記照明光を前記用紙に対して相対移動させる移動手段と、前記照明光において前記用紙で乱反射した光を用いて、輝度画像データを生成する輝度画像データ生成手段と、を備える画像読取装置のコンピュータを、
規定の読取条件で前記照明手段および前記移動手段を制御して、前記用紙の第1の領域の前記輝度画像データを得て、前記第1の領域の前記輝度画像データの度数分布を生成する度数分布生成手段と、
前記パターンを含み前記用紙において前記第1の領域の前記副走査方向下流に位置した第2の領域の読取条件を、前記度数分布を用いて決定する読取条件決定手段と、
前記読取条件決定手段によって決定された読取条件で、前記照明手段および前記移動手段の少なくとも一方を制御して、前記第2の領域の前記輝度画像データを得る第2の領域読取手段と、
前記第2の領域の前記輝度画像データから前記パターンを抽出する抽出手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録した、コンピュータが読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−150559(P2012−150559A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7171(P2011−7171)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】